(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】海苔供給装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20220407BHJP
B04C 5/185 20060101ALI20220407BHJP
B04C 5/04 20060101ALI20220407BHJP
B04C 5/12 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A23L7/10 Z
B04C5/185
B04C5/04
B04C5/12 A
(21)【出願番号】P 2018007343
(22)【出願日】2018-01-19
【審査請求日】2020-10-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1 顧客向説明会(公開日) 平成29年12月7日 公開者 不二精機株式会社 住所 福岡市博多区西月隈3丁目2番35号 公開対象者 株式会社あきんどスシロー 住所 大阪府吹田市江坂町1丁目22番2号 公開場所 不二精機株式会社 本社工場1階 ショールーム 住所 福岡市博多区西月隈3丁目2番35号
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2 顧客向説明会(公開日) 平成30年1月15日 公開者 不二精機株式会社 住所 福岡市博多区西月隈3丁目2番35号 公開対象者 株式会社あきんどスシロー 住所 大阪府吹田市江坂町1丁目22番2号 公開場所 不二精機株式会社 新工場3階 応接室 住所 福岡市博多区西月隈3丁目2番35号
(73)【特許権者】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114731
【氏名又は名称】藤井 重男
(72)【発明者】
【氏名】青木 稔
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-300848(JP,A)
【文献】特開2010-110221(JP,A)
【文献】特開2015-058400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0173365(US,A1)
【文献】国際公開第2001/60524(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101181150(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
B04C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔吸着部が海苔吸着位置に移動して海苔ストッカーの方形海苔を吸着し、上記海苔吸着部が海苔供給位置に戻ることにより上記吸着が解除されて上記方形海苔を1枚毎、上記海苔供給位置から海苔巻付部に供給する海苔供給装置において、
上記海苔吸着部が上記海苔吸着位置にあるとき、上記海苔吸着部の海苔吸着口から空気排気口までに構成される空気吸引経路の後段に吸引用のブロアが設けられ、
上記ブロアと上記海苔吸着口との間の上記空気吸引経路にサイクロン式海苔粉分離器が設けられ、
上記ブロアの吸引動作により、上記方形海苔を吸着した空気が上記サイクロン式海苔粉分離器の円周方向から同分離器内に導入され渦巻き状に回転することで海苔粉が遠心分
離され、上記海苔粉を遠心分離した後の空気が、同サイクロン式海苔粉分離器内の上方開口部を通って上記ブロアにより上記空気排気口から排出されるように構成さ
れ、
上記サイクロン式海苔粉分離器の上記上方開口部上に上記ブロアが設けられているものであって、
上記サイクロン式海苔粉分離器は円筒状のケーシングにより構成されており、
上記ケーシングの側面に上記ケーシング内の円周方向に上記海苔吸着口から吸引した空気を導入する空気導入部が設けられ、
上記ケーシング内の底部には、上記ケーシングの内径に対して同一径又は若干小径の海苔粉分離円盤が上記ケーシングの底面より一定の高さに着脱自在に設けられており、
上記海苔粉分離円盤の周縁に切欠が設けられているものである海苔供給装置。
【請求項2】
上記サイクロン式海苔粉分離器は、その内部の中心部に、側面に空気導入用の開口が形成された上面開口小径円筒部が設けられ、かつ上記空気導入用の開口はメッシュ板にて閉鎖されているものである請求項1記載の海苔供給装置。
【請求項3】
上記海苔粉分離円盤は、下面に突起が設けられており、上記突起により上記ケーシングの上記底面に水平に支持されるものである請求項1記載の海苔供給装置。
【請求項4】
上記海苔ストッカーの後部に上記海苔ストッカー内に収納された方形海苔を前方に押圧する押圧機構が設けられ、
上記海苔ストッカーの前端部両側に最前部の方形海苔の両端に係合する海苔端部係止片が設けられ、
上記押圧機構は、上記方形海苔の最後面を前方に押圧する係合片を有する前方側リンクと、上記前方側リンクに回転支軸を以って接続された後方側リンク機構から構成され、上記後方側リンク機構の下端の固定回転軸に、上記前方側リンクを前方に押し出す方向に回動附勢するための錘を設置したものである請求項1~3の何れかに記載の海苔供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方形海苔を空気で吸引して該方形海苔を1枚毎シャリ玉に巻き付けて軍艦巻き等を形成する海苔巻装置の海苔供給部において、サイクロン式海苔粉分離器を設け、遠心力により空気と海苔粉を遠心分離し得る海苔供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軍艦巻等の海苔巻を製造する装置において、ブロア(吸引機)により、海苔ストッカーに集積された方形海苔を吸着部にて1枚毎に吸着し、吸着部が海苔落下位置まで移動することにより、方形海苔の吸引が解除され、上記方形海苔が海苔巻部に落下供給され、その後、上記海苔巻部にて海苔巻アームにより、シャリ玉に方形海苔が巻き付けられる構成の海苔巻装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-289038号公報
【文献】特開2010-94068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の装置は、方形海苔を吸着部にて空気にて吸着する動作を繰り返し行うので、方形海苔の吸着時に方形海苔と共に海苔粉(方形海苔の微小な片、微粉)をも一緒に吸い込んでしまう。よって、空気吸引経路のブロアの前段にフィルタを設け、該フィルタにより海苔粉がブロア内に吸引されないように構成していた。
【0005】
しかしながら、上記構成では、フィルタに海苔粉が蓄積し、これにより吸引力が低下するため、定期的なフィルタの洗浄等のメンテナンスが必要であった。
【0006】
また、フィルタを通過する微細な海苔粉がブロア内にも吸引され、吸引力の低下を招くという課題もあった。
【0007】
また、従来の海苔ストッカー内の方形海苔を前方に押圧するために、モータ等の駆動力を利用していたが(例えば特許文献2)、装置が複雑化、大型化するため、より簡略な押圧機構が望まれていた。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、方形海苔の空気吸引経路にサイクロン式海苔粉分離器を設けることにより、空気と海苔粉を遠心分離することにより、吸引力が低下せず、メンテナンスの容易な海苔供給装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、モータ等の動力を必要としない方形海苔の押圧機構を用いることにより、装置全体を簡略化した海苔供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、海苔吸着部が海苔吸着位置に移動して海苔ストッカーの方形海苔を吸着し、上記海苔吸着部が海苔供給位置に戻ることにより上記吸着が解除されて上記方形海苔を1枚毎、上記海苔供給位置から海苔巻付部に供給する海苔供給装置において、上記海苔吸着部が上記海苔吸着位置にあるとき、上記海苔吸着部の海苔吸着口から空気排気口までに構成される空気吸引経路の後段にブロアが設けられ、上記ブロアと上記海苔吸着口との間の上記空気吸引経路にサイクロン式海苔粉分離器が設けられ、上記ブロアの吸引動作により、上記方形海苔を吸着した空気が上記サイクロン式海苔粉分離器の円周方向から同分離器内に導入され渦巻き状に回転することで海苔粉が遠心分離され、上記海苔粉を遠心分離した後の空気が、同サイクロン式海苔粉分離器内の上方開口部を通って上記ブロアにより上記空気排気口から排出されるように構成され、上記サイクロン式海苔粉分離器の上記上方開口部上に上記ブロアが設けられているものであって、上記サイクロン式海苔粉分離器は円筒状のケーシングにより構成されており、上記ケーシングの側面に上記ケーシング内の円周方向に上記海苔吸着口から吸引した空気を導入する空気導入部が設けられ、上記ケーシング内の底部には、上記ケーシングの内径に対して同一径又は若干小径の海苔粉分離円盤が上記ケーシングの底面より一定の高さに着脱自在に設けられており、上記海苔粉分離円盤の周縁に切欠が設けられているものである海苔供給装置により構成される。
【0011】
上記ブロアは、例えばシロッコファン或いはターボファンを利用した遠心吸引機(42)をいう。上記サイクロン式海苔粉分離器の上方開口部は、同分離機の中央円形開口(40d’)により構成することができる。このように構成すると、上記方形海苔を吸引し海
苔粉を含む空気が、空気吸引経路におけるサイクロン式海苔粉分離器内に導入され、当該分離器内において、空気が渦巻き状に回転することで海苔粉が遠心分離され、分離された海苔粉はサイクロン式海苔粉分離器の底面に蓄積され、海苔粉を含まない空気がサイクロン式海苔粉分離器の上方開口部からブロアを通って空気排出口から排出されるため、海苔粉を回収するためのフィルタを設ける必要がなく、メンテナンス性を向上させ得ると共に、フィルタの詰まりによるブロアの性能低下を抑止することができる。 このように構成すると、ブロア(遠心吸引機)による大きな静圧による吸引力をサイクロン式海苔粉分離器に作用させることができ、効率的に空気と海苔粉を分離することができる。このように構成すると、海苔粉を含んだ空気は空気導入部より円筒状のケーシング内に周方向に導入され、効率的に海苔粉を遠心分離させて、ケーシングの底部に落下させることができる。また、分離された海苔粉は、海苔粉分離円盤の切欠からケーシングの底面に蓄積され、上記ケーシング上部への逆流が抑止されるため、確実に海苔粉を空気から分離することができる。また、蓄積した海苔粉は、上記サイクロン式海苔粉分離器を海苔供給装置から取り外し、かつ上記海苔粉分離円盤をケーシングから取り外して、ケーシング内の底部に蓄積した海苔粉を排気するだけでよいため、メンテナンス性を向上し得ると共に、フィルタを使用しないので、フィルタ掃除の必要がないし、フィルタに海苔粉が蓄積され、吸引力が低下することもない。
【0016】
第2に、上記サイクロン式海苔粉分離器は、その内部の中心部に、側面に空気導入用の開口が形成された上面開口小径円筒部が設けられ、かつ上記空気導入用の開口はメッシュ板にて閉鎖されているものである上記第1記載の海苔供給装置により構成される。
【0017】
上記海苔粉を遠心分離した空気は、上面開口小径円筒部の空気導入用の開口からメッシュ板を介して、上方開口部を通って上方に吸引されるため、仮に、海苔粉を含む空気が上記空気導入用の開口に導入されても上記メッシュ板により海苔粉の吸引は阻止されるので、ブロア(遠心吸引機)内に海苔粉が吸引されて吸引性能が低下することはない。
【0018】
第3に、上記海苔粉分離円盤は、下面に突起が設けられており、上記突起により上記ケーシングの上記底面に水平に支持されるものである上記第1記載の海苔供給装置により構成される。
【0019】
従って、上記ケーシング内を、上記海苔粉分離円盤により、当該円盤の下方の蓄積空間と、当該円盤の上方の分離空間に分けることができ、一旦海苔粉分離円盤の下方に落下した海苔粉の上記分離空間への逆流を確実に阻止することができ、効率的に海苔粉を遠心分離することができる。
【0020】
第4に、上記海苔ストッカーの後部に上記海苔ストッカー内に収納された方形海苔を前方に押圧する押圧機構が設けられ、上記海苔ストッカーの前端部両側に最前部の方形海苔の両端に係合する海苔端部係止片が設けられ、上記押圧機構は、上記方形海苔の最後面を前方に押圧する係合片を有する前方側リンクと、上記前方側リンクに回転支軸を以って接続された後方側リンク機構から構成され、上記後方側リンク機構の下端の固定回転軸に、上記前方側リンクを前方に押し出す方向に回動附勢するための錘を設置したものである上記第1~3の何れかに記載の海苔供給装置により構成される。
【0021】
上記前方側リンクは例えば長リンク(24)により構成することができる。後方側リンク機構は例えば長リンク(23)、中間リンク(26)、短リンク(25)、長リンク(24)、回転支軸(26b,24a,26a,25a)等から構成される平行リンクにより構成することができる。このように構成すると、上記海苔ストッカー内の方形海苔を前方に押し出すための押圧機構に動力を必要としないため、装置全体を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、方形海苔を吸引し海苔粉を含む空気が、空気吸引経路におけるサイクロン式海苔粉分離器内に導入され、当該分離器内において、空気が渦巻き状に回転することで海苔粉が遠心分離され、分離された海苔粉はサイクロン式海苔粉分離器の底面に蓄積され、海苔粉を含まない空気がサイクロン式海苔粉分離器の上方開口部からブロアを通って空気排出口から排出されるため、海苔粉を回収するためのフィルタを設ける必要がなく、メンテナンス性を向上させ得ると共に、フィルタの詰まりによるブロアの性能低下を抑止することができる。
【0023】
また、ブロアによる大きな静圧による吸引力をサイクロン式海苔粉分離器に作用させることができ、効率的に空気と海苔粉を分離することができる。
【0024】
また、分離された海苔粉は、海苔粉分離円盤の下側のケーシングの底面に蓄積され、上記ケーシング上部への逆流が抑止されるため、確実に海苔粉を空気から分離することができる。
【0025】
また、蓄積した海苔粉は、上記サイクロン式海苔粉分離器を遠心送風機から取り外し、かつ上記海苔粉分離円盤をケーシングから取り外して、ケーシング内の底部に蓄積した海苔粉を排気するだけでよいため、メンテナンス性を向上し得ると共に、フィルタを使用しないので、フィルタ掃除の必要がないし、フィルタに海苔粉が蓄積され、吸引力が低下することもない。
【0026】
また、上記海苔粉を遠心分離した空気は、上面開口小径円筒部の空気導入用の開口からメッシュ板を介して、上方開口部を通って上方に吸引されるため、仮に、海苔粉を含む空気が上記空気導入用の開口に導入されても上記メッシュ板により海苔粉の吸引は阻止されるので、ブロア内に海苔粉が吸引されて吸引性能が低下することはない。
【0027】
また、上記ケーシング内を、上記海苔粉分離円盤により、当該円盤の下方の蓄積空間と、当該円盤の上方の分離空間に分けることができ、一旦海苔粉分離円盤の下方に落下した海苔粉の上記分離空間への逆流を確実に阻止することができ、効率的に海苔粉を遠心分離することができる。
【0028】
また、上記海苔ストッカー内の方形海苔を前方に押し出すための押圧機構に動力を必要としないため、装置全体を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る海苔供給装置を使用した海苔巻装置の斜視図である。
【
図2】同上海苔供給装置における海苔落下ガイドを含む海苔巻部近傍の平面図である。
【
図5】(a)は同上海苔供給装置におけるサイクロン式海苔粉分離器の斜視図、(b)は同上分離器の側面図である。
【
図6】同上海苔供給装置におけるサイクロン式海苔粉分離器の分解斜視図である。
【
図7】同上海苔供給装置におけるサイクロン式海苔粉分離機内の空気流を示す透視斜視図である。
【
図10】同上海苔巻装置の海苔巻部の裏面図である。
【
図11】同上海苔巻装置で形成した軍艦巻がトレーに並べられた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る海苔供給装置を詳細に説明する。
上記海苔供給装置1を使用した海苔巻装置2の全体構成を
図1に示す。この海苔巻装置2は、下段の機枠3上に設けられたシャリ玉製造装置4、該装置4に隣接し、中段の機枠5に設けられた本発明に係る海苔供給装置1、主に上記海苔供給装置1の下方に設けられ、シャリ玉Rの側面に方形海苔を巻き付け軍艦巻を製造する海苔巻付装置6(
図2参照)により構成されている。
【0031】
上記シャリ玉製造装置4は公知の構成であり、
図2に示すように、当該装置4の下段に軸Pを回転中心とした間歇回動シャリ玉成型円盤7が設けられ、当該円盤7が矢印A方向の間歇回動しながら、位置7aにて凹部8にシャリ(寿司用米飯)が供給され、位置7bの凹部8内でプレスされてシャリ玉Rが成型され、位置7cにて上下往復落し具(図示せず)にて下段の大径の間歇回動シャリ玉搬送円盤9にシャリ玉Rが落下供給される。
【0032】
上記間歇回動シャリ玉搬送円盤9は、上記間歇回動シャリ玉成型円盤7の下方に位置しており、上記機枠3に軸支された軸P’を回転中心として矢印B方向に間歇回動し、上記位置7cにて落下供給されたシャリ玉Rを円周方向に搬送し、上記間歇回動シャリ玉成型円盤7の上記位置7cの凹部8とは180度反対側の位置において、上記間歇回動シャリ玉搬送円盤9上に、上段の上記海苔供給装置1から1枚ずつ方形海苔Nが落下供給される海苔落下ガイド10が配置されると共に、その下流側に海苔巻付部11が設置されている。尚、上記間歇回動シャリ玉搬送円盤9のシャリ玉の載置部には、半径方向の直線状の複数の溝9a(8か所)が平行に形成され、上記成型円盤7から落下供給されたシャリ玉のずれを防止している。
【0033】
そして、上記海苔落下ガイド10に上方から1枚の方形海苔Nが、上記間歇回動シャリ玉搬送円盤9上のシャリ玉移動経路上に落下供給され、同円盤9の次の回動タイミングで、シャリ玉Rが上記海苔巻付部11側に回動することにより、上記シャリ玉Rの前方R1に上記方形海苔Nが付着し、その後、上記海苔巻付部11にてシャリ玉Rが4本のアーム15a,15b,15c,15dにより保持され(
図10参照)、下流側の2本のアーム15c,15dの交互の回動により(矢印V1,V2の方向)、上記方形海苔Nの両端部が交互にシャリ玉Rの側面に巻き付けられることにより軍艦巻R’が形成される(
図11参照)。
【0034】
この軍艦巻R’は上記円盤9のさらなる回動により、下流側のシャリ玉取出位置13まで搬送され、最終的には取出アーム12の矢印C方向の回動により、取出トレー14に移送されるように構成されている。
【0035】
次に、上記海苔落下ガイド10に方形海苔を1枚ずつ供給するための本発明に係る海苔供給装置1について説明する。
図3に海苔供給装置1の平面図、
図4に同装置1の側面図、
図8、
図9に各々斜視図を示す。この海苔供給装置1は、
図2において、上記間歇回動シャリ玉搬送円盤9の上方に配置された水平の上記機枠5上に設置されている。尚、
図3、
図4において、紙面に向かって左側を「後方」、紙面に向かって右側を「前方」と定義付けて以下説明する。
【0036】
上記機枠5上において、後方位置に海苔ストッカー16が設けられ、当該海苔ストッカー16の左右起立板16a,16b間に、同一幅の複数の長方形状の方形海苔Nがセットされている。
【0037】
上記海苔ストッカー16の前方は、後述の海苔吸着部30が方形海苔Nを吸着するために開口部16cが形成されているが、上記開口部16cの左右端部には、海苔端部係止片18,18が設けられ、これら係止片18,18が後述の押圧機構20により前方に押圧された最前列の方形海苔Nの両端部に係合し、方形海苔Nの前方への脱落を防止し得るように構成されている(
図3、
図9参照)。また、当該海苔ストッカー16の後部にはL型の押え板19が押え部19aを起立した状態で、水平のスライド部19bを海苔ストッカー16の底面にスライド自在に設けられている(
図4、
図9参照)。この押え板19は上記押え部19aを該ストッカー16内に収納された方形海苔Nの最後列(最後面)に当接し、後述の押圧機構20により、上記ストッカー16内において方形海苔Nに前進方向の圧力を加えるものである。
【0038】
上記海苔ストッカー16の後方には、錘28を利用した押圧機構20が設けられている(
図8参照)。この押圧機構20は、
図3、
図4に示すように、コ字型基部21が上記機枠5の後端部中央に螺子Dにて固定され、該基部21の下部における上記機枠5を貫通した裏面側に、左右一対の固定回転軸22,22が設けられ、上記固定回転軸22,22を回動中心とする左右一対の長リンク23,23が上記回転支軸22,22に回転可能に設けられ、上記長リンク23,23の先端部は前方側に傾斜して位置する長リンク24の後端より若干前方寄りの位置に回動支持され(回転支軸24a,24a)、さらに上記長リンク23,23の下半部の途中位置に、左右一対の短リンク25,25が回動支持され(回転支軸25a,25a)、さらに上記短リンク25,25の先端部と上記長リンク24の後端部とが中間リンク26にて回動自在に接続され(下方の回転支軸26a,26a、上方の回転支軸26b,26b)、上記下方の回転支軸26a,26aは、上記コ字型基部21の両側板に設けられたカム溝27,27に係合し、当該カム溝27,27により移動方向が位置規制されるように構成されている。このように、上記回転支軸26b,24a,26a,25aを回動支軸とする平行リンクが形成されている。
【0039】
さらに、下端の上記固定回転支軸22,22には、該支軸22,22に固定的にアーム28aが設けられ、当該アーム28a先端に錘28が設けられ、当該錘28の重量により上記固定回転支軸22,22は常時矢印F方向に回動附勢され、従って上記長リンク23,23は上記回転支軸22,22を中心として常時矢印E方向に回動附勢されている。従って、当該押圧機構20は、常時上記長リンク23,23に作用する矢印E方向の回動附勢力によって、上記前方の長リンク24は常時矢印G方向(前方向)に一定の力で回動附勢されることになり、その結果、上記前方の長リンク24の前方下端の係合片29が上記押え部19aを前方に押圧することになる。
【0040】
尚、上記前方の長リンク24が前方に移動すると、上記回転支軸26b,26bは後方(矢印G’方向)に移動し、上記中間リンク26は下向き(矢印G”方向)に移動することになるが、上記リンク26の下端の回転支軸26aは上記カム溝27,27に沿って移動することになるので、上記平行リンクの平行状態が維持され、上記前方の長リンク24、従って上記係合片29は円滑に前方に移動することができる。
【0041】
このように、上記海苔ストッカー16内の方形海苔Nの押圧にあたり、電気モータ等の駆動機構を用いる必要がないため、海苔供給機構を簡略化することができる。
【0042】
次に、海苔の吸着機構について説明する。
上記機枠5の上記海苔ストッカー16の前方位置に、前後方向に移動自在に海苔吸着部30が設けられている(
図9参照)。この海苔吸着部30は、
図3、
図4において符号X2で示す、前進した海苔供給位置と、同図に符号X1で示す、後退した海苔吸着位置との間を前後方向に往復移動可能に構成されている。この海苔吸着部30の前部には、駆動用モータM1が固設されており、当該駆動モータM1の回転軸(プーリ)31aにクランク機構31が設けられ、該クランク機構31の他方のクランクの端部が上記海苔吸着部30の後端にアングル32を介してボルトBにて固定されている。従って、上記駆動モータM1を駆動すると、上記海苔吸着部30は、上記海苔吸着位置X1と上記海苔供給位置X2との間を往復移動し得るように構成されている。
【0043】
この海苔吸着部30は、その筐体は、内部が空洞に形成されると共に、前端に複数の円形の海苔吸着口33が横方向に複数開口形成され(
図9参照)、かつ底面の両端部の各々に、連結口34,34が開口形成されており(
図3参照)、上記海苔吸着部30が上記海苔吸着位置X1に位置したとき、上記連結口34,34が、上記機枠5上における上記連結口34,34に対応する位置に設けられた空気吸引口35,35(機枠5に貫通形成されている)に一致し、これにより、後述の遠心吸引機42の吸引動作により、上記海苔吸着口33から空気を吸引し得るように構成されている。
【0044】
また、上記海苔吸着部30の上記海苔供給位置X2と上記海苔吸引位置X1との間には、上記機枠5に開口部36が貫通形成され、当該開口部36に、上記海苔落下ガイド10が設置されている。この海苔落下ガイド10は、
図3に示すように、平面視においては、1枚の方形海苔Nが下方に落下するための前後方向に幅の狭いスリットSが両側に形成されると共に、上下方向にはシュート状の案内板10aが設けられ(
図4参照)、吸着した1枚の方形海苔Nを上記間歇回動シャリ玉搬送円盤9の所定位置に落下供給するためのものである。
【0045】
そして、上記海苔吸着部30が上記海苔吸着位置X1にて1枚の方形海苔Nを吸着し、当該吸着状態のまま後退し、上記海苔落下ガイド10の上部に吸着した上記方形海苔Nが位置したとき、上記連結口34,34と上記空気吸引口35,35との連結が解除されるので、上記海苔吸着口33における吸引力が消勢し、これにより上記1枚の方形海苔Nは上記落下ガイド10から下方に落下供給されるように構成されている。
【0046】
次に、上記空気吸引口35,35に連結された空気吸引経路について説明する。
上記機枠5の裏面側において、上記空気吸引口35,35に各々連通する密閉構造の空気ダクト37,37が上記機枠5の裏面に固定され、これら空気ダクト37,37は、上記空気吸引口35,35から上記機枠5の裏面中央部に延出形成され、上記裏面中央部にて上記両ダクト37,37が一体化され、一体化された中央空間部38が上記機枠5の裏面に密閉状態で固定されている(
図8参照)。
【0047】
上記中央空間部38の下面には連結口39が開口形成されており、当該連結口39にサイクロン式海苔粉分離器40の空気導入部40aが連結されるように構成されている。このサイクロン式海苔粉分離器40は、上記海苔吸着部30が上記海苔吸着位置X1にあるとき、上記海苔吸着部30の海苔吸着口33から空気排気口52b(
図8参照)までの空気吸引経路が形成された状態において、上記空気吸引経路の後段に遠心吸引機42が設けられ(
図4参照)、上記遠心吸引機42と上記海苔吸着口33との間の上記空気吸引経路に設けられるものであり、上記遠心吸引機42の吸引動作により方形海苔Nを吸着した空気が、上記サイクロン式海苔粉分離器40の円周方向から同分離器40内に導入され、当該空気が同サイクロン式海苔粉分離器40の中心部上側を通って上記空気排気口52bに排出されるように構成されている。
【0048】
即ち、上記遠心吸引機(ブロア)42と上記海苔吸着口33との間の上記空気吸引経路にサイクロン式海苔粉分離器40が設けられ、上記遠心吸引機(ブロア)42の吸引動作により、上記方形海苔Nを吸着した空気が上記サイクロン式海苔粉分離器40の円周方向から同分離器40内に導入され渦巻き状に回転することで海苔粉が遠心分され(
図7参照)、上記海苔粉を遠心分離した後の空気が、同サイクロン式海苔粉分離器40内の上方開口部を通って上記遠心吸引機(ブロア)42により上記空気排気口52bから排出されるように構成されている。
【0049】
上記サイクロン式海苔粉分離器40は、
図5、
図6に示すように、上面開口の円筒形のケーシング40bからなり、上記ケーシング40b内の円周方向に空気を導入し得るように、円筒の外周の側面に、上記外周の接線方向から同接線方向に突出する上記空気導入部40aが形成され、該空気導入部40aの端部に上記中央空間部38の上記連結口39に接続される上向きの連結口40c’を有する連結空間部40cが形成されている(
図8参照)。
【0050】
また、上記ケーシング40bの円筒の中心軸Mを共通中心軸とする中央円形開口40d’を有する蓋40dが上記ケーシング40bの上面に固定されることにより、上記ケーシング40bの上面開口40b’及び上記空気導入部40aの上面開口40a’を共に閉鎖している。
【0051】
また、上記中央円形開口40d’には、上記中心軸Mを共通中心軸とし、底面が閉鎖された上面開口小径円筒部43が挿通され、その上面開口の2か所の外向突起46,46を上記蓋40dの上記中央円形開口40d’の2か所の外向段部47,47に係合することにより、上記蓋40dの上記中央円形開口40d’に上記上面開口位置を一致させた状態で係合されている。
【0052】
この上面開口小径円筒部43は、その側面に空気導入用の複数の方形の開口48が設けられており、上記小径円筒部43内に、メッシュ状の金網(網目の大きさは例えば約1mm)を上記上面開口小径円筒43の内径と略同一径の円筒状に加工したメッシュ状円筒部45を挿入し、上記メッシュ状円筒45の下端を上記上面開口小径円筒43の下端溝部43aで支持し、さらに、その内側に、上記中心軸Mを共通中心軸とし、上記メッシュ状円筒45より若干小径であって、上記開口48の対応位置に複数の方形の開口49を有する上面開口小径円筒44を挿通し、その上面開口の2か所の外向突起54,54を上記蓋40dの上記中央円形開口40d’の2か所の外向段部47,47に係合することにより、上記蓋40dの上記中央円形開口40d’に上記上面開口位置を一致させた状態で係合されている。
【0053】
従って、上記両上面開口小径円筒部43,44の各開口48,49の位置は径方向に一致し、その中間に上記メッシュ状円筒45のメッシュ板45’が介在しているので、上記空気導入部40aから内周方向に導入された空気は、上記ケーシング40bの内周を渦巻き状に周回しながら、海苔粉を遠心力により内周壁の方向に分離し(
図7矢印q1参照)、海苔粉を分離後の空気は上記開口48,上記メッシュ状円筒45のメッシュ板45’、上記開口49を通って(
図7矢印q2参照)、上記中央円形開口40d’から上方向(遠心吸引機42の方向、
図3の矢印H方向)に排出されるように構成されている。尚、上記メッシュ状円筒45のメッシュの穴は、海苔粉が通過できない微小な大きさとする。
【0054】
上記ケーシング40bの内部の底面40e近傍には、海苔粉分離円盤50が着脱自在に設けられている。この海苔粉分離円盤50は、その直径は、上記ケーシング40bの内径と略同一又は若干小径に形成されており、その外周縁には2か所の円弧状の切欠51,51が設けられている。また、この海苔粉分離円盤50の上側盤面には、その中心の周りの均等開き角度の3か所に同一高さの突起53aが設けられていると共に、下面円盤にも、同様に、その中心の周りの均等開き角度の3か所(上記突起53aと対応する箇所)に、突起53bが設けられている。尚、上記切欠51の数は2箇所に限定されず、1か所又は3か所以上に設けても良い。また、上記切欠51を設けずに、上記海苔粉分離円盤50の直径を上記ケーシング40bの内径より若干小として、上記円盤50の外周と上記ケーシング40bの内周との間に若干の空隙を儲け、当該空隙を介して海苔粉が上記ケーシング40b内の底面に移行するように構成することもできる。
【0055】
そしてこの海苔粉分離円盤50は、
図5(b)に示すように、上記ケーシング40bの底面40eに上記下側の突起53を以って水平に底面40eから一定高さに載置されている。この状態において、上記海苔粉分離円盤50の外周は上記ケーシング40bの内周に略接触しており、上記海苔粉分離円盤50の上方の空間を分離空間K1、上記海苔粉分離円盤50の下方の空間を集積空間K2という。
【0056】
上記分離空間K1において、上述のように空気が渦巻き状に回転することにより、空気に含まれる海苔粉が遠心分離され、当該遠心分離された海苔粉は、上記ケーシング40bの内周を周回しながら自重により下方に落下して行き、上記海苔粉分離円盤50の上記切欠51,51から下方に落下し、上記集積空間K2におけるケーシング40bの底面40eに落下集積し得るように構成されている。そして、上記集積空間K2内に落下した海苔粉は、上記海苔粉分離円盤50によって上昇を阻止されるため、上記分離空間K1に逆流することはない。ここで、上記海苔粉分離円盤50を設けなくても、ケーシング40b内において海苔粉は遠心分離され、ケーシング40bの底部に蓄積されるので、従来のフィルタを使用した場合に比べて十分高い効果を得ることができる。上記海苔粉分離円盤50を設置すると、海苔粉の上方への舞い上がりを防止することができるので、より確実に海苔粉を分離できるし遠心分離機42への海苔粉の吸込みを確実に防止することができる。
【0057】
上記機枠5の裏面側の上記中央空間部38の後方位置には、ブロアとしての遠心吸引機42の上面が固定されている(
図4参照)。この遠心吸引機42は、例えばシロッコファン或いはターボファン等の円筒状のファンを有するブロア(遠心送風機)であり、その中心部の下方から垂直方向に空気を吸引し(
図4矢印H方向)、後方向の排気口42aから空気を排出するものである(
図7、矢印I方向)。この遠心吸引機42の下面の上記ファンの中心部は、上記サイクロン式海苔粉分離器40の上記中央円形開口40d’に連通している。
【0058】
上記遠心吸引機42の周囲の上記機枠5の裏面には、当該遠心吸引機42を囲む方形の筐体52の上縁が固定されており(
図8参照)、上記筐体52の底面には、上記サイクロン式海苔粉分離器40の上記中央円形開口40d’に連通する開口52aが形成されている。そして、上記サイクロン式海苔粉分離器40は、その上記中央円形開口40d’が上記開口52aに一致して連結されるように、上記筐体52の裏面に着脱自在に固定されている。
【0059】
上記筐体52において、内部の上記遠心吸引機42の上記排気口42aの方向には複数の空気排気口52bが設けられており(
図8参照)、上記遠心吸引機42からの空気は、上記複数の空気排気口52bから後方に排出されるように構成されている。
【0060】
このような構成のサイクロン式海苔粉分離器40は、上記中央空間部38と上記筐体52の裏面に着脱自在に固定されている。尚、着脱構造は、上記ケーシング40bの上端部に係合爪を設け、上記中央空間部38と上記筐体52下面の対応位置に係合孔を設けることもできるし、上記筐体52裏面の2本のレールを設け、上記ケーシング40bの上端部に上記レールに係合する突起を設け、上記筐体52後面側から上記ケーシング40bをスライドしながら上記筐体52下面に係合装着することもできる。
【0061】
或いは、当該機枠5の後端部の短辺方向に沿う軸を中心として、機枠5そのものを、上記海苔ストッカー16、上記空気ダクト37、上記筐体52共々、矢印L方向(
図4参照)に回動し得るように構成し、一方、上記サイクロン式海苔粉分離器40は、
図1に示すように、上記機枠5の下面の機枠3上の載置部3a上に載置した状態とし、上記機枠5を矢印L方向とは反対方向に回動して元の位置に戻したとき、上記筐体52の上記開口52aと上記ケーシング40bの上記中央円形開口40d’と、上記中央空間部38の連結口39と上記ケーシング40bの連結空間部40cの連結口40c’とが密閉状態で連結されるように構成することができる。このように構成すると、上記機枠5を矢印L方向に開き、その後、上記サイクロン式海苔粉分離器40を上記載置部3aから容易に取り出すことができる。何れにしても、上記サイクロン式海苔粉分離器40は、上記機枠5から容易に着脱可能に構成し、上記サイクロン式海苔粉分離機40内に蓄積された海苔粉を廃棄する場合は、上記蓋40dを開けた後、上記海苔粉分離円盤50を上記ケーシング40bから取り外し、上記ケーシング40bを反転する等して、当該ケーシング40b内の底面に蓄積された海苔粉をゴミ箱等に容易に廃棄することができるように構成されている。
【0062】
本発明は上述のように構成されているので、以下、本発明の海苔供給装置の動作を説明する。
上記海苔ストッカー16には
図3に示すように、複数枚の方形海苔Nが縦に収納されているものとする。従って、上記ストッカー16内の方形海苔Nは、最後部N1から最前部N2まで所定の厚みを以って上記ストッカー16内に収納されている。そして、押圧機構20の錘28による係合片29の矢印G方向の附勢力により、押え部19aが最後部N1の方形海苔Nに接触して、方形海苔N全体が前方に押圧され、これにより最前部N2の方形海苔Nの両端に海苔端部係止片18,18が当接した状態で、上記方形海苔N全体が上記海苔ストッカー16上にて前方に附勢された状態で静止している。
【0063】
また、海苔吸着部30は、
図3の海苔供給位置X2に位置しているものとする。この状態で、遠心吸引機42を駆動して空気の吸引動作を開始し継続すると、上記遠心吸引機42の中心部に向けて矢H方向の吸引動作が行われるため、上記機枠5上面の2つの空気吸引口35,35から外部の空気が各空気ダクト37,37に吸引され、上記空気は中央空間部38から連結口39,40c’を通って連結空間部40cに至り、さらにサイクロン式海苔粉分離器40の空気導入口40aから同分離器40のケーシング40bの内部に、その円周方向から導入され、分離空間K1内を渦巻き状(
図7、矢印q1方向)に回りながら、中央部の上面開口小径円筒43,44の開口48,49間のメッシュ板45’を通って上記ケーシング40bの中心軸Mに沿う上方に吸引され、上記中央円形開口40d’から上方の遠心吸引機42のシロッコファンの中心部に吸引されて中心軸とは直角方向に排出され、当該遠心吸引器42の排気口42aから筐体52内に排気され、さらに筐体52後面の空気排気口52bから外部に排気される。このように、上記遠心吸引機42を駆動することにより、上記空気吸引口35,35から上記筐体52の空気排気口52bまでの空気吸引経路が形成される。
【0064】
その後、上記海苔吸着部30の駆動モータM1を駆動すると、該駆動モータM1のプーリ31aが回転し、それによりクランク機構31により上記海苔吸着部30が、海苔供給位置X2と海苔吸着位置X1との間において、往復運動を開始する。
【0065】
当該往復運動において、上記海苔吸着部30が後退して海苔吸着位置X1に至ると、その海苔吸着口33が上記海苔ストッカー16の最前列の方形海苔Nの板面に接触する。上記海苔吸着部30が上記海苔吸着位置X1に位置すると、2つの上記空気吸引口35,335上に上記海苔吸着部30の底面の2つの連結口34,34が位置するので、上記空気吸引口35,35による空気吸引作用が、上記海苔吸着部30の内部に及び、上記海苔吸着部30の後面の複数の上記海苔吸着口33から当該吸着部30の内部方向へ空気が吸引される。
【0066】
従って、上記海苔吸着部30の海苔吸着口33により最前列の方形海苔Nの1枚が吸引されて当該1枚の方形海苔Nが上記海苔吸着部30に吸着され、当該吸着状態で上記海苔吸着部30が上記海苔供給位置X2まで前進する。すると、上記海苔吸着部30の2つの連結口34,34が上記空気吸引口35,35から離間するので、上記海苔吸着口33による空気の吸引作用が解除され、上記海苔吸着部30が吸着していた方形海苔Nは海苔落下ガイド10にガイドされながら下方に落下し、間歇回動シャリ玉搬送円盤9の所定の位置に供給される。
【0067】
その後、上記間歇回動シャリ玉搬送円盤9の間歇回動により落下した上記方形海苔Nにシャリ玉Rが付着され、次段の海苔巻付部11により上記シャリ玉Rに方形海苔Nが巻き付けられ、軍艦巻R’が形成される。
【0068】
上記海苔吸着部30の後退前進動作は繰り返し行われ、後退時に上記海苔ストッカー16の最前列の方形海苔Nの1枚を吸着し、前進時に同様に吸着が解除されて方形海苔Nが下方の間歇回動シャリ玉搬送円盤9に落下供給される動作が繰り返し、継続的に行われる。そして、上記海苔吸着部30による上記方形海苔Nの吸着動作が繰り返し行われる過程において、上記海苔吸引口33にて方形海苔Nを吸着したとき、上記海苔吸引口33から方形海苔Nの表面に存在する海苔粉も吸引空気と共に、吸引してしまう。
【0069】
従って、上記海苔吸着口33から上記海苔粉を含んだ空気が上記海苔吸着部30内に吸引され、当該空気は、上記海苔吸着部30の2つの連結口34,34から各空気吸引口35,35を通って各空気ダクト37,37に吸引され、中央空間部38を経て、連結口39,40c’から連結空間部40cに入り、さらに空気導入部40aからサイクロン式海苔粉分離器40内の分離空間K1内に、その円周方向から入力する。
【0070】
すると上記海苔粉を含んだ吸引空気は、上記サイクロン式海苔粉分離器40内において、
図7に示すように、上記ケーシング40b内の上面開口小径円筒43の周り(中心軸Mの周り)の分離空間K1内を渦巻き状(矢印q1方向の同一方向)に回転し、この回転により、固体である海苔粉は遠心力により空気と分離されてケーシング40bの内周方向に飛ばされつつ、矢印q1方向(空気流と同一方向)に回転しながら、ケーシング40b内を、その自重により落下して行き、海苔分離円盤50の切欠51,51から当該円盤50下方の集積空間K2内に落下し集積されていく。
【0071】
上記集積空間K2内に落下した海苔粉は、上記海苔分離円盤50が上方に存在し、当該円板50により、上記集積空間K2は上記分離空間K1とは隔離されているので、集積空間K2内の海苔粉が、再び上記分離空間K1内に逆流することなく、当上記海苔粉は、該集積空間K2内に集積し蓄積されていく。
【0072】
従って、上記分離空間K1内の海苔粉の存在しない空気は、上記遠心吸引機42の上記中心軸M方向の継続的な吸引力により、上記上面開口小径円筒43,44の開口48,49から中間のメッシュ板45’を介して上記小径円筒44内部方向に吸引されると共に(
図7矢印q2方向)、上記サイクロン式海苔粉分離器40の中心軸Mに沿う上方に吸引され、上記サイクロン式海苔粉分離機40の上記中央円形開口40d’から上記遠心吸引機42内のファン(例えばシロッコファン)の中心部に吸引され、当該ファンにより当該遠心吸引機42の排気口42aから排気され、さらに筐体52の空気排気口52bから外部に排気される。
【0073】
仮に、上記海苔粉が上記空気と共に上記開口48内に吸引されたとしても、上記開口48にはメッシュ板45’が設けられているので、海苔粉が上記上面開口小径円筒43内に吸引されることはなく、かかる海苔粉は、上記渦巻きの空気流に乗って遠心力によりケーシングの内周面の方向に分離され、最終的には、上記集積空間K2に回収集積される。
【0074】
このように、上記空気経路を通ってサイクロン式海苔粉分離器40に至った海苔粉は、当該分離器40によって確実に空気と分離され、上記海苔粉分離円盤50の下方の集積空間K2内に集積されていく。
【0075】
上記吸引動作を継続して、海苔粉が上記ケーシング40bの上記集積空間K2内に蓄積された後、上記サイクロン式海苔粉分離機40のケーシング40bを上記筐体52及び中央空間部38から取り外し、蓋40dを上面開口小径円筒部43,44共々上記ケーシング40bから外して、突起53aを手でつまんで、上記海苔粉分離円盤50を上記ケーシング40bから取り外し、ケーシング40bの底面に蓄積されている海苔粉をゴミ箱等に破棄すれば良い。
【0076】
従って、従来のように、フィルタ掃除等を行う必要がなく、また、遠心吸引機42内に海苔粉が詰まって吸引力が低下することもない。
【0077】
上記実施形態では、サイクロン式海苔粉分離器40の底部に海苔粉分離円盤50を設けた場合を説明したが、海苔粉分離円盤50を設置しなくても、ケーシング40b内で空気と海苔粉が遠心分離され、同様に海苔粉はケーシング底部に蓄積されるので、従来装置のように、フィルタ掃除等のメンテナンスを行う必要がなく、メンテナンス向上等の十分な効果を得ることができる。勿論、海苔粉分離円盤50を設置することにより、海苔粉の逆流を防止することができ、より確実な海苔粉の分離を行うことができる。
【0078】
以上のように、本発明によれば、方形海苔Nを吸引し海苔粉を含む空気が、空気吸引経路におけるサイクロン式海苔粉分離器40内に導入され、当該分離器40内において、空気が渦巻き状に回転することで海苔粉が遠心分離され、分離された海苔粉はサイクロン式海苔粉分離器40の底面40eに蓄積され、海苔粉を含まない空気がサイクロン式海苔粉分離器40の上方開口部から遠心吸引機42をと通って空気排出口52bから排出されるため、海苔粉を回収するためのフィルタを設ける必要がなく、メンテナンス性を向上させ得ると共に、フィルタの詰まりによる遠心吸引機の性能低下を抑止することができる。
【0079】
また、遠心吸引機42による大きな静圧による吸引力をサイクロン式海苔粉分離器40に作用させることができ、効率的に空気と海苔粉を分離することができる。
【0080】
また、分離された海苔粉は、海苔粉分離円盤50の切欠51からケーシング40bの底面40eに蓄積され、上記ケーシング40b上部への逆流が抑止されるため、確実に海苔粉を空気から分離することができる。
【0081】
また、蓄積した海苔粉は、上記サイクロン式海苔粉分離器40を海苔供給装置1から取り外し、かつ上記海苔粉分離円盤50をケーシング40bから取り外して、ケーシング40b内の底部40eに蓄積した海苔粉を排気するだけでよいため、メンテナンス性を向上し得ると共に、フィルタを使用しないので、フィルタ掃除の必要がないし、フィルタに海苔粉が蓄積され、吸引力が低下することもない。
【0082】
また、上記海苔粉を遠心分離した空気は、上面開口小径円筒部43の空気導入用の開口48からメッシュ板45’を介して、上方開口部を通って上方に吸引されるため、仮に、海苔粉を含む空気が上記空気導入用開口48に導入されても上記メッシュ板45’により海苔粉の吸引は阻止されるので、遠心吸引機42内に海苔粉が吸引されて吸引性能が低下することはない。
【0083】
また、上記ケーシング40b内を、上記海苔粉分離円盤50により、当該円盤の下方の蓄積空間K2と、当該円盤の上方の分離空間K1に分けることができ、一旦海苔粉分離円盤50の下方に落下した海苔粉の上記分離空間K1への逆流を確実に阻止することができ、効率的に海苔粉を遠心分離することができる。
【0084】
また、上記海苔ストッカー16内の方形海苔Nを前方に押し出すための押圧機構に動力を必要としないため、装置全体を簡略化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、空気により方形海苔を吸引する海苔供給装置において、海苔粉と空気をサイクロン式海苔粉分離器により遠心分離することができるので、頻繁なフィルタ掃除等のメンテナンスを行う必要がなく、フィルタ詰まりによる吸引性能の低下もない高性能な海苔供給装置を提供することができるものである。
【符号の説明】
【0086】
1 海苔供給装置
11 海苔巻付部
16 海苔ストッカー
18 海苔端部係止片
20 押圧機構
22 固定回転支軸
24 長リンク
23 長リンク
28 錘
29 係合片
30 海苔吸着部
33 海苔吸着口
40 サイクロン式海苔粉分離器
40a 空気導入部
40b ケーシング
40e 底面
42 ブロア(遠心吸引機)
43,44 上面開口小径円筒部
45’ メッシュ板
48,49 開口
53b 突起
50 海苔粉分離円盤
52b 空気排気口