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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】デジタルトルクツールの設定方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
B25B23/14 640R
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019192786
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2020089967
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2019-10-24
(31)【優先権主張番号】107143977
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511314186
【氏名又は名称】優鋼機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】謝 智慶
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0331831(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0331828(US,A1)
【文献】特開2000-061858(JP,A)
【文献】特開2006-082091(JP,A)
【文献】特開平09-183076(JP,A)
【文献】特開平07-227729(JP,A)
【文献】特開2017-087318(JP,A)
【文献】特開2013-255987(JP,A)
【文献】特開2014-037033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/00 - 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルトルクツールの設定方法であって、
前記デジタルトルクツールは、設定値、単位またはモード表示を調整できるツール本体を備え、前記ツール本体に少なくとも1つの操作セットが内装され、前記少なくとも1つの操作セットに、調整可能な設定値、単位またはモード表示のうち少なくとも2つが保存され、少なくとも1つの操作セット内の設定値、単位またはモード表示を調整するステップは、
前記操作セットを選択し、前記操作セットに保存された前記設定値、単位またはモード表示のいずれか一つを調整する設定ステップと、
設定ステップでの操作セットのモードを解消する場合、調整された設定値、単位またはモード表示を前記操作セットに自動的かつ直ちに保存する保存ステップと、を含み、
前記モード表示は、操作モードまたは表示モードであり、
前記トルクツールに、複数のボタンが設けられ、前記保存ステップでは、セット選択ボタンにより保存動作を実行し、前記セット選択ボタンは前記操作セットの設定値、単位またはモード表示の保存動作を実行させて、前記操作セットを次の操作セットに切り替える、デジタルトルクツールの設定方法。
【請求項2】
前記設定値はトルク値である、ことを特徴とする請求項1に記載の設定方法。
【請求項3】
前記設定値は回転角度値である、ことを特徴とする請求項1に記載の設定方法。
【請求項4】
前記設定値はトルク値に到達した後の回転角度値であり、前記トルク値および前記回転角度値は設定可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の設定方法。
【請求項5】
前記ツール本体に、少なくとも2つの操作セットを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の設定方法。
【請求項6】
保存ステップを完了した後、次の操作セットに切り替えて設定ステップを実行する、ことを特徴とする請求項5に記載の設定方法。
【請求項7】
前記ボタンは少なくとも1つの設定ボタンを含み、前記設定ボタンは、前記設定ステップにおいて設定値、単位またはモード表示を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の設定方法。
【請求項8】
前記ボタンは電源ボタンをさらに備え、前記ツール本体は、前記電源ボタンにより、調整された設定値、単位またはモード表示を操作セットに保存した後に電源をシャットダウンする、ことを特徴とする請求項7に記載の設定方法。
【請求項9】
前記単位は、トルク値または回転角度値に使用される単位である、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルトルクツールに関し、特に、操作条件の変更および保存を容易にするデジタルトルクツールの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルトルクツールでは、複数の操作セットが内装され、使用者は、これらの操作セットにおいて、操作トルク値、操作モード、またはトルク値の単位などの汎用の操作条件を予め保存することができる。デジタルトルクツールを使用する際、上記特徴によって、異なるワークに対する適切な操作セットを迅速選択して操作することできる。
【0003】
一般的なデジタルトルクツールに内装された操作セットは、使用者が対応の操作セットを容易に選択するために、関連する操作パラメーターを予め保存している。しかし、このようなデジタルトルクツールでは、操作セットにおける操作条件が所要条件を満たさない場合に、操作セットに対して、新たな操作パラメーター(例えば、新たなトルク値)を調整および設定しなければならない。具体的には、従来のデジタルトルクツールでは、前記操作セット内の操作条件を調整しようとすると、図8に示すように、まず、設定画面に切り替えて設定モードaを選択し、この設定モードaに切り替えた後、操作セットを変更するかどうかを確認する操作が必要である。使用者は、操作セット内に保存されている操作条件を変更するかどうか、または、新たな操作セットを生成する必要があるかどうかを確認する。その後、調整モードbに切り替え、トルク値の最小値を調整した後、トルク値の最大値の調整を行う。そして、操作回数、トルク値の単位などの各操作条件の選択を行う。ここでは、操作セット内の操作条件の選択および操作は、項目ごとを選択して各項目において操作する必要がある。例えば、調整モードbにおいて、各操作条件の選択は、項目ごとに切り替えて順次に設定する必要があるが、変更のない操作条件に対しても一度切り替えないと、次の操作条件を入力するステップに進めない。つまり、すべての操作条件の設定画面を必ず通して、全体の調整モードbの操作を完了した後、保存選択cを実行する。このように、元の操作セットを置き換えて調整モードbに変更する、または新たな操作条件を操作セットに保存することを実現する。保存完了後、また、操作画面に切り替えて、操作画面に所要の操作セットを選択する必要がある。換言すれば、操作セットの操作条件を調整する操作は、複雑かつ面倒であるにも関わらず、設定過程におけるすべての操作条件の設定を完了しないと、保存することができないという問題がある。また、一部の操作条件を変更する場合でも、すべての操作条件の設定を通してそれぞれを設定完了してから保存する必要がある。したがって、従来のデジタルトルクツールの設定および使用は、非常に不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、デジタルトルクツールの操作セットでの操作条件を迅速に変更、調整、および保存することができる、デジタルトルクツールの設定方法を提供することである。
【0005】
本発明のもう一つの目的は、操作条件を設定する時、調整完了された操作条件を操作セットに直ちに保存することができる、デジタルトルクツールの設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、デジタルトルクツールの設定方法を提供しており、
前記デジタルトルクツールは、操作条件を調整できるツール本体を備え、前記ツール本体に少なくとも1つの操作セットが内装され、前記操作セットに、少なくとも1つの調整可能な操作条件が保存され、操作セット内の操作条件を調整するステップは、
前記操作セットのうちいずれかを選択し、前記操作セットに保存された前記操作条件を調整する設定ステップと、
設定ステップでの操作セットのモードよりモード解消またはシャットダウンする場合、調整された操作条件を直接に(直ちに)前記操作セットに保存する保存ステップと、を含む。
【0007】
好ましくは、前記設定ステップにおいて、変更される操作条件は、トルク値である。
【0008】
好ましくは、前記設定ステップにおいて、変更される操作条件は、回転角度値である。
【0009】
好ましくは、前記設定ステップにおいて、変更される操作条件は、トルク値に到達した後の回転角度値であり、前記トルク値および前記回転角度値は設定可能である。
【0010】
本発明のデジタルトルクツールの設定方法は、操作セットにて操作条件の設定ステップを実行することができるため、設定ステップにより、操作セットの操作条件を調整することができる。設定ステップにおいて保存ステップを実行する際、調整された操作条件を操作セットに直ち(自動的)に保存することができる。これによって、操作セットの操作条件に対する調整および保存を容易かつ簡単になり、使用の利便性に優れる利点を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の目的、特徴および効果を理解しやすいために、以下の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1】本発明の好ましい実施形態におけるデジタルトルクツールの立体図である。
図2】本発明の操作パネルを示す図である。
図3】本発明の操作セットの切り替えを示すフローチャートである。
図4】本発明の設定ステップを示すフローチャート図である。
図5】本発明のトルク値の大きさを調整する操作を示す図である。
図6】本発明のトルク値の単位および測定モードを調整する操作を示す図である。
図7】本発明の操作セットの切り替えを実行する操作を示す図である。
図8】従来の操作セットの操作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、デジタルトルクツールの設定方法を提供する。前記設定方法は、トルク値、トルクツールの回転角度値、または所定のトルク値に達した時の回転角度値(以下、トルク値到達後角度値という)などの操作条件を調整または設定することに用いられる。図1および図2に示すように、本発明の好ましい実施形態が提供するトルクツール10は、ツール本体20を有する。前記ツール本体20には、操作パネル21が設けられ、前記操作パネル21には、表示画面211と複数のボタンとが設けられている。前記複数のボタンは、4つの設定ボタン212と、セット選択ボタン213と、電源ボタン214とを備える。前記ツール本体20内に、処理ユニット22と、記憶ユニット23と、センサーユニット24とを備える。前記処理ユニット22は、前記操作パネル21での設定および前記センサーユニット24が検測した数値を受信することができる。前記センサーユニット24が前記ツール本体20に負荷したトルク値、回転角度値、またはトルク値到達後角度値を検測した後、前記処理ユニット22に転送し、かかるデータが記憶ユニット23に保存されることができる。なお、本実施形態に示すトルクツールはトルクレンチである。
【0013】
図3および図7に示すように、本発明の好ましい実施形態における前記記憶ユニット23内に、9つの操作セット30が保存され、これらの操作セット30には、前記トルクツール10に使用される、トルク値、角度値またはトルク値到達後角度値などの数値に関する設定値311に関する操作条件31と、ヤード・ポンド法または国際単位系で用いられる長さ・角度などの上記数値に使用される単位312と、ピーク値かまたはリアルタイムの数値かを表示するか、ツール本体20の操作モードで選択されたトルク値、角度回転値、トルク値到達後角度値で表示されるモードを示すモード表示313とを有する。これらの操作セット30に保存された各操作条件31が調整および変更することができる。
【0014】
トルクツール10が工場から出荷される時、操作セット30における操作条件31は、すべて予めに内装されても良いが、操作セット30に操作条件31の一部だけ内装されても良い。使用者がツール本体20を使用する際、記憶ユニット23内の操作セット30を先に選択できるため、操作条件31を満たす操作セット30を迅速に呼び出しすることができる。また、前記セット選択ボタン213を介して、異なる操作セット30を順次切り替えて選択することもできる。これにより、前記操作セット30に保存された操作条件31が表示画面211に表示され、使用者が表示画面211を介して所要の操作セット30であるかどうかを確認することができる。
【0015】
図3図7に示すように、前記操作セット30の操作条件31を調整する必要がある場合、以下のステップで実行される。
【0016】
(設定ステップ)
図3に示すように、新たな操作条件31を調整または設定する時、まず、調整操作条件31を調整しようとする操作セット30に切り替え、操作セット30で設定ボタン212を押し、前記設定ボタン212により、前記処理ユニット22が操作条件31に対する調整を行い、前記操作条件31を新たな数値に調整する。そして、トルク値または回転角度の設定値311、トルク値のヤード・ポンド法または国際単位系での表示、角度値などの単位312、操作モード、および使用されるモードのモード表示313などの操作条件31の変更は、異なる操作条件31のパラメーターに応じて設定することができる(図5図7を参照)。
【0017】
前記設定ボタン212により、前記処理ユニット22が操作条件31を調整させることで、前記処理ユニット22が調整操作条件31の数値を調整して各操作条件31を調整できる。前記設定ボタン212は、上調整ボタン、下調整ボタン、単位切り替えボタンおよび確認ボタンを有し、数値の増減、単位の切り替え、または確認などの様々な機能を果たすことができる。トルク値の設定値311を調整する時、これらの設定ボタン212により、トルク値または角度値の検出値の大きさを調整することができる。単位312を選択するセット操作において、設定ボタン212により、トルク値または角度値の設定値311に使用する、国際単位系での表示(例えば、NM、KGM)またはヤード・ポンド法での表示(例えば、フィート重量ポンドFT-LB、インチ重量ポンドIN-LB)、および角度値など異なる単位の単位312を設定することができる。モード表示313において、設定ボタン212により、トルクツール10の操作モードを設定することができる。例えば、センサーユニット24が検測しようとする数値をトルク値、回転角度値またはトルク値到達後角度値に設定したり、表示画面211で必要な表示情報に表示させたり、または検測されたデータをピーク値表示モードまたはリアルタイム数値表示モードに表示させることができる。
【0018】
(保存ステップ)
変更されたい操作条件を設定または調整した後、保存ステップに移行して、新たな操作条件を保存する。ここでは、すべての操作条件31の調整を完了しなくても保存することができることを留意されたい。図4に示すように、操作セット30が保存動作を実行しようとする時、セット選択ボタン213を押すことか、または電源ボタン214を利用することかの2つの異なる保存方式を採用することができる。
【0019】
セット選択ボタン213により保存を実行する時、設定ステップの任意の操作条件31を設定する操作において、セット選択ボタン213を押すと、前記セット選択ボタン213により、前記処理ユニット22が保存動作を実行することが実現できる。これにより、設定ステップに調整された操作条件31を記憶ユニット23における設定中の操作セット30に保存することができる。なお、セット選択ボタン213を押した時、操作セット30内の操作条件31を自動的かつ直ちに保存することに加えて、次の操作セット30に切り替えることができる。具体的な例とすれば、使用者が第2の操作セットの操作条件を設定する場合、新たな操作条件31を設定した後、いずれかの種類の操作条件31を設定する操作に移行したとしても、セット選択ボタン213を押すと、当該第2の操作セットの保存動作を完了するとともに、表示画面211が第3の操作セットを設定する画面に切り替える。この際、使用者は、表示画面211により第2操作セットにおける保存動作が完了していることを確認することができる。なお、図7に示すように、当該操作セット30の操作条件31が調整されなくでも、セット選択ボタン213を押すと、当該操作セット30が次の操作セット30に切り替えられる。この際、操作セット30の切り替えを実行するだけであり、操作条件31の動作の保存が行われない。
【0020】
設定ステップにおいて、電源ボタン214により保存ステップを実行する時、使用者が電源ボタン214を押すと、前記電源ボタン214により、前記処理ユニット22が保存コマンドを形成することができ、且つ電源がシャットダウンされる前に、前記記憶ユニット23における設定ステップでの操作セット30に調整された操作条件31を保存する動作を自動的且つ直ちに実行させ、記憶ユニット23が操作セット30の内容を保存した後、電源をシャットダウンする。
【0021】
本発明のデジタルトルクツールの設定方法は、操作セット30において設定ステップを直接行うことができ、操作セットからモード解消して、他のセットのモードで設定しなくでも良いため、操作条件31を容易に調整することができる。設定の際に、他のセットの表示画面により設定する必要がなく、高い自由度を得られる。また、任意の設定ステップにおける操作条件31のモードで一つのボタン(セット選択ボタン213または電源ボタン214)を押すだけで、操作セット30内の操作条件31をすばやく保存することができ、すなわち、セット選択ボタン213または電源ボタン214を押すだけで、操作条件31を自動的且つ直ちに保存することができ、ほかの保存ステップ(保存する動作)を実行しなくでも良い。これによって、本発明は、使用は直接的かつ便利であり、操作も簡単である。本発明の設定方法は、異なる設定画面により設定する、または、各操作条件を設定しないと操作セットの保存を実行できない従来のデジタルトルクツールと比較して、操作セットにて操作条件を直接調整することができ、且ついつでも保存することができるため、操作に便利であり、複雑な設定ステップを省略できる利点がある。
【符号の説明】
【0022】
10 トルクツール
20 ツール本体
21 操作パネル
211 表示画面
212 設定ボタン
213 セット選択ボタン
214 電源ボタン
22 プロセッサー
23 記憶ユニット
24 センサー
30 操作セット
31 操作条件
311 設定値
312 単位
313 モード表示
a 設定モード
b 調整モード
c 保存選択
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8