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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】ブラシロール
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20220407BHJP
   B24D 5/16 20060101ALI20220407BHJP
   B24D 13/10 20060101ALI20220407BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B24B45/00 Z
B24D5/16
B24D13/10
B08B1/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020055727
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021154419
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2020-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000137096
【氏名又は名称】株式会社ホタニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乙井 健次
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-122375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B24D 5/16
B24D 13/10
B08B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁に複数のブラシ毛材が設けられた複数枚のブラシディスクと、
前記複数枚のブラシディスクが軸方向に重ねた状態で装着されたロールシャフトであって、前記複数枚のブラシディスクの開口部に該ロールシャフトの径方向に隙間をあけて挿し込まれるロールシャフトと、
前記ロールシャフトの外周面から突き出るとともに前記複数枚のブラシディスクの内周面に形成された凹状のキー溝に入れ込まれる複数のキー部材と、
前記複数枚のブラシディスクを前記ロールシャフトの軸方向の両端側から挟持する一対のフランジと、
を備え、
前記複数枚のブラシディスクは、
複数枚の第1ブラシディスクと、
前記第1ブラシディスクよりも少数の第2ブラシディスクと、
を含み、
前記第1ブラシディスクは、前記キー溝の内側面と前記キー部材の外側面との間に隙間をあけて前記キー部材が前記キー溝に入り込むように、前記キー溝が形成されており、
前記第2ブラシディスクは、前記キー溝の内側面と前記キー部材の外側面との間に隙間なく前記キー部材が前記キー溝に入り込むように、前記キー溝が形成されており、
前記第2ブラシディスクは、所定間隔で前記複数枚の第1ブラシディスクの間に挟み入れられている、ブラシロール。
【請求項2】
前記複数枚のブラシディスクは、複数枚の前記第2ブラシディスクを含み、
前記第2ブラシディスクは、前記複数枚の第1ブラシディスクの間に挟み入れられる前記所定間隔が、前記一対のフランジ側よりも前記ロールシャフトの軸方向中央側の方が短い、請求項1に記載のブラシロール。
【請求項3】
前記所定間隔は、前記一対のフランジ側では前記第1ブラシディスクの枚数で8枚以上15枚以下の間隔であり、前記ロールシャフトの軸方向中央側では前記第1ブラシディスクの枚数で2枚以上4枚以下の間隔である、請求項2に記載のブラシロール。
【請求項4】
前記ロールシャフトの前記一対のフランジの間の長さをLとして、
前記一対のフランジ側は各フランジからL/10以上L/3以下の長さの範囲であり、前記ロールシャフトの軸方向中央側は残りの範囲である、請求項2又は3に記載のブラシロール。
【請求項5】
前記キー部材は、前記ロールシャフトとは別部材であり、前記ロールシャフトの外周面には、前記キー部材の一部分が嵌まり込む凹状の嵌合溝が形成されている、請求項1~4のいずれかに記載のブラシロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋼板、銅板などの帯状金属板(以下、「ストリップ」という。)などのブラッシング(洗浄、研磨、研削など)に用いられるブラシロールに関し、特にブラシロール用のブラスディスクの加工技術及びブラシロールにおけるブラシディスクの積層方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のブラシロールとしては、外周縁に多数のブラシ毛材が植設されたブラシディスクを金属製のロールシャフトに軸方向に複数重ねた状態で装着したものが知られている(例えば特許文献1を参照)。複数のブラシディスクは、中央の開口部にロールシャフトが挿し込まれることでロールシャフトに装着されるが、ロールシャフトの外周面の複数箇所から突き出るキー部材がブラシディスクの内周面の複数箇所に形成された凹状のキー溝に入り込むことで、複数のブラシディスクがロールシャフトと連結され、ロールシャフトと一体回転可能となされている。
【0003】
ブラシディスクは、ロールシャフトを開口部に挿入し易くするために、ブラシディスクの内周面とロールシャフトの外周面との間に隙間G1が形成されるように、その内径がロールシャフトの外径よりも僅かに大きく設定されている。また、ブラシディスクのキー溝についても、キー溝の内側面とキー溝に入れ込まれるキー部材の外側面との間に隙間G2が形成されるように、その寸法が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-309061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ブラシディスクとロールシャフトとの間に隙間G1及び隙間G2が存在すると、図7に示すように、ブラシロール101を回転させながらストリップ100などに押し当てた際に、ブラシディスク103とロールシャフト102との間に芯ブレが生じる。これにより、ブラシディスク103及びロールシャフト102、さらにはキー溝104及びキー部材105が擦れ合い、ロールシャフト102やブラシディスク103、キー部材105の破損、ロールシャフト102の異常振動などの問題が生じる。
【0006】
一方で、隙間G1及び/又は隙間G2をなくすと、上述した問題は解消するが、数百枚もあるブラシディスクをロールシャフトに積層状態で装着するのに非常に手間がかかり、ブラシロールの製造が困難もしくは不可能となる。
【0007】
本発明は、上記した課題に着目してなされたもので、ブラシディスクとロールシャフトとの間の芯ブレを抑制し、かつ、無理なく製造することができるブラシロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えばストリップなどをブラッシングするためのブラシロールに関する。本発明のブラシロールは、外周縁に複数のブラシ毛材が設けられた複数枚のブラシディスクと、前記複数枚のブラシディスクの開口部に隙間をあけて挿し込まれることで、前記複数枚のブラシディスクを軸方向に重ねた状態で装着したロールシャフトと、前記ロールシャフトの外周面から突き出るとともに前記複数枚のブラシディスクの内周面に形成された凹状のキー溝に入れ込まれる複数のキー部材と、前記複数枚のブラシディスクを両側から挟持する一対のフランジと、を備え、前記複数枚のブラシディスクは、前記キー部材が隙間をあけて入り込むように前記キー溝が形成された複数枚の第1ブラシディスクと、前記キー部材が隙間なく入り込むように前記キー溝が形成されかつ前記第1ブラシディスクよりも少数の第2ブラシディスクと、含み、前記第2ブラシディスクは、所定間隔で前記複数枚の第1ブラシディスクの間に挟み入れられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のブラシロールにおいては、好ましくは、前記複数枚のブラシディスクは、複数枚の前記第2ブラシディスクを含み、前記第2ブラシディスクは、前記複数枚の第1ブラシディスクの間に挟み入れられる前記所定間隔が、前記一対のフランジ側よりも前記ロールシャフトの軸方向中央側の方が短いように、構成することができる。該ブラシロールにおいては、より好ましくは、前記所定間隔は、前記一対のフランジ側では前記第1ブラシディスクの枚数で8枚以上15枚以下の間隔であり、前記ロールシャフトの軸方向中央側では前記第1ブラシディスクの枚数で2枚以上4枚以下の間隔であるように、構成することができ、さらに好ましくは、前記ロールシャフトの前記一対のフランジの間の長さをLとして、前記一対のフランジ側は各フランジからL/10以上L/3以下の長さの範囲であり、前記ロールシャフトの軸方向中央側は残りの範囲であるように、構成することができる。
【0010】
また、本発明のブラシロールにおいては、好ましくは、前記キー部材は、前記ロールシャフトとは別部材であり、前記ロールシャフトの外周面には、前記キー部材の一部分が嵌まり込む凹状の嵌合溝が形成されているように、構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のブラシロールによると、ロールシャフトに装着される複数枚のブラシディスクのうち、少数枚の第2ブラシディスクはキー溝にキー部材が隙間なく入り込んで嵌合するので、ロールシャフトに対して中心位置が合った状態で固定され、ブラシロールを回転させながらストリップなどに押し当てたとしても、第2ブラシディスクとロールシャフトとの間に芯ブレが生じることを防止できる。一方で、複数枚のブラシディスクのうち、多数枚の第1ブラシディスクは、一対のフランジと第2ブラシディスクとの間、又は、2枚の第2ブラシディスクの間で挟持されるので、ロールシャフトに対して中心位置が合った状態に維持され、ブラシロールを回転させながらストリップなどに押し当てたとしても、第1ブラシディスクとロールシャフトとの間に芯ブレが生じることを抑制できる。よって、ブラシロールの回転時にブラシディスク及びロールシャフト、さらにはキー溝及びキー部材が擦れ合って、ロールシャフトやブラシディスク、キー部材が破損したり、ロールシャフトが異常振動したりすることなどを抑制することができる。
【0012】
加えて、多数枚の第1ブラシディスクはキー溝にキー部材が隙間をあけて入り込むので、開口部に難なくロールシャフトを挿し込むことができ、容易にロールシャフトに装着することができる。よって、無理なくブラシロールを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のブラシロールの概略構成を示す正面図である。
図2】(A)は図1のA-A断面図であり、(B)は要部を拡大した断面図である。
図3】(A)は図1のB-B断面図であり、(B)は要部を拡大した断面図である。
図4】ロールシャフトの概略構成を示す正面図である。
図5】ブラシディスクの概略構成を示す正面図である。
図6】本実施形態のブラシロールを回転させた際のブラシディスクとロールシャフトとの関係を示す概略図である。
図7】従来例のブラシロールを回転させた際のブラシディスクとロールシャフトとの関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。本発明のブラシロールは、ブラシロール用のブラスディスクの加工技術及びブラシロールにおけるブラシディスクの積層方法に特徴を有する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るブラシロール1の概略構成を示している。ブラシロール1は、複数枚のブラシディスク4と、複数枚のブラシディスク4を装着したロールシャフト2とを備えており、鉄板、鋼板、アルミニウム板、銅板などのストリップ、あるいは、ストリップの調質圧延ロールやそのバックアップロールのブラッシング(洗浄、研磨、研削など)に用いられるものである。
【0016】
ブラシロール1は、キー部材7(図2及び図3に示す)及び一対のフランジ3をさらに備えており、複数枚のブラシディスク4をロールシャフト2にキー部材7を介して軸方向に重ねた状態で一体回転可能に装着している。そして、軸方向に重ねた複数枚のブラシディスク4に対して両側から一対のフランジ3で圧縮して緊締することで、複数枚のブラシディスク4を一対のフランジ3により挟持して一体化している。
【0017】
図1図4に示すように、ロールシャフト2は、例えば金属製又は合金製であり、鉄鋼、高炭素鋼など、一般にロールシャフトに用いられる素材、つまりは、ブラシロール1の使用時に作用する交番荷重に起因する曲げに対して変形しにくい剛性(強度)を有する材料で形成することができる。ロールシャフト2は、その耐食性を向上させるために、エポキシ樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料などで外周面が塗装されていてもよい。
【0018】
ロールシャフト2は、外径の大きい略円柱状の軸方向中央の部分21が複数枚のブラシディスク4が装着される部分であり、外径の小さい略円柱状の軸方向両端の部分22がブラッシング装置(図示せず)の軸受にセットされる部分である。ロールシャフト2の外周面には、軸方向に沿って延びる凹状の嵌合溝20が、円周方向に間隔(好ましくは等間隔)をあけて複数形成されている。本実施形態では、2つの嵌合溝20がロールシャフト2の外周面に正反対の位置に形成されている。嵌合溝20は、キー部材7の一部分(ディスクブラシ4のキー溝40から突き出る部分)が嵌め込まれる。嵌合溝20は、キー部材7の該一部分の外形に対応した形状をなしており、本実施形態では断面視長方形状をなしている。
【0019】
ロールシャフト2は、上述した構成以外に、ブラシロール1として好適に使用するために必要な種々の構成や形状変更を適宜採用することができる。
【0020】
なお、ロールシャフト2は、外周面に嵌合溝20を直接形成することに変えて、図示は省略するが、特許第6203438号に記載の技術のように、ロールシャフト2の外周面に軸方向に沿って延びる凹状の取付溝を形成し、該取付溝に、耐食性金属材料、耐食性合金材料又は耐食性樹脂材料で形成されたキーベースをネジやボルトなどを用いて取り付けるとともに、キーベース22の幅方向中央に軸方向に沿って延びる嵌合溝20を形成するように構成してもよい。「耐食性」とは、腐食(錆び)がし難い、酸化し難い性質のことである。耐食性金属材料としては、例えばチタン、ニッケル、アルミニウム、クロムなどを、耐食性合金材料としては、例えばステンレス、チタン合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、クロム合金などを例示することができる。耐食性樹脂材料としては、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリアミドなどのプラスチック、あるいは、繊維強化プラスチック(FRP)などを例示することができる。これにより、ロールシャフト2の嵌合溝20が、ブラシロール1の使用に伴い腐食して形が変化することを抑制することができる結果、ブラシディスク4とロールシャフト2との連結が維持され、詳細は後述するが、ブラシディスク4がロールシャフト2に対して中心位置が合った状態を長期間にわたり維持することができる。
【0021】
ブラシディスク4は、図2図3及び図5に示すように、環状のディスク本体6の外周縁に複数のブラシ毛材5が密に設けられたものである。ブラシ毛材5を、ディスク本体6の外周縁にあけられた穴(図示せず)に通し、U字状に折り曲げた後、その折り曲げ基部を金属線などにより緊締することで、多数のブラシ毛材5がディスク本体6の外周縁に固定される。
【0022】
ブラシ毛材5としては、直径が0.02mm以上7mm以下であって、例えばナイロン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン(例えばポリプロピレンなど)などの合成樹脂製のモノフィラメント又は砥粒(例えばアルミナ、シリカなど)を含有する直径が0.02mm以上7mm以下の上記した合成樹脂製のモノフィラメントを例示することができる。その他、比較的細いモノフィラメントを複数束ねた芯糸の周面に、例えばナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンなの合成樹脂製の極細の複数のマルチフィラメントを、芯糸の先端以外に螺旋状に巻き付け又は組紐状に組み合わせた後、合成樹脂製の接着剤で固めたものを好適に例示することができる。このブラシ毛材では、複数のモノフィラメントが束ねられていることにより根元が太くなる一方で、先端は複数の細いモノフィラメントの束が解かれた状態となっているので、毛先が細くなる。これにより、根元が太いことで、ブラシ毛材5の強度を確保できるとともに、毛先が細いことで、ストリップなどの表面の微細な汚れなどを除去できる。
【0023】
ディスク本体6は、所定の厚みを有する円盤状の鉄板の中心に円形の開口部60をあけたものである。ディスク本体6は、ロールシャフト2を開口部60に挿し込むために、その内径が、ロールシャフト2の軸方向中央の部分の外径よりも僅かに大きく設定されている。そのため、ディスク本体6の内周面とロールシャフト2の外周面との間には隙間S1が存在する。この隙間S1は、ブラシディスク4の内径にもよるが、例えばディスク内径がΦ70~Φ300で約0.1mm以上1.0mm以下、例えばディスク内径がΦ230.5で約0.5mmとすることができる。
【0024】
ディスク本体6の内周面には、ロールシャフト2の外周面の嵌合溝20に対応するようにして、円周方向に間隔(好ましくは等間隔)をあけて凹状のキー溝61が複数(本実施形態では2つ)形成されている。キー溝61は、キー部材7の一部分(ロールシャフト2の嵌合溝20から突き出る部分)が入れ込まれる。キー溝61は、キー部材7の該一部分の外形に対応した形状をなしており、本実施形態では断面視長方形状をなしている。ロールシャフト2の外周面の複数箇所から突き出るキー部材7がブラシディスク4の内周面の複数箇所に形成されたキー溝61に入り込むことで、複数のブラシディスク4がロールシャフト2と連結され、ロールシャフト2と一体回転可能とされる。
【0025】
キー部材7は、例えばS45CやSUS304などの金属類、又は繊維強化プラスチック(FRP)などで形成され、例えば特開平10-291165号公報に記載のものなど、公知のものを採用することができる。複数のキー部材7がロールシャフト2の嵌合溝20に嵌め込まれており、キー部材7は一定数のブラシディスク4に対応して設けられる。
【0026】
複数枚のブラシディスク4は、複数枚の第1ブラシディスク4Aと、第1ブラシディスクよりも少数の第2ブラシディスク4Bとを含んでいる。複数枚の第1ブラシディスク4Aの間に所定間隔で第2ブラシディスク4Bが挟み入れられている。なお、第1ブラシディスクと第2ブラシディスク4Bとは同じ厚みであり、図1では、一連に積層された複数枚の第1ブラシディスク4Aについてそれぞれの境界の図示を省略しており、全てをまとめたブロック化した形で図示している。
【0027】
第1ブラシディスク4Aは、図2に示すように、キー部材7が隙間をあけて入り込むようにキー溝61が形成されている。つまり、第1ブラシディスク4Aは、キー溝61の内側面とキー溝61に入れ込まれるキー部材7の外側面との間に隙間S2,S3が形成されている。この隙間S2,S3は、キー溝61の横幅や深さにもよるが、隙間S2は約0.1mm以上5.0mm以下、例えば約0.75mmとすることができ、隙間S3は約0.1mm以上2.0mm以下、例えば約0.5mmとすることができる。これにより、第1ブラシディスク4Aは、ロールシャフト2との間に全周にわたって隙間S1,S2,S3が存在しており、開口部40にロールシャフト2を挿し込み易くなっている。一方で、第1ブラシディスク4Aとロールシャフト2との間に全周にわたって隙間S1,S2,S3が存在すると、ブラシロール1を回転させながらストリップなどに押し当てた際に、第1ブラシディスク4Aとロールシャフト2との間に芯ブレが生じる。芯ブレが生じると、第1ブラシディスク4A及びロールシャフト2、さらにはキー溝61及びキー部材7が擦れ合い、ロールシャフト2や第1ブラシディスク4A、キー部材7の破損、ロールシャフト2の異常振動などの問題が生じる。この芯ブレを抑制するために、複数枚の第1ブラシディスク4Aの間に所定間隔で第2ブラシディスク4Bが挟み入れられている。
【0028】
第2ブラシディスク4Bは、図3に示すように、キー部材7が隙間なく入り込むようにキー溝61が形成されている。つまり、第2ブラシディスク4Bは、キー溝61の内側面とキー溝61に入れ込まれるキー部材7の外側面との間に隙間が形成されておらず、キー部材7がキー溝61にぴったりと嵌合している。これにより、第2ブラシディスク4Bは、ロールシャフト2との間に一部分に隙間S1が存在しているものの、ロールシャフト2に対して中心位置が合った状態で固定されている。よって、図6に示すように、ブラシロール1を回転させながらストリップ100などに押し当てた際に、第2ブラシディスク4Bとロールシャフト2との間に芯ブレが生じることを防止可能とされている。
【0029】
この第2ブラシディスク4Bが複数枚の第1ブラシディスク4Aの間に所定間隔で挟み入れられていることで、複数枚の第1ブラシディスク4Aは、一対のフランジ3と第2ブラシディスク4Bとの間、又は、2枚の第2ブラシディスク4Bの間で挟持される。よって、複数枚の第1ブラシディスク4Aについてもロールシャフト2に対して中心位置が合った状態に維持され、ブラシロール1を回転させながらストリップなどに押し当てた際に、第1ブラシディスク4Aとロールシャフト2との間に図7に示すような芯ブレが生じることを抑制可能とされている。
【0030】
なお、第2ブラシディスク4Bは、キー部材7がキー溝61に隙間なく入り込んでぴったりと嵌合していることが好ましいが、僅かな製造誤差があってもよく、キー部材7に対してキー溝61の横幅は左右合計で+0.1mm以下、キー溝61の深さは+0.1mm以下の誤差があっても許容される。
【0031】
図1に示すように、第2ブラシディスク4Bが複数枚の第1ブラシディスク4Aの間に挟み入れられる所定間隔は、特に限定されるものではなく、一対のフランジ3の間で全てが同じ間隔であってもよいし、一部又は全部が異なる間隔であってもよい。ただし、ロールシャフト2の軸方向中央側に位置する第1ブラシディスク4Aは軸方向両端側(一対のフランジ3側)に位置する第1ブラシディスク4Aよりもロールシャフト2に対する芯ブレが大きく、ロールシャフト2の長さ(軸方向の寸法)が長くなればなるほどその傾向が大きくなる。そのため、第2ブラシディスク4Bは、複数枚の第1ブラシディスク4Aの間に挟み入れられる所定間隔が、ロールシャフト3の軸方向両端側(一対のフランジ3側)よりも軸方向中央側の方が短いことが好ましい。
【0032】
例えばロールシャフト2の一対のフランジ3の間の長さをLとした場合に、特に限定されるものではないが、上述したロールシャフト2の軸方向両端側(一対のフランジ3側)は、各フランジ3からL/10以上L/3以下の長さの範囲、好ましくはL/7以上L/5以下の長さの範囲、より好ましくはL/6の長さの範囲とすることができ、上述したロールシャフト2の軸方向中央側は、残りの範囲(ロールシャフト2の軸方向中央位置を挟んでL/3以上8L/10以下の長さの範囲、好ましくは3L/5以上5L/7の長さの範囲、より好ましくは4L/6の長さの範囲)とすることができる。
【0033】
加えて、上述した所定間隔は、特に限定されるものではないが、上述したロールシャフト2の軸方向両端側(一対のフランジ3側)では、第1ブラシディスク4Aの枚数で8枚以上15枚以下の間隔であることが好ましく、ロールシャフト2の軸方向中央側では、第1ブラシディスク4Aの枚数で2枚以上4枚以下の間隔であることが好ましい。
【0034】
以上、本実施形態のブラシロール1によると、ロールシャフト2に装着される複数枚のブラシディスク4のうち、少数枚の第2ブラシディスク4Bはキー溝61にキー部材7が隙間なく入り込んで嵌合することにより、ロールシャフト2に対して中心位置が合った状態で固定される。よって、図6に示すように、ブラシロール1を回転させながらストリップ100などに押し当てたとしても、第2ブラシディスク4Bとロールシャフト2との間に芯ブレが生じることを防止できる。一方で、複数枚のブラシディスク4のうち、多数枚の第1ブラシディスク4Aは、一対のフランジ3と第2ブラシディスク4Bとの間、又は、2枚の第2ブラシディスク4Bの間で挟持されることにより、ロールシャフト2に対して中心位置が合った状態に維持される。よって、ブラシロール1を回転させながらストリップなどに押し当てたとしても、第1ブラシディスク4Aとロールシャフト2との間に芯ブレが生じることを抑制できる。したがって、ブラシロール1の回転時にブラシディスク4A,4B及びロールシャフト2、さらにはキー溝61及びキー部材7が擦れ合って、ロールシャフト2やブラシディスク4A,4B、キー部材7が破損したり、ロールシャフト2が異常振動したりすることなどを抑制することができる。
【0035】
加えて、多数枚の第1ブラシディスク4Aはキー溝61にキー部材7が隙間をあけて入り込むので、開口部60に難なくロールシャフト2を挿し込むことができ、容易にロールシャフト2に装着することができる。よって、無理なくブラシロール1を製造することができる。
【0036】
加えて、第2ブラシディスク4Bは、複数枚の第1ブラシディスク4Aの間に挟み入れられる所定間隔が、ロールシャフト3の軸方向両端側(一対のフランジ3側)よりも軸方向中央側の方が短い。よって、ロールシャフト2の軸方向中央側に位置する第1ブラシディスク4Aの生じるより大きな芯ブレを効果的に抑制することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0038】
例えば上記実施形態では、キー部材7はロールシャフト2と別部材で構成されているが、キー部材7をロールシャフト2に一体形成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ブラシロール
2 ロールシャフト
3 フランジ
4 ブラシディスク
5 ブラシ毛材
7 キー部材
20 嵌合溝
60 開口部
61 キー溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7