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特許7054540局所脂肪の減少に用いる医薬組成物およびその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】局所脂肪の減少に用いる医薬組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/12 20060101AFI20220407BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/205 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 36/82 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220407BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A61K31/12
A61K9/10
A61K31/05
A61K31/137
A61K31/205
A61K31/352
A61K31/353
A61K31/522
A61K36/82
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/44
A61P3/04
A61P43/00 121
【請求項の数】 47
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020081311
(22)【出願日】2020-05-01
(62)【分割の表示】P 2018510970の分割
【原出願日】2016-08-26
(65)【公開番号】P2020143091
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2020-05-29
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2015/088340
(32)【優先日】2015-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】62/257,846
(32)【優先日】2015-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/299,702
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517071678
【氏名又は名称】カリウェイ バイオファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リン,ユー-ファン
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533545(JP,A)
【文献】国際公開第2014/138426(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第1736369(CN,A)
【文献】特開2007-063137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 9/00
A61K 47/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の局所に投与され、皮下脂肪の減少または体重の減少のために適用される注射剤であって、
複数のクルクミノイド含有ミセル(micelle)、および
前記クルクミノイド含有ミセルに包まれたクルクミノイド(curcuminoid)を含み、
前記クルクミノイド含有ミセルは医薬学上認められる非イオン性界面活性剤により形成された微細構造であり、前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシル15ヒドロキシステアレート(2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸またはsolutol HS 15としても知られている)およびその組み合わせの群から選択され、前記ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体がポリオキシル35ヒマシ油(ポリオキシル35硬化ヒマシ油)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選択され、且つ前記非イオン性界面活性剤の親水親油バランス値(hydrophilic-lipophilic balance value,HLB値)が10を超え、
前記クルクミノイド含有ミセルに包まれた油が存在しない、または前記クルクミノイド含有ミセルに包まれたPEG400が存在せず、
前記クルクミノイドと前記非イオン性界面活性剤の重量比は1:8~1:500である、注射剤。
【請求項2】
前記クルクミノイドと前記非イオン性界面活性剤の重量比は1:20~1:150である、請求項1に記載の注射剤。
【請求項3】
前記注射剤中の前記クルクミノイド濃度は0.3~120mg/gである、請求項1または2に記載の注射剤。
【請求項4】
前記注射剤中の前記クルクミノイド濃度は2~91mg/gである、請求項3に記載の注射剤。
【請求項5】
前記クルクミノイド含有ミセルの粒子径は3~50nmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の注射剤。
【請求項6】
前記クルクミノイド含有ミセルの粒子径は5~20nmである、請求項5に記載の注射剤。
【請求項7】
前記注射剤中さらに医薬学上認められる水溶液を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の注射剤。
【請求項8】
さらに一つの第二親油性薬物ミセルを含み、前記第二親油性薬物ミセルは第二非イオン性界面活性剤により形成された第二微細構造であり、且つ第二親油性薬物が前記第二親油性薬物ミセルに包まれており、前記第二非イオン性界面活性剤はポリソルベート80(Tween 80)、ポリオキシル15ヒドロキシステアレート(2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸またはsolutol HS 15としても知られている)、ポリオキシル35ヒマシ油(ポリオキシル35硬化ヒマシ油)およびポリオキシル40硬化ヒマシ油、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の注射剤。
【請求項9】
前記第二非イオン性界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える、請求項8に記載の注射剤。
【請求項10】
前記第二親油性薬物はケルセチン(quercetin)、プエラリン(puerarin)、レスベラトロールおよびクルクミノイド以外の親油性薬物から選ばれる1種以上である、請求項8または9に記載の注射剤。
【請求項11】
前記クルクミノイドと前記第二親油性薬物の重量比は30:1~1:10である、請求項8~10のいずれか1項に記載の注射剤。
【請求項12】
前記注射剤はさらに一つの水溶性薬物を含む請求項1~11のいずれか1項に記載の注射剤。
【請求項13】
前記水溶性薬物は緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、ガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate)、ガロカテキン(Gallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、カテキン(Catechin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)、カフェイン(Caffeine)、カルニチン(Carnitine)、L-カルニチン(L-carnitine)、シネフリン(Synephrine)、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)、および他の水溶性薬物から選ばれる1種以上である、請求項12に記載の注射剤。
【請求項14】
前記クルクミノイドと前記水溶性薬物の重量比は30:1~1:10である、請求項12または13に記載の注射剤。
【請求項15】
個体の局所に有効量の医薬組成物を注射することにより前記個体の局所の皮下脂肪量を減らすための前記医薬組成物の製造における組成物の使用であって、
前記組成物は、
複数のクルクミノイド含有ミセル(micelle)、および
前記クルクミノイド含有ミセルに包まれたクルクミノイド(curcuminoid)を含み、
前記クルクミノイド含有ミセルは医薬学上認められる非イオン性界面活性剤(nonionic surfactant)により形成された微細構造であり、且つ前記非イオン性界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超え、
前記クルクミノイド含有ミセルに包まれた油が存在しない、または前記クルクミノイド含有ミセルに包まれたPEG400が存在せず、
前記クルクミノイドと前記非イオン性界面活性剤の重量比は1:8~1:500であ
前記医薬組成物中の前記クルクミノイド濃度は0.3~120mg/gであり、
前記個体の前記局所へ注射される医薬組成物の投与量は、キログラム当たり0.01~40mgである、使用。
【請求項16】
前記非イオン性界面活性剤はポリソルベート80(Tween 80)、ポリオキシル15ヒドロキシステアレート(2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸またはsolutol HS 15としても知られている)、ポリオキシル35ヒマシ油(ポリオキシル35硬化ヒマシ油)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記医薬組成物中の前記クルクミノイド濃度は0.5~120mg/gである、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
前記クルクミノイド含有ミセルの粒子径は3~50nmである、請求項15~17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記医薬組成物はさらに医薬学上認められる水溶液を含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記医薬組成物はさらに一つの第二親油性薬物ミセルを含み、ここで、前記第二親油性薬物ミセルは第二非イオン性界面活性剤により形成された第二微細構造であり、且つ第二親油性薬物が前記第二親油性薬物ミセルに包まれている、請求項15~19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
前記第二非イオン性界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記第二非イオン性界面活性剤はポリソルベート80(Tween 80)、ポリオキシル15ヒドロキシステアレート(2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸またはsolutol HS 15としても知られている)、ポリオキシル35ヒマシ油(ポリオキシル35硬化ヒマシ油)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項20または21に記載の使用。
【請求項23】
前記第二親油性薬物はケルセチン(quercetin)、プエラリン(puerarin)、レスベラトロール(resveratrol)およびクルクミノイド(curcuminoid)以外の親油性薬物から選ばれる1種以上である、請求項20~22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
前記クルクミノイドと前記第二親油性薬物の重量比は30:1~1:10である、請求項20~23のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
前記医薬組成物はさらに水溶性薬物を含む請求項15~24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
前記水溶性薬物は緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、 エピガロカテキン(Epigallocatechin)、ガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate)、ガロカテキン(Gallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、カテキン(Catechin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)、カフェイン(Caffeine)、カルニチン(Carnitine)、L-カルニチン(L-carnitine)、シネフリン(Synephrine)、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)および他の水溶性薬物から選ばれる1種以上である、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記クルクミノイドと前記水溶性薬物の重量比は30:1~1:10である、請求項25または26に記載の使用。
【請求項28】
前記注射は、皮下注射、皮下脂肪層注射、または埋め込み式輸液によるものである、請求項15~27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
前記個体の前記局所へ注射される医薬組成物の投与量は、平方センチメートル当たり0.02~20mgである、請求項15~28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
前記個体の前記局所へ注射される医薬組成物の投与量は、キログラム当たり0.1~40mgである、請求項15~28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
前記個体の前記局所に注射する頻度は1~30日置きに1~12回である、請求項15~30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
前記クルクミノイドと前記非イオン性界面活性剤の重量比は1:10~1:150である、請求項15~31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
前記組成物はさらに一つの共溶媒(cosolvent)、一つの懸濁化剤(suspending agent)、および一つの油相賦形剤(oil phase excipients)から選ばれる1種以上を含む、請求項15~32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
前記油相賦形剤および前記共溶媒の少なくとも一つは前記非イオン性界面活性剤と前記微細構造を形成する、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
個体の局所に有効量の医薬組成物を注射することにより前記個体体重を減少するための前記医薬組成物の製造における組成物の使用であって、
前記組成物は、
複数のクルクミノイド含有ミセル(micelle)、および
前記クルクミノイド含有ミセルに包まれたクルクミノイド(curcuminoid)を含み、
前記クルクミノイド含有ミセルは医薬学上認められる一つの非イオン性界面活性剤(nonionic surfactant)により形成された微細構造であり、且つ前記非イオン性界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超え、
前記クルクミノイド含有ミセルに包まれた油が存在しない、または前記クルクミノイド含有ミセルに包まれたPEG400が存在せず、
前記クルクミノイドと前記非イオン性界面活性剤の重量比は1:8~1:500であ
前記医薬組成物中の前記クルクミノイド濃度は0.3~120mg/gであり、
前記個体の局所に投与される前記医薬組成物の投与量は0.4~40mg/kgである、使用。
【請求項36】
前記医薬組成物はさらに一つの医薬学上認められる水溶液を含む、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記医薬組成物はさらに一つの第二親油性薬物ミセルを含み、ここで、前記第二親油性薬物ミセルは第二非イオン性界面活性剤により形成された第二微細構造であり、第二親油性薬物が前記第二親油性薬物ミセルに包まれていて、且つ前記第二親油性薬物はケルセチン(quercetin)、プエラリン(puerarin)、レスベラトロール(resveratrol)、およびクルクミノイド以外の他の親油性薬物から選ばれる1種以上である、請求項35または36に記載の使用。
【請求項38】
前記組成物はさらに水溶性薬物を含み、前記水溶性薬物は緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、ガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate)、ガロカテキン(Gallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、カテキン(Catechin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)、カフェイン(Caffeine)、カルニチン(Carnitine)、L-カルニチン(L-carnitine)、シネフリン(Synephrine)、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)および他の水溶性薬物から選ばれる1種以上である、請求項35~37のいずれか1項に記載の使用。
【請求項39】
前記注射は、皮下注射、埋め込み式輸液、静脈内注射、または皮下脂肪層注射によるものである、請求項35~38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
前記個体へ注射される医薬組成物の投与量は、平方センチメートル当たり0.2~16mgである、請求項35~39のいずれか1項に記載の使用。
【請求項41】
前記個体へ注射される医薬組成物の投与量は、キログラム当たり~40mgである、請求項35~39のいずれか1項に記載の使用。
【請求項42】
前記個体に注射する頻度は1~20日置きに3~60回である、請求項35~41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項43】
前記組成物はさらに共溶媒(cosolvent)、懸濁化剤(suspending
agent)、および油相賦形剤(oil phase excipients)から選ばれる1種以上を含む、請求項35~42のいずれか1項に記載の使用。
【請求項44】
前記油相賦形剤および前記共溶媒の少なくとも一つは前記非イオン性界面活性剤と共に前記微細構造を形成する、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記クルクミノイドがクルクミンである、請求項1に記載の注射剤。
【請求項46】
前記クルクミノイドがクルクミンである、請求項15に記載の使用。
【請求項47】
前記クルクミノイドがクルクミンである、請求項35に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の薬物含有ミセル、および薬物含有ミセルに包まれたクルクミンを含む、局所脂肪の減少に用いられる医薬組成物に関する。さらに前記医薬組成物は局所の脂肪減少に用いられる。
【背景技術】
【0002】
近年、美意識が変化し、また、健康、体型や体重などへの意識が高まっていることにつれ、人々は単純のダイエットだけでなく、より健康で且つ美しいからだを作り上げるため、局所の脂肪減少または曲線美を一層重視している。さらに、飲食や運動による一般的なダイエット方法は特定単一部位の脂肪を減少させることができない。特定部位の脂肪(例えば腰、腹、脚、腕、顎、および顔など)を減らすには、従来脂肪吸引手術などでしかできない。
【0003】
従来局所細胞の減少に用いられる主な手法は脂肪吸引手術であるが、脂肪吸引手術は神経、血管、および他の組織に損傷を与え、且つ感染、出血量が多い、麻酔時間が長い、および事前予防ができない脂肪塞栓症や麻酔アレルギーの死に至るリスクがある。また、脂肪吸引手術には術後に激しい打撲や腫れ、強烈な痛み、3ヶ月から6ヶ月以上に及ぶ長い回復期、施術部位の凸凹などの問題が挙げられる。そのため、統計上多くの人は脂肪吸引で局所にたまっていた皮下脂肪を減少し、これにより曲線美を作り上げることを望んでいるが、実際に脂肪吸引手術を行った人数はそれの4割にも満たさず、曲線美を作り上げたい、または局所脂肪を減らしたい多くの消費者は、脂肪吸引手術の副作用、術後の痛み、またはリスクなどの問題によってあきらめている。
【0004】
しかし、非手術的の局所脂肪減少医薬組成物や装置は一部の副作用を抑えられるが、ほとんどは効果が悪く、なおかつ他の副作用(例えば周辺正常細胞の壊死(necrosis)、周辺組織の炎症、および激しい痛み)があり、実施部位にも制限がある。そのため、局所の脂肪を有効に減少させ、且つ副作用が少なく、安定性が良好で、回復期間が短い局所脂肪減少医薬組成物は依然として欠けている。
消費者や医者において高い需要がある中、現状の技術的制限を突破する局所脂肪減少医薬組成物の開発は求められている課題である。
【発明の概要】
【0005】
従来技術の欠点を考慮して、本発明は、界面活性剤によって形成された複数薬物含有ミセル、および前記薬物含有ミセルに包まれたクルクミンを含む局所脂肪の減少に用いられる一つの医薬組成物を提供する。前記局所脂肪の減少に用いられる医薬組成物は投与部位の脂肪を減少させる効果を持ち、且つ高い安定性、高い生体可用率、低い副作用および持続放出の利点を有する。
【0006】
本発明は投与部位の脂肪細胞の細胞アポトーシス(apoptosis)を促進することにより、投与部位の脂肪細胞を減少させる目的に達する。本発明は従来の技術による周辺細胞壊死(necrosis)、および炎症の不良反応と副作用を大幅に改善して、かつ局所脂肪減少の効果は著しく他の非手術的局所脂肪減少医薬組成物より優れている。本発明は注射、皮下植入、静脈内注射、埋め込み式輸液、軟膏、パップ、または他の経皮吸収システムを用いて、皮下脂肪を減少させる部位に投与し、手術や装置の介入やアシストを必要としない。好ましくは、皮下脂肪注射を用いて局所部位の皮下脂肪層に投与する。好ましくは、本発明の医薬組成物の注射剤形は注射用液剤または注射用粉末剤(powder for injection, or powder for solution for injection)を含むが、これらに限らない。本発明中の局所脂肪は腰、腹、脚、腕、顎、および顔などの部位の脂肪を含むが、これらに限らない。
【0007】
本発明中のウコン抽出物は任意の溶媒および任意の抽出法で抽出したウコン成分混合物、市販されているウコン抽出物、重量百分率75%以上のクルクミン(curcumin)を含む任意の混合物、重量百分率75%以上のクルクミノイド(curcuminoid)を含む任意の混合物、または市販されているクルクミンを指す。
【0008】
そのうち、クルクミノイド(curcuminoid)はクルクミン(curcumin)、デメトキシクルクミン(demethoxycurcumin)、およびビスデメトキシクルクミン(bisdemethoxycurcumin)の総称である。
【0009】
本発明中、レスベラトロールは天然植物から抽出されたまたは市販されているレスベラトロールを指す。好ましくは、レスベラトロールの純度は重量百分率90%~100%である。
【0010】
本発明中、緑茶抽出物は任意の溶媒および任意の抽出法で抽出した緑茶成分混合物、市販されている緑茶抽出物、重量百分率45%以上のエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)を含む任意混合物、または市販されているエピガロカテキンガレートを指す。
【0011】
本発明中、ミセル(micelle)は界面活性剤によって形成された微細構造であり、前記界面活性剤は一つの親水基と一つの疎水基(親油基)があり、親水基が外向き疎水基(親油基)が内向きで微細構造を形成している。好ましくは、前記微細構造は円形、類円形、または他の微細構造である。
【0012】
本発明中、薬物含有ミセルはクルクミノイド(curcuminoid)を含むミセル、好ましくは、薬物含有ミセルはクルクミン(curcumin)を含むミセルを指す。即ち薬物含有ミセルはクルクミノイド(curcuminoid)を包んでまたは含んでいるミセル、好ましくは、薬物含有ミセルはクルクミンを包んでまたは含んでいるミセルを指す。
【0013】
本発明中、第二親油性薬物ミセルはクルクミノイド(curcuminoid)以外の親油性薬物を含むミセルを指す。即ち、第二親油性薬物ミセルは第二親油性薬物を包んでまたは含んでいるミセルを指す。
【0014】
そのうち、他の親油性薬物(または第二親油性薬物と呼ぶ)はケルセチン(quercetin)、シネフリン(synephrine)、プエラリン(puerarin)、レスベラトロール(resveratrol)および他のクルクミノイド(curcuminoid)以外の親油性薬物から選ばれる1種以上を指す。他の親油性薬物はクルクミン以外の親油性薬物を指す。
【0015】
本発明中、水溶性薬物は緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、ガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate)、ガロカテキン(Gallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、カテキン(Catechin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)、カフェイン(Caffeine)、カルニチン(Carnitine)、L-カルニチン(L-carnitine)、シネフリン(Synephrine)、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)および他の水溶性薬物から選ばれる1種以上を指す。
本発明中、使われている「沈殿物を発生しない状態」は肉眼で、即ち装置を使用せずに確認しうる沈殿物がない状態を指す。
本発明中、「局所皮下脂肪」は本発明医薬組成物、皮下注射剤、または皮下脂肪層注射剤を投与する部位の皮下脂肪を指す。
本発明中、医学薬学上認められる水溶液は注射液、注射用水溶液、および生理食塩水から選ばれる1種以上を指す。
本発明中、局所麻酔剤はアミド、p-アミノベンズアミドエステル、アミノエーテル、および他の局所麻酔薬から選ばれる1種以上を指す。好ましくは、前記アミドはジブカイン(Dibucaine)、リドカイン(Lidocaine)、メピバカイン塩酸塩(Mepivacaine HCl)、ブピバカイン塩酸塩(Bupivacine HCl)、ピロカイン塩酸塩(Pyrrocaine HCl)、プリロカイン塩酸塩(Prilocaine HCl)、Digammacaine、およびオキセサゼイン(Oxethazaine)から選ばれる1種以上である。好ましくは、前記p-アミノベンズアミドエステルはブタカイン(Butacaine)、ジメトカイン(Dimethocaine)、およびツトカイン(Tutocaine)から選ばれる1種以上である。好ましくは、前記アミノエーテルはジメチソキン(Quinisocaine)、およびプラモキシン(Pramocaine)から選ばれる1種以上である。
【0016】
本発明中、抗酸化物質はβ-カロテン(beta-carotene)、ルテイン(lutein)、リコペン(lycopene)、ビリルビン(bilirubin)、ビタミンA(vitamin A)、ビタミンC(vitamin C、別称アスコルビン酸,即ちascorbic acid)、ビタミンE(vitamin E),尿酸(uric acid)、一酸化窒素(nitric oxide)、ニトロキシド(nitroxide)、ピルビン酸(pyruvate)、カタラーゼ(catalase)、スーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidases)、N-アセチルシステイン(N-acetyl cysteine)、ナリンゲニン(naringenin)、および他の抗酸化物質から選ばれる1種以上である。
【0017】
本発明中、前記医薬組成物は温度が25℃±2℃、相対湿度がRH60%±5%、直射日光を避けた状態で加速安定性試験行った際、前記医薬組成物は最低24時間沈殿物を発生しない状態を維持した。
【0018】
または、前記医薬組成物は温度が25℃±2℃、相対湿度がRH60%±5%、直射日光を避けた状態で加速安定性試験行った際、前記医薬組成物は最低6ヶ月沈殿物を発生しない状態を維持した。
【0019】
本発明は個体の局所に投与する一種の医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、
複数の薬物含有ミセル(micelle)、および
前記薬物含有ミセルに包まれたクルクミノイド(curcuminoid)を含み、
前記薬物含有ミセルは医薬学上認められるポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivatives)により形成された微細構造であり、且つ前記ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
【0020】
好ましくは、前記医薬組成物はさらに医学薬学上認められる水溶液を含み、且つ前記医学薬学上認められる水溶液中に複数の前記薬物含有ミセルが均一に分散している。
【0021】
好ましくは、前記のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体はPEG-35ヒマシ油(Cremophor ELP)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選ばれる1種以上である。
好ましくは、前記クルクミノイドと前記ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体の重量比は1:8~1:500である。
【0022】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体の重量比は1:20~1:150である。
【0023】
好ましくは、前記医薬組成物中の前記クルクミノイド濃度は0.3~120mg/gである。
【0024】
好ましくは、前記医薬組成物中の前記クルクミノイド濃度は2~91mg/gである。
【0025】
好ましくは、前記薬物含有ミセルの粒子径は3~50 nmである。
【0026】
好ましくは、前記薬物含有ミセルの粒子径は5~20 nmである。
【0027】
好ましくは、前記クルクミノイドはクルクミン(curcumin)である。
【0028】
好ましくは、前記医薬組成物はさらに一つの第二親油性薬物ミセルを含む、前記第二親油性薬物ミセルは前記医学薬学上認められる水溶液中に均一に分散している。前記第二親油性薬物ミセルは第二ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体により形成された第二微細構造であり、且つ一つの第二親油性薬物が前記第二親油性薬物ミセルの中に包まれている。
【0029】
好ましくは、前記ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
【0030】
好ましくは、前記第二ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体はPEG-35ヒマシ油(Cremophor ELP)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選ばれる1種以上である。好ましくは、前記第二親油性薬物はケルセチン(quercetin)、シネフリン(synephrine)、プエラリン(puerarin)、レスベラトロールおよびクルクミノイド以外の親油性薬物から選ばれる1種以上である。
【0031】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記第二親油性薬物の重量比は30:1~1:10である。
【0032】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記第二親油性薬物の重量比は20:1~1:8である。
【0033】
好ましくは、前記医学薬学上認められる水溶液中はさらに一つの水溶性薬物を含む。
【0034】
好ましくは、前記水溶性薬物は緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、ガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate)、ガロカテキン(Gallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、カテキン(Catechin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)、カフェイン(Caffeine)、カルニチン(Carnitine)、L-カルニチン(L-carnitine)、シネフリン(Synephrine)、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)および他の水溶性薬物から選ばれる1種以上である。
【0035】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記水溶性薬物の重量比は30:1~1:10である。
【0036】
好ましくは、前記医薬組成物中のエピガロカテキンガレート濃度は0.1~15mg/mLである。
【0037】
好ましくは、前記医薬組成物中は薬物溶解度を増やすため、さらに共溶媒(Cosolvent)を含む。
【0038】
好ましくは、前記共溶媒はポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、エタノール(ethanol)、および他の共溶媒から選ばれる1種以上である。
【0039】
好ましくは、前記ポリエチレングリコールはポリエチレングリコール200(PEG 200)、ポリエチレングリコール400(PEG 400)、ポリエチレングリコール600(PEG 600)、および他のポリエチレングリコールから選ばれる1種以上である。
【0040】
好ましくは、前記医薬組成物中は薬物またはミセルの沈殿速度を下げるため、さらに懸濁化剤(suspending agent)を含む。
【0041】
好ましくは、前記懸濁化剤はアルギン酸ナトリウム(Sodium alginate)、グリセロール(glycerol)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(carboxymethylcellulose sodium)、マンニトール(mannitol)、および他の懸濁化剤から選ばれる1種以上である。
【0042】
好ましくは、前記医薬組成物中は医薬組成物の安定性及び薬物の溶解度を増やすため、さらに油相賦形剤(oil phase excipients)を含む。
【0043】
好ましくは、油相賦形剤は不飽和脂肪酸、グリセロール(glycerol)、トリグリセリド(triglyceride)、および他の油相賦形剤から選ばれる1種以上である。
【0044】
好ましくは、前記不飽和脂肪酸はオレイン酸(oleic acid)、ひまし油(castor oil)、ごま油(sesame oil)、綿実油(cottonseed oil)、大豆油(soybean oil)、サフラワー油(safflower oil)、コーン油(corn oil)、および他の不飽和脂肪酸から選ばれる1種以上である。
【0045】
好ましくは、前記トリグリセリドは中鎖トリグリセリド(medium chain triglycerides)、および他のトリグリセリドから選ばれる1種以上である。
【0046】
好ましくは、前記医学薬学上認められる水溶液は局所麻酔薬を含む。
【0047】
好ましくは、前記医学薬学上認められる水溶液は抗酸化物質を含む。
【0048】
本発明はさらに、一つの皮下注射剤、一つの皮下脂肪層注射剤、一つの皮下埋込装置、一つの皮下埋込物、一つの静脈内注射剤、一つの埋め込み式輸液剤、一つの軟膏、一つのパップ、および他の経皮吸収システムを調製する、医薬組成物の一種の用途を提供する。
【0049】
好ましくは、前記医薬組成物はさらに一つの第二親油性薬物ミセルを含む、前記第二親油性薬物ミセルは医学薬学上認められる水溶液中に均一に分散している。そのうち、前記第二親油性薬物ミセルは第二非イオン性界面活性剤により形成された第二微細構造であり、且つ一つの第二親油性薬物が前記第二親油性薬物ミセルの中に包まれている。
好ましくは、前記第二非イオン性界面活性剤はツイーン80(Tween 80)、2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸(solutol HS 15)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivatives)、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である。
【0050】
好ましくは、前記のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体はPEG-35ヒマシ油(Cremophor ELP)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選ばれる1種以上である。
【0051】
好ましくは、前記医学薬学上認められる水溶液中はさらに一つの水溶性薬物を含む。
【0052】
本発明は、さらに局所皮下脂肪の減少に使う薬剤または皮下注射剤(subcutaneous injection formulation)を調製する一種医薬組成物の用途を提供する。前記医薬組成物は、
複数の薬物含有ミセル(micelle)、および
前記薬物含有ミセルに包まれたクルクミノイド(curcuminoid)を含み、
そのうち、前記薬物含有ミセルは医薬学上認められる一つの非イオン性界面活性剤(nonionic surfactant)により形成された微細構造であり、且つ前記非イオン性界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
【0053】
好ましくは、前記医薬組成物はさらに医学薬学上認められる水溶液を含み、且つ医学薬学上認められる水溶液中に複数の上記薬物含有ミセルが均一に分散している。
【0054】
好ましくは、前記非イオン性界面活性剤はツイーン80(Tween 80)、2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸 (solutol HS 15)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivatives)、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である。
【0055】
好ましくは、前記のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体はPEG-35ヒマシ油(Cremophor ELP)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選ばれる1種以上である。
【0056】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記非イオン性界面活性剤の重量比は1:8~1:500である。
【0057】
好ましくは、前記医薬組成物中の前記クルクミノイド濃度は0.3~120mg/gである。
【0058】
好ましくは、前記薬物含有ミセルの粒子径は3~50nmである。
【0059】
好ましくは、前記医薬組成物はさらに一つの第二親油性薬物ミセルを含む、前記第二親油性薬物ミセルは医学薬学上認められる水溶液中に均一に分散している。そのうち、前記第二親油性薬物ミセルは第二非イオン性界面活性剤により形成された第二微細構造であり、且つ一つの第二親油性薬物が前記第二親油性薬物ミセルの中に包まれている。
【0060】
好ましくは、前記第二非イオン性界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
【0061】
好ましくは、前記第二非イオン性界面活性剤はツイーン80(Tween 80)、2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸(solutol HS 15)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivatives)、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である。
【0062】
好ましくは、前記第二非イオン性界面活性剤はPEG-35ヒマシ油(Cremophor ELP)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選ばれる1種以上である。
【0063】
好ましくは、前記第二親油性薬物はケルセチン(quercetin)、シネフリン(synephrine)、プエラリン(puerarin)、レスベラトロール、およびクルクミノイド以外の親油性薬物から選ばれる1種以上である。
【0064】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記第二親油性薬物の重量比は30:1~1:10である。
【0065】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記第二親油性薬物の重量比は20:1~1:8である。
【0066】
好ましくは、前記医学薬学上認められる水溶液中はさらに一つの水溶性薬物を含む。
【0067】
好ましくは、前記水溶性薬物は緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、ガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate)、ガロカテキン(Gallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、カテキン(Catechin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)、カフェイン(Caffeine)、カルニチン(Carnitine)、L-カルニチン(L-carnitine)、シネフリン(Synephrine)、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)および他の水溶性薬物から選ばれる1種以上である。
【0068】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記水溶性薬物の重量比は30:1~1:10である。
【0069】
好ましくは、前記クルクミノイドと前記水溶性薬物の重量比は20:1~1:8である。
【0070】
好ましくは、前記薬物の剤形は皮下注射剤、皮下脂肪層注射剤、埋め込み式輸液、軟膏剤、パップ剤、または他の経皮吸収システムである。
【0071】
好ましくは、前記薬物は一つの投与部位の皮下脂肪を減少させるために、前記投与部位に投与された。
【0072】
好ましくは、前記薬物の剤形は皮下注射剤または皮下脂肪層注射剤、且つ前記薬物の注射投与量は平方センチメートル当たり0.02~20mgである。
【0073】
前記薬物の剤形は皮下注射剤または皮下脂肪層注射剤、且つ前記薬物の注射投与量は平方センチメートル当たり0.04~16mgである。
【0074】
好ましくは、前記薬物の剤形は皮下注射剤または皮下脂肪層注射剤、且つ前記薬物の注射投与量はキログラム当たり0.01~40mgである。
【0075】
好ましくは、前記薬物の剤形は皮下注射剤または皮下脂肪層注射剤、且つ前記薬物の注射投与量はキログラム当たり0.1~20mgである。
【0076】
好ましくは、前記薬物の投与頻度は1~30日置きに1~12回投与部位に投与される。
【0077】
好ましくは、前記薬物の投与頻度は1~30日置きに1~6回投与部位に投与される。
【0078】
好ましくは、前記クルクミノイドはクルクミン(curcumin)である。
【0079】
好ましくは、前記の医薬組成物はさらに一つの共溶媒(cosolvent)、一つの懸濁化剤(suspending agent)、および一つの油相賦形剤(oil phase excipients)から選ばれる1種以上を含む。
【0080】
好ましくは、前記の微細構造は前記の油相賦形剤および前記の共溶媒のうち少なくとも一つと前記非イオン性界面活性剤により形成されている。
【0081】
本発明は、さらに体重の減少に使う薬剤または皮下注射剤を調製する一種医薬組成物の用途を提供する。前記医薬組成物は、
複数の薬物含有ミセル(micelle)、および
前記薬物含有ミセルに包まれたクルクミノイド(curcuminoid)を含み、
そのうち、前記薬物含有ミセルは医薬学上認められる一つの非イオン性界面活性剤(nonionic surfactant)により形成された微細構造であり、且つ前記ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
【0082】
好ましくは、前記医薬組成物はさらに医学薬学上認められる水溶液を含み、且つ前記医学薬学上認められる水溶液中に複数の前記薬物含有ミセルが均一に分散している。
【0083】
好ましくは、前記クルクミノイドはクルクミン(curcumin)である。
【0084】
好ましくは、前記医薬組成物はさらに一つの第二親油性薬物ミセルを含む、前記第二親油性薬物ミセルは医学薬学上認められる水溶液中に均一に分散している。そのうち、前記第二親油性薬物ミセルは第二非イオン性界面活性剤により形成された第二微細構造であり、一つの第二親油性薬物が前記第二親油性薬物ミセルに包まれていて、且つ前記第二親油性薬物はケルセチン(quercetin)、シネフリン(synephrine)、プエラリン(puerarin)、レスベラトロール(resveratrol)、およびクルクミノイド以外の他の親油性薬物から選ばれる1種以上である。
【0085】
好ましくは、前記医薬組成物はさらに一つの水溶性薬物を含み、且つ前記水溶性薬物は緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、 エピガロカテキン(Epigallocatechin)、ガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate)、ガロカテキン(Gallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、カテキン(Catechin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)、カフェイン(Caffeine)、カルニチン(Carnitine)、L-カルニチン(L-carnitine)、シネフリン(Synephrine)、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)および他の水溶性薬物から選ばれる1種以上である。
【0086】
好ましくは、前記薬物の剤形は皮下注射剤、静脈内注射剤、または皮下脂肪層注射剤、且つ前記薬物の注射投与量は平方センチメートル当たり0.2~16mgである。
【0087】
好ましくは、前記薬物の剤形は皮下注射剤、静脈内注射剤、または皮下脂肪層注射剤、且つ前記薬物の注射投与量は平方センチメートル当たり0.4~8mgである。
【0088】
好ましくは、前記薬物の剤形は皮下注射剤、静脈内注射剤、または皮下脂肪層注射剤、且つ前記薬物の注射投与量はキログラム当たり0.4~40mgである。
【0089】
好ましくは、前記薬物の剤形は皮下注射剤、静脈内注射剤、または皮下脂肪層注射剤、且つ前記薬物の注射投与量はキログラム当たり0.8~20mgである。
【0090】
好ましくは、前記薬物の投与頻度は1~20日置きに3~60回投与部位に投与される。
【0091】
好ましくは、前記薬物の投与頻度は1~14日置きに6~42回投与部位に投与される。
【0092】
好ましくは、前記の医薬組成物はさらに一つの共溶媒(cosolvent)、一つの懸濁化剤(suspending agent)、および一つの油相賦形剤(oil phase excipients)から選ばれる1種以上を含む。
【0093】
好ましくは、前記の微細構造は前記の油相賦形剤および前記の共溶媒のうち少なくとも一つと前記非イオン性界面活性剤により形成されている。
【0094】
本発明は個体局所の皮下脂肪量の減少に用いられる一種の方法を提供するものであって、前記方法には個体の局所に用いる医薬組成物も含み、そのうち、前記医薬組成物は、
複数の薬物含有ミセル(micelle)、および
前記薬物含有ミセルに包まれたクルクミノイド(curcuminoid)を含み、
そのうち、前記薬物含有ミセルは医薬学上認められる一つの非イオン性界面活性剤(nonionic surfactant)により形成された微細構造であり、且つ前記非イオン性界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
【0095】
好ましくは、皮下注射剤、皮下脂肪層注射剤、埋め込み式輸液、軟膏剤、パップ剤、または他の経皮吸収システムを用いて前記個体の前記局所に前記医薬組成物を投与する。
【0096】
好ましくは、前記個体の前記局所に平方センチメートル当たり0.02~20 mg投与する。
【0097】
好ましくは、前記個体の前記局所にキログラム当たり0.01~40 mg投与する。
【0098】
好ましくは、前記個体の前記局所に投与する頻度は1~30日置きに1~12回である。
【0099】
本発明は個体体重の減少に用いられる一種の方法であって、前記方法には個体に用いる医薬組成物も含み、前記医薬組成物は、
複数の薬物含有ミセル(micelle)、および
前記薬物含有ミセルに包まれたクルクミノイド(curcuminoid)を含み、
そのうち、前記薬物含有ミセルは医薬学上認められる一つの非イオン性界面活性剤(nonionic surfactant)により形成された微細構造であり、且つ前記非イオン性界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
【0100】
好ましくは、前記皮下注射剤、静脈内注射剤、または皮下脂肪層注射剤を用いて前記個体の前記局所に医薬組成物を投与する。
【0101】
好ましくは、前記個体の局所に平方センチメートル当たり0.2~16mg投与する。
【0102】
好ましくは、前記個体の局所にキログラム当たり0.4~40mg投与する。
【0103】
好ましくは、前記個体の局所に投与する頻度は1~20日置きに3~60回である。
【0104】
好ましくは、皮下注射剤、皮下脂肪層注射剤、静脈内注射剤、埋め込み式輸液、軟膏、パップ、または他の経皮吸収システムを用いて前記個体の局所に前記医薬組成物を投与する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
図1A】ウコン抽出物の経口投与がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図1B】ウコン抽出物の経口投与がラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフ。
図2A】異なる賦形剤で調製したクルクミン皮下注射剤がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図2B】異なる賦形剤で調製したクルクミン皮下注射剤がラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフ。
図3】ミセルがラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図4】ミセルがラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフ。
図5】賦形剤を含まないレスベラトロール皮下注射剤がラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図6】異なる賦形剤で調製したクルクミン-レスベラトロール複合薬の皮下注射剤がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図7】ミセルを含むクルクミン単一薬、レスベラトロール単一薬、およびクルクミン-レスベラトロール複合薬の皮下注射剤がラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図8A】クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の供与頻度がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図8B】クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の供与頻度がラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフ。
図9】クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の供与量がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図10】クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物が成熟脂肪細胞のアポトーシスに対する影響。
図11】賦形剤を含まない緑茶抽出物皮下注射剤がラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図12A】クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物の給与頻度がラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
図12B】クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物の給与頻度がラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフ。
図13】クルクミン-他の水溶性薬物複合薬医薬組成物が成熟脂肪細胞のアポトーシスに対する影響。
【発明を実施するための形態】
【0106】
実験一:ウコン抽出物の経口投与がラットの皮下脂肪量および体重に対する影響
以下の方法でウコン抽出物経口投与液を調製:適量のウコン抽出物を適量の注射用滅菌水と混ぜ、攪拌してウコン抽出物経口投与液とした。
【0107】
実験は7週齢のSD系雄ラット(male Sprague-Dawley rat)を用いて行った。最初に、高脂肪食(high-fat diet、Research Diets, Inc.、型番#D12492)で12頭のラットに給餌し、皮下脂肪の増加を誘発した。ラットの体重が330±10gに達するまで連続給餌した後、ラットをランダムで高脂肪食コントロール群およびウコン抽出物経口投与群の2群に分け、各群は6頭のラットを含み、体重に有意差がないようにした。各頭のラットの体重を記録し、各ラットの「実験前体重」と定義した。その後、以下の方法で薬物を投与した。
【0108】
ウコン抽出物経口投与群:毎日高脂肪食を給餌し、且つチューブ給餌でラットにウコン抽出物経口液を給餌し、投与するウコン抽出物の投与量を100mg/kg/日にし、20日間連続給餌した。給餌のウコン抽出物中、クルクミンの重量百分率は95%であった。
【0109】
高脂肪食コントロール群:毎日高脂肪食を給餌したが、ウコン抽出物は給餌しない。
【0110】
実験期間毎日体重変化を記録し、週一回飲水量摂食量を記録した。実験の20日目に断食させ、21日目に犠死した。
【0111】
各頭のラットの体重を記録し、各ラットの「実験後体重」と定義した。各頭のラットの「実験後体重」から「実験前体重」を引き、「総体重増加量」を得た。最後に、ラットの左右両側鼠径下の皮下脂肪を計量し、各群の鼠径下皮下脂肪量を計算した。平均値±SDでデータ表示し、統計処理した。統計処理の結果は記号またはアルファベットで表示し、記号またはアルファベットが異なる場合は有意差がある(p<0.05)ことを示し、記号またはアルファベットが同じの場合は有意差がない(p>0.05)ことを示す。
【0112】
図1Aおよび図1Bを参照されたい。図1Aはウコン抽出物を経口でラット投与した皮下脂肪量に対する影響の棒グラフである。そのうち、前記鼠径下皮下脂肪量は左右両側の鼠径下脂肪量の合計である。図1Bはウコン抽出物を経口でラットに投与した総体重増加量に対する影響の棒グラフである。
【0113】
図1Aで示すように、高脂肪食コントロール群のラットは鼠径下皮下脂肪量が6.4±1.5gで、ウコン抽出物経口投与群ラットは鼠径下皮下脂肪量が6.1±0.8gであり、両者に有意差がない(p>0.05)ため、ウコン抽出物の経口投与は局所脂肪を減少させることができない。
【0114】
図1Bで示すように、高脂肪食コントロール群のラットは総体重増加量が135±12gで、ウコン抽出物経口投与群ラットは総体重増加量が142±10gであり、両者に有意差がない(p>0.05)ため、ウコン抽出物の経口投与は体重を減少させることができない。
【0115】
上述の実験により、ウコン抽出物の経口投与は局所脂肪を減少させられなく、また体重も減少させられないことを明らかにした。前記問題を解決するために、本発明者らはさらに本発明のクルクミンを含む医薬組成物および皮下注射剤を研究開発した。
【0116】
実験二:クルクミンの皮下注射剤がラットの皮下脂肪量および体重に対する影響
以下の方法でクルクミン生理食塩水溶液、クルクミンPEG溶液、およびクルクミンELP溶液を調製した。
【0117】
クルクミン生理食塩水溶液の調製方法:
クルクミン450mgと適量の注射用生理食塩水を混合し、最終体積を90mLにした。クルクミンが完全に溶解するまで均一に撹拌し、クルクミン生理食塩水溶液を得た。また、前記クルクミン生理食塩水溶液中のクルクミン濃度は5mg/mLであった。
クルクミンPEG溶液の調製方法:
15gのポリエチレングリコール(polyethylene glycol 400、PEG400と略する)、15gのグリセロール(glycerol)、および適量の注射用生理食塩水を混合し、最終体積を100mLにした。ポリエチレングリコールとグリセロールが完全に溶解するまで撹拌し、ポリエチレングリコールとグリセロールの混合液を得た。クルクミン450mgと適量のポリエチレングリコールとグリセロールの混合液を混合し、最終体積を90mLにした。クルクミンが完全に溶解するまで撹拌し、クルクミンPEG溶液を得た。前記クルクミンPEG溶液中のクルクミン濃度は5mg/mLであった。
【0118】
クルクミンELP溶液の調製方法:
クルクミン450mgと80~140mLのジクロロメタン(Dichloromethane)を混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで150~500rpmで撹拌した。18gのPEG-35ヒマシ油(Kolliphor ELP、ELP、ポリオキシル35ヒマシ油(polyoxyl 35 castor oil)、ポリオキシル35硬化ヒマシ油(polyoxyl 35 hydrogenated castor oil))を加え、100~300rpmの回転数で撹拌してジクロロメタンを揮発させた。ジクロロメタンを完全に揮発した後、最終体積が90 mLになるように注射用生理食塩水をゆっくり加え、撹拌した後クルクミンELP溶液を得た。上述クルクミンELP溶液中のクルクミン濃度は5mg/mL、PEG-35ヒマシ油(ELP)の濃度は約重量百分率20%であり、且つクルクミンとPEG-35ヒマシ油の重量比は1:40であった。
【0119】
実験は6週齢のSD系雄ラット(male Sprague-Dawley rat)を用いて行った。最初に、高脂肪食(high-fat diet、Research Diets, Inc.、型番#D12492)で20頭のラットに給餌し、皮下脂肪の増加を誘発した。ラットの体重が330±10gに達するまで連続給餌した後、ラットをランダムでコントロール群、生理食塩水群、PEG群、およびELP群の4群に分け、各群は5頭のラットを含み、体重に有意差がないようにした。各頭のラットの体重を記録し、各ラットの「実験前体重」と定義した。その後、以下の方法で薬物を投与した。
【0120】
クルクミン生理食塩水、クルクミンPEG溶液、およびクルクミンELP溶液をそれぞれ生理食塩水群、PEG群、およびELP群のラットの鼠径下の皮下脂肪層に注射した。毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)のため、毎回のクルクミン注射量はキログラム当たり20mg(20mg/kg)となる(計算式4mL/kg×5mg/mL=20mg/kg)。コントロール群は上述と同様な方法で同じ体積の注射用生理食塩水を注射投与した。
【0121】
上述注射部位はラット鼠径下の脂肪部であり、左右両側均等に注射した。実験の1、2、3、および4日目に各1回注射した。実験期間毎日高脂肪食を給餌且つ体重変化を記録し、週一回飲水量摂食量を記録した。実験は14日間行い、15日目に二酸化炭素で犠死した。
【0122】
各頭のラットの体重を記録し、各ラットの「実験後体重」と定義した。各頭のラットの「実験後体重」から「実験前体重」を引き、「総増加体重」を得た。各群ラットの総増加体重をコントロール群ラットの総増加体重で割り、「相対総増加体重」を得た。
【0123】
ラットの左右両側鼠径下の皮下脂肪を計量し、左右両側鼠径下の皮下脂肪の合計を求め、鼠径下皮下脂肪量を計算した。各群ラットの鼠径下皮下脂肪量をコントロール群ラットの鼠径下皮下脂肪量で割り、「相対鼠径下皮下脂肪重量」を得た。
【0124】
平均値±SDでデータ表示し、一元配置分散分析(one-way ANOVA)で統計処理した。統計処理の結果は記号またはアルファベットで表示し、記号またはアルファベットが異なる場合は有意差がある(p<0.05)ことを示し、記号またはアルファベットが同じの場合は有意差がない(p>0.05)ことを示す。
【0125】
図2Aおよび図2Bを参照されたい。図2Aは異なる賦形剤で調製したクルクミン皮下注射剤がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフである。図2Bは異なる賦形剤で調製したクルクミン皮下注射剤がラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフである。
【0126】
図2Aで示すように、コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100±27.6%、生理食塩水群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は99.8±8.0%、PEG群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は93.6±5.8%、ELP群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は62.8±20.5%であった。生理食塩水群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量はコントロール群ラットと有意差がないため、直接クルクミンを投与部位の皮下脂肪層に注射すると投与部位の皮下脂肪(局所脂肪)を減少させることができないと示した。PEG群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量はコントロール群ラットと有意差がなかったが、ELP群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量はコントロール群ラットと有意差(p<0.05)を示し、且つELP群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は37.2%減少した。
【0127】
図2Bで示すように、コントロール群ラットの相対総増加体重は100.0±30.8%、生理食塩水群ラットの相対総増加体重は110.0±18.7%、PEG群ラットの相対総増加体重は112.5±20.7%、ELP群ラットの相対総増加体重は87.1±33.1%であった。4群の間に有意差は見られなかったが(p>0.05)、ELP群ラットの相対総増加体重はコントロール群ラットと比べ12.9%減少したため、ELP群のラットは体重減少の傾向を示した。
【0128】
上述の実験結果により、直接クルクミンを投与部位の皮下脂肪層に注射すると投与部位の皮下脂肪(局所脂肪)を減少させられなく、また体重も減少させられないことを明らかにした。賦形剤PEG(一般的な共溶媒)を添加したクルクミン組成物を投与部位の皮下脂肪層に注射すると、投与部位の脂肪(局所脂肪)を著しく減少させられなく、体重も減少させられないが、非イオン性界面活性剤のELPを添加したクルクミン組成物を投与部位の皮下脂肪層に注射すると、投与部位の脂肪(局所脂肪)を減少させただけでなく、体重も減少の傾向を見せた。そのため、クルクミン組成物は投与部位の皮下脂肪(局所脂肪)および体重を減少させるため、非イオン性界面活性剤を含有すべきかを更なる検討が必要とされている。
【0129】
さらに分析したところ、上述投与したクルクミンPEG溶液中にミセルは存在しないが、一方でクルクミンELP溶液中にミセルが存在し、且つクルクミンはELPによって形成されたミセルに包まれていることが明らかとなった。そのため、ミセルが局所脂肪および体重の減少に対する影響も更なる検討が必要とされている。
【0130】
実験三:非イオン性界面活性剤を含むクルクミン単一薬組成物皮下注射剤がラットの皮下脂肪量および体重に対する影響
以下の方法でクルクミンELP部分ミセル剤形、クルクミンHS-15部分ミセル剤形、クルクミンELPミセル剤形、およびクルクミンHS-15ミセル剤形を調製した。
【0131】
クルクミンELP部分ミセル剤形の調製方法:20gのPEG-35ヒマシ油(即ちELP)と適量の注射用生理食塩水を混合し、最終重量を100gにした。PEG-35ヒマシ油(即ちELP)が完全に溶解するまで均一に撹拌し、20%ELP溶液を得た。クルクミン400mgと適量の20%ELP溶液を混合し、最終重量を80gにした。クルクミンが完全に溶解するまで撹拌し、クルクミンELP部分ミセル剤形を得た。上述クルクミンELP部分ミセル剤形中のクルクミン濃度は約5mg/mL、PEG-35ヒマシ油(ELP)の濃度は約重量百分率20%であり、且つクルクミンとPEG-35ヒマシ油の重量比は約1:40であった。
【0132】
クルクミンHS-15部分ミセル剤形の調製方法:20gのポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸(Kolliphor HS 15、HS-15と略す)と適量の注射用生理食塩水を混合し、最終重量を100 gにした。ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸(即ちHS-15)が完全に溶解するまで撹拌し、20%HS-15溶液を得た。クルクミン400mgと適量の20%HS-15溶液を混合し、最終重量を80gにした。クルクミンが完全に溶解するまで均一に撹拌し、クルクミンHS-15部分ミセル剤形を得た。上述クルクミンHS-15部分ミセル剤形中のクルクミン濃度は約5mg/mL、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸(即ちHS-15)の濃度は約重量百分率20%であり、且つクルクミンとポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸(即ちHS-15)の重量比は約1:40であった。
【0133】
クルクミンELPミセル剤形の調製方法:実験二のクルクミンELP溶液の調製方法と同様に行った。
【0134】
クルクミンHS-15ミセル剤形の調製方法:クルクミン500mgとジクロロメタン80~140mLを混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで150~500rpmで撹拌した。20gのポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸(Kolliphor HS 15、HS-15と略す)を加え、100~300rpmの回転数で撹拌してジクロロメタンを揮発させた。ジクロロメタンを完全に揮発した後、最終体積が100 gになるように注射用生理食塩水をゆっくり加え、均一に撹拌して複数の薬物含有ミセルを形成させ、クルクミンHS-15ミセル剤形を得た。上述クルクミンHS-15ミセル剤形中のクルクミン濃度は約5mg/g、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸(HS-15)の濃度は重量百分率20%であり、且つクルクミンとポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸(HS-15)の重量比は1:40であった。
【0135】
粒子径測定装置(particle size analyzer)を用いてクルクミンELP部分ミセル剤形、クルクミンHS-15部分ミセル剤形、クルクミンELPミセル剤形、およびクルクミンHS-15ミセル剤形中にミセル(micelle)の有無を確認し、ミセルの粒子径を測定した。
【0136】
結果はクルクミンELP部分ミセル剤形およびクルクミンHS-15部分ミセル剤形中に薬物沈殿(クルクミン沈殿)があり、且つ薬物含有ミセルの数が比較的少ないことを示した。クルクミンELPミセル剤形およびクルクミンHS-15ミセル剤形は分離なく澄んでいて、且つ薬物含有ミセルの数が比較的多いことを示した。
【0137】
また、クルクミンELP部分ミセル剤形、クルクミンHS-15部分ミセル剤形、クルクミンELPミセル剤形、およびクルクミンHS-15ミセル剤形の粒子径は順番に13.16±0.18nm、13.18±1.45nm、12.43±0.40nm、11.46±0.41nmであり、PDI値は順番に0.22±0.03、0.18±0.05、0.28±0.05、0.18±0.04である。
【0138】
そのため、クルクミンELP部分ミセル剤形、およびクルクミンHS-15部分ミセル剤形中に薬物沈殿(クルクミン沈殿)が見られたが、上清液にはまだミセルを含んでいるため(粒子径は250nm未満、且つPDI値は0.4未満)、そのため、クルクミンELP部分ミセル剤形、クルクミンHS-15部分ミセル剤形、クルクミンELPミセル剤形、およびクルクミンHS-15ミセル剤形は全て本発明の医薬組成物である。
【0139】
実験は6週齢のSD系雄ラット(male Sprague-Dawley rat)を用いて行った。最初に、高脂肪食(high-fat diet、Research Diets, Inc.、型番#D12492)で20頭のラットに給餌し、皮下脂肪の増加を誘発した。ラットの体重が330±10gに達するまで連続給餌した後、ラットをランダムでコントロール群、ELP部分ミセル群、HS-15部分ミセル群、ELPミセル群、およびHS-15ミセル群の5群に分け、各群は4頭のラットを含み、体重に有意差がないようにした。各頭のラットの体重を記録し、各ラットの「実験前体重」と定義した。その後、以下の方法で薬物を投与した。
【0140】
クルクミンELP部分ミセル剤形、クルクミンHS-15部分ミセル剤形、クルクミンELPミセル剤形、およびクルクミンHS-15ミセル剤形をそれぞれ均一に混合させ(部分ミセル剤形中の沈殿物を均一に分散させ)、それぞれELP部分ミセル群、HS-15部分ミセル群、ELPミセル群、およびHS-15ミセル群ラットの鼠径下の皮下脂肪層に注射した。毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)のため、毎回のクルクミン注射量はキログラム当たり20mg(20mg/kg)となる(計算式4mL/kg×5mg/mL=20mg/kg)。コントロール群は上述と同様な方法で同じ体積の注射用生理食塩水を注射投与した。
【0141】
上述注射部位はラット鼠径下の脂肪部であり、左右両側均等に注射した。実験の1、2、3、4、5、および6日目に各1回注射した。実験期間毎日高脂肪食を給餌し、且つ毎日体重変化を記録し、週一回飲水量摂食量を記録した。実験は14日間行い、15日目に二酸化炭素で犠死した。
【0142】
各頭のラットの体重を記録し、各ラットの「実験後体重」と定義した。各頭のラットの「実験後体重」から「実験前体重」を引き、「総増加体重」を得た。各群ラットの総増加体重をコントロール群ラットの総増加体重で割り、「相対総増加体重」を得た。
【0143】
ラットの左右両側鼠径下の皮下脂肪を計量し、左右両側鼠径下の皮下脂肪の合計を求め、鼠径下皮下脂肪量を計算した。各群ラットの鼠径下皮下脂肪量をコントロール群ラットの鼠径下皮下脂肪量で割り、「相対鼠径下皮下脂肪重量」を得た。
【0144】
平均値±SDでデータ表示し、一元配置分散分析(one-way ANOVA)で統計処理した。統計処理の結果は記号またはアルファベットで表示し、記号またはアルファベットが異なる場合は有意差がある(p<0.05)ことを示し、記号またはアルファベットが同じの場合は有意差がない(p>0.05)ことを示す。
【0145】
上述の剤形調製方法および粒子径分析結果により、クルクミンELP部分ミセル剤形およびクルクミンELPミセル剤形中のELP濃度とクルクミン濃度は同じであって、薬物含有ミセルの数にのみ違いがあることを明らかにした。そのため、コントロール群と比べ、クルクミンELP部分ミセル剤形は投与部位の局所脂肪を著しく減少させられないが、クルクミンELPミセル剤形は投与部位の局所脂肪を著しく減少させた場合、薬物含有ミセルの形成はクルクミン組成物が投与部位の局所脂肪を著しく減少させるカギとなる。
【0146】
同様に、クルクミンHS-15部分ミセル剤形およびクルクミンHS-15ミセル剤形中のHS-15濃度とクルクミン濃度は同じであって、薬物含有ミセルの数にのみ違いがあることを明らかにした。したがって、コントロール群と比べ、クルクミンHS-15部分ミセル剤形は著しく投与部位の局所脂肪を減少させられないが、クルクミンHS-15ミセル剤形は投与部位の局所脂肪を著しく減少させた場合、薬物含有ミセルの形成はクルクミン組成物が投与部位の局所脂肪を著しく減少させるカギとなる。
【0147】
一方で、クルクミンELP部分ミセル剤形およびクルクミンELPミセル剤形中のELP濃度とクルクミン濃度は同じであって、薬物含有ミセルの数にのみ違いがあるため。したがって、コントロール群と比べ、クルクミンELP部分ミセル剤形は著しく体重を減少させられないが、クルクミンELPミセル剤形は体重を著しく減少させた場合、薬物含有ミセルの形成はクルクミン組成物が体重を著しく減少させるカギとなる。
【0148】
図3を参照されたい。図3はミセルがラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフである。図3で、縦軸は相対鼠径下皮下脂肪重量(%)、横軸は順番にコントロール群、HS-15部分ミセル群、HS-15ミセル群、ELP部分ミセル群、およびELPミセル群である。
【0149】
図3で示すように、コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100.0±26.4%、HS-15部分ミセル群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は74.7±10.1、HS-15ミセル群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は67.6±8.6%、ELP部分ミセル群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は71.8±22.9%、ELPミセル群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は65.0±7.2%であった。
【0150】
コントロール群ラットと比べ、HS-15部分ミセル群とELP部分ミセル群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は減少の傾向を見せたが、有意差はなかった(p>0.05)。一方で、HS-15ミセル群とELPミセル群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は著しくそれぞれ32.4%と35%減少した(p<0.05)。
【0151】
上述の資料により、部分ミセル剤形中の非イオン性界面活性剤濃度およびクルクミン濃度はミセル剤形と一致し、且つ一部のミセルを含むが、部分ミセル剤形は傾向的に局所脂肪を減少させられるものの、著しく局所脂肪を減少させられなかった。一方で、大量の薬物含有ミセルを含むミセル剤形は著しく局所脂肪を減少させられた。
【0152】
そのため、薬物含有ミセルの形成はクルクミン組成物が著しく投与部位の局所脂肪を減少させるカギである。即ち、少量の薬物含有ミセルを含むクルクミン組成物は傾向的に局所脂肪を減少させられ、大量の薬物含有ミセルを含むクルクミン組成物は著しく局所脂肪を減少させられる。
【0153】
図4を参照されたい。図4はミセルがラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフである。図4で、縦軸は相対総増加体重(%)、横軸は順番にコントロール群、HS-15部分ミセル群、HS-15ミセル群、ELP部分ミセル群、およびELPミセル群である。
【0154】
図4で示すように、コントロール群ラットの相対総増加体重は100.0±20.6%、HS-15部分ミセル群ラットの相対総増加体重は100.0±17.3%、HS-15ミセル群ラットの相対総増加体重は96.4±18.5%、ELP部分ミセル群ラットの相対総増加体重は73.8±11.2%、ELPミセル群ラットの相対総増加体重は54.8±14.3%であった。
【0155】
コントロール群ラットと比べ、ELP部分ミセル群ラットの相対総増加体重は減少の傾向を見せたが、有意差はなかった(p>0.05)。ELPミセル群ラットの相対総増加体重は45.2%減少し、コントロール群と顕著な差(p<0.05)を示した。
【0156】
上述の資料により、ELP部分ミセル剤形中の非イオン性界面活性剤濃度およびクルクミン濃度はELPミセル剤形と一致し、且つ一部のミセルを含むが、ELP部分ミセル剤形は傾向的に体重を減少させられたが、著しく体重を減少させられなかった。一方で、大量の薬物含有ミセルを含むELPミセル剤形は著しく体重を減少させられた。
【0157】
そのため、薬物含有ミセルの形成はクルクミン組成物が体重を著しく減少させるカギである。即ち、少量の薬物含有ミセルを含むクルクミン組成物は傾向的に体重を減少させられ、大量の薬物含有ミセルを含むクルクミン組成物は著しく体重を減少させられる。
【0158】
本実験中、大量のミセルを含むHS-15ミセル剤形は体重を著しく減少させていないが、発明者らの経験により、投与頻度または投与量を増やすと、大量のミセルを含むHS-15ミセル剤形も体重を著しく減少させられるため、非イオン性界面活性剤のHS-15も本特許請求の範囲に含むべきである。
【0159】
実験四:本発明の医薬組成物の調製
上述の実験により、非イオン性界面活性剤でミセルを形成することはクルクミン組成物が局所脂肪を減少させるカギである。したがって、本発明はクルクミン単一医薬組成物中に複数の薬物含有ミセル(micelle)を含む特徴を持つ、一種の局所脂肪を減少させるクルクミン単一薬医薬組成物を提供する。
【0160】
クルクミン単一薬医薬組成物の調製手順:
(a)第一重量のクルクミンと溶媒を混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで150~500rpmで撹拌した。
(b)第二重量の医学薬学上認められる界面活性剤を加え、回転数100~300rpmで撹拌し、溶媒を揮発させ、そのうち前記界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
(c)溶媒を完全に揮発した後、第三重量の医学薬学上認められる水溶液をゆっくり加え、複数の薬物含有ミセルを得た。
(d)0.2μmのフィルターで濾過した後、薬物含有ミセルを含む濾過液を暗所で冷蔵保存する。
【0161】
そのうち、ステップ(c)中、前記薬物含有ミセルは界面活性剤により形成された一つの微細構造であり、且つクルクミンは前記薬物含有ミセルに含まれていて、第三重量は0g以上である。
【0162】
好ましくは、ステップ(c)の操作手順は:溶媒を完全に揮発した後、第三重量の医学薬学上認められる水溶液をゆっくり加え、均一に撹拌し、複数の薬物含有ミセルを得る。
【0163】
好ましくは、ステップ(a)中、溶媒の沸点は純水の沸点より低い。
【0164】
好ましくは、ステップ(a)中、溶媒は親水性溶媒である。
【0165】
好ましくは、前記親水性溶媒はメタノール、エタノール、アセトンおよび他の親水性溶媒から選ばれる1種以上である。
【0166】
好ましくは、ステップ(a)中の溶媒は親油性溶媒である。
【0167】
好ましくは、前記親油性溶媒はジエチルエーテル、ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、ヘキサンおよび他の親油性溶媒から選ばれる1種以上である。
【0168】
好ましくは、ステップ(b)中、前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
【0169】
好ましくは、前記非イオン性界面活性剤はツイーン80(Tween 80)、2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸(solutol HS 15)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivatives)、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である。
【0170】
好ましくは、前記のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体はPEG-35ヒマシ油(Cremophor ELP)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選ばれる1種以上である。
【0171】
好ましくは、ステップ(a)および(b)中、前記第一重量のクルクミンと前記第二重量の界面活性剤の重量比は1:5から1:500である。
【0172】
好ましくは、ステップ(a)および(b)中、前記第一重量のクルクミンと前記第二重量の界面活性剤の重量比は1:20から1:150である。
【0173】
好ましくは、ステップ(a)および(c)中、前記第一重量のクルクミンと前記第三重量の医学薬学上認められる水溶液の重量比は1:400から3:50である。
【0174】
好ましくは、ステップ(c)中、前記医学薬学上認められる水溶液は注射液、注射用水溶液、または生理食塩水である。
【0175】
好ましくは、ステップ(c)中、前記医学薬学上認められる水溶液は局所麻酔薬を含む。
【0176】
好ましくは、ステップ(c)中、前記医学薬学上認められる水溶液は抗酸化物質を含む。
【0177】
実験五:医薬組成物の品質測定
実験5-1 組成分析
医薬組成物を少なくとも20分間静置し、分離が生じなかった場合は粒子径測定装置を用いて測定する。
【0178】
粒子径測定装置(particle size analyzer)を用いて医薬組成物中にミセル(micelle)の有無を測定する。医薬組成物を粒子径測定装置で分析して粒子径は250nm未満、PDI値は0.4未満であり、肉眼で観察して医薬組成物中の溶液は澄んで透明であり、且つ医薬組成物中の溶液にレーザーを照射した後に光路が見られた場合、医薬組成物中にミセルが存在することとなる。
医薬組成物にミセルを有する場合、調製された医薬組成物は、本発明の局所脂肪を減少させるために使用され得る医薬組成物である。
好ましくは、医薬組成物を静置した後分離しなく且つ沈殿物を含まない場合、調製した医薬組成物は本発明の好ましい医薬組成物である。
【0179】
実験5-2 粒子径分布状況を用いて医薬組成物の安定性を分析
粒子径測定装置(particle size analyzer)(Malvernより購入)を用いて粒子径分布状況および多分散指数(polydispersity index;PDI)を測定し、多分散指数が0.4未満の場合、医薬組成物の安定性が良いことを示し、即ち医薬組成物中のミセルは安定に存在しうる。
【0180】
実験5-3 加速安定性試験を用いて医薬組成物の安定性を測定
本発明の医薬組成物の保存条件は摂氏2~8℃である。医薬組成物の安定性を測定するため、発明者らは医薬組成物を比較的高温度且つ高湿度(温度25℃±2℃、相対湿度RH60%±5%)の環境で加速安定性試験を行い、医薬組成物中のミセルが比較的高温度の状態で安定しうる時間を観察し、それに基づき加速安定性の式で摂氏2~8℃の条件下で保存しうる時間を推算した。詳細は以下の通り。
【0181】
医薬組成物が25℃の条件下でnヶ月保存できる場合、前記医薬組成物が5℃の条件下で保存できる時間はnヶ月の2((25-5)/10)倍である。即ち、前記医薬組成物が5℃の条件下で保存できる時間はnヶ月の2、即ち4倍である。
【0182】
例えば、医薬組成物が25℃の条件下で6ヶ月保存できる場合、前記医薬組成物が5℃の条件下で保存できる時間は24ヶ月である(6ヶ月×4倍=24ヶ月)。
【0183】
好ましくは、温度が25℃±2℃、相対湿度がRH60%±5%、直射日光を避けた状態で加速安定性試験行った際、前記医薬組成物は最低24時間沈殿物を発生しない状態を維持した。
【0184】
好ましくは、25℃±2℃、相対湿度がRH60%±5%、直射日光を避けた状態で加速安定性試験行った際、前記医薬組成物は最低6ヶ月沈殿物を発生しない状態を維持した。
好ましくは、温度が2~8℃の条件下で、前記医薬組成物は最低24ヶ月沈殿物を発生しない状態を維持した。
【0185】
実験六:各種非イオン性界面活性剤により形成された薬物含有ミセルの最大薬物負荷量
薬物含有ミセルの最大薬物負荷量は直接注射量を影響するため、局所皮下脂肪層(例えば顔の皮下脂肪層)の一回に収容する薬物の体積、副作用、および負担に大きく影響する。そのため、本実験は各種非イオン性界面活性剤により形成された薬物含有ミセルの最大薬物負荷量を探り、本発明医薬組成物の調製において最適の賦形剤となる非イオン性界面活性剤を検討する。
【0186】
4種類の非イオン性界面活性剤で本実験を行った。前記4種類の非イオン性界面活性剤はPEG-35ヒマシ油(即ちELP)、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアリン酸(即ちHS-15)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40、RH 40)、およびツイーン80(即ちTween 80)であった。
【0187】
実験は4群に分け、それぞれはELP群、HS-15群、RH40群、およびTween 80群であった。
【0188】
実験手順:
(a’)2.0g(第一重量の例)のクルクミンと300~500mLのジクロロメタンを混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで150~500rpmで撹拌した。
(b’)18.0g(第二重量の例)上述一種類の非イオン性界面活性剤を加え、100~300rpmの回転数で撹拌してジクロロメタンを揮発させた。
(c’)溶媒を完全に揮発した後、20gの組成物を得る。2gの前記組成物を採り、8 g(第三重量の例)の注射用生理食塩水をゆっくり加え、均一に撹拌し、分析する組成物を得る。分析する組成物中のクルクミン濃度は20mg/g、且つ非イオン性界面活性剤の濃度は18%である。
【0189】
ELP群、HS-15群、RH40群、およびTween 80群の分析する組成物を20分間以上静置し、分離現象を観察する。分離が発生した場合は、クルクミン濃度が高すぎて分析する組成物中のミセルを破裂させたことを意味する。即ち、前記非イオン性界面活性剤はクルクミン濃度が20mg/gである本発明医薬組成物を調製することができない。
【0190】
実験結果により、HS-15群およびRH40群の分析する組成物は共に分離現象が生じ、ELP群およびTween 80群の分析する組成物のみ分離現象が生じなかったことを示した。そのため、HS-15およびRH40により形成された薬物含有ミセルの最大薬物負荷量は20mg/g未満である。ELPおよびTween 80により形成された薬物含有ミセルはクルクミン濃度が20mg/gの医薬組成物を調製しうる。
【0191】
しかし、Tween 80は毒性を有するため、各国の薬局方(pharmacopoeia)は有害反応または毒性を防ぐため、Tween 80の注射濃度を0.4%未満と規制されている。そのため、Tween 80により形成された薬物含有ミセル薬物負荷量上限は0.44mg/gであるべきだ(式:20mg/g×(0.4%/18%)=0.44mg/g)。
【0192】
ELPの最大薬物負荷制限を明らかにするため、発明者らは引き続き実験六を行ってELPの最大薬物負荷量は111mg/g以上であることを明らかにした(クルクミンとELPは1:8で調製された医薬組成物中に含有するクルクミンは111mg/gである)。
上述の結果により、ELPは本発明医薬組成物を調製する最適の賦形剤である。ELPを用いて調製した医薬組成物中、クルクミン濃度は111mg/gに達せるが、他の非イオン性界面活性剤で調製した医薬組成物のクルクミン濃度はいずれも20mg/g未満であった(表一を参照)。
【0193】
非イオン性界面活性剤の薬物負荷量上限が最も低いのはHS-15およびRH40のうちどれかを明らかにするため、発明者らはさらに前記の非イオン性界面活性剤を用いてクルクミン濃度が10mg/gの本発明医薬組成物を調製した。結果により、ELP、HS-15、RH40、およびTween80は全てクルクミン濃度が10mg/gの本発明医薬組成物を調製することができ、且つ前記クルクミン濃度が10mg/gの本発明医薬組成物はいずれも分離なく澄んでいて、粒子径は順番に15.95±0.24nm、88.23±116.06nm、21.63±9.34nm、11.37±0.13nm、PDI値は順番に0.32±0.02、0.48±0.27、0.26±0.09、0.33±0.04である。
【0194】
そのうち、HS-15を用いてクルクミン濃度が10mg/gの本発明医薬組成物を調製した際、調製された医薬組成物のPDI値は0.4を超えるため、本発明のミセルが存在する定義(粒子径が250nm未満、PDI値が0.4未満、医薬組成物中の溶液を肉眼で観察する際は澄んで透明であり、且つ医薬組成物中の溶液にレーザーを照射した後に光路が見られる)と一致しない。そのため、本発明で使われる非イオン性界面活性剤中、HS-15の薬物負荷上限が最も低い。
【0195】
【表1】
【0196】
実験六:PEG-35ヒマシ油(ELP)を用いて医薬組成物を調製
本実験はクルクミンとPEG-35ヒマシ油の比率変化で一連の本発明医薬組成物を調製し、且つ安定性分析を行ってクルクミンとPEG-35ヒマシ油の適切な比率およびELPを用いて本発明医薬組成物を調製した際の最大薬物負荷量を明らかにした。
【0197】
実験は9群(即ち1~9群)に分け、各群の医薬組成物の調製方法は実験五の実験手順と概ね同じで、クルクミンの重量(ステップ(a’)の第一重量)、ELP重量(ステップ(b’)の第二重量)、注射用生理食塩水の重量(ステップ(c’)の第三重量)にのみ違いがあった。本実験中のクルクミンの重量(ステップ(a’)の第一重量)、ELP重量(ステップ(b’)の第二重量)、注射用生理食塩水の重量(ステップ(c’)の第三重量)の添加した比例は表二の通りであった。
【0198】
本実験中、1~9群のクルクミンとELPの比率(重量比)は順番に一対四(1:4)、一対五(1:5)、一対八(1:8)、一対十(1:10)、一対二十(1:20)、一対四十(1:40)、一対百(1:100)、および一対百五十(1:150)、一対五百(1:500)であり、且つ調製された1~9群の医薬組成物中、クルクミンの最終濃度は順番に200mg/g、167mg/g、111mg/g、91mg/g、47.62mg/g、7.5mg/g、3mg/g、2mg/g、0.5mg/gであった。即ち、1~9群医薬組成物の調製方法中、ステップ(a’)中のクルクミンとステップ(b’)中のELP重量比(第一重量と第二重量の比)は順番に一対四、一対五、一対八、一対十、一対二十、一対四十、一対百、一対百五十、および一対五百であり、且つステップ(c’)に第三重量の注射用生理食塩水を加えた後、最終クルクミン濃度が200mg/g、167mg/g、111mg/g、91mg/g、47.62mg/g、7.5mg/g、3mg/g、2mg/g、および0.5mg/gである医薬組成物を調製した。そのうち、薬物最終濃度をmg/gで表示された際、グラム当たりの医薬組成物中に含有するクルクミンのミリグラム数を意味する。
【0199】
粒子径測定装置(particle size analyzer)を用いて医薬組成物中にミセル(micelle)の有無を測定し、且つミセルの粒子径を測定した。
【0200】
粒子径測定装置(particle size analyzer)を用いて粒子径分布状況および多分散指数(polydispersity index; PDI)を測定し、医薬組成物の安定性を評価した。高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、HPLC、例えばHPLC-UV)を用いてミセル中のクルクミン含有量を分析し、「初期薬物含有量」と定義する。
【0201】
【表2】
【0202】
加速安定性試験を用いて医薬組成物が3ヶ月の高温条件保存(25±2℃)で分離の有無を観察し、且つ高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、HPLC、例えばHPLC-UV)を用いてミセル中のクルクミン含有量を分析し、「加速実験後の薬物含有量」と定義した。「加速実験後の薬物含有量」を「初期薬物含有量」で割り、「薬物含有率」を得た。薬物含有率が95%以上の場合、医薬組成物の安定性が優れていることを意味する。
【0203】
表三を参照されたい。表三は医薬組成物の安定性分析結果である。表三によると、2~9群医薬組成物はミセルがあるため、クルクミンとELPの比率が1:5から1:500で調製された医薬組成物は、全て本発明の局所脂肪を減少させるために使用され得る医薬組成物である。
【0204】
安定性において、クルクミンとELPの比率が1:4および1:5の際に、PDIは0.4を超える。クルクミンとELPの比率が1:8から1:500の際に、PDIは0.4未満であった。そのため、安定性のより良い本発明の局所脂肪を減少させるために使用され得る医薬組成物を調製するため、クルクミン割りELPは五分の一(1/5)未満であるべきだ。即ち、安定性のより良い本発明の局所脂肪を減少させるために使用され得る医薬組成物を調製するため、クルクミンの重量を1重量単位にする際、ELPの重量は5重量単位を超えるべきだ。好ましくは、クルクミンの重量を1重量単位にする際、ELPの重量は8~500重量単位である。好ましくは、クルクミンの重量を1重量単位にする際、ELPの重量は20~150重量単位である。
【0205】
表三の資料により、5~8群医薬組成物を25℃の環境下で3ヶ月保存した後、各試料のクルクミン薬物含有率はいずれも95%を超え、且つ初期薬物含有量と比較して著しく減少していない。前記の結果により、上述医薬組成物は優れた安定性を持ち、且つ加速実験の式に基づき、前記医薬組成物は2~8℃の冷蔵条件において、少なくとも24ヶ月保存できる。
【0206】
【表3】
【0207】
空欄は未分析を意味する。
【0208】
実験七:クルクミン-レスベラトロール複合薬皮下注射剤がラットの皮下脂肪量に対する影響
実験7-1 レスベラトロール単一薬皮下注射剤がラットの皮下脂肪量に対する影響
レスベラトロール皮下注射剤の調製方法:
レスベラトロールを適量の注射用生理食塩水と混ぜ、レスベラトロール皮下注射剤を得た。
【0209】
ラットを高脂肪食コントロール群およびレスベラトロール群に分け、各群は6頭のラットを含む。ラットの給餌方法は実験二と同様であった。レスベラトロール皮下注射剤をレスベラトロール群の鼠径下の皮下脂肪層に注射し、毎回レスベラトロールの注射量はキログラム当たり8mgであった(8mg/kg)。高脂肪食コントロール群は上述の注射方法で同じ体積の注射用水を投与した。
【0210】
上述注射部位はラット鼠径下の脂肪部であり、左右両側均等に注射した。実験の1、3、および5日目に各1回注射した。実験期間毎日高脂肪食を給餌し、且つ毎日体重変化を記録し、週一回飲水量摂食量を記録した。実験は20日間行い、21日目に二酸化炭素で犠死した。
【0211】
図5を参照されたい。図5は賦形剤を含まないレスベラトロール皮下注射剤がラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフである。
【0212】
図5で示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100.00±21.51%、レスベラトロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は111.59±11.288%であった。レスベラトロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は高脂肪食コントロール群と有意差がないため、賦形剤を含まない親油性植物抽出物-レスベラトロールは投与部位の脂肪(局所脂肪)を減少させることができないと示した。そのため、発明者らは直接レスベラトロールおよびクルクミンを混合して皮下脂肪に注射しても、局所脂肪を減少させられないと思い、さらに賦形剤が複合薬(レスベラトロール+クルクミン)の局所脂肪溶解効果に有益であるかを検討する。
【0213】
実験7-2 賦形剤を含むクルクミン-レスベラトロール混合薬がラットの皮下脂肪量に対する影響
以下の方法で剤形Aを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液、およびELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液を調製した。
【0214】
剤形Aを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液の調製方法:
0.05gのレスベラトロール、0.2gのクルクミン、および2gのマンニトール(mannitol)粉砕しよく混ぜ、一つの粉末を得た。0.05gのカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose,、CMC)を40mLの滅菌水と混ぜ、60℃~70℃まで加熱して溶かし、0.055gのツイーン80(polysorbate 80、 Tween 80)を加え完全に溶けるまで撹拌し、50mLまでメスアップして一つの液剤を得た。液剤を粉末の中に入れ、混ぜ合わせると剤形Aを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液を得た。前記剤形AはTween 80にマンニトール加えたことを意味する。前記剤形Aを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液中にミセルを含まず、クルクミン濃度は4mg/mL、レスベラトロール濃度は1mg/mLであった。
【0215】
ELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液の調製方法:
0.2gのレスベラトロール、0.8gのクルクミン、および150~200mLのジクロロメタンを混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで150~500rpmで撹拌した。40gのPEG-35ヒマシ油(Kolliphor ELP、ポリオキシル35ヒマシ油(polyoxyl 35 castor oil)、ポリオキシル35硬化ヒマシ油(polyoxyl 35 hydrogenated castor oil)、ELPと略する)を加え、100~300rpmの回転数で撹拌してジクロロメタンを揮発させた。ジクロロメタンを完全に揮発した後、最終体積が200mLになるように注射用生理食塩水をゆっくり加え、撹拌した後ELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液を得た。上述ELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液中にミセルを含み、クルクミン濃度は4mg/mL、レスベラトロール濃度は1mg/mL、PEG-35ヒマシ油(ELP)の濃度は約重量百分率20%であり、且つクルクミン、レスベラトロール、とPEG-35ヒマシ油の重量比は4:1:200であった。
【0216】
ラットをランダムで高脂肪食コントロール群、剤形Aの複合薬低用量群、剤形Aの複合薬高用量群、およびELPの複合薬低用量群の4群に分け、ラットの給餌方法は実験二と同様であった。
【0217】
剤形Aを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液を剤形Aの複合薬低用量群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり0.2mLの剤形Aを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液(0.2mL/kg)であり、毎回の注射量は体重キログラム当たり1mgクルクミン-レスベラトロール複合薬(1mg/kg)になるようにした。剤形Aを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液を剤形Aの複合薬高用量群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり1mLの剤形Aを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液(1mL/kg)であり、毎回の注射量は体重キログラム当たり5mgクルクミン-レスベラトロール複合薬(5mg/kg)になるようにした。ELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液をELPの複合薬低用量群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり0.2mLのELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液(0.2mL/kg)であり、毎回の注射量は体重キログラム当たり1mgクルクミン-レスベラトロール複合薬(1mg/kg)になるようにした。高脂肪食コントロール群は上述と同様な方法で同じ体積の注射用生理食塩水を注射投与した。
【0218】
上述注射部位はラット鼠径下の脂肪部であり、左右両側均等に注射した。実験の1、3、および5日目に各1回注射した。実験期間毎日高脂肪食を給餌し、実験は20日間行い、21日目に二酸化炭素で犠死した。
【0219】
図6を参照されたい。図は異なる賦形剤で調製したクルクミン-レスベラトロール複合薬の皮下注射剤がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフである。
【0220】
図6で示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100.0±13%、剤形Aの複合薬低用量群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は134.9±39%、剤形Aの複合薬高用量群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は134.9±14%、ELPの複合薬低用量群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は71.1±14%であった。高脂肪食コントロール群と比べ、剤形Aの複合薬低用量群または剤形Aの複合薬高用量群は投与部位の脂肪(局所脂肪)を著しく減少することができなかった(p>0.05)。
【0221】
ELPの複合薬低用量群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量はコントロール群ラットと顕著な差(p<0.05)を示し、且つELPの複合薬低用量群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は28.9%減少した。上述の調製方法により、投与したELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液中に薬物含有ミセル(クルクミンを含む)および第二親油性薬物ミセル(レスベラトロールを含む)を含有することを明らかにした。そのため、クルクミン単一薬医薬組成物と同じく、ミセルの形成もクルクミン-レスベラトロール複合薬が局所脂肪を顕著に減少させられるカギである。
【0222】
実験7-3 クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物と単一薬医薬組成物の比較
以下の方法で本発明クルクミン単一薬医薬組成物、レスベラトロール単一薬医薬組成物、およびクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を調製した。
【0223】
クルクミン単一薬医薬組成物の調製方法:実験二のクルクミンELP溶液の調製方法と同様に行った。そのうち、クルクミン濃度は5mg/mLであった。
【0224】
レスベラトロール単一薬医薬組成物の調製方法:実験二のクルクミンELP溶液の調製方法と概ね同様で、クルクミンをレスベラトロールに換えて行った。調製したレスベラトロール単一薬医薬組成物中、レスベラトロール濃度は5mg/mLであった。
【0225】
クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の調製方法:実験7-2のELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液の調製方法と同様に行った。そのうち、クルクミンとレスベラトロールの全濃度は5mg/mL、且つクルクミンとレスベラトロールの比率は4:1であった。
【0226】
ラットを高脂肪食コントロール群、クルクミン群、レスベラトロール群、およびクルクミン-レスベラトロール複合薬群に分け、各群は5頭のラットを含む。ラットの給餌方法は実験二と同様であった。
【0227】
クルクミン単一薬医薬組成物、レスベラトロール単一薬医薬組成物、およびクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物をそれぞれクルクミン群、レスベラトロール群、およびクルクミン-レスベラトロール複合薬群ラットの鼠径下の皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり2mL(2mL/kg)であり、毎回の注射量は体重キログラム当たり10mg(10mg/kg)になるようにした。即ち、クルクミン群ラットに体重キログラム当たり10mgのクルクミン、レスベラトロール群ラットに体重キログラム当たり10mgのレスベラトロール、クルクミン-レスベラトロール複合薬群ラットに体重キログラム当たり8mgのクルクミンおよび2mgのレスベラトロールを投与した。高脂肪食コントロール群は上述と同様な方法で同じ体積の注射用生理食塩水を注射投与した。
【0228】
上述注射部位はラット鼠径下の脂肪部であり、左右両側均等に注射した。実験の1、2、3、および4日目に各1回注射した。実験期間毎日高脂肪食を給餌し、実験は14日間行い、15日目に二酸化炭素で犠死した。
【0229】
毎回各群に10mg/kgの薬物を投与しているため、クルクミン-レスベラトロール複合薬群ラットの局所脂肪溶解効果はクルクミン群とレスベラトロール群の間であるはずだ。クルクミン-レスベラトロール複合薬群ラットの局所脂肪溶解効果がクルクミン群およびレスベラトロール群よりも優れている場合、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物は局所脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0230】
図7を参照されたい。図7はミセルを含むクルクミン単一薬、レスベラトロール単一薬、およびクルクミン-レスベラトロール複合薬の皮下注射剤がラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフである。
【0231】
図7で示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100.0±14.6%、クルクミン群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は93.5±6.5%、レスベラトロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は91.6±27.8%、クルクミン-レスベラトロール複合薬群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は80.0±5.8%であった。高脂肪食コントロール群と比べ、クルクミン群またはレスベラトロール群は投与部位の脂肪(局所脂肪)を著しく減少することができなかった(p>0.05)。
【0232】
クルクミン-レスベラトロール複合薬群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は高脂肪食コントロール群ラットと顕著な差(p<0.05)を示し、且つクルクミン-レスベラトロール複合薬群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は20%減少した。
【0233】
クルクミン群、レスベラトロール群、およびクルクミン-レスベラトロール複合薬群ラットを比較すると、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物は局所脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0234】
実験7-4 投与頻度がラットの皮下脂肪量および体重に対する影響
本実験はクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を投与する際、トータル投与量は同じで投与頻度を変え、投与頻度がラットの皮下脂肪量および体重に対する影響を評価した。本実験はさらに市販の局所脂肪溶解注射剤の主要成分をラットの投与し、本発明クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物と市販の局所脂肪溶解注射剤がラット皮下脂肪量および体重に対する影響を同時に比較する。
【0235】
以下の方法でデオキシコール酸ナトリウム溶液およびクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を調製した。
【0236】
デオキシコール酸ナトリウム溶液の調製方法:適量のデオキシコール酸ナトリウムを注射用滅菌水と混ぜ、デオキシコール酸ナトリウムの濃度を2.575mg/mLにし、撹拌した後デオキシコール酸ナトリウム溶液とした。そのうち、デオキシコール酸ナトリウム(sodium deoxycholate、Sigma-Aldrich、商品コードD6750)は市販の局所脂肪溶解注射剤ATX-101(商品名はKybella)の主要成分である。
【0237】
クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の調製方法:実験7-2のELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液の調製方法と同様に行った。そのうち、クルクミンとレスベラトロールの全濃度は5mg/mL、且つクルクミンとレスベラトロールの比率は4:1であった。
【0238】
ラットをランダムで高脂肪食コントロール群、デオキシコール酸ナトリウム群、クルクミン-レスベラトロール高頻度投与群(本実験中は高頻度投与群と略す)、およびクルクミン-レスベラトロール低頻度投与群(本実験中は低頻度投与群と略す)の4群に分け、ラットの給餌方法は実験二と同様であった。
【0239】
以下で薬物の投与方法を説明する。
【0240】
デオキシコール酸ナトリウム群:デオキシコール酸ナトリウム溶液をデオキシコール酸ナトリウム群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり10.3mg(10.3mg/kg、計算式は2.575mg/mL×4mL/kg=10.3mg/kg)になるようにした。実験の1、3、5日目に各1回注射し、全3回注射をして、トータル投与量は30.9mg/kgであった(10.3mg/kg×3回=30.9mg/kg)。
【0241】
高頻度投与群:クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を高頻度投与群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり20mg(20mg/kg、計算式は5mg/mL×4mL/kg=20mg/kg)になるようにした。実験の1、3、5、7、9、11日目に各1回注射し、全6回注射をして、トータル投与量は120mg/kgであった(20mg/kg×6回=120mg/kg)。
【0242】
低頻度投与群:クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を低頻度投与群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり8mL(8mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり40mg(40mg/kg、計算式は5mg/mL×8mL/kg=40mg/kg)になるようにした。実験の1、3、5日目に各1回注射し、全3回注射をして、トータル投与量は120mg/kgであった(40mg/kg×3回=120mg/kg)。
【0243】
高脂肪食コントロール群:上述と同様な方法で同じ体積の注射用水を注射投与した。
【0244】
実験期間毎日高脂肪食を給餌し、実験は20日間行い、21日目に二酸化炭素で犠死した。
【0245】
図8Aおよび図8Bを参照されたい。図8Aはクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の供与頻度がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフであり、図8Bはクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の供与頻度がラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフである。
【0246】
図8Aで示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100.0±22.6%、デオキシコール酸ナトリウム群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は88.8±16.7%、高頻度投与群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は62.3±5.1%、低頻度投与群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は65.4±11.3%であった。高脂肪食コントロール群と比べ、高頻度投与群および低頻度投与群はいずれも投与部位の脂肪(局所脂肪)を著しく減少させた(p<0.05)。そのため、クルクミン-レスベラトロール複合薬の濃度が十分であれば、低頻度投与でも局所脂肪溶解の効果を得有られる。
低頻度投与群と比べ、高頻度投与群の局所脂肪溶解効果はより優れている。そのため、高頻度投与と低頻度投与の間に著しい違いはないが、高頻度投与の局所脂肪溶解効果はより良い傾向を見せた。
【0247】
図8Bで示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対総増加体重は100.0±11.6%、デオキシコール酸ナトリウム群ラットの相対総増加体重は100.2±12.6%、高頻度投与群ラットの相対総増加体重は63.5±5.5%、低頻度投与群ラットの相対総増加体重は78.7±11.5%であった。高脂肪食コントロール群の相対総増加体重と比べ、低頻度投与群と高頻度投与群の相対総増加体重は著しく減少し(p<0.05)、且つ相対総増加体重はそれぞれ21.3%と36.5%減少し、顕著な体重減少効果を見られた。
【0248】
そのため、本発明クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物は体重を著しく減少させられ、且つ高頻度投与群の体重減少効果は低頻度投与群よりも著しく優れている(p<0.05)。
【0249】
発明者らの経験により、ラットに適用する投与頻度は3~6回の場合、人間に適用する投与頻度は1~12回になる。好ましくは、人間において投与頻度は1~6回である。
【0250】
好ましくは、人間においての投与頻度は1~30日置きに1~12回である。好ましくは、人間においての投与頻度は1~30日置きに1~6回である。若しくは、好ましくは、人間においての投与頻度は1~20日置きに3~60回である。好ましくは、人間においての投与頻度は1~14日置きに6~42回である。
【0251】
実験7-5 投与量がラットの皮下脂肪量に対する影響
本実験は各群のラットにクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を投与する際、投与量を変え、投与量がラットの皮下脂肪量に対する影響を評価した。本実験はさらにもう一種類臨床試験を行っている局所脂肪溶解注射剤の主要成分をラットの投与し、本発明クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物ともう一種類臨床試験を行っている局所脂肪溶解注射剤がラット皮下脂肪量に対する影響を同時に比較する。
【0252】
以下の方法でELP溶液、LIPO-202溶液、およびクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を調製した。
【0253】
ELP溶液:18gのPEG-35ヒマシ油(Kolliphor ELP、ポリオキシル35ヒマシ油(polyoxyl 35 castor oil)、ポリオキシル35硬化ヒマシ油(polyoxyl 35 hydrogenated castor oil)、ELPと略す)を適量の注射用生理食塩水と混ぜ最終体積を90mLにし、撹拌した後ELP溶液を得た。そのうち、ELP濃度は約20%である。
【0254】
LIPO-202溶液の調製方法:
LIPO-202は臨床試験を行っている局所脂肪溶解注射剤であり、主要成分はサルメテロールキシナホ酸塩(salmeterolxinafonate)である。
【0255】
(i)1mgのサルメテロールキシナホ酸塩(Sigma-Aldrichより購入)を適量のメタノールと混ぜ、トータル体積を1mLにして1mg/mLのstock solutionを得た。
【0256】
(ii)滅菌水でstock solutionを連続10倍希釈して、サルメテロールキシナホ酸塩の最終濃度を0.01μg/mLに調製し、本実験に使われるLIPO-202溶液にした。
【0257】
クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の調製方法:実験7-2のELPを含むクルクミン-レスベラトロール複合薬溶液の調製方法と同様に行った。そのうち、クルクミンとレスベラトロールの全濃度は5mg/mL、クルクミンとレスベラトロールの比率は4:1、且つELP濃度は20%であった。
【0258】
ラットをランダムで高脂肪食コントロール群、コントロール群、LIPO-202群、複合薬1mg/mL群、複合薬5mg/mL群、複合薬10mg/mL群、および複合薬20mg/mL群の7群に分け、ラットの給餌方法は実験二と同様であった。
【0259】
以下で薬物の投与方法を説明する。
【0260】
コントロール群:ELP溶液をコントロール群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)であった。
【0261】
LIPO-202群:LIPO-202溶液をLIPO-202群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり0.04μg(0.04μg/kg、計算式は0.01μg/mL×4mL/kg=0.04μg/kg)になるようにした。
【0262】
複合薬1mg/mL群:クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を複合薬1mg/mL群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり0.2mL(0.2mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり1mg(1mg/kg、計算式は5mg/mL×0.2mL/kg=1mg/kg)になるようにした。
【0263】
複合薬5mg/mL群:クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を複合薬5mg/mL群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり1mL(1mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり5mg(5mg/kg、計算式は5mg/mL×1mL/kg=5mg/kg)になるようにした。
【0264】
複合薬10mg/mL群:クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を複合薬10mg/mL群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり2mL(2mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり10mg(10mg/kg、計算式は5mg/mL×2mL/kg=10mg/kg)になるようにした。
【0265】
複合薬20mg/mL群:クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物を複合薬20mg/mL群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり20mg(20mg/kg、計算式は5mg/mL×4mL/kg=20mg/kg)になるようにした。
【0266】
高脂肪食コントロール群:上述と同様な方法で同じ体積の注射用水を注射投与した。
【0267】
実験の1、2、3、4日目に各1回注射し、実験期間毎日高脂肪食を給餌し、実験は14日間行い、15日目に二酸化炭素で犠死した。
【0268】
図9を参照されたい。図9はクルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物の供与量がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフである。
【0269】
図9で示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100±15.2%、コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は99.2±22.0%、LIPO-202群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は97.8±12.8%、複合薬1mg/mL群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は90.1±12.2%、複合薬5mg/mL群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は80.9±13.9%、複合薬10mg/mL群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は73.9±9.5%、複合薬20mg/mL群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は64.1±12.0%であった。
【0270】
そのため、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物は投与量が5mg/kgの際に著しい局所脂肪溶解効果を持ち、且つ投与量が高いほど効果が著しい。クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物は投与量が1mg/kgの際に、著しい局所脂肪溶解効果はないか、その傾向は見られた。発明者らの経験により、投与頻度を上げれば、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物は投与量が1mg/kgの際にも著しい局所脂肪溶解効果が見られる。
【0271】
発明者らの経験により、ラットに適用する投与量は1mg/kg~20mg/kgの場合、人間に適用する投与量は0.01~40mg/kgになる。好ましくは、人間において投与量は0.1~20mg/kgである。
【0272】
好ましくは、人間において平方センチメートル当たり0.02~20mg投与する。好ましくは、人間において平方センチメートル当たり0.04~16mg投与する。好ましくは、人間において平方センチメートル当たり0.2~12mg投与する。好ましくは、人間において平方センチメートル当たり0.4~8mg投与する。
【0273】
好ましくは、人間においてキログラム当たり0.01~40mg投与する。好ましくは、人間においてキログラム当たり0.4~40mg投与する。好ましくは、人間においてキログラム当たり0.8~20mg投与する。
【0274】
実験八:クルクミン複合薬医薬組成物が脂肪溶解に対する影響
本実験はクルクミンとレスベラトロール以外の親油性薬物を用いて複合薬医薬組成物を調製し、各種親油性複合薬医薬組成物が成熟脂肪細胞に対する脂肪溶解効果を評価する。本実験はプエラリン(puerarin)、ケルセチン(quercetin)、およびシネフリン(synephrine)を用いて各種親油性薬物複合薬医薬組成物を調製した。
【0275】
実験8-1 細胞毒性測定
細胞生存実験(MTT assay)を用いて、50ppmのクルクミン、プエラリン(puerarin)、ケルセチン(quercetin)、またはシネフリン(synephrine)は脂肪細胞以外、他の細胞に対し毒性の有無を評価し、毒性がない場合のみ脂肪溶解測定を行った。
【0276】
実験結果により、50ppmのクルクミン、プエラリン(puerarin)、ケルセチン(quercetin)、およびシネフリン(synephrine)はラット脂肪細胞以外の一般体細胞(somatic cells)に対して細胞毒性がないため、この投与量において一般体細胞に影響はない。
【0277】
実験8-2 成熟脂肪細胞脂肪溶解効果
以下の方法でDMSOコントロール群細胞培養液、クルクミン細胞培養液、プエラリン細胞培養液、ケルセチン細胞培養液、シネフリン細胞培養液、クルクミン-プエラリン複合薬細胞培養液、クルクミン-ケルセチン複合薬細胞培養液、およびクルクミン-シネフリン複合薬細胞培養液を調製した。
【0278】
DMSOコントロール群細胞培養液:DMSOを適量の滅菌水と混ぜ、0.5%のDMSO溶液を調製した。0.5%DMSO溶液を細胞培養液(商品名はDulbecco’s Modified Eagle Medium、Gibcoより購入)と混ぜ、DMSOコントロール群細胞培養液を調製した。そのうち、0.5%DMSO溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0279】
クルクミン細胞培養液:クルクミンを適量の0.5%DMSO溶液と混ぜ、クルクミン溶液を調製した。クルクミン溶液を細胞培養液(商品名はDulbecco’s Modified Eagle Medium、Gibcoより購入)と混ぜ、50ppmのクルクミンを含むクルクミン細胞培養液を調製した。そのうち、クルクミン溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0280】
プエラリン細胞培養液:プエラリン(Sigma-Aldrichより購入)を適量の0.5%DMSO溶液と混ぜ、プエラリン溶液を調製した。プエラリン溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのプエラリンを含むプエラリン細胞培養液を調製した。そのうち、プエラリン溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0281】
ケルセチン細胞培養液:ケルセチン(Sigma-Aldrichより購入)を適量の0.5%DMSO溶液と混ぜ、ケルセチン溶液を調製した。ケルセチン溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのケルセチンを含むプエラリン細胞培養液を調製した。そのうち、ケルセチン溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0282】
シネフリン細胞培養液:シネフリン(Sigma-Aldrichより購入)を適量の0.5%DMSO溶液と混ぜ、シネフリン溶液を調製した。シネフリン溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのシネフリンを含むシネフリン細胞培養液を調製した。そのうち、シネフリン溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0283】
クルクミン-プエラリン複合薬細胞培養液:クルクミンとプエラリンを適量の0.5%DMSO溶液と混ぜ、クルクミン-プエラリン複合薬溶液を調製した。そのうち、クルクミンとプエラリンの重量比は2:3であった。クルクミン-プエラリン複合薬溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのクルクミン-プエラリン複合薬を含むクルクミン-プエラリン複合薬細胞培養液を調製した。そのうちクルクミンの濃度は20ppm、プエラリンの濃度は30ppm、且つクルクミン-プエラリン複合薬溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0284】
クルクミン-ケルセチン複合薬細胞培養液:クルクミンとケルセチンを適量の0.5%DMSO溶液と混ぜ、クルクミン-ケルセチン複合薬溶液を調製した。そのうち、クルクミンとケルセチンの重量比は2:3であった。クルクミン-ケルセチン複合薬溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのクルクミン-ケルセチン複合薬を含むクルクミン-ケルセチン複合薬細胞培養液を調製した。そのうちクルクミンの濃度は20ppm、ケルセチンの濃度は30ppm、且つクルクミン-ケルセチン複合薬溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0285】
クルクミン-シネフリン複合薬細胞培養液:クルクミンとシネフリンを適量の0.5%DMSO溶液と混ぜ、クルクミン-シネフリン複合薬溶液を調製した。そのうち、クルクミンとシネフリンの重量比は2:3であった。クルクミン-シネフリン複合薬溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのクルクミン-シネフリン複合薬を含むクルクミン-シネフリン複合薬細胞培養液を調製した。そのうちクルクミンの濃度は20ppm、シネフリンの濃度は30ppm、且つクルクミン-シネフリン複合薬溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0286】
成熟脂肪細胞脂肪溶解効果の実験手順
3T3-L1前脂肪細胞(台湾食品工業発展研究所(BCRC)より購入)を12 well plateに接種し、各well中の細胞数を1×10にした。2日間培養後、細胞分化誘導培養液(DMI medium、0.5μM IBMX(Sigma-Aldrichより購入)、0.1μM Dexamethasone(Sigma-Aldrichより購入)、および5μg/ml Insulin(Humunlin R.より購入)を含む)で2日間培養した。その後、5μg/mlのインスリン(Insulin)を含む細胞培養液で6日間培養し、細胞形態が紡錘形から球形になり且つ細胞内に多くの脂肪滴を積み重ねた際、成熟脂肪細胞に分化したと示す。
【0287】
成熟脂肪細胞をDMSOコントロール群、クルクミン群、プエラリン群、ケルセチン群、シネフリン群、クルクミン-プエラリン複合薬群、クルクミン-ケルセチン複合薬群、およびクルクミン-シネフリン複合薬群の8群に分けた。
【0288】
DMSOコントロール群細胞培養液、クルクミン細胞培養液、プエラリン細胞培養液、ケルセチン細胞培養液、シネフリン細胞培養液、クルクミン-プエラリン複合薬細胞培養液、クルクミン-ケルセチン複合薬細胞培養液、およびクルクミン-シネフリン複合薬細胞培養液で、それぞれDMSOコントロール群、クルクミン群、プエラリン群、ケルセチン群、シネフリン群、クルクミン-プエラリン複合薬群、クルクミン-ケルセチン複合薬群、およびクルクミン-シネフリン複合薬群中の成熟脂肪細胞を24時間培養した。
【0289】
アネキシンVタンパク質(eBioscienceより購入)およびPropidium iodide染色液(eBioscienceより購入、PIと略す)を各群の細胞と一定時間混合後、フローサイトメトリー(flow cytometry)を用いて各群細胞がアネキシンVタンパク質およびPI染色液にラベル(label)された比率を分析し、成熟脂肪細胞がアポトーシス(apoptosis)した比率を評価した。そのうち、同時にアネキシンVタンパク質とPI染色液にラベルされた成熟脂肪細胞は、アポトーシスに入ったことを意味する。アポトーシスに入った成熟脂肪細胞が多いほど、投与した薬物の脂肪溶解効果が良いことを意味し、且つ脂肪溶解は細胞壊死(necrosis)によるのでなくアポトーシスによることを意味する。
【0290】
平均値±SDでデータ表示し、一元配置分散分析(one-way ANOVA)で統計処理した。統計処理の結果は記号またはアルファベットで表示し、記号またはアルファベットが異なる場合は有意差がある(p<0.05)ことを示し、記号またはアルファベットが同じの場合は有意差がない(p>0.05)ことを示す。
【0291】
各群に投与したトータル薬物量は全て50ppmであるため、クルクミン-プエラリン複合薬群のアポトーシス効果はクルクミン群とプエラリン群の間であるはずだ。クルクミン-プエラリン複合薬群のアポトーシス効果がクルクミン群およびプエラリン群よりも優れている場合、クルクミン-プエラリン複合薬医薬組成物は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。同様に、クルクミン-ケルセチン複合薬群のアポトーシス効果はクルクミン群とケルセチン群の間であるはずだ。クルクミン-ケルセチン複合薬群のアポトーシス効果がクルクミン群およびケルセチン群よりも優れている場合、クルクミン-ケルセチン複合薬医薬組成物は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。クルクミン-シネフリン複合薬群のアポトーシス効果はクルクミン群とシネフリン群の間であるはずだ。クルクミン-シネフリン複合薬群のアポトーシス効果がクルクミン群およびシネフリン群よりも優れている場合、クルクミン-シネフリン複合薬医薬組成物は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0292】
図10を参照されたい。図10はクルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物が成熟脂肪細胞のアポトーシスに対する影響を示す。
【0293】
図10の結果により、DMSOコントロール群のアポトーシス率は0.8±0.2%、クルクミン群のアポトーシス率は78.4±5.4%、プエラリン群のアポトーシス率は2.0±1.6%、ケルセチン群のアポトーシス率は1.8±0.6%、シネフリン群のアポトーシス率は0.9±0.2%、クルクミン-プエラリン複合薬群のアポトーシス率80.0±5.9%、クルクミン-ケルセチン複合薬群のアポトーシス率は80.4±7.0%、クルクミン-シネフリン複合薬群のアポトーシス率は80.8±4.8%であった。
【0294】
クルクミン群、プエラリン群、およびクルクミン-プエラリン複合薬群のアポトーシス効果を比較すると、クルクミン-プエラリン複合薬群は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0295】
クルクミン群、ケルセチン群、およびクルクミン-ケルセチン複合薬群のアポトーシス効果を比較すると、クルクミン-ケルセチン複合薬群は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0296】
クルクミン群、シネフリン群、およびクルクミン-シネフリン複合薬群のアポトーシス効果を比較すると、クルクミン-シネフリン複合薬群は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0297】
そのため、クルクミンと各種親油性薬物による複合薬医薬組成物は全て脂肪溶解効果があり、且つクルクミンと各種親油性薬物は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。そのため、本発明はクルクミンと各種親油性薬物で薬物含有ミセルおよび第二親油性薬物ミセルを調製し、さらにクルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物を調製し、局所脂肪溶解および体重減少の医薬組成物として用いられる。
【0298】
本発明は第一種のクルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物を調製する方法を提供し、前記クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物は複数の薬物含有ミセル(micelle)および第二親油性薬物ミセルを含む。第一種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法以下の通りである。
(A)薬物含有ミセル副構成物の調製手順で、一つの薬物含有ミセル副構成物を調製する。
(B)第二親油性薬物副構成物の調製手順で、一つの第二親油性薬物副構成物を調製する。
(C)前記薬物含有ミセル副構成物と前記第二親油性薬物副構成物を混合し、クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物を調製した。
【0299】
そのうち、前記薬物含有ミセル副構成物の調製手順(A)は以下のステップ(a2)~(d2)を含む:
(a2)クルクミンと第一溶媒を混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで150~500rpmで撹拌した。
(b2)医学薬学上認められる第一界面活性剤を加え、回転数100~300rpmで撹拌し、第一溶媒を揮発させ、そのうち前記第一界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
(c2)第一溶媒を完全に揮発した後、複数の薬物含有ミセルを得た。
(d2)0.2μmフィルターで濾過し、濾過液は薬物含有ミセルを含む前記薬物含有ミセル副構成物になる。
【0300】
且つ、前記第二親油性薬物副構成物の調製手順(B)は以下のステップ(a3)~(d3)を含む:
(a3)一つの第二親油性薬物と第二溶媒を混合し、室温で第二親油性薬物が完全に溶解するまで200~500rpmで撹拌した。
(b3)医学薬学上認められる第二界面活性剤を加え、回転数100 ~300 rpmで撹拌し、第二溶媒を揮発させ、そのうち前記第二界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
(c3)第二溶媒を完全に揮発した後、複数の第二親油性薬物ミセルを得た。
(d3)0.2μmフィルターで濾過し、濾過液は第二親油性薬物ミセルを含む前記第二親油性薬物ミセル副構成物になる。
そのうち、ステップ(c2)中、前記薬物含有ミセルは第一界面活性剤により形成された一つの微細構造であり、且つクルクミンは前記薬物含有ミセルに包まれている。ステップ(c3)中、前記第二親油性薬物ミセルは第二界面活性剤により形成された一つの微細構造であり、且つ前記第二親油性薬物ミセルで前記第二親油性薬物を包んでいる。
【0301】
好ましくは、ステップ(c2)の操作手順は:第一溶媒を完全に揮発した後、医学薬学上認められる水溶液をゆっくり加え、均一に撹拌し、複数の薬物含有ミセルを得る。
【0302】
好ましくは、ステップ(c3)の操作手順は:第二溶媒を完全に揮発した後、医学薬学上認められる水溶液をゆっくり加え、均一に撹拌し、複数の第二親油性薬物ミセルを得る。
【0303】
好ましくは、前記第二親油性薬物はケルセチン(quercetin)、シネフリン(synephrine)、プエラリン(puerarin)、レスベラトロール(resveratrol)、およびクルクミン以外の親油性薬物から選ばれる1種以上である。
【0304】
好ましくは、ステップ(a2)または/およびステップ(a3)中、第一溶媒または/および第二溶媒の沸点は純水の沸点より低い。
【0305】
好ましくは、ステップ(a2)または/およびステップ(a3)中、第一溶媒または/および第二溶媒は親水性溶媒である。
【0306】
好ましくは、前記親水性溶媒はメタノール、エタノール、アセトンおよび他の親水性溶媒から選ばれる1種以上である。
【0307】
好ましくは、ステップ(a2)または/およびステップ(a3)中、第一溶媒または/および第二溶媒は親油性溶媒である。
【0308】
好ましくは、前記親油性溶媒はジエチルエーテル、ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、ヘキサンおよび他の親油性溶媒から選ばれる1種以上である。
【0309】
好ましくは、ステップ(a2)または/およびステップ(b3)中、前記第一界面活性剤または/および第二界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
【0310】
好ましくは、前記非イオン性界面活性剤はツイーン80(Tween 80)、2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸(solutol HS 15)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivatives)、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である。
【0311】
好ましくは、前記のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体はPEG-35ヒマシ油(Cremophor ELP)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選ばれる1種以上である。
【0312】
好ましくは、クルクミンと前記第二親油性薬物の重量比は30:1~1:10である。
【0313】
好ましくは、ステップ(a2)および(b2)中、前記クルクミンと前記第二重量の界面活性剤の重量比は1:4から1:500である。
【0314】
好ましくは、ステップ(a3)および(b3)中、前記第二親油性薬物と前記第二重量の界面活性剤の重量比は1:4から1:500である。
【0315】
好ましくは、ステップ(c2)および(c3)中、前記医学薬学上認められる水溶液は注射液、注射用水溶液、または生理食塩水である。
【0316】
好ましくは、ステップ(c3)および(c3)中、前記医学薬学上認められる水溶液は局所麻酔薬を含む。
【0317】
好ましくは、前記局所麻酔剤はアミン、p-アミノベンズアミドエステル、およびアミノエーテルから選ばれる1種以上である。
【0318】
好ましくは、アミド類はジブカイン(Dibucaine)、リドカイン(Lidocaine)、メピバカイン塩酸塩(Mepivacaine HCl)、ブピバカイン塩酸塩(Bupivacine HCl)、ピロカイン塩酸塩(Pyrrocaine HCl)、プリロカイン塩酸塩(Prilocaine HCl)、Digammacaine、およびオキセサゼイン(Oxethazaine)から選ばれる1種以上である。
【0319】
好ましくは、p-アミノベンズアミドエステルはブタカイン(Butacaine)、ジメトカイン(Dimethocaine)、およびツトカイン(Tutocaine)から選ばれる1種以上である。
【0320】
好ましくは、アミノエーテルはジメチソキン(Quinisocaine)、およびプラモキシン(Pramocaine)から選ばれる1種以上である。
【0321】
好ましくは、ステップ(c3)および(c3)中、前記医学薬学上認められる水溶液は抗酸化物質を含む。
【0322】
好ましくは、抗酸化物質はβ-カロテン(beta-carotene)、ルテイン(lutein)、リコペン(lycopene)、ビリルビン(bilirubin)、ビタミンA(vitamin A)、ビタミンC(vitamin C、別称アスコルビン酸,即ちascorbic acid)、ビタミンE(vitamin E),尿酸(uric acid)、一酸化窒素(nitric oxide)、ニトロキシド(nitroxide)、ピルビン酸(pyruvate)、カタラーゼ(catalase)、スーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidases)、N-アセチルシステイン(N-acetyl cysteine)、およびナリンゲニン(naringenin)から選ばれる1種以上である。
【0323】
本発明は第二種のクルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物を調製する方法を提供し、且つ前記第二種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法は第一種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法よりも簡易である。前記第二種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法以下の通りである。
(a4)クルクミン、第二親油性薬物、および溶媒を混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで200~500rpmで撹拌した。
(b4)医学薬学上認められる一つの界面活性剤を加え、回転数100~300rpmで撹拌し溶媒を揮発させ、そのうち前記界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
(c4)溶媒を完全に揮発した後、医学薬学上認められる水溶液をゆっくり加え、均一に撹拌し複数の薬物含有ミセルおよび第二親油性薬物ミセルを形成した。
(d4)0.2μmのフィルターで濾過した後、複数の薬物含有ミセルおよび複数の第二親油性薬物ミセルを含む濾過液を暗所で冷蔵保存する。
【0324】
前記第二種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法中に使用される溶媒、界面活性剤、医学薬学上認められる水溶液、および第二親油性薬物の種類範囲は、第一種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法と同様である。且つ、前記第二種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法中の各成分間比率関係範囲も、第一種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法と同様である。
【0325】
好ましくは、前記医学薬学上認められる水溶液は局所麻酔薬または/および抗酸化物質を含む。
【0326】
好ましくは、前記第二種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法中に使用される局所麻酔薬または/および抗酸化物質の種類範囲は、第一種クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物の調製方法と同様である。
【0327】
実験九:クルクミン-緑茶抽出物複合薬皮下注射剤がラットの皮下脂肪量に対する影響
実験9-1 緑茶抽出物単一薬皮下注射剤がラットの皮下脂肪量に対する影響
緑茶抽出物皮下注射剤の調製方法:
緑茶抽出物を適量の注射用生理食塩水と混ぜ、緑茶抽出物皮下注射剤を得た。
ラットを高脂肪食コントロール群および緑茶抽出物群に分け、各群は6頭のラットを含む。ラットの給餌方法は実験二と同様であった。緑茶抽出物皮下注射剤を緑茶抽出物群ラットの鼠径下の皮下脂肪層に注射し、毎回緑茶抽出物の注射量は体重キログラム当たり8mg(8mg/kg)であった。高脂肪食コントロール群は上述の注射方法で同じ体積の注射用水を投与した。
【0328】
上述注射部位はラット鼠径下の脂肪部であり、左右両側均等に注射した。実験の1、3、および5日目に各1回注射した。実験期間毎日高脂肪食を給餌し、且つ毎日体重変化を記録し、週一回飲水量摂食量を記録した。実験は20日間行い、21日目に二酸化炭素で犠死した。
【0329】
図11を参照されたい。図11:賦形剤を含まない緑茶抽出物皮下注射剤がラットの局所皮下脂肪量に対する影響の棒グラフ。
【0330】
図11で示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100.00±21.51%、緑茶抽出物群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は99.50±13.14%であった。緑茶抽出物群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は高脂肪食コントロール群と有意差がないため、賦形剤を含まない水溶性植物抽出物-緑茶抽出物は投与部位の脂肪(局所脂肪)を減少させることができないと示した。
【0331】
実験9-2 投与頻度がラットの皮下脂肪量および体重に対する影響
本実験は各群のラットにクルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物を投与する際、トータル投与量は同じで投与頻度を変え、投与頻度がラットの皮下脂肪量および体重に対する影響を評価した。本実験はさらに市販の局所脂肪溶解注射剤の主要成分をラットの投与し、本発明クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物と市販の局所脂肪溶解注射剤がラット皮下脂肪量および体重に対する影響を同時に比較する。
【0332】
以下の方法でデオキシコール酸ナトリウム溶液およびクルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物を調製した。
【0333】
デオキシコール酸ナトリウムの調製方法:実験7-4のデオキシコール酸ナトリウムの調製方法と同様に行った。
【0334】
クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物の調製方法:クルクミン0.8gとジクロロメタン150~200mLを混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで150~500rpmで撹拌した。40gのPEG-35ヒマシ油(Kolliphor ELP、ポリオキシル35ヒマシ油(polyoxyl 35 castor oil)、ポリオキシル35硬化ヒマシ油(polyoxyl 35 hydrogenated castor oil)、ELPと略する)を加え、100~300rpmの回転数で撹拌してジクロロメタンを揮発させた。ジクロロメタンを完全に揮発した後、最終体積が200mLになるように注射用生理食塩水をゆっくり加え、そのうち、注射用生理食塩水中に0.2gの緑茶抽出物を含む。均一に撹拌して、ELPを含むクルクミン-緑茶抽出物複合薬溶液を得た。前記ELPを含むクルクミン-緑茶抽出物複合薬溶液中に薬物含有ミセルを含み、クルクミンと緑茶抽出物の全濃度は5mg/mL、且つクルクミンと緑茶抽出物の重量比は4:1であった。
【0335】
ラットをランダムで高脂肪食コントロール群、デオキシコール酸ナトリウム群、クルクミン-緑茶抽出物高頻度投与群(本実験は高頻度投与群と略す)、およびクルクミン-緑茶抽出物低頻度投与群(本実験は低頻度投与群と略す)の4群に分け、ラットの給餌方法は実験二と同様であった。
【0336】
以下で薬物の投与方法を説明する。
【0337】
デオキシコール酸ナトリウム群:デオキシコール酸ナトリウム溶液をデオキシコール酸ナトリウム群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり10.3mg(10.3mg/kg、計算式は2.575mg/mL×4mL/kg=10.3mg/kg)になるようにした。実験の1、2、5日目に各1回注射し、全3回注射をして、トータル投与量は30.9mg/kgであった(10.3mg/kg×3回=30.9mg/kg)。
【0338】
高頻度投与群:クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物を高頻度投与群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり4mL(4mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり20mg(20mg/kg、計算式は5mg/mL×4mL/kg=20mg/kg)になるようにした。実験の1、3、5、7、9、11日目に各1回注射し、全6回注射をして、トータル投与量は120mg/kgであった(20mg/kg×6回=120mg/kg)。
低頻度投与群:クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物を低頻度投与群ラットの鼠径下皮下脂肪層に注射し、毎回の注射量は体重キログラム当たり8mL(8mL/kg)であり、毎回の投与量は体重キログラム当たり40mg(40mg/kg、計算式は5mg/mL×8mL/kg=40mg/kg)になるようにした。実験の1、3、5日目に各1回注射し、全3回注射をして、トータル投与量は120mg/kgであった(40mg/kg×3回=120mg/kg)。
【0339】
高脂肪食コントロール群:上述と同様な方法で同じ体積の注射用水を注射投与した。
【0340】
実験期間毎日高脂肪食を給餌し、実験は20日間行い、21日目に二酸化炭素で犠死した。
【0341】
図12Aおよび図12Bを参照されたい。図12Aはクルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物の供与頻度がラットの皮下脂肪量に対する影響の棒グラフであり、図12Bはクルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物の供与頻度がラットの総体重増加量に対する影響の棒グラフである。
【0342】
図12Aで示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は100.0±22.6%、デオキシコール酸ナトリウム群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は88.8±16.7%、高頻度投与群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は57.6±7.4%、低頻度投与群ラットの相対鼠径下皮下脂肪重量は60.7±4.0%であった。
【0343】
高脂肪食コントロール群と比べ、高頻度投与群および低頻度投与群はいずれも投与部位の脂肪(局所脂肪)を著しく減少させた(p<0.05)。そのため、クルクミン-緑茶抽出物複合薬の濃度が十分であれば、低頻度投与でも局所脂肪溶解の効果を得有られる。低頻度投与群と比べ、高頻度投与群の局所脂肪溶解効果はより優れている。そのため、高頻度投与と低頻度投与の間に著しい違いはないが、高頻度投与の局所脂肪溶解効果はより良い傾向を見せた。
【0344】
図12Bで示すように、高脂肪食コントロール群ラットの相対総増加体重は100.0±11.6%、デオキシコール酸ナトリウム群ラットの相対総増加体重は100.2±12.6%、高頻度投与群ラットの相対総増加体重は58.7±9.0%、低頻度投与群ラットの相対総増加体重は74.9±9.0%であった。高脂肪食コントロール群の相対総増加体重と比べ、低頻度投与群と高頻度投与群の相対総増加体重は著しく減少し(p<0.05)、且つ相対総増加体重はそれぞれ25.1%と41.3%減少し、顕著な体重減少効果を見られた。
【0345】
そのため、本発明クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物は体重を著しく減少させられ、且つ高頻度投与群の体重減少効果は低頻度投与群よりも著しく優れている(p<0.05)。
【0346】
発明者らの経験により、ラットに適用する投与頻度は3~6回の場合、人間に適用する投与頻度は1~12回になる。好ましくは、人間において投与頻度は1~6回である。
【0347】
好ましくは、人間においての投与頻度は1~30日置きに1~12回である。好ましくは、人間においての投与頻度は1~30日置きに1~6回である。若しくは、好ましくは、人間においての投与頻度は1~20日置きに3~60回である。好ましくは、人間においての投与頻度は1~14日置きに6~42回である。
【0348】
実験十:クルクミン複合薬医薬組成物が脂肪溶解に対する影響
本実験は緑茶抽出物以外の水溶性薬物を用いて複合薬医薬組成物を調製し、各種水溶性複合薬医薬組成物が成熟脂肪細胞に対する脂肪溶解効果を評価する。
【0349】
本実験はカフェイン(caffeine)、およびL-カルニチン(L-carnitine)で各種水溶性複合薬医薬組成物を調製した。
【0350】
実験10-1 細胞毒性測定
細胞生存実験(MTT assay)を用いて、50ppmのカフェイン(caffeine)、およびL-カルニチン(L-carnitine)は脂肪細胞以外、他の細胞に対し毒性の有無を評価し、毒性がない場合のみ脂肪溶解測定を行った。
【0351】
実験結果により、50ppmのカフェイン(caffeine)、およびL-カルニチン(L-carnitine)はラット脂肪細胞以外の一般体細胞(somatic cells)に対して細胞毒性がないため、この投与量において一般体細胞に影響はない。
【0352】
実験10-2 成熟脂肪細胞脂肪溶解効果
以下の方法で滅菌水コントロール群細胞培養液、クルクミン細胞培養液、カフェイン細胞培養液、L-カルニチン細胞培養液、クルクミン-カフェイン複合薬細胞培養液、およびクルクミン-L-カルニチン複合薬細胞培養液を調製した。
【0353】
滅菌水コントロール群細胞培養液:滅菌水(sterile water)を細胞培養液と混ぜ、滅菌水コントロール群細胞培養液を調製した。そのうち、滅菌水と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0354】
クルクミン細胞培養液:実験8-2のクルクミン細胞培養液の調製方法と同様に行った。
カフェイン細胞培養液:カフェイン(Sigma-Aldrichより購入)を適量の滅菌水溶液と混ぜ、カフェイン溶液を調製した。カフェイン溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのカフェインを含むカフェイン細胞培養液を調製した。そのうち、カフェイン溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0355】
L-カルニチン細胞培養液:L-カルニチン(Sigma-Aldrichより購入)を適量の滅菌水と混ぜ、L-カルニチン溶液を調製した。L-カルニチン溶液を細胞培養液と混ぜ、50 ppmのL-カルニチンを含むL-カルニチン細胞培養液を調製した。そのうち、L-カルニチン溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0356】
クルクミン-カフェイン複合薬細胞培養液:クルクミンとカフェインを適量の滅菌水と混ぜ、クルクミン-カフェイン複合薬溶液を調製した。そのうち、クルクミンとカフェインの重量比は2:3であった。クルクミン-カフェイン複合薬溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのクルクミン-カフェイン複合薬を含むクルクミン-カフェイン複合薬細胞培養液を調製した。そのうち、クルクミンの濃度は20ppm、カフェインの濃度は30ppm、且つクルクミン-カフェイン複合薬溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0357】
クルクミン-L-カルニチン複合薬細胞培養液:クルクミンとL-カルニチンを適量の滅菌水溶液と混ぜ、クルクミン-L-カルニチン複合薬溶液を調製した。そのうち、クルクミンとL-カルニチンの重量比は2:3であった。クルクミン-L-カルニチン複合薬溶液を細胞培養液と混ぜ、50ppmのクルクミン-L-カルニチン複合薬を含むクルクミン-L-カルニチン複合薬細胞培養液を調製した。そのうちクルクミンの濃度は20ppm、L-カルニチンの濃度は30ppm、且つクルクミン-L-カルニチン複合薬溶液と細胞培養液の体積比は1:1000であった。
【0358】
成熟脂肪細胞の方法は実験8-2と同様に行った。
【0359】
成熟脂肪細胞を滅菌水コントロール群、クルクミン群、カフェイン群、L-カルニチン群、クルクミン-カフェイン複合薬群、およびクルクミン-L-カルニチン複合薬群の6群に分けた。
【0360】
滅菌水コントロール群細胞培養液、クルクミン細胞培養液、カフェイン細胞培養液、L-カルニチン細胞培養液、クルクミン-カフェイン複合薬細胞培養液、およびクルクミン-L-カルニチン複合薬細胞培養液で、それぞれ滅菌水コントロール群、クルクミン群、カフェイン群、L-カルニチン群、クルクミン-カフェイン複合薬群、およびクルクミン-L-カルニチン複合薬群中の成熟脂肪細胞を24時間培養した。
【0361】
アネキシンVタンパク質(eBioscienceより購入)およびPropidium iodide染色液(eBioscienceより購入、PIと略す)を各群の細胞と一定時間混合した後、フローサイトメトリー(flow cytometry)を用いて各群細胞がアネキシンVタンパク質およびPI染色液にラベル(label)された比率を分析し、成熟脂肪細胞がアポトーシス(apoptosis)した比率を評価した。そのうち、同時にアネキシンVタンパク質とPI染色液にラベルされた成熟脂肪細胞は、アポトーシスに入ったことを意味する。アポトーシスに入った成熟脂肪細胞が多いほど、投与した薬物の脂肪溶解効果が良いことを意味し、且つ脂肪溶解は細胞壊死(necrosis)によるのでなくアポトーシスによることを意味する。
【0362】
各群に投与したトータル薬物量は全て50ppmで、且つクルクミンは4割を占め、カフェインは6割を占めるため、クルクミン-カフェイン複合薬群のアポトーシス効果はクルクミン群とカフェイン群の平均値に近いはずである。クルクミン-カフェイン複合薬群のアポトーシス効果がクルクミン群およびカフェイン群の平均値よりも著しく優れている場合、クルクミン-カフェイン複合薬医薬組成物は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。同様に、各群に投与したトータル薬物量は全て50ppmで、且つクルクミンは4割を占め、L-カルニチンは6割を占めるため、クルクミン-L-カルニチン複合薬群のアポトーシス効果はクルクミン群とL-カルニチン群の平均値に近いはずである。クルクミン-L-カルニチン複合薬群のアポトーシス効果がクルクミン群およびL-カルニチン群の平均値よりも著しく優れている場合、クルクミン-L-カルニチン複合薬医薬組成物は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0363】
図13を参照されたい。図13はクルクミン-他の水溶性薬物複合薬医薬組成物が成熟脂肪細胞のアポトーシスに対する影響を示す。
【0364】
図13の結果により、滅菌水コントロール群のアポトーシス率は0.8±0.4%、クルクミン群のアポトーシス率は78.4±5.4%、カフェイン群のアポトーシス率は2.0±1.7%、L-カルニチン群のアポトーシス率は1.7±0.5%、クルクミン-カフェイン複合薬群のアポトーシス率は69.3±4.5%、クルクミン-L-カルニチン複合薬群のアポトーシス率は74.1±10.2%であった。
【0365】
クルクミン群、カフェイン群、およびクルクミン-カフェイン複合薬群のアポトーシス効果を比較すると、クルクミン-カフェイン複合薬群は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0366】
クルクミン群、L-カルニチン群、およびクルクミン-L-カルニチン複合薬群のアポトーシス効果を比較すると、クルクミン-L-カルニチン複合薬群は脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。
【0367】
そのため、クルクミンと各種水溶性薬物により形成された複合薬医薬組成物は全て脂肪溶解効果があり、且つクルクミンと各種水溶性薬物は全て脂肪溶解に相乗効果(synergy)を持つ。そのため、本発明はクルクミンと各種水溶性薬物用いて薬物含有ミセルを含むクルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物を調製し、局所脂肪溶解および体重減少の医薬組成物として用いられる。
【0368】
本発明は一種類のクルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物を調製する方法を提供し、前記クルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物は複数の薬物含有ミセル(micelle)および水溶性薬物ミセルを含む。クルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物の調製方法以下の通りである。
(a5)クルクミンと溶媒を混合し、室温でクルクミンが完全に溶解するまで150~500rpmで撹拌した。
(b5)医学薬学上認められる一つの界面活性剤を加え、回転数100~300rpmで均一に撹拌し溶媒を揮発させ、そのうち前記界面活性剤のHLB値(hydrophilic-lipophilic balance value)は10を超える。
(c5)溶媒を完全に揮発した後、第一医学薬学上認められる水溶液をゆっくり加え、回転数100~300rpmで撹拌し複数の薬物含有ミセルを得た。
(d5)0.2μmのフィルターで濾過した後、薬物含有ミセルを含む濾過液を暗所で冷蔵保存した。
【0369】
そのうち、前記第一医学薬学上認められる水溶液中は一種の水溶性薬物を含む。
【0370】
好ましくは、前記第一医学薬学上認められる水溶液は局所麻酔薬を含む。
【0371】
好ましくは、前記局所麻酔剤はアミン、p-アミノベンズアミドエステル、およびアミノエーテルから選ばれる1種以上である。
【0372】
好ましくは、アミド類はジブカイン(Dibucaine)、リドカイン(Lidocaine)、メピバカイン塩酸塩(Mepivacaine HCl)、ブピバカイン塩酸塩(Bupivacine HCl)、ピロカイン塩酸塩(Pyrrocaine HCl)、プリロカイン塩酸塩(Prilocaine HCl)、Digammacaine、およびオキセサゼイン(Oxethazaine)から選ばれる1種以上である。
【0373】
好ましくは、p-アミノベンズアミドエステルはブタカイン(Butacaine)、ジメトカイン(Dimethocaine)、およびツトカイン(Tutocaine)から選ばれる1種以上である。
【0374】
好ましくは、アミノエーテルはジメチソキン(Quinisocaine)、およびプラモキシン(Pramocaine)から選ばれる1種以上である。
【0375】
好ましくは、前記第一医学薬学上認められる水溶液は抗酸化物質を含む。
【0376】
好ましくは、抗酸化物質はβ-カロテン(beta-carotene)、ルテイン(lutein)、リコペン(lycopene)、ビリルビン(bilirubin)、ビタミンA(vitamin A)、ビタミンC(vitamin C、別称アスコルビン酸,即ちascorbic acid)、ビタミンE(vitamin E),尿酸(uric acid)、一酸化窒素(nitric oxide)、ニトロキシド(nitroxide)、ピルビン酸(pyruvate)、カタラーゼ(catalase)、スーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidases)、N-アセチルシステイン(N-acetyl cysteine)、およびナリンゲニン(naringenin)から選ばれる1種以上である。
【0377】
好ましくは、ステップ(a5)中、溶媒の沸点は純水の沸点より低い。
【0378】
好ましくは、ステップ(a5)中、溶媒は親水性溶媒である。
【0379】
好ましくは、前記親水性溶媒はメタノール、エタノール、アセトンおよび他の親水性溶媒から選ばれる1種以上である。
【0380】
好ましくは、ステップ(a5)中の溶媒は親油性溶媒である。
【0381】
好ましくは、前記親油性溶媒はジエチルエーテル、ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、ヘキサンおよび他の親油性溶媒から選ばれる1種以上である。
【0382】
好ましくは、ステップ(b5)中、前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
【0383】
好ましくは、前記非イオン性界面活性剤はツイーン80(Tween 80)、2-ヒドロキシエチル 12-ヒドロキシステアリン酸(solutol HS 15)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivatives)、および他の非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上である。
好ましくは、前記のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体はPEG-35ヒマシ油(Cremophor ELP)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、および他のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体から選ばれる1種以上である。
【0384】
好ましくは、ステップ(c5)とステップ(d5)の間に、さらに以下のステップを含む。
【0385】
(C51)第二医学薬学上認められる水溶液を加え、均一に撹拌し、第二医学薬学上認められる水溶液を完全に溶かす。
【0386】
好ましくは、前記水溶性薬物は前記第一医学薬学上認められる水溶液に溶解し、前記薬物含有ミセルは界面活性剤により形成された一つの微細構造であり、且つクルクミンは前記薬物含有ミセルに包まれている。
【0387】
好ましくは、前記第一医学薬学上認められる水溶液中の水溶性薬物は緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート(Epigallocatechin gallate)、エピカテキン(Epicatechin)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate)、エピガロカテキン(Epigallocatechin)、ガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate)、ガロカテキン(Gallocatechin)、カテキンガレート(Catechin gallate)、カテキン(Catechin)、エピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate、EGCG)、カフェイン(Caffeine)、カルニチン(Carnitine)、L-カルニチン(L-carnitine)、シネフリン(Synephrine)、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)および他の水溶性薬物から選ばれる1種以上である。
【0388】
好ましくは、ステップ(a5)および(c5)中、クルクミンと前記水溶性薬物の重量比は30:1~1:10である。
【0389】
好ましくは、ステップ(a5)~(c5)中、前記クルクミンと前記水溶性薬物のトータル重量を一重量単位とし、前記界面活性剤の重量は0.24~70重量単位、または前記クルクミンと前記水溶性薬物のトータル重量と前記界面活性剤の重量比は4:1~1:70である。
【0390】
好ましくは、ステップ(a5)、(c5)、および(a51)中、前記クルクミンと前記水溶性薬物のトータル重量を一重量単位とし、前記第一医学薬学上認められる水溶液と前記第二医学薬学上認められる水溶液のトータル重量は16~400重量単位である。
【0391】
好ましくは、ステップ(c5)および(c51)中、前記第一医学薬学上認められる水溶液および前記第二医学薬学上認められる水溶液は注射液、注射用水溶液、または生理食塩水である。
【0392】
本発明の実施例により、本発明が提供するクルクミン単一薬医薬組成物、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物、クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物、クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物、およびクルクミン-他の水溶性薬物複合薬医薬組成物、および本発明が提供する他の医薬組成物はいずれも局所脂肪を減少させられ、且つ体重を減少させられる。そのため、本発明提供のクルクミン単一薬医薬組成物、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物、クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物、クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物、およびクルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物、および本発明が提供する他の医薬組成物は、皮下埋込装置、皮下埋込物、埋め込み式輸液、軟膏、またはパップの調製に用いられ、皮下埋込、埋め込み式輸液、軟膏、またはパップ等の方式で皮下脂肪を減少させる部位に投与できる。または、皮下埋込装置、皮下埋込物、埋め込み式輸液、軟膏、またはパップの調製に用いられ、皮下埋込、静脈内注射、埋め込み式輸液、軟膏、またはパップ等の方式で個体に投与し、個体の体重を減少させる。
【0393】
好ましくは、本発明提供のクルクミン単一薬医薬組成物、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物、クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物、クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物、およびクルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物、および本発明が提供する他の医薬組成物は、皮下脂肪注射で投与部位の脂肪または体重を減少させる。そのため、本発明提供のクルクミン単一薬医薬組成物、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物、クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物、クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物、およびクルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物、および本発明が提供する他の医薬組成物は、局所皮下脂肪の減少に用いる皮下脂肪層注射剤または皮下注射剤の調製に用いられる。
【0394】
好ましくは、本発明提供のクルクミン単一薬医薬組成物、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物、クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物、クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物、およびクルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物、および本発明が提供する他の医薬組成物は、皮下脂肪注射または静脈内注射を通して体重を減少させられる。そのため、本発明提供のクルクミン単一薬医薬組成物、クルクミン-レスベラトロール複合薬医薬組成物、クルクミン-緑茶抽出物複合薬医薬組成物、クルクミン-他の親油性薬物複合薬医薬組成物、およびクルクミン-水溶性薬物複合薬医薬組成物、および本発明が提供する他の医薬組成物は、体重減少に用いる皮下脂肪層注射剤、静脈内注射剤、または皮下注射剤の調製に用いられる。
【0395】
上述は本発明の好ましい実施例であり、本発明の権利要求を限定するものでないため、本発明提示の精神を離れない修正は本発明の権利要求に含まれるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13