(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】遮水シートの欠陥の検知方法および検知装置
(51)【国際特許分類】
B09B 1/00 20060101AFI20220407BHJP
E02B 7/02 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B09B1/00 F ZAB
E02B7/02 A
(21)【出願番号】P 2020132732
(22)【出願日】2020-08-05
(62)【分割の表示】P 2016079937の分割
【原出願日】2016-04-13
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 真一
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊治
(72)【発明者】
【氏名】江崎 孝二
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-025179(JP,A)
【文献】特開2004-041988(JP,A)
【文献】特開2000-158572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00-5/00
B09C 1/00-1/10
E02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処分場などの対象地において保護マットと積層して敷設される遮水シートの欠陥を検知するための方法であって、
前記遮水シートの上に、この遮水シートの上面を保護するための耐候性保護シートを敷設し、
その際に、耐候性保護シートとして、
遮水シート側の不織布層と
遮水シートとは反対側の樹脂層とが一体化されており、樹脂層は、目付が30~300g/m
2であり、前記樹脂層に、孔径0.05~5mmの微小な貫通孔が、孔同士の間隔を20~200mmとして同樹脂層の面方向に沿って一様に分布しており、前記貫通孔は、水分の存在する雰囲気下で不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成するために、同貫通孔の内部に水を充満させるものである耐候性保護シートを用い、
前記保護マットの内部あるいは前記保護マットと遮水シートとの間に検査電極を設け、
前記耐候性保護シートの上に供給電極を置き、
前記遮水シートの表裏に水分が存在するときに、前記耐候性保護シートにおける不織布層と貫通孔の内部とに水を充満させて前記不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成した状態で、前記供給用電極と検査用電極との間の電気抵抗を測定することで、前記遮水シートにおける欠陥の有無を検知することを特徴とする遮水シートの欠陥の検知方法。
【請求項2】
耐候性保護シートとして、不織布層を構成する繊維が、ポリエチレンテレフタレートにより構成される繊維形成成分とポリエチレンにより構成される熱接着成分により構成され、ポリエチレンテレフタレートが芯部、ポリエチレンが鞘部に配された芯鞘型複合長繊維を少なくとも有し、樹脂層がポリエチレンによって構成されている耐候性保護シートを用いることを特徴とする請求項1記載の遮水シートの欠陥の検知方法。
【請求項3】
廃棄物処分場などの対象地において保護マットと積層して敷設される遮水シートの欠陥を検知するための装置であって、
前記遮水シートの上
面を保護するために前記遮水シートの上に敷設される耐候性保護シートを有し、
前記耐候性保護シートは、不織布層と樹脂層とが一体化されており、樹脂層は、目付が30~300g/m
2であり、前記樹脂層に、孔径0.05~5mmの微小な貫通孔が、孔同士の間隔を20~200mmとして同樹脂層の面方向に沿って一様に分布しており、前記貫通孔は、水分の存在する雰囲気下で不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成するために、同貫通孔の内部に水を充満させるものであり、
前記欠陥を検知するための装置は、さらに、
前記保護マットの内部あるいは前記保護マットと遮水シートとの間に
設けられる検査電極と、
前記耐候性保護シートの上に
置かれる供給電極と、
前記遮水シートの表裏に水分が存在するときに、前記耐候性保護シートにおける不織布層と貫通孔の内部とに水を充満させて前記不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成したうえで前記供給用電極と検査用電極との間の電気抵抗を測定する、測定手段
と、を有することを特徴とする遮水シートの欠陥の検知装置。
【請求項4】
耐候性保護シートは、不織布層を構成する繊維が、ポリエチレンテレフタレートにより構成される繊維形成成分とポリエチレンにより構成される熱接着成分により構成され、ポリエチレンテレフタレートが芯部、ポリエチレンが鞘部に配された芯鞘型複合長繊維を少なくとも有し、樹脂層がポリエチレンによって構成されたものであることを特徴とする請求項3記載の遮水シートの欠陥の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮水シートの欠陥の検知方法および検知装置に関し、特に貯水池や廃棄物処分場に敷設される遮水シートの上面を保護するための耐候性保護シートを用いた遮水シートの欠陥の検知方法および検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯水池や廃棄物処分場などの底面や法面には、水を通過させない遮水シートが敷設されることが多い。その際に、落下物や地盤からの突起物などによって遮水シートに欠陥が発生することを防止するために、遮水シートの上面に、遮水シートを保護するための保護シートが敷設される。この保護シートとして、長繊維不織布を用いたものが知られている(特許文献1)。しかし、長繊維不織布は、通常は熱可塑性の重合体によって構成されており、したがって十分な耐候性を有するものではなく、貯水池や廃棄物処分場などの屋外での使用によって不織布自体が劣化し、このため長期にわたって保護材として機能することが困難である。
【0003】
この点を改善するために、不織布の表面に樹脂層を形成すれば、この樹脂層によって太陽光が遮られるために不織布に届く太陽光が減少して不織布の劣化が防止されると見込まれる(特許文献2)。また樹脂層が存在することで、保護シートの耐摩耗性が向上し、落下物などから遮水シートを保護することができ、このため保護材を長期にわたって敷設しておくことが可能であると予測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-221052号公報
【文献】特開2000-144686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その一方で、遮水シートに孔などの欠陥が発生すると、もはや所要の遮水性を発揮することができず、たとえば廃棄物処分場から汚染水が地中に漏れ出すなどの事故が発生するおそれが生じる。遮水シートにおける孔などの欠陥の有無を検知するために、遮水シートの表側と裏側とに電極を配置し、遮水シートの表側と裏側とに水分供給したうえで電気的な導通試験を行うことが知られている。
【0006】
この場合に、一方の電極は、遮水シートの裏側に存在する層内に埋設される。他方の電極は、遮水シートの表側に設けられた保護シートの表面に設置される。そして、保護シートが、上記の特許文献1に記載のもののように長繊維不織布だけで構成されているときには、その長繊維不織布は水分を含むことができるため、導電性を有し、したがってその表面に電極を設置して導通試験を行うことができる。
【0007】
しかし、上記のように不織布の表面に樹脂層を形成してしまうと、この樹脂層が電気的な絶縁層として機能し、このため保護シートの表面に電極を設置して導通試験により遮水シートの欠陥の有無を検知することが不可能であるという問題点を有する。
そこで本発明は、遮水シートの保護と、導通試験による遮水シートの欠陥検知とを両立できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の、廃棄物処分場などの対象地において保護マットと積層して敷設される遮水シートの欠陥を検知するための方法は、
前記遮水シートの上に、この遮水シートの上面を保護するための耐候性保護シートを敷設し、
その際に、耐候性保護シートとして、遮水シート側の不織布層と遮水シートとは反対側の樹脂層とが一体化されており、樹脂層は、目付が30~300g/m2であり、前記樹脂層に、孔径0.05~5mmの微小な貫通孔が、孔同士の間隔を20~200mmとして同樹脂層の面方向に沿って一様に分布しており、前記貫通孔は、水分の存在する雰囲気下で不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成するために、同貫通孔の内部に水を充満させるものである耐候性保護シートを用い、
前記保護マットの内部あるいは前記保護マットと遮水シートとの間に検査電極を設け、
前記耐候性保護シートの上に供給電極を置き、
前記遮水シートの表裏に水分が存在するときに、前記耐候性保護シートにおける不織布層と貫通孔の内部とに水を充満させて前記不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成した状態で、前記供給用電極と検査用電極との間の電気抵抗を測定することで、前記遮水シートにおける欠陥の有無を検知することを特徴とする。
【0009】
本発明の遮水シートの欠陥の検知方法によれば、耐候性保護シートとして、不織布層を構成する繊維が、ポリエチレンテレフタレートにより構成される繊維形成成分とポリエチレンにより構成される熱接着成分により構成され、ポリエチレンテレフタレートが芯部、ポリエチレンが鞘部に配された芯鞘型複合長繊維を少なくとも有し、樹脂層がポリエチレンによって構成されている耐候性保護シートを用いることが好適である。
【0010】
本発明の、廃棄物処分場などの対象地において保護マットと積層して敷設される遮水シートの欠陥を検知するための装置は、
前記遮水シートの上面を保護するために前記遮水シートの上に敷設される耐候性保護シートを有し、
前記耐候性保護シートは、不織布層と樹脂層とが一体化されており、樹脂層は、目付が30~300g/m2であり、前記樹脂層に、孔径0.05~5mmの微小な貫通孔が、孔同士の間隔を20~200mmとして同樹脂層の面方向に沿って一様に分布しており、前記貫通孔は、水分の存在する雰囲気下で不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成するために、同貫通孔の内部に水を充満させるものであり、
前記欠陥を検知するための装置は、さらに、
前記保護マットの内部あるいは前記保護マットと遮水シートとの間に設けられる検査電極と、
前記耐候性保護シートの上に置かれる供給電極と、
前記遮水シートの表裏に水分が存在するときに、前記耐候性保護シートにおける不織布層と貫通孔の内部とに水を充満させて前記不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成したうえで前記供給用電極と検査用電極との間の電気抵抗を測定する、測定手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の遮水シートの欠陥の検知装置によれば、耐候性保護シートは、不織布層を構成する繊維が、ポリエチレンテレフタレートにより構成される繊維形成成分とポリエチレンにより構成される熱接着成分により構成され、ポリエチレンテレフタレートが芯部、ポリエチレンが鞘部に配された芯鞘型複合長繊維を少なくとも有し、樹脂層がポリエチレンによって構成されたものであることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
水分の存在する雰囲気下で不織布層と樹脂層とを通して電気的な導通状態を達成するための孔部は、適宜の分布密度で形成された微小孔により形成されており、このため遮水シートを保護するための耐候性を低下させることなしに、導通試験による遮水シートの欠陥検知に必要な導通状態を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態の耐候性保護シートの断面構造を示す図である。
【
図2】
図1の耐候性保護シートを遮水シートに積層した状態を示す断面図である。
【
図3】
図1の耐候性保護シートの使用例を示す断面図である。
【
図4】従来技術にもとづく耐候性保護シートを遮水シートに積層した状態を示す断面図である。
【
図5】他の従来技術にもとづく耐候性保護シートを遮水シートに積層した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す耐候性保護シート11は、不織布層12と樹脂層13とが積層されて一体化されたものである。樹脂層13には、微小な貫通孔14が形成されている。貫通孔14は、樹脂層13の面方向に沿って一様に分布した状態で形成されている。
【0015】
不織布層12は、構成繊維同士の三次元的な交絡構造を有した不織布や、スパンボンド不織布などによって構成されている。不織布の構成繊維を形成するためのポリマーとしては、ポリエステルやポリオレフィンやポリアミドを好適に用いることができる。遮水シートのための保護シートとしての機能を発揮するために、不織布は、同不織布を構成する繊維の繊度が2.0~15.0dtex、同不織布の目付が200~2000g/m2の範囲であることが好適である。不織布層12は、単層構造であってもよく、あるいは積層構造であってもよい。
【0016】
樹脂層13は、太陽光を遮って、この太陽光が不織布層12に届きにくくなるようにするためのものである。このために、樹脂層13は、たとえばポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂に太陽光の透過を防止するための顔料などを添加したものを、好適に用いることができる。たとえば緑色の顔料を添加したものであると、貯水池や廃棄物処分場などの対象地の周囲の景色に対する違和感が少なく、好適である。さらには、同樹脂に耐候剤や難燃剤などを添加したものを好ましく用いることができる。太陽光を遮ることを主目的として、樹脂層13は、その目付が30~300g/m2の範囲であることが必要である。
【0017】
樹脂層13は、たとえば押出ラミネートによって不織布層12に積層一体化することができる。樹脂層13の表面形態は、任意のものとすることができ、たとえば梨地仕上げとすることができる。梨地仕上げとすることによって、日光の照り返しを緩和することが出来る。また、降雪の多い処分場においては降り積もった雪が滑り落ち易く、積雪による引き込み力を低減して保護シートがずり落ちることを防ぐことが期待できる。
【0018】
不織布層12の構成繊維が、高融点の繊維形成成分とそれよりも低融点の熱接着成分とを有し、樹脂層13が、不織布層12の構成繊維の低融点の熱接着成分と同種の樹脂にて構成されていることが好適である。その場合には、複数枚の耐候性保護シート11を熱接合により繋ぎ合わせて、広い対象地に付設された遮水シートの全面を隙間なく覆うことができる。繋ぎ合わせの際には、互いに繋ぎ合わせようとする一方の耐候性保護シート11の端部と他方の耐候性保護シート11の端部とを重ね合わせ、その重ね合わせ部において互いに接している一方の耐候性保護シート11の不織布層12の熱接着成分と他方の耐候性保護シート11の樹脂層13とを熱融着により接合すればよい。この場合、高融点の繊維形成成分がポリエチレンテレフタレート、低融点の熱接着成分がポリエチレンであって、ポリエチレンテレフタレートが芯部、ポリエチレンが鞘部に配された芯鞘型複合長繊維であることが好ましい。また、樹脂層はポリエチレンにより構成されていることが好ましい。
【0019】
貫通孔14は、電気的な導通状態を達成するのに必要な孔径および分布密度とする。なかでも、孔径は、0.05~5mmであることが必要である。0.05mm未満の小孔では孔あけ加工が難しく、また導通状態が不良になるおそれがある。反対に5mmを超える大孔では、樹脂層13に外力が加わった際に樹脂層13がひび割れを起こす危険性が生じる。孔の分布密度すなわち孔同士の間隔は、20~200mmであることが好ましい。20mm未満では、孔数が多くなり過ぎて、樹脂層13に外力が加わった際に樹脂層13がひび割れを起こす危険性が生じる。反対に200mmを超えると、導通試験を行うための装置のサイズに比べて孔同士の間隔が大きくなり過ぎて、同装置による導通状態の検出ができにくくなるおそれがある。具体的には、たとえば孔径0.5mmの貫通孔を縦横とも30mmピッチで多数形成することができる。貫通孔14は、樹脂層13を孔あけ加工することにより形成することができる。
【0020】
図3は、耐候性保護シート11の使用例を示し、廃棄物処理場における処理池の断面構造の一例を示す。ここで、15は土砂であり、地表からこの土砂15を掘り下げることによって処理池16が形成されている。処理池の底部や法面には、遮水シート17が敷設されている。遮水シート17を敷設することで、処理池16の内部の液が土砂15の内部にしみ込んで地下水を汚染することが防止されている。図示の例では、遮水シート17は二枚重ねの状態で敷設されている。
【0021】
下側の遮水シート17の裏面側すなわち下側の遮水シート17と土砂15との間には、保護マット18が敷設され、遮水シート17が土砂15に接することを防止し保護している。上下の遮水シート17、17の間にも、同様の保護マット19が敷設されている。
そして、上側の遮水シート17の上に、耐候性保護シート11が敷設されている。
【0022】
図2に示すように、上下の遮水シート17、17の間に敷設された保護マット19の部分には、検査電極21が設けられている。検査電極21は、図示のように保護マット19の内部に埋設させることもできるし、あるいは保護マット19と遮水シート17との間に設置することもできる。検査電極21は、互いに縦横方向に適当な距離をおいて、複数が設置されている。
【0023】
図2に示すように、たとえば上側の遮水シート17に欠陥22としての孔があいた場合には、この遮水シート17の表裏に水分が存在すると、この遮水シート17の表裏間で電気的な導通状態が発生する。このとき、図示のように耐候性保護シート11の上に移動式の供給用電極23を置き、この供給用電極23およびその周辺を水で濡らすと、貫通孔14と不織布層12と欠陥22と上側の保護マット19とに水が充満して電気的な導通路が形成される。このため、供給用電極23と検査電極21との間の電気抵抗を測定することによって、欠陥の有無を検知することができる。
【0024】
すなわち、欠陥22が存在しない場合は、遮水シート17による電気絶縁性が確保されるために、電気抵抗は比較的大きな値となる。これに対し、欠陥22が存在する場合は、その欠陥22の部分が導通するため、電気抵抗は比較的小さな値となる。この電気抵抗の測定値によって、欠陥22の有無を判定することができる。検査電極21からの信号は、適当な導体を用いることによって、外部に取り出すことができる。
【0025】
図4に示す従来技術のように、樹脂層13が貫通孔を有しない場合は、樹脂層13が絶縁層として機能するために、供給用電極23と検査電極21との間での電気的な導通状態が発生しない。したがって、図示のように欠陥22が生じていても、これを検知することができない。
【0026】
図5に示す他の従来技術のように耐候性保護シート不織布層12のみを有して樹脂層を有しない場合は、供給用電極23と検査電極21とによって欠陥22を検知することができるが、不織布層12が直射日光に晒されるため、十分な耐候性を備えることができない。
【0027】
これに対し
図1~
図3に示す本発明の実施の形態の耐候性保護シートによれば、十分な耐候性を備えながら、電気的な導通状態を確保できるために遮水シートにおける欠陥の有無を確実に検知することができる。
【実施例1】
【0028】
芯部にポリエチレンテレフタレート、鞘部にポリエチレンを配した芯鞘型複合長繊維であって単繊維繊度が7.0dtexであるものを構成繊維とし、目付が1000g/m2である不織布を構成し、これによって不織布層を形成した。この不織布層の片面に、ポリエチレン樹脂に緑色の顔料と紫外線吸収剤を混ぜた樹脂組成物にて形成され目付が150g/m2であるポリエチレン層を押出ラミネートによって積層一体化した。その際、ポリエチレン層の表面には梨地仕上げを行った。そして、ポリエチレン層に、直径0.5mmの貫通孔を縦横25mmずつのピッチで多数形成して、本発明の実施例1の耐候性保護シートを得た。
【実施例2】
【0029】
芯部にポリエチレンテレフタレート、鞘部にポリエチレンを配した芯鞘型複合長繊維であって単繊維繊度が7.0dtexであるものを構成繊維とし、目付が300g/m2である不織布を構成した。この300g/m2の不織布に、単繊維繊度が7.0dtex、繊維長が51mmであるポリエステル短繊維から成るニードルパンチ不織布1200g/m2を重ね、再度ニードルパンチ加工することで積層不織布を形成した。
【0030】
この積層不織布層の短繊維側に、ポリエチレン樹脂に緑色の顔料と紫外線吸収剤を混ぜた樹脂組成物にて形成され目付が150g/m2であるポリエチレン層を押出ラミネートによって積層一体化した。その際、ポリエチレン層の表面には梨地仕上げを行った。そして、ポリエチレン層に、直径0.5mmの貫通孔を縦横25mmずつのピッチで多数形成して、本発明の実施例2の耐候性保護シートを得た。
【比較例】
【0031】
比較用に、貫通孔を有さず、それ以外の構成は実施例1と同じとした、比較例の耐候性保護シートを得た。
【0032】
図示のような手動による移動式の供給用電極23と定置式の検査電極21とを用い、耐候性保護シートの表裏に水を浸した状態で、測定限界30MΩの計器を用いて導通試験を行ったところ、実施例1および2の耐候性保護シートでは測定値が136.3kΩであったのに対し、比較例の耐候性保護シートではオーバーレンジとなる測定結果が得られた。これにより、実施例の耐候性保護シートを用いた場合は、遮水シートにおける欠陥の有無を確実に検知できることが確認された。
【符号の説明】
【0033】
11 耐候性保護シート
12 不織布層
13 樹脂層
14 貫通孔
17 遮水シート
21 検査電極
23 供給用電極