IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社二子商事の特許一覧

<>
  • 特許-レッグガード 図1
  • 特許-レッグガード 図2
  • 特許-レッグガード 図3
  • 特許-レッグガード 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】レッグガード
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/12 20060101AFI20220407BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A63B71/12 C
A41D13/06 105
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020171729
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390040165
【氏名又は名称】株式会社二子商事
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】西本 充晶
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特許第3660632(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3121048(JP,U)
【文献】特開2004-162183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0156973(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111317195(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1277230(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00
A63B 71/12
A41D 17/02
A41D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝パッド(4)を備えた膝保護部(3)を有するレッグガードに於て、上記膝パッド(4)に縫着された膝蓋骨用パッド(5)を備え、該膝蓋骨用パッド(5)に、キャッチャーの膝蓋骨を受ける略円形の膝蓋骨受け孔(5a)を形成し
上記膝パッド(4)と上記膝蓋骨用パッド(5)との間に、空間部(S)を形成するように、上記膝蓋骨用パッド(5)が張力をもって上記膝パッド(4)に縫着されていることを特徴とするレッグガード。
【請求項2】
上記膝蓋骨受け孔(5a)は、閉略円形状、乃至、上部に小開口部(15)のある略円形状であって、キャッチャーの膝蓋骨の上下方向の微小な動きを許容するように構成されている請求項1記載のレッグガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球又はソフトボールのキャッチャー用レッグガードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野球やソフトボール等のキャッチャー用レッグガードは、ボールの衝突による衝撃や走者の衝突による衝撃からキャッチャーの脚部を保護するために装着されるもので、例えば、膝プロテクタ、足脛プロテクタ、足甲プロテクタを連結して構成したものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3660632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のキャッチャー用レッグガードは、キャッチャーがボールを受ける際の脚の動きにより、装着位置のずれが生じる虞があった。特に、ストライクゾーンを大きく外れたボールを受ける場合に、脚部が激しく動き、とりわけ左右に大きく外れたボールを受ける場合には、レッグガードの膝プロテクタの装着位置が左右に大きくずれる虞があった。これにより、試合中にキャッチャーの膝部の保護が完全ではなくなるという問題が生じていた。また、キャッチャーがストライクゾーンを下に大きく外れたボールを受けるときに、膝を地面に激しくぶつける場合があり、従来のレッグガードでは、上下に位置ずれしている場合があり、その際の膝の保護が十分にはできなかった。
【0005】
そこで、本発明は、キャッチャーが脚部を激しく動かした場合でも、膝保護部の装着位置の左右・上下方向へのずれが起こることを防止でき、キャッチャーの膝部を十分に保護でき、キャッチャーが膝を地面に激しくぶつけた場合でも。膝を十分に保護できるレッグガードの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレッグガードは、膝パッドを備えた膝保護部を有するレッグガードに於て、上記膝パッドに縫着された膝蓋骨用パッドを備え、該膝蓋骨用パッドに、キャッチャーの膝蓋骨を受ける略円形の膝蓋骨受け孔を形成し、上記膝パッドと上記膝蓋骨用パッドとの間に、空間部を形成するように、上記膝蓋骨用パッドが張力をもって上記膝パッドに縫着されているものである。
また、上記膝蓋骨受け孔は、閉略円形状、乃至、上部に小開口部のある略円形状であって、キャッチャーの膝蓋骨の上下方向の微小な動きを許容するように構成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャッチャーの膝蓋骨が略円形の膝蓋骨受け孔にはまり込み、膝保護部がキャッチャーの膝によく追随して安定し、キャッチャーが脚部を激しく動かした場合でも、膝保護部の装着位置のずれが起こることなくキャッチャーの膝部を十分に保護できる。また、キャッチャーが膝を地面に激しくぶつけた場合でも、膝パッドと膝蓋骨用パッドとの間に形成された空間部内の空気がクッションとなって衝撃をやわらげ、膝を十分に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態を示す背面図である。
図2図1の縦断端面図である。
図3】装着時の膝蓋骨用パッドの状態を示す図であり、(A)はキャッチャーが立位の場合の部分断面図であり、(B)はキャッチャーが座位の場合の部分断面図である。
図4】本発明の変形例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明のレッグガードは、図1に示すように、装着者(キャッチャー)の脚部を保護するために装着されるレッグガード本体1から成り、例えば、野球やソフトボール等の球技のキャッチャーの脚部に装着される。
【0010】
レッグガード本体1は、キャッチャーの大腿下端部を保護する大腿下端保護部2と、キャッチャーの膝を保護する膝保護部3と、キャッチャーの脛を保護する脛保護部6と、キャッチャーの足の甲を保護する足甲保護部7と、キャッチャーの脚部の側部を包囲する脚包囲部8と、を備えている。
【0011】
大腿下端保護部2と、膝保護部3と、脛保護部6とは、レッグガード本体1をキャッチャーの脚部に装着するための取付ベルト9を有する。装着に際しては、取付ベルト9の先端の取付具は、大腿下端保護部2、膝保護部3、脛保護部6の各々の取付ベルト9の位置と反対側に配設された受け具(図示省略)に挿入される。
【0012】
大腿下端保護部2と、膝保護部3と、脛保護部6と、足甲保護部7と、脚包囲部8とは、人工皮革、合成皮革、ポリエステル生地、ナイロン生地、エラストマー等から成る表皮と、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA等から成る発泡体とを積層して構成される。なお、表皮と発泡体に加え、衝撃吸収材を積層するも好ましい。
【0013】
大腿下端保護部2と、膝保護部3と、脛保護部6と、足甲保護部7と、脚包囲部8とは、図2に示すように、(一点鎖線をもって示すように)縫着20して連結され、各部が柔軟で屈曲自在となるように構成される。膝保護部3の裏面側に、膝パッド4を有し、膝パッド4の下端部に、脛保護部6が縫着20され、脛保護部6に脚包囲部8が縫着20され、脛保護部6の下端部に足甲保護部7の上端部が縫着20され、脛保護部6と脚包囲部8の間に挟まれる形で足甲保護部7は垂設される。膝パッド4は、脛保護部6が縫着20される下端部の直上に、構造補強のための継ぎ補強部10を有している。
【0014】
膝パッド4の裏側には、膝蓋骨受け孔5aを略中央部に形成した膝蓋骨用パッド5が縫着されている。膝蓋骨用パッド5は、略中央部にキャッチャーの膝蓋骨(ひざの皿)を受けるための膝蓋骨受け孔5aを有するドーナツ型である。なお、図1では、膝蓋骨用(ドーナツ型)パッド5及び膝蓋骨受け孔5aが、1度の縫製作業で形成されるように縁巻き部5bがひとつながりとなった例、すなわち膝蓋骨用パッド5の上部に小開口部15が存在する例を図示したが、図4の変形例に示すように、膝蓋骨受け孔5aを閉略円形に形成しても良い。この図4の場合には、パッド5の縁全体の縁巻き部5bとは別に、略中央部の膝蓋骨受け孔5aの縁巻き部5bの縫製を行う。
【0015】
膝蓋骨用パッド5は、一定の張力をもって平面状になるように膝パッド4に縫着され、弯曲状の膝パッド4との間に空間部Sを形成する。膝蓋骨用パッド5が、張力をもって張られていることで、膝蓋骨受け孔5aの縁部がキャッチャーの膝蓋骨(ひざの皿)に密着し、ストライクゾーンを大きく左右に外れたボールを受ける際に脚部が激しく動いた場合にも、膝蓋骨が膝蓋骨受け孔5aから外れることなく、膝保護部3が左右にずれることを防止できる。
【0016】
また、図3に示すように、キャッチャーが立位(図3(A)参照)から座位(図3(B)参照)に、また座位(図3(B)参照)から立位(図3(A)参照)に姿勢を変えた時に、キャッチャーの膝蓋骨が膝蓋骨受け孔5aに常時収容(保持)されており、パッド5とニーカップ(膝保護部)3を含むレッグガード上半部位は、キャッチャーの膝から、左右上下方向にほとんど位置ずれせず、追随する。
【0017】
なお、膝蓋骨受け孔5aは、その左右縁部はキャッチャーの膝蓋骨に密着するが、上下縁部においてはキャッチャーの膝蓋骨と微小隙間を形成するように設定するのも望ましく、試合中にキャッチャーが容易に立ち上がり、また座ることができると同時に、脚部が激しく動いた場合に膝保護部3が左右にずれることを防止できる。
【0018】
さらに、弯曲状の膝パッド4との間に空間部Sを形成したため、試合中にキャッチャーが膝を地面に激しくぶつけた場合でも、膝蓋骨により膝蓋骨受け孔5aが塞がれ、空間部S内の空気層がクッションとなって、衝撃をやわらげ、キャッチャーの膝部のけがを防止できる。
【0019】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、膝蓋骨用パッド5の形状は、膝パッド4との間に空間部Sを形成できる限り、図示以外の形状でも可である。また、大腿下端保護部2、膝保護部3、脛保護部6、足甲保護部7、脚包囲部8、等の各部材の形状についても、膝蓋骨用パッド5(膝蓋骨受け孔5a)及び膝パッド4の構成に影響を与えない限りにおいて変更自由である。
【0020】
以上のように、本発明は、膝パッド4を備えた膝保護部3を有するレッグガードに於て、上記膝パッド4に縫着された膝蓋骨用パッド5を備え、該膝蓋骨用パッド5に、キャッチャーの膝蓋骨を受ける略円形の膝蓋骨受け孔5aを形成したので、膝蓋骨受け孔5aの縁部がキャッチャーの膝蓋骨(ひざの皿)に密着し、ストライクゾーンを大きく左右に外れたボールを受けるため脚部が激しく動いた場合にも、膝蓋骨が膝蓋骨受け孔5aから外れることなく、膝保護部3が左右にずれることを防止できる。
【0021】
また、上記膝パッド4と上記膝蓋骨用パッド5との間に、空間部Sを形成するように、上記膝蓋骨用パッド5が張力をもって上記膝パッド4に縫着されているので、キャッチャーがストライクゾーンを下に大きく外れたボールを受けるとき等に、膝を地面に激しくぶつけた場合でも、膝蓋骨により膝蓋骨受け孔5aが塞がれ、空間部S内の空気が衝撃をやわらげ、キャッチャーの膝部のけがを防止できる。
【0022】
また、上記膝蓋骨受け孔5aは、閉略円形状、乃至、上部に小開口部15のある略円形状であって、キャッチャーの膝蓋骨の上下方向の微小な動きを許容するように構成されているので、試合中にキャッチャーが容易に立ち上がり、また座ることができる。
【符号の説明】
【0023】
3 膝保護部
4 膝パッド
5 膝蓋骨用パッド
5a 膝蓋骨受け孔
15 小開口部
S 空間部
【要約】
【課題】キャッチャーが脚部を激しく動かした場合でも、膝保護部の装着位置のずれが起こることなくキャッチャーの膝部を十分に保護でき、キャッチャーが膝を地面に激しくぶつけた場合でも、膝を十分に保護できるレッグガードを提供する。
【解決手段】膝パッド4を備えた膝保護部を有するレッグガードに於て、上記膝パッド4に縫着された膝蓋骨用パッド5を備え、該膝蓋骨用パッド5に、キャッチャーの膝蓋骨を受ける略円形の膝蓋骨受け孔5aを形成した。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4