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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】長尺物保護カバー
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/02 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
B65D65/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020205967
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】520382857
【氏名又は名称】株式会社GOROKUMAN
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 太郎
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-111462(JP,A)
【文献】特開2007-153394(JP,A)
【文献】特開平10-309766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0220185(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B65D 85/20
B60P 7/02
B60P 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端部が自由端とされた状態で車両に積載された長尺物に着脱自在に取り付けられる防水、防汚用の長尺物保護カバーであって、
前記長尺物の全体を被覆するに足る面積を有するシート状のカバー本体と、
前記長尺物を被覆した状態に前記カバー本体を維持する固定手段と、を備え、
前記カバー本体の一端側には、前記長尺物の一端部の下側に折り返される折返部が設定され、
前記カバー本体の両側縁側には、前記長尺物を抱持するように該長尺物の下側に折り込まれる折込部が設定され、
前記固定手段は、
前記長尺物の一端部の下側に折り返された前記折返部を前記カバー本体の側縁部に固定する第1固定手段と、
前記長尺物を抱持した状態に前記折込部を維持する第2固定手段と、を有することを特徴とする長尺物保護カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の長尺物用保護カバーであって、
前記第1固定手段は、前記折返部と前記カバー本体の両側縁部のいずれか一方あるいは両方にそれぞれ設けられた通孔と、これら通孔に挿通される結束具とから構成されたことを特徴とする長尺物保護カバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の長尺物用保護カバーであって、
前記カバー本体の裏面、かつ、前記折返部の基端部近傍には、前記長尺物の一端部と干渉するとともに前記長尺物に対するカバー本体の被覆位置をガイドする位置決め部が設けられたことを特徴とする長尺物保護カバー。
【請求項4】
少なくとも一端部が自由端とされた状態で車両に積載された長尺物に着脱自在に取り付けられる防水、防汚用の長尺物保護カバーであって、
前記長尺物の全体を被覆するに足る面積を有するシート状のカバー本体と、
前記長尺物を被覆した状態に前記カバー本体を維持する固定手段と、を備え、
前記カバー本体の一端側には、前記長尺物の一端部にその先端から外嵌されるポケット部が形成され、
前記カバー本体の両側縁側には、前記長尺物を抱持するように該長尺物の下側に折り込まれる折込部が設定され、
前記折込部は、前記カバー本体の一側縁側に設定された第1折込部と、前記カバー本体の他側縁側に設定された第2折込部と、を有し、
前記第1折込部及び前記第2折込部は、それぞれ、前記カバー本体の短手方向において、前記第1折込部と前記第2折込部との間隔よりも小さい幅を有し、
前記固定手段は、前記長尺物を抱持した状態に前記折込部を維持する折込部固定手段を有することを特徴とする長尺物保護カバー。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の長尺物保護カバーであって、
前記長尺物は、建材であることを特徴とする長尺物保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水、防汚用の長尺物保護カバー、特に、車両の荷台に積載された長尺物に取り付けられる長尺物保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラック等の車両の荷台に積載された積荷を雨や汚れから保護する保護カバーとして、その各側端が荷台のアオリに沿って取り付けられることにより荷台ごと覆う幌が知られている(例えば、特許文献1~特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3088770号
【文献】特開2017-7613号公報
【文献】特開2020-104836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の保護カバーを用いて積荷を保護するには、荷台の側アオリ及び後アオリにおける複数箇所に、保護カバーをゴムやベルトを用いて固定する必要があることから、荷台への保護カバーの取付作業が煩雑であるという問題があった。特に、建材等の長尺物は、その品質維持のために雨や汚れから守られるべきものであるが、急な降雨の際に積荷である長尺物を保護しようとしても、荷台に保護カバーを迅速に取り付けることが困難であるという問題があった。
【0005】
また、車両における長尺物の積載状態如何にかかわらず、車両に積載された状態の長尺物に直接取付が可能な保護カバーが未だ存在しないというのが現状であった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、一定の積載条件下で車両に積載された長尺物に簡単に取付可能な長尺物保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の長尺物保護カバーは、少なくとも一端部が自由端とされた状態で車両に積載された長尺物に着脱自在に取り付けられる防水、防汚用の長尺物保護カバーであって、前記長尺物の全体を被覆するに足る面積を有するシート状のカバー本体と、前記長尺物を被覆した状態に前記カバー本体を維持する固定手段と、を備え、前記カバー本体の一端側には、前記長尺物の一端部の下側に折り返される折返部が設定され、前記カバー本体の両側縁側には、前記長尺物を抱持するように該長尺物の下側に折り込まれる折込部が設定され、前記固定手段は、前記長尺物の一端部の下側に折り返された折返部を前記カバー本体の側縁部に固定する第1固定手段と、前記長尺物を抱持した状態に前記折込部を維持する第2固定手段と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
自由端となっている一端部の下側に折り返される折返部が設けられていることにより、長尺物を車両から荷下ろしすることなく該一端部を覆うことが可能となる。また、長尺物を抱持するように該長尺物の下側に折り込まれる折込部が設けられていることにより、該長尺物を車両から荷下ろしすることなく該長尺物の側周側面を覆うことが可能となる。
【0009】
また、前記第1固定手段は、前記折返部と前記カバー本体の両側縁部のいずれか一方あるいは両方にそれぞれ設けられた通孔と、これら通孔に挿通される結束具とから構成されていてもよい。
【0010】
この特定事項により、簡易的な構造をもって、長尺物の一端部の下側に折り返された折返部をカバー本体の側縁部に固定することが可能となる。
【0011】
また、前記カバー本体の裏面、かつ、前記折返部の基端部近傍には、前記長尺物の一端部と干渉するとともに前記長尺物に対するカバー本体の被覆位置をガイドする位置決め部が設けられていてもよい。
【0012】
この特定事項により、長尺物に対するカバー本体の被覆位置が定められることから、長尺物に対する長尺物保護カバーの取付が容易となる。
【0013】
また、本発明の長尺物保護カバーは、少なくとも一端部が自由端とされた状態で車両に積載された長尺物に着脱自在に取り付けられる防水、防汚用の長尺物保護カバーであって、前記長尺物の全体を被覆するに足る面積を有するシート状のカバー本体と、前記長尺物を被覆した状態に前記カバー本体を維持する固定手段と、を備え、前記カバー本体の一端側には、前記長尺物の一端部にその先端から外嵌されるポケット部が形成され、前記カバー本体の両側縁側には、前記長尺物を抱持するように該長尺物の下側に折り込まれる折込部が設定され、前記固定手段は、前記長尺物を抱持した状態に前記折込部を維持する折込部固定手段を有することを特徴とする。
【0014】
自由端となっている一端部にその先端から外嵌されるポケット部が設けられていることにより、長尺物を車両から荷下ろしすることなく該一端部を覆うことが可能となる。また、長尺物を抱持するように該長尺物の下側に折り込まれる折込部が設けられていることにより、該長尺物を車両から荷下ろしすることなく該長尺物の側周側面を覆うことが可能となる。
【0015】
また、前記長尺物は、建材であってもよい。
【0016】
この特定事項により、建設工事等に用いられる建材が、雨や汚れから保護される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の長尺物保護カバーによれば、一定の積載条件下であれば、車両に積載された長尺物を荷下ろしすることなく、長尺物保護カバーを長尺物に直接取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】長尺物が車両に積載された状態の一例を示す概略側面図である。
図2】実施形態1におけるカバー本体の平面展開図である。
図3】実施形態1における折返部が第1固定手段によって固定された状態を示す概略裏面図である。
図4】実施形態1における長尺物保護カバーの一部を示すA-A断面図である。
図5】実施形態2における折返部が第1固定手段によって固定された状態を示す概略裏面図である。
図6】実施形態3における長尺物保護カバーの平面展開図である。
図7】長尺物への長尺物保護カバーの取付手順の一ステップを説明するための概略裏面図である。
図8】長尺物への長尺物保護カバーの取付手順の一ステップを説明するための概略裏面図である。
図9】長尺物への長尺物保護カバーの取付手順の一ステップを説明するための概略裏面図である。
図10】長尺物への長尺物保護カバーの取付手順の一ステップを説明するための概略裏面図である。
図11】長尺物への長尺物保護カバーの取付手順の一ステップを説明するための概略裏面図である。
図12】長尺物への長尺物保護カバーの取付手順の一ステップを説明するための概略裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について、添付図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品等には同一の符号を付しており、それら部品等の名称及び機能も同じである。従って、それらの部品等について重複する説明は省略している。
【0020】
図1は、長尺物8が車両9に積載された状態の一例を示す概略側面図である。図2は、実施形態1におけるカバー本体1の平面展開図である。図3は、実施形態1における折返部20が第1固定手段によって固定された状態を示す概略裏面図である。図4は、実施形態1における長尺物保護カバーAの一部を示すA-A断面図である。なお、図において、符号Xは、幅方向(奥行き方向)を示しており、-X方向(マイナスX方向)を前方向とし、+X方向(プラスX方向)を後方向とする。符号Yは、幅方向Xに直交する左右方向を示しており、-Y方向(マイナスY方向)を左方向とし、+Y方向(プラスY方向)を右方向とする。符号Zは、上下方向を示しており、-Z方向(マイナスZ方向)を下方向とし、+Z方向(プラスZ方向)を上方向とする。
【0021】
長尺物保護カバーAは、カバー本体1を有している(図2参照)。長尺物保護カバーAは、少なくとも一端部が自由端とされた状態で車両9に積載された長尺物8に着脱自在に取り付けられる。
【0022】
車両9は、例えば、いわゆる平ボディ型のトラックであり、後側に荷台90を有している(図1参照)。本実施形態において、車両9は、軽トラックである。
【0023】
長尺物8は、例えば、住宅等の内装リフォーム工事に用いられる建材である。本実施形態において、長尺物8は、角柱状に形成されており、荷台90の全長よりも長い全長を有している。長尺物8の上面88及び下面89とは、それぞれ、車両9に積載された状態における長尺物8の上面及び下面のことを指す。
【0024】
長尺物8は、荷台90の前端に位置する鳥居901の上端から荷台90の後端に位置する後アオリ902まで斜めに架けられた状態で、車両9の荷台90に積載されている。また、長尺物8は、図示しない固定具によって荷台90に固定されている。長尺物8と鳥居901とは、第1接触部82において接触している(図1参照)。長尺物8の前端部80は、鳥居901の上方において車両9から離れているとともに自由端となっている。長尺物8と後アオリ902とは、第2接触部83において接触している。長尺物8の後端部81は、後アオリ902の後方に若干突き出ている。
【0025】
カバー本体1は、長尺物8を被覆するものであり、長尺物8の全体を被覆するに足る面積を有するシート状に形成されている(図2参照)。本実施形態において、カバー本体1は、平面展開された状態で、前端縁10と、左側縁12と、後端縁11と、右側縁13と、を有する矩形状に形成されている(図2参照)。カバー本体1の両側縁とは、左側縁12及び右側縁13を指す。また、カバー本体1の裏面19とは、カバー本体1が長尺物8を被覆するときに、長尺物8と接する面を指す。
【0026】
また、本実施形態において、カバー本体1は、防水性及び耐摩耗性に優れたポリエステルシート等からなるいわゆるエステル帆布から形成されているが、もちろんこれに限られず、パラフィン等によって防水加工がなされた綿帆布でもよいし、ターポリン等のポリ塩化ビニル系の生地でもよい。
【0027】
カバー本体1には、以下の構成が設定され又は設けられている。
【0028】
<折返部>
カバー本体1の前端側には、長尺物8の前端部80の下側に折り返される折返部20が設定されている(図2参照)。折返部20は、長尺物8の長さに応じて設定され、前端縁10と、左側縁12の前端側に位置する折返左側縁22と、前端縁10に並列する基端部21と、右側縁13の前端側に位置する折返右側縁23とから画成されている。折返部20は、基端部21を基端として、長尺物8の前端部80の下側に折り返される(図3参照)。折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返されると、長尺物8の前端部80は、カバー本体1の裏面19と折返部20とによって覆われた状態となる。
【0029】
折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態において、カバー本体1の前端縁10は、カバー本体1の裏面19側方に位置している(図3参照)。また、この状態において、カバー本体1の裏面19と折返部20との間には、空間29が形成される。
【0030】
なお、折返部20は、長尺物8に長尺物保護カバーAを取り付ける前に、予め、長尺物8の前端部80の下側となる位置に折り返されていてもよい。この場合、長尺物8が予め折り返された折返部20の空間29に挿入されることにより、折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態となる。
【0031】
折返部20が荷台90に積載された長尺物8の前端部80の下側に折り返されることにより、あるいは、荷台90に積載された長尺物8の前端部80が予め折り返された折返部20の空間29に挿入されることにより、折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態となるとともに、長尺物8の前端部80がカバー本体1の裏面19と折返部20とによって覆われた状態となる。すなわち、長尺物8を車両9から荷下ろしすることなく、折返部20を長尺物8の前端部80の下側に折り返した状態に取り付けることが可能となる。このような折返部20が設けられていることにより、前端部80が自由端とされた状態で車両9に積載された長尺物8の前端部80を覆うことが可能となる。
【0032】
<折込部>
カバー本体1の両側縁側には、長尺物8を抱持するように長尺物8の下側に折り込まれる折込部30が設定されている(図2参照)。折込部30は、長尺物8の周長に応じて設定され、カバー本体1の左側縁12側に設定された左折込部32と、カバー本体1の右側縁13側に設定された右折込部33と、を有している。左折込部32は、左側前端縁101と、左側縁12と、左側後端縁111と、左側縁12に並列する左折込基端部311とから画成されている。右折込部33は、右側前端縁102と、右側縁13と、右側後端縁112と、右側縁13に並列する左折込基端部312とから画成されている。
【0033】
左折込部32は、左折込基端部311を基端として、長尺物8の下側に折り込まれる。右折込部33は、左折込基端部312を基端として、長尺物8の下側に折り込まれる。左折込部32と右折込部33とがともに長尺物8の下側に折り込まれると、左折込部32と右折込部33とは、長尺物8の下側において互いに迎合するとともに、長尺物8を側周方向に抱持して覆った状態となる。
【0034】
長尺物8が第1接触部82及び第2接触部83において、それぞれ鳥居901及び後アオリ902と接触していることから、長尺物8を鳥居901及び後アオリ902からそれぞれ一時的に離間させることにより、折込部30を長尺物8の下側に折り込むことが可能となる。すなわち、長尺物8を車両9から荷下ろしすることなく、長尺物8を抱持するように長尺物8の下側に折り込まれた状態に折込部30を取り付けることが可能となる。このような折込部30が設けられていることにより、前端部80が自由端とされた状態で車両9に積載された長尺物8の側周側面を覆うことが可能となる。
【0035】
車両9に積載された長尺物8の前端部80と側周側面とを、折返部20と折込部30とを用いてそれぞれ覆うことにより、長尺物8を車両9から荷下ろしすることなく、長尺物8を雨や汚れから保護することが可能となる。
【0036】
<位置決め部>
カバー本体1の裏面19、かつ、折返部20の基端部21近傍には、長尺物8の前端部80と干渉するとともに長尺物8に対するカバー本体1の被覆位置をガイドする位置決め部40が設けられている(図2図3図4参照)。本実施形態において、位置決め部40は、カバー本体1と同等の材質から形成されているとともに、長尺物8の幅よりも若干大きい幅を有する矩形状に形成されている。
【0037】
位置決め部40の前端縁には、位置決め部40をカバー本体1の裏面19に止着する止着部41が設けられている。止着部41において、位置決め部40は、基端部21の後方におけるカバー本体1の裏面19aに縫着されている(図4参照)。
【0038】
長尺物8の前端部80は、カバー本体1の裏面19aと位置決め部40との間に挿入される(図4参照)。長尺物8の前端部80が、カバー本体1の裏面19aと位置決め部40との間に挿入された状態で、止着部41に向かって位置決め部40の奥部に突き当てられることにより、長尺物8に対するカバー本体1の前後方向の被覆位置が定められる。
【0039】
なお、位置決め部40は、上記に限られず、要は、長尺物8の前端部80が干渉するとともに長尺物8に対するカバー本体1の被覆位置をガイドする構成あればよく、例えば、突起状に形成されたものであり、カバー本体1の裏面19aに接着されたものであってもよい。また、位置決め部40は、折返部20側に設けられていてもよい。
【0040】
長尺物保護カバーAは、長尺物8を被覆した状態にカバー本体1を維持する固定手段を有している。固定手段は、長尺物8の前端部80の下側に折り返された折返部20をカバー本体1の側縁部に固定する第1固定手段と、長尺物8を抱持した状態に折込部30を維持する第2固定手段と、を有しており、それぞれ、以下の通り実現される。
【0041】
<第1固定手段>
第1固定手段は、折返部20の折返右側縁23近傍の折返右側縁部25に設けられた通孔61aと、カバー本体1の右側縁13の近傍の右側縁部15に設けられた通孔61bと、これら通孔61a及び通孔61bに挿通される結束具60とから構成される。
【0042】
通孔61aは、折返部20の折返右側縁部25、かつ、前端縁10の近傍に設けられている(図3参照)。通孔61aは、直径約10~20mmの大きさを有し、ハトメによって補強されている。
【0043】
通孔61bは、カバー本体1の右側縁部15に設けられており、折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態において、折返部20の通孔61aと重なる位置に設けられている(図3参照)。通孔61bは、直径約10~20mmの大きさを有し、ハトメによって補強されている。
【0044】
結束具60は、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル等の引張強度に優れた材質から形成されたロープである。結束具60が通孔61a及び通孔61bに挿通された状態で結束されることにより、折返部20の折返右側縁部25がカバー本体1の右側縁部15に拘束されることから、折返部20がカバー本体1の右側縁部15に固定される。
【0045】
なお、通孔61aは、折返右側縁部25に複数設けられていてもよく、同様に、通孔61bは、右側縁部15に複数設けられていてもよい。複数の通孔61a又は複数の通孔61bが設けられていることにより、長尺物8の長さに応じて折返部20の設定が変更された場合であっても、複数の通孔61a又は複数の通孔61bのうち結束具60を挿通させる通孔を適宜選択することが可能となることから、折返部20をカバー本体1の右側縁部15に固定することが可能となる。具体的には、折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態において、複数の通孔61a又は複数の通孔61bのうち互いに重なり合う又は近接する通孔に結束具60が挿通されることにより、折返部20がカバー本体1の右側縁部15に固定される。
【0046】
また、折返部20は、長尺物8に長尺物保護カバーAを取り付ける前に、予め第1固定手段によって、長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態で、カバー本体1の右側縁部15に固定されていてもよい。
【0047】
<第2固定手段>
第2固定手段は、複数の結束帯70から構成される。
【0048】
結束帯70は、折込部30の外側から、長尺物8の周方向に結束される(図3参照)。結束帯70は、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル等の引張強度に優れた材質から形成されたロープである。結束帯70が折込部30の外側から長尺物の周方向に結束されることにより、折込部30が結束帯70によって拘束されることから、折込部30が長尺物8を抱持した状態に維持される。
【0049】
なお、結束帯70は、通孔61a,61b又はカバー本体1に設けられた図示しない通孔に挿通されていてもよい。結束帯70がこれらの通孔61a,61b等に挿通されることにより、結束帯70がカバー本体1に固定されることから、結束帯70の位置ずれを防止することが可能となる。
【0050】
(実施形態2)
図5は、実施形態2における折返部20が第1固定手段によって固定された状態を示す概略裏面図である。
【0051】
実施形態2における第1固定手段は、折返部20の折返右側縁部25及び折返左側縁部24にそれぞれ設けられた通孔61c,61dと、カバー本体1の右側縁部15及び左側縁部14にそれぞれ設けられた通孔61e,61fと、通孔61c及び通孔61eに挿通される結束具60aと、通孔61d及び通孔61fに挿通される結束具60bとから構成される(図5参照)。
【0052】
通孔61cは、折返部20の折返右側縁部25、かつ、前端縁10の近傍に設けられており、通孔61dは、折返部20の折返左側縁部24、かつ、前端縁10の近傍に設けられている(図5参照)。
【0053】
通孔61eは、カバー本体1の右側縁部15に設けられており、折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態において、折返部20の通孔61cと重なる位置に設けられている(図5参照)。通孔61fは、カバー本体1の左側縁部14に設けられており、折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態において、折返部20の通孔61dと重なる位置に設けられている(図5参照)。
【0054】
結束具60aが通孔61c及び通孔61eに挿通された状態で結束されるとともに、結束具60bが通孔61d及び通孔61fに挿通された状態で結束されることにより、折返部20の折返右側縁部25及び折返左側縁部24がそれぞれカバー本体1の右側縁部15及び左側縁部14に拘束されることから、折返部20がカバー本体1の右側縁部15及び左側縁部14に固定される。
【0055】
なお、通孔61c,61dは、それぞれ折返右側縁部25及び折返左側縁部24に複数設けられていてもよく、同様に、通孔61e,61fは、右側縁部15及び左側縁部14に複数設けられていてもよい。複数の通孔61c,61d及び複数の通孔61e,61fが設けられていることにより、長尺物8の長さに応じて折返部20の設定が変更された場合であっても、複数の通孔61c,61d及び複数の通孔61e,61fのうち結束具60a及び結束具60bを挿通させる通孔を適宜選択することが可能となることから、折返部20をカバー本体1の右側縁部15及び左側縁部14に固定することが可能となる。具体的には、折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態において、複数の通孔61c,61d及び複数の通孔61e,61fのうち互いに重なり合う又は近接する通孔に結束具60a及び結束具60bが挿通されることにより、折返部20がカバー本体1の右側縁部15及び左側縁部14に固定される。
【0056】
(実施形態3)
図6は、実施形態3における長尺物保護カバーAの平面展開図である。
【0057】
実施形態3におけるカバー本体1は、平面展開された状態で、前端縁10aと、左側縁12と、後端縁11と、右側縁13と、を有する矩形シート状に形成されている(図6参照)。カバー本体1の両側縁とは、左側縁12及び右側縁13を指す。
【0058】
実施形態3におけるカバー本体1の前端側には、長尺物8の前端部80にその先端から外嵌されるポケット部50が形成されている(図6参照)。ポケット部50は、カバー本体1の裏面19側において、カバー本体1の左側縁12の前側左側縁12aと、カバー本体1の前端縁10aと、カバー本体1の右側縁13の前側右側縁13aとに連結された矩形状のポケットであり、後方に開口部51を有している(図6参照)。
【0059】
長尺物の前端部80は、その先端から前方向に沿って開口部51に挿入される。換言すると、ポケット部50は、開口部51を介して、長尺物8の前端部80にその先端から外嵌される。ポケット部50が前端部80に外嵌されると、長尺物8の前端部80は、カバー本体1の裏面19とポケット部50とによって覆われた状態となる。ポケット部50が長尺物8の前端部80に外嵌された状態で、長尺物8が前方向に沿ってポケット部50の奥部に突き当てられることにより、長尺物8に対するカバー本体1の前後方向の被覆位置が定められる。
【0060】
ポケット部50が荷台90に積載された長尺物8の前端部80に外嵌されることにより、長尺物8の前端部80は、カバー本体1の裏面19とポケット部50とによって覆われた状態となる。すなわち、長尺物8を車両9から荷下ろしすることなく、ポケット部50を長尺物8の前端部80に取り付けることが可能となる。このようなポケット部50が設けられていることにより、前端部80が自由端とされた状態で車両9に積載された長尺物8の前端部80を覆うことが可能となる。
【0061】
実施形態3におけるカバー本体1の両側縁側には、長尺物8を抱持するように長尺物8の下側に折り込まれる折込部30が設定されている(図6参照)。折込部30は、長尺物8の周長に応じて設定され、カバー本体1の左側縁12側に設定された左折込部32と、カバー本体1の右側縁13側に設定された右折込部33と、を有している。左折込部32は、左側前端縁101aと、左側縁12と、左側後端縁111と、左側縁12に並列する左折込基端部311とから画成されている。右折込部33は、右側前端縁102aと、右側縁13と、右側後端縁112と、右側縁13に並列する左折込基端部312とから画成されている。
【0062】
左折込部32は、左折込基端部311を基端として、長尺物8の下側に折り込まれる。右折込部33は、左折込基端部312を基端として、長尺物8の下側に折り込まれる。左折込部32と右折込部33とがともに長尺物8の下側に折り込まれると、左折込部32と右折込部33とは、長尺物8の下側において互いに迎合するとともに、長尺物8を側周方向に抱持した状態となる。
【0063】
実施形態3における固定手段は、長尺物8を抱持した状態に折込部30を維持する折込部固定手段を有しており、以下の通り実現される。
【0064】
折込部固定手段は、実施形態1における第2固定手段と同様に、複数の結束帯70から構成される。
【0065】
結束帯70は、折込部30の外側から、長尺物8の周方向に結束される(図6参照)。結束帯70が折込部30の外側から長尺物の周方向に結束されることにより、折込部30が結束帯70によって拘束されることから、折込部30が長尺物8を抱持した状態に維持される。
【0066】
(実施例1)
図7図12は、いずれも、長尺物への長尺物保護カバーの取付手順の一ステップを説明するための概略裏面図である。
【0067】
次に、本発明に係る長尺物保護カバーAの使用例と併せて、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
<長尺物保護カバーの取付手順>
以下、長尺物8への長尺物保護カバーAの取付手順を、実施形態1における長尺物保護カバーAを用いて説明する。
【0069】
本実施例において、折返部20は、予め第1固定手段によって、長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態で、カバー本体1の右側縁部15に固定されている。具体的には、折返部20の通孔61a及びカバー本体1の通孔61bに挿通された結束具60によって、折返部20の折返右側縁部25がカバー本体1の右側縁部15に拘束されている。
【0070】
まず、図7に示すように、カバー本体1を、上方から、荷台90に積載された長尺物8の上面88に被せる。自由端となっている長尺物8の前端部80を、前方向に沿った挿入方向INに、予め折り返された折返部20の空間29に挿入する。長尺物8が予め折り返された折返部20の空間29に挿入されることにより、折返部20が長尺物8の前端部80の下側に折り返された状態となる。
【0071】
さらに、長尺物8を、基端部21の後方におけるカバー本体1の裏面19aと位置決め部40との間に挿入し、止着部41に向かって位置決め部40の奥部に突き当て、長尺物8に対するカバー本体1の前後方向の被覆位置を定める。
【0072】
次に、図8に示すように、右折込部33の前側を長尺物8の前端部80の下側に折り込む。また、長尺物8が鳥居901と接触している第1接触部82においても(図1参照)、右折込部33を長尺物8の下側に折り込む。このとき、長尺物8を鳥居901から一時的に離間させるが、荷台90からの長尺物8の荷下ろしは不要である。
【0073】
同様に、図9に示すように、左折込部32の前側を長尺物8の前端部80の下側に折り込む。また、長尺物8が鳥居901と接触している第1接触部82においても(図1参照)、左折込部32を長尺物8の下側に折り込む。このとき、長尺物8を鳥居901から一時的に離間させるが、荷台90からの長尺物8の荷下ろしは不要である。
【0074】
図9に示すように、右折込部33及び左折込部32は、ともに長尺物8の前端部80及び第1接触部82の下側に折り込まれた状態となる。続いて、右折込部33及び左折込部32の外側から、長尺物8の周方向に結束帯70aを結束する。結束帯70aによって、折込部30の前側が長尺物8を抱持した状態に維持される。
【0075】
さらに、図10に示すように、右折込部33の全体を長尺物8の下側に折り込み、左折込部32の全体を長尺物8の下側に折り込む。長尺物8が後アオリ902と接触している第2接触部83においても(図1参照)、右折込部33及び左折込部32を長尺物8の下側に折り込む。このとき、長尺物8を後アオリ902から一時的に離間させるが、荷台90からの長尺物8の荷下ろしは不要である。続いて、右折込部33及び左折込部32の外側から、長尺物8の周方向に結束帯70b及び結束帯70cを結束する。これら複数の結束帯70(70a~70c)によって、折込部30の全体が長尺物8を抱持した状態に維持される。
【0076】
最後に、図11に示すように、カバー本体1の後端側が車両9から過剰にはみ出さないように、カバー本体1の後端側を長尺物8の後端部81の後端に沿って折り返す。また、図12に示すように、カバー本体1の後端側を長尺物8に固定するために、結束帯70dを長尺物8の周方向に結束する。
【0077】
上記の実施形態及び実施例はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0078】
A 長尺物保護カバー
1 カバー本体
10 前端縁
101 左側前端縁
102 右側前端縁
11 後端縁
111 左側後端縁
112 右側後端縁
12 左側縁
13 右側縁
14 左側縁部
15 右側縁部
19 裏面
20 折返部
21 基端部
22 折返左側縁
23 折返右側縁
24 折返左側縁部
25 折返右側縁部
29 空間
30 折込部
311 左折込基端部
312 右折込基端部
32 左折込部
33 右折込部
40 位置決め部
41 止着部
50 ポケット部
51 開口部
60 結束具
61 通孔
70 結束帯
8 長尺物
80 前端部
81 後端部
82 第1接触部
83 第2接触部
88 上面
89 下面
9 車両
90 荷台
901 鳥居
902 後アオリ
【要約】
【課題】一定の積載条件下で車両に積載された長尺物に簡単に取付可能な長尺物保護カバーを提供する。
【解決手段】少なくとも一端部が自由端とされた状態で車両9に積載された長尺物8に着脱自在に取り付けられる防水、防汚用の長尺物保護カバーAであって、長尺物8の全体を被覆するに足る面積を有するシート状のカバー本体1と、長尺物8を被覆した状態にカバー本体1を維持する固定手段と、を備え、カバー本体1の一端側には、長尺物8の一端部の下側に折り返される折返部20が設定され、カバー本体1の両側縁側には、長尺物8を抱持するように該長尺物8の下側に折り込まれる折込部30が設定され、固定手段は、長尺物8の一端部の下側に折り返された折返部20をカバー本体1の側縁部に固定する第1固定手段と、長尺物8を抱持した状態に折込部30を維持する第2固定手段と、を有することを特徴とする長尺物保護カバーA。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12