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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】高圧ガス筒の自動アライメント方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
F17C13/04 301E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020529681
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2018015589
(87)【国際公開番号】W WO2019117560
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2017-0170932
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0151035
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520023330
【氏名又は名称】エイエムティ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】チェ ウォンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンウ
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-172300(JP,A)
【文献】特開平07-091598(JP,A)
【文献】特開平07-190298(JP,A)
【文献】特開平08-219396(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0037674(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフト(400)に高圧ガス筒(200)を載置して高圧ガス筒(200)の上部に配設されたバルブハンドル(212)の上端を第1のセンサ(320)が感知するまでリフト(400)を上昇させるステップと、
前記リフト(400)を再駆動して制御部(500)に設定された値(バルブハンドルの上端からエンドキャップの中心までの距離)に見合う分だけ高圧ガス筒(200)を再上昇させ、リフト(400)の駆動を中断するステップと、
前記高圧ガス筒(200)を回転させて第2のセンサ(330)がエンドキャップ(213)の始点(A)を感知すると、この旨を制御部(500)に報知するステップと、
前記高圧ガス筒(200)を回転させ続けて第2のセンサ(330)がエンドキャップ(213)の終点(B)を感知すると、この旨を制御部(500)に報知するとともに、高圧ガス筒(200)の回転を中断し、制御部(500)により算出されたエンドキャップ(213)のθ中心に基づいて高圧ガス筒(200)を逆方向に回転させてエンドキャップ(213)のθ中心を第2のセンサ(330)の中心と一致させるステップと、
前記リフト(400)を上昇させて第2のセンサ(330)がエンドキャップ(213)の死点()を感知すると、この旨を制御部(500)に報知し、リフト(400)の上昇を中断するステップと、
前記リフト(400)を下降させて第2のセンサ(330)がエンドキャップ(213)の死点()を感知すると、この旨を制御部(500)に報知するとともに、リフト(400)の下降を中断し、制御部(500)により算出されたエンドキャップ(213)のZ中心に基づいてリフト(400)を上昇させてエンドキャップ(213)のZ中心を第2のセンサ(330)の中心と一致させるステップと、
がこの順に行われることを特徴とする高圧ガス筒の自動アライメント方法。
【請求項2】
前記高圧ガス筒(200)の載置されたリフト(400)を制御部(500)により設定された距離(F)に見合う分だけ第1の速度にて上昇させていて、第1のセンサ(320)が感知する区間(F’)ではリフト(400)を前記第1の速度よりも遅い第2の速度にて上昇させることを特徴とする請求項1に記載の高圧ガス筒の自動アライメント方法。
【請求項3】
前記高圧ガス筒(200)をリフト(400)のダイ(410)に載置した後、クランプ(420)によりクランプして上昇させるとともに、駆動手段(422)によるローラ(423)の回転によりダイ(410)に載置された高圧ガス筒(200)が回転されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の高圧ガス筒の自動アライメント方法。
【請求項4】
前記高圧ガス筒(200)を上昇させてエンドキャップ(213)のθ中心を見出すために最初の高圧ガス筒(200)を回転させるとき、バルブハンドル(21)が閉まる逆方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の高圧ガス筒の自動アライメント方法。
【請求項5】
前記エンドキャップ(213)のθ中心を見出すとき、エンドキャップ(213)の終点(B)が感知された状態で高圧ガス筒(200)をバルブハンドル(21)が閉まる方向に回転させてエンドキャップの始点(A)を再検出することを特徴とする請求項1に記載の高圧ガス筒の自動アライメント方法。
【請求項6】
前記エンドキャップ(213)のθ中心及びZ中心を見出すとき、制御部(500)に設定された誤差範囲を外れると、エラーを生じさせて作業者にその旨を報知することを特徴とする請求項1に記載の高圧ガス筒の自動アライメント方法。
【請求項7】
前記制御部(500)によりエラーを生じさせて作業者に報知した後、制御部(500)により設定された時間後に高圧ガス筒(200)を回転させるとともに昇降させて前記エンドキャップ(213)のθ中心及びZ中心を再検出する動作を設定された回数だけさらに行うことを特徴とする請求項に記載の高圧ガス筒の自動アライメント方法。
【請求項8】
前記高圧ガス筒(200)を昇降させてエンドキャップ(213)のZ中心を第2のセンサ(330)に一致させ終えると、バルブ(210)の加工誤差及び組立て誤差を考慮して前記エンドキャップ(213)のθ中心を再検出するステップをもう1回行うことを特徴とする請求項1に記載の高圧ガス筒の自動アライメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体のFAB工程(Fabrication Process)設備からウェーハの生産ラインへとガスを供給するようにキャビネット(cabinet)のリフトに高圧ガス筒をローディング(loading)し終えると、リフトがローディングされた高圧ガス筒を上昇させた後、高圧ガス筒のエンドキャップ(end cap)とガス配管のコネクタホルダの中心とを自動的にアラインメントする高圧ガス筒の自動アライメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体を製造する製造工程には、用途に応じて多種多様なガスが供給されて用いられるが、これらのガスは、多くが人体に吸い込まれたり大気中に露出されたりする場合、安全事故および環境汚染などの甚だしい被害を蒙らせるため、細心の注意を必要とする。
【0003】
例えば、イオン注入工程に用いられるガスの種類としては、水素化ヒ素(AsH:Arsine)、リン化水素(PH:Phosphine)または三フルオロ化ホウ素(BF:Boron Fluoride)などの有毒性ガスが挙げられるが、これらのガスは、毒性が非常に強いため、作業者が呼吸器で吸い込む場合に致命的な結果を招き、それ故に、生産ラインに供給する過程で漏出しないように細かく管理せねばならない。
【0004】
このような半導体の製造工程に用いられるガスは、その管理が非常に重要であるが、これらのガスは、ガス筒(以下、「高圧ガス筒」という。)に高圧にて充填された状態でキャビネットに取り付けられて、ガス供給ラインを介して生産ラインに供給され、ガスが約90%ほど使い尽くされれば、高圧ガス筒の内部に残留する異物がウェーハの加工工程に供給されないように作業者が新たな高圧ガス筒に取り替えることにより、ガスを供給し続ける。
【0005】
図1は、従来の技術による半導体装備のガス供給装置を概略的に示す斜視図であって、FAB 7の外部の所定の場所には、FAB 7内の色々な装備8において必要とするSiH、PH、NF、CFなどの工程ガスがそれぞれ充填された複数の高圧ガス筒(図示略)を載置できるようにキャビネット1が位置しており、前記キャビネット1の一方の側には、前記高圧ガス筒にそれぞれ連結されたガス供給ライン3を案内できるようにダクト4が設けられている。
【0006】
前記ダクト4の他方の側には、ガス供給ライン3に沿って流れ込んだ工程ガスを供給できるように高圧ガス筒に対応する数でレギュレータボックス5が設けられており、前記それぞれのレギュレータボックス5の上端部には、FAB 7内の各装備8に対応して連結できるように装備8の数と同数の供給管9が連結されている。
【0007】
したがって、キャビネット1に載置されているそれぞれの高圧ガス筒から工程ガスが供給されれば、それぞれの工程ガスは、ダクト4の内部を通過するガス供給ライン3に沿ってそれぞれのレギュレータボックス5に流れ込む。
【0008】
次いで、それぞれのレギュレータボックス5の内部に流れ込んだそれぞれの工程ガスは、フィルタ(図示略)を介して浄化された後、FAB 7内の装備8に対応する数に分岐されて連結されているそれぞれの供給管9に沿って流れて供給されるので、ウェーハを加工することが可能になる。
【0009】
前述したように、ガスをガス供給ライン3に供給していて、ガスが使い尽くされて高圧ガス筒の取り替え時期が制御部(図示略)により検出されれば、作業者が使用済みの高圧ガス筒のバルブを閉めた後に、外部のガスラインから取り外す。
【0010】
次いで、作業者がガスラインから取り外された高圧ガス筒をキャビネット1からアンローディングした後、新たな高圧ガス筒に取り替えた後に前記高圧ガス筒を再び外部のガスラインに連結した後、ガス噴射ノズルを閉じているバルブハンドルを開けば(オープンすれば)、高圧ガス筒の取り替えが完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-0242982号公報(1998年11月15日付けで登録)
【文献】大韓民国登録特許公報第10-0649112号公報(2006年11月16日付けで登録)
【文献】大韓民国登録特許公報第10-0985575号公報(2010年09月29日付けで登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、このような従来の高圧ガス筒の取り替えは、作業者がキャビネットに新たな高圧ガス筒をローディングした後、重量体の高圧ガス筒を定位置に移動させ且つ回転させながら高圧ガス筒のガス噴射ノズルをガス配管のコネクタホルダと一致させるようになっているため、高圧ガス筒の速やかな取り替えを行うことが不可能であったことはもとより、高圧ガス筒のガス噴射ノズルをガス配管のコネクタホルダに正確に一致できなかった状態でコネクタホルダをガス噴射ノズルに強制的に締め付けた場合には、ねじ山が破断して有毒ガスが漏れ出てしまうという致命的な欠陥があった。
【0013】
また、キャビネットから高圧ガス筒を作業者がマニュアルで取り替えていたため、作業者の熟練度に応じてヒューマンエラー(Human Error)が生じていただけではなく、取り替えを行う作業の最中に不注意により高圧ガス筒からガスが漏れ出ると、ガスが爆発したり、作業者が漏れ出たガスに中毒されたりするという致命的な欠陥があった。
【0014】
本発明は、従来のこのような問題を解決するために案出されたものであり、キャビネットに昇降自在にリフトを配設してリフトにローディングされた高圧ガス筒を自動的に上昇、下降及び回転させながら高圧ガス筒に結合されたバルブのエンドキャップの中心をガス配管と連結されたコネクタホルダの中心と一致させて、高圧ガス筒の取り替えの自動化が実現できるようにするところにその目的がある。
【0015】
本発明の他の目的は、たとえ高圧ガス筒の上端に螺合されたバルブの加工公差及び組立て公差が生じていたとしても、エンドキャップの中心をガス配管と連結されたコネクタホルダの中心と一致させるθ中心及びZ中心のアライメントを完了した後、θ中心のアライメントをもう1回行って高圧ガス筒のエンドキャップの中心を常にガス配管と連結されたコネクタホルダの中心に正確に一致できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するための本発明の態様によれば、リフトに高圧ガス筒を載置して高圧ガス筒の上部に配設されたバルブのエンドキャップの水平方向の中心がコネクタホルダの水平方向の中心と一致するようにリフトを上昇させた後、高圧ガス筒を回転させながらエンドキャップのθ中心をコネクタホルダのθ中心と一致させた後、リフトを昇降させながらエンドキャップのZ中心をコネクタホルダのZ中心と一致させることを特徴とする高圧ガス筒の自動アライメント方法が提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、リフトに高圧ガス筒を載置して高圧ガス筒の上部に配設されたバルブハンドルの上端を第1のセンサが感知するまでリフトを上昇させるステップと、前記リフトを再駆動して制御部に設定された値(バルブハンドルの上端からエンドキャップの中心までの距離)に見合う分だけ高圧ガス筒を再上昇させ、リフトの駆動を中断するステップと、前記高圧ガス筒を回転させて第2のセンサがエンドキャップの始点Aを感知すると、この旨を制御部に報知するステップと、前記高圧ガス筒を回転させ続けて第2のセンサがエンドキャップの終点Bを感知すると、この旨を制御部に報知するとともに、高圧ガス筒の回転を中断し、制御部により算出されたエンドキャップのθ中心に基づいて高圧ガス筒を逆方向に回転させてエンドキャップのθ中心を第2のセンサの中心と一致させるステップと、前記リフトを上昇させて第2のセンサがエンドキャップの死点を感知すると、この旨を制御部に報知し、リフトの上昇を中断するステップと、前記リフトを下降させて第2のセンサがエンドキャップの死点を感知すると、この旨を制御部に報知するとともに、リフトの下降を中断し、制御部により算出されたエンドキャップのZ中心に基づいてリフトを上昇させてエンドキャップのZ中心を第2のセンサの中心と一致させるステップと、がこの順に行われることを特徴とする高圧ガス筒の自動アライメント方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、キャビネットに昇降自在に配設されたリフトに高圧ガス筒を載置さえすれば、高圧ガス筒を昇降及び回転させながら自動的にバルブのガス噴射ノズルに螺合されたエンドキャップのθ中心及びZ中心をコネクタホルダのθ中心及びZ中心と一致させることが可能になるので、高圧ガス筒をマニュアルで取り替えていた従来とは異なり、高圧ガス筒の自動取り替えを行うことが可能になり、これにより、作業者によるヒューマンエラーを未然に防ぐことはもとより、高圧ガス筒の取り替えの自動化を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の技術による半導体装備のガス供給装置を概略的に示す斜視図。
図2】本発明を説明するためのキャビネットの正面図。
図3】本発明の第1及び第2のセンサが配設された状態を示す斜視図。
図4】本発明のリフト及びクランプを示す正面図。
図5】本発明のクランプを示す斜視図。
図6】本発明の高圧ガス筒が上昇される区間を示す概略図。
図7】本発明の連結ユニットと高圧ガス筒を示す斜視図。
図8】本発明においてエンドキャップのθ中心及びZ中心を見出す過程を説明するための概略図。
図9】本発明を説明するための高圧ガス筒の移動流れ図。
図10】本発明を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、種々の異なる形態に具体化でき、ここで説明する実施の形態に何ら限定されない。図面は概略的であり、縮尺に合うように示されていないことに留意されたい。図面にある部分の相対的な寸法および比率は、図面における明確性および便宜のために大きさにおいて誇張もしくは縮小されて示されており、任意の寸法は、単に例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。なお、2以上の図面に現れる同じ構造物、要素または部品には、同じ参照符号が同じ特徴を示すために用いられる。
【0021】
図2は、本発明を説明するためのキャビネットの正面図であり、図3は、本発明の第1及び第2のセンサが配設された状態を示す斜視図であり、図4は、本発明のリフト及びクランプを示す正面図でって、本発明は、キャビネット100の内部の上部に配設されて高圧ガス筒200のガス噴射ノズル211をコネクタホルダ310に自動的に連結したり解除したりする連結ユニット300と、前記高圧ガス筒200が載置されるダイ410を備え、高圧ガス筒200を昇降させるリフト400と、前記リフト400に配備されて高圧ガス筒200をクランプし且つ回転させるクランプ420と、上記の構成要素を制御する制御部500と、を備えてなる。
【0022】
前記連結ユニット300には、リフト400により上昇する高圧ガス筒200のバルブハンドル212の上端を感知する第1のセンサ320が配設されており、前記第1のセンサ320の下部には、高圧ガス筒200の昇降及び回転につれてエンドキャップ213のθ中心及びZ中心を検出する第2のセンサ330が配設されている。
【0023】
このとき、前記第2のセンサ330は、コネクタホルダ310のθ中心及びZ中心と一致した箇所に配設されていることはいうまでもない。
【0024】
前記クランプ420は、図5に示すように、リフト400に配設されていて、一対のグリッパ421が拡開されたり縮んだりして、高圧ガス筒200をクランプしたりクランプを解除したりするようになっており、前記各グリッパ421には、駆動手段422であるアクチュエータにより回転するローラ423が配設されていて、前記リフト400のダイ410に高圧ガス筒200が載置されながらグリッパ421を縮めると、前記高圧ガス筒200がグリッパ421に回転自在に配設されたローラ423により包み込まれてクランプされた状態でリフト400の駆動により上昇する。
【0025】
以下では、上記の構成により高圧ガス筒200をアラインメントする過程についてより具体的に説明する。
【0026】
図9は、本発明を説明するための高圧ガス筒の移動流れ図であり、図10は、本発明を説明するためのフローチャートである。
【0027】
まず、クランプ420のグリッパ421が拡開された状態でリフト400の下部に配設されたダイ410に高圧ガス筒200を載置すると、拡開されていた一対のグリッパ421が高圧ガス筒200により同時に押されて縮まるため、グリッパ421に配設されたローラ423が高圧ガス筒200をクランプする。
【0028】
前記高圧ガス筒200がダイ410に載置される前に一対のグリッパ421が拡開された状態を保つことは、クランプ420を構成するフレーム424とグリッパ421との間にコイルばね425が連結されているために可能である。
【0029】
すなわち、図9(a)に示す状態でリフト400が駆動されて、図9(b)に示すように、高圧ガス筒200の上部に配設されたバルブハンドル212の上端を第1のセンサ320が感知するまで高圧ガス筒200を上昇させるが、このとき、リフト400を等速度にて上昇させても構わないが、高価な装備のサイクルタイム(cycle time)を短縮するために、制御部500により、リフト400の上昇の初期には、図6に示すように、設定された距離Fに見合う分だけ高速にて上昇させていて、第1のセンサ320が感知する区間F’では、リフト400を低速にて上昇させることがさらに好ましい。
【0030】
前述したように、リフト400の上昇により第1のセンサ320が高圧ガス筒200のバルブハンドル212を感知するまで上昇させ終えると、制御部500により前記リフト400を再駆動して、図9(c)に示すように、制御部500に設定された値[バルブハンドル212の上端からエンドキャップ213の中心までの距離S]に見合う分だけ高圧ガス筒200をさらに上昇させ、リフト400の駆動を中断することにより、高圧ガス筒200の上昇が完了する。
【0031】
これにより、バルブ210に螺合されてガス噴射ノズル211を閉じていたエンドキャップ213のZ中心が決定される。
【0032】
その後、エンドキャップ213のθ中心を見出すためにクランプ420の駆動手段422であるアクチュエータの駆動により一方のローラ423が回転すると、ダイ410に載置された高圧ガス筒200が図9(d)のように回転するが、前記高圧ガス筒200の回転により第2のセンサ330がエンドキャップ213の始点Aを感知すると、この旨を制御部500に報知する。
【0033】
前述したように、高圧ガス筒200を上昇させてエンドキャップ213のθ中心を見出すために最初の高圧ガス筒200を回転させるとき、バルブハンドル212が閉まる逆方向に回転させることがさらに好ましい。
【0034】
これは、リフト400に高圧ガス筒200がローディングされた状態で高圧ガス筒200を回転させるとき、遠心力によりバルブハンドル212が開かれてしまう現象を未然に防ぐためである。
【0035】
このような状態で高圧ガス筒200を回転させ続けて第2のセンサ330がエンドキャップ213の終点Bを感知すると、この旨を制御部500に報知するとともに、高圧ガス筒200の回転を中断し、制御部500により算出されたエンドキャップ213のθ中心に基づいて高圧ガス筒200を逆方向に回転させて、図9(e)に示すように、エンドキャップ213のθ中心を第2のセンサ330の中心と一致させる。
【0036】
しかし、より正確なエンドキャップ213のθ中心を見出すために高圧ガス筒200を反時計回り方向に回転させてB地点からA地点までの距離を検出することがさらに好ましい。
【0037】
これは、高圧ガス筒200が回転し始めて第2のセンサ330がエンドキャップ213の始点Aを検出した時間と、制御部500においてこの旨を認知する時間との誤差(いわゆる、「応差:ディファレンシャル」という。)が生じることにより、エンドキャップ213のθ中心がずれてしまう現象を極力抑えるためである。
【0038】
前述した方法を用いて、エンドキャップ213のθ中心をコネクタホルダ310のθ中心と一致させ終えると、エンドキャップ213のZ中心をコネクタホルダ310のZ中心と一致させなければならない
【0039】
このために、前記リフト400を上昇させて第2のセンサ330がエンドキャップ213の死点を感知すると、この旨を制御部500に報知し、リフト400の上昇を中断する。
【0040】
その後、前記リフト400を下降させて第2のセンサ330がエンドキャップ213の死点を感知すると、この旨を制御部500に報知するとともに、リフト400の下降を、図9(f)に示すように中断し、制御部500により算出されたエンドキャップ213のZ中心に基づいてリフト400を上昇させてエンドキャップ213のZ中心を第2のセンサ330の中心と一致させることにより、図9(g)に示すように、エンドキャップ213のアライメントが完了する。
【0041】
前述したように、駆動手段422により高圧ガス筒200が回転するとき、第2のセンサ330がエンドキャップ213の始点A、終点B、上死点C及び下死点Dを検出してこれらの地点を制御部500に報知するが、始点A及び終点Bの中心であるθ中心、及び上死点C及び下死点Dの中心であるZ中心は、駆動手段422の駆動により得られたエンコーダ値を制御部500において演算することにより分かる。
【0042】
本発明の一実施形態において、Z中心を見出すために高圧ガス筒200を上昇させて死点を感知した後、下降させて死点を感知するように説明しているが、これとは逆に、高圧ガス筒200を下降させてから上昇させてZ中心を第2のセンサ330と一致させてもよいことは理解できる筈である。
【0043】
前述した方法を用いて、前記エンドキャップ213のθ中心及びZ中心をコネクタホルダ310のθ中心及びZ中心と一致させるとき、制御部500に設定された誤差範囲を外れると(例えば、エンドキャップの幅が20mmである場合、θ中心及びZ中心の値が10mm内外であるため、制御部に近似値を予め入力して、算出された値が近似値を外れたときに)エラーを生じさせて作業者にこの旨を報知した後、制御部500により設定された時間後に高圧ガス筒200を回転させるとともに昇降させて前記エンドキャップ213のθ中心及びZ中心を再検出する動作を設定された回数だけさらに行うことがさらに好ましい。
【0044】
もし、上記の動作に際してエラーを生じさせ続けると、作業者がマニュアルでこれを措置しなければ、高圧ガス筒200のガス噴射ノズル211をコネクタホルダ310に連結することができなくなる。
【0045】
しかし、高圧ガス筒200の上部に結合されるバルブハンドル212の上端の高さは、バルブ210の加工誤差及び組立て誤差に応じて高圧ガス筒200ごとに微差が生じて、最初に検出したエンドキャップ213のθ中心が不正確になる虞があるため、前述したように、エンドキャップ213のθ中心及びZ中心を第2のセンサ330と一致させた後、図9(h)及び図9(i)に示すように、前記エンドキャップ213のθ中心を再検出するステップをもう1回行うことにより、エンドキャップ213のθ中心及びZ中心をコネクタホルダ310のθ中心及びZ中心と一致させることが可能になるので、高圧ガス筒200のバルブ210からエンドキャップ213を取り外した後、ガス噴射ノズル211をガス供給ラインと連結されたコネクタホルダ310に自動的に連結することが可能になる。
【0046】
以上、添付図面に基づいて本発明の実施の形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態へと容易に変形できることが理解できる筈である。
【0047】
よって、上述した実施の形態は、あらゆる面において例示的なものに過ぎず、限定的ではないものと理解すべきであり、上記の詳細な説明の欄において述べられた本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって開示され、特許請求の範囲の意味および範囲並びにその等価概念から導き出されるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0048】
100:キャビネット
200:高圧ガス筒
210:バルブ
211:ガス噴射ノズル
212:バルブハンドル
213:エンドキャップ
300:連結ユニット
310:コネクタホルダ
320:第1のセンサ
330:第2のセンサ
400:リフト
410:ダイ
420:クランプ
421:グリッパ
422:駆動手段
423:ローラ
500:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10