(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】直線運動ロータリーユニオン
(51)【国際特許分類】
F16L 27/12 20060101AFI20220407BHJP
F16J 15/3204 20160101ALI20220407BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20220407BHJP
F16J 15/18 20060101ALI20220407BHJP
H01L 21/205 20060101ALN20220407BHJP
H01L 21/304 20060101ALN20220407BHJP
F16C 19/54 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
F16L27/12 K
F16J15/3204 201
F16C19/06
F16J15/18 B
H01L21/205
H01L21/304 622E
F16C19/54
(21)【出願番号】P 2020565242
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 KR2018014587
(87)【国際公開番号】W WO2019160223
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】10-2018-0018002
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520296750
【氏名又は名称】シーリンク株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEALINK CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒジャン
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-137997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/12
F16J 15/3204
F16C 19/06
F16J 15/18
H01L 21/205
H01L 21/304
F16C 19/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体供給路を含む駆動軸と、
前記駆動軸の外部を取り囲んで側壁に複数の第1貫通孔を含む中空部の中間ハウジングと、
前記中間ハウジングと前記駆動軸との間に複数設けられ流体の漏れを防止する第1シール部材と、
前記中間ハウジングの外部を取り囲んで側壁に複数の第2貫通孔を含む中空部の外部ハウジングと、
前記中間ハウジングと前記外部ハウジングとの間に複数設けられ流体の漏れを防止する第2シール部材と、
を含み、
前記駆動軸は、前記中間ハウジング内で回転運動可能に設けられ、前記中間ハウジングは、前記外部ハウジング内で軸方向に往復運動可能に設けら
れ、
前記駆動軸と前記中間ハウジングとの間にはベアリングが設けられ、前記第1シール部材は回転運動用シールであり、前記第2シール部材は、往復運動用リニアシールであり、
前記第2シール部材は、前記中間ハウジングの外周面に複数設けられ、前記中間ハウジングのそれぞれの前記第1貫通孔が対応する前記外部ハウジングのそれぞれの前記第2貫通孔にのみ連通し、他の第2貫通孔には密封を保持できる位置で互いに離隔して配置される、直線運動ロータリーユニオン。
【請求項2】
前記中間ハウジングは、一端部に行くほど外径が縮小する多段に形成され、前記外部ハウジングは、一端部に行くほど内径が縮小する多段に形成され、
前記中間ハウジングの前記外径が縮小する部分と、前記外部ハウジングの前記内径が縮小する部分は、係止鍔部がそれぞれ形成されて前記中間ハウジングの軸方向往復運動を制限する、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項3】
前記中間ハウジングの外周面と前記外部ハウジングの内周面のいずれか1つには軸方向に延びる突起が形成され、他方は、前記突起が挿入される溝が形成されている、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項4】
前記第1シール部材と前記第2シール部材は、合成樹脂から製造される、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項5】
前記駆動軸の外周面、前記中間ハウジングの内周面と外周面、及び前記外部ハウジングの内周面は研磨処理される、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項6】
前記駆動軸の一端部に接続し、前記駆動軸を前記中間ハウジングに対して回転運動させ、
前記中間ハウジングの一端部に接続し、前記中間ハウジングを前記外部ハウジングに対して軸方向往復運動させる駆動部をさらに含む、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項7】
前記駆動部は、前記中間ハウジングに接続されるリニアガイドを含む、請求項
6に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項8】
前記第1シール部材は、前記中間ハウジングの内周面に複数設けられ、前記駆動軸の前記流体供給路の位置に対応するように互いに離隔して配置される、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項9】
前記第1シール部材は、環状シールの内周面に湾曲したリップが形成されたリップシールである、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項10】
前記駆動軸の前記流体供給路、前記中間ハウジングの前記第1貫通孔、及び前記外部ハウジングの前記第2貫通孔が連通する瞬間に前記流体供給路から流入した流体が前記第2貫通孔に流出される、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項11】
前記駆動軸の前記流体供給路、前記中間ハウジングの前記第1貫通孔、及び前記外部ハウジングの前記第2貫通孔が連通する瞬間に前記第2貫通孔から流入された流体が前記流体供給路に流出される、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項12】
前記第2貫通孔のいずれか1つには負圧チャンバが接続し、これに連通する前記流体供給路のいずれか1つには負圧が形成される、請求項1に記載の直線運動ロータリーユニオン。
【請求項13】
複数の流体供給路を含む駆動軸と、
前記駆動軸の外部を取り囲んで側壁に複数の第1貫通孔を含む中空部の中間ハウジングと、
前記中間ハウジングと前記駆動軸との間に複数設けられ、流体の漏れを防止する第1シール部材と、
前記中間ハウジングの外部を取り囲んで側壁に複数の第2貫通孔を含む中空部の外部ハウジングと、
前記中間ハウジングと前記外部ハウジングとの間に複数設けられ、流体の漏れを防止する第2シール部材と、
を含み、
前記駆動軸は、前記中間ハウジング内で軸方向に
往復運動可能に設けられ、前記中間ハウジングは、前記外部ハウジング内で回転運動可能に設けら
れ、
前記中間ハウジングと前記外部ハウジングとの間にはベアリングが設けられ、前記第1シール部材は往復運動用リニアシールであり、前記第2シール部材は回転運動用シールであり、
前記第1シール部材は、前記駆動軸と前記中間ハウジングと間に複数で設けられ、前記中間ハウジングのそれぞれの前記第1貫通孔が前記駆動軸の複数の前記流体供給路の中で対応する流体供給路にのみに連通し、他の流体供給路には密封を保持できる位置で互いに離隔して配置される、直線運動ロータリーユニオン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線運動ロータリーユニオンに関し、回転する駆動軸が軸方向に直線運動可能でありながら、圧力及び真空状態で駆動軸と外部ハウジングを流動する多種流体の漏れを効率よく防止できるロータリーユニオンに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装備は、商業上の重要な集積回路の大量生産のために使用されている。半導体ウェハやガラスなどの基板上に所定の厚さの薄膜を蒸着するために、スパッタリング(Sputtering)などの物理気相蒸着法(PVD;Physical Vapor Deposition)と、化学反応を使用する化学気相蒸着法(CVD;Chemical Vapor Deposition)などが使用されている。化学気相蒸着法として、常圧化学気相蒸着法(APCVD;Atmospheric Pressure CVD)、低圧化学気相蒸着法(LPCVD;Low Pressure CVD)、プラズマ有機化学気相蒸着法(Plasma Enhanced CVD)などが挙げられる。
【0003】
半導体素子の高集積化に伴って、微細パターンの薄膜が求められている。そのため、原子層の厚さの微細パターンを極めて均一に形成することができるだけではなく、ステップカバレージ(Step Coverage)の優れた原子層堆積(ALD;Atomic Layer Deposition)の使用が広がっている。例えば、半導体製造工程のゲート酸化膜、キャパシタ誘電膜、及び拡散防止膜のような薄膜の蒸着に使用されている。
【0004】
原子層蒸着のための装置として、複数の集積回路をシリコン装備の回路基板に重なり合って付着(Layering)させることになるが、このとき、必ず化学機械的研磨装置(Chemical-Mechanical Polishing Applications:以下、CMPという)による研磨工程が行われなければならない。
【0005】
上記の化学機械的な研磨工程は、シリコン装備の回路基板の活性面に脱イオン化された水と腐食液、そして研磨用スラリーを含んでいる化学薬品が供給されている研磨パッドを接触して回転させることで、化学的又は機械的な反応工程により表面の不純物質を除去して平坦化させる。
【0006】
このような化学機械的研磨装置(CMP)には、固定部から流入される流体を回転部に移送させるためにロータリーユニオンが設けられる。
【0007】
即ち、上記のロータリーユニオンは、圧力のある流体や大気圧以下の真空状態で流体を漏らすことなく、固定配管から各種の機械装置の回転部分に供給したり、排出させるとき用いられる回転管継手装置であって、例えば、回転しているドラム、シリンダなどに加熱のための蒸気、熱水、熱油などの熱媒体、及び冷却のための水、アンモニア、フレオン(登録商標)などのような冷媒体や流体に作動するクラッチ、ブレーキなどのような回転機器に圧縮空気や作動油などの作動媒体を供給しようとするとき用いられることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、通常のロータリーユニオンにおいて、流体供給路のある駆動軸を中間ハウジングに対して回転させると同時に、中間ハウジングを外部ハウジングに対して垂直方向、即ち、軸方向に往復運動させることができる直線運動ロータリーユニオンを提供することにある。
【0009】
また、回転運動と軸方向往復運動を同時にすることができ、駆動軸と中間ハウジング、及び中間ハウジングと外部ハウジングとの間の密閉力を向上させ、圧力及び真空状態で流体の漏れを防止できる直線運動ロータリーユニオンを提供することにある。
【0010】
また、密閉構造を簡潔にして製造と維持及び補修を容易にし、サイズを最小化して設置空間を削減することができ、駆動軸と中間ハウジングが互いに対して線接触することにより、摩擦力を最小化させ、潤滑油の供給が必要でない直線運動ロータリーユニオンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンは、複数の流体供給路を含む駆動軸と、前記駆動軸の外部を取り囲んで側壁に複数の第1貫通孔を含む中空部の中間ハウジングと、前記中間ハウジングと前記駆動軸との間に複数設けられ流体の漏れを防止する第1シール部材と、前記中間ハウジングの外部を取り囲んで側壁に複数の第2貫通孔を含む中空部の外部ハウジングと、前記中間ハウジングと前記外部ハウジングとの間に複数設けられ流体の漏れを防止する第2シール部材とを含み、前記駆動軸は、前記中間ハウジング内で回転運動可能に設けられ、前記中間ハウジングは、前記外部ハウジング内で軸方向に往復運動可能に設けられることができる。
【0012】
また、前記駆動軸と前記中間ハウジングとの間にはベアリングが設けられ、前記第1シール部材は回転運動用シールであり得る。
【0013】
また、前記中間ハウジングは、一端部に行くほど外径が縮小する多段に形成され、前記外部ハウジングは、一端部に行くほど内径が縮小する多段に形成され、前記中間ハウジングの前記外径が縮小する部分と、前記外部ハウジングの前記内径が縮小する部分は、係止鍔部がそれぞれ形成されて前記中間ハウジングの軸方向往復運動を制限することができる。
【0014】
また、前記中間ハウジングの外周面と前記外部ハウジングの内周面のいずれか1つには軸方向に延びる突起が形成され、他方は、前記突起が挿入される溝が形成されている。
【0015】
前記第2シール部材は、往復運動用リニアシールであってもよい。
【0016】
また、前記第1シール部材と前記第2シール部材は、合成樹脂から製造されることができる。
【0017】
また、前記駆動軸の外周面、前記中間ハウジングの内周面と外周面、及び前記外部ハウジングの内周面は研磨処理されることができる。
【0018】
また、前記駆動軸の一端部に接続し、前記駆動軸を前記中間ハウジングに対して回転運動させ、前記中間ハウジングの一端部に接続し、前記中間ハウジングを前記外部ハウジングに対して軸方向往復運動させる駆動部をさらに含むことができる。
【0019】
また、前記駆動部は、前記中間ハウジングに接続されるリニアガイドを含むことができる。
【0020】
また、前記第1シール部材は、前記中間ハウジングの内周面に複数設けられ、前記駆動軸の前記流体供給路の位置に対応するように互いに離隔して配置されることができる。
【0021】
また、前記第2シール部材は、前記中間ハウジングの外周面に複数設けられ、前記中間ハウジングのそれぞれの前記第1貫通孔が対応する前記外部ハウジングのそれぞれの前記第2貫通孔にのみ連通し、他の第2貫通孔には密封を保持できる位置で互いに離隔して配置されることができる。
【0022】
また、前記第1シール部材は、環状シールの内周面に湾曲したリップが形成されたリップシールであってもよい。
【0023】
また、前記駆動軸の前記流体供給路、前記中間ハウジングの前記第1貫通孔、及び前記外部ハウジングの前記第2貫通孔が連通する瞬間に前記流体供給路から流入した流体が前記第2貫通孔に流出されることができる。
【0024】
また、前記駆動軸の前記流体供給路、前記中間ハウジングの前記第1貫通孔、及び前記外部ハウジングの前記第2貫通孔が連通する瞬間に前記第2貫通孔から流入された流体が前記流体供給路に流出されることができる。
【0025】
また、前記第2貫通孔のいずれか1つには負圧チャンバが接続し、これに連通する前記流体供給路のいずれか1つには負圧が形成されることができる。
【0026】
本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンは、複数の流体供給路を含む駆動軸と、前記駆動軸の外部を取り囲んで側壁に複数の第1貫通孔を含む中空部の中間ハウジングと、前記中間ハウジングと前記駆動軸との間に複数設けられ、流体の漏れを防止する第1シール部材と、前記中間ハウジングの外部を取り囲んで側壁に複数の第2貫通孔を含む中空部の外部ハウジングと、前記中間ハウジングと前記外部ハウジングとの間に複数設けられ、流体の漏れを防止する第2シール部材とを含み、前記駆動軸は、前記中間ハウジング内で軸方向に垂直運動可能に設けられ、前記中間ハウジングは、前記外部ハウジング内で回転運動可能に設けられることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る直線運動ロータリーユニオンによれば、駆動軸を回転させると同時に、駆動軸を中間ハウジングと共に外部ハウジングに対して垂直方向への移送を可能にし、別途の装置なくとも、ロータリーユニオンが作業対象物に対して垂直方向への距離調整を行うことができる。
【0028】
また、駆動軸と中間ハウジングと外部ハウジングとの間にシール部材を備えることで、回転運動と軸方向の往復運動時にも流体の漏れを効率よく防止することができる。
【0029】
また、密閉力を向上させて流体の漏れを防止でき、かつ、その密閉構造を簡潔にして製造と維持及び補修を容易にし、サイズを最小化して設置空間を削減することができる。
【0030】
また、それと共に、シール部材が回転対象物に対して線接触することで摩擦力を最小化し、別途の潤滑油の供給が不要で構造を極めて簡潔かつ単純にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンの第1位置における断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンの第2位置における断面図である。
【
図4】
図4は、
図2において、線IVに沿って取った断面図である。
【
図5】
図5は、
図2において、線Vに沿って取った断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンに使用されるシール部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では添付の図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態が詳細に説明される。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されることはない。そして、図面で本発明の実施形態を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略することにする。
【0033】
本明細書で使用された用語は、単に、特定の実施形態を説明するために使用されているものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明確に異なる意味を持たない限り、複数の表現を含むことができる。
【0034】
本明細書で、「含む」、「有する」又は「備える」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在を示すことを意図し、1つ又はそれ以上の異なる特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解することができる。
【0035】
また、本発明の実施形態に示される構成部は、互いに異なる特徴的な機能を示すために独立して示されたものであって、各構成部が分離したハードウェアや1つのソフトウェアの構成単位からなることを意味しない。すなわち、各構成部は、説明の便宜上、それぞれの構成部で羅列して記述され、各構成部のうち少なくとも2つの構成部が合わさって1つの構成部からなるか、1つの構成部が複数の構成部に分けられて機能を実行することができる。このような各構成部の統合された実施形態及び分離した実施形態も、本発明の本質から逸脱しない限り本発明の権利範囲に含まれる。
【0036】
また、以下の実施形態は当業界で平均的な知識を有する者に、より明確に説明するために提供されるものであり、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されることもある。
【0037】
以下、添付された図面を参考して、本発明の実施形態を詳細に説明することにする。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンの斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンの第1位置における断面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンの第2位置における断面図である。
【0039】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオン10は、半導体装備、例えば、化学気相蒸着(CVD;Chemical Vapor Deposition)工程又は原子層蒸着(ALD;Atomic Layer Deposition)、イオン注入工程、OLED及びエッチング工程に適用されるロータリーユニオンであってもよい。本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオン10は、原子層蒸着装置(ALD)に使用されてもよく、工程チャンバ20内に位置するサセプター32上に装着された半導体ウェハ30を処理するよう、距離を調整して作動流体を供給するために備えられたものである。
【0040】
直線運動ロータリーユニオン10は、駆動軸100、中間ハウジング200、第1シール部材202、外部ハウジング300、及び第2シール部材206を含む。
【0041】
駆動軸100は、内部に複数の流体供給路112、113、114、115が軸に沿ってその長さを相違にして形成される。本実施形態では、流体供給路112、113、114、115は4個供えられ、平行に形成されているものを例にしたが、これに限定されることはない。流体供給路の1つが軸の真ん中に配置され、これを中心から外側に向かって等間隔にそれぞれの長さを相違にする方式で複数の流体供給路が配置されてもよい。前記流体供給路112、113、114、115には、温度上昇を抑制するために冷却材が流動してもよく、表面処理のための様々な作動流体が流れてもよい。また、外部の加圧又は負圧チャンバと連通して流体供給路112、113、114、115に加圧又は負圧を形成してもよい。それぞれの流体供給路112、113、114、115は、軸方向に延びる部分の終端と連通している流体供給孔が外周縁に複数形成されてもよい。
【0042】
また、駆動軸100の一端に温度を測定するための温度センサ素子(図示せず)が設けられ、駆動軸100の内部には、前記温度センサ素子と電気的に接続するワイヤ又はコネクタが貫通しているセンサ貫通孔111が設けられる。センサ貫通孔111を介して前記温度センサ素子から測定された温度の値が、前記センサ貫通孔111を通過するコネクタを介して別途の計測装置(図示せず)に伝達されることがある。勿論、前記センサ貫通孔111を介して熱線又は圧力センサなどの他のセンサが接続されてもよい。センサ貫通孔111は、流体供給路112、113、114、115の位置を考慮して連通しない位置に設けられることが好ましい。
【0043】
中間ハウジング200は、駆動軸100が挿入されるように所定の大きさの中空部を有する円筒体として、側壁には、前記中空部と垂直に連通している複数の第1貫通孔254、256、258、260が形成される。第1貫通孔254、256、258、260の位置は、軸方向に沿って互いに離隔して異なる位置に形成され、中間ハウジング200の外周縁に沿って等間隔に形成されてもよい。中間ハウジング200の内周面には、中間ハウジング200に外接する複数のベアリング230及び第1シール部材202、220が設けられる。前記ベアリング230は、ラジアルベアリングが複数設けられることが好ましい。また、中間ハウジング200の一端には、ベアリング230を固定させるためのカバー210が設けられ、前記カバー210は、中間ハウジング200の内部に挟まれている状態で、締結ボルト212により中間ハウジング200に固定されてもよい。
【0044】
第1シール部材202、220は、中間ハウジング200と駆動軸100との間に複数設けられ、その間の流体の漏れを防止することができる。具体的に、駆動軸100は、中間ハウジング200の間で複数のベアリング230によって支持されて回転運動(R)可能であるが、回転運動の際に密閉力を向上させるために中間ハウジング200の内周面に介在され、駆動軸100の外周縁に接地される第1シール部材202、220が設けられる。第1シール部材202、220は、中間ハウジング200の内周面に複数設けられるが、駆動軸100の流体供給路112、113、114、115の位置に対応するように互いに離隔して配置されている。より詳細に、複数の第1シール部材202のそれぞれは、流体供給路112、113、114、115と連通するように、前記駆動軸100の外周縁に複数形成されている前記流体供給孔の位置に対応する位置に配置されてもよい。このような第1シール部材202の配置に応じて、前記中間ハウジング200の第1貫通孔254、256、258、260のそれぞれは、駆動軸100の対応する流体供給路112、113、114、115のいずれか1つの流体供給路と任意に連通することになり、他の流体供給路とは連通しない。
【0045】
第1シール部材202、220は回転運動用シールであってもよく、合成樹脂素材のリップシールであってもよい。第1シール部材202、220は、設けられる位置の駆動軸100の外径に応じて、その大きさが互いに異なってもよい。
【0046】
外部ハウジング300は、その内側に中間ハウジング200が挿入されるように所定の大きさの中空部を有する円筒体であって、側壁には、前記中空部と垂直に連通している複数の第2貫通孔304、306、308、310が形成される。外部ハウジング300の内周面には、外部ハウジング300に外接する複数の第2シール部材206が設けられる。
【0047】
第2シール部材206は、外部ハウジング300と中間ハウジング200との間に複数設けられ、その間の流体の漏れを防止することができる。具体的に、中間ハウジング200は、外部ハウジング300の間で垂直方向、即ち、軸方向に往復運動(V)できるが、密閉力を向上させるために外部ハウジング300の内周面に介在されて中間ハウジング200の外周縁に接地される第2シール部材206が複数設けられる。第2シール部材206は、リング状のシールとして合成樹脂で製造されてもよい。第2シール部材206は、往復運動用のリニアシールであってもよい。本実施形態では、第2シール部材206としてOリングを使用したが、これに限定されることなく、往復運動可能な様々な形態のリニアシールを適用することができる。
【0048】
第2シール部材206は、中間ハウジング200の外周面に複数設けられるが、中間ハウジング200のそれぞれの第1貫通孔254、256、258、260が対応する外部ハウジング300のそれぞれの第2貫通孔304、306、308、310のいずれか1つのみに連通し、他の第2貫通孔には密封を保持できるように互いに離隔して配置されてもよい。
【0049】
駆動軸100は、中間ハウジング200内で回転運動(R)可能に設けられ、中間ハウジング200は、外部ハウジング300内で軸方向往復運動(V)できるように設けられる。この場合、直線運動ロータリーユニオン10は、外部の駆動部40へ電気/機械的に接続され、駆動軸100が回転運動を行って、中間ハウジング200と駆動軸100は共に外部ハウジング300に対して軸方向往復運動(V)を行う。一例として、駆動部40は、モータとリニアガイドを含んでもよい。
【0050】
一方、
図2を参照すると、中間ハウジング200は、一端部に行くほど外径が縮小する多段に形成され、外部ハウジング300は、一端部に行くほど内径が縮小する多段に形成されてもよい。中間ハウジング200の外径が縮小する部分270と、外部ハウジング300の内径が縮小する部分350即ち内側に突出する部分は係止鍔部がそれぞれ形成され、中間ハウジング200の軸方向往復運動が一定の距離だけ制限される。
【0051】
また、中間ハウジング200は、他の端部に行くほど外径が拡大する形状であってもよい。中間ハウジング200の他の端部には、外径が拡大する部分250が備えられ、中間ハウジング200の軸方向往復運動の際に、図面上に垂直の下方向に移動する場合に外部ハウジング300の他の端部にかかり、中間ハウジング200の軸方向移動を一定の距離だけ制限することができる。一例として、
図2において、距離(V1)と距離(V2)は同一に設定されてもよい。
【0052】
一方、図示していないが、中間ハウジング200の外周面と外部ハウジング300の内周面のいずれか1つには、軸方向に沿って延びる突起が形成され、他の1つには前記突起が挿入される溝が形成されてもよい。そのため、中間ハウジング200が外部ハウジング300内で軸方向への往復運動だけを可能にし、外部ハウジング300内における回転を防止することができる。また、外部ハウジング300の一端部には、第3シール部材208が複数設けられる。第3シール部材208は、中間ハウジング200と外部ハウジング300との間を密封するためのもので、軸方向の往復運動を行う中間ハウジング200に適用できるように、往復運動に優れた密封性能を示す往復運動用リニアシールが適し、本実施形態においてはOリングを使用したが、これに限定されることなく、様々な形態のリニアシールを適用することができる。一方、外部ハウジング300の一端には、第3シール部材208を固定するための蓋220が設けられ、蓋220を貫通する締結ボルト303が、外部ハウジング300に締結して蓋220を固定している。
【0053】
本実施形態のように、外部ハウジング300の一端に工程チャンバ20が結合される場合、第3シール部材208は工程チャンバ20の内部と、中間ハウジング200と外部ハウジング300との間を密封する役割を行ったりもする。また、外部ハウジング300と工程チャンバ20は、締結ボルト301によって固定され、この場合に外部ハウジング300の一端にはOリング形態の第4シール部材21が備えられ、工程チャンバ20を外部から密封することができる。
【0054】
本実施形態では、中間ハウジング200が外部ハウジング300に直接挿入されることを例にしたが、外部ハウジング300の内周面には円筒状のブッシュ(図示せず)が備えられてもよい。前記ブッシュは、中間ハウジング200と外部ハウジング300との間の摩擦を低減するためのものとして様々な種類のブッシュが使用されているが、固体潤滑剤が備えられるスライドブッシュを使用してもよい。
【0055】
駆動軸100の外周面、中間ハウジング200の内周面及び外周面、そして、外部ハウジング300の内周面は、高い硬度と精密な表面を有することができるように研磨処理される。これは接触面の間の接触応力分布及び温度分布を均一にするためのものであって、研磨処理を実行すれば、駆動軸100と中間ハウジング200、中間ハウジング200と外部ハウジング300との間の気密をさらに確実に行うことができる。研磨処理の一例として、機械及び熱処理などのような方法により加工された駆動軸100、中間ハウジング200、外部ハウジング300の少なくとも一端部の表面に所定のコーティング材料を一定の厚さでコーティングした後、コーティングされた表面が均一な厚さを有するように研磨処理する。ここで、上記のようにコーティングした以後に研磨処理を行う理由は、コーティングの厚さを任意に調整することができ、かつ均一なコーティングの厚さを取得することができる。しかし、必ずこれに限定されることなく、研磨処理の後にコーティング作業を行うことも可能である。
【0056】
以下、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンの作動について説明することにする。
【0057】
図4は、
図2において線IVに沿って取った断面図であり、
図5は、
図2において線Vに沿って取った断面図である。
図6は、
図3においてVI領域の拡大概念図である。
【0058】
図2~
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係るロータリーユニオン10は、内部に複数の流体供給路112、113、114、115を含む駆動軸100が、中間ハウジング200の内部で高速に回転することができる。中間ハウジング200の側壁には、複数の第1貫通孔254、256、258、260が備えられ、外部ハウジング300の側壁には第1貫通孔254、256、258、260にそれぞれ対応する第2貫通孔304、306、308、310が設けられる。駆動軸100の回転により、流体供給路112、113、114、115のそれぞれが前記第1貫通孔のいずれか1つの貫通孔に連通する瞬間が存在し、このとき、第2貫通孔に一定の圧力で供給される流体が、結局は前記第1貫通孔を介して前記流体供給路に移送される。逆に、流体供給路112、113、114、115には加圧された流体供給チャンバが接続されてもよく、この場合に、流体供給路112、113、114、115を介して一定の圧力で供給される流体が、それぞれに対応する第1貫通孔と連通する瞬間に前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を介して外部に移送されてもよい。
【0059】
図2及び
図4に示すような条件では、流体供給路112と第1貫通孔254、及び第2貫通孔304が連通するため、第2貫通孔304を介して所定の圧力で供給される流体が、流体供給路112を介して工程チャンバ20内部に移送されてもよい。同時に、
図5に示すように、流体供給路114と第1貫通孔258、及び第2貫通孔308が連通しているため、第2貫通孔308を介して所定の圧力で供給される流体が、流体供給路114を介して工程チャンバ20の内部に排出されてもよい。
【0060】
一方、第2貫通孔304、306、308、310のいずれか1つに負圧チャンバが接続される場合、駆動軸100の回転により駆動軸100の流体供給路112、113、114、115のいずれか1つが、前記負圧チャンバが接続されているいずれか1つの前記第2貫通孔と連通する瞬間に、前記流体供給路に負圧が形成されてもよい。この場合、前記駆動軸100の一端には、流体供給路112、113、114、115を介して負圧が形成され、真空吸着が可能であるため、半導体ウェハなどを持ち上げるために使用されてもよい。
【0061】
一方、
図3に示すように、駆動軸100と中間ハウジング200は、外部ハウジング300に対して軸方向に運動する。軸方向に移動をする間にも駆動軸100は、同じ速度で回転し、軸方向に移動をする場合にもそれぞれの流体供給路112、113、114、115には作動流体が供給されるようにする必要がある。図示するように、第2貫通孔304を介して供給される作動流体は、駆動軸100が下方へ移動しても、中間ハウジング200の第1貫通孔254を介して流体供給路112に移送されてもよい。このような理由は、第2シール部材206が他の経路への流体の移送を遮断できるためである。同じ方式により、第2貫通孔308を介して供給される流体は、駆動軸100が下方へ移動しても、中間ハウジング200の第1貫通孔258を介して流体供給路114に移送されてもよい。第2シール部材206の設置位置のおかげで、第2貫通孔308を介して供給される流体は、1つの第1貫通孔258にのみ連通し、他の第1貫通孔254、256、260とは連通しない。
【0062】
上述した実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンによれば、駆動軸を回転させると同時に、駆動軸を中間ハウジングと共に外部ハウジングに対して垂直方向への移送を可能にし、別途の装置なくてもロータリーユニオンが作業対象物に対して垂直方向への距離調整を行うことができる。
【0063】
また、駆動軸と中間ハウジングと外部ハウジングとの間にシール部材を備えることで、回転運動と軸方向往復運動する時にも流体の漏れを効率よく防止することができる。
【0064】
また、密閉力を向上させて流体の漏れを防止できながらも、その密閉構造を簡潔にし、製造と維持及び補修を容易にし、サイズを最小化することで設置空間を削減することができる。
【0065】
上述した実施形態では、前記駆動軸が前記中間ハウジング内で回転運動を行い、前記中間ハウジングが前記外部ハウジング内で軸方向に往復運動することについて例を挙げて説明した。しかし、前記駆動軸が前記中間ハウジング内で軸方向に垂直運動可能に設けられ、前記中間ハウジングは、前記外部ハウジング内で回転運動可能に設けられることは勿論、この場合にも同じ効果を得ることができる。
【0066】
以下、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンに使用されるシール部材について説明することにする。
【0067】
図7は、本発明の一実施形態に係る直線運動ロータリーユニオンに使用されるシール部材の斜視図である。
【0068】
図7を参照すると、第1シール部材202は、環状シールの内周面に湾曲したリップ203が形成されたリップシールである。
図2に示された実施形態において、第2シール部材206はOリングであることを例にして説明したが、第2シール部材206も
図7に示されているリップシールであってもよい。第1シール部材202は、その中心に駆動軸200が貫通可能なように、貫通孔が形成されている。第1シール部材202は、軟性を有するゴム又はプラスチックのような合成樹脂で製造されてもよい。一方、
図3に示すように、それぞれの第1シール部材202を中間ハウジング200の内周面に密着固定させるよう第1シール部材202の側面には、第1シール部材202を加圧させるリング状の加圧固定部材204が設けられる。加圧固定部材204は、軟性の第1シール部材202を中間ハウジング200の内周面に配置させ、その状態を保持できるように金属で製造されることが好ましい。
【0069】
一方、上述した実施形態では、複数の第1シール部材202のリップ203がすべて同じ方向に向かっていることを例にして説明したが、シール部材が設けられる位置に2つの第1シール部材202のシールリング面が互いに対向し、上下に合わせて一対で構成させることで、リップ203の方向が上下互いに対向していてもよい。この場合、前記第1シール部材の先端を駆動軸100の外周縁に接地可能にすることで、線接触による密閉力を提供することができる。本実施形態に係るシールリング部材によれば、シール部材が回転の対象物に対して線接触をすることで摩擦力を最小化し、別途の潤滑油の供給が不要で構造を極めて簡潔かつ単純にすることができる。
【0070】
以上で本発明の代表的な実施形態を詳細に説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は上述した実施形態に対して本発明の範疇から逸脱しない限り様々な変形が可能であることを理解するのであろう。従って、本発明の権利範囲は、説明された実施形態に限定されて決定されることなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。