(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】医師協同診療システム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20220407BHJP
【FI】
G16H80/00
(21)【出願番号】P 2021001729
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2021-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521012463
【氏名又は名称】根上 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】根上昌子
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-133270(JP,A)
【文献】特開2005-326984(JP,A)
【文献】特開2017-146914(JP,A)
【文献】特開2020-060880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受診希望者に係る受診希望者端末と、
前記受診希望者とネットワークを介して接続されるコアクリニックに係るメインサーバであって、前記コアクリニックに係る第1の識別情報と、前記コアクリニックに属するコアクリニック医師もしくは前記コアクリニックと提携したオンラインサテライト医師に係る第2の識別情報と、前記受診希望者に係る第3の識別情報と、前記第2の識別情報に係る医師の診療可能時間を示す診療可能時間情報と、を保存する記憶部、前記第1~第3の識別情報及び前記診療可能時間情報を送受信する送受信部と、前記記憶部及び前記送受信部を制御する制御部であって、前記第2の識別情報に係る医師についての提携費用に関する費用情報を可視化するとともに、前記コアクリニックと、前記コアクリニック医師と、前記オンラインサテライト医師とを評価対象者として医療評価者が行った定量的及び定性的評価に基づき医療評価を算出し該算出された医療評価に関する評価情報を可視化する機会損失解消部を有する制御部とを備えたメインサーバと、
前記受診希望者を遠隔にて前記オンラインサテライト医師が診療するサテライトに置かれ前記受診希望者及び前記メインサーバとネットワークを介して直接的もしくは間接的に接続されるサテライト端末であって、前記受診希望者端末に対して直接的もしくは間接的に診療情報を送信するサテライト端末と
を備えることを特徴とする医師協同診療システム。
【請求項2】
前記機会損失解消部は、
各前記クリニック間および前記オンラインサテライト医師との契約で決められた計算式で算出を実行する提携費用の算出部と、
前記コアクリニックと前記オンラインサテライト医師との間での契約に取り決めたルール、割合の計算式に基づき前記オンラインサテライト医師への支払を算出する診療費の算出部と、
前記第1の識別
情報、前記第2の識別
情報、前記第3の識別
情報、診察可能時間に係る情報、診察希望時間に係る情報の各情報間の紐づけを行い前記コアクリニックをまたぐ医師や受診者の診療予約を前記コアクニック間で共有できるようにする受診予約部と、
前記コアクリニック医師については前記第2の識別
情報により所属する前記第1の識別
情報に係る前記メインサーバと前記第3の識別
情報に係る受診希望者の端末とへのアクセスを可能とし、前記オンラインサテライト医師については前記第2の識別
情報により前記サテライト端末から、提携先の前記第1の識別
情報に係る前記メインサーバと前記第3の識別
情報に係る受診希望者の端末とへのアクセスを可能とし、医療類似行為者については前記第2の識別
情報により前記サテライト端末から、提携先の記第1の識別
情報に係る前記メインサーバと前記第3の識別
情報に係る受診希望者の端末とへのアクセスを可能とするとともに閲覧内容は制限付きで可能とする、機能を実行制御するフィルタリング部と、
前記第1の識別
情報と、前記第2の識別
情報と、前記第3の識別
情報と、アクセスログとから、診療履歴情報を作成し、該作成された診療履歴情報を前記メインサーバの記憶部に記録するオンライン診療記録部と
を具備することを特徴とする請求項1記載の医師協同診療システム。
【請求項3】
保険診療と自由診療とが実現できることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の医師協同診療システム。
【請求項4】
地方の温泉ホテル、旅館、高齢者サービス付き住宅を含む住宅サービス、学校、市民コミュニテイーセンターを含む娯楽、教育、介護施設、美容施設、接骨院の少なくともいずれか一つに前記コアクリニックに係る機能または前記サテライトに係る機能を備えることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の医師協同診療システム。
【請求項5】
前記コアクリニックと一人以上の前記オンラインサテライト医師とのオンラインによる外科手術がリアルタイムで行われることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の医師協同診療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば医師協同診療システムに係り、特にたとえばオンライン診療を持つクリニック同士および医師、医療類似行為の医師協同診療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、厚生労働省の、オンライン診療の適切な実施に関する指針(平成30年3月)(令和元年7月一部改訂)によれば、オンライン診療は、
1、患者の日常生活の情報も得ることにより、医療の質のさらなる向上に結び付けていくこと。
2、医療を必要とする患者に対して、医療に対するアクセシビリティ(アクセスの容易性)を確保し、よりよい医療を得られる機会を増やすこと。
3、患者が治療に能動的に参画することにより、治療の効果を最大化すること
を目的として行われるべきものである、とされる。
【0003】
こうした基本理念は、医療法第1条の「医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与すること」に資するものである。
【0004】
また、医師と患者とが1対1で診療を行っていることを確認するために、オンライン診療の開始時間及び終了時間をアクセスログとして記録するシステムであることが望ましいとされている。この後、令和2年4月
10日に新型コロナウイルス感染症のための改定が行われ、オンライン診療の開始、終了のアクセスログの記録システムの必要性が取り払われている。ただし、今後変更される可能性もあることは一考の余地がある。
【0005】
さらに、オンライン診療の形態の一つとして、患者が主治医等の医師といる場合に行う、主治医(doctor)のD、患者(patient)のP、遠隔地にいる医師Dによる、患者Pに対面している医師(=主治医 D)のいる医療提供施設を使った医師群によるオンライン連携診療(以下、「D to P with Dという」。)がある。
【0006】
この場合において、情報通信機器を用いて診療を行う遠隔地にいる医師は、事前に直接の対面診療を行わずにオンラインで診療(診察・診断・治療)を行うことができ、主治医等の医師としては、遠隔地にいる医師の専門的な知見・技術を活かした対面診療が可能となると考えられる。
【0007】
オンライン診療の初診対面診療の縛りをなくすことについては、令和2年4月10日で初診対面診療の縛りがなくなっているが、そのことに伴い、法律上主治医の縛りはなくなっている。ただし、新型コロナウイルス感染症が収束したあとに実施に関する指針を元に戻すのかなどについては不透明ではある。令和2年8月26日には、初診対面診療の縛りを取り払うのは、2次医療圏までが望ましいとの記載が追記された。
【0008】
受診者の側にいる医師は、既に直接の対面診療を行っている主治医等であることが望ましいとされる一方、情報通信機器を用いて診療を行う遠隔地にいる医師は、あらかじめ、主治医等の医師より十分な情報提供を受けることが必要である。ただし、自由診療においては、この限りではない。また、また医療類似行為を行うものは、診断を行うことが違法行為となるため、医師の指示がなければ診断に基づく施術をすることができない。
【0009】
診療(診察・診断・治療)の責任の主体は、原則として従来から対面診療している主治医等の医師にあるが、情報通信機器の特性を勘案し、問題が生じた場合の責任分担等についてあらかじめ協議しておくことになる。
【0010】
また、オンライン診療の実施に当たっては、利用する情報通信機器やクラウドサービスを含むオンライン診療システム(※1)及び汎用サービス(※2)等を適切に連携・使用するために、個人情報及びプライバシーの保護に最大限配慮するとともに、使用するシステムに伴うリスクを踏まえた対策を講じた上で、オンライン診療を実施することが要求されている。厚生労働省でも、オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会第9回の資料1における、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について」の事務通達にて、Skype(登録商標)、LINE(登録商標)などを利用して診療を行うことを特別措置として認めている。※1オンライン診療システムとは、オンライン診療で使用されることを念頭に作成された視覚及び/もしくは聴覚を用いる情報通信機器のシステムである。※2汎用サービスとは、オンライン診療に限らず広く用いられるサービスであって、視覚及び/もしくは聴覚を用いる情報通信機器のシステムを使用するものである。
【0011】
ここで診察とは、医師が受診者の身体状況、病状の原因などをさぐること、診断とは、医師が受診者の問題点に対する原因や病気などを判断すること、治療とは、医師が受診者の身体状況をより良くすることや、不調、身体状況の問題、病気、怪我をなおすこと、をそれぞれいう。また、診療とは、診察・診断・治療をひとくくりにした総称である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
たとえば、特許文献1では、医療従事者間の患者情報の共有画面と動画による双方向通信とを組み合わせた遠隔診療支援装置・システムが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示される技術思想では、医療機関にいる医師等の医療従事者と当該医療機関とは別の拠点(遠隔地)にいる患者又は訪問看護師もしくは訪問介護士等との間で共有画面と動画によるリアルタイムな双方向通信をネットワーク負荷を高めないで行うための技術的工夫が考察されるものの、遠隔医療に伴って必然的に発生する(後述する)医療格差の問題、機会損失の問題、或いはこれらに関連する(後述する)諸問題に対する考察・解決は考慮されていない。
【0014】
従来、勤務医の労働に対する対価の低さ、開業医の多くの領域(自分の専門外も含め)に対応するために最新医療の習得にかける多大な時間、多額の開業費用や最新設備導入費用捻出のための過酷な労働等、現状の医療を取り巻く多くの問題がある。例えば、医療過疎地域に住む受診者が医療を受けるために遠方に出向く、もしくは医師が過疎地域まで出向くために時間と労力がかかるがために生まれている医療格差(すなわち、医療過疎地域に住む受診者は比較的高額の出費を強いられること、或いは、医師が過疎地域まで出向く分、診療に対して掛けられる時間が減少するために機会損失が発生し、過疎地域に出向希望をする医師も少なく過疎地域の医療格差は広がるばかりである等)がある。
【0015】
例えば、一人の医師が複数のクリニックのオンライン診療にて診療可能医師として登録されていたとして、複数のクリニックのオンライン診療を行うときに予約可能な空き時間を各クリニックで各々に設定した場合、別々のクリニックでの受診者のブッキングが発生する可能性があり、また、一人の医師が複数のクリニック分のオンライン診療システムのログインID、パスワードを持たなくてはいけなくなることで各医師の事務的作業が煩雑化する可能性がある。またカルテ記載もクラウド上で共通化されたカルテに統一化されていない場合は、クリニックごとに異なるカルテ記載となるため、煩雑でもあり、入力方法も多種多様となり、さらには、記載内容の間違いの原因ともなる。
【0016】
例えば、多くの医師が、受診者数の多い東京などの都会に集中していることから、東京都と他地域との間に医療格差が厳然として存在する。また、保険診療と自由診療とのはざまに医師と受診者の双方が置かれた現状から、医療を受診する側の選択肢が増える反面、(保険診療制度上の拘束から)自由度が限定されることによる医療レベル改善の阻害、受診者の負担する費用が保険診療対象外となることによる医療負担額の公正性が担保されないこと、といった問題があげられている。また、医師側からは、受診者に対して、適切な技量を持つ医師を紹介することができていない場合も現状多々あり、こうした状況では力量ある医師という人的資源が埋もれてしまっている例も生じ得、こうした場合には、医療人的資源の有効活用が果たされているとはいえない。
【0017】
また、受診者からの現状医療に対して抱いている問題意識がある。すなわち、その道の権威にみてもらいたいのに、どの医者がもっとも自分の身体的なニーズや症状や疾患の診療に向いているのかわからない、仮に診てもらいたい医者がいても、その医者へつながる良い伝手が無い、自分の住んでいる場所から遠い、その医者の診療予約がとれない、等といった問題がある(もしくは潜在的にいくらでも起こり得る)が、これらに対する解決策は現状ないに等しい。
【0018】
また、例えば、受診者の症状の原因が複数考えられるときには、これら疾患に対応した複数の専門医師に診てもらう必要があるが、受診者自身これらの専門医師を探し出すのは、非常に困難である。
【0019】
本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み、その問題点を解決することを企図して案出されたものである。即ち、本発明は、過疎地域に対しては豊富な診療範囲の広がりを提供し、都会に対しては全国津々浦々に拠点を構える医者に対して、多くの受診者への医療の提供が望めるものとし、また、幅広い医療を提供できることで保険診療と自由診療、医療類似行為の組み合わせによる医師と受診者の双方の自由度を増すことを可能とする医師協同診療システムを提供することを課題とする。
【0020】
上記の医師と受診者の双方の自由度を増す、という考え方をここで、深く考察する。医師と受診者の双方の自由度を増すということは、医師としての機会損失(すなわち、自身の専門性を発揮できる患者が身近にいない、もしくは少ないこと)及び受診側の機会損失(自身が必要とする専門技量を備えた医師が身近にいないため、非専門者による診断を受けるにとどまっていたり、専門的技量を備えた医師による診療を受診する機会を得られることなく実質的に治療しないもしくは放置される状態になること)が解消される可能性が出てくることを意味する。また、医療類似行為の現場に医師がいないために、診断がなされず適切な医療類似行為ができなくなることも解消される可能性が出てくることも意味する。こうした医療分野における医師側及び受診者側双方からの機会損失解消を可能とする医師協同診療システムを提供することを究極的な課題とする。医師側及び受診者側双方の視点からの自由度が増した場合には、より能力のある医師の診療がより適切な受診者に対して提供されるために、より能力のある医師に対して医療希望が到達し、反面能力の劣る医師は自然淘汰されることになるから、結果として、医師はより自身の能力・専門的知識/技量を高めざるを得なくなる。同時に、受診者側でも、選択肢が多くなることから自然と、選択眼が高度化するから、受診者側の医療リテラシーが高度化し、医師に対する要求レベルも高度化し、これが医師側の技量向上を促進する。したがって、これらの点を企図する場合、本願は、医療の高度化をシステム面から担保し、より高度化された医療を日本の隅々に繰り広げることを担保する医師協同診療システムを提供することを究極的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者は、上記の課題の解決のために、医療分野における機会損失解消へむけ、全国の受診者と医師の入り口となるシステムとして、非常勤医師へ支払う料金の算出と、医師の医療評価と、主治医への診断支援費の算出と、多数のクリニックや医療類似行為現場をまたぐ医師や受診者の診療予約とを、クリニック間で連携できるようにすることが出発点として必要になることに着眼し、それを実現するためのシステムを創出した。
【0022】
本願においては、同システムで連携されたクリニックをコアクリニックと称することとし、コアクリニックの現場で受診者と向き合い医療に従事している医師をコアクリニック医師とし、コアクリニックと提携し、連携を取りながら、遠隔でのオンラインによる診療を行う医師をサテライト医師と称することとする。
【0023】
より具体的には、上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る医師協同診療システムは、受診希望者に係る受診希望者端末と、前記受診希望者とネットワークを介して接続されるコアクリニックに係るメインサーバであって、前記コアクリニックに係る第1の識別情報と、前記コアクリニックに属する医師に係る第2の識別情報と、前記受診希望者に係る第3の識別情報と、前記第2の識別情報に係る医師の診療可能時間を示す診療可能時間情報と、を保存する記憶部、前記第1~第3の識別情報及び前記診療可能時間情報を送受信する送受信部と、前記記憶部及び前記送受信部を制御する制御部であって、前記第2の識別情報に係る医師についての提携費用に関する費用情報及び医療評価に関する評価情報を可視化する機会損失解消部を有する制御部とを備えたメインサーバと、前記受診希望者を遠隔にてサテライト医師が診療するサテライトに置かれ前記受診希望者及び前記メインサーバとネットワークを介して直接的もしくは間接的に接続されるサテライト端末であって、前記受診希望者端末に対して直接的もしくは間接的に診療情報を送信するサテライト端末とを備えて構成される。
【0024】
コアクリニック、医者、受診者は、ユニークなIDにより管理されることを特徴としてもよい。
【0025】
コアクリニック医師とサテライト医師は、ID2を使用して、メインサーバにアクセスする。コアクリニック医師は、他のコアクリニックのオンラインサテライト医師として診療してもよい。さらに、コアクリニック医師とオンラインサテライト医師は、一つ以上のコアクリニックとオンライン診療することを可能とする。
【0026】
本発明の第2の態様として、前記第1の態様において、前記機会損失解消部は、提携費用の算出部と、医療評価の算出部と、診療支援費の算出部と、受信予約部と、フィルタリング部と、オンライン診療記録部とを具備するようにしてもよい。この機会損失解消部は、保険診療と自由診療とを組み合わせた診療費の算出をすることとしてもよい。かかる構成を備えることにより、たとえば、提携費用の算出部によって算出された費用から診療支援費の算出部によって算出された診療支援費を減ずることで前記第2の識別情報に係る医師についての提携費用に関する費用情報が可視化され、また、たとえば、医療評価の算出部によって得られた一時的評価情報に、受信予約部による予約状況情報、フィルタリング部によるフィルタリング情報、オンライン診療記録部によるオンライン診療記録情報を加味することで医療評価に関する評価情報が可視化されることができる。なお、機会損失解消部が前記第2の識別情報に係る医師についての提携費用に関する費用情報及び医療評価に関する評価情報を可視化する方法は上記の態様に限定されるものではない。
【0027】
本発明の第3の態様として、前記第1または第2の態様において、保険診療と自由診療とが実現できるようにしてもよい。かかる構成を備えることにより、医師側及び受診者側の医療診療/受診に関する自由度がさらに増大する。
【0028】
本発明の第4の態様として、第1~第3の態様のうちのいずれかの態様において、地方の温泉ホテル、旅館、高齢者サービス付き住宅を含む住宅サービス、学校、市民コミュニテイーセンターを含む娯楽、教育、介護施設、美容施設、接骨院などの医療類似行為を行う現場の少なくともいずれか一つに前記コアクリニックに係る機能または前記サテライトに係る機能を備えるようにしてもよい。かかる構成を備えることにより、医師の働き方や働く場所の自由度を提供することになり、これにより地方の活性化促進が図られることが期待できる。
【0029】
コアクリニック機能は、少なくともコアクリニック端末とコアクリニックとコアクリニック医師とで構成され、サテライト機能は、少なくともサテライト端末とオンランサテライト医師とで構成されている。
【0030】
本発明の第5の態様として、第1~第3の態様のうちのいずれかの態様において、前記コアクリニックと一人以上の前記サテライト医師とのオンラインによる外科手術がリアルタイムで行われるようにしてもよい。かかる構成を備えることにより、即時的対応や緊急的対応が必要な処置についても本システムで対応することができる。
【0031】
上記各態様によれば、複数のコアクリニックよりネットワークを経由して接続されたメインサーバは、データベースに登録された複数のコアクリニックと、コアクリニック医師と、オンラインサテライト医師と、受診者とを連携し、コアクリニックを核にした医師協同診療システムが実現され、ここにおいて、より能力のある医師の診療がより適切な受診者に対して提供され、より能力のある医師に対して医療希望が到達することがシステム的に担保されるから、医師側/受診者側双方にとっての機会損失解消が実現されることとなって、結果的に、医療の高度化をシステム的に担保し、より高度化された医療を日本の隅々に繰り広げることを担保する医師協同診療システムを実現することができることとなる。
【0032】
さらに、著名医者へ受診者の予約が集中することによる、その医者を本来必要とする受診者が受診できなくなる問題や、ある医者に予約が集中して過労働に陥る問題を防ぐことが可能となる。機会損失解消部は、受診者の症状に合わせて最適化した医師を受診者側の端末から選択し診療予約可能とするフィルタリング機能をさらに有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の各態様によれば、個別のクリックは、オンライン診療システムへの投資費用やオンラインサテライト医師と提携するための医療以外に費やす時間拘束を受けることがないという効果をも奏する。また、医師は、全国の受診者に対する医療活動に自分の時間を有効利用することができ、クリニックも他クリニックと連携することが可能となり、特別な追加設備投資をしなくてもよい。また、コアクリニック間で融通しあい、たとえば、コアクリニックのオンライン診療で、遠方の受診者を診療する場合、受診者の近くにある本医師協同診療システムを採用するコアクリニックに、点滴などの処置を依頼することが可能となる。
【0034】
また、過疎地域は診療範囲が広がり、都会は全国集客が望めるもので、また、保険診療と自由診療との組み合わせにより、より良い医療を適切な料金で日本の隅々に繰り広げることができる。
【0035】
さらにまた、本発明に係る態様によれば、受診希望者は(特に地方在住の受診希望者は)受診機会拡充というメリットを享受することができる。これにより優秀な医師に受診希望が集中することになって医師間の自由競争が促進され、これがひいては医療技術発達に繋がるという効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係るオンライン診療連携図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係るシステムの機能ブロック図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係るシステムの機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコアクリニックに設置されたコアクリニック端末とオンラインサテライト医師側に設置されたサテライト端末の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るコアクリニックのIDであるID1と、医師のIDであるID2と、受診者のIDであるID3のデータ構成図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る医療分野における機会損失解消部を示す機能ブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る処理手順を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る医師協同診療システムについて詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係るオンライン診療システムにおける連携を示す概念図である。
図1に示すように、
1)たとえば、東京都の内科のコアクリニックと、群馬県の外科のコア
クリニックと、福岡県の泌尿器科のコア
クリニックと、沖縄県の歯科のコア
クリニックと、外科、産婦人科、皮膚科、歯科が専門のオンラインサテライト医師(S)と、美容院、接骨院の医療類似行為を行うオンラインサテライト施設とのオンライン診療連携が形成されている。オンラインサテライト施設は、コアクリニック医師、オンラインサテライト医師からの指示により、医療類似行為を行う。
2)群馬県の外科のコアクリニックと、東京都の内科のコアクリニックと、青森県の皮膚科のコア
クリニックと、神奈川県の歯科のコアクリニックと、沖縄県の歯科のコア
クリニックと、内科、産婦人科、皮膚科が専門のオンラインサテライト医師(S)と、スポーツクラブの医療類似行為を行うオンラインサテライト施設とのオンライン診療連携が形成されている。
3)青森県の皮膚科のコア
クリニックと、神奈川県の歯科のコア
クリニックと、群馬県の外科のコア
クリニックと、内科、産婦人科が専門のオンラインサテライト医師(S)とのオンライン診療連携が形成されている。
4)神奈川県の歯科のコア
クリニックと、福岡県の泌尿器科のコア
クリニックと、青森県の皮膚科のコアクリニックと、群馬県の外科のコアクリニックと、内科、産婦人科、皮膚科が専門のオンラインサテライト医師(S)とのオンライン診療連携が形成されている。
5)福岡県の泌尿器科のコア
クリニックと、東京都の内科のコアクリニックと、神奈川県の歯科のコアクリニックと、外科、産婦人科、皮膚科、内科が専門のオンラインサテライト医師(S)とのオンライン診療連携が形成されている。
6)沖縄県の歯科のコアクリニックと、東京都の内科のコアクリニックと、群馬県の外科のコアクリニックと、内科、産婦人科が専門のオンラインサテライト医師(S)とのオンライン診療連携が形成されている。
【0039】
ここでいう専門分野とは、公に定められた学会の専門認定医制度における専門医のほか、小規模学会や研究会による専門認定制度もしくは医師自身が研鑽を積み疾患や症状に精通していると判断している場合の診療対応可能な分野を意味する。
【0040】
栄養士、柔道整体師、助産師、薬剤師、介護士、健康づくりのアドバイザー、保育士、整体師、リハビリ士、美容師、エステシャンなどは、オンラインで本システムに接続し、コアクリニック医師やオンラインサテライト医師の指示及び監督などを仰ぐことができるオンラインサテライト施設として医療類似行為を行う。
【0041】
図2Aは、本発明の一実施形態に係るシステムに係るハードウェア構成(一部に機能ブロックを含む)を示すハードウェア構成図であり、
図2Bは、本発明の別の一実施形態に係るシステムに係るハードウェア構成(一部に機能ブロックを含む)を示すハードウェア構成図である。
図2A及び
図2Bに示すように、メインサーバ1は、記憶部2、CPU(演算機)3、制御部4、送受信部5を備えて構成されている。メインサーバ1の送受信部5で受信したデータは記憶部2に保存され、記憶部2のデータはCPU3により演算され、演算結果は記憶部2に保存され、所望のデータは、送受信部5より送信され、制御部4により制御される。
【0042】
メインサーバ1の送受信部5は、通信網NWを経由して、受診者の携帯端末6、第1のコアクリニックに設置されたコアクリニック端末10a、第2のコアクリニックに設置されたコアクリニック端末10b、…、第nのコアクリニックに設置されたコアクリニック端末10nの送受信部15(
図3参照)と接続されている。
【0043】
図2Aに示す態様においては、オンラインサテライト医師のサテライト端末40(40a、40b、…、40n)と、コア
クリニック端末10(10a、10b、…、10n)とは、通信網NWを経由して互いに接続され、さらにそれぞれが通信網NWを経由してメインサーバ1と接続されている。
【0044】
図2Bに示す態様においては、コア
クリニック端末10(10a、10b、…、10n)とメインサーバ1とは通信網NWを経由して互いに接続され、(提携先の)各コア
クリニック端末10(10a、10b、…、10n)のそれぞれにサテライト端末40(40a、40b、…、40n)が接続されている。
【0045】
オンラインサテライト医師(同両図中の40a、40b、…、40nであるサテライト端末なる拠点を有する医師)は、少なくとも一台以上のサテライト端末40により、一つ以上のコアクリニック(10a、10b、…、10nの少なくともいずれか一つ)と提携可能である。例えばオンラインサテライト医師のサテライト端末40aは、第1のコアクリニック端末10aに接続されているが、該オンラインサテライト医師のサテライト端末は、第2のコアクリニック端末10bに接続される場合は、サテライト端末40bとなってよく、すなわち同じ医師が複数のコアクリニックと接続される協働関係が構築されていてもよい。
【0046】
図3は、本発明の一実施形態に係るコアクリニック(端末10a、10b、…、10nを有する拠点)に設置されたコアクリニック端末とオンラインサテライト医師(端末40a、40b、…、40nを有する医師)側に設置されたサテライト端末の機能ブロック図である。
図3(A)に示すように、コアクリニック端末10は、CPU(演算機)11、入出力部12、表示部13、記憶部14、送受信部15、制御部16を備えて構成されている。
図3(B)に示すように、サテライト端末40は、CPU(演算機)41、入出力部42、表示部43、記憶部44、送受信部45、制御部46を備えて構成されている。
【0047】
コアクリニック医師は、コアクリニック端末10の入出力部12を操作し表示部13を媒介として(直接対面型で)受診者の診療を行い、コアクリニックと提携したオンラインサテライト医師は、サテライト端末40の入出力部42を操作し、表示部43を媒介として、オンライン連携によるコアクリニックの現場にいる受診者の診療を、遠隔診療型でいわばコアクリニック医師の診療の中で、行う。情報の面で具体的には、診療に係る診療情報が、オンラインサテライト医師、或いは、オンラインサテライト医師及びコアクリニック医師により作成され、作成された診療情報はコアクリニック端末10の入出力部12及び/もしくはサテライト端末40の入出力部42から入力され、かかる入力された情報は、必要に応じて送信部を介して受診者の端末6に送信されるとともに、記憶部に格納される。或いはこの態様に代替させて、オンラインサテライト医師が、サテライト端末40の入出力部42を操作し、表示部43により、受診者の携帯端末6より、コアクリニック医師の介在なしに、受診者の診療を行ってもよい。この場合には、診療に係る診療情報は、オンラインサテライト医師が作成し、作成された診療情報はサテライト端末40の入出力部42から入力され、かかる入力された情報は、必要に応じて送信部を介して受診者の端末6に送信されるとともに、記憶部に格納される。
【0048】
携帯端末6には、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、PCなども含まれる。
【0049】
診療情報とは、診療録、検査指示や検査データ、処方箋、医療処置や処置データ、病名、診断書、情報提供用紙、画像、医療指導、保健指導など診療にかかる情報をいう。
【0050】
ここで言うコアクリニック医師とは主たる所属がコアクリニックの医師を意味する。
【0051】
図4は本発明の一実施形態に係るコアクリニックのIDであるID1と、医師のIDであるID2と、受診者のIDであるID3に係るデータ構成図である。
図4(A)に示すように、コアクリニックのIDであるID1は、ユニークな数字、アルファベットおよび/または記号によって構成される情報であり、医院名、専門分野、医療設備、住所、連絡先などの各情報を備えて構成されている。「専門分野」たる情報には、診療科目以外に、保険診療、自由診療、相談などの対応情報が含まれていてもよい。また、入院設備に関する情報なども含まれてもよく、構成要因は、上記の内容に限定はされることなく、診療及びその周辺業務に必要な情報が含まれていてもよい。
【0052】
図4(B)に示すように、医師のIDであるID2は、クリニック医師とオンラインサテライト医師とに使う、ユニークな数字、アルファベットおよび/または記号によって構成される情報であり、名前、専門分野、住所、連絡先、性別、写真に係る情報を備えて構成されている。しかし、構成要因は、上記の内容に限定はされることなく、診療及びその周辺業務に必要な情報が含まれていてもよい。
【0053】
図4(C)に示すように、受診者のIDであるID4は、ユニークな数字、アルファベットおよび/または記号によって構成される情報であり、名前、生年月日、性別、既往症、現病歴、かかりつけのコアクリニック、住所、連絡先、写真に係る情報を備えて構成されている。また、かかりつけのコアクリニックは複数でもよく、服用中の薬情報が含まれてもよい。しかし、構成要因は、上記の内容に限定はされることなく、診療及びその周辺業務に必要な情報が含まれていてもよい。
【0054】
ID1、ID2、ID3は、上記すべての構成要因を含まなくてもよい。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態に係る医療分野における機会損失解消機能を実現する一例である(たとえばメインサーバー1に備えられる)機会損失解消部60の機能構成を示す機能ブロックと共に機会損失解消部60と各所との情報の流れを示す概念図であり、
図6は、本発明の一実施形態に係る処理手順を説明するためのシーケンス図である。ここで、機会損失解消部とは、本システムに登録された医師についての提携費用に関する費用情報及びかかる医師についての医療評価に関する評価情報を可視化する機能を担保する機構、アルゴリズム、システム構成をいう。より具体的には、機会損失解消部は、たとえば、提携費用の算出部と、医療評価の算出部と、診療支援費の算出部と、受信予約部と、フィルタリング部と、オンライン診療記録部とによって実現されることもできる(後述する)。
【0056】
図5及び
図6に示すように、コアクリニックのID1(20)と、該コアクリニック
に所属するコアクリニック医師のID2(21)と、該コアクリニック医師の診察可能時間(50)と、の各情報は、コアクリック端末10の入出力部12より入力され、送受信部15より送信され、通信網NWを経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信される。ID1及びID2は制御部4により紐づけされて、記憶部2に保存される。<S1>
【0057】
コアクリニック医師のID2(21)及びコアクリニック医師の診察可能時間(50)の各情報は、所属するコアクリニックのコアクリック端末10の入出力部12より入力される。ID1(20)及びID2(21)は制御部16により紐づけされ、記憶部14に保存される。このID1(20)及びID2(21)は、送受信部15より送信され、通信網NWを経由して、メインサーバ―1の送受信部5より受信され、記憶部2に保存されてもよい。
【0058】
コアクリニックID1(20)は、初回入力されたのちには、メインサーバ1にアクセス毎にコアクリニック端末10の入出力部12より毎回入力される必要はないようにすることもできる。
【0059】
コアクリニック端末10の操作は、コアクリニック医師だけでなく、コアクリニックのスタッフが行うものであってもよい。
【0060】
オンラインサテライト医師のID2(22)及び診察可能時間(50)の各情報は、サテライト端末40の入出力部42より入力され、送受信部45より送信され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部5で受信され、記憶部2に保存される。<S2>
【0061】
提携先のコアクリニックのID1(20)と、オンラインサテライト医師のID2(22)との各情報は、該コアクリニック端末10の入出力部12より入力され、送受信部15より送信され、通信網NWを経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信される。ID1(20)及びID2(22)は制御部4により紐づけされ、記憶部2に保存される。この場合のコアクリニック端末10としては提携後に行ってもよいし、代替的に、提携する予定の段階から行ってもよい(以下同じ。)<S3>
【0062】
提携先のコアクリニックのID1(20)と、オンラインサテライト医師のID2(22)との各情報は、該コアクリック端末10の入出力部12より入力され、ID1(20)とID2(22)は制御部16により紐づけされ、記憶部14に保存され、送受信部15より送信され、通信網を経由して、メインサーバ―1の送受信部5より受信され、記憶部2に保存されるような態様としてもよい。
【0063】
提携先のコアクリニックのID1(20)及びオンラインサテライト医師のID2(22)の各情報は、サテライト端末40の入出力部42より入力され、送受信部45より送信され、通信網NWを経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、ID1(20)とID2(22)は制御部4により紐づけされ、記憶部2に保存されるような態様としてもよい。
【0064】
オンラインサテライト医師のID2(22)の診察可能時間(50)に係る情報は、提携先コアクリニックのコアクリック端末10の入出力部12より入力され、ID1とID2は制御部16により紐づけされ、記憶部14に保存され、送受信部15より送信され、通信網NWを経由して、メインサーバ―1の送受信部5より受信され、記憶部2に保存されるような態様としてもよい。
【0065】
コアクリニックID1(20)またはコアクリニック医師ID2(21)に係る情報は、コアクリニック端末10の入出力部12より入力され、送受信部15より送信され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部より受信される<S4>。メインサーバ1の記憶部2に保存された、コアクリニック医師(21)の診療可能時間(50)と、オンラインサテライト医師(22)の診療可能時間(50)とに係る情報は、メインサーバ1の送受信部5より送信され、通信網を経由して、コアクリニック端末10の送受信部15で受信され、記憶部14に保存され、表示部13に表示される。<S5>
【0066】
医師の診療可能時間への受診者の受診予約については、受診者の携帯端末6より、かかりつけのコアクリニックのサイトにアクセスされることで、受診者のID3(23)及び受診者の診察希望時間(51)に係る情報が、受診者の携帯端末6から送信され、通信網を経由して、コアクリニック端末10の送受信部15より受信され、記憶部14に記憶され完了となる。<S6>
【0067】
ID1(20)と、受診者の診察希望時間(51)に診療担当のコアクリニック医師のID2(21)および/またはオンラインサテライト医師のID2(22)と、受診者のID3(23)とに係る各情報は、コアクリニック端末10の入出力部12と、表示部13と、制御部16とにより所望の処理をされ、送受信部15より送信され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、ID1(20)とID2(21/22)と、ID3(23)とに係る各情報は、制御部4により紐づけされ、記憶部2に保存される。<S7>
【0068】
サテライト端末40の入出力部42より、オンラインサテライト医師のID2(21)に係る情報が入力され、送受信部45より送信され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部5に接続され<S8>、メインサーバ1の記憶部2に保存された該オンラインサテライト医師の提携先コアクリニックの診療可能時間に係る情報は、一覧としてサテライト端末40の表示部43より閲覧可能となる。<S9>
【0069】
受診者の携帯端末6からは、本医師協同診療システムを採用するコアクリニックのコアクリニック端末10にアクセスすることが可能であり、アクセス先のコアクリニックのサイト上より、受診者から近いコアクリニックの場所情報や、診療科別のコアクリニック情報が検索されてもよい。また、コアクリニック毎のアクセス数や診療受診者数、医師や医院の評価などのランキング情報などが、表示されてもよい。
【0070】
コアクリニック医師のID2(21)に係る情報は、コアクリニック端末10の入出力部12より入力され、送受信部15より送信され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、記憶部2に保存された受診者の1D3(23)との紐づけが制御部4によって確認される。<S10>
【0071】
確認された後に、受診者のID3(23)に係る情報は、メインサーバ1の送受信部5より送信され、通信網NWを経由して、コアクリニック端末10の送受信部15より受信され、表示部13に表示される。<S11>
【0072】
オンラインサテライト医師のID2(22)に係る情報は、サテライト端末40の入出力部42より入力され、送受信部45より送信され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、記憶部2に保存された受診者1D3(23)に係る情報との紐づけが制御部4によって確認される。<S12>
【0073】
確認された後に、受診者のID3(23)に係る情報は、メインサーバ1の送受信部5より送信され、通信網を経由して、サテライト端末40の送受信部45より受信され、表示部43に表示される。<S13>
【0074】
医療分野における機会損失解消部60は、提携費用の算出部100と、コアクリニック、コアクリニック医師、オンラインサテライト医師の医療評価の算出部101と、コアクリニックからオンラインサテライト医師への診療費の算出部102と、受診者の受診予約部103と、メインサーバ1の記憶部2およびコアクリニック端末10の記憶部14へのアクセスをID毎に紐づけし、フィルタリングするフィルタリング部104と、診療内容を記録する診療記録部105と、を備えて構成されている。
【0075】
医療分野における機会損失解消部60は、メインサーバ1の記憶部2、コアクリニック端末10の記憶部14、サテライト端末40の記憶部44、といったハードウェア資源を用いて、非常勤医師へ支払う料金の算出と、医師の医療評価と、主治医への診断支援費の算出と、多数のクリニックをまたぐ医師や受診者の診療予約とを、コアクリニック間で共有できるようにするという機能を実現すべく、これらのハードウェア資源に保存されたID1、ID2、ID3、診察可能時間50、診察希望時間51の各情報を、メインサーバ1の制御部4、コアクリニック端末10の制御部16、サテライト端末40の制御部46とによって情報処理・制御し機能するものである。
【0076】
コアクリニックの提携費用の算出部100は、たとえば医療設備の使用、採血検査・点滴などをコアクリニックから他のコアクリニックへ、あるいはオンラインサテライト医師からコアクリニックへ頼むことができ、その場合、コアクリニックの提携費用は各クリニック間およびオンラインサテライト医師との契約で決められた計算式で算出を実行する。
【0077】
コアクリニックID1(20)と、提携費用と、計算式は、コアクリニック端末10の入力部12より入力され、送受信部15より送信され通信網NWを経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、メインサーバ1の記憶部2に保存される。<S14>
【0078】
コアクリニックID1(20)は、コアクリニック端末10の入力部12より入力され、提携費用及び計算式に係る各情報は、コアクリニック端末10の表示部13より表示され、修正および追加の必要があれば、コアクリニック端末10の入出力部12より、修正および追加の情報は入力され、これら提携費用及び計算式に係る各情報(及び該当する場合には修正及び追加の情報)は、送受信部15から送信され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、メインサーバ1の記憶部2に保存される。
【0079】
医療評価の算出部101は、コアクリニックと、コアクリニック医師と、オンラインサテライト医師とを評価対象者として、他のコアクリニックの医師、オンラインサテライト医師、受診者、クリニック職員、他にも評価を許された人、の少なくともいずれか(以下、「医療評価者」という。)が定量的(及び定性的)評価を行ったものに基づき、医療評価を算出し、該算出された医療評価を当該評価対象者に属する医療評価情報とする。
【0080】
コアクリニックと、コアクリニックの医師と、オンラインサテライト医師とに対する医療評価の算出の基礎となる医療評価者による定量的(及び定性的)評価情報は、たとえばコアクリニック端末10の入力部12より、ID1及びID2毎にランキング(A)入力され、送受信部15より送信され通信網NWを経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、メインサーバ1の記憶部2に保存される<S15>。ランキング(A)は、必要なタイミングで見直し可能である。
【0081】
コアクリニックと、コアクリニック医師と、オンラインサテライト医師とに対する医療評価の算出の基礎となる医療評価者による定量的(及び定性的)評価情報は、たとえばサテライト端末40の入力部42より、ID1及びID2毎にランキング(B)入力され、送受信部45より送信され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、メインサーバ1の記憶部2に保存される<S16>。ランキング(B)は、必要なタイミングで見直し可能である。
【0082】
コアクリニックと、コアクリニック医師と、オンラインサテライト医師とに対する医療評価の算出の基礎となる医療評価者による定量的(及び定性的)評価情報は、たとえば受診者の携帯端末6より、ID1及びID2毎にランキング(C)入力され、通信網を経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、メインサーバ1の記憶部2に保存される。ランキング(C)は、必要なタイミングで見直し可能である。
【0083】
医療評価の算出部101は、メインサーバ1の記憶部2に保存されたランキングA、ランキングB、ランキングCより、本医師協同診療システムにより決められた計算式(特に限定しないが、たとえば、定量的評価としては平均値であってもよいし、これに標準偏差を加味した編集値であってもよく、或いは、専門的知識を持つ者による評価に重み付けを行ったうえでの値としてもよい。)を使って医療評価を算出する。なお、上述では、医療評価者が他のコアクリニックの医師、オンラインサテライト医師、受診者、の場合を例にとって説明したが、医療評価者としてはこれらに限定されることなく、或いはこれらの者が常に必ず入っていなければならないということはなく、他にクリニック職員、他にも評価を許された人、が医療評価者であってもよく、或いはこれらのうちのいずれかが欠けていてもよい。
【0084】
オンラインサテライト医師への診療費の算出部102は、オンラインサテライト医師への支払を、コアクリニックとオンラインサテライト医師との間での契約に取り決めたルール、割合の計算式に基づき、診療費の算出を実行する。
【0085】
オンラインサテライト医師への診療費及びID2の各情報は、コアクリニック端末10の入力部12より入力され、送受信部15から送信され、通信網NWを経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、メインサーバ1の記憶部2に保存される。<S17>
【0086】
オンラインサテライト医師のID2に係る情報は、コアクリニック端末10の入出力部12より入力される。オンラインサテライト医師への診療費の算出結果は表示部13に表示され、診療費の修正および追加情報の必要があれば、コアクリニック端末10の入出力部12より修正および追加情報として入力され、こうして入力された情報は送受信部15から送信され、通信網NWを経由して、メインサーバ1の送受信部5より受信され、メインサーバ1の記憶部2に保存される。
【0087】
受診予約部103は、メインサーバ1の記憶部2に保存された、ID1、ID2、ID3、診察可能時間50、診察希望時間51の各情報間の紐づけを、制御部4を通じて実行制御する。
【0088】
フィルタリング部104は、コアクリニックの医師については、ID2により、所属するID1のコアクリニック端末10と、受診者のID3とへのアクセスを可能とし、オンラインサテライト医師については、ID2により、サテライト端末40から、提携先のID1のコアクリニック端末10と、受診者のID3とへのアクセスを可能とする、アクセス権管理を制御部4を通じて実行制御する。
【0089】
フィルタリング部104は、医療類似行為を行う栄養士、柔道整体師、助産師、薬剤師、介護士、健康づくりのアドバイザー、保育士、整体師、リハビリ士、美容師、エステシャンなどについては、ID2により、サテライト端末40から、提携先のID1のコアクリニック端末10と、受診者のID3へのアクセスを可能とするとともに、閲覧内容は制限付きで可能とする機能を、制御部4を通じて実行制御する。
【0090】
オンライン診療記録部105は、コアクリニック端末10のCPU11及び制御部16を通じた実行制御により、ID1と、ID2と、ID3と、アクセスログとから、診療履歴情報を作成し、こうして作成された診療履歴情報をコアクリニック端末10の記憶部14に記録する。さらに、診療履歴情報は、送受信部15より、メインサーバ1の送受信部5へ送信され、記憶部2に保存される。コアクリニックの提携費用の算出と、医療評価の算出と、診療費の算出とに使用される。
【0091】
地方の活性化を促進する地方活性化促進部106は、地方医療の医療技術の向上及び医療環境の活性化と、地方の医療人材の有効利用の促進との機能をメインサーバ1の記憶部2と連携して実行するように制御部40により制御される。具体的には、上述したような多数のクリニックをまたぐ医師や受診者の診療予約をコアクリニック間で共有できるようにすることで、専門的・特殊技術/知見を持った医師を地理的・物理的制約から解放して自由度を高めて医療環境の活性化及び地方の医療人材の有効利用の促進を実現し、このことが、医師が自身の評価を省みることにつながり、医師の技術向上や、受診者サービスの向上につながる。
【0092】
電子カルテ機能はオンライン診療記憶部105に含まれてもよく、保険診療のレセプト機能や、自由診療の診療費算出機能は、医療評価の算出部101に含まれてもよい。各クリニックに予約が入った場合の医師への連絡機能、複数の医療機関に一人の医師がアクセスする際に一つのIDで提携先の複数のコアクリニックの電子カルテにアクセスできる権限を付与する機能、及びスケジュール管理ができる機能をシステム的に実現することができる。ただし、医師による電子カルテの閲覧や記載は、コアクリニックと医師との間の契約で可能となる。
【0093】
疾患に対応する専門医師と連携してオンラインで繋げて受診者を診ることができれば、過疎地域は診療範囲が広がり、都会は全国集客が望め、上述したようなオンライン診療が可能となるプラットフォームを形成することが可能となる。また、保険診療と自由診療とが共通のオンライン診療で行い得、より良い医療を日本の隅々に繰り広げることができることが期待される。
【0094】
オンライン診療による医師協同診療システムは、医師のほかに地域社会の健康・医療、生活を支える人々によって運営されていき、医療類似行為業務を行う、栄養士、柔道整体師、助産師、薬剤師、介護士、健康づくりのアドバイザー、保育士、整体師、リハビリ士、美容師、エステシャンなど、さまざまなスキルを持った人々が集うネットワーク上の空間を形成するものである。そこに地域住民が集まり、健康・医療を中心にコミュニケーションが生まれ、その輪が子育てや教育などにも広がっていくとき、新しい地域の姿が創造されていく。オンライン診療による本発明の態様に係る医師協同診療システムは、クリニックモールとしての機能もあり、いつでも地域コミュニケーションの中心にいて、より良い医療を求める人々や社会からの熱い視線を浴びることになるため、地域医療を担うという重要な役割を持ち得るものである。それはまた、高齢社会のわが国の医療を支える役割も担っており、人々が安心して、健康な暮らしを営むために、クリニックモールは未来に向けた医療を創造し続ける。
【0095】
本発明に係る技術思想をさらに発展させることで、最終的には、厚生労働省の構想のように保険証とマイナンバーカードとを連携させることで、本人の病名がどこの病院に行っても反映/特定されるシステムとすることで、そこに関連してカルテなども反映させる「個人カルテ」構造ができる。
【0096】
地方の活性化促進部106は、例えば地方の温泉ホテル・旅館・高齢者サービス付き住宅を含む住宅サービス、学校・市民コミュニテイーセンターを含む各娯楽・教育・介護施設の利用により、オンラインサテライト医師による都会に縛られない働き場所が提供される地方活性化の施策の一つとして実現してもよい。また、温泉ホテル・旅館をサービス付き高齢者住宅や診療のコアセンターとして利用し、働き方(働く場所)の自由度の提供、地方の活性化及び資産の有効活用・無駄の削減にもつなげることが可能とする。
【0097】
本発明に係る技術思想は、固有の地域的特徴を備える特定地方施設と結び合わせることで、さまざまな展開が可能となる。例えば一つの態様として、登別、那須、和倉、草津、白浜、別府等の地方の温泉ホテル・旅館、もしくは個別の建物として温泉地域内もしくは隣接地に、コアクリニックのオンラインサテライト診療が可能となるようプラットフォームを形成する。自由診療或いは保険診療もしくは両方を行うクリニックと、病気治癒から栄養や健康/アンチエイジングなどを目的とした個々の栄養、身体バランスに合わせた食事をできる摂食施設、サプリメントを販売する店舗やブース、高齢者サービス付き住宅もしくはそれ以外のサービス付き住宅、さらには医師官舎などを一体化させた施設を作る。こうすることで、温泉利用者の健康志向をさらに満足させることのできる温泉地を、高度な医療を受診でき新たな日本の温泉文化をも享受できる温泉医療複合施設として築くことができる。かかる態様によれば、コアクリニックのある温泉に行けば品質の担保された治療が受けられるし、またそのような一般的認知を増進させることができる。さらに、自由診療には、点滴療法やサプリメントなどの栄養療法、鍼、注射、人間ドック、健診、代替療法なども含まれることで医療文化の享受の面でも幅を広げることができる。
【0098】
湯治という言葉もあるように温泉のニーズと、より健康で元気になろうとする目的の点滴療法やオーソモレキュラー医学、痛みや病気を治す目的の点滴療法やオーソモレキュラー医学などの医療的なニーズとは重なるところがあり、両ニーズは非常に親和性が高いと考えられる。
【0099】
オーソモレキュラーとは、二度のノーベル賞受賞者ライナス・ポーリング博士が創始した考え方で、いくつかの特定の種類の栄養素を高容量で摂取することで身体状況をよりよくする、もしくは効果的に医療を実践してゆくことができるとされているものであり、食物として口に入れる栄養素はもとより、不足したものをサプリメントや点滴などで補い、身体状況の改善もしくは病気の治療や予防を行う医学である。点滴療法の代表として高濃度ビタミンC点滴療法・オゾン療法・プラセンタやマイヤーズカクテルなどがある。
【0100】
メインサーバ1の記憶部2、CPU3、制御部4、送受信部5、と、複数の医者の端末とがオンラインで結ばれて、コアクリニック端末10のCPU11、入出力部12、表示部13、記憶部14、送受信部15、制御部16と、サテライト端末40のCPU41、入出力部42、表示部43、記憶部44、送受信部45、制御部46と、コアクリニックID1、医師ID2、受診者ID3とにより、1人の受診者の例えば脳外科手術をオンラインで可能とするようにしても良い。
【0101】
以上、説明したように、上述した実施形態及び態様では、人件費や設備投資などの費用を抑えて自院をクリニックモール化することができ、オンライン診療予約枠を作ることで、ホームページなどの予約欄で医師の紹介も可能となり、医師も空いている時間を有効利用することができる。診療の入り口としてお互いが利用し、再診は自院で行い、採血検査・点滴などは他のコアクリニックに頼むこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のような次第であるから、本発明の各態様は、人件費や設備投資などの費用を抑えて自院をクリニックモール化することができ、ホームページなどの予約欄で医師の紹介も可能となり、医師も空いている時間を有効利用することができ、診療の入り口としてお互いが利用し、再診は自院で行い、採血検査・点滴などは他のコアクリニックに頼むこともできることから、医療業のみならず、医療関連産業、医薬業、宿泊業、温泉関連産業、旅行業等各種産業において大いなる利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0103】
1…メインサーバ
2…記憶部
3…CPU
4…制御部
5…送受信部
6…受診者の携帯端末
10、10a、10b、…、10n…コアクリニック端末
11、41…CPU
12、42…入出力部
13、43…表示部
14、44…記憶部
15、45…送受信部
16、46…制御部
20…コアクリニック(ID1)
21…コアクリニック医師(ID2)
22…サテライト医師(ID2)
23…受診者(ID3)
40、40a、40b…40n…サテライト端末
50…診察可能時間
51…診察希望時間
60…医療分野の機会損失解消部
100…提携費用の算出部
101…医療評価の算出部
102…診療費の算出部
103…受診予約部
104…フィルタリング部
105…オンライン診療記録部
106…地方の活性化促進部
【要約】
【課題】医療分野における機会損失解消を可能とする医師協同診療システムを提供すること。
【解決手段】受診希望者に係る受診希望者端末と、前記受診希望者とネットワークを介して接続されるコアクリニックに係るメインサーバであって、前記コアクリニックに係る第1の識別情報と、前記コアクリニックに属する医師に係る第2の識別情報と、前記受診希望者に係る第3の識別情報と、前記第2の識別情報に係る医師の診療可能時間を示す診療可能時間情報と、を保存する記憶部、前記第1~第3の識別情報及び前記診療可能時間情報を送受信する送受信部と、前記記憶部及び前記送受信部を制御し機会損失解消部を有する制御部とを備えたメインサーバと、前記受診希望者を遠隔にてサテライト医師が診療するサテライトに置かれ前記受診希望者及び前記メインサーバとネットワークを介して直接的もしくは間接的に接続されるサテライト端末であって、前記受診希望者端末に対して直接的もしくは間接的に診療情報を送信するサテライト端末とを備える。
【選択図】
図1