(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】卓上広告表示体及び卓上広告表示体用シート
(51)【国際特許分類】
G09F 1/08 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
G09F1/08 C
(21)【出願番号】P 2021079380
(22)【出願日】2021-05-07
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】511177488
【氏名又は名称】有限会社新井合紙所
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 一彦
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3172928(JP,U)
【文献】特開平11-352883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0082741(US,A1)
【文献】米国特許第06643962(US,B1)
【文献】実開平5-11179(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/06 - 1/10
7/18
B42D 15/02
A47G 1/16
A47F 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向及び短手方向を有する略長方形の形状を備えた卓上広告表示体用シートであって、広告表示面を構築する第1領域と、第1谷折り線を介し前記第1領域の前記長手方向一方側に連設される第2領域と、前記第1領域の前記短手方向一方側に第2谷折り線を介し連設される第3領域と、前記第1領域の前記短手方向他方側に第3谷折り線を介し連設される第4領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に前記短手方向に略沿って形成された第1切り込み線と、前記第2領域と前記第4領域との間に前記短手方向に略沿って形成された第2切り込み線と、を有する前記卓上広告表示体用シートを立体化して構成された卓上広告表示体であって、
前記第2領域の前記短手方向一方側に設けられた第1係止部に対し前記第3領域を差し込んで係合させるとともに、
前記第2領域の前記短手方向他方側に設けられた第2係止部に対し前記第4領域を差し込んで係合させることで、横断面形状が略ハの字状となる前記第3領域と前記第1領域と前記第4領域との3領域連設体を構築して立設させたことを特徴とする卓上広告表示体。
【請求項2】
請求項1記載の卓上広告表示体において、
前記第2領域により、卓上の設置面に載置される長方形の底面が構成されており、
前記第1谷折り線が谷折りされることで、前記第1領域により、前記底面に対して所定角度で立設される前記広告表示面が構成されており、
前記第1係止部は、
前記底面のうち前記第1切り込み線の終端から、前記長方形の長辺に対し前記略ハの字を構成するための所定の傾斜角度θ1となる方向へ延びる第1切り込み溝であり、
前記第3領域により、下縁部が前記第1切り込み溝に差し込まれることで前記底面に対し係止されるとともに前記広告表示面に対して前記傾斜角度θ1で斜交して立設される第1側壁面が構成され、
前記第2係止部は、
前記底面のうち前記第2切り込み線の終端から、前記長方形の長辺に対し前記略ハの字を構成するための所定の傾斜角度θ2となる方向へ延びる第2切り込み溝であり、
前記第4領域により、下縁部が前記第2切り込み溝に差し込まれることで前記底面に対し係止されるとともに前記広告表示面に対して前記傾斜角度θ2で斜交して立設される、第2側壁面が構成される
ことを特徴とする卓上広告表示体。
【請求項3】
請求項1記載の卓上広告表示体において、
前記第2領域により、卓上の設置面に載置される長方形の底面と、前記底面に対し略直交して鉛直に立設される鉛直面と、前記鉛直面に対し所定の鈍角を介し斜めに立設される斜面と、が構成されており、
前記第1係止部は、
前記斜面のうち前記短手方向一方側の上縁部から、前記略ハの字を構成可能となるように斜めに切り込まれた第1切り込み部であり、
前記第3領域の側縁部に備えられた第2切り込み部が前記斜面の前記第1切り込み部に差し込まれることで、前記斜面に対し係止されるとともに前記広告表示面に対し斜交して立設される第3側壁面が構成され、
前記第2係止部は、
前記斜面のうち前記短手方向他方側の上縁部から、前記略ハの字を構成可能となるように斜めに切り込まれた第3切り込み部であり、
前記第4領域の側縁部に備えられた第4切り込み部が前記斜面の前記第3切り込み部に差し込まれることで、前記斜面に対し係止されるとともに前記広告表示面に対し斜交して立設される第4側壁面が構成される
ことを特徴とする卓上広告表示体。
【請求項4】
長手方向及び短手方向を有する略長方形の形状を備えた卓上広告表示体用シートであって、
広告表示面を構築する第1領域と、
第1谷折り線を介し前記第1領域の前記長手方向一方側に連設される第2領域と、
前記第1領域の前記短手方向一方側に第2谷折り線を介し連設される第3領域と、
前記第1領域の前記短手方向他方側に第3谷折り線を介し連設される第4領域と、
前記第2領域と前記第3領域との間に前記短手方向に略沿って形成された第1切り込み線と、
前記第2領域と前記第4領域との間に前記短手方向に略沿って形成された第2切り込み線と、
を有し、
前記第2領域の前記短手方向一方側及び前記短手方向他方側に対し、第1係止部及び第2係止部をそれぞれ設け、
前記第2領域の前記第1係止部と前記第3領域との間の差込係合構造と、前記第2領域の前記第2係止部と前記第4領域との間の差込係合構造とにより、横断面形状が略ハの字状となる前記第3領域と前記第1領域と前記第4領域との3領域連設体を実現するための、卓上広告表示体用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上広告表示体及び卓上広告表示体用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙を折り曲げて形成される広告表示体が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術の広告表示体では、特許文献1の
図2及び段落[0015]~[0016]等に示すように、紙製シートPから形成され、広告表示部1を載置面Fに対して起立した状態で支持する支持部2を備えたポップスタンドAが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の広告表示体では、広告表示部の左・右に位置する左壁・右壁ともに広告表示部に対して直角に立つ(つまり左壁・右壁が互いに平行な)構造となっている。この場合、真横から力が加わった場合の踏ん張り力がやや乏しく、耐え切れずに広告表示部がずれてしまうか、全体があっさりつぶれてしまう可能性が高い。
【0005】
本発明の目的は、シンプルな構成で、外部から力が加わったときにもずれたりつぶれたりすることのない高い剛性を確保できる、卓上広告表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、長手方向及び短手方向を有する略長方形の形状を備えた卓上広告表示体用シートであって、広告表示面を構築する第1領域と、第1谷折り線を介し前記第1領域の前記長手方向一方側に連設される第2領域と、前記第1領域の前記短手方向一方側に第2谷折り線を介し連設される第3領域と、前記第1領域の前記短手方向他方側に第3谷折り線を介し連設される第4領域と、前記第2領域と前記第3領域との間に前記短手方向に略沿って形成された第1切り込み線と、前記第2領域と前記第4領域との間に前記短手方向に略沿って形成された第2切り込み線と、を有する前記卓上広告表示体用シートを立体化して構成された卓上広告表示体であって、前記第2領域の前記短手方向一方側に設けられた第1係止部に対し前記第3領域を差し込んで係合させるとともに、前記第2領域の前記短手方向他方側に設けられた第2係止部に対し前記第4領域を差し込んで係合させることで、)横断面形状が略ハの字状となる前記第3領域と前記第1領域と前記第4領域との3領域連設体を構築して立設させた卓上広告表示体であることを特徴としている。
【0007】
本願発明の卓上広告表示体によれば、シートの各谷折り部を谷折りしつつ、第3領域及び第4領域を第1係止部及び第2係止部にそれぞれ差し込むだけで、卓上に配置可能な広告表示体を簡単に形成することができる。その際、必要なものは、単なる略長方形の1枚のシートに対し2つの切り込み線を形成したものだけであり、複雑な構造のシートを事前に形成しておく必要がない。
【0008】
シートを折り込んで立体化した広告表示体において、横断面形状が略ハの字状となる、第3領域、第1領域、第4領域との3領域連設体が構築されている。これにより、上から見たときに八の字の形状になることで、前後方向と左右方向どちらにも強い剛性を確保した構成を実現することができる。具体的には、以下の通りである。
【0009】
例えば実用新案登録3172928号の
図1図2等に示すような、広告表示部の左・右に位置する左壁・右壁ともに広告表示部に対して直角に立つ(つまり左壁・右壁が互いに平行な)構造では、真横から力が加わった場合の踏ん張り力がやや乏しく、耐え切れずに広告表示部がずれてしまうか、全体があっさりつぶれてしまう可能性が高い。
【0010】
また例えば、特開2000-122545号の
図3図4等に示すがっちりとした箱型とする構造では、前後方向・左右方向のどちらから力が加わっても箱自体はつぶれにくい。しかしながら、広告表示部が1枚の薄板形状であり、その広告表示部の上半分が箱型から上部に突き出た構造であるので、前後方向から力が加わったときに(箱は頑丈でも)広告表示部はあっさりと折れ曲がってしまう可能性が高い。
【0011】
さらに例えば、特開平11161171号の
図1図3等に示す構造では、前述の実用新案登録3172928号と同様に、左壁・右壁が広告表示部に対してともに直角となっているため、真横から力が加わったときに耐え切れず、また特開2000-122545号と同様に薄板形状の広告表示部が上部に突き出ているため、前後方向から力が加わったときに広告表示部が折れ曲がってしまう可能性が高い。
【0012】
さらに例えば、特許5076028号の
図1図2等に示す構造では、左壁・右壁による広告表示部の支持構造が貧弱であり、真横から力が加わった場合も前後方向から力が加わった場合も、簡単に倒れてしまう可能性が高く、真横から力が加わった場合は耐え切れずにつぶれるか、広告表示部が外れる可能性が高い。
本願発明では、上記の横断面形状が略ハの字状となる3領域連設体が構築されているので、前後方向と左右方向どちらにも強い剛性を有し、上述のような弊害を回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の卓上広告表示体及び卓上広告表示体によれば、シンプルな構成で、外部から力が加わったときにもずれたりつぶれたりすることのない高い剛性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の卓上広告表示体の斜視図である。
【
図2】
図1の卓上広告表示体を右方向から見た斜視図である。
【
図4】本実施形態の卓上広告表示体用シートの斜視図である。
【
図6】
図5の卓上広告表示体を右方向から見た斜視図である。
【
図8】変形例の卓上広告表示体用シートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1に本実施形態の卓上広告表示体1の全体構造を前方向から見た斜視図を示す。卓上広告表示体1は卓上の接地面(図示なし)に平置きされ、卓上広告表示体用シート2を立体化することにより構成されている。
【0017】
図1に示す方角は接地面に対して「垂直に向かう方向を下方向、その逆を上方向とする上下方向と、上下方向にそれぞれ直交する左右方向及び前後方向である。同様の方角が
図2~
図8にも適宜適用される。
【0018】
卓上広告表示体1を構成する卓上広告表示体用シート2は第1領域4、第2領域5、第3領域6、第4領域7を有する。第2領域5、第3領域6、第4領域7はそれぞれ第1領域4に対して卓上広告表示体用シート2を
図1の後方向に折り曲げて形成される第1谷折り線12、第2谷折り線13、第3谷折り線14を介して連設して配置される。
【0019】
卓上広告表示体1は、卓上広告表示体用シート2の第2領域5に設けられた第1係止部10に対し第3領域6の下縁部を差し込んで係合させるとともに、第2領域5に設けられた第2係止部11に対し前記第4領域7の下縁部を差し込んで係合させることで立設している。
【0020】
卓上広告表示体1において、第1領域4は広告表示面3を構築し、第2領域5は卓上の設置面に載置される長方形の底面16を構成し、第3領域6は第1側壁面25を構成し、第4領域7は第2側壁面26を構成する。
【0021】
この実施形態では卓上広告表示体1の素材は適度な厚みと硬さを有する素材、例えばスチレンで構成されている。
【0022】
図2は、
図1の卓上広告表示体1を
図1の右側面から見た斜視図である。卓上広告表示体1において、第2領域5により、卓上の設置面(図示なし)に載置される長方形の底面16が構成されており、第1領域4により、底面16に対して所定角度で立設される広告表示面3が構成される。
【0023】
第1係止部10は、底面16のうち第1切り込み線8の終端から所定の傾斜角度θ1となる方向へ延びる第1切り込み溝19であり、第3領域6の下縁部が第1切り込み溝19に差し込まれることで底面16に対し係止されるとともに広告表示面3に対して傾斜角度θ1で斜交して立設される第1側壁面25が構成されている。卓上広告表示体1を
図1の左側面から見た時の第2係止部11、第2側壁面26も同様の構成となっている。
【0024】
図3に
図1のA-A断面による横断面図を示す。この図に示すように、卓上広告表示体1において、横断面形状が略ハの字状となる第3領域6と第1領域4と第4領域7との3領域連設体15が構築され、立設されている。第3領域6は第1領域4すなわち広告表示面3に対して傾斜角度θ1で斜交して立設され、第4領域7は第1領域4すなわち広告表示面3に対して傾斜角度θ2で斜交して立設されている。特に限定されるものではないが、この図では傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とは同じ角度となっている。
【0025】
図4に、卓上広告表示体用シート2の正面図を示す。この図では、卓上広告表示体1として立体化する前の状態の卓上広告表示体用シート2を接地面(図示なし)に平置きして上方向から見た時の正面図となっている。
【0026】
卓上広告表示体用シート2は、長手方向(
図4の前後方向)及び短手方向(
図4の左右方向)を有する略長方形の形状を備え、広告表示面3を構築する第1領域4と、第1谷折り線12を介し前記第1領域4の前記長手方向一方側に連設される第2領域5と、第1領域4の前記短手方向一方側に第2谷折り線13を介し連設される第3領域6と、第1領域4の短手方向他方側に第3谷折り線14を介し連設される第4領域7と、第2領域5と第3領域6との間に前記短手方向に略沿って形成された第1切り込み線8と、前記第2領域と前記第4領域との間に前記短手方向に略沿って形成された第2切り込み線9とを有する。
【0027】
第1谷折り線12、第2谷折り線13、第3谷折り線14は、それぞれ
図4の上方向に向けて折り曲げられる線である。
【0028】
卓上広告表示体1は、卓上広告表示体用シート2の第2領域5の短手方向一方側に設けられた第1係止部10に対し第3領域6を差し込んで係合させるとともに、第2領域5の短手方向他方側に設けられた第2係止部11に対し第4領域7を差し込んで係合させることで立設されるようになっている。
【0029】
第1係止部10は、第2領域5により構成される底面16のうち第1切り込み線8の終端から、前記長方形の長辺に対し前記略ハの字を構成するための所定の傾斜角度θ1となる方向へ延びる第1切り込み溝19であり、第3領域6により、下縁部が第1切り込み溝19に差し込まれることで卓上広告表示体1の底面16に対し係止されるとともに広告表示面3に対して傾斜角度θ1で斜交して立設される第1側壁面25が構成されるようになっている。
【0030】
第2係止部11は、第2領域5により構成される底面16のうち前記第2切り込み線9の終端から、前記長方形の長辺に対し前記略ハの字を構成するための所定の傾斜角度θ2となる方向へ延びる第2切り込み溝20であり、第4領域7により、下縁部が第2切り込み溝20に差し込まれることで底面16に対し係止されるとともに広告表示面3に対して傾斜角度θ2で斜交して立設される、第2側壁面26が構成されるようになっている。
【0031】
すなわち、卓上広告表示体用シート2は、第2領域5の短手方向一方側及び短手方向他方側に対し、第1係止部10及び第2係止部11をそれぞれ設け、第2領域5の第1係止部10と第3領域6との間の差込係合構造と、第2領域5の第2係止部11と第4領域7との間の差込係合構造とにより、横断面形状が略ハの字状となる第3領域6と第1領域4と第4領域7との3領域連設体15を実現する
【0032】
<実施形態の効果>
卓上広告表示体用シート2の各谷折り部を谷折りしつつ、第3領域6及び第4領域7を第1係止部10及び第2係止部11にそれぞれ差し込むだけで、卓上に配置可能な卓上広告表示体1を簡単に形成することができる。その際、必要なものは、単なる略長方形の1枚のシートに対し2つの切り込み線を形成したものだけであり、複雑な構造のシートを事前に形成しておく必要がない。
【0033】
卓上広告表示体用シート2を折り込んで立体化した卓上広告表示体1において、横断面形状が略ハの字状となる、第3領域6、第1領域4、第4領域7との3領域連設体15が構築されている。これにより、上から見たときに八の字の形状になることで、前後方向と左右方向どちらにも強い剛性を確保した構成を実現することができる。
【0034】
具体的には、以下の通りである。例えば実用新案登録3172928号の
図1図2等に示すような、広告表示部の左・右に位置する左壁・右壁ともに広告表示部に対して直角に立つ(つまり左壁・右壁が互いに平行な)構造では、真横から力が加わった場合の踏ん張り力がやや乏しく、耐え切れずに広告表示部がずれてしまうか、全体があっさりつぶれてしまう可能性が高い。
【0035】
また例えば、特開2000-122545号の
図3図4等に示すがっちりとした箱型とする構造では、前後方向・左右方向のどちらから力が加わっても箱自体はつぶれにくい。しかしながら、広告表示部が1枚の薄板形状であり、その広告表示部の上半分が箱型から上部に突き出た構造であるので、前後方向から力が加わったときに(箱は頑丈でも)広告表示部はあっさりと折れ曲がってしまう可能性が高い。
【0036】
さらに例えば、特開平11161171号の
図1図3等に示す構造では、前述の実用新案登録3172928号と同様に、左壁・右壁が広告表示部に対してともに直角となっているため、真横から力が加わったときに耐え切れず、また特開2000-122545号と同様に薄板形状の広告表示部が上部に突き出ているため、前後方向から力が加わったときに広告表示部が折れ曲がってしまう可能性が高い。
【0037】
さらに例えば、特許5076028号の
図1図2等に示す構造では、左壁・右壁による広告表示部の支持構造が貧弱であり、真横から力が加わった場合も前後方向から力が加わった場合も、簡単に倒れてしまう可能性が高く、真横から力が加わった場合は耐え切れずにつぶれるか、広告表示部が外れる可能性が高い。
【0038】
本願発明では、上記の横断面形状が略ハの字状となる3領域連設体15が構築されているので、前後方向と左右方向どちらにも強い剛性を有し、上述のような弊害を回避することができる。
【0039】
また、さらに、例えばスチレン等の比較的強度の大きな素材からなる卓上広告表示体用シート2を利用する際に、極力シンプルな形状及び差込構造にて高剛性の卓上広告表示体1を構成することができる。
【0040】
<変形例>
なお、本考案は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0041】
(1)紙製の卓上広告表示体用シート2′を用いる場合
すなわち、例えば紙(厚紙)などのような比較的強度の小さい素材からなる卓上広告表示体用シート2を用いて卓上広告表示体1′を構成することもできる。そのような変形例について
図5~
図8により説明する。
【0042】
図5に変形例の卓上広告表示体1′の全体構造を前方向から見た斜視図を示す。卓上広告表示体1′は卓上の接地面(図示なし)に平置きされ、卓上広告表示体用シート2′を立体化することにより構成されている。
【0043】
卓上広告表示体1′を構成する卓上広告表示体用シート2′は第1領域4′、第2領域5′、第3領域6′、第4領域7′を有する。第2領域5′、第3領域6′、第4領域7′はそれぞれ第1領域4′に対して卓上広告表示体用シート2′を
図5の後方向に折り曲げて形成される第1谷折り線12′、第2谷折り線13′、第3谷折り線14′を介して連設して配置される。
【0044】
卓上広告表示体1′において、第1領域4′は広告表示面3′を構築し、第2領域5′は卓上の設置面に載置される長方形の底面16′を構成し、第3領域6′は第3側壁面27を構成し、第4領域7′は第4側壁面28を構成する。
【0045】
図6は、
図5の卓上広告表示体1′を
図5の右側面から見た斜視図である。第2領域5′により、卓上の設置面(図示なし)に載置される長方形の底面16′と、底面16′に対し略直交して鉛直に立設される鉛直面17と、鉛直面17に対し所定の鈍角を介し斜めに立設される斜面18と、が構成される。
【0046】
第1係止部10′は、斜面18のうち斜めに切り込まれた第1切り込み部21であり、第3領域6′の側縁部29に備えられた第2切り込み部22が斜面18の第1切り込み部21に差し込まれることで、斜面18に対し係止されるとともに広告表示面3′に対し斜交して立設される第3側壁面27が構成されている。
図5の卓上広告表示体1′を左側面から見た構造も同様になっている。
【0047】
図7に
図5のB-B断面による横断面図を示す。この図に示すように、卓上広告表示体1′において、水平横断面形状が略ハの字状となる第3領域6′と第1領域4′と第4領域7′との3領域連設体15′が構築され、立設されている。
【0048】
図8に、卓上広告表示体用シート2′の正面図を示す。この図では、卓上広告表示体1′として立体化する前の状態の卓上広告表示体用シート2′を接地面(図示なし)に平置きして上方向から見た時の正面図となっている。
【0049】
卓上広告表示体用シート2′は、長手方向(
図8の前後方向)及び短手方向(
図8の左右方向)を有する略長方形の形状を備え、広告表示面3′を構築する第1領域4′と、第1谷折り線12′を介し第1領域4′の前記長手方向一方側に連設される第2領域5′と、第1領域4′の前記短手方向一方側に第2谷折り線13′を介し連設される第3領域6′と、第1領域4′の前記短手方向他方側に第3谷折り線14′を介し連設される第4領域7′と、第2領域5′と第3領域6′との間に前記短手方向に略沿って形成された第1切り込み線8′と、第2領域5′と第4領域7′との間に前記短手方向に略沿って形成された第2切り込み線9′とを有する。
【0050】
第1谷折り線12′、第2谷折り線13′、第3谷折り線14′は、それぞれ
図8の上方向に向けて折り曲げられる線である。
【0051】
第2領域5′は
図6に示す底面16′と、底面16′に対し略直交して鉛直に立設される鉛直面17と、鉛直面17に対し所定の鈍角を介し斜めに立設される斜面18とを含む。
【0052】
第1係止部10′は、斜面18のうち前記短手方向一方側の上縁部30から、前記略ハの字を構成可能となるように斜めに切り込まれた第1切り込み部21であり、第3領域6′の側縁部29に備えられた第2切り込み部22が斜面18の第1切り込み部21に差し込まれることで、斜面18に対し係止されるとともに広告表示面3′に対し斜交して立設される第3側壁面27が構成されるようになっている。
【0053】
第2係止部11′は、斜面18のうち前記短手方向他方側の上縁部30から、前記略ハの字を構成可能となるように斜めに切り込まれた第3切り込み部23であり、第4領域7′の側縁部29に備えられた第4切り込み部24が斜面18の第3切り込み部23に差し込まれることで、斜面18に対し係止されるとともに広告表示面3′に対し斜交して立設される第4側壁面28が構成されるようになっている。
【0054】
すなわち、卓上広告表示体用シート2′は、第2領域5′の前記短手方向一方側及び前記短手方向他方側に対し、第1係止部10′及び第2係止部11′をそれぞれ設け、第2領域5′の第1係止部10′と第3領域6′との間の差込係合構造と、第2領域5′の第2係止部11′と第4領域7′との間の差込係合構造とにより、卓上広告表示体1′の(水平)横断面形状が略ハの字状となる第3領域6′と第1領域4′と第4領域7′との3領域連設体15′を実現するようになっている。
【0055】
本変形例においても、実施形態と同様の効果を得る。また、さらに、例えば紙等のそれほど強度が大きくない素材からなる卓上広告表示体用シート2′を利用する際に、多少形状や構造が複雑になっても確実に高い剛性を実現可能な組立構造とすることで、高剛性の卓上広告表示体1′を構成することができる。
【0056】
(2)その他
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0057】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0058】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0059】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0060】
1、1′ 卓上広告表示体
2、2′ 卓上広告表示体用シート
3、3′ 広告表示面
4、4′ 第1領域
5、5′ 第2領域
6、6′ 第3領域
7、7′ 第4領域
8、8′ 第1切り込み線
9、9′ 第2切り込み線
10、10′ 第1係止部
11、11′ 第2係止部
12、12′ 第1谷折り線
13、13′ 第2谷折り線
14、14′ 第3谷折り線
15、15′ 3領域連設体
16、16′ 底面
17 鉛直面
18 斜面
19 第1切り込み溝
20 第2切り込み溝
21 第1切り込み部
22 第2切り込み部
23 第3切り込み部
24 第4切り込み部
25 第1側壁面
26 第2側壁面
27 第3側壁面
28 第4側壁面
29 側縁部
30 上縁部
【要約】
【課題】シンプルな構成で、外部から力が加わったときにもずれたりつぶれたりすることのない高い剛性を確保できる卓上広告表示体を提供する。
【解決手段】
広告表示面3を構築する第1領域4と、第1谷折り線12を介し第1領域4に連設される第2領域5と、第1領域4に第2谷折り線13を介し連設される第3領域6と、第1領域4に第3谷折り線14を介し連設される第4領域7とを有する卓上広告表示体用シート2を立体化して構成され、第2領域5に設けられた第1係止部10に対し第3領域6を差し込んで係合させるとともに、第2係止部11に対し第4領域7を差し込んで係合させることで、横断面形状が略ハの字状となる第3領域6と第1領域4と第4領域7との3領域連設体15を構築して立設させたことを特徴とする卓上広告表示体1。
【選択図】
図1