(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】5Gネットワークにおけるモバイルデータトラヒックのルーティングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20220407BHJP
H04W 76/11 20180101ALI20220407BHJP
H04W 40/24 20090101ALI20220407BHJP
H04W 80/10 20090101ALI20220407BHJP
【FI】
H04W48/18 111
H04W76/11
H04W40/24
H04W80/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019218578
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2021-04-20
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519431007
【氏名又は名称】シニバース テクノロジーズ リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ヤン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ザン
(72)【発明者】
【氏名】フイユエ シュー
(72)【発明者】
【氏名】パラシャント ダター
(72)【発明者】
【氏名】ラビ タンドン
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0288657(US,A1)
【文献】国際公開第2012/086570(WO,A1)
【文献】特開2016-092656(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0092142(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107950056(CN,A)
【文献】SK Telecom,"Discussion on the network selection in NSA deployment",SA WG2 Meeting #121 S2-173133,[online],2017年05月09日,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_121_Hangzhou/Docs/S2-173133.zip>,[検索日2022年3月17日]
【文献】"3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Core Network and Terminals; Evolved Packet System (EPS); Mobility Management Entity (MME) and Serving GPRS Support Node (SGSN) related interfaces based on Diameter protocol (Release 15)",3GPP TS 29.272 V15.5.0 (2018-09),[online],2018年09月24日,p.15-17,22-25,65,66,86,90,97,102,108,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp//Specs/archive/29_series/29.272/29272-f50.zip>,[検索日2022年3月17日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5Gノンスタンドアローン(Non-Standalone:NSA)展開を実装するモバイルネットワークにおけるパケットデータネットワークゲートウェイ(Packet Data Network Gateway:PGW)に向かう5Gモバイルデータトラヒックをルーティングする方法であって、
S6aミラー化データフィードを介して、モビリティマネージメントエンティティ(Mobility Management Entity:MME)とホームサブスクライバサーバ(Home Subscriber Server:HSS)の間で伝送されるS6aダイアメータ(Diameter)メッセージを受信し、該S6aダイアメータメッセージはモバイルネットワークとアタッチされるユーザ端末(User Equipment:UE)のための識別子を含むこと、
前記S6aダイアメータメッセージが、前記UEが5Gデータ接続用に構成されていることを示すか4Gデータ接続用に構成されていることを示すかを、判断すること、
前記UEが5Gデータ接続用に構成されていると判断すると、データベースに該UEのための前記識別子を格納すること、
前記UEのためのパケットデータプロトコル(Packet-Data Protocol:PDP)セッションを生成するための、サービングゲートウェイ(Serving Gateway:SGW)からの汎用パケット無線サービストンネリングプロトコル(General Packet Radio Services Tunneling Protocol:GTP)メッセージをインターセプトすること、
前記S6aミラー化データフィードを介して受信された前記S6aダイアメータメッセージに基づいて、前記GTPメッセージが、5Gデータ接続用に構成されていると判断された前記UEの前記識別子を含むか否かを判断すること、および、
前記GTPメッセージが5Gデータ接続用に構成された前記UEの前記識別子を含むと判断すると、前記UEのための5G PDPセッションを生成するために、前記GTPメッセージをPGWに送信すること、を含む方法。
【請求項2】
更に、前記GTPメッセージが5Gデータ接続用に構成された前記UEの前記識別子を含むと判断すると、前記PDPセッションが5G PDPセッションであることを示すように、前記GTPメッセージに含まれるアクセスポイント名(Access Point Name:APN)を変更すること、を含む請求項1の方法。
【請求項3】
更に、前記GTPメッセージが5Gデータ接続用に構成された前記UEの前記識別子を含むと判断すると、前記PDPセッションが5G PDPセッションであることを示すように、前記GTPメッセージに含まれる情報要素(Information Element:IE)を、予め定められた値に設定すること、を含む請求項1の方法。
【請求項4】
前記PGWが、5Gモバイルデータトラヒック用に構成された5G-PGWである、請求項1の方法。
【請求項5】
前記S6aダイアメータメッセージが、アップデートロケーションリクエスト(Update-Location-Request:ULR)メッセージまたはアップデートロケーションアンサー(Update-Location-Answer:ULA)メッセージである、請求項1の方法。
【請求項6】
前記UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かが、前記ULRメッセージの属性値ペア(Attribute-Value-Pair:AVP)に基づいて判断される、請求項5の方法。
【請求項7】
前記UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かが、前記ULRメッセージの「Supported Features」AVPの「Feature-List-ID 2」フィールド内のフィーチャビット(Feature Bit)#27「セカンダリRATとしてのNR(NR as Secondary RAT)」の値に基づいて判断される、請求項6の方法。
【請求項8】
前記UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かが、前記ULAメッセージのAVPに基づいて判断される、請求項5の方法。
【請求項9】
前記UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かが、前記ULAメッセージの「Subscription Data」AVPの「Access Restriction Data」フィールド内のビット#8「E-UTRANにおけるセカンダリRATとしてのNR非許可(NR as Secondary RAT in E-UTRAN Not Allowed)」の値に基づいて判断される、請求項8の方法。
【請求項10】
前記GTPメッセージがGTPプロキシによって受信され、該GTPプロキシが、前記UEが5Gデータ接続用に構成されていることを示すために前記GTPメッセージを変更するように構成される、請求項1の方法。
【請求項11】
5Gノンスタンドアローン(Non-Standalone:NSA)展開を実装し、5Gモバイルデータトラヒック用の5Gパケットデータネットワークゲートウェイ(Packet Data Network Gateway:PGW)および4Gモバイルデータトラヒック用の4G-PGWを有する、モバイルネットワークにおいて、4Gおよび5Gモバイルデータトラヒックをルーティングするためのルーティングプラットホームであって、
モビリティマネージメントエンティティ(Mobility Management Entity:MME)とホームサブスクライバサーバ(Home Subscriber Server:HSS)の間で伝送されるS6aダイアメータ(Diameter)メッセージをキャプチャするように構成されたパケットミラー(Packet Mirror)機能を備え、該S6aダイアメータメッセージはモバイルネットワークとアタッチされるユーザ端末(User Equipment:UE)と関連付けられ、
前記パケットミラー機能によってキャプチャされた前記S6aダイアメータメッセージが、前記UEが5Gデータ接続用に構成されていることを示すか4Gデータ接続用に構成されていることを示すかを、判断するように構成された、アナリシス機能(Analysis Function)を備え、
サービングゲートウェイ(Severing Gateway:SGW)と通信する汎用パケット無線サービストンネリングプロトコル(General Packet Radio Services Tunneling Protocol:GTP)プロキシを備え、該GTPプロキシが、前記UEのためのパケットデータプロトコル(Packet-Data Protocol:PDP)セッションを生成するための前記SGWからのGTPメッセージを受信するように構成され、前記UEが5Gデータ接続用に構成されていると前記アナリシス機能が判断すると、前記GTPプロキシが、前記GTPメッセージを前記5G-PGWに向けて送信するように構成され、これによってモバイルネットワークで前記UEのための5G PDPセッションの生成を可能とする、ルーティングプラットホーム。
【請求項12】
前記パケットミラー機能によってキャプチャされた前記S6aダイアメータメッセージは、アップデートロケーションリクエスト(Update-Location-Request:ULR)メッセージまたはアップデートロケーションアンサー(Update-Location-Answer:ULA)である、請求項11のルーティングプラットホーム。
【請求項13】
前記アナリシス機能は、前記UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かを、前記ULRメッセージの属性値ペア(Attribute-Value-Pair:AVP)に基づいて判断する、請求項12のルーティングプラットホーム。
【請求項14】
前記アナリシス機能は、前記UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かを、前記ULRメッセージの「Supported Features」AVPの「Feature-List-ID 2」フィールド内のフィーチャビット(Feature Bit)#27「セカンダリRATとしてのNR(NR as Secondary RAT)」の値に基づいて判断する、請求項13のルーティングプラットホーム。
【請求項15】
前記アナリシス機能は、前記UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かを、前記ULAメッセージのAVPに基づいて判断する、請求項12のルーティングプラットホーム。
【請求項16】
前記アナリシス機能は、前記UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かを、前記ULAメッセージの「Subscription Data」AVPの「Access Restriction Data」フィールド内のビット#8「E-UTRANにおけるセカンダリRATとしてのNR非許可(NR as Secondary RAT in E-UTRAN Not Allowed)」の値に基づいて判断する、請求項15のルーティングプラットホーム。
【請求項17】
前記アナリシス機能は、前記パケットミラー機能によってキャプチャされたS6aダイアメータメッセージからの、5Gデータ接続用に構成された前記UEの国際移動体加入者識別子(International Mobile Subscriber Identity:IMSI)を識別する、請求項11のルーティングプラットホーム。
【請求項18】
前記GTPメッセージが5Gデータ接続用に構成された前記UEの前記IMSIと関連付けられていると前記GTPプロキシが判断すると、前記GTPプロキシが、前記GTPメッセージを前記5G-PGWに向けて送信する、請求項17のルーティングプラットホーム。
【請求項19】
前記GTPメッセージが5Gデータ接続用に構成された前記UEの前記IMSIと関連付けられていないと前記GTPプロキシが判断すると、前記GTPプロキシが、前記GTPメッセージを前記4G-PGWに向けて送信する、請求項17のルーティングプラットホーム。
【請求項20】
前記アナリシス機能がGTPプロキシに含まれ、前記パケットミラー機能によってキャプチャされる前記S6aダイアメータメッセージが、S6aミラー化データフィードを介して前記GTPプロキシに送信される、請求項11のルーティングプラットホーム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本非仮出願は、2018年12月5日に出願された米国仮出願第62/775,901号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般的には、通信分野に関する。詳しくは、本発明は、5Gノンスタンドアローン(Non-Standalone)モードのオプション3、オプション3a、およびオプション3xにおけるデータトラヒックのルーティングに関する。
【0003】
より詳しくは、本発明は、5Gノンスタンドアローンモードのオプション3、オプション3a、またはオプション3xが使用される場合に、モバイルコアネットワークにおいてパケットデータネットワークゲートウェイ(Packet Data Network Gateway:PGW)に向かう4Gおよび5Gモバイルデータトラヒックをルーティングするためのルーティング方式を実装するための、方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
第5世代のセルラ移動通信(5G)においては、「ノンスタンドアローン(Non-Standalone:NSA)モード」および「スタンドアローン(Standalone:SA)モード」の2つの展開アーキテクチャが存在する。NSAモードは4Gのエボルブドパケットコア(Evolved Packet Core:EPC)を使用するのに対し、SAモードは5Gのコアネットワークを使用する。5Gアーキテクチャの詳細は、3GPP TS23.501「3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; System Architecture for the 5G System; Stage 2」に記載されており、参照により、これを本明細書中に援用する。
【0005】
NSAおよびSAアーキテクチャは、さらに、複数の展開オプション、つまり、オプション1、2、3、4、5、6および7に分けられる。各オプションには、また、さらにバリエーションがあり、特に、オプション3は、さらに、オプション3、オプション3a、およびオプション3xに細分することができる。本発明は、オプション3、オプション3a、およびオプション3xに関係する。5G展開オプションの詳細は、3GPP TR38.801「3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Study on new radio access technology: Radio access architecture and interfaces」に記載されており、参照により、これを本明細書中に援用する。
【0006】
オプション3は、4G EPCをコアネットワークとして使用するNSAアーキテクチャである。オプション3は「デュアルコネクティビティ」オプションであり、つまり、モバイルデバイスは、4G RAN(eNodeBまたはeNB)と5G 新無線(New Radio)(gNodeBまたはgNB)の両方に対して二重接続性を有している。このオプションにおいては、4G eNBがプライマリ接続点として使用され、5G gNB接続がセカンダリとなる。無線リンク制御は4G eNBによって管理される。
【0007】
多くのネットワーク事業者が、5Gサービスを開始するための初期の展開オプションとして、NSAオプション3を選択している。オプション3は、既存のコアネットワーク要素を使用するため、より簡単で実装コストが低く、4G EPCに基づくため、バックエンドシステムおよびローミングインターフェースに対する影響がない。
【0008】
4G EPCを使用することにより、5G NSAオプション3は、サービングゲートウェイ(Serving Gateway:SGW)およびパケットデータネットワークゲートウェイ(Packet Data Network Gateway:PGW)の間のコントロールプレーンおよびデータプレーン両方のトラヒックのためにGPRSトンネリングプロトコル(GPRS Tunneling Protocol:GTP)の使用を継続し、ユーザデータをインターネットまたはアプリケーションサーバにブレイクアウトする。
【0009】
GPRSトンネリングプロトコル (GTP)は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project:3GPP)のTS 29.060 (3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Core Network and Terminals; General Packet Radio Service (GPRS); GPRS Tunneling Protocol (GTP) across the Gn and Gp interface)において定義されるプロトコルである。このトンネリングプロトコルは、2.5G/3GネットワークにおいてはサービングGPRSサポートノード(Serving GPRS Support Node: SGSN)とゲートウェイGPRSサポートノード(Gateway GPRS Support Node:GGSN)との間で、LTEネットワークにおいてはSGWとPGWとの間で、モバイルデータトラヒックを搬送するために、使用されている。同じプロトコルが、5G NSAモードにおいて使用される。
【0010】
5Gのユースケースには、1)高度化モバイルブロードバンド(enhanced Mobile BroadBand:eMBB);2)大量のモノのインターネット(Massive Internet of Things: mIoT);3)超高信頼超低遅延通信(Ultra-Reliable Low-Latency Communication: URLLC)の、主に3つのカテゴリーがある。これらの各ユースケースは、ネットワーク接続要件に関し、それぞれ独自の特徴を有している。例えば、eMBBはインターネットにアクセスするのに非常に高い帯域幅を必要とする。大量IoTは大量なIPアドレスの割り当てを必要とし、データが高度なセキュリティの経路で伝送されることを必要とする。URLLCは、低遅延のインターネットネットワークブレイクアウト接続を必要とする。これら3つ全てのユースケースにおいて、要件は、4Gの要件と実質的に異なっている。
【0011】
NSAオプション3は、無線アクセスのために5G NRにおける進化を活かすことはできるものの、NSAオプション3は、同じ4Gコアネットワークおよびインターネットアクセス経路を使用するため、5Gのユースケースの上記具体的要求に対して完全に対処することはできない。従来、3Gおよび4Gにおいては、データアクセス経路を区別するための共通の方法として、アクセスポイント名(Access Point Name:APN)を使用していた。通常、ネットワーク事業者は、「通常の」ユーザトラヒックのために「インターネット」のような共通のAPNを割り当てる。「ブラックベリー(Blackberry)」または「WAP」のような特定のユースケースに対しては、異なるAPNの割り当てが可能である。
【0012】
モバイルネットワーク事業者にとっては、加入者を4Gから5Gに移行させる際に、事業者が3Gおよび4Gで使用していた同じAPNを使用し、これによって3G/4Gネットワークにおけるサービスの継続性を確保することが有利である。しかし、同じAPNが使用されると、バックエンドのコアネットワーク要素(第一にPGW)は、そのAPNを、4Gおよび5Gのデータトラヒックを区別するために使用することができない。
【0013】
無線アクセスを区別する他の方法には、無線アクセス技術タイプ(Radio Access Technology Type:RAT-Type)の使用がある。RAT-Typeは、PDPセッションを生成するときにSGWがPGWに送信する属性である。異なる無線アクセスは、GERAN、UTRAN、EUTRANおよびNRのような異なるRAT-Typeを有する。「NR」は5G RAT-Typeのために定義されているが、5G NSAオプション3においては、オプション3におけるプライマリ無線が4G eNodeBであるため、この値は、実際には、4Gにおけるのと同じ値「EUTRAN」を使用する。このため、PGWは、4Gから5Gデータを区別するために、この属性を使用することができない。
【0014】
4G EPCにおいては、S6aはモビリティマネージメントエンティティ(Mobility Management Entity:MME)とホームサブスクライバサーバ(Home Subscriber Server: HSS)の間のインターフェースである。このインターフェースは、IETF RFC3588およびRFC6733で定義されたダイアメータプロトコル(Diameter protocol)に基づく。S6aインターフェースの詳細は、3GPP TS29.272 「3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Core Network and Terminals; Evolved Packet System (EPS); MME and Serving GPRS Support Node (SGSN) related interfaces based on Diameter protocol.」に記載されている。S6aインターフェースは、UEが4Gネットワークにアタッチするとき、および、UEがその位置を変えるなどの後続のモビリティ事象が発生するときに、データ交換に使用される。5G NSAオプション3は4G EPCを使用するため、同じS6aインターフェースが適用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、(4Gトラヒックと対照的な)5Gアプリケーションの特定のユースケースに対処するために、コアネットワークのインターネットアクセスにおいて、NSAオプション3における5Gユーザデータをルーティングするための方法およびプラットホームに関する。本発明は、判断を行うために、MMEとHSSとの間のS6aダイアメータメッセージ内の情報要素を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様において、本発明は、5Gノンスタンドアローン(Non-Standalone:NSA)展開を実装するモバイルネットワークにおいて、4Gおよび5Gモバイルデータトラヒックをルーティングするためのルーティングプラットホームである。ルーティングプラットホームは、MMEとHSSの間で伝送されるS6aダイアメータ(Diameter)メッセージをキャプチャするように構成されたパケットミラー機能を含む。キャプチャされるS6aダイアメータメッセージは、アップデートロケーションリクエスト(Update-Location-Request:ULR)またはアップデートロケーションアンサー(Update-Location-Answer:ULA)であってよい。キャプチャされるメッセージは、識別子、例えば、モバイルネットワークにアタッチされるユーザ端末(User Equipment:UE)のための国際移動体加入者識別子(International Mobile Subscriber Identity:IMSI)を含む。
【0017】
ルーティングプラットホームは、また、アナリシス機能(Analysis Function)も含む。アナリシス機能は、キャプチャされたS6aダイアメータメッセージを分析し、UEが5Gデータ接続用に構成されているか4Gデータ接続用に構成されているかを判断する。UEが5Gデータ接続用に構成されているとアナリシス機能が判断すると、UEの識別子がデータベースに保存される。
【0018】
アナリシス機能は、UEが4Gデータ接続用に構成されているか5Gデータ接続用に構成されているかを、ULRメッセージの属性値ペア(Attribute-Value-Pair)に基づいて判断することができる。一態様において、アナリシス機能は、UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かを、ULRメッセージの「Supported Features」AVPの「Feature-List-ID 2」フィールド内のフィーチャビット(Feature Bit)#27「セカンダリRATとしてのNR(NR as Secondary RAT)」の値に基づいて判断する。アナリシス機能は、また、UEが5Gデータ接続用に構成されているか否かを、ULAメッセージのAVPに基づいて判断することもできる。これは、ULAメッセージの「Subscription Data」AVPの「Access Restriction Data」フィールド内のビット#8「E-UTRANにおけるセカンダリRATとしてのNR非許可(NR as Secondary RAT in E-UTRAN Not Allowed)」の値に基づいて行うことができる。
【0019】
ルーティングプラットホームは更に、汎用パケット無線サービストンネリングプロトコル(General Packet Radio Services Tunneling Protocol:GTP)プロキシを含み、GTPプロキシは、サービングゲートウェイ(Severing Gateway:SGW)とパケットデータネットワークゲートウェイ(Packet Data Network Gateway:PGW)の間に配置される。GTPプロキシは、UEのためのパケットデータプロトコル(Packet-Data Protocol:PDP)セッションを生成するためのSGWからのGTPメッセージ(例えばセッションクリエイトリクエスト(Session-Create-Request))を受信するように構成される。アナリシス機能は、GTPメッセージ内のUE識別子をデータベースに対してチェックし、GTPメッセージ内のUE識別子が、5Gデータ接続用に構成されているとアナリシス機能が判断したUEの識別子を格納しているデータベースに予め記憶されたUE識別子と一致するか否かを判断する。GTPメッセージ内のUE識別子がデータベース内にリストされている場合、GTPプロキシは、UEのための5G PDPセッションを生成するために、GTPメッセージをPGWに向けて送信する。
【0020】
一態様において、モバイルネットワークは、4Gデータトラヒック用の4G-PGWおよび5Gデータトラヒック用の5G-PGWという、2つの別個のPGWを有することができる。この態様においては、GTPメッセージ内のUE識別子がデータベースにリストされていると判断すると、GTPプロキシは、GTPメッセージを、5G-PGWに向けて送信する。UE識別子がデータベースにリストされていない場合、GTPプロキシは、メッセージを、4G-PGWに向けて送信する。
【0021】
一態様において、モバイルネットワークは、4Gデータトラヒックおよび5Gデータトラヒックの両方を処理するように構成された単一のPGWを有する。この態様においては、GTPメッセージ内のUE識別子がデータベースにリストされていると判断すると、GTPプロキシは、GTPメッセージが5Gデータセッション生成用であることを示すようにGTPメッセージを変更し、変更されたGTPメッセージをPGWに送信する。変更されたGTPメッセージは、PGWが4Gデータトラヒックと5Gデータトラヒックに対して異なった処理を行うことを可能とする。GTPメッセージ内のUE識別子がデータベース内にリストされていない場合、GTPプロキシは、GTPメッセージを、変更せずにPGWに向けて送信する。
【0022】
一態様において、GTPプロキシは、PDPセッションが5G PDPセッションであることを示すようにGTPメッセージに含まれるアクセスポイント名(Access Point Name:APN)を変更することによって、GTPメッセージを変更する。別の方法として、または追加して、GTPプロキシは、GTPメッセージ内に含まれる情報要素(Information Element:IE)を、PDPセッションが5G PDPセッションであることを示すように、予め定められた値に設定することができる。
【0023】
本発明をより完全に理解するためには、以下の詳細な開示を、添付の図面とともに参照するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】5Gで使用される新(New)無線エリアネットワーク(Radio Area Network:RAN)のための異なるアーキテクチャオプションを図示する、3GPPから抜粋した略図である。
【0025】
【
図2】5G NSAオプション3のバリエーション、即ち、オプション3、オプション3a、オプション3xのネットワーク接続性と特徴を図式的に示すブロック図である。
【0026】
【
図3】モバイルネットワークが4G-PGWと5G-PGWを有する本発明の実施形態のアーキテクチャを示す図である。
【0027】
【
図4】ダイアメータS6aアップデートロケーションリクエスト(Update-Location-Request)メッセージ内で本発明に関係する属性を、図式的に示す図である。関係する属性は、「Supported Features」属性値ペア(Attribute-Value-Pair:AVP)の「Feature-List-ID 2」内のフィーチャビット(Feature Bit)#27「セカンダリRATとしてのNR(NR as Secondary RAT)」である。
【0028】
【
図5】ダイアメータS6aアップデートロケーションアンサー(Update-Location- Answer)メッセージ内で本発明に関係する属性を、図式的に示す図である。関係する属性は「Subscription Data」AVP内の「Access Restriction Data」AVP内のビット#8「E-UTRAN におけるセカンダリRATとしてのNR非許可(NR as Secondary RAT in E-UTRAN Not Allowed)」である。
【0029】
【
図6】5Gトラヒックを5G-PGWへ4Gトラヒックを4G-PGWへルーティングするようにGTPプロキシが構成される実施形態を図式的に示す、逐次信号伝達フロー図である。
【0030】
【
図7】モバイルネットワークが4Gデータトラヒックと5Gデータトラヒックの両方のための単一のPGWを有する本発明の実施形態のアーキテクチャを示す図である。
【0031】
【
図8】4Gおよび5Gトラヒックを同じPGWへルーティングするようにGTPプロキシが構成されるが、GTPクリエイトセッションリクエスト(Create-Session-Request)メッセージ内に変更されたアクセスポイント名(Access Point Name:APN)を有し、PGWが5Gトラヒックに対して4Gトラヒックと異なる処理を行うことを可能とする実施形態を図式的に示す逐次信号伝達フロー図である。
【0032】
【
図9】4Gおよび5Gトラヒックを同じPGWへルーティングするようにGTPプロキシが構成されるが、GTPクリエイトセッションリクエスト(Create-Session-Request)メッセージ内に変更された情報要素(Information Element:IE)を有し、PGWが5Gトラヒックに対して4Gと異なる処理を行うことを可能とする実施形態を図式的に示す逐次信号伝達フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、5G展開のための複数のオプションを図式的に示している。本発明の実施形態は、5G展開のオプション3、オプション3a、およびオプション3x(図示略)に関係する。オプション3、オプション3a、オプション3xは、5G展開のノンスタンドアローン(Non-Standalone:NSA)モードに属し、ネットワークコアとして、4Gエボルブドパケットコア(Evolved Packet Core:EPC)を使用する。オプション3、オプション3a、オプション3xにおいては、5Gデバイスは、EPCを介して、4G eNB 14および5G gNB 16の両方に対するデュアルコネクティビティを有する。
【0034】
図2は、5G展開のオプション3の3つのバリエーションである、オプション3、オプション3a、オプション3xを示す。3つのバリエーションの全てに、以下の同じ特徴を共有している。1)3つとも全て、NSAモードに属し、4G EPCをネットワークコアとして使用する。2)3つのバリエーション全てにおいて、コントロールプレーンがLTEをアンカーとする。3)3つのバリエーション全てにおいて、5Gユーザ端末(User Equipment:UE)18は、4G eNB 14(プライマリ無線)および5G gNB 16(セカンダリ無線)の両方に対してデュアルコネクティビティを有する。オプション3の全てのバリエーションにおいて、4G eNB 14がプライマリ接続として使用され、5G gNB 16への接続はセカンダリであり、無線リンク制御は4G eNB 14によって管理される。
【0035】
背景技術において説明したように、オプション3(およびそのバリエーション)は、ネットワーク事業者が、それらの有する既存の4G eNBを継続して使用することを可能とするため、多くのネットワーク事業者にとって魅力的である。この実装においては、4Gおよび5Gデータトラヒックの両方のために、4G eNBが使用される。トラヒックが4Gか5Gかに関わらず「NR」値が同じであることから、バックエンドのコアネットワーク要素(第1にパケットデータネットワークゲートウェイ(Packet Data Network Gateway: PGW)が、5Gデータトラヒックから4Gデータトラヒックを区別できず、この形態では、問題が生じる。さらに、5G展開のオプション3において加入者を4Gから5Gネットワークに移行させる際に、ネットワーク事業者は、3Gおよび4Gネットワークで使用されていた同じアクセスポイント名(APN)を使用することを有利であると考えるかもしれない。同じAPNを使用することにより、ネットワーク事業者は、サービスの連続性を確保することができるであろう。しかし、同じAPNが使用されると、APNを4Gと5Gデータトラヒックの区別に使用することができない。本発明は、この問題に対処する。
【0036】
本発明の実施形態のアーキテクチャを
図3に示す。この実施形態は、1)MME 22とHSS 24の間のS6aダイアメータメッセージをキャプチャするパケットミラー(Packet Mirror)機能、2)5GユーザのためのS6aダイアメータメッセージとデバイスアタッチメント動作を分析およびフィルタする「アナリシス機能(Analysis Function)」、および、3)GTPメッセージを5G-PGW 32または4G-PGW 34のいずれかに選択的にリダイレクトまたはプロキシするように構成されたGTPプロキシ28を含む、ネットワーキングおよびアプリケーションシステムからなる。
【0037】
図3は、4Gデータトラヒックを処理するための4G-PGW 32と、5Gデータトラヒックを処理するための5G-PGW 34の、2つのPGWが使用される実施形態を示している。
図3は更に、LTE eNB 14が、5G-UE 18のために5G接続を可能にするために使用され、また、4G-UE 20のために4G接続を可能にするためにも使用されることを示している。
図3は、5G-UE 18が4G eNB 14および5G gNB 16の両方にデュアルアタッチされることを示している。5G接続を使用するためには、5G-UE 18は5G gNB 16と通信し、次いで5G gNB 16が4G eNB 14と通信する。
【0038】
引き続き
図3を参照すると、5G-UE 18または4G-UE 20がネットワークにアタッチすると、4G eNB 14は、モビリティマネージメントエンティティ(Mobility Management Entity:MME) 22との信号接続を確立する。次に、MME 22が、S6aインターフェース26を介して、ダイアメータアップデートロケーションリクエスト(Update-Location-Request:ULR)メッセージをホームサブスクライバサーバ(Home Subscriber Server:HSS) 24に送信する。ULRメッセージを受信すると、HSS 24は、アップデートロケーションアンサー(Update-Location-Answer:ULA)メッセージをMME 22に返す。
【0039】
パケットミラー機能は、MME 22とHSS 24の間のULRおよびULAメッセージを受動的にキャプチャするために使用される。この機能は、ネットワークスイッチにおけるスイッチドポートアナライザ(Switched Port Analyzer:SPAN)のようなネットワークミラーリング技術の使用によって、またはダイアメータルーティングエージェント(Diameter Routing Agents:DRA)またはHSS 24からのトランザクションディテールドレコード(Transaction Detailed Record:TDR)の分析によって得られる。
図3は更に、ミラー化されたS6aデータフィード30が、
図3においてGTPプロキシ28(GTP-Proxy 28)として記載されるネットワーク要素に送信されることを示している。
【0040】
GTPプロキシ28は、ミラー化されたS6aデータフィード30を介して送信されキャプチャされたULRおよび/またはULAダイアメータメッセージを分析するように構成されたアナリシス機能を含むことができる。パケットミラー機能からダイアメータメッセージを受け取ると、アナリシス機能はULRメッセージ内のキー属性を、分析、抽出、調査する。アナリシス機能によって分析されるGTPメッセージのキー属性の中には、サービングネットワーク識別子を示す「Origin-Realm」、HSSドメインを示す「Destination-Realm」、ユーザネーム(モバイルユーザの識別番号を示す国際移動体加入者識別子(International Mobile Subscriber Identity:IMSI)を含む)、コマンドコード(S6aメッセージのタイプを示す)、RAT-Type(4G無線のためにはEUTRANを示す)、Visited-PLMN-Id(ローミング時の訪問中の事業者の識別子を示す)、Supported-Features(UEが5Gをセカンダリ無線として使用しているか否かを示す)が含まれていてもよい。
【0041】
事業者によっては、5G加入者のために専用のIMSI範囲を有する場合がある。このため、アナリシス機能は、キャプチャされたULRメッセージ内のIMSIが5G-UE 18と関連付けられているのか4G-UE 20と関連付けられているのかチェックするように構成することができる。IMSIが5G-UE 18と関連付けられている場合、GTPプロキシ28は、データトラヒックを5G-PGW 32に向ける。他方、IMSIが5G-UE 18と関連付けられていない場合、GTPプロキシ28は、データトラヒックを4G-PGW 34に向けて送る。
【0042】
さらに、アナリシス機能は、ULRおよびULAメッセージを分析して、UEが5G-UE 18であるのか4G-UE 20であるのか決定するように構成することができる。これは、以下で、
図4および
図5を参照しながら説明する方法によって実施することができる。
【0043】
図4は、ダイアメータS6a ULRメッセージのフォーマットを示している。ULRメッセージは、UEの位置をHSS 24でアップデートするために使用される。UEがMME 22にアタッチすると、MME 22は、UEの位置をアップデートするために、HSS 24にULRメッセージを送信する。ダイアメータメッセージ内の各属性は、「属性値ペア(Attribute-Value-Pair:AVP)」と呼ばれ、必須または任意であり得る。
図4は、HSS 24がMME 22で適用および実現され得る特定の機能を決定できるように、MME 22のサポート機能を示すために使用されるAVPである「Supported-Features」を、ULRメッセージが含むことを示している。ULRメッセージの詳細は、3GPP TS29.272で定義されている。ULRメッセージは、「1」または「2」のいずれかで定義される2つのFeature-List-IDを含む。各機能(feature)は、これら32ビット値の1ビットで表される。Feature-ID-2のビット♯27は、本発明において、UEが5G-UE 18であるのか4G-UE 20であるのかを識別するために使用される、「セカンダリRATとしてのNRのサポート(Support of NR as Secondary RAT)」を示している。S6aにおいて、UEが5G-UE 20であれば、Feature-ID-2のビット♯27は、MME 22がセカンダリRATとしてNRをサポートすることを示すため、「1」に設定され、その時、UEは5G-UE 18である。
【0044】
図5は、ダイアメータULAメッセージのフォーマットを示している。ULAメッセージは、MME 22からのULRに応えるために、HSS 24から送信される。
図5は、ULAメッセージが、HSSプロファイルにおいてUEの加入者データを示すために使用されるAVPである「Subscription-Data」を含むことを示している。ULAメッセージはまた、アクセスにおける何らかの制限があるか否かを示すために使用されるAVPである「Access-Restriction-Data」を含む。「Access-Restriction-Data」AVPのビット♯8は、「E-UTRANにおけるセカンダリRATとしてのNR非許可(NR as Secondary RAT in E-UTRAN Not Allowed)」を示すのに使用される。このビットが1に設定されていれば、UEは、セカンダリRATとしてNRを使用することを許可されず、このため、UEは、5G接続性を有さない。ULAメッセージの詳細は、3GPP TS29.272で定義されている。
【0045】
次に、
図3に戻って参照すると、初期登録後、5G-UE 18は、データトラヒックのためにパケットデータプロトコル(Packet-Data Protocol:PDP)セッションの確立を試みる。PDPセッションの確立のために、サービングゲートウェイ(Serving Gateway:SGW)36は、GTP-Cプロトコルによって、GTPv2 クリエイトセッションリクエスト(Create-Session-Request)を送る。GTPはSGW 36と5G-PGW 32または4G-PGW 34の間のインターフェースプロトコルである。
図3は、GTPプロキシ28が、SGW 36と5G-PGW 32/4G-PGW 34の間のGTPメッセージをインターセプトおよびリダイレクトするように構成されることを示している。
【0046】
GTP-CメッセージがGTPプロキシ28によってインターセプトされた後、GTPプロキシ28は、UE IMSIを照合キーとして使用して、そのUE IMSI のための5Gセカンダリ無線の指標を含む、先にインターセプトされたULR/ULA S6aメッセージがあったか否かをチェックする。そのような指標がない場合、GTPプロキシ28は、GTPv2クリエイトセッションリクエストを、4G-PGW 34にリダイレクトする。しかし、GTPプロキシ28が、先にキャプチャされたULR/ULAメッセージに5G指標が存在したと判断すると、GTPプロキシ28は、そのUEが5G-UE 18であると結論付け、この結論に応じて、GTPプロキシ28は、GTPv2クリエイトセッションリクエストを5G-PGW 32にリダイレクトする。
【0047】
図6は、5Gトラヒックが専用の5G-PGW 32にルーティングされ、4Gトラヒックが4G-PGW 34 5Gにルーティングされる、
図3に示す本発明の実施形態の信号伝達フローを示す図である。
図6は、5GデバイスがNSAオプション3でアタッチされると、MME 22がステップ102において、ダイアメータULRをHSS 24に送ることを示している。ダイアメータULRは、「セカンダリRATとしてのNR(NR as Secondary RAT)」を示すFeature-Id-2 #27を含むAVPを伝えることができる。ステップ104において、ULRは、GTPプロキシ28に向けてミラー化される。ステップ106において、HSS 24はMME 22 にULAで答える。ULAは、「E-UTRANにおけるセカンダリRATとしてのNR非許可(NR as Secondary RAT in E-UTRAN Not Allowed)」を示す「Access-Restriction-Data」 ビット #8を含むことができる。ステップ108において、ULAは、GTPプロキシ28に向けてミラー化される。GTPプロキシ28は、ミラー化されたULRおよびULAメッセージのダイアメータ属性を分析するアナリシス機能を含み、ステップ110において、現在のUEが5G-UE 18か4G-UE 20かを決定する。
【0048】
次に、UEがPDPセッションを確立する場合は、ステップ112において、SGW 36がGTPクリエイトセッションリクエストをPGWに送る。PGWのIPアドレスは、ドメインネームサーバ(Domain Name Server:DNS)において構成される。本発明においては、DNSは、GTPプロキシ28のIPアドレスで構成され、GTPプロキシ28がGTPクリエイトセッションリクエストをインターセプトするのを可能にする。GTPクリエイトセッションリクエストを受け取ると、GTPプロキシ28は、IMSIをキーとして使用して、先に「セカンダリRATとしてのNR(NR as Secondary RAT)」を示すミラー化されたS6a ULRがあったかをチェックする。そのような指標がない場合、PDPセッションは4Gとみなされ、ステップ114において、4G-PGW 34にルーティングされることになる。一方、GTPプロキシ28が、先に「セカンダリRATとしてのNR(NR as Secondary RAT)」を示すミラー化されたULRがあったと判断すると、GTPプロキシ28はPDPセッションを5Gとして分類し、ステップ114をスキップして、その代わりに、ステップ116において、クリエイトセッションリクエストを5G-PGW 32にルーティングする。ステップ118において、5G-PGW 32は、クリエイトセッションレスポンス(Create-Session-Response)をGTPプロキシ28に送り、ステップ120において、GTPプロキシ28は、クリエイトセッションレスポンスをSGW 36に送る。
【0049】
図6は更に、GTPプロキシ28が、最初のクリエイトセッションリクエストおよびクリエイトセッションレスポンスメッセージだけがGTPプロキシ28を介してルーティングされる、「リダイレクト(redirect)」モードで動作することを示している。以後の全てのGTP-C(クリエイトベアラリクエスト/レスポンス(CreateBearerRequest/Response)、モディファイベアラリクエスト/レスポンス(ModifyBearerRequest/Response)またはデリートセッションリクエスト/レスポンス(DeleteSessionRequest/Response)等)およびGTP-Uは、ステップ122において、SGW 36と5G-PGW 32の間で直接交換される。この「リダイレクト」モードは、クリエイトセッションリクエスト/レスポンスメッセージの完全修飾トンネルエンドポイント識別子(Fully Qualified Tunnel Endpoint Identifier:F-TEID)において、GTPプロキシ28のIPアドレスの代わりに5G-PGW 32のIPアドレスを設定することによって、実現される。
【0050】
図7は、一つのPGW 40だけが配置される、本発明の実施形態を示している。この実施形態においては、5Gおよび4Gトラヒックを、5Gまたは4Gデータトラヒック専用の異なるPGWにルーティングする代わりに、GTPプロキシ28は、全てのトラヒックをPGW 40にルーティングする。この実施形態においては、(上述の方法を用いて)SGW 36からインターセプトされたクリエイトセッションリクエストが5G-UE 18と関連付けられていると、GTPプロキシ28が判断すると、GTPプロキシ28は、PGW 40が5Gトラヒックに対して4Gトラヒックと異なる処理を行えるよう、GTPクリエイトセッションリクエストにおけるアクセスポイント名(APN)を予め決められた値に変更する。別の方法として、または、これに加えて、GTPプロキシ28は、PGW 40が5Gユーザデータに対して4Gと異なる処理を行えるよう、GTPクリエイトセッションリクエストメッセージにおいて、GTPクリエイトセッションリクエストの使用されていない情報要素(Information Element:IE)、例えばIE 206を、特定の値で変更するように構成することができる。
【0051】
図8は、
図7に示す実施形態における信号伝達フローを示す、信号伝達フロー図である。この実施形態においては、GTPプロキシ28は、4Gおよび5Gトラヒックを、同じPGW 40に、異なるアクセスポイント名(APN)とともに、ルーティングするように構成されている。本実施形態においては、ステップ102から112は、
図6に関して説明されたステップ102から112と同じである。ステップ110において、GTPプロキシ28は、ミラー化されたULR/ULAメッセージに基づき、現在のUEが5G-UE 18か4G-UE 20かを決定する。
【0052】
次に、ステップ112において、GTPプロキシ28は、SGW 36からGTPクリエイトセッションリクエストを受け取る。GTPクリエイトセッションリクエストを受け取ると、GTPプロキシ28は、IMSIをキーとして使用して、先にUEが5G-UE 18であることを示すミラー化されたULRおよび/またはULAがあったかをチェックする。そのような指標がない場合、PDPセッションは4Gとみなされ、ステップ128aにおいて、何の変更もされずにPGW 34にルーティングされることになる。しかし、GTPプロキシ28が、UEが5G-UE 18であることを示すミラー化されたULRがあったと決定すると、ステップ128aは省略される。その代わりに、GTPプロキシ28は、GTPクリエイトセッションレスポンスのAPN値を、セッションが5Gセッションであることを示すように変更する。例えば、通常の4G APNが「4G-Mobile」であれば、GTPプロキシは、5Gトラヒックに対しては、APNを「5G-Mobile」に変更することができる。ステップ130aにおいて、GTPプロキシ28は、クリエイトセッションリクエストをPGW 40に送る。特定のAPNを有するクリエイトセッションリクエストをPGW 40が受け取ると、PGW 40は、5Gトラヒックに対して、4Gトラヒックと異なる処理を行うことができる。次に、ステップ132において、5G-PGW 32は、クリエイトセッションレスポンスをGTPプロキシ28に送り、ステップ134において、GTPプロキシ28が、クリエイトセッションレスポンスをSGW 36に送る。
【0053】
図8は更に、GTPプロキシ28が、最初のクリエイトセッションリクエストおよびクリエイトセッションレスポンスメッセージだけがGTPプロキシ28を介してルーティングされる、「リダイレクト(redirect)」モードで動作することを示している。以後の全てのGTP-C(クリエイトベアラリクエスト/レスポンス(CreateBearerRequest/Response)、モディファイベアラリクエスト/レスポンス(ModifyBearerRequest/Response)またはデリートセッションリクエスト/レスポンス(DeleteSessionRequest/Response)等)およびGTP-Uは、ステップ136において、SGW 36と5G-PGW 32の間で直接交換される。この「リダイレクト」モードは、クリエイトセッションリクエスト/レスポンスメッセージの完全修飾トンネルエンドポイント識別子(Fully Qualified Tunnel Endpoint Identifier:F-TEID)において、GTPプロキシ28のIPアドレスの代わりにPGW 40のIPアドレスを設定することによって、実現される。
【0054】
図9は、
図8に示された実施形態と類似しているが、クリエイトセッションリクエストのAPNを変更する代わりに、GTPプロキシ28が、クリエイトセッションリクエストのGTP情報要素を変更する実施形態の信号伝達フロー図を示している。本実施形態においては、GTPプロキシ28は、GTP-Cクリエイトセッションリクエストの使用されていないIE(IE206等)の整数値を、PGW 40が5Gトラヒックから4Gトラヒックを区別できるような特定の値に設定する。例えば、GTPプロキシ28は、UEが4G-UE 20であると判断すると、ステップ128bにおいて、4Gトラヒックに対して、IE206を空きのままにするか、「0」に設定するように構成されることができる。一方、GTPプロキシ28は、UEが5G-UE 18であると判断すると、ステップ130bにおいて、5Gデバイストラヒックに対して、IE206の値を「1」に設定し、変更されたクリエイトセッションリクエストをPGW 40に送る。PGW 40が、この指標を有するクリエイトセッションリクエストを受け取ると、PGW 40は、5Gトラヒックに対して異なる処理を行うことになる。ステップ132~136は、
図8に関して説明したのと同様である。
【0055】
ハードウェアおよびソフトウェア・インフラストラクチャの例
本発明は、様々なプラットホーム上で、実施可能である。以下に、本発明を可能にするために使用できる情報技術のための先行する基礎を記載する。
【0056】
本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはそれらの任意の組み合わせにおいて実装されることができる。本発明の実施形態は、また、1つまたは複数のプロセッサによって読み取りおよび実行可能な、機械可読媒体に記憶された命令として実装されることができる。機械可読媒体としては、機械(例えば計算装置)によって読み取り可能な形態の情報を記憶または伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば、機械可読媒体としては、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響または他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)およびその他を含むことができる。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、本明細書において、あるアクションを実行するものとして記述される場合がある。しかし、そのような記述は、単に便宜上のものであり、そのようなアクションが、実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する、計算装置、プロセッサ、コントローラまたはその他のデバイスに起因することを理解するべきである。
【0057】
機械可読媒体は、限定はされないが、例えば、電子、磁気、光、電磁気、赤外線または半導体の、システム、装置、デバイス、または前記の任意の適する組み合わせであってよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(網羅的でないリスト)としては、一つまたは複数のワイヤを有する電気的接続、可搬のコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、消去{でんき てき しょうきゃく}プログラム可能読取専用{かのう がた よみとり せんよう}メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、可搬のコンパクトディスク読取専用{かのう がた よみとり せんよう}メモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または前記の任意の適する組み合わせを含む。本書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスによる使用のためのプログラム、または、これらと関連する使用のためのプログラムを含むかまたは記憶することのできる、任意の一時的でない有形の媒体であってよい。
【0058】
機械可読信号媒体としては、例えば、ベースバンドにおける、または、搬送波の一部としての、機械可読プログラムコードが具現された伝搬データ信号を含むことができる。そのような伝搬信号は、電磁気、光、またはこれらの任意の適する組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な形態の内のいずれの形態をとってもよい。機械可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置またはデバイスによる使用のためのプログラム、または、これらと関連する使用のためのプログラムを通信、伝搬または搬送することのできる、任意の機械可読媒体であってよい。しかし、上記の通り、巡回区の法的な対象の制限により、ソフトウェア製品としての本発明の請求項は、コンピュータハードドライブ、フラッシュRAM、光ディスク等の、一時的でないソフトウェア媒体中に具現されたものを対象とする。
【0059】
機械可読媒体に具現されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、無線周波数等、または、前記の任意の適する組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の適切な媒体を使用して伝送することができる。本発明の態様のための動作を実行するための機械可読プログラムコードは、Java、C#、C++、ビジュアルベーシック等のようなオブジェクト指向{しこう}プログラミング言語、および、「C」プログラミング言語または同様のプラグラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプラグラミング言語の任意の組み合わせによって書かれることができる。
【0060】
本発明の態様は、以下で、本発明の実施形態の方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して、記載される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、および、フローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは、機械可読プログラム命令によって実装可能であることが理解されるだろう。
【0061】
上記効果および上記開示から明らかな効果は、効率的に得られる。本発明の範囲から逸脱することなく上記構成において一定の変更を行うことは可能であるので、上記開示に含まれるかまたは添付の図面に示された全ての事項は、例示的で非限定的であると解釈されるべきである。