(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】画像分析装置および画像分析方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20220407BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220407BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20220407BHJP
G01N 15/14 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
C12Q1/02
C12M1/00 A
G01N21/64 F
G01N15/14 C
(21)【出願番号】P 2017230115
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2020-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(72)【発明者】
【氏名】赤阪 勇紀
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第6231709(JP,B2)
【文献】BMC Blood Disorders,2009年,Vol.9, No.4,p.1-6
【文献】順天堂医学,1990年,Vol.36, No.1,p.29-45
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12Q
G01N
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/CAplus(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸中の標的遺伝子を標識した試料の画像を分析する画像分析装置であって、
前記標的
遺伝子が標識された試料に光を照射する光源と、
前記光が照射されることにより前記試料から生じた光を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を、前記画像に含まれる輝点に基づいて分析する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記試料が採取された被検者の染色体異常に関する情報を取得し、前記情報が前記被検者に染色体異常がないことを示す場合は、
前記標的遺伝子に関する第1の陽性パターンと
前記標的遺伝子に関する第1の陰性パターンを少なくとも含む第1の輝点パターンの組合せに基づいて前記画像を分析し、前記情報が前記被検者に染色体異常があることを示す場合は、
前記標的遺伝子に関する第2の陽性パターンと
前記標的遺伝子に関する第2の陰性パターンを少なくとも含む第2の輝点パターンの組合せに基づいて前記画像を分析する、画像分析装置。
【請求項2】
前記染色体異常に関する情報は、過去の検査結果である、請求項1に記載の画像分析装置。
【請求項3】
前記染色体異常に関する情報は、疾患名である、請求項1または2に記載の画像分析装置。
【請求項4】
前記染色体異常に関する情報は、染色体に変化を生じる移植が行われたか否かを示す情報である、請求項1ないし3の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項5】
前記輝点のパターンは、輝点の色および数の組合せである、請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項6】
前記輝点のパターンを複数記憶する記憶部を備え、
前記処理部は、前記染色体異常に関する情報に対応する前記輝点のパターンを選択し、選択した前記輝点のパターンに基づいて前記画像を分析する、請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項7】
前記記憶部は、測定項目ごとに前記輝点のパターンを記憶し、
前記処理部は、前記測定項目および前記染色体異常に関する情報に対応する前記輝点のパターンを選択し、選択した前記輝点のパターンに基づいて前記画像を分析する、請求項6に記載の画像分析装置。
【請求項8】
表示部を備え、
前記処理部は、前記染色体異常に関する情報を受け付けるための染色体異常に関する情報の受付画面を前記表示部に表示させ、前記染色体異常に関する情報の受付画面を介して前記染色体異常に関する情報を取得する、請求項1ないし7の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項9】
前記染色体異常に関する情報を記憶する外部のコンピュータと通信するための通信部を備え、
前記処理部は、前記通信部を介して前記外部のコンピュータから前記染色体異常に関する情報を取得する、請求項1ないし8の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項10】
前記処理部は、前記試料に含まれる複数の細胞ごとに、前記染色体異常に関する情報に基づいて前記画像を分析し、前記細胞が異常であるか否かを判定する、請求項1ないし9の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項11】
表示部を備え、
前記処理部は、異常細胞の数または比率を算出し、前記表示部に表示させる、請求項10に記載の画像分析装置。
【請求項12】
表示部を備え、
前記処理部は、
前記試料に含まれる複数の細胞ごとに前記画像を分析し、
異常および正常のいずれの場合の輝点のパターンにも合致しない前記細胞の数または比率を算出し、
前記画像を再度分析するための指示を受け付けるための再分析受付画面を前記表示部に表示させ、
再度分析するための指示を受け付けたことに基づいて、前記染色体異常に関する情報に基づいて前記画像を再度分析する、請求項1ないし11の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項13】
前記処理部は、前記再分析受付画面を介して前記画像を再度分析するための指示を受け付けたことに基づいて、前記染色体異常に関する情報を取得する処理を実行する、請求項12に記載の画像分析装置。
【請求項14】
表示部を備え、
前記処理部は、
前記試料に含まれる複数の細胞ごとに前記画像を分析し、
異常および正常のいずれの場合の輝点のパターンにも合致しない前記細胞の数または比率を算出し、
異常および正常のいずれの場合の輝点のパターンにも合致しない前記細胞の数または比率が所定値より大きい場合、前記染色体異常に関する情報に基づいて前記画像を再度分析する、請求項1ないし11の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項15】
前記処理部は、前記染色体異常に関する情報によらず適用される輝点のパターンに基づいて前記画像を分析した結果と、前記染色体異常に関する情報に基づいて前記画像を分析した結果とを、切り替え可能に前記表示部に表示させる、請求項12ないし14の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項16】
表示部を備え、
前記処理部は、前記撮像部により撮像された前記画像を前記表示部に表示させる、請求項1ないし15の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項17】
前記処理部は、前記画像が表示される画面に、前記染色体異常に関する情報を入力する項目を含めて表示する、請求項16に記載の画像分析装置。
【請求項18】
前記試料中の前記標的
遺伝子は蛍光色素により標識されている、請求項1ないし17の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項19】
前記処理部は、前記標的
遺伝子を標識する前記蛍光色素から生じた蛍光の輝点を、前記試料に含まれる複数の細胞ごとに前記蛍光画像から抽出する、請求項18に記載の画像分析装置。
【請求項20】
前記試料が流れるフローセルを備え、
前記光源は、前記フローセルを流れる前記試料に光を照射し、
前記撮像部は、前記フローセルを流れる前記試料から生じた光を撮像する、請求項1ないし19の何れか一項に記載の画像分析装置。
【請求項21】
核酸中の標的遺伝子を標識した試料の画像を分析する画像分析方法であって、
前記標的
遺伝子が標識された試料に光を照射する工程と、
前記光が照射されることにより前記試料から生じた光を撮像して輝点を含む画像を取得する工程と、
前記試料が採取された被検者の染色体異常に関する情報を取得する工程と、
前記情報が前記被検者に染色体異常がないことを示す場合は、
前記標的遺伝子に関する第1の陽性パターンと
前記標的遺伝子に関する第1の陰性パターンを少なくとも含む第1の輝点パターンの組合せに基づいて前記画像を分析し、前記情報が前記被検者に染色体異常があることを示す場合は、
前記標的遺伝子に関する第2の陽性パターンと
前記標的遺伝子に関する第2の陰性パターンを少なくとも含む第2の輝点パターンの組合せに基づいて前記画像を分析する工程と、を含む、画像分析方法。
【請求項22】
前記染色体異常に関する情報は、過去の検査結果である、請求項
21に記載の画像分析方法。
【請求項23】
前記染色体異常に関する情報は、疾患名である、請求項
21または
22に記載の画像分析方法。
【請求項24】
前記染色体異常に関する情報は、染色体に変化を生じる移植が行われたか否かを示す情報である、請求項
21ないし
23の何れか一項に記載の画像分析方法。
【請求項25】
前記輝点のパターンは、輝点の色および数の組合せである、請求項
21ないし
24の何れか一項に記載の画像分析方法。
【請求項26】
前記画像を分析する工程において、前記試料に含まれる複数の細胞ごとに、前記染色体異常に関する情報に基づいて前記画像を分析し、前記細胞が異常であるか否かを判定する、請求項
21ないし
25の何れか一項に記載の画像分析方法。
【請求項27】
前記画像を分析する工程において、異常細胞の数または比率を算出し表示部に表示させる、請求項
26に記載の画像分析方法。
【請求項28】
前記画像を分析する工程において、撮像された前記画像を表示部に表示させる、請求項
21ないし
27の何れか一項に記載の画像分析方法。
【請求項29】
前記画像を分析する工程において、前記画像が表示される画面に、前記染色体異常に関する情報を入力する項目を含めて表示する、請求項
28に記載の画像分析方法。
【請求項30】
前記試料中の前記標的
遺伝子は蛍光色素により標識されている、請求項
21ないし
29の何れか一項に記載の画像分析方法。
【請求項31】
前記画像を分析する工程において、前記標的
遺伝子を標識する前記蛍光色素から生じた蛍光の輝点を、前記試料に含まれる複数の細胞ごとに前記蛍光画像から抽出する、請求項
30に記載の画像分析方法。
【請求項32】
前記試料に光を照射する工程において、フローセルに前記試料を流し、前記フローセルを流れる前記試料に光を照射し、
前記画像を取得する工程において、前記フローセルを流れる前記試料から生じた光を撮像する、請求項
21ないし
31の何れか一項に記載の画像分析方法。
【請求項33】
核酸中の標的遺伝子を標識した試料の画像を分析する画像分析装置であって、
前記標的
遺伝子が標識された試料に光を照射する光源と、
前記光が照射されることにより前記試料から生じた光を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を、前記画像に含まれる輝点に基づいて分析する処理部と、
表示部と、を備え、
前記処理部は、
前記試料が採取された被検者の染色体異常に関する情報を取得し、
前記情報が前記被検者に染色体異常がないことを示す場合は、
前記標的遺伝子に関する第1の陽性パターンと
前記標的遺伝子に関する第1の陰性パターンを少なくとも含む第1の輝点パターンの組合せを前記表示部に表示させ、前記情報が前記被検者に染色体異常があることを示す場合は、
前記標的遺伝子に関する第2の陽性パターンと
前記標的遺伝子に関する第2の陰性パターンを少なくとも含む第2の輝点パターンの組合せを前記表示部に表示させる、画像分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像分析装置および画像分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション法(FISH法)の検出にフローサイトメータ等を適用する際の細胞の処理方法が記載されている。FISH法によれば、細胞中の検出対象のDNA配列領域に標識プローブをハイブリダイズさせる前処理により細胞が染色され、標識プローブに起因して生じた蛍光を検出することにより、異常細胞が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異常細胞の検出では、たとえば、標的部位に基づいて生じた光が撮像部により撮像される。そして、撮像された画像中の輝点が分析され、輝点の分析の結果に基づいて各細胞が異常細胞であるか否かが判定される。しかしながら、画像中の輝点は、細胞が異常細胞であるか否かによって変化するだけでなく、被検者の遺伝子変異や疾患によっても変化することがある。このように、被検者によって画像中の輝点が変化すると、細胞が異常細胞であるか否かを適正に分析できなくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、核酸中の標的遺伝子を標識した試料の画像を分析する画像分析装置に関する。本態様に係る画像分析装置(10)は、標的遺伝子が標識された試料(21)に光を照射する光源(121、122)と、光が照射されることにより試料(21)から生じた光を撮像する撮像部(154)と、撮像部(154)により撮像された画像を、画像に含まれる輝点に基づいて分析する処理部(11)と、を備える。処理部(11)は、試料(21)が採取された被検者の染色体異常に関する情報を取得し、情報が被検者に染色体異常がないことを示す場合は、標的遺伝子に関する第1の陽性パターンと標的遺伝子に関する第1の陰性パターンを少なくとも含む第1の輝点パターンの組合せに基づいて画像を分析し、情報が被検者に染色体異常があることを示す場合は、標的遺伝子に関する第2の陽性パターンと標的遺伝子に関する第2の陰性パターンを少なくとも含む第2の輝点パターンの組合せに基づいて画像を分析する。
【0006】
「染色体異常に関する情報」とは、染色体の欠失、逆位、転座、重複などによる構造の変化に関する情報、染色体数の増減などの変異に関する情報、および染色体異常が原因で生じる疾患名等を指す。染色体異常が発生することにより、たとえばFISH検査における画像中の輝点は変化することとなる。
【0007】
本態様に係る画像分析装置によれば、染色体異常に関する情報が取得され、取得された情報に基づいて画像が分析される。このため、染色体異常が生じている場合であっても、画像を適正に分析でき、分析対象細胞が異常細胞であるか否かを適正に分析できる。
【0009】
本態様に係る画像分析装置(10)において、染色体異常に関する情報は、過去の検査結果である。過去の検査結果とは、たとえば、染色体に所定の異常があるといった検査結果ことである。過去の検査結果によっては、画像中の輝点が変化する場合がある。このような場合でも、取得された過去の検査結果に基づいて適正に輝点を分析できる。
【0010】
本態様に係る画像分析装置(10)において、染色体異常に関する情報は、疾患名である。疾患によっては、画像中の輝点が変化する場合がある。このような場合でも、取得された疾患名に基づいて適正に輝点を分析できる。
【0011】
本態様に係る画像分析装置(10)において、染色体異常に関する情報は、染色体に変化を生じる移植が行われたか否かを示す情報である。染色体に変化を生じる移植とは、たとえば、異性間の骨髄移植である。このような場合でも、染色体に変化を生じる移植が行われたか否かに基づいて適正に輝点を分析できる。
【0016】
本態様に係る画像分析装置(10)において、輝点のパターンは、輝点の色および数の組合せとされ得る。輝点の色とは、第1の波長の光に基づく第1の輝点と、第2の波長に基づく第2の輝点とが画像中に存在する場合に、第1の輝点と第2の輝点とをそれぞれ区別するための情報のことである。輝点の色は、輝点の元となる光の色に限らず、輝点の種類を区別するために便宜的に付された色でもよい。輝点の色および数の組合せとは、たとえば、輝点の色ごとに存在する輝点の数の組合せであり、第1の波長の光に基づく第1の輝点と、第2の波長に基づく第2の輝点とが画像中に存在する場合に、第1の輝点の数、第2の輝点の数、および第1の輝点と第2の輝点とが重なった輝点の数を示す情報のことである。輝点の色および数の組合せによれば、画像中の輝点を円滑に分析でき、どのような種類の輝点がどのように組合わされているかを容易に把握できる。
【0017】
本態様に係る画像分析装置(10)は、輝点のパターンを複数記憶する記憶部(12)を備え、処理部(11)は、染色体異常に関する情報に対応する輝点のパターンを選択し、選択した輝点のパターンに基づいて画像を分析するよう構成され得る。こうすると、染色体異常に関する情報に対応して読み出された輝点のパターンに基づいて、画像を適正に分析できる。また、分析処理が処理部により自動で行われるため、オペレータは、染色体異常に関する情報に基づいて輝点のパターンを選択するといった煩雑な作業を行う必要がない。
【0018】
この場合に、記憶部(12)は、測定項目ごとに輝点のパターンを記憶し、処理部(11)は、測定項目および染色体異常に関する情報に対応する輝点のパターンを選択し、選択した輝点のパターンに基づいて画像を分析するよう構成され得る。こうすると、測定項目に応じた適正な輝点のパターンが用いられるため、測定項目に応じて画像を適正に分析できる。
【0019】
本態様に係る画像分析装置(10)は、表示部(13)を備え、処理部(11)は、染色体異常に関する情報を受け付けるための染色体異常に関する情報の受付画面(310、320、330、340、350)を表示部(13)に表示させ、染色体異常に関する情報の受付画面(310、320、330、340、350)を介して染色体異常に関する情報を取得するよう構成され得る。
【0020】
本態様に係る画像分析装置(10)は、染色体異常に関する情報を記憶する外部のコンピュータ(30)と通信するための通信部(16)を備え、処理部(11)は、通信部(16)を介して外部のコンピュータ(30)から染色体異常に関する情報を取得するよう構成され得る。
【0024】
本態様に係る画像分析装置(10)において、処理部(11)は、試料(21)に含まれる複数の細胞ごとに、染色体異常に関する情報に基づいて画像を分析し、細胞が異常であるか否かを判定するよう構成され得る。こうすると、画像中の輝点の分析が染色体異常に関する情報に基づいて適正に行われるため、細胞が異常であるか否かの判定も適正に行うことができる。
【0026】
この場合に、本態様に係る画像分析装置(10)は、表示部(13)を備え、処理部(11)は、異常細胞の数または比率を算出し、表示部(13)に表示させるよう構成され得る。こうすると、オペレータは、参照した異常細胞数または異常細胞率を、試料が調製された被検者の診断に役立てることができる。
【0027】
本態様に係る画像分析装置(10)は、表示部(13)を備え、処理部(11)は、試料(21)に含まれる複数の細胞ごとに画像を分析し、異常および正常のいずれの場合の輝点のパターンにも合致しない細胞の数または比率を算出し、画像を再度分析するための指示を受け付けるための再分析受付画面(430、450)を表示部(13)に表示させ、再度分析するための指示を受け付けたことに基づいて、染色体異常に関する情報に基づいて画像を再度分析するよう構成され得る。
【0028】
このように輝点が分析されると、迅速に各細胞が異常であるか否かを判定できる。また、表示部に、輝点を分析した場合に分析不能な細胞の数または比率が表示されるため、オペレータは、分析の信頼性を判断できる。また、オペレータは、分析の信頼性が低いと判断すると、表示部に表示された再分析受付画面を介して、染色体異常に関する情報に基づく輝点の分析を指示できる。染色体異常に関する情報に基づいて再度輝点を分析することにより、信頼性の高い分析を行うことができる。
【0029】
この場合に、処理部(11)は、再分析受付画面(430、450)を介して画像を再度分析するための指示を受け付けたことに基づいて、染色体異常に関する情報を取得する処理を実行するよう構成され得る。
【0030】
本態様に係る画像分析装置(10)は、表示部(13)を備え、処理部(11)は、試料(21)に含まれる複数の細胞ごとに画像を分析し、異常および正常のいずれの場合の輝点のパターンにも合致しない細胞の数または比率を算出し、異常および正常のいずれの場合の輝点のパターンにも合致しない細胞の数または比率が所定値より大きい場合、染色体異常に関する情報に基づいて画像を再度分析するよう構成され得る。これにより、迅速かつ適正に画像中の輝点を分析できる。
【0031】
本態様に係る画像分析装置(10)において、処理部(11)は、染色体異常に関する情報によらず適用される輝点のパターンに基づいて画像を分析した結果と、染色体異常に関する情報に基づいて画像を分析した結果とを、切り替え可能に表示部(13)に表示させるよう構成され得る。こうすると、オペレータは、2つの分析結果を見比べて、より適正な方の分析結果を最終結果として取得できる。
【0032】
本態様に係る画像分析装置(10)は、表示部(13)を備え、処理部(11)は、撮像部(154)により撮像された画像を表示部(13)に表示させるよう構成され得る。こうすると、オペレータは、参照した画像を試料が調製された被検者の診断に役立てることができる。
【0033】
この場合に、処理部(11)は、画像が表示される画面(450)に、染色体異常に関する情報を入力する項目(451)を含めて表示するよう構成され得る。こうすると、オペレータは、画像を参照しながら染色体異常に関する情報を入力できる。
【0034】
本態様に係る画像分析装置(10)において、試料(21)中の標的遺伝子は蛍光色素により標識され得る。こうすると、鮮明な画像を取得できる。
【0035】
この場合に、処理部(11)は、標的遺伝子を標識する蛍光色素から生じた蛍光の輝点を、試料(21)に含まれる複数の細胞ごとに蛍光画像から抽出するよう構成され得る。
【0036】
本態様に係る画像分析装置(10)は、試料(21)が流れるフローセル(110)を備え、光源(121、122)は、フローセル(110)を流れる試料(21)に光を照射し、撮像部(154)は、フローセル(110)を流れる試料(21)から生じた光を撮像するよう構成され得る。こうすると、膨大な数の細胞に基づく画像を円滑に生成できる。また、たとえば、検出対象細胞が希少な細胞である場合も、この細胞を確実に撮像できる。
【0038】
本発明の第2の態様は、核酸中の標的遺伝子を標識した試料の画像を分析する画像分析方法に関する。本態様に係る画像分析方法は、標的遺伝子が標識された試料(21)に光を照射する工程(S14、S33)と、光が照射されることにより試料(21)から生じた光を撮像して輝点を含む画像を取得する工程(S14、S33)と、試料(21)が採取された被検者の染色体異常に関する情報を取得する工程(S13、S37、S41)と、情報が被検者に染色体異常がないことを示す場合は、標的遺伝子に関する第1の陽性パターンと標的遺伝子に関する第1の陰性パターンを少なくとも含む第1の輝点パターンの組合せに基づいて画像を分析し、情報が被検者に染色体異常があることを示す場合は、標的遺伝子に関する第2の陽性パターンと標的遺伝子に関する第2の陰性パターンを少なくとも含む第2の輝点パターンの組合せに基づいて画像を分析する工程(S15、S38)と、を含む。
【0039】
本態様に係る画像分析方法によれば、第1の態様と同様の効果が奏される。
【0040】
本態様に係る画像分析方法において、染色体異常に関する情報は、過去の検査結果である。
本態様に係る画像分析方法において、染色体異常に関する情報は、疾患名である。
本態様に係る画像分析方法において、染色体異常に関する情報は、染色体に変化を生じる移植が行われたか否かを示す情報である。
本態様に係る画像分析方法において、輝点のパターンは、輝点の色および数の組合せである。
本態様に係る画像分析方法において、画像を分析する工程(S15、S38)において、試料(21)に含まれる複数の細胞ごとに、染色体異常に関する情報に基づいて画像を分析し、細胞が異常であるか否かを判定する。
この場合に、画像を分析する工程(S15、S38)において、異常細胞の数または比率を算出し表示部(13)に表示させる。
本態様に係る画像分析方法において、画像を分析する工程(S15、S38)において、撮像された画像を表示部(13)に表示させる。
この場合に、画像を分析する工程(S15、S38)において、画像が表示される画面に、染色体異常に関する情報を入力する項目(451)を含めて表示する。
本態様に係る画像分析方法において、試料(21)中の標的遺伝子は蛍光色素により標識されている。
この場合に、画像を分析する工程において、標的遺伝子を標識する蛍光色素から生じた蛍光の輝点を、試料(21)に含まれる複数の細胞ごとに蛍光画像から抽出する。
本態様に係る画像分析方法において、試料(21)に光を照射する工程(S14、S33)において、フローセル(110)に試料(21)を流し、フローセル(110)を流れる試料(21)に光を照射し、画像を取得する工程(S14、S33)において、フローセル(110)を流れる試料(21)から生じた光を撮像する。
【0044】
本発明の第3の態様は、核酸中の標的遺伝子を標識した試料の画像を分析する画像分析装置に関する。本態様に係る画像分析装置(10)は、標的遺伝子が標識された試料(21)に光を照射する光源(121、122)と、光が照射されることにより試料(21)から生じた光を撮像する撮像部(154)と、撮像部(154)により撮像された画像を、画像に含まれる輝点に基づいて分析する処理部(11)と、表示部(13)と、を備える。処理部(11)は、試料(21)が採取された被検者の染色体異常に関する情報を取得し、情報が被検者に染色体異常がないことを示す場合は、標的遺伝子に関する第1の陽性パターンと標的遺伝子に関する第1の陰性パターンを少なくとも含む第1の輝点パターンの組合せを表示部(13)に表示させ、情報が被検者に染色体異常があることを示す場合は、標的遺伝子に関する第2の陽性パターンと標的遺伝子に関する第2の陰性パターンを少なくとも含む第2の輝点パターンの組合せを表示部(13)に表示させる。
【0045】
本態様に係る画像分析装置によれば、オペレータは、表示部を参照することにより、画像の分析に用いるべき輝点パターンの組合せを把握できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、被検者に染色体異常が生じた場合であっても、分析対象細胞が異常細胞であるか否かを適正に分析できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る画像分析装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2(a)は、実施形態1に係る画像分析装置が行う核の領域の抽出を説明するための図である。
図2(b)は、実施形態1に係る画像分析装置が行う遺伝子の輝点の抽出を説明するための図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、実施形態1に係る測定項目BCR-ABLにおいて通常の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
【
図4】
図4(a)、(b)は、実施形態1に係る測定項目BCR-ABLにおいて9番染色体長腕欠損の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
図4(c)、(d)は、実施形態1に係る測定項目BCR-ABLにおいて22番染色体長腕挿入異常の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
【
図5】
図5(a)、(b)は、実施形態1に係る測定項目PML-RARαにおいて通常の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
【
図6】
図6(a)、(b)は、実施形態1に係る測定項目PML-RARαにおいて17番染色体長腕欠損の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
図6(c)、(d)は、実施形態1に係る測定項目PML-RARαにおいて17番染色体長腕挿入異常の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
【
図7】
図7(a)、(b)は、実施形態1に係る測定項目TEL-AML1において通常の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
図7(c)、(d)は、実施形態1に係る測定項目TEL-AML1において慢性リンパ性白血病の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
【
図8】
図8(a)、(b)は、実施形態1に係る測定項目AML1-ETOにおいて通常の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
図8(c)、(d)は、実施形態1に係る測定項目AML1-ETOにおいて急性骨髄性白血病の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
【
図9】
図9(a)、(b)は、実施形態1に係る測定項目性染色体において通常の場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
図9(c)、(d)は、実施形態1に係る測定項目性染色体において異性間の骨髄移植が行われた場合の輝点の色ごとの数の組合せを示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る画像分析装置の処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11(a)は、実施形態1に係る検体IDを受け付けるための画面を模式的に示す図である。
図11(b)は、実施形態1に係る測定項目を受け付けるための画面を模式的に示す図である。
【
図12】
図12(a)は、実施形態1に係る測定項目BCR-ABLの場合の被検者情報受付画面を模式的に示す図である。
図12(b)は、実施形態1に係る測定項目PML-RARαの場合の被検者情報受付画面を模式的に示す図である。
【
図13】
図13(a)は、実施形態1に係る測定項目TEL-AML1の場合の被検者情報受付画面を模式的に示す図である。
図13(b)は、実施形態1に係る測定項目AML1-ETOの場合の被検者情報受付画面を模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態1に係る測定項目性染色体の場合の被検者情報受付画面を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態1に係る分析結果等を表示するための画面を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態1に係る全ての合成画像等を表示するための画面を模式的に示す図である。
【
図17】
図17(a)は、実施形態2に係る画像分析装置およびホストコンピュータの構成を模式的に示す図である。
図17(b)は、実施形態2に係る画像分析装置の処理を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施形態3に係る画像分析装置の処理を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、実施形態3に係る分析結果等を表示するとともに再分析を受け付けるための画面を模式的に示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態3に係る全ての合成画像等を表示するとともに分析結果の切り替えを受け付けるための画面を模式的に示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態3に係る全ての合成画像等を表示するとともに被検者情報および再分析を受け付けるための画面を模式的に示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態3に係る検体IDごとの分析結果を表示するための画面を模式的に示す図である。
【
図23】
図23は、実施形態4に係る画像分析装置の処理を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、実施形態5に係る画像分析装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の実施形態は、標的部位が標識された試料を測定して分析する装置に、本発明を適用したものである。以下の実施形態では、FISH法に基づいてフローセルを流れる試料から生じた蛍光が撮像される。FISH法に基づいて撮像が行われる場合、標的部位は蛍光色素により標識され、標的部位を標識する蛍光色素から生じた蛍光が撮像される。検出対象細胞は、血液中の白血球である。標的部位は、検出対象細胞の核酸中の所定の遺伝子である。標的部位の標識は、蛍光色素により標識した核酸プローブと核酸中の標的部位とをハイブリダイズさせる工程を含む前処理工程において行われ、前処理工程によって試料が調製される。
【0053】
なお、前処理工程によって調製される試料の元となる検体は、血液に限らず、たとえば、血漿や、組織から採取された検体でもよい。検出対象細胞は、血液中の白血球に限らず、たとえば、尿や骨髄液などの体液試料中の細胞でもよく、組織から単離した細胞でもよい。標的部位は、核酸中の遺伝子に限らず、たとえば、遺伝子領域以外の部位でもよく、タンパク質でもよい。標的部位の標識は、抗原抗体反応に基づく免疫染色によって行われてもよい。
【0054】
また、以下の実施形態において、インサイチュハイブリダイゼーション法(ISH法)に基づいて細胞が撮像されてもよい。ISH法に基づいて撮像が行われる場合、標的部位は蛍光色素により標識されず、標的部位から生じた光が撮像される。
【0055】
また、以下の実施形態では、撮像された画像において輝点が抽出される。ここで、輝点とは、FISH法およびISH法のいずれに基づいて撮像が行われたかによらず、標的部位に基づいて生じた光に対応して撮像画像上に現れる光の分布領域のことである。また、輝点は、必ずしも点に限らない。すなわち、標的部位によっては、撮像画像における光の分布領域が、点に相当する程度に小さい面積を有する場合や、点よりも大きい面積を有する場合などがある。したがって、輝点とは、光の分布領域の面積によらず、標的部位に基づく光の分布領域を示すものである。
【0056】
<実施形態1>
図1に示すように、画像分析装置10は、前処理装置20による前処理工程により調製された試料21を測定して分析を行う。オペレータは、被検者から採取した血液に対して遠心分離等の処理を行って、検出対象細胞である白血球を抽出する。前処理装置20は、試薬と遠心分離等の処理が行われた検体とを混合させるための混合容器、検体と試薬を混合容器に分注するための分注部、混合容器を加温するための加温部等を含む。前処理装置20は、被検者から採取した検出対象細胞の標的部位を蛍光色素により標識する工程と、細胞の核を核染色用色素により特異的に染色する工程と、を含む前処理を行って試料21を調製する。
【0057】
前処理装置20は、標的部位を標識する工程において、蛍光色素により標識された核酸プローブと、核酸中の異なる2つの遺伝子とをハイブリダイズさせる。これにより、検出対象細胞における異なる2つの遺伝子が、互いに異なる蛍光色素により標識される。標識工程において標的部位として標識される2つの遺伝子を、以下、「第1の遺伝子」および「第2の遺伝子」と称する。
【0058】
第1の遺伝子は、波長λ11の励起光が照射されることにより波長λ21の蛍光を生じる蛍光色素が結合した核酸プローブを介して、蛍光標識される。第2の遺伝子は、波長λ12の励起光が照射されることにより波長λ22の蛍光を生じる蛍光色素が結合した核酸プローブを介して、蛍光標識される。核は、波長λ13の励起光が照射されることにより波長λ23の蛍光を生じる核染色用色素によって染色される。
【0059】
画像分析装置10は、処理部11と、記憶部12と、表示部13と、入力部14と、測定部15と、を備える。
【0060】
処理部11は、CPUにより構成される。処理部11は、マイクロコンピュータにより構成されてもよい。処理部11は、記憶部12に記憶されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。処理部11は、画像分析装置10内の各部に接続されており、各部からの信号を受信して各部を制御する。記憶部12は、RAM、ROM、ハードディスク等により構成される。表示部13は、ディスプレイにより構成される。入力部14は、マウスやキーボードにより構成される。表示部13と入力部14は、タッチパネル式のディスプレイにより一体的に構成されてもよい。
【0061】
測定部15は、フローセル110と、光源121~124と、集光レンズ131~134と、ダイクロイックミラー141、142と、集光レンズ151と、光学ユニット152と、集光レンズ153と、撮像部154と、を備える。フローセル110の流路111には、前処理装置20で調製された試料21が流される。
【0062】
光源121~124は、フローセル110を流れる試料21に光を照射する。光源121~124は、半導体レーザ光源により構成される。光源121~124から出射される光は、それぞれ、波長λ11~λ14のレーザ光である。集光レンズ131~134は、それぞれ、光源121~124から出射された光を集光する。ダイクロイックミラー141は、波長λ11の光を透過させ、波長λ12の光を反射する。ダイクロイックミラー142は、波長λ11、λ12の光を透過させ、波長λ13の光を反射する。こうして、波長λ11~λ14の光が、フローセル110の流路111を流れる試料21に照射される。
【0063】
フローセル110を流れる試料21に波長λ11~λ13の光が照射されると、試料21から蛍光が生じる。具体的には、波長λ11の光が第1の遺伝子を標識する蛍光色素に照射されると、この蛍光色素から波長λ21の蛍光が生じる。波長λ12の光が第2の遺伝子を標識する蛍光色素に照射されると、この蛍光色素から波長λ22の蛍光が生じる。波長λ13の光が核を染色する核染色用色素に照射されると、核染色用色素から波長λ23の蛍光が生じる。フローセル110を流れる試料21に波長λ14の光が照射されると、この光は細胞を透過する。細胞を透過した波長λ14の光は、明視野画像の生成に用いられる。実施形態1では、波長λ21は緑色の光の波長帯域であり、波長λ22は赤色の光の波長帯域であり、波長λ23は、青色の光の波長帯域である。
【0064】
集光レンズ151は、流路111を流れる試料21から生じた波長λ21~λ23の蛍光と、流路111を流れる試料21を透過した波長λ14の光とを集光する。光学ユニット152は、4枚のダイクロイックミラーが組合せられた構成を有する。光学ユニット152の4枚のダイクロイックミラーは、波長λ21~λ23の蛍光と波長λ14の光とを、互いに僅かに異なる角度で反射し、撮像部154の受光面上において分離させる。集光レンズ153は、波長λ21~λ23の蛍光と波長λ14の光とを集光する。
【0065】
撮像部154は、TDI(Time Delay Integration)カメラにより構成される。撮像部154は、波長λ21~λ23の蛍光と波長λ14の光とを撮像して、波長λ21~λ23の蛍光にそれぞれ対応した蛍光画像と、波長λ14の光に対応した明視野画像とを生成する。実施形態1では、撮像部154において生成される各画像は、グレースケールの画像であるが、カラーの画像でもよい。処理部11は、撮像部154により生成された蛍光画像および明視野画像を記憶部12に記憶させる。
【0066】
ここで、撮像部154は、TDIカメラにより構成されるため、撮像部154の受光面で受光した蛍光を積算して蛍光画像および明視野画像を生成する。これにより、細胞の蛍光画像および明視野画像の品質を高めることができる。
【0067】
処理部11は、記憶部12に記憶された蛍光画像を処理する。具体的には、処理部11は、波長λ21の蛍光に対応する蛍光画像、すなわち第1の遺伝子の蛍光画像から輝点を抽出する。処理部11は、波長λ22の蛍光に対応する蛍光画像、すなわち第2の遺伝子の蛍光画像から輝点を抽出する。処理部11は、波長λ23の蛍光に対応する蛍光画像、すなわち核の蛍光画像から核の領域を抽出する。遺伝子の蛍光画像における輝点の抽出と、核の蛍光画像における核の領域の抽出については、追って
図2(a)、(b)を参照して説明する。
【0068】
また、処理部11は、試料21に関する被検者情報をオペレータから入力部14を介して取得し、取得した被検者情報に基づいて蛍光画像中の輝点を分析する。被検者情報とは、試料21が調製された被検者に関する情報のことである。そして、処理部11は、輝点の分析結果に基づいて各細胞が異常細胞であるか否かを判定し、異常細胞を検出する。
【0069】
なお、異常細胞であるか否かの判定は、細胞が正常または異常のいずれであるかの判定に限らず、細胞が陽性または陰性のいずれであるかの判定をも含む概念である。以下の説明では、陽性細胞は異常細胞に対応し、陰性細胞は正常細胞に対応する。
【0070】
ここで、蛍光画像中の輝点は、細胞が異常細胞であるか否かによって変化するだけでなく、被検者の遺伝子変異、疾患、性別などによっても変化してしまう。実施形態1では、このような輝点の変化に対応するために、上記のように被検者情報が取得される。この場合の被検者情報とは、たとえば、被検者の過去の検査結果、被検者が罹患している疾患名、染色体に変化を生じる移植を被検者が受けたか否かなど、蛍光画像中の輝点が変化する要因を示す情報のことである。実施形態1によれば、被検者情報に基づいて輝点が分析されるため、蛍光画像中の輝点が変化しても、蛍光画像中の輝点を適正に分析できる。また、合成画像中の輝点の分析が被検者情報に基づいて適正に行われるため、細胞が異常であるか否かの判定も適正に行うことができる。
【0071】
また、試料21はフローセル110に流され、フローセル110を流れる試料21から生じた蛍光が撮像される。これにより、膨大な数の細胞に基づく画像を円滑に生成できる。また、検出対象細胞が希少な細胞である場合も、この細胞を確実に撮像できる。
【0072】
次に、
図2(a)、(b)を参照して、画像分析装置10が行う核の領域の抽出および遺伝子の輝点の抽出について説明する。
図2(a)、(b)の左端に示す画像は、フローセル110を流れる試料21の同じ部分から取得された蛍光画像を示す。
【0073】
図2(a)の左端に示すように核の蛍光画像が取得された場合、処理部11は、核の蛍光画像上の各画素における輝度に基づいて、
図2(a)の中央に示すように輝度と度数のグラフを作成する。縦軸の度数は、画素の個数を示している。処理部11は、このグラフにおいて輝度の閾値を設定する。そして、処理部11は、閾値よりも大きい輝度を有する画素が分布する範囲を、
図2(a)の右端において破線で示すように、核の領域として抽出する。なお、核の蛍光画像において、2つの核が重なり合っている場合、重なった細胞に基づく蛍光画像は、異常細胞の判定には用いられず除外される。
【0074】
図2(b)の左端に示すように遺伝子の蛍光画像が取得された場合、処理部11は、遺伝子の蛍光画像上の各画素における輝度に基づいて、
図2(b)の中央に示すように輝度と度数のグラフを作成する。処理部11は、このグラフにおいて、たとえば大津法に基づいて輝点とバックグランドとの境界として輝度の閾値を設定する。そして、処理部11は、閾値よりも大きい輝度を有する画素が分布する範囲を、
図2(b)の右端において破線で示すように、輝点として抽出する。なお、遺伝子の蛍光画像から輝点を抽出する場合に、極端に小さい領域を有する輝点、極端に大きい領域を有する輝点、および、
図2(a)の右端に示した核の領域に含まれない輝点は除外される。
【0075】
なお、処理部11は、
図2(a)、(b)の中央に示すようにグラフを作成することなく、上記のような手順に沿って、演算により、核の蛍光画像から核の領域を抽出し、遺伝子の蛍光画像から輝点を抽出してもよい。また、輝点の抽出は、正常とされる輝点の分布波形と判定対象の領域との整合の度合いを判定し、整合の度合いが高い場合に、判定対象の領域を輝点として抽出してもよい。処理部11は、核の蛍光画像から核の領域を抽出することにより細胞を検出するが、明視野画像に基づいて細胞を検出してもよい。明視野画像に基づいて細胞が検出される場合、核の蛍光画像の取得を省略することもできる。実施形態における輝点とは、核中の標的部位となる遺伝子に結合した核酸プローブの蛍光色素から得られる蛍光の輝点である。
【0076】
次に、画像分析装置10が行う異常細胞の判定について説明する。
【0077】
画像分析装置10に供される試料21には、あらかじめ、BCR-ABL、PML-RARα、TEL-AML1、AML1-ETO、性染色体、といった測定項目が設定されている。以下では、上記の測定項目に限って説明するが、試料21に設定される測定項目は上記の測定項目に限らない。
【0078】
測定項目がBCR-ABLの場合、第1の遺伝子は22番染色体にあるBCR遺伝子とされ、第2の遺伝子は9番染色体にあるABL遺伝子とされる。測定項目がPML-RARαの場合、第1の遺伝子は17番染色体にあるRARα遺伝子とされ、第2の遺伝子は15番染色体にあるPML遺伝子とされる。測定項目がTEL-AML1の場合、第1の遺伝子は12番染色体にあるTEL遺伝子とされ、第2の遺伝子は21番染色体にあるAML遺伝子とされる。測定項目がAML1-ETOの場合、第1の遺伝子は8番染色体にあるETO遺伝子とされ、第2の遺伝子は21番染色体にあるAML遺伝子とされる。測定項目が性染色体の場合、第1の遺伝子はX染色体とされ、第2の遺伝子はY染色体とされる。前処理装置20は、測定項目に応じて第1の遺伝子と第2の遺伝子を標識するように試料21を調製する。
【0079】
処理部11は、上述したように、前処理装置20で調製された試料21を測定部15で測定して、第1の遺伝子に基づくグレースケールの蛍光画像と、第2の遺伝子に基づくグレースケールの蛍光画像と、核に基づくグレースケールの蛍光画像とを取得する。処理部11は、グレースケールの蛍光画像に対して、上述したように遺伝子の輝点抽出と核の領域抽出を行う。
【0080】
続いて、処理部11は、グレースケールの蛍光画像に対して色調の補正を行う。具体的には、処理部11は、第1の遺伝子の蛍光画像に対して、第1の遺伝子の輝点が緑色になるよう色調を補正する。処理部11は、第2の遺伝子の蛍光画像に対して、第2の遺伝子の輝点が赤色になるよう色調を補正する。処理部11は、核の蛍光画像に対して、核の領域が青色になるよう色調を補正する。そして、処理部11は、色調補正された第1の遺伝子の蛍光画像と、色調補正された第2の遺伝子の蛍光画像とを合成し、合成により生成した蛍光画像を記憶部12に記憶させる。以下、第1の遺伝子の蛍光画像と第2の遺伝子の蛍光画像とが合成された蛍光画像を、「合成画像」と称する。
【0081】
なお、各蛍光画像の色調は、第1の遺伝子、第2の遺伝子、および核に基づいて実際に生じる蛍光の色と同様に補正されたが、これに限らず、各蛍光画像の色調は、実際に生じる蛍光の色とは異なる色になるよう補正されてもよい。
【0082】
処理部11は、一の細胞について生成した合成画像における、緑色の輝点の数と、赤色の輝点の数と、黄色の輝点の数との組合せに基づいて、当該細胞を分析する。黄色の輝点は、第1の遺伝子の蛍光画像における緑色の輝点と、第2の遺伝子の蛍光画像における赤色の輝点とが重なる場合に、合成画像において現れる輝点のことである。処理部11は、たとえば、第1の遺伝子の蛍光画像における緑色の輝点の重心と、第2の遺伝子の蛍光画像における赤色の輝点の重心との距離が、所定値以下である場合に、合成画像において黄色の輝点が生じていると判定する。処理部11は、生成した合成画像における輝点の組合せと、あらかじめ記憶部12に記憶した輝点の組合せとを比較することにより、当該細胞が異常細胞であるか否かを判定する。
【0083】
なお、輝点の組合せとは、たとえば、輝点の色および数の組合せであり、より詳細には、輝点の色ごとに存在する輝点の数の組合せ、すなわち輝点の色ごとの数の組合せである。輝点の色ごとの数の組合せは、言い換えれば、細胞が異常であるか否かを判定するための参照パターンでもある。
【0084】
測定項目がBCR-ABLの場合、処理部11は、細胞において転座によりBCR-ABL融合遺伝子が生じているか否かを判定する。測定項目がPML-RARαの場合、処理部11は、細胞において転座によりPML-RARα融合遺伝子が生じているか否かを判定する。測定項目がTEL-AML1の場合、処理部11は、細胞において転座によりTEL-AML1融合遺伝子が生じているか否かを判定する。測定項目がAML1-ETOの場合、処理部11は、細胞において転座によりAML1-ETO融合遺伝子が生じているか否かを判定する。測定項目が性染色体の場合、処理部11は、細胞における性染色体の状態を判定する。なお、測定項目によって判定される遺伝子の異常は、転座に限らず、遺伝子増幅、欠失、逆位、重複などでもよい。
【0085】
このように、生成した合成画像における輝点の色ごとの数の組合せによれば、合成画像中の輝点を円滑に分析できる。また、輝点の色ごとの数の組合せによれば、どのような種類の輝点がどのように組合わされているかを容易に把握できる。
【0086】
なお、輝点の分析において、第1の遺伝子の蛍光画像および第2の遺伝子の蛍光画像のみが用いられてもよい。この場合、第1の遺伝子の蛍光画像における輝点の座標と、第2の遺伝子の蛍光画像における輝点の座標とに基づいて、第1の遺伝子の蛍光画像の輝点と、第2の遺伝子の蛍光画像の輝点とが重なり合うか否かが判定され、輝点の色ごとの数の組合せが取得される。
【0087】
図3(a)~
図9(d)を参照して、輝点の色ごとの数の組合せについて説明する。
図3(a)~
図9(d)では、便宜上、遺伝子の蛍光画像および合成画像において、緑色の輝点は黒丸で示され、赤色の輝点は白丸で示され、黄色の輝点は二重丸で示されている。
【0088】
図3(a)に示すように、測定項目がBCR-ABLの場合、細胞が陰性であると、通常、BCR遺伝子の蛍光画像に2つの緑色の輝点が現れ、ABL遺伝子の蛍光画像に2つの赤色の輝点が現れる。そして、合成画像には、2つの緑色の輝点と2つの赤色の輝点とが現れる。一方、
図3(b)に示すように、細胞が陽性であると、通常、BCR遺伝子の蛍光画像に3つの緑色の輝点が現れ、ABL遺伝子の蛍光画像に3つの赤色の輝点が現れる。そして、合成画像には、1つの緑色の輝点と、1つの赤色の輝点と、2つの黄色の輝点とが現れる。すなわち、この場合、BCR遺伝子の蛍光画像上の2つの緑色の輝点と、ABL遺伝子の蛍光画像上の2つの赤色の輝点とが重なり、合成画像において2つの黄色の輝点が現れる。
【0089】
ここで、合成画像において、緑色の輝点の個数をn1、赤色の輝点の個数をn2、黄色の輝点の個数をn3とした場合に、以下、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せを「Gn1Rn2Yn3」と表すことにする。合成画像における輝点の個数n1、n2、n3は、合成画像上で見える輝点の個数のことである。すなわち、合成画像において黄色の輝点が生じている場合、合成画像における緑色の輝点の個数n1は、第1の遺伝子の蛍光画像における緑色の輝点の個数よりも少なく、合成画像における赤色の輝点の個数n2は、第2の遺伝子の蛍光画像における赤色の輝点の個数よりも少なくなる。
【0090】
以上のルールによれば、
図3(a)、(b)に示すように、測定項目がBCR-ABLの場合、通常、細胞が陰性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G2R2Y0」となり、細胞が陽性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G1R1Y2」となる。
【0091】
なお、輝点の色ごとの数の組合せを示すルールは上記に限らず、たとえば、合成画像における緑色の輝点の個数n
1は、第1の遺伝子の蛍光画像における緑色の輝点の個数でもよく、赤色の輝点の個数n
2は、第2の遺伝子の蛍光画像における赤色の輝点の個数でもよい。このルールによれば、
図3(b)に示す合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは、「G3R3Y2」となる。
【0092】
処理部11は、細胞から生成した合成画像に基づいて、緑色の輝点と、赤色の輝点と、黄色の輝点とが、それぞれ何個あるかを示す上記のような輝点の色ごとの数の組合せを取得する。そして、処理部11は、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが、「G2R2Y0」と「G1R1Y2」のいずれに合致するかを判定する。判定に用いる「G2R2Y0」と「G1R1Y2」といった輝点の色ごとの数の組合せは、あらかじめ記憶部12に記憶されている。細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが「G2R2Y0」である場合、処理部11は、この細胞が測定項目BCR-ABLについて陰性であると判定する。他方、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが「G1R1Y2」である場合、処理部11は、この細胞が測定項目BCR-ABLについて陽性であると判定する。
【0093】
ここで、輝点の色ごとの数の組合せが
図3(a)、(b)に示す通常状態となるのは、試料21が調製された被検者において、測定項目BCR-ABLの判定結果に影響を与えるような他の染色体異常がない場合である。測定項目BCR-ABLの判定結果に影響を与えるような他の染色体異常がある場合、細胞から生成された合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは、
図3(a)、(b)とは異なる。
【0094】
たとえば、被検者の9番染色体の長腕が1本欠損している場合がある。この場合、輝点の色ごとの数の組合せは、測定項目BCR-ABLについて細胞が陰性であると、
図4(a)に示すように「G2R1Y0」となり、測定項目BCR-ABLについて細胞が陽性であると、
図4(b)に示すように「G2R1Y1」となる。また、たとえば、被検者の22番染色体の長腕が1本異常挿入されている場合がある。この場合、輝点の色ごとの数の組合せは、測定項目BCR-ABLについて細胞が陰性であると、
図4(c)に示すように「G3R2Y0」となり、測定項目BCR-ABLについて細胞が陽性であると、
図4(d)に示すように「G2R1Y2」となる。
【0095】
このように、測定項目BCR-ABLの判定結果に影響を与えるような他の染色体異常がある場合、
図4(a)~(d)に示すように輝点の色ごとの数の組合せが変化する。したがって、実施形態1では、処理部11は、他の染色体異常があることを被検者情報として取得する。そして、処理部11は、取得した被検者情報に基づいて判定に用いる輝点の色ごとの数の組合せを選択し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せと、被検者情報に基づいて選択した輝点の色ごとの数の組合せとを比較して、細胞が陽性または陰性のいずれであるかを判定する。
【0096】
すなわち、測定項目がBCR-ABLの場合に、処理部11は、被検者情報として「9番染色体長腕欠損」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図4(a)に示す「G2R1Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図4(b)に示す「G2R1Y1」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。また、測定項目がBCR-ABLの場合に、処理部11は、被検者情報として「9番染色体長腕挿入異常」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図4(c)に示す「G3R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図4(d)に示す「G2R1Y2」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。
【0097】
なお、測定項目がBCR-ABLの場合に、処理部11は、被検者情報として「該当なし」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図3(a)に示す「G2R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図3(b)に示す「G1R1Y2」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。
【0098】
図5(a)、(b)に示すように、測定項目がPML-RARαの場合、通常、細胞が陰性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G2R2Y0」となり、細胞が陽性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G1R1Y2」となる。この場合も、処理部11は、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが、
図5(a)、(b)のいずれに合致するかに基づいて、細胞が陽性または陰性のいずれであるかを判定する。
【0099】
ここで、輝点の色ごとの数の組合せが
図5(a)、(b)に示す通常状態となるのは、試料21が調製された被検者において、測定項目PML-RARαの判定結果に影響を与えるような他の染色体異常がない場合である。測定項目PML-RARαの判定結果に影響を与えるような他の染色体異常がある場合、細胞から生成された合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは、
図5(a)、(b)とは異なる。
【0100】
たとえば、被検者の17番染色体の長腕が1本欠損している場合がある。この場合、輝点の色ごとの数の組合せは、測定項目PML-RARαについて細胞が陰性であると、
図6(a)に示すように「G1R2Y0」となり、測定項目PML-RARαについて細胞が陽性であると、
図6(b)に示すように「G1R2Y1」となる。また、たとえば、被検者の17番染色体の長腕が1本異常挿入されている場合がある。この場合、輝点の色ごとの数の組合せは、測定項目PML-RARαについて細胞が陰性であると、
図6(c)に示すように「G3R2Y0」となり、測定項目PML-RARαについて細胞が陽性であると、
図6(d)に示すように「G2R1Y2」となる。
【0101】
測定項目がPML-RARαの場合に、処理部11は、被検者情報として「17番染色体長腕欠損」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図6(a)に示す「G1R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図6(b)に示す「G1R2Y1」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。また、測定項目がPML-RARαの場合に、処理部11は、被検者情報として「17番染色体長腕挿入異常」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図6(c)に示す「G3R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図6(d)に示す「G2R1Y2」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。
【0102】
なお、測定項目がPML-RARαの場合に、処理部11は、被検者情報として「該当なし」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図5(a)に示す「G2R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図5(b)に示す「G1R1Y2」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。
【0103】
図7(a)、(b)に示すように、測定項目がTEL-AML1の場合、通常、細胞が陰性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G2R2Y0」となり、細胞が陽性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G1R1Y2」となる。この場合も、処理部11は、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが、
図7(a)、(b)のいずれに合致するかに基づいて、細胞が陽性または陰性のいずれであるかを判定する。
【0104】
ここで、輝点の色ごとの数の組合せが
図7(a)、(b)に示す通常状態となるのは、試料21が調製された被検者において、測定項目TEL-AML1の判定結果に影響を与えるような他の疾患がない場合である。測定項目TEL-AML1の判定結果に影響を与えるような他の疾患がある場合、細胞から生成された合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは、
図7(a)、(b)とは異なる。
【0105】
たとえば、被検者が慢性リンパ性白血病(CLL)に罹患している場合がある。この場合、輝点の色ごとの数の組合せは、測定項目TEL-AML1について細胞が陰性であると、
図7(c)に示すように「G3R2Y0」となり、測定項目TEL-AML1について細胞が陽性であると、
図7(d)に示すように「G2R1Y2」となる。
【0106】
測定項目がTEL-AML1の場合に、処理部11は、被検者情報として「慢性リンパ性白血病」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図7(c)に示す「G3R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図7(d)に示す「G2R1Y2」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。
【0107】
なお、測定項目がTEL-AML1の場合に、処理部11は、被検者情報として「該当なし」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図7(a)に示す「G2R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図7(b)に示す「G1R1Y2」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。
【0108】
図8(a)、(b)に示すように、測定項目がAML1-ETOの場合、通常、細胞が陰性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G2R2Y0」となり、細胞が陽性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G1R1Y2」となる。この場合も、処理部11は、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが、
図8(a)、(b)のいずれに合致するかに基づいて、細胞が陽性または陰性のいずれであるかを判定する。
【0109】
ここで、輝点の色ごとの数の組合せが
図8(a)、(b)に示す通常状態となるのは、試料21が調製された被検者において、測定項目AML1-ETOの判定結果に影響を与えるような他の疾患がない場合である。測定項目AML1-ETOの判定結果に影響を与えるような他の疾患がある場合、細胞から生成された合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは、
図8(a)、(b)とは異なる。
【0110】
たとえば、被検者が急性骨髄性白血病(AML)に罹患している場合がある。この場合、輝点の色ごとの数の組合せは、測定項目AML1-ETOについて細胞が陰性であると、
図8(c)に示すように「G3R2Y0」となり、測定項目AML1-ETOについて細胞が陽性であると、
図8(d)に示すように「G2R1Y2」となる。
【0111】
測定項目がAML1-ETOの場合に、処理部11は、被検者情報として「急性骨髄性白血病」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図8(c)に示す「G3R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図8(d)に示す「G2R1Y2」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。
【0112】
なお、測定項目がAML1-ETOの場合に、処理部11は、被検者情報として「該当なし」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図8(a)に示す「G2R2Y0」に合致する場合、この細胞が陰性であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図8(b)に示す「G1R1Y2」に合致する場合、この細胞が陽性であると判定する。
【0113】
図9(a)、(b)に示すように、測定項目が性染色体の場合、通常、被検者が男性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G1R1」となり、被検者が女性であると、合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは「G2R0」となる。この場合も、処理部11は、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが、
図9(a)、(b)のいずれに合致するかに基づいて、細胞が正常または異常のいずれであるかを判定する。
【0114】
ここで、輝点の色ごとの数の組合せが
図9(a)、(b)に示す通常状態となるのは、試料21が調製された被検者において、異性間の骨髄移植が行われていない場合である。異性間の骨髄移植が行われている場合、細胞から生成された合成画像における輝点の色ごとの数の組合せは、
図9(a)、(b)とは異なる。
【0115】
たとえば、男性の被検者において異性間の骨髄移植が行われている場合、輝点の色ごとの数の組合せは、
図9(c)に示すように「G2R0」となる。また、たとえば、女性の被検者において異性間の骨髄移植が行われている場合、輝点の色ごとの数の組合せは、
図9(d)に示すように「G1R1」となる。
【0116】
測定項目が性染色体の場合に、処理部11は、被検者情報として「男性」および「異性間の骨髄移植あり」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図9(c)に示す「G2R0」に合致する場合、この細胞が正常であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図9(a)に示す「G1R1」に合致する場合、この細胞が異常であると判定する。また、測定項目が性染色体の場合に、処理部11は、被検者情報として「女性」および「異性間の骨髄移植あり」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図9(d)に示す「G1R1」に合致する場合、この細胞が正常であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図9(b)に示す「G2R0」に合致する場合、この細胞が異常であると判定する。
【0117】
なお、測定項目が性染色体の場合に、処理部11は、被検者情報として「男性」および「異性間の骨髄移植なし」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図9(a)に示す「G1R1」に合致する場合、この細胞が正常であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図9(c)に示す「G2R0」に合致する場合、この細胞が異常であると判定する。また、測定項目が性染色体の場合に、処理部11は、被検者情報として「女性」および「異性間の骨髄移植なし」を取得すると、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図9(b)に示す「G2R0」に合致する場合、この細胞が正常であると判定し、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが
図9(d)に示す「G1R1」に合致する場合、この細胞が異常であると判定する。
【0118】
測定項目が性染色体の場合に、細胞が正常または異常であるかの判定は、上記の手順に限らない。たとえば、処理部11は、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが正常とされる輝点の色ごとの数の組合せに合致しない場合、この細胞が異常であると判定してもよい。
【0119】
以上のように、処理部11は、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが、被検者情報に対応した異常または正常の場合の輝点の色ごとの数の組合せに合致するか否かに基づいて、細胞が測定項目について異常であるか否かを判定する。これにより、細胞が異常であるか否かを円滑かつ適正に判定できる。
【0120】
なお、細胞の異常判定で用いる組合せは、上記のように輝点の色ごとの数の組合せに限らず、輝点の種類ごとの数の組合せであればよい。輝点の種類とは、第1の遺伝子に基づく輝点と、第2の遺伝子に基づく輝点とをそれぞれ区別するための情報である。たとえば、第1の遺伝子の蛍光画像における輝点を番号1、第2の遺伝子の蛍光画像における輝点を番号2、番号1の輝点と番号2の輝点とが重なり合う位置の輝点を番号3として区別してもよい。この場合、各番号の輝点がそれぞれ何個存在するかを示す情報が、輝点の種類ごとの数の組合せとなる。
【0121】
次に、
図10のフローチャートを参照して、画像分析装置10の処理を説明する。この説明では、
図11(a)~
図16に示す画面を適宜参照する。
【0122】
図10に示すように、ステップS11において、画像分析装置10の処理部11は、
図11(a)に示す画面210を表示部13に表示させ、画面210を介してオペレータから検体IDを受け付ける。
【0123】
図11(a)に示すように、画面210は、検体ID入力領域211とOKボタン212を備える。オペレータは、入力部14を介して、検体ID入力領域211に検体IDを入力し、OKボタン212を操作する。これにより、処理部11は、検体ID入力領域211に入力された検体IDを受け付けて、受け付けた検体IDを記憶部12に記憶させる。なお、検体IDは、オペレータの指示に応じて処理部11により自動で付与されてもよい。
【0124】
図10に示すように、ステップS12において、処理部11は、
図11(b)に示す画面220を表示部13に表示させ、画面220を介してオペレータから測定項目を受け付ける。
【0125】
図11(b)に示すように、画面220は、測定項目選択領域221とOKボタン222を備える。測定項目選択領域221は、ラジオボタン221a~221eを備える。ラジオボタン221a~221eは、それぞれ、測定項目BCR-ABL、PML-RARα、TEL-AML1、AML1-ETO、および性染色体に対応する。オペレータは、ラジオボタン221a~221eのいずれかを操作して、測定項目を1つ選択し、OKボタン222を操作する。これにより、処理部11は、測定項目選択領域221内で選択された測定項目を受け付けて、受け付けた測定項目を記憶部12に記憶させる。
【0126】
図10に示すように、ステップS13において、処理部11は、染色体異常に関する情報を取得する。「染色体異常に関する情報」とは、染色体の欠失、逆位、転座、重複などによる構造の変化に関する情報、染色体数の増減などの変異に関する情報、および染色体異常が原因で生じる疾患名等を指す。ステップS13において、処理部11は、被検者に関する染色体異常に関する情報として、試料21の被検者情報を取得してもよい。以下、ステップS13において、被検者情報が取得され、後述するステップS15において、取得された被検者情報に基づいて分析が行われる場合について説明する。
【0127】
ステップS13において、処理部11は、ステップS12で受け付けた測定項目に応じて、
図12(a)~
図14に示すいずれかの被検者情報受付画面を表示部13に表示させ、表示した被検者情報受付画面を介してオペレータから被検者情報を受け付ける。
【0128】
図12(a)に示すように、被検者情報受付画面310は、測定項目としてBCR-ABLが選択された場合に表示部13に表示される画面である。被検者情報受付画面310は、検体情報領域311と、被検者情報選択領域312と、OKボタン313と、を備える。
【0129】
検体情報領域311は、ステップS11で入力された検体IDと、ステップS12で選択された測定項目とを表示する。被検者情報選択領域312は、被検者に対して行われた過去の検査結果を選択するためのラジオボタン312a~312cを備える。ラジオボタン312a~312cは、それぞれ、「9番染色体長腕欠損」、「22番染色体長腕挿入異常」、および「該当なし」に対応する。ラジオボタン312cは、ラジオボタン312a、312bに対応する過去の検査結果に当てはまらない場合に選択される。オペレータは、ラジオボタン312a~312cのいずれかを操作して選択し、OKボタン313を操作する。これにより、処理部11は、被検者情報選択領域312で選択された過去の検査結果を受け付けて、受け付けた過去の検査結果を記憶部12に記憶させる。
【0130】
図12(b)に示すように、被検者情報受付画面320は、測定項目としてPML-RARαが選択された場合に表示部13に表示される画面である。被検者情報受付画面320は、検体情報領域321と、被検者情報選択領域322と、OKボタン323と、を備える。
【0131】
被検者情報選択領域322は、被検者に対して行われた過去の検査結果を選択するためのラジオボタン322a~322cを備える。ラジオボタン322a~322cは、それぞれ、「17番染色体長腕欠損」、「17番染色体長腕挿入異常」、および「該当なし」に対応する。ラジオボタン322cは、ラジオボタン322a、322bに対応する過去の検査結果に当てはまらない場合に選択される。オペレータは、ラジオボタン322a~322cのいずれかを操作して選択し、OKボタン323を操作する。これにより、処理部11は、被検者情報選択領域322で選択された過去の検査結果を受け付けて、受け付けた過去の検査結果を記憶部12に記憶させる。
【0132】
図13(a)に示すように、被検者情報受付画面330は、測定項目としてTEL-AML1が選択された場合に表示部13に表示される画面である。被検者情報受付画面330は、検体情報領域331と、被検者情報選択領域332と、OKボタン333と、を備える。
【0133】
被検者情報選択領域332は、被検者が罹患している疾患名を選択するためのラジオボタン332a、332bを備える。ラジオボタン332a、332bは、それぞれ、「慢性リンパ性白血病(CLL)」および「該当なし」に対応する。ラジオボタン332bは、ラジオボタン332aに対応する疾患名に当てはまらない場合に選択される。オペレータは、ラジオボタン332a、332bのいずれかを操作して選択し、OKボタン333を操作する。これにより、処理部11は、被検者情報選択領域332で選択された疾患名を受け付けて、受け付けた疾患名を記憶部12に記憶させる。
【0134】
図13(b)に示すように、被検者情報受付画面340は、測定項目としてAML1-ETOが選択された場合に表示部13に表示される画面である。被検者情報受付画面340は、検体情報領域341と、被検者情報選択領域342と、OKボタン343と、を備える。
【0135】
被検者情報選択領域342は、被検者が罹患している疾患名を選択するためのラジオボタン342a、342bを備える。ラジオボタン342a、342bは、それぞれ、「急性骨髄性白血病(AML)」および「該当なし」に対応する。ラジオボタン342bは、ラジオボタン342aに対応する疾患名に当てはまらない場合に選択される。オペレータは、ラジオボタン342a、342bのいずれかを操作して選択し、OKボタン343を操作する。これにより、処理部11は、被検者情報選択領域342で選択された疾患名を受け付けて、受け付けた疾患名を記憶部12に記憶させる。
【0136】
図14に示すように、被検者情報受付画面350は、測定項目として性染色体が選択された場合に表示部13に表示される画面である。被検者情報受付画面350は、検体情報領域351と、被検者情報選択領域352、353と、OKボタン354と、を備える。
【0137】
被検者情報選択領域352は、被検者の性別を選択するためのラジオボタン352a、352bを備える。ラジオボタン352a、352bは、それぞれ、「男性」および「女性」に対応する。被検者情報選択領域353は、異性間の骨髄移植の有無を選択するためのラジオボタン353a、353bを備える。ラジオボタン353a、353bは、それぞれ、「異性間の骨髄移植あり」および「異性間の骨髄移植なし」に対応する。オペレータは、ラジオボタン352a、352bのいずれかを操作して選択し、ラジオボタン353a、353bのいずれかを操作して選択する。そして、オペレータは、OKボタン354を操作する。これにより、処理部11は、被検者情報選択領域352で選択された被検者の性別および被検者情報選択領域353で選択された異性間の骨髄移植の有無を受け付けて、受け付けた情報を記憶部12に記憶させる。
【0138】
図10に示すように、ステップS14において、処理部11は、オペレータから入力部14を介して測定開始指示を受け付けると、試料21を測定する。これにより、試料21がフローセル110に流され、光源121~124からの光がフローセル110を流れる試料21に照射され、フローセル110を流れる試料21から生じた波長λ21~23の蛍光および波長λ14の光が撮像される。そして、処理部11は、上述したように、蛍光画像から輝点を抽出し、蛍光画像の色調を補正して、合成画像を生成する。
【0139】
ステップS15において、処理部11は、ステップS13で取得した染色体異常に関する情報に基づく分析を行う。上述したように、この場合のステップS15では、処理部11は、ステップS13で取得した被検者情報に基づく分析を行う。具体的には、処理部11は、ステップS13で取得した被検者情報に基づいて、
図3(a)~
図9(d)を参照して説明したように、蛍光画像中の輝点を分析して、各細胞について異常細胞であるか否かを判定する。
【0140】
このとき、処理部11は、被検者情報に対応する輝点の色ごとの数の組合せを記憶部12から読み出して選択し、選択した輝点の色ごとの数の組合せと、各細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せとを比較して分析を行う。これにより、被検者情報に対応して読み出された輝点の色ごとの数の組合せに基づいて、合成画像中の輝点を適正に分析できる。また、この分析処理は処理部11により自動で行われるため、オペレータは、被検者情報に対応する輝点の色ごとの数の組合せを選択するといった煩雑な作業を行う必要がない。
【0141】
また、記憶部12は、測定項目ごとに被検者情報に対応して輝点の色ごとの数の組合せを記憶しており、処理部11は、試料21に対して設定された測定項目および被検者情報に対応する輝点の色ごとの数の組合せを記憶部12から読み出す。これにより、処理部11は、測定項目に応じた適正な輝点の色ごとの数の組合せを用いて、合成画像中の輝点を適正に分析できる。
【0142】
また、ステップS15において、処理部11は、各細胞に対して行った判定結果に基づいて、分析結果を生成する。具体的には、異常細胞数、異常細胞率、正常細胞数、正常細胞率、判定不能細胞数、および判定不能細胞率を算出する。異常細胞数は、異常細胞か否かの判定において異常と判定された細胞数であり、正常細胞数は、異常細胞か否かの判定において正常と判定された細胞数である。異常細胞率は、異常細胞数を、異常細胞数と正常細胞数の和で除算した値であり、正常細胞率は、正常細胞数を、異常細胞数と正常細胞数の和で除算した値である。判定不能細胞数は、異常細胞か否かの判定において、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが異常および正常のいずれにも合致しなかった細胞数である。判定不能細胞率は、判定不能細胞数を、異常細胞数、正常細胞数、および判定不能細胞数の和で除算した値である。
【0143】
ステップS16において、処理部11は、ステップS15で生成した分析結果を含む画面410を表示部13に表示させる。
【0144】
図15に示すように、画面410は、検体情報領域411と、被検者情報領域412と、輝点情報領域413と、分析結果リスト414と、画像415と、印刷ボタン416と、全画像表示ボタン417と、を備える。
【0145】
検体情報領域411は、検体IDと測定項目を表示する。被検者情報領域412は、ステップS13で入力された被検者情報を表示する。輝点情報領域413は、ステップS15の分析で用いられた輝点の色ごとの数の組合せを表示する。
図15に示す例では、測定項目がBCR-ABLであり、被検者情報が「9番染色体長腕欠損」であるため、分析で用いられた輝点の色ごとの数の組合せとして、
図6(a)、(b)に示す「G2R1Y0」および「G2R1Y1」が表示されている。分析結果リスト414は、ステップS15の分析で生成した分析結果を表示する。画像415は、試料21に基づいて生成された合成画像のうち、陽性細胞に対応する代表の合成画像である。
【0146】
なお、測定項目が性染色体の場合、分析結果を示す画面において、「陽性」が「異常」に置き換えられ、「陰性」が「正常」に置き換えられる。
【0147】
オペレータは、画面410の内容を印刷したい場合、印刷ボタン416を操作する。この操作により、処理部11は、画面410の内容を、画像分析装置10に接続された図示しないプリンタにより紙に印刷する。
【0148】
表示部13への分析結果の表示および紙への分析結果の印刷により、オペレータは、たとえば、参照した異常細胞数または異常細胞率を、試料21が調製された被検者の診断に役立てることができる。
【0149】
オペレータは全ての合成画像を表示させたい場合、全画像表示ボタン417を操作する。この操作により、処理部11は、
図16に示す画面420を表示部13に表示させる。
【0150】
図16に示すように、画面420は、検体情報領域421と、被検者情報領域422と、合成画像領域423と、を備える。
【0151】
検体情報領域421と被検者情報領域422は、
図15に示した画面410の検体情報領域411と被検者情報領域412と同様である。合成画像領域423は、試料21に基づいて生成された全ての合成画像を表示する。オペレータは、合成画像領域423の右端に設けられた操作部423aを操作することにより、合成画像領域423に全ての合成画像を表示させることができる。
【0152】
合成画像領域423に表示される合成画像のうち、陽性と判定された細胞に基づく合成画像には、枠423bが設けられている。合成画像に枠423bが設けられることにより、オペレータは、どの合成画像が陽性細胞に対応するのかを視覚的に把握できる。なお、測定項目が性染色体の場合、異常な細胞に基づく合成画像に枠423bが設けられる。
【0153】
このように、画面420において合成画像が表示されると、オペレータは、参照した合成画像を、試料21が調製された被検者の診断に役立てることができる。なお、画面420に、合成画像だけでなく、第1の遺伝子の蛍光画像および第2の遺伝子の蛍光画像が表示されてもよい。
【0154】
<実施形態2>
図17(a)に示すように、実施形態2では、画像分析装置10は、ホストコンピュータ30と通信可能に接続されている。実施形態2の画像分析装置10は、実施形態1の構成に加えて、通信部16を備える。通信部16は、ネットワークアダプタなどにより構成される。処理部11は、通信部16を介してホストコンピュータ30との間で通信を行う。ホストコンピュータ30は、画像分析装置10とは異なる外部のコンピュータである。ホストコンピュータ30は、記憶部31を備える。記憶部31は、検体IDに対応付けて、測定項目と被検者情報をあらかじめ記憶している。
【0155】
図17(b)に示すように、実施形態2では、
図10に示した実施形態1の処理と比較して、ステップS12、S13に代えてステップS21が追加されている。
【0156】
ステップS21において、処理部11は、ホストコンピュータ30から測定項目と染色体異常に関する情報とを取得する。この場合のステップS21では、処理部11は、ステップS11で受け付けた検体IDに基づいて、測定項目と被検者情報とを取得する。具体的には、処理部11は、検体IDを含む取得要求をホストコンピュータ30に送信する。ホストコンピュータ30は、受信した取得要求に含まれる検体IDに基づいて、記憶部31から対応する測定項目と被検者情報を読み出し、検体IDと読み出した情報とを画像分析装置10に送信する。これにより、処理部11は、実施形態1のステップS12、S13と同様、測定項目と被検者情報を取得する。
【0157】
実施形態2においても、実施形態1と同様、処理部11は、取得した被検者情報に基づいて合成画像の輝点を分析する。したがって、合成画像の輝点が変化しても、合成画像中の輝点を適正に分析できる。また、オペレータは、測定項目と被検者情報を入力する必要がないため、オペレータの手間を省略できるとともに、迅速に分析を開始できる。
【0158】
<実施形態3>
実施形態3では、
図10に示した実施形態1の処理が、
図18に示す処理に変更され、分析結果を示す画面410が、
図19、20に示すように変更され、全画像を表示する画面420が、
図21に示すように変更される。実施形態3のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0159】
図18に示すように、ステップS31、S32において、処理部11は、
図10のステップS11、S12と同様に検体IDと測定項目を受け付ける。続いて、処理部11は、被検者情報を受け付けることなく、ステップS33において、
図10のステップS14と同様に試料を測定する。
【0160】
ステップS34において、処理部11は、試料21に含まれる複数の細胞ごとに、所定の情報に基づいて合成画像中の輝点を分析する。具体的には、処理部11は、細胞に基づいて生成した合成画像における輝点の色ごとの数の組合せと、通常の場合の輝点の色ごとの数の組合せとを比較して、細胞が測定項目について陽性または陰性のいずれであるかを判定する。
【0161】
たとえば、測定項目がBCR-ABLの場合、処理部11は、細胞に基づく輝点の色ごとの数の組合せが、
図3(a)、(b)に示す通常の場合の「G2R2Y0」および「G1R1Y2」のいずれに合致するかを判定して、各細胞が陽性または陰性のいずれであるかを判定する。すなわち、処理部11は、実施形態1において被検者情報が「該当なし」および「異性間の骨髄移植なし」の場合と同様に、被検者情報によらず適用される輝点の色ごとの数の組合せに基づいて、各細胞が異常細胞であるか否かを判定する。そして、処理部11は、
図10のステップS15と同様に、判定結果に基づいて分析結果を生成する。
【0162】
ステップS35において、処理部11は、ステップS34で生成した分析結果を含む画面430を表示部13に表示させる。
【0163】
図19に示すように、ステップS35で表示される画面430は、
図15に示した画面410と比較して、さらに再分析ボタン431を備える。画面430において、被検者情報領域412には、被検者情報として通常の場合の「該当なし」が表示されており、輝点情報領域413には、被検者情報が通常の場合の輝点の色ごとの数の組合せが表示されている。
【0164】
このように、処理部11が被検者情報を受け付けることなく、所定の情報に基づいて輝点の分析が行われると、迅速かつ簡易に各細胞が異常であるか否かを判定できる。また、
図19に示す画面410を迅速に表示させることができる。
【0165】
ここで、入力すべき被検者情報があるにもかかわらず、上記のように被検者情報を受け付けることなく分析された場合、判定不能細胞数や判定不能細胞率が上昇する場合がある。すなわち、このような場合、細胞から取得した輝点の色ごとの数の組合せが、通常の情報に対応する輝点の色ごとの数の組合せと一致せず、判定不能細胞数や判定不能細胞率が上昇する。したがって、判定不能細胞数または判定不能細胞率によれば、通常の場合の輝点の色ごとの数の組合せを用いて行われた分析の信頼性を判断できる。判定不能細胞数や判定不能細胞率が上昇する場合、輝点の色ごとの数の組合せが通常とは異なっていると考えられる。よって、実施形態1のように被検者情報に基づく輝点の色ごとの数の組合せを用いて、細胞から取得された輝点の色ごとの数の組合せを判定するのが好ましい。
【0166】
このような観点から、実施形態3の画像分析装置10は、初回の分析時には通常の輝点の色ごとの数の組合せを用いて迅速に分析を行いつつ、オペレータからの再分析の指示を受け付けた場合に、被検者情報に基づく分析を行うよう構成されている。オペレータは、判定不能細胞数や判定不能細胞率が上昇していることを分析結果リスト414を参照して確認した場合、画面430の再分析ボタン431を操作する。
【0167】
ステップS36において、処理部11は、再分析ボタン431が操作されることによりオペレータから再分析の指示を受け付けると、処理をステップS37に進める。他方、再分析ボタン431が操作されず、画面430を閉じるための図示しないボタンが操作されると、
図18の処理が終了する。
【0168】
ステップS37において、処理部11は、染色体異常に関する情報を受け付ける。この場合のステップS37では、処理部11は、
図10のステップS13と同様に、被検者情報を受け付ける。そして、ステップS38において、処理部11は、染色体異常に関する情報に基づく分析を行う。この場合のステップS38では、処理部11は、ステップS33で生成した合成画像を用いて、
図10のステップS15と同様に、被検者情報に基づく分析を行う。ステップS38では被検者情報に基づいて分析が行われるため、ステップS38の分析の信頼性は、ステップS34の分析の信頼性よりも高くなる。ステップS39において、処理部11は、ステップS38で生成した分析結果を含む画面440を表示部13に表示させる。
【0169】
図20に示すように、ステップS39で表示される画面440は、
図15に示した画面410と比較して、さらに切り替え領域441を備える。
図20に示す例では、被検者情報領域412に、ステップS37で受け付けた被検者情報として「9番染色体長腕欠損」が表示されており、輝点情報領域413には、被検者情報に対応する輝点の色ごとの数の組合せが表示されている。
【0170】
切り替え領域441は、1回目すなわちステップS34で生成した分析結果を選択するためのラジオボタンと、2回目すなわちステップS38で生成した分析結果を選択するためのラジオボタンと、表示切り替えボタン441aと、を備える。オペレータは、表示させたい分析結果に対応するラジオボタンを操作して、表示切り替えボタン441aを操作する。
【0171】
1回目に対応するラジオボタンが選択された上で表示切り替えボタン441aが操作されると、処理部11は、画面440において、通常の被検者情報に基づいて分析を行ったことを示す「該当なし」または「異性間の骨髄移植なし」を被検者情報領域412に表示し、ステップS34の分析で用いた通常の輝点の色ごとの数の組合せを輝点情報領域413に表示し、ステップS34の分析で生成した分析結果を分析結果リスト414に表示する。2回目に対応するラジオボタンが選択された上で表示切り替えボタン441aが操作されると、処理部11は、画面440において、ステップS37で受け付けた被検者情報を被検者情報領域412に表示し、ステップS38の分析で用いた輝点の色ごとの数の組合せを輝点情報領域413に表示し、ステップS38の分析で生成した分析結果を分析結果リスト414に表示する。
【0172】
このように、1回目の分析結果と2回目の分析結果とが切り替え可能に画面440に表示されると、オペレータは、2つの分析結果を見比べて、より適正な方の分析結果を最終結果として取得できる。
【0173】
実施形態3では、オペレータは、全画像を表示する画面からも再分析の指示を入力できる。
図19に示す画面430において、オペレータにより全画像表示ボタン417が操作されると、処理部11は、
図21に示す画面450を表示部13に表示させる。
【0174】
図21に示すように、画面450は、
図16に示した画面420と比較して、さらに被検者情報変更領域451を備える。被検者情報変更領域451は、測定項目に対応して被検者情報を選択可能なラジオボタンと、選択されたラジオボタンに基づいて再分析を指示するための再分析ボタン451aと、を備える。
図16に示す例では、1回目の分析において、特別な被検者情報を用いずに分析を行った旨が被検者情報領域422に表示されている。
【0175】
オペレータが被検者情報変更領域451のラジオボタンを選択すると、処理部11は、被検者情報変更領域451で選択された被検者情報に基づいて、合成画像領域423内の合成画像に設けられた異常を示す枠423bを変更する。オペレータは、被検者情報変更領域451のラジオボタンを選択して、異常を示す枠423bが切り替わることを確認しながら、再分析を行うべきか否かを判断する。オペレータは、再分析を行いたい場合、再分析ボタン451aを操作する。このとき、被検者情報変更領域451において選択されたラジオボタンが、再分析において用いられる被検者情報となる。
【0176】
ステップS36において、処理部11は、再分析ボタン451aが操作されることによりオペレータから再分析の指示を受け付けると、処理をステップS37に進める。この場合、ステップS37において、処理部11は、被検者情報変更領域451において選択されたラジオボタンに対応する被検者情報を受け付ける。そして、処理部11は、ステップS38において被検者情報に基づく分析を行い、ステップS39において分析結果を含む画面440を表示部13に表示させる。
【0177】
このように、全画像を表示する画面450が、再分析の指示を受け付け可能に構成されると、オペレータは、合成画像を参照しながら再分析の指示を入力できる。また、被検者情報変更領域451においてラジオボタンを選択することにより、合成画像領域423内の合成画像に設けられた枠423bが再設定される。これにより、オペレータは、適正な被検者情報を検討して、再分析の指示を入力できる。
【0178】
また、実施形態3では、検体IDごとの分析結果を示す画面460から、全画像を表示する画面450を表示させることもできる。オペレータが、表示部13に表示される図示しないメニュー等を操作すると、処理部11は、表示部13に画面460を表示させる。
【0179】
図22に示すように、画面460は、リスト461と全画像表示ボタン462を備える。リスト461は、検体IDごとに分析結果を表示する。リスト461は、リスト461内の表示内容を上下方向に移動させるための操作部461aと、リスト461内の表示内容を左右方向に移動させるための操作部461bと、を備える。オペレータは、操作部461aを操作することにより、全ての検体をリスト461に表示でき、操作部461bを操作することにより、検体IDに対応付けられた全ての分析結果を表示できる。リスト461には、便宜上、分析結果として異常細胞率と判定不能細胞率のみが示されている。
【0180】
図22に示す例では、検体ID「001234」~「001238」および「001241」において、異常細胞率および判定不能細胞率がいずれも小さい。したがって、オペレータは、これらの検体IDを適正に正常と判定できる。また、検体ID「001240」において、異常細胞率が大きく、判定不能細胞率が小さい。したがって、オペレータは、この検体IDを適正に異常と判定できる。
【0181】
一方、検体ID「001239」では、異常細胞率が小さく、かつ、判定不能細胞率が高い。したがって、オペレータは、この検体IDを適正に正常と判定できない。このように判定不能細胞率が高い場合または判定不能細胞数が多い場合、被検者情報が不適正である可能性が高い。たとえば、測定項目がTEL-AML1の場合に、被検者情報として「慢性リンパ性白血病」が選択されるべきにもかかわらず、通常の被検者情報である「該当なし」に基づいて分析が行われたと考えられる。
【0182】
このように判定不能細胞率および判定不能細胞数が所定値より大きい場合、オペレータは、検体IDの行を操作することにより、検体IDを選択する。検体IDが選択されると、リスト461において、対象となる検体IDの行に枠461cが表示される。オペレータは、検体IDを選択した上で全画像表示ボタン462を操作する。これにより、処理部11は、
図21に示した画面450を表示部13に表示して、画面450において、選択された検体IDについての分析結果を表示させる。そして、オペレータは、表示された画面450において、上述したように他の被検者情報を検討し、必要に応じて再分析の指示を入力する。
【0183】
図22の画面460によれば、オペレータは、検体IDごとの分析結果を参照して、全画像を表示する画面450を表示できる。これにより、複数の検体IDに対して、円滑に、合成画像の確認し再分析の指示を入力できる。
【0184】
<実施形態4>
図23に示すように、実施形態4では、
図18に示す実施形態3の処理と比較して、ステップS37に代えてステップS41が追加されている。また、実施形態4の画像分析装置10は、
図17(a)に示す実施形態2と同様、通信部16を備え、通信部16を介してホストコンピュータ30と通信を行う。ホストコンピュータ30の記憶部31は、検体IDに対応付けて、被検者情報をあらかじめ記憶している。実施形態4の他の構成は、実施形態3と同様である。
【0185】
図23に示すように、ステップS41において、処理部11は、ホストコンピュータ30から染色体異常に関する情報を取得する。この場合のステップS41では、処理部11は、ステップS31で受け付けた検体IDに基づいて、ステップS31で受け付けた検体IDに基づいて、ホストコンピュータ30から被検者情報を取得する。そして、ステップS38において、処理部11は、染色体異常に関する情報に基づく分析を行う。この場合のステップS38では、処理部11は、ステップS33で生成した合成画像を用いて、被検者情報に基づく分析を行う。ステップS39において、処理部11は、ステップS38で生成した分析結果を含む画面440を表示部13に表示させる。
【0186】
実施形態4によれば、1回目の分析の後、オペレータが再分析の指示を入力すると、ホストコンピュータ30から被検者情報が取得される。これにより、迅速に2回目の分析を行うことができる。
【0187】
<実施形態5>
図24に示すように、実施形態5では、
図23に示す実施形態4の処理と比較して、ステップS35が省略され、ステップS36に代えてステップS51が追加されている。実施形態5の他の構成は、実施形態4と同様である。
【0188】
図24に示すように、処理部11は、ステップS34で分析を行うと、分析結果を表示せずに、ステップS51の処理を行う。ステップS51において、処理部11は、ステップS34の分析結果に基づいて、判定不能細胞数または判定不能細胞率が所定値より大きいか否かを判定する。
【0189】
判定不能細胞数または判定不能細胞率が所定値以下である場合、処理部11は、ステップS34で行われた分析は適正であったと判定し、処理をステップS39に進める。そして、ステップS39において、処理部11は、ステップS34で生成した分析結果を含む画面を表示部13に表示させる。この場合、表示部13に表示される画面は、
図15に示した画面410と同様である。
【0190】
他方、判定不能細胞数または判定不能細胞率が所定値より大きい場合、処理部11は、ステップS34で行われた分析は不適正であったと判定し、処理をステップS41に進める。処理部11は、ステップS41においてホストコンピュータ30から被検者情報を取得し、ステップS38において被検者情報に基づく分析を行う。そして、ステップS39において、処理部11は、ステップS38で生成した分析結果を含む画面を表示部13に表示させる。この場合、表示部13に表示される画面は、
図20に示した画面440と同様である。
【0191】
実施形態5によれば、1回目の分析の後、1回目の分析が適正であれば、1回目の分析結果が表示される。他方、1回目の分析が不適正であれば、2回目の分析が行われ、2回目の分析結果が表示される。これにより、迅速かつ適正な分析結果を表示させることができる。
【0192】
<他の実施形態>
上記実施形態では、処理部11は、被検者情報として、被検者の過去の検査結果、被検者が罹患している疾患名、または異性間の骨髄移植の有無を取得したが、処理部11が取得する被検者情報はこれに限らない。被検者情報は、たとえば、被検者の過去の検査結果がGバンド分染法に基づく検査の結果であるか否かを示す情報、被検者の過去の検査結果がFISH法に基づく検査の結果であるか否かを示す情報、検査の目的、検査履歴の有無、先天性異常の有無などであってもよい。検査の目的は、初回時検査、寛解時検査、再発時検査、治療時検査などを含む。
【符号の説明】
【0193】
10 画像分析装置
11 処理部
12 記憶部
13 表示部
16 通信部
21 試料
30 ホストコンピュータ
110 フローセル
121、122 光源
154 撮像部
310、320、330、340、350 被検者情報受付画面
430、450 画面
451 被検者情報変更領域