(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】下地層付きフィルム、透明導電性フィルム、透明導電性フィルム積層体および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
B32B 7/023 20190101AFI20220407BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20220407BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20220407BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220407BHJP
H01B 5/14 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
B32B7/023
B32B7/022
G02B1/14
G02B5/30
H01B5/14 A
(21)【出願番号】P 2018115957
(22)【出願日】2018-06-19
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】河野 文彦
(72)【発明者】
【氏名】竹下 翔也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 豪彦
【審査官】吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073158(JP,A)
【文献】特開2018-073157(JP,A)
【文献】特開2017-044788(JP,A)
【文献】特開2018-078090(JP,A)
【文献】特開2015-115171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 7/022 - 7/023
G06F 3/041
G02B 1/10 - 1/18
G02B 5/30
H01B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、
前記透明基材の厚み方向一方側に配置される下地層と
、を備える下地層付きフィルムであって、
前記透明基材が、シクロオレフィン系フィルムであり、20μm以上150μm以下の厚みを有し、
前記下地層が、ハードコート層と、前記ハードコート層の厚み方向一方側に配置された光学調整層とを備え、0.5μm以上2.0μm以下の厚みを有し、
前記ハードコート層が、多官能アクリロイルユニットを有する活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する組成物から形成された硬化樹脂層であり、
前記光学調整層が、多官能アクリロイルユニットを有する活性エネルギー線硬化性樹脂と粒子とを含有する組成物から形成された硬化樹脂層であり、
波長590nmにおける面内位相差が、10.0nm以下であり、
前記下地層の前記厚み方向一方側から200nm深さにおける塑性変形量が、50nm以下であることを特徴とする、下地層付きフィルム。
【請求項2】
請求項
1に記載の下地層付きフィルムと、
前記下地層付きフィルムの厚み方向一方側に配置される透明導電層と
を備えることを特徴とする、透明導電性フィルム。
【請求項3】
150℃、90分で加熱した際における熱収縮率が、0.10%以下であることを特徴とする、請求項
2に記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
130℃、90分で加熱した際における厚み方向位相差が、8.0nm以下であることを特徴とする、請求項
2または3に記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
偏光子と、
請求項
2~4のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムと
を備えることを特徴とする、透明導電性フィルム積層体。
【請求項6】
画像表示素子と、
請求項
5に記載の透明導電性フィルム積層体と
を備え、
前記透明導電性フィルムが、前記偏光子と前記画像表示素子との間に配置されることを特徴とする、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下地層付きフィルム、透明導電性フィルム、透明導電性フィルム積層体および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インジウムスズ複合酸化物からなる透明導電層を所望の電極パターンとなるように透明基材の上に形成した透明導電性フィルムが、タッチパネルなどの光学用途に用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、透明樹脂フィルムと、ハードコート層と、光学調整層と、透明導電層とを順に備える透明導電性フィルムが開示されている。このような特許文献1の透明導電性フィルムにおいて、ハードコート層は、透明導電性フィルムに耐擦傷性を付与するために設けられ、光学調整層は、電極パターンが視認されないようにするために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、電極パターン(パターン部)を通過する光量と、電極パターン以外の部分(非パターン部)を通過する光量との差を低減(半減)できて、電極パターンの視認を抑制しやすい観点から、透明導電性フィルムを偏光フィルムよりも液晶セル側(視認側とは反対側)に配置するインナーセル型の画像表示装置が検討されている。
【0006】
このような画像表示装置では、偏光フィルムを通過した偏光が、透明導電性フィルムを通過するため、透明導電性フィルムには、偏光の解消を抑制する観点から、面内位相差が低い特性が必要とされる。そのため、透明基材として、シクロオレフィン系フィルムなどの位相差が低いフィルムが用いられている。
【0007】
しかしながら、透明基材に透明導電層を形成して透明導電性フィルムを製造すると、透明導電性フィルムの厚み方向位相差が大幅に上昇する不具合が生じる。その結果、斜め方向からの色変化が生じる。
【0008】
本発明は、偏光の解消を抑制しつつ、斜め方向からの色変化を抑制することができる下地層付きフィルム、透明導電性フィルム、透明導電性フィルム積層体および画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、透明基材と、前記透明基材の厚み方向一方側に配置される下地層と
を備え、波長590nmにおける面内位相差が、10.0nm以下であり、前記下地層の前記厚み方向一方側から200nm深さにおける塑性変形量が、50nm以下である、下地層付きフィルムを含む。
【0010】
本発明[2]は、前記下地層が、ハードコート層と、前記ハードコート層の厚み方向一方側に配置される光学調整層とを備える、[1]に記載の下地層付きフィルムを含む。
【0011】
本発明[3]は、前記下地層の厚みが、0.5μm以上、2.0μm以下である、[1]または[2]に記載の下地層付きフィルムを含む。
【0012】
本発明[4]は、[1]~[3]のいずれか一項に記載の下地層付きフィルムと、前記下地層付きフィルムの厚み方向一方側に配置される透明導電層とを備える、透明導電性フィルムを含む。
【0013】
本発明[5]は、150℃、90分で加熱した際における熱収縮率が、0.10%以下である、[4]に記載の透明導電性フィルムを含む。
【0014】
本発明[6]は、130℃、90分で加熱した際における厚み方向位相差が、8.0nm以下である、[4]または[5]に記載の透明導電性フィルムを含む。
【0015】
本発明[7]は、偏光子と、[4]~[6]のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムとを備える、透明導電性フィルム積層体を含む。
【0016】
本発明[8]は、画像表示素子と、[7]に記載の透明導電性フィルム積層体とを備え、前記透明導電性フィルムが、前記偏光子と前記画像表示素子との間に配置される、画像表示装置を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の下地層付きフィルムによれば、透明基材と下地層とを備え、波長590nmにおける面内位相差が、10.0nm以下であり、下地層の前記厚み方向一方側から200nm深さにおける塑性変形量が、50nm以下である。そのため、本発明の下地層付きフィルムに透明導電層を形成して、本発明の透明導電性フィルムおよび透明導電性フィルム積層体を製造すると、これらを通過する偏光の解消を抑制することができる。また、斜め方向からの光の色変化を抑制することができる。
【0018】
また、本発明の画像表示装置は、本発明の透明導電性フィルムおよび透明導電性フィルム積層体を備えるため、斜め方向においても所望の色を発する画像を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の下地層付きフィルムの一実施形態の断面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示す下地層付きフィルムを備える透明導電性フィルムの断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図2に示す透明導電性フィルムを備える透明導電性フィルム積層体の断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図3に示す透明導電性フィルム積層体を備える画像表示装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<一実施形態>
図1~
図4を参照して、本発明の下地層付きフィルム、透明導電性フィルム、透明導電性フィルム積層体および画像表示装置のそれぞれの一実施形態を説明する。
【0021】
図1において、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向、第1方向)であって、紙面上側が、上側(厚み方向一方側、第1方向一方側)、紙面下側が、下側(厚み方向他方側、第1方向他方側)である。また、紙面左右方向および奥行き方向は、上下方向に直交する面方向である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0022】
1.下地層付きフィルム
図1に示すように、下地層付きフィルム1は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)を有し、面方向に延び、平坦な上面および平坦な下面を有する。
【0023】
下地層付きフィルム1は、透明基材2と、下地層3とを備える。すなわち、下地層付きフィルム1は、透明基材2と、その上面に配置される下地層3とを備える。好ましくは、下地層付きフィルム1は、透明基材2と下地層3とからなる。
【0024】
(透明基材)
透明基材2は、下地層付きフィルム1(ひいては、透明導電性フィルム6)の機械強度を確保するための透明な基材である。すなわち、透明基材2は、下地層3を支持し、また、後述する透明導電性フィルム6においては、後述する透明導電層7を、下地層3とともに支持する。
【0025】
透明基材2は、下地層付きフィルム1の最下層であって、フィルム形状を有する。透明基材2は、下地層3の下面全面に、下地層3の下面と接触するように配置されている。
【0026】
透明基材2は、透明性を有し、面内位相差および厚み方向位相差が低い材料から形成されている。
【0027】
このような透明基材2の材料としては、例えば、シクロオレフィン系樹脂が挙げられる。すなわち、透明基材2は、好ましくは、シクロオレフィン系フィルムである。
【0028】
シクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィンモノマーを重合して得られ、主鎖の繰り返し単位中に脂環構造を有する高分子である。シクロオレフィン系樹脂は、好ましくは、非晶質シクロオレフィン系樹脂である。
【0029】
シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、シクロオレフィンモノマーからなるシクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンモノマーと、エチレンなどのオレフィンなどとの共重合体からなるシクロオレフィンコポリマーなどが挙げられる。
【0030】
シクロオレフィンモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエンなどの多環式オレフィン、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シシクロオクタジエン、シクロオクタトリエンなどの単環式オレフィンなどが挙げられる。好ましくは、多環式オレフィンが挙げられる。これらシクロオレフィンは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0031】
透明基材2の全光線透過率(JIS K 7375-2008)は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。
【0032】
透明基材2の厚みは、機械的強度、透明導電性フィルム6をタッチパネル用フィルムとした際の打点特性などの観点から、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、150μm以下である。透明基材2の厚みは、例えば、マイクロゲージ式厚み計を用いて測定することができる。
【0033】
(下地層)
下地層3は、透明基材2、ひいては、後述する透明導電性フィルム6に、所望の機能(例えば、耐擦傷性、パターン視認抑制性)を付与するための層である。
【0034】
下地層3は、ハードコート層4と、光学調整層5とを備える。すなわち、下地層3は、ハードコート層4と、その上面に配置される光学調整層5とを備える。好ましくは、下地層3は、ハードコート層4と光学調整層5とからなる。
【0035】
ハードコート層4は、透明基材2が破損することを抑制するための層である。また、下地層付きフィルム1に透明導電層7を配置した際に、透明導電層7に傷が発生することを抑制するための層でもある。
【0036】
ハードコート層4は、フィルム形状を有する。ハードコート層4は、透明基材2の上面全面に、透明基材2の上面に接触するように、配置されている。より具体的には、ハードコート層4は、透明基材2と光学調整層5との間に、透明基材2の上面および光学調整層5の下面に接触するように、配置されている。
【0037】
ハードコート層4は、硬化樹脂層であって、ハードコート組成物から形成されている。ハードコート組成物は、樹脂を含有し、好ましくは、樹脂からなる。
【0038】
樹脂としては、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)などが挙げられ、好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。
【0039】
硬化性樹脂としては、例えば、活性エネルギー線(具体的には、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂、例えば、加熱により硬化する熱硬化性樹脂などが挙げられ、好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
【0040】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、分子中に重合性炭素-炭素二重結合を有する官能基を有するポリマーが挙げられる。そのような官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基(メタクリロイル基および/またはアクリロイル基)などが挙げられる。
【0041】
特に、活性エネルギー線硬化性樹脂は、塑性変形量を低くできる観点から、好ましくは、多官能アクリロイルユニットを有する。多官能アクリロイルユニットとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート由来ユニットなどのペンタエリスリトールポリアクリレート由来ユニット、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート由来ユニットなどのジペンタエリスリトールポリアクリレート由来ユニットが挙げられ、好ましくは、ジペンタエリスリトールポリアクリレート由来ユニットが挙げられる。
【0042】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂が挙げられる。好ましくは、靱性および塑性変形量の観点から、ウレタンアクリレートが挙げられる。より好ましくは、多官能アクリロイルユニットがポリイソシアネートによって変性されているウレタンアクリレートが挙げられる。
【0043】
ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシナネートなどの脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。
【0044】
また、活性エネルギー線硬化性樹脂以外の硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー、有機シラン縮合物などが挙げられる。
【0045】
これら樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0046】
ハードコート組成物は、必要に応じて、粒子を含有することもできる。粒子としては、例えば、光学調整層5で例示する粒子が挙げられる。
【0047】
ハードコート組成物には、さらに、重合開始剤、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を含有することができる。
【0048】
ハードコート層4の厚みは、耐擦傷性の観点から、例えば、0.2μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、2.0μm以下である。ハードコート層4の厚みは、例えば、瞬間マルチ測光システムを用いて観測される干渉スペクトルの波長に基づいて算出することができる。
【0049】
光学調整層5は、透明導電性フィルム6において、透明導電層7のパターンの視認を抑制しつつ、透明性を確保するために、下地層付きフィルム1(ひいては、透明導電性フィルム6)の光学物性(例えば、屈折率)を調整する層である。
【0050】
光学調整層5は、下地層付きフィルム1の最上層であって、フィルム形状を有する。光学調整層5は、ハードコート層4の上面全面に、ハードコート層4の上面に接触するように、配置されている。
【0051】
光学調整層5は、光学調整組成物から形成されている。光学調整組成物は、樹脂および粒子を含有し、好ましくは、樹脂および粒子からなる。
【0052】
樹脂としては、例えば、ハードコート組成物で用いる樹脂と同一のものが挙げられる。樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、硬化性樹脂、より好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
【0053】
樹脂の含有割合は、光学調整組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下、より好ましくは、45質量%以下である。
【0054】
粒子としては、光学調整層5の求める屈折率に応じて好適な材料を選択することができ、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどからなる金属酸化物粒子、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル樹脂粒子などが挙げられる。粒子は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0055】
粒子としては、好ましくは、無機粒子、より好ましくは、金属酸化物粒子、さらに好ましくは、酸化ジルコニウム粒子(ZnO2)が挙げられる。
【0056】
粒子の平均粒子径(D50)は、例えば、10nm以上、好ましくは、30nm以上であり、また、例えば、100nm以下、好ましくは、50nm以下である。
【0057】
粒子の平均粒子径は、体積基準による粒度分布の平均粒子径(D50)を示し、例えば、粒子を水中に分散させた溶液を、光回折・散乱法により測定することができる。
【0058】
粒子の含有割合は、光学調整組成物に対して、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、好ましくは、55質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。粒子の含有量が上記下限以上であれば、下地層3の塑性変形量をより確実に低くすることができる。
【0059】
光学調整組成物には、さらに、重合開始剤、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を含有することができる。
【0060】
光学調整層5の屈折率は、例えば、1.50以上、好ましくは、1.60以上であり、また、例えば、1.80以下、好ましくは、1.75以下である。屈折率は、例えば、アッベ屈折率計により測定することができる。
【0061】
光学調整層5の厚みは、例えば、30nm以上、好ましくは、50nm以上であり、また、例えば、150nm以下、好ましくは、120nm以下である。光学調整層の厚みは、例えば、瞬間マルチ測光システムを用いて観測される干渉スペクトルの波長に基づいて算出することができる。
【0062】
光学調整層5の厚みに対する、ハードコート層4の厚みの比(ハードコート層/光学調整層)は、例えば、2以上、好ましくは、5以上であり、また、例えば、20以下、好ましくは、15以下である。上記比が上記範囲であれば、耐擦傷性およびパターン視認抑制を良好にしつつ、透明導電性フィルム6の厚み方向位相差の上昇を確実に抑制することができる。
【0063】
下地層3の上面3A(すなわち、光学調整層5の上面)からの塑性変形量は、50nm以下、好ましくは、45nm以下、より好ましくは、40nm以下、さらに好ましくは、38nm以下であり、また、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上である。塑性変形量が上記上限以下であれば、下地層3の上面に透明導電層7を形成する際に、透明基材2、ひいては、透明導電性フィルム6の厚み方向位相差の上昇を抑制することができる。一方、塑性変形量が上記下限以上であれば、可撓性、耐衝撃性などに優れる。
【0064】
塑性変形量は、JIS Z 2255に準拠して、下地層3の上面3Aから深さ200nmの範囲で測定する。詳しい条件は、実施例にて詳述する。
【0065】
下地層3の厚みは、例えば、0.3μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、2.0μm以下である。下地層3の厚みが上記範囲であれば、耐擦傷性およびパターン視認抑制を良好にしつつ、透明導電性フィルム6の厚み方向位相差の上昇を抑制することができる。
【0066】
(下地層付きフィルムの製造方法)
下地層付きフィルム1の製造方法を説明する。下地層付きフィルム1は、透明基材2を用意し、次いで、透明基材2に下地層3を設けることにより製造される。下地層付きフィルム1の製造は、好ましくは、ロールトゥロール方式により実施される。
【0067】
まず、搬送方向(MD方向)に長尺な透明基材2を用意する。
【0068】
好ましくは、面内位相差および厚み方向位相差が低い透明基材2を用意する。
【0069】
用意する透明基材2の面内位相差は、例えば、10.0nm以下、好ましくは、5.0nm以下である。透明基材2の厚み方向位相差は、例えば、30.0nm以下、好ましくは、20.0nm以下である。このような位相差の透明基材2を用いて透明導電性フィルム6を用意することにより、得られる下地層付きフィルム1や透明導電性フィルム6の面内位相差および厚み方向位相差をより一層低くすることができる。
【0070】
必要に応じて、透明基材2とハードコート層4との密着性の観点から、透明基材2の上面に、例えば、スパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を実施することができる。また、溶剤洗浄、超音波洗浄などにより透明基材2を除塵、清浄化することができる。
【0071】
次いで、透明基材2の上面に、下地層3を設ける。すなわち、透明基材2の上面に、ハードコート層4および光学調整層5を順に設ける。
【0072】
まず、透明基材2の上面に、ハードコート層4を設ける。例えば、透明基材2の上面にハードコート組成物を湿式塗工することにより、透明基材2の上面にハードコート層4を形成する。
【0073】
具体的には、例えば、ハードコート組成物を溶媒で希釈した溶液(ワニス)を調製し、続いて、ハードコート組成物溶液を透明基材2の上面に塗布して、乾燥する。
【0074】
溶媒としては、例えば、有機溶媒、水系溶媒(具体的には、水)などが挙げられ、好ましくは、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール化合物、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン化合物、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などのエーテル化合物、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。これら溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0075】
ハードコート組成物溶液における固形分濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
【0076】
塗布方法は、ハードコート組成物溶液および透明基材2に応じて適宜選択することができる。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
【0077】
乾燥温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、70℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、100℃以下である。
【0078】
乾燥時間は、例えば、0.5分以上、好ましくは、1分以上であり、例えば、60分以下、好ましくは、20分以下である。
【0079】
その後、ハードコート組成物組成物が活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する場合は、ハードコート組成物溶液の乾燥後に、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させる。
【0080】
なお、ハードコート組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合は、この乾燥工程により、溶媒の乾燥とともに、熱硬化性樹脂を熱硬化することができる。
【0081】
これにより、透明基材2の上面に、ハードコート層4が形成される。
【0082】
次いで、ハードコート層4の上面に、光学調整層5を設ける。例えば、ハードコート層4の上面に光学調整組成物を湿式塗工することにより、ハードコート層4の上面に光学調整層5を形成する。
【0083】
具体的には、例えば、光学調整組成物を溶媒で希釈した溶液(ワニス)を調製し、続いて、光学調整組成物溶液をハードコート層4の上面に塗布して、乾燥する。
【0084】
塗布および乾燥の条件などは、ハードコート層4の形成時の条件と同様である。
【0085】
その後、光学調整組成物が活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する場合は、光学調整組成物の乾燥後に、活性エネルギー線を照射することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させる。
【0086】
なお、光学調整組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合は、この乾燥工程により、溶媒の乾燥とともに、熱硬化性樹脂を熱硬化することができる。
【0087】
これにより、ハードコート層4の上面に光学調整層5が形成されて、ハードコート層4および光学調整層5から構成される下地層3が形成される。すなわち、透明基材2と、その上面に配置される下地層3とを備える下地層付きフィルムが得られる。具体的には、透明基材2と、透明基材2の上面に配置されるハードコート層4と、ハードコート層4の上面に配置される光学調整層5とを備える下地層付きフィルムが得られる。
【0088】
得られる下地層付きフィルム1の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0089】
下地層付きフィルム1の面内位相差は、10.0nm以下、好ましくは、8.0nm以下、より好ましくは、5.0nm以下である。
【0090】
下地層付きフィルム1の厚み方向位相差は、例えば、10.0nm以下、好ましくは、8.0nm以下、より好ましくは、6.0nm以下である。
【0091】
本発明において、面内位相差および厚み方向位相差は、23℃、波長590nmにおける位相差であって、例えば、偏光・位相差測定システム(アクソメトリックス社製、商品名「アクソスキャン」)を用いて測定することができる。
【0092】
なお、面内位相差R0は、式:R0=(nx-ny)×dによって算出される。厚み位相差Rthは、式:Rth=(nx-nz)×dによって算出される。ここで、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚み(nm)である。
【0093】
(用途)
下地層付きフィルム1は、例えば、透明導電性フィルム6の製造に用いられる。具体的には、下地層付きフィルム1は、透明導電性フィルム6において、透明導電層7を支持するための支持フィルムとして用いられる。下地層付きフィルム1は、例えば、後述する透明導電性フィルム6、透明導電性フィルム積層体8、画像表示装置11などを作製するための一部品である。すなわち、下地層付きフィルム1は後述する透明導電層7、偏光子10および画像表示素子14(液晶セルなど)を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
【0094】
そして、下地層付きフィルム1を用いて、透明導電性フィルム6を製造すれば、透明導電性フィルム6の斜め方向からの色変化を抑制することができる。具体的には、下地層付きフィルム1は、下地層3の塑性変形量が50nm以下である。すなわち、下地層3が塑性変形しにくい。そのため、下地層3の上面に透明導電層7を設けた際に、下地層付きフィルム(特に、透明基材2)において、熱収縮などの変形を抑制することができる。したがって、下地層付きフィルム(特に、透明基材2)の位相差(特に、厚み方向位相差)の大幅な上昇を抑制することができる。その結果、得られる透明導電性フィルム6の厚み方向位相差の大幅な上昇を抑制することができ、斜め方向からの光の色変化を抑制することができる。
【0095】
また、下地層付きフィルム1は、面内位相差が10.0nm以下である。したがって、得られる透明導電性フィルム6の面内位相差も低くなり、透明導電性フィルム6を透過する偏光に対して、偏光解消を抑制することができる。
【0096】
2.透明導電性フィルム
図2に示すように、透明導電性フィルム6は、所定の厚みを有するフィルム形状を有し、面方向に延び、平坦な上面および平坦な下面を有する。
【0097】
透明導電性フィルム6は、下地層付きフィルム1と、その上面に配置される透明導電層7とを備える。すなわち、透明導電性フィルム6は、透明基材2と、透明基材2の上面に配置されるハードコート層4と、ハードコート層4の上面に配置される光学調整層5と、光学調整層5の上面に配置される透明導電層7とを備える。好ましくは、透明導電性フィルム6は、透明基材2とハードコート層4と光学調整層5と透明導電層7とからなる。
【0098】
(透明導電層)
透明導電層7は、必要に応じて結晶化し、後工程で所望のパターンに形成するための導電層である。
【0099】
透明導電層7は、透明導電性フィルム6の最上層であって、フィルム形状を有する。透明導電層7は、下地層3の上面全面に、下地層3の上面(すなわち、光学調整層5の上面)に接触するように、配置されている。
【0100】
透明導電層7の材料としては、例えば、In、Sn、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、Wからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属酸化物が挙げられる。金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子をドープしていてもよい。
【0101】
透明導電層7としては、具体的には、例えば、インジウムスズ複合酸化物(ITO)などのインジウム含有酸化物、例えば、アンチモンスズ複合酸化物(ATO)などのアンチモン含有酸化物などが挙げられ、好ましくは、インジウム含有酸化物が挙げられ、より好ましくは、ITOが挙げられる。
【0102】
透明導電層7がITO層などのインジウムスズ複合酸化物層である場合、酸化スズ(SnO2)含有割合は、酸化スズおよび酸化インジウム(In2O3)の合計量に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、30質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。酸化スズの含有割合が上記下限以上であれば、透明導電層7の耐久性をより一層良好にすることができる。また、酸化スズの含有割合が上記上限以下であれば、透明導電層7の結晶転化を容易にし、透明性や表面抵抗の安定性を向上させることができる。
【0103】
本明細書中における「ITO」とは、少なくともインジウム(In)とスズ(Sn)とを含む複合酸化物であればよく、これら以外の追加成分を含んでもよい。追加成分としては、例えば、In、Sn以外の金属元素が挙げられ、具体的には、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、W、Fe、Pb、Ni、Nb、Cr、Gaなどが挙げられる。
【0104】
透明導電層7の表面抵抗は、例えば、500Ω/□以下、好ましくは、300Ω/□以下であり、また、例えば、10Ω/□以上である。表面抵抗は、例えば、4端子法により測定することができる。
【0105】
透明導電層7の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、50nm以下、好ましくは、40nm以下である。透明導電層7の厚みは、例えば、瞬間マルチ測光システムを用いて測定することができる。
【0106】
透明導電層7は、非晶質または結晶質のいずれであってもよい。
【0107】
透明導電層7が非結晶質か結晶質かは、例えば、透明導電層がITO層である場合は、20℃の塩酸(濃度5質量%)に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm程度の間の端子間抵抗を測定することで判断できる。本明細書においては、塩酸(20℃、濃度:5質量%)への浸漬・水洗・乾燥後に、15mm間の端子間抵抗が10kΩを超過する場合、ITO層が非晶質とし、15mm間の端子間抵抗が10kΩ以下である場合、ITO層が結晶質とする。
【0108】
(透明導電性フィルムの製造方法)
透明導電性フィルム6の製造方法を説明する。透明導電性フィルム6は、下地層付きフィルム1を用意し、次いで、下地層付きフィルム1の上面に透明導電層7を設けることにより、製造される。透明導電性フィルム6の製造は、好ましくは、ロールトゥロール方式により実施される。
【0109】
透明導電層7は、例えば、乾式方法により、下地層3の上面(光学調整層5の上面)に形成される。
【0110】
乾式方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。好ましくは、スパッタリング法が挙げられる。この方法により、薄膜であり、かつ、厚みが均一である透明導電層を形成することができる。
【0111】
スパッタリング法は、真空チャンバー内にターゲットおよび被着体(下地層付きフィルム1)を対向配置し、ガスを供給するとともに電源から電圧を印加することによりガスイオンを加速しターゲットに照射させて、ターゲット表面からターゲット材料をはじき出して、そのターゲット材料を被着体表面に積層させる。
【0112】
スパッタリング法を採用する場合、ターゲット材としては、透明導電層7を構成する上述の無機物が挙げられ、好ましくは、ITOが挙げられる。ITOの酸化スズ濃度は、ITO層の耐久性、結晶化などの観点から、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、30質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
【0113】
スパッタガスとしては、例えば、Arなどの不活性ガスが挙げられる。また、必要に応じて、酸素ガスなどの反応性ガスを併用することができる。反応性ガスを併用する場合において、反応性ガスの流量比は特に限定しないが、スパッタガスおよび反応性ガスの合計流量比に対して、例えば、0.1流量%以上5流量%以下である。
【0114】
スパッタリング法は、真空下で実施される。具体的には、スパッタリング時の気圧は、スパッタリングレートの低下抑制、放電安定性などの観点から、例えば、1Pa以下、好ましくは、0.7Pa以下である。
【0115】
スパッタリング法に用いる電源は、例えば、DC電源、AC電源、MF電源およびRF電源のいずれであってもよく、また、これらの組み合わせであってもよい。
【0116】
また、所望厚みの透明導電層7を形成するために、ターゲット材やスパッタリングの条件などを適宜設定して複数回スパッタリングを実施してもよい。
【0117】
これにより、下地層3の上面に透明導電層7が形成される。すなわち、透明基材2、下地層3(ハードコート層4および光学調整層5)、および、透明導電層7を順に備える透明導電性フィルム6が得られる。なお、このとき、透明導電層7は、結晶化されていない非晶質透明導電層7aである。すなわち、透明導電性フィルム6は、非晶質透明導電層7aを備える非晶質透明導電性フィルム6aである。
【0118】
透明導電性フィルム6の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0119】
非晶質透明導電性フィルム6aの面内方向位相差は、例えば、10.0nm以下、好ましくは、8.0nm以下、より好ましくは、5.0nm以下である。上記面内位相差が上記上限以下であれば、偏光解消を抑制することができる。
【0120】
非晶質透明導電性フィルム6aの厚み方向位相差は、例えば、15.0nm以下、好ましくは、13.0nm以下、より好ましくは、10.0nm以下である。上記厚み方向位相差が上記上限以下であれば、斜め方向からの色変化を抑制することができる。
【0121】
非晶質透明導電性フィルム6aは、150℃、90分で加熱した際における熱収縮率が、例えば、0.10%以下、好ましくは、0.08%以下、より好ましくは、0.06%以下である。
【0122】
すなわち、非晶質透明導電性フィルム6aを、第1方向(例えば、搬送方向:MD方向)および第2方向(例えば、搬送方向と直交する幅方向:TD方向)に延びる平面視矩形状に切断して、サンプルを作製する。そのサンプルを150℃、90分で加熱した際に、第1方向長さおよび第2方向長さの熱収縮率がいずれも、上記値の範囲となる。なお、熱収縮率(%)は、[{(加熱前の長さ)-(加熱後の長さ)}/(加熱前の長さ)×100]によって算出することができる。フィルムの長さは、23℃の環境下において測定される。
【0123】
次いで、必要に応じて、透明導電性フィルム6の透明導電層7に対して、結晶転化処理を実施する。結晶転化処理により、透明導電層7の導電性を向上させるとともに、透明導電性フィルム6の厚み方向位相差を低減させることができる。
【0124】
具体的には、透明導電性フィルム6に大気下で加熱処理を実施する。
【0125】
加熱処理は、例えば、赤外線ヒーター、オーブンなどを用いて実施することができる。
【0126】
加熱温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、160℃以下である。
【0127】
加熱時間は、加熱温度に応じて適宜決定されるが、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上であり、また、例えば、5時間以下、好ましくは、3時間以下である。
【0128】
これにより、非晶質透明導電層7aは、結晶化透明導電層7bとなり、結晶化透明導電性フィルム6bが得られる。すなわち、このときの透明導電性フィルム6は、結晶化透明導電層7bを備える結晶化透明導電性フィルム6bである。
【0129】
結晶化透明導電性フィルム6bの面内方向位相差(特に、非晶質透明導電性フィルム6aを130℃、90分で加熱した際における面相方向位相差)は、例えば、10.0nm以下、好ましくは、8.0nm以下、より好ましくは、5.0nm以下である。上記面内位相差が上記上限以下であれば、偏光解消を抑制することができる。
【0130】
結晶化透明導電性フィルム6bの厚み方向位相差(特に、非晶質透明導電性フィルム6aを130℃、90分で加熱した際における厚み方向位相差)は、例えば、10.0nm以下、好ましくは、8.0nm以下、より好ましくは、5.0nm以下、さらに好ましくは、3.0nm以下である。上記厚み方向位相差が上記上限以下であれば、斜め方向からの色変化を抑制することができる。
【0131】
(用途)
透明導電性フィルム6は、例えば、画像表示装置11(後述)などの光学装置に備えられるタッチパネル用基材として用いられる。タッチパネルの形式としては、例えば、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などの各種方式が挙げられ、特に静電容量方式のタッチパネルに好適に用いられる。
【0132】
透明導電性フィルム6は、透明導電性フィルム積層体8、画像表示装置11などを作製するための一部品である。すなわち、透明導電性フィルム6は、偏光子10および画像表示素子14(液晶セルなど)を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
【0133】
そして、透明導電性フィルム6では、面内位相差が10.0nm以下である下地層付きフィルム1を備えるため、面内位相差の値が小さい。そのため、透明導電性フィルム6を透過する偏光に対して、偏光解消を抑制することができる。
【0134】
また、透明導電性フィルム6は、200nm深さにおける塑性変形量が50nm以下である下地層付きフィルム1を備えるため、透明導電性フィルム6の厚み方向位相差の値を小さくすることができる。そのため、透明導電性フィルム6を透過する偏光に対して、色変化を抑制することができる。
【0135】
3.透明導電性フィルム積層体
図3に示すように、透明導電性フィルム積層体8は、所定の厚みを有するフィルム形状を有し、面方向に延び、平坦な上面および平坦な下面を有する。
【0136】
透明導電性フィルム積層体8は、透明導電性フィルム6と、その上面に配置される第1粘着剤層9および偏光子10とを備える。すなわち、透明導電性フィルム積層体8は、透明基材2と、透明基材2の上面に配置されるハードコート層4と、ハードコート層4の上面に配置される光学調整層5と、光学調整層5の上面に配置される透明導電層7と、透明導電層7の上面に配置される第1粘着剤層9と、第1粘着剤層9の上面に配置される偏光子10とを備える。好ましくは、透明導電性フィルム積層体8は、透明基材2と、ハードコート層4と、光学調整層5と、透明導電層7と、第1粘着剤層9と、偏光子10とからなる。
【0137】
透明導電性フィルム積層体8において、透明導電層7は、好ましくは、結晶化透明導電層7bである。また、透明導電層7は、好ましくは、パターニングされており、パターン部15と非パターン部16とを備える。
【0138】
パターニングは、透明導電性フィルム6の結晶転化の前または後に、例えば、公知のエッチングにより実施する。
【0139】
透明導電層7のパターンは、透明導電性フィルム6が適用される用途に応じて適宜決定されるが、例えば、ストライプ状などの電極パターンや配線パターンが挙げられる。
【0140】
エッチングは、例えば、パターン部15および非パターン部16に対応するように、被覆部(マスキングテープなど)を透明導電層7の上に配置し、被覆部から露出する透明導電層7(非パターン部16)を、エッチング液を用いてエッチングする。エッチング液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蓚酸、リン酸およびこれらの混酸などの酸が挙げられる。その後、被覆部を、透明導電層7の上面から、例えば、剥離などによって、除去する。
【0141】
これにより、
図3に示すように、透明導電層7がパターニングされ、透明導電層7は、パターン部15と非パターン部16とを備える。
【0142】
(第1粘着剤層)
第1粘着剤層9は、透明導電性フィルム6と偏光子10とを接着するための層である。
【0143】
第1粘着剤層9は、フィルム形状を有する。第1粘着剤層9は、透明導電層7(パターン部15)の上面および側面とそれから露出する下地層3(非パターン部16)の上面全面とに、それらと接触するように、配置されている。また、第1粘着剤層9は、偏光子10の下面全面に、偏光子10の下面に接触するように配置されている。
【0144】
第1粘着剤層9の材料としては、例えば、アクリル系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素樹脂系粘着剤などが挙げられる。
【0145】
第1粘着剤層9の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0146】
(偏光子)
偏光子10は、光を直線偏光に変換するための層である。
【0147】
偏光子10は、透明導電性フィルム積層体8の最上層であって、フィルム形状を有する。偏光子10は、第1粘着剤層9の上面全面に、第1粘着剤層9の上面に接触するように、配置されている。
【0148】
偏光子10としては、例えば、ヨウ素を含有するポリビニルアルコール系フィルムが挙げられる。
【0149】
ポリビニルアルコール系フィルムの材料としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびその誘導体が挙げられる。誘導体としては、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールが挙げられる。また、誘導体として、例えば、ポリビニルアルコールをオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸など)、アクリルアミドなどで変性した変性体も挙げられる。
【0150】
偏光子10は、ビニルアルコールまたはその誘導体からなるフィルムに、ヨウ素を添加し、次いで、延伸することにより得られる。
【0151】
このような偏光子は、例えば、特開昭51-069644号公報、特開2000-338329号公報、国際公開2010/100917号パンフレット、特許第4691205号明細書、特許第4751481号明細書などに記載されている。
【0152】
偏光子10は、ポリビニルアルコール系フィルムの上面および下面のそれぞれに保護フィルムを備えていてもよい。すなわち、偏光子10は、ポリビニルアルコール系フィルムとその両面に配置される保護フィルムとを備える積層体であってもよい。保護フィルムの材料としては、例えば、上記した透明基材2の材料が挙げられる。
【0153】
偏光子10の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0154】
透明導電性フィルム積層体8は、例えば、透明導電性フィルム6の上面に、液状の粘着剤を塗布または粘着剤テープを配置して第1粘着剤層9を形成し、続いて、偏光子10を第1粘着剤層9の上面に配置することにより製造することができる。
【0155】
(用途)
透明導電性フィルム積層体8は、例えば、画像表示装置11などの光学装置に備えられるタッチパネル用基材として用いられる。
【0156】
透明導電性フィルム積層体8は、画像表示装置11などを作製するための一部品である。すなわち、透明導電性フィルム積層体8は、画像表示素子14を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
【0157】
そして、透明導電性フィルム積層体8は、透明導電性フィルム6を備えるため、偏光解消を抑制しつつ、斜め方向からの光の色変化を抑制することができる。
【0158】
4.画像表示装置
図4に示すように、画像表示装置11は、透明導電性フィルム積層体8と、その上面に配置される第2粘着剤層12および透明保護板13と、その下面に対向配置される画像表示素子14とを備える。すなわち、画像表示装置11は、画像表示素子14と、透明基材2と、ハードコート層4と、光学調整層5と、透明導電層7と、第1粘着剤層9と、偏光子10と、第2粘着剤層12と、透明保護板13とを厚み方向にこの順に備える。なお、
図4において、上側が視認側であり、下側が画像表示素子側である。
【0159】
(第2接着剤層)
第2粘着剤層12は、透明導電性フィルム積層体8と透明保護板13とを接着するための層である。
【0160】
第2粘着剤層12は、フィルム形状を有する。第2粘着剤層12は、偏光子10の上面全面および透明保護板13の下面全面に、偏光子10の上面および透明保護板13の下面に接触するように、配置されている。
【0161】
第2粘着剤層12の材料は、第1粘着剤層9で上記したものと同様のものが挙げられる。
【0162】
第2粘着剤層12の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0163】
(透明保護板)
透明保護板13は、外部からの衝撃や汚れに対して、画像表示素子14などの画像表示装置内部部材を保護するための層である。
【0164】
透明保護板13は、平面視略平板形状を有し、第2粘着剤層12の上面全面に、第2粘着剤層12の上面に接触するように、配置されている。
【0165】
透明保護板13は、透明性を備え、適度の厚みおよび機械的強度を有する。
【0166】
透明保護板13としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの硬質性樹脂からなる樹脂板、例えば、ガラス板などが挙げられる。
【0167】
透明保護板13の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、500μm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0168】
(画像表示素子)
画像表示素子14は、下地層付きフィルム1と間隔を隔てて対向配置されている。
【0169】
画像表示素子14としては、例えば、液晶セルが挙げられる。液晶セルは、図示しないが、液晶層と、液晶層の下側に配置される偏光子と、カラーフィルターとを備えている。
【0170】
画像表示装置11は、透明導電性フィルム6を備えるため、偏光子10と画像表示素子14との間の偏光解消が抑制されるとともに、斜め方向からの色変化が抑制されている。そのため、タッチパネル機能を備えつつ、斜め方向においても所望の色を発する画像を視認することができる。
【0171】
<変形例>
上記した一実施形態では、下地層3は、ハードコート層4および光学調整層5を備えているが、例えば、図示しないが、下地層3は、ハードコート層4のみを備えていてもよく、また、光学調整層5のみを備えていてもよい。
【0172】
好ましくは、下地層3は、ハードコート層4および光学調整層5の両方を備える。これにより、擦傷性およびパターン視認抑制機能の両立を図りつつ、透明導電性フィルム6の厚み方向位相差を小さくすることができる。
【0173】
また、図示しないが、上記した一実施形態は、透明基材2の下面に、ハードコート層4などの機能層をさらに備えることもできる。
【実施例】
【0174】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0175】
(下地層付きフィルム)
実施例1
搬送方向(MD方向)に長尺な透明基材として、シクロオレフィン系フィルム(COPフィルム:厚み40μm、日本ゼオン社製、「ZEONOR ZF-16」、面内位相差R0:4nm、厚み方向位相差Rth:15nm)を用意した。ロールトゥロール方式により、下記のように下地層付きフィルムを製造した。
【0176】
紫外線硬化型アクリル樹脂(アイカ工業社製、「Z-850-6L」)100質量部、および、有機溶媒(酢酸エチル50質量%とPGME50質量%との混合液)160質量部を混合して、ハードコート組成物溶液を調製した。ハードコート組成物溶液をCOPフィルムの上面に塗布し、80℃1分間で乾燥させた後、紫外線を照射した。これにより、厚み1.0μmのハードコート層をCOPフィルムの上面に形成した。
【0177】
次いで、ジルコニア粒子含有紫外線硬化型アクリル樹脂(JSR社製、「オプスターZ7412」)、および、PGME700質量部を混合して、光学調整組成物を調製した。光学調整組成物溶液をハードコート層の上面に塗布し、60℃1分間で乾燥させた後、紫外線を照射した。これにより、厚み100nmの光学調整層をハードコート層の上面に形成した。
【0178】
このようにして、COPフィルム、および、下地層(ハードコート層および光学調整層)を順に備える下地層付きフィルムを製造した。
【0179】
実施例2~4
光学調整組成物のジルコニア粒子含有紫外線硬化型アクリル樹脂を、表1に記載のジルコニア粒子含有紫外線硬化型アクリル樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にして、下地層付きフィルムを製造した。
【0180】
比較例1
紫外線硬化型アクリル樹脂(DIC社製、「RC29-120」)100質量部、および、有機溶媒(酢酸エチル)160質量部を混合して、ハードコート組成物溶液を調製した。このハードコート組成物用畏敬を用いた以外は、実施例1と同様にして、下地層付きフィルムを製造した。
【0181】
比較例2~3
光学調整組成物のジルコニア粒子含有紫外線硬化型アクリル樹脂を、表1に記載のジルコニア粒子含有紫外線硬化型アクリル樹脂に変更した以外は、比較例1と同様にして、下地層付きフィルムを製造した。
【0182】
比較例4
紫外線硬化型アクリル樹脂(東洋インキ社製、「TYZ64-A12」)100質量部、および、有機溶媒(酢酸エチル)160質量部を混合して、ハードコート組成物溶液を調製し、このハードコート組成物溶液を用いてハードコート層を形成した。また、光学調整層を形成しなかった。これら以外は、実施例1と同様にして、COPフィルムおよびハードコート層のみを備える下地層付きフィルムを製造した。
【0183】
(透明導電性フィルム)
各実施例および各比較例の下地層付きフィルムにおいて、光学調整層(比較例4は、ハードコート層)の上面に、厚みが30nmである非晶質のITO層(透明導電層)を形成した。具体的には、巻き取り式スパッタリング装置を用いて、アルゴンガス98%および酸素ガス2%を導入した気圧0.4Paの真空雰囲気下で、ITOターゲットをスパッタリングした。ITOターゲットとしては、97質量%の酸化インジウムおよび3質量%の酸化スズの焼結体を用いた。このようにして、透明導電性フィルムを製造した。
【0184】
(屈折率の測定)
各実施例および各比較例の下地層付きフィルムの光学調整層に対して、アッベ屈折率計を用いて、光学調整層の屈折率を測定した。光学調整層の屈折率は、いずれも、1.60~1.68の範囲であった。
【0185】
(塑性変形量の測定)
各実施例および各比較例の下地層付きフィルムの上面(光学調整層側)に対して、JIS Z 2255に準拠して、下記の条件にて、深さ200nmでの塑性変形量を測定した。結果を表1に示す。
【0186】
使用装置:ナノインデンター、Hysitoron社製「Triboindeter」
圧子:Berkobich(三角錐型)
測定モード:単一押し込み
測定温度:室温(23℃)
押し込み深さ:200nm
(面内位相素および厚み方向位相差の測定)
各実施例および各比較例の下地層付きフィルムおよび透明導電性フィルムにおいて、23℃の環境下で、偏光・位相差測定システム(アクソメトリックス社製、商品名「アクソスキャン」)を用いて、波長590nmにおける面内位相差R0および厚み方向位相差Rthを測定した。
【0187】
各実施例および各比較例の透明導電性フィルムを130℃で90分間加熱して、ITO層を結晶化させた。得られた結晶化透明導性フィルムの面内位相差R0および厚み方向位相差Rthを上記と同様の条件で測定した。
【0188】
これらの結果を表1に示す。
【0189】
(熱収縮率の測定)
各実施例および各比較例の透明導電性フィルムをMD方向長さ20cm×TD方向長さ20cmの平面視正方形状に切断し、150℃で90分間加熱した。このときのMD方向およびTD方向の熱収縮率のそれぞれを、式([加熱前の長さ-加熱後の長さ]/加熱前の長さ×100%)に基づいて、測定した。結果を表1に示す。
【0190】
(斜め方向の色変化)
各実施例および各比較例の透明導電性フィルムを130℃で90分間加熱して、ITO層を結晶化させた。得られた結晶化透明導電性フィルムを、正面と上方斜め45度とから目視により観察した。
【0191】
色味の変化が観察されなかった場合を◎と評価した。色味にごくわずかに変化が観察されたが、実用上問題が無い場合を〇と評価した。色味の変化が大きく観察された場合を×と評価した。結果を表1に示す。
【0192】
【0193】
表に記載の商品の詳細を下記に示す。
「Z-850-6L」:アイカ工業社製、紫外線硬化型アクリル樹脂(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート由来ユニットがイソホロンジイソシアネートによって変性されているウレタンアクリレート)
「RC29-120」:DIC社製、紫外線硬化型アクリル樹脂(アクリロイル基を有するグリセリン由来ユニットを有するメタクリルポリマー)
「TYZ64-A12」:東洋インキ社製、紫外線硬化型アクリル樹脂(ペンタエリスリトールテトラアクリレート由来ユニットがイソホロンジイソシアネートによって変性されているウレタンアクリレート)
「Z7414」:JSR社製、ジルコニア粒子(平均粒子径40nm)65質量%および紫外線硬化型アクリル樹脂を含有
「Z7412」:JSR社製、ジルコニア粒子(平均粒子径40nm)48質量%および紫外線硬化型アクリル樹脂を含有
「RA023」:荒川化学工業社製、ジルコニア粒子(平均粒子径20nm)49質量%および紫外線硬化型アクリル樹脂を含有
「RA021」:荒川化学工業社製、ジルコニア粒子(平均粒子径40nm)48質量%および紫外線硬化型アクリル樹脂を含有
【符号の説明】
【0194】
1 下地層付きフィルム
2 透明基材
3 下地層
4 ハードコート層
5 光学調整層
6 透明導電性フィルム
7 透明導電層
8 透明導電性フィルム積層体
10 偏光子
11 画像表示装置
14 画像表示素子