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  • 特許-組合せ療法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】組合せ療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/52 20060101AFI20220407BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A61K31/52
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2018567253
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 US2017038966
(87)【国際公開番号】W WO2017223422
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】62/354,637
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509101882
【氏名又は名称】インフィニティー ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エル. クトック
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/024231(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/024228(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/160975(WO,A2)
【文献】KERRY WHITE,ABSTRACT 376: COMBINATION OF DUVELISIB WITH EITHER IBRUTINIB OR DEXAMETHASONE PREVENTS 以下備考,CANCER RESEACH[ONLINE],2016年04月,PAGE(S):1-4,http://dx.doi.org/10.1158/1538-7445.AM2016-376,MTOR-DEPENDENT FEEDBACK IN AGGRESSIVE B-CELL LYMPHOMA CELL LINES
【文献】Breast Care,2016年,11,pp.108-115
【文献】DE HENAU OLIVIER,CHECKPOINT BLOCKADE THERAPY IS IMPROVED BY ALTERING THE IMMUNE SUPPRESSIVE MICROENVIRONMENT 以下備考,CANCER RESEARCH[ONLINE],2016年04月,VOL:76, NR:SUPPL. 14, ABSTRACT:554,PAGE(S):1-5,http://dx.doi.org/10.1158/1538-7445.AM2016-554,WITH IPI-549, A POTENT AND SELECTIVE INHIBITOR OF PI3K-GAMMA, IN PRECLINICAL MODELS
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるがんを治療、管理、又は予防するための、PI3K阻害剤を含む医薬組成物であって、該医薬組成物は、該対象に、該PI3K阻害剤が第2の治療薬剤と組み合わせて投与されるよう使用され、
該PI3K阻害剤が、以下の構造を有する化合物1又はその医薬として許容し得る形態であり:
【化1】
該第2の治療薬剤が、チェックポイントモジュレーターであり、
該チェックポイントモジュレーターが、抗PD-1抗体であり、かつ
該がんが、リンパ腫又は白血病である、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、もしくはAMP-224、又はそれらの組合せである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤のみが、治療活性成分である、請求項1~4のいずれか1項記載の医薬組成物であって;
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤が、単一の剤形中にある;又は
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤が、別々の剤形中にある、前記医薬組成物。
【請求項6】
前記PI3K阻害剤及び第2の治療薬剤の組合せが、がんを治療することにおいて相乗的である、請求項1~5のいずれか1項記載の医薬組成物であって;
あるレベルの阻害を達成するのに必要とされる該PI3K阻害剤の濃度が、該PI3K阻害剤が該第2の治療薬剤と組み合わせて投与される場合に、該PI3K阻害剤が単独で投与される場合よりも少なくとも20%低い;
あるレベルの阻害を達成するのに必要とされる該第2の治療薬剤の濃度が、該第2の治療薬剤が該PI3K阻害剤と組み合わせて投与される場合に、該第2の治療薬剤が単独で投与される場合よりも少なくとも20%低い;
治療効果を達成する該PI3K阻害剤の用量が、該PI3K阻害剤が該第2の治療薬剤と組み合わせて投与される場合に、該PI3K阻害剤が単独で投与される場合よりも少なくとも20%低い;
治療効果を達成する該第2の治療薬剤の用量が、該第2の治療薬剤が該PI3K阻害剤と組み合わせて投与される場合に、該第2の治療薬剤が単独で投与される場合よりも少なくとも20%低い;
該PI3K阻害剤及び該第2の治療薬剤の組合せによって提供される抗がん効果が、同じ用量の該PI3K阻害剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも高い;
該PI3K阻害剤及び該第2の治療薬剤の組合せによって提供される抗がん効果が、該PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも5倍高い、もしくは、少なくとも10倍高い;
該PI3K阻害剤及び該第2の治療薬剤の組合せによって提供される抗がん効果が、同じ用量の該第2の治療薬剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも高い;又は
該PI3K阻害剤及び該第2の治療薬剤の組合せによって提供される抗がん効果が、該第2の治療薬剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも5倍高い、もしくは少なくとも10倍高い、
前記医薬組成物。
【請求項7】
前記PI3K阻害剤が、前記第2の治療薬剤と同時に投与される、請求項1~6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記PI3K阻害剤が、前記第2の治療薬剤の後に、又は前に、投与される、請求項1~6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記PI3K阻害剤に対する前記がんの抵抗性が、遅延される、請求項1~8のいずれか1項記載の医薬組成物であって;
該がんが該PI3K阻害剤に対して抵抗性となるリスクが、減少する;
該がんが、少なくとも12ヶ月間該PI3K阻害剤に対して抵抗性とならない;
前記対象における該がんの寛解が、延長される;
該対象が、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、もしくは少なくとも24ヶ月間、該がんの寛解を経験する;
該対象が該がんの完全寛解を経験する可能性が、増加する;
該対象が、該がんの完全寛解を経験する;
微小残存病変(MRD)のレベルが減少する;又は、
該対象が、前記治療後に、検出可能なMRDを実質的に有しない、前記医薬組成物。
【請求項10】
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せが、1未満、0.7未満、もしくは0.5未満である併用指数値によって示されるような相乗的なものであり、該併用指数値が、50%阻害で評価される、もしくは該併用指数値が、50%増殖阻害で評価される;又は、
該PI3K阻害剤及び該第2の治療薬剤の組合せが、阻害又は増殖阻害について3超の、相乗作用スコア値によって示されるような相乗的なものである、請求項1~9のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
対象がPI3K阻害剤を用いる治療に対する抵抗性を生じる可能性を減少させるための医薬組成物であって、該医薬組成物は、PI3K阻害剤を含み、かつ、
(a)前記対象に、該PI3K阻害剤を含む単剤療法を、第1の期間実施すること;
(b)該第1の期間の後に、該PI3K阻害剤を第2の治療薬剤と組み合わせて投与することを含む組合せ療法を、該対象に第2の期間実施すること;及び
(c)任意に、工程(a)及び(b)を1回以上繰り返すこと、
に使用され、
該PI3K阻害剤が、以下の構造を有する化合物1又はその医薬として許容し得る形態であり:
【化2】
該第2の治療薬剤は、チェックポイントモジュレーターであり、
該チェックポイントモジュレーターが、抗PD-1抗体であり、かつ
該がんが、リンパ腫又は白血病である、前記医薬組成物。
【請求項12】
がんを患う対象の抵抗性を遅延又は低下させるための医薬組成物であって、該医薬組成物は、PI3K阻害剤を含み、かつ、
該対象へ、該PI3K阻害剤が第2の治療薬剤と組み合わせて投与されるよう使用され、該第2の治療薬剤が、チェックポイントモジュレーターであり、
該PI3K阻害剤が、以下の構造を有する化合物1又はその医薬として許容し得る形態であり:
【化3】
該チェックポイントモジュレーターが、抗PD-1抗体であり、かつ
該がんが、リンパ腫又は白血病である、
該抵抗性が遅延又は低下される、好ましくは該抵抗性は、該PI3K阻害剤に対する抵抗性である、前記医薬組成物。
【請求項13】
がんを患う対象における微小残存病変(MRD)のレベルを減少させるための医薬組成物であって、該医薬組成物はPI3K阻害剤を含み、
該対象へ、該PI3K阻害剤が第2の治療薬剤と組み合わせて投与されるよう使用され、該第2の治療薬剤が、チェックポイントモジュレーターであり、
該PI3K阻害剤が、以下の構造を有する化合物1又はその医薬として許容し得る形態であり:
【化4】
該チェックポイントモジュレーターが、抗PD-1抗体であり、かつ
該がんが、リンパ腫又は白血病である、
該対象におけるMRDのレベルを減少させる、前記医薬組成物。
【請求項14】
前記がんが、造血系起源のものである、請求項1~13のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記がんが、リンパ腫、白血病、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、T細胞リンパ腫、皮膚リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄腫、形質細胞腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫活性型B細胞様、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫胚中心B細胞様、インドレント非ホジキンリンパ腫、又は濾胞性リンパ腫である、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記対象が、ヒトである、請求項1~15のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤のみが、治療活性成分である、請求項6~16のいずれか1項記載の医薬組成物であって;
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤が、単一の剤形中にある;又は
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤が、別々の剤形中にある、前記医薬組成物。
【請求項18】
前記PI3K阻害剤が、前記第2の治療薬剤と同時に投与される、請求項9~17のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記PI3K阻害剤が、前記第2の治療薬剤の後に、又は前に、投与される、請求9~17のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項20】
PI3K阻害剤及び第2の治療薬剤の組合せを含む、がんの治療における使用のための組成物であって、該第2の治療薬剤が、チェックポイントモジュレーターであり、
該PI3K阻害剤が、以下の構造を有する化合物1又はその医薬として許容し得る形態であり:
【化5】
該チェックポイントモジュレーターが、抗PD-1抗体であり、かつ
該がんが、リンパ腫又は白血病である、前記組成物。
【請求項21】
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、もしくはAMP-224、又はそれらの組み合わせである、請求項11~20のいずれか1項記載の組成物。
【請求項22】
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブである、請求項20記載の組成物。
【請求項23】
前記抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、請求項20記載の組成物。
【請求項24】
前記がんが、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、非ホジキンB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫T細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、インドレント非ホジキンリンパ腫、皮膚リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄腫、又は形質細胞腫である、請求項1~23のいずれか1項記載の組成物。
【請求項25】
前記がんが、濾胞性リンパ腫である、請求項1~23のいずれか1項記載の組成物。
【請求項26】
前記がんが、慢性リンパ球性白血病(CLL)である、請求項1~23のいずれか1項記載の組成物。
【請求項27】
前記がんが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項1~23のいずれか1項記載の組成物。
【請求項28】
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が、再発性又は難治性である、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
前記がんが、リヒター症候群である、請求項1~23のいずれか1項記載の組成物。
【請求項30】
前記がんが、小リンパ球性リンパ腫(SLL)である、請求項1~23のいずれか1項記載の組成物。
【請求項31】
前記がんが、再発性又は難治性である、請求項1~23のいずれか1項記載の組成物。
【請求項32】
前記T細胞リンパ腫が、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である、請求項24記載の組成物。
【請求項33】
前記T細胞リンパ腫が、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、請求項24記載の組成物。
【請求項34】
前記化合物1の医薬として許容し得る形態が、化合物1の水和物である、請求項1~33のいずれか1項記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年6月24日に出願された米国仮特許出願第62/354,637号の優先権を主張し、その全体は、引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(背景)
ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達経路は、ヒトのがんにおいて最も高度に変異している系の1つである。PI3Kは、ホスファチジルイノシトール又はホスホイノシチド上の3’-OH基をリン酸化する細胞内脂質キナーゼの独特のかつ保存されたファミリーを構成する。PI3Kファミリーは、異なる基質特異性、発現パターン、及び調節様式を有する15種のキナーゼを含む。クラスIのPI3K(p110α、p110β、p110δ、及びp110γ)は、通常、チロシンキナーゼ又はGタンパク質共役受容体によって活性化されて、ホスファチジルイノシトール(3,4,5)-トリスホスフェート(PIP3)を生じ、これが、下流エフェクター、例えば、AKT/PDK1経路の下流エフェクター、mTOR、Tecファミリーキナーゼ、及びRhoファミリーGTPアーゼを関与させる。クラスII及びIIIのPI3Kは、ホスファチジルイノシトール3-ビスホスフェート(PI(3)P)及びホスファチジルイノシトール(3,4)-ビスホスフェート(PI(3,4)P2)の合成を介して細胞内輸送において重要な役割を果たす。PI3Kは、細胞増殖を制御する(mTORC1)か、又はゲノムの完全性をモニターする(ATM、ATR、DNA PK、及びhSmg 1)タンパク質キナーゼである。
【0003】
クラスIのPI3Kには4つの哺乳動物アイソフォーム:PI3K-α、β、δ(クラスIaのPI3K)及びPI3K-γ(クラスIbのPI3K)が存在する。これらの酵素は、PIP3の産生を触媒し、それが、細胞の生存、分化、及び機能に重要な下流エフェクター経路の活性化に繋がる。PI3K-α及びPI3K-βは、広く発現されており、かつ細胞表面受容体からのシグナル伝達の重要なメディエーターである。PI3K-αは、がんにおいて最もよく変異して見つかるアイソフォームであり、インスリンシグナル伝達及びグルコースホメオスタシスにおいて役割を有する(Knightらの文献:Cell (2006) 125(4):733-47; Vanhaesebroeckらの文献: Current Topic Microbiol. Immunol. (2010) 347:1-19)。PI3K-βは、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)が欠失しているがんにおいて活性化される。双方のアイソフォームは、がんに対して開発中の小分子治療学の標的である。
【0004】
PI3K-δ及び-γは、白血球において優先的に発現され、かつ白血球の機能に重要である。これらのアイソフォームはまた、血液悪性腫瘍の発生及び維持に寄与する(Vanhaesebroeckらの文献: Current Topic Microbiol. Immunol. (2010) 347:1-19;; Claytonらの文献: J Exp Med. (2002) 196(6):753-63; Fung-Leungの文献: Cell Signal. (2011) 23(4):603-8; Okkenhaugらの文献: Science (2002) 297(5583):1031-34)。PI3K-δは、PI3K調節サブユニット(p85)のSarc相同2(SH2)ドメインとの相互作用を介してか又はRASとの直接的な相互作用を介して、細胞受容体(例えば、受容体型チロシンキナーゼ)によって活性化される。
【発明の概要】
【0005】
(概要)
本明細書で提供されるものは、少なくとも部分的には、選択された第2の治療薬剤と組み合わせてPI3K阻害剤を含む組成物及び方法である。一実施態様において、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選ばれる第2の治療薬剤とPI3K阻害剤の組合せが、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有することが分かった。PI3K阻害剤及び選択された第2の治療薬剤の組合せは、該PI3K阻害剤、該第2の治療薬剤、又は双方を、単剤療法の用量と比較して同じ治療効果を達成するのに必要とされるであろう量よりも低投薬量で投与することを可能とすることができる。いくつかの実施態様において、前記組合せは、該PI3K阻害剤、該第2の治療薬剤、又は双方を、該PI3K阻害剤又は該第2の治療薬剤を、単剤療法として投与した場合よりも低頻度で投与することを可能とすることができる。そのような組合せは、例えば、そのようにしなかった場合に、より高用量の薬剤の投与に伴うであろう副作用、毒性、又は抵抗性のうちの1つ以上の発生の、減少、予防、遅延、及び/又は低減において、有利な効果を提供することができる。
【0006】
従って、一態様において、本明細書で提供されるものは、第2の薬剤(例えば、1種以上の第2の治療薬剤)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせてPI3K阻害剤(例えば、1種以上のPI3K阻害剤)又はその医薬として許容し得る形態を含む組成物(例えば、1種以上の医薬組成物又は剤形)である。ある実施態様において、第2の治療薬剤は、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選ばれる。PI3K阻害剤及び第2の薬剤は、単一の組成物中又は2つ以上の異なる組成物として存在し得る。PI3K阻害剤及び第2の薬剤は、同一の投与経路又は異なる投与経路を介して投与することができる。
【0007】
いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せを含む前記組成物(例えば、1種以上の組成物又は剤形)は、相乗的であり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。ある実施態様において、組成物(複数可)中に存在するPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組成物(複数可)中に存在するPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも、(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%)低い。他の実施態様において、所望の効果(例えば、がんの治療、阻害(例えば、50%阻害)の達成、増殖阻害(例えば、50%増殖阻害)の達成、又は治療効果の達成)をもたらす、組成物(複数可)中に存在するPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。ある実施態様において、治療効果を達成するPI3K阻害剤投与の頻度は、該PI3K阻害剤が、第2の薬剤と組み合わせて投与される場合に、該PI3K阻害剤が単独で投与される場合よりも低い(例えば、少なくとも20%、30%、40%、又は50%低い)。いくつかの実施態様において、治療効果を達成する第2の薬剤の投与の頻度は、該第2の薬剤が、PI3K阻害剤と組み合わせて投与される場合に、該第2の薬剤が単独で投与される場合よりも低い(例えば、少なくとも20%、30%、40%、又は50%低い)。
【0008】
別の態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法である。該方法は、第2の薬剤(例えば、1種以上の第2の治療薬剤)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて、PI3K阻害剤(例えば、1種以上のPI3K阻害剤)又はその医薬として許容し得る形態を、前記対象に投与することを含む。ある実施態様において、前記第2の薬剤は、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される。別の態様において、本明細書で提供されるものは、がんの治療における使用のための組成物である。該がんの治療における使用のための組成物は、第2の薬剤(例えば、1種以上の第2の治療薬剤)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて、PI3K阻害剤(例えば、1種以上のPI3K阻害剤)又はその医薬として許容し得る形態を含む。PI3K阻害剤及び第2の治療薬剤は、単回投与形態でか又は2つ以上の投与形態として存在し得る。
【0009】
PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、単一の組成物中で一緒に投与するか、又は2つ以上の異なる組成物、例えば、本明細書に記載されるような医薬組成物又は剤形中で別々に投与することができる。PI3K阻害剤及び第2の薬剤の投与は、任意の順序で行うことができる。例えば、PI3K阻害剤は、第2の薬剤と同時にか、その前にか、又はその後に投与することができる。一実施態様において、前記第2の薬剤は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、対象に投与される。別の実施態様において、前記第2の薬剤は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態と、例えば、単一の剤形又は別々の剤形で、同時に投与される。さらに別の実施態様において、前記第2の薬剤は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与された少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に、前記対象に投与される。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤及び前記第2の薬剤は、双方の薬剤が、患者において同時に治療的レベルで存在するようになるタイミングで投与される。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤及び前記第2の薬剤は、順次投与される。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤及び前記第2の薬剤の投与は、互いに部分的に重なりあう。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤及び前記第2の薬剤の投与は、同時に開始される。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤は、前記第2の薬剤を用いる治療が開始される前に投与される。いくつかの実施態様において、前記第2の薬剤は、前記PI3K阻害剤を用いる治療が開始される前に投与される。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤の投与は、前記第2の薬剤の投与の中断の後に継続される。いくつかの実施態様において、前記第2の薬剤の投与は、前記PI3K阻害剤の投与の中断の後に継続される。
【0010】
いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、相加的なものであり、例えば、該組合せの効果は、足しあわされたそれらの個々の効果に類似する。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、相乗的であり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。いくつかの実施態様において、組合せにおいて用いられるPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組合せにおいて用いられるPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。他の実施態様において、がんの治療をもたらす、組合せにおいて用いられるPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。ある実施態様において、がんの治療をもたらす、組合せにおいて用いられるPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の投与の頻度は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の投与の頻度よりも低い(例えば、少なくとも20%、30%、40%、又は50%低い)。
【0011】
PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、活性な障害の期間の間にか、又は寛解もしくはより低活性な疾患の期間の間に投与することができる。該組合せは、第3の治療(例えば、第3の治療薬剤又は処置(例えば、放射線又は外科手術))の前にか、第3の治療と同時にか、第3の治療の後にか、又は障害の寛解の間に投与することができる。
【0012】
別の態様において、本明細書で提供されるものは、がん細胞の増殖、生存能力、又は双方を阻害する方法であって、該がん細胞を、第2の薬剤(例えば、1種以上の第2の治療薬剤)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせたPI3K阻害剤(例えば、1種以上のPI3K阻害剤)又はその医薬として許容し得る形態と接触させることを含む、前記方法である。ある実施態様において、前記第2の薬剤は、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される。本明細書に記載される前記方法は、インビトロ又はインビボで、例えば、動物対象においてか、又は治療プロトコールの一部として使用することができる。
【0013】
細胞をPI3K阻害剤及び第2の薬剤と接触させることは、任意の順序で行うことができる。ある実施態様において、前記細胞を、前記第2の薬剤と同時にか、その前にか、又はその後に、前記PI3K阻害剤と接触させる。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、相乗的であり、例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて相乗効果を有する。いくつかの実施態様において、組合せにおいて用いられるPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組合せにおいて用いられるPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0014】
別の態様において、本明細書で提供されるものは、がんの治療における使用のための、PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び第2の治療薬剤又はその医薬として許容し得る形態の相乗的な組合せであって、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される、前記相乗的な組合せである。別の態様において、本明細書で提供されるものは、薬品における使用のための、PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び第2の治療薬剤又はその医薬として許容し得る形態の相乗的な組合せであって、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される、前記相乗的な組合せである。別の態様において、本明細書で提供されるものは、がんを治療するための、PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び第2の治療薬剤又はその医薬として許容し得る形態の相乗的な組合せの使用であって、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される、前記使用である。別の態様において、本明細書で提供されるものは、がんを治療するための薬品の生産のための、PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び第2の治療薬剤又はその医薬として許容し得る形態の相乗的な組合せの使用であって、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択される、前記使用である。
【0015】
本明細書に記載される組成物又は方法の追加の特徴又は実施態様としては、以下のうちの1つ以上が挙げられる:
【0016】
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、相乗的なものであり、例えば、該PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せに対して1未満である併用指数値(combination index value)によって示されるようなものである。ある実施態様において、前記組合せは、該PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せに対して0.7未満である併用指数値によって示されるような相乗的なものである。ある実施態様において、前記組合せは、該PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せに対して0.5未満である併用指数値によって示されるような相乗的なものである。ある実施態様において、前記組合せは、該PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せに対して0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、又は0.1未満である併用指数値によって示されるような相乗的なものである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、相加的なものであり、例えば、該PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せに対して約1に等しい併用指数値によって示されるようなものである。ある実施態様において、前記併用指数値は、例えば、本明細書の実施例に記載されるように、50%阻害で評価される。ある実施態様において、前記併用指数値は、例えば、本明細書の実施例に記載されるように、50%増殖阻害で評価される。ある実施態様において、前記併用指数値は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、60%、70%、80%、又は90%阻害又は増殖阻害で評価される。ある実施態様において、前記併用指数値は、本明細書の実施例に記載されるように計算される。
【0017】
他の実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、相乗的なものであり、例えば、1、2、又は3超の相乗作用スコア値によって示されるようなものである。ある実施態様において、前記組合せは、1超の相乗作用スコア値によって示されるような相乗的なものである。ある実施態様において、前記組合せは、2超の相乗作用スコア値によって示されるような相乗的なものである。ある実施態様において、前記組合せは、3超の相乗作用スコア値によって示されるような相乗的なものである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、相加的なものであり、例えば、ゼロの相乗作用スコア値によって示されるようなものである。ある実施態様において、相乗作用スコアは、本明細書の実施例に記載されるように計算される。
【0018】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せによって提供される抗がん効果は、例えば、単剤療法として個々に用いられる薬剤(例えば、該PI3K阻害剤又は該第2の薬剤)によって提供される抗がん効果よりも高い。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せによって提供される抗がん効果は、例えば、単剤療法として個々に用いられる薬剤によって(例えば、同じ用量の該PI3K阻害剤を用いる単剤療法によってか、又は同じ用量の該第2の薬剤を用いる単剤療法によって)提供される抗がん効果よりも少なくとも2倍高いか、少なくとも3倍高いか、少なくとも5倍高いか、又は少なくとも10倍高い。
【0019】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せによって提供される抗がん効果は、同じ用量の該PI3K阻害剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも高い。ある実施態様において、前記組合せによって提供される抗がん効果は、同じ用量の該PI3K阻害剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも少なくとも2倍高いか、少なくとも3倍高いか、少なくとも5倍高いか、又は少なくとも10倍高い。
【0020】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せの抗がん効果は、同じ用量の該第2の薬剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも高い。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せの抗がん効果は、同じ用量の該第2の薬剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも少なくとも2倍高いか、少なくとも3倍高いか、少なくとも5倍高いか、又は少なくとも10倍高い。
【0021】
いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の1つ以上の副作用が、例えば、単剤療法として個々に用いられた場合のそれぞれの薬剤(例えば、同じ治療効果を達成する用量の、前記第2の薬剤を含まずに前記PI3K阻害剤を含む単剤療法;又は前記PI3K阻害剤を含まずに前記第2の薬剤を含む単剤療法)の副作用と比較して減少する。例えば、そうしなかった場合に、薬剤のうちの少なくとも1種、例えば、前記PI3K阻害剤の投与に伴うであろう1つ以上の副作用、毒性、又は抵抗性の発生又は発生の可能性の減少、予防、遅延、又は低下である。
【0022】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物又は方法の1つ以上の副作用が、同じ治療効果を達成する用量の前記第2の薬剤(又はその医薬として許容し得る形態)又は前記PI3K阻害剤(又はその医薬として許容し得る形態)のいずれかを含む単剤療法の副作用と比較して減少する。
【0023】
いくつかの実施態様において、前記1つ以上の副作用としては、肝酵素レベル、例えば、毒性を表す肝酵素レベルが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、薬剤のうちの少なくとも1種に対する抵抗性、例えば、該PI3K阻害剤に対する抵抗性(例えば、獲得抵抗性)の減少(例えば、抵抗性の尺度の低下又は抵抗性の発生の低下した可能性)、又は抵抗性の発生の遅延をもたらす。
【0025】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法において用いられるPI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、微小残存病変(MRD)の減少をもたらす。ある実施態様において、PI3K阻害剤(例えば、本明細書に記載されるPI3K阻害剤)及び第2の薬剤(例えば、本明細書に記載される第2の薬剤)の組合せは、例えば、該対象において以前に測定されたレベル(例えば、該組合せが投与される前に測定されたレベル)を下回って、該対象におけるMRDを減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、単剤療法、例えば、前記PI3K阻害剤又は前記第2の薬剤のいずれかを含む単剤療法を用いる治療の間か又はその後に観察されるレベルを下回って、該対象におけるMRDを減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記MRDは、前記PI3K阻害剤を含む単剤療法を用いる治療の間に観察されるレベルを下回って低下させる。ある実施態様において、前記MRDは、前記第2の薬剤を含む単剤療法を用いる治療の間に観察されるレベルを下回って低下させる。ある実施態様において、前記組合せは、MRDのレベルを、事前に選択したカットオフ値(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)を下回って減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記事前に選択したカットオフ値は、1000個又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞である。いくつかの実施態様において、対象は、前記MRDが、事前に選択したカットオフ値(例えば、本明細書に記載されるような事前に選択したカットオフ値)よりも低い場合に、MRD陰性を示す(又はMRD陰性である)。いくつかの実施態様において、前記MRDのレベルは、標準的な実験方法体系では検出可能ではない。
【0026】
別の態様において、本明細書で提供されるものは、がんを患う対象におけるMRDのレベルを低減させる方法である。該方法は:
(a)PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態を、第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるようなチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、もしくはFlt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選ばれる第2の薬剤)と組み合わせて、前記対象に投与すること(「第1の治療」とも称する);
(b)該対象におけるMRDのレベルを、例えば、本明細書に記載されるか又は当技術分野において公知の1つ以上の方法(例えば、フローサイトメトリー、シークエンシング、又はPCR)によってモニターすること;及び
(c)該対象が、事前に選択したカットオフ値((例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)よりも低いMRDのレベルを、例えば、療法後のある期間(例えば、少なくとも1、2、3、6、9、12ヶ月))有している場合に、該組合せ治療を変化させること(例えば、PI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の用量又は頻度を(例えば、約20%、30%、40%、又は50%だけ)減少させること、又は該第1の治療を止めること)
を含む。
【0027】
いくつかの実施態様において、前記方法は、前記組合せ治療を変化させた後に(例えば、PI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の用量又は頻度を(例えば、約20%、30%、40%、又は50%だけ)を減少させた後か、又は前記第1の治療をやめた後に)、前記対象をモニターすることをさらに含み(例えば、少なくとも6ヶ月、9ヶ月、又は12ヶ月の期間)、かつ前記MRDのレベルが、増加する、例えば、事前に選択したカットオフ値(例えば、本明細書に記載されるような事前に選択したカットオフ値(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞))を上回って増加する場合に、第2の治療が実施される。一実施態様において、前記第2の治療は、PI3K阻害剤単剤療法である。別の実施態様において、前記第2の治療は、第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、本明細書に記載されるようなチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、もしくはFlt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上)と組み合わせてPI3K阻害剤を含む。一実施態様において、前記第2の治療は、前記第1の治療と同じ第2の薬剤を含む。別の実施態様において、前記第2の治療は、前記第1の治療とは異なる第2の薬剤を含む。さらに別の実施態様において、前記第2の治療は、第3の薬剤(例えば、抗CD20抗体又はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブ)と組み合わせてPI3K阻害剤を含む。さらに別の実施態様において、前記第2の治療は、PI3K阻害剤、第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、本明細書に記載されるようなチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、もしくはFlt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上)、及び第3の薬剤(例えば、抗CD20抗体又はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブ)を含む。
【0028】
別の態様において、本明細書で提供されるものは、がんを患う対象において検出されるMRDのレベルを低下させる方法である。該方法は、
(a)PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態を、第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるようなチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、もしくはFlt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選ばれる第2の薬剤)と組み合わせて、該対象に投与すること(「第1の治療」とも称する);
(b)該対象におけるMRDのレベルを、例えば、本明細書に記載されるか又は当技術分野において公知の1つ以上の方法(例えば、フローサイトメトリー、シークエンシング、又はPCR)によってモニターすること;及び
(c)該対象におけるMRDのレベルが、事前に選択したカットオフ値(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)を下回って低下する場合に、該第1の治療(例えば、該組合せ)を投与することを停止すること
を含む。
【0029】
いくつかの実施態様において、前記方法は、(d)例えば、本明細書に記載されるか又は当技術分野において公知の方法(例えば、フローサイトメトリー、シークエンシング、又はPCR)のうちの1つ以上によって該対象におけるMRDのレベルをモニターすること、及び(e)該MRDのレベルが、増加する、例えば、事前に選択したカットオフ値(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)を上回って増加する場合に第2の治療(例えば、PI3K阻害剤を含む単剤療法、又は前記PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を含むさらなる組合せを投与すること)を実施することをさらに含む。一実施態様において、工程(b)、(c)、(d)、及び(e)は、1回以上繰り返される。一実施態様において、前記第2の治療は、PI3K阻害剤単剤療法である。別の実施態様において、前記第2の治療は、第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、本明細書に記載されるようなチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、もしくはFlt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上)と組み合わせてPI3K阻害剤を含む。一実施態様において、前記第2の治療は、前記第1の治療と同じ第2の薬剤を含む。別の実施態様において、前記第2の治療は、前記第1の治療とは異なる第2の薬剤を含む。さらに別の実施態様において、前記第2の治療は、第3の薬剤(例えば、抗CD20抗体又はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブ)と組み合わせてPI3K阻害剤を含む。さらに別の実施態様において、前記第2の治療は、PI3K阻害剤、第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、本明細書に記載されるようなチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、もしくはFlt3リガンド、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上)、及び第3の薬剤(例えば、抗CD20抗体又はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブ)を含む。
【0030】
前述の組成物及び方法は、単剤療法(例えば、前記PI3K阻害剤、前記第2の薬剤、又は第3の薬剤の単剤療法的投与又は用量)と組み合わせて用いることができる。一実施態様において、前記対象に、PI3K阻害剤を用いる単剤療法が実施され、それに、本明細書に記載される組合せ組成物又は方法を続けることができる。例えば、対象に、第1の単剤療法、(例えば、PI3K阻害剤、第2の薬剤、又は第3の薬剤によるもの)に対する低下した反応性が生じつつあるか、又はそれが生じつつあると特定された場合に、本明細書に記載される組合せ組成物又は方法にうちの任意のものを、投与することができる。ある実施態様において、本明細書に記載される組合せ組成物又は方法は、反応性を向上させる(例えば、MRDのレベルの低下、例えば、前記第1の単剤療法を用いる治療の間に観察されるMRDのレベルを下回る低下によって示されるように)。あるいは、本明細書に記載される組合せ組成物又は方法にうちの任意のものの投与に、例えば、PI3K阻害剤、前記第2の薬剤、又は第3の薬剤を用いる単剤療法の実施を続けることができる。
【0031】
他の実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法は、化学療法剤、放射線、又は外科手術を含むがこれらに限定されないさらなる薬剤又は療法を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1、AMG-319、GSK 2126458、GSK 1059615、GDC-0032、GDC-0980、GDC-0941、XL147、XL499、XL765、BKM 120、GS1101、CAL 263、SF1126、PX-866、BEZ235、CAL-120、BYL719、RP6503、RP6530、TGR1202、INK1117、PX-886、BAY 80-6946、IC87114、Palomid 529、ZSTK474、PWT33597、TG100-115、GNE-477、CUDC-907、AEZS-136、BGT-226、PF-05212384、LY3023414、PI-103、LY294002、INCB-040093、CAL-130、及びワートマニンのうちの1つ以上から選択される。
【0033】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態である。化合物1は、(S)-3-(1-((9H-プリン-6-イル)アミノ)エチル)-8-クロロ-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オンの化学名を有し、以下の構造のものである:
【化1】
【0034】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブ(GS1101、CAL-101)又はその医薬として許容し得る形態である。イデラリシブ(GS1101、CAL-101)は、(S)-2-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)プロピル)-5-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オンの化学名を有し、以下の構造のものである:
【化2】
【0035】
本明細書に記載される組成物及び方法の特定の実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤である。一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマの二重阻害剤である。
【0036】
本明細書に記載される組合せは、化学療法剤である第3の治療薬剤をさらに含み得る。該化学療法剤は、例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、フルダラビン、又はそれらの任意の組み合わせ、例えば、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)又はFC(フルダラビン、シクロホスファミド)とすることができる。
【0037】
いくつかの実施態様において、前記医薬組成物は、医薬として許容し得る賦形剤(例えば、1種以上の医薬として許容し得る賦形剤)をさらに含む。
【0038】
本明細書に記載される組成物及び方法のいくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、該対象におけるがんを治療することにおいて、例えば、本明細書に記載されるがんの治療に治療上有効(例えば、相乗的に有効)である。
【0039】
一実施態様において、前記がんは、造血系起源のものである。一実施態様において、前記がんは、リンパ腫又は白血病である。一実施態様において、前記がんは、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、非ホジキンB細胞リンパ腫)、T細胞リンパ腫、皮膚リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄腫、又は形質細胞腫である。一実施態様において、前記がんは、多発性骨髄腫である。一実施態様において、前記がんは、慢性リンパ球性白血病(CLL)である。
【0040】
他の実施態様において、前記がんは、非ホジキンリンパ腫である。ある実施態様において、前記がんは、B細胞非ホジキンリンパ腫である。ある実施態様において、前記非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。ある実施態様において、前記非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫活性型B細胞様又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫胚中心B細胞様である。ある実施態様において、前記がんは、インドレント非ホジキンリンパ腫、例えば、濾胞性リンパ腫である。ある実施態様において、前記がんは、マントル細胞リンパ腫である。ある実施態様において、前記がんは、T細胞非ホジキンリンパ腫である。
【0041】
いくつかの実施態様において、前記がんは、T細胞リンパ腫、例えば、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)又は皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
【0042】
一実施態様において、前記対象は、哺乳動物、例えば、ヒトである。一実施態様において、前記対象は、がん、例えば、本明細書に記載されるがんのリスクがあるか、又はそれを患っている。
【0043】
一実施態様において、前記方法は、例えば、治療薬剤に対するがんの抵抗性、例えば、化合物1などの前記PI3K阻害剤に対するか、又は前記第2の薬剤に対するがんの抵抗性を遅延させる。一実施態様において、前記方法は、前記がんが、例えば、治療薬剤に対して抵抗性となる、例えば、化合物1などの前記PI3K阻害剤に対してか又は前記第2の薬剤に対して抵抗性となるリスクを減少させる。一実施態様において、前記がんは、(例えば、前記PI3K阻害剤に対して)、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、30、又は36ヶ月間抵抗性とならない。一実施態様において、前記方法は、該対象における寛解(例えば、完全寛解又は部分寛解)を延長する。一実施態様において、前記対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、30、又は36ヶ月間、寛解(例えば、完全寛解又は部分寛解)を経験する。一実施態様において、前記方法は、前記対象が、完全寛解を経験する可能性を増加させる。一実施態様において、前記対象は、完全寛解を経験する。一実施態様において、前記方法は、微小残存病変(MRD)のレベルの減少をもたらす。一実施態様において、前記対象は、検出可能なMRDを実質的に有しない。ある実施態様において、前記対象は、治療上有効期間、例えば、少なくとも1、2、3、もしくは4週間、又は1、2、4、6、9、もしくは12ヶ月間にわたる前記PI3K阻害剤及び前記第2の薬剤を用いる治療の後に、これらの特徴(例えば、寛解)のうちの1つ以上を示す。
【0044】
一実施態様において、前記対象は、PI3K阻害剤に対して低下した反応性を示す(例えば、PI3K阻害剤、例えば、化合物1を用いる治療に対して抵抗性の又は屈折性(refractive)である)。一実施態様において、前記対象は、PI3K阻害剤を用いる単剤療法での治療(例えば、化合物1もしくはイデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態に対して低下した感受性(例えば、抵抗性又は獲得抵抗性)を有するものと確認されている。一実施態様において、前記対象は、PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態の単剤療法での治療に対して低下した感受性(例えば、抵抗性又は獲得抵抗性)を有するものと確認されている。一実施態様において、前記対象は、本明細書で提供される組合せ療法による治療に対して増加した感受性を有するものと確認されている。
【0045】
本明細書に記載される組成物及び方法のいくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤のみが、がんを治療するための治療活性成分である。
【0046】
3種以上の薬剤の追加の組合せは、本明細書に記載される方法及び組成物に包含される。
【0047】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ、又は双方)、又はその医薬として許容し得る形態を、チェックポイントモジュレーター(例えば、1種以上のチェックポイントモジュレーター)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて含む、組成物(例えば、医薬組成物)である。該PI3K阻害剤及び該チェックポイントモジュレーターは、単一の組成物中にか又は2つ以上の異なる組成物として存在し得る。いくつかの実施態様において、組成物(例えば、前記PI3K阻害剤及びチェックポイントモジュレーターの組合せを含む1種以上の組成物)は、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、本明細書に記載されるような、例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。ある実施態様において、前記組成物(複数可)中に存在する前記PI3K阻害剤、前記チェックポイントモジュレーター、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0048】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ、又は双方)、又はその医薬として許容し得る形態を、チェックポイントモジュレーター(例えば、1種以上のチェックポイントモジュレーター)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて該対象に投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及びチェックポイントモジュレーターの組合せは、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。いくつかの実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記チェックポイントモジュレーター、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記チェックポイントモジュレーター、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。他の実施態様において、がんの治療をもたらす、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記チェックポイントモジュレーター、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0049】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、もしくは抗CTLA-4抗体、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、もしくはAMP-224、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、MDX-1105、YW243.55.S70、MDPL3280A、MSB0010718C、もしくはデュルバルマブ、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブもしくはイピリムマブ、又はそれらの組み合わせである
【0050】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ、又は双方)、又はその医薬として許容し得る形態を、XPO1阻害剤(例えば、1種以上のXPO1阻害剤)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて含む組成物(例えば、1種以上の医薬組成物又は剤形)である。該PI3K阻害剤及び該XPO1阻害剤は、単一の組成物中にか又は2つ以上の異なる組成物として存在し得る。いくつかの実施態様において、組成物(例えば、前記PI3K阻害剤及びXPO1阻害剤の組合せを含む1種以上の組成物)は、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、本明細書に記載されるような、例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。ある実施態様において、前記組成物(複数可)中に存在する前記PI3K阻害剤、前記XPO1阻害剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0051】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ、又は双方)、又はその医薬として許容し得る形態を、XPO1阻害剤(例えば、1種以上のXPO1阻害剤)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて、該対象に投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及びXPO1阻害剤の組合せは、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。いくつかの実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記XPO1阻害剤、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記XPO1阻害剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。他の実施態様において、がんの治療をもたらす、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記XPO1阻害剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0052】
本明細書に記載される方法及び組成物の一実施態様において、前記XPO1阻害剤は、セリネクサー、KPT-251、KPT-276、もしくはSL-801、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーである。
【0053】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、抗CD19抗体(例えば、1種以上の抗CD19抗体)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて含む組成物(例えば、医薬組成物)である。該PI3K阻害剤及び該抗CD19抗体は、単一の組成物中にか又は2つ以上の異なる組成物として存在し得る。いくつかの実施態様において、組成物(例えば、前記PI3K阻害剤及び抗CD19抗体の組合せを含む1種以上の組成物)は、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、本明細書に記載されるような、例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。ある実施態様において、前記組成物(複数可)中に存在する前記PI3K阻害剤、前記抗CD19抗体、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0054】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ、又は双方)、又はその医薬として許容し得る形態を、抗CD19抗体(例えば、1種以上の抗CD19抗体)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて、該対象に投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及び抗CD19抗体の組合せは、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。いくつかの実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記抗CD19抗体、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記抗CD19抗体、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。他の実施態様において、がんの治療をもたらす、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記抗CD19抗体、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0055】
本明細書に記載される方法及び組成物の一実施態様において、前記抗CD19抗体は、ブリナツモマブである。
【0056】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、TLRアゴニスト(例えば、1種以上のTLRアゴニスト)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて含む組成物、例えば、1種以上の医薬組成物である。該PI3K阻害剤及び該TLRアゴニストは、単一の組成物中にか又は2つ以上の異なる組成物として存在し得る。いくつかの実施態様において、組成物(例えば、前記PI3K阻害剤及びTLRアゴニストの組合せを含む1種以上の組成物)は、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、本明細書に記載されるような、例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。ある実施態様において、前記組成物(複数可)中に存在する前記PI3K阻害剤、前記TLRアゴニスト、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0057】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法である。該方法は、前記対象に、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ、又は双方)、又はその医薬として許容し得る形態を、TLRアゴニスト(例えば、1種以上のTLRアゴニスト)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及びTLRアゴニストの組合せは、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。いくつかの実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記TLRアゴニスト、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記TLRアゴニスト、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。他の実施態様において、がんの治療をもたらす、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記TLRアゴニスト、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0058】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、STINGアゴニスト(例えば、1種以上のSTINGアゴニスト)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて含む組成物、例えば、1種以上の医薬組成物である。該PI3K阻害剤及び該STINGアゴニストは、単一の組成物中にか又は2つ以上の異なる組成物として存在し得る。いくつかの実施態様において、組成物(例えば、前記PI3K阻害剤及びSTINGアゴニストの組合せを含む1種以上の組成物)は、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、本明細書に記載されるような、例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。ある実施態様において、前記組成物(複数可)中に存在する前記PI3K阻害剤、前記STINGアゴニスト、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0059】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法である。該方法は、前記対象に、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ、又は双方)、又はその医薬として許容し得る形態を、STINGアゴニスト(例えば、1種以上のSTINGアゴニスト)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及びSTINGアゴニストの組合せは、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。いくつかの実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記STINGアゴニスト、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記STINGアゴニスト、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。他の実施態様において、がんの治療をもたらす、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記STINGアゴニスト、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0060】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、Flt3リガンド(例えば、1種以上のFlt3リガンド)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて含む組成物、例えば、1種以上の医薬組成物である。該PI3K阻害剤及び該Flt3リガンドは、単一の組成物中にか又は2つ以上の異なる組成物として存在し得る。いくつかの実施態様において、組成物(例えば、前記PI3K阻害剤及びFlt3リガンドの組合せを含む1種以上の組成物)は、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、本明細書に記載されるような、例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。ある実施態様において、前記組成物(複数可)中に存在する前記PI3K阻害剤、前記Flt3リガンド、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0061】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法である。該方法は、前記対象に、PI3K阻害剤、例えば、1種以上のPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ、又は双方)、又はその医薬として許容し得る形態を、Flt3リガンド(例えば、1種以上のFlt3リガンド)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及びFlt3リガンドの組合せは、相乗的なものであり、例えば、がんを治療することにおいて(例えば、がん細胞の増殖もしくは生存能力、又は双方を減少させることにおいて)相乗効果を有する。いくつかの実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記Flt3リガンド、又は双方の量又は投薬量は、それぞれの薬剤が、例えば、単剤療法として個々に用いられる場合のレベルを超えない。ある実施態様において、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記Flt3リガンド、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。他の実施態様において、がんの治療をもたらす、組合せにおいて用いられる前記PI3K阻害剤、前記Flt3リガンド、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低い)。
【0062】
本明細書に記載される組成物及び方法に含まれる薬剤の投薬量に関連する実施態様は、以下のものである。一実施態様において、前記PI3K阻害剤、例えば、化合物1は、1日あたり約0.01mg~約75mgの投薬量で投与され、かつ前記第2の治療薬剤は、1日あたり約0.01~約1100mgの投薬量で投与される。
【0063】
ある実施態様において、前記方法又は組成物において用いられるPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%低い)。他の実施態様において、所望の効果(例えば、がんの治療)をもたらす、組成物(複数可)中に存在するPI3K阻害剤、第2の薬剤、又は双方の量又は投薬量は、例えば、単剤療法として個々に用いられるそれぞれの薬剤の量又は投薬量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%低い)。
【0064】
一実施態様において、前記前記PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態の、前記第2の治療薬剤又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約10000:1から約1:10000までの範囲である。
【0065】
一実施態様において、前記組成物は、前記PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を約0.01mg~約75mgの範囲の量で含み、前記第2の治療薬剤又はその医薬として許容し得る形態を約0.01mg~約1100mgの範囲の量で含む。
【0066】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤は、25mgの投薬量(例えば、25mg BID)の化合物1である。ある実施態様において、化合物1は、25mgの投薬量(例えば、25mg BID)で単剤療法として有効である。ある実施態様において、前記化合物1及び第2の薬剤の組合せは、例えば、がんを治療することにおいてかつ/又はがん細胞の増殖又は生存能力を減少させることにおいて、25mg(例えば、25mg BID)未満の投薬量の化合物1を用いて有効である。他の実施態様において、前記組合せに含まれる化合物1の投薬量は、5mg~20mg(例えば、5mg~20mg BID)である。他の実施態様において、前記組合せに含まれる化合物1の投薬量は、10mg~25mg(例えば、10mg~25mg BID)、15mg~25mg(例えば、15mg~25mg BID)、5mg~50mg(例えば、5mg~50mg BID)、5mg~25mg(例えば、5mg~25mg BID)、5mg~10mg(例えば、5mg~10mg BID)、10mg~15mg(例えば、10mg~15mg BID)、15mg~20mg(例えば、15mg~20mg BID)、20mg~25mg(例えば、20mg~25mg BID)、25mg~30mg(例えば、25mg~30mg BID)、30mg~35mg(例えば、30mg~35mg BID)、35mg~40mg(例えば、35mg~40mg BID)、40mg~45mg(例えば、40mg~45mg BID)、又は45mg~50mg(例えば、45mg~50mg BID)である。ある実施態様において、化合物1の投薬量は、22.5mg(例えば、22.5mg BID)、20mg(例えば、20mg BID)、17.5mg(例えば、17.5mg BID)、15mg(例えば、15mg BID)、12.5mg(例えば、12.5mg BID)、10mg(例えば、10mg BID)、7.5mg(例えば、7.5mg BID)、又は5mg(例えば、5mg BID)である。
【0067】
いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤、例えば、化合物1は、1日あたり2回(BID)、1日あたり1回、2日あたり1回、3日あたり1回、4日あたり1回、5日あたり1回、6日あたり1回、又は1週間あたり1回の投与頻度で投与される。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)及び第2の薬剤の組合せは、例えば、がんを治療することにおいてかつ/又はがん細胞の増殖又は生存能力を減少させることにおいて、1日あたり2回(BID)、1日あたり1回、2日あたり1回、3日あたり1回、4日あたり1回、5日あたり1回、6日あたり1回、又は1週間あたり1回の投与頻度で投与される前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)を用いた場合に有効である。
【0068】
いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤は、150mg(例えば、150mg BID)の投薬量のイデラリシブである。ある実施態様において、イデラリシブは、150mg(例えば、150mg BID)の投薬量で単剤療法として有効である。ある実施態様において、前記イデラリシブ及び第2の薬剤の組合せは、例えば、がんを治療することにおいてかつ/又はがん細胞の増殖又は生存能力を減少させることにおいて、150mg(例えば、150mg BID)未満の投薬量でイデラリシブを用いて有効である。いくつかの実施態様において、前記組合せに含まれるイデラリシブの投薬量は、30mg~135mg(例えば、30mg~135mg BID)である。ある実施態様において、イデラリシブの投薬量は、135mg(例えば、135mg BID)、120mg(例えば、120mg BID)、105mg(例えば、105mg BID)、90mg(例えば、90mg BID)、75mg(例えば、75mg BID)、60mg(例えば、60mg BID)、45mg(例えば、45mg BID)、又は30mg(例えば、30mg BID)である。
【0069】
いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、1日あたり2回、1日あたり1回、2日あたり1回、3日あたり1回、4日あたり1回、5日あたり1回、6日あたり1回、又は1週間あたり1回の投与頻度で投与される。ある実施態様において、前記イデラリシブ及び第2の薬剤の組合せは、例えば、がんを治療することにおいてかつ/又はがん細胞の増殖又は生存能力を減少させることにおいて、1日あたり2回(BID)、1日あたり1回、2日あたり1回、3日あたり1回、4日あたり1回、5日あたり1回、6日あたり1回、又は1週間あたり1回の投与頻度で投与されるイデラリシブを用いた場合に、有効である。
【0070】
一実施態様において、前記第2の薬剤は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、対象に投与される。別の実施態様において、前記第2の薬剤は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態と、例えば、単一の剤形又は別々の剤形で、同時に投与される。さらに別の実施態様において、前記第2の薬剤は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与された少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に、前記対象に投与される。
【0071】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象がPI3K阻害剤を用いる治療に対する抵抗性を生じる可能性を減少させる方法であって:
(a)該対象に、該PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を含む治療的有効量の単剤療法を、第1の期間投与すること;
(b)該第1の期間の後に、該対象に、該PI3K阻害剤を第2の薬剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて含む治療的有効量の組合せ療法を、第2の期間投与することであって、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、又は6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択される、前記投与すること;及び
(c)任意に、工程(a)及び(b)を1回以上繰り返すこと
を含む、前記方法である。
【0072】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象がPI3K阻害剤を用いる治療に対する抵抗性を生じる可能性を減少させる方法であって:
(a)該対象に、該第2の薬剤又はその医薬として許容し得る形態を含む治療的有効量の単剤療法を、第1の期間投与することであって、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、又は6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択される、前記投与すること;
(b)該第1の期間の後に、該対象に、該PI3K阻害剤を含む治療的有効量の組合せ療法を、該第2の薬剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与すること;及び
(c)任意に、工程(a)及び(b)を1回以上繰り返すこと
を含む、前記方法である。
【0073】
ある実施態様において、前記対象は、前記単剤療法に対して抵抗性(例えば、獲得抵抗性)を生じているものと確認されている。
【0074】
ある態様において、本開示は、がんを患う対象の抵抗性を遅延又は低下させる方法であって、対象に、相乗的な量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及び1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はその医薬として許容し得る形態から選択される第2の治療薬剤を投与することを含む、前記方法を提供する。関連する態様において、本明細書で提供されるものは、がんを患う対象の抵抗性を遅延又は低下させることにおける使用のための組成物であって、相乗的な量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及び1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はその医薬として許容し得る形態から選択される第2の治療薬剤を含む、前記組成物である。ある実施態様において、前記抵抗性は、前記PI3K阻害剤に対する抵抗性である。ある実施態様において、前記方法は、前記第2の治療薬剤の前に前記PI3K阻害剤を投与することを含む。
【0075】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるものは、がんが、前記PI3K阻害剤に対して抵抗性となるリスクを減少させる方法であって、がんを患う対象に、相乗的な量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及び1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択される第2の治療薬剤、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、前記方法である。
【0076】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるものは、がんを患う対象における寛解を延長する方法であって、該対象に、相乗的な量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及び1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンドから選択される第2の治療薬剤、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、前記方法である。
【0077】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるものは、がんを患う対象が、完全寛解を経験する可能性を増加させる方法であって、該対象に、相乗的な量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及び1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択される第2の治療薬剤、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、前記方法である。
【0078】
いくつかの態様において、本明細書で提供されるものは、がんを患う対象における微小残存病変(MRD)のレベルを減少させる方法であって、該対象に、相乗的な量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及び1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択される第2の治療薬剤、又はその医薬として許容し得る形態を投与することを含む、前記方法である。別の態様において、本明細書で提供されるものは、微小残存病変(MRD)のレベルを減少させることにおける使用のための組成物であって、相乗的な量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及び1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択される第2の治療薬剤、又はその医薬として許容し得る形態を含む、前記組成物である。
【0079】
本開示は、前述の態様及び/又は実施態様のうちの任意の1つ以上全ての組合せ、及び詳細な説明及び実施例に記載される実施態様のうちの任意の1つ以上との組合せを含む。
【0080】
(引用による組み込み)
本明細書で言及される刊行物、特許、及び特許出願は全て、完全にかつ各々の個々の刊行物、特許、又は特許出願があたかも具体的かつ個別的に引用により組み込まれることが示されているのと同程度に引用により本明細書中に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
(図面の簡単な説明)
図1図1は、H9細胞系における化合物1及びセリネクサーの組合せの相乗効果を図示するアイソボログラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
(詳細な説明)
(1.定義)
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本明細書が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0083】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「該(the)」は、文脈によりそうでないことが明確に定められない限り、複数の指示対象を含む。
【0084】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り「約(about)」又は「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値に対して許容し得る誤差を意味し、これは、その値がどのように測定又は決定されるかに部分的に依存する。ある実施態様において、前記「約」又は「およそ」という用語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。ある実施態様において、前記「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの活性又は発現を増加させることなどの、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能を惹起又は増強する能力を有する化合物又は薬剤を指す。従って、「アゴニスト」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的役割との関連において定義される。本明細書のいくつかのアゴニストは、標的と特異的に相互作用する(例えば、それに結合する)が、標的ポリペプチドがそのメンバーとなっているシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質又はポリペプチドの生物活性を惹起又は増強する化合物及び/又は薬剤も、この定義に明確に含まれる。
【0086】
「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は、互換的に使用されており、これらは、標的タンパク質又はポリペプチドの活性又は発現を減少させるか又は阻害することのような、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能を減少させるか又は阻害する能力を有する化合物又は薬剤を指す。従って、「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的役割との関連において定義される。阻害剤は、標的タンパク質又はポリペプチドの生物学的機能を完全に妨げる必要はなく、いくつかの実施態様において、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%だけ活性を減少させる。本明細書のいくつかのアンタゴニストは、標的と特異的に相互作用する(例えば、それに結合する)が、標的タンパク質又はポリペプチドが、シグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質又はポリペプチドの生物活性を阻害する化合物も、この定義に明確に含まれる。アンタゴニストによって阻害される生物活性の非限定的な例としては、腫瘍の発生、成長、もしくは伝播、又は自己免疫疾患において現れるもののような望ましくない免疫応答と関連するものが挙げられる。
【0087】
「有効量」又は「治療的有効量」という用語は、以下で例示されるような疾患治療を含むが、これらに限定されない、意図される用途を達成するのに十分である、本明細書に記載される化合物又は医薬組成物の量を指す。治療的有効量は、意図される用途(インビトロ又はインビボ)、又は治療されている対象及び疾患状態、例えば、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与の様式などに応じて異なり得、これは、当業者によって容易に決定することができる。本用語はまた、標的細胞において特定の反応、例えば、血小板粘着及び/又は細胞遊走の減少を誘導するであろう用量にも適用される。具体的な用量は、例えば、選択された特定の化合物、従うべき投薬レジメン、それが別の薬剤と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、それが投与される組織、及びそれが運搬される物理的送達系によって異なるであろう。
【0088】
本明細書で使用される、1日投薬量は、目標とする投薬量の単回投与又はより少ない投薬量(複数可)の複数回投与によって達成することができる。例えば、150mgの1日投薬量は、1日あたり150mgの治療薬剤の単回投与、1日あたり75mgの治療薬剤の2回投与、又は1日あたり50mgの治療薬剤3回投与などによって達成することができる。
【0089】
本明細書で使用される、「治療」及び「治療すること」という用語は、治療的利益を含むがそれに限定されない、有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを指すよう本明細書で使用される。治療的利益としては、治療されている基礎疾患の根絶、阻害、減少、又は改善が挙げられるが、これらに限定されない。また、治療的利益は、患者が、基礎疾患にまだ罹患している可能性があるとしても、患者において改善がみられるように、基礎疾患と関連する生理学的症状のうちの1つ以上の根絶、阻害、減少、又は改善によって達成される。
【0090】
本明細書で使用される、「予防」及び「予防すること」という用語は、予防的利益を含むがそれに限定されない有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを指すよう本明細書で使用される。予防的利益のために、医薬組成物は、該疾患の診断がなされていないかもしれない場合でも、特定の疾患を生じるリスクがある患者又は疾患の生理学的症状のうちの1つ以上を訴えている患者に投与され得る。
【0091】
「治療効果」は、該用語が本明細書で使用される場合には、上述のような治療的利益及び/又は予防的利益を包含する。予防効果には、疾患又は状態の出現を遅延させるか又はなくすこと、疾患又は状態の症状の発症を遅延させるか又はなくすこと、疾患又は状態の増悪を減速、停止、もしくは反転させること、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0092】
「を治療する方法」という句又はその等価物は、例えば、がんに対して適用される場合、動物におけるがん細胞の数を減少させるか又は無くすようにか、又はがんの症状を軽減するように設計された手順又は行動方針を指す。がん又は別の増殖性障害「を治療する方法」は、がん細胞又は別の障害が、実際に無くなるであろうことや、細胞の数又は障害が、実際に減少するであろうことや、がん又は他の障害の症状が、実際に軽減されるであろうことを必ずしも意味しない。多くの場合、がんを治療する方法は、成功の可能性が低くても行なわれるであろうが、動物の病歴及び推定された生存予想値を考えれば、それでもなお、総合的に有益な行動方針とみなされる。
【0093】
「治療上有効な薬剤」又は「治療薬剤」という用語は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医によって求められている組織、系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的な反応を誘発するであろう組成物を意味する。
【0094】
本明細書で使用される、腫瘍又はがんの「悪性度」は、腫瘍が成長している速度を指す。従って、腫瘍は、それが、より速い速度で増殖性である場合に、別の腫瘍又はがんよりも高悪性度である。別の決定要因を使用して、腫瘍又はがんの悪性度のレベルを測定することができ、例えば、顕微鏡下での腫瘍又はがん細胞の外観に基づいて、腫瘍が分化している程度を決定することができる。高分化型の腫瘍は、低分化型の腫瘍又はがんよりも高悪性度である傾向がある。
【0095】
「選択的阻害」又は「選択的に阻害する」という用語は、生理活性な薬剤に適用される場合、標的との直接的又は間接的な相互作用を介して、オフターゲットのシグナル伝達活性と比較して、標的シグナル伝達活性を選択的に減少させる薬剤の能力を指す。例えば、PI3Kの1つのアイソフォームをPI3Kの別のアイソフォームよりも選択的に阻害する化合物は、第2のアイソフォームに対する化合物の活性と比較して、第1のアイソフォームに対して少なくとも約1倍超の活性を有する(例えば、少なくとも約2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、又は1000倍)。ある実施態様において、これらの用語は、(1)アルファ、ベータ、又はデルタアイソフォームよりもガンマアイソフォームを選択的に阻害する本明細書に記載される化合物;又は(2)アルファ、ベータ、又はガンマアイソフォームよりもデルタアイソフォームを選択的に阻害する本明細書に記載される化合物を指す。非限定的な例として、選択性の比は、約1倍超、約2倍超、約3倍超、約5倍超、約10倍超、約50倍超、約100倍超、約200倍超、約400倍超、約600倍超、約800倍超、約1000倍超、約1500倍超、約2000倍超、約5000倍超、約10,000倍超、又は約20,000倍超とすることができ、ここで、選択性は、IC50により測定可能である。ある実施態様において、前記IC50は、インビトロ又はインビボでのアッセイにより測定可能である。
【0096】
投与が想定される「対象」又は「患者」としては、ヒト(例えば、任意の年齢層の男性又は女性、例えば、小児対象(例えば、幼児、子供、青年)もしくは成人対象(例えば、若年成人、中年成人、もしくは老人))並びに/又は他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/又はイヌなどの商業関連の哺乳動物を含む哺乳動物;並びに/又はニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、及び/もしくはシチメンチョウなどの商業関連の鳥類を含む鳥類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
「インビボで」という用語は、対象の体内で起こる事象を指す。
【0098】
「インビトロ」という用語は、対象の体外で起こる事象を指す。例えば、インビトロアッセイは、対象の外側で実施される任意のアッセイを包含する。インビトロアッセイは、生細胞又は死細胞である細胞が採用される細胞ベースのアッセイを包含する。インビトロアッセイはまた、インタクトな細胞が採用されない細胞フリーのアッセイも包含する。
【0099】
組合せ療法又は「と組み合わせて」は、特定の障害又は状態を治療するための2種以上の化合物又は薬剤の使用を指す。例えば、化合物1を、少なくとも1種の追加の治療薬剤と組み合わせて投与し得る。「と組み合わせて」によって、他の療法及び化合物1が、同時に投与されなければならず、かつ/又は一緒に送達するために製剤化されなければならないことを暗示することは意図しないが、これらの送達の方法は、本件開示の範囲内である。化合物1は、1種以上の別の追加の薬剤と同時にか、その前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に)か、又はその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に)に投与することができる。一般的に、各治療薬剤は、該特定の薬剤に対して決定された用量でかつ/又はタイムスケジュールで投与されるものである。別の治療薬剤は、本明細書の化合物1と、単一の組成物中でか又は異なる組成物中で別々に投与することができる。より高度な組合せ、例えば、三剤療法も、本明細書で想定される。
【0100】
「の共投与」及び「を共投与すること」という用語並びにそれらの文法的等価物は、本明細書で使用される場合、双方の薬剤及び/又はそれらの代謝産物が、同じ又は実質的に同じ時間に対象内に存在するような、対象への2種以上の薬剤の投与を包含する。一実施態様において、追加の抗がん剤とのPI3K阻害剤の共投与(以下において、両成分は「2つの活性薬剤」と称せられる)は、別々又は一緒のいずれかでの該2つの活性薬剤の任意の投与を指し、ここで、該2つの活性薬剤は、組合せ療法の利益を得るように設計された適切な投薬レジメンの一部として投与される。従って、前記2つの活性薬剤は、同じ医薬組成物の一部としてか又は別々の医薬組成物中でかのいずれかで投与することができる。前記追加の薬剤は、前記PI3K阻害剤の投与の前にか、それと同時にか、もしくはその後に、又はそれらのある種の組み合わせで投与することができる。PI3K阻害剤が、繰り返される間隔で、例えば、標準的な治療の経過の間に患者に投与される場合、追加の薬剤は、前記PI3K阻害剤又はそのある種の組み合わせの各投与の前にか、それと同時にか、もしくはその後にか、又はPI3K阻害剤治療との関連で異なる間隔でか、又はPI3K阻害剤を用いる治療の過程の前にか、その間の任意の時点でか、又はその後に単回投与で投与することができる。ある実施態様において、第1の薬剤は、第2の治療薬剤の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前に)か、それと本質的に同時にか、又はその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後に)投与することができる。
【0101】
本明細書で使用される、「単剤療法」は、例えば、同じ適応症、例えば、がんを治療する第2の活性成分を伴わない、個々の(本明細書では、単独のとも称される)(例えば、単一の化合物又は薬剤としての)薬剤の使用を指す。例えば、この文脈において、単剤療法という用語は、がんを治療するための、前記PI3K阻害剤又は前記第2の薬剤のいずれかの個々の使用を含む。
【0102】
「相乗作用」又は「相乗的な」という用語は、2種以上の薬剤の組合せの、それらの個々の効果と比較して、相加を超える効果を包含する。ある実施態様において、相乗作用又は相乗効果は、例えば、医薬組成物中でか、又は治療の方法の中で2種以上の薬剤を組合せて用いることの有利な効果を指す。ある実施態様において、1つ以上の有利な効果が、PI3K阻害剤を本明細書に記載されるような第2の治療薬剤(例えば、1種以上の第2の治療薬剤)と組み合わせてを用いることによって達成される。
【0103】
いくつかの実施態様において、前記相乗効果は、より低投薬量の一方又は双方の薬剤が、効果を達成するのに必要とされることである。例えば、前記組合せは、薬剤のうちの少なくとも1種が、該薬剤が単剤療法として投与される場合に同じ治療効果を達成するのに必要とされるであろう該薬剤の用量よりも低投薬量で投与される場合に、選択された効果、例えば、治療効果を提供することができる。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)及び第2の薬剤(本明細書に記載されるようなもの)の組合せは、該PI3K阻害剤を、該PI3K阻害剤が単剤療法として投与されたとした場合に同じ治療効果を達成するのに必要とされるであろう量よりも低投薬量で投与することを可能とする。
【0104】
いくつかの実施態様において、前記相乗効果は、そうしなかった場合に薬剤のうちの少なくとも1種の投与に伴うであろう、1つ以上の副作用、毒性、抵抗性の発生又は発生の可能性の減少、予防、遅延、又は低下である。
【0105】
いくつかの実施態様において、前記相乗効果は、薬剤のうちの少なくとも1種に対する抵抗性の減少(例えば、抵抗性の尺度の低下もしくは抵抗性の発生の低下した可能性)、又はそれに対する抵抗性の発生の遅延である。
【0106】
いくつかの実施態様において、前記相乗効果は、微小残存病変(MRD)の減少である。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、本明細書に記載されるPI3K阻害剤)及び第2の薬剤(例えば、本明細書に記載される第2の薬剤)の組合せは、該対象におけるMRDを、例えば、該対象において以前に測定されたレベル(例えば、該組合せが投与される前に測定されたレベル)を下回って減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤の組合せは、該対象におけるMRDを、単剤療法、例えば、前記PI3K阻害剤又は前記第2の薬剤のいずれかを含む単剤療法を用いる治療の間か又はその後に観察されるレベルを下回って減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記MRDは、前記PI3K阻害剤を含む単剤療法を用いる治療の間に観察されるレベルを下回って低下する。ある実施態様において、前記MRDは、前記第2の薬剤を含む単剤療法を用いる治療の間に観察されるレベルよりも下回って低下する。ある実施態様において、前記組合せは、MRDのレベルを、事前に選択したカットオフ値(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は100,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)を下回って減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記事前に選択したカットオフ値は、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞である。ある実施態様において、前記事前に選択したカットオフ値は、100,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞である。
【0107】
いくつかの実施態様において、相乗効果は、PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はその医薬として許容し得る形態)及び第2の治療薬剤(例えば、本明細書に記載されるような1種以上の追加の治療薬剤(複数可)又はその医薬として許容し得る形態)の組合せであって、該PI3K阻害剤及び該第2の薬剤の相加効果を超える治療効果をもたらす、前記組合せを指す。
【0108】
いくつかの実施態様において、相乗効果は、例えば、所与の効果について、例えば、選択された百分率(例えば、50%)阻害又は増殖阻害で、例えば、本明細書の実施例に記載されるように、併用指数値が選択された値未満であることを意味する。ある実施態様において、前記選択された値は、1である。ある実施態様において、前記選択された値は、0.7である。ある実施態様において、前記選択された値は0.5である。
【0109】
いくつかの実施態様において、相乗効果は、相乗作用スコアが、1以上であることを意味する。ある実施態様において、前記相乗作用スコアは、1を超える。ある実施態様において、前記相乗作用スコアは、2を超える。ある実施態様において、前記相乗作用スコアは、3を超える。
【0110】
併用指数(CI)は、ポテンシー変化の尺度である。併用指数は、当技術分野において公知であり、例えば、その内容が、引用により本明細書に組み込まれる、Chouらの文献: Adv Enzyme Regul 1984; 22: 27-55及び米国特許公報第2013/0295102号に記載されている。1を超えるCI値は、拮抗効果を示し;1.0であるCI値は、相加効果を表し;1未満のCI値は、組合せから生ずる相乗効果を表す。CI値は、さまざまな百分率の阻害又は増殖阻害で決定することができる。
【0111】
CIは、選択された効果レベルを達成するのに必要とされる単剤用量に対する、組合せで必要とされるであろう2つの薬物のそれぞれの元の(単剤療法)用量の割合の推定を提供する。例えば、併用指数が、0.1の値を有する場合、個々の薬剤の総割合量(選択された効果を達成するのに単剤療法として投与される場合の該薬剤の量の割合として表される)の約10分の1のみが、組合せによって同じ選択された効果レベルを得るのに必要とされる。例えば、100mg/kgの薬物Aの用量が個別にか、又は200mg/kgの薬物Bの用量が個別に、選択された効果を達成するのに必要とされ、かつ併用指数が0.1である場合、およそ5mg/kgの薬物A及び10mg/kgの薬物Bで、選択された効果が達成されるであろう(それぞれの単剤の元の用量の20分の1が足しあわされて、合計で10分の1となる)。それらの割合値の和が、合計で併用指数となる限りにおいて、単剤の用量を、同じ割合値だけ減少させる必要はない;したがって、この例において、およそ8mg/kgの薬物A及び4mg/kgの薬物Bの用量でも、選択された効果が達成されるであろう(これは、薬物Aの元の用量の0.08倍及び薬物Bの元の用量の0.02倍であり;割合量の和(0.08+0.02)は、0.1の併用指数と等しい)。
【0112】
一実施態様によれば、相乗作用スコアは、Loewe相加性を越える組合せ効果の尺度である。ある例において、相乗作用スコアは、相乗的な相互作用の強さを特徴づけるスカラー尺度である。相乗作用スコアは:
相乗作用スコア=log f log f Σ max(0,Iデータ) (Iデータ-ILoewe
として計算し得る。この例において、マトリックス内の各構成薬剤及び組合せ点についての阻害比率が、全てのビヒクル処置された対照ウェルの中央値と比較して計算される。例の相乗作用スコア方程式では、相加性のLoeweモデルを用いて構成薬剤の活性から数値的に誘導されたモデル表面を超える、マトリックス内の各点で実験的に観察された活性量が積分される。相乗作用スコア方程式(上記)の追加の項は、個々の薬剤のために使用されるさまざまな希釈係数について規格化し、かつ実験全体にわたる相乗作用スコアの比較を可能にするのに用いられる。正の阻害ゲーティング又はIデータ乗数を含めることによって、ゼロ効果レベル付近のノイズが取り除かれ、かつ高活性レベルで生じる相乗的な相互作用の結果にバイアスがかけられる。別の実施態様によれば、相乗作用スコアは、相乗作用スコアの曲率が、中央値及び原点値(例えば、投与量ゼロ値)を導入することによって推定されるカーブフィッティング手法に基づいて計算し得る。
【0113】
相乗作用スコア尺度は、自己交差分析に使用し得る。自己交差の相乗作用スコアは、定義により相加的であることが期待され、従って、ゼロの相乗作用スコアを維持する。しかしながら、一部の自己交差相乗作用スコアは、ゼロ付近であるものの、多くはそれよりも大きく、実験的なノイズ又は単剤用量反応の最適ではないカーブフィッティングが、スコアのわずかな混乱の一因となっていることを示唆している。この方針は、細胞系中心的であり、細胞系パネル活性の国際評価(a global review of cell line panel activity)と比較した各細胞系における自己交差挙動に焦点を合わせている。相乗作用スコアが、平均自己交差+2標準偏差又は3標準偏差を超える組合せは、それぞれ、95%及び99%信頼度レベルで、候補相乗作用とみなすことができる。相加性は、ゼロの相乗作用スコアを維持するはずであり、2又は3標準偏差の相乗作用スコアは、95%及び99%の統計学的に有意なレベルでの相乗性を示す。
【0114】
Loewe量(Loewe Volume)(Loewe Vol)を用いて、Loewe相加性モデルを超える組合せ相互作用の総合的な大きさが評価される。Loewe量は、相乗的な拮抗作用(負のLoewe量)と比較して表現型の活性の相乗的な増加(正のLoewe量)を区別する場合に特に有用である。拮抗作用が観察される場合、Loewe量は、拮抗作用と特定の薬物標的活性又は細胞の遺伝子型との間に何らかの相関が存在するかどうかを調査するよう評価されるべきである。本モデルでは、相加性を、組合せ用量マトリックス表面が、それ自体と交差したいずれの薬物とも区別がつかないはずである非相乗的な組合せ相互作用として定義する。Loewe相加性の計算は、以下のようである:
(X/XI)+(Y/YI)=1を満たすILoewe
(式中、XI及びYIは、観察された組合せ効果Iに対する単剤有効濃度である)。例えば、50%阻害が、1μMの薬物A又は1μMの薬物Bによって別々に達成される場合、0.5μMのA及び0.5μMのBの組合せも、50%阻害するはずである。
【0115】
「抗がん効果」という用語は、治療薬剤ががんに対して有する効果、例えば、がん細胞の増殖、生存能力、又は双方の低下を指す。がん細胞のIC50を、抗がん効果の尺度として用い得る。
【0116】
IC50は、がん細胞を50%阻害することにおける治療薬剤の有効性の尺度を指す。
【0117】
「腫瘍」という用語は、それが悪性であろうと良性であろうと、任意の新生細胞成長及び増殖、並びに任意の前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。本明細書で使用される、「新生物の」という用語は、それが悪性であろうと良性であろうと、異常な組織成長をもたらす、調節不全又は無調節の細胞増殖の任意の形態を指す。従って「新生細胞」は、調節不全又は無調節の細胞増殖を有する悪性及び良性の細胞を含む。
【0118】
「がん」という用語は、固形腫瘍及び血液由来腫瘍を含むが、これらに限定されない。「がん」という用語は、膀胱、骨又は血液、脳、乳房、子宮頸部、胸部、結腸、子宮内膜(endrometrium)、食道、眼、頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口、頚部、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、胃、睾丸、のど、及び子宮のがんを含むが、これらに限定されない、皮膚組織、器官、血液、及び血管の疾患を指す。
【0119】
造血系起源とは、リンパ球、白血球、血小板、赤血球、及びナチュラルキラー細胞などの血液の細胞要素が産生されるプロセスである造血の間に産生される細胞を伴うことを指す。造血系起源のがんとしては、リンパ腫及び白血病が挙げられる。
【0120】
抵抗性又は屈折性(refractive)は、がんが、例えば、がんが、治療に対して反応しない程度まで、治療に対して減少した反応性を有する場合を指す。がんは、治療の初めに抵抗性であることもあり、治療の間に抵抗性となることもある。がん対象は、それを治療に対して抵抗性とさせる1つ以上の変異を有することがあり、又は該対象は、治療の間にそのような変異を生じた可能性がある。「難治性(refractory)」という用語は、それに対する治療(例えば、化学療法薬、生物学的製剤、及び/又は放射線療法)が、有効でないと判明したがんを指すことができる。難治性がん腫瘍は、縮小することもあるが、該治療が、有効であると決定される程度までではない。しかしながら、典型的には、該腫瘍は、治療の前と同じ大きさにとどまる(安定疾患(stable disease))か、又は成長する(進行疾患(progressive disease))。
【0121】
本明細書で使用される場合、治療に対する「反応性」、治療に対して「反応すること」、及び本用語の他の形態は、単独で又は組合せでの治療薬、例えば、PI3K阻害剤を用いる治療、例えば、単剤療法又は組合せ療法に対する対象の反応を指す。一実施態様において、PI3K阻害剤に対する反応が、決定される。療法、例えば、単独で又は組合せでPI3K阻害剤を用いる治療に対する反応性は、本明細書で開示される変化/バイオマーカーのうちの任意のものを用いることによってか、かつ/又は例えば、Hallek、M.らの文献: (2008) Blood 111 (12): 5446-5456; 「固形腫瘍のためのRECIST評価基準(固形腫瘍における反応評価基準)(RECIST criteria for solid tumors (Response Evaluation Criteria In Solid Tumors))」などに記載されるIWCLL 2008(CLLに対するもの)などの1種以上の臨床的基準を用いて療法に対する対象の反応を比較することによって評価することができる。反応性の追加の分類は、Brown, J.R.の文献: (2014) Blood, 123(22):3390-3397及びChesson, B.D.らの文献: Journal of Clinical Oncology, 30(23):2820-2822に提供されている。
【0122】
これらの基準は、がん患者が治療の間に、改善した場合(「反応/奏功(respond)」)、同じままである場合(「安定(stable)」)、又は悪化した場合(「進行(progression)」)を規定する一連の公表された規則を提供する。
【0123】
一実施態様において、CLLを患う対象を、完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)にあると決定することができる。例えば、IWCLL 2008によれば、対象は、療法の完了後に評価して、以下の基準:(i)4×109/L(4000μL)よりも少ない末梢血リンパ球(血球数及び別の数によって評価される);(ii)理学的検査による肝腫大や脾腫大がないこと;(iii)全身症状の不存在;及び(iv)上記Hallek、M.らの文献:5451頁に記載される値を超える血球数(例えば、好中球、血小板、ヘモグロビン))のうちの少なくとも全てが満たされる場合に、CRにあるとみなされる。CLLの部分寛解(PR)は、IWCLL 2008によれば:(i)血中リンパ球の数の、療法前の値から50%以上の低下;(ii)CTスキャン又は触診によって検出した場合のリンパ節腫大の減少;又は(iii)CTスキャン又は触診によって検出した場合の脾臓又は肝臓の治療前の肥大の50%以上の減少;及び上記Hallek、M.らの文献:5451頁に記載される値による血球数(例えば、好中球、血小板、ヘモグロビン)のうちの1つを含むものとして定義される。
【0124】
他の実施態様において、CLLを患う対象は、進行性疾患(PD)又は安定疾患(SD)を有するものと決定される。例えば、IWCLL 2008によれば、対象は、療法の間又は療法後に、以下の基準:(i)リンパ節腫大の進行;(ii)脾臓又は肝臓の治療前肥大の50%以上の増加、又は肝腫大又は脾腫大の新たな出現;(iii)1マイクロリットルあたり少なくとも5000個のBリンパ球を伴う血中リンパ球の数の50%以上の増加;(iv)より高悪性度である組織像への転換(例えば、リヒター症候群);又は(v)上記Hallek、M.らの文献:5452頁に記載されるような、CLLに帰すことができる血球減少の発生(好中球減少症、貧血、又は血小板減少症)のうちの少なくとも1つが満たされる場合に、PDにあるとみなされる。CLLの安定疾患(SD)は、IWCLL 2008によれば、CRやPRを達成しておらず、かつ進行性疾患を示していない患者として定義される、上記Hallek、M.らの文献:5452頁を参照されたい。
【0125】
一実施態様において、CLLの対象は、IWCLLによる疾患進行の基準のうちの少なくとも1つが、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上遅延されるか又は減少する場合に、PI3K阻害剤を用いる治療に対して反応する。別の例において、対象は、該対象が、例えば、治療が実施されない場合に予測される期待生存時間を超えて約5%、10%、20%、30%、40%、50%以上延長された、期待生存時間の延長を経験する場合に、PI3K阻害剤を用いる治療に対して反応する。別の例において、対象は、該対象が、以下:例えば、上記Hallek、M.らの文献:5452頁に記載されているような、増加した無増悪生存期間、全生存、又は増加した無増悪期間(TTP)のうちの1つ以上を有する場合に、PI3K阻害剤を用いる治療に対して反応する。
【0126】
固形腫瘍における別の実施態様において、対象は、該対象における腫瘍の成長が、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上遅延された場合に、PI3K阻害剤を用いる治療に対して反応する。別の例において、対象は、任意の適切な手段によって、例えば、質量又は体積によって決定される該対象における腫瘍が、約5%、10%、20%、30%、40%、50%以上縮む場合に、PI3K阻害剤を用いる治療に対して反応する。別の例において、対象は、該対象が、治療が実施されない場合に予測される期待生存時間を超えて、約5%、10%、20%、30%、40%、50%以上延長された期待生存時間を経験する場合に、PI3K阻害剤を用いる治療に対して反応する。別の例において、対象は、該対象が、増加した無病生存期間、全生存、又は増加した無増悪期間を有する場合に、PI3K阻害剤を用いる治療に対して反応する。上記のようなRECIST基準を含むいくつかの方法を使用して、患者が、治療に対して反応するかどうかを決定することができる。
【0127】
「取得する」又は「取得すること」は、該用語が本明細書で使用される場合、変化又はバイオマーカーの値又は情報(例えば、存在、非存在、量、又はレベルのうちの1つ以上)を、それを「直接的に取得すること」又は「間接的に取得すること」によって、得ること、決定すること、又は評価することを指す。「直接的に取得すること」は、変化又はバイオマーカーの値又は情報を得るプロセスを行うこと(例えば、試験を行うこと)を意味する。「間接的に取得すること」は、変化又はバイオマーカーの値又は情報を、別の者又は情報源(例えば、診断提供者、第三者の臨床医、又は医療専門家)から受け取ることを指す。
【0128】
(化学的定義)
本明細書で使用される場合、開示される化合物の「医薬として許容し得る形態」は、開示される化合物の医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体を含むが、これらに限定されない。一実施態様において、「医薬として許容し得る形態」は、開示される化合物の医薬として許容し得る塩、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0129】
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、医薬として許容し得る塩である。本明細書で使用される場合、「医薬として許容し得る塩」という用語は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずに対象の組織と接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合っている塩を指す。医薬として許容し得る塩は当技術分野で周知である。例えば、Bergeらは、医薬として許容し得る塩を、J. Pharmaceutical Sciences(1977)66: 1-19で詳細に記載している。本明細書において提供される化合物の医薬として許容し得る塩としては、好適な無機及び有機の酸及び塩基から誘導される塩が挙げられる。医薬として許容し得る無毒な酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸とともにか、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸とともにか、又はイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の医薬として許容し得る塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。いくつかの実施態様において、塩を誘導し得る有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0130】
適当な塩基から誘導される医薬として許容し得る塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びN+(C1-4アルキル)4塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられる。さらなる医薬として許容し得る塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される無毒なアンモニウム陽イオン、4級アンモニウム陽イオン、及びアミン陽イオンが挙げられる。塩を誘導し得る有機塩基としては、例えば、1級、2級、及び3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンが挙げられる。いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩から選択される。
【0131】
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は「溶媒和物」(例えば、水和物)である。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、非共有結合的な分子間力によって結合している化学量論的又は非化学量論的量の溶媒をさらに含む化合物を指す。溶媒和物は、開示された化合物又はその医薬として許容し得る塩のものであり得る。溶媒が水である場合、溶媒和物は「水和物」である。医薬として許容し得る溶媒和物及び水和物は、例えば、1~約100個、もしくは1~約10個、又は1~約2、約3、もしくは約4個の溶媒分子又は水分子を含み得る錯体である。本明細書で使用される「化合物」という用語は、化合物及び化合物の溶媒和物、並びにこれらの混合物を包含することが理解されるであろう。
【0132】
ある実施態様において、前記医薬として許容し得る形態は、プロドラッグである。本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、インビボで変換されて開示される化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態を生じる化合物を指す。プロドラッグは、対象に投与されたときには不活性であってもよいが、インビボで、例えば、加水分解(例えば、血液での加水分解)によって活性化合物へと変換される。ある場合には、プロドラッグは、親化合物よりも向上した物理的性質及び/又は送達性を有する。プロドラッグは、典型的には、親化合物と関連する医薬及び/又は薬物動態学ベースの性質を増強ように設計される。プロドラッグ化合物は、哺乳動物生物において、溶解性、組織適合性、又は遅延放出という利点を提供することが多い(例えば、Bundgard, H.の文献:プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(1985)、pp. 7-9、21-24(Elsevier, Amsterdam)を参照されたい)。プロドラッグの考察は、どちらも引用により本明細書中に完全に組み込まれる、Higuchi, T.らの文献:「新規送達系としてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Delivery Systems)」、A.C.S. Symposium Series、第14巻、第1章、1頁~12頁及び薬物設計におけるバイオリバーシブル担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に提供されている。例示的なプロドラッグの利点としては、その物理的性質、例えば、親化合物と比較して増強された非経口投与のための生理学的なpHでの水溶性が挙げられるが、これらに限定されず、又はそれは、消化管からの吸収を増強するか、又はそれは、長期保管のための薬物安定性を増強することができる。
【0133】
「プロドラッグ」という用語は、そのようなプロドラッグが対象に投与されたときに、活性化合物をインビボで放出する、任意の共有結合した担体を含むことも意図される。本明細書に記載される、活性化合物のプロドラッグは、修飾がルーチンの操作又はインビボのいずれかで切断されて親活性化合物になるように、活性化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製することができる。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノ、又はメルカプト基が任意の基に結合している化合物を含み、この任意の基は、活性化合物のプロドラッグが対象に投与されたときに切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、又は遊離メルカプト基を形成する。プロドラッグの例としては、アルコールの酢酸エステル、ギ酸エステル、及び安息香酸エステル誘導体、又は活性化合物中のアミン官能基のアセトアミド、ホルムアミド、及びベンズアミド誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部分を含む化合物が挙げられる。プロドラッグは、通常、周知の方法、例えば、Burgerの医薬品化学及び創薬(Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)、172-178、949-982(Manfred E. Wolff編、第5版、1995)、及びプロドラッグの設計(Design of Prodrugs)(H. Bundgaard編、Elselvier, New York, 1985)に記載の方法を用いて調製することができる。
【0134】
例えば、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がカルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、酸基の水素原子の、(C1-C8)アルキル、(C2-C12)アルカノイルオキシメチル、4~9個の炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5~10個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)-エチル、3~6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4~7個の炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5~8個の炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3~9個の炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4~10個の炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、ガンマ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C1-C2)アルキルアミノ(C2-C3)アルキル(例えば、β-ジメチルアミノエチル)、カルバモイル-(C1-C2)アルキル、N,N-ジ(C1-C2)アルキルカルバモイル-(C1-C2)アルキル、及びピペリジノ-、ピロリジノ-、又はモルホリノ(C2-C3)アルキルなどの基での置換によって形成される医薬として許容し得るエステルを含むことができる。
【0135】
同様に、開示された化合物又は該化合物の医薬として許容し得る形態がアルコール官能基を含有する場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子の、(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、α-アミノ(C1-C4)アルカノイル、アリールアシル、及びα-アミノアシル、又はα-アミノアシル-α-アミノアシル(ここで、各α-アミノアシル基は、独立に、天然に存在するL-アミノ酸から選択される)、P(O)(OH)2、-P(O)(O(C1-C6)アルキル)2、及びグリコシル(ヘミアセタール形態の炭水化物のヒドロキシル基の除去によって得られるラジカル)などの基での置換によって形成され得る。
【0136】
開示された化合物又は式(I)の医薬として許容し得る形態がアミン官能基を取り込んでいる場合、プロドラッグは、アミン基中の水素原子の、R-カルボニル、RO-カルボニル、NRR'-カルボニル(ここで、R及びR'は、各々独立に、(C1-C10)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、ベンジル、天然α-アミノアシル、又は天然α-アミノアシル-天然α-アミノアシルである)、-C(OH)C(O)OY1(式中、Y1は、H、(C1-C6)アルキル、又はベンジルである)、-C(OY2)Y3(式中、Y2は(C1-C4)アルキルであり、かつY3は、(C1-C6)アルキル、カルボキシ(C1-C6)アルキル、アミノ(C1-C4)アルキル、又はモノ-N-もしくはジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノアルキルである)、-C(Y4)Y5(式中、Y4は、H又はメチルであり、かつY5は、モノ-N-又はジ-N,N-(C1-C6)アルキルアミノである)、モルホリノ、ピペリジン-1-イル、或いはピロリジン-1-イルなどの基での置換によって形成し得る。
【0137】
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は異性体である。「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子が空間内で配置される様式のみが異なる異性体である。本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、任意の及び全ての幾何異性体及び立体異性体を含む。例えば、「異性体」は、E-及びZ-異性体とも呼ばれる二重結合シス-及びトランス-幾何異性体;R-及びS-エナンチオマー;ジアステレオマー、(d)-異性体及び(l)-異性体、これらのラセミ混合物;並びにこれらの他の混合物を、本開示の範囲内に含まれるものとして含む。
【0138】
「エナンチオマー」は、重ね合わせることができない互いの鏡像である1対の立体異性体である。1対のエナンチオマーの1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。「(±)」という用語は、適切な場合、ラセミ混合物を表すために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン-インゴールド-プレログ(Cahn-Ingold-Prelog)R-S体系に準拠して規定される。化合物が、純粋なエナンチオマーである場合、それぞれのキラル炭素における立体化学は、R又はSのどちらかによって規定し得る。その絶対配置が不明である分割化合物は、それらが、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)によって(+)又は(-)と表すことができる。本明細書に記載される化合物のいくつかは、1以上の不斉中心を含み、そのため、絶対立体化学に関して、(R)-又は(S)-と規定し得るエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形態を生じることができる。本化学的実体、医薬組成物、及び方法は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態、及び中間体混合物を含む、全てのそのような可能性のある異性体を含むことが意図される。光学活性な(R)-及び(S)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製し得るか、又は従来の技法を用いて分割することができる。本明細書に記載される化合物が、オレィン性二重結合又は他の幾何不斉中心を含む場合、別途指定されない限り、該化合物は、E及びZ幾何異性体の双方を含むことが意図される。
【0139】
本明細書で使用される場合、「エナンチオマー純度」は、他のエナンチオマーに対する特定のエナンチオマーの存在の百分率として表される相対量を指す。例えば、(R)-又は(S)-異性体立体配置を有する可能性のある化合物が、ラセミ混合物として存在する場合には、エナンチオマー純度は、(R)-又は(S)-異性体いずれに関しても約50%である。該化合物が、一方の異性体形態を他方に対して支配的に有する場合、例えば、80%(S)-かつ20%(R)-である場合、(S)-異性体形態に関する該化合物のエナンチオマー純度は、80%である。化合物のエナンチオマー純度は、キラル担体を用いるクロマトグラフィー、偏光の回転の旋光分析測定、キラルな錯体を含むランタニド又はPirkleアルコールを含むが、これらに限定されないキラルなシフト試薬を用いる核磁気共鳴分光法、又はMosher酸などのキラル化合物を用いる化合物の誘導体化とそれに続くクロマトグラフィー又は核磁気共鳴分光法を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知のいくつかの方法で決定し得る。
【0140】
ある実施態様において、医薬として許容し得る形態は、互変異性体である。本明細書で使用される場合、「互変異性体」という用語は、水素原子の少なくとも1回のホルマール移動及び価数の少なくとも1回の変化(例えば、単結合から二重結合へ、三重結合から二重結合へ、又は三重結合から単結合へ、又はその逆)から得られる2以上の相互変換可能な化合物を含むタイプの異性体である。「互変異性化」は、酸塩基化学反応の一部と考えられる、プロトトロピー型又はプロトンシフト型互変異性化を含む。「プロトトロピー型互変異性化」又は「プロトンシフト型互変異性化」は、結合次数の変化を伴うプロトンの移動を伴う。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒、及びpHを含む、いくつかの因子によって決まる。互変異性化が可能な場合(例えば、溶液中で)、互変異性体の化学平衡に到達させ得る。互変異性化(すなわち、互変異性体対を提供する反応)は、酸もしくは塩基によって触媒され得るか、又は外部薬剤の作用もしくは存在なしで起こり得る。例示的な互変異性化としては、ケト-エノール;アミド-イミド;ラクタム-ラクチム;エナミン-イミン;及びエナミン-(異なる)エナミン互変異性化が挙げられるが、これらに限定されない。ケト-エノール互変異性化の具体的な例は、ペンタン-2,4-ジオン及び4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オン互変異性体の相互変換である。互変異性化の別の例は、フェノール-ケト互変異性化である。フェノール-ケト互変異性化の具体的な例は、ピリジン-4-オール及びピリジン-4(1H)-オン互変異性体の相互変換である。
【0141】
特に断りのない限り、本明細書に図示される構造は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意図される。例えば、分子における1つ以上の原子での水素の重水素又はトリチウムによる置換もしくは富化、又は分子における1つ以上の原子での炭素の13Cもしくは14Cによる置換もしくは富化を除けば本構造を有する化合物は、本件開示の範囲内である。一実施態様において、本明細書で提供されるものは、重水素で置換又は富化された1つ以上の水素原子を有する同位体標識された化合物である。一実施態様において、本明細書で提供されるものは、トリチウムによって置換又は富化された1つ以上の水素原子を有する、同位体標識された化合物である。一実施態様において、本明細書で提供されるものは、13Cで置換又は富化された1つ以上の炭素原子を有する同位体標識された化合物である。一実施態様において、本明細書で提供されるものは、14Cで置換又は富化された1つ以上の炭素原子を有する同位体標識された化合物である。
【0142】
本開示はまた、1つ以上の原子が、天然に通常みられる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されていることを除けば本明細書に記載されるものと同じである同位体標識された化合物を包含する。開示される化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体、例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clなどが挙げられる。ある同位体標識された開示された化合物(例えば、3H及び/又は14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識同位体(すなわち、3H)及び炭素-14同位体(すなわち、14C)は、調製の簡便性及び検出可能性を可能にすることができる。さらに、より重い同位体、例えば、ジュウテリウム(すなわち、2H)との置換は、より大きな代謝安定性から得られる特定の治療的利点(例えば、インビボ半減期の延長又は投薬必要量の低下)を与えることができる。同位体標識された開示された化合物は、通常、同位体標識されていない試薬の代わりに同位体標識された試薬を用いることによって調製することができる。いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるものは、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ又は複数において非天然の割合の原子同位体も含有し得る化合物である。本明細書で開示される化合物の同位体バリエーションは全て、放射性であるか否かを問わず、本開示の範囲内に包含される。
【0143】
本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、「多形」は、結晶性材料、例えば、結晶形を記述するために本明細書で使用され得る。ある実施態様において、本明細書で使用される「多形」は、特定の結晶性又はアモルファス形態に言及されている場合を除き、例えば、結晶形、多形、疑似多形、溶媒和物、水和物、共結晶、溶媒和さていない多形(無水物を含む)、コンホメーション多形、互変異性形態、乱された結晶形、及びアモルファス形態、並びにそれらの混合物を含む、化合物又はその塩の全ての結晶性及びアモルファス形態を含むことも意図される。本開示の化合物は、例えば、該化合物の結晶形、多形、疑似多形、溶媒和物、水和物、共結晶、溶媒和さていない多形(無水物を含む)、コンホメーション多形、互変異性形態、乱された結晶形、及びアモルファス形態又はその塩、並びにそれらの混合物を含む、これらの化合物の結晶性形態及びアモルファス形態を含む。
【0144】
「医薬として許容し得る担体」又は「医薬として許容し得る賦形剤」には、任意の全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、並びに吸収遅延剤などが含まれる。医薬活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が活性成分と適合しない場合を除き、本明細書で開示される治療組成物におけるその使用が想定される。補助的な活性成分を医薬組成物中に組み込むこともできる。
【0145】
図示された構造と該構造に与えられた名称との間に食い違いがある場合には、図示された構造に、より重きが置かれるべきであることに留意すべきである。加えて、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば、太字又は破線で示されていない場合、該構造又は構造の部分は、該構造の全ての立体異性体を包含するものと解釈されるべきである。
【0146】
(2. 組成物及び方法)
本明細書に記載される方法及び組成物において、前記PI3K阻害剤は、その薬理学的に許容し得る塩又は多形を含む、本明細書において以下で記載されるような任意のPI3K阻害剤であり得る。
【0147】
本明細書で使用される、「ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤」又は「PI3K阻害剤」は、任意のPI3Kの阻害剤を指す。PI3Kは、ホスファチジルイノシトール又はホスホイノシチド上の3’-OH基をリン酸化する細胞内脂質キナーゼの独特のかつ保存されたファミリーを構成する。PI3Kファミリーは、異なる基質特異性、発現パターン、及び調節様式を有するキナーゼを含む(例えば、Katsoらの文献: 2001, Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17, 615 -675; Foster, F.M.らの文献: 2003, J Cell Sci 116, 3037-3040を参照されたい)。クラスIのPI3K(例えば、p110α、p110β、p110γ、及びp110δ)は、通常、チロシンキナーゼ又はGタンパク質共役受容体によって活性化されて、PIP3を生じ、これが、下流メディエーター、例えば、AKT/PDK1経路のものなど、mTOR、Tecファミリーキナーゼ、及びRhoファミリーGTPアーゼを関与させる。クラスIIのPI3K(例えば、PI3K-C2α、PI3K-C2β、PI3K-C2γ)及びクラスIIIのPI3K(例えば、Vps34)は、PI(3)P及びPI(3,4)P2の合成を介して細胞内輸送において重要な役割を果たす。特定の例示的なPI3K阻害剤が、本明細書で開示される。
【0148】
クラスIのPI3Kは、p110触媒サブユニット及び制御性アダプターサブユニットを含む。例えば、Cantrell, D.A.の文献: (2001) Journal of Cell Science 114: 1439-1445を参照されたい。p110サブユニットの4つのアイソフォーム(PI3K-α(アルファ)、PI3K-β(ベータ)、PI3K-γ(ガンマ)、及びPI3K-δ(デルタ)アイソフォームを含む)は、さまざまな生物学的機能に関係があるとされている。クラスIのPI3Kαは、例えば、インスリンシグナル伝達に関係しており、固形腫瘍において変異することが分かっている。クラスIのPI3K-βは、例えば、血小板活性化及びインスリンシグナル伝達に関係している。クラスIのPI3K-γは、肥満細胞活性化、自然免疫機能、及び免疫細胞輸送(ケモカイン)において役割を果たす。クラスIのPI3K-δは、例えば、B細胞及びT細胞の活性化及び機能、並びに肥満細胞におけるFc受容体シグナル伝達に関係している。本明細書で提供されるいくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤は、クラスIのPI3K阻害剤である。いくつかのそのような実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3K-α(アルファ)、PI3K-β(ベータ)、PI3K-γ(ガンマ)、もしくはPI3K-δ(デルタ)アイソフォーム、又はそれらの組み合わせを阻害する。
【0149】
PI3Kシグナル伝達経路の下流のメディエーターには、Akt及び哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)が含まれる。Manningらの文献: Cell 129, 1261- 1274, 2007年6月月29日。Aktは、Aktキナーゼ活性化に繋がる、PIP3に結合するプレクストリン相同(PH)ドメインを有する。Aktは、多くの基質をリン酸化し、かつ種々の細胞応答のためのPI3Kの中心的な下流エフェクターである。Aktの1つの重要な機能は、TSC2のリン酸化及び別の機構を介して、mTORの活性を増強することである。mTORは、PI3Kファミリーの脂質キナーゼに関連しているセリン-スレオニンキナーゼである。Laplanteらの文献: Cell 149,274-293、2012年4月13日。mTORは、細胞成長、細胞増殖、細胞運動性、及び生存を含む広範な生物学的プロセスに関係があるとされている。mTOR経路の調節不全が、さまざまな種類のがんで報告されている。mTORは、増殖因子及び栄養素シグナルを統合してタンパク質翻訳、栄養素取り込み、オートファジー、及びミトコンドリア機能を調節する多機能性のキナーゼである。
【0150】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、第2の薬剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて含む医薬組成物であって、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、又は6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択される、前記医薬組成物である。ある実施態様において、前記組合せは、治療上有効である。ある実施態様において、前記組合せは、相乗的なものであり、例えば、1つ以上の相乗効果、例えば、相乗的な治療効果を有する。
【0151】
本明細書においてはまた、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、第2の薬剤(例えば、1種以上の第2の薬剤)又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、又は6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択される、前記方法が提供される。ある実施態様において、前記組合せは、治療上有効である。ある実施態様において、前記組合せは、相乗的なものであり、例えば、1つ以上の相乗効果、例えば、相乗的な治療効果を有する。
【0152】
ある実施態様において、本明細書で提供される組成物及び方法は、治療薬剤のうちの1つの単剤療法の有効性が、薬物抵抗性を原因として低下していく場合か、又は比較的高投薬量の単剤療法が、望ましくない副作用に繋がる場合に利用される。
【0153】
(2.1 PI3K阻害剤)
本明細書で提供される組成物及び方法において使用することができるPI3K阻害剤としては、例えば、それぞれの全体が、引用により本明細書に組み込まれるWO09/088990、WO09/088086、WO2011/008302、WO2010/036380、WO2010/006086、WO09/114870、WO05/113556、WO2014072937、WO2014071125、US2009/0312310、及びUS2011/0046165に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される組成物及び方法において使用することができる追加のPI3K阻害剤としては、AMG-319、GSK 2126458(2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド)、GSK 1059615(5Z-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリジンジオン)、GDC-0032(4-[5,6-ジヒドロ-2-[3-メチル-1-(1-メチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル]イミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾオキサアゼピン-9-イル]-α,α-ジメチル-1H-ピラゾール-1-アセトアミド)、GDC-0980((S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン)、GDC-0941(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-((4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン)、XL147(N-(3-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-5-イルアミノ)キノキサリン-2-イル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド)、XL499、XL765(SAR245409、N-[4-[[[3-[(3,5-ジメトキシフェニル)アミノ]-2-キノキサリニル]アミノ]スルホニル]フェニル]-3-メトキシ-4-メチル-ベンズアミド)、PF-4691502(2-アミノ-6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチル-8-[(1R,4R)-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-7H,8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン)、BKM 120(ブパリシブ、5-(2,6-ジモルホリノピリミジン-4-イル)-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン)、イデラリシブ(CAL-101、GS1101、(S)-2-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)プロピル)-5-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン)、CAL 263、SF1126(3-[[2-[[5-[[アミノ(アザニウミル)メチリデン]アミノ]-2-[[4-オキソ-4-[4-(4-オキソ-8-フェニルクロメン-2-イル)モルホリン-4-イウム-4-イル]オキシブタノイル]アミノ]ペンタノイル]アミノ]アセチル]アミノ]-4-(1-カルボキシラトプロピルアミノ)-4-オキソブタノエート)、PX-866(ソノリシブ(sonolisib)、[(3aR,6E,9S,9aR,10R,11aS)-6-[[ビス(プロパ-2-エニル)アミノ]メチリデン]-5-ヒドロキシ-9-(メトキシメチル)-9a,11a-ジメチル-1,4,7-トリオキソ-2,3,3a,9,10,11-ヘキサヒドロインデノ[4,5-h]イソクロメン-10-イル]アセテート)、BEZ235(2-メチル-2-(4-(3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)フェニル)プロパンニトリル)、GS9820(CAL-120、(S)-2-(1-((9H-プリン-6-イル)アミノ)エチル)-6-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン)、BYL719((2S)-1,2-ピロリジンジカルボキサミド、N1-[4-メチル-5-[2-(2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチルエチル)-4-ピリジニル]-2-チアゾリル])、RP6503、RP6530、TGR1202(((S)-2-(l-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-l-イル)エチル)-6-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オン))、INK1117(MLN-1117)、PX-866、BAY 80-6946(2-アミノ-N-(7-メトキシ-8-(3-モルホリノプロポキシ)-2,3-ジヒドロイミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド)、IC87114(2-((6-アミノ-9H-プリン-9-イル)メチル)-5-メチル-3-o-トリルキナゾリン-4(3H)-オン)、Palomid 529(3-(4-メトキシベンジルオキシ)-8-(1-ヒドロキシエチル)-2-メトキシ-6H-ベンゾ[c]クロメン-6-オン)、ZSTK474(2-(ジフルオロメチル)-1-(4,6-ジモルホリノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール)、PWT33597、TG100-115(6,7-ビス(3-ヒドロキシフェニル)プテリジン-2,4-ジアミン)、GNE-477(5-[7-メチル-4-(モルホリン-4-イル)-6-[(4-メチルスルホニルピペラジン-1-イル)メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]ピリミジン-2-アミン)、CUDC-907(N-ヒドロキシ-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド)、AEZS-136、BGT-226(8-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(4-(ピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2(3H)-オンマレイン酸)、PF-05212384(1-(4-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-カルボニル)フェニル)-3-(4-(4,6-ジモルホリノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル)ウレア)、LY3023414、PI-103(3-[4-(4-モルホリニル)ピリド[3',2':4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]-フェノール)、INCB040093、CAL-130((S)-2-(1-((2-アミノ-9H-プリン-6-イル)アミノ)エチル)-5-メチル-3-(o-トリル)キナゾリン-4(3H)-オン)、LY294002(2-モルホリン-4-イル-8-フェニルクロメン-4-オン)、及びワートマニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブ(GS1101)、CAL-130、BKM 120、GDC-0941、PX-866、GDC-0032、BAY 80-6946、BEZ235、BYL719、BGT-226、PF-4691502、GDC-0980、GSK 2126458、PF-05212384、XL765、又はXL147である。
【0155】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブ(別名GS1101又はCAL-101)であり、化学名(S)-2-(1-(9H-プリン-6-イルアミノ)プロピル)-5-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オン及び以下の構造:
【化3】
を有する。
【0156】
ある実施態様において、PI3K阻害剤は、1つ以上のPI3Kアイソフォーム、例えば、アルファ、ベータ、デルタ、又はガンマアイソフォームを阻害する化合物である。一実施態様において、PI3K阻害剤は、1つ以上のPI3Kアイソフォームを、約1000nM未満、約900nM未満、約800nM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満、約10nM未満、約5nM未満、又は約1nM未満のIC50で阻害する化合物である。
【0157】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kのアルファ、ベータ、デルタ、及びガンマアイソフォームを阻害する化合物である。別の実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kのベータ、デルタ、及びガンマアイソフォームを阻害する化合物である。別の実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kのデルタ、及びガンマアイソフォームを阻害する化合物である。
【0158】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kアイソフォーム選択的阻害剤である。一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kアルファ選択的阻害剤である。別の実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kベータ選択的阻害剤である。
【0159】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ選択的阻害剤である。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、PI3KガンマアイソフォームよりもPI3Kデルタアイソフォームを選択的に阻害する。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、1超、約5超、約10超、約50超、約100超、約200超、約400超、約600超、約800超、約1000超、約1500超、約2000超、約5000超、約10,000超、又は約20,000超のガンマ/デルタ選択比を有する。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、1~約5、約5~約10、約10~約50、約50~約850超、又は約850超の範囲のガンマ/デルタ選択比を有する。一実施態様において、前記ガンマ/デルタ選択比は、PI3Kガンマアイソフォームに対する阻害剤のIC50を、PI3Kデルタアイソフォームに対する阻害剤のIC50で除することによって決定される。
【0160】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ選択的阻害剤である。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、PI3KアルファアイソフォームよりもPI3Kデルタアイソフォームを選択的に阻害する。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、1超、約5超、約10超、約50超、約100超、約200超、約400超、約600超、約800超、約1000超、約1500超、約2000超、約5000超、約10,000超、又は約20,000超のアルファ/デルタ選択比を有する。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、1~約5、約5~約10、約10~約50、約50~約850超、又は約850超の範囲のアルファ/デルタ選択比を有する。一実施態様において、前記アルファ/デルタ選択比は、PI3Kアルファアイソフォームに対する阻害剤のIC50を、PI3Kデルタアイソフォームに対する阻害剤のIC50で除することによって決定される。
【0161】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ選択的阻害剤である。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、PI3KベータアイソフォームよりもPI3Kデルタアイソフォームを選択的に阻害する。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、1超、約5超、約10超、約50超、約100超、約200超、約400超、約600超、約800超、約1000超、約1500超、約2000超、約5000超、約10,000超、又は約20,000超のベータ/デルタ選択比を有する。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、1~約5、約5~約10、約10~約50、約50~約850超、又は約850超の範囲のベータ/デルタ選択比を有する。一実施態様において、前記ベータ/デルタ選択比は、PI3Kベータアイソフォームに対する阻害剤のIC50を、PI3Kデルタアイソフォームに対する阻害剤のIC50で除することによって決定される。
【0162】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤は、ガンマ及びデルタの双方に対して選択的である。一実施態様において、前記PI3Kガンマ及びデルタ選択的阻害剤は、PI3KベータアイソフォームよりもPI3Kガンマ及びデルタアイソフォームを選択的に阻害する。一実施態様において、前記PI3Kガンマ及びデルタ選択的阻害剤は、1超、約5超、約10超、約50超、約100超、約200超、約400超、約600超、約800超、約1000超、約1500超、約2000超、約5000超、約10,000超、又は約20,000超のベータ/デルタ選択比を有し、かつ1超、約5超、約10超、約50超、約100超、約200超、約400超、約600超、約800超、約1000超、約1500超、約2000超、約5000超、約10,000超、又は約20,000超のベータ/ガンマ選択比を有する。一実施態様において、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤は、1~約5、約5~約10、約10~約50、約50~約850超、又は約850超の範囲のベータ/デルタ選択比を有し、かつ1~約5、約5~約10、約10~約50、約50~約850超、又は約850超の範囲のベータ/ガンマ選択比を有する。一実施態様において、前記ベータ/デルタ選択比は、PI3Kベータアイソフォームに対する阻害剤のIC50を、PI3Kデルタアイソフォームに対する阻害剤のIC50で除することによって決定され、前記ベータ/ガンマ選択比は、PI3Kベータアイソフォームに対する阻害剤のIC50を、PI3Kガンマアイソフォームに対する阻害剤のIC50で除することによって決定される。
【0163】
本明細書で提供される組成物及び方法において使用することができるPI3Kデルタ阻害剤としては、GSK-2269557(2-(6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル)-5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール)、GS-9820、GS-1101(5-フルオロ-3-フェニル-2-([S)]-1-[9H-プリン-6-イルアミノ]-プロピル)-3H-キナゾリン-4-オン)、AMG319、もしくはTGR-1202(((S)-2-(l-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-l-イル)エチル)-6-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オン))、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤は、イデラリシブである。
【0164】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、その全体が、引用により本明細書に組み込まれるWO2005/113556に記載されているようなPI3K阻害剤である。一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、WO2005/113556に記載されている化合物番号113又は107である。
【0165】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、その全体が、引用により本明細書に組み込まれるWO2014/006572に記載されているようなPI3K阻害剤である。一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、WO2014/006572に記載されている化合物番号A1、A2、B、B1、又はB2である。
【0166】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である。一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤は、それのデルタ及びガンマに対するIC50値よりも少なくとも5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、又は1000倍高いIC50値を、PI3Kアルファに対して有する。
【0167】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤は、以下の構造:
【化4】
の化合物1、又はその医薬として許容し得る形態である。
【0168】
化合物1は、(S)-3-(1-((9H-プリン-6-イル)アミノ)エチル)-8-クロロ-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オンの化学名を有する。例示的な化合物1を合成するための方法が、その全体が、引用により組み込まれている米国特許第8,193,182号に以前に記載されている。特定の理論によって制限されないが、化合物1は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、がんを治療するのに使用することができる。米国特許第8,193,182号を参照されたい。
【0169】
本明細書で提供される化合物1は、キラル中心を1つ含有し、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ混合物として存在することができる。本出願は、そのような化合物の立体異性体的に純粋な形態の使用と共に、これらの形態の混合物の使用も包含する。例えば、等しいか又は等しくない量の本明細書で提供される化合物1のエナンチオマーを含む混合物を、本明細書で開示される方法及び組成物で用いてもよい。これらの異性体は、不斉合成し得るか、又はキラルカラム又はキラル分割剤などの標準的な技術を用いて分離し得る。例えば、Jacques, J.らの文献: Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley-Interscience, New York, 1981); Wilen, S. H.らの文献: Tetrahedron 33:2725 (1977); Eliel, E. L.の文献: Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962);及びWilen, S. H.の文献: Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions 268頁 (E.L. Eliel編, Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0170】
一実施態様において、本明細書で提供されるPI3K阻害剤は、化合物1及びその(R)-エナンチオマーの混合物である。一実施態様において、本明細書で提供されるPI3K阻害剤は、化合物1及びその(R)-エナンチオマーのラセミ混合物である。他の実施態様において、前記化合物の混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー純度を有する。他の実施態様において、前記化合物の混合物は、約55%~約99.5%超、約60%~約99.5%超、約65%~約99.5%超、約70%~約99.5%超、約75%~約99.5%超、約80%~約99.5%超、約85%~約99.5%超、約90%~約99.5%超、約95%~約99.5%超、約96%~約99.5%超、約97%~約99.5%超、約98%超~約99.5%超、約99%~約99.5%超、又はそれを上回る(S)-エナンチオマー純度を有する。
【0171】
他の実施態様において、前記化合物の混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー純度を有する。他の実施態様において、前記化合物の混合物は、約55%~約99.5%超、約60%~約99.5%超、約65%~約99.5%超、約70%~約99.5%超、約75%~約99.5%超、約80%~約99.5%超、約85%~約99.5%超、約90%~約99.5%超、約95%~約99.5%超、約96%~約99.5%超、約97%~約99.5%超、約98%超~約99.5%超、約99%~約99.5%超、又はそれを上回る(R)-エナンチオマー純度を有する。
【0172】
本明細書で使用される、化合物1はまた、(S)-3-(1-((9H-プリン-6-イル)アミノ)エチル)-8-クロロ-2-フェニルイソキノリン-1(2H)-オンの任意の結晶形態又は多形を指す。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される化合物1の多形又はその医薬として形態が用いられる。例示的な多形は、その全体が引用により本明細書に組み込まれている、米国特許公報第2012/0184568号に開示されている。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Aである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Bである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Cである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Dである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Eである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Fである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Gである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Hである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Iである。一実施態様において、前記化合物は、化合物1の形態Jである。一実施態様において、前記化合物は、本明細書で開示される化合物1の固体形態(例えば、多形及び/又はアモルファス形態)の混合物である。
【0173】
一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、AUC(曲線下面積)が、約1ng/mL*h~約1mg/mL*h、約10ng/mL*h~約100μg/mL*h、約100ng/mL*h~約10μg/mL*h、約1μg/mL*h~約10μg/mL*hとなる血漿濃度プロファイルを生じさせるのに十分な量で含む。一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ選択的阻害剤(例えば、GS1101)又はその医薬として許容し得る形態を、AUC(曲線下面積)が、約0.1μg/mL*h~約10μg/mL*h、約0.2μg/mL*h~約9μg/mL*h、約0.3μg/mL*h~約8μg/mL*h、約0.4μg/mL*h~約7μg/mL*h、約0.5μg/mL*h~約6μg/mL*h、約0.6μg/mL*h~約5μg/mL*h、約0.7μg/mL*h~約4μg/mL*h、約0.8μg/mL*h~約3μg/mL*h、約0.9μg/mL*h~約2μg/mL*h、又は約0.9μg/mL*h~約1μg/mL*hとなる血漿濃度プロファイルを生じさせるのに十分な量でを含む。一実施態様において、前記組成物は、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態であるPI3Kデルタ選択的阻害剤を、AUC(曲線下面積)が、約1μg/mL*h~約10μg/mL*h、約5μg/mL*h~約9μg/mL*h、又は約6μg/mL*h~約8μg/mL*hとなる血漿濃度プロファイルを生じさせるのに十分な量で含む。
【0174】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、約5000ng/mL*hr~約10000ng/mL*hr、約5000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、約6000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、約6000ng/mL*hr~約8000ng/mL*hr、約6500ng/mL*hr~約7500ng/mL*hr、又は約7000ng/mL*hrの定常状態血漿濃度時間曲線下面積(AUCss)に達する量で投与される。
【0175】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、約10000ng/mL*hr未満、約9500ng/mL*hr未満、約9000ng/mL*hr未満、約8500ng/mL*hr未満、約8000ng/mL*hr未満、約7000ng/mL*hr未満、約6000ng/mL*hr未満、約5000ng/mL*hr未満、約4000ng/mL*hr未満、約3000ng/mL*hr未満、約2000ng/mL*hr未満、約1000ng/mL*hr未満、約500ng/mL*hr未満、約100ng/mL*hr未満、約10ng/mL*hr未満、又は約1ng/mL*hr未満の定常状態血漿濃度時間曲線下面積(AUCss)に達する量で投与される。
【0176】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、約1000ng/mL~約5000ng/mL、約1000ng/mL~約4000ng/mL、約1000ng/mL~約3000ng/mL、約1000ng/mL~約2500ng/mL、約1400ng/mL~約2300ng/mL、約2000ng/mL~約2300ng/mL、又は約2200ng/mLの定常状態最高血漿濃度(Cmaxss)に達する量で投与される。
【0177】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、約5000ng/mL未満、約4000ng/mL未満、約3000ng/mL未満、約2000ng/mL未満、約1500ng/mL未満、約1000ng/mL未満、約500ng/mL未満、約100ng/mL未満、約50ng/mL未満、約25ng/mL未満、約10ng/mL未満、又は約1ng/mL未満の定常状態最高血漿濃度(Cmaxss)に達する量で投与される。
【0178】
一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、約0.1mg~約500mg、約1mg~約500mg、約10mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約400mg、約200mg~約400mg、約250mg~約350mg、又は約300mgの範囲の量で含む。一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、約0.1mg~約75mg、約1mg~約75mg、約5mg~約75mg、約5mg~約60mg、約5mg~約50mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約10mg~約25mg、又は約10mg~約20mgの範囲の量で含む。
【0179】
一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、約500mg未満、約400mg未満、約350mg未満、約300mg未満、約250mg未満、約200mg未満、約150mg未満、約100mg未満、約75mg未満、約50mg未満、約30mg未満、約25mg未満、約20mg未満、約19mg未満、約18mg未満、約17mg未満、約16mg未満、約16mg未満、約15mg未満、約14mg未満、約13mg未満、約12mg未満、約11mg未満、又は約10mg未満の量で含む。
【0180】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態は、約0.1mg~約500mg、約1mg~約500mg、約10mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約400mg、約200mg~約400mg、約250mg~約350mg、又は約300mgの範囲の投薬量で投与される。一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態を、1日あたり約0.1mg~約75mg、約1mg~約75mg、約5mg~約75mg、約5mg~約60mg、約5mg~約50mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約10mg~約25mg、又は約10mg~約20mgの範囲の量で含む。
【0181】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり、約500mg未満、約400mg未満、約350mg未満、約300mg未満、約250mg未満、約200mg未満、約150mg未満、約100mg未満、約75mg未満、約50mg未満、約30mg未満、約25mg未満、約20mg未満、約19mg未満、約18mg未満、約17mg未満、約16mg未満、約16mg未満、約15mg未満、約14mg未満、約13mg未満、約12mg未満、約11mg未満、又は約10mg未満の投薬量で投与される。
【0182】
一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ/ガンマ阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態を、AUC(曲線下面積)が、約1ng/mL*h~約1mg/mL*h、約10ng/mL*h~約100μg/mL*h、約100ng/mL*h~約10μg/mL*h、約1μg/mL*h~約10μg/mL*hとなる血液プロファイルを生じさせるのに十分な量で含む。一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ/ガンマ阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態を、AUC(曲線下面積)が、約0.1μg/mL*h~約10μg/mL*h、約0.2μg/mL*h~約9μg/mL*h、約0.3μg/mL*h~約8μg/mL*h、約0.4μg/mL*h~約7μg/mL*h、約0.5μg/mL*h~約6μg/mL*h、約0.6μg/mL*h~約5μg/mL*h、約0.7μg/mL*h~約4μg/mL*h、約0.8μg/mL*h~約3μg/mL*h、約0.9μg/mL*h~約2μg/mL*h、又は約0.9μg/mL*h~約1μg/mL*hとなる血液プロファイルを生じさせるのに十分な量で含む。一実施態様において、前記組成物は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態である前記PI3Kデルタ/ガンマ阻害剤を、AUC(曲線下面積)が、約1μg/mL*h~約10μg/mL*h、約5μg/mL*h~約9μg/mL*h、又は約6μg/mL*h~約8μg/mL*hとなる、血液プロファイルを生じさせるのに十分な量で含む。
【0183】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、約5000ng/mL*hr~約10000ng/mL*hr、約5000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、約6000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、約7000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、約8000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、又は約8787ng/mL*hrの定常状態最高血漿濃度(Cmaxss)に達する量で投与される。
【0184】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、約10000ng/mL*hr未満、約9500ng/mL*hr未満、約9000ng/mL*hr未満、約8500ng/mL*hr未満、約8000ng/mL*hr未満、約7000ng/mL*hr未満、約6000ng/mL*hr未満、約5000ng/mL*hr未満、約4000ng/mL*hr未満、約3000ng/mL*hr未満、約2000ng/mL*hr未満、約1000ng/mL*hr未満、約500ng/mL*hr未満、約100ng/mL*hr未満、約10ng/mL*hr未満、又は約1ng/mL*hr未満の定常状態血漿濃度時間曲線下面積(AUCss)に達する量で投与される。
【0185】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、約1000ng/mL~約5000ng/mL、約1000ng/mL~約4000ng/mL、約1000ng/mL~約3000ng/mL、約1000ng/mL~約2500ng/mL、約1400ng/mL~約2000ng/mL、約1400ng/mL~約1500ng/mL、又は約1487ng/mLの定常状態最高血漿濃度(Cmaxss)に達する量で投与される。
【0186】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、約5000ng/mL未満、約4000ng/mL未満、約3000ng/mL未満、約2000ng/mL未満、約1500ng/mL未満、約1000ng/mL未満、約500ng/mL未満、約100ng/mL未満、約50ng/mL未満、約25ng/mL未満、約10ng/mL未満、又は約1ng/mL未満の定常状態最高血漿濃度(Cmaxss)に達する量で投与される。
【0187】
一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態を、約0.1mg~約75mg、約1mg~約75mg、約5mg~約75mg、約5mg~約60mg、約5mg~約50mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約10mg~約25mg、又は約10mg~約20mgの範囲の量で含む。
【0188】
一実施態様において、前記組成物は、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態を、約25mg未満、約20mg未満、約19mg未満、約18mg未満、約17mg未満、約16mg未満、約16mg未満、約15mg未満、約14mg未満、約13mg未満、約12mg未満、約11mg未満、又は約10mg未満の量で含む。
【0189】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり、約0.1mg~約75mg、約1mg~約75mg、約5mg~約75mg、約5mg~約60mg、約5mg~約50mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約10mg~約25mg、又は約10mg~約20mgの範囲の投薬量で投与される。
【0190】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり、約25mg未満、約20mg未満、約19mg未満、約18mg未満、約17mg未満、約16mg未満、約16mg未満、約15mg未満、約14mg未満、約13mg未満、約12mg未満、約11mg未満、又は約10mg未満の投薬量で投与される。
【0191】
一実施態様において、前記組成物は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態を、AUC(曲線下面積)が、約1ng/mL*h~約1mg/mL*h、約10ng/mL*h~約100μg/mL*h、約100ng/mL*h~約10μg/mL*h、約1μg/mL*h~約10μg/mL*hとなる血液プロファイルを生じさせるのに十分な量で含む。一実施態様において、前記組成物は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態を、AUC(曲線下面積)が、約0.1μg/mL*h~約10μg/mL*h、約0.2μg/mL*h~約9μg/mL*h、約0.3μg/mL*h~約8μg/mL*h、約0.4μg/mL*h~約7μg/mL*h、約0.5μg/mL*h~約6μg/mL*h、約0.6μg/mL*h~約5μg/mL*h、約0.7μg/mL*h~約4μg/mL*h、約0.8μg/mL*h~約3μg/mL*h、約0.9μg/mL*h~約2μg/mL*h、又は約0.9μg/mL*h~約1μg/mL*hとなる血液プロファイルを生じさせるのに十分な量で含む。一実施態様において、前記組成物は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態を、AUC(曲線下面積)が、約1μg/mL*h~約10μg/mL*h、約5μg/mL*h~約9μg/mL*h、又は約6μg/mL*h~約8μg/mL*hとなる血液プロファイルを生じさせるのに十分な量で含む。
【0192】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、約5000ng/mL*hr未満~約10000ng/mL*hr、約5000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、約6000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、約7000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、約8000ng/mL*hr~約9000ng/mL*hr、又は約8787ng/mL*hrの定常状態最高血漿濃度(Cmaxss)に達する量で投与される。
【0193】
一実施態様において、化合物1は、約10000ng/mL*hr未満、約9500ng/mL*hr未満、約9000ng/mL*hr未満、約8500ng/mL*hr未満、約8000ng/mL*hr未満、約7000ng/mL*hr未満、約6000ng/mL*hr未満、約5000ng/mL*hr未満、約4000ng/mL*hr未満、約3000ng/mL*hr未満、約2000ng/mL*hr未満、約1000ng/mL*hr未満、約500ng/mL*hr未満、約100ng/mL*hr未満、約10ng/mL*hr未満、又は約1ng/mL*hr未満の定常状態血漿濃度時間曲線下面積(AUCss)に達する量で投与される。
【0194】
一実施態様において、化合物1は、約1000ng/mL~約5000ng/mL、約1000ng/mL~約4000ng/mL、約1000ng/mL~約3000ng/mL、約1000ng/mL~約2500ng/mL、約1400ng/mL~約2000ng/mL、約1400ng/mL~約1500ng/mL、又は約1487ng/mLの定常状態(Cmaxss)最高血漿濃度に達する量で投与される。
【0195】
一実施態様において、化合物1は、約5000ng/mL未満、約4000ng/mL未満、約3000ng/mL未満、約2000ng/mL未満、約1500ng/mL未満、約1000ng/mL未満、約500ng/mL未満、約100ng/mL未満、約50ng/mL未満、約25ng/mL未満、約10ng/mL未満、又は約1ng/mL未満の定常状態(Cmaxss)最高血漿濃度に達する量で投与される。
【0196】
一実施態様において、前記組成物は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態を、約0.1mg~約75mg、約1mg~約75mg、約5mg~約75mg、約5mg~約60mg、約5mg~約50mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約10mg~約25mg、又は約10mg~約20mgの範囲の量で含む。
【0197】
一実施態様において、前記組成物は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態を、約25mg未満、約20mg未満、約19mg未満、約18mg未満、約17mg未満、約16mg未満、約16mg未満、約15mg未満、約14mg未満、約13mg未満、約12mg未満、約11mg未満、又は約10mg未満の量で含む。一実施態様において、前記組成物は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態を、約50mg、約37.5mg、約25mg、約20mg、約15mg、約10mg、約5mg、又は約1mgの量で含む。
【0198】
一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり、約0.1mg~約75mg、約1mg~約75mg、約5mg~約75mg、約5mg~約60mg、約5mg~約50mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約10mg~約25mg、約10mg~約20mgの範囲の投薬量で投与される。
【0199】
一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり、約25mg未満、約20mg未満、約19mg未満、約18mg未満、約17mg未満、約16mg未満、約16mg未満、約15mg未満、約14mg未満、約13mg未満、約12mg未満、約11mg未満、又は約10mg未満の投薬量で投与される。一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり、約50mg、約37.5mg、約25mg、約20mg、約15mg、約10mg、約5mg、又は約1mgの投薬量で投与される。
【0200】
本明細書で開示される化合物のうちの任意のものを、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、キレート、非共有結合性複合体、異性体、プロドラッグ、同位体標識された誘導体、又はそれらの混合物の形態とすることができる。
【0201】
(2.2 PI3K阻害剤及びチェックポイントモジュレーターの組合せ)
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む、前記方法である。
【0202】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びチェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物である。
【0203】
本明細書で使用される、「免疫チェックポイントモジュレーター」又は「チェックポイントモジュレーター」という用語は、完全に又は部分的に、1種以上のチェックポイント分子と干渉するか又はそれを調節する分子を指す。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、「チェックポイント阻害剤」であり、これは、抑制性チェックポイント分子の活性を阻害するか、低下させるか、又はそれと干渉する分子を指す。特定の理論にとらわれないが、抑制性チェックポイント分子は、リガンド又は対抗受容体による結合に続く負のシグナルのT細胞への送達によって、免疫応答(例えば、T細胞活性化)を下方制御する。別の実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、共刺激分子の活性化因子である。
【0204】
ある実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物との使用のためのチェックポイント阻害剤は、抑制性チェックポイント分子の活性を直接阻害することができるか、又は抑制性チェックポイント分子の発現を低下させることができるか、又は抑制性チェックポイント分子及び結合相手(例えば、リガンド)の相互作用と干渉することができる。本明細書で提供される方法及び組成物との使用のためのチェックポイントモジュレーターとしては、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、抗体断片、又はRNA分子(例えば、抑制性チェックポイント分子の発現を標的とする抑制性RNA分子)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
ある実施態様において、前記抑制性チェックポイント分子は、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80、CD86、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラム細胞死リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223としても知られる)、Galectin-3、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、Galectin-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化のV-ドメインIg抑制因子(VISTA)、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137. CGEN-15001T、CGEN-15022、CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-15052、及びCGEN-15092からなる群から選択される。
【0206】
一実施態様において、前記免疫チェックポイントモジュレーターは、抑制性チェックポイント分子の阻害剤、例えば、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、及び/又はTGFRベータの阻害剤である。例えば、前記抑制性チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、又はCTLA-4、又はそれらの任意の組み合わせを阻害し得る。
【0207】
抑制性分子の阻害は、DNA、RNA、又はタンパク質レベルで行い得る。例えば、抑制性核酸(例えば、dsRNA、siRNA、又はshRNA)を使用して、抑制性分子の発現を阻害することができる。他の実施態様において、抑制性シグナルの阻害剤は、ポリペプチド、例えば、可溶性リガンド(例えば、PD-1-IgもしくはCTLA-4 Ig)、又は抑制性分子に結合する抗体もしくはその抗原結合性断片;例えば、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及び/もしくはTGFRベータ、又はそれらの組み合わせに結合する抗体もしくはその断片(本明細書では「抗体分子」とも称される)である。
【0208】
前記抗体分子は、例えば、完全抗体又はその断片(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、もしくは単鎖Fv断片(scFv))であり得る。前記抗体分子は、例えば、二重特異性抗体分子の形態のものであり得る。一実施態様において、前記二重特異性抗体分子は、PD-1又はPD-L1に対する第1の結合特異性、及び第2の結合特異性、例えば、TIM-3、LAG-3、又はPD-L2に対して第2の結合特異性を有する。
【0209】
ある実施態様において、前記免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-1、例えば、ヒトPD-1の阻害剤である。別の実施態様において、前記免疫チェックポイントモジュレーターは、PD-L1、例えば、ヒトPD-L1の阻害剤である。一実施態様において、前記PD-1又はPD-L1の阻害剤は、PD-1又はPD-L1に対する抗体分子である。前記PD-1又はPD-L1阻害剤は、単独でか、又は別の免疫チェックポイントモジュレーターと組み合わせて、例えば、LAG-3、TIM-3、又はCTLA-4の阻害剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施態様において、前記PD-1又はPD-L1の阻害剤、例えば、前記抗PD-1又は抗PD-L1抗体分子は、LAG-3阻害剤、例えば、抗LAG-3抗体分子と組み合わせて投与される。別の実施態様において、前記PD-1又はPD-L1の阻害剤、例えば、前記抗PD-1又はPD-L1抗体分子は、TIM-3阻害剤、例えば、抗TIM-3抗体分子と組み合わせて投与される。さらに別の実施態様において、前記PD-1又はPD-L1の阻害剤、例えば、前記抗PD-1抗体分子は、LAG-3阻害剤、例えば、抗LAG-3抗体分子、及びTIM-3阻害剤、例えば、抗TIM-3抗体分子と組み合わせて投与される。さらに別の実施態様において、本明細書で提供されるものは、免疫チェックポイントモジュレーターと、PD-1阻害剤(例えば、PD-L2、CTLA-4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、及び/又はTGFRのうちの1つ以上)との別の組合せである。一実施態様において、本明細書で開示される前記PI3K阻害剤分子は、前述のチェックポイント分子の阻害剤の組合せで用いられる。
【0210】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、PD-1/PD-L1阻害剤である。PD-l/PD-L1阻害剤の例としては、全て全体として本明細書に組み込まれる、US7,488,802、US7,943,743、US8,008,449、US8,168,757、US8,217,149、US8,609,089、US2010/028330、US2012/0114649、WO2003/042402、WO2008/156712、WO2010/089411、WO2010/036959、WO2011/066342、WO2011/159877、WO2011/082400、及びWO2011/161699に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、PD-1阻害剤である。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗PD-1抗体である。
【0212】
いくつかの実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブである。ニボルマブの別名としては、MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、又はBMS-936558が挙げられ、CAS登録番号:946414-94-4を有する。ニボルマブは、PD-1を特異的にブロックする完全ヒト型IgG4モノクローナル抗体である。ニボルマブ(クローン5C4)及びPD-1に特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体が、US8,008,449及びWO2006/121168に開示されている。
【0213】
他の実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブである。ペンブロリズマブ(商品名:キイトルーダ(KEYTRUDA)、旧名:ランブロリズマブ、Merck 3745、MK-3475、又はSCH-900475としても知られる)は、PD-1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペンブロリズマブは、例えば、Hamid, O. らの文献: (2013) New England Journal of Medicine 369 (2): 134-44, WO 2009/114335,及びUS 8,354,509に開示されている。
【0214】
いくつかの実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ピディリズマブである。ピディリズマブ(CT-011; Cure Tech)は、PD-1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピディリズマブ及び別のヒト化抗PD-1モノクローナル抗体が、WO2009/101611に開示されている。別の抗PD1抗体が、US8,609,089、US2010/028330、及び/又はUS2012/0114649に開示されている。
【0215】
いくつかの実施態様において、前記抗PD-1抗体は、AMP-514(Amplimmune)である。
【0216】
いくつかの実施態様において、前記抗PD-1抗体は、融合タンパク質AMP-224である。
【0217】
いくつかの実施態様において、前記PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-Ll又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合性部分を含むイムノアドヘシン)である。
【0218】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、PD-L1阻害剤である。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗PD-L1抗体である。
【0219】
一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、MDX-1105である。BMS-936559としても知られるMDX-1105は、WO2007/005874に記載されているように、抗PD-Ll抗体である。
【0220】
一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、YW243.55.S70である。YW243.55.S70抗体は、WO2010/077634に記載されているように、抗PD-Ll抗体である。YW243.55.S70の重鎖及び軽鎖可変領域配列も、WO2010/077634に記載されている。
【0221】
一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、MDPL3280A(Genentech/Roche)である。MDPL3280Aは、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。MDPL3280A及びPD-L1に対する別のヒトモノクローナル抗体が、US7,943,743及びUS2012/0039906に記載されている。
【0222】
一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、MSB0010718Cである。MSB0010718C(A09-246-2とも称される; Merck Serono)は、PD-L1に結合するモノクローナル抗体である。別のヒト化抗PD-L1抗体が、WO2013/079174に開示されている。
【0223】
一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、デュルバルマブ(別名:MEDI-4736)である。
【0224】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、PD-L2阻害剤である。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗PD-L2抗体である。一実施態様において、前記抗PD-L2抗体は、rHIgM12B7Aである。
【0225】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)阻害剤である。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗LAG-3抗体である。一実施態様において、前記抗LAG-3抗体は、BMS-986016である。BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)は、LAG-3に結合するモノクローナル抗体である。BMS-986016及び別のヒト化抗LAG-3抗体が、US2011/0150892、WO2010/019570、及びWO2014/008218に記載されている。別の実施態様において、前記抗LAG-3抗体は、可溶性Ig融合タンパク質IMP321である(Brignoneらの文献: J. Immunol., 2007, 179, 4202-4211)。
【0226】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、可溶性リガンド(例えば、CTLA-4-Ig)、又はCTLA-4に結合する抗体もしくは抗体断片である。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、CTLA-4阻害剤である。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗CTLA-4抗体である。抗CTLA-4抗体の例としては、全て全体として本明細書に組み込まれるUS5,811,097、US5,811,097、US5,855,887、US6,051,227、US6,207,157、US6,682,736、US6,984,720、及びUS7,605,238に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0227】
一実施態様において、前記抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブ(Pfizerから入手可能なIgG2モノクローナル抗体、以前は、チシリムマブ(ticilimumab)として知られていた、CP-675,206)である。
【0228】
一実施態様において、前記抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(別名:MDX-010、Yervoy、CAS番号477202-00-9)である。イピリムマブは、CTLA-4に結合する完全ヒト型モノクローナルIgG抗体である。
【0229】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、B7阻害剤である。一実施態様において、前記B7阻害剤は、B7-H3阻害剤又はB7-H4阻害剤である。一実施態様において、前記B7-H3阻害剤は、抗B7-H3抗体MGA271である(Looらの文献: Clin. Cancer Res., 2012, 3834)。
【0230】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、TIM3阻害剤である(Fourcadeらの文献: J. Exp. Med., 2010, 207, 2175-86; Sakuishiらの文献: J. Exp. Med., 2010, 207, 2187-94)。
【0231】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、IDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)及び/又はTDO(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ)阻害剤である。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、IDO阻害剤である。一実施態様において、前記IDO阻害剤は、インドキシモド(indoximod)、NLG919、INCB024360、F001287、ノルハルマン、ロスマリン酸、又はアルファ-メチル-トリプトファンである。一実施態様において、前記IDO阻害剤は、INCB024360である。別の実施態様において、前記IDO阻害剤は、インドキシモドである。IDO阻害剤は、TME内で作用するが、それらは、MDSCを特異的に標的としない。樹状細胞によるIDOの過剰発現が、免疫抑制的腫瘍微小環境を作り出す。
【0232】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、共刺激分子の活性化因子である。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、OX40、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、又はCD83リガンドのアゴニスト(例えば、アゴニスト抗体もしくはその抗原結合性断片、又は可溶性融合体)から選択される。
【0233】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、OX40のアゴニストである。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗OX40抗体である。一実施態様において、前記抗OX40抗体は、MEDI6469である。
【0234】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、CD28、CD27、ICOS、及びGITRの共刺激ドメインを含む正のシグナルと関連するアゴニストである。
【0235】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、GITRのアゴニストである。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗GITR抗体である。例示的なGITRアゴニストとしては、例えば、US6,111,090、EP090505B1、US8,586,023、WO2010/003118、及びWO2011/090754に記載されるGITR融合タンパク質、又は、例えば、US7,025,962、EP1947183B1、US7,812,135、US8,388,967、US8,591,886、EP1866339、WO2011/028683、WO2013/039954、WO2005/007190、WO2007/133822、WO2005/055808、WO99/40196、WO2001/03720、WO99/20758、WO2006/083289、WO2005/115451、US7,618,632、及びWO2011/051726に記載される抗GITR抗体などの、GITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)が挙げられる。一実施態様において、前記抗GITR抗体は、TRX518である。
【0236】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、CD137アゴニストである。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗CD137抗体である。一実施態様において、前記抗CD137抗体は、ウレルマブである。別の実施態様において、前記抗CD137抗体は、PF-05082566である。
【0237】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、CD40アゴニストである。一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、抗CD40抗体である。一実施態様において、前記抗CD40抗体は、CF-870,893である。
【0238】
いくつかの実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、共刺激リガンドである。いくつかの実施態様において、前記共刺激リガンドは、OX40L、41BBL、CD153、ICOSL、CD40L、又はGMCSFである。
【0239】
いくつかの実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、MCSF/CSF-1R阻害剤である。抗CSF-1Rは、TAMを枯渇させることができ、腫瘍増殖阻害をもたらす。Cancer Cell 25, 1-14, 2014年6月16日。いくつかの実施態様において、前記CSF-1R阻害剤は、BLZ945、GW2850、RO5509554、又はPLX3397である。いくつかの実施態様において、前記CSF-1R阻害剤は、BLZ945又はGW2850である。いくつかの実施態様において、前記CSF-1R阻害剤は、PLX3397である。
【0240】
いくつかの実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、CXCR4/CXCL12阻害剤である。いくつかの実施態様において、前記CXCR4/CXCL12阻害剤は、AMD3100、AMD11070、AMD12118、AMD11814、又はAMD13073である。いくつかの実施態様において、前記CXCR4/CXCL12阻害剤は、AMD3100である。
【0241】
いくつかの実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、CCL2及び/又はCCR2アンタゴニストである。いくつかの実施態様において、前記CCL2及び/又はCCR2のアンタゴニストは、抗CCL2又はCCR2抗体である。CCL2は、ケモカインであり、CCR2は、ケモカイン受容体である。非限定的な理論によれば、CCL2及びCCR2は、MDSC遊走において役割を果たす。
【0242】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記方法である。
【0243】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びチェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0244】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、もしくは抗CTLA-4抗体、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、もしくはAMP-224、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、MDX-1105、YW243.55.S70、MDPL3280A、MSB0010718C、もしくはデュルバルマブ、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブもしくはイピリムマブ、又はそれらの組み合わせである。
【0245】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブである。
【0246】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブである。
【0247】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ピディリズマブである。
【0248】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、MDX-1105である。
【0249】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、MDPL3280Aである。
【0250】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、デュルバルマブである。
【0251】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、トレメリムマブである。
【0252】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、イピリムマブである。
【0253】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0254】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態の、前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0255】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記チェックポイントモジュレーターは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0256】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記方法である。
【0257】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びチェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記医薬組成物である。
【0258】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、もしくは抗CTLA-4抗体、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、もしくはAMP-224、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、MDX-1105、YW243.55.S70、MDPL3280A、MSB0010718C、もしくはデュルバルマブ、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブもしくはイピリムマブ、又はそれらの組み合わせである。
【0259】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブである。
【0260】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブである。
【0261】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ピディリズマブである。
【0262】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、MDX-1105である。
【0263】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、MDPL3280Aである。
【0264】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、デュルバルマブである。
【0265】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、トレメリムマブである。
【0266】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、イピリムマブである。
【0267】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0268】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態の、前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0269】
一実施態様において、イデラリシブは、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記チェックポイントモジュレーターは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0270】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記方法である。
【0271】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びチェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0272】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、もしくは抗CTLA-4抗体、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、もしくはAMP-224、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、MDX-1105、YW243.55.S70、MDPL3280A、MSB0010718C、もしくはデュルバルマブ、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブもしくはイピリムマブ、又はそれらの組み合わせである。
【0273】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブである。
【0274】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブである。
【0275】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ピディリズマブである。
【0276】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、MDX-1105である。
【0277】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、MDPL3280Aである。
【0278】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、デュルバルマブである。
【0279】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、トレメリムマブである。
【0280】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、イピリムマブである。
【0281】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0282】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態の、前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0283】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記チェックポイントモジュレーターは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0284】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化5】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記方法である。
【0285】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びチェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化6】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記医薬組成物である。
【0286】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、もしくは抗CTLA-4抗体、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、もしくはAMP-224、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗PD-L1抗体は、MDX-1105、YW243.55.S70、MDPL3280A、MSB0010718C、もしくはデュルバルマブ、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、前記抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブもしくはイピリムマブ、又はそれらの組み合わせである。
【0287】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブである。
【0288】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブである。
【0289】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、ピディリズマブである。
【0290】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、MDX-1105である。
【0291】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、MDPL3280Aである。
【0292】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、デュルバルマブである。
【0293】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、トレメリムマブである。
【0294】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、イピリムマブである。
【0295】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0296】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態の、前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0297】
一実施態様において、化合物1は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記チェックポイントモジュレーターは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0298】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブであり、かつ前記がんは、T細胞リンパ腫である。一実施態様において、前記T細胞リンパ腫は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。別の実施態様において、前記T細胞リンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
【0299】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブであり、かつ前記がんは、DLBCLである。
【0300】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブであり、かつ前記がんは、濾胞性リンパ腫である。
【0301】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブであり、かつ前記がんは、T細胞リンパ腫である。一実施態様において、前記T細胞リンパ腫は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。別の実施態様において、前記T細胞リンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
【0302】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブであり、かつ前記がんは、DLBCLである。
【0303】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブであり、かつ前記がんは、濾胞性リンパ腫である。
【0304】
本明細書で提供される方法の一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、ニボルマブであり、かつそれは、静脈内投与される。一実施態様において、ニボルマブは、2週間毎に約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約3mg/kg、約0.1mg/kg~約2mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、又は約0.1mg/kg~約0.5mg/kgの用量で投与される。一実施態様において、ニボルマブは、2週間毎に、約3mg/kg、約2.5mg/kg、約2mg/kg、約1.5mg/kg、約1mg/kg、又は約0.5mg/kgの用量で投与される。一実施態様において、ニボルマブの投与の頻度は、3週間毎に1回又は4週間毎に1回に減らされる。一実施態様において、ニボルマブの用量は、約60分かけて静脈内投与される。一実施態様において、ニボルマブの用量は、約30分かけて静脈内投与される。
【0305】
本明細書で提供される方法の一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーターは、ペンブロリズマブであり、かつそれは、静脈内投与される。一実施態様において、ペンブロリズマブは、3週間毎に、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約3mg/kg、約0.1mg/kg~約2mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、又は約0.1mg/kg~約0.5mg/kgの用量で投与される。一実施態様において、ペンブロリズマブは、3週間毎に、約3mg/kg、約2.5mg/kg、約2mg/kg、約1.5mg/kg、約1mg/kg、又は約0.5mg/kgの用量で投与される。一実施態様において、ペンブロリズマブの投与の頻度は、4週間毎に1回、5週間毎に1回、又は6週間毎に1回に減らされる。一実施態様において、ペンブロリズマブの用量は、約30分かけて静脈内投与される。一実施態様において、ペンブロリズマブの用量は、約15分かけて静脈内投与される。
【0306】
一実施態様において、前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、前記対象に投与される。別の実施態様において、前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態と、単一の剤形又は別々の剤形で同時に投与される。さらに別の実施態様において、前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与された少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に、前記対象に投与される。
【0307】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態、及び前記チェックポイントモジュレーターは、同じ経路で投与され、例えば、双方とも経口投与される。他の実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態、及び前記チェックポイントモジュレーターは、異なる経路で投与され、例えば、一方は、経口投与され、他方は、静脈内投与される。一実施態様において、化合物1は、経口投与され、かつ前記チェックポイントモジュレーターは、静脈内投与される。
【0308】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態、及び前記チェックポイントモジュレーター又はその医薬として許容し得る形態のみが、本明細書で提供される組成物及び方法の治療活性成分である。他の実施態様において、本明細書で提供される組成物は、少なくとも1種のさらなる治療活性成分を含み、本明細書で提供される方法は、それを使用する。一実施態様において、前記本明細書で提供される組成物は、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤、及びチェックポイントモジュレーターを含み、本明細書で提供される方法は、それらを使用する。
【0309】
(2.3 PI3K阻害剤及びXPO1阻害剤の組合せ)
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、XPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む、前記方法である。
【0310】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びXPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物である。
【0311】
染色体維持1(chromosomal maintenance 1; CRM1)としても知られるExportin 1(XPO1)は、タンパク質、rRNA、snRNA、および一部のmRNAの核外輸送を媒介する真核生物タンパク質である。ある実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物における使用のためのXPO1阻害剤としては、セリネクサー、KPT-251、KPT-276、及びSL-801が挙げられるが、これらに限定されない。
【0312】
一実施態様において、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーである。KPT-330としても知られるセリネクサーは、(Z)-3-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-N'-(ピラジン-2-イル)アクリロヒドラジドの化学名を有し、以下の構造:
【化7】
のものである。
【0313】
一実施態様において、前記XPO1阻害剤は、SL-801である。
【0314】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、XPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記方法である。
【0315】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びXPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0316】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記XPO1阻害剤は、セリネクサー、KPT-251、KPT-276、もしくはSL-801、又はそれらの組み合わせである。
【0317】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記XPO1阻害剤は、セリネクサーである。
【0318】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0319】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態の、前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0320】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)は、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0321】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、XPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記方法である。
【0322】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びXPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記医薬組成物である。
【0323】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記XPO1阻害剤は、セリネクサー、KPT-251、KPT-276、もしくはSL-801、又はそれらの組み合わせである。
【0324】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記XPO1阻害剤は、セリネクサーである。
【0325】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0326】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態対前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0327】
一実施態様において、イデラリシブは、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)は、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0328】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、XPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記方法である。
【0329】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びXPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0330】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記XPO1阻害剤は、セリネクサー、KPT-251、KPT-276、もしくはSL-801、又はそれらの組み合わせである。
【0331】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記XPO1阻害剤は、セリネクサーである。
【0332】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0333】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態の、前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0334】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)は、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0335】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、XPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化8】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記方法である。
【0336】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びXPO1阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化9】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記医薬組成物である。
【0337】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記XPO1阻害剤は、セリネクサー、KPT-251、KPT-276、もしくはSL-801、又はそれらの組み合わせである。
【0338】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記XPO1阻害剤は、セリネクサーである。
【0339】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0340】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態対前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0341】
一実施態様において、化合物1は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)は、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0342】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、血液悪性腫瘍である。一実施態様において、前記血液悪性腫瘍は、白血病である。一実施態様において、前記血液悪性腫瘍は、リンパ腫である。一実施態様において、前記血液悪性腫瘍は、骨髄腫である。
【0343】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、急性骨髄性白血病である。一実施態様において、前記AMLは、再発性又は難治性のものである。一実施態様において、前記AMLは、未治療のものである。一実施態様において、前記AMLは、11q23(MLL)異常を伴う成人急性骨髄性白血病、Del(5q)を伴う成人急性骨髄性白血病、Inv(16)(p13;q22)を伴う成人急性骨髄性白血病、t(15;17)(q22;q12)を伴う成人急性骨髄性白血病、t(16;16)(p13;q22)を伴う成人急性骨髄性白血病、t(8;21)(q22;q22)を伴う成人急性骨髄性白血病、再発性成人急性骨髄性白血病、又は続発性急性骨髄性白血病である。
【0344】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、多発性骨髄腫である。一実施態様において、前記多発性骨髄腫は、再発性又は難治性のものである。
【0345】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施態様において、前記DLBCLは、再発性又は難治性のものである。
【0346】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。一実施態様において、前記ALLは、再発性又は難治性のものである。
【0347】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、混合表現型急性白血病(MPAL)である。
【0348】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、前リンパ球性白血病である。
【0349】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、慢性リンパ球性白血病(CLL)である。一実施態様において、前記CLLは、再発性又は難治性のものである。
【0350】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、慢性骨髄性白血病(CML)である。一実施態様において、前記CMLは、再発性又は難治性のものである。
【0351】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。一実施態様において、前記NHLは、再発性又は難治性のものである。
【0352】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、ホジキンリンパ腫(HL)である。一実施態様において、前記HLは、再発性又は難治性のものである。
【0353】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、アグレッシブB細胞リンパ腫である。
【0354】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、マントル細胞リンパ腫(MCL)である。一実施態様において、前記MCLは、再発性又は難治性のものである。
【0355】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、濾胞性リンパ腫(FL)である。一実施態様において、前記FLは、再発性又は難治性のものである。
【0356】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。一実施態様において、前記ワルデンシュトレームマクログロブリン血症は、再発性又は難治性のものである。
【0357】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、骨髄異形成症候群(MDS)である。一実施態様において、前記MDSは、新規の骨髄異形成症候群又は続発性骨髄異形成症候群である。
【0358】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、T細胞リンパ腫である。一実施態様において、前記T細胞リンパ腫は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。別の実施態様において、前記T細胞リンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
【0359】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、固形腫瘍である。一実施態様において、前記固形腫瘍は、小児固形腫瘍である。
【0360】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、神経膠腫である。一実施態様において、前記神経膠腫は、再発性のものである。
【0361】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、卵巣癌腫である。一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、子宮内膜癌腫である。一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、子宮頚癌である。
【0362】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、乳がんである。一実施態様において、前記乳がんは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である。
【0363】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、膵臓がんである。一実施態様において、前記膵臓がんは、膵臓の腺房細胞腺癌、膵臓の導管細胞腺癌、又はステージIV膵臓がんである。
【0364】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、脂肪肉腫である。一実施態様において、前記がんは、脱分化型脂肪肉腫である。
【0365】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、黒色腫である。一実施態様において、前記黒色腫は、再発性のものである。
【0366】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、直腸がんである。一実施態様において、前記直腸がんは、局所的に進行したものである。
【0367】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、結腸直腸がんである。
【0368】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、前立腺がんである。一実施態様において、前記前立腺がんは、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)である。
【0369】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、食道がん又は胃がんである。
【0370】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、唾液腺がんである。
【0371】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、肝臓がんである。
【0372】
一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーであり、かつ前記がんは、肺がんである。一実施態様において、前記肺がんは、小細胞肺がんである。一実施態様において、前記肺がんは、再発性のものである。一実施態様において、前記肺がんは、再発性扁平細胞肺癌又はステージIV扁平細胞肺癌である。
【0373】
本明細書に記載される方法の一実施態様において前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、毎週2回約30mg~約200mg、毎週2回約45mg~約150mg、又は毎週2回約60mg~約100mgの範囲の投薬量で投与される。一実施態様において、前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、毎週2回、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、又は約100mgの投薬量で投与される。一実施態様において、前記投薬量は、毎週2回約60mgである。一実施態様において、前記投薬量は、毎週2回約80mgである。一実施態様において、前記投薬量は、毎週2回約100mgである。一実施態様において、前記投与は、28日サイクルで行う。
【0374】
本明細書に記載される方法の一実施態様において前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、週1回約30mg~約200mg、週1回約45mg~約150mg、又は週1回約60mg~約100mgの範囲の投薬量で投与される。一実施態様において、前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、週1回、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、又は約100mgの投薬量で投与される。一実施態様において、前記用量は、週1回約60mgである。一実施態様において、前記投薬量は、週1回約80mgである。一実施態様において、前記投薬量は、週1回約100mgである。一実施態様において、前記投与は、28日サイクルで行う。
【0375】
一実施態様において、前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、前記対象に投与される。別の実施態様において、前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態と同時に、単一の剤形又は別々の剤形で投与される。さらに別の実施態様において、前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、化合物1又はその医薬として許容し得る形態が投与された少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に、前記対象に投与される。一実施態様において、前記XPO1阻害剤は、セリネクサーである。
【0376】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、単一の剤形中にある。他の実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態は、別々の剤形中にある。
【0377】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)は、同じ経路で投与され、例えば、双方とも経口投与される。他の実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)は、異なる経路で投与され、例えば、一方は、経口投与され、他方は、静脈内投与される。
【0378】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記XPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)又はその医薬として許容し得る形態のみが、本明細書で提供される組成物及び方法の治療活性成分である。他の実施態様において、本明細書で提供される組成物は、少なくとも1種のさらなる治療活性成分を含み、本明細書で提供される方法は、それを使用する。一実施態様において、前記本明細書で提供される組成物は、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤、及びXPO1阻害剤(例えば、セリネクサー)を含み、本明細書で提供される方法は、それらを使用する。
【0379】
(2.4 PI3K阻害剤及び抗CD19抗体の組合せ)
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む、前記方法である。
【0380】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物である。
【0381】
CD19(表面抗原分類19)としても知られるBリンパ球抗原CD19は、ヒトではCD19遺伝子によってコードされるタンパク質である。それは、白血球細胞の一種であるB細胞の表面にみられる。
【0382】
一実施態様において、前記抗CD19抗体は、ブリナツモマブである。ブリナツモマブは、CD3及びCD19の抗原認識部位を有する組換え単鎖モノクローナル抗体である。
【0383】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記方法である。
【0384】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0385】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ阻害剤であり、かつ前記抗CD19抗体は、ブリナツモマブである。
【0386】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0387】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態の、前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0388】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)は、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0389】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記方法である。
【0390】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記医薬組成物である。
【0391】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブであり、かつ前記抗CD19抗体は、ブリナツモマブである。
【0392】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0393】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態対前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0394】
一実施態様において、イデラリシブは、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)は、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0395】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含むみ、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記方法である。
【0396】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0397】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤であり、かつ前記抗CD19抗体は、ブリナツモマブである。
【0398】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0399】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態の、前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0400】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)は、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0401】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化10】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記方法である。
【0402】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び抗CD19抗体又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化11】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記医薬組成物である。
【0403】
本明細書で提供される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3K阻害剤は、化合物1であり、かつ前記抗CD19抗体は、ブリナツモマブである。
【0404】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0405】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態対前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0406】
一実施態様において、化合物1は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)は、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0407】
本明細書で提供される方法の一実施態様において、前記抗CD19抗体は、ブリナツモマブであり、かつそれは、静脈内投与される。一実施態様において、ブリナツモマブは、約1mg/kg~約60μg/m2/日、約1mg/kg~約50μg/m2/日、約1mg/kg~約40μg/m2/日、約1mg/kg~約30μg/m2/日、約1mg/kg~約20μg/m2/日、又は約1mg/kg~約10μg/m2/日の用量で投与される。一実施態様において、ブリナツモマブは、約60μg/m2/日、約50μg/m2/日、約40μg/m2/日、約30μg/m2/日、約20μg/m2/日、又は約10μg/m2/日の用量で投与される。一実施態様において、ブリナツモマブの投与の頻度は、2日毎に1回、3日毎に1回、毎週1回、又は2週間毎に1回に減らされる。
【0408】
一実施態様において、前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、前記対象に投与される。別の実施態様において、前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態と、単一の剤形又は別々の剤形で同時に投与される。さらに別の実施態様において、前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与された少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に、前記対象に投与される。
【0409】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)は、同じ経路で投与される。他の実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)は、異なる経路で投与され、例えば、一方は、経口投与され、他方は、静脈内投与される。一実施態様において、化合物1は、経口投与され、かつ前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)は、静脈内投与される。
【0410】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)又はその医薬として許容し得る形態のみが、本明細書で提供される組成物及び方法の治療活性成分である。他の実施態様において、本明細書で提供される組成物は、少なくとも1種のさらなる治療活性成分を含み、本明細書で提供される方法は、それを使用する。一実施態様において、前記本明細書で提供される組成物は、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤、及び抗CD19抗体(例えば、ブリナツモマブ)を含み、本明細書で提供される方法は、それらを使用する。
【0411】
(2.5 PI3K阻害剤及びTLRアゴニストの組合せ)
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む、前記方法である。
【0412】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及びTLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物である。
【0413】
Toll様受容体(TLR)は、自然免疫系において重要な役割を果たすタンパク質のクラスである。これらは、微生物由来の構造的に保存された分子を認識する、マクロファージ及び樹状細胞などの歩哨細胞(sentinel cell)に通常発現される、単回、膜貫通型、非触媒性受容体である。ひとたびこれらの微生物が、皮膚又は腸管粘膜などの物理的障壁を突破してしまうと、それらは、TLRによって認識され、TLRは、免疫細胞応答を活性化する。TLRとしては、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、及びTLR13が挙げられるが、後者の2つは、ヒトでは見つかっていない。
【0414】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記方法である。
【0415】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及びTLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0416】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0417】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態の、前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0418】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記TLRアゴニストは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0419】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記方法である。
【0420】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及びTLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記医薬組成物である。
【0421】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0422】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態対前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0423】
一実施態様において、イデラリシブは、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記TLRアゴニストは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0424】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記方法である。
【0425】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及びTLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0426】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0427】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態の、前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0428】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記TLRアゴニストは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0429】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化12】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記方法である。
【0430】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態、及びTLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化13】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記医薬組成物である。
【0431】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0432】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態対前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0433】
一実施態様において、化合物1は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記TLRアゴニストは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0434】
一実施態様において、前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、前記対象に投与される。別の実施態様において、前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態と、単一の剤形又は別々の剤形で同時に投与される。さらに別の実施態様において、前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与された少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に、前記対象に投与される。
【0435】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態、及び前記TLRアゴニストは、同じ経路で投与され、例えば、双方とも経口投与される。他の実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態、及び前記TLRアゴニストは、異なる経路で投与され、例えば、一方は、経口投与され、他方は、静脈内投与される。一実施態様において、化合物1は、経口投与され、前記TLRアゴニストは、静脈内投与される。
【0436】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態、及び前記TLRアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態のみが、本明細書で提供される組成物及び方法の治療活性成分である。他の実施態様において、本明細書で提供される組成物は、少なくとも1種のさらなる治療活性成分を含み、本明細書で提供される方法は、それを使用する。一実施態様において、前記本明細書で提供される組成物は、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤、及びTLRアゴニストを含み、本明細書で提供される方法は、それを使用する。
【0437】
(2.6 PI3K阻害剤及びSTINGアゴニストの組合せ)
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む、前記方法である。
【0438】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びSTINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物である。
【0439】
膜貫通型タンパク質173(TMEM173)及びMPYS/MITA/ERISとしても知られる、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)は、ヒトにおいては、TMEM173遺伝子によってコードされるタンパク質である。STINGは、自然免疫において重要な役割を果たす。STINGは、細胞が、ウイルス、マイコバクテリア、及び細胞内寄生生物などの細胞内病原体に感染した場合に、タイプIインターフェロン産生を誘導する。STINGによって媒介されるタイプIインターフェロンは、感染細胞及び近くの細胞を、それを分泌する同細胞(自己分泌シグナル伝達)及び近くの細胞(傍分泌シグナル伝達)に結合することによって局所的感染症から保護する。
【0440】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記方法である。
【0441】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びSTINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0442】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0443】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態の、前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0444】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記STINGアゴニストは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0445】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記方法である。
【0446】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びSTINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記医薬組成物である。
【0447】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0448】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態対前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0449】
一実施態様において、イデラリシブは、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記STINGアゴニストは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0450】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記方法である。
【0451】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びSTINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0452】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0453】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態の、前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0454】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記STINGアゴニストは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0455】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化14】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記方法である。
【0456】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びSTINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化15】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記医薬組成物である。
【0457】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0458】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態対前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0459】
一実施態様において、化合物1は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記STINGアゴニストは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0460】
一実施態様において、前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、前記対象に投与される。別の実施態様において、前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態と、単一の剤形又は別々の剤形で同時に投与される。さらに別の実施態様において、前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与された少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に、前記対象に投与される。
【0461】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記STINGアゴニストは、同じ経路で投与され、例えば、双方とも経口投与される。他の実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記STINGアゴニストは、異なる経路で投与され、例えば、一方は、経口投与され、他方は、静脈内投与される。一実施態様において、化合物1は、経口投与され、かつ前記STINGアゴニストは、静脈内投与される。
【0462】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記STINGアゴニスト又はその医薬として許容し得る形態のみが、本明細書で提供される組成物及び方法の治療活性成分である。他の実施態様において、本明細書で提供される組成物は、少なくとも1種のさらなる治療活性成分を含み、本明細書で提供される方法は、それを使用する。一実施態様において、前記本明細書で提供される組成物は、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤、及びSTINGアゴニストを含み、本明細書で提供される方法は、それらを使用する。
【0463】
(2.7 PI3K阻害剤及びFlt3リガンドの組合せ)
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含む、前記方法である。
【0464】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びFlt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物である。
【0465】
Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3LG)は、ヒトにおいては、FLT3LG遺伝子によってコードされるタンパク質である。Flt3リガンドは、造血性の4ヘリカルバンドルサイトカイン(hematopoietic four helical bundle cytokine)である。それは、幹細胞因子(SCF)及びコロニー刺激因子1(CSF-1)と構造的に相同である。他の増殖因子との相乗作用で、Flt3リガンドは、さまざまな血液細胞前駆体の増殖及び分化を刺激する。
【0466】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記方法である。
【0467】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びFlt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0468】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0469】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)又はその医薬として許容し得る形態の、前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0470】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記Flt3リガンドは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0471】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記方法である。
【0472】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びFlt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、イデラリシブである、前記医薬組成物である。
【0473】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0474】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、イデラリシブ又はその医薬として許容し得る形態対前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0475】
一実施態様において、イデラリシブは、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記Flt3リガンドは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0476】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記方法である。
【0477】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びFlt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、前記医薬組成物である。
【0478】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0479】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態の、前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態に対するモル比は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0480】
一実施態様において、前記PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤(例えば、化合物1)は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記Flt3リガンドは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0481】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を、Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化16】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記方法である。
【0482】
一実施態様において、本明細書で提供されるものは、治療的有効量のPI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及びFlt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態を含む医薬組成物であって、該PI3K阻害剤が、化合物1:
【化17】
、又はその医薬として許容し得る形態である、前記医薬組成物である。
【0483】
本明細書に記載される方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約75mgの範囲の投薬量で投与され、かつ前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、1日あたり約0.01mg~約1100mgの範囲の投薬量で投与される。
【0484】
本明細書に記載される組成物及び方法の一実施態様において、化合物1又はその医薬として許容し得る形態対前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、約500:1~約1:500、約400:1~約1:400、約300:1~約1:300、約200:1~約1:200、約100:1~約1:100、約75:1~約1:75、約50:1~約1:50、約40:1~約1:40、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5の範囲である。
【0485】
一実施態様において、化合物1は、個々に投与される場合の量の約1.5倍~約50倍、約1.5倍~約25倍、約1.5倍~約20倍、約1.5倍~約15倍、約1.5倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約4倍~約6倍、又は約5倍低下した量で投与され;かつ
前記Flt3リガンドは、個々に投与される場合の量の約1.1倍~約50倍、約1.1倍~約40倍、約1.1倍~約30倍、約1.1倍~約25倍、約1.1倍~約20倍、約1.1倍~約15倍、約1.1倍~約10倍低下した量で投与される。
【0486】
一実施態様において、前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与される少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間前に、前記対象に投与される。別の実施態様において、前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態と、単一の剤形又は別々の剤形で同時に投与される。さらに別の実施態様において、前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態は、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態が投与された少なくとも5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、又は16週間後に、前記対象に投与される。
【0487】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記Flt3リガンドは、同じ経路で投与され、例えば、双方とも経口投与される。他の実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記Flt3リガンドは、異なる経路で投与され、例えば、一方は、経口投与され、他方は、静脈内投与される。一実施態様において、化合物1は、経口投与され、かつ前記Flt3リガンドは、静脈内投与される。
【0488】
ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態及び前記Flt3リガンド又はその医薬として許容し得る形態のみが、本明細書で提供される組成物及び方法の治療活性成分である。他の実施態様において、本明細書で提供される組成物は、少なくとも1種のさらなる治療活性成分を含み、本明細書で提供される方法は、それを使用する。一実施態様において、前記本明細書で提供される組成物は、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、イデラリシブ)、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤、及びFlt3リガンドを含み、本明細書で提供される方法は、それらを使用する。
【0489】
(がん)
本明細書で提供されるような医薬組成物を用いてか、又は本明細書で提供されるような方法により治療、管理、又は予防することができる疾患又は障害(例えば、がん)としては、乳がん、例えば、腺管癌、小葉癌、髄様癌、膠様癌、管状癌、及び炎症性乳がん;卵巣内の腺癌及び卵巣から腹腔内に移動した腺癌などの上皮性卵巣腫瘍を含む卵巣がん;子宮がん;子宮頸がん、例えば、扁平上皮細胞癌及び腺癌を含む子宮頸部上皮内の腺癌;前立腺がん、例えば、以下:腺癌もしくは骨に移動した腺癌から選択される前立腺がん;膵臓がん、例えば、膵管組織内の類上皮癌及び膵管内の腺癌;膀胱がん、例えば、膀胱内の移行細胞癌、尿路上皮癌(移行上皮癌)、膀胱の内側を覆う尿路上皮細胞内の腫瘍、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び小細胞がん;白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄異形成、骨髄増殖性障害、NK細胞白血病(例えば、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病腫瘍(CML)、肥満細胞症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、及び骨髄異形成症候群(MDS);骨がん;肺がん、例えば、扁平上皮細胞癌、腺癌、及び大細胞未分化癌に分類される非小細胞肺がん(NSCLC)、並びに小細胞肺がん;皮膚がん、例えば、基底細胞癌、黒色腫、扁平上皮細胞癌、及び扁平上皮細胞癌に発達することがある皮膚状態である光線角化症;眼網膜芽細胞腫;皮膚のもしくは眼球内(眼)黒色腫;原発性肝臓がん;腎臓がん;甲状腺がん、例えば、乳頭様甲状腺がん、濾胞性甲状腺がん、髄様甲状腺がん、及び未分化甲状腺がん;リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞免疫芽球性リンパ腫、NK細胞リンパ腫(例えば、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)、及びバーキットリンパ腫;カポジ肉腫;B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、及び肝細胞癌を含むウイルス誘発性がん;ヒトリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)及び成人T細胞白血病/リンパ腫;並びにヒトパピローマウイルス(HPV)及び子宮頸がん;中枢神経系がん(CNS)、例えば、神経膠腫(星細胞腫、未分化星細胞腫、もしくは多形性膠芽腫)、乏突起神経膠腫、上衣腫、髄膜腫、リンパ腫、シュワン細胞腫、及び髄芽腫を含む原発性脳腫瘍;末梢神経系(PNS)がん、例えば、神経線維腫及びシュワン細胞腫を含む聴神経腫及び悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、悪性線維性細胞腫(malignant fibrocytoma)、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫、並びに悪性ミュラー管混合腫瘍;口腔及び中咽頭がん、例えば、下咽頭がん、喉頭がん、鼻咽頭がん、及び中咽頭がん;胃がん、例えば、リンパ腫、胃間質性腫瘍、及びカルチノイド腫瘍;精巣がん、例えば、精上皮腫及び非精上皮腫を含む胚細胞腫瘍(GCT)、並びにライディッヒ細胞腫及びセルトリ細胞腫を含む性腺間質腫瘍;胸腺がん、例えば、胸腺腫、胸腺癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、カルチノイドもしくはカルチノイド腫瘍;直腸がん;並びに結腸がんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0490】
一実施態様において、前記がん又は疾患は、血液障害又は血液悪性腫瘍である。
【0491】
いくつかの実施態様において、前記がん又は疾患は、以下:聴神経腫、腺癌、副腎がん、肛門がん、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫)、良性単クローン性高ガンマグロブリン血症、胆道がん(例えば、胆管細胞癌)、膀胱がん、乳がん(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳腺がん、乳房の髄様癌)、脳のがん(例えば、髄膜腫;神経膠腫、例えば、星細胞腫、乏突起神経膠腫;髄芽腫)、気管支がん、子宮頸がん(例えば、子宮頚部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸がん(例えば、結腸がん、直腸がん、結腸直腸腺癌)、上皮癌、上衣腫、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜がん、食道がん(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、家族性過好酸球増加症(familiar hypereosinophilia)、胃がん(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮細胞癌、口腔がん(例えば、口腔扁平上皮細胞癌(OSCC))、重鎖病(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病)、血管芽腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、免疫細胞性アミロイドーシス、腎臓がん(例えば、腎芽腫、別名、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、肝臓がん(例えば、肝細胞がん(HCC)、悪性肝細胞癌)、肺がん(例えば、気管支原性肺癌、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺癌)、白血病(例えば、B-系統ALL及びT-系統ALLを含む、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM);末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病、及びリード・シュテルンベルク病;急性骨髄球性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL))、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL))、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、特発性骨髄化生(AMM)、別名、骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))、神経芽腫、神経線維腫(例えば、1型又は2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症)、神経内分泌がん(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣がん(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、外陰部のパジェット病、陰茎のパジェット病、乳頭腺癌、膵臓がん(例えば、膵腺癌(pancreatic andenocarcinoma)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN))、松果体腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(PNT)、前立腺がん(例えば、前立腺腺癌)、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、唾液腺がん、皮膚がん(例えば、扁平上皮細胞癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸がん(例えば、虫垂がん)、軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣がん(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌)、甲状腺がん(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様がん)、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症のうちの1つ以上から選択される。
【0492】
一実施態様において、本明細書で提供される前記がん又は疾患、例えば、血液障害又は血液悪性腫瘍は、高い発現レベルの1種以上のPI3Kアイソフォーム(例えば、PI3K-α、PI3K-β、PI3K-δ、もしくはPI3K-γ、又はそれらの組み合わせ)を有する。
【0493】
一実施態様において、前記がん又は疾患は、とりわけ、骨髄系の障害、リンパ系の障害、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、肥満細胞障害、及び骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)を含むが、これらに限定されない血液障害又は血液悪性腫瘍である。
【0494】
一実施態様において、前記血液障害又は血液悪性腫瘍としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、T細胞ALL(T-ALL)、B細胞ALL(B-ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、芽球期CML、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、CLL/SLL、芽球期CLL、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞NHL、T細胞NHL、インドレントNHL(indolent NHL, iNHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、アグレッシブB細胞NHL、B細胞リンパ腫(BCL)、リヒター症候群(RS)、T細胞リンパ腫(TCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、形質転換菌状息肉症、セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、リンパ形質細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、アミロイド症、MPD、本態性血小板増加症(ET)、骨髄線維症(MF)、真性赤血球増加症(PV)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄異形成症候群(MDS)、血管免疫芽球性リンパ腫、高リスクMDS、及び低リスクMDSが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、前記血液悪性腫瘍は、再発性のものである。一実施態様において、前記血液悪性腫瘍は、難治性のものである。一実施態様において、前記がん又は疾患は、小児の患者(乳幼児の患者を含む)におけるものである。一実施態様において、前記がん又は疾患は、成人の患者におけるものである。本明細書で提供される方法、組成物、又はキットによって治療又は予防されているがん又は疾患の追加の実施態様は、本明細書の別所に記載されている。
【0495】
例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、CLLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、CLL/SLLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、芽球期CLLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、SLLである。
【0496】
例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、INHLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、DLBCLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、B細胞NHL(例えば、アグレッシブB細胞NHL)である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、MCLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、RSである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、AMLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、MMである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、ALLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、T-ALLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、B-ALLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、TCLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、ALCLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、白血病である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、リンパ腫である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、T細胞リンパ腫である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、MDS(例えば、低悪性度MDS)である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、MPDである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、肥満細胞障害である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、ホジキンリンパ腫(HL)である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、PTCLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、CTCL(例えば、菌状息肉症又はセザリー症候群)である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、WMである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、CMLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、FLである。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、形質転換菌状息肉症である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、セザリー症候群である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、急性T細胞白血病である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、急性B細胞白血病である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、バーキットリンパ腫である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、骨髄増殖性新生物である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、脾性辺縁帯である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、節性辺縁帯である。例示的な実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、節外性辺縁帯である。
【0497】
一実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、B細胞リンパ腫である。具体的な実施態様において、本明細書で提供されるものは、患者に、治療的有効量の本明細書で提供される化合物又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、B細胞リンパ腫を治療又は管理する方法である。また、本明細書で提供されるものは、患者に、治療的有効量の本明細書で提供される化合物又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、B細胞リンパ腫に伴う症状のうちの1つ以上を治療又は軽減する方法である。一実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、INHLである。別の実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、濾胞性リンパ腫である。別の実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)である。別の実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、辺縁帯リンパ腫(MZL)である。別の実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、MCLである。別の実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、HLである。別の実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、aNHLである。別の実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、DLBCLである。別の実施態様において、前記B細胞リンパ腫は、リヒターリンパ腫である。
【0498】
一実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、T細胞リンパ腫である。具体的な実施態様において、本明細書で提供されるものは、患者に、治療的有効量の本明細書で提供される化合物又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、T細胞リンパ腫を治療又は管理する方法である。また、本明細書で提供されるものは、患者に、治療的有効量の本明細書で提供される化合物又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、T細胞リンパ腫に伴う症状のうちの1つ以上を治療又は軽減する方法である。一実施態様において、前記T細胞リンパ腫は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。別の実施態様において、前記T細胞リンパ腫は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
【0499】
一実施態様において、前記がん又は血液悪性腫瘍は、セザリー症候群である。具体的な実施態様において、本明細書で提供されるものは、患者に、治療的有効量の本明細書で提供される化合物又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含むセザリー症候群を治療又は管理する方法である。また、本明細書で提供されるものは、患者に、治療的有効量の本明細書で提供される化合物又はその医薬として許容し得る誘導体(例えば、塩もしくは溶媒和物)を投与することを含む、セザリー症候群に伴う症状のうちの1つ以上を治療又は軽減する方法である。セザリー症候群に伴う症状としては、腫瘍性CD4+リンパ球による表皮向性、ポートリエ微小膿瘍、紅皮症、リンパ節腫脹症、末梢血中の異型T細胞、及び肝脾腫大症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0500】
上記方法における治療の有効性は、例えば、新生物状態の患者に存在する腫瘍のサイズの低下を測定するか、又は腫瘍細胞の増殖の度合いの分子決定因子をアッセイすることにより決定することができる。
【0501】
上記方法で試験することができる適当な試験薬剤としては、コンビナトリアルライブラリー、確定された化学物質、ペプチド及びペプチド模倣体、オリゴヌクレオチド、並びに天然物ライブラリー、例えば、ディスプレー(例えば、ファージディスプレーライブラリー)及び抗体産物が挙げられる。試験薬剤を、例えば、1反応あたり10物質の初期スクリーニングに用いて、阻害又は活性化を示したこれらのバッチの物質を、個別に試験してもよい。試験薬剤は、1nM~1000μM、好ましくはμM~100μM、より好ましくは1μM~10μMの濃度で用いてもよい。
【0502】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、PI3K阻害剤(例えば、1種以上のPI3K阻害剤、例えば、イデラリシブ及び/又は化合物1)又はその医薬として許容し得る形態を、第2の薬剤又はその医薬として許容し得る形態と組み合わせて投与することを含み、該第2の薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、又は6)Flt3リガンドのうちの1つ以上から選択され、該がんが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(活性型B細胞様)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(胚中心B細胞様)、濾胞性リンパ腫、インドレント非ホジキンリンパ腫、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、又は多発性骨髄腫である、前記方法である。ある実施態様において、前記組合せは、治療上有効である。ある実施態様において、前記組合せは、相乗的である。
【0503】
本明細書で提供される方法の一実施態様において、前記対象は、PI3K阻害剤に対して低下した反応性を示す(例えば、PI3K阻害剤、例えば、化合物1を用いる治療に対して抵抗性の又は屈折性(refractive)である)。一実施態様において、前記対象は、PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態の単剤療法での治療に対して低下した感受性(例えば、抵抗性又は獲得抵抗性)を有するものと確認されている。一実施態様において、前記対象は、本明細書で提供される組合せ療法による治療に対して増加した感受性を有するものと確認されている。
【0504】
本明細書においてはまた、PI3K阻害剤、例えば、化合物1又はCAL-101に対するか、又は本明細書に記載される、チェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンドなどの第2の薬剤に対する、対象の抵抗性を遅延させるか、又は対象の寛解(例えば、完全寛解又は部分寛解)を延長する方法が提供される。いくつかの実施態様において、前記対象の抵抗性を遅延させるか又は前記対象の寛解(例えば、完全寛解又は部分寛解)を延長する前記方法は、該対象が該PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)に対する抵抗性を生じる前に、本明細書に記載されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)及び第2の薬剤(例えば、チェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンドの組合せ)を、該対象に投与することを含む。いくつかの実施態様において、前記前記対象の抵抗性を遅延させるか、又は前記対象の寛解(例えば、完全寛解又は部分寛解)を延長する方法は、該対象が、該第2の薬剤に対する抵抗性を生じる前に、PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)及び第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンドの組合せ)を、該対象に投与することを含む。
【0505】
いくつかの実施態様において、前記対象は、PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)に対して抵抗性ではない。いくつかの実施態様において、前記対象は、本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンドに対して抵抗性ではない。いくつかの実施態様において、前記対象は、PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)を、単剤療法としてか、又は本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンド以外の薬剤と組み合わせて以前に投与されたことがある。いくつかの実施態様において、前記対象は、本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンドを、単剤療法としてか、又は本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンド以外の薬剤と組み合わせて、以前に投与されたことがある。いくつかの実施態様において、前記対象は、がん、例えば、本明細書に記載されるがんを患っている。いくつかの実施態様において、前記方法によれば、抵抗性が、対象を薬剤又は阻害剤のいずれかで単剤療法として単独で治療する場合に抵抗性が一般に発生する時間と比較して、遅延される。いくつかの実施態様において、前記抵抗性は、少なくとも2週間、例えば、少なくとも2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、12ヶ月、1年、2年、4年、6年、8年、又はそれを超えて遅延される。いくつかの実施態様において、前記方法によれば、寛解(例えば、完全寛解又は部分寛解)が、対象を薬剤又は阻害剤のいずれかで単剤療法として単独で治療する場合に寛解が一般に持続する時間と比較して、延長される。いくつかの実施態様において、寛解(例えば、完全寛解又は部分寛解)は、少なくとも2週間、例えば、少なくとも2週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、12ヶ月、1年、2年、4年、6年、8年、又はそれを超えて延長される。
【0506】
いくつかの実施態様において、ひとたび対象が、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)又は前記第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンド)に対して抵抗性となると、該対象が抵抗性となった薬剤は、中止される。他の実施態様において、ひとたび対象が、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)又は前記第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンド)に対して抵抗性となると、該対象が抵抗性となった薬剤は、継続される。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤又は前記第2の薬剤の治療レジメンへの追加は、がんが抵抗性を示している薬剤に対する感受性を増加又は回復させる。例えば、いくつかの実施態様において、前記第2の薬剤の治療レジメンへの追加は、がんが抵抗性を示しているPI3K阻害剤に対する感受性を増加又は回復させる。
【0507】
本明細書で提供されるものはまた、PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)に対する対象の抵抗性を減少させる、例えば、克服する方法であって、該対象において前記PI3K阻害剤に対する抵抗性が発生するまで、該PI3K阻害剤を、単剤療法として、前記対象に投与すること、及びそれに続き、第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンド)を、該対象に投与することを含む、前記方法である。ある例において、前記方法は、前記PI3K阻害剤の投与を(例えば、同投薬量、より低投薬量、又はより高投薬量で)、前記対象に、前記第2の薬剤と組み合わせて継続することを含む。別の例において、前記方法は、前記第2の薬剤の投与を開始する際に、前記PI3K阻害剤の投与中断することを含む。例えば、前記PI3K阻害剤の投与は、前記第2の薬剤の投与が始まる前に停止される。別の例において、前記PI3K阻害剤の投薬量を、前記第2の薬剤の投与を開始する際に、例えば、徐々に低下させる。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるものは、PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)に対する対象の抵抗性を減少させる、例えば、克服する方法であって、抵抗性が生じるのを防ぐため、抵抗性が生じる可能性を減少させるため、又は抵抗性が生じる前の期間を増加させるために、該PI3K阻害剤及び前記第2の薬剤(例えば、本明細書に記載されるチェックポイントモジュレーター、XPO1阻害剤、抗CD19抗体、TLRアゴニスト、STINGアゴニスト、又はFlt3リガンド)を、該対象に、該対象が、該PI3K阻害剤に対する抵抗性を生じる前に投与することを含む、前記方法である。
【0508】
一実施態様において、本明細書に記載される方法は、本明細書で提供されるPI3K阻害剤及び第2の薬剤に加えて、CD20阻害剤、例えば、抗CD20抗体の第3の薬剤の投与をさらに含む。一実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、本明細書で提供されるPI3K阻害剤及び第2の薬剤に加えて、CD20阻害剤、例えば、抗CD20抗体の第3の薬剤をさらに含む。いくつかのそのような実施態様において、前記CD20阻害剤、例えば、抗CD20抗体は、前記PI3K阻害剤及び/又は第2の薬剤と同じ剤形に含まれる。いくつかのそのような実施態様において、前記CD20阻害剤、例えば、抗CD20抗体は、前記PI3K阻害剤及び/又は第2の薬剤とは別の剤形中にある。前記CD20阻害剤、例えば、抗CD20抗体は、前記PI3K阻害剤及び/又は第2の薬剤の前にか、その後にか、又はそれと同時に投与することができる。例示的なCD20阻害剤としては、抗CD20抗体及び他の阻害剤、例えば、リツキシマブ、オビヌツズマブ(GA-101)、トシツモマブ、131Iトシツモマブ、90Yイブリツモマブ、111Iイブリツモマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、及びオクレリズマブ)、AME-133v、PRO131921、並びにTRU-015が挙げられるが、これらに限定されない。
【0509】
前記PI3K阻害剤及び前記第3の薬剤、例えば、CD20阻害剤、例えば、抗CD20抗体の組合せは、単一の剤形中で一緒に投与することができるか、又は本明細書に記載されるような2つ以上の異なる剤形中で別々に投与することができる。ある実施態様において、前記抗CD20抗体は、リツキシマブ、オファツムマブ、及びオビヌツズマブから選択される。
【0510】
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物は、PI3K阻害剤(例えば、本明細書に記載されるPI3K阻害剤、例えば、化合物1又はCAL-101)、本明細書で提供される第2の薬剤、及び抗CD20抗体又はその断片、例えば、オビヌツズマブなどの抗CD20モノクローナル抗体(mAb)の第3の薬剤の組合せを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)、本明細書で提供される第2の薬剤の組合せを、抗CD20抗体又はその断片、例えば、オビヌツズマブなどの抗CD20モノクローナル抗体(mAb)と組み合わせて投与することを含む、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記対象は、がん、例えば、本明細書に記載されるがん、例えば、血液がん、例えば、リンパ腫を患っている。いくつかの実施態様において、前記化合物1又はCAL-101、本明細書で提供される第2の薬剤を、オビヌツズマブと組み合わせることの効果としては、細胞死滅、例えば、がん細胞死滅に対する相加効果が挙げられる。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)は、前記オビヌツズマブと同時にか、その前にか、又はその後に投与される。いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)、前記第2の薬剤、及びオビヌツズマブの組合せは、該PI3K阻害剤、該第2の薬剤、及び/又は該オビヌツズマブが、単剤療法の用量と比較して、同じ治療効果を達成するのに必要とされるであろう量よりも低投与量又はそれよりも低頻度で投与されることを可能とする。そのような組合せは、例えば、そうしなかった場合に、薬剤の一方又は双方のより高用量の投与に伴うであろう副作用、毒性、又は抵抗性のうちの1つ以上の発生を減少させること、予防すること、遅延させること、及び/又は低下させることにおいて有利な効果を提供する。
【0511】
単剤療法として、オビヌツズマブを、以下の28日サイクルの投与計画:C1D1(サイクル1、第1日)に100mg、C1D2に900mg、C1D8に1000mg、C1D15に1000mg、及び後続のサイクル、例えば、サイクル2~6のそれぞれの第1日に1000mgにより投与することができる。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤及び本明細書で提供される第2の薬剤と組み合わせて投与される場合、オビヌツズマブの投与量を、その単剤療法の用量と比較して減少させることができる、例えば、300~400、400~500、500~600、600~700、700~800、800~900、又は900~1000mg/サイクル(例えば、28日サイクルの間)。いくつかの実施態様において、PI3K阻害剤と組み合わせて投与される場合、オビヌツズマブの投与の頻度は、その単剤療法としての頻度と比較して、例えば、28~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、又は55~60日毎に1回投与まで減少させることができる。
【0512】
微小残存病変陰性(MRD)をモニターするための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Zhou, J.らの文献: Blood, 2007, 110: 1607-1611を参照されたい。そのような方法としては、DNAベースの試験又はRNAベースの試験が挙げられる。ある実施態様において、MRDは、フローサイトメトリー、シークエンシング、又はPCRを用いてモニターされる。
【0513】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される組成物及び方法は、MRDを減少させるのに有効である。
【0514】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、PI3K阻害剤及び前記第2の薬剤の組合せを用いる治療の対象を選択することを含む。ある実施態様において、前記対象(例えば、がん、例えば、本明細書に記載されるがんの患者)は、該対象におけるMRDに基づいて、前記組合せを用いる治療に選択される。ある実施態様において、前記選択は、事前に選択したレベル(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)を超えるMRDの存在に基づく。
【0515】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、対象におけるMRDをモニターすること、例えば、治療(例えば、PI3K阻害剤単剤療法、もしくは第2の薬剤単剤療法、又は本明細書で開示される組合せ療法)を開始、継続、又は中止した後の少なくとも1、2、3、4、5、6、9か月でMRDを評価することをさらに含む。
【0516】
いくつかの実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、本明細書に記載されるPI3K阻害剤)及び第2の薬剤(例えば、本明細書に記載される第2の薬剤)の組合せは、前記対象におけるMRDを、例えば、該対象において以前に測定されたレベル(例えば、該組合せ治療前に測定されたレベル)を下回って、減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤及び第2の薬剤阻害剤の組合せは、前記対象におけるMRDを、単剤療法、例えば、前記PI3K阻害剤又は前記第2の薬剤のいずれかを含む単剤療法を用いる治療の間か又はその後に観察されるレベルを下回って減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記MRDは、前記PI3K阻害剤を含む単剤療法を用いる治療の間に観察されるレベルを下回って低下する。ある実施態様において、前記MRDは、前記PI3K阻害剤を含む単剤療法を用いる治療の間に観察されるレベルを下回って低下する。
【0517】
ある実施態様において、前記組合せは、前記MRDを、事前に選択したカットオフ値(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)を下回って減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記事前に選択したカットオフ値は、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞である。前記MRDが、事前に選択したカットオフ値(例えば、本明細書に記載されるような事前に選択したカットオフ値)よりも低い実施態様において、前記治療(例えば、PI3K阻害剤単剤療法、又は第2の薬剤単剤療法、又は本明細書で開示される組合せ療法)を、変化させるか又は中止することができる。前記MRDを(療法を変化又は中断させた後の少なくとも1、2、3、4、5、6、9ヶ月で)モニターする際に、該MRDレベルが、事前に選択したカットオフ(例えば、本明細書に記載されるような事前に選択したカットオフ)を超えて増加した場合には、第2の治療(例えば、PI3K阻害剤単剤療法もしくは第2の薬剤単剤療法、本明細書で開示される組合せ療法、又は第3の薬剤、例えば、イブルチニブなどの抗CD20阻害剤もしくはBTK阻害剤との組合せ)を開始することができる
【0518】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるものは、対象におけるがんを治療する方法であって、(i)該対象に、単剤療法(例えば、PI3K阻害剤又は本明細書に記載されるような第2の治療薬剤を含む単剤療法)を投与し、かつ該対象におけるMRDをモニターすること、及び(ii)該MRDが、事前に選択したカットオフ値(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)を超えて増加する場合に、前記対象に、第2の薬剤と組み合わせたPI3K阻害剤を投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、前記組合せは、MRDを減少させるのに、例えば、MRDをカットオフ値を下回って減少させるのに有効である。ある実施態様において、前記事前に選択したカットオフ値は、1000個又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞である。
【0519】
ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、がんと診断された対象において微小残存病変(MRD)を低下させる方法であって:(a)該対象に、PI3K阻害剤(例えば、化合物1)又はその医薬として許容し得る形態を、第2の薬剤(例えば、少なくとも1種の第2の薬剤)と組み合わせて投与すること;(b)該対象におけるMRDを、本明細書に記載されるか又は当技術分野において公知の1つ以上の方法(例えば、フローサイトメトリー、シークエンシング、又はPCR)によってモニターし、かつ該対象におけるMRDが、事前に選択したカットオフ値(例えば、100個の正常細胞中に1個の悪性細胞、1000個の正常細胞中に1個の悪性細胞、又は10,000個の正常細胞中に1個の悪性細胞)を超えて増加する場合に、該PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を含む単剤療法を、該対象に投与すること;及び(c)該単剤療法を受けている対象におけるMRD陰性の量を、本明細書に記載されるか又は当技術分野において公知の1つ以上の方法(例えば、フローサイトメトリー、シークエンシング、又はPCR)によってモニターし、かつ該MRDが、該事前に選択したカットオフ値を超える場合に、該PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態及び第3の薬剤(例えば、少なくとも1種の第3の薬剤)を含むさらなる組合せを、該対象に投与することを含む、前記方法である。一実施態様において、前記第3の薬剤は、抗CD20抗体、MEK阻害剤、デキサメタゾン、レノリドミド(lenolidomide)、mTOR阻害剤、ナイトロジェンマスタード、及びヌクレオシド代謝阻害剤のうちの1つ以上から選択される。
【0520】
いくつかの実施態様において、前記第3の薬剤は、化学療法剤である。いくつかの実施態様において、前記化学療法剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質(intercalating antibiotics)、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物反応修飾物質、抗ホルモン薬、血管新生抑制剤、及び抗アンドロゲン薬から選択される。非限定的な例としては、化学療法剤、細胞傷害性剤、及び非ペプチド小分子、例えば、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(商標)(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、及びAdriamycin(登録商標)(ドキソルビシン)、並びに多くの化学療法剤がある。化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine);BTK阻害剤、例えば、イブルチニブ(PCI-32765)、AVL-292、ダサチニブ、LFM-AI3、ONO-WG-307、及びGDC-0834;HDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ベリノスタット、モセチノスタット、アブレキノスタット(abrexinostat)、エンチノスタット、SB939、レスミノスタット、ギビノスタット、CUDC-101、AR-42、CHR-2845、CHR-3996、4SC-202、CG200745、ACY-1215、及びケベトリン;EZH2阻害剤、例えば、限定されないが、EPZ-6438(N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-5-(エチル(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-4-メチル-4'-(モルホリノメチル)-[1,1'-ビフェニル]-3-カルボキサミド)、GSK-126((S)-1-(sec-ブチル)-N-((4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-3-メチル-6-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-1H-インドール-4-カルボキサミド)、GSK-343(1-イソプロピル-N-((6-メチル-2-オキソ-4-プロピル-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル)-6-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-4-イル)-1H-インダゾール-4-カルボキサミド)、El1、3-デアザネプラノシンA(DNNep、5R-(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3-(ヒドロキシメチル)-3-シクロペンテン-1S,2R-ジオール)、EZH2を標的とする低分子干渉RNA(siRNA)二重鎖(S. M. Elbashirらの文献:Nature 411: 494-498(2001))、イソリキリチゲニン、並びに例えば、その全てが引用により本明細書中に組み込まれる、米国公開第2009/0012031号、第2009/0203010号、第2010/0222420号、第2011/0251216号、第2011/0286990号、第2012/0014962号、第2012/0071418号、第2013/0040906、及び第2013/0195843号に提供されているもの;JAK/STAT阻害剤、例えば、レスタウルチニブ、トファシチニブ、ルキソリチニブ、パクリチニブ、CYT387、バリシチニブ、GLPG0636、TG101348、INCB16562、CP-690550、及びAZD1480;PKC-β阻害剤、例えば、エンザスタウリン;SYK阻害剤、例えば、限定されないが、GS-9973、R788(ホスタマチニブ(fostamatinib))、PRT 062607、R406、(S)-2-(2-((3,5-ジメチルフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-(1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-4-メチルチアゾール-5-カルボキサミド、R112、GSK143、BAY61-3606、PP2、PRT 060318、R348、並びに例えば、そのすべてが引用により本明細書に組み込まれる、米国公開第2003/0113828号、第2003/0158195号、第2003/0229090号、第2005/0075306号、第2005/0232969号、第2005/0267059号、第2006/0205731号、第2006/0247262号、第2007/0219152号、第2007/0219195号、第2008/0114024号、第2009/0171089号、第2009/0306214号、第2010/0048567号、第2010/0152159号、第2010/0152182号、第2010/0316649号、第2011/0053897号、第2011/0112098号、第2011/0245205号、第2011/0275655号、第2012/0027834号、第2012/0093913号、第2012/0101275号、第2012/0130073号、第2012/0142671号、第2012/0184526号、第2012/0220582号、第2012/0277192号、第2012/0309735号、第2013/0040984号、第2013/0090309号、第2013/0116260号、第2013/0165431号に提供されているもの;SYK/JAK二重阻害剤、例えば、PRT2070;ナイトロジェンマスタード、例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プララトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート;デホファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルホミチン(elfomithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.R(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(例えば、TAXOL(商標))及びドセタキセル(例えば、TAXOTERE(商標))及びABRAXANE(登録商標)(パクリタキセルタンパク質結合粒子);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のもののいずれかの医薬として許容し得る形態(例えば、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識された誘導体)が挙げられる。同じく好適な化学療法用の細胞調整剤として挙げられるものは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む、抗エストロゲン薬;並びに抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。望ましい場合、本明細書において提供される化合物又は医薬組成物は、一般に処方される抗癌薬、例えば、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラディン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナファイド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗新生物薬、抗腫瘍原性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシイミン、CBV(化学療法)、カリクリン、クリゾチニブ、細胞周期非特異的抗新生物剤、ジクロロ酢酸、ディスコデルモライド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドマイド、ルカントン、ラルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナホキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポーポー、ピクサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バジメザン、ビンフルニン、ZD6126、及びゾスキダルと組み合わせて用いることができる。
【0521】
いくつかの実施態様において、前記化学療法薬は、限定されないが、IPI-926(米国特許第7,812,164号参照)を含む、ヘッジホッグ阻害剤から選択される。他の好適なヘッジホッグ阻害剤としては、例えば、その開示全体が、引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,230,004号、米国特許出願公開第2008/0293754号、米国特許出願公開第2008/0287420号、及び米国特許出願公開第2008/0293755号に記載及び開示されているものが挙げられる。他の好適なヘッジホッグ阻害剤の例としては、各々引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開US2002/0006931号、US2007/0021493号、及びUS2007/0060546号、並びに国際出願公開WO2001/19800号、WO2001/26644号、WO2001/27135号、WO2001/49279号、WO2001/74344号、WO2003/011219号、WO2003/088970号、WO2004/020599号、WO2005/013800号、WO2005/033288号、WO2005/032343号、WO2005/042700号、WO2006/028958号、WO2006/050351号、WO2006/078283号、WO2007/054623号、WO2007/059157号、WO2007/120827号、WO2007/131201号、WO2008/070357号、WO2008/110611号、WO2008/112913号、及びWO2008/131354号に記載されているものが挙げられる。ヘッジホッグ阻害剤のさらなる例としては、例えば、Von Hoff Dらの文献:N. Engl. J. Med. 2009; 361(12): 1164-72; Robarge K.Dらの文献:Bioorg Med Chem Lett. 2009; 19(19): 5576-81; Yauch, R. L.らの文献(2009) Science 326: 572-574; Sciencexpress: 1-3(10.1126/science.1179386); Rudin, C.らの文献(2009) New England J of Medicine 361-366(10.1056/nejma0902903)に記載されているGDC-0449(RG3616又はビスモデギブとしても知られる);例えば、Siu Lらの文献:J. Clin. Oncol. 2010; 28: 15s(補遺;要旨2501);及び米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT006701891号に記載されているBMS-833923(XL139としても知られる);例えば、Pan S.らの文献:ACS Med. Chem. Lett, 2010; 1(3): 130-134に記載されているLDE-225; 例えば、米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT01106508号に記載されているLEQ-506;例えば、米国立衛生研究所臨床試験識別子(National Institute of Health Clinical Trial Identifier) NCT00953758号に記載されているPF-04449913;米国特許出願公開第2010/0286114号に開示されているヘッジホッグ経路アンタゴニスト; 例えば、米国特許出願公開第2010/0093625号に記載されているSMOi2-17;例えば、Rominger C.M.らの文献:J. Pharmacol. Exp. Ther. 2009; 329(3): 995-1005に記載されているSANT-1及びSANT-2; Lucas B.S.らの文献:Bioorg. Med. Chem. Lett. 2010; 20(12): 3618-22に記載されている1-ピペラジニル-4-アリールフタラジン又はその類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0522】
他のホルモン療法及び化学療法剤としては、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、及び酢酸メゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン及びロイプロリド)、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド及びビカルタミド)、光線力学療法(例えば、ベルトポルフィン(vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、及びデメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA))、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、及びメルファラン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、アルキルスルホナート(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)、タキソイド又はタキサン(例えば、パクリタキセル又はパクリタキセル同等品、例えば、ナノ粒子アルブミン結合型パクリタキセル(Abraxane)、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、Taxoprexin)、ポリグルタメート結合型パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP) ANG1005(パクリタキセル3分子に結合したアンジオペップ-2(Angiopep-2))、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル)、及びグルコースコンジュゲート型パクリタキセル、例えば、2'-パクリタキセルメチル 2-グルコピラノシルスクシネート;ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、イリノテカン、クリスナトール、マイトマイシンC(mytomycin C))、代謝拮抗物質、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキセート、ジクロロメトトレキセート、トリメトレキセート、エダトレキセート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、及びEICAR)、リボヌクロチド(ribonuclotide)レダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシウレア及びデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド、テガフール-ウラシル、カペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(ara C、シトシンアラビノシド)、及びフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB 1089、CB 1093、及びKH 1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作動性神経毒(例えば、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えばアクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca2+ ATPアーゼ阻害剤(例えば、タプシガルジン)、サリドマイド、レナリドマイド(REVLIMID(登録商標))、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、ドビチニブ乳酸塩(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、及び/又はXL228)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade))、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダホロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF-4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)、及びOSI-027(OSI))、オブリメルセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンプトテシン、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン、ロイロシン、クロラムブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモライド、カルミノマイシン、アミノプテリン、並びにヘキサメチルメラミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0523】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はCAL-101)及び本明細書で提供される第2の薬剤の組合せは、Tyro-3(Skyとも呼ばれる)、Axl、及びMerを含む受容体チロシンキナーゼ(RTK)サブファミリーであるTAMファミリーの1以上のメンバーの阻害剤とさらに組み合わせて投与される。一実施態様において、該TAM阻害剤は、BGB324(R428)、S49076、TP0903、CEP-40783、ONO-9330547、ボスチニブ(SKI606、PF5208763)、カボザンチニブ(XL184)、スニチニブ(SU11248)、フォレチニブ(XL880、GSK1363089)、MGCD265、BMS777607(ASLAN002)、LY2801653、SGI7079、アムバチニブ(SGI-0470-02、MP470)、SNS314、PF-02341066、ジアミノピリミジン、スピロインドリン、UNC569、UNC1062、UNC1666、UNC2025、又はLDC1267である。さらなるTAM阻害剤としては、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる、Mollardらの文献:Med. Chem. Lett. 2011, 2, 907-912、及び2014年8月19日にオンラインで最初に発表されたFeneyrollesらの文献:Mol. Cancer Ther. 13(9)に記載されているものが挙げられる。
【0524】
(4. 製剤)
本明細書に記載される製剤又は組成物は、PI3K阻害剤(例えば、本明細書に記載されるような1種以上のPI3K阻害剤)及び/又は本明細書に記載されるような1種以上の追加の薬剤(例えば、第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)を含むことができる。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、本明細書に記載されるような1種以上のPI3K阻害剤)及び前記第2の薬剤は、同じ剤形中に含まれる。ある実施態様において、前記PI3K阻害剤(例えば、本明細書に記載されるような1種以上のPI3K阻害剤)及び前記第2の薬剤は、別々の剤形中に含まれる。
【0525】
医薬組成物は、以下のもの:経口投与、例えば、水薬(水性又は非水性の液剤又は懸濁剤)、錠剤(例えば、口腔、舌下、及び全身吸収の対象となるもの)、カプセル剤、ボーラス剤、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤、並びに十二指腸経路;例えば、滅菌液剤もしくは懸濁剤又は徐放性製剤としての、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、又は注入を含む、非経口投与;例えば、皮膚に適用されるクリーム剤、軟膏剤、もしくは制御放出パッチもしくはスプレーとしての、局所適用;例えば、ペッサリー、クリーム剤、ステント、又はフォームとしての、膣内又は直腸内;舌下;眼内;肺内;カテーテル又はステントによる局所送達;髄腔内、又は鼻腔内に適したものを含む、固体又は液体形態での投与のために特別に製剤化し得る。
【0526】
投与されるPI3K阻害剤の量及びPI3K阻害剤投与のタイミングは、治療されている患者のタイプ(種、性別、年齢、体重など)及び状態、治療されている疾患又は状態の重症度、並びに投与の経路次第で決まるものである。例えば、小分子PI3K阻害剤又は第2の薬剤は、患者に、1日あたり又は1週間あたり体重1kgあたり0.001~100mgの範囲の用量で、単一もしくは分割された用量でか、又は連続的な注入によって投与することができる。特に、化合物、例えば、化合物1、又は類似の化合物は、患者に、1日あたり5~200mg又は1週間あたり100~1600mgの範囲の用量で、単一もしくは分割された用量でか、又は連続的な注入によって投与することができる。一実施態様において、前記用量は、150mg/日である。抗体ベースのPI3K阻害剤もしくは第2の薬剤、又はアンチセンス、RNAi、もしくはリボザイム構築体は、患者に、1日あたり又は1週間あたり体重1kgあたり0.1~100mgの範囲の用量で、単一もしくは分割された用量でか、又は連続的な注入によって投与することができる。いくつかの例においては、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルで十分過ぎることもあるが、別の例において、さらにより大きい用量を、有害な副作用を何ら引き起こすことなく採用し得る。但し、そのようなより大きい用量は、初めは、1日を通した投与のためのいくつかのより小さい用量に分割される。
【0527】
医薬組成物中で利用し得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、並びに注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散剤の場合、必要とされる粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持し得る。
【0528】
これらの組成物は、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、滑沢剤、及び/又は抗酸化剤を含むこともできる。本明細書に記載される化合物に対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによって確実なものとし得る。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらし得る。
【0529】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本明細書に記載される化合物及び/又は化学療法薬を、担体及び任意に、1以上の補助成分と関連させる工程を含む。一般に、製剤は、本明細書に開示される化合物を、液体担体、又は微粉化固体担体、又はその両方と均一かつ密接に関連させ、その後、必要であれば、生成物を成形することによって調製される。
【0530】
そのような医薬組成物の調製は当技術分野で周知である。例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G編、臨床薬物データのハンドブック(Handbook of Clinical Drug Data)、第10版、McGraw-Hill, 2002; Pratt及びTaylor編、薬物作用の原理(Principles of Drug Action)、第3版、Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung編、基礎及び臨床薬理学(Basic and Clinical Pharmacology)、第12版、McGraw Hill, 2011; Goodman及びGilman編、治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)、第10版、McGraw Hill, 2001;レミントンの医薬品科学(Remingtons Pharmaceutical Sciences)」、第20版、Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindaleの文献:特別薬局方(The Extra Pharmacopoeia)、第32版(The Pharmaceutical Press, London, 1999)を参照されたく;これらは全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。例えば、何らかの望ましくない生物学的効果をもたらすか、又はさもなければ医薬として許容し得る組成物の任意の他の成分と有害な形で相互作用することによって、任意の従来の賦形剤媒体が本明細書に提供される化合物と適合しない場合を除き、賦形剤の使用は、本開示の範囲内にあることが想定される。
【0531】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物中に提供されるか、又は本明細書で開示される方法において投与されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1)又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)の濃度は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%、約0.009%、約0.008%、約0.007%、約0.006%、約0.005%、約0.004%、約0.003%、約0.002%、約0.001%、約0.0009%、約0.0008%、約0.0007%、約0.0006%、約0.0005%、約0.0004%、約0.0003%、約0.0002%、又は約0.0001%、w/w、w/v、又はv/v未満である。
【0532】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物中に提供されるか、又は本明細書で開示される方法において投与されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1)又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)の濃度は、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約19.75%、約19.50%、約19.25%、約19%、約18.75%、約18.50%、約18.25%、約18%、約17.75%、約17.50%、約17.25%、約17%、約16.75%、約16.50%、約16.25%、約16%、約15.75%、約15.50%、約15.25%、約15%、約14.75%、約14.50%、約14.25%、約14%、約13.75%、約13.50%、約13.25%、約13%、約12.75%、約12.50%、約12.25%、約12%、約11.75%、約11.50%、約11.25%、約11%、約10.75%、約10.50%、約10.25%、約10%、約9.75%、約9.50%、約9.25%、約9%、約8.75%、約8.50%、約8.25%、約8%、約7.75%、約7.50%、約7.25%、約7%、約6.75%、約6.50%、約6.25%、約6%、約5.75%、約5.50%、約5.25%、約5%、約4.75%、約4.50%、約4.25%、約4%、約3.75%、約3.50%、約3.25%、約3%、約2.75%、約2.50%、約2.25%、約2%、約1.75%、約1.50%、約1.25%、約1%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%、約0.009%、約0.008%、約0.007%、約0.006%、約0.005%、約0.004%、約0.003%、約0.002%、約0.001%、約0.0009%、約0.0008%、約0.0007%、約0.0006%、約0.0005%、約0.0004%、約0.0003%、約0.0002%、又は約0.0001%、w/w、w/v、又はv/v超である。
【0533】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物中に提供されるか、又は本明細書で開示される方法において投与されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1)又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)の濃度は、およそ0.0001%~およそ50%、およそ0.001%~およそ40%、およそ0.01%~およそ30%、およそ0.02%~およそ29%、およそ0.03%~およそ28%、およそ0.04%~およそ27%、およそ0.05%~およそ26%、およそ0.06%~およそ25%、およそ0.07%~およそ24%、およそ0.08%~およそ23%、およそ0.09%~およそ22%、およそ0.1%~およそ21%、およそ0.2%~およそ20%、およそ0.3%~およそ19%、およそ0.4%~およそ18%、およそ0.5%~およそ17%、およそ0.6%~およそ16%、およそ0.7%~およそ15%、およそ0.8%~およそ14%、およそ0.9%~およそ12%、又はおよそ1%~およそ10%、w/w、w/v、又はv/vの範囲にある。
【0534】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物中に提供されるか、又は本明細書で開示される方法において投与されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1)又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)の濃度は、およそ0.001%~およそ10%、およそ0.01%~およそ5%、およそ0.02%~およそ4.5%、およそ0.03%~およそ4%、およそ0.04%~およそ3.5%、およそ0.05%~およそ3%、およそ0.06%~およそ2.5%、およそ0.07%~およそ2%、およそ0.08%~およそ1.5%、およそ0.09%~およそ1%、又はおよそ0.1%~およそ0.9%、w/w、w/v、又はv/vの範囲にある。
【0535】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物中に提供されるか、又は本明細書で開示される方法において投与されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1)又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)の濃度は、約10g、約9.5g、約9.0g、約8.5g、約8.0g、約7.5g、約7.0g、約6.5g、約6.0g、約5.5g、約5.0g、約4.5g、約4.0g、約3.5g、約3.0g、約2.5g、約2.0g、約1.5g、約1.0g、約0.95g、約0.9g、約0.85g、約0.8g、約0.75g、約0.7g、約0.65g、約0.6g、約0.55g、約0.5g、約0.45g、約0.4g、約0.35g、約0.3g、約0.25g、約0.2g、約0.15g、約0.1g、約0.09g、約0.08g、約0.07g、約0.06g、約0.05g、約0.04g、約0.03g、約0.02g、約0.01g、約0.009g、約0.008g、約0.007g、約0.006g、約0.005g、約0.004g、約0.003g、約0.002g、約0.001g、約0.0009g、約0.0008g、約0.0007g、約0.0006g、約0.0005g、約0.0004g、約0.0003g、約0.0002g、又は約0.0001g以下である。
【0536】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物中に提供されるか、又は本明細書で開示される方法において投与されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1)又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)の濃度は、約0.0001g、約0.0002g、約0.0003g、約0.0004g、約0.0005g、約0.0006g、約0.0007g、約0.0008g、約0.0009g、約0.001g、約0.0015g、約0.002g、約0.0025g、約0.003g、約0.0035g、約0.004g、約0.0045g、約0.005g、約0.0055g、約0.006g、約0.0065g、約0.007g、約0.0075g、約0.008g、約0.0085g、約0.009g、約0.0095g、約0.01g、約0.015g、約0.02g、約0.025g、約0.03g、約0.035g、約0.04g、約0.045g、約0.05g、約0.055g、約0.06g、約0.065g、約0.07g、約0.075g、約0.08g、約0.085g、約0.09g、約0.095g、約0.1g、約0.15g、約0.2g、約0.25g、約0.3g、約0.35g、約0.4g、約0.45g、約0.5g、約0.55g、約0.6g、約0.65g、約0.7g、約0.75g、約0.8g、約0.85g、約0.9g、約0.95g、約1g、約1.5g、約2g、約2.5g、約3g、約3.5g、約4g、約4.5g、約5g、約5.5g、約6g、約6.5g、約7g、約7.5g、約8g、約8.5g、約9g、約9.5g、又は約10g超である。
【0537】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される化合物1又は治療薬剤のうちの1つ以上の量は、約0.0001~約10g、約0.0005~約9g、約0.001~約8g、約0.005~約7g、約0.01~約6g、約0.05~約5g、約0.1~約4g、約0.5~約4g、又は約1~約3gの範囲である。
【0538】
(4.1 経口投与用の製剤)
本明細書に記載される方法のいくつかの実施態様において、PI3K阻害剤(例えば、1種以上のPI3K阻害剤)及び/又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)は、経口投与される。本明細書に記載される組成物の特定の実施態様において、PI3K阻害剤(例えば、化合物1)及び/又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)は、経口投与用に製剤化される。そのような方法及び組成物に関するいくつかの実施態様としては、以下のものが挙げられる。
【0539】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるものは、本明細書に開示される化合物、及び経口投与に好適な医薬賦形剤を含む、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるものは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第2の薬剤;及び(iii)経口投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第3の薬剤をさらに含む。
【0540】
いくつかの実施態様において、前記医薬組成物は、経口消費に好適な液体医薬組成物とすることができる。経口投与に好適な医薬組成物は、各々所定量の活性成分を粉末として、或いは顆粒、溶液、又は水性もしくは非水性液体中の懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン中に含む、カプセル剤、カシェ剤、もしくは錠剤などの個別の剤形、又は液体、又はエアロゾルスプレーとして提供することができる。そのような剤形は、調剤法のいずれかによって調製することができるが、全ての方法は、活性成分を、1以上の成分を構成する担体と関連させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方と均一かつ密に混合し、その後、必要であれば、生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、任意に1以上の補助成分とともに圧縮又は成形することによって調製することができる。圧縮錠は、任意に、限定されないが、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、及び/又は界面活性剤もしくは分散剤などの賦形剤と混合した、粉末又は顆粒などの自由に流動する形態の活性成分を、好適な機械の中で圧縮することによって調製することができる。湿製錠は、不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を、好適な機械の中で成形することによって作製することができる。
【0541】
本開示は、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに包含するが、それは、水が一部の化合物の分解を促進し得るからである。例えば、有効期間又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として、製薬技術において水(例えば、約5%)を添加することができる。無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。例えば、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合、ラクトースを含む医薬組成物及び剤形を無水にすることができる。無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製及び貯蔵することができる。したがって、無水医薬組成物は、それを好適な製剤キットに含めることができるように、水への曝露を防ぐことが知られている材料を用いて包装することができる。好適な包装の例としては、密閉されたホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0542】
活性成分は、従来の医薬配合技法に従って、医薬担体と密に混合させて組み合わせることができる。担体は、投与のために望ましい調製物の形態に応じて多種多様な形態を取ることができる。経口剤形用の医薬組成物を調製する際に、経口液体調製物(例えば、懸濁液、溶液、及びエリキシル剤)もしくはエアロゾルの場合、通常の医薬用媒体のいずれか、例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存料、着色剤などを担体として利用することができ;又は経口固体調製物の場合、いくつかの実施態様において、ラクトースを使用しないで、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤などの担体を使用することができる。例えば、好適な担体としては、固体経口調製物の場合、粉末、カプセル、及び錠剤が挙げられる。いくつかの実施態様において、錠剤を、標準的な水性又は非水性技法によってコーティングすることができる。
【0543】
医薬組成物及び剤形での使用に好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成ゴム、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、粉末トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、並びにこれら混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0544】
本明細書に開示される医薬組成物及び剤形中で使用するための好適な増量剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0545】
崩壊剤を、本明細書において提供される医薬組成物中で用いて、水性環境に曝露されたときに崩壊する錠剤を提供することができる。崩壊剤が多過ぎると、ボトル中で崩壊し得る錠剤が生成されることがある。少な過ぎると、崩壊が生じるのに十分ではないことがあり、したがって、剤形からの活性成分の放出の速度及び程度が変化することがある。したがって、活性成分の放出を悪く変化させるほど少な過ぎることも多過ぎることもない十分な量の崩壊剤を用いて、本明細書に開示される化合物の剤形を形成させることができる。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプ及び投与の様式に基づいて異なることができ、当業者により容易に認識されることができる。約0.5~約15重量パーセントの崩壊剤、又は約1~約5重量パーセントの崩壊剤を医薬組成物中で使用することができる。医薬組成物及び剤形を形成させるために使用し得る崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0546】
医薬組成物及び剤形を形成させるために使用することができる滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、syloidシリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾル、又はこれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量で、任意に添加することができる。
【0547】
水性懸濁液及び/又はエリキシル剤が経口投与のために望ましい場合、その中の活性成分を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、及びこれらの様々な組合せのような希釈剤と一緒に、様々な甘味剤又は着香剤、着色物質又は色素、並びに例えば、乳化剤及び/又は懸濁化剤と組み合わせることができる。
【0548】
錠剤は、コーティングされていなくてもよく、又は既知の技法によってコーティングし、消化管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それにより、長期にわたって持続的な作用を提供してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を利用することができる。経口使用のための製剤は、活性成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、或いは活性成分が、水又は油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0549】
医薬組成物及び剤形を形成させるために使用することができる界面活性剤としては、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、親水性界面活性剤の混合物を利用することができるか、親油性界面活性剤の混合物を利用することができるか、又は少なくとも1つの親水性界面活性剤と少なくとも1つの親油性界面活性剤の混合物を利用することができる。
【0550】
好適な親水性界面活性剤は、通常、少なくとも約10のHLB値を有し、一方、好適な親油性界面活性剤は、通常、約10以下のHLB値を有することができる。非イオン性両親媒性化合物の相対的な親水性及び疎水性を特徴付けるために使用される実験的パラメータは、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性又は疎水性で、かつ油への溶解性がより高く、一方、より高いHLB値を有する界面活性剤は、より親水性で、かつ水溶液への溶解性がより高い。親水性界面活性剤は、通常、約10よりも大きいHLB値を有する化合物、及びHLB基準が通常適用されない陰イオン性、陽イオン性、又は双性イオン性化合物であると考えられる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性剤は、約10以下のHLB値を有する化合物である。しかしながら、界面活性剤のHLB値は、工業用、医薬用、及び化粧品用のエマルジョンの製剤化を可能にするために一般に使用されるおおよその目安に過ぎない。
【0551】
親水性界面活性剤は、イオン性又は非イオン性のいずれかであることができる。好適なイオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0552】
上述のグループの中で、イオン性界面活性剤としては、例として:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質、及びこれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドクセートナトリウム;アシルアクチレート(acylactylate);モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0553】
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレエート、リノレエート、リノレネート、ステアレート、ラウリルスルフェート、テラセシルスルフェート、ドクセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチンのイオン化形態、並びにこれらの塩及び混合物であることができる。
【0554】
親水性非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、例えば、ポリエチレングリコールアルキルフェノール;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体及び類似体;ポリオキシエチル化ビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;並びにこれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオールと、トリグリセリド、植物油、及び水素化植物油のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、又はサッカリドであることができる。
【0555】
他の親水性非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、ラウリン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-32、ジラウリン酸PEG-32、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、オレイン酸PEG-20、ジオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-32、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ステアリン酸PEG-15、ジステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、ジラウリン酸PEG-20、トリオレイン酸PEG-25グリセリル、ジオレイン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、PEG-40パーム核油、PEG-50水素化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-60トウモロコシ油、カプリン酸/カプリル酸PEG-6グリセリド、カプリン酸/カプリル酸PEG-8グリセリド、ラウリン酸ポリグリセリル-10、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、トリオレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-40ソルビタン、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルコハク酸PEG-100、PEG-24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル-10、Tween 40、Tween 60、ショ糖モノステアレート、ショ糖モノラウレート、ショ糖モノパルミテート、PEG10-100ノニルフェノール系列、PEG15-100オクチルフェノール系列、及びポロキサマーが挙げられる。
【0556】
好適な親油性界面活性剤としては、単なる例として:脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物;脂溶性ビタミン/ビタミン誘導体;並びにこれらの混合物が挙げられる。このグループの中で、親油性界面活性剤の非限定的な例は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を含むか、又はポリオールと、植物油、水素化植物油、及びトリグリセリドのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
【0557】
一実施態様において、医薬組成物は、本明細書において提供される化合物の良好な可溶化及び/もしくは溶解を保証するために、並びに該化合物の沈殿を最小限に抑えるために、可溶化剤を含むことができる。これは、非経口使用のための医薬組成物、例えば、注射用の医薬組成物にとってとりわけ重要であり得る。親水性薬物及び/もしくは他の成分、例えば、界面活性剤の溶解性を増大させるか、又は医薬組成物を安定なもしくは均一な溶液もしくは分散液として維持するために、可溶化剤を添加することもできる。
【0558】
好適な可溶化剤の例としては、以下のもの:アルコール及びポリオール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、及びこれらの異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;約200~約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)又はメトキシPEG;アミド及び他の窒素含有化合物、例えば、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドン;エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ブチル酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトン及びその異性体、δ-バレロラクトン及びその異性体、β-ブチロラクトン及びその異性体;並びに当技術分野で公知の他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0559】
可溶化剤の混合物を使用することもできる。例としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200~100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0560】
含めることができる可溶化剤の量は、特には制限されない。所与の可溶化剤の量は、生体許容量に制限することができ、この量は、当業者により容易に決定されることができる。場合によっては、例えば、薬物の濃度を最大化するために、生体許容量をはるかに超える量の可溶化剤を含め、過剰の可溶化剤を、医薬組成物を対象に提供する前に、蒸留又は蒸発などの従来の技法を用いて除去することが有利であり得る。したがって、存在する場合、可溶化剤は、薬物と他の賦形剤の組み合わせた重量に基づいて、約10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、又は最大約200重量%の重量比であることができる。望ましい場合、約5%、2%、1%、又はさらにそれ未満などの、非常に少量の可溶化剤を使用することもできる。典型的には、可溶化剤は、約1重量%~約100重量%、より典型的には、約5重量%~約25重量%の量で存在することができる。
【0561】
医薬組成物は、1以上の医薬として許容し得る添加剤及び/賦形剤をさらに含むことができる。そのような添加剤及び賦形剤としては、限定されないが、剥離剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、防腐剤、キレート剤、粘度調節剤(viscomodulator)、浸透圧調節剤(tonicifier)、香味剤、着色剤、オイル、着香剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、増量剤、可塑剤、滑沢剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0562】
例示的な防腐剤としては、抗酸化剤、キレート剤、抗菌性防腐剤、抗真菌性防腐剤、アルコール性防腐剤、酸性防腐剤、及び他の防腐剤を挙げることができる。例示的な抗酸化剤としては、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、及びエデト酸三ナトリウムが挙げられる。例示的な抗菌性防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミドウレア、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及びチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗真菌防腐剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルコール性防腐剤としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、及びフェニルエチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な酸性防腐剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ-カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及びフィト酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の防腐剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエンド(hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、Kathon、及びEuxylが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、防腐剤は抗酸化剤である。他の実施態様において、防腐剤はキレート剤である。
【0563】
例示的な油としては、アーモンド油、アプリコットカーネル油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ種子油、ボラージ油、ケード油、カモミール油、キャノーラ油、カラウェー油、カルナバ油、ヒマシ油、桂皮油、ココアバター油、ココナッツ油、タラの肝油、コーヒー油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、月見草油、魚油、亜麻仁油、ゲラニオール油、ヒョウタン油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、リツェアクベバ油、マカデミアナッツ油、マロー油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ナツメグ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、ピーチカーネル油、ピーナッツ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、菜種油、米ぬか油、ローズマリー油、ベニバナ油、サンダルウッド油、サスクアナ(sasquana)油、セイボリー油、サジー油、ゴマ油、シアバター油、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチバー油、クルミ油、及び小麦胚芽油が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な油としては、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0564】
さらに、加工を促進するため、安定性を増強するため、又はその他の理由で、酸又は塩基を医薬組成物中に組み込むことができる。医薬として許容し得る塩基の例としては、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロカルサイト、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などが挙げられる。また好適なものは、医薬として許容し得る酸、例えば、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン酸(hydroquinosulfonic)、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの塩である塩基である。多塩基酸の塩、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸二水素ナトリウムを使用することもできる。塩基が塩である場合、陽イオンは、任意の好都合でかつ医薬として許容し得る陽イオン、例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などであることができる。例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0565】
好適な酸は、医薬として許容し得る有機酸又は無機酸である。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが挙げられる。好適な有機酸の例としては、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ハイドロキノスルホン(hydroquinosulfonic)酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが挙げられる。
【0566】
(4.2非経口投与用製剤)
本明細書に記載される方法のいくつかの実施態様において、PI3K阻害剤(例えば、1種以上のPI3K阻害剤)及び/又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)は、非経口投与される。本明細書に記載される組成物の特定の実施態様において、PI3K阻害剤(例えば、化合物1)及び/又は別の薬剤(例えば、本明細書に記載されるような第2の薬剤、例えば、1種以上の第2の薬剤)は、非経口投与用に製剤化される。そのような方法及び組成物に関するいくつかの実施態様としては、以下のものが挙げられる。
【0567】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるものは、本明細書に開示される化合物、及び非経口投与に好適な医薬賦形剤を含む、非経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるものは:(i)有効量の開示された化合物;任意に(ii)有効量の1以上の第2の薬剤;及び(iii)非経口投与に好適な1以上の医薬賦形剤を含む、非経口投与用の医薬組成物である。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は:(iv)有効量の第3の薬剤をさらに含む。
【0568】
開示された医薬組成物を注射による投与のために組み込むことができる形態としては、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、もしくはピーナッツ油を含む、水性もしくは油性懸濁液、又はエマルジョン、並びにエリキシル、マンニトール、デキストロース、又は滅菌水溶液、及び同様の医薬用ビヒクルが挙げられる。
【0569】
生理食塩水中の水溶液も従来通り注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油を利用することもできる。
【0570】
生理食塩水中の水溶液も従来通り注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油を利用することもできる。適切な流動性は、例えば、分散剤の場合、所要の粒径の維持のためのコーティング剤、例えば、レシチンの使用及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。
【0571】
滅菌注射用溶液は、所要量の本明細書に開示される化合物を、適当な溶媒中に、必要に応じて、上に列挙された他の様々な成分とともに組み入れ、その後、濾過滅菌することによって調製される。通常、分散液は、様々な滅菌活性成分を、基礎分散媒と上に列挙されたもの由来の適当な他の成分とを含む滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、特定の調製方法は、活性成分と任意の追加成分との粉末を事前に滅菌濾過したその溶液から生じさせる真空乾燥技法及び凍結乾燥技法である。
【0572】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通して濾過することによるか、又は使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み入れることによって、滅菌することができる。注射用組成物は、約0.1~約5%w/wの本明細書に開示される化合物を含むことができる。
【0573】
(5. 投薬量)
本明細書で開示されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1又はイデラリシブ)又は別の薬剤(例えば、本明細書で開示される第2の薬剤のうちの1つ以上)は、医薬として許容し得る組成物の形態で送達し得る。ある実施態様において、該医薬組成物は、1種以上の医薬として許容し得る賦形剤とともに製剤化された本明細書に記載されるPI3K阻害剤(例えば、化合物1)及び/又は1種以上の追加の治療薬剤を含む。いくつかの例においては、本明細書で開示される、前記PI3K阻害剤(例えば、化合物1)、又は他の治療薬剤のうちの1つ以上は、別々の医薬組成物中で投与され、(例えば、異なる物理的及び/又は化学的特性のために)異なる経路で投与し得る(例えば、一方の治療薬は経口投与されるが、もう一方の治療薬は静脈内投与される)。別の例において、本明細書で開示される、PI3K阻害剤(例えば、化合物1)、又は他の治療薬剤のうちの1つ以上は、別々ではあるが、同じ経路(例えば、両方とも経口又は両方とも静脈内)で投与することができる。また他の例において、本明細書で開示される、PI3K阻害剤(例えば、化合物1)、又は他の治療薬剤のうちの1つ以上は、同じ医薬組成物中で投与することができる。
【0574】
選択される投薬量レベルは、種々の因子によって決まり、これには、例えば、利用される特定の化合物の活性、投与の経路、投与の時間、利用されている特定の化合物の排泄又は代謝の速度、吸収の速度及び程度、治療の持続時間、利用される特定の化合物と併用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康、及び過去の病歴、並びに医療分野で周知の同様の因子が含まれる。
【0575】
一般に、本明細書に記載される化合物1及び/又は治療薬剤の好適な1日用量は、いくつかの実施態様において、治療効果をもたらすのに有効な最小用量であり得る、該化合物の量である。そのような有効用量は、通常、本明細書に記載される因子によって決まる。通常、患者に対する本明細書に記載される化合物1又は治療薬剤の用量は、示された効果を求めて使用されるとき、1日あたり約0.0001mg~約100mg、又は1日あたり約0.001mg~約100mg、又は1日あたり約0.01mg~約100mg、又は1日あたり約0.1mg~約100mg、又は1日あたり約0.0001mg~約500mg、又は1日あたり約0.001mg~約500mg、又は約0.01mg~1000mg、又は1日あたり約0.01mg~約500mg、又は1日あたり約0.1mg~約500mg、又は1日あたり約1mg~50mg、又は1日あたり約5mg~40mgの範囲である。例示的な投薬量は、1日あたり約10~30mgである。いくつかの実施態様において、70kgのヒトの場合、好適な用量は、約0.05~約7g/日、例えば、約0.05~約2.5g/日となるであろう。本明細書に記載される医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとって毒性があるものになることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変化させ得る。いくつかの例において、前述の範囲の下限未満の投薬量レベルで十分過ぎることもあるが、他の例において、さらにより大きい用量を、例えば、そのようなより大きい用量を1日を通して投与するためにいくつかの小さい用量に分割することにより、いかなる有害な副作用も生じさせることなく利用し得る。
【0576】
いくつかの実施態様において、前記化合物は、毎日、1日おき、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、又は2週間に1回投与することができる。投与スケジュールは、「休薬期間」を含むことができ、例えば、薬物は、2週間服用、1週間非服用、もしくは3週間服用、1週間非服用、もしくは4週間服用、1週間非服用などでか、又は連続的に休薬期間なしで投与することができる。化合物は、経口、静脈内、腹腔内、局所、経皮、筋肉内、皮下、鼻腔内、舌下に、又は任意の他の経路によって投与することができる。
【0577】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される化合物1又は治療薬剤は、複数用量で投与し得る。投与は、1日あたり約1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は7回以上であってもよい。投与は、約1カ月に1回、約2週間に1回、約1週間に1回、又は約1日おきに1回であってもよい。別の実施態様において、本明細書において提供される化合物及び別の治療薬剤は、1日あたり約1回~1日あたり約6回、一緒に投与される。別の実施態様において、本明細書で提供される化合物1及び治療薬剤の投与は、約7日未満の間、継続される。また別の実施態様において、投与は、約6日、約10日、約14日、約28日、約2カ月、約6カ月、又は約1年よりも長い間、継続される。いくつかの例において、連続投与は、必要な限り実現され、維持される。
【0578】
本明細書に開示される医薬組成物の投与は、必要な限り継続させ得る。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約14日、約21日、又は約28日よりも長い間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される薬剤は、約28日、約21日、約14日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、又は約1日未満の間、投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される治療薬剤は、例えば、慢性作用の治療のために、慢性的に継続して投与される。
【0579】
本明細書に記載される化合物1は、1種以上の治療薬剤と組み合わせて投与し得るので、各々の薬剤又は療法の用量は、単剤療法の対応する用量よりも少なくし得る。単剤療法の用量は、例えば、1日に体重1kgあたり約0.0001~約200mg、又は約0.001~約100mg、又は約0.01~約100mg、又は約0.1~約100mg、又は約1~約50mgの範囲であることができる。
【0580】
化合物1が、1種以上の薬剤を含む医薬組成物中で投与され、かつ薬剤が、化合物1よりも短い半減期を有する場合、薬剤及び化合物1の単位用量形態を相応に調整することができる。
【0581】
(6. キット)
いくつかの実施態様において、本明細書において提供されるものは、キットである。キットは、好適な包装中に、本明細書に記載される医薬組成物、及び使用のための指示、臨床試験の詳解、副作用の一覧などを含むことができる資料を含み得る。そのようなキットは、医薬組成物の活性及び/もしくは利点を表示もしくは規定し、かつ/又は投薬、投与、副作用、薬物相互作用、もしくは医療提供者にとって有用な他の情報を記載している、科学的参考文献、添付文書資料、臨床試験の結果、及び/又はこれらの概要などの情報も含み得る。そのような情報は、様々な研究、例えば、インビボモデルを含む実験動物を用いた研究及びヒト臨床試験に基づく研究の結果に基づき得る。
【0582】
いくつかの実施態様において、記憶補助が、例えば、錠剤又はカプセル剤の隣に数字の形で、キットに備えられ、該数字はそのように指定された錠剤又はカプセル剤が摂取されるべき治療計画の日に対応する。そのような記憶補助の別の例は、例えば、次のように、「第1週、月曜日、火曜日...など、...、第2週、月曜日、火曜日、...など」と、カードにプリントされたカレンダーである。記憶補助の他のバリエーションが容易に明らかになるであろう。「1日用量」は、所与の日に服用されるべき単一の錠剤もしくはカプセル剤又はいくつかの錠剤もしくはカプセル剤であり得る。
【0583】
キットは、化合物1及び1種以上の治療薬剤を含有し得る。いくつかの実施態様において、化合物1及び薬剤は、キット中の別々の容器に入った別々の医薬組成物として提供される。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される化合物1、及び薬剤は、キット中の1つの容器に入った単一の医薬組成物として提供される。好適な包装、及び使用のための追加の物品(例えば、液体調製物のための計量カップ、空気への暴露を最小限に抑えるためのホイルラッピングなど)は当技術分野で公知であり、キットに含め得る。他の実施態様において、キットは、活性剤を投与するために使用される装置をさらに含み得る。そのような装置の例としては、注射器、点滴バッグ、パッチ、及び吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるキットは、医師、看護師、薬剤師、薬局などを含む医療提供者に対して提供、販売、及び/又は宣伝し得る。キットは、いくつかの実施態様において、消費者に直接販売することもできる。
【0584】
そのようなキットの一例は、いわゆる、ブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業で周知であり、かつ医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装のために広く使用されている。ブリスターパックは、通常、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装方法の間に、プラスチックホイルに窪みが形成される。この窪みは、包装される錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有する。次に、錠剤又はカプセル剤が窪みに配置され、窪みが形成された方向とは反対のホイルの面において、比較的硬い材料のシートでプラスチックホイルに対して密閉がなされる。結果として、錠剤又はカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間において窪みの中に密閉される。シートの強度は、手で窪みに圧力をかけることによって、窪みの場所でシートに開口を形成させることにより、錠剤又はカプセル剤をブリスターパックから取り出し得る程度のものである。その後、錠剤又はカプセル剤を該開口を通して取り出すことができる。
【0585】
キットは、1種以上の活性剤を投与するために使用し得る医薬として許容し得るビヒクルをさらに含み得る。例えば、活性薬剤が、非経口投与のために再構成されなければならない固体形態で提供される場合、キットは、好適なビヒクルの密封容器を含むことができ、このビヒクル中で、活性薬剤を溶解させて、非経口投与に好適である、微粒子を含まない滅菌溶液を形成させ得る。医薬として許容し得るビヒクルの例としては:注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸加リンゲル注射液;水混和性ビヒクル、例えば、限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;並びに非水性ビヒクル、例えば、限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0586】
本開示はさらに、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形を包含するが、これは、水が、一部の化合物の分解を促進し得るからである。例えば、貯蔵寿命又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために、医薬分野で長期の貯蔵をシミュレートする手段として、水を添加し得る(例えば、約5%)。無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製し得る。例えば、ラクトースを含む医薬組成物及び剤形は、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿気へのかなりの接触が予想される場合、無水にし得る。無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製及び貯蔵し得る。したがって、無水医薬組成物は、それらを好適な製剤キットに含め得るように、水への暴露を防ぐことが知られている材料を用いて包装し得る。好適な包装の例としては、密封ホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例
【0587】
(実施例)
(実施例1: 化合物1とセリネクサーとの組合せ研究)
本明細書で提供される化合物及び別の治療薬剤の相乗効果を実施した。方法を以下に記載する。細胞を、液体窒素保存状態から解凍した。細胞が増殖し期待される倍加時間で分裂してから、スクリーニングを始めた。細胞を、黒色の1536-ウェル又は384-ウェルいずれかの組織培養処理済プレート中の増殖培地に播種した。その後、細胞を、遠心分離によってアッセイプレート中で平衡化させ、投薬モジュールに取り付けたインキュベーター内に、37℃で処理の前24時間入れた。処理の時点で、1組のアッセイプレート(処理を受けていないもの)を集め、ATPレベルを、ATPLite(Perkin Elmer)を加えることにより測定した。これらのTゼロ(T0)プレートを、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)上で超高感度発光を用いて読み取った。処理したアッセイプレートを、化合物と72時間インキュベートした。72時間後、プレートを、ATPLiteを用いるエンドポイント解析のために現像した。全てのデータポイントを、自動化プロセスによって収集し、品質管理し、Zalicusソフトウェアを用いて解析した。アッセイプレートが、以下の品質管理基準:相対的なルシフェラーゼ値が、実験全体にわたって一貫していた;Z因子スコアが、0.6を超えた;未処理/ビヒクル対照が、プレート上で一貫した挙動を示した;に合格した場合に、該アッセイプレートを受け入れた。
【0588】
阻害(I)は、
I=(1-T/V)×100%
(式中、Tは、処理細胞数であり、Vは、未処理(ビヒクル)細胞数である(72時間時点))と定義される。Iは、0%(T=Vの場合)~100%(T=0の場合)の範囲である。IC50値は、ビヒクル処理細胞増殖と比較して、50%の細胞増殖を阻害するのに必要とされる薬物濃度(I=50%を与える薬物濃度)と定義される。実験における効果の尺度は、未処理レベル(ビヒクル単独で)と比較した細胞応答の阻害とすることができる。未処理ビヒクルレベルV及び処理レベルTについて、阻害比率I=1-T/Vが計算される。阻害は、未処理レベルでの0%~T=0の場合の100%の範囲である。実際にはレベルを増加させる薬剤については、阻害レベルは負である。別の効果尺度、例えば、あるアッセイには、活性比r=T/Vが、より適切なことがある。活性比(例えば、刺激された対照に対する倍率増加)が用いられている場合、該効果は、誘導I=ln(T/V)用いて測定することができる。この定義を用いると、すべての効果の表現は、阻害に関して同じとなる。
【0589】
増殖阻害(GI)が、細胞生存率の尺度として使用される。ビヒクルの細胞生存率が、投薬の時点(T0)及び72時間後(T72)に測定される。0%のGI読み取り値は、増殖阻害なしを表す。T72化合物処理シグナル及びT72ビヒクルシグナルがマッチされる。100%のGI読み取り値は、完全な増殖阻害を表す。T72化合物処理シグナル及びT0ビヒクルシグナルがマッチされる。GI 100%では、セル数は、ウェルでの処置期間中に増加せず、この効果レベルでプラトーに到達する化合物の細胞増殖阻害効果を示唆し得る。200%のGI読み取り値は、培養ウェル内の全ての細胞の完全な死を表す。GI 200%の活性プラトーに到達する化合物は、細胞傷害性であるとみなされる。GIは、以下の試験及び方程式:
【数1】
(式中、Tは、試験品のシグナル測定値であり、Vは、ビヒクル処理対照の測定値であり、V0は、時点ゼロでのビヒクル対照測定値である)を適用することにより計算される。この式は、アメリカ国立がん研究所のNCI-60ハイスループットスクリーニング(National Cancer Institute’s NCI-60 high-throughput screen)において用いられる増殖阻害計算から誘導される。
【0590】
組合せ解析データを、9×9投与量マトリックスで収集した。相乗作用を、単独薬物用量相加性参照モデルに対して、組合せによる反応を、その単一化合物のものと比較することによって計算した。用量相加性からの偏差は、アイソボログラム上で目視でか、又は併用指数(CI)を用いて数値的に評価し得る。50%阻害でのCI及び50%増殖阻害でのCIについては以下の表を参照されたい。相加効果は、CI=1.0である。相乗効果は、CI<1である。拮抗効果は、CI>1.0である。
【0591】
ポテンシー変化を、所望の効果レベルに到達するのに必要とされる単剤用量と比較した場合の、該効果を達成するのにどの程度少ない薬物が組合せにおいて必要とされるのかを示すアイソボログラムを用いて評価した。該アイソボログラムは、示された阻害レベルと交差することに対応する濃度の位置を特定することによって描かれた。このことは、用量マトリックスにおける各単剤濃度について、他方の単剤の濃度と交差する交点を見つけることによってなされる。実用的には、各縦軸濃度CYを、固定して保持する一方で、二分アルゴリズムを用いて、反応表面Z(CX,CY)において選択された効果レベルを与えた縦軸用量と組み合わせて横軸濃度CXを特定した。その後、これらの濃度を、直線的な内挿によって結び、アイソボログラム表示を生じさせた。相乗的な相互作用については、アイソボログラムの輪郭は、相加性閾値よりも下に落ち、原点に近づくであろう。また、拮抗性の相互作用は、相加性閾値よりも上に位置するであろう。エラーバーで、アイソボログラムを生じさせるのに用いた個々のデータポイントから生じる不確実性を表した。各交点についての不確実性を、二分を用いて反応誤差から推定し、Z-σZ(CX,CY)及びZ+σZ(CX,CY)が、Icutと交差する濃度を見つけた(式中、σZは、効果スケールにおける残余誤差の標準偏差である)。
【0592】
Loewe相加性を越える組合せ効果を測定するために、相乗作用スコアと名付けられた、相乗的な相互作用の強さを特徴づけるスカラー尺度が考案された。該相乗作用スコアは:
相乗作用スコア=log f log f Σ max(0,Iデータ) (Iデータ-ILoewe
として計算された。マトリックス内の各構成薬剤及び組合せ点の阻害比率を、全てのビヒクル処置された対照ウェルの中央値と比較して計算した。相乗作用スコア方程式では、相加性のLoeweモデルを用いて構成薬剤の活性から数値的に誘導されたモデル表面を超える、マトリックス内の各点で実験的に観察された活性量を積分した。相乗作用スコア方程式(上記)の追加の項は、個々の薬剤のために使用されるさまざまな希釈係数について規格化し、かつ実験全体にわたる相乗作用スコアの比較を可能にするのに用いられた。正の阻害ゲーティング又はIデータ乗数を含めることによって、ゼロ効果レベル付近のノイズが取り除かれ、かつ高活性レベルで生じる相乗的な相互作用の結果にバイアスがかけられた。
【0593】
相乗作用スコア尺度が、自己交差分析のために使用された。自己交差の相乗作用スコアは、定義により相加的であることが期待され、従って、ゼロの相乗作用スコアを維持した。しかしながら、一部の自己交差相乗作用スコアは、ゼロ付近であったものの、多くはそれよりも大きく、実験的なノイズ又は単剤用量反応の最適ではないカーブフィッティングが、スコアのわずかな混乱の一因となっていたことを示唆した。この方針は、細胞系中心的であり、細胞系パネル活性の国際評価と比較した各細胞系における自己交差挙動に焦点が合わせられた。相乗作用スコアが、平均自己交差+2標準偏差又は3標準偏差を超えた組合せは、それぞれ、95%及び99%信頼度レベルで、候補相乗作用とみなすことができる。相加性は、ゼロの相乗作用スコアを維持するはずであり、2又は3標準偏差の相乗作用スコアは、該組合せが、95%及び99%の統計学的に有意なレベルで相乗的であることを示す。
【0594】
Loewe量(Loewe Vol)を用いて、Loewe相加性モデルを超える組合せ相互作用の総合的な大きさを評価した。Loewe量は、相乗的な拮抗作用(負のLoewe量)と比較して表現型の活性の相乗的な増加(正のLoewe量)を区別する場合に特に有用であった。拮抗作用が観察される場合、Loewe量は、拮抗作用と特定の薬物標的活性又は細胞の遺伝子型との間に何らかの相関が存在するかどうかを調査するよう評価されるべきである。本モデルでは、相加性を、組合せ投与量マトリックス表面が、それ自体と交差したいずれの薬物とも区別がつかないはずである非相乗的な組合せ相互作用と定義した。Loewe相加性の計算は、以下のようである:
(X/XI)+(Y/YI)=1を満たすILoewe
(式中、XI及びYIは、観察された組合せ効果Iに対する単剤有効濃度である。例えば、50%阻害が、1μMの薬物A又は1μMの薬物Bによって別々に達成される場合、0.5μMのA及び0.5μMのBの組合せも、50%阻害するはずである。
【0595】
(結果)
表1の増殖阻害及び阻害のCI50値は、以下のように分類される:S=0.01~<0.5、T=0.5~<0.7、U=0.7~<1、及びW=≧1。増殖阻害及び阻害の相乗作用スコア値は、以下のように分類される:A1=0.0001~<1、A2=1~<3、及びA3=>3。
【0596】
化合物1及びセリネクサーの組合せ効果を、5種類のT細胞リンパ腫細胞系:H9、HH、HuT 78、HuT 102、及びMJ (G11)において試験した。これらの細胞株は、異なるゲノムプロファイルを有し得るので、化合物1及びセリネクサーの組合せは、これらの細胞株に対して異なる相乗効果を有し得る。結果を、以下の表1に示す。H9細胞系における化合物1及びセリネクサーの組合せの効果を図示するアイソボログラムを、図1に提供する。データは、化合物1及びセリネクサーの組合せが、選択された細胞株において相乗的であることを示す。
(表1. 化合物1及びセリネクサーの組合せ)
【表1】
【0597】
(実施例2: 化合物1及び抗PD-1抗体の組合せの臨床試験)
化合物1及び抗PD-1抗体の組合せを用いる血液悪性腫瘍患者の治療のフェーズ1b臨床試験が行われる。一部の患者は、進行したB及び/又はT細胞悪性腫瘍を患っている。本試験において、化合物1と組み合わせて用いられる抗PD-1抗体には、ニボルマブ及びペンブロリズマブが含まれる。
【0598】
化合物1の開始用量は、15mg QDであり、かつ15mg BID、25mg BID、及び25mg QDに増加させ得る。
【0599】
化合物1及び該抗PD-1抗体の組合せが、3つの拡大コホート(three expansion cohorts):濾胞性リンパ腫、DLBCL、及びT細胞リンパ腫に投与される。
【0600】
(等価物)
本発明を、特定の態様に言及しながら開示してきたが、本発明の別の態様及び変形形態が、本発明の真の主旨及び範囲から逸脱することなく当該技術に熟達した他の者によって考案され得ることは明らかであろう。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような態様及び等価の変形形態を含むよう解釈されることが意図される。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
対象におけるがんを治療、管理、又は予防する方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤を、第2の治療薬剤と組み合わせて投与することを含み、該第2の治療薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせである、前記方法。
(態様2)
前記PI3K-阻害剤が、PI3Kデルタ/ガンマ二重阻害剤である、態様1記載の方法。
(態様3)
前記PI3K-阻害剤が、以下の構造:
(化1)
の化合物1、又はその医薬として許容し得る形態である、態様1記載の方法。
(態様4)
前記PI3K-阻害剤が、PI3Kデルタ阻害剤である、態様1記載の方法。
(態様5)
前記PI3K-阻害剤が、以下の構造:
(化2)
のイデラリシブ、又はその医薬として許容し得る形態である、態様1記載の方法。
(態様6)
第2の治療薬剤が、チェックポイントモジュレーターである、態様1~5のいずれか1項記載の方法。
(態様7)
前記チェックポイントモジュレーターが、CTLA-4、CD80、CD86、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、Galectin-3、BTLA、TIM3、GAL9、B7-H1、B7-H3、B7-H4、TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9、VISTA、GITR、HVEM、OX40、CD27、CD28、CD137. CGEN-15001T、CGEN-15022、CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-15052、又はCGEN-15092のモジュレーターである、態様6記載の方法。
(態様8)
前記チェックポイントモジュレーターが、PD-1阻害剤である、態様6記載の方法。
(態様9)
前記チェックポイントモジュレーターが、抗PD-1抗体である、態様6記載の方法。
(態様10)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、もしくはAMP-224、又はそれらの組み合わせである、態様9記載の方法。
(態様11)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブである、態様10記載の方法。
(態様12)
前記抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、態様10記載の方法。
(態様13)
前記チェックポイントモジュレーターが、抗PD-L1抗体である、態様6記載の方法。
(態様14)
前記抗PD-L1抗体が、MDX-1105、YW243.55.S70、MDPL3280A、MSB0010718C、もしくはデュルバルマブ、又はそれらの組み合わせである、態様13記載の方法。
(態様15)
前記チェックポイントモジュレーターが、抗CTLA-4抗体である、態様6記載の方法。
(態様16)
前記抗CTLA-4抗体が、トレメリムマブもしくはイピリムマブ、又はそれらの組み合わせである、態様15記載の方法。
(態様17)
前記抗CTLA-4抗体が、トレメリムマブである、態様16記載の方法。
(態様18)
前記抗CTLA-4抗体が、イピリムマブである、態様16記載の方法。
(態様19)
前記チェックポイントモジュレーターが、LAG-3阻害剤である、態様6記載の方法。
(態様20)
前記チェックポイントモジュレーターが、TIM3阻害剤である、態様6記載の方法。
(態様21)
前記チェックポイントモジュレーターが、B7阻害剤である、態様6記載の方法。
(態様22)
前記チェックポイントモジュレーターが、IDO阻害剤である、態様6記載の方法。
(態様23)
前記チェックポイントモジュレーターが、OX40のアゴニストである、態様6記載の方法。
(態様24)
第2の治療薬剤が、XPO1阻害剤である、態様1~5のいずれか1項記載の方法。
(態様25)
前記XPO1阻害剤が、セリネクサー、KPT-251、KPT-276、もしくはSL-801、又はそれらの組み合わせである、態様24記載の方法。
(態様26)
前記XPO1阻害剤が、セリネクサーである、態様25記載の方法。
(態様27)
第2の治療薬剤が、抗CD19抗体である、態様1~5のいずれか1項記載の方法。
(態様28)
前記抗CD19抗体が、ブリナツモマブである、態様27記載の方法。
(態様29)
第2の治療薬剤が、TLRアゴニストである、態様1~5のいずれか1項記載の方法。
(態様30)
第2の治療薬剤が、STINGアゴニストである、態様1~5のいずれか1項記載の方法。
(態様31)
第2の治療薬剤が、Flt3リガンドである、態様1~5のいずれか1項記載の方法。
(態様32)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤のみが、治療活性成分である、態様1~31のいずれか1項記載の方法。
(態様33)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤が、単一の剤形中にある、態様1~32のいずれか1項記載の方法。
(態様34)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤が、別々の剤形中にある、態様1~32のいずれか1項記載の方法。
(態様35)
前記PI3K阻害剤及び第2の治療薬剤の組合せが、がんを治療することにおいて相乗的である、態様1~34のいずれか1項記載の方法。
(態様36)
あるレベルの阻害を達成するのに必要とされる前記PI3K阻害剤の濃度が、該PI3K阻害剤が前記第2の治療薬剤と組み合わせて投与される場合に、該PI3K阻害剤が単独で投与される場合よりも少なくとも20%低い、態様1~35のいずれか1項記載の方法。
(態様37)
あるレベルの阻害を達成するのに必要とされる前記第2の治療薬剤の濃度が、該第2の治療薬剤がPI3K阻害剤と組み合わせて投与される場合に、該第2の治療薬剤が単独で投与される場合よりも少なくとも20%低い、態様1~36のいずれか1項記載の方法。
(態様38)
治療効果を達成する前記PI3K阻害剤の用量が、該PI3K阻害剤が前記第2の治療薬剤と組み合わせて投与される場合に、該PI3K阻害剤が単独で投与される場合よりも少なくとも20%低い、態様1~37のいずれか1項記載の方法。
(態様39)
治療効果を達成する前記第2の治療薬剤の用量が、該第2の治療薬剤がPI3K阻害剤と組み合わせて投与される場合に、該第2の治療薬剤が単独で投与される場合よりも少なくとも20%低い、態様1~38のいずれか1項記載の方法。
(態様40)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せによって提供される抗がん効果が、同じ用量の該PI3K阻害剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも高い、態様1~39のいずれか1項記載の方法。
(態様41)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せによって提供される抗がん効果が、該PI3K阻害剤又はその医薬として許容し得る形態を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも、少なくとも2倍高いか、少なくとも3倍高いか、少なくとも5倍高いか、又は少なくとも10倍高い、態様40記載の方法。
(態様42)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せによって提供される抗がん効果が、同じ用量の該第2の治療薬剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも高い、態様1~41のいずれか1項記載の方法。
(態様43)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せによって提供される抗がん効果が、該第2の治療薬剤を用いる単剤療法によって提供される抗がん効果よりも、少なくとも2倍高いか、少なくとも3倍高いか、少なくとも5倍高いか、又は少なくとも10倍高い、態様42記載の方法。
(態様44)
前記PI3K阻害剤が、前記第2の治療薬剤と同時に投与される、態様1~43のいずれか1項記載の方法。
(態様45)
前記PI3K阻害剤が、前記第2の治療薬剤の後に投与される、態様1~43のいずれか1項記載の方法。
(態様46)
前記PI3K阻害剤が、前記第2の治療薬剤の前に投与される、態様1~43のいずれか1項記載の方法。
(態様47)
前記PI3K阻害剤に対する前記がんの抵抗性が、遅延される、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様48)
前記がんが、前記PI3K阻害剤に対して抵抗性となるリスクを減少させる、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様49)
前記がんが、少なくとも12ヶ月間前記PI3K阻害剤に対して抵抗性とならない、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様50)
前記対象における前記がんの寛解が、延長される、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様51)
前記対象が、少なくとも12、18、又は24ヶ月間、前記がんの寛解を経験する、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様52)
前記対象が、前記がんの完全寛解を経験する可能性を、増加させる、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様53)
前記対象が、前記がんの完全寛解を経験する、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様54)
微小残存病変(MRD)のレベルを減少させる、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様55)
前記対象が、治療後に、検出可能なMRDを実質的に有しない、態様1~46のいずれか1項記載の方法。
(態様56)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せが、1未満である併用指数値によって示されるような相乗的なものである、態様1~55のいずれか1項記載の方法。
(態様57)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せが、0.7未満である併用指数値によって示されるような相乗的なものである、態様56記載の方法。
(態様58)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せが、0.5未満である併用指数値によって示されるような相乗的なものである、態様57記載の方法。
(態様59)
前記併用指数値が、50%阻害で評価される、態様56~58のいずれか1項記載の方法。
(態様60)
前記併用指数値が、50%増殖阻害で評価される、態様56~58のいずれか1項記載の方法。
(態様61)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せが、3超の相乗作用スコア値によって示されるような相乗的なものである、態様1~55のいずれか1項記載の方法。
(態様62)
前記PI3K阻害剤及び前記第2の治療薬剤の組合せが、阻害又は増殖阻害についての3超の相乗作用スコア値によって示されるような相乗的なものである、態様61記載の方法。
(態様63)
対象がPI3K阻害剤を用いる治療に対する抵抗性を生じる可能性を減少させる方法であって、
(a)前記対象に、該PI3K阻害剤を含む治療的有効量の単剤療法を、第1の期間投与すること;
(b)該第1の期間の後に、該対象に、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせと組み合わせて該PI3K阻害剤を含む治療的有効量の組合せ療法を、第2の期間投与すること;及び
(c)任意に、工程(a)及び(b)を1回以上繰り返すこと
を含む、前記方法。
(態様64)
がんを患う対象の抵抗性を遅延又は低下させる方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤を、第2の治療薬剤と組み合わせて投与することを含み、該第2の治療薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせであり、それにより抵抗性を遅延又は低下させる、前記方法。
(態様65)
前記抵抗性が、前記PI3K阻害剤に対する抵抗性である、態様64記載の方法。
(態様66)
前記PI3K阻害剤が、前記第2の治療薬剤の前に投与される、態様64又65は記載の方法。
(態様67)
がんを患う対象における微小残存病変(MRD)のレベルを減少させる方法であって、該対象に、治療的有効量のPI3K阻害剤を、第2の治療薬剤と組み合わせて投与することを含み、該第2の治療薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせであり、それにより、該対象における該MRDのレベルを減少させる、前記方法。
(態様68)
前記PI3K阻害剤が、以下の式:
(化3)
の化合物1、又はその医薬として許容し得る形態である、態様63~67のいずれか1項記載の方法。
(態様69)
前記がんが、造血系起源のものである、態様1~68のいずれか1項記載の方法。
(態様70)
前記がんが、リンパ腫又は白血病である、態様69記載の方法。
(態様71)
前記がんが、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫T細胞リンパ腫、皮膚リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄腫、又は形質細胞腫である、態様69記載の方法。
(態様72)
前記がんが、多発性骨髄腫である、態様69記載の方法。
(態様73)
前記がんが、非ホジキンリンパ腫である、態様69記載の方法。
(態様74)
前記非ホジキンリンパ腫が、B細胞非ホジキンリンパ腫である、態様73記載の方法。
(態様75)
前記B細胞非ホジキンリンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、態様74記載の方法。
(態様76)
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫活性型B細胞様又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫胚中心B細胞様である、態様75記載の方法。
(態様77)
前記がんが、インドレント非ホジキンリンパ腫である、態様69記載の方法。
(態様78)
前記がんが、濾胞性リンパ腫である、態様69記載の方法。
(態様79)
前記がんが、マントル細胞リンパ腫である、態様69記載の方法。
(態様80)
前記がんが、T細胞リンパ腫である、態様69記載の方法。
(態様81)
前記対象が、ヒトである、態様1~80のいずれか1項記載の方法。
(態様82)
PI3K阻害剤及び第2の治療薬剤の組合せを含む組成物であって、該第2の治療薬剤が、1)チェックポイントモジュレーター、2)XPO1阻害剤、3)抗CD19抗体、4)TLRアゴニスト、5)STINGアゴニスト、もしくは6)Flt3リガンド、又はそれらの組み合わせである、前記組成物。
図1