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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】骨格振動器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/06 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A61H23/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019182647
(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2021058246
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-03-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年5月1日にハーバルトークセン手作り講座にて骨格振動器具を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】519358405
【氏名又は名称】清水 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】清水 修一
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203564506(CN,U)
【文献】特開2002-191665(JP,A)
【文献】特開平09-271503(JP,A)
【文献】登録実用新案第3081203(JP,U)
【文献】特開2005-296587(JP,A)
【文献】特開2005-192794(JP,A)
【文献】中国実用新案第204219331(CN,U)
【文献】登録実用新案第3029597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02-23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭の一端を患部の側にあて、同杭の他端を木槌で打つことで治療する骨格振動器具であって、
前記杭と、前記杭の一端を受け入れるカップ部材と、
布袋の内側にハーブなどの草木を収容し、前記カップ部材の底と一体的に固定されるハーブボールとを備え、
前記カップ部材の底面には凹凸を形成してあり、
前記ハーブボールは、前記草木を収容する内袋を備えるとともに、前記カップ部材の底面の凹凸を前記内袋に当接させた状態で、外袋が前記カップ部材と前記内袋を包み込み、かつ、縁部は前記カップ部材の開口部分から当該カップ部材の内側に押し込まれていることを特徴とする骨格振動器具。
【請求項2】
前記カップ部材に、前記外袋の縁部を押し込んだ状態で、前記開口よりも大きい星形板状の抜け止め板を押し込んである請求項1に記載の骨格振動器具。
【請求項3】
杭の一端を患部の側にあて、同杭の他端を木槌で打つことで治療する骨格振動器具であって、
前記杭と、前記杭の一端を受け入れるカップ部材と、
布袋の内側にハーブなどの草木を収容可能なハーブボールとを備え、
前記カップ部材の底面には棒状に突き出る突出部を有しており、
前記ハーブボールは、前記草木を収容する内袋を包摂するボール状の外袋を有し、同外袋は前記カップ部材の底面の突出部が挿入可能な穴を形成し、同突出部が内部の前記内袋に突き当たるようにして前記カップ部材を保持可能であることを特徴とする骨格振動器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨格振動器具に関し、特に、タイ古式マッサージに使用する骨格振動器具に関する。
【背景技術】
【0002】
杭(棒)の一端を患部にあて、同杭の他端を木槌で打つ叩打の施術(治療)が知られている。このときに使用する骨格振動器具は、杭と木槌であり、骨を覆う筋肉や皮膚越しに杭を木槌で叩打することで骨格に振動を与え、各種の効能を引き出している。
非特許文献1には、杭と木槌を使ったマッサージの体験記が示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】http://girls-nomadlife.com/2017/09/21/toksen-chiangmai/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
杭の一端を人体の表面、特に骨のあたりに当て、他端を木槌で叩打する施術は、熟練者によってなされるものの、患者は痛みや恐怖感を感じることも少なくない。また、杭の一端に布をあてることもなされるが、わずかな視覚的な差異が生じるだけで、根本的な解決にはならなかった。
本発明は、上述した痛みや恐怖感を押さえると同時に、温熱効果やハーブの香りの効果を積極的に取り入れることが可能な骨格振動器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、杭の一端を患部の側にあて、同杭の他端を木槌で打つことで治療する骨格振動器具であって、前記杭の一端を受け入れるカップ部材と、布袋の内側にハーブなどの草木を収容可能であり、前記カップ部材の底と一体的に固定されるハーブボールとを備える構成としてある。
本ハーブボールには、カップ部材が設けられており、杭の一端を受け入れることができる。ハーブボールを患部にあてたとき、ハーブボールの中にはハーブなどの草木を収容されているので、カップ部材の底と患部との間には草木と、これを包む布袋が介在する。
【0006】
この状態で杭の他端を木槌で打つと、杭に与えられる力は、カップ状部材には直に伝わるものの、患部の骨との間には草木と布袋が介在し、杭を打つ叩打力の一部が吸収される。
草木は布袋に収容されているので、叩打力によって粉砕されることもあり、徐々に布袋から漏れ出す。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、草木を介して叩打力が患部の骨に伝わるため、叩打力が少し吸収され、施術による痛みを緩和する。また、患者も杭と自身の骨との間にハーブが入った布袋が存在しているのを視覚的にも認識し、施術に対する恐怖感が無くなる。
また、ハーブボールをそのままスチームや電子レンジで温めておけば患部に押し当てているときに温熱効果を期待した治療も可能であるし、漏れ出す草木の粉末の香りによるリラックス効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかる骨格振動器具の斜視図である。
図2】同骨格振動器具の先端に装着されている球状の装具の断面図である。
図3図3(a)~(c)はハーブボールを組み付ける過程を示す断面図である。
図4】本発明の他の実施形態にかかる骨格振動器具の正面図である。
図5】同骨格振動器具の先端に装着されている装具の断面図である。
図6】ハーブボールを組み付ける過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる骨格振動器具を斜視図により示しており、図2は、同骨格振動器具の先端に装着されている球状の装具を断面図により示している。
同図において、本骨格振動器具10は、杭20と、布袋の内側にハーブなどの草木を収容するハーブボール30と、杭20の一端を受け入れるカップ部材40とを備えている。
ハーブボール30は、布袋の内側にハーブなどの草木を収容可能であり、カップ部材40の底と一体的に固定される。
【0010】
図3(a)~図3(c)はハーブボール30を組み付ける過程を示している。
ハーブボール30は、外袋31と、内袋32とを備える。外袋31と内袋32はともに布で形成されている。内袋32にハーブを収容した状態で外袋31に収容し、さらに外袋31自体も別途ハーブを収容している。カップ部材40は、開口41に杭20の細い側の先端を押し込んで装着できる程度の形状となっている。カップ部材40の底面の下側には複数の突起42が形成されている。突起42と突起でない部分とにより、底面には凹凸が形成されることになる。
【0011】
ハーブを収容した内袋32にカップ部材40の底面の突起(凹凸)42を当接させた状態とし、外袋31で内袋32とカップ部材40の全体を下側から覆う。このときカップ部材40の周囲にもハーブを収容させることで、全体的に概ね球状にしている。
このように、ハーブボール30は、草木を収容する内袋32を備えるとともに、カップ部材40の底面の凹凸(突起42)を内袋32に当接させた状態で、外袋31がカップ部材40と内袋32を包み込み、かつ、縁部はカップ部材40の開口41部分から当該カップ部材40の内側に押し込まれている。
【0012】
外袋31の縁部はカップ部材40の開口41に押し込み、さらに、外形を星形とした板状の抜け止め板33を開口41に押し入れる。抜け止め板33の大きさは開口41よりもわずかに大きめに形成してある。従って、抜け止め板33を開口41に押し入れるときに、星形とした抜け止め板33の端部は上方に撓みながらカップ部材40の内部に押し込まれる。撓んだ抜け止め板33は元の平坦な形状に戻ろうとするため、抜け止め板33の先端は外袋31の縁部をカップ部材40の内壁に押さえつける。また、抜け止め板33の中央がカップ部材40の奥側に位置し、先端がそれよりも開口41の側に位置するため、抜け止め板33の先端は外袋31の縁部の布地に対して斜めに当接する。このときの抜け止め板33の傾斜は、外袋31の縁部の布地をカップ部材40の外側に引き出そうとする力を受けたときに、カップ部材40の内周壁面に食い込む向きとなっている。すなわち、食いつきやすくなっており、布地が引き出されてしまうことを防止する。
【0013】
外袋31や内袋32は、布で形成しているが、布の他にも不織布で形成することも可能である。布や不織布は細かいながらも適度な穴が形成されている点で共通し、このような穴からハーブの粉末がこぼれ出ることを許容している。
このように、外袋31と内袋32は、布素材で形成され、収容する草木の粉末が布目から徐々に漏れ出る。
施術時、施術者は木槌50で杭20の一端(カップ部材40に挿入されていない側の端部)を叩打つ。すると、杭20の他端はカップ部材40を内袋32に押し当てられる。木槌50で叩打しているので、内袋32は強い力で圧縮され、収容されているハーブの一部が粉砕する。ハーブは粉砕されることで細分化し、その一部は内袋32の穴から漏れ出し、同様に外袋31の穴からも漏れ出す。すると、施術時にハーブボール30からは徐々に細分化したハーブの粉末が漏れ出ることになる。
【0014】
本発明の骨格振動器具10は、ハーブ(乾燥した植物を細かく裁断、及び粉末状にしたもの)を布(または不織布)からなる内袋32と外袋31で包んで球形(または円柱状、円錐状)に成形したものに、樹脂製または木製のカップ状のカップ部材40を埋め込み、かつ外袋31の縁部をカップ部材40の中に入れた状態で抜け止め板33で固定し、そこに木製(または樹脂製)の杭20を脱着可能な状態で挿入したものである。
【0015】
本実施例では、カップ部材40の下部にハーブを充填した小型の布(不織布)からなる内袋32を収容している。これにより、カップ状のカップ部材40が球状のハーブボール30の内部で移動(沈降)しないし、骨格振動と同時にクッション性を持たせることができる。
施術するときには、杭20の一端にハーブボール30を装着した状態とし、骨格振動器具10における身体接触面(第1の端部)34を身体の患部に当て、杭20の他端である頭部の叩き打ち面(第2の端部)51を木製またはゴム製のハンマー(木槌50)で叩くことで、音によるリラックス効果と身体(筋肉及び骨格・骨髄)の振動による骨・血液の再生とホルモンバランス調整、免疫活性効果を与える。
【0016】
ハーブボール30を暖めることによる施術時の温熱効果も期待できる。杭20をいったん取り出してハーブボール(球状部分)30を電子レンジまたはスチーマーで加熱し再び杭20を挿入した状態で利用する。さらに温熱と香りの効果が加わり筋肉をリラックスさせることができる。
骨格振動器具10の使用方法として木槌50を使用しないことも可能である。杭20をハーブボール30に挿入した状態で、杭20の部分を握り本骨格振動器具10で身体を叩く。
【0017】
以上説明したように、本発明の骨格振動器具10によれば、温熱と音と香りのリラックス効果を伴う叩き打ちによって筋肉の緊張をほぐして血流を改善し、身体深部の骨髄を刺激して骨と血液の再生やホルモンバランスの調整を促し免疫を高め、またハーブによるクッション性を持たせることで効果的で高齢者にも苦痛なく、かつ容易に操作可能な筋肉及び骨格振動器具10を提供することができる。
【0018】
図4は、本発明の他の実施形態にかかる骨格振動器具を正面図により示しており、図5は同骨格振動器具の先端に装着されている装具を断面図により示しており、図6はハーブボールを組み付ける過程を示している。
同図において、骨格振動器具110は、杭120と、布袋の内側にハーブなどの草木を収容するハーブボール130と、杭120の一端を受け入れるカップ部材140とを備えている。本実施形態の骨格振動器具110は、先の骨格振動器具10と比較すると、カップ部材140がハーブボール130の外部に装着されている点で異なる。
【0019】
カップ部材140は、底面から棒状に突き出る円柱状の突出部142が形成されている。ハーブボール130はハーブを収容する内袋132と、この内袋132を収容するとともに、その周縁に別途ハーブを収容する外袋131とを備えている。また、外袋131は上面側に前記円柱状の突出部142を挿入可能な穴135を形成してある。穴135は突出部142に対して若干小さめの径としてあるため、突出部142を挿入するとハーブボール130とカップ部材140とは固定される。このとき突出部142は内袋132に当接している。すなわち、ハーブボール130は、草木を収容する内袋132を包摂するボール状の外袋131を有し、同外袋131はカップ部材140の底面の突出部142が挿入可能な穴135を形成してある。これにより、カップ部材140の突出部142は内部の内袋132に突き当たるようにしてハーブボール130はカップ部材140を保持可能となっている。
【0020】
カップ部材140の開口141の径は杭120の一端に合わせて形成されており、わずかに小さくなっている。このため、杭120の一端をカップ部材140の開口141に向けて押し込むと、杭120とカップ部材140とが固定され、かつ、カップ部材140がハーブボール130に固定されているので、杭120とカップ部材140とハーブボール130とが一体となり、骨格振動器具110が完成する。
【0021】
完成した骨格振動器具110の使用方法は、上述した実施形態の骨格振動器具10と同様である。
なお、本発明は前記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・前記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって前記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・前記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が前記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0022】
10…骨格振動器具、20…杭、30…ハーブボール、31…外袋、32…内袋、33…抜け止め板、34…端部、40…カップ部材、41…開口、42…突起(凹凸)、50…木槌、51…叩き打ち面、110…骨格振動器具、120…杭、130…ハーブボール、131…外袋、132…内袋、135…穴、140…カップ部材、141…開口、142…突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6