(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】高炉用材料ホッパ
(51)【国際特許分類】
C21B 7/18 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
C21B7/18 303
(21)【出願番号】P 2019515823
(86)(22)【出願日】2017-09-18
(86)【国際出願番号】 EP2017073510
(87)【国際公開番号】W WO2018054848
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-17
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】513200003
【氏名又は名称】ポール ワース エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トッカート,ポール
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン,クリス
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-201747(JP,A)
【文献】実開昭51-120087(JP,U)
【文献】特表2009-523910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/00-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に高炉用の材料ホッパ(10´)であって、
材料を貯蔵するための収容中空シェル(12)であって、前記シェルは入り口部分を有する上部シェル部(20)と、出口部分(28)を有する非対称の漏斗形の下部シェル部(26)とを含む、収容中空シェル
(12)と、
前記下部シェル部(26)の内壁(14)の少なくとも一部を覆うウェアプレート配置(42)であって、前記ウェアプレート配置は互いに隣接して複数列に配置された複数のウェアプレート(44)を含み、前記列は前記内壁に沿って積層されている
、ウェアプレート
配置
(42)と、を備え、
前記ウェアプレート(44)は、前記漏斗形の下部シェル部(26)の前記形状と実質的に一致する仮想の直円錐(50)
の軸(V)に垂直な平面に対する前記下部シェル部(26)の交差によってそれぞれ画定される平行な実装ライン(48)に従う列に配置されることを特徴とする、材料ホッパ。
【請求項2】
前記下部シェル部(26)の前記材料出口(28)が実質的に垂直方向の材料の流出を生じるように垂直に向けられ、水平面に円形の断面を有する、請求項1に記載の材料ホッパ。
【請求項3】
前記下部シェル部(26)は、それが
、前記上部シェル部(20)と接続するための上部接続端部(27)を有し、
前記接続端部(27)は前記水平面に円形断面を有し、
前記接続端部(27)は前記材料出口(28)に対して偏心している、請求項2に記載の材料ホッパ。
【請求項4】
前記仮想
の直円錐
(50)が、前記下部シェル部の内壁形状にぴったり合う円錐である、請求項1から3のいずれか一項に記載の材料ホッパ。
【請求項5】
同じ実装ライン(48)に沿って、同じ列に配置された全ての前記ウェアプレート(44)が同じ形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の材料ホッパ。
【請求項6】
各ウェアプレート(44)は、前記ホッパの前記内側に面する前面(56)と、それによってウェアプレートが前記下部シェル部(26)の前記内壁(14)に対して取り付けられている対向する後面(58)と、
前記実装ライン(48)に沿って延びる長手方向の両端に配置され、軸(V)方向の上部から見て凸状のV字形の輪郭を有す
る端部(64)とを有する湾曲した本体(54)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の材料ホッパ。
【請求項7】
前記ウェアプレート配置(42)が、前記下部シェル部の前記内壁(14)の少なくとも衝突領域(38)を覆う、請求項1から6のいずれか一項に記載の材料ホッパ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の1つ又は複数の材料ホッパを備えるシャフト炉装入装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の1つ又は複数の材料ホッパを含む装入装置を含む高炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料貯蔵の分野に関する。本発明は、より詳細には材料ホッパに関し、特にシャフト又は炉内での原料の貯蔵のための材料ホッパに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の高生産高炉の建設は、部分的に、装入物が一様に分配されなければならない炉内の中心部の寸法の増大のために、装入配置に対して新しくより厳格な要求を課してきた。
【0003】
装入動作中、スキップ又はコンベヤベルトが装入材料を高炉の頂部に配置された1つ又は複数の材料ホッパに運ぶ。所与のホッパを充填する際には、密閉されて炉頂部動作圧力に加圧される。このような材料ホッパは、従来、炉口に入る前に中央に配置された樋に材料を供給する樋流し容器(sluice bin)の形態を有していた。
【0004】
材料ホッパ内に保持されている装入材料の放出は、炉床内で行われる化学反応に必要な材料の量を最適化するために、材料ゲートによって正確に制御される。
【0005】
現代のベルレストップ炉は、1つ、2つ、又は3つの材料ホッパを使用している。複数ホッパ構成では、ホッパは交互に使用され、一方が充填され、一時的な貯蔵として機能し、他方は空である。3つ目のホッパは、2つの作動ホッパのうちの1つでメンテナンスが必要な場合に使用するため、あるいは50%を超える過装入又はキャッチアップ能力を維持しながら、装入オプションの最大の柔軟性を提供するために提供できる。
【0006】
設備の全体的な大きさを減らすために、ホッパは互いに接近して配置され、かつ最大の収容容量を提供するように成形される。このような複数ホッパベルレストップ(BELL-LESS TOP)装入設備は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0007】
従って、シャフト炉用の最新技術の装入設備は、シャフト炉内に材料を分配する分配装置、特にシャフト炉の中心軸に関して対称的に配置された旋回可能なシュートと、平行に配置され、分配装置に供給される材料を貯蔵するために分配装置の上方の中心軸からオフセットされている少なくとも2つのホッパとを備える。
【0008】
図1は、最新技術において知られているような高炉内での原料の装入及び排出用の材料ホッパの部分切断図を表す。材料ホッパ10は、内壁14及び外壁16を有する収納シェル12を備える。シェル12は、中央シリンダ18を介して接続された2つの円錐台形部品の重ね合わせによって作製され、コンベヤベルト又はスキップカー(図示せず)によって供給される分配ロッカーと協働する上部シール弁24によって覆われた上部開口部22を、頂部に有する上部円錐20と、中央シリンダ18に取り付けられた接続端部27を有し、材料が通って図示されていない下流中央シュート配置に排出される出口部分28における底部で終わる下部円錐26である。
【0009】
図1に示されるように、ホッパ10は、中央シュート配置の中心軸に対応する軸Cに対して偏心している。各ホッパ10はシュート配置の前記中心軸から半径方向対称位置に配置されている。下部円錐26は、出口部分28と非対称に構成され、偏心して中心軸Cに近接して配置されたている。説明の目的のために、ホッパの内側30は、使用時にはシュート配置の中心軸Cに近接する領域を指すのに対し、外側32は対向する領域を指す。
【0010】
装入動作では、装入材料の流れが上部開口部22を通って上部円錐20に入り、シェル12の内壁14に落下して、ホッパ10内に堆積する。ホッパ10のサイズが大きいため、材料の流れは数メートルの高さから内壁14に落ちやすい。ホッパ10は一般に、装入動作中に上部開口部22から繰り返し落下する材料の衝突から内壁14を保護するために、概ね34で示される鋳造ウェアプレートライニングを含む。ウェアプレートライニング34は通常、複数の鋳造ウェアプレート36を含む。鋳造ウェアプレート36は、材料の流入流れを直接受ける「衝突領域」38と呼ばれる領域に少なくとも配置される。
【0011】
排出動作において、材料の流れは出口部分28を通ってホッパ10を出る。ホッパ10の形状は、材料の流れを方向付け、単一ホッパ中央供給炉に関連するものにできるだけ近いホッパからの半径方向対称性のレベルを与える流れ条件を提供することによって、下流に位置する導管内の摩耗区域を減らすように適合される。
【0012】
従って、下部シェル部26の非対称構成は、出口部分28を炉の中心軸Cに近づけることを可能にする。下部シェル部26の出口部分28及び上部開口部27は、従来は円形であり、ほぼ水平面に配置されており、下部シェル部26は切頭斜円錐を形成する。
【0013】
鋳造ウェアプレート36は、
図1に破線40で示す円形の水平実装ラインに従って、実質的に下部円錐26の頂部から底部までの一連の積層された水平列で衝突領域38に固定されている。理解されるように、内壁14を均一に覆うために、各鋳造ウェアプレートは独特の形状を有する。
【0014】
ホッパの内側のこのような鋳造ウェアプレートライニング34の不便な点は、多種多様な構成要素を必要とすることであり、これは高い生産コストを伴う。この問題は、より複雑なウェアプレートの在庫を管理する必要があるため、特にキャスト鋳造ウェアプレートの供給業者及び使用者にさらに影響を及ぼす。
本発明の目的
【0015】
従って、材料ホッパを製造するために使用される解決策を改良することが望ましい。より具体的には、本発明は、材料ホッパの下部円錐の内側の衝突領域を覆うために使用される鋳造ウェアプレートライニングのための改良された解決策を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、請求項1に記載のように、特に高炉用の材料ホッパを提案する。
【0017】
本発明は、材料ホッパの非対称な漏斗形の下部シェル部に設けられたウェアプレートが、下部シェル部の形状と実質的に一致する仮想の直円錐に関して画定された実装ラインに沿って配置された材料ホッパを提供することによって、上述の欠点及び不利を克服する。特に、ウェアプレートは、下部シェル部と、漏斗形の下部シェル部の形状と実質的に一致する仮想の直円錐の軸に垂直な平面との交差によってそれぞれ画定される平行な実装ラインに従う列に配置される。
【0018】
本明細書で「仮想円錐」とも呼ばれる仮想直円錐は、下部シェル部の形状の数学的近似値であり、典型的には、斜円錐に基づいて設計されている。従って、仮想直円錐は、下部シェル部の内側(又は外側)形状にぴったり合う。ウェアプレートの配置に使用されるという意味では仮想的であるが、ホッパにこの円錐を具現化する要素はない。
【0019】
そのような仮想円錐を使用する利点は、定義により、垂直円錐の軸に垂直な平面が円錐の側面と交差して、外周の任意の箇所で、円錐形の表面上に同じ距離だけ離間した円(ここでは実装ライン)を画定することである。鋳造ウェアプレートは、このように、円対称軸、すなわち仮想円錐の軸を有する円形列上に配置される。本発明で使用される実装ラインは、実際には、垂直に対して(また
図1に示される水平実装ラインと比較して)傾斜しているが、それらは実装ライン間の規則的な距離により顕著な利点をもたらす。その結果、本発明の材料ホッパでは、同じ列のウェアプレートは同じ形状及び寸法を有することができる。これは、在庫処理を減らし、実装を容易にするという点で顕著な利点を有する。
【0020】
本発明は、高炉又は鉄鋼製造の分野に限定されないが、材料ホッパの内側にウェアプレート配置を設けることが望ましいあらゆる産業において使用できることは明らかであろう。さらに、本発明の教示は新規の材料ホッパの構成に適用可能であるが、既存の材料ホッパにも適用することができる。
【0021】
従来、ウェアプレートは鋳造によって銑鉄又は鋼から製造することができ、それによりそれらは「鋳造ウェアプレート」と呼ばれることがある。しかしながら、これは限定的であると見なすべきではなく、使用目的に応じて、ウェアプレートは他の材料から製造することができる。
【0022】
ウェアプレート配置とは別に、材料ホッパの設計は従来と同様であり得る。例えば、下部シェル部の材料出口は、実質的に垂直方向の材料の流出を生じるように垂直に向けられてもよく、水平面に円形の断面を有する。
【0023】
また、下部シェル部は、典型的にはそれが、好ましくは円筒形の中央部分を介して、上部シェル部と接続するための上部接続端部を有することができる。接続端部は水平面に円形断面を有し、接続端部は前記材料出口に対して偏心している。
【0024】
上記のように、本発明により、所与の列の全ての鋳造ウェアプレートは同じ形状を有することができる。好ましくは、円周方向のウェアプレート曲率及び幅は、最終鋳造ウェアプレートライニングが各列の円の形状からの最小のずれをもたらすように予め決定される。
【0025】
好ましくは、ウェアプレート配置は、下部シェル部の内壁の少なくとも衝突領域を覆うように設けられる。実際、ウェアプレートは、主に、ホッパのいわゆる衝突領域、すなわち入り口開口部に面し、材料の流入流れを直接受けるシェルの壁領域を覆うように配置されている。しかしながら、ホッパの内周全体をウェアプレートで覆うことも可能である。当業界で知られているように、ウェアプレートで覆われていない内壁領域には、セラミックタイルのライニングを設けることができる。
【0026】
各ウェアプレートは、ホッパの内側に面する前面と、それによってウェアプレートが前記下部シェル部の内壁に対して取り付けられている対向する後面とを有する湾曲した本体を備える。好ましくは、ウェアプレートの前面には、材料の蓄積を可能にする水平溝が設けられ、それによって前面の摩耗を低減する。
【0027】
ウェアプレートの取り付けを容易にするために、ウェアプレートの長手方向に延びる横方向端部は、凸状のV字形の輪郭を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明のさらなる詳細及び利点は、添付の図面を参照しながら、実施形態を限定しない以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【
図1】最新技術による材料ホッパの部分断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による材料ホッパの部分断面図である。
【
図3】本発明の材料ホッパの下部シェルにおける鋳造ウェアプレート配置を示す原理斜視図である。
【
図5】本発明の材料ホッパの下部シェルにおける鋳造ウェアプレート配置の原理上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
最新技術の材料ホッパは、
図1を参照して上述した。当技術分野で知られているように、このような材料ホッパは、高炉の頂部にある平行ホッパ型装入設備(特にベルレストップ)において使用するように設計されている。それ自体知られているように、このような装入設備は高炉の炉口の頂部閉鎖体として配置された回転分配装置を含む。バルク材料を高炉内に分配するために、分配装置は分配部材として機能するシュートを含む。シュートは、高炉の垂直中心軸を中心に回転可能であり、かつ垂直軸に垂直な水平軸を中心に旋回可能であるように炉口の内側に配置されている。
【0030】
装入設備はさらに、分配装置の上方に平行に配置されかつ炉の中心軸からオフセットして配置された、
図1に示す種類の一対の材料ホッパを含む。それ自体知られている方法では、ホッパは分配装置によって分配されるバルク材料のための貯蔵容器として、かつ交互に開閉する上部及び下部シール弁によって高炉内の圧力の損失を避ける圧力ロックとして機能する。各ホッパは下端部に、それぞれの材料ゲートハウジングを有することができる。共通のシール弁ハウジングが材料ゲートハウジングと分配装置との間に配置され、材料ゲートハウジングを介してホッパを分配装置に接続する。これは一例にすぎず、当業者には明らかなように、他の構成を選択することができる。例えば、シール弁及び材料ゲートは同じハウジング内に配置することができる。
【0031】
次に
図2を参照すると、高炉装入設備用の本発明の材料ホッパ10´の実施形態が示されている。
図2の材料ホッパ10´は、ウェアプレートの配置を除いて、
図1に示すものと本質的に同一である。従って、同じ又は類似の要素を示すために同じ参照符号が使用されている。
【0032】
図2において、概ね円錐台形の上部シェル部20、実質的に円筒形の中央シェル部18及び漏斗形の下部シェル部26を含む収納シェル12を備えた材料ホッパ10´が認識される。下部シェル部26は、上部接続端部27によって中央部18に気密に取り付けられ、その下端部で出口部分28において終わっている。出口部分28は、実質的に垂直方向の材料の流出を生じるように垂直に配置されており、水平面において円形の断面を有している。出口部分28は、円形のスリーブ又はリングとして設計することができる。
図2に見られるように、一般にホッパ10´、特に下部シェル部26の構成は、ホッパ10´の中心軸H(すなわち、中央部18を画定する円柱の軸)に関して非対称である。より正確には、軸線Hに関して、出口部分28は、それが高炉の中心軸線Cに極めて接近して配置することができるように偏心している。この効果を達成するために、上部20及び中央部18の形状は必ずしも
図2に示される通りである必要はないが、出口部分28は偏心して配置されていることが理解されるであろう。
【0033】
原料が空のホッパ10´に供給されると、材料の流入流れは、入口開口部22に対向する/面する下部シェル部26の部分に落下し、この領域は衝突領域と呼ばれ、38で示される。シェル自体の磨耗を避けるために、内壁14は、少なくとも衝突領域において、内壁14に固定されたウェアプレート44の配置42で覆われている。従来、ウェアプレートは銑鉄から鋳造することによって製造されており、従って典型的に鋳造ウェアプレートとも呼ばれている。本発明のホッパ10´では、典型的に、鋳造ウェアプレートが使用されるが、本発明のウェアプレート配置は、異なる材料から作製されたウェアプレートと共に使用することもできる。
【0034】
図1に戻って参照すると、既に説明したように、ウェアプレート44は、出口部分28の開口面に平行な円形の実装ライン(
図1の40)に沿って、すなわち水平に通常取り付けられている。この従来の配置の主な欠点は、下部円錐26が非対称の漏斗形状を有するので、2つの平行な水平実装ライン40間の距離(内壁14で測定)が、円形の実装ラインの中心に対する角度位置に応じて変わることである。例えば、内壁14に沿って測定した2つの隣接する実装ライン40間の距離d
1はd
2より小さい。従って、全てのウェアプレート44は独特の形状を持たなければならない。
【0035】
図1とは対照的に、
図2に示す本発明の材料ホッパ10´は、
図3及び
図4を参照してここで説明するように、仮想直円錐によって画定される傾斜した円形の実装ライン48に従って配置されたウェアプレートライニング42を有する。
【0036】
図3及び
図4では、下部出口部分28及び上部接続端部27を有する漏斗形下部シェル部26が認識される。出口部分28及び接続端部27は両方とも(設計上)円形であり、平行な水平面内に延在するが偏心しており、これは下部シェル部26のこの非対称漏斗形状をもたらす。数学的に言えば、下部シェル26は切頭斜円錐を形成しており、対応する円錐形の頂点は、接続端部27に対応する円形ベースの中心上にはない。切頭斜円錐の頂点は、
図4にA
0で示されており、慣例に従って下部シェル部26によって形成された側面の母線の交点として決定される。出口部分及び接続端部27の中心を通る斜円錐の軸はOで示されている。
【0037】
参照符号44は、仮想直円錐(設計目的に使用されるが中実円錐要素には対応しないという意味で仮想である)を示す。この直円錐50は、下部シェル部26の漏斗形状とできるだけ一致するように設計されている。すなわち、仮想円錐50は、下部シェル26の円錐台形状に最も近い直円錐として寸法決めされているか、又は言い換えれば、それは、内壁14にできるだけ接近するように下部シェル部26の内側に最もよく適合する。ある程度、それは、下部シェル部26に内接する直円錐と見なすことができる。仮想円錐50は、軸V及び頂点Avを有する。定義により、その軸線Vは、図中で線53で具体化された、その円形ベースの中心を通過し、それに対して垂直である。なお、下部シェル部26の非対称の漏斗状設計により、軸Oは典型的には垂直に対して傾斜しており、仮想円錐50、それぞれの軸線Vは、一般に垂直に対して傾斜している。
【0038】
本明細書では、仮想円錐50を使用して、下部シェル部26内側のウェアプレート44の実装ライン48を画定しており、各実装ライン48は、仮想円錐軸Vに垂直なそれぞれの平面と、切頭斜円錐として設計された下部シェル部26との交点として画定される。従って、実装ライン48は従来の水平実装ライン40に対して傾斜しているが、それらは直円錐の軸線AVに垂直な平面内にあるので、実装ライン48は円形である。その結果、内壁14上の任意の対の実装ライン48間の距離(例えばd3で表される)は、実装ラインの中心に関して任意の角度位置で同じである。所与の列に、すなわち同じ実装ライン48に沿って配置されたウェアプレート44は、従って、同じ形状を有するように設計することができる。
【0039】
内壁14は斜円錐上に構築されているが、仮想円錐50は直円錐であるので、2つの円錐は完全に重なり合うことができない。仮想円錐50は、下部26の斜円錐にできるだけ近づくように最適化されている。理解されるように、実用的な結果は、狭い間隙52が2つの円錐の間に存在し、これは必要ならば接合手段又は固定手段によって容易に補償され得ることである。しかしながら、
図4に示されるように、円錐の軸A
V及びA
Oは小さなずれを有するので、この間隙は小さい。
【0040】
有利には、仮想円錐50は、下部円錐部26の容積内に完全に含まれるように設計されている。このようにして、仮想円錐50の表面は、鋳造ウェアプレート配置42を配置するために、内壁14の元の円錐の内側に常にアクセス可能である。実際には、下部26の円錐形状は仮想円錐50に非常に近く、
図3に示すように2つの円錐の間に狭い間隙52のみを残す。
【0041】
図から分かるように、ウェアプレート44は、下部シェル部26の内壁14に対して列をなして配置されているが、仮想円錐50によって決定された実装ライン48に従って向けられている。その場合、ウェアプレート配置42は、内壁14を覆うように軸線Vの方向に重ねて配置された、すなわち積層された複数列のウェアプレート44からなる。例えば、実装ライン48に沿ってウェアプレート44の上端部を整列させることによって、1列が得られる。1列が隣接する2本の実装ライン48の間にあるとも言える。
図2において、列は49で示される。
【0042】
鋳造ウェアプレート44は、内壁14を均一に覆うために互いに密接に配置されており、つまり、2つの隣接する鋳造ウェアプレート44の間に実質的な間隙は存在しない。
【0043】
図5により良く示されているように、ウェアプレート44それ自体は、典型的にはホッパの内部に面する前面56及び対向する後面58を有する湾曲した本体54からなり、それによってウェアプレートは例えば、ボルト、ねじ、又ははんだ接合部などの任意の適切な手段を使用して内壁14に取り付けられる。好ましくは、固定手段は、内壁14の対応する穴に係合する3本のボルトを含む。前面56は、材料の蓄積を可能にし、それによって前面の磨耗を減少させる複数の水平溝60を含む。参照符号62は、組み立て中にウェアプレートを持ち上げる/保持することを可能にする、例えばリング、フックなどの持ち上げ部材を示す。
【0044】
上述したように、ウェアプレート本体54は湾曲形状を有し、すなわちプレート本体54(前面56だけではない)は、前面56から見て凹面状に、すなわち横方向端部64を前方に向けて、曲げられている。後面58の湾曲は、後面が取り付けられる列の仮想直円錐50の形状に合うように有利に設計される。
【0045】
鋳造ウェアプレート44は円形実装ライン48に従って列状に配置され、仮想円錐50の軸Vは列ごとに円対称軸であるので、所与の列内の各鋳造ウェアプレート44は、所与の実装ライン48に沿った任意の場所に交換可能に取り付けることができる。また、同じ列の全ての鋳造ウェアプレート44は同じ寸法を有することができる。
【0046】
例示のために、鋳造ウェアプレート44の全体寸法は、本体が約100mmの厚さを有して、800mm(幅)×900mm(高さ)のオーダーであり得る。これらの寸法は限定的なものではなく、当業者は所望のように寸法を適合させることができる。
【0047】
列全体が鋳造ウェアプレートで覆われる場合、すなわち360°を超える場合、その列を整数個のウェアプレートで覆うことができるように鋳造ウェアプレートの幅を画定することができる。実際には、鋳造ウェアプレートを衝突領域、例えばホッパ10´の外側32に配置することで十分であろう。
【0048】
当技術分野で知られているように、ウェアプレート44によって覆われていない内壁14の領域は、セラミックタイル(図示せず)によって覆われていてもよい。
【0049】
図5に見られるように、本体は2つの長手方向に延びる横方向端部64(すなわち仮想円錐52の軸方向に延在)ならびに上端部66及び下端部68を有し、これらは典型的には実装ライン50と平行である。上端部66及び下端部68は、後面58に対してほぼ垂直な、実質的に真っ直ぐな壁である。横方向端部64は、同じ列で隣接するウェアプレート44に面している。
【0050】
材料ホッパ10´の取り付け中、鋳造ウェアプレート44は持ち上げ部材62によってクレーンに吊り下げられる。理解されるように、ウェアプレートはオペレータによって半径方向に操作する必要があるが、傾斜した実装ライン48に従って傾斜されなければならない。
【0051】
ウェアプレート44の設置を容易にするために、その横方向端部64は回転を容易にする輪郭を備えている。
図6に示すように、横方向端部64は、横方向端部に凸状のV字形の輪郭を与える2つの傾斜面70を含む。V字形は、実装プロセスの間、すなわち、2つの固定された隣接するプレート間に配置される場合に、鋳造ウェアプレート44が容易に回転し定位置に置くことを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】