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特許7054695展開可能なブレードを備えるインプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】展開可能なブレードを備えるインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019520880
(86)(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017056973
(87)【国際公開番号】W WO2018075511
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2019-09-25
(31)【優先権主張番号】15/296,902
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517373240
【氏名又は名称】インスティテュート フォー マスキュロスケレタル サイエンス アンド エジュケイション,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サック,ジェイムズ エイ.
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0265007(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0095559(US,A1)
【文献】特表2016-524988(JP,A)
【文献】特表2015-501189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントであって、
前方側部と、後方側部と、第1の側部と、第2の側部とを有し、かつ前記第1の側部と前記第2の側部との間に延びている長手軸を定義しているボディと、
前記ボディ内の後退位置と、前記ボディから外向きに延びる展開位置との間を移動できるブレードと、
前記ボディ長手軸に平行な方向に前記ボディ内を並進することのできるブレード移動部材と、を備え、
前記ブレード移動部材は、前記ブレード移動部材の上側表面と下側表面との間を前記長手軸に対して斜めの角度で延びる第1チャンネル方向と、その反対向きの第2チャンネル方向とを画定するチャンネルを有し、
前記ブレードは、前記チャンネルと同じ角度で延び、そのため前記チャンネル内に嵌入するように構成されている突出部を含み、
前記ブレード移動部材が前記長手軸に沿って第1方向に移動すると、前記突出部は前記第1チャンネル方向に前記チャンネルに沿って進み、前記ブレードは前記展開位置の方に移動し、
前記ブレード移動部材が前記第1方向とは反対の第2方向に移動すると、前記突出部は、前記第2チャンネル方向に前記チャンネルに沿って進み、前記ブレードは前記後退位置の方に移動する、インプラント。
【請求項2】
前記チャンネルおよび前記ブレードの前記突出部は、前記ブレード移動部材と前記ブレードとの間の滑り接合を形成し、前記滑り接合は、前記ブレードが前記ブレード移動部材に対して前記第1チャンネル方向または前記第2チャンネル方向に沿って移動することを許容し、前記滑り接合は、前記ブレードが前記第1チャンネル方向または前記第2チャンネル方向に垂直な方向に移動することを防止する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記チャンネルおよび前記突出部はともに、前記ブレード移動部材と前記ブレードとの間の嵌合接続を形成する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記ブレードは、展開位置に移動したときにボディから離れる外縁と、前記外縁の反対側にある内縁と、前記外縁と前記内縁とをつなぐ第1外側縁と、前記第1外側縁の反対側にあって前記外縁と前記内縁とをつなぐ第2外側縁とを有し、前記ブレードは、前記ボディに前記第1外側縁および前記第2外側縁に沿ってのみ接触している、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記ボディは、前記第1外側縁を保持する第1保持チャンネルを含み、前記ボディは、前記第2外側縁を保持する第2保持チャンネルを含み、前記第1保持チャンネルおよび前記第2保持チャンネルは、前記長手軸に対してゼロではない角度で方向付けられている、請求項4に記載のインプラント。
【請求項6】
インプラントであって、
前方側部と、後方側部と、第1の側部と、第2の側部とを有し、かつ前記第1の側部と前記第2の側部との間に延びている長手軸を定義しているボディと、
前記ボディ内の後退位置と、前記ボディから外向きに延びる展開位置との間を移動できるブレードと、
前記ブレードは、展開位置に移動したときにボディから離れる外縁と、前記外縁の反対側にある内縁と、前記外縁と前記内縁とをつなぐ第1外側縁と、前記第1外側縁の反対側にあって前記外縁と前記内縁とをつなぐ第2外側縁とを有し、
前記ブレードは、前記ボディの前方側部または後方側部に向かう遠位面および前記インプラントの中心に向かう近位面も有し、
前記ブレードの前記第1外側縁および前記ブレードの前記第2外側縁は前記ボディに接触しており、
前記ボディの長手軸に平行な方向に前記ボディ内を並進することのできるブレード移動部材と、を備え、
前記ブレードの前記近位面の一部が前記ブレード移動部材に接触しており、
前記ブレードの前記遠位面が前記ブレード移動部材から離れて配設されており、
前記ブレード移動部材は、前記後退位置と前記展開位置との間で前記ブレードを移動させることができ、
前記ブレード移動部材は、前記長手軸に対して斜めの角度で延びるチャンネルを有し、
前記ブレードは、前記チャンネルと同じ角度で延び、そのため前記チャンネル内に嵌入するように構成されている突出部を含む、インプラント。
【請求項7】
前記ボディは、第1保持チャンネルおよび第2保持チャンネルを含み、前記ブレードの前記第1外側縁は前記第1保持チャンネルに受け入れられ、前記ブレードの前記第2外側縁は前記第2保持チャンネルに受け入れられる、請求項6に記載のインプラント。
【請求項8】
前記ブレードは、その第1ブレード部と第2ブレード部とがゼロではない角度で交わる第1屈曲部を有する、請求項6に記載のインプラント。
【請求項9】
前記ブレード移動部材は滑り接合で前記ブレードに連結されている、請求項6に記載のインプラント。
【請求項10】
前記ブレード移動部材の前記チャンネルおよび前記突出部は合わせて前記滑り接合を形成する、請求項9に記載のインプラント。
【請求項11】
前記ブレード移動部材の前記チャンネルは、前記ブレード移動部材の側部上に斜めに延びている、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記ブレード移動部材は、前記ブレードが完全に展開されたときを示すための整列窓を含む、請求項6に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者における骨の成長を支持するインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なるインプラントが体内で使用される。あるエリアを安定させ、骨の内部成長を促すように体内で使用されるインプラントは、安定性(すなわち、圧力下での経時的な最小限の変形)および骨の内部成長のためのスペースの双方を提供する。
【0003】
脊椎固定術または脊椎癒着術としても知られている脊椎固定は、変性円板疾患、脊椎すべり症(椎骨のすべり)、脊柱管狭窄症、脊柱側湾症、骨折、感染または腫瘍等の、種々の病的状態の治療に使用される外科的な治療方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脊椎固定処置の目的は、不安定さ、ひいては痛みを低減することである。
【0005】
脊椎固定に備えて、椎間板のほとんどが除去される。インプラント、すなわち脊椎固定ケージ、を椎骨間に配置して、脊椎のアライメントおよび椎間板の高さを維持することができる。癒合(すなわち、骨橋)は、椎骨の終板間で生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様において、インプラントは、第1軸を備えるボディを含む。インプラントは、ボディ内の後退位置と、ボディから外向きに延びる延伸位置とを有するブレードも含む。インプラントは、第1軸に平行な方向にボディ内を並進することのできるブレード移動部材も含む。ブレード移動部材はチャンネルを含み、該チャンネルは、ブレード移動部材の上側表面と下側表面との間に延びており、該チャンネルは、第1チャンネル方向と反対の第2チャンネル方向とを画定する。ブレードは、チャンネル内に嵌入するように構成されている突出部を含む。ブレード移動部材が第1軸に沿って第1方向に移動すると、突出部は第1チャンネル方向にチャンネルに沿って進み、ブレードは延伸位置に向かって移動する。ブレード移動部材が第1方向とは反対の第2方向に移動すると、突出部は第2チャンネル方向にチャンネルに沿って進み、ブレードは後退位置に向かって移動する。
【0007】
別の態様において、インプラントは、第1軸を有するボディを含む。インプラントは、ボディ内の後退位置と、ボディから外向きにブレードが延びる延伸位置とを有するブレードも含む。ブレードは、外縁と、内縁と、第1外側縁と、第2外側縁とを有する。ブレードの第1外側縁およびブレードの第2外側縁はボディに接触している。ブレードは、遠位面および近位面も有する。インプラントは、第1軸に平行な方向にボディ内を並進することのできるブレード移動部材を含む。近位面の一部がブレード移動部材に接触している。遠位面は、ボディから離れて配設されている。ブレード移動部材は、後退位置と延伸位置との間でブレードを移動させることができる。
【0008】
別の態様において、インプラントは、第1軸を有する外部構造を含む。インプラントは、外部構造内の後退位置と、外部構造から外向きにブレードが延びる延伸位置とを有するブレードも含む。インプラントは、第1軸に平行な方向に外部構造内で並進することのできるブレード移動部材も含む。ブレード移動部材は、ブレードに連結されて、後退位置と延伸位置との間でブレードを移動させることができる。外部構造は、ねじ切り開口とねじ切り開口に隣接するガイド開口とを有する第1端部を含み、該ガイド開口は、ブレード移動部材の従動端を受け入れる。インプラントは、ねじ切り開口内に取り付けられている止めねじも含む。止めねじは、ブレード移動部材の従動端がガイド開口を通過することができるアンロック回転位置と、ブレード移動部材の駆動端がガイド開口を移動することを防止するロック回転位置との間で回転することができる。
【0009】
実施形態の他のシステム、方法、特徴および利点は、当業者には、以下の図面および詳細な説明を考察すれば、明らかであろう、または明らかになるであろう。このようなすべての追加のシステム、方法、特徴および利点は、本明細書および本概要に含まれること、実施形態の範囲に含まれること、ならびに以下の特許請求の範囲により保護されることが意図される。
【0010】
実施形態は、以下の図面および説明を参照するとよりよく理解することができる。図面内の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ実施形態の原理を説明するにあたり強調を施している。また、図面において、同様な符号は、種々の図を通して、対応する部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるインプラントを装着した脊椎を示す模式図である。
図2】インプラントの一実施形態を示す等角図である。
図3図2のインプラントの分解等角図である。
図4】挿入位置における図2のインプラントの模式的な等角図である。
図5】挿入位置における図2のインプラントの外側側面図である。
図6】展開位置における図2のインプラントの模式的な等角図である。
図7】展開位置における図2のインプラントの外側側面図である。
図8】ブレードの一実施形態を示す模式的な等角図である。
図9】ブレード移動部材の一実施形態を示す模式的な側面図である。
図10】ブレード移動部材および2枚の対応するブレードの一実施形態を示す模式的な等角図である。
図11】2枚の対応するブレードに連結されている図10のブレード移動部材の模式的な等角図である。
図12】インプラントのボディの一実施形態を示す模式的な等角図である。
図13】一実施形態によるインプラントのキャップの遠位側の模式的な等角図である。
図14図13のキャップの近位側の模式的な等角図である。
図15】別の実施形態によるインプラントのボディを示す模式的な等角図である。
図16】インプラントの一実施形態を上から見た模式図である。
図17図16のインプラントの一領域を上から見た模式図である。
図18】一実施形態による、いくつかの構成要素の拡大切り欠き図を含む、挿入位置におけるインプラントの模式的な等角図である。
図19】いくつかの構成要素の拡大切り欠き図を含む、中間位置における図18のインプラントの模式的な等角図である。
図20】いくつかの構成要素の拡大切り欠き図を含む、展開位置における図18のインプラントの模式的な等角図である。
図21】いくつかの構成要素の拡大切り欠き図を含む、中間位置における図18のインプラントの模式的な等角図である。
図22】一実施形態による止めねじの模式的な等角図である。
図23図22の止めねじの模式的な側面図である。
図24】止めねじの拡大切り欠き図を含む、図22の止めねじの等角図である。
図25】一実施形態による、ブレード移動部材がインプラントから延びることを許容する回転位置に止めねじがあるインプラントを示す模式的な等角図である。
図26】ブレード移動部材がインプラントのボディから延びることを防止するように止めねじが回転した、図25のインプラントの模式的な等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に説明される発明の実施形態は、脊椎で使用するためのインプラントに関する。インプラントは、ボディおよび1枚または複数枚のブレードを備える。以下に述べる種々の手段に加えて、任意の実施形態において、2016年6月27日に出願され(米国特許出願第15/194,323号)、「Interbody Fusion Device and System for Implantation(埋め込み用椎体間固定デバイスおよびシステム)」と題され、2017年7月18日に発行されたDuffieldらの米国特許第9,707,100 B2号に開示されたボディ/支持構造、ブレード移動部材または他の構造のいずれを利用してもよく、同特許は、参照によりその全体が本明細書に援用される。便宜上、Duffield特許を、本明細書を通して「固定デバイス出願」という。
【0013】
インプラントの概要
図1は、インプラント100の一実施例を示す模式図である。インプラント100は、ケージまたは固定デバイスともいわれることがある。いくつかの実施形態において、インプラント100は、人体の一部に埋め込まれるように構成されている。いくつかの実施形態において、インプラント100は、脊椎に埋め込まれるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100は、隣接する椎骨間に挿入して、椎骨間の支持を提供しおよび/または固定を助ける脊椎固定インプラントまたは脊椎固定デバイスであってもよい。
【0014】
たとえば、図1を参照すると、インプラント100は、第1椎骨192と第2椎骨194との間に位置付けられている。また、インプラント100は、2枚のブレード(第1ブレード241および第2ブレード242)を含むことが分かり、このブレードは、インプラント100の上側表面および下側表面から延びている。ブレードのそれぞれは、インプラント100の固着(anchor)を助けるように、隣接する椎骨(すなわち、第1椎骨192または第2椎骨194)に打ち込まれている。
【0015】
いくつかの実施形態において、インプラント100は、側方経路椎体間固定術(LIF)の手術手技を使用して挿入してもよい。ある場合には、インプラント100は、体の側部の小さな切開から挿入することができるであろう。使用できるであろう例示的な手法には、DLIF(登録商標)(直接側方椎体間固定術)、XLIF(登録商標)(極端側方椎体間固定術)、および経腰筋椎体間固定術が含まれるが、これだけに限定されない。
【0016】
明確にするために、詳細な説明および特許請求の範囲において方向を示す種々の形容詞に言及する。本明細書において用いられる場合、「前方」という用語は、インプラントを体内に置いたときに人体の前面の方に向けられることが意図される、インプラントの側部または部分を指す。同様に、「後方」という用語は、埋め込み後に人体の背面の方に向けられることが意図される、インプラントの側部または部分を指す。また、「上側」という用語は、体の上部(例、頭)の方に向けられることが意図されるインプラントの側部または部分を指すのに対し、「下側」は、体の底部の方に向けられることが意図されるインプラントの側部または部分を指す。本明細書において、インプラントの「外側」側部または部分にも言及し、これは、体の外側方向に面する側部または部分である。
【0017】
図2は、インプラント100の一実施形態を示す模式的な等角図である。図2で分かるように、インプラント100は、前方側部110および後方側部112を備えて構成されることが理解される。インプラント100は、第1外側側部114および第2外側側部116も含んでもよい。さらに、インプラント100は、上側側部130および下側側部140も含んでもよい。
【0018】
また、方向または軸の言及は、体に対してそれが意図される向きではなく、インプラント自体に対するものを指す。たとえば、「遠位」という用語は、インプラントの中心から遠くの方に位置付けられる部分を指すのに対し、「近位」という用語は、インプラントの中心の近くの方に位置付けられる部分を指す。本明細書において用いられる場合、「インプラントの中心」とは、質量の中心、および/または中心面、および/または中心に位置付けられる別の基準面、とすることができるであろう。
【0019】
インプラントは、種々の軸にも関連付けられていてもよい。図2を参照すると、インプラント100は、インプラント100の最長寸法に沿って、第1外側側部114と第2外側側部116との間に延びている長手軸120に関連付けられていてもよい。さらに、インプラント100は、インプラント100の幅寸法に沿って、後方側部112と前方側部110との間に延びている前後軸122(「幅方向軸」ともいう)に関連付けられていてもよい。さらに、インプラント100は、インプラント100の厚さ寸法に沿って延びているとともに長手軸120および前後軸122のどちらに対しても略垂直な、垂直軸124に関連付けられていてもよい。
【0020】
インプラントは、種々の基準面または基準表面にも関連付けられていてもよい。本明細書において用いられる場合、「正中面」という用語は、インプラントを右側半体および左側半体に分ける、または2つの外側半体に分ける、インプラントの前方側部から後方側部に通る垂直面を指す。本明細書において用いられる場合、「横断面」という用語は、インプラントを上側半体および下側半体に分ける、インプラントの中心に位置付けられる水平面を指す。本明細書において用いられる場合、「冠状面」という用語は、インプラントを前方半体および後方半体に分ける、インプラントの中心に位置付けられる垂直面を指す。いくつかの実施形態では、インプラントは、正中面および横断面等の2つの平面を中心に対称である。
【0021】
図3は、一実施形態によるインプラント100の模式的な等角分解図である。まず、図2図3を参照すると、インプラント100は、ボディ200とキャップ220とから構成されており、これらは合わせてインプラント100の外部構造201と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、ボディおよびキャップは一体的に形成されていてもよい。他の実施形態では、ボディおよびキャップは、1つまたは複数の留め具で接合される別々の部材であってもよい。図2図3の実施形態では、ボディ200およびキャップ220は、インプラント100の追加構成要素を使用して一緒に締結されている個々の部材である。
【0022】
インプラントの実施形態は、隣接する椎体にインプラントを固定するための手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、インプラントは、1つまたは複数の固定部材を含んでもよい。図2図3の実施形態では、インプラント100は、椎体間にインプラント100を挿入した後、隣接する椎体にインプラント100を固定することを容易にする、1組のブレード240を含む。1組のブレード240はさらに第1ブレード241および第2ブレード242から構成されてもよい。
【0023】
本明細書で説明する例示的な実施形態は2枚のブレードを含むが、インプラントの他の実施形態は、任意の他の数のブレードを含むことができるであろう。たとえば、別の実施形態では、3枚のブレードを使用することができるであろう。別の実施形態では、2枚のブレードがインプラントの下側表面から延び、2枚のブレードが上側表面から延びている4枚のブレードを使用することができるであろう。さらに別の実施形態は、5枚以上のブレードを含むことができるであろう。さらに別の実施形態では、1枚のブレードを使用することができるであろう。
【0024】
ブレードを備えるインプラントは、インプラントの外部構造に対してブレードを移動させるための手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、インプラントは、1枚または複数枚のブレードと係合してインプラントの表面からブレードを延ばし、および/または後退させるブレード移動部材を含む。
【0025】
図2図3に示す実施形態では、インプラント100はブレード移動部材260を含む。いくつかの実施形態では、ブレード移動部材260は、第1ブレード241および第2ブレード242に連結されている。さらに、外部構造201内におけるブレード移動部材260の位置を調整することにより、第1ブレード241および第2ブレード242は、インプラント100の表面の中に後退するかまたは表面から延びることができる。
【0026】
インプラントは、インプラントの1つまたは複数の要素の位置をロックするための手段を含むことができる。ブレード移動部材の位置を変更することのできる実施形態では、インプラントは、作動部材を所定の位置にロックすることによって1枚または複数枚のブレードも所定の位置にロックするための手段を含むことができる。
【0027】
図2図3に示す実施形態では、インプラント100は止めねじ280を含む。いくつかの実施形態では、止めねじ280を使用して、ブレード移動部材260をインプラント100内の適所にロックすることができ、これは、第1ブレード241および第2ブレード242を延伸位置に留めることを確実にする。
【0028】
実施形態は、ボディをキャップに装着することを助ける1つまたは複数の留め具を含むことができる。いくつかの実施形態では、ピン、ねじ、釘、ボルト、クリップまたは任意の他の種類の留め具を使用することができるであろう。
【0029】
図2図3に示す実施形態では、インプラント100は、キャップ220をボディ200に締結することを助ける1組のピン290を含む。例示的な実施形態では、第1ピン291と第2ピン292とを含む2本のピンが使用される。しかし、他の実施形態では、任意の他の数のピンを使用することができるであろう。別の実施形態では、1本のピンを使用することができるであろう。さらに他の実施形態では、3本以上のピンを使用することができるであろう。
【0030】
操作
本明細書で説明する実施形態は、インプラントが低プロファイルを維持することを許容する第1位置(「挿入位置」)から、ブレードを展開してそれを近位の上下の椎体に挿入する第2位置(「嵌め込み位置」または「展開位置」)まで移動することのできるインプラントを提供する。インプラントが第1(挿入)位置にあるとき、デバイスのブレードは、インプラントのボディ内に後退していてもよい(すなわち、ブレード自体が「後退位置」にあってもよい)。インプラントの第2(展開)位置では、ブレードは、インプラントを越えて上側(もしくは頭側)または下側(もしくは尾側)に延びて、椎体に入り、インプラントが時間とともに位置からずれることを防止する。このため、ブレード自体が「延伸位置」または「展開位置」にあると言われることもある。ブレードが展開されるとき、インプラントは、左右の回転に抵抗するとともに、屈曲および/または伸展に抵抗する。ブレードは、おおむね垂直方向(すなわち、上下方向)に移動するかもしれないが、実際の移動方向は実施形態によって変わってもよいことは認識されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、ブレードは、インプラント内でやや傾斜させてもよく、垂直方向(または上下方向)に対してわずかな角度をもって展開してもよい。
【0031】
図4図7は、異なる動作モードまたは動作位置のインプラント100のいくつかの図を示す。具体的には、図4は、挿入位置におけるインプラント100の模式的な等角図である。図5は、図4の同じ挿入位置におけるインプラント100の模式的な外側側面図である。図4図5を参照すると、挿入位置では、ブレード移動部材260の従動端262は、キャップ220のガイド開口222の遠位に配設されてもよい(すなわち、ブレード移動部材260の一部がガイド開口222を貫いて配設される)。インプラント100が挿入位置にあるとき、第1ブレード241および第2ブレード242は、外部構造201内に後退させられる。このように、図5でもっともよく分かるように、第1ブレード241または第2ブレード242のいずれも、インプラント100の上側側部130または下側側部140からそれぞれ外向きに(遠位に)延びていない。この挿入位置では、インプラント100は、コンパクトなプロファイルを有し、隣接する椎骨間の切除された椎間板のスペースの適所に、より容易に入れることができる。
【0032】
図6は、展開位置におけるインプラント100の模式的な等角図である。図7は、図6の同じ展開位置におけるインプラント100の模式的な外側側面図である。図6図7を参照すると、展開位置では、ブレード移動部材260の従動端262は、キャップ220のガイド開口222の近位に配設されている(すなわち、ブレード移動部材260の全体がインプラント100内に配設されている)。インプラント100が展開位置にあるとき、第1ブレード241および第2ブレード242は、隣接する椎体に挿入されるように、上側側部130および下側側部140から外向きに延びている。
【0033】
いくつかの実施形態では、1枚または複数枚のブレードは、インプラントの上側表面および下側表面に、直角方向に対してわずかな角度をもって展開することができるであろう。いくつかの実施形態では、1枚または複数枚のブレードは、0度から30度までの角度で方向付けることができるであろう。他の実施形態では、1枚または複数枚のブレードは、30度よりも大きい角度で方向付けることができるであろう。
【0034】
図6図7に示す例示的な実施形態では、第1ブレード241および第2ブレード242はともに、直角軸251からわずかな角度をもって方向付けられている。具体的には、第1ブレード241は、直角軸251と第1角度250を形成し、第2ブレード242は、直角軸251と第2角度252を形成する。ある実施形態において、第1角度250および第2角度252は、どちらも約15度である。ブレードにこのように角度をもたせることで、展開時に第1ブレード241および第2ブレード242を隣接する椎骨の略中心に維持することを助けることができる。
【0035】
各ブレードの延伸は、異なる実施形態では変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、ブレードは、インプラントの奥行の0%から100%までの長さ分、外向きに延びることができるであろう。さらに他の実施形態では、合わせたブレード高さが、インプラントの奥行の100%から130%の長さ分、外向きに延びることができるであろう。
【0036】
図6図7に示す例示的な実施形態では、第1ブレード241および第2ブレード242は合わせて、インプラント100の奥行の110%に等しい量の分、インプラント100から外向きに延びることができる。これは、ブレードがボディ200の2本の頑丈な平行軌道によって、またブレード移動部材260の傾斜付きクロスチャンネルによって案内され、したがって、6本の運動軸全部を制限することによって案内されるため、ブレードをインプラント100内に完全に後退させたままの状態にしておきながら行うことができる。他の実施形態では、展開時の合わせたブレード高さを100%未満にすることができるであろう。ある実施形態では、隣接する椎体を砕くリスクを減じるために、合わせたブレード高さが10mm未満になるようにインプラントを設計することができるであろう。
【0037】
ブレードおよびブレード移動部材
図8は、第1ブレード241の模式的な等角図である。第1ブレード241または単にブレード241は、外縁400と、内縁402と、第1外側縁404と、第2外側縁406とを含む。これらの縁は、遠位面408(すなわち、遠位方向に向けられる面)と近位面410(すなわち、近位方向に向けられる面)とをつなぎ合わせる。
【0038】
異なる実施形態では、ブレードの幾何学形状は変えることができる。いくつかの実施形態では、ブレードは、ブレードの遠位面および近位面がそれぞれ共通の平面に平行になるように、実質的に扁平な幾何学形状を有することができる。他の実施形態では、ブレードは、1つまたは複数の屈曲部を備えて構成することができる。いくつかの実施形態では、ブレードは、チャンネル状の幾何学形状(例、「C字形」または「S字形」)を有することができる。
【0039】
図8に示す実施形態では、ブレード241は、フランジを備えるU字形の幾何学形状を有する。特に、ブレード241は、第1チャンネル部420、第2チャンネル部422および第3チャンネル部424を有する。ここでは、第1チャンネル部420は、第1屈曲部430で第2チャンネル部422に対して角度をなしている。同様に、第3チャンネル部424は、第2屈曲部432で第2チャンネル部422に対して角度をなしている。さらに、ブレード241は、第3屈曲部434で第1チャンネル部420から延びている第1フランジ440を含む。ブレード241は、第4屈曲部436で第3チャンネル部424から延びている第2フランジ442も含む。ブレード241のこの幾何学形状は、同様なサイズおよび厚さの他の扁平なブレードと比べて、ブレード241に最適な強度を提供することを助け、より大きな移植片の容量を許容する。
【0040】
例示的な実施形態において、外縁400は、隣接する椎体内に埋め込まれるように構成されている挿通縁である。挿通を最大化するために、外縁400は、外縁400に隣接する傾斜面409をブレード241が有するように先鋭化してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第1外側縁404および第2外側縁406を外縁400と同様に先鋭化させて、強度および挿通の改善を助けるために外縁400の延長部として作用するようにしてもよい。
【0041】
ブレードは、ブレード移動部材と連結するための手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、ブレードは突出部を含むことができる。いくつかの実施形態では、突出部は、ブレードの面から離れて延びることができ、ブレード移動部材のチャンネル内に嵌入してもよい。
【0042】
図8を参照すると、ブレード241は、近位面410から延びている突出部450を含む。突出部450は、ブレード移動部材260のチャンネル(すなわち、図9に示す第1チャンネル350)内に大略的に嵌入するようなサイズおよび形状にしてもよい。特に、断面形状がブレード移動部材260のチャンネル内に嵌入してもよい。ある場合には、突出部450の断面幅を近位部452と遠位部454との間で大きくして、以下詳細に述べるように、突出部450がチャンネル内に噛み合うようにされてもよい。
【0043】
突出部は、ブレード移動部材の傾斜付きチャンネルと嵌まり合うように、ブレードに角度をもって方向付けられてもよい。図9の実施形態では、突出部450は、突出部450が第1チャンネル350内に挿入されたときにブレード241がインプラント100内で垂直に方向付けられるように、内縁402に対して角度をなしていてもよい。すなわち、突出部450の最長寸法が内縁402と角度459を形成していてもよい。
【0044】
上記説明は、第1ブレード241に関するものであるが、第2ブレード242にも同様な原理が適用されることは認識されよう。特に、いくつかの実施形態では、第2ブレード242は、第1ブレード241と実質的に同一の幾何学形状を有してもよい。
【0045】
図9は、ブレード移動部材260の一実施形態の模式的な側面図である。ブレード移動部材260の等角図も図10に示す。図9および図10を参照して、ブレード移動部材260は、従動軸部320およびブレード係合部322を含んでもよい。従動軸部320は、従動端262をさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、従動端262は、1つまたは複数の係合機能を含むことができる。たとえば、図10でもっともよく分かるように、従動端262は、ねじ切り開口267を含むことができる。いくつかの実施形態では、ねじ切り開口267は、対応するねじ切り先端をもつツールを受け止めてもよい。この構成を用いると、従動端262は、ブレード移動部材260を嵌め込み、1組のブレード240を隣接する椎骨に打ち込むために使用されるツールの先端と一時的に嵌め合わせることができる。このことは、嵌め込み中に打ち込みツールおよび従動端262を整列された状態にしておき、打ち込みツールが従動端262に対して滑る傾向を減じることを助けるだろう。嵌合機能を使用することは、従動端262がより容易にインプラント100から遠位に「引っ張られる」ことも許容し、万が一インプラント100を取り出すかまたはブレードを位置付けし直す必要がある場合に、ブレード240を後退させるために使用することができる。
【0047】
ブレード係合部322は、上側表面330と、下側表面332と、第1側面334と、第2側面336とを備えてもよい。ここで、第1側面334は前側でもよく、第2側面336は後側でもよい。しかし、他の実施形態では、第1側面334を後側とすることができ、第2側面336を前側にすることができるであろう。
【0048】
ブレード移動部材は、1枚または複数枚のブレードと連結するための手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、ブレード移動部材は、1つまたは複数のチャンネルを含むことができる。
【0049】
図9の例示的な実施形態では、ブレード係合部322は、第1チャンネル350および第2チャンネル352(図9では仮想線で示す)を含む。第1チャンネル350はブレード移動部材260の第1側面334に配設されてもよいのに対し、第2チャンネル352はブレード移動部材260の第2側面336に配設されてもよい。
【0050】
各チャンネルは、ブレード係合部322の上側表面330と下側表面332との間に角度をもって延びていることが分かる。たとえば、図9でもっともよく分かるように、第1チャンネル350は、上側表面330に沿って開いている第1端部354と、下側表面332に沿って開いている第2端部356とを有する。さらに、第1端部354は、第2端部356よりも従動軸部320の近くに配設されている。同様に、第2チャンネル352は、上側表面330と下側表面332とに相対する端部を含むが、この場合は、上側表面330に配設されている端部が、下側表面332に配設されている端部よりも従動軸部320から遠くに配設されている。
【0051】
異なる実施形態では、各チャンネルの角度は、多様なインプラントのサイズに対して適切なブレード延長部を提供するように選択することができるであろう。本明細書において用いられる場合、チャンネルの角度とは、チャンネルとブレード移動部材の横断面との間に形成される角度と定義される。
【0052】
図9の実施形態では、第1チャンネル350は、ブレード移動部材260の横断面370と第1角度372を形成するのに対し、第2チャンネル352は、横断面370と第2角度374を形成する。例示的な実施形態において、ブレードが展開されたときに釣り合いのとれた反力を提供するために、第1角度372と第2角度374とは等しい。ブレードおよびブレード移動部材をこのように構成することにより、各ブレードは、ブレード移動部材の中心線(例、横断面370)を中心に展開され、ブレード展開中にこれらの部品間の摩擦および結束負荷を最小化することを助ける。さらに、この構成は、挿入力および摩擦を軽減するために釣り合いのとれた反力を提供することを助ける。
【0053】
異なる実施形態において、各チャンネルの角度は変えることができる。いくつかの実施形態では、チャンネルは、15度から75度までの任意の角度で方向付けることができる。他の実施形態では、チャンネルは、35度から65度までの任意の角度で方向付けることができる。さらに、いくつかの実施形態では、チャンネルの角度が、対応するブレードの突出部の角度を決定してもよい。たとえば、突出部450とブレード241の内縁402との間に形成される角度459(図8を参照)は、第1チャンネル350と横断面370との間に形成される角度372と略等しくてもよい。これによりブレード241の外挿通縁が水平に保たれるので、挿通の程度は、ブレードの異なるセクションで変わることがない。
【0054】
図10で分かるように、各チャンネルは、ブレードの対応する部分との連結または嵌合を容易にする断面形状を有する。一実施例として、チャンネル350は、第1側面334に開口幅390の開口355を有する。開口355の近位の場所357で、チャンネル350は、開口幅390よりも大きい幅392を有する。これにより、第1ブレード241の対応する部分との滑り接合を許容するチャンネル350の断面形状が提供される。例示的な実施形態では、第1チャンネル350および第2チャンネル352は、蟻継ぎ断面形状で構成される。しかし、他の実施形態では、対応する形状にされた部分と同様な滑り接合接続を容易にするであろう、他の種々の断面形状を使用することができるであろう。すなわち、他の実施形態では、ブレードおよびブレード移動部材がなんらかの種類の対応する嵌合面を含む場合、ブレードおよびブレード移動部材の任意の幾何学形状を使用することができるであろう。
【0055】
いくつかの実施形態では、ブレード係合部322は、上側表面および下側表面で輪郭削りされて、陥没に耐えるとともに、ブレード展開幅を最大にさせるようにしてもよい。この幾何学形状は、ブレード係合部322を椎体終板間の中心に保つことも助けるだろう。一実施例として、本実施形態の上側表面330および下側表面332の輪郭削りは、図10の拡大断面図でもっともよく分かる。
【0056】
図10図11は、それぞれ、ブレード移動部材260および1組のブレード240の模式的な分解等角図および模式図を示す。図10図11を参照すると、第1ブレード241の突出部450は第1チャンネル350に嵌入する。同様に、第2ブレード242の突出部455は第2チャンネル352に嵌入する。
【0057】
各チャンネルは、第1チャンネル方向と、反対の第2チャンネル方向とに関連付けられていてもよい。たとえば、図9でもっともよく分かるように、第1チャンネル350は、第1チャンネル350の長さに沿って上側表面330の方に向く、第1チャンネル方向460と関連付けられていてもよい。同様に、第1チャンネル350は、第1チャンネル350の長さに沿って下側表面332の方を向く、第2チャンネル方向462を含む。
【0058】
第1ブレード241の第1突出部450を第1チャンネル350に配設すると、第1突出部450は、第1チャンネル方向460または第2チャンネル方向462に摺動することができる。第1突出部450が第1チャンネル方向460に摺動すると、第1ブレード241がインプラント100の上側側部で外向きに延びるように、第1ブレード241がブレード移動部材260に対して垂直に移動する(図6図7を参照)。第1突出部450が第2チャンネル方向462に摺動すると、第1ブレード241がインプラント100の外部構造201内に後退するように、第1ブレード241がブレード移動部材260に対して垂直に移動する(図4図5を参照)。同様に、第2ブレード242が下側側部でインプラント100から延びたり後退したりできるように、第2ブレード242の第2突出部455は、第2チャンネル352の第1および第2のチャンネル方向に摺動してもよい(図4図7を参照)。この構成を使用して、ブレード移動部材260は、両方のブレードを反対方向に推進させ、それによって反応荷重を釣り合わせるとともに、ガイドバーにかかる片持ち荷重および摩擦を最小限にする。
【0059】
図11の断面に示されるように、各ブレードとブレード移動部材260の各チャンネルとの嵌め合いは、対応するチャンネル方向に直交する方向の動きに抵抗するように構成してもよい。たとえば、第1突出部450を第1チャンネル350内に挿入すると、第1ブレード241は、第1チャンネル方向460または第2チャンネル方向462に沿って並進することができるが、第1チャンネル方向460および第2チャンネル方向462に垂直な方向465に移動することはできない(すなわち、ブレード241は、第1チャンネル350の長さに垂直な方向に並進することはできない)。具体的には、前述したように、第1チャンネル350および第1突出部450の対応する断面形状は、第1突出部450がブレード移動部材260の第1側面334にある第1チャンネル350の開口を通り抜けることはできない。
【0060】
いくつかの実施形態では、各突出部は、対応するチャンネルと滑り蟻継ぎ接続または接合を形成する。ブレード移動部材の蟻継ぎ軌道と後方ブレードおよび前方ブレードの対応する蟻継ぎ機能とを使用すると、ブレードの嵌め込みおよび後退中に受ける荷重による離脱を防ぎながら、傾斜角に沿った軸方向の移動が可能になる。
【0061】
たとえば、図11では、第1突出部450は、第1チャンネル350と滑り蟻継ぎ接合を形成する。当然ながら、実施形態は、蟻継ぎ接合に制限されるわけではなく、チャンネルの開口がブレードの突出部のもっとも幅広の部分よりも小さい、他の嵌め合い/接合も使用することができるであろう。
【0062】
他の実施形態では、ブレードとブレード移動部材との間の相互接続部分の幾何学形状を反転させることができるであろう。たとえば、別の実施形態では、ブレードは、1つまたは複数のチャンネルを備えることができ、ブレード移動部材は、チャンネルに嵌合するための対応する突起部を含むことができるであろう。このような実施形態では、ブレード移動部材の突起部およびブレードのチャンネルの両方が、対応する蟻継ぎの幾何学形状を有することができるであろう。
【0063】
ボディおよびキャップ
図12は、ボディ200の模式図を示す。ボディ200は、外部構造201の後方側部および前方側部、ならびに外部構造201の少なくとも1つの外側側部を提供してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、ボディの後方側部および前方側部はともに、トラス状または格子状の幾何学形状を有してもよい。他の実施形態では、後方側部および/または前方側部は、1つまたは複数の開口を備える中実の壁として構成することができる。図12に示す例示的な実施形態では、ボディ200の後方側部112および前方側部110は、斜め向きのサポート500から構成されるトラス状幾何学形状を有する。特定のパターンのサポートを図12に図示しているが、他の実施形態は、任意のトラス状および/または格子状パターンを含め、任意の他のパターンで配置されるサポートを有することができるであろう。
【0065】
図12の実施形態について示されるサポート500の構成は、製造プロセスを容易にするだろう。特に、この構成は、斜めサポート500を造形方向に対して45度を超えて方向付けることによって、最小限のサポート構造でのレーザーまたは電子ビームによる3D印刷を可能にする。
【0066】
図12の実施形態は、サポート間に開口を備えるトラス構造を採用しているが、他の実施形態は、サポート間の開口のいくつかを埋めるための材料からなる薄い壁を含むことができるであろう。開口トラス設計および/または薄い壁を備えるトラス設計を採用することは、インプラントのすべての試験要件および臨床負荷に耐えられるだけの構造的な支持および剛性をなおも提供しながら、X線透視撮影による隣接した骨構造の視認性を改善することを助けるだろう。
【0067】
他の実施形態では、ボディは、トラス状または格子状の幾何学形状を有していなくてもよい。たとえば、ボディ550の代替設計を図15に示す。図15で分かるように、ボディ550は、ある点においてはボディ200と同様であってもよい。しかし、トラス状の幾何学形状を有するのではなく、ボディ550は、前方側部および後方側部の両方に楕円形の開口552を備える中実幾何学形状を採用している。図面に図示していない他の実施形態は、前方側部、後方側部または外側側部の、その他は中実な幾何学形状に、円形または矩形の開口を含む。
【0068】
実施形態は、1つまたは複数のブレード保持部も含むことができる。ブレード保持部は、ブレードの1つまたは複数の縁および/または面を含め、ブレードの任意の部分を受け入れてもよい。ある実施形態において、ボディは、各ブレードの外側縁を受け入れるブレード保持部を含む。
【0069】
図12で分かるように、ボディ200は、後方側部112に第1ブレード保持部600および第2ブレード保持部602を含む。第1ブレード保持部600は、ボディ200の奥行にわたって延びて、第1ブレード241の第1外側縁404を受け入れる第1ブレード保持チャンネルから構成される(図8を参照)。同様に、第2ブレード保持部602は、ボディ200の奥行にわたって延びて、第1ブレード241の第2外側縁406を受け入れる第2ブレード保持チャンネルから構成される(図8を参照)。ボディ200は、第2ブレード242の外側縁を受け入れるための第3ブレード保持部604および第4ブレード保持部606も含む。この構成は、ブレードの外側縁が並進の軌道の役割を果たすため、インプラント内で利用できる骨移植片の容量を最大化することを助ける。具体的には、これにより、インプラントにおいて追加の容量を占めることになる、ブレード上の追加の軌道部材の必要性を抑制する。さらに、保持チャンネルおよび関連付けられているブレードの縁の配置は、後退位置における保持チャンネルの容量のほとんどがブレードの縁によって埋められることになるので、移植片材料またはBGPMが保持チャンネルに侵入したり正常なブレードの移動を阻止したりすることを防ぐのに役立つ。
【0070】
図13および図14は、それぞれ、キャップ220の遠位側部および近位側部の等角図を示す。図13図14を参照すると、キャップ220は、インプラント100の異なる部分に係合するための1つまたは複数の開口を含む。たとえば、キャップ220は、ピン291およびピン292をそれぞれ受け入れるように構成されている第1ピンホール227および第2ピンホール228を含んでもよい(図3を参照)。さらに、キャップ220の第1ピンホール227および第2ピンホール228(図13および図14に図示)は、ボディの対応する穴に整列させてもよい。
【0071】
前述したように、キャップ220は、止めねじまたは他の留め具を受け入れるための開口224を含んでもよい。さらに、キャップ220は、ブレード移動部材260の一部を受け入れるガイド開口222を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガイド開口222は、ブレード移動部材の従動部の断面形状と一致する形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、ガイド開口222およびブレード移動部材260の従動軸部320はともに、矩形の断面形状を有する。この構成は、軸方向の動きを許容するであろうが、図13図14に例示するようにブレード嵌め込み中に生じる可能性のある回転荷重および傾斜荷重を抑制する。
【0072】
いくつかの実施形態では、キャップ220は、挿入具の装着点を含んでもよい。たとえば、図13図14で分かるように、キャップ220は、脊柱の椎骨間に挿入する(または、脊柱の椎骨間から取り出す)間、ツールによるインプラント100のグリップを改善するために挿入ツールの端部を受け入れてもよい第1空洞580および第2空洞582を含んでもよい。
【0073】
図14で分かるように、いくつかの実施形態では、キャップ220は、ボディ200の一部を受け入れるための空洞570も含んでもよい。具体的には、空洞570は、ボディ200の取付用端部576(図12を参照)を受け入れてもよく、該取付用端部576は、図12に図示するピン受け入れ開口578を含むので、第2ピン292が図2に示す組み立てられた未展開状態で挿入されたら、取付用端部576を空洞570内に保持することができる。
【0074】
3点装着
図16は、ブレードとインプラント100の他の構成要素との間の装着部が見える、インプラント100の模式的な上面図である。図17は、第1ブレード241とブレード移動部材260の一部とを含むインプラント100の領域650の模式的な拡大図であり、いくつかの装着点が明確に見える。
【0075】
図16図17を参照すると、インプラント100は、第1ブレード241および第2ブレード242のそれぞれについて、3点装着構成を採用している。具体的には、各ブレードは、2つのブレード保持部によってその外側縁に沿って受け入れられ、前述した蟻継ぎ接続を使用してブレード移動部材260にも連結している。
【0076】
図16で分かるように、第1ブレード241の第1外側縁404は、第1ブレード保持部600の第1ブレード保持チャンネル内に受け入れられている。第1ブレード241の第2外側縁406は、第2ブレード保持部602の第2保持チャンネル内に受け入れられている。さらに、第1ブレード241の遠位面408は、インプラント100の他の要素に未装着のままである。第1ブレード241が遠位面408に沿って未装着なだけでなく、第1外側縁404と第2外側縁406との間の遠位面408全体が、インプラント100の他のすべての要素から離間している(すなわち、接触していない)。また、第2ブレード242も同様に、その外側縁で、対応するブレード保持部に装着されて、滑り蟻継ぎ接続を使用してブレード移動部材260にも連結している。このように、第1ブレード241および第2ブレード242は、嵌め込み中に第1ブレード241および第2ブレード242にかかる望ましくない摩擦を抑制する可能性のある3点装着構成を使用して、インプラント100に保持される。各ブレードと各ブレード保持チャンネルとの嵌め合いは、保持チャンネルに沿ったブレードの並進を許容するのに十分な隙間を提供することは認識されよう。すなわち、保持チャンネルの中での外側縁の動きを妨げるような、きつすぎる嵌め合いはなされないだろう。
【0077】
異なる実施形態では、1つまたは複数のブレード保持部のチャンネルの断面幾何学形状を変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、断面幾何学形状は円形にすることができるであろう。図17に示す実施形態では、ブレード保持部600は、矩形のブレード保持チャンネル620を有するように見える。ブレードの軌道またはチャンネルのこの矩形の幾何学形状および許容誤差は、作動傾斜路の角度変動から動かなくなることなく、正確な軸方向の移動を許容する。同様に、図16図17の実施形態の残りのブレード保持部も、同様の矩形形状を有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、骨移植片材料がブレードの自由な展開を制限しないようにブレードが後退している間、各ブレードの外側縁は、各ブレード保持部の軌道またはチャンネルに留まっていてもよい。
【0079】
滑り接続
蟻継ぎ滑り接合などの互いに噛み合う接合を使用してブレードとブレード移動部材とを接続することは、嵌め込み中にブレードがブレード移動部材から外れるのを防ぐことを助ける。さらに、互いに噛み合う接合を用いて、ブレード移動部材を、ブレードを後退させるために使用することができる。
【0080】
図18図21は、嵌め込みシーケンス中(図18図20)およびブレードの後退ステップ中(図21)の、インプラント100のいくつかの模式図を示す。図18図21では、インプラント100の外部構造201は仮想線で示して、ブレード移動部材260、第1ブレード241および第2ブレード242をよりよく見せるようにしている。また、図18図21はそれぞれ、ブレード移動部材260、第1ブレード241および第2ブレードの断面の拡大切り欠き図を含み、これらの部品間の作動中の連結をよりよく示している。
【0081】
図18では、インプラント100は挿入位置にあり、第1ブレード241および第2ブレード242は外部構造201内に完全に後退している。次に、図19で分かるように、ブレード移動部材260の従動端262に嵌め込み力700が加えられる。ブレード移動部材260がインプラント100の第2外側側部116の方に並進すると、ブレード移動部材260は、第1チャンネル350および第2チャンネル352に沿って、それぞれ、第1ブレード241および第2ブレード242に力を加える。具体的には、第1チャンネル350の向きは、第1ブレード241がインプラント100の上側側部の方に押しやられるようになっている。同様に、第2チャンネル352の向きは、第2ブレード242がインプラント100の下側側部の方に押しやられるようになっている。さらに、突出部450と第1チャンネル350との間(および第2突出部455と第2チャンネル352との間)の互いに噛み合う接続は、どちらのブレードも常にブレード移動部材260の動きに連結されたままであることを意味する。両方のブレードが長手方向(すなわち、ブレード移動部材260の動きの方向)の移動を制限されるため、その結果生じる各ブレードの動きは、純粋に垂直である。また、各ブレードに蟻継ぎ形の突出部を使用することは、突出部がともに中心線で盛り上がって、これらの可動部の動きまたは結束に対する(摩擦)抵抗を増大させるおそれのあるコッキング力または回転モーメントを抑制することを意味する。
【0082】
この構成を使用すると、ブレードを展開する力は、従動軸部320とキャップ220の開口222(図3を参照)との摩擦および結束を最小化するために、ブレード移動部材260を通して釣り合いが取られ、これが、ブレード移動部材260を案内してその動きを長手軸に平行な方向に制限しておくことを助ける(図2を参照)。
【0083】
図20では、インプラント100は、完全に展開された位置に置かれ、第1ブレード241および第2ブレード242はともに、インプラント100から完全に延びている。拡大切り欠き図で分かるように、第1ブレード241および第2ブレード242はいずれも、インプラント100が完全に展開された位置にあるとき、ブレード移動部材260に連結したままである。この連結によって、図21に図示するように、ブレード移動部材260の動きを逆向きにさせて第1ブレード241および第2ブレード242を後退させることができる。
【0084】
図21を参照すると、ブレード移動部材260の従動端262は、図19に示される動きとは反対の方向に引かれてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ねじ切りコネクタを使用して送達ツールを従動端262に連結することができる。そして、送達ツールの先端が後退させられると、駆動端262に後退力または牽引力710が加えられてもよい。ブレード移動部材260(また具体的には、ブレード係合部322)がインプラント100の第1外側側部114の方に引かれると、ブレード移動部材260は、第1チャンネル350および第2チャンネル352に沿って、それぞれ第1ブレード241および第2ブレード242に力を加える。具体的には、第1チャンネル350の向きは、第1ブレード241がインプラント100の下側側部の方に押しやられるようになっている。同様に、第2チャンネル352の向きは、第2ブレード242がインプラント100の上側側部の方に押しやられるようになっている。図示していないが、従動端262に十分な力を加えると、第1ブレード241および第2ブレード242が完全に後退することになるので、インプラント100は、図18に示す挿入位置に戻るだろう。
【0085】
止めねじ
図22図24は、一実施形態による止めねじ280のいくつかの模式図を示す。止めねじ280は、丸いセグメント284と平らなセグメント286とを備えるフランジ付き頭282を含む。止めねじ280は、ねじ切りボディ288と回転制限溝289とをさらに含む。
【0086】
回転制限溝289は、第1溝端293および第2溝端295を含んでもよい(図23を参照)。図22図24で分かるように、回転制限溝289は、ねじ切りボディ288の円周の1周分よりも短く延びていてもよい。
【0087】
図25図26は、インプラントの模式図を示し、等角図およびインプラント100の横断面付近での拡大断面図を含む。図25は、止めねじ280が「アンロック」回転位置にあるインプラント100の模式図である。このアンロック回転位置で、止めねじ280は、平らなセグメント286が開口222の隣接する縁に整列するように回転し、それによって、ブレード移動部材260の従動軸部320が抵抗なく開口222を通り抜けることができる。
【0088】
図26は、止めねじ280が「ロック」回転位置にあるインプラント100の模式図である。このロック回転位置で、止めねじ280は、丸いセグメント284が開口222を越えて延び、ブレード移動部材260の従動端262が開口222を通り抜けることをブロックするように回転する。従動端262が開口222に完全に押し通されて、止めねじ280の近くに位置付けられると、止めねじ280は、ロック回転位置にしか位置付けることができないことは認識されよう。
【0089】
図26で分かるように、ピン291を止めねじ280の回転制限溝289(図22図24を参照)の中に配設してもよい。また、回転制限溝289は、止めねじがロック位置とアンロック位置との間で回転できるが、インプラント100から完全に抜け出る点までは回転できないようなサイズおよび寸法にしてもよい。たとえば、ピン291が回転制限溝289に係合している状態では、止めねじ280は、ピン291が第1溝端293に当てて配設される第1回転位置と、ピン291が第2溝端295に当てて配設される第2回転位置との間でしか回転しなくてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、ブレード移動部材(たとえば、ブレード移動部材260)は、隣接する椎体を支持するように機能してもよい。これは、外部支持構造の高さと同様な高さのブレード移動部材を使用して、ブレード移動部材の上側表面および下側表面が埋め込み後に椎体に接触してもよいように行うことができる。ブレード移動部材は、インプラント内の荷重支持構造として機能するので、これにより、本来であれば追加の支持構造によって占められるインプラントの追加スペースが空き、それによって骨移植片またはBGPMに利用できる内部容量が増す。
【0091】
インプラントの寸法
異なる実施形態では、インプラントのサイズを変えることができるであろう。いくつかの実施形態では、インプラントは、任意の長さを有することができるであろう。実施形態は、40mmから60mmまでの範囲の長さを有することができるであろう。ある場合には、製造者は、40mmから60mmの間で5mm刻みで長さを変えられる複数のインプラントの選択肢を提供することができるであろう。いくつかの実施形態では、インプラントは、任意の高さを有することができるであろう。実施形態は、8mmから16mmまでの範囲の高さを有することができるであろう。ある場合には、製造者は、8mmから16mmまで2mm刻みで高さを変えられるインプラントを提供することができるであろう。実施形態は、18mm、22mm、26mmおよび他のサイズの幅(すなわち、前後軸)を有することができるであろう。
【0092】
実施形態は、種々の脊柱前湾角、すなわち、後方側部と前方側部との間に傾斜角を設けて構成することもできる。実施形態は、たとえば、8度、15度および20度の脊柱前湾角を設けて構成することができるであろう。他の実施形態では、他の脊柱前湾角をインプラントに使用することができるであろう。
【0093】
整列機能
実施形態は、任意選択的に、1つまたは複数の整列機能を含んでもよい。例示的な整列機能は、透視撮影の位置付け用の窓、ブレード展開の検証用の窓、ブレード移動部材を1枚または複数枚のブレードと整列させるための窓、および種々の他の種類の整列機能を含むが、これだけに限定されない。図2を参照すると、インプラント100のボディ200は中央整列窓209を含む。さらに、ブレード241は整列窓297を含む。整列窓297は、ブレード241が完全に後退したときに、中央整列窓209と整列してもよい。さらに、ブレード移動部材260は、第1整列窓277および第2整列窓279を含む。窓277および窓279は、ブレード241およびブレード242が完全に展開されて後退したときに、インプラントボディの中心線に整列してもよい。これらの窓(すなわち、中央整列窓209、第1整列窓277および/または第2整列窓279)のうちの1つまたは複数は、透視撮影の位置付けを容易にしてもよく、ブレードの展開を確認するために使用されてもよい。たとえば、ある場合には、第1ブレード241および第2ブレード242が完全に展開されるとき、ブレードは、ブレード移動部材260の第1整列窓277を通り越してもよい。
【0094】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数のストローク制限ストッパも含んでもよい。たとえば、図2に図示するインプラント100の実施形態は、ブレード移動部材260上に第1ストローク制限ストッパ283および第2ストローク制限ストッパ287を含む。これらのストッパは、ブレード移動部材260の行き過ぎを防ぐことを助けるだろう。具体的には、ストッパ283およびストッパ287は、ボディ200の内面に接触してもよい。
【0095】
材料
インプラントの種々の構成要素は、特定の用途および/または医師による選択に応じて、金属(たとえば、チタン、チタン合金、ステンレススチール、コバルトクロム、または他の金属)、合成ポリマー(たとえば、PEEKまたはPEKK)、セラミック、および/またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、人体に埋め込むのに好適な生体適合性材料から製造されてもよい。
【0096】
一般に、インプラントは、十分な強度を有する、任意の好適な生体適合性の、非分解性の材料から形成することができる。典型的な材料としては、限定はされないが、チタン、生体適合性チタン合金(たとえば、チタンアルミナイド(γチタンアルミナイドを含む)、Ti-Al-V ELI(ASTM F 136およびASTM F 3001)、またはTi-Al-V(ASTM F 1108、ASTM F 1472、およびASTM F 2989)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の不活性の生体適合性ポリマー(たとえば、PEEK-OPTIMA(登録商標)、Invibio Inc、Zeniva(登録商標)、Solvay Inc.など)が挙げられる。任意選択的に、インプラントは、X線透過性生体材料から構成される場合、画像化中の可視化を容易にするためにX線不透過性マーカーを含む。
【0097】
異なる実施形態では、インプラントを作製するプロセスは変えることができる。いくつかの実施形態では、インプラント全体は、従来の機械加工およびCNCマシニング、射出成形、鋳造または射出成形、インサート成形、共押出、引き抜き成型、トランスファー成形、オーバーモールド、圧縮成形、三次元(3D)プリンティング、浸漬被覆、スプレー被覆、粉末被覆、多孔性被覆、中実の原材料からの粉砕、およびそれらの組み合わせによって製造して組み立ててもよい。
【0098】
ある実施形態では、ボディ200は、Ti-6Al-4V ELI粉末を使用した直接金属レーザー焼結(DMLS)で製作した後、特別な場所で精密な寸法まで従来の機械加工またはCNCマシニングしてもよい。また、ある実施形態では、ブレード移動部材260、第1ブレード241、第2ブレード242、キャップ220、ピン290および止めねじ280は、チタン含有材料からも作ってもよい。
【0099】
埋め込み
いくつかの実施形態は、骨移植片または骨移植片代用品材料を含め、骨成長促進材料を使用してもよい。本明細書で用いられる場合、「骨成長促進材料」(BGPM)とは、骨の成長を助ける任意の材料である。骨成長促進材料は、リンカー分子またはバインダの使用により表面に凍結乾燥されるかまたは金属に付着される手段を含んでもよい。骨成長促進材料の例は、BMP-1、BMP-2、BMP-4、BMP-6およびBMP-7等の骨形成タンパク質(BMP)を含む、任意の材料である。これらは、幹細胞を骨形成細胞に変換するホルモンである。別の例には、rhBMP-2、rhBMP-4およびrhBMP-7等のリコンビナントヒトBMP(rhBMP)が挙げられる。さらに別の例には、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、コラーゲン、BMP模倣ペプチド、およびRGDペプチドが挙げられる。一般に、これらの化学物質の組み合わせも使用してもよい。これらの化学物質は、スポンジ、基質またはゲルを使用して塗布することができる。
【0100】
また、いくつかの骨成長促進材料は、プラズマスプレーまたは電気化学的手法を使用して埋め込み型プロテーゼに塗布してもよい。これらの材料の例には、限定ではないが、ヒドロキシアパタイト、βリン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、および他の化学物質が挙げられる。
【0101】
骨成長促進材料は、骨移植片または骨移植片代用品を含むことができるか、またはこれらと組み合わせて使用してもよい。種々の材料が、(患者の体の腸骨稜から摘出された)自家移植片、同種移植片、脱灰骨基質、および種々の合成材料を含む骨移植片または骨移植片代用品として働いてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態は、自家移植片を使用してもよい。自家移植片は、脊椎固定に、新たな骨が成長するためのカルシウムコラーゲン足場を提供する(骨伝導能)。さらに、自家移植片は、骨成長細胞、間葉系幹細胞および骨を再生する骨芽細胞を含む。最後に、自家移植片は、患者における新たな骨成長を促進させるために、骨形態形成タンパク質(BMP)を含む骨成長タンパク質を含む。
【0103】
骨移植片代用品は、リン酸カルシウムまたはヒドロキシアパタイト、幹細胞と他の種類の骨移植片代用品のうちの1つとを組み合わせる幹細胞含有生成物、および、Medtronic, Inc.のINFUSE(登録商標)(rhBMP-2含有骨移植片)等の成長因子含有基質を含む合成材料を含んでもよい。
【0104】
ここに挙げる手段は、考えられる骨成長促進材料、骨移植片または骨移植片代用品の網羅的なリストであることを意図しているわけではないことは理解されるべきである。
【0105】
いくつかの実施形態では、BGPMは、インプラントの1つまたは複数の外面に塗布してもよい。他の実施形態では、BGPMは、インプラント内の内部容量に塗布してもよい。さらに他の実施形態では、BGPMは、外面と、インプラント内の内側と、の両方に塗布してもよい。
【0106】
種々の実施形態を説明してきたが、この説明は、制限的ではなく例示的なものであり、当業者には、実施形態の範囲内にあるさらに多くの実施形態および実施態様が可能であることは明らかであろう。考えられる多くの特徴の組み合わせを添付の図面に示し、本詳細な説明で述べているが、開示された特徴の、他の多くの組み合わせが可能である。任意の実施形態の任意の特徴は、特に制限されていない限り、任意の他の実施形態の任意の他の特徴もしくは要素と組み合わせて、またはその代わりに使用してもよい。そのため、本開示において図示および/または説明される特徴のいずれも、任意の適切な組み合わせで一緒に実施してもよいことは理解されるであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に鑑みる以外で制限されてはならない。また、添付の特許請求の範囲内で、種々の修正および変更を行ってもよい。
図1
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