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特許7054703配置された末梢静脈カテーテルを介した流体移送のためのデバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】配置された末梢静脈カテーテルを介した流体移送のためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A61M25/06
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019543922
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2018023575
(87)【国際公開番号】W WO2018175590
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】62/474,202
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515249525
【氏名又は名称】ベラノ バスキュラー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デブゴン,ピッタンバー
(72)【発明者】
【氏名】エアエンライク,ケヴィン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンティ,リチャード ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ファンク,ブライアン ジェイ.
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/136361(WO,A1)
【文献】特表2014-516643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61B 5/15-5/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部分及び遠位端部分を有し、前記近位端部分及び前記遠位端部分を通って延びる管腔を規定するカテーテルと、
近位端部分及び遠位端部分を有するイントロデューサであって、前記カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された内部容積を規定し、前記イントロデューサの遠位端部分が、前記イントロデューサを留置末梢静脈ラインに結合するように構成されたロックを有する、イントロデューサと、
前記イントロデューサに移動可能に結合されたアクチュエータであって、前記イントロデューサの外側に配置された第1部分と、前記イントロデューサの前記内部容積に配置されかつ前記カテーテルの近位端部分に結合された第2部分と、を有し、前記カテーテルが前記イントロデューサ内に配置される第1位置と、前記イントロデューサが前記末梢静脈ラインに結合されたときに前記カテーテルの少なくとも第1部分が前記末梢静脈ライン内に配置されるように前記カテーテルの遠位端部分が前記イントロデューサの遠位端部分を越えて配置される第2位置と、の間で前記カテーテルを移動させるために前記イントロデューサに対して移動させられるように構成された、アクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータの前記第1部分は、(1)前記アクチュエータの前記第2部分によって定められる長手方向軸が、前記イントロデューサによって定められる長手方向軸と非平行になるように、及び、(2)前記アクチュエータの前記第2部分が、前記カテーテルの少なくとも第2部分内の内部応力を増大させる働きをする力を前記カテーテルの近位端部分に及ぼすように、前記イントロデューサの外面と接触した状態に置かれる、
装置。
【請求項2】
前記ロックが、管腔を規定し、
前記ロックの前記管腔によって定められた長手方向軸が、前記イントロデューサの長手方向軸と実質的に平行であり、
前記ロックの前記管腔は、前記カテーテルが前記第1位置と前記第2位置との間で移動させられるときに前記カテーテルの一部を受け入れるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロックが前記末梢静脈ラインに結合されたときに前記末梢静脈ラインの内面と接触した状態に置かれるように構成された外面を、前記ロックが有し、
前記ロックは、管腔を規定する内面を有し、
前記ロックの前記管腔は、前記カテーテルが前記第1位置と前記第2位置との間で移動させられるときに前記カテーテルの一部を受け入れるように構成され、
前記ロックの前記内面は、前記カテーテルが前記第1位置と前記第2位置との間で移動させられるときに前記カテーテルを案内するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記カテーテルの前記近位端部分が、前記カテーテルの前記遠位端部分がアクチュエータに対して遠位にあるように前記アクチュエータの前記第2部分に結合され、
前記アクチュエータの前記第2部分が、第2カテーテルの近位端部分が前記アクチュエータに対して近位にあるように前記第2カテーテルの遠位端部分に結合するように構成され、
前記第2カテーテルが、前記カテーテルによって規定された前記管腔と流体連通する管腔を規定し、
前記第2カテーテルの前記近位端部分が、前記カテーテルの前記管腔を流体リザーバ、流体源又はシリンジの少なくとも1つと流体連通した状態に置くように、前記流体リザーバ、前記流体源又は前記シリンジの少なくとも1つに流体的に結合するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記イントロデューサの前記近位端部分が、開口部を規定し、
前記開口部は、第1サイズを有する第1部分と、前記第1サイズより小さい第2サイズを有する第2部分と、を含み、
前記第2カテーテルの一部が、前記開口部に移動可能に配置され、
前記第2カテーテルは、前記第2カテーテルが前記開口部の前記第1部分内に配置される第1位置と、前記第2カテーテルが前記開口部の前記第2部分内に配置される第2位置と、の間で移動するように構成され、
前記第2カテーテルの前記腔は、前記第2カテーテルが前記第2位置にあるとき、実質的に締め付けられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記カテーテルが、第1剛性を有し、
前記第2カテーテルが、前記第1剛性未満の第2剛性を有し、
前記第2カテーテルが、負圧を設定する流体リザーバ又は負圧を生成するように構成されたシリンジの少なくとも1つに流体的に結合されるように構成され、
前記第2カテーテルの少なくとも一部は、前記負圧に応答して変形して、前記カテーテルの前記管腔がさらされている負圧を低減するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記カテーテルの前記第2部分が、前記アクチュエータの前記第2部分と前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの部分である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カテーテルの前記第2部分が、前記アクチュエータの前記第2部分と前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの部分であり、
前記カテーテルの前記第2部分内の内部応力の増大により、前記カテーテルの前記第2部分の変形がもたらされる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記カテーテルの前記第2部分が、前記アクチュエータの前記第2部分と前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの部分であり、
前記カテーテルの前記第2部分内の内部応力の増大により、前記カテーテルの前記第2部分内の所定の付勢がもたらされ、
前記所定の付勢は、前記カテーテルが前記第1位置から前記第2位置へ移動させられるときに前記カテーテルの前記遠位端部分が妨害物と衝突することに応答して前記カテーテルの前記第2部分の所定の偏向をもたらすように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
近位端部分及び遠位端部分を有し、前記近位端部分及び前記遠位端部分を通って延びる管腔を規定するカテーテルと、
近位端部分及び遠位端部分を有するイントロデューサであって、前記カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された内部容積を規定し、前記イントロデューサの前記遠位端部分は、留置末梢静脈ラインに結合されるように構成されたロックを有し、前記ロックは、前記カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された管腔を規定する、イントロデューサと、
前記カテーテルの近位端部分に結合されたアクチュエータであって、前記カテーテルの前記遠位端部分が前記ロックの前記管腔内に配置される第1位置と、前記カテーテルの前記遠位端部分が前記末梢静脈ラインに対して遠位にあるように前記ロックが前記末梢静脈ラインに結合されたときに前記カテーテルが前記ロックと前記末梢静脈ラインとを通って延びる第2位置と、の間でカテーテルを移動するために前記アクチュエータに及ぼされる第1力に応答して前記イントロデューサに対して移動するように構成された、アクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータは、前記アクチュエータが前記カテーテルを前記第1位置から前記第2位置へ移動するときに前記カテーテルの前記近位端部分に前記第1力と異なる第2力を及ぼすように構成され、
前記第2力は、前記アクチュエータが前記カテーテルを前記第1位置から前記第2位置へ移動するときに前記アクチュエータと前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの部分の偏向をもたらす、
装置。
【請求項11】
前記アクチュエータが、前記イントロデューサの外側に配置された第1部分と、前記イントロデューサ内に配置された第2部分と、を含み、
前記アクチュエータに及ぼされる前記第1力は、前記アクチュエータの前記第1部分に及ぼされ、
前記アクチュエータによって及ぼされる前記第2力は、前記アクチュエータの前記第2部分によって及ぼされる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記アクチュエータの前記第1部分が、前記イントロデューサの外面と接触し、
前記アクチュエータの前記第1部分と前記イントロデューサの前記外面との間の接触は、前記アクチュエータの前記第2部分によって定められる長手方向軸が前記イントロデューサによって定められる長手方向軸に対して非平行であるように前記アクチュエータを前記イントロデューサに対して傾ける、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記アクチュエータの前記第1部分が、前記イントロデューサの外面と接触するように構成されたタブを含み、
前記タブと前記イントロデューサの前記外面との間の接触は、前記アクチュエータを前記イントロデューサに対して傾け、
前記アクチュエータの前記第2部分によって及ぼされる前記第2力は、前記イントロデューサに対する前記アクチュエータの傾きの結果である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記アクチュエータと前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの前記部分の偏向は、第1偏向であり、
前記第1偏向は、前記アクチュエータと前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの前記部分内に所定の付勢をもたらし、
前記所定の付勢は、前記カテーテルが前記第1位置から前記第2位置へ移動させられるときに前記カテーテルの前記遠位端部分が妨害物と衝突することに応答して前記アクチュエータと前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの前記部分の第2偏向をもたらすように構成され、
前記第2偏向は、所定の偏向である、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記カテーテルを前記第1位置と前記第2位置との間で移動するように、前記第1力の少なくとも一部が前記アクチュエータに及ぼされ、
前記アクチュエータと前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの前記部分の前記偏向が、第1偏向であり、
前記第1偏向は、前記アクチュエータと前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの前記部分内の所定の付勢をもたらし、
前記所定の付勢は、前記カテーテルが前記第1位置から前記第2位置へ移動させられるときに前記カテーテルの前記遠位端部分が妨害物と衝突することに応答して前記アクチュエータと前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの前記部分の第2偏向をもたらすように構成され、
前記第2偏向は、所定の偏向である、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記イントロデューサが、前記イントロデューサの前記内部容積内に配置された内部支持部材を含み、
前記アクチュエータと前記ロックとの間に配置された前記カテーテルの前記部分が、前記内部支持部内に配置され、
前記内部支持部材は、前記内部支持部材内に配置された前記カテーテルの前記部分の前記第2偏向を制限するように構成される、請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1001] 本出願は、2017年3月21日に出願され、「配置された末梢静脈カテーテルを介した流体移送のためのデバイス及び方法(Devices and Methods for Fluid Transfer Through a Placed Peripheral Intravenous Catheter)」と題された米国仮特許出願第62/474,202号に付与された優先権及びその利益を主張する。この仮特許出願の開示内容は、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[1000] 本明細書に記載する実施形態は、概して、流体移送医療デバイスに関する。より詳細には、本明細書に記載する実施形態は、配置された末梢静脈カテーテルを介して患者に又は患者から流体を移送するためのデバイス及び方法に関する。
【0003】
[1001] 典型的な入院患者は、医師が臨床検査を指示するたびに針を刺される。採血の標準的な処置は、金属針(「バタフライ針」)を用いて患者の腕又は手の静脈に「刺入する(stick)」ことを含む。採血は、用手的な、労力を必要とするプロセスであり、平均的な患者は、典型的な入院中に何時間もの直接的な熟練の労働を必要とする。この針の刺入は、痛みを伴いかつ患者の不満の主な原因であるだけでなく、看護師又は専門の採血者(フレボトミスト(採血士)(phlebotomist))は、患者のおよそ10%~15%において静脈を見つけることが困難であることが多く、その結果、複数回の痛みを伴う「刺入」が試行される。これにより、材料コスト及び労働コストが著しく高くなり(針及び管は試行毎に廃棄されなければならない)、患者の痛み及び傷が増大する。
【0004】
[1002] 採血に対する現時点でのプロセスは非効率的であり、平均7分間~10分間、10%の患者に対して21分間を超える時間がかかる。これらの10%の患者は、静脈アクセスが困難な(Difficult Intra-Venous Access)患者又はより一般的には「刺入が難しい(tough stick)」患者と呼ばれる。表在静脈が容易に識別できない場合、手首から肘まで腕をマッサージし、人差し指及び中指でその部位を軽くたたき、部位に温かい湿らせたタオルを5分間あてがうことによって、又はベッドサイドで腕を下げて静脈に血がたまるようにすることによって、血液を静脈内に送り込むことができる。これらの方法のそれぞれは、時間がかかり、従ってコストがかかる。
【0005】
[1003] 末梢IVカテーテル(PIV)は、大部分の患者に対して入院している間に挿入され、流体及び薬剤を注入するために使用される。しかしながら、PIVは、採血用には設計されていない。PIVが1日を超えて挿入されたままであった場合、吸引の失敗率は20%~50%に達する。PIVから採取された血液は、溶血する(赤血球の破裂及びそれらの内容物の周囲流体への放出として定義される)ことが多く、その結果、サンプルが廃棄され、採血を繰り返すことが必要になる。
【0006】
[1004] PIVからの採血の欠点の原因となる可能性があるいくつかの障害がある。第1に、大部分のカテーテルは軟質の生体反応性(bio-reactive)ポリマーから形成され、これは、吸引のために負圧がかけられると、カテーテルの潜在的な狭窄又は圧潰をもたらす可能性がある。別の障害は、留置時間が長くなると、カテーテルの先端にかつカテーテル及び/又はPIVの管腔内に蓄積する残骸(例えば、フィブリン/血小板血栓)が増加する可能性がある、ということである。同様に、こうした残骸は、PIVが配置される静脈の管腔を少なくとも部分的に閉塞させる可能性がある。場合により、PIVの周囲のこの残骸(フィブリン/血小板血栓)により、挿入されたPIVの周囲の静脈の部分内の(例えば、上流及び下流両方の)血流が低減することになる可能性があり、それにより、吸引が不適切及び/又は非効率になる。別の障害は、「吸着カップ」効果によるものであり、カテーテルによる吸引によって負圧が生じることと、静脈の経路が湾曲する可能性があることとにより、カテーテルの先端が静脈の壁に付着することになる。負圧が上昇すると、静脈が破れて「静脈を吹き飛ばす(blowing the vein)」結果となる可能性があり、これはフレボトミストにとって、PIVによる吸引中の懸念事項である。
【発明の概要】
【0007】
[1005] 従って、末梢静脈カテーテルによる静脈採血の改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【0008】
[1006] 配置された末梢静脈カテーテルを介して患者との間で流体を移送するためのデバイス及び方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、装置は、カテーテル、イントロデューサ、及びアクチュエータを含む。カテーテルは、近位端部分及び遠位端部分を有し、それらを通る管腔を規定する。イントロデューサは、近位端部分及び遠位端部分を有し、カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された内部容積を規定する。イントロデューサの遠位端部分は、イントロデューサを留置末梢静脈ラインに結合するように構成されたロックを有する。アクチュエータは、イントロデューサに移動可能に結合され、イントロデューサの外側に配置された第1部分と、イントロデューサの内部容積に配置されかつカテーテルの近位端部分に結合された第2部分と、を有する。アクチュエータは、カテーテルがイントロデューサ内に配置される第1位置と、イントロデューサが末梢静脈ラインに結合されたときに、カテーテルの少なくとも第1部分が末梢静脈ライン内に配置されるようにカテーテルの遠位端部分がイントロデューサの遠位端を越えて配置される第2位置との間でカテーテルを移動させるためにイントロデューサに対して移動させられるように構成される。アクチュエータの第1部分は、(1)アクチュエータの第2部分によって定められる長手方向軸が、イントロデューサによって定められる長手方向軸と非平行になるように、及び(2)アクチュエータの第2部分が、カテーテルの少なくとも第2部分内の内部応力を増大させる働きをする力をカテーテルの近位端部分に及ぼすように、イントロデューサの外面と接触した状態に置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[1007]ある実施形態によるそれぞれ第1及び第2構成にある流体移送デバイスの概略図である。
図2】[1007]ある実施形態によるそれぞれ第1及び第2構成にある流体移送デバイスの概略図である。
図3】[1008]ある実施形態による第1構成にある流体移送デバイスの斜視図である。
図4】[1009]図3に示す流体移送デバイスの上面図である。
図5】[1010]図3に示す流体移送デバイスの分解図である。
図6】[1011]図3の流体移送デバイスに含まれるイントロデューサの第1部材の斜視図である。
図7】[1012]図3の流体移送デバイスに含まれるイントロデューサの第2部材の斜視図である。
図8】[1013]図7に示す第2部材の側面図である。
図9】[1014]図8において領域A1によって識別される第2部材の一部分の拡大図である。
図10】[1015]図6に示す第1部材を図7に示す第2部材に結合することによって形成されたイントロデューサの背面斜視図である。
図11】[1016]図10に示すイントロデューサの正面斜視図である。
図12】[1017]図11の線12-12に沿ったイントロデューサの断面図である。
図13】[1018]図3の流体移送デバイスに含まれるロックの背面斜視図である。
図14】[0018]図3の流体移送デバイスに含まれるロックの上面図である。
図15】[1019]図14の線15-15に沿ったロックの断面図である。
図16】[1020]図3の流体移送デバイスに含まれるカテーテル、第2カテーテル及びアクチュエータの組立分解斜視図である。
図17】[1021]図16に示すアクチュエータの斜視図である。
図18】[1021]図16に示すアクチュエータの側面図である。
図19】[1021]図16に示すアクチュエータの正面図である。
図20】[1022]図4において線20-20に沿った流体移送デバイスの断面図である。
図21】[1023]第1構成にある図3の流体移送デバイスの側面図である。
図22】[1024]図3において線22-22に沿った第1構成にある流体移送デバイスの断面図である。
図23】[1025]図22において領域A2によって識別される流体移送デバイスの一部の拡大断面図である。
図24】[1026]図22において領域A3によって識別される流体移送デバイスの一部の拡大断面図である。
図25】[1027]図3の流体移送デバイスの、第1構成から第2構成に移行している際の側面図である。
図26】[1028]図24において領域A4によって識別される流体移送デバイスの一部の拡大図である。
図27】[1029]第2構成にある図3の流体移送デバイスの側面図である。
図28】[1030]図3において線22-22に沿った第2構成にある流体移送デバイスの断面図である。
図29】[1031]図28において領域A5によって識別される流体移送デバイスの一部の拡大断面図である。
図30】[1032]ある実施形態による流体移送デバイスを用いる方法を示すフローチャートである。
図31】[1033]ある実施形態による流体移送デバイスの断面側面図である。
図32】[1034]領域A6によって図31に示される流体移送デバイスの一部の拡大された断面側面図である。
図33】[1035]第2構成にある図31の流体移送デバイスの断面側面図である。
図34】[1036]第2構成にある図31の流体移送デバイスの断面正面図である。
図35】[1037]ある実施形態による流体移送デバイスの側面図である。
図36】[1038]標的表面に対して所定の角度で配置された図35の流体移送デバイスの側面図である。
図37】[1039]それぞれ異なる実施形態による流体移送デバイス及び支持部材の側面図である。
図38】[1039]それぞれ異なる実施形態による流体移送デバイス及び支持部材の側面図である。
図39】[1040]ある実施形態による流体移送デバイス及び支持部材の正面図である。
図40】[1041]図39の支持部材の斜視図である。
図41】[1042]ある実施形態による流体移送デバイス及び支持部材の正面図である。
図42】[1043]ある実施形態による流体移送デバイス及び内部支持部材の断面側面図である。
図43】[1044]図42に示す流体移送デバイスの内部支持部材及びアクチュエータの斜視図である。
図44】[1045]それぞれ異なる実施形態による流体移送デバイス及び内部支持部材の断面側面図である。
図45】[1045]それぞれ異なる実施形態による流体移送デバイス及び内部支持部材の断面側面図である。
図46】[1046]ある実施形態による流体移送デバイスを使用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1047] いくつかの実施形態では、装置は、カテーテル、イントロデューサ、及びアクチュエータを含む。カテーテルは、近位端部分と遠位端部分を有し、それらを通る管腔を規定する。イントロデューサは、近位端部分及び遠位端部分を有し、カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された内部容積を規定する。イントロデューサの遠位端部分は、イントロデューサを留置末梢静脈ラインに結合するように構成されたロックを有する。アクチュエータは、イントロデューサに移動可能に結合され、イントロデューサの外側に配置された第1部分と、イントロデューサの内部容積に配置されかつカテーテルの近位端部分に結合された第2部分と、を有する。アクチュエータは、カテーテルがイントロデューサ内に配置される第1位置と、イントロデューサが末梢静脈ラインに結合されたときにカテーテルの少なくとも第1部分が末梢静脈ライン内に配置されるようにカテーテルの遠位端部分がイントロデューサの遠位端部分を越えて配置される第2位置との間でカテーテルを移動させるためにイントロデューサに対して移動させられるように構成される。アクチュエータの第1部分は、(1)アクチュエータの第2部分によって定められる長手方向軸が、イントロデューサによって定められる長手方向軸と非平行になるように、及び(2)アクチュエータの第2部分が、カテーテルの少なくとも第2部分内の内部応力を増大させる働きをする力をカテーテルの近位端部分に及ぼすように、イントロデューサの外面と接触する。
【0011】
[1048] いくつかの実施形態において、装置は、カテーテル、イントロデューサ、及びアクチュエータを含む。カテーテルは、近位端部分及び遠位端部分を有し、それらを通る管腔を規定する。イントロデューサは、近位端部分及び遠位端部分を有し、カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された内部容積を規定する。イントロデューサの遠位端部分は、イントロデューサを留置末梢静脈ラインに結合するように構成されたロックを有する。ロックは、カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された管腔を規定する。アクチュエータは、カテーテルの近位端部分に結合され、カテーテルの遠位端部分がロックの内腔内に配置された第1位置と、カテーテルの遠位端部分が末梢静脈ラインに対して遠位であるようにロックが末梢静脈ラインに結合されるとカテーテルがロック及び末梢静脈ラインを通って延びる第2位置との間でカテーテルを移動するためにアクチュエータに及ぼされる第1力に応答してイントロデューサに対して移動するように構成される。アクチュエータは、アクチュエータがカテーテルを第1位置から第2位置に移動するときに、カテーテルの近位端部分に第1力とは異なる第2力を及ぼすように構成される。第2力は、アクチュエータがカテーテルを第1位置から第2位置に移動するとき、アクチュエータとロックとの間に配置されたカテーテルの部分の偏向をもたらす。
【0012】
[1049] いくつかの実施形態では、流体移送デバイスを使用する方法は、流体移送デバイスのロックを留置末梢静脈ラインに結合することを含む。流体移送デバイスは、ロックに結合された遠位端部分を有するイントロデューサと、イントロデューサによって規定された内部容積内に移動可能に配置されたカテーテルと、カテーテルの近位端部分に結合されかつイントロデューサに対して移動させられるように構成されたアクチュエータと、を含む。第1力がアクチュエータに及ぼされ、イントロデューサに対してアクチュエータを移動して、カテーテルを、カテーテルの遠位端部分がロックによって規定された管腔内に配置された第1位置から第2位置に向かって進める。アクチュエータがカテーテルを第1位置から第2位置に向けて進めるとき、第1力とは異なる第2力がカテーテルの近位端部分にアクチュエータによって及ぼされる。アクチュエータとロックとの間に配置されたカテーテルの部分は、カテーテルが第1位置から第2位置に進められるとき、第2力に応じて第1量だけ偏向される。カテーテルのこの部分は、(1)第2力、及び(2)カテーテルが第1位置から第2位置に進められるときにカテーテルの遠位端部分が妨害物に衝突すること、に応答して、第1量よりも大きい第2量だけ偏向される。
【0013】
[1050] いくつかの実施形態において、装置は、カテーテル、イントロデューサ、及びアクチュエータを含む。カテーテルは、近位端部分及び遠位端部分を有する。イントロデューサは、近位端部分及び遠位端部分を有し、末梢静脈ラインに結合されるように構成される。イントロデューサは、カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された内部容積を規定する。アクチュエータは、イントロデューサの外面と接触する第1部分と、内部容積内に配置されかつカテーテルの近位端部分に結合された第2部分とを含む。アクチュエータは、カテーテルがイントロデューサ内に配置される第1位置と、イントロデューサが末梢静脈ラインに結合されるときにカテーテルの少なくとも一部が末梢静脈ライン内に配置されるようにカテーテルの遠位端部分がイントロデューサの遠位端部分を越えて配置される第2位置との間でカテーテルを移動させるように、イントロデューサに対して移動するように構成される。外面とアクチュエータの第1部分との間の接触は、カテーテルが第1位置にあるときにカテーテルが付勢されるようなものである。
【0014】
[1051] 本明細書で用いる際、「カテーテル」及び「カニューレ」という用語は、同義で用いられ、第1場所から第2場所まで体液を移動させるための通路(例えば体液を体外へ移動させるための流体通路)を規定するように構成された要素を述べる。カニューレは、患者の体内の空間にカニューレを送達するためにトロカール、ガイドワイヤ又はイントロデューサを受け入れるように構成することができるが、本明細書で言及するカニューレは、トロカール、ガイドワイヤ又はイントロデューサを含むことも受け入れることも必須ではない。
【0015】
[1052] 本明細書で用いる際、「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という用語は、2ポートIV拡張セットを指すために用いられる。このように、「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という用語は、概して2ポートIV拡張セットの全体的な形状を述べる。例えば、本明細書において用いる際、Yアダプタは、実質的に「Y」字形形状であり、第1端の単一ポート及び第2端の斜めに配置された2つのポートを含む。さらに、「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という用語は、限定するためではなく単に例として含まれるものである。例えば、いくつかの実施形態では、装置は、単一ポートIV拡張セット(例えば、単一ポートアダプタ)又は多ポートIV拡張セット(例えば、3つ以上のポートを有するアダプタ)を含むことができる。
【0016】
[1053] 本明細書で用いる際、「近位」及び「遠位」という用語は、それぞれ、デバイスを患者に接触させて配置するユーザにより近い方向及びユーザから離れる方向を指す。従って、例えば、患者の身体に最初に接触するデバイスの端部は遠位端であり、デバイスの反対側の端部(例えば、ユーザによって操作されているデバイスの端部)はデバイスの近位端である。
【0017】
[1054] 本明細書で用いる際、「剛性(stiffness)」という用語は、加えられた力による偏向、変形及び/又は変位に対する物体の抵抗に関連する。剛性は、物体に加えられた力の量、並びに、その結果としての、物体の第1部分が物体の第2部分に対して偏向、変形及び/又は変位する距離によって特徴付けることができる。物体の剛性を特徴付ける場合、偏向した距離は、力が直接加えられる物体の部分とは異なる物体の部分の偏向として測定することができる。言い換えれば、物体によっては、偏向の箇所は、力が加えられた箇所とは別個である。
【0018】
[1055] 剛性は、記載されている物体の示量的特性であり、従って、物体を形成している材料及びその物体の何らかの物理的特徴(例えば形状及び境界条件)によって決まる。例えば、物体内に、所望の弾性係数、曲げ係数及び/又は硬度を有する材料を選択的に含めることによって、その物体の剛性を増大させるか又は低減させることができる。弾性係数は、構成材料の示強的特性(すなわち構成材料に固有)であり、加えられた力に応じて弾性的に(すなわち非恒久的に)変形する物体の傾向を記述する。等しい応力が加えられている場合、弾性係数が高い材料は弾性係数が低い材料ほど大きく偏向しない。従って、例えば弾性係数が高い材料を物体に導入し、及び/又は、その材料で物体を構成することによって、物体の剛性を増大させることができる。
【0019】
[1056] 同様に、材料の硬度は、構成材料の示強的特性であり、力が加えられた場合にさまざまな種類の恒久的な形状変化に対して材料がいかに耐えるかの尺度を記述する。硬度及び結果としてのカテーテルの剛性に対する影響について考察する際、一般的にショアデュロメータ硬さスケール(Shore durometer scale)が用いられる。デュロメータ硬さにはいくつかのスケールがあるが、プラスチック、ポリマー、エラストマー及び/又はゴムを記述する場合、一般的に2つ、すなわちタイプA及びタイプDが用いられ、タイプAは一般に柔らかい材料に用いられ、タイプDは一般に硬い材料に用いられる。材料のショアデュロメータ硬さは0~100の数字によって表され、この数字が大きいほど材料が硬いことを示し、数字の後にスケールのタイプが示される。例えば、第1材料が、40ショアAのショアデュロメータ硬さを有するものとして測定される場合があり、第2材料が、20ショアDのショアデュロメータ硬さを有するものとして測定される場合がある。従って、ショアデュロメータ硬さスケールによれば、第2材料の方が第1材料よりも硬く、従って、剛性が高い。
【0020】
[1057] 本明細書で使用する際、「クラッチ」及び/又は「クラッチング」という用語は、所定の及び/又は予測可能な方法における、第1構成(例えば「非クラッチ」構成)と第2構成(例えば「クラッチ」構成)との間のカテーテルの移行を指す。具体的には、カテーテルは、「非クラッチ」構成から「クラッチ」構成に移行するときに、屈曲する、曲げられる、湾曲される、変形される、偏向される、移動させられる、圧縮される、及び/又は別の方法で再構成されることができる。いくつかの例では、カテーテルは、カテーテルの遠位端がそのさらなる移動を抑制、制限及び/又は実質的に防止する妨害物、ねじれ、屈曲、弁等に衝突するのに応答して「クラッチする」及び/又は「クラッチされる」ことができる。いくつかの例では、カテーテルのクラッチングは、線形、正弦波、楕円形、曲線、並びに/又は対数偏向及び/若しくは変形の形態、或いは任意の他の形態、或いはオリジナルすなわち「非クラッチ」構成からの偏向及び/又は変形の形態の組み合わせであり得る。いくつかの例では、クラッチ構成へ移行されるときのカテーテルの変形及び/又は偏向(「クラッチング」)の量及び/又は態様は、カテーテルを形成する構成材料の剛性、硬度、及び/又はデュロメータを増加又は減少させることによって、カテーテルの内径及び/又は外径を増加又は減少させることによって、カテーテルの壁厚を増加又は減少させることによって、カテーテルの実質的に支持されていない部分の長さを増加又は減少することによって、カテーテルの可動域及び/又は自由度を増加又は減少することによって、カテーテルに伝達される力の量を増加又は減少することによって、及び/又は他の適切な調整によって、調整することができる。
【0021】
[1058] 図1及び図2は、ある実施形態による、それぞれ第1構成及び第2構成にある、末梢静脈ライン又はカテーテルによる静脈採血用の流体移送デバイス100の概略図である。流体移送デバイス100(本明細書では、「移送デバイス」とも呼ぶ)は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。本明細書においてさらに詳細に記載するように、移送デバイス100は、留置末梢静脈カテーテル(PIV)105に結合し及び/又は他の方法で係合して、流体を患者の一部から移送し(例えば、血液の吸引)及び/又は患者の一部に移送する(例えば、薬物又は物質の注入)ように構成されている。
【0022】
[1059] 移送デバイス100は、少なくとも、イントロデューサ110、カテーテル160(又はカニューレ)及びアクチュエータ170を含む。イントロデューサ110は、任意の好適な構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、イントロデューサ110は、実質的に円形の断面形状を有する細長い部材であり得る。いくつかの実施形態では、イントロデューサ110の形状及び/又はイントロデューサ110の少なくとも外面の1つ又は複数の特徴又は表面仕上げは、移送デバイス100の人間工学的な面を向上させるように配置することができ、それにより、場合により、ユーザが片手で移送デバイス100を操作するのを可能にすることができる(すなわち、片手使用)。
【0023】
[1060] イントロデューサ110は、近位端部分近位端部分111及び遠位端部分112を有し、内部容積113を規定する。図1及び図2には図示しないが、イントロデューサ110の近位端部分111は、カテーテル160の一部を移動可能に受け入れるように構成された開口部又はポートを含むことができる。従って、カテーテル160の第1部分は、内部容積113内に配置することができ、カテーテル160の第2部分は、内部容積113の外側に配置することができる。開口部又はポートは、任意の好適な構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、開口部及び/又はポートは、シール等を含むことができ、それは、内部に配置されたカテーテル160の部分の外面と実質的に流体密封シールを形成するように構成されている。他の実施形態では、開口部及び/又はポートの配置は、本明細書において具体的な実施形態に関してさらに詳細に記載するように、ユーザが、開口部及び/又はポートを規定する近位端部111の表面と選択的に接触するようにカテーテル160を配置することができ、それにより、近位端部分111の表面が、カテーテル160の管腔を選択的に塞ぐようにカテーテル160を締め付け及び/又ははさみつけることができる、というものであり得る。
【0024】
[1061] イントロデューサ110の遠位端部分112は、イントロデューサ110をPIV105に物理的にかつ流体的に結合する(例えば、図2を参照)ように構成されたロックを含み及び/又はそれに結合される。例えば、いくつかの実施形態では、遠位端部分112は、ロックの関連するカプラに物理的にかつ流体的に結合するように構成された、Luer Lok(商標)などのカプラ等を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロックは、PIV105と選択的に係合し及び/又は接触してそれにイントロデューサ110を結合するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、ロックの形状、サイズ及び/又は構成は、ロックがPIV105と3つの接触点を形成するというものである。いくつかの実施形態では、こうした配置は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、ロックの一部(例えば、突出部等)がPIV105の一部に挿入される際に、PIV105に構造的剛性及び/又は支持を提供することができる。
【0025】
[1062] いくつかの実施形態では、イントロデューサ110の遠位端部分112は、イントロデューサ110及び/又はデバイス100を標的表面に対して所定の角度で配置する際に動作可能な支持部材等を含むことができる、及び/又はそれに結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ロックの配置は、ロックの所定の部分を標的表面に接触させて配置することが、イントロデューサ110及び/又はデバイス100を所定の及び/又は所望の角度で標的表面に配置するようなものであることができる。他の実施形態では、支持部材等が、イントロデューサ110の遠位端部分112に結合され、イントロデューサ110及び/又はデバイス100を標的表面に対して所定及び/又は所望の角度で配置するように構成されることができる。いくつかの例では、標的表面は、PIV105が挿入される身体の皮膚表面(例えば、患者の腕の外面等)であってもよい。いくつかの実施形態では、所定の角度は、例えば、約0°~約30°、約4°~約15°、約8°~約10°、又は任意の他の適切な角度であり得る。
【0026】
[1063] いくつかの実施形態では、イントロデューサ110の遠位端部分112(及び/又はロック)はシール等を含むことができ、それは、内部容積113の少なくとも一部をロックと流体連通した状態に置くように、封止された構成から実質的に開放した構成に移行されることができる。いくつかの実施形態では、シールは、一方向弁等などの逆流防止機構を含むことができ、それは、例えば、カテーテル160がシールを通って遠位方向に進むのを可能にする一方で、シールを通る近位方向におけるカテーテル160の外側の流体流を制限し及び/又は実質的に阻止することができる。
【0027】
[1064] 上述したように、イントロデューサ110は、近位端部分111と遠位端部分112との間に延在する内部容積113を規定する。図1及び図2に示すように、内部容積113は、アクチュエータ170の第1部分171を受け入れるように構成された第1部分114と、カテーテル160及びアクチュエータ172の第2部分175を受け入れるように構成された第2部分115とを有し及び/又は規定する。より具体的には、内部容積113を規定するイントロデューサ110の内面は、例えば、曲がりくねった断面形状(図1及び図2には図示せず)を有することができ、それにより、内部容積113の第1部分114によって規定される軸は、内部容積113の第2部分115によって規定される軸に対して平行でありかつそこからオフセットされている。このように、内部容積113の第1部分114は、内部容積113の第2部分115から流体的に隔離されることなく、間隔を空けて配置することができる。いくつかの実施形態では、内部容積113の第1部分114は、イントロデューサ110の壁を通って延在することができる。言い換えれば、イントロデューサ110は、内部容積113の第1部分114と流体連通するスロット、チャネル、トラック、開口部等を規定することができる。逆に、内部容積113の第2部分115は、イントロデューサ110によって完全に規定され及び/又は(少なくとも周囲方向において)囲まれ得る。さらに、いくつかの実施形態では、内部容積113の曲がりくねった断面形状により、内部容積113の第1部分114と流体連通しているスロット等を介して第2部分115を見ることができず(例えば、第2部分115は視線外にあり)、それにより、その中に配置されたカテーテル160の汚染を制限し及び/又は汚染を実質的に防止することができる。
【0028】
[1065] 図1及び2に示されていないが、いくつかの実施形態では、イントロデューサ110は、内部支持部材等を含む及び/又は受け入れることができる。そのような実施形態では、内部支持部材は、内部容積113内に配置することができ、イントロデューサ110の内部容積113に配置されたカテーテル160の少なくとも一部を支持及び/又は案内するように構成することができる。いくつかの実施形態では、内部支持部材は、カテーテル160の一部を少なくとも部分的に隔離するように構成することができ、これは、使用前にカテーテル160の無菌性を維持するように動作することができる。
【0029】
[1066] 移送デバイス100のカテーテル160は、近位端部分161及び遠位端部分162を含み、近位端部分161及び遠位端部分162を通って延在する管腔163を規定する。カテーテル160は、イントロデューサ110によって規定される内部容積113の第2部分115内に移動可能に配置され、アクチュエータ170に結合される。いくつかの実施形態では、カテーテル160は、(例えば、アクチュエータ170の移動を介して)第1位置と第2位置との間で移動して、移送デバイス100を第1構成と第2構成とのそれぞれの間で移行させることができる。より具体的には、カテーテル160が第1位置にあるとき(図1)、カテーテル160の少なくとも遠位端部分162は、内部容積113の第2部分115内に配置され、カテーテル160が第2位置にあるとき(図2)、カテーテル160の少なくとも一部は、カテーテル160の遠位端をPIV105の一部に対して遠位位置に配置するように、PIV105を通って延在する。図1及び図2には図示しないが、いくつかの実施形態では、移送デバイス100は、アクチュエータ170に結合されかつカテーテル160と流体連通する第2カテーテル等を含むことができる。こうした実施形態では、第2カテーテルは、例えば、カテーテル160に対して近位位置に配置することができ、イントロデューサ110の近位端部分111によって規定される開口部及び/又はポートを通って延在するように構成することができる。このように、第2カテーテルの近位端部分は、真空(空気又は液体)源、流体リザーバ、流体源、シリンジ等に結合することができ、それにより、カテーテル160はそれと流体連通する。さらに、第2カテーテルを含む実施形態では、カテーテル160が第1位置にあるとき、イントロデューサ110内にカテーテル160を完全に配置することができる。
【0030】
[1067] カテーテル160は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル160の少なくとも一部は、イントロデューサ110の遠位端部分112に結合されたロックの一部によって定められる内径と実質的に同様であるか又はそれよりわずかに小さい外径(例えば、10ゲージ~30ゲージ)を有することができる。このように、ロックのその部分の内面は、カテーテル160が第1位置と第2位置との間で移動する際にカテーテル160を案内することができる。いくつかの実施形態では、こうした配置により、第1位置と第2位置との間で移動するカテーテル160の一部の屈曲、変形及び/又は屈折を制限することができ、及び/又はそれを実質的に防止することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル160は、カテーテル160が第2位置にあるとき、カテーテル160の遠位面をPIV105の遠位面に対して所望の位置に配置するのに十分な長さを有することができる。言い換えれば、カテーテル160の長さは、カテーテル160が第2位置にあるときにカテーテル160の遠位面とPIV105の遠位面との間に所定の及び/又は所望の距離を規定するのに十分であり得る。場合により、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル160の遠位面をPIV105の遠位面から所定の及び/又は所望の距離に配置することにより、例えば、カテーテル160の遠位面を静脈内の所望の位置に配置することができる。
【0031】
[1068] カテーテル160は、任意の好適な材料又は材料の組合せから形成することができ、それにより、カテーテル160は任意の好適な剛性又はデュロメータ硬さを有することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル160の少なくとも一部は、編組材料等から形成することができ、それにより、曲げ力等に応じてカテーテル160の可撓性を変更し、修正し、及び/又は改変することができる。いくつかの実施形態では、編組材料等でカテーテル160を形成することにより、望ましくないように屈折し及び/又は他の方法で変形する可能性を低減させることができる。さらに、編組材料でカテーテル160の少なくとも一部を形成することにより、カテーテル160によって規定される長手方向中心線の方向にかけられる圧縮力(例えば、軸方向力等)に応じて、圧縮及び/又は変形をもたらすことができる。このように、カテーテル160は、例えば、妨害物等に衝突することに関連する力の一部を吸収することができる。本明細書においてさらに詳細に記載されるように、いくつかの例では、カテーテル160の少なくとも一部は、そのような妨害物等に衝突することに関連する力に応答して変形することができる。
【0032】
[1069] 移送デバイス100のアクチュエータ170は、任意の形状、サイズ及び/又は構成であり得る。上述したように、アクチュエータ170は、内部容積113の第1部分114内に移動可能に配置された第1部分171と、内部容積113の第2部分115内に移動可能に配置されかつカテーテル160に結合された第2部分175と、を含む。図1及び図2には図示しないが、アクチュエータ170は、内部容積113の断面形状(例えば、曲がりくねった断面形状)に関連し及び/又は他の方法で対応する断面形状を有することができる。従って、アクチュエータ170の第1部分171によって規定される軸は、アクチュエータ170の第2部分175によって規定される軸に対して平行でありかつそれからオフセットされている。
【0033】
[1070] アクチュエータ170及びイントロデューサ110の配置は、第1部分171が、内部容積113の第1部分114と流体連通しているスロット等を通って延在する、というものである。従って、アクチュエータ170の第1部分171の第1領域は、イントロデューサ110の外側に配置され、アクチュエータ170の第1部分171の第2領域は、内部容積113の第1部分114に配置される。このように、ユーザは、アクチュエータ170の第1部分171の第1領域を作動させることができ、アクチュエータ170をイントロデューサ110に対して移動させて、アクチュエータ170の第2部分175に結合されたカテーテル160を第1位置と第2位置との間で移動させることができる。図1及び図2には図示しないが、いくつかの実施形態では、アクチュエータ170の第1部分171は、イントロデューサ110の外面と接触しているタブ、突起及び/又は表面を含むことができる。こうした実施形態では、イントロデューサ110の外面は、例えば、一組のリブ、隆起、出っ張り、溝等を含むことができ、アクチュエータ170がイントロデューサ110に対して移動するとき、そこに沿って、第1部分171のタブ、突起及び/又は表面が前進し、それにより、カテーテル160の遠位端部分162の位置に関連する指標をユーザに提供することができる、触覚出力又はフィードバック(音響的、触覚的及び視覚的)が生成される。
【0034】
[1071] いくつかの実施形態では、アクチュエータ170の第1部分171及びイントロデューサ110の外面の配置は、アクチュエータ170がイントロデューサ110に対してある角度で配置されるようなものである。すなわち、アクチュエータ170の第1部分171とイントロデューサ110の外面との接触は、イントロデューサ110に対してアクチュエータ170を傾ける。従って、いくつかの例では、アクチュエータ170の長手方向中心線は、イントロデューサ110の長手方向中心線に対して非平行であり得る。さらに、アクチュエータ170がカテーテル160の近位端部分161に結合された状態で、アクチュエータ170の角度付け及び/又は傾斜により、カテーテル160の少なくとも一部を曲げる(例えば、カテーテル160がバイアス構成に置かれる)のに十分な力(例えば、予荷重力等)がカテーテル160に加えられ、これについては本明細書でさらに詳細に記載される。
【0035】
[1072] いくつかの実施形態では、移送デバイス100は、使用の前に第1構成に配置することができる(例えば、第1構成では、輸送し、保管し、準備すること等が可能である)。使用時、ユーザは、移送デバイス100を操作して、(例えば、イントロデューサ110に結合され及び/又はイントロデューサ110と組み立てられたロックを介して)イントロデューサ110を留置PIV105に結合することができる。移送デバイス100がPIV105に結合された状態で、ユーザは、アクチュエータ170の第1部分171を作動させて、アクチュエータ170をイントロデューサ110に対して移動させることができ、それにより、カテーテル160は(例えば、イントロデューサ110内に配置された)第1位置から第2位置に向かって移動する。いくつかの実施形態では、アクチュエータ170及びイントロデューサ110の配置は、アクチュエータ170をイントロデューサ110に対して進めることにより、イントロデューサ110及び/又はPIV105に対するカテーテル160の遠位部分162の位置に関連するインジケータをユーザに提供するように構成された、触覚出力及び/又はフィードバックが生成される、というものである。例えば、触覚フィードバック又は他の任意の好適なインジケータに基づいて、上述したように、ユーザは、カテーテル160の遠位面がPIV105の遠位面を所望の距離越えて延在するように、カテーテル160を第2位置に配置することができる。
【0036】
[1073] カテーテル160が第2位置にある状態で(例えば、移送デバイス100が図2に示す第2構成にある状態で)、ユーザは、流体リザーバ、流体源、シリンジ等とカテーテル160との間に流体連通を確立することができる。例えば、上述したように、いくつかの実施形態では、ユーザは、第2カテーテル(図示せず)を流体リザーバ、流体源、シリンジ等に結合することができる。カテーテル160を第2位置に配置した後にカテーテル160と流体リザーバ又は流体源との間に流体連通を確立するものとして記載したが、他の実施形態では、ユーザは、イントロデューサ110に対してアクチュエータ170を移動させる前に、カテーテル160と流体リザーバ又は流体源との間に流体連通を確立することができる。そして、カテーテル160が流体リザーバ及び/又は流体源と流体連通している状態で、移送デバイス100は、PIV105を通りかつPIV105を越えて延在しているカテーテル160を介して、患者の体内から流体を移送し又は患者の体内に流体を移送することができる。
【0037】
[1074] いくつかの例では、ユーザがカテーテル160を(アクチュエータ170を介して)第1位置から第2位置に進めるとき、カテーテル160が妨害物等に衝突する可能性がある。いくつかのそのような例では、カテーテル160は、ユーザによって及ぼされる力に応答し屈曲する、変形する、及び/又は別の方法で再構成するように構成することができる。すなわち、通常であればカテーテル160を第2位置に向けて移動させるのに十分であるユーザによってアクチュエータ170に加えられる力(例えば、起動力又は作動力)は、カテーテル160が妨害物等に衝突したときにカテーテル160の少なくとも一部の偏向、変形及び/又は再構成をもたらす。さらに、カテーテル160の少なくとも一部が事前に負荷をかけられている(例えば、上述のように、アクチュエータ170の角度に応答して屈曲される、湾曲される、付勢される、偏向される、及び/又は変形される)状態で、カテーテル160のその部分の偏向、変形及び/又は再構成は、予め決定される、予想される等であることができる。
【0038】
[1075] 上述のように、妨害物との衝突に応答したカテーテル160の一部の偏向、変形、及び/又は再構成は、例えば静脈等の壁にかかる望ましくない力を低減するカテーテル160及び/又はデバイス100の「クラッチング」(例えば、湾曲、屈曲、曲げ、偏向、変形、圧縮等)をもたらし得る。いくつかの実施形態では、特定の実施形態に関して本明細書でさらに詳細に記載するように、カテーテル160のクラッチングは、カテーテル160が妨害物に衝突したという可聴的、視覚的、及び/又は触覚的な指標を生成及び/又はもたらし得る。いくつかの例では、カテーテル160及び/又はデバイス100が「クラッチ」されると、事前に負荷をかけられた及び/又はクラッチされたカテーテル160及び/又はデバイス100が妨害物等に打ち勝つために一定であるが直線的に減少する力をかけるとき、ユーザは一時停止することができる。いくつかの例では、クラッチされたカテーテル160及び/又はデバイス100は、自動的にクラッチ解除(例えば、カテーテル160の長さに沿った応力の少なくとも一部を自己解放)することができ、妨害物に打ち勝つための安全及び/又は制御されたプロセスをもたらす。
【0039】
[1076] 図3図29は、別の実施形態による流体移送デバイス200を示す。流体移送デバイス200(本明細書では、「移送デバイス」とも呼ぶ)は、任意の好適な形状、サイズ又は構成とすることができ、例えば、ロック及び/又はアダプタを介してPIV(図3図29には図示せず)に結合することができる。本明細書においてさらに詳細に記載するように、ユーザは、移送デバイス200を第1構成から第2構成に移行させて、カテーテルを、既存の、配置された及び/又は留置したPIV(すなわち、移送デバイス200がPIVに結合されているとき)を通して進めることができ、それにより、カテーテルの少なくとも端部は、PIVに対して遠位位置に配置される。さらに、末梢静脈ラインがそれぞれ、例えば、PIVの製造業者及び/又はその意図された使用に基づいて変更することができる形状、サイズ及び/又は構成を有することにより、移送デバイス200が任意の好適な構成を有するPIVに結合されるのを可能にし、その後、実質的に、カテーテルを屈折させ、引っ掛け、破損し、及び/又は他の方法で望ましくないように再構成することなく、PIVを通してカテーテルの少なくとも一部を進めるように、移送デバイス200を配置することができる。さらに、ユーザにより移送デバイス200を操作して、カテーテルの遠位面を、実質的に妨害されない血液の流れを受け取る静脈の一部内に配置されるように、PIVの遠位面を所定の及び/又は所望の距離越えるように配置することができる。
【0040】
[1077] 図3図5に示すように、移送デバイス200は、イントロデューサ210、ロック240、カテーテル260、第2カテーテル265及びアクチュエータ270を含む。イントロデューサ210は、任意の好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、イントロデューサ210は、実質的に円形断面形状を有する細長い部材であり得る。いくつかの実施形態では、移送デバイス200の人間工学的な面を向上させるように、イントロデューサ210の形状及び/又はイントロデューサ210の少なくとも外面の1つ又は複数の特徴もしくは表面仕上げを配置することができ、場合により、それによってユーザが片手で移送デバイス200を操作するのを可能にすることができる(すなわち、片手使用)。
【0041】
[1078] 図5図12に示すように、移送デバイス200のイントロデューサ210は第1部材220及び第2部材225を含み、それらは、集合的にイントロデューサ210を形成するように結合される。図6に示すように、第1部材220は、近位端部分221、遠位端部分222及び内面224を含む。内面224は、第1部分224及び第2部分225を有する。第1部材220の近位端部分221、より具体的には、第1部材220の近位壁は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、第2カテーテル265の一部を選択的に受け入れるように構成された切欠き226を規定する。
【0042】
[1079] 図7図9に示すように、第2部材230は、近位端部分231、遠位端部分232、内面233及び外面235を有する。第1部材220に関して上述したように、第2部材230の近位端部分231、より具体的には第2部材230の近位壁は、第2カテーテル265の一部を選択的に受け入れるように構成された切欠き234を規定する。第2部材230の外面235は、第2部材230の長さに沿って配置された一組のリブ236を含む。より詳細には、各リブ236は、第2部材230の幅に沿って延在し、第2部材230の長さに沿って連続的に配置されている。このように、外面235は、第2部材230の長さに沿って配置された交互の局所最小部及び局所最大部を規定する。本明細書においてさらに詳細に記載するように、アクチュエータ270の一部は、ユーザがイントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させる際に、一組のリブ236を形成する外面235に沿って前進するように構成され、それにより、アクチュエータ270(及びアクチュエータ270に結合されたカテーテル260)が振動する。場合により、この振動によって、例えば、一部又は移送デバイス200、PIVの一部及び/又は血管系の一部を通るカテーテル260の前進を容易にすることができる。さらに、場合により、本明細書においてさらに詳細に記載するように、振動によって、ユーザに対し、イントロデューサ210及び/又はPIVに対するカテーテル260の位置に関連する触覚及び/又は可聴インジケータを提供することができる。
【0043】
[1080] 第2部材230の外面235によって形成されたリブ236は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、図8及び図9に示すように、一組のリブ236は、第1サイズ及び形状を有する第1部分237と、第1サイズ及び形状とは異なる第2サイズ及び形状を有する第2部分238とを含む。リブ236の第1部分237は、任意の好適な構成及び/又は配置を有することができる。例えば、この実施形態では、第1部分237における各リブは、実質的に均一であって、実質的に同じサイズ及び形状を有する。他の実施形態では、第1部分237に含まれる各リブは、第1部分237の残りのリブとは異なるサイズ及び形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1部分237における各リブのサイズ及び/又は形状は、最小サイズ及び形状を有する最近位リブから、最大サイズ及び形状を有する最遠位リブまで増大することができる。さらに、第1部分237のリブは、実質的に対称であるものとして図示しているが、他の実施形態では、第1部分237の各リブは非対称であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、各リブの近位面は第1ピッチ(例えば、角度)を有することができ、各リブの遠位面は、第1ピッチより大きい第2ピッチを有することができる。いくつかの実施形態では、こうした非対称配置により、アクチュエータ270の上記部分が、遠位方向に移動するときは第1組の特徴を有する外面235に沿って移動し、近位方向に移動するときは第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有する外面235に沿って移動するようにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270の上記部分は、遠位方向では、近位方向より自由に外面235に沿って移動することができる。
【0044】
[1081] 同様に、リブ236の第2部分238は、任意の好適な構成及び/又は配置を有することができる。例えば、この実施形態では、第2部分238における各リブは、実質的に均一であって、第2部分238における残りのリブと実質的に同じサイズ及び形状を有する。図9に示すように、第2部分238における各リブは、第1部分237の各リブのサイズ及び形状より大きいサイズ及び形状を有する。場合により、第2部分238のリブのサイズの方が大きいことにより、アクチュエータ270が(上述したように)外面235に沿って移動する際の振動の量を大きくすることができる。場合により、第2部分238のリブのサイズの方が大きいことにより、外面235に沿ってアクチュエータ270の上記部分を移動させるのに本来は十分な力を、増大させることができる。第2部分238のリブを、実質的に均一でありかつ第1部分237のリブより大きいサイズを有するように図示しかつ記載しているが、他の実施形態では、第2部分238のリブは、第1部分237のリブに関して上述した配置及び/又は構成のうちの任意のものを有することができる。
【0045】
[1082] 一組のリブ236は、第1部分237から第2部材230の長さに沿った所与の箇所において第2部分238まで移行している(例えば、図9を参照)が、他の実施形態では、一組のリブ236における各リブのサイズ及び形状は、最小のサイズ及び形状を有する第1部分237の最近位リブから、最大のサイズ及び形状を有する第2部分238の最遠位リブまで増大することができる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、一組のリブ236におけるリブの各々のサイズ及び形状は、各連続したリブごとに(例えば、遠位方向に)増大することができる。さらに他の実施形態では、一組のリブ236は、第1部分237及び第2部分238より多くを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2部材は、第1部分、並びに第2部材230の第1部分237と同様のサイズ、形状及び構成を有する第2部分と、第2部材230の第2部分238と同様のサイズ、形状及び構成を有する、第1部分と第2部分との間に配置された第3部分とを有する、一組のリブを含むことができる。すなわち、こうした実施形態では、第2部材は、リブの近位部分及びリブの遠位端部分を含み、それらは、それらの間に配置されているリブの中央部分より小さい。いくつかの実施形態では、第2部材230の一組のリブ236の配置は、最近位リブ及び最遠位リブが、相対的に大きく、及び/又は、他の方法で、それぞれ、最近位リブに対して近位位置及び最遠位リブに対して遠位位置において、アクチュエータ270の上記部分を少なくとも一時的に維持するように動作可能な形状を有する。
【0046】
[1083] 一組のリブ236は、第2部材230の外面235のみによって形成されているように示されているが、他の実施形態では、第1部材220が、一組のリブを形成する外面を含むことができる。こうした実施形態では、第1部材220の一組のリブは、第2部材230の一組のリブ236に関して上述した構成及び/又は配置のうちの任意のものとすることができ、及び/又はその任意のものを有することができる。いくつかの実施形態では、第1部材220のリブは、第2部材230のリブ236からオフセットされることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1部材220のリブは、第1部材220の長さに沿って配置されている(リブ236に関して上述したように)交互の局所最小部及び局所最大部を有することができ、第1部材220のリブの局所最小部及び局所最大部は、(例えば、イントロデューサ210の長さに沿ってオフセットされた)第2部材230のリブ236の局所最大部及び局所最小部それぞれと位置合せされる。他の実施形態では、第1部材220のリブは、第2部材230のリブ236に対して変化する位置にあり得る。このように、イントロデューサ210は、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際に、例えば触覚フィードバックを提供することができる、リブの可変配置を提供することができる。
【0047】
[1084] 図10図12に示すように、第1部材220は、第2部材230に結合されて、集合的にイントロデューサ210を形成するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、超音波溶接、接着剤、機械式締結具、1つもしくは複数のタブ、スナップ、ピン等を介して、第1部材220及び第2部材230を結合して、イントロデューサ210を形成することができる。いくつかの実施形態では、(例えば、製造プロセス中に)第1部材220を第2部材230に結合してイントロデューサ210を形成することにより、1つ又は複数の製造プロセスを容易にすること及び/又は簡略化することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1部材220及び第2部材230からイントロデューサ210を形成することにより、製造中、(例えば、抜き勾配及び/又は製造公差による)内面223及び233の形状及び/又はサイズの望ましくないばらつきを低減させることができ、それにより、場合により、移送デバイス200の使用中のカテーテル260の屈折、屈曲及び/又は変形の可能性を低減させることができる。いくつかの実施形態では、第1部材220及び第2部材230からイントロデューサ210を形成することにより、少なくとも第1部材220の内面223が、単一工作物からイントロデューサ210を製造する場合に難題を示す曲がりくねった形状を形成するのを可能にすることができる。
【0048】
[1085] 他の実施形態では、第1部材220は、(例えば、射出成形及び/又は他の任意の好適な製造プロセスを介して)一体構造で形成することができる。すなわち、第1部材220は、2つの工作物、すなわち、第1部材220及び第2部材230ではなく単一の工作物等から形成することができる。従って、第1部材220の特徴について言及するとき、こうした特徴は、第1部材220により形成しかつ/もしくは規定し、第2部材230により形成しかつ/もしくは規定し、第1部材220及び第2部材230により集合的に形成しかつ/もしくは規定し、又は、イントロデューサ210が単一の工作物から形成される場合、イントロデューサ210の対応する部分により形成しかつ/もしくは規定することができる。
【0049】
[1086] 第1部材220及び第2部材230は、集合的に、イントロデューサ210の近位端部分211及び遠位端部分212を形成し、集合的に、イントロデューサ210の内部空間213を規定する。図10に示すように、イントロデューサ210の近位端部分211は開口部217を規定する。具体的には、開口部217は、第1部材220の切欠き226及び第2部材230の切欠き234により集合的に形成され及び/又は規定される。近位端部分211の配置は、第1部材220の切欠き226によって規定される開口部217の部分が第1サイズ及び/又は形状を有し、第2部材230の切欠き234によって規定される開口部217の部分が、第1サイズ及び/又は形状より小さい第2サイズ及び/又は形状を有する、というものである。言い換えれば、開口部217の一部は、狭窄され、はさみつけられ、塞がれ、及び/又は他の方法で縮小される。本明細書においてさらに詳細に記載するように、開口部217は、第2カテーテル265の一部を受け入れるように構成され、第2カテーテル265を、開口部217内で開口部217の大きい方の部分から開口部217の縮小部分(例えば、第2部材230の切欠き234によって形成された部分)まで移動させて、塞ぎ、はさみつけ、及び/又は締め付けることができる。
【0050】
[1087] 図11に示すように、イントロデューサ210の遠位端部分212は、カプラ216を含み及び/又は他の方法で形成する。言い換えれば、第1部材220の遠位端部分222及び第2部材230の遠位端部分232は、集合的に、イントロデューサ210の遠位端部分212においてカプラ216を形成する。カプラ216は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、この実施形態では、カプラ216は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、ロック240の関連するねじ切り部分とねじ結合を形成することができる、一組のねじを形成する。図11には図示しないが、イントロデューサ210の遠位端部分211は、(少なくとも、カプラ216の開放部分から)イントロデューサ210の内部空間213を選択的に封止し及び/又は流体的に隔離することができるシールを含むことができ、及び/又はそうしたシールを受け入れるように構成することができる。使用時、シールを封止又は閉鎖構成から開放構成へ移行させて、例えば、カテーテル260の一部がシールを貫通するのを可能にする。いくつかの実施形態では、シールは、カテーテル260の外面と接触して、それらの間に、カニューレの外面とシールとの間の流体の逆流の量を制限し及び/又は逆流を実質的に阻止するように動作可能なシールを規定することができる。
【0051】
[1088] シールは、任意の好適なタイプのシールであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、シールは、Oリング、一方向弁、膜、自己修復膜、逆止弁、単式クラック弁及び/又は他の任意の好適なシールもしくは弁部材であり得る。いくつかの実施形態では、シールは、所定の「クラッキング」圧力を規定し及び/又は他の方法で有するように構成される。すなわち、いくつかの実施形態では、シールは、例えば、イントロデューサ210内の圧力の上昇に応じて、閉鎖及び/又は封止構成から実質的開放構成に移行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、シールは、正圧シール等であり得る。他の実施形態では、シールは、生理食塩水ロック等の流体シールであり得る。図5図12には図示しないが、いくつかの実施形態では、イントロデューサ210は、シールを閉鎖構成から開放構成に移行させるようにイントロデューサ210内の圧力を(例えば、空気又は他の好適な流体もしくは液体を介して)上昇させるように操作することができる、デバイス、機構、アセンブリ等を含むことができる。例えば、イントロデューサ210は、バルブ、ポンプ、シリンジ、流体源、機械式アクチュエータ、電気アクチュエータ等を含むことができ、及び/又はそれに結合することができる。他の実施形態では、シールは他の任意の好適な構成であり得る。
【0052】
[1089] 第1部材220の内面223及び第2部材230の内面233は、集合的に、イントロデューサ210の内部空間213を規定する。図12に図示するように、内面223及び233の配置は、内部空間213が、曲がりくねった断面形状を有し及び/又は規定するというものである。例えば、内部空間213は、実質的にS字型、又は少なくとも部分的にS字型の断面形状を有することができる。より具体的には、第1部材220の内面223は、内面223の第1部分224を内面223の第2部分225から分離するように構成された、隆起、タブ、フランジ、突起等を含み及び/又は形成する。従って、内部空間213の曲がりくねった断面形状は、内部空間213の第1部分214及び内部空間213の第2部分215を形成し及び/又は規定する。このように、内部空間213の第1部分214は、内部空間213の第2部分215から、それらから流体的に隔離されることなく、間隔を空けて配置される。言い換えれば、内部空間213の第1部分214は、内部空間213の第2部分215によって規定される軸と平行でありかつそこからオフセットされた軸を規定する。
【0053】
[1090] 図12に示すように、内部空間213の第1部分214は、イントロデューサ210の壁を通って延在する。同様に、イントロデューサ210は、(例えば、第1部材220及び第2部材230は集合的に)内部空間213の第1部分214と流体連通するスロット、チャネル、トラック、開口部等を規定する。逆に、内部空間213の第2部分215は、イントロデューサ210によって完全に規定され及び/又は(少なくとも、円周方向に)囲まれる。内部空間213の曲がりくねった断面形状により、(内部空間213の第1部分214と流体連通している)スロットを介して第2部分215を見ることができず(例えば、第2部分215が視線外にあり)、それにより、内部に配置されたカテーテル260の汚染を制限し及び/又は汚染を実質的に防止することができる。
【0054】
[1091] この実施形態では、内部空間213の第2部分215は、例えば、開口部217の一部及びカプラ216によって規定される開口部の一部と実質的に位置合せされる。さらに、内部空間213の第2部分215は、ロックがイントロデューサ210のカプラ216に結合されるとき、ロック240と実質的に位置合せされるように構成されている。言い換えれば、本明細書においてさらに詳細に記載するように、内部空間213の第2部分215によって規定される軸は、ロック240の一部によって規定される軸と実質的に同軸である。このように、内部空間213の第2部分215は、例えば、アクチュエータ270の一部とカテーテル260の一部とを移動可能に受け入れることができる。従って、本明細書においてさらに詳細に記載するように、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させて、カテーテル260を、カテーテル260が内部空間213の第2部分215内に完全に配置される第1位置と、カテーテル260の少なくとも一部が、内部空間213の第2部分215の外側にかつイントロデューサ210の遠位側に延在する第2位置との間で移動させることができる。
【0055】
[1092] 移送デバイス200のロック240は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。上述したように、ロック240は、イントロデューサ210に物理的にかつ流体的に結合されるように構成され、イントロデューサ210を、PIV及び/又はPIVに結合された任意の好適な中間デバイスもしくはアダプタに結合するように構成されている。図13図15に示すように、ロック240は、カプラ241、突出部242、第1アーム243及び第2アーム250を有する。さらに、ロック240は、カプラ241及び突出部242を通って延在する管腔255を規定する。カプラ241は、ロック240をイントロデューサ210のカプラ216に結合するように構成されている。具体的には、この実施形態では、カプラ241は、イントロデューサ210のカプラ216によって規定され及び/又は形成されるねじ山と選択的に係合するように構成された1つ又は複数の突起を含み及び/又は形成し、それにより、ねじ結合を形成する。
【0056】
[1093] 突出部242は、カプラ246から延在し、第1アーム243と第2アーム250との間に配置されている。突出部242は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、突出部242の構成は、PIVのサイズ及び/もしくは形状、アダプタ(例えば、拡張セット、Yアダプタ、Tアダプタ等)のサイズ及び/もしくは形状、又は、PIV及びアダプタのひとまとめにしたサイズ及び/もしくは形状に、関連付けることができ、又は少なくとも部分的に基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、突出部242は、PIV(又はアダプタ)の少なくとも一部を通って延在するのに十分な長さを有することができる。PIVに結合されたアダプタを含む実施形態では、突出部242は、アダプタを通りかつ少なくとも部分的にPIV内に又はPIVを通って延在するのに十分長くすることができる。いくつかの実施形態では、突出部242は、その少なくとも一部がPIVに対して遠位であるように、アダプタ及びPIVを通って延在するのに十分長くすることができる。さらに、突出部242は、PIV及び/又はPIVに結合されたアダプタの一部の内径と同様であるか又はそれよりわずかに小さい外径を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、突出部242の外面は、突出部242がPIV内に配置されたときにその内面と接触することができる。このように、突出部242は、突出部242が配置されるPIVの少なくとも一部に対して構造的支持を提供することができる。同様に、突出部242は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル260の一部の外径と同様であるか又はそれよりわずかに大きい内径(少なくとも部分的に管腔255を規定する表面の直径)を有することができる。
【0057】
[1094] ロック240の第1アーム243及び第2アーム250は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。図13及び図14に示すように、第1アーム243は、第1端部244、タブ246を含む第2端部245、及び第1端部244と第2端部245との間に配置されたピボット部247を有する。第2端部245に配置され及び/又はそれによって形成されるタブ246は、第2端部245から、例えば突出部242に向かって延在する。このように、本明細書においてさらに詳細に記載するように、タブ246は、PIVの一部、及び/又はロック240をPIVに結合するようにPIVに結合されたアダプタの一部と選択的に係合することができる。
【0058】
[1095] 第1アーム243のピボット部247は、カプラ241、突出部242及び/又は第2アーム250から横方向に延在する。第1アーム243の第1端部244及び第2端部245は、それぞれ、ピボット部247に対して近位であり、ピボット部247に対して遠位である。従って、第1アーム243は、加えられる力に応じてピボット部247によって規定される軸を中心に枢動するように構成されたレバー等として作用することができる。例えば、場合により、本明細書においてさらに詳細に記載するように、ユーザは、第1端部244に(例えば、カプラ241に向かって)、(図14において矢印AAによって示すように)第1アーム243の第1端部244をカプラ241に向かって枢動させ、かつ(図14において矢印BBによって示すように)第1アーム243の第2端部245を突出部242から離れるように枢動させるのに十分な力をかけることができる。
【0059】
[1096] 第1アーム243に関して上述したように、ロック240の第2アーム250は、第1端部251、タブ253を含む第2端部252、及び第1端部251と第2端部252との間に配置されたピボット部254を有する。この実施形態では、第1アーム243及び第2アーム250は、形状及び機能が実質的に同様であり、カプラ241及び突出部242に対して反対の位置及び向きに配置される(例えば、ロック240は、その長手方向軸を中心に実質的に対称である)。従って、第1アーム243の考察は、第2アーム250に同様に適用され、従って、第2アーム250については本明細書ではそれ以上詳細には記載しない。
【0060】
[1097] 上述したように、ロック240は、PIV及び/又はPIVに結合されたアダプタに結合されるように構成されている。例えば、ユーザは、第1アーム243の第1端部244及び第2アーム250の第1端部251に横方向の力をかけて、第1アーム243及び第2アーム250をそれぞれ、第1位置から第2位置まで枢動させることができる。従って、第1アーム243の枢動により、突出部242と第1アーム243の第2端部245(及びタブ246)との間に規定された空間が増大する。同様に、第2アーム250を枢動させることにより、突出部242と第2アーム250の第2端部252(及びタブ253)との間に規定された空間が増大する。このように、突出部242とアーム243及び250との間の増大した空間は、PIVの一部及び/又はPIVに結合されたアダプタがその空間内に挿入されるのを可能にするのに十分大きい。PIV及び/又はアダプタの一部がロック240に対して所望の位置になると、ユーザは、力を取り除くことができ、それにより、アーム243及び250は、それらのそれぞれの第1位置に向かって枢動する。その結果、第2端部245及び252は、タブ246及び253がそれぞれPIV及び/又はアダプタの一部分と接触するまで、突出部242に向かって移動する。タブ246及び253は、PIV及び/又はアダプタの上記部分と係合して、ロック240をPIV及び/又はアダプタに一時的に結合するように構成されている。いくつかの実施形態では、ロック240は、PIV及び/又はアダプタとの3つの接触点、すなわち、タブ246及び253、並びに(上述したような)突出部242の外面を確立するように構成することができる。いくつかの実施形態では、タブ246及び253は、PIV及び/又はアダプタの上記部分と接触したとき、ロック240がPIV及び/又はアダプタに適切に結合されていることをユーザに示すことができる、クリック等の可聴出力、触覚による凹凸(haptic bump)等の振動出力等を生成するように構成することができる。
【0061】
[1098] 図15に示すように、突出部242及びカプラ241は、集合的に、管腔255を規定する。ロック240の管腔255は、内部空間213の第2部分215によって規定される軸と位置合せされ及び/又は実質的に同軸である軸(図示せず)を規定する。従って、ロック240の管腔255は、移送デバイス200が第1構成と第2構成との間で移行するときにカテーテル260の一部を受け入れる。いくつかの実施形態では、管腔255は、少なくとも部分的にカテーテル260のサイズ及び/又は形状に基づくサイズ及び/又は形状を有することができる。例えば、管腔255は、カテーテル260の少なくとも一部の外径よりわずかに大きい内径を有することができる。こうした実施形態では、ロック240は、カテーテル260が管腔255内で移動する際にカテーテル260を支持し及び/又は案内することができる外部ガイド等であり得る。それにより、カテーテル260の望ましくない屈曲、屈折、偏向及び/又は変形を低減させ及び/又は実質的に防止することができる。
【0062】
[1099] ロック240について、突出部242を含むように図示し上述したが、他の実施形態では、ロックが突出部を形成することは必須ではない。例えば、いくつかのこうした実施形態では、ロックは、PIV及び/又はPIVに結合されたアダプタの一部と係合するように構成された比較的短いハブ等を含むことができる。いくつかの実施形態では、流体移送デバイスは、例えば、PIVとIV拡張セット等のアダプタとの間に配置されるように構成された、(ロックとともに又はロックにより形成されていない)突出部又はガイド部材を含むことができ、及び/又はそれとともに使用することができる。例えば、こうした突出部又はガイド部材は、じょうご形状であり及び/又は突出部242の内面と実質的に同様の形状である内面を有することができる。このように、こうした突出部及び/又はガイド部材の内面は、カテーテル260が第1位置と第2位置との間で移動する際に、カテーテル260の一部を案内することができる。いくつかの実施形態では、(突出部242を含む)ロック240は、こうした外部の又は別個の突出部及び/又はガイド部材とともに使用することができる。いくつかのこうした実施形態では、ロック240の突出部242の一部は、ロック240がアダプタ(例えば、IV拡張セット)に結合されるときに突出部及び/又はガイド部材に挿入することができる。
【0063】
[1100] 上述したように、カテーテル260の少なくとも一部及び第2カテーテル265の少なくとも一部は、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第2部分215内に移動可能に配置される。図16に図示するように、カテーテル260は、近位端部分261及び遠位端部分262を有し、管腔263を規定する(例えば、図24を参照)。カテーテル260の近位端部分261は、アクチュエータ270の第2部分275に結合される。このように、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させて、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル260を、カテーテル260がイントロデューサ210内に配置される(例えば、カテーテル260全体がイントロデューサ210内に又はイントロデューサ210及びロック240内に配置される)第1位置と、ロック240がPIVに結合されたときに、カテーテル260の遠位端部分が、ロック240及び/又はPIV(図示せず)に対して遠位の位置に少なくとも部分的に配置される第2位置との間で移動させることができる。遠位端部分262は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成とすることができ、管腔263と流体連通する少なくとも1つの開口部を規定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端部分262は、開示内容が全体として参照により本明細書に援用される、2012年4月26日に出願された、「末梢IVカテーテルによる静脈採血システム及び方法(Systems and Methods for Phlebotomy Through a Peripheral IV Catheter)」と題する米国特許第8,366,685号(本明細書では、「‘685特許」と呼ぶ)に記載されているもののうちの任意ものと実質的に同様であり得る。
【0064】
[1101] カテーテル260は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル260の少なくとも一部は、上述したように、ロック240の管腔255によって規定される内径と実質的に同様であるか又はそれよりわずかに小さい外径を有することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル260の外面は、管腔255の少なくとも一部を規定するロック240の内面と接触するように構成することができる。このように、管腔255を規定するロック240の上記部分の内面は、カテーテル260が第1位置と第2位置との間で移動する際にカテーテル260を案内することができる。いくつかの実施形態では、こうした配置により、カテーテル260が第1位置と第2位置との間で移動する際のカテーテル260の屈曲、変形及び/又は屈折を制限することができ、及び/又はそれを実質的に防止することができる。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル260は、第2位置にあるとき、カテーテル260の遠位面をPIVの遠位面に対して所望の位置に配置するのに十分な長さを有することができる。言い換えれば、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル260の長さは、カテーテル260が第2位置にあるとき、カテーテル260の遠位面とPIVの遠位面との間に所定の及び/又は所望の距離を規定するのに十分であり得る。
【0065】
[1102] カテーテル260は、任意の好適な材料又は材料の組合せから形成することができ、それにより、カテーテル260は、任意の好適な剛性又はデュロメータ硬さを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、約20ショアA~50ショアD、約20ショアD~95ショアD、約70ショアD~85ショアDのショアデュロメータ硬さ、及び/又は他の任意の好適な範囲のショアデュロメータ硬さを有する比較的可撓性の生体適合性材料から、カテーテル260を形成することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル260の少なくとも一部は、編組材料等から形成することができ、それにより、屈曲力等に応じてカテーテル260の可撓性を修正し、変更し、及び/又は改変することができる。言い換えれば、編組材料からカテーテル260の少なくとも一部を形成することにより、カテーテル260の管腔263を座屈させ、屈折させ、及び/又は他の方法で塞ぐ前に、カテーテル260の変形の量を(屈曲力に応じて)増大させることができる。同様に、編組材料からカテーテル260の少なくとも一部を形成することにより、カテーテル260によって規定される長手方向中心線の方向にかけられる圧縮力(例えば、軸方向力等)に応じて圧縮及び/又は変形をもたらすことができる。このように、カテーテル260は、妨害物等と衝突することに関連する力の一部を吸収することができる。場合により、こうした配置により、カテーテル260の座屈及び/又は屈折を低減させるとともに、本来カテーテル260の衝突からもたらされる可能性のある血管構造に対する損傷を低減させ及び/又は実質的に防止することができる。さらに、いくつかの実施形態では、例えば、編組材料からカテーテル260の少なくとも一部を形成することにより、(上述したように)アクチュエータ270の一部がイントロデューサ210の一組のリブ236に沿って前進するのに応じて、カテーテル260を通して伝達される振動の量を増大させることができる。カテーテル260について、編組材料から形成された少なくとも一部を含むものとして上述したが、他の実施形態では、カテーテル260の少なくとも一部は、上で参照により本明細書に援用した‘685特許に記載されているもの等、支持ワイヤ、ステント、開窓型カテーテル等から形成することができ、及び/又はそれを含むことができる。
【0066】
[1103] 第2カテーテル265は、近位端部分266及び遠位端部分267を有し、管腔268を規定する(例えば、図24を参照)。第2カテーテル265の一部は、(例えば、第1部材220及び第2部材230それぞれの切欠き223及び233によってまとめて規定される)イントロデューサ210の開口部217内に配置されかつそれを通って延在する。従って、近位端部分266は、少なくとも部分的にイントロデューサ210の外側に配置され、遠位端部分267は、少なくとも部分的に、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第2部分215内に配置される。上述したように、開口部217内で第1位置と第2位置との間で第2カテーテル265を移動させて、第2カテーテル265の一部を選択的に締め付け、はさみつけ、屈折させ、屈曲させ及び/又は他の方法で変形させることができ、それにより、第2カテーテル265の管腔268を塞ぎ、はさみつけ、屈折させ、閉鎖し、封止する等となる。例えば、第1位置は、第2位置に関連し及び/又は位置合せされる開口部217の第2部分の周長及び/又は直径より大きい周長及び/又は直径を有する開口部217の第1部分と関連付け及び/又は位置合せすることができる。従って、ユーザは、第2カテーテル265の管腔268を閉塞させるように第2カテーテル265を操作することができ、それにより、その中を通る流体の流れの量を制限し、流れを制限し、及び/又は実質的に阻止することができる。
【0067】
[1104] 図16に図示するように、第2カテーテル265の近位端部分266は、カプラ269に結合され及び/又は他の方法でカプラ269を含む。カプラ269は、第2カテーテル265を、例えば、流体リザーバ、流体源、シリンジ、(例えば、シース付き針を有するか又はシース付き針に結合するように構成された)真空容器ホルダ、ポンプ等、任意の好適なデバイスに物理的にかつ流体的に結合するように構成されている。第2カテーテル265の遠位端部分267は、少なくとも部分的に、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第2部分215内に配置され、アクチュエータ270の第2部分275に結合されている。いくつかの実施形態では、第2カテーテル265は、カテーテル260より大きい直径を有することができ、それにより、カテーテル260及び第2カテーテル265がアクチュエータ270の第2部分275に結合されたとき、カテーテル260の近位端部分261は、少なくとも部分的に、第2カテーテル265によって規定される管腔268内に配置される。いくつかの実施形態では、こうした配置により、例えば、カテーテル260と第2カテーテル265との間を流れる流体に関連する漏れを低減させ、及び/又は実質的に防止することができる。いくつかの実施形態では、こうした配置により、ある量の血液がカテーテル260及び第2カテーテル265を通って流れる際にその血液の溶血の量を制限し、溶血を低減させ、及び/又は実質的に防止することも可能である。このように、カプラ269が流体リザーバ、流体源、シリンジ、真空容器、ポンプ等に結合されると、第2カテーテル265は、リザーバ、流体源、ポンプ等とカテーテル260との間に流体連通を確立する。
【0068】
[1105] 移送デバイス200のアクチュエータ270は、カテーテル260に結合され、イントロデューサ210の長さに沿って移動して、移送デバイス200を、カテーテル260が第1位置にあるその第1構成と、カテーテル260が第2位置にあるその第2構成との間で移行させることができる。アクチュエータ270は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270は、イントロデューサ210のサイズ及び/又は形状に関連し及び/又は少なくとも部分的にそれに基づくサイズ及び形状を有することができる。
【0069】
[1106] 図17図20に図示するように、アクチュエータ270は、第1部分271と、第2部分275と、それらの間に延在する壁277とを含む。上述したように、アクチュエータ270の第1部分271は、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第1部分214内に少なくとも部分的に配置され、アクチュエータ270の第2部分275は、内部空間213の第2部分215内に配置される。アクチュエータ270の第1部分271は、係合部材272を含む。アクチュエータ270の配置は、係合部材272がイントロデューサ210の外側に配置され、一方で、第1部分271の残りの部分が、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第1部分214にある、というものである。従って、係合部材272は、ユーザにより(例えば、ユーザの指により)係合させ及び/又は操作して、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させることができる。いくつかの実施形態では、係合部材272は、一組の隆起、及び/又は、例えば、アクチュエータ270及び/又は移送デバイス200の人間工学的な面を向上させることができる任意の好適な表面仕上げを含むことができる。
【0070】
[1107] 係合部材272は、係合部材272の近位端部分に又はその近くに配置されたタブ273を含む。タブ273は、係合部材272の表面から延在する、任意の好適なタブ、レール、隆起、出っ張り、突起、つまみ、ローラ、スライダ等であり得る。タブ273は、イントロデューサ210の第2部材230の外面235と選択的に係合するように構成されている。より具体的には、タブ273は、第2部材230によって形成されたリブ236と接触し、アクチュエータ270がイントロデューサ210の長さに沿って移動する際に各連続したリブに沿って移動する。
【0071】
[1108] 第2部材230の一組のリブ236に関して上述したように、タブ273は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成を有することができる。例えば、図18に示すように、タブ273は、一組のリブ236に沿って移動することができる実質的に曲線状の面を含むことができる。いくつかの実施形態では、タブ273のサイズ及び/又は形状は、少なくとも部分的に、リブ236のサイズ及び/又は形状に基づき、それにより、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際、タブ273の所望の表面領域がリブ236と接触する。いくつかの実施形態では、一組のリブ236とタブ273との間で規定される摩擦の量は、少なくとも部分的に、一組のリブ236と接触するタブ273の表面積に基づくことができる。さらに、一組のリブ236とタブ273との間に規定される摩擦の量は、少なくとも部分的に、各リブに対するタブ273の位置に基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、タブ273とリブとの間で規定される摩擦の量は、タブ273が例えば局所最大部に近づくように移動する際に増大することができ、タブ273が局所最大部から離れるように移動する際に低減することができる。いくつかの実施形態では、タブ273は、タブ273が、各隣接するリブの間(例えば、隣接する局所最大部の間)が実質的に低摩擦で移動するのを可能にする、サイズ及び/又は形状を有することができる。言い換えれば、タブ273及び一組のリブ236の配置により、隣接するリブの間の所望の量の「遊び」を可能にすることができる。
【0072】
[1109] 一組のリブ236の第1部分237が一組のリブ236の第2部分238より小さいサイズを有することにより、タブ273の第1部分又は第1表面領域は、一組のリブ236の第1部分237と接触することができ、タブ273の第2部分又は第2表面領域は、一組のリブ236の第2部分238と接触することができる。このように、タブ273は、第1組の特徴を有する第1部分237に沿って移動することができ、第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有する第2部分238に沿って移動することができる。いくつかの実施形態では、例えば、一組のリブ236の第2部分238に沿ってタブ273を移動させるのに十分な力は、一組のリブ236の第1部分237に沿ってタブ273を移動させるのに本来十分である力より大きくすることができる。いくつかの実施形態では、一組のリブ236の第2部分238に沿ってタブ273を移動させることにより、例えば、一組のリブ236の第1部分237に沿ったタブ273の移動から本来もたらされる振動の量より大量のアクチュエータ270の振動をもたらすことができる。同様に、タブ273の形状は、タブ273が、タブ273を近位方向に一組のリブ236に沿って移動させるのに不十分な力が加えられることに応じて、遠位方向に一組のリブ236に沿って移動する、というものであり得る。例えば、図18に示すように、タブ273は非対称形状を有し、そこでは、タブ273の近位面は、その遠位面のピッチより大きいピッチを有する。
【0073】
[1110] 係合部材272及びタブ273について特に図示し上述したが、他の実施形態では、アクチュエータは、任意の好適な構成を有する係合部材及び/又はタブを含むことができる。例えば、タブ273は、係合部材272の近位端部分に又はその近くに配置されているように図示しているが、他の実施形態では、係合部材は、近位端部分に又はその近くに配置された第1タブと、遠位端部分に又はその近くに配置された第2タブとを含むことができ、それらのそれぞれは、イントロデューサの外面に配置された一組のリブに選択的に接触することができる。いくつかの実施形態では、壁277の表面と係合部材272の表面との間に規定された空間を増大させるか又は低減させることができ、それにより、軸方向以外の方向においてイントロデューサ210に対するアクチュエータ270の移動の量の低減又は増大をもたらすことができる。すなわち、壁277の表面と係合部材272の表面との間の空間の増減により、例えば、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して「傾斜する」ことができる量の増減をもたらすことができる。他の実施形態では、アクチュエータ270が所望の組の特徴を有するイントロデューサ210に対して移動するように、係合部材272、タブ273及び/又はイントロデューサ210の一組のリブ236の配置を、修正し、改変し、適合させ、調整し、及び/又は他の方法で変更することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270及び/又はイントロデューサ210の配置により、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際に振動する量を増減させ、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させるのに十分な力の量を増減させ、軸方向以外の任意の好適な方向(例えば、近位方向又は遠位方向)におけるイントロデューサ210に対するアクチュエータ270の移動の量を増減させること等が可能である。
【0074】
[1111] 例えば、図19及び図20に図示するように、第2部分275は、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第2部分215の断面形状に少なくとも部分的に基づく断面形状(例えば、少なくとも部分的に円形断面形状)を有する。このように、第1部材220の内面223と第2部材230の内面233とは、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際に、アクチュエータ270の第2部分275を支持し及び/又は案内することができる。図示するように、第2部分275は、カテーテル260の近位端部分261と第2カテーテル265の遠位端部分267とを受け入れるように構成された開口部276を規定する。いくつかの実施形態では、カテーテル260の近位端部分261は、近位端部分261が開口部276内に配置されると、アクチュエータ270の第2部分275の内面と摩擦嵌合を形成することができる。同様に、第2カテーテル265の遠位端部分267は、遠位端部分267が開口部276内に配置されると、アクチュエータ270の第2部分275の内面と摩擦嵌合を形成することができる。従って、カテーテル260及び第2カテーテル265は、アクチュエータ270に対して固定位置に維持することができ、従って、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際に、アクチュエータ270と同時に移動することができる。
【0075】
[1112] アクチュエータ270の壁277は、アクチュエータ270の第1部分271をアクチュエータ270の第2部分275に結合する。図19及び図20に図示するように、壁277は、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の曲がりくねった断面形状に少なくとも部分的に基づく曲がりくねった断面形状を有する。このように、アクチュエータ270の第1部分271は、アクチュエータ270の第2部分275によって規定される軸に対して平行であるがそこからオフセットされた軸を規定することができる。いくつかの実施形態では、例えば、壁277は、実質的にS字型、又は少なくとも部分的にS字型の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態では、壁277は、例えば、くの字形等を形成することができる。壁277(従って、アクチュエータ270)の曲がりくねった断面形状により、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第1部分214を介して、アクチュエータ270の第2部分275を見ることができない(例えば、第2部分275は視線外にある)。同様に、カテーテル260が第1位置にあるとき、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第1部分214を介して、カテーテル260を見ることはできない。すなわち、アクチュエータ270及び/又はイントロデューサ210の幾何学的形状(例えば、内部空間213の曲がりくねった断面形状、イントロデューサ210の高さ及び/又は幅等)は、カテーテル260が、第1位置にあるとき、内部空間213の第2部分215内で少なくとも部分的に隔離されるように構成されている。このように、イントロデューサ210及び/又はアクチュエータ260の構造は、イントロデューサ210の外側の空間からカテーテル260を保護し及び/又は隔離することができ、それにより、カテーテル260の汚染を制限し及び/又は汚染を実質的に防止することができる。例えば、いくつかの実施形態では、イントロデューサ210及び/又はアクチュエータ270は、少なくともカテーテル260が第1位置にあるとき、カテーテル260を少なくとも部分的に隔離するように構成された「スニーズガード」等として作用することができる。
【0076】
[1113] ここで図21図29を参照すると、移送デバイス200は、使用前に第1構成にあり得る。ユーザ(例えば、医師(doctor)、医師(physician)、看護師、技師、フレボトミスト等)により、移送デバイス200を第1構成(図21図24)から第2構成(図27図29)に移行させて、カテーテル260の少なくとも遠位端部分262を、イントロデューサ210に対して遠位位置に(例えば、留置PIV(図示せず)内に又は留置PIVに対して遠位に)配置することができる。移送デバイス200は、カテーテル260がイントロデューサ210内で第1位置260に配置されるとき、第1構成にある。いくつかの実施形態では、カテーテル260が第1位置にあるとき、実質的にカテーテル260全体がイントロデューサ210内に配置される。こうした実施形態では、イントロデューサ210は、内部空間213の第2部分215内でカテーテル260を隔離するようにイントロデューサ210の遠位端部分212を実質的に封止することができる(上述したような)シール等を含むことができる。しかしながら、図22及び図23に示す実施形態では、カテーテル260は、第1位置にあるとき、イントロデューサ210及びロック240内に配置される。シールについて、イントロデューサ210の遠位端部分212内に含まれているものとして上述したが、他の実施形態では、ロック240は、管腔243を規定するロック240の内面と実質的に流体密封シールを形成することができるシール等を含むことができる。従って、ロック240内に配置されたシールは、内部空間213の第2部分215内でカテーテル260を隔離することができる。さらに他の実施形態では、イントロデューサ210及び/又はロック240は、シールを含むことが必須ではない。例えば、いくつかの実施形態では、PIV及び/又はPIVに結合されたアダプタ(例えば、拡張セット)は、ロック240が結合されたときに閉鎖形態から開放形態に移行するシールを含むことができる。図示しないが、いくつかの実施形態では、可撓性シース等の中にカテーテル260を配置することができ、それは、カテーテル260が第1位置にある間にカテーテル260を実質的に滅菌環境に維持することができる(例えば、イントロデューサ210及び/又はロック240がシールを含まないそれらの実施形態など)。
【0077】
[1114] 図24に示すように、移送デバイス200が第1構成にあるとき、アクチュエータ270は近位位置に配置される。いくつかの実施形態では、アクチュエータ270の第1部分271のタブ273を凹部又は戻り止め内に配置するか、又は他の方法で最近位リブと接触させることができ、最近位リブは、アクチュエータ270を遠位方向に移動させるように力が(例えば、ユーザにより)かけられるまで、アクチュエータ270を近位位置で一時的に維持するように構成されている。さらに、上述したように、第2カテーテル265の一部は、イントロデューサによって規定される開口部217内に配置され、それにより、遠位端部分267は、少なくとも部分的に、内部空間213の第2部分215内に配置され、第2カテーテル265の近位端部分266がイントロデューサ210の外側に配置されている間、アクチュエータ270の第2部分275に結合される(例えば、図21及び図22を参照)。
【0078】
[1115] 移送デバイス200が第1構成にある状態で、ユーザは、ロック240を留置PIVに及び/又はPIVに結合されたアダプタ(例えば、拡張セット等)に結合するように、移送デバイス200を操作することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザは、ロック240の第1アーム243及び第2アーム250を枢動させるのに十分な力をかけることができ、それにより、PIV及び/又はアダプタの一部を、アーム243及び250と例えば突出部242との間に規定された空間内に挿入することができる。いくつかの実施形態では、ロック240が結合されると、PIV及び/又はアダプタ内に突出部242を挿入することができる。例えば、いくつかの実施形態では、PIV及び/又はアダプタのハブ又はバスケット内に、突出部242の一部を挿入することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、突出部242の少なくとも一部をPIV内に配置するのに十分長い突出部242、それにより、PIVを支持し及び/又はPIVに対して構造的剛性を提供する。PIV及び/又はアダプタがロック240に対して所望の位置に配置されると、ユーザは、ロック240のアーム243及び250に対する力を取り除くことができ、それにより、アーム243及び250は、第1アーム243のタブ246及び第2アーム250のタブ253がPIV及び/又はアダプタの表面と接触するまで、突出部242に向かって移動する。いくつかの実施形態では、ロック240の配置は、タブ246及び253並びに突出部242が、集合的にロック240を結合したPIV及び/又はアダプタとの3つの接触点を形成する、というものである。
【0079】
[1116] 移送デバイス200がPIV及び/又はアダプタに結合された状態で、ユーザは、アクチュエータ270の第1部分271の係合部材272を作動させて、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させることができ、それにより、カテーテル260は、(例えば、イントロデューサ210内に配置された)第1位置から第2位置に向かって移動する。このように、カテーテル260は、内部空間213の第2部分215とロック240の管腔255とを通って移動し、従って、カテーテル260の少なくとも遠位端部分262は、図25において矢印CCによって示すように、ロック240の外側にかつ遠位に配置される。いくつかの実施形態では、ロック240の管腔255及びカテーテル260の配置は、カテーテル260が遠位方向において第2位置に向かって移動する際、管腔255を規定するロック240の内面が、カテーテル260と接触し、カテーテル260を支持し、及び/又は他の方法で案内する、というものであり得る。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル260を第1位置から第2位置に向かって移動させることは、(例えば、ロック240内に配置された)シールを閉鎖又は封止構成から開放構成に移行させるように動作可能であり得る。他の実施形態では、ユーザは、(例えば、カテーテル260を第1位置から移動させる前に)移送デバイス200を操作して、シールを封止構成から開放構成に移行させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザは、移送デバイス200の少なくとも一部(例えば、カテーテル260及び/又はロック240)内の圧力を所定の閾値を超えるように上昇させて、シールを開放構成に移行させることができる。いくつかの実施形態では、シールは、一方向弁(例えば、正圧弁又はシール)とすることができ、それは、例えば、シールの近位部にかけられる圧力が、シールの遠位部にかけられる圧力(例えば、シールにかけられる静脈圧)を超えるとき、封止構成から開放構成に移行することができる。
【0080】
[1117] 上述したように、アクチュエータ270及びイントロデューサ210の配置は、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を進めることにより、タブ273が、イントロデューサ210の第2部材230の外面235、より具体的には一組のリブ236に沿って前進する、というものである。例えば、図26に図示するように、タブ273は一組のリブ236と接触し、それにより、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際にアクチュエータ270の振動をもたらすことができる。場合により、アクチュエータ270の振動は、例えば、イントロデューサ210、ロック240及び/又はPIVに対するカテーテル260の遠位端部分262の位置に関連する指標を提供することができる、触覚的(haptic)、触覚的(tactile)及び/又は可聴出力を生成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270のタブ273及び一組のリブ236は、タブ273が各リブを越えて移動する際に、集合的に、「クリック」音を生成することができる。いくつかの実施形態では、イントロデューサ210は、カテーテル260の遠位端部分262の相対位置をユーザに示すことができるしるし等を含むことができる。他の実施形態では、リブのその数に対してアクチュエータ270が移動することによって振動した回数は、カテーテル260の遠位端部分262の相対位置に関連し及び/又は他の方法でその指標を提供することができる。
【0081】
[1118] 場合により、ユーザは、PIVに対するカテーテル260の遠位端部分262の所望の配置(例えば、第2位置)を示す触覚的(haptic)、触覚的(tactile)及び/又は可聴出力に基づいて、イントロデューサ210に対するアクチュエータ270の移動を停止させることができる。言い換えれば、アクチュエータ270が例えば最遠位位置まで前進する前に、カテーテル260を第2位置に配置することができる。本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル260の遠位端部分262がPIVの遠位端部分に対して所望の位置に配置されると、カテーテル260は第2位置に配置される。場合により、例えば、カテーテル260が第2位置にあるとき、カテーテル260の遠位端は、PIVの遠位端と実質的に同一平面であり得る。他の場合では、カテーテル260の遠位端は、PIVの遠位端を所定の距離越えて(例えば、PIVの遠位端に対して遠位に)延在することができる。さらに他の場合では、カテーテル260が第2位置にあるとき、カテーテル260の遠位端をPIV内に(例えば、PIVの遠位端に対して近位に)配置することができる。
【0082】
[1119] 図27図29に図示するように、場合により、アクチュエータ270が最遠位位置にあるとき、カテーテル260は第2位置にあり得る。このように、カテーテル260の遠位面は、カテーテル260の遠位面を所定の距離越えて静脈内に配置される。場合により、カテーテル260の遠位面をPIVの遠位面から所定の及び/又は所望の距離越えて配置することにより、例えば、PIVの遠位端部分を本来は包囲する残骸(例えば、フィブリン/血栓)が実質的にない静脈内の位置に、カテーテル260の遠位面を配置することができる。
【0083】
[1120] 場合により、留置PIVは、PIVが配置される静脈の少なくとも一部を実質的に閉塞させる可能性がある。従って、PIVは、血液を吸引するのではなく流体を送達するのに適している場合が多い。しかしながら、静脈系は、容量系であり、従って、異なる静脈を通して血流のルートを変える(例えば、閉塞又は実質的な閉塞の周囲にバイパスを形成する)。さらに、代替的な静脈構造は、通常、PIVが配置される静脈をPIVの所与の距離下流において再接合し、従って、PIVが配置される静脈を通って本来は流れる血液の流れの少なくとも一部を送達する。同様に、静脈には、通常、PIVが配置される静脈に血液の流れを同様に送達する、多くの分枝血管が結合されている。
【0084】
[1121] 従って、場合により、カテーテル260の遠位面とPIVの遠位面との間の所定の及び/又は所望の距離は、カテーテル260の遠位面を、PIVが配置される静脈と流体連通する1つ又は複数の分枝血液の下流に配置するのに十分であり得る。言い換えれば、カテーテル260の遠位面は、カテーテル260の遠位面を越えて延在することができ、それにより、カテーテル260が第2位置にあるとき、少なくとも1つの分枝血管は、カテーテル260の遠位面とPIVの遠位面との間に配置される。従って、カテーテル260の管腔263がカテーテル260の近位端部分261及び遠位端部分262を通って延在している状態で、カテーテル260の遠位面をPIVの遠位面から所定の及び/又は所望の距離に配置することにより、カテーテル260の管腔263を実質的に遮断されない又は制限されない(例えば、PIV及び/又はPIVの留置に関連する残骸によって遮断されない)血液の流れを受け入れる静脈の部分と流体連通させる。
【0085】
[1122] 場合により、例えば、所定の及び/又は所望の距離は、約0.0ミリメートル(例えば、遠位面が同一平面にある)~約100ミリメートル(mm)であり得る。他の実施形態では、所定の及び/又は所望の距離は、約10mm~約90mm、約20mm~約80mm、約30mm~約70mm、約30mm~約60mm、約40mm~約50mm、又はそれらの間の他の任意の好適な範囲もしくは部分範囲の間であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、移送デバイス200は、アクチュエータ270が、カテーテル260の遠位面を、移送デバイス200が結合されるPIVの遠位面を約40mm越えて配置するように、イントロデューサ210に沿って約95mm移動することができる(例えば、移送デバイス200は95mmストロークを有する)ように構成することができる。他の実施形態では、例えば、移送デバイス200は、カテーテル260の遠位面を、移送デバイス200が結合されるPIVの遠位面を約20mm越えて配置する、47mmストロークを有することができる。さらに他の実施形態では、移送デバイス200は、カテーテル260の遠位面を、PIVの遠位面から所定の及び/又は所望の距離に配置するように任意の好適なストローク長を有することができる。
【0086】
[1123] 所定の及び/又は所望の距離について、正の距離であるものとして上述し、すなわち、カテーテル260の遠位面はPIVの遠位面に対して遠位であるが、他の実施形態では、所定の及び/又は所望の距離は、カテーテル260の遠位面がPIVの遠位面に対して近位位置にあること(例えば、負の距離)に関連付けることができる。例えば、場合により、所定の及び/又は所望の距離は、約0.0mm(例えば、遠位面が同一平面にある)~約-50mm、約-10mm~約-40mm、約-20mm~約-30mm、又はそれらの間の他の任意の好適な範囲もしくは部分範囲の間であり得る。場合により、所定の及び/又は所望の距離は、-50mm未満であり得る(例えば、カテーテル260の遠位面は、PIVの遠位面に対して50mmを超えて近位である)。場合により、カテーテル260の遠位端部分262が例えば、PIV内で屈折等に対して遠位の位置にあり続けるように、カテーテル260を第2位置に配置することができる。例えば、場合により、留置PIVは、末梢静脈カテーテルがハブに結合するPIVの一部等、屈折する1つ又は複数の部分を有する可能性がある。こうした場合、所定の及び/又は所望の距離は、カテーテル260の遠位面が屈折を形成するPIVの部分(例えば、末梢静脈カテーテルがハブに結合する場所)に対して遠位であるようなものとすることができる。いくつかのこうした場合では、カテーテル260の遠位面をPIVの屈折部分に対して遠位であるがPIV内に留まるように配置することにより、流体流路は、血液がカテーテル260を通して吸引されるのを可能にするのに十分に制限されないようにすることができる。
【0087】
[1124] カテーテル260が第2位置にある状態で(例えば、移送デバイス200が、例えば図25及び図26又は図27図29に示す第2構成にある状態で)、ユーザは、流体リザーバ、流体源、シリンジ等とカテーテル260との間に流体連通を確立することができる。例えば、上述したように、いくつかの実施形態では、ユーザは、第2カテーテル265のカプラ269を流体リザーバ、流体源、シリンジ等に物理的にかつ流体的に結合することができる。カテーテル260を第2位置に配置した後、カテーテル260と流体リザーバ又は流体源との間に流体連通を確立するものとして記載しているが、他の実施形態では、ユーザは、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させる前に、カテーテル260と流体リザーバ又は流体源との間に流体連通を確立することができる。カテーテル260が流体リザーバ及び/又は流体源と流体連通している状態で、その後、移送デバイス200は、PIVを通りかつ越えて延在するカテーテル260を介して、患者の体内から流体を移送し、又は患者の体内に流体を移送することができる。例えば、場合により、ユーザは、移送デバイス200を、流体リザーバ、真空容器、シリンジ等に物理的にかつ流体的に結合することができ、その後、少なくとも部分的に、PIVの遠位面を所定の及び/又は所望の距離越えてカテーテル260の遠位面を配置することに基づき、静脈からある量の血液を吸引することができる。
【0088】
[1125] 他の場合では、ユーザは、移送デバイス200を流体源等に物理的にかつ流体的に結合することができ、その後、ある量の流体を、流体源から、実質的に阻止されない及び/又は制限されない血液の流れを受け入れる、PIVの下流の位置における静脈の一部に送達することができる。場合により、カテーテル260の遠位面を、PIVの遠位面を所定の及び/又は所望の距離越えて配置することにより、例えば、腐食薬の注入に関するあり得る損傷を低減させることができる。例えば、カテーテル260の遠位面を、本来は留置PIVによって阻止され及び/又は制限される血液の流れを受け入れる静脈の部分内に配置することにより、腐食薬を血液の流れに混入させ、標的位置に送達することができる。従って、ある量の腐食薬は、残骸内に保持されず、又は、他の方法で、ほとんど血流を受け取らない静脈内の位置に配置されない。
【0089】
[1126] 場合により、所望の量の血液が採取されると、及び/又は所望の量の薬物が患者の体内に送達されると、ユーザは、アクチュエータ270を近位方向に移動させ、それにより、移送デバイス200を第3(使用済み)形態にすることができる。第3形態では、カテーテル260をイントロデューサ210内に(例えば、シール等に対して遠位に)配置し、その中で隔離することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270をその最近位位置に配置することができ、そこでは、カテーテル260が第1位置にある。さらに、アクチュエータ270及びカテーテル260が所望の位置になると、ユーザは、例えば、開口部217内で第2カテーテル265を操作して、開口部217の相対的に小さい部分を規定するイントロデューサ210の表面が第2カテーテル265と接触しそれを締め付けるようにすることができる。従って、第2カテーテル265の管腔268を、そこを通る流体の流れの量を制限し及び/又は流れを実質的に阻止するように、実質的に塞ぎ、閉塞させ、遮断し、はさみつける等が可能である。場合により、第2カテーテル265を記載したように締め付けることにより、例えば、第2カテーテル265を通って流体が漏れるのを低減させ及び/又は実質的に防止することができる。場合により、その後、移送デバイス200を、流体リザーバ、流体源、シリンジ等から分離し、安全に廃棄することができる。
【0090】
[1127] 図30は、ある実施形態による、流体移送デバイスを使用して末梢静脈ラインにより流体を移送する方法10を示すフローチャートである。本方法は、11において、流体移送デバイスのロックを留置末梢静脈ライン(PIV)に結合することを含む。流体移送デバイスは、PIVにより流体移送するように構成された任意の好適なデバイスであり得る。例えば、この実施形態では、流体移送デバイスは、図3図29を参照して上述した流体移送デバイス200と実質的に同様であり得る。従って、流体移送デバイスは、ロックに結合されたイントロデューサと、イントロデューサ内に移動可能に配置されたカテーテルと、カテーテルに結合されかつイントロデューサの外面と接触しているアクチュエータとを含む。いくつかの実施形態では、イントロデューサは、集合的にイントロデューサを形成する第1部材及び第2部材を含む。こうした実施形態では、第2部材は、図7図12において第2部材230に関して上述したように、一組のリブ等を規定する外面を有することができる。このように、アクチュエータは、イントロデューサの第2部材によって形成されるリブと接触することができる。さらに、移送デバイス200に関して上述したように、イントロデューサは、内部空間を規定することができ、内部空間は、イントロデューサの外側の空間から内部空間内に配置されたカテーテルを少なくとも部分的に隔離するように構成された、曲がりくねった断面形状を有する。
【0091】
[1128] 12において、ロックがPIV(及び/又はPIVに結合されたアダプタ)に結合された状態で、アクチュエータをイントロデューサに対して移動させて、カテーテルを、カテーテルが、イントロデューサ又はロックによって規定された内部空間の少なくとも1つ内に配置されている第1位置から、カテーテルの少なくとも一部がPIVの少なくとも一部を越えて配置される第2位置に向かって進める。このように、カテーテルを、例えば遠位方向に進めることができる。いくつかの実施形態では、ロックは、カテーテルが第2位置に向かって移動する際にカテーテルを受け入れるように構成された管腔を規定する内面を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロックの内面は、カテーテルが第2位置に向かって遠位方向に移動する際に、カテーテルと接触し、カテーテルを支持し、及び/又は他の方法でカテーテルを案内することができる。
【0092】
[1129] いくつかの実施形態において移送デバイス200に関して上述したように、アクチュエータ及びイントロデューサの配置は、イントロデューサに対してアクチュエータを進めることにより、イントロデューサの外面によって形成されたリブに沿ってアクチュエータの一部が前進する、というものである。いくつかの実施形態では、リブに沿ってアクチュエータを移動させることにより、アクチュエータの振動をもたらすことができ、それにより、触覚的(haptic)、触覚的(tactile)及び/又は可聴的出力を生成することができる。従って、13において、アクチュエータがカテーテルを第1位置から第2位置に向かって移動させる際のカテーテルの遠位端部分の位置に関連する指標を、ユーザに対して提供する。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ及び一組のリブは、集合的に、「クリック」音、触覚振動等を生成することができる。いくつかの実施形態では、イントロデューサは、ユーザに対し、カテーテルの遠位端部分の相対位置を示すことができるしるし等を含むことができる。他の実施形態では、アクチュエータをリブに沿って移動させることによってアクチュエータが振動する回数を、カテーテルの遠位端部分の相対位置に関連付け、及び/又はそうした回数が相対位置の指標を提供することができる。
【0093】
[1130] 14において、少なくとも部分的に上記指標に基づき、カテーテルの遠位端部分がPIVの少なくとも一部を(例えば、PIVの遠位面を)所定の及び/又は所望の距離越えて配置されるように、カテーテルを第2位置に配置する。例えば、アクチュエータをイントロデューサの長さの少なくとも一部移動させた後、カテーテルを第2位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータが最遠位位置に配置されると、カテーテルを第2位置に配置することができる。移送デバイス200に関して上述したように、場合により、PIVの一部を越える所定の及び/又は所望の距離により、カテーテルの遠位面を、本来はPIVの遠位端部分を包囲する残骸(例えば、フィブリン/血栓)が実質的にない静脈の部分内に配置することができる。同様に、場合により、詳細に上述したように、例えばPIVの遠位端部分から所定の及び/又は所望の距離にカテーテルの遠位端部分を配置することにより、カテーテルの管腔を、実質的に遮断されていない又は制限されていない(例えば、PIV及び/又はPIVの留置に関連する残骸によって遮断されない)血液の流れを受け入れる静脈の一部と流体連通させることができる。このように、ユーザは、移送デバイスを流体リザーバ及び/又は流体源に結合して、患者の体内から及び/又は患者の体内にそれぞれ流体を移送することができる。
【0094】
[1131] 図31図34は、ある実施形態による流体移送デバイス300を示す。流体移送デバイス300は、任意の適切な形状、サイズ、及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、流体移送デバイス300(「移送デバイス」とも呼ばれる)は、図3~30を参照して上で詳細に記載した移送デバイス200と同様及び/又は実質的に同じであり得る。従って、移送デバイス300の部分及び/又は態様は、本明細書でさらに詳細には記載されず、特に明記しない限り、移送デバイス200の対応する部分及び/又は態様と形態及び/又は機能が実質的に同様であると見なされるべきである。
【0095】
[1132] 図31に示すように、移送デバイス300は、イントロデューサ310、カテーテル360、及びアクチュエータ370を含む。イントロデューサ310は、近位端部分311及び遠位端部分312を含み、内部容積313を規定する。イントロデューサ310の遠位端部分312は、イントロデューサ310を配置及び/又は留置PIV(図示せず)に結合するように構成されたロック340を含み、及び/又はそれに結合される。イントロデューサ210を参照して上述したように、イントロデューサ310は、イントロデューサ310の長さに沿って配置された一組のリブ336を含む及び/又は形成する外面を有する。リブ336は、本明細書でさらに詳細に記載されるように、アクチュエータ370の一部に係合及び/又は接触するように構成される。このように、イントロデューサ310は、例えば、図3図12を参照して上で詳細に記載したイントロデューサ210と同様及び/又は実質的に同じであり得る。
【0096】
[1133] カテーテル360は、アクチュエータ370に結合され、イントロデューサ310内に移動可能に配置される。さらに、カテーテル360の少なくとも一部は、ロック340によって規定された管腔内に移動可能に配置することができる。カテーテル360は、任意の適切な形状、サイズ、及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル360は、上で詳細に記載したカテーテル260と実質的に同様であり得る。従って、カテーテル360について本明細書ではさらに詳細には記載しない。
【0097】
[1134] アクチュエータ370は、任意の適切な形状、サイズ、及び/又は構成であり得る。図31及び図32に示すように、アクチュエータ370は、第1部分371及び第2部分375と、それらの間に配置された壁377とを含む。アクチュエータ370の第1部分371は、イントロデューサ310に移動可能に結合するように構成される。アクチュエータ370の第2部分375は、カテーテル360の近位端部分及び第2カテーテル365の遠位端部分に結合するように構成される(図31)。カテーテル360、第2カテーテル365、及びアクチュエータ370の配置は、カテーテル260、第2カテーテル265、及びアクチュエータ270の配置を参照して上述したように、カテーテル360の管腔が第2カテーテル365の管腔と流体連通して、流体がそれらの間に流れることを可能にするようなものである。
【0098】
[1135] アクチュエータ370の第1部分371は、第1部分371の内面から延びてイントロデューサ310の外面に接触するタブ373を含む。例えば、タブ373は、イントロデューサ310の外面に沿って形成された一組のリブ336に接触するように構成された突起、出っ張り、隆起、ノブ等であり得る。図31図34に示される実施形態では、タブ373が一組のリブ336に接触する結果として、アクチュエータ370はイントロデューサ310に対してある角度で配置される。すなわち、第1部分371の内面から延びるタブ373と、一組のリブ336との間の接触は、図32に示すように、アクチュエータ370の長手方向軸L1がイントロデューサ310の長手方向軸L2に対して非平行になるように、アクチュエータ370の少なくとも一部を傾斜させる、枢動させる、斜めにする、及び/又は別の方法で変位させる。このようにして、第1力F1が第1方向においてアクチュエータ370の近位端部分に加えられ、第2力F2が第2方向においてアクチュエータ370の遠位端部分に加えられる(例えば等しくて反対の力)。従って、アクチュエータ370の第2部分375がカテーテル360の近位端部分に結合され、カテーテル360の一部(例えば、カテーテル360の少なくとも遠位端部分)がロック340の管腔に配置されている状態で、アクチュエータ370の斜めの配置及び/又は向きは、アクチュエータ370とロック340との間に配置されたカテーテル360の長さに沿って加えられる応力をもたらす。図31に示されるように、カテーテル360の長さに沿って加えられる応力は、アクチュエータ370とロック340との間に配置されたカテーテル360の少なくとも一部を湾曲、屈曲、偏向、変形、クラッチ、及び/又は別の方法で再構成するのに十分であり得る。言い換えれば、アクチュエータ370を斜めにすること又は傾斜させることは、カテーテル360の事前負荷(例えば、事前負荷応力)をもたらす。
【0099】
[1136] デバイス200を参照して上で詳述したように、アクチュエータ370をイントロデューサ310に沿って及び/又はそれに対して移動させて、カテーテル360を第1位置(例えば近位位置)と第2位置(例えば遠位位置)との間で移動させることができる。いくつかの例では、アクチュエータ370及びカテーテル360の配置は、アクチュエータ370がイントロデューサ310に沿って前進するとき、デバイス300の「クラッチング」をもたらすことができる。例えば、ユーザは、アクチュエータの第1部分371に力を加え、アクチュエータ370をイントロデューサ310に対して遠位方向に動かすことができ、これにより、図33の矢印DDによって示されるように、カテーテル360はその第2位置(例えば、遠位位置)に向かって移動させられる。しかしながら、いくつかの例では、カテーテル360(例えば、カテーテル360の遠位端)は、カテーテル360のさらなる遠位方向への動きを妨げる又は阻止する妨害物等に遭遇するか、又は衝突する場合がある。そのような場合、(上述の)アクチュエータ370の角度付けから生じるカテーテル360の事前負荷により、アクチュエータ370とロック340との間に配置されたカテーテル360の長さに沿って応力集中ライザー等が生成される。従って、カテーテル360の遠位端が妨害物と接触すると、ユーザがアクチュエータ370の第1部分371に(例えば、DD方向に)加える力により、カテーテル360の「クラッチング」(例えば、偏向、変形、屈曲、湾曲等)が生じる。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル360の一部は、内部容積313の一部(例えば、例えば、アクチュエータ370の壁377を受け入れる内部容積313の部分)を介して屈曲、変形、偏向、及び/又は移動して、図33及び図34に示すような「クラッチ」構成にされることができる。
【0100】
[1137] いくつかの例では、カテーテル360のクラッチングは、カテーテル360の移動が妨害されている、及び/又は妨げられているという指標をユーザに提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、イントロデューサ310は、ユーザがカテーテル360の状態及び/又は構成を視認することを可能にし得る実質的に透き通った及び/又は透明な材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル360のクラッチング及び/又は変形は、カテーテル360の一部がイントロデューサ310の内面に衝突するようなものであり得、これは、カテーテル360がクラッチ構成にある(例えばカテーテル360の移動が妨げられている又は塞がれている)という可聴(例えば、「クリック」)及び/又は触覚的指標を生成できる。
【0101】
[1138] いくつかの例では、カテーテル360のクラッチングは、妨害物を越えたカテーテル360の前進を容易にすることができる自己解放機構等を提供及び/又は形成することができる。例えば、いくつかの例では、カテーテル360がクラッチされた(すなわち、図33及び34に示されるように変形した)後、ユーザは、アクチュエータ370に(例えば、DD方向に)かかる力を低減及び/又は除去することができ、これは、カテーテル360が少なくとも部分的に再構成することを可能にし得る。いくつかのそのような例では、カテーテル360の再構成時に、カテーテル360の遠位端部分は、妨害物等を越えて及び/又は通って移動することができる。例えば、いくつかの例では、カテーテル360の遠位端は、カテーテル360がPIV、PIVハブ、拡張セット等を通って遠位方向に進められるときにそれらの壁(例えば屈折した壁)又は構造に接触及び/又は衝突し得る。この接触及び/又は衝撃は、次に、カテーテル360のクラッチングをもたらし得る(上記のように)。そのような場合、アクチュエータ370の第1部分371に加えられる力を低減及び/又は除去することにより、カテーテル360は、カテーテル360の遠位端部分が妨害壁及び/又は構造を安全な、制御された、及び/又は所定の方法で越えて移動する非クラッチ構成に再構成及び/又は移行することができる。従って、カテーテル360のクラッチングは、力の減少に応じてカテーテル360が「クラッチされない」ことを可能にする自己修正機構等を提供することができ、それにより、カテーテル360の遠位端は妨害物に沿って及び/又はそれを越えて移動することができる。
【0102】
[1139] 他の例では、カテーテル360は、アクチュエータ370に加えられる力が低減及び/又は除去されるとき、クラッチ構成のままであり得る。そのような例では、ユーザは、例えば、デバイス300及び/又は患者の一部の少なくとも一方を操作して、カテーテル360を「クラッチされない」ようにすることができる。例えば、いくつかの例では、カテーテル360は留置PIVを介して患者の腕の静脈へ挿入され得る。いくつかのそのような例では、カテーテル360の遠位端は、留置PIVカテーテルの屈折部分等に衝突する可能性があり(例えば、しばしばPIVカテーテルの挿入部位で又はその近くで)、これにより、カテーテル360は上述のようにクラッチ構成へ移行される可能性がある。さらに、いくつかの例では、カテーテル360は、アクチュエータ370に加えられる力を低減及び/又は除去したにもかかわらず、クラッチ構成のままであり得る。従って、ユーザは、例えば、患者の腕を操作して、及び/又は患者の腕に対して(PIVに結合された)デバイス300を操作して、PIV及びカテーテル360が配置される静脈に対してPIVを移動及び/又は再構成することができる。いくつかの例では、患者の腕を操作した後、及び/又は別の方法で静脈に対してデバイス300及び/又はPIVを再構成した後、カテーテル360は非クラッチ構成に移行することができる。
【0103】
[1140] いくつかの実施形態では、カテーテル360及び/又はデバイス300のクラッチングは、妨害物との衝突に関連する力を制限するように作用することができる。例えば、いくつかの例では、カテーテル360は、留置末梢静脈ライン(PIV)の少なくとも一部を通って静脈に向かって進めることができる。カテーテル360がPIV内及び/又はPIVを通って前進するとき、カテーテル360の遠位端がPIVの内部構造等に衝突することに関連する力を低減又は制限することが望ましい場合がある。従って、カテーテル360の遠位端がPIVの内部構造(及び/又は拡張セットの内部構造、静脈壁又は他の静脈構造等などの何らかの他の構造)と衝突することに応答したカテーテル360のクラッチングは、内部構造に作用する力を制限するように作用することができる。すなわち、カテーテル360のクラッチングは、カテーテル360の遠位端が構造物と衝突することに関連する力の少なくとも一部を吸収、方向変更、及び/又は再分配する。従って、カテーテル360のクラッチングは、カテーテル360、PIV又は拡張セットの構造、静脈壁等の損傷を低減及び/又は実質的に防止することができ、そのような損傷は通常であればカテーテル360の遠位端との衝突から生じ得るものである。
【0104】
[1141] いくつかの実施形態では、イントロデューサ310内に配置されたカテーテル360は、所定の及び/又は予測可能な方法でクラッチする、屈曲する、撓む、湾曲する、及び/又は別の方法で再構成するように構成でき、これは、デバイス300の1つ又は複数のパラメータ、特性、動力学等の「調整」又は制御を可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル360は、第1構成(例えば、近位構成又は非クラッチ構成)にあるときに付勢され得る。この構成では、(上記のように)イントロデューサ310に対するアクチュエータ370の角度を増加又は減少させることにより、付勢の量をそれぞれ増加又は減少させることができる。付勢の量の増加又は減少は、それぞれ、カテーテル360の一部に沿った予負荷された応力及び/又は力の量の増加又は減少をもたらすことができ、これは、それぞれ、カテーテル360が非クラッチ構成からクラッチ構成に移行する可能性又は移行し易さを増加又は減少させ得る。
【0105】
[1142] いくつかの例では、カテーテル360がクラッチされる態様は、制御及び/又は「調節」することができる。例えば、上述のように、カテーテル360は、非クラッチ時に付勢又は湾曲された構成であることができる。妨害物との衝突に応答して、カテーテル360は、図33に示すように、カテーテル360が正弦波状(例えば、曲線状、実質的にS字形等)に偏向するように、非クラッチ構成からクラッチ構成に移行することができる。いくつかの例では、アクチュエータ370に加えられるさらなる力により、カテーテルの屈曲又は偏向をもたらすことができ、その結果、図34の矢印EEに示されるように、カテーテルの一部はイントロデューサ310の内部容積313の第2部分315(例えば、垂直部分等)を通って移動し、イントロデューサの内部容積313の第1部分314(例えば、水平部分等)へ移動する。さらに、いくつかの実施形態において、カテーテル360の一部は、カテーテル360の一部がイントロデューサ310の外側に配置されるように内部容積313の第1部分314を通って延びるように、偏向、屈曲、及び/又はクラッチすることができる。従って、いくつかの実施形態では、カテーテル360は、非クラッチ構成からクラッチ構成に移行するときに4段階の偏向を有する及び/又は経験することができる。他の実施形態では、クラッチ構成に移動したときのカテーテル360の運動範囲は、カテーテル360が内部容積313の第2部分315又は内部容積313の第1部分314に留まるように制限することができる(例えば、カテーテル360は、それぞれ2段階の偏向又は3段階の偏向を通じて移動することができる)。従って、カテーテル360及び/又はデバイス300は、所定の、所望の、及び/又は予測可能な方法でクラッチするように構成することができ、これにより、留置PIVを介した静脈内へのカテーテル360の挿入に関連する1つ又は複数の特性を変更、調整、調節、及び/又は別の方法で制御することができる。
【0106】
[1143] デバイス200を参照して上述したように、イントロデューサ310に対してアクチュエータ370を進めると、アクチュエータ370の第1部分371のタブ373が一組のリブ336に沿って移動させられる。いくつかの例では、一組のリブ336に沿ったタブ373の移動は、カテーテル360を第1位置と第2位置との間で動かすことに関連する触覚的フィードバック等をユーザに提供することができる。加えて、いくつかの例では、一組のリブ336に沿って移動させられるタブ373から生じるアクチュエータ370の振動が、同様にカテーテル360の振動をもたらし得る。いくつかの例では、カテーテル360の振動は、少なくとも部分的に静脈内に配置される間、静脈の血管拡張又は血管弛緩をもたらす可能性があり、その結果、静脈の直径が増大する可能性がある。静脈の直径の増大及び/又は静脈の収縮量の減少により、例えば、静脈の部分への増加したアクセス及び/又は静脈を通る血流の増加が可能になり、それにより、少なくとも部分的にその中に配置されたカテーテル360を介した静脈からのより良い流体(例えば血液)の移送がもたらされ得る。
【0107】
[1144] 図35及び図36は、ある実施形態による流体移送デバイス400の概略図である。流体移送デバイス400は、本明細書に記載されているような任意の適切な移送デバイスとすることができる。例えば、流体移送デバイス400は、図3~29を参照して上述した流体移送デバイス200と実質的に同じ形態及び/又は機能とすることができる。従って、流体移送デバイス400の関連する部分が図35及び図36で特定されているが、流体移送デバイス400はこれに限定されず、特に明示的に示されない限り、流体移送デバイス200と実質的に同じであると考えられるべきである。例えば、流体移送デバイス400(本明細書では「移送デバイス」又は「デバイス」とも呼ばれる)は、近位端部分411及び遠位端部分412を有するイントロデューサ410を含む。移送デバイス200を参照して上述したように、デバイス400も同じく、イントロデューサ内に移動可能に配置されたカテーテルと、イントロデューサに移動可能に結合され、カテーテルに固定的に結合されたアクチュエータとを含む。上述のように、ユーザはアクチュエータに力を加えて、アクチュエータをイントロデューサ410に沿って移動させ、これによりカテーテルをカテーテルがイントロデューサ410内に配置される第1位置とカテーテルの少なくとも一部がイントロデューサ410を越えて遠位方向に延びる第2位置との間で移動させる。
【0108】
[1145] 図35及び図36に示されるように、イントロデューサ410の遠位端部分412は、デバイス400を、例えば、拡張セット490(例えば、Tアダプタ又はYアダプタなどのアダプタ)及び/又は末梢静脈ライン(PIV)405に結合するように構成されたロック440に結合される。ロック440は、例えば図13~15を参照して上述したロック240と実質的に同様であり得る。従って、ロック440の態様は、本明細書でさらに詳細に記載される。
【0109】
[1146] ロック440は、突出部442、第1アーム443、及び第2アーム450を含む。図36に示されるように、第1アーム443及び第2アーム450は、拡張セット490の近位端部分491と集合的に係合して、デバイス400をそれに結合することができる。さらに、拡張セット490の遠位端部分492に結合されたPIV405と流体連通した状態にロック440を配置するためにロック440が拡張セット490に結合されるとき、突出部442は拡張セット490内に少なくとも部分的に配置され得る。拡張セット490に結合されるように示され記載されているが、他の実施形態では、第1アーム443及び第2アーム450は、PIV405の一部に集合的に係合して、デバイス400をそれに(例えば、拡張セット490を使用せずに)結合することができる。
【0110】
[1147] 図36に示すように、第1アーム443及び第2アーム450の配置は、拡張セット490及び/又はPIV405に結合されたとき、及び第1アーム443又は第2アーム450が標的表面Sと接触するように配置されたとき、デバイス400が所定の及び/又は所望の角度θで配置されるようなものであり得る。さらに拡大すると、いくつかの実施形態では、標的表面Sは患者の腕であり得、PIV405は、患者の腕の静脈内に少なくとも部分的に配置されるように事前に挿入され得る(例えば、PIV405は留置PIV等である)。ロック440は、イントロデューサ410の遠位端部分412に回転可能に結合され、それにより、ユーザが第1アーム443又は第2アーム450が標的表面Sに隣接するようにロック440を所望の向きに回転させることを可能にする。図36に示す例では、第2アーム450が標的表面Sに隣接し、接触している。拡張セット490に結合されたロック440により、及び留置PIV405に結合された拡張セット490により、第2アーム450は、図36に示すようにデバイス400が標的表面Sに対して所定の及び/又は所望の角度θで配置されるように、標的表面Sと接触した状態にあり得る。
【0111】
[1148] いくつかの実施形態では、所定及び/又は所望の角度θは、約0°から約30°の間であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、所定の及び/又は所望の角度θは約15°であり得る。そのような実施形態では、デバイス400を所定の及び/又は所望の角度θで配置することにより、例えば、カテーテルの少なくとも遠位端部分が静脈内に配置されるようにPIV405を通って延びるようにカテーテルの第1位置から第2位置への前進を容易にすることができる。いくつかの例では、デバイス400の所定及び/又は所望の角度θは、PIV405の挿入角度にほぼ等しい、及び/又は別の方法で関連付けることができる。従って、デバイス400を所定及び/又は所望の角度θで配置することは、カテーテルに沿った屈折の可能性を制限及び/又は減少させることができ、これにより、体液(例えば血液)のカテーテル内の移送を促進することができる。さらに、いくつかの例では、デバイス400を所定及び/又は所望の角度θで配置すると、デバイス400及び/又はPIVの動きが少なくなり、切り離し及び/又は外れの可能性が低くなり、血腫、血栓症、血栓、感染等のリスクが減少し、及び/又は患者の快適性を高めることができる。
【0112】
[1149] ロック440の第2アーム450は、標的表面Sに対して所定の及び/又は所望の角度θで移送デバイス400を配置及び/又は維持するために標的表面Sと接触して配置されるものとして上述したが、他の実施形態では、流体移送デバイスは、移送デバイスを所定の及び/又は所望の角度で配置するように構成された任意の適切なデバイスを含む及び/又はそれに結合されることができる。例えば、図37は、ある実施形態による流体移送デバイス500を示す。流体移送デバイス500は、図35及び図36を参照して上述した流体移送デバイス400と実質的に同じ形態及び/又は機能とすることができ、従って、その移送デバイスの各部分について本明細書ではさらに詳述しない。
【0113】
[1150] 流体移送デバイス500(本明細書では「移送デバイス」又は「デバイス」とも呼ばれる)は、近位端部分511及び遠位端部分512を有するイントロデューサ510を含む。イントロデューサ510の遠位端部分512はロック540に結合され、ロック540は、上で詳述したように、デバイス500を留置PIV(図37には図示せず)に物理的及び流体的に結合するように構成される。図37に示されるように、イントロデューサ510の遠位端部分512は、支持部材580に結合される。支持部材580は、任意の適切な形状、サイズ、又は構成であり得る。例えば、この実施形態では、支持部材580は、1つ又は複数の延長部、支柱、突起、ロッド、指状部分等であり得、それらのそれぞれは、イントロデューサ510の遠位端部分512に結合される及び/又は含まれる。ロック440の第2アーム450を参照して上述したように、支持部材580は、標的表面Sと接触することができ、及び、支持部材580がイントロデューサ510の遠位端部分512に結合されるときにデバイス500が標的表面Sに対して所定の及び/又は所望の角度θで維持及び/又は配置されるように、配置されることができる。
【0114】
[1151] 支持部材580は具体的に図37に示されているが、流体移送デバイスは、任意の適切な形状、サイズ、及び/又は構成を有する支持部材を含むことができ、及び/又はそれに結合できることを理解されたい。例えば、図38は、ある実施形態による流体移送デバイス600を示している。流体移送デバイス600は、図37を参照して上述した流体移送デバイス500と実質的に同じ形態及び/又は機能とすることができ、従って、移送デバイス600の各部分について本明細書ではさらに詳述しない。
【0115】
[1152] 流体移送デバイス600(本明細書では「移送デバイス」又は「デバイス」とも呼ばれる)は、近位端部分611及び遠位端部分612を有するイントロデューサ610を含む。イントロデューサ610の遠位端部分612はロック640に結合され、ロック640は、上で詳述したように、デバイス600を留置PIV(図38には図示せず)に物理的及び流体的に結合するように構成される。図38に示す実施形態では、イントロデューサ610の遠位端部分612は、楔等として構成される支持部材680に結合される。例えば、いくつかの実施形態では、支持部材680は、標的表面Sと接触して配置されるように構成される第1表面681と、第1表面681に対して角度を形成するように構成される第2表面682とを含むことができる。このようにして、第2表面682は、デバイス600を標的表面Sに対して所定及び/又は所望の角度θで配置及び/又は維持するように、デバイス600の一部(例えば、イントロデューサ610の遠位端部分612及び/又はデバイス600の任意の他の適切な部分)と接触して配置され得る。
【0116】
[1153] 支持部材580及び680は、それぞれイントロデューサ510及び610に含まれ及び/又は結合されるように上述されているが、他の実施形態では、支持部材は、流体移送デバイスの任意の適切な部分に含まれ及び/又は結合されてもよい。例えば、図39及び図40は、ある実施形態による流体移送デバイス700を示す。流体移送デバイス700は、図35及び36を参照して上述した流体移送デバイス400と実質的に同じ形態及び/又は機能とすることができ、従って、移送デバイス700の各部分について本明細書ではさらに詳述しない。
【0117】
[1154] 流体移送デバイス700(本明細書では「移送デバイス」又は「デバイス」とも呼ばれる)は、(上記のように)ロック740に結合された遠位端部分を有するイントロデューサ710を含む。ロック740は、突出部742、第1アーム743、及び第2アーム750を含む。図39及び図40に示される実施形態では、移送デバイス700は、ロック740に結合された支持部材780を含む。より具体的には、支持部材780は、第1部分783及び第2部分784を含む。支持部材780の第1部分783は、実質的に環状であり得る、及び/又は、例えば、ロック740の突出部742の少なくとも一部を受け入れるように構成された開口部を規定することができる。言い換えると、ロック740の突出部742は、支持部材780の第1部分783に挿入可能であり、それにより支持部材780をロック740に結合する。いくつかの実施形態では、支持部材780の第1部分783及び突出部742の一部は、ロック740に対して実質的に固定された位置に支持部材780を少なくとも一時的に保持することができる摩擦嵌め又は圧入を集合的に形成することができる。
【0118】
[1155] 図40に示されるように、支持部材780の第2部分784は、第1部分783から延び、接触面785を含む。第1部分783は、第2部分784の接触面785に対して所定及び/又は所望の角度で配置される。別の言い方をすれば、第1部分783の開口部によって規定される軸は、接触面785によって規定される及び/又はそれと平行な面に対して所定及び/又は所望の角度で配置される。従って、支持部材780がロック740に結合され、接触面785が標的表面(例えば、患者の解剖学的構造の一部)と接触した状態に配置されると、装置700は、標的表面に対して所定及び/又は所望の角度で配置及び/又は置かれることができる。上述のように、所定の及び/又は所望の角度は、約0°から約30°の間であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、所定の及び/又は所望の角度は約15°であり得る。他の実施形態では、所定の及び/又は所望の角度は約25°であり得る。さらに他の実施形態では、所定の及び/又は所望の角度は、0°未満又は30°超であり得る。
【0119】
[1156] 支持部材780は、第1部分783から延びる単一部材(すなわち、第2部分784)を含むものとして上述されているが、他の実施形態では、支持部材は任意の数の延長部(例えば、第2部分)を含むことができる。例えば、図41は、ある実施形態による流体移送デバイス800を示している。流体移送デバイス800は、図39及び図40を参照して上述した流体移送デバイス700と実質的に同じ形態及び/又は機能とすることができ、従って、移送デバイス700の各部分について本明細書ではさらに詳述しない。
【0120】
[1157] 流体移送デバイス800(本明細書では「移送デバイス」又は「デバイス」とも呼ばれる)は、(上記のように)ロック840に結合された遠位端部分を有するイントロデューサ810を含む。ロック840は、突出部842、第1アーム843、及び第2アーム850を含む。図41に示す実施形態では、移送デバイス800は、ロック840に結合された支持部材880を含む。支持部材780を参照して上述したように、支持部材880は、第1部分883と、第1部分883から延びる一組の第2部分884とを含む。第1部分883は、支持部材780を参照して上述したように、突出部842の一部の周りに配置されるように構成される。さらに、各第2部分884は、支持部材780を参照して上述したように、接触面885を含む。
【0121】
[1158] しかしながら、支持部材880は、第2部分884の配置において支持部材780と異なっていてもよい。例えば、図41に示すように、支持部材880は、第1部分883の円周の一部の周りに分配された3つの第2部分884の組を含む。このように、第2部分884の組は標的表面(例えば、患者の解剖学的構造の一部)と接触した状態に置くことができ、デバイス800は支持部材780を参照して上述したように、標的表面に対して所定の及び/又は所望の角度で配置される及び/又は置かれることができる。さらに、第2部分884の組の配置は、いくつかの例では、標的表面に対するデバイス800の回転、転倒、揺れ、及び/又は他のあらゆる望ましくない動きを制限及び/又は実質的に防止する横方向支持を提供することができる。
【0122】
[1159] 移送デバイス100、200、300、400、500、600、700、及び/又は800には示されていないが、本明細書に記載の流体移送デバイスはいずれも、例えば、イントロデューサ内に配置されたカテーテルを案内、遮蔽、保護、及び/又は支持するように構成された内部支持部材を含むことができる。例えば、図42は、ある実施形態による流体移送デバイス900を示している。流体移送デバイス900は、図3~29を参照して上述した流体移送デバイス200と実質的に同じ形態及び/又は機能とすることができ、従って、移送デバイス900の各部分について本明細書ではさらに詳述しない。
【0123】
[1160] 流体移送デバイス900(本明細書では「移送デバイス」又は「デバイス」とも呼ばれる)は、イントロデューサ910、カテーテル960、アクチュエータ970、及び内部支持部材986を含む。移送デバイス200を参照して上述したように、イントロデューサ910は、ロック940に結合された遠位端部分を有し、ロック940は移送デバイス900を例えば留置PIV及び/又は拡張セット(例えば、Yアダプタ、Tアダプタ等)に結合するように構成される。イントロデューサ910は、カテーテル960の少なくとも一部、アクチュエータ970、及び内部支持部材986を受け入れ及び/又は収容するように構成された内部容積913を規定する。上述のように、アクチュエータ970はイントロデューサ910に移動可能に結合され、第1部分971と、第2部分975と、第1部分971を第2部分975に結合する壁977とを含む。アクチュエータ970の第1部分971は、イントロデューサ910の外側に配置される。アクチュエータ970の第2部分975は、イントロデューサ910の内部容積913内に配置され、カテーテル960の遠位端部分に固定して結合される。このようにして、ユーザは、移送デバイス200を参照して上述したように、アクチュエータ970の第1部分971に力を加えて、カテーテル960を、カテーテル960がイントロデューサ910及び/又はロック940内に配置される第1位置(例えば近位位置)と、カテーテル960の少なくとも一部がロック940を越えて遠位方向に延びる第2位置(例えば遠位位置)との間で移動することができる。
【0124】
[1161] 図42及び図43に示されるように、移送デバイス900はまた、イントロデューサ910の内部容積913内及びカテーテル960の少なくとも一部の周りに配置された内部支持部材986を含む。内部支持部材986は、任意の適切な形状、サイズ、及び/又は構成であり得る。例えば、この実施形態では、内部支持部材986は、内部支持部材986を内部容積913(又はその一部)内に配置できる直径を有する実質的に円筒形の管である。さらに、内部支持部材986は、カテーテル960の少なくとも一部を取り囲む及び/又は実質的に囲むように構成される。いくつかの実施形態では、内部支持部材986は、カテーテル960の望ましくない偏向及び/又は変形を制限及び/又は実質的に防止するようにカテーテル960を支持することができる。例えば、移送デバイス300を参照して上述したように、いくつかの実施形態では、カテーテル960は、カテーテル960の遠位端が妨害物等に衝突するのに応答して「クラッチ」又は偏向するように構成され得る。そのような実施形態では、カテーテル960の少なくとも一部の周りに内部支持部材986を配置することにより、「クラッチ」構成に移行したときのカテーテル960の偏向量を制限することができる。いくつかの実施形態では、そのような配置は、例えば、イントロデューサ910(又はその所望の部分)の内部容積913内にカテーテル960を維持することができる。すなわち、内部支持部材986は、カテーテル960を支持し、及び/又は、通常であれば(例えば、アクチュエータスロット、トラック、又は開口部を介して)カテーテル960の一部を内部容積913の外側に延ばし得るカテーテル960の偏向量を制限することができる。
【0125】
[1162] 内部支持部材986は、図42及び図43に示されるように、内部支持部材986の長さに沿って渦巻状及び/又はコイル状になるスリット987を含み、及び/又は規定する。アクチュエータ970の第2部分975は、内部支持部材986内に配置することができ、アクチュエータ970の壁977の少なくとも一部は、内部支持部材986によって規定されるスリット987を通って延びることができる(例えば図42参照)。アクチュエータ970及び内部支持部材986のこの配置は、ユーザがイントロデューサ910の長さに沿ってアクチュエータ970を動かすとき、アクチュエータ970の第2部分975及びカテーテル960が内部支持部材986内で移動させられるようなものである。壁977がスリット987を通って延びているので、イントロデューサ910に沿ったアクチュエータ970の移動は、壁977がスリット987(例えば、渦巻状又はコイル状スリット)を通って前進するとき、内部支持部材986の回転をもたらす。別の言い方をすると、アクチュエータ970の並進運動は、カテーテル960の同様の並進運動及びカテーテル960の周りの内部支持部材986の回転運動をもたらす。従って、内部支持部材986は、イントロデューサ910内に配置されたカテーテル960の少なくとも一部を支持することができる。さらに、いくつかの実施形態では、内部支持部材986は、使用前にカテーテル960の無菌性を実質的に維持するように構成され得る。
【0126】
[1163] 内部支持部材986は、カテーテル960が配置される実質的に円筒形の管であるとして上に示され記載されているが、他の実施形態では、流体移送デバイスは任意の適切な内部支持部材を含むことができる。例えば、図44は、ある実施形態による流体移送デバイス1000を示している。流体移送デバイス1000は、図42及び43を参照して上述した流体移送デバイス900と実質的に同じ形態及び/又は機能とすることができ、従って、本明細書では、流体移送デバイス1000の各部分についてさらに詳述しない。
【0127】
[1164] 流体移送デバイス1000(本明細書では「移送デバイス」又は「デバイス」とも呼ばれる)は、イントロデューサ1010、カテーテル1060、アクチュエータ1070、及び内部支持部材1086を含む。イントロデューサ1010は、ロック1040に結合された遠位端部分を有し、ロック1040は、例えば、留置PIV及び/又は拡張セット(例えば、Yアダプタ、Tアダプタ等)に移送デバイス1000を結合するように構成される。イントロデューサ1010は、カテーテル1060の少なくとも一部、アクチュエータ1070の少なくとも一部、及び内部支持部材1086を受け入れ及び/又は収容するように構成された内部容積1013を規定する。上述のように、アクチュエータ1070はイントロデューサ1010に移動可能に結合され、イントロデューサの外側に配置された第1部分1071と、内部容積1013に配置されカテーテル1060に固定して結合された第2部分1075と、を含む。このようにして、ユーザは、上述のように、アクチュエータ1070の第1部分1071に力を加え、カテーテル1060を、カテーテル1060がイントロデューサ1010及び/又はロック1040内に配置される第1位置(例えば、近位位置)と、カテーテル1060の少なくとも一部がロック1040を遠位方向に越えて延びる第2位置(例えば、遠位位置)との間で移動させることができる。
【0128】
[1165] しかしながら、移送デバイス1000は、内部支持部材1086の配置において移送デバイス900と異なっていてもよい。例えば、図44に示される実施形態において、内部支持部材1086は、比較的柔軟な材料から形成され得、例えばベローズとして構成及び/又は配置され得る。内部支持部材1086は、アクチュエータ1070の第2部分1075と、内部容積1013の遠位端を少なくとも部分的に規定するイントロデューサ1010の内部遠位面との間で内部容積1013内に配置され、その結果、カテーテル1060の少なくとも一部は、内部支持部材1086内に移動可能に配置される。内部支持部材1086がベローズとして配置及び/又は構成されるので、アクチュエータ1070の移動は、内部支持部材1086の圧縮、変形、及び/又は圧潰をもたらす。すなわち、アクチュエータ1070の近位位置から遠位位置への移動は、内部支持部材1086によって形成される及び/又は別の方法でそれに含まれるベローズを圧縮する。反対に、アクチュエータ1070が遠位位置から近位位置に向かって移動させられると、内部支持部材1086によって形成される及び/又は別の方法でそれに含まれるベローズは、予め変形した構成に拡張及び/又は再構成することができる。従って、例えば、内部支持部材1086は、内部支持部材986を参照して上述したように、カテーテル1060を支持することができ(例えば、カテーテル1060が「クラッチ」構成に移行するとき)及び/又は、カテーテル1060の少なくとも一部を流体的に隔離することができる(例えば、実質的にカテーテル1060の無菌性を維持するように)。
【0129】
[1166] 内部支持部材1086は、カテーテル1060の少なくとも一部が配置されるベローズ等を形成するものとして上に示され記載されているが、他の実施形態では、流体移送デバイスは任意の適切な内部支持部材を含むことができる。例えば、図45はある実施形態による流体移送デバイス1100を示している。流体移送デバイス1100は、図42及び図43を参照して上述した流体移送デバイス900と実質的に同じ形態及び/又は機能とすることができる。従って、流体移送デバイス1100の各部分について本明細書ではさらに詳述しない。
【0130】
[1167] 流体移送デバイス1100(本明細書では「移送デバイス」又は「デバイス」とも呼ばれる)は、イントロデューサ1110、カテーテル1160、アクチュエータ1170、及び内部支持部材1186を含む。イントロデューサ1110はロック1140に結合された遠位端部分を有し、ロック1140は、例えば、留置PIV及び/又は拡張セット(例えば、Yアダプタ、Tアダプタ等)に移送デバイス1100を結合するように構成される。イントロデューサ1110は、カテーテル1160の少なくとも一部、アクチュエータ1170、及び内部支持部材1186を受け入れ及び/又は収容するように構成された内部容積1113を規定する。上述のように、アクチュエータ1170はイントロデューサ1110に移動可能に結合され、イントロデューサの外側に配置された第1部分1171と、内部容積1113内に配置され、カテーテル1160に固定して結合された第2部分1175とを含む。このようにして、ユーザは、上で詳述したように、アクチュエータ1170の第1部分1171に力をかけて、カテーテル1160を、カテーテル1160がイントロデューサ1110及び/又はロック1140内に配置される第1位置(例えば、近位位置)と、カテーテル1160の少なくとも一部がロック1140を越えて遠位方向に延びる第2位置(例えば、遠位位置)との間で移動することができる。
【0131】
[1168] 移送デバイス1100は、しかしながら、内部支持部材1186の配置において、移送デバイス900と異なっていてもよい。例えば、図45に示される実施形態では、内部支持部材1186は、例えばジグザグ構成(例えば、交互の角度方向に配置された壁セグメントのセット)に配置された比較的薄くて柔軟な材料から形成することができる。内部支持部材1186は、内部容積1113の遠位端を少なくとも部分的に規定する遠位面とアクチュエータ1170の第2部分1175との間でイントロデューサ1110の内部容積1113内に配置される。他の実施形態では、内部支持部材1186は、アクチュエータ1170と遠位面との間に配置された内部容積の一部のみに沿って延びることができる。
【0132】
[1169] カテーテル1160は、各壁セグメントに規定された開口部又は穴の中に配置され、及び/又はそれを通って延びる(例えば、図45を参照)。いくつかの実施形態では、各壁セグメントに規定された開口部又は穴のサイズ及び/又は直径は、カテーテル1160に提供される支持の量を調整するように、「調節」及び/又は設定されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、開口部又は穴はカテーテル1160の外径と同様及び/又はそれよりわずかに大きいものであり得る。そのような実施形態では、開口部のサイズ及び/又は直径とカテーテル1160のサイズ及び/又は外径との間の比較的厳しい許容差は、比較的高い支持レベルをもたらすことができ、これにより、例えば、カテーテル1160が非クラッチ構成からクラッチ構成に移行する際に、カテーテル1160の偏向及び/又は変形の量を減少させることができる。他の実施形態では、内部支持部材1186の各壁セグメントによって規定される開口部及び/又は穴は、カテーテル1160の外径よりも大きいものであり得る(例えば、それらの間の比較的大きな許容差)。そのような実施形態では、開口部のより大きなサイズ及び/又は直径により、カテーテル1160が内部支持部材1186に対して偏向することが可能になり得る。従って、いくつかの実施形態では、内部支持部材1186の開口部のサイズ及び/又は直径の増加は、カテーテル1160の移動範囲の増加をもたらし得る(例えば、カテーテル1160が非クラッチ構成からクラッチ構成に移行するときの偏向及び/又は変形の量の増加。
【0133】
[1170] いくつかの実施形態では、内部支持部材1186は、屈曲する、変形する、撓む、及び/又は別の方法で再構成するのに十分な柔軟性を有する材料から形成することができる。例えば、アクチュエータ1170がイントロデューサ1110に沿って移動するとき、アクチュエータ1170の第2部分1175は、内部支持部材1185を圧縮及び/又は折り畳む(例えば、隣接する壁セグメント間に規定される角度を減少させる)ことができる。加えて、内部支持部材1186の少なくとも一部は、カテーテル1160が「クラッチ」構成に移行するのに応答して屈曲及び/又は撓む一方で(内部支持部材986を参照して上述したように)通常であればカテーテル1160の一部をイントロデューサ1110の外側に延ばし得るカテーテル1160の偏向量を実質的に制限するように構成することができる。従って、内部支持部材1186は、イントロデューサ1110内に配置されたカテーテル1160の少なくとも一部を支持することができる。
【0134】
[1171] 内部支持部材1186は、実質的にカテーテル1160の全長に沿って延びるものとして示されているが、他の実施形態では、内部支持部材は、カテーテルの任意の適切な部分に沿って延びてもよい(例えば、実質的にカテーテルの全長より短い)。内部支持部材1186は、交互の角度方向に配置された壁セグメントのセットを有する比較的薄くて柔軟な材料から形成されるものとして上述されているが、他の実施形態では、内部支持部材は、任意の適切な形状、サイズ、及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、流体移送デバイスは、イントロデューサの内部容積内及びカテーテルの少なくとも一部の周りに配置されたバネ(例えば、コイルバネ)等を含むことができる。そのような実施形態では、バネ等は、内部支持部材986、1086、及び/又は1186を参照して上述した方法と実質的に同様の方法で、カテーテルの少なくとも一部を支持することができる。
【0135】
[1172] 他の実施形態では、内部支持部材はカテーテルと一体的に形成され、及び/又は別の方法でカテーテルに結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルの1つ又は複数の部分を支持部材として形成することができる。そのような部分は、例えば、増加した壁厚を有することができ、及び/又は異なる構成材料から形成することができる。他の実施形態において、内部支持部材は、カテーテルに選択的に結合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルの長さに沿って移動可能に結合及び/又は配置できるリング又はビードの組を含むことができる。いくつかの実施形態では、リング及び/又はビードは、均等及び/又は均一に間隔を空けて配置することができ、又はランダム及び/又は不均等に間隔を空けて配置することができる。いくつかの実施形態では、リング及び/又はビードは、アクチュエータの作動(例えば、カテーテルの移動)に応答してカテーテルの長さに沿って移動するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、各リング及び/又はビードはカテーテルに結合可能であり、実質的に固定された位置に一時的に維持されることができる。いくつかの例では、カテーテルが遠位方向に進められると、リング及び/又はビードは、リング及び/又はビードが、例えば、カテーテルの近位端部分に沿った位置に集まる及び/又はスライドするように移動できる。従って、リング及び/又はビードは、カテーテルが遠位方向に進められるにつれて(例えば、リング及び/又はビード間の間隔が減少するにつれて)カテーテルに提供される支持の量を増加させるように構成できる。
【0136】
[1173] さらに他の実施形態では、イントロデューサは、カテーテルの内面(例えば、上部内面)に沿って配置された変形可能なテープ及び/又は発泡体から形成された及び/又は別の方法でそれを有する内部支持部材を含むことができる。そのような実施形態では、テープ及び/又は発泡体は、アクチュエータ及び/又はカテーテルがそれに相対的であるときに、圧縮する、屈曲する、撓む、変形する、及び/又は他の方法で再構成するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、発泡体等は、アクチュエータとイントロデューサの内部容積の遠位面との間に配置され、アクチュエータの遠位方向の移動に応答して(例えば、軸方向に)圧縮され得る。他の実施形態では、イントロデューサは、内部容積の上面に沿って発泡体等を含むことができ、例えばアクチュエータの位置又はその付近で横方向に変形、変位、偏向、及び/又は圧縮することができる。さらに、アクチュエータがイントロデューサの長さに沿って進められると、発泡体の一部は、アクチュエータがその部分に対して動かされるときに、変形されていない構成に戻るように構成され得る。従って、アクチュエータの近位にある発泡体の部分(又はその一部)は変形されない構成になり得、アクチュエータの遠位にある発泡体の部分(又はその一部)は変形されない構成になり得る。すなわち、アクチュエータがイントロデューサに沿って移動すると、アクチュエータは発泡体の所定の及び/又は定められた部分を変位させる。いくつかの実施形態では、発泡体は、内部容積の空いた又は占有されていない部分を制限及び/又は低減することができ、これにより、(例えば、非クラッチ構成からクラッチ構成に移行するときに)カテーテルの移動範囲が制限及び/又は低減され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータの移動に応答した発泡体の変形は、内部容積の空いた又は占有されていない部分をさらに制限及び/又は減少させることができ、これにより、カテーテルに提供される支持の増大した量(例えば、減少した移動範囲)がもたらされ得る。
【0137】
[1174] 本明細書に記載の流体移送デバイスのいくつかは、末梢静脈ライン(PIV)とともに明示的に示されていないが、本明細書に記載の流体移送デバイスのいずれも、任意の適切な末梢静脈ライン(PIV)に結合できることを理解されたい。いくつかの例では、PIVの使用は、PIVをIV拡張セット及び/又はアダプタ(例えば、シングルポートアダプタ、Yアダプタ、Tアダプタ等)に結合することを含むことができる。従って、本明細書では、移送デバイスのいくつかについて、PIVに結合されているように記載されているが、状況及び/又は構成に基づいて、移送デバイスを、PIV又はそれに結合されたアダプタ(例えば拡張セット)のいずれかに結合できることが理解されるべきである。移送デバイスは、任意の好適な市販のPIV、アダプタ及び/又は拡張セットに結合するように構成することができる。例えば、ロック240の第1アーム243及び第2アーム250について、所与の形状及び/又は構成を有するものとして(例えば図13及び図14において)図示し上述しているが、他の実施形態では、ロックは、ロックがさまざまなPIV、アダプタ及び/又は拡張セットに結合されるのを可能にすることができるサイズ、形状及び/又は構成を有する、第1アーム及び第2アームを含むことができる。例として、いくつかの実施形態では、ロックが、任意の好適なPIV、アダプタ及び/又は拡張セットの一部を受け入れるのを可能にするように、ロックのアームを曲線状にする、曲折する、湾曲する、広げる等が可能である。いくつかの実施形態では、ロック240のアーム243及び250の配置により、ロック240が、結合された任意の好適なPIV、アダプタ及び/又は拡張セットを中心に実質的に360°回転されるのを可能にすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、ロック240を回転させて、例えば、ロック240のアームを所定の位置に置く能力は、アーム243又はアーム250の表面をある表面と接触した状態に置くことにより、図35及び36に示されたデバイス400を参照して上述したように、デバイス200がその表面に対して所定の及び/又は所望の角度で配置されるようなものである。
【0138】
[1175] 特定のサイズ及び/又は形状を有するものとして突出部242が示され記載されているが、他の実施形態では、ロックは任意の適切な長さ(例えば突出部242より長い又は短い)、幅(例えば、突出部242よりも広い又は狭い)、及び/又は形状(例えば、湾曲状、テーパ状、フレア状等)を有する突出部を含むことができる。いくつかの実施形態では、突出部は、1つ又は複数のねじ山、スクリュ(例えば、オーガスクリュ)、リブ、溝等の表面仕上げ又は特徴を有することができる。いくつかの実施形態では、突出部242は、拡張セット、PIV等の1つ又は複数の内部寸法に関連する及び/又はそれに少なくとも部分的に基づく直径及び/又は長さを有することができる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のデバイスは、例えば、拡張セットによって規定される管腔の内径、管腔の長さ等など、1つ又は複数の所望の内部寸法を有する拡張セット及び/又はPIVとともに使用するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、拡張セットは、その少なくとも一部が約1.0ミリメートル(mm)から約1.6mmの内径を有する管腔を規定することができる。他の実施形態において、拡張セットは、それに挿入されるように構成されたカテーテルの外径に関連する及び/又はそれよりもわずかに大きい直径(例えば、30ゲージのカテーテルの直径よりわずかに大きい又は約0.20mmである直径)を有する管腔(又はその一部)を規定することができる。
【0139】
[1176] いくつかの実施形態では、1つ又は複数の所望の内部寸法(内径)を有するそのような拡張セットは、実質的に屈曲、屈折、破壊することなく、及び/又は実質的にスタックすることなく、拡張セット及び/又はPIVの少なくとも一部を通してカテーテル260を案内するように構成されたガイド等として機能し得る。より具体的には、いくつかの実施形態では、拡張セットは、拡張セットの遠位端部分がPIVハブ又はバスケットの一部を通って延びるように、PIVハブ等に結合することができる。そのような実施形態では、拡張セットは、その遠位端部分で約1.4mmの内径を有する管腔を規定することができる(例えば、管腔は、遠位端部分に向かって直径約1.4mmまで先細になるか、その近位端部分とその遠位端部分の間で約1.4mmの実質的に一定の直径を有することができる)。このような実施形態では、拡張セットは、例えばカテーテル260の遠位端部262を、拡張セット及びPIVのハブ又はバスケットを通して、例えば実質的に妨害物と衝突することも拡張セット及び/又はPIVの1つ又は複数の部分に「ひっかかる」こともなく、患者の静脈内へ案内することができる。このように、拡張セットは、移送デバイス200を例えば市販のPIV等などの任意の適切なPIVとともに使用することを可能にするアダプタ及び/又はガイドであることができる。
【0140】
[1177] 他の実施形態では、本明細書に記載の拡張セット、PIV、及び/又はいずれかのデバイスは、構成要素間に配置できる外部ガイド部材等を含む及び/又はそれに結合できる。そのような外部ガイド部材は、(上で詳述したように)カテーテルが遠位方向に前進するときにカテーテルを方向付けるように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ガイド部材はテーパを有することができ、及び/又は、例えば、近位端部分でより大きな直径を有し、例えば遠位端部分でより小さな直径を有する漏斗形状であることができる。いくつかの実施形態では、そのようなガイド部材は、本明細書に記載のデバイスのいずれかのイントロデューサと拡張セットとの間に配置することができる。他の実施形態では、そのようなガイド部材は、拡張セットとPIVとの間に配置することができる。さらに他の実施形態では、そのようなガイド部材は、本明細書に記載のデバイスのいずれかのイントロデューサとPIVとの間に配置することができる。さらに他の実施形態では、本明細書に記載のデバイスのいずれかは、任意の適切な構成を有する1つ又は複数のガイド部材を含む、及び/又はそれに結合することができる。
【0141】
[1178] 本明細書に記載した実施形態を用いて、留置PIVを介して静脈にアクセスすることにより、流体を患者の体内から又は患者の体内に移送することができる。上述したように、移送デバイス100及び/又は200は、例えば、カテーテルの遠位面をPIVの遠位面から所定のかつ/又は所望の距離に配置するように操作することができる。いくつかの例では、本明細書に記載した実施形態により、サンプルの完全性を維持しながら、効率的な採血が可能になる。採血している間、移送デバイス100及び/又は200は、移送デバイス100及び/又は200それぞれを通る血液の実質的に層状の流れ(例えば、非乱流又は低乱流)を受け取りかつ/又は生成して、血液が移送デバイス100及び/又は200それぞれを通って流れる際に血液の溶血を低減させかつ/又は実質的に防止するように構成することができる。
【0142】
[1179] いくつかの例では、本明細書に記載されているような移送デバイスを使用して血液(例えば、血液培養)のサンプル量を収集する場合、カテーテルを、留置PIVを介して及び静脈内へ挿入するときに、カテーテルの管腔を閉塞及び/又は別の方法で遮断することが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、移送デバイス200を使用して、大量の血液を収集することができる。そのような実施形態では、移送デバイス200のロック240を留置PIVに結合することができ、流体源が第2カテーテル265のカプラ269に結合することができる。いくつかの実施形態では、例えば、流体源は圧搾可能なボール若しくはバルブ、及び/又は適切な形態の流体リザーバ及びポンプ(例えば、シリンジ等)であることができる。流体源は、例えば生理食塩水等を含むことができる。従って、流体源がカプラ269に結合された状態で、流体源は、第2カテーテル265によって規定された管腔268と流体連通するように配置され、第2カテーテル265は、カテーテル260によって規定された管腔263と流体連通した状態に流体源を置く。
【0143】
[1180] いくつかの実施形態では、流体源を作動させるなどして、カテーテル260及び265を通る流体(例えば、生理食塩水)の流れを解放し、それによって、それぞれ管腔263及び268をフラッシングすることができる。フラッシングされると、カテーテル260は、例えば、流体的又は液圧的にロックされた構成に置かれ、(上で詳細に記載したように)その第2位置に前進することができる。他の実施形態では、流体の流れを解放して、流体の実質的に連続した流れがカテーテル260から溶出するように、流体源を作動させるなどすることができる(例えば、スクイーズバルブ(squeeze bulb)を圧搾することができる)。流体がカテーテル260から溶出している状態で、移送デバイス200を作動させて、カテーテル260を(上記のように)その第2位置に進めることができる。このようにして、カテーテル260の前進前及び/又は前進中に移送デバイス200の管腔263及び268をフラッシングすることは、管腔263及び268によって規定される流体流路への汚染物質の進入を制限及び/又は実質的に防止することができる(例えば、流体的及び/又は油圧的にロックされることができる)。
【0144】
[1181] いくつかの例では、カテーテル260がその第2位置に前進すると、流体源は、例えば、流体源のリザーバが流体の流れを受け取るように逆転などされることができる。例えば、いくつかの例では、スクイーズボール(squeeze ball)又はバルブを作動(圧搾)することができ、これにより、そこに含まれる流体の流れが解放されると、スクイーズボール又はバルブの容積が減少する。いくつかの例では、カテーテル260がその第2位置に配置された後、スクイーズボール又はバルブから力を除去することができ、それにより、スクイーズボール又はバルブの容積が増加する。容積の増加は吸引力を生み、及び/又は発生させ、吸引力は、いくつかの例では、残りの生理食塩水及び血液の量を、スクイーズボール又はバルブによって規定された容積に引き込むように動作可能であり得る。従って、流体源等を「逆転」すると、残っている生理食塩水を除去し、移送デバイス200をプライミングすることができる。移送デバイス200をプライミングした後、任意の適切な流体リザーバをカプラ269に結合して、清浄な血液の流れを静脈から液体リザーバに移送することができる。
【0145】
[1182] スクイーズボール又はバルブについて上述したが、任意の適切な流体リザーバ及び/又はポンプを使用して、本明細書に記載の移送デバイスのいずれかをフラッシング及び/又はプライミングできることを理解されたい。実施形態は、生理食塩水などの流体を使用してカテーテル及び/又は移送デバイスをフラッシング及び/又はプライミングするものとして上述されているが、他の実施形態では、カテーテル及び/又は移送デバイスは、任意の適切な圧縮性流体、非圧縮性流体等を介してフラッシング及び/又はプライミングすることができる。他の実施形態では、空気又は任意の適切な不活性ガスなどのガスを使用して、空気圧ロック、フラッシング、及び/又はプライミングを形成することができる。さらに他の実施形態では、ガイドワイヤ及び/又は他の任意の適切な閉塞デバイスをカテーテルの管腔に配置して、カテーテルが患者の静脈内の所望の位置に前進するときに流体が管腔に入ることを制限及び/又は実質的に防止することができる。いくつかのそのような実施形態では、閉塞デバイスは、例えば、所与の温度に応答して、及び/又は流体接触に応答して、所定の期間にわたって溶解するように構成された1つ又は複数の部分を含み得る。他の実施形態では、閉塞デバイス等は、変形可能部材、形状記憶又は変化構成要素(例えば、ニッケルチタン合金(ニチノール))、可逆弁(例えば、力又は圧力に応答して移行するように構成された機械弁、又は電流の流れに応答して移行するように構成された電気弁)、及び/又は他の任意の適切な部材を含むことができる。
【0146】
[1183] 図示されていないが、本明細書に記載の移送デバイスのいずれも、例えば、第1血液量(例えば、血液のプレサンプル)を受け取るように構成されたフラッシュチャンバなどを含む及び/又はそれに結合することができる。いくつかの実施形態において、フラッシュチャンバは、第1血液量を受け取るように、移送デバイス200の第2カテーテル295のカプラ269に結合されることができる。他の実施形態では、移送デバイス200の任意の適切な部分は、第1血液量を少なくとも一時的に貯蔵するように構成されたフラッシュチャンバ等を形成することができる。そのような実施形態では、第1血液量は、例えば、スポンジシール等などの一方向シールを通って、フラッシュチャンバに流れることができる。シールの配置は、シールが(例えば、血液で)濡れると、第1血液量の流れが停止するようなものとすることができる。所望の血液量がフラッシュチャンバ(例えば、第1量)に移送されると、第2血液量(例えば、サンプル量)を流体リザーバ(例えば、サンプルリザーバ)に移送するように移送デバイス200を操作することができる。
【0147】
[1184] 本明細書に記載した実施形態は、種々の設定(ER、入院患者等)で使用することができるが、例として、患者の体内からサンプル量の血液を抜き取る以下のシナリオを提供する。いくつかの例では、例えば、末梢静脈ライン及び/又はカテーテル(PIV)は、標準ガイドラインに従って患者の静脈内に挿入され、拡張セット及び/又はアダプタが取り付けられる。PIVは、長期間、静脈内に留まることができ、患者に流体(例えば、生理食塩水、血液、薬物化合物等)を移送するために、静脈へのアクセスを提供することができる。採血する時間になると、ユーザ(例えば、看護師、医師、フレボトミスト等)は、PIVが流体を移送している場合、流体が採血部位から分散するのを可能にするように約1分間~5分間、患者への流体の移送を停止させることができる。血液サンプルを採取するために、ユーザは、拡張セット及び/又はアダプタのポート及び/又は好適な部分に移送デバイス(例えば、移送デバイス100及び/又は200)を取り付け、移送デバイスを第1構成(例えば、保管構成)から、移送デバイスに含まれるカテーテルの一部が末梢IVを通って静脈内に延在する第2構成に移行させる。
【0148】
[1185] 移送デバイス200に関して詳細に上述したが、移送デバイスが第2構成にあるとき、カテーテルを、遮断されないかつ/又は阻止されない血液の流れを受け取る静脈の部分と流体連通させるように、カテーテルの端部をPIVの端部から所定のかつ/又は所望の距離に配置することができる。例えば、カテーテルの端部は、PIVの端部、及び静脈と流体連通している少なくとも1つの分枝血管、弁等に対して遠位位置にあり得る。カテーテルが所望の位置に置かれると、ユーザは、1つ又は複数の負圧収集容器、チューブ及び/又はシリンジを移送デバイスに取り付けて、ある量の血液を採取することができる。場合により、ある量の血液は、廃棄しかつ/又は後続するサンプル量の血液から少なくとも一時的に隔離して保管することができる第1血液量であり得る(例えば、典型的には、約1ミリリットル(mL)~3mLの容量であるが、最大8mL~10mLの血液が、「不用な(waste)」又は「プレサンプル」量であり得る)。場合により、不用な量は、汚染物質、非分散残留流体等を含む可能性がある。不用な量の集まりの後、ユーザは、1つ又は複数の負圧容器(例えば、サンプル容器)を移送デバイスに結合して、所望の血液サンプル量を採取することができる。サンプル量が採取されると、移送デバイスを、第2構成から第1構成及び/又は第3構成(例えば、「使用済み」構成)に移行させることができる。そして、移送デバイスを、拡張セット及び/又はアダプタから分離して、安全に廃棄することができる。場合により、サンプル量を収集した後であるが、移送デバイスを第2構成から移行させる前に、不用な又はプレサンプル量を、例えば静脈内に再注入することができる。
【0149】
[1186] 上述のように、いくつかの例では、本明細書に記載の移送デバイスは、ある量の体液(例えば、血液)を受け取るように構成された流体リザーバに結合することができる。いくつかの例では、そのような流体リザーバは、例えばVacutainer(登録商標)等などの負圧容器であり得る。しかしながら、いくつかの例では、移送デバイス及び/又は静脈内の圧力の急激な変化を制限及び/又は制御することが望ましい場合がある。圧力の急激な変化は、血液サンプル又はその一部の溶血、崩壊された又は吹き飛ばされた静脈等をもたらし得る。従って、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される移送デバイスのいずれかは、それを通して及ぼされる負圧を調節するように構成され得る。
【0150】
[1187] 例えば、上で詳述したように、移送デバイス200は、カテーテル260と流体連通し、移送デバイス200を流体リザーバ(例えば負圧リザーバ)に結合するように構成されたカプラ269を含む第2カテーテル265を含む。いくつかの実施形態では、第2カテーテル265は、移送デバイス200を通して及ぼされる負圧を調節するように構成することができる。例えば、第2カテーテル265は、第2カテーテルが適用された力に応答して、屈曲する、撓む、変形する、及び/又はその他の方法で再構成することを可能にし得る比較的柔軟なポリマー材料等から形成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル260は、第2カテーテル265の剛性又はデュロメータより高い剛性又はデュロメータを有することができる。いくつかの例では、第2カテーテル265が負圧差にさらされると、第2カテーテル265によって規定された管腔268は急激な圧力の低下にさらされ、急激な圧力の低下は次に第2カテーテル265の壁を内側に引き込む吸引力を管腔268内に及ぼし、それにより第2カテーテル265の内径を減少させる。従って、第2カテーテル265の管腔268の直径を減少すると、調節及び/又は減少された吸引力が、管腔268を通して、及びカテーテル260の管腔263上又は内にもたらされる。同様に、カテーテル260の管腔263を通して及ぼされる吸引力の量及び/又は大きさを減らすことにより、静脈上又は静脈内に及ぼされる吸引力の大きさが調節及び/又は減少される。従って、静脈を崩壊するのに十分である可能性がある、静脈によって又は静脈内で経験される負圧差は低減される。
【0151】
[1188] さらに、体液(例えば血液)が移送デバイス200を通して負圧リザーバに移送されるにつれて、リザーバと静脈との間の負圧差が減少する。言い換えれば、負圧リザーバによって及ぼされる負圧又は吸引力は、血液の量がその中に移送されるにつれて減少する。別の言い方をすれば、負圧差は、血液の量が負圧リザーバ中に移送されるにつれて均等化される。いくつかの実施形態では、負圧リザーバによって及ぼされる負圧及び/又は吸引力の大きさの減少により、第2カテーテル265は非変形構成(すなわち、負圧にさらされる前の構成)に移行する可能性がある。すなわち、負圧及び/又は負圧差の大きさが減少するにつれて、第2カテーテル265によって規定される管腔268の直径は増加するか、又は減少されない直径に戻ることができ、それによりそこを通る流体流量が増加され得る。従って、第2カテーテル265を介して伝達される負圧を選択的に調節することにより、大きな圧力差がある場合、第2カテーテル265を通る流量が減少し得(例えば、管腔の直径の縮小により)、及び圧力差が均等化されるにつれて、第2カテーテル265を通る流量が増加し得る(例えば、管腔の直径の増加により)。
【0152】
[1189] いくつかの実施形態では、第2カテーテル265の配置及び/又は構成を「調節」及び/又は制御して、管腔を通して及ぼされる負圧を調整することができる。例えば、第2カテーテル265は、負圧にさらされたときに第2カテーテル265が所望の態様で変形することを可能にするのに十分な柔軟性を有する材料から形成することができる。他の実施形態では、第2カテーテル265の壁は、負圧にさらされたときに壁が変形することを可能にするのに十分に薄い厚さを有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、第2カテーテル265の長さ及び/又は内径は、例えば、そこを通る流体流量を減少するように構成することができる。さらに他の実施形態では、可撓性、壁厚、長さ、直径等の任意の組み合わせを使用して、それを通して及ぼされる負圧を集合的に制御及び/又は調整することができる。さらに他の実施形態では、第2カテーテル265の温度の変化に応答して負圧等を調整することができる。例えば、いくつかの例では、温かい血液が流れ始めると第2カテーテル265の温度が上昇する。いくつかの例では、温度の上昇は直径の緩和を引き起こし(例えば内径の増加)、従って負圧が同じ期間にわたって減少するにつれて血液の流れを加速する。いくつかの例では、第2カテーテル265の冷却は、第2カテーテル265の内径の狭窄及び/又は縮小をもたらし得る。
【0153】
[1190] いくつかの例では、本明細書に記載する移送デバイスは、1つ又は複数の製造プロセス中に組み立て、予備組み立てされた形態で包装することができる。例えば、いくつかの例では、移送デバイス200は、カテーテル260及び第2カテーテル265をアクチュエータ270に結合し、カテーテル260、第2カテーテル265及びアクチュエータ270をイントロデューサ210の第1部材220又は第2部材230に対して位置決めし、第1部材220及び第2部材230を結合してイントロデューサ210を形成し、その際、アクチュエータ270並びにカテーテル260及び第2カテーテル265の少なくとも一部がイントロデューサ210の内部空間213内に配置され、ロック240をイントロデューサ210に結合することによって、組み立てることができる。いくつかの例では、移送デバイス200の組み立ては、例えば、エチレンオキシド環境等、実質的に滅菌した環境で行うことができる。他の実施形態では、本明細書に記載する移送デバイスは、未組立形態で包装することができる(例えば、ユーザが、包装を開封し、移送デバイスを形成するように部品を組み立てることができる)。移送デバイスの部品は一緒に又は別個に包装することができる。いくつかの実施形態では、移送デバイスは、例えば、PIV、拡張セット、YアダプタもしくはTアダプタ及び/又は他の任意の好適な部品とともに包装することができる。
【0154】
[1191] 本明細書に記載の移送デバイスはいずれも、図31図34に示すデバイス300を参照して上で詳述したように、カテーテルがその第1位置からその第2位置に前進するときに、カテーテルの少なくとも一部が付勢及び/又は選択的に偏向されるように構成することができる。さらに、そのような配置を有するデバイスは、カテーテルがその第1位置からその第2位置に前進するときにカテーテルの遠位端部分が妨害物に衝突するのに応答してカテーテルの付勢又は選択的偏向がカテーテルの少なくとも一部の予測可能な及び/又は所望の偏向、変形、及び/又は再構成をもたらすように構成することができる。言い換えれば、本明細書に記載のデバイスはいずれも、カテーテルが妨害物に衝突するのに応答して「クラッチ」(例えば、所望の又は所定の方法で偏向)するように構成することができる。
【0155】
[1192] 例えば、図46は、ある実施形態によるそのような流体移送デバイスを使用する方法20を示すフローチャートである。装置300を参照して上述したように、流体移送デバイス(本明細書では「デバイス」とも呼ばれる)は、イントロデューサ、カテーテル、及びアクチュエータを含むことができる。イントロデューサは、血管アクセス装置に結合するように構成されたロックを含む遠位端部分を有することができる。カテーテルは、イントロデューサ内に少なくとも一時的に配置することができ、アクチュエータの一部に結合することができる。アクチュエータは、イントロデューサに移動可能に結合され、以下に記載するように、イントロデューサに対してカテーテルを移動させるように構成され得る。
【0156】
[1193] 上述のように、デバイスは患者へ又は患者から流体を移送するために使用することができる。より具体的には、この例では、デバイスは、体液(例えば血液)の量を、患者の脈管構造から、カテーテルと流体連通した状態に置かれるように構成されたリザーバ、シリンジ、真空容器等などの流体収集装置に移送するように構成することができる。従って、方法20は、21で、デバイスのロックを留置末梢静脈ライン(PIV)に結合することを含む。言い換えると、ロックは、患者の脈管構造内に少なくとも部分的に配置されたPIVに結合される。
【0157】
[1194] 22で、カテーテルを第1位置から第2位置に進めるべく、イントロデューサに対してアクチュエータを移動するためにアクチュエータに第1力が加えられる。例えば、アクチュエータはイントロデューサに移動可能に結合可能であり、イントロデューサの外側に配置された第1部分と、イントロデューサの内側に配置されかつカテーテルの近位端部分に結合された第2部分とを含むことができる。従って、ユーザはデバイスと係合し、第1力を(例えば、自分の指又は親指で)及ぼして、イントロデューサに対してアクチュエータを移動させることができる。少なくともデバイス200及び/又は300を参照して上述したように、カテーテルは、第1位置にあるときにイントロデューサ内に配置され、カテーテルの遠位端部分をイントロデューサの遠位位置に(例えば、イントロデューサの外側の及びイントロデューサの遠位の位置に)置くために第2位置に向かって進められる。
【0158】
[1195] 23で、アクチュエータがカテーテルを第1位置から第2位置に向かって進めるとき、カテーテルの近位端部分に第1力とは異なる第2力が及ぼされる。デバイス300を参照して上述したように、例えば、アクチュエータとイントロデューサの配置は、アクチュエータの第1部分がイントロデューサの外面と接触するようなものとすることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータの第1部分とイントロデューサの外面との間の接触は、通常であればイントロデューサの長手方向軸に平行であり得るアクチュエータの長手方向軸が代わりにイントロデューサの長手方向軸に対して非平行であるように、イントロデューサに対してアクチュエータを傾ける又は角度付けするのに十分なものとすることができる。そのような実施形態では、アクチュエータの第1部分とイントロデューサの外面との間の接触により、アクチュエータの第2部分がカテーテルの近位端部分に第2力を及ぼす。さらに、第2力は、第1力の大きさ及び方向とそれぞれ異なる大きさ及び方向を有する。
【0159】
[1196] デバイス300を参照して上述したように、カテーテルは、カテーテルの一部がアクチュエータ(カテーテルの近位端部に結合されている)とロック(カテーテルを移動可能に受け入れるように構成されている)との間に配置されるようにイントロデューサ内に少なくとも部分的に配置される。方法20は、24で、カテーテルが第1位置から第2位置に進められるときに、アクチュエータとロックとの間に配置されたカテーテルの部分を第2力に応じて第1量だけ偏向することを含む。例えば、ロックはカテーテルを移動可能に受け入れる管腔を規定する。ロックの管腔は、イントロデューサの長手方向軸に平行な長手方向軸を定めることができる。より詳細には、いくつかの実施形態では、ロックの長手方向軸は、イントロデューサの長手方向軸と同軸であり得る。上述のように、アクチュエータの第1部分とイントロデューサの外面との間の接触は、アクチュエータの長手方向軸がイントロデューサの長手方向軸と非平行になるようにイントロデューサに対してアクチュエータを傾ける又は角度付けする。アクチュエータの第2部分はカテーテルの近位端部分に結合されているので、アクチュエータの傾斜又は角度(及び/又は第2力)は、少なくともカテーテルの近位端部分をイントロデューサに対して同様に角度付けする又は傾ける。従って、カテーテルがロックの管腔内に配置された状態で(例えば、カテーテルが第1位置にある場合、カテーテルの遠位端部分)、及びカテーテルの近位端部分がアクチュエータの第2部分に結合された状態で、カテーテルの近位端部分に加えられる第2力は、ロックとアクチュエータとの間に配置されたカテーテルの部分の偏向をもたらす(例えば、図31及び32を参照して上で詳述したように)。さらに、カテーテルのその部分の偏向は、カテーテルを付勢するように、及び/又は、所定の及び/又は所望の方法でカテーテルに事前に負荷をかけるか、事前に応力を加えるように動作可能である。
【0160】
[1197] 25で、ロックとアクチュエータとの間に配置されたカテーテルの部分は、(1)第2力及び(2)カテーテルが第1位置から第2位置へ進められるときにカテーテルの遠位端部分が妨害物に衝突すること、に応答して第1量よりも大きい第2量だけ偏向される。例えば、いくつかの例では、カテーテルが第1位置から第2位置へ向かって進められるときに、カテーテルの遠位端は、例えば、PIVのハブの一部、PIVカテーテルの屈曲又は屈折、PIV又は患者の脈管構造内の血餅又はデブリ、脈管構造の壁又は他の解剖学的構造等などの妨害物と衝突し得る。従って、妨害物は、カテーテルの遠位端に抵抗する及び/又は反力を及ぼすことができ、これはカテーテルのさらなる前進(例えば、遠位方向の移動)を制限及び/又は防止し得る。カテーテルの一部が(24で上述された)第1量で偏向されていないいくつかのデバイスでは、アクチュエータに及ぼされる第1力がアクチュエータとカテーテルを介して伝達され得、その結果、カテーテルの遠位端部分が衝突に応答して損傷、屈折、屈曲、破損等され得る。他の例では、カテーテルの遠位端は、それらの間の衝突に応答して、脈管構造の壁又は解剖学的構造に穴をあけることがある。さらに他の例では、カテーテルの遠位端部分は、それらの間の衝突に応答してPIVの一部を損傷又はそれに穴をあける可能性がある。
【0161】
[1198] しかしながら、方法20によるデバイスの使用は、デバイス300を参照して上で詳述したように(例えば図33及び図34参照)、カテーテルの遠位端部分と妨害物との間の衝突がカテーテルの第2部分を第2量だけ偏向させる働きをするようなものである。従って、カテーテルの遠位端によって妨害物に及ぼされる第1力の少なくとも一部は、ロックとアクチュエータとの間に配置されたカテーテルの付勢された、予め負荷をかけられた、及び/又は予め応力をかけられた部分に伝達され、これはカテーテルのその部分を第2量だけ偏向させる働きをする。デバイスの配置は、カテーテルが予測可能な、所定の、及び/又は所望の方法で第2量だけ偏向し、それにより、カテーテル、デバイス、PIV、及び/又は患者の脈管構造への損傷を制限及び/又は実質的に防止するようなものである。言い換えれば、デバイスの配置は、カテーテルの第1位置から第2位置への前進時にカテーテルの遠位端部分が妨害物に衝突することに応答して、カテーテルが「クラッチされる」ようなものである。さらに、デバイスは、カテーテルの「クラッチング」又は偏向の後、ユーザがアクチュエータに及ぼされる第1力の大きさを低減し、これによりカテーテルが第2偏向の量を減らすために「クラッチ解除」及び/又は別の方法で再構成することが可能になり得るように構成可能である。いくつかの例では、そのような再構成により、例えば、カテーテルの遠位端部分を妨害物に対して再配置することが可能になり、これにより、いくつかの例では、それらの間の衝突により以前は制限又は防止されていた、妨害物を越えた遠位端部分の前進が可能になり得る。従って、方法20は、デバイス、PIV、及び/又は患者の脈管構造への損傷を低減、制限、及び/又は実質的に防止しながらカテーテルを進めるために使用することができる。さらに、いくつかの例では、カテーテルが第2位置に配置されると、特定の実施形態を参照して上で詳述したように、デバイスを使用して体液(例えば血液)の量を吸引することができる。
【0162】
[1199] さまざまな実施形態について上述したが、それらは、限定としてではなく単に例として提示されていることが理解されるべきである。上述した概説及び/又は実施形態は、いくつかの向き又は位置に配置された、いくつかの構成要素を示すが、構成要素の配置は変更することができる。さまざまな実施形態について、特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを有するものとして記載したが、上述したような実施形態のうちの任意のものからの任意の特徴及び/又は構成要素の組合せを有する他の実施形態が可能である。
【0163】
[1200] 実施形態について特に図示し記載しているが、形式及び詳細のさまざまな変更を行うことができることが理解されよう。例えば、移送デバイス200について、それぞれがアクチュエータ270に結合されている、カテーテル260及び第2カテーテル265を含むものとして図示し上述しているが、他の実施形態では、移送デバイス200は単一のカテーテル(例えば、カテーテル260)を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270の少なくとも第2部分275を、開放構成と閉鎖構成との間で移行するように構成することができる。こうした実施形態では、第2部分275が開放構成にあるとき、カテーテル260を第2部分275に対して所望の位置に配置することができる。そして、第2部分275を開放構成から閉鎖構成に移行させて、カテーテル260の少なくとも一部を第2部分275によって規定される開口部276内に保持することができる。こうした実施形態では、第2部分275と開口部276内に配置されたカテーテル260の部分とは、アクチュエータ270に対してカテーテル260を固定位置で保持するように動作可能な摩擦嵌合を形成することができる。さらに、アクチュエータ270の第2部分275とカテーテル260との間に規定された摩擦嵌合は、アクチュエータ270に対して遠位であるカテーテル260の部分を、アクチュエータ270に対して近位であるカテーテル260の部分から隔離することができる。従って、アクチュエータ270に対して近位であるカテーテル260の部分は、アクチュエータ270に対して遠位であるカテーテル260の部分を汚染することなく、開口部217を通りかつ少なくとも部分的にイントロデューサ210の外側に延在することができる。
【0164】
[1201] 本明細書に図示し記載した実施形態の態様及び/又は特徴のうちの任意のものを、移送デバイスの性能に影響を与えるように変更することができる。例えば、イントロデューサ210の一組のリブ236のリブとアクチュエータ270のタブ273とは、上述したように、イントロデューサ210に対するアクチュエータ270の移動に関連する所望の組の特徴を生成するように、任意の好適な形状、サイズ、構成及び/又は配置を有することができる。別の例として、移送デバイス100及び/又は200の構成要素のうちの任意のものを、その構成要素の所望の硬度、デュロメータ硬さ及び/又は剛性をもたらすことができる任意の好適な材料から形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ロック240の少なくとも突出部242を、金属又は硬質プラスチック等の実質的に剛性の材料から形成することができる。こうした実施形態では、実質的に剛性の材料から少なくとも突出部242を形成することにより、突出部242が少なくとも部分的にPIV内に配置されたときに突出部242によってPIVに提供される構造支持を増大させることができる。同様に、突出部242は、カテーテル260がその中を移動するときにカテーテル260に対して支持を提供することができ、かつ/又は他の方法でカテーテル260を案内することができる。
【0165】
[1202] 上述した方法及び/又は概要は、ある順序で発生するいくつかの事象及び/又はフローパターンを示すが、いくつかの事象及び/又はフローパターンの順序を変更することができる。さらに、いくつかの事象は、可能な場合には並列プロセスで同時に実行することができるとともに、逐次実行することができる。
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