IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ホンダアクセスの特許一覧

<>
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図1
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図2
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図3
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図4
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図5
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図6
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図7
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図8
  • 特許-車両用ドア開閉装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】車両用ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20220407BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20220407BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220407BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20220407BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
E05F15/73
B60J5/00 G
B60J5/04 C
B60J5/06 A
E05B49/00 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020133586
(22)【出願日】2020-08-06
(62)【分割の表示】P 2019509894の分割
【原出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2020193558
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2017070161
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】田村 康裕
(72)【発明者】
【氏名】榎 亮一
(72)【発明者】
【氏名】横山 翔司
(72)【発明者】
【氏名】杉本 純
(72)【発明者】
【氏名】橘 達也
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021237(JP,A)
【文献】特表2014-500414(JP,A)
【文献】特開2007-162459(JP,A)
【文献】特開2017-141640(JP,A)
【文献】特開2017-198503(JP,A)
【文献】特開2018-1817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05B 77/00-85/28
B60J 5/00
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(12)のドア(16、20)と、
前記車両(12)のドア(16、20)近傍に取り付けられ、前記ドア(16、20)近傍に位置する人(M、X、Y、Z)の足(F)を含む検知対象物を検知するセンサ(76)と、
前記センサ(76)の出力に基づいて、前記ドア(16、20)を開くか閉じるためのドア駆動信号(Spo/hon)と、前記ドア(16、20)を施錠するか解錠するためのドアロックトリガ信号(Spt)と、を出力するコントロールユニット(70)と、
前記コントロールユニット(70)からの指示に基づき、前記ドア(16、20)を開閉駆動し施解錠するドア駆動ユニット(302)と、を備え、
前記コントロールユニット(70)は、
前記センサ(76)が前記検知対象物を検知したときから計時を開始し、所定閾値時間以内に前記検知対象物を検知しなくなった場合において、前記ドア(16、20)が開状態にある場合には、前記ドア(16、20)を閉じるための前記ドア駆動信号(Spo/hon)と、前記ドア(16、20)を施錠するための前記ドアロックトリガ信号(Spt)と、を出力する、車両用ドア開閉装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドア開閉装置(10)において、
前記ドア駆動ユニット(302)は、
前記ドアロックトリガ信号(Spt)の入力をトリガとして、前記車両(12)の外部から前記車両(12)の施解錠を行うことが可能な携帯機(200)と認証通信を行い、
成功裏の認証結果に基づいて、前記ドア(16、20)を施錠する、車両用ドア開閉装置(10)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ドア開閉装置(10)において、
前記センサ(76)は、前記ドア(16、20)のサイドシル(17)下に配置されている、車両用ドア開閉装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使用者が手を用いることなく、車両のドアの近傍に位置する使用者の存在を検知して前記車両の前記ドアをロック状態からアンロック状態にした後、開状態等にするための非接触の検知ユニットを備える車両用ドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアの近傍に立った使用者の存在を検知する検知ユニットとして、例えば、特許文献1には、車両の後席ドアの真下に取り付けられたレーザビーム送受信器から地面に向けてレーザビームを照射することが提案されている(特許文献1の[0025])。
【0003】
この特許文献1には、地面に向けて照射されたレーザビームを、使用者が、足で遮るように該足を移動させることをトリガとして、電子キーとの認証下にロックされて閉状態にある後席ドアを、ロック状態からアンロック状態にした後、後席ドアを短い距離だけ開状態(一部開という。)にするハンズフリードア開扉装置が開示されている(特許文献1の[0025]、[0055]、図9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-162459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、センサの検知領域において使用者等の人の足等の進入を検知した場合に、簡易な方法でドアを閉状態に駆動しロックすることを可能とする車両用ドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る一態様は、車両のドアと、車両のドア近傍に取り付けられ、ドア近傍に位置する人の足を含む検知対象物を検知するセンサと、センサの出力に基づいて、ドアを開くか閉じるためのドア駆動信号と、ドアを施錠するか解錠するためのドアロックトリガ信号と、を出力するコントロールユニットと、コントロールユニットからの指示に基づき、ドアを開閉駆動し施解錠するドア駆動ユニットと、を備え、コントロールユニットは、センサが検知対象物を検知したときから計時を開始し、所定閾値時間以内に検知対象物を検知しなくなった場合において、ドアが開状態にある場合には、ドアを閉じるためのドア駆動信号と、ドアを施錠するためのドアロックトリガ信号と、を出力する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によれば、センサが検知対象物を検知したときから計時を開始して、所定閾値時間以内に検知対象物を検知しなくなった場合において、ドアが開状態にある場合には、ドアを閉じるためのドア駆動信号と、ドアを施錠するためのドアロックトリガ信号と、を出力するようにしたので、簡易な方法でドアを閉状態に駆動しロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この実施形態に係る車両用ドア開閉装置の概略ブロック図である。
図2図2Aは、スライドドアが閉じられている状態等を示す概略側面図、図2Bは、前記スライドドアが開いている状態を示す概略側面図である。
図3】検知ユニットの想定する利用シーンの説明図である。
図4】パワーモード切替スイッチの回路構成の説明図である。
図5】車両用ドア開閉装置の詳細な動作説明に供されるフローチャートである。
図6】スライドドアのロック時からアンロックドア開時への動作説明図である。
図7】スライドドアのドア開時からドア閉時へ及びドア開時からドア閉ロック時への動作説明図である。
図8】検知ユニットの動作説明に供されるフローチャートである。
図9】キック検知有無の判断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明に係る車両用ドア開閉装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[構成]
図1は、この実施形態に係る車両用ドア開閉装置10の概略ブロック図である。
【0011】
図2Aは、例として、右ハンドルを備える車両12の助手席後席側のスライドドア(リアスライドドア)20が閉じられている状態等を示す概略側面図、図2Bは、車両12の前記スライドドア20が開いている状態を示す概略側面図である。
【0012】
なお、煩雑さの回避及び理解の便宜のため、この実施形態では、車両12の助手席側のフロントドア16とスライドドア20を例として車両用ドア開閉装置10の構成、動作について説明するが、運転席側のフロントドアとスライドドアの構成、動作も助手席側と同様であるので、この発明に含まれる。
【0013】
図1に示すように、車両用ドア開閉装置10は、基本的には、車両12内の車両用ドア開閉装置本体(ドア駆動ユニット)302と、使用者(人)を非接触で検知可能な検知ユニット50と、使用者が携帯可能な携帯機200とから構成される。
【0014】
図2A図2Bに示すように、車両12のフロントドア16は、車体100の前左開口部102を、使用者がフロントドア16のドアハンドル124(フロントドア16のアウタードアハンドル)を把持して手動で開閉するヒンジ式のドアである。
【0015】
一方、車両12のスライドドア20は、使用者がスライドドア20のアウタードアハンドル(以下、ODHと略すことがある)154を引いたときに、車体100の後左開口部104を開くスライド式のドアである。
【0016】
実際上、スライドドア20は、該スライドドア20が閉状態でアンロック状態にあることを条件として、所謂電動式で自動的に、使用者がスライドドア20のアウタードアハンドル154を引いたとき、又は、スマートキータイプのエントリーシステムを構成する携帯機200の開閉ボタン(APS)208を押下操作したときに、自動的に開く、いわゆるパワースライドドアである。
【0017】
なお、この実施形態に係るスライドドア20は、後に詳しく説明するように、該スライドドア20が閉状態でアンロック状態にある場合には、検知ユニット50が使用者の足の抜き差しを検知しても、開かないように制御されている。
【0018】
スマートキータイプのエントリーシステムは、図1に示すように、車載機である認証ECU(Electronic Control Unit)(認証制御部)24と、使用者が携帯する携帯機200とを備える。
【0019】
認証ECU24は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)及びRAM(ランダムアクセスメモリ)等の記憶器(記憶部)25、計時器(計時部)としてのタイマ、その他、必要に応じて、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現器(機能実現部、機能実現手段)、例えば制御器(制御部)、演算器(演算部)、及び処理器(処理部)等として機能する。
【0020】
なお、以下に、説明する他のECUも、上記した認証ECU24と同様の構成を有している。
【0021】
認証ECU24は、さらに、携帯機200と無線認証通信するための図示しない送受信回路を含んでいる。
【0022】
携帯機200は、ECU(携帯機ECU)224を有しており、この携帯機ECU224は、携帯機200の認証ECU(認証制御部)も兼ねている。携帯機ECU224の記憶器225(EEPROM)には、携帯機200の相互認証用のIDが記憶され、この相互認証用のIDと同一のIDが予め車両12の認証ECU24の記憶器25(EEPROM)にも記憶されている。
【0023】
携帯機200には、その外観に現れる、それぞれ使用者等が押下可能な、フロントドア16及びスライドドア20の解錠ボタン(アンロックボタンともいう。)204、フロントドア16及びスライドドア20の施錠ボタン(ロックボタンともいう。)206、及びスライドドア20の開閉ボタン208(助手席側)、開閉ボタン210(運転席側)からなる操作部が設けられる他、それぞれ図示しない、使用者等が視認可能なLED等のインジケータ、使用者等が聴取可能なブザー、スピーカ等が設けられる。
【0024】
携帯機200の内部には、車載機の認証ECU24と無線認証通信するための送受信回路を含む前記携帯機ECU(認証ECU(認証制御部)を兼ねる)224が設けられている。
【0025】
アンロックボタン204、ロックボタン206、及び開閉ボタン208、210は、電気的に携帯機ECU224に接続されている。
【0026】
スマートキーエントリーシステムは、公知のように、使用者が携帯機200を携帯して車両12のフロントドア16の正面側に接近すると、使用者が携帯機200のボタンを何ら操作せずとも、車両12のフロントドア16のアンロックスタンバイモード又はスライドドア20のアンロックスタンバイモードに設定される。
【0027】
このアンロックスタンバイモード下において、車両ドア(フロントドア16又はスライドドア20)の自動的なアンロック(解錠)を行うためには、使用者は単に、自動応答機である携帯機200を保持し、車両12の所定の無線周波数通信範囲(前記フロントドア16の正面側近傍であって、後述する携帯機検知範囲80)に歩いて入る。その結果、認証ECU24及び携帯機200は、相互のIDが同一か否かの認証通信を行う。
【0028】
認証通信が成功裏(相互のIDが同一)に終了した後、使用者が、例えばフロントドア16のドアハンドル124に設けられたドアロック・アンロックボタン126(ドアロックセンサ)を押下すると、フロントドアロック122及びスライドドア20のロック(スライドドアロック)222がアンロック(解錠)される。その後、使用者が、ドアハンドル124を引くと、フロントドア16が開く。
【0029】
その一方、スライドドア20は、アンロックされた状態において、使用者がアウタードアハンドル(ODH)154を引くこと、又はロックされた状態において、使用者が携帯機200の開閉ボタン208を押すことで、自動的に開くことができる。
【0030】
車両用ドア開閉装置10は、上記した認証ECU24の他、車内通信線30を介して相互に接続される車両ECU32(車両制御部)、ドアロックECU34(ドアロック制御部)、及びスライドドア駆動ECU36(スライドドア駆動制御部)の各ECUを備える。
【0031】
この実施形態に係る車両用ドア開閉装置10の検知ユニット50は、車両12の生産工場ラインで取り付けるのではなく、市販され、後付け可能なオプション(後付けオプション)としてディーラ等で取り付けられるが、生産工場ラインで取り付けてもよい。
【0032】
検知ユニット50は、図1に示すように、1組の同一仕様の送受波器72と送受波器74とからなる超音波センサ76、ブザー78、及び検知ECU70(検知制御部)とを備える。
【0033】
送受波器72及び送受波器74は、図2A図2B及び図3に示すように、車両12の車長方向に沿って配置される。この送受波器72及び送受波器74は、所定周期で(例えば、数百ミリ秒ごとに)超音波の送信と受信が交互に切り替わるように構成された送受信兼用タイプであり、送信専用又は受信専用で使用するよりも使用可能期間を長くすることができる利点がある。なお、図において、参照符号Rは、超音波センサ76の検知可能な検知範囲(検知領域)を示す。
【0034】
検知ユニット50は、コネクタ71を介して車両12内の車両用ドア開閉装置本体302に有線で電気的に接続されると共に、図2A図2Bに示すように、車体100中、フロントドア16の下側(フロントサイドシル17下)であって、使用者Mの左足Fの出し入れを検知し易いように、スライドドア20の下側(リアサイドシル18)の近くに、図示しない締結部材により固定される。
【0035】
図3は、検知ユニット50の想定する利用シーンの説明図である。検知ユニット50に係わる詳細な動作については後述する。
【0036】
例えば、地面300上に駐車されている車両12のフロントドア16及びスライドドア20のロック状態において、携帯機200を衣服のポケット内等に携帯し、荷物Bを持って両手が塞がっている使用者Mが、左足Fをフロントドア16下(フロントサイドシル17下)の超音波センサ76の下(所定の検知範囲R)に入れる(工程a)。
【0037】
次いで、超音波センサ76の下(該超音波センサ76と地面300との間での所定の検知範囲R)から数秒以内に左足Fを抜く。この左足Fの抜き差し動作{キック動作(キックモーション)という。}の検知をトリガとして、携帯機200(の携帯機ECU224)と認証ECU24が認証通信を開始する(工程b)。
【0038】
実際上、超音波センサ76による左足F等の前記抜き差し動作の検知は、一方の送受波器72から送波されている超音波77(送信波)の地面300からの反射が一旦、左足F等からの反射に変わりその後、さらに地面300からの反射に戻る過程が数秒以内(所定の第1閾値時間以内。本実施形態では、3秒以内に設定される。)になされたか否かを、他方の送受波器74により超音波77(反射波)の状態(帰来時間)を監視することで実行される。
【0039】
ここで、所定の第1閾値時間は、検知ECU70のタイマ26によって計測される。すなわち、一方の送受波器72から送波されている超音波77(送信波)の地面300からの反射が、一旦左足F等からの反射に変わったことを、他方の送受波器74が検知したときから、タイマ26による計時が開始される。左足F等からの超音波77(反射波)が地面300からの反射に戻ることなく所定の第1閾値時間が経過したときに、タイマ26はフラグ(3秒フラグ)をセットする。
【0040】
送受波器72及び送受波器74は、所定周期で(例えば、数百ミリ秒ごとに)超音波の送信と受信が交互に切り替わるように構成された送受信兼用タイプである。このため、この実施形態では、タイマ26は、超音波77(反射波)が、未だ左足Fや縁石等、超音波センサ76下の滞留物に反射したものである場合、所定の第1閾値時間経過後、超音波の送信と受信が最初に切り替わったタイミングで、フラグ(3秒フラグ)をセットするようにしている。
【0041】
さらに、タイマ26は、所定の第1閾値時間経過後も、超音波77(反射波)が未だ左足Fや縁石等からのものである場合には計時を継続し、数分(所定の第2閾値時間。本実施形態では、3分に設定される。)経過後も、左足Fや縁石等からの超音波77(反射波)が地面300からの反射に戻っていない場合、超音波の送信と受信が最初に切り替わったタイミングで、別途のフラグ(3分フラグ)をセットする。
【0042】
これに対し、左足F等からの超音波77(反射波)が、所定の第1閾値時間以内に地面300からの反射に戻った場合には、使用者Mが左足Fで正しくキックを行ったものとして、タイマ26はフラグ(3秒フラグ)をセットせずに計時を終了する。
【0043】
図3にもどり、左足Fのキック検知をトリガとして携帯機200(の携帯機ECU224)と認証ECU24が認証通信を開始し、工程bの認証が成功すると、フロントドア16及びスライドドア20がロック状態からアンロック状態にされ、さらに、スライドドア20が自動で開かれる。
【0044】
両手が荷物Bで塞がっている使用者Mは、荷物Bを車内22に降ろして、車両12に積むことができる(工程c)。
【0045】
荷物Bを車内22に降ろした後、荷物Bの積み卸しが完了したと判断した使用者Mが上述したキックモーション(右足でも左足Fでもよい。)を行う(再び工程b)。
【0046】
このキックモーションの検知をトリガとして、スライドドア20が自動で閉じられる。その後、携帯機200(の携帯機ECU224)と認証ECU24が認証通信を行い認証が成功すると、スライドドア20はロック状態にされる。このとき、フロントドア16を含む他の全てのドアもロック状態にされる。
【0047】
この場合、検知ユニット50(超音波センサ76)がフロントドア16下(フロントサイドシル17下)に設けられているので、荷物Bの積み降ろし作業中に、使用者Mの足(左足F又は右足)がリアサイドシル18下(後左開口部104下)に入っても、超音波センサ76の検知範囲R外であるので、スライドドア20が、開いたままに保持される。このため、荷物Bの積み卸し中に、意に反して、スライドドア20が閉まる虞が抑制され、荷物Bの円滑な積み卸し作業を遂行することができる。
【0048】
なお、超音波センサ76による左足F等の前記抜き差し動作の検知において、超音波(送信波)の地面300からの反射が一旦、左足F等からの反射に変わりその後、さらに地面300からの反射に戻る過程が数秒(第1閾値時間)以上継続した場合には、使用者Mの足(左足F又は右足)ではない別途の物体(例えば、路上の縁石等)を検知したものとみなして、スライドドア20の開閉動作を行うことなく(開閉動作に係る信号を出力することなく)、キックモーションの検知待ち状態に戻る。このとき、3秒フラグはリセットされる。
【0049】
さらに、超音波センサ76による左足F等の前記抜き差し動作の検知において、超音波(送信波)の地面300からの反射が一旦、左足F等からの反射に変わりその後、さらに地面300からの反射に戻る過程が数分(第2閾値時間)以上継続した場合には、使用者Mの足(左足F又は右足)ではない別途の物体を検知したものとみなして、キックモーションの検知を終了する。このとき、3秒フラグ及び3分フラグはリセットされる。
【0050】
この場合、エンジン(動力源)40がOFF状態からON状態になり、さらにエンジン40(動力源)がOFF状態になったとき、キックモーションの検知を再開するようにしている。
【0051】
図1にもどり、車両ECU32には、車両12の動力源としてのエンジン40と、車内22の所定範囲内に存在する携帯機200との認証下に、パワーモードを切り替え可能なパワーモード切替スイッチ44と、が接続されている。パワーモード切替スイッチ44は、コンベンショナルなイグニッションスイッチに概ね該当する。なお、車両12の動力源としては、エンジン40に代替して燃料電池としてもよい。
【0052】
図4は、図示しないインストルメントパネル上に配置されたパワーモード切替スイッチ44(パワーモード切替ボタン)の回路構成の説明図である。実際の回路は、可動接点の切替位置が任意に選択可能なリレーにより構成されているが、理解の便宜のために、コンベンショナルなイグニッションスイッチの機能を有するロータリースイッチの回路構成にて説明する。
【0053】
パワーモード切替スイッチ44は、押しボタンスイッチでありボタンの押下毎にオフモード(全ての電源がオフでOFFモードともいう。)→アクセサリモード(オーディオシステム等、車内電装品の使用可能モードで、ACCモードともいう。)→エンジン40が始動(START)する始動モード(STARTモード)を経由して動作中となるオンモード(ONモードともいう。)→上記オフモードの順に循環して択一的に機能モードの選択(切替)が可能である。
【0054】
パワーモード切替スイッチ44は、共通端子130と1個の可動接点132と固定接点OFF、ACC、ON、及びSTARTと、切片133、134、135、136と、を備えている。切片133には、ACC端子143が接続され、切片134には、ON端子144が接続され、切片135には、RES(Remote Engine Start:いわゆるリモコンエンジンスタータに関連する。)ON端子145が接続され、切片136には、START端子146が接続されている。
【0055】
可動接点132が固定接点OFFにあるときには、車載の蓄電器140の電圧(+B電源ともいう。)は、電装品等に接続されない。
【0056】
可動接点132が固定接点ACCにあるときには、+B電源が共通端子130から可動接点132及び切片133を介してACC端子143に供給される。ACC端子143には図示しない車内電装品の他、検知ユニット50のコネクタ71中、端子71bが配線を介して接続されている。ACC端子143に現れる電圧の信号をACC信号Saccという。ACC信号Saccは、ACC端子143が切片133、可動接点132、共通端子130を通じて蓄電器140に接続されているとき、公称値+12[V]の+B電源の電圧(電圧も+Bという。)になり(ハイレベル)、切片133が可動接点132と非接続のときには、図示しない抵抗器を介して接地され電圧0[V]になる(ローレベル)。
【0057】
可動接点132が固定接点ONにあるときには、切片134を介してON端子144に+B電源が供給されると共に、切片133を介してACC端子143にも+B電源が供給され、さらに、切片135を介してRESON端子145にも+B電源が供給される。切片134、135は、可動接点132と非接続のときにはON端子144、RESON端子145を通じ図示しない抵抗器を介して接地され、電圧0[V]になる。
【0058】
可動接点132が固定接点STARTにあるときには、切片135を介してRESON端子145に+B電源が供給されると共に、切片136を介してSTART端子146に+B電源が供給される。切片136は、可動接点132と非接続のときにはSTART端子146を通じて図示しない抵抗器を介して接地され、電圧0[V]になる。
【0059】
ここで、留意すべき点が、以下に説明する3点ある。
【0060】
第1に、車内22でパワーモード切替スイッチ44が押下されて車内22にある携帯機200との認証通信が成功し可動接点132が固定接点STARTと接続されたときには、エンジン40が図示しないクランキングモータによりクランキングされて始動した後、可動接点132が、固定接点ONに車両ECU32によりもどされる。なお、エンジン40が始動した後の動作中には、前記クランキングモータへの電力の供給は、停止される。
【0061】
第2に、車両12の外部から図示しないリモコンエンジンスタータのエンジンスタートボタンが押下された場合には、そのリモコンエンジンスタータとの認証が成功したとき、可動接点132が固定接点OFFの位置から固定接点ACC及び固定接点ONを迂回して直接固定接点STARTに接続されるように車両ECU32により制御され、エンジン40がクランキングされて始動した後、可動接点132は、固定接点STARTに維持される。なお、エンジン40が始動した後の動作中には、前記クランキングモータへの電力の供給は、停止されている。
【0062】
第3に、外部から前記リモコンエンジンスタータによりエンジン40が始動されて動作状態にされている場合に、例えば、外部から携帯機200のアンロックボタン204が操作され、認証通信が成功してロック122、222がアンロック状態にされると、車両ECU32は、可動接点132を固定接点STARTから固定接点OFFに接続し、エンジン40を停止させる。
【0063】
図1に戻り、ドアロックECU34には、フロントドア16のロック(フロントドアロック、FDロック)122を施解錠するフロントドアロックアクチュエータ52、ドアロック・アンロックボタン126、フロントドアロック122の状態(ロック状態又はアンロック状態)を検知するフロントドアロックスイッチ54、フロントドア(FD)16の開閉状態を検知するフロントドアスイッチ56、及びスライドドア20のロック(SDロック)222を施解錠するスライドドアロックアクチュエータ60が接続されている。
【0064】
ドアハンドル124に組み込まれているドアロック・アンロックボタン126(図2A図2B参照)は、押下されると、ドアロックトリガ信号Stを出力する。ドアロックトリガ信号Stは、フロントドア16及びスライドドア20がロック状態にされているときには、フロントドア16及びスライドドア20のアンロック信号として機能し、フロントドア16及びスライドドア20が閉じられていてアンロック状態にされているときには、フロントドア16及びスライドドア20のロック信号として機能する。
【0065】
スライドドア駆動ECU36には、アウタードアハンドル154(図2A図2B参照)が使用者Mの手により引かれているときに閉状態となりアウタードアハンドルスイッチオン信号So/honを出力する(引かれていないときに開状態となりアウタードアハンドルスイッチオン信号So/honを出力しない)アウタードアハンドルスイッチ58、スライドドア20のロック(SDロック)222の状態(ロック状態又はアンロック状態)を検知するスライドドアロックスイッチ62、スライドドア20の開閉状態を検知するスライドドアスイッチ64、及びスライドドア(SD)20を開閉駆動するスライドドア開閉アクチュエータ66が接続されている。
【0066】
検知ECU70は、計時器としてのタイマ26を備え、上記した送受波器72と送受波器74とからなる超音波センサ76、ブザー78、配線相互を電気的に接続する電気部品としてのコネクタ71が接続されている。コネクタ71は、9つの端子71a~71iを備えている。
【0067】
端子71aは、車両12の蓄電器140から検知ユニット50内に+B電源が供給される端子である。
【0068】
端子71bは、ACC端子143(図4参照)に接続され、検知ECU70が、ACC端子143の電圧(+B電源又は0[V])をACC信号Saccの電圧レベルにより検出して、検出した電圧に基づき、検知ユニット50をキック検知モード状態(キック検知可能状態)又はキック検知禁止モード状態に遷移させるための端子である。
【0069】
端子71cは、フロントドアスイッチ56に接続され、検知ECU70がフロントドア16の開閉状態を検知するための端子である。
【0070】
端子71dは、フロントドアロックスイッチ54に接続され、検知ECU70が、フロントドア16のロック・アンロック状態を検知するための端子である。
【0071】
端子71eは、ドアロック・アンロックボタン126に接続され上記したドアロックトリガ信号Stと同等の信号である疑似ドアロックトリガ信号Sptを検知ECU70から出力する端子であり、検知ECU70内の疑似ドアロックトリガ信号Sptの生成部160に接続されている。
【0072】
端子71fは、スライドドアスイッチ64に接続され、検知ECU70が、スライドドア20の開閉状態を検知するための端子である。
【0073】
端子71gは、スライドドアロックスイッチ62に接続され、検知ECU70が、スライドドア20のロック222のロック・アンロック状態を検知するための端子である。
【0074】
端子71h、71iは、上記したアウタードアハンドルスイッチ58と同等の機能を有する、検知ECU70内の半導体素子による電子スイッチのアウタードアハンドルスイッチ(ODHスイッチ)158に接続されている。アウタードアハンドルスイッチ158は、後述する所定条件下に検知ECU70によりオン状態にされ疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号(疑似ODHスイッチオン信号、ドア開要求信号)Spo/honを生成し出力する疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号Spo/honの生成部として機能する。
【0075】
この疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号Spo/honは、アウタードアハンドル154(図2A図2B参照)が使用者Mの手により引かれているときに、アウタードアハンドルスイッチ58(図1参照)から出力されるアウタードアハンドルスイッチオン信号So/honと同等の疑似信号である。
【0076】
[動作]
次に、基本的には以上のように構成され且つ動作する車両用ドア開閉装置10の詳細な動作について、図5に示す検知ユニット50と車両用ドア開閉装置本体302とが連係したスライドドア20の動作(開閉動作及びロック・アンロック動作)に係わるフローチャート、図6に示すスライドドア20(SD)のロック(LOCK)時からアンロック(UNLOCK)且つドア開(OPEN)時への動作説明図、図7に示すスライドドア20のドア開(OPEN)時からドア閉(CLOSE)時へ及びドア開(OPEN)時からドア閉(CLOSE)且つロック時(&LOCK)への動作説明図、図8に示す検知ユニット50の動作、非作動を決定するフローチャート、及び図9に示すキック検知の有無を判断するフローチャートを参照して、以下(1)-(5)の順に説明する。
(1)スライドドア閉ロックから開アンロックへの遷移処理
(2)スライドドア閉アンロックから閉ロックへの遷移処理
(3)スライドドア開アンロックから閉ロックへの遷移処理
(4)検知ユニット50の動作、非動作の決定処理
(5)キック検知の有無判断処理
【0077】
[検知ユニット50と車両用ドア開閉装置本体302とが連係したスライドドア20の動作]
<(1)スライドドア閉ロックから開アンロックへの遷移処理>
ステップS1にて、検知ECU70は、キック検知(キックモーションの検知)が有るか否かを判定する。
【0078】
図6に示すように、このキック検知は、スライドドア20(L側SD)の携帯機検知範囲80内に、スライドドア20(SD)を開けたい人Xが、i)携帯機200を持ってフロントサイドシル17下の超音波センサ76下に足(右足又は左足F)を入れると、ii)検知ユニット50がブザー78を吹鳴させ、iii)人Xが数秒以内に足を抜くことで検知される(ステップS1:YES)。なお、この実施形態では、スライドドア20の携帯機検知範囲80が、略フロントドア16の正面近傍に設けられていることに留意する。
【0079】
ここでは、人の足によるキック検知有(ステップS1:キック検知有)と判定されたものする。
【0080】
次いで、ステップS2にて、検知ECU70は、端子71fを通じてスライドドアスイッチ64の開閉状態の検知結果を取得して、スライドドア20の開閉状態を判定する。
【0081】
ここでは、「閉状態」であるものとする(ステップS2:閉)。
【0082】
次に、ステップS3にて、検知ECU70は、スライドドア20のロック状態をスライドドアロックスイッチ62のロック・アンロック状態の検知結果を、端子71gを通じて取得して検知する。
【0083】
ここでは、「ロック状態」であるものとする(ステップS3:ロック)。
【0084】
このとき、ステップS4にて、検知ECU70は、アウタードアハンドルスイッチ158をオン(ON)状態にする。これにより、検知ユニット50のアウタードアハンドルスイッチ158に接続された検知ECU70の端子71h、71iから、iv)疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号Spo/honが出力されスライドドア駆動ECU36に入力される。
【0085】
次いで、ステップS5にて、疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号Spo/honの入力をトリガとしたスライドドア駆動ECU36からの認証要求が車内通信線30(以降、車内通信線30の説明を省略)を介して認証ECU24に送出され、疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号Spo/honを受領した認証ECU24は、携帯機200との認証通信を行う。この場合、相互の記憶器25、225に記憶されているIDが一致すると認証が成功裏となり、成功裏の認証結果が認証ECU24からスライドドア駆動ECU36に通知される。
【0086】
このとき、ステップS6にて、スライドドア駆動ECU36は、v)ドアロックECU34を介してスライドドアロックアクチュエータ60により、ロック222をアンロック状態にした後、スライドドア開閉アクチュエータ66を通じてスライドドア20を開状態に駆動する(図6の右側の図)。
【0087】
以上の処理{ステップS1:キック検知有→ステップS2:閉→ステップS3:ロック→ステップS4:Spo/hon信号出力→ステップS5:認証通信→ステップS6:開}が、使用者Xのキック動作下に、閉状態でロックがかかっているスライドドア20をアンロックの開状態にする処理(第1ルート処理という。)である。
【0088】
<(2)スライドドア閉アンロックから閉ロックへの遷移処理>
一方、上述したステップS3にて、検知ECU70により、いまいま閉じられているスライドドア20が「アンロック状態」であるとの判定が下された場合には、ステップS1の1度目のキック検知では直ちに開くことはしない。
【0089】
そのため、ステップS7にて、検知ECU70は、生成部160から疑似ドアロックトリガ信号Sptを、端子71eを通じて出力し、ドアロックECU34に送出する。
【0090】
次いで、ステップS8にて、疑似ドアロックトリガ信号Sptの入力をトリガとして、ドアロックECU34からの認証要求が、認証ECU24に送出される。このとき、認証ECU24は、携帯機200との認証通信を行う。相互の記憶器25、225に記憶されているIDが一致すると認証が成功裏となり、成功裏の認証結果が認証ECU24からドアロックECU34に通知される。
【0091】
次に、ステップS9にて、ドアロックECU34は、成功裏の認証結果に基づきスライドドアロックアクチュエータ60を通じて、ロック222をロック状態にする。
【0092】
以上の処理{ステップS1:キック検知有→ステップS2:閉→ステップS3:アンロック→ステップS7:Spt信号出力→ステップS8:認証通信→ステップS9:ロック}が、使用者Xのキック動作下に、閉じてアンロックになっているスライドドア20をロック状態にする処理(第2ルート処理という。)である。
【0093】
このステップS9の処理後に、再度、ステップS1でキック動作(2度目のキック動作)が検知されると、上述した第1ルート処理によって、スライドドア20が、閉ロック状態からアンロック開状態に遷移する。
【0094】
<(3)スライドドア開アンロックから閉ロックへの遷移処理>
ステップS1にて、検知ECU70は、キック検知(キックモーションの検知)が有るか否かを判定する。
【0095】
ここでは、人の足によるキック検知有(ステップS1:キック検知有)と判定されたものする。
【0096】
図7に示すように、このキック検知の判定は、スライドドア20(L側SD)の携帯機検知範囲80内に、スライドドア20(SD)を閉じたい人(SDをCLOSEしたい人)Y、又はスライドドア20を閉じてロックしたい人(SDをCLOSE&LOCKしたい人)Zが、I)携帯機200を持ってフロントサイドシル17下の超音波センサ76下に足(右足又は左足F)を入れて数秒以内に抜いた場合に(キックモーションを行った場合に)、達成される(ステップS1:キック検知有)。このとき、検知ユニット50は、ブザー78を吹鳴させる。
【0097】
この場合にも、ステップS2の検知ECU70によるスライドドアスイッチ64の開閉状態の検知結果、スライドドア20の開閉状態が開状態(ロック222は、当然アンロック状態)にあると判定されたとき、ステップS11にて、検知ECU70は、アウタードアハンドルスイッチ158をオン(ON)状態にする。これにより、I)アウタードアハンドルスイッチ158から疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号Spo/honが出力されスライドドア駆動ECU36に入力される。
【0098】
次いで、ステップS12にて、スライドドア駆動ECU36は、スライドドア開閉アクチュエータ66を通じてスライドドア20を閉状態に駆動する。
【0099】
スライドドア20(SD)を閉じたい人(SDをCLOSEしたい人)Yは、II)スライドドア20の閉状態が完了する前に携帯機200を持って携帯機検知範囲80外まで離れる。
【0100】
一方、スライドドア20を閉じてロックをかけたい人Zは、II´)携帯機200を持って携帯機検知範囲80内でスライドドア20が閉状態(CLOSE完了)となるまで待機する。
【0101】
スライドドア20が閉状態になったことがスライドドアスイッチ64の状態により検知ECU70にて検知されると、検知ECU70は、上述したステップS7、S8、S9の処理と同様に、ステップS13にて、生成部160から疑似ドアロックトリガ信号Sptを出力し、ドアロックECU34に送出する。
【0102】
次いで、ステップS14にて、ドアロックECU34の認証要求が認証ECU24に送出され、認証ECU24は、携帯機200との認証通信を行う。相互の記憶器25、225に記憶されているIDが一致すると認証が成功裏となり、成功裏の認証結果が認証ECU24からドアロックECU34に通知される。
【0103】
このとき、ステップS15にて、ドアロックECU34は、スライドドアロックアクチュエータ60を通じて、ロック222をロック状態にする。
【0104】
以上の処理{ステップS1:キック検知有→ステップS2:開→ステップS11:Spo/hon信号出力→ステップS12:スライドドア閉→ステップS13:Spt信号出力→ステップS14:認証通信→ステップS15:ロック}が、使用者Zのキック動作下に、開いてアンロックになっているスライドドア20を閉じてロック状態にする処理(第3ルート処理という。)である。
【0105】
検知ユニット50が、たとえ後付けオプションであったとしても、前記第1-第3ルート処理のいずれの場合にも、携帯機200と認証ECU24との既存の認証通信(ステップS5、S8、S14)下にスライドドア20を開閉乃至ロック・アンロックするので、セキュリティの確保が維持される。
【0106】
<(4)検知ユニット50の動作、非動作の決定処理>
次に、図8のステップS001にて、検知ECU70は、検知用端子である端子71bを通じてACC信号Saccを検知し、電圧を確認する。Sacc=+Bである場合には、パワーモード切替スイッチ44の可動接点132が、車両12内で固定接点ACC又は固定接点ONに切り替えられていると判断し、車両12内に乗員が居るとみなして、ステップS003にてキック検知禁止モード(キックモーションを無効)にする。
【0107】
その一方、ACC信号Saccが、0[V]である場合には、可動接点132が、固定接点OFF又は固定接点STARTに切り替えられているので、車両12内に乗員が居ないとみなして、ステップS002にてキック検知モード(キックモーションを有効)にする。
【0108】
<(5)キック検知の有無判断処理>
ステップS1(キック検知の有無判断処理)の具体的なフローを、図9に示す。まず、ステップS101にて、検知ユニット50は、一方の送受波器72から送波されている超音波77(送信波)が、地面300からの反射から人X等の足(右足又は左足F)を含む検知対象物からの反射に変わってから、再び地面300からの反射に戻るまでの時間(帰来時間)が、数秒(所定の第1閾値時間。本実施形態では3秒に設定される。)以内であるか否か判定する。
【0109】
ステップS101における判定結果が、数秒以内である場合には(ステップS101:YES)、ステップS102にて、人X等が超音波センサ76の下に足(右足又は左足F)を差し入れて、その後、超音波センサ76の下から足(右足又は左足F)を抜いたものとみなす。すなわち、人Xの足(右足又は左足F)によるキック検知「有」と判断し(ステップS1:キック検知有)、図5に示すステップS2へ進む。
【0110】
一方、ステップS101における判定結果が、数秒以上継続している場合には(ステップS101:NO)、ステップS103にて、人X等が超音波センサ76の下に足(右足又は左足F)を差し入れたままであるか、又は人X等の足(右足又は左足F)以外の別途の物体を検知したものとみなす(ステップS1:キック検知無)。
【0111】
この場合、ステップS104にて、検知ユニット50は、送受波器72から送波されている超音波77(送信波)が、地面300からの反射から人X等の足(右足又は左足F)を含む検知対象物からの反射に変わってから、再び地面300からの反射に戻るまでの時間(帰来時間)が、数分(所定の第2閾値時間。本実施形態では3分に設定される。)以内であるか否か判定する。
【0112】
ステップS104における判定結果が、数分以内である場合には(ステップS104:YES)、超音波センサ76の下から検知対象物が移動したものとして、スライドドア20の開閉動作やロック・アンロック動作(第1~3の処理ルート)を行なうことなく(リアスライドドア20の開閉動作に係る疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号Spo/hon等を出力することなく)、超音波センサ76への電源供給を維持し、ステップS105にて、キック検知モード(キックモーションを有効)を維持する。すなわち、検知ユニット50は、次回のキックモーションの検知待ち状態となる。
【0113】
一方、ステップS104における判定結果が、数分以上である場合には(ステップS104:NO)、超音波センサ76の下の検知対象物が縁石等の路上の固定物等とみなして、スライドドア20の開閉動作やロック・アンロック動作(第1~3の処理ルート)を行なうことなく(リアスライドドア20の開閉動作に係る疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号Spo/honを出力することなく)、超音波センサ76への電源供給を一旦終了し、ステップS106にて、キック検知禁止モード(キックモーションを無効)にする。
【0114】
その後、検知ECU70は、検知用端子である端子71bを通じてACC信号Saccを監視し、ステップS107にて、一旦エンジン40(動力源)がON状態、すなわちACC信号Sacc=+B[V]となり、さらにエンジン40(動力源)が再びOFF状態、すなわちACC信号Sacc=0[V]となるかどうかを判定する。ACC信号Saccが+B[V]となり、その後、0[V]となった場合には(ステップS107:YES)、超音波センサ76への電源供給を再開し、ステップS105にて、キック検知モード(キックモーションを有効)とし、検知ユニット50は、人の足によるキック検知を再開する。ACC信号Saccが+B[V]から0[V]にならない場合には(ステップS107:NO)、キック検知禁止モードを維持する。
【0115】
[まとめ及び変形例]
このように上述した実施形態に係る車両用ドア開閉装置10は、車両12のリアスライドドア20と、車両12のフロントドア16近傍に位置する人Xの足Fを含む検知対象物を検知する検知ユニット50と、検知ユニット50が人Xの足Fを検知したとき、リアスライドドア20を開く車両用ドア開閉装置本体(ドア駆動ユニット)302と、を備え、検知ユニット50は、検知対象物を検知してから第1閾値時間以内(本実施形態では3秒以内)に人Xの足Fを検知しなくなった場合には、車両用ドア開閉装置本体302に対してリアスライドドア20を開けるように要求する疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号(ドア開要求信号)Spo/honを出力し、その一方、検知ユニット50が検知対象物を検知してから第1閾値時間以上(本実施形態では3秒以上)検知し続けていた場合には該信号を出力しないことを特徴とする。
【0116】
この実施形態によれば、使用者Xによる足の進入と退避が第1閾値時間以内に行なわれた場合に、車両用ドア開閉装置本体302を介してリアスライドドア20を開くようにしたので、簡易な方法で誤検知を防ぐことができる。
【0117】
また、検知対象物を検知してから第1閾値時間よりも長い第2閾値時間以上、連続して検知対象物を検知している場合には、第2閾値時間の経過時以降、検知対象物の検知を停止し、その後、車両12のエンジン(動力源)40がオンになり、さらにエンジン(動力源)40がオフとなったときに、検知対象物の検知を再開することが好ましい。
【0118】
この場合、検知ユニット50の検知エリア内で第2閾値時間以上停留する検知対象物が存在している場合には、人Xの足Fではないとみなして検知動作を停止するようにしたので、人Xの足Fではないとみなした検知対象物によりリアスライドドア20が開くことがない。また、人Xの足Fの検知動作を停止するので、節電することができる。さらに、人Xの足Fの検知動作を停止し、その後、車両12のエンジン(動力源)40がオンになり、さらにエンジン(動力源)40がオフになったとき、人Xの足Fの検知動作を再開するように構成したので、検知ユニット50は、エンジン(動力源)40のオン、オフを監視するだけで、容易に足Fの検知動作を再開することができる。
【0119】
さらに、検知ユニット50は、人Mの足Fを含む検知対象物を検知する超音波センサ76を含み、超音波センサ76は、フロントドア16のフロントサイドシル17下に配置しているので、例えば、リアスライドドア20を開いた状態での積み込み・運び出し作業中に、作業者である使用者Mの足(左足F又は右足)の動きによりリアスライドドア20が予期せずに閉まることを防止できる。
【0120】
また、検知ユニット50が、いわゆる後付オプションであっても、既存のドア駆動ロックユニット(ドアロックECU34及びスライドドア駆動ECU36)及び携帯機200と連係して認証通信下にドア(スライドドア20)を開状態に駆動することができる。
【0121】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0122】
10…車両用ドア開閉装置 12…車両
16…フロントドア 17…フロントサイドシル
18…リアサイドシル 20…スライドドア
22…車内 40…エンジン(動力源)
44…パワーモード切替スイッチ 50…検知ユニット
200…携帯機
302…車両用ドア開閉装置本体(ドア駆動ユニット)
F…左足 M、X、Y、Z…使用者(人)
Spo/hon…疑似アウタードアハンドルスイッチオン信号(ドア開要求信号)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9