(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20220407BHJP
【FI】
G06Q20/06
(21)【出願番号】P 2020156134
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】ダウニー ファーガル
(72)【発明者】
【氏名】ベル マーティー
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ショーン
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-250170(JP,A)
【文献】特開2003-316993(JP,A)
【文献】特開2015-088088(JP,A)
【文献】特開2020-107203(JP,A)
【文献】特開2019-212256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィアット通貨に
固定される価値を裏付けとして、プラットフォーム上で交換可能なベーストークンを発行するベーストークン発行部と、
前記ベーストークン発行部により発行された前記ベーストークンに基づいた交換元のトークンを消費することを条件に、消費された前記交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンと前記交換先トークンとを交換するトークン交換部と
を備え
、
前記プラットフォーム上に存在するトークンの総量は、前記フィアット通貨に固定される総価値内に制御される
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ベーストークン発行部は、前記フィアット通貨建ての企業ポイントを所定の固定レートで前記ベーストークンに引き換えることにより、前記ベーストークンを発行する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ベーストークン発行部は、前記フィアット通貨のデポジットを所定の固定レートで前記ベーストークンに引き換えることにより、前記ベーストークンを発行する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の固定レートに基づいて、前記ベーストークンを、前記フィアット通貨建ての企業ポイントまたは前記フィアット通貨に償還する償還部をさらに備える
ことを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記トークン交換部は、前記プラットフォームでのトランザクションに参加する第三者アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)に固有のブランドトークンと、前記ベーストークンとの間で、交換元トークンを消費して、消費された前記交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンを前記交換先トークンに可逆的に交換する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記トークン交換部は、前記プラットフォームでのトランザクションに参加する第1の第三者アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)に固有の第1のブランドトークンと、第2の第三者ASPに固有の第2のブランドトークンとの間で、交換元トークンを消費して、消費された前記交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンを前記交換先トークンに可逆的に交換する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記トークン交換部は、前記ベーストークンに対する前記第1のブランドトークンの第1の固定レート、および前記ベーストークンに対する前記第2のブランドトークンの第2の固定レートに基づいて、前記第1のブランドトークンを前記第2のブランドトークンに交換する交換レートを算出し、算出された前記交換レートに基づいて、前記第1のブランドトークンを前記第2のブランドトークンへ交換する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ベーストークンは、当該ベーストークンを他のトークンに交換する際の交換レートを定義する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記トークン交換部が前記交換元トークンと前記交換先トークンとを交換する際に、交換手数料として前記ベーストークンを発行する手数料発行部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記ブランドトークンは、前記プラットフォームでのトランザクションに参加する第三者ASPが提供する、EC(Electronic Commerce)店舗または実店舗、もしくは前記フィアット通貨建ての企業ポイントを発行する企業が提供するECサイトに出店する店舗において、限定的に使用可能である
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記交換元トークンおよび前記交換先トークンは、いずれもブロックチェーン上にアンカリングされる
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
フィアット通貨に
固定される価値を裏付けとして、プラットフォーム上で交換可能なベーストークンを発行するステップと、
発行された前記ベーストークンに基づいた交換元のトークンを消費するステップと、
前記交換元のトークンが消費されることを条件に、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンと前記交換先トークンとを交換するステップと
を含
み、
前記プラットフォーム上に存在するトークンの総量は、前記フィアット通貨に固定される総価値内に制御される
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、
フィアット通貨に
固定される価値を裏付けとして、プラットフォーム上で交換可能なベーストークンを発行するベーストークン発行処理と、
前記ベーストークン発行処理により発行された前記ベーストークンに基づいた交換元のトークンを消費することを条件に、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンと前記交換先トークンとを交換するトークン交換処理と、を含む処理を実行させるためのものであ
り、
前記プラットフォーム上に存在するトークンの総量は、前記フィアット通貨に固定される総価値内に制御される
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関し、特に、プラットフォーム上でトークンを発行および交換するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想通貨を利用するための暗号化されたプラットフォームとして構築された既存のブロックチェーン上で、特定の個人や企業は、仲介者を介することなく、新たな仮想通貨ないし代用通貨として、トークンを発行することができる。
従来から、このようなプラットフォーム上で、あるトークンを他のトークンに交換する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、資金調達手段としてのICO(Initial Coin Offering)の際に配布された交換用のトークンを通常のトークンに交換するプログラムおよび装置を開示する。
具体的には、特許文献1が開示する技術においては、通常のトークンとは別に交換用のトークンを発行し、ICO実施者(資金調達者)に配布するとともに、ICO実施の際に、早期購入特典として交換用のトークンを投資家に配布する。
【0004】
ユーザ(ICO実施者および投資家)は、配布された交換用のトークンを通常のトークンに交換するために、ICOの行使価格に相当するコイン(仮想通貨)の支払いを条件づけられる。
トークンを交換する際に相当額のコインの支払いを義務付けることにより、ユーザが、無償で配布された交換用のトークンから通常のトークンを無償で取得することが防止される。これにより、ユーザが、取得された通常のトークンを行使価格未満の安い価格で売却し、トークンの価格が下落することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、ユーザは、行使価格に相当するコイン(仮想通貨)を支払わない限り、配布されたトークンを所望のトークンに交換することができない。このため、ユーザは、トークンを交換するためにコイン(仮想通貨)を予め準備しなければならず、煩雑であった。
【0007】
一方、ICOの運営者は、複数種類のトークンを特に量的な制限なく発行することができるため、トークンの価値が不安定化して下落するおそれがあった。
このように、従来は、プラットフォーム上でのトークンの発行およびトークン同士の交換は、利便性および安定性に乏しかった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、プラットフォーム上でトークンをより利便かつ安定的に発行および交換することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る情報処理装置の一態様は、フィアット通貨に固定される価値を裏付けとして、プラットフォーム上で交換可能なベーストークンを発行するベーストークン発行部と、前記ベーストークン発行部により発行された前記ベーストークンに基づいた交換元のトークンを消費して、消費された前記交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンと前記交換先トークンとを交換するトークン交換部と、を備える。
【0010】
前記ベーストークン発行部は、前記フィアット通貨建ての企業ポイントを所定の固定レートで前記ベーストークンに引き換えることにより、前記ベーストークンを発行してよい。
【0011】
前記ベーストークン発行部は、前記フィアット通貨のデポジットを所定の固定レートで前記ベーストークンに引き換えることにより、前記ベーストークンを発行してよい。
【0012】
上記情報処理装置は、前記所定の固定レートに基づいて、前記ベーストークンを、前記フィアット通貨建ての企業ポイントまたは前記フィアット通貨に償還する償還部をさらに備えてよい。
【0013】
前記トークン交換部は、前記プラットフォームでのトランザクションに参加する第三者アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)に固有のブランドトークンと、前記ベーストークンとの間で、交換元トークンを消費して、消費された前記交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンを前記交換先トークンに可逆的に交換してよい。
【0014】
前記トークン交換部は、前記プラットフォームでのトランザクションに参加する第1の第三者アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)に固有の第1のブランドトークンと、第2の第三者ASPに固有の第2のブランドトークンとの間で、交換元トークンを消費して、消費された前記交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンを前記交換先トークンに可逆的に交換してよい。
【0015】
前記トークン交換部は、前記ベーストークンに対する前記第1のブランドトークンの第1の固定レート、および前記ベーストークンに対する前記第2のブランドトークンの第2の固定レートに基づいて、前記第1のブランドトークンを前記第2のブランドトークンに交換する交換レートを算出し、算出された前記交換レートに基づいて、前記第1のブランドトークンを前記第2のブランドトークンへ交換してよい。
【0016】
前記ベーストークンは、当該ベーストークンを他のトークンに交換する際の交換レートを定義してよい。
【0017】
上記情報処理装置は、前記トークン交換部が前記交換元トークンと前記交換先トークンとを交換する際に、交換手数料として前記ベーストークンを発行する手数料発行部をさらに備えてよい。
【0018】
前記ブランドトークンは、前記プラットフォームでのトランザクションに参加する第三者ASPが提供する、EC(Electronic Commerce)店舗または実店舗、もしくは前記フィアット通貨建ての企業ポイントを発行する企業が提供するECサイトに出店する店舗において、限定的に使用可能であってよい。
【0019】
前記交換元トークンおよび前記交換先トークンは、いずれもブロックチェーン上にアンカリングされてよい。
【0020】
本発明に係る情報処理方法の一態様は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、フィアット通貨に固定される価値を裏付けとして、プラットフォーム上で交換可能なベーストークンを発行するステップと、発行された前記ベーストークンに基づいた交換元のトークンを消費するステップと、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンと前記交換先トークンとを交換するステップと、を含む。
【0021】
本発明に係る情報処理プログラムの一態様は、情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、フィアット通貨に固定される価値を裏付けとして、プラットフォーム上で交換可能なベーストークンを発行するベーストークン発行処理と、前記ベーストークン発行処理により発行された前記ベーストークンに基づいた交換元のトークンを消費して、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することにより、前記交換元トークンと前記交換先トークンとを交換するトークン交換処理と、を含む処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、プラットフォーム上でトークンをより利便かつ安定的に発行および交換することができる。
上記した本発明の目的、態様及び効果並びに上記されなかった本発明の目的、態様及び効果は、当業者であれば添付図面及び請求の範囲の記載を参照することにより下記の発明を実施するための形態から理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るトークン管理装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るトークン管理装置が管理するプラットフォーム上におけるトークンの発行およびトークンの交換の各トランザクションの一例を説明する模式図である。
【
図3】
図3は、
図2のプラットフォームが実装されるブロックチェーンのネットワーク構成の一例を説明する図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るトークン管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るトークン管理装置が実行するベーストークン発行処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るトークン管理装置が実行するベーストークンとブランドトークンとの間のトークン交換処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は,本実施形態に係るトークン管理装置が実行するブランドトークン同士のトークン交換処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。以下に開示される構成要素のうち、同一機能を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、以下に開示される実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0025】
本実施形態に係るトークン管理装置は、フィアット通貨に相当する価値を裏付け(引き当て可能)として、プラットフォーム上でトークンを発行し、およびトークン同士を交換させる。
本実施形態において、フィアット通貨とは、中央銀行が発行した法定通貨であり、例えば、日本円、米ドル、およびユーロ等を含む。
トークンとは、仮想通貨を利用するためのプラットフォームとして構築された既存の分散ネットワーク上、例えば、暗号化された既存のブロックチェーン上で、特定の個人や企業が、仲介者を介することなく発行する仮想通貨ないし代用通貨をいう。
【0026】
本実施形態では、トークン管理装置は、プラットフォーム上で、ベーストークン(base token)およびブランドトークン(branded token)を含む、少なくとも2種類のトークンを発行することができる。
ベーストークンとは、フィアット通貨、またはフィアット通貨建ての企業ポイントに裏付けされて発行される、トークン交換のベースとなる共通トークンをいう。
【0027】
ブランドトークンとは、プラットフォーム上の暗号化されたトランザクションに参加する第三者アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)の商圏セグメント内で固有に使用可能な専用トークンをいう。本実施形態において、ブランドトークンは、ベーストークンが消費されることと交換に、発行され得る。
企業ポイントとは、特定の企業が、当該企業が提供するメンバーシップを持つユーザに対して発行するポイントをいう。本実施形態において、企業ポイントは、フィアット通貨との所定の交換レートでの交換が予め保証されているフィアット通貨建てポイントであってよい。
【0028】
<トークン管理装置のハードウエア構成>
図1は、本実施形態に係るトークン管理装置1のハードウエア構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るトークン管理装置1は、単一または複数の、あらゆるコンピュータ、サーバ、モバイルデバイス、またはその他のいかなるコンピュータシステム上に実装することができる。
【0029】
図1に示すように、トークン管理装置1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、HDD14と、入力部15と、表示部16と、通信I/F17とを備える。システムバス18は、トークン管理装置1の各ハードウエアコンポーネント(11~17)を相互通信可能に接続する。トークン管理装置1はまた、不図示の外部メモリを備えてよい。
【0030】
CPU(Central Processing Unit)11は、トークン管理装置1における動作を統括的に制御するものであり、データ伝送路であるシステムバス18を介して、各ハードウエアコンポーネント(12~17)を制御する。CPU11に替えて、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)等を用いてもよい。
ROM(Read Only Memory)12は、CPU11が処理を実行するために必要な制御プログラム等を記憶する不揮発性メモリである。なお、当該プログラムは、HDD(Hard Disk Drive)14、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体(不図示)等の外部メモリに記憶されていてもよい。
【0031】
RAM(Random Access Memory)13は、揮発性メモリであり、CPU11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。すなわち、CPU11は、処理の実行に際してROM12から必要なプログラム等をRAM13にロードし、当該プログラム等を実行することで各種の機能動作を実現する。
HDD14は、例えば、CPU11がプログラムを用いた処理を行う際に必要な各種データや各種情報等を記憶している。また、HDD14には、例えば、CPU11がプログラム等を用いた処理を行うことにより得られた各種データや各種情報等が記憶される。
入力部15は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスにより構成される。
表示部16は、液晶ディスプレイ(LCD)等のモニターにより構成される。表示部16は、トークン発行および交換処理で使用される各種パラメータや、他の装置との通信で使用される通信パラメータ等をトークン管理装置1へ指示入力するためのGUI(Graphical User Interface)を提供してよい。
【0032】
通信I/F17は、トークン管理装置1と外部装置との通信を制御するインタフェースである。
通信I/F17は、ネットワークとのインタフェースを提供し、ネットワークを介して、外部装置との通信を実行する。通信I/F17を介して、外部装置との間で、各種データや各種パラメータ等が送受信される。本実施形態では、通信I/F17は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に準拠する有線LAN(Local Area Network)や専用線を介した通信を実行してよい。ただし、本実施形態で利用可能なネットワークはこれに限定されず、無線ネットワークで構成されてもよい。この無線ネットワークは、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等の無線PAN(Personal Area Network)を含む。また、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)や、WiMAX(登録商標)等の無線MAN(Metropolitan Area Network)を含む。さらに、LTE/3G、4G、5G等の無線WAN(Wide Area Network)を含む。なお、ネットワークは、各機器を相互に通信可能に接続し、通信が可能であればよく、通信の規格、規模、構成は上記に限定されない。
【0033】
<本実施形態におけるトークンの発行および交換の概要>
図2は、本実施形態に係るトークン管理装置1が管理するプラットフォーム上におけるトークンの発行およびトークンの交換の各トランザクションの一例を説明する模式図である。
図2を参照して、トークン管理装置1は、企業が提供するメンバーシップを持つユーザが所有する企業ポイント2を、例えば、1:1の固定交換レートで、ベーストークン4に引き換える。企業ポイント2は、フィアット通貨に相当する価値を有する、フィアット通貨建てのポイントである。企業ポイント2は、フィアット通貨との所定の固定交換レートでの交換が予め保証されていてもよい。換言すると、ベーストークン4は、トークン化された企業ポイントである。
【0034】
トークン管理装置1は、ベーストークン4を、例えば、1:1の固定交換レートで、企業ポイント2に償還することができる。企業ポイント2とベーストークン4とを交換する固定交換レートは、例えば、1ベーストークン=1日本円等の固定交換レートであってよいがこれに限定されず、任意の固定交換レートであってよい。また固定交換レートは、例えば、ベーストークン4のコントラクトに定義されてよい。ベーストークン4に固定交換レートを定義することで、固定交換レートの不正な参照や改竄が有効に防止される。
【0035】
トークン管理装置1はまた、銀行等に預金(デポジット)されたフィアット通貨3を、企業ポイント2と同様、例えば、1:1の固定交換レートで、ベーストークン4に引き換えることができ、逆に、ベーストークン4を、例えば、1:1の固定交換レートで、フィアット通貨3に償還することができる。
ベーストークン4から企業ポイント2やフィアット通貨3のデポジットへの償還を許容することにより、ベーストークン4の可用性が向上する。
このように、本実施形態では、トークン管理装置1が発行するベーストークン4は、直接的または間接的に、フィアット通貨3に固定された(pegged)価値を有している。換言すると、ベーストークン4は、フィアット通貨3の金額に、直接的または間接的に裏付けられている、すなわち、引き当て可能である。
【0036】
ベーストークン4が発行されると、トークン管理装置1は、発行されたベーストークン4を、プラットフォームに参加する各第三者ASPに固有のブランドトークン5a、5b、および5cのいずれかに交換する。
具体的には、本実施形態において、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cとの間の交換は、交換元トークンを消費する(burn)ことを条件に、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することで実行される。すなわち、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cとのトークン交換は、例えば、1:1であってよい任意の固定交換レートで実行される。この固定交換レートは、例えば、ベーストークン4のコントラクトに定義されてよい。ベーストークン4に固定交換レートを定義することで、固定交換レートの不正な参照や改竄が有効に防止される。
【0037】
なお、ベーストークン4と、ブランドトークン5a~5cのそれぞれとの間の固定交換レートは異なってよく、発行されるブランドトークン5a~5cのそれぞれが、消費されるベーストークン4に対して等価な価値を有すればよい。
ここで、交換元トークンを消費する、とは、プラットフォーム上で交換元トークンを無効化して使用不可能な状態に設定することをいう。
【0038】
トークン管理装置1はまた、ブランドトークン5a~5cをベーストークン4に交換することができる。すなわち、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cとの間では、可逆的にトークン交換が実行される。
本実施形態では、ブランドトークン5a~5cは、ベーストークン4を消費することを条件に発行されるため、ブランドトークン5a~5cもまた、間接的に、フィアット通貨3に固定された(pegged)価値を有している。換言すると、ブランドトークン5a~5cは、フィアット通貨3の金額に、間接的に裏付けられている、すなわち、引き当て可能である。
【0039】
ベーストークン4から交換されたブランドトークン5a~5cは、それぞれの第三者ASPの商圏セグメント6a、6b、および6c内で、固有の仮想通貨ないし代用通貨として使用可能である。
所有する企業ポイント2を原資として、ベーストークン4を介してブランドトークン5a~5cを取得したユーザは、それぞれの商圏セグメント6a~6c内で、ブランドトークン5a~5cを対価として、所望する商品やサービスを購入することができる。
【0040】
第三者ASPは、プラットフォーム上でのトランザクションに参加し、ブランドトークン5a~5cのいずれかを使用可能な、EC(Electronic Commerce)店舗もしくは実店舗、または企業ポイント2を発行する企業が提供するECサイトに出店する店舗を含んでよい。
第三者ASPは、当該第三者ASPが銀行等に預金したフィアット通貨3から、ベーストークン4を介して、当該第三者ASPに固有のブランドトークン5a~5cを、トークン管理装置1に予め発行させておくことができる。
【0041】
第三者ASPは、このように予め発行されたブランドトークン5a~5cを、新規のユーザに配布することで、商圏セグメント6a~6c内での商品やサービス購入にインセンティブを付与することにより、新たな顧客を獲得する機会を得ることが可能となる。
【0042】
本実施形態において、トークン管理装置1は、ブランドトークン5a~5cを、商圏セグメント6a~6cを跨いで、他のブランドトークン5a~5cに、ベーストークン4を介することなく、直接交換することができる。
具体的には、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cとの間のトークン交換と同様、交換元トークンを消費することを条件に、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行することで、ブランドトークン5a~5c同士の交換が可逆的に実行される。すなわち、第1のブランドトークン5a~5cを消費することを条件に、消費された第1のブランドトークン5a~5cと等価な第2のブランドトークン5a~5cを発行することで、ブランドトークン5a~5c同士の直接の交換が実行される。
【0043】
なお、トークン管理装置1は、ブランドトークン5a~5c同士を交換しようとするユーザから、所定のトークン交換手数料を徴収してもよい。
具体的には、例えば、トークン管理装置1は、交換元ブランドトークン5a~5cの量を所定の交換手数料分だけ目減りさせ、交換手数料分だけ目減りさせた量の交換元ブランドトークン5a~5cを消費して交換先ブランドトークン5a~5cを発行し、ユーザに送信する。さらに、トークン管理装置1は、交換手数料分の交換元ブランドトークン5a~5cを消費してベーストークン4を発行し、交換手数料として取得してもよい。交換手数料を徴収することにより、プラットフォーム上でトークンを発行および交換するための運営基盤を強化することができる。
【0044】
図2において、企業ポイント2を所有するユーザは、
図2の暗号化されたトークンのプラットフォームに参加しようとする際に、KYC(Known Your Customer)等の顧客確認操作により、認証されてもよい。
同様に、
図2のプラットフォーム上の各商圏セグメント6a~6cを構成する第三者ASPも、KYC等の顧客確認操作により、認証されてもよい。
【0045】
このように、本実施形態では、企業ポイント2やフィアット通貨3のデポジットをプラットフォーム上で利用可能なトークンに交換するため、これら企業ポイント2やフィアット通貨3のデポジットを所有するユーザや第三者ASPに対して、プラットフォーム上のトランザクションに参加を促すことが容易となる。
また、本実施形態では、トークン管理装置1が発行するベーストークン4およびブランドトークン5a~5cの価値は、これらのトークンの引換元の企業ポイント2またはフィアット通貨3の金額に固定されることによって裏付けられている。
また、本実施形態では、交換先トークンを発行する際に、交換元トークンが消費されるため、プラットフォーム上に存在するトークンの総価値(総量)は常に一定に維持される。
すなわち、
図2のプラットフォームにおいて、ベーストークン4およびブランドトークン5a~5cの総価値(総量)は、常に、フィアット通貨3建ての企業ポイント2、またはフィアット通貨3に裏付けされているため、トークン管理装置1により発行されるトークンの総量は、フィアット通貨3建ての企業ポイント2およびフィアット通貨3の総価値内に制御されることになる。
【0046】
図3は、
図2のプラットフォームが実装されるブロックチェーンのネットワーク構成の一例を説明する図である。
図3を参照して、ブロックチェーン31では、ネットワークを介して、サーバ32a、サーバ32eと、端末32b、端末32c、端末32d、端末32f、端末32g、端末32hとが相互に接続される。
端末32b、端末32c、端末32d、端末32f、端末32g、端末32hは、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよく、例えば、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型情報端末等、任意の情報処理装置であってもよい。
【0047】
ブロックチェーン31は、いくつかのトランザクションのデータとハッシュ値等とを含むデータを1つのブロックとして生成し、生成したブロックをチェーン状に連結した上で複数のノード間で共有する改竄不可能な情報共有プラットフォームである。
図3のブロックチェーン31は、複数の管理主体を持つコンソーシアム型であってよいがこれに限定されず、例えば、単一の管理主体を持つプライベート型や、中央管理者を持たないパブリック型であってもよい。
【0048】
本実施形態のベーストークン4およびブランドトークン5a~5cは、いずれも、ブロックチェーン31上にアンカリングされている。すなわち、ベーストークン4およびブランドトークン5a~5cの発行、償還、交換等のトランザクションの履歴は、ハッシュ化されてブロックに書き込まれ、ブロックチェーン31上の軌跡として記録されていく。これにより、トランザクションのデータの改竄が不可能となり、セキュアで堅牢なトークンのトランザクションが実現される。
なお、
図3に示すブロックチェーン31の構成は一例であり、ブロックチェーン31は、サーバ32a、サーバ32eを備えなくてもよく、任意の数の情報処理装置で構成されてよい。また、ブロックチェーン31に替えて、サーバ・クライアント型や並列処理型でネットワークが構成されてもよい。
【0049】
<トークン管理装置の機能構成>
図4は、本実施形態に係るトークン管理装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すトークン管理装置1は、入力部101、トークン発行部102、償還部103、トークン交換部104、および手数料管理部105を備える。
【0050】
入力部101は、ユーザの端末装置等を介して、各種指示をトークン管理装置1に入力する。入力部101に入力される各種指示は、企業ポイント2またはフィアット通貨3をベーストークン4へ引き換える指示、ベーストークン4を企業ポイント2またはフィアット通貨3へ償還する指示、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cとの間でトークンを交換する指示、ブランドトークン5a~5c同士の間でトークンを交換する指示を含む。これらの指示は、トークン発行量(発行額)、トークン交換量(交換額)、交換元および交換先トークン種別を含んでよい。
【0051】
入力部101はまた、トークンの発行および交換を実行するために必要な各種パラメータの入力を受け付ける。
トークンの発行および交換を実行するために必要な各種パラメータは、企業ポイント2とベーストークン4との間の固定交換レート、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cのそれぞれとの間の固定交換レート、ブランドトークン5a~5c同士の間での交換手数料等を含む。これらの各種パラメータは、トークン管理装置1の管理者によって入力されてもよい。
入力部101は、入力された各種指示や各種パラメータ等の各種データをHDD14等の不揮発性記憶装置に予め記憶し、トークン発行部102、償還部103、トークン交換部104、および手数料管理部105が記憶装置に記憶された各種入力データを読み出して各コンポーネントでの処理に供してもよい。
【0052】
トークン発行部102は、入力部101に入力された、企業ポイント2をベーストークン4へ引き換える指示に基づいて、ベーストークン4を発行する。企業ポイント2は、フィアット通貨3建てであり、フィアット通貨3との固定交換レートでの交換が予め保証されている。
【0053】
ベーストークン4には、予め、フィアット通貨3とベーストークン4との交換レートとして、例えば、1:1の固定交換レートが定義されている。このため、ユーザが、ベーストークン4への引換を希望する企業ポイント2のポイント数を指定することで、トークン発行部102は、当該企業ポイント2のフィアット通貨3建ての金額に相当する量(額)のベーストークン4を発行することができる。
なお、ユーザは、企業ポイント2のポイント数に替えて、発行すべきベーストークン4の量を入力部101に入力してもよい。
【0054】
なお、トークン発行部102は、企業ポイント2に替えて、ユーザが所有する電子マネー、フィアット通貨3、または仮想通貨等と引き換えに、ベーストークン4を発行してもよい。
この場合、電子マネーや仮想通貨は、企業ポイント2と同様、フィアット通貨3建てであり、フィアット通貨3との固定交換レートでの交換が予め保証されているものとする。
トークン発行部102はまた、各商圏セグメント6a~6cを構成および運営する第三者ASPからのトランザクション要求に基づいて、当該第三者ASPが所有するフィアット通貨3と引き換えに、ベーストークン4を発行してよい。
【0055】
償還部103は、入力部101に入力された、ベーストークン4を企業ポイント2へ償還する指示に基づいて、ベーストークン4を企業ポイント2へ償還する。
企業ポイント2は、ベーストークン4に予め定義されるフィアット通貨3とベーストークン4との交換レート、例えば1:1の固定交換レートで、ベーストークン4から償還される。
このため、ユーザが、ベーストークン4からの償還を希望する企業ポイント2のポイント数を指定することで、償還部103は、ベーストークン4を、フィアット通貨建ての金額に相当する量(額)の企業ポイント2へ償還することができる。
なお、ユーザは、企業ポイント2のポイント数に替えて、償還すべきベーストークン4の量を入力部101に入力してもよい。
【0056】
トークン交換部104は、入力部101に入力された、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cとの間のトークン交換指示に基づいて、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cとの間でトークンを可逆的に交換する。
トークン交換部104はまた、入力部101に入力された、ブランドトークン5a~5c同士の間のトークン交換指示に基づいて、あるブランドトークン5a~5cと他のブランドトークン5a~5cとの間でトークンを可逆的に交換する。
【0057】
本実施形態において、トークン交換部104は、交換元のトークンが消費されることを条件に、消費された交換元のトークンと等価な交換先のトークンを発行することで、トークンの交換を実現する。ここで、等価とは、予め定義された固定交換レートを使用して、交換元のトークンと交換先トークンとが等価値であることをいう。
このため、プラットフォーム上に存在するトークン、すなわちベーストークン4およびブランドトークン5a~5cの総価値(総量)は、常に一定に維持されることになる。そして、これらのベーストークン4およびブランドトークン5a~5cの価値は、フィアット通貨3建ての金額に固定され、裏付けられることにより、その価値が保証されている。
ユーザは、トークンの交換指示において、交換すべき交換元トークンの量と、交換元トークンと交換先トークンとのトークン種別を入力すれば足り、その他の交換条件を指定する必要がない。
【0058】
また本実施形態では、トークン交換部104は、ブランドトークン5a~5c同士を、ベーストークン4を介することなく、直接交換することができる。
仮に、ブランドトークン5a~5c同士を交換するため、交換元のブランドトークン5a~5cを消費して一旦ベーストークン4を発行し、さらに発行したベーストークン4を消費して交換先のブランドトークン5a~5cを発行すると、ブランドトークン5a~5c同士を交換するのに、2つのトランザクションが発生することになる。
【0059】
これに対して、本実施形態では、ブランドトークン5a~5c同士を直接交換するので、ブランドトークン5a~5c同士を交換するのに1つのトランザクションで足り、ユーザの操作負荷やトークン管理装置1の処理負荷が軽減される。ただし、ブランドトークン5a~5c同士の交換は直接的な交換に限定されず、ブランドトークン5a~5c同士のベーストークン4を介した間接的な交換が行われてもよい。
さらに、交換元および交換先のブランドトークン5a~5cが使用可能な商圏セグメント6a~6cを組織する第三者ASP(店舗)が、ベーストークン4との交換用に、予めブランドトークン5a~5cをトークン交換部104にデポジットしておく必要がない。このため、第三者ASPの作業負荷も軽減される。
【0060】
手数料管理部105は、トークンの発行および交換の際に発生する手数料を徴収および管理する。
手数料管理部105は、例えば、ブランドトークン5a~5c同士を交換する際に、交換手数料を徴収してよい。具体的には、手数料管理部105は、交換元のブランドトークン5a~5cの量を所定の交換手数料の分だけ目減りさせ、交換手数料分の交換元ブランドトークン5a~5cを消費してベーストークン4を発行し、発行されたベーストークン4を交換手数料として徴収してよい。
【0061】
手数料管理部105はまた、プラットフォームに参加する第三者ASP(店舗)からシステム利用料を徴収してもよい。
具体的には、手数料管理部105は、第三者ASPがプラットフォームに新規に参加する際に、定期的に、あるいは、ユーザまたは第三者ASPがブランドトークン5a~5cを発行する際に、所定額あるいは従量制でシステム利用料として、第三者ASPからベーストークン4を徴収してもよい。手数料管理部105は、第三者ASPが予め所有するベーストークン4をシステム利用料として徴収してもよいし、第三者ASPが所有するブランドトークン5a~5cまたはフィアット通貨3に基づいてベーストークン4を発行し、発行されたベーストークン4をシステム利用料として徴収してもよい。
あるいは、手数料管理部105は、ある第三者ASPのためのブランドトークン5a~5cを発行する際に、当該第三者ASPに対して、ブランドトークン5a~5cの発行手数料のベーストークン4での支払いを要求してもよい。
【0062】
なお、
図4に示すトークン管理装置1の各要素のうち少なくとも一部の機能は、
図1のCPU11がプログラムを実行することで実現することができる。ただし、
図4に示すトークン管理装置1の各要素のうち少なくとも一部の機能が、集積回路(Integrated Circuit:IC)、LSI(Large Scale Integration:LSI)等の専用のハードウエアとして動作するようにしてもよい。この場合、専用のハードウエアは、CPU11の制御に基づいて動作する。
【0063】
<ベーストークン発行処理の処理手順>
図5は、本実施形態に係るトークン管理装置1が実行する、ベーストークン発行処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
なお、
図5の各ステップは、トークン管理装置1のHDD14等の記憶装置に記憶されたプログラムをCPU11が読み出し、実行することで実現される。また、
図5に示すフローチャートの少なくとも一部をハードウエアにより実現してもよい。ハードウエアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのプログラムからFPGA(Field Programmable Gate Array)上に自動的に専用回路を生成すればよい。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウエアとして実現するようにしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現するようにしてもよい。後述する
図6および
図7の処理についても同様である。
【0064】
S51で、トークン管理装置1の入力部101は、ユーザの端末装置等から通信I/F17を介して、ベーストークン4の発行指示の入力を受け付ける。
所有する企業ポイント2から、ブロックチェーン等のプラットフォーム上で使用可能なトークンへの引き換えを所望するユーザは、トークン管理装置1の入力部101に対して、例えば、ベーストークン4に引き換えるべき企業ポイント2のポイント数を指定して、ベーストークン4の発行指示を入力する。
【0065】
入力部101は、ユーザから入力されたベーストークン4の発行指示を、トークン発行部102に供給する。
入力部101はまた、ユーザまたは第三者ASPから入力されたフィアット通貨3に基づくベーストークン4の発行指示の入力を受け付け、入力されたベーストークン4の発行指示を、トークン発行部102に供給する。
【0066】
S52で、トークン管理装置1のトークン発行部102は、入力部101から供給されるベーストークン4の発行指示を解析して、発行すべきベーストークン4と引き換えるべき、企業ポイント2の引き換えポイント数またはフィアット通貨3のデポジットの額を取得する。
企業ポイント2はフィアット通貨3建てであり、フィアット通貨3のデポジットに引き当て可能であるから、S52で決定される企業ポイント2の引き換えポイント数は、フィアット通貨3に裏付けされていることになる。
【0067】
S53で、トークン管理装置1のトークン発行部102は、S52で決定された企業ポイント2の引き換えポイント数またはフィアット通貨3のデポジットの額に対して、所定の固定交換レートを適用して、ベーストークン4を発行する。所定の固定交換レートで、企業ポイント2またはフィアット通貨3を等価な額のベーストークン4に引き換えるため、S53で発行されるベーストークン4は、フィアット通貨3建ての金額によって裏付けられていることになる。
【0068】
<ベーストークンとブランドトークンとの交換処理の処理手順>
図6は、本実施形態に係るトークン管理装置1が実行する、ベーストークンとブランドトークンとの間のトークン交換処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
S61で、トークン管理装置1の入力部101は、ユーザの端末装置から通信I/F17を介して、ベーストークン4とブランドトークン5a~5cとの間の交換指示の入力を受け付ける。
図6を参照して、交換元トークンとしてベーストークン4が、交換先トークンとして所望のブランドトークン5a~5cのいずれかが指定されたものとする。
ユーザは、所望する第三者ASP(店舗)のブランドトークン5a~5cを交換先トークンとして指定して、入力部101に対して、所望する量(額)のトークン交換を指示入力する。
【0069】
S62で、トークン管理装置1のトークン交換部104は、ベーストークン4に定義されたベーストークン4とブランドトークン5a~5cとの間の固定交換レートを取得する。
S63で、トークン管理装置1のトークン交換部104は、S61で交換が指定された量の交換元のベーストークン4を消費する。
【0070】
S64で、トークン管理装置1のトークン交換部104は、S62で取得された固定交換レートに基づいて、S63で消費されたベーストークン4と等価なブランドトークン5a~5cを発行する。ここで、等価交換を実現するための固定交換レートは、1:1の固定交換レートに限定されず、予め決定された所定の任意の固定交換レートであってよい。
なお、S63のベーストークン4の消費とS64のブランドトークン5a~5cの発行とは、S61のトークン交換の指示入力をトリガにそれぞれが実行されればよく、時系列的に逆であってもよく、同時に実行されてもよい。
【0071】
ブランドトークン5a~5cからベーストークン4へトークン交換する場合も、
図6に示す処理と同様である。この場合、S61で交換元トークンとしてユーザが交換を所望するブランドトークン5a~5cのいずれかを指定し、交換先トークンとしてベーストークン4を指定すればよい。
S63で、トークン交換部104は、S61で交換が指定された量の交換元のブランドトークン5a~5cを消費し、S64で、トークン交換部104は、S62で取得された固定交換レートに基づいて、S63で消費されたブランドトークン5a~5cと等価なベーストークン4を発行する。
【0072】
このように、トークン交換部104は、ベーストークン4およびブランドトークン5a~5cとの間の交換において、交換元トークンを消費することを条件に、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行する。
したがって、ベーストークン4およびブランドトークン5a~5cがアンカリングされるブロックチェーン31等のプラットフォーム上に存在するトークンの総価値(総量)は常に一定に維持される。また、これらのトークンの価値は、フィアット通貨3、またはフィアット通貨3建ての企業ポイント2によって確実に保証されることになる。
【0073】
<ブランドトークン同士の交換処理の処理手順>
図7は、本実施形態に係るトークン管理装置1が実行する、ブランドトークン同士のトークン交換処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
S71で、トークン管理装置1の入力部101は、ユーザの端末装置等から通信I/F17を介して、ブランドトークン5a~5cの間の交換指示の入力を受け付ける。
ユーザは、所望する第三者ASP(店舗)のブランドトークン5a~5cのいずれかを交換元トークンおよび交換先トークンとして指定して、入力部101に対して、所望する量(額)のトークン交換を指示入力する。
【0074】
S72で、トークン管理装置1のトークン交換部104は、ブランドトークン5a~5cの間の交換レートを算出する。具体的には、ブランドトークン5a~5c同士のトークン交換において、トークン交換部104は、ベーストークン4に対して予め定義されているそれぞれのブランドトークン5a~5cの所定の固定交換レートを参照し、ベーストークン4に対する交換元ブランドトークン5a~5cの第1の固定交換レートと、ベーストークン4に対する交換先ブランドトークン5a~5cの第2の固定交換レートから、ブランドトークン5a~5cの間の交換レートを算出する。
すなわち、トークン交換部104は、ベーストークン4と、それぞれのブランドトークン5a~5cとの間の固定交換レートを参照することにより、交換元トークンと等価な交換先トークンの発行量を決定することができる。
【0075】
S73で、トークン管理装置1のトークン交換部104は、S71で交換が指定された量の交換元のブランドトークン5a~5cを消費する。
S74で、トークン管理装置1のトークン交換部104は、S72で算出された交換レートに基づいて、S73で消費されたブランドトークン5a~5cと等価なブランドトークン5a~5cを発行する。ここで、等価交換を実現するための交換レートは、1:1の交換レートに限定されず、S72で予め算出された所定の任意の交換レートであってよい。
なお、S73のブランドトークン5a~5cの消費とS74のブランドトークン5a~5cの発行とは、S71のトークン交換の指示入力をトリガにそれぞれが実行されればよく、時系列的に逆であってもよく、同時に実行されてもよい。
【0076】
このように、トークン交換部104は、ブランドトークン5a~5cの間の交換において、交換元トークンを消費することを条件に、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行する。
したがって、ベーストークン4およびブランドトークン5a~5cがアンカリングされるブロックチェーン31等のプラットフォーム上に存在するトークンの総価値(総量)は常に一定に維持される。また、これらのトークンの価値は、フィアット通貨3、またはフィアット通貨3建ての企業ポイント2によって確実に保証されることになる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、トークン管理装置は、企業ポイントまたはフィアット通貨のデポジットと引き換えに、プラットフォーム上でトークンを発行する。企業ポイントはフィアット通貨建てであるため、発行されるトークンは、フィアット通貨に相当する、フィアット通貨に固定された価値が裏付けとして保証されている。
また、トークン管理装置は、プラットフォーム上でトークン同士を交換する際に、交換元トークンを消費することを条件に、消費された交換元トークンと等価な交換先トークンを発行する。
【0078】
これにより、プラットフォーム上でトークンをより利便かつ安定的に発行および交換することができる。
また、企業ポイントを発行する企業のエコシステムのユーザや、第三者ASPが、プラットフォームに参加することを有効に促進することができる。
したがって、多数のユーザや第三者アプリケーションサービスプロバイダが参加可能なプラットフォーム上で、トークンを使用したより安定的なトランザクションが実現される。
【0079】
なお、上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置及び方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本発明の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換及び変更をなすこともできる。かかる省略、置換及び変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたもの及びこれらの均等物の範疇に含まれ、本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0080】
1…トークン管理装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…HDD、15…入力部、16…表示部、17…通信I/F、18…バス、31…ブロックチェーン、32a、32e…サーバ、32b~32d、32f~32h…端末、101…入力部、102…トークン発行部、103…償還部、104…トークン交換部、105…手数料管理部