(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】基材間のナノファイバーフォレストの転写
(51)【国際特許分類】
B32B 5/16 20060101AFI20220407BHJP
C01B 32/158 20170101ALN20220407BHJP
【FI】
B32B5/16
C01B32/158
(21)【出願番号】P 2020530671
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(86)【国際出願番号】 US2018060893
(87)【国際公開番号】W WO2019112761
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-08-04
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519164079
【氏名又は名称】リンテック・オヴ・アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】フィン,チー
【審査官】南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0362299(US,A1)
【文献】特開2014-060252(JP,A)
【文献】特開2016-072289(JP,A)
【文献】特開2015-203003(JP,A)
【文献】特開2012-076938(JP,A)
【文献】特開2014-234339(JP,A)
【文献】Growth interruption studies on vertically aligned 2-3 wall carbon nanotubes by water assisted chemical vapor deposition,Applied physics Letters,米国,2008年,volume 93 issue 11,114101
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C01B 32/00-32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のナノファイバーを備えるナノファイバーフォレストと、
キャリアの上
にコーティングを備え、第1の結合強度を有する、第1の転写フィルムと、
前記第1の結合強度が2Newtons/25mm未満であり、前記第1の結合強度よりも大きい
第2の結合強度を有する、第2の転写フィルムと、
を備えるナノファイバーアセンブリであって、
前記ナノファイバーフォレストが前記第1の転写フィルムと前記第2の転写フィルムとの間に配置され
ているとともに、前記ナノファイバーフォレストが前記第1の転写フィルムと前記第2の転写フィルムとに接触しており、
前記ナノファイバーフォレストの前記複数のナノファイバーが、前記第1の転写フィルム及び前記第2の転写フィルムの少なくとも1つの近接表面に対して10°未満で共通の方向に整列されており、
前記ナノファイバーフォレストの前記ナノファイバーが、弓状部、直線部、および前記弓状部と前記直線部との間の傾斜部を備え、
前記ナノファイバーフォレストが接着剤を含まない
、ナノファイバーアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の転写フィルムがワックスペーパーを備え、
前記第1の転写フィルムの前記コーティングがパラフィンワックス
を備え、
前記第2の転写フィルムがシリコーンゴムである、請求項1に記載のナノファイバーアセンブリ。
【請求項3】
前記アセンブリが備える前記第1の転写フィルム、前記第2の転写フィルム、及び前記ナノファイバーフォレストが、ロールとして構成される、請求項1に記載のナノファイバーアセンブリ。
【請求項4】
前記弓状部が前記第1の転写フィルムに近接する、請求項
1に記載のナノファイバーアセンブリ。
【請求項5】
前記弓状部が前記第2の転写フィルムに近接する、請求項
1に記載のナノファイバーアセンブリ。
【請求項6】
前記ナノファイバーフォレストが、2つ以上の重ねられたナノファイバーフォレストを含む、請求項1に記載のナノファイバーアセンブリ。
【請求項7】
前記第2の結合強度が
0.5Newtons/25mmよりも大きい、請求項
1に記載のナノファイバーアセンブリ。
【請求項8】
キャリアの上
にコーティングを備え、第1の結合強度を有する第1の転写フィルムを準備するステップと、
前記第1の結合強度よりも大きい第2の結合強度を有する第2の転写フィルムを準備するステップと、
複数のナノファイバーを備えるナノファイバーフォレストを
準備するステップであって、
前記ナノファイバーフォレストの前記ナノファイバーが、弓状部および直線部を備え、前記ナノファイバーフォレストが接着剤を含まない、ステップと、
前記ナノファイバーフォレスト
を、前記第1の転写フィルム及び前記第2の転写フィルムに接触するとともに前記第1の転写フィルムと前記第2の転写フィルムとの間に配置
するステップと
、
圧縮力を前記第1の転写フィルム及び前記第2の転写フィルムの少なくとも一方に加えるステップと、
前記加えられた圧縮力に応答して、前記ナノファイバーフォレストの前記ナノファイバーに前記弓状部と前記直線部との間に傾斜部を形成し、前記ナノファイバーフォレストの前記ナノファイバーを前記第1の転写フィルム及び前記第2の転写フィルムの少なくとも1つの近接表面に対して10°未満で共通の方向に整列する状態にさせるステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記第1の転写フィルム、前記第2の転写フィルム、及びこれらの間の前記ナノファイバーフォレストの全長をロール状に巻くステップをさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の転写フィルム
および前記第2の転写フィルムの
うちの1つを除去し、前記ナノファイバーフォレストの表面を露出するステップであって、前記表面は前記ナノファイバーフォレストのナノファイバーの開口端またはもつれ端の1つを含
む、ステップと、
前記露出面を最終基材上に載置するステップと
をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記最終基材が、接着剤を含まない前記ナノファイバーフォレストを前記最終基材に接着するために使用される接着層を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の転写フィルムまたは前記第2の転写フィルムの残りの1つを除去するステップをさらに含み、前記除去するステップが、前記ナノファイバーフォレストの前記複数のナノファイバーを前記最終基材の表面から0°~5°大きく共通の方向に配向させる、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ナノファイバーに関する。具体的には、本開示は、基材間のナノファイバーフォレストを転写(transfer)させることに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のナノファイバーまたはカーボンナノチューブの「フォレスト」は、基材上で相互に実質的に平行に並べられ、基材の表面に実質的に垂直に配向する複数のナノファイバーまたはカーボンナノチューブの配列を指す。ナノファイバーフォレストは、触媒粒子を成長基材上に載置することによってナノチューブを成長させることと、基材及び触媒粒子を炉内で加熱することと、燃料化合物を加熱した触媒及び基材に供給することとを含む、様々な方法のいずれかで形成されることができる。複数のナノファイバーは、多くの場合、触媒粒子から垂直に、実質的に平行な配列で成長する。
【発明の概要】
【0003】
例1(Example 1)はナノファイバーアセンブリであって、このナノファイバーアセンブリは、キャリアの上に非接着性コーティングを備え、第1の結合強度を有する第1の転写フィルムと、接着剤を含まなく、第1の結合強度よりも大きい結合強度を有する第2の転写フィルムと、複数のナノファイバーを含むナノファイバーフォレストであって、第1の転写フィルムと第2の転写フィルムとの間に配置され、接着剤を含まないナノファイバーフォレストとを備える。
【0004】
例2(Example 2)は例1の主題を含み、第1の転写フィルムはワックスペーパーを備え、さらに、非接着性コーティングはパラフィンワックスであり、第2の転写フィルムはシリコーンゴムである。
【0005】
例3は例1または2のいずれかの主題を含み、アセンブリが備える第1の転写フィルム、第2の転写フィルム、及びナノファイバーフォレストは、ロールとして構成される。
【0006】
例4(Example 4)は先行例のいずれかの主題を含み、フォレストの複数のナノファイバーは、第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムの少なくとも1つの近接表面に対して0°~5°で共通の方向に整列される。
【0007】
例5(Example 5)は先行例のいずれかの主題を含み、ナノファイバーフォレストの複数のナノファイバーは弓状部及び直線部を含む。
【0008】
例6(Example 6)は例5の主題を含み、弓状部は第1の転写フィルムに近接する。
【0009】
例7(Example 7)は例5の主題を含み、弓状部は第2の転写フィルムに近接する。
【0010】
例8(Example 8)は例5の主題を含み、弓状部と直線部との間に傾斜部(angled portion)をさらに備える。
【0011】
例9(Example 9)は先行例のいずれかの主題を含み、ナノファイバーフォレストは、2つ以上の重ねられた(stacked)ナノファイバーフォレストを含む。
【0012】
例10(Example 10)は先行例のいずれかの主題を含み、ナノファイバーは、第1の結合強度で第1の転写フィルムに物理的に結合され、第1の結合強度よりも大きい第2の結合強度で第2の転写フィルムに物理的に結合される。
【0013】
例11(Example 11)は例10の主題を含み、第1の結合強度は2Newtons/25mm未満であり、第2の結合強度は2Newtons/25mmよりも大きい。
【0014】
例12(Example 12)は、キャリアの上に非接着性コーティングを備え、第1の結合強度を有する第1の転写フィルムを準備するステップと、接着剤を含まなく、第1の結合強度よりも大きい第2の結合強度を有する、第2の転写フィルムを準備するステップと、複数のナノファイバーを備えるナノファイバーフォレストを配置するステップであって、ナノファイバーフォレストは第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムに接触し、第1の転写フィルムと第2の転写フィルムとの間に配置され、ナノファイバーフォレストは接着剤を含まない、ステップとを含む、方法である。
【0015】
例13(Example 13)は例12の主題を含み、圧縮力を第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムに加えるステップと、加えられた圧縮力に応答して、ナノファイバーフォレストのナノファイバーを第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムの少なくとも1つの近接表面に対して0°~5°で共通の方向に整列する状態にさせるステップとをさらに含む。
【0016】
例14(Example 14)は例12または13のいずれかの主題を含み、第1の転写フィルム、第2の転写フィルム、及び第1の転写フィルムと第2の転写フィルムとの間のナノファイバーフォレストの全長をロール状に巻くステップをさらに含む。
【0017】
例15(Example 15)は例12または13のいずれかの主題を含み、ナノファイバーフォレストのナノファイバーは開口端及びもつれ端を備える。
【0018】
例16(Example 16)は例15の主題を含み、第1の転写フィルムまたは第2の転写フィルムの1つを除去し、ナノファイバーフォレストの表面を露出するステップであって、表面はナノファイバーフォレストのナノファイバーの開口端またはもつれ端の1つを備え、ナノファイバーフォレストは接着剤を含まない、ステップと、露出面を最終基材に載置するステップとをさらに含む。
【0019】
例17(Example 17)は例16の主題を含み、最終基材が、接着剤を含まないナノファイバーフォレストを最終基材に接着するために使用される接着層を含む。
【0020】
例18(Example 18)は例16の主題を含み、第1の転写フィルムまたは第2の転写フィルムの残りの1つを除去するステップをさらに含み、この除去するステップは、ナノファイバーフォレストの複数のナノファイバーを最終基材の表面から0°~5°大きく共通の方向に配向させる。
【0021】
例19(Example 19)はナノファイバーアセンブリであって、このナノファイバーアセンブリは、キャリアの上に非接着性コーティングを備え、結合強度を有する転写フィルムと、複数のナノファイバーを備えるナノファイバーフォレストであって、転写フィルム上に配置され、接着剤を含まないナノファイバーフォレストとを備える。
【0022】
例20(Example 20)は例19の主題を含み、非接着性コーティングはパラフィンワックスを含む。
【0023】
例21(Example 21)は例19または20のいずれかの主題を含み、複数のナノファイバーは転写フィルムの表面に垂直である。
【0024】
例22(Example 22)は例19~21のいずれかの主題を含み、複数のナノファイバーは、弓状部と、開口端を含む直線部とを備える。
【0025】
例23(Example 23)は例19~22のいずれかの主題を含み、弓状部は転写フィルムに近接し、直線部の開口端は露出する。
【0026】
例24(Example 24)は例19~22のいずれかの主題を含み、直線部は転写フィルムに近接し、弓状部は露出する。
【0027】
例25(Example 25)は例19~24のいずれかの主題を含み、ナノファイバーフォレストは2つ以上の重ねられたナノファイバーフォレストを含む。
【0028】
例26(Example 26)はナノファイバーアセンブリであって、このナノファイバーアセンブリは、第1の無接着剤転写フィルムと、複数のナノファイバーを備えるナノファイバーフォレストであって、第1の無接着剤転写フィルムに物理的に結合され、接着剤を含まないナノファイバーフォレストとを備える。
【0029】
例27(Example 27)は例26の主題を含み、第1の無接着剤転写フィルムは弾性ポリマーを含む。
【0030】
例28(Example 28)は例26または27のいずれかの主題を含み、第1の無接着剤転写フィルムの反対側のナノファイバーフォレストの表面に物理的に結合される第2の無接着剤転写フィルムをさらに含む。
【0031】
例29(Example 29)は例28の主題を含み、第1の無接着剤転写フィルム、第2の無接着剤転写フィルム、及びナノファイバーフォレストは、ロール状に巻かれる。
【0032】
例30(Example 30)は例28の主題を含み、ナノファイバーは、第1の結合強度で第1の無接着剤転写フィルムに物理的に結合され、第1の結合強度よりも大きい第2の結合強度で第2の無接着剤転写フィルムに物理的に結合される。
【0033】
例31(Example 31)は例30の主題を含み、第1の結合強度は2Newtons/25mm未満であり、第2の結合強度は2Newtons/25mmよりも大きい。
【0034】
例32(Example 32)は例26~31のいずれかの主題を含み、フォレストのナノファイバーは、第1の無接着剤転写フィルムの近接表面に対して0°~5°で共通の方向に整列される。
【0035】
例33(Example 33)は例26~32のいずれかの主題を含み、ナノファイバーフォレストは2つ以上の重ねられたナノファイバーフォレストを含む。
【0036】
例34(Example 34)は例26~33のいずれかの主題を含み、ナノファイバーフォレストのナノファイバーは、直線部、弓状部、及び直線部と弓状部との間の傾斜部を備える。
【0037】
例35(Example 35)はナノファイバーアセンブリであって、このナノファイバーアセンブリは、接着分子を含む接着層と、接着層上の拡散バリアと、拡散バリアと接触するナノファイバーフォレストとを備え、拡散バリアは、接着層からナノファイバーフォレストへの接着分子の拡散を防止する。
【0038】
例36(Example 36)は例35の主題を含み、拡散バリアは炭化接着層(carbonized layer of adhesive)を含む。
【0039】
例37(Example 37)は例36の主題を含み、接着層と炭化接着層との間の界面は、炭化接着層のナノファイバーフォレストとは反対の側にある。
【0040】
例38(Example 38)は例35~37のいずれかの主題を含み、接着層の第1の表面とは反対側の第2の表面上に、剥離ライナーをさらに備える。
【0041】
例39(Example 39)は例35~38のいずれかの主題を含み、ナノファイバーフォレストの炭化接着層とは反対側の表面上に、転写フィルムをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】実施形態における、基材間でナノファイバーフォレストを転写するための例示的な方法を示すメソッドフロー図である。
【
図2A】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2B】一実施形態における、ナノチューブのそれぞれが直線部及び弓状部を備えた複数の独立したナノチューブを有するカーボンナノチューブフォレストの斜視的な走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図2C】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2D】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2E】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2F】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2G】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2H】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2I】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2J】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2K】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図2L】実施形態における、
図1に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図3】A~Dは、実施形態における、接着層を備えた代替の第1の転写フィルムを使用して、
図1の例示的な方法に従って処理された基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図4A】一実施形態における、直線部及び弓状部に加えて、傾斜部を備えた接着層の上のナノファイバーフォレストの概略側面図である。
【
図4B】一実施形態における、傾斜部を備えたナノファイバーフォレストの側面のSEM顕微鏡写真である。
【
図5】一実施形態における、基材間のナノファイバーフォレストのスタックからナノファイバーフォレストを転写させるための例示的な方法を示すメソッドフロー図である。
【
図6A】実施形態における、
図5に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図6B】実施形態における、
図5に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図6C】実施形態における、
図5に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図6D】実施形態における、
図5に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図6E】実施形態における、
図5に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図6F】実施形態における、
図5に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図6G】実施形態における、
図5に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図6H】実施形態における、
図5に示される例示的な方法の様々なステージにおける基材上のナノファイバーフォレストの側面図を示す。
【
図7】一実施形態における、基材上のナノファイバーの例示的なフォレストの顕微鏡写真である。
【
図8】一実施形態における、ナノファイバーの成長に関する例示的な反応器の概略図である。
【
図9】一実施形態における、ナノファイバーシートの概略図である。
【
図10】一実施形態における、ナノファイバーフォレストから引き出されたナノファイバーシートのSEM顕微鏡写真である。
【0043】
これらの図は、例示の目的のためのみに、本開示の様々な実施形態を示したものである。多くの変形例、構成、及び他の実施形態は、以下の詳細な説明から明らかになる。さらに、認識されるように、これらの図は、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではなく、また、以下に説明される実施形態を、表される特定の構成に限定することを意図するものでもない。例えば、いくつかの図は、概して、直線、直角、及び滑面を示すが、開示される技術の実際の実施態様は、完全ではない直線及び直角を有し得、いくつかの特徴は、製作プロセスの現実世界の制限を考慮して、表面トポグラフィを有し得る又はそうでなければ非平滑であり得る。要するに、これらの図は、単に例示的な構造を示すために提供される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ナノファイバーフォレストには、その新規の機械的、光学的、熱的、及び電気的特性(及びこれらの特性の独特な組み合わせ)による様々な技術的な用途がある。最近の進歩により、ナノファイバーフォレストの生産はより便利に、経済的に、一貫性のあるものになっている。経済性及び製造の一貫性が改善されたため、ナノファイバーフォレストへの関心は高まり続けている。
【0045】
ナノファイバーフォレストの新規特性は、いくつかの場合、接着剤、オリゴマー、または他のポリマーもしくは分子の存在によって影響を受ける可能性がある。これらの接着剤、オリゴマー、または他の分子の1つの例示的な供給源は、ナノファイバーフォレストを基材(例えば、可撓性ポリマーシート)に接着するために使用される材料から生じたものである。接着分子の一部は、周囲温度(例えば、10℃以上)において動くことができる。このため、接着分子はフォレスト-基材の界面からフォレスト自体に拡散または移動することができる。いったん、フォレストのナノファイバー間、ナノファイバー上、またはさらに中空ナノファイバー内に配置されると、接着分子は、ナノファイバーフォレストによって示される新規の機械的、光学的、熱的、及び電気的特性の一部を低下させる可能性がある。
【0046】
接着剤、オリゴマー、ポリマー、または他の分子によって生じるこの効果を克服するまたは代わりに回避するために、本開示の実施形態は、基材/ナノファイバーフォレストの界面で接着剤が不足する、またはナノファイバーフォレストへの接着分子(及びオリゴマー及び他の分子)の拡散を防止する拡散バリアを含むかのいずれかである基材を往復するようにナノファイバーフォレストを転写するための技術を含む。さらに、本明細書に説明される技術の一部は、単層の1つのナノファイバーフォレストで使用できるため、したがって、基材間で単一のナノファイバーフォレストを転写する。例えば、ナノファイバーフォレストは、フォレストが成長する成長基材から2次基材及び3次基材に転写されることができる。一実施形態では、本明細書に説明される技術を使用して、フォレストの複数の層のスタックから1つのナノファイバーフォレストを除去することができる。
【0047】
下記に説明される他の例では、接着層は炭素ナノファイバーフォレストの処理に使用されるが、接着層からナノファイバーフォレストへの汚染物質の拡散は、接着剤とフォレストとの間に拡散バリアを提供することによって排除されまたは減らされる。一例では、拡散バリアは、炭素含有材料を「炭化」するように加熱される炭素含有材料(接着剤を含む)の層であり得る。
【0048】
[無接着剤転写フィルム]
上記に示したように、本開示の実施形態は、第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムを使用して、成長基材から最終基材にナノファイバーフォレストを転写するための基材及び技術を含む。一実施形態では、ナノファイバーフォレストは、接着剤を使用しないで、第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムの一方または両方に取り付けられることができる。一実施形態では、第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムの一方または両方は、接着剤と、ナノファイバーフォレスト(またはナノファイバーフォレストのスタック)との間に拡散バリアを含み得る。バリア層(代わりに、拡散バリアと称される)は、転写フィルム/ナノファイバーの界面からナノファイバーフォレスト自体への接着剤(または他の分子)の拡散を防止する。接着剤がフォレスト自体の中に存在しないため、ナノファイバーフォレストの特性を維持することができる。さらに、ナノファイバーの高さ、単数のフォレスト(または複数のフォレスト)と第1及び第2の転写フィルムとの間の取り付けの相対強度等の物理的要因及び化学的要因に応じて、ナノファイバーを共通の方向に整列することができる。
【0049】
本開示に従った複数の実施形態では、
図1に示される例示的な方法100及び
図2A、
図2B~
図2Lに示される対応する概略側面図は、第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムを使用して、成長基材から最終基材までナノファイバーフォレストを転写するための技術を示す。様々な異なる種類の転写基材、接着剤代替物、バリア層、及び関連技術を使用でき、その一部を以下に説明する。さらに、用語「接着剤」は、ナノファイバーフォレストの潜在的な汚染物質を指すために使用されるが、考えられる汚染物質は接着分子に限定されず、上記に示した他の種類の汚染物質のいずれかを含むことが認識される。
【0050】
まず、
図1の例示的な方法100を参照すると、同時に、対応する
図2A~
図2Lを参照して、方法100は、成長基材204上に配置されるカーボンナノチューブフォレスト208を提供するステップ(104)によって始まる。ナノファイバーフォレスト208を成長基材204上に成長させるための技術は、
図7~
図10の状況で説明され及び示される。
【0051】
一例では、ナノチューブフォレストは、20ミクロン~400ミクロン、70ミクロン~100ミクロン、100ミクロン~300ミクロン、300ミクロン~400ミクロン、75ミクロン~150ミクロンのいずれかの範囲内における、平均高さH(成長基材204の表面からナノファイバーフォレスト208の露出面まで測定された高さ)を有する。本明細書に説明されるフォレストの実施形態は単層フォレストとして示されているが、重ねられたフォレスト(例えば、互いに上に重ねられた2つ以上のフォレスト)も使用できることが認識される。重ねられたフォレスト(例えば、2つのフォレスト、3つのフォレスト、またはそれよりも多いフォレスト)は、前述に説明した高さHの対応する倍数を有するが、重ねられたフォレストのそれぞれの高さは、スタック内の他のフォレストと同じまたは異なり得る。さらに、高さH及び重ねられたフォレストの例は、
図2A、
図2B~
図2Lだけに限定されないが、本明細書に説明される実施形態のいずれかに及ぶ。
【0052】
図2Aに示される実施形態では、ナノファイバーフォレスト208のナノファイバーの直線部212は、成長基材204に近接している。ナノファイバーフォレストのナノファイバーの弓状部216は、成長基材204に反対側のナノファイバーフォレスト208の露出面に配置される。これらは、
図2Aに概略的に示され、また、約300×の倍率及び10kVの加速電圧で撮影された
図2Bの走査型電子顕微鏡(SEM)の画像で示される。ナノファイバーの直線部は、「開口端」で終端することができ、開口端は、中空ナノファイバーの内部へのアクセスを提供するナノファイバーの末端における開口である。ナノファイバーの開口端は、ナノファイバーの直線部の長さの+/-5%以内の共通平面内に配置される。ナノファイバーフォレスト内のナノファイバーの直線部は、概して、基準面(例えば、下にある基材)に対して+/-5°以内の共通の方向に整列される。一例では、ほぼ垂直なフォレストにおけるナノファイバーの直線部の共通の方向は、85°~95°の範囲である。「弓状部」(また、時々、「もつれ端(tangled end)」と称される)は、ナノファイバーの開口端から反対端にある。概して、もつれ端は、成長基材に反対側のナノファイバー層の露出面に配置される。弧状部は、直線部の共通の方向に対応する直線部の縦軸から離れるように曲がる。本明細書に説明される実施形態を考慮して認識されるように、開口端212またはもつれ端216のいずれか1つを最終基材232に接着するように本開示の技術を適合させることができ、反対端を露出面に残したままにする。
【0053】
次に、方法100は、2つの下位の方法(sub-method)のいずれかに従うことができる。下位の方法106は、提供されたナノファイバーフォレスト208で行われるとき(104)、最終的に、直線部212の弓状端をナノファイバーフォレスト208の露出面に配置することを可能にし、その後、随意に、最終基材上に載置することができる(140)。下位の方法107は、提供されたナノファイバーフォレスト208で行われるとき(104)、最終的に、開口部216をナノファイバーフォレスト208の露出面に配置することを可能にし、その後、随意に、最終基材232上に載置することができる(140)。
【0054】
図2Cに示されるように、下位の方法106は、提供されたナノファイバーフォレスト208(104)の露出面に第1の転写フィルム220を適用するステップ(108)によって始まる。代替として、
図2Cにも示されるように、下位の方法107は、提供されたナノファイバーフォレスト208(104)の露出面に第2の転写フィルム222を適用するステップ(112)によって始まる。この処理段階として、ナノファイバーフォレスト208の露出面は、ナノファイバーフォレスト208のナノファイバーの弓状部216を含む。したがって、第1の転写フィルム220(下位の方法106)または第2の転写フィルム222(下位の方法107)のいずれか1つと接触して載置されるのは、フォレスト208のこれらの弧状部216である。
【0055】
例では、第1の転写フィルム220は非接着層でコーティングされたパッキンまたは基材を含むフィルムであり、第2の転写フィルム222は弾性変形可能なフィルムまたは基材である。第1転写フィルム220及び第2転写フィルム222の両方の例を以下に説明する。
【0056】
上記に示したように、第1の転写フィルム220は、接着剤を使用しないが代わりに非接着性コーティングを使用して、ナノファイバーフォレスト208との接続を確立する。一例では、第1の転写フィルム220は、第2の転写フィルム222の非接着結合強度よりも小さい非接着結合強度(または、簡潔にするために本明細書では、単に「結合強度」)を有する。非接着結合は、ナノファイバーフォレストと転写フィルムとの間のいずれかの一時的及び解放可能な接続が接着剤なしで達成されるものを含む。非接着結合の例は、接着化学的相互作用によって確立されたものではないが、むしろ、とりわけ、ファンデルワールス力、機械的接続(例えば、エラストマーによる把持または衝突)、静電力、表面張力(例えば、水層、または他の揮発性もしくは不揮発性の液体もしくは流体)等の非化学的物理接続である。
図2Cに示されるもの等の一実施形態では、第1の転写フィルム220は接着剤を含まない。一例では、第1の転写フィルム220は、商業的に利用可能であるワックスペーパー(例えば、Cut-Rite(登録商標)Wax Paper)を含む。一例では、ワックスペーパー(または、代わりに剥離ライナー(すなわち、接着剤を付着する前に接着層を覆い及び保護するために使用されるポリマーシート))との結合強度は、(ASTM D3330に従って行われた180°剥離試験によって測定された)0.1Newtons/25mm~1.5Newtons/25mmである。これは、接着分子がナノファイバーフォレスト208と密接にまたは直接接触しておらず、ひいてはナノファイバーフォレストに転写されないため、ナノファイバーフォレストの品質を改善する利点をもたらす。これは、上記に説明した純粋なナノファイバーフォレストによって示される電気的、機械的、熱的、及び光学的な特性の低下を防止する。
【0057】
他の例では、第1の転写フィルム220は、例えば、パラフィンワックス等の非接着性ワックスで覆されている軟質フィルム(紙、ポリマー(例えば、ポリエチレン)、または金属のいずれか)である。さらに他の例では、第1の転写フィルム220は、ASTM D3330に従って行われた180°剥離試験を使用して測定したとき、0.1Newtons/25mm~1.5Newtons/25mmの結合強度を伴う非接着性コーティングを有する可撓性フィルムである。非接着性コーティングの例は、限定ではないが、接着剤(例えば、「非キャリア」接着剤)からのバッキングの分離を促進するために剥離ライナーバッキングに適用されるコーティングを含む。そのようなコーティングの1つの例示的な例は、シロキサンコーティングを含む。別の例では、接着フィルムの剥離ライナーとしてより従来的に使用されているプラスチックフィルム(例えば、シリコーンまたはポリエチレン)を使用できる。第1の転写フィルム220として剥離ライナーを使用するとき、ASTM D3330に従って行われた180°剥離試験を使用して測定された、0.1Newtons/25mm~1.5Newtons/25mmの結合強度が測定された。いずれにせよ、第1の転写フィルム220は、化学的引力よりもむしろ、コーティングとナノファイバーフォレストの露出面との間の物理接続を容易にする。
【0058】
一例では、第2の転写フィルム222は、弾性ポリマー(例えば、ブタジエンゴム)によって形成されたもの等の弾性変形可能シートを含む。一実施形態では、第2の転写フィルム222は、接着剤を含まなく、それにも関わらず、ナノファイバーフォレスト208の露出面との物理接続を形成するシリコンゴムシートを含む。一実施形態では、シリコンゴムシート(またはより一般的には、弾性変形可能シート)間の物理接続は、シリコンゴムシートをナノファイバーフォレスト208の露出面に適用する前に、シリコンゴムシートを1つ以上の方向に伸ばすことによって促進される。次に、シートがナノファイバーフォレスト208と接触して載置された後、ストレッチを解放する。ストレッチを解放することによって、シリコンゴムシートは、フォレスト208のナノファイバーの一部をつかむ(または衝突する)ミクロンスケールの地形特徴を形成することができ、したがって、フォレスト208の露出面との解放可能で物理的な無接着接続を確立する。一例では、ナノファイバーフォレストとの第2の転写フィルム222の結合強度は、第1の転写フィルム220の結合強度よりも大きい。一例では、この結合強度は、上記に示したASTM規格に従って測定した場合、0.5Newtons/25mmよりも大きい、2Newtons/25mmよりも大きい、または3Newtons/25mmよりも大きい可能性がある。
【0059】
図2Cにも示されるように、下位の方法106及び107の両方は、成長基材204及び転写フィルム220、222の対応するものを介して、圧縮力をナノファイバーフォレスト208に加えるステップ(116)を含む。この圧縮力は、
図2Cの矢印によって示される。一例では、圧縮力は、横方向の成分(成長基材204及び/または転写フィルム220、222に平行な成分)を有する。いずれにせよ、圧縮力は、ナノファイバーフォレスト208のナノファイバーを、成長基材204及び対応する転写フィルム220、222の直面する表面により平行になるように再配向させる効果をもたらす。例では、用語「平行」は、成長基材204の表面及び/または転写フィルム220、222の1つの表面から10°未満に配向するナノファイバーを意味し得る。この再配向は、
図2Dに概略的に示される。
【0060】
いずれにせよ、下位の方法106及び107の両方は、
図2Eに示されるように、ナノファイバーフォレスト208から成長基材を除去するステップ(120)によって継続する。これは、ナノファイバーフォレスト208の開口端212を露出し、ナノファイバーフォレスト208の弓状部216のもつれ端を事前に適用された転写フィルム220、222に取り付けられたままにする。
【0061】
ここで、
図2Fを参照すると、下位の方法106は、フォレスト208のナノファイバーの開口端212への第2の転写フィルム222の適用(124)を続け、フォレスト208のもつれ端216は、第1の転写フィルム220によって事前に接触されていた。代替として、下位の方法107は、フォレスト208の開口端212への第1の転写フィルム220の適用(128)を続け、フォレスト208のもつれ端216は、第2の転写フィルム222によって事前に接触されていた。下位の方法106と下位の方法107の両方において、ナノファイバーフォレスト208と第1の転写フィルム220との間の(非接着性)結合強度は、ナノファイバーフォレスト208と第2の転写フィルム222との間の(非接着性)結合強度未満になり得る。
【0062】
図2G及び2Hは、各々、下位の方法106及び107によって生成されるアセンブリ224及び226の異なる構成を示す。
図2G(下位の方法106に対応する)に示されるように、アセンブリ224は、ナノファイバーフォレスト208の弓状部216と接触する第1の転写フィルム220と、第2の転写フィルム222と接触するナノファイバーフォレスト208の開口端212とを含む。
図2H(下位の方法107に対応する)に示されるように、アセンブリ226はナノファイバーフォレストの弓状部216と接触する第2の転写フィルム222を含み、ナノファイバーフォレストの開口端212は第1の転写フィルム220と接触する。
【0063】
下位の方法106と107の両方では、第2の転写フィルム222の強度よりも低い結合強度を有する第1の転写フィルム220は、随意に、対応するアセンブリから除去される(132、136)。下位の方法106に対応する
図2Iに示されるように、第1の転写フィルム220を除去するステップ(132)は、ナノファイバーフォレストの弓状部216を露出し、アセンブリ228を生成する。下位の方法107に対応する
図2Jに示されるように、第1の転写フィルム220を除去するステップ(136)は、ナノファイバーフォレストの弓状部216を露出し、アセンブリ230を生成する。
【0064】
また
図2Iに示されるように、一実施形態では、フォレスト208のナノファイバーは、第2の転写フィルム222の基材の表面に垂直になるように再配向することができる、及び/または第2の転写フィルム222の表面に垂直な角度よりも小さいが、フォレスト及び転写フィルム220、222に圧縮力を加えた後に見られる0°~10°よりも大きい角度に再配向することができる。これらの2つの異なる角度は両方とも
図2Iに示される。第1の転写フィルム220の除去後のナノファイバーと第2の転写フィルム222の表面との間の角度は、少なくとも部分的に、第1の転写フィルム220と第2の転写フィルム222との間の相対結合強度の関数である。第2の転写フィルム222のより大きい結合強度を有する状態で、結合強度の差の大きさがこれらの2つの転写フィルム間で増加するにつれて、第1の転写フィルム220がナノファイバーを第2の転写フィルム222の表面に垂直な配向に再配向できにくくなる。これは、15°~85°であり得るナノファイバーの部分的な再整列をもたらす。ナノファイバーフォレストの露出した開口端の類似した状態が
図2Jに示される。
【0065】
いずれの場合、ナノファイバーフォレスト208の露出面は、随意に、最終基材232に適用され得る(140)。最終基材232は、その上に配置された接着層234を有し得る、または有し得ない。代替として、最終基材232は、接着剤を使用することなく、弓状部216のもつれ端またはナノファイバーフォレスト208の直線部212の開口端のいずれかに接着され得る。接着層234がナノファイバーフォレスト208のもつれ端を最終基材232に取り付けるために使用される例は、
図2Kに示される。ナノファイバーフォレスト208の開口端を接着剤なしで最終基材232に直接取り付けられる例は、
図2Lに示される。上記に示したように、
図2K及び
図2Lに示される例の両方において、ナノファイバーの配向は、ナノファイバーフォレスト208の開口端212が接着剤によって最終基材232に取り付けられるように、またはナノファイバーフォレスト208のもつれ端216が接着剤なしで最終基材232に取り付けられるように逆になることができることが認識される。
【0066】
さらに他の実施形態では、上記に説明した方法を複数のナノファイバーフォレストのスタックに適用することができる。
【0067】
[接着層及び拡散バリアを伴う転写フィルム]
下位の方法106及び107を含む方法100は、第1の転写フィルム220及び第2の転写フィルム222の様々な異なる種類、構造、及び組成を使用して適用され得る。例えば、上記に説明した第1の転写フィルム220及び第2の転写フィルム222の実施形態に加えて、転写フィルム300は、ナノファイバーフォレスト208の露出面に適用され得る。
図3Aに示されるように、転写フィルム300は、剥離ライナー308上に接着層304を含み得る。一例では、接着層304は、アクリル接着剤、メタクリレート接着剤、エポキシ、及び非キャリア接着剤(例えば、典型的に、後にキャリアフィルムに適用され、剥離ライナーで保護される個別の接着剤)のいずれか1つ以上であり得る。一例では、ナノファイバーフォレストと接着層304の間の結合強度は、ASTM D3330に従って行われた180°剥離試験によって測定された、0.5Newtons/25mmよりも大きい、5Newtons/25mmよりも大きい、7Newtons/25mmよりも大きい、10Newtons/25mmよりも大きい、または20Newtons/25mmよりも大きい強度であり得る。
【0068】
一実施形態では、接着層304は、第2の転写フィルム222(例えば、シリコンゴム)のために使用されるものよりも大きい結合強度を有する。最終的に、接着層304は、最終基材312上に適用される(及びに接着される)(140)ナノファイバーフォレスト208の表面に取り付けられる。下位の方法106を含む方法100を行う一例では、転写フィルム300は、その成長基材204上のナノファイバーフォレストの弓状部216に適用され(108)、圧縮される(116)。次に、成長基材204が除去される(120)。第2の転写フィルム222は、成長基材204の除去(120)によって露出されたフォレスト208の開口端212に適用される。次に、(
図1に示される転写フィルム全体よりもむしろ)剥離ライナー308を除去することができ(132)、露出した接着層304を最終基材312に適用することができる。第2の転写フィルム222(例えば、上記に説明したシリコーンゴム層)は、(
図3Bに示されるように)残り得、または随意に除去され得、
図3Cに示されるアセンブリ310を生成する。
【0069】
図3Dに示される別の例では、下位の方法107を含む方法100は、第1の転写フィルム220の代わりに転写フィルム300を使用して行われる。これは、ナノファイバーフォレスト208の開口端が接着層304に取り付けられ、ひいては、最終的な基材312に近接することをもたらす。
図3Dに示される例では、第1の転写フィルム220は除去されているが、これはそうである必要はない。第1の転写フィルム220の有無に関わらず、
図3Dの状況で説明した実施形態は、アセンブリ314と称され得る。
【0070】
接着層304を含むアセンブリ310、314の1つの特徴は、ナノファイバーフォレスト208のナノファイバーが、上記に説明した及び示した直線部212及び弓状部216に加えて、傾斜部404を含むことである。この構成は、ナノファイバーフォレスト209内のナノファイバーに関して、
図4Aに概略的に示される。この構成の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真が
図4Bに現れる。
【0071】
図4Aに示されるように、ナノファイバーフォレスト209は接着層304上に配置され、次に、接着層304はナノファイバーフォレスト209を最終基材312に接着する。この場合、ナノファイバーフォレスト209は、直線部212と、弓状部216((事前に加えられた圧縮力から)接着層304に接着され、接着層304と同一平面になり得るため図示されない)と、傾斜部404とを含む。理論に縛られることを望まないが、傾斜部404を生じさせる1つの可能な機構は、接着層304の接着強度が、ある場合、接着層304の表面に反対側のナノファイバーフォレストの表面から他の転写フィルムを除去することによって、十分に克服することが困難になり得ることである。その結果、上記に説明したように、他の転写フィルムの除去により、直線部212の一部を再配向する。しかしながら、直線部212の一部は、他の転写フィルムの除去の結果として十分に直線にならず、したがって、傾斜部404が接着層304に近接したままになる。また、これは、
図4Bの注釈付きSEM顕微鏡写真で見ることができる。別の可能な機構では、接着層304からの接着分子の一部は、フォレスト209に拡散、移行、またはそうでなければ移動し、したがって、接着層に直接隣接して及び接触しているナノファイバーの部分だけを超える接着力を提供する。この追加の接着力は、他の転写フィルムの除去時にフォレスト208のナノファイバーに付与される整列力と再配向力に抵抗し得、したがって、傾斜部404を生じさせる。
【0072】
図示されないが、別の実施形態では、接着層304上のナノファイバーフォレストのスタックは、方法100の前述の変形例のいずれかに従うとき、第1のナノファイバーフォレストが、接着層304が取り付けられる最終基材312の表面に平行(すなわち、0°)または10°以内に整列されるアセンブリをもたらす可能性があり、また、第1のナノファイバーフォレスト上の第2のナノファイバーフォレストが接着層304が取り付けられる最終基材312の表面に垂直に整列されることをもたらす可能性がある。
【0073】
概して、接着層304の接着強度がより低くなるにつれて及び接着層304の粘度がより高くなるにつれて、転写層がアセンブリ310、314から除去されるとき、フォレスト内のナノファイバーがより垂直に及び直線になる。接着強度が増加し、粘度が低くなるにつれて、傾斜部404がより目立つようになる。最終的に、接着剤の接着強度及び粘度をさらに増加させると、フォレスト209のナノファイバーがより垂直でなくなるにつれて、接着層304が取り付けられる最終基材312の表面により平行になる。
【0074】
他の要因は、また、転写フィルムが除去されたときにナノファイバーが再配向する程度に影響を及ぼし得る。例えば、より短いナノファイバーから成るフォレストは、概して、転写フィルムが除去されるとき、下にある最終基材312の表面に垂直になる可能性が高い。ナノファイバーの長さが増加するにつれて、ナノファイバーは、傾斜部を含む可能性が高くなり、及び/または接着層304及び/または最終基材312の表面の10°以内に整列されたままになる。
【0075】
[接着層及び拡散バリアを伴う転写フィルム]
本開示の一実施形態では、ナノファイバーフォレストと転写フィルムとの間に接着剤を配置することができる。しかしながら、上記に説明したように、接着剤の存在はナノファイバーフォレストの特性に影響を与える可能性がある(いくつかの場合、低下させる可能性がある)。接着層を使用する利便性をさらに得ながら、ナノファイバーフォレストへの接着分子の拡散を防止するために、接着層を含む本開示の実施形態は、また、接着剤とナノファイバーフォレストとの間に拡散バリアを含み得る。ナノファイバーフォレストのナノファイバーは拡散バリアに取り付けることができる一方、拡散バリアはフォレストへの接着分子の拡散または移動を防止する。これは、本開示のナノファイバーフォレストが、上記にも説明したように、接着剤またはポリマー分子による汚染を生じないで、上記に示した利点をもたらすことが可能になる。
【0076】
図5は、拡散バリア及び接着層を使用するための例示的な方法500を示す。対応する
図6A~6Hは、方法500の進行性能に対応する構造の様々な側面図を示す。同時に、
図5及び
図6A~
図6Hを参照すると、説明が容易になる。
【0077】
例示的な方法500では、プロセスは、成長基材204上に少なくとも2つの重ねられたナノファイバーフォレスト602A、602Bを準備するステップ(504)によって始まる。これは
図6に示される。
【0078】
第1の接着層604は、ナノファイバーフォレストスタック(この場合、ナノファイバーフォレスト602B)の露出面に適用される(508)。第1の接着層604の適用は、(上記に説明したように)ナノファイバーフォレストの弓状部に行うが、異なる結合強度を有する第1の転写フィルム及び第2の転写フィルムを含む上記に説明した技術を使用して、ナノファイバーフォレストスタックは「反転」する(すなわち、直線部及びその開口端が露出面にあるように位置付けられる)ことができることが認識される。
図6A~6Hに示される実施形態は、単に説明を便利にするために、第1の接着層604が露出したナノファイバーフォレスト602Bの弓状部に適用されていることを示す。
【0079】
いずれにせよ、
図6Bに観察できるように、第1の接着層604の一部は、第2のナノファイバーフォレスト208Bに侵入する。この侵入は、他の要因の中でも、接着剤の組成、分子量、粘度、加圧力に基づいて選択されることができる。概して、接着剤は、ナノファイバーフォレスト602Bに、以下の深さ範囲D(5μm~100μm、10μm~200μm、10μm~100μm、25μm~75μm、50μm~150μm)のいずれかまで侵入することができる。
【0080】
ナノファイバーのスタックの配向及び第1の接着層604が適用される表面に関係なく、第1の接着層604は、第1の接着層604を炭化するように加熱される(516)。これは、第1の接着層の一部または全てを炭化接着層608に変質させる。加熱(516)は、第1の接着層604を炭素に十分に変質させる、または第1の接着層604の一部を炭素に部分的に変質させる(例えば、接着剤のいくつかの分子または接着分子の一部は非炭化形態のままであり得る)。これは
図6Cに示される。第1の接着層604は、空気中、真空中、不活性雰囲気(例えば、アルゴン、窒素)、またはそれらの組み合わせで加熱されることができる(516)。加熱(516)は、以下の範囲(100℃~500℃、200°C~450°C、200°C~300°C、300°C~450°C、400°C~500°C、250°C~350°)のいずれかの範囲内の温度であり得る。
【0081】
方法500は、炭化接着層608に第1の転写フィルム616を適用するステップ(524)によって継続する。この場合、第1の転写フィルム616は、第2の接着層620及び剥離ライナー624を含む。
図6Dに示されるように、圧縮力は第1の転写フィルム616及び成長基材204に加えられ(528)、それにより、第2の接着層620は炭化接着層608と接触し及びそれに接着して載置される。上記に説明したように、圧縮力は、成長基材204及び/または第1の転写フィルム616の表面に垂直及び/または平行な力の成分を含み得る。上記に示したように、炭化接着層608は、その後適用されるこの第2の接着層620に拡散バリアとして働き、ナノファイバーフォレスト602Bへの接着分子の移動を防止する。
【0082】
図6Eに示されるように、加えられた圧縮力(528)は、また、重ねられたナノファイバーフォレスト(この例では、フォレスト602A、602B)を、成長基材204及び/または第1の転写フィルム616の表面に平行な共通の方向に整列する状態にさせることができる。上記に説明したように、共通の方向は、成長基材204及び/または第1の転写フィルム616の表面の0°~10°の範囲内であり得る。
【0083】
次に、
図6Fに示すように、成長基材が除去される(532)。次に、第2の転写フィルム628は、ナノファイバーフォレストスタックの露出面に適用される(536)。第2の転写フィルム628は接着剤を含まず、例えば、シリコーンゴムフィルムまたは前述に説明したものに類似する他の弾性フィルムを含み得る。この時点で、方法500では、
図6Gに示されるアセンブリ630は、炭化接着拡散バリア608の存在により、ナノファイバーフォレスト602A、602Bに接着剤が移動することなく、無期限に保存されることができる。
【0084】
随意に、剥離ライナー624は、第1の転写フィルム616の第2の接着層620を露出するために除去されることができる(540)。次に、露出した第2の接着層620を、上記に説明した最終基材312に類似する最終基材650上に載置されることができる(544)。
【0085】
図6Hに示されるように、第2の転写フィルム628は、また、ナノファイバーフォレスト602Aを露出するために除去され得る(548)。ナノファイバーフォレストの配向が「反転」した実施形態では、
図6Hに示される開口端の代わりに、弓状部は、第2の転写フィルム628を除去することによって露出され得ることが認識される。いずれにせよ、上記に説明したように、第2の転写フィルム628間の結合強度が十分である場合、フォレスト602A、602Bのナノファイバーは、下にある基材650の表面により垂直になるように再配向することができる。フォレスト602A、602Bの両方が垂直として示されているが、ナノチューブの高さ、第2の接着層620の強度、第2の接着層620の厚さ及び粘度、ならびに第2の転写フィルム628の結合強度によって影響を受ける上記に説明した変形例は、フォレスト602A、602Bのどれが、どの程度再配向するかに影響を与える。また、上記に説明したように、フォレスト602B内のナノファイバーの一部は、傾斜部を含み得ることが認識される。
【0086】
[ナノファイバーフォレスト]
本明細書に使用される用語「ナノファイバー」は、1μm未満の直径を有するファイバーを意味する。本明細書の実施形態が主にカーボンナノチューブから製作されたものとして説明されるが、グラフェン、ミクロン、またはナノスケールのグラファイトファイバー及び/またはプレートならびにさらに窒化ホウ素等のナノスケールファイバーの他の組成のいずれかの他の炭素同素体は、以下に説明する技術を使用して高密度になり得ることが認識される。本明細書に使用される用語「ナノファイバー」及び「カーボンナノチューブ」は、単層(single walled)カーボンナノチューブ及び/または複数層(multi-walled)カーボンナノチューブの両方を包含し、これらは炭素原子が互いに連結されて円筒形の構造を形成する。一実施形態では、本明細書で言及するカーボンナノチューブは、4~10の層(wall)を有する。本明細書に使用される「ナノファイバーシート」または単に「シート」は、引き出しプロセス(ここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする国際公開第2007/015710号に記載)によって整列された複数のナノファイバーのシートを指し、このシートのナノファイバーの長手方向の軸は、シートの主面に対して垂直(つまり、多くの場合「フォレスト」と呼ばれる、シートが堆積された通り(as-deposited)の形)ではなく、シートの主面に平行になる。これは、各々、
図9及び
図10に説明され、示される。
【0087】
カーボンナノチューブの寸法は、使用される生産方法に依存して大きく変わり得る。例えば、カーボンナノチューブの直径は0.4nm~100nmであり得、その長さは10μm~55.5cmを超える範囲であり得る。カーボンナノチューブは、また、132,000,000:1と大体同じ高さを伴うまたはそれよりも高い非常に高いアスペクト比(長さと直径との比)を有することが可能である。様々な寸法の可能性を考慮して、カーボンナノチューブの特性は、高度に調節可能(adjustable)または「調整可能(tunable)」である。カーボンナノチューブの多くの興味深い特性が確認されているが、実際の用途でカーボンナノチューブの特性を利用するには、カーボンナノチューブの特徴を維持または向上することが可能である拡張可能で制御可能な生産方法が必要である。
【0088】
カーボンナノチューブはその特異構造により、カーボンナノチューブを特定用途に適合させる特定の機械的、電気的、化学的、熱的、及び光学的特性を有する。特に、カーボンナノチューブは優れた導電性、高い機械的強度、良好な熱安定性を示し、また、疎水性である。これらの特性に加えて、カーボンナノチューブは、また、有用な光学特性を示し得る。例えば、カーボンナノチューブは、狭く選択された波長で光を放出または検出するために、発光ダイオード(LED)及び光検出器で使用され得る。カーボンナノチューブは、また、光子輸送及び/またはフォノン輸送に有用であることを証明し得る。
【0089】
本主題の開示の様々な実施形態に従って、ナノファイバー(カーボンナノチューブを含むが、これに限定されるものではない)は、「フォレスト」と本明細書で称される構成を含む、様々な構成で並べられることができる。本明細書に使用されるナノファイバーまたはカーボンナノチューブの「フォレスト」は、基材上で相互に実質的に平行に並べられたほぼ同等の寸法を有するナノファイバーの配列を指す。
図7は、基材上のナノファイバーの例示的なフォレストを示す。基材はいずれかの形状であり得るが、一実施形態では、基材は、フォレストが組み立てられる平面を有する。
図7に見ることができるように、フォレスト内のナノファイバーは、高さ及び/または直径がほぼ等しくなり得る。
【0090】
本明細書に開示されるナノファイバーフォレストは、比較的高密度であり得る。具体的には、開示されたナノファイバーフォレストは、少なくとも10億ナノファイバー/cm2の密度を有し得る。一特定の実施形態では、本明細書に説明されるナノファイバーフォレストは、100億/cm2~300億/cm2の密度を有し得る。他の例では、本明細書に説明されるナノファイバーフォレストは、900億ナノファイバー/cm2のオーダーの密度を有し得る。フォレストは高密度または低密度の領域を含み得、特定の領域はナノファイバーがない場合がある。フォレスト内のナノファイバーは、また、ファイバー間接続を示し得る。例えば、ナノファイバーフォレスト内の隣接するナノファイバーは、ファンデルワールス力によって相互に引き付けられ得る。いずれにせよ、フォレスト内のナノファイバーの密度は、本明細書に説明される技術を適用することによって増加させることができる。
【0091】
ナノファイバーフォレストを製作する方法は、例えば、ここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする国際公開第2007/015710号に説明される。
【0092】
様々な方法は、ナノファイバー前駆体フォレスト(nanofiber precursor forests)を生成するために使用できる。例えば、一実施形態では、ナノファイバーは、
図8に概略的に示される高温炉内で成長し得る。一実施形態では、触媒は、基材上に堆積され、反応器に載置され、次に、反応器に供給される燃料化合物に露出され得る。基材は800℃またはさらに1000℃よりも大きい温度に耐えることができ、不活性物質であり得る。基材は、ステンレス鋼またはアルミニウムを含んでよく、これらはその下にあるシリコン(Si)ウェーハ上に配置されており、、他のセラミック基材(例えば、アルミナ、ジルコニア、SiO
2、ガラスセラミック)をSiウェーハの代わりに使用し得る。前駆体フォレストのナノファイバーがカーボンナノチューブである例では、アセチレン等の炭素系化合物を燃料化合物として使用し得る。反応器に導入された後、次に、燃料化合物(複数可)は触媒上に蓄積し始め得、基材から上に成長することにより集合して、ナノファイバーのフォレストを形成し得る。反応器は、また、燃料化合物(複数可)及びキャリアガスが反応器に供給され得るガス入口と、消費された燃料化合物及びキャリアガスが反応器から放出され得るガス出口とを含み得る。キャリアガスの例は、水素、アルゴン、及びヘリウムを含む。これらのガス(具体的には、水素)は、また、ナノファイバーフォレストの成長を促進するために反応器に導入され得る。加えて、ナノファイバーに組み込まれる予定のドーパントがガス流に加えられ得る。
【0093】
複数層ナノファイバーフォレストを製作するために使用されるプロセスでは、1つのナノファイバーフォレストが基材上に形成され、その後、第1のナノファイバーフォレストと接触する第2のナノファイバーフォレストが成長する。複数層ナノファイバーフォレストは、第1のナノファイバーフォレストを基材上に形成し、触媒を第1のナノファイバーフォレスト上に堆積させ、次に、追加の燃料化合物を反応器に導入し、第1のナノファイバーフォレスト上に位置付けられる触媒から第2のナノファイバーフォレストの成長を促進すること等による、多くの適切な方法によって形成されることができる。適用される成長方法、触媒の種類、及び触媒の場所に応じて、第2のナノファイバー層は第1のナノファイバー層の上で成長し得る、または例えば水素ガス等で触媒をリフレッシュした後、基材上で直接成長し得るかのいずれかになり、したがって、第1のナノファイバー層の下で成長する。いずれにせよ、第2のナノファイバーフォレストは、第1のナノファイバーフォレストのナノファイバーとほぼ端から端まで整列されることができるが、第1のフォレストと第2のフォレストとの間で容易に検出可能な界面がある。複数層ナノファイバーフォレストは、任意の数のフォレストを含み得る。例えば、複数層前駆体フォレストには、2、3、4、5、またはそれよりも多いフォレストを含み得る。
【0094】
[さらなる検討]
本開示の実施形態の前述の説明は、例示の目的で提示されている。網羅的であること、または請求項を開示された正確な形式に限定することを意図していない。当業者は、上記の開示を考慮して、多くの修正及び変化が可能であることを認識することができる。
【0095】
本明細書で使用される言葉は、主に読みやすさ及び指示の目的のために選択されており、その言葉は、本発明の主題を記述または制限するために選択されていない場合がある。したがって、本開示の範囲は、この「発明を実施する形態」によってではなく、むしろ本明細書に基づく出願において生じるいずれかの請求項によって制限されることが意図される。したがって、本実施形態の開示は、限定ではないが、以下の「特許請求の範囲」に記載されている本発明の範囲を例示することを意図している。