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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】竹の粉末およびその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/22 20160101AFI20220407BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20220407BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A23L33/22
A23L5/00 K
A61K36/899
A61K31/352
A61K31/7076
A61K31/198
A61K31/192
A61P1/00
A61P3/04
A61P3/10
A61P3/00
A61P3/06
A61P19/10
A61P17/00
A61K9/14
A61P1/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020543677
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 CN2018111523
(87)【国際公開番号】W WO2019080848
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】201711004411.8
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520149249
【氏名又は名称】森隆生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ホァン,ローリャン
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0839029(KR,B1)
【文献】特開2010-187590(JP,A)
【文献】特開2011-057658(JP,A)
【文献】特開2016-140325(JP,A)
【文献】特開平10-014530(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102715470(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106579467(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1943442(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23F
A61K
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹の粉末の製造方法であって、
原料に対してブランチングによる変色防止、乾燥、超微粉砕を順に行うステップと、平均粒子径が1000~10000メッシュの竹の粉末を得るステップを含み、
前記原料は、イネ科(Graminae)、タケ亜科(Bambusoideae)植物の葉であり、
前記ブランチングによる変色防止を行うことは、原料である竹葉を温度が85~95℃の変色防止液に入れて30~90s浸漬した後、取り出し、水を切ることを含み、
前記ブランチングによる変色防止を行う際に使用される変色防止液は、濃度0.5~2.0g/100mLの硫酸亜鉛水溶液またはグルコン酸亜鉛水溶液あるいはこれらの組み合わせであり、
前記竹の粉末の色彩値は、L * が46~60の間、Δa * が-16~-8の間にあり、
前記竹の粉末は、食物繊維の合計量が76.1~80.2%で、リグニンの含有量が≧20%で、ミネラルの含有量が≧7%で、かつ少なくとも3種またはそれ以上の竹葉の特徴的成分を含有し、前記竹葉の特徴的成分はオリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン、アデノシン、δ-ヒドロキシリシン、p-クマル酸であることを特徴とする方法。
【請求項2】
竹葉と変色防止液との仕込み比は、1g:50~100mLであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乾燥を行うことは、ブランチングによる変色防止処理がされた後の葉を含水率が≦11%になるように乾燥させることを含み、
前記乾燥は、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、真空乾燥、凍結乾燥のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記超微粉砕を行うことは、乾燥後の葉を平均粒子径が1000~10000メッシュになるように粉砕することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記原料は、モウハイチク(Phyllostachys meyeri McClure)、モウソウチク(Phyllostachys heterocycla var.pubescens(Mazel)Ohwi)、慈竹(N.affinis(Rendle)Keng f.)、綿竹(B.intermedia Hsueh et Yi)、ユシャニア(Yushania Keng f.)、苦竹(P.amarus(keng)Keng f.)、冷箭竹(B.fangiana Keng f.et Wen)、黄条金剛竹(Pleioblastus kongosanensisf.aureostriaus)由来の新鮮な葉であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記超微粉砕は、
高エネルギーボールミルを使用し、ボールにジルコニアボールを用い、前記ボールと原料との比が10:1であり、あるいは、
気流粉砕を使用し、あるいは、
気流粉砕および高エネルギーボールミルを使用する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イネ科(Graminae)、タケ亜科(Bambusoideae)植物の葉を原料として製造され、安定したエメラルドグリーンの色合いを有し、粉体の平均粒子径が1000~10000メッシュの間にあり、食物繊維の合計量が76.1~80.2%で、リグニンの含有量が≧20%で、ミネラルが≧7%で、かつ少なくとも3種またはそれ以上の竹葉の特徴的成分を含有し、
前記竹葉の特徴的成分はオリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン、アデノシン、δ-ヒドロキシリシン、p-クマル酸であり、
色彩値は、L * が46~60の間、Δa * が-16~-8の間にあることを特徴とする竹の粉末。
【請求項8】
前記原料は、モウハイチク(Phyllostachys meyeri McClure)、モウソウチク(Phyllostachys heterocycla var.pubescens(Mazel)Ohwi)、慈竹(N.affinis(Rendle)Keng f.)、綿竹(B.intermedia Hsueh et Yi)、ユシャニア(Yushania Keng f.)、苦竹(P.amarus(keng)Keng f.)、冷箭竹(B.fangiana Keng f.et Wen)、黄条金剛竹(Pleioblastus kongosanensisf.aureostriaus)由来の新鮮な葉であることを特徴とする請求項7に記載の竹の粉末。
【請求項9】
竹の粉末の熱安定性および光安定性を利用し、それを食品原料、機能性配合成分、または食事サプリメントとし、
乾燥物質で計算すると、竹の粉末の食品システムにおける添加量は1~10%であることを特徴とする食品の製造における請求項7に記載の竹の粉末の使用。
【請求項10】
前記食品は、
人体の食物繊維を補充し、胃腸管の機能を改善することで、体重のコントロールおよび便秘の予防に貢献すること、
腸内細菌叢を改善および調節することで、人体のインスリンに対する感受性を向上させ、インスリン耐性を予防・治療し、代謝症候群を予防すること、
人体の微循環の改善、心脳血管の有効な保護に貢献すること、
糖質・脂質代謝およびエネルギー代謝の調節、代謝症候群の予防・治療に貢献すること、または
骨質粗しょう症の防止、皮膚の若い状態の維持、人体の老衰の遅延に貢献すること
に使用されることを特徴とする
請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然製品、食品原料、機能性配合成分および食事サプリメントの分野に関する。より具体的に、抹竹(微粉竹、MATZHU、MATZOOまたはMOZOO)と称される竹の粉末製品およびその製造方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の喫茶文化は紀元前2700年まで遡る。伝統的な緑茶の飲み方は、熱湯で淹れ、茶湯を賞味する。関連研究では、茶葉を熱湯で淹れると、茶ポリフェノールの溶出率は60~70%で、遊離アミノ酸の溶出率は茶ポリフェノールよりも10%程度高いが、不溶性食物繊維は全然溶出しない。そのため、抹茶をはじめとする粉末状の茶が生まれ、「喫茶」が「食茶」に変わり、最大限に緑茶の栄養分と健康機能を残しながら、緑茶の食品工業における新たな用途を開拓した。
【0003】
現在、市販の粉末状の茶は主に抹茶と粉末緑茶の2種類に分かれ、価格が大きく異なり、品質もばらつく。
【0004】
抹茶(Matcha)は、被覆、蒸熱や石臼挽きといった一連の特殊な加工過程によって製造される超微粉末で、平均粒子径が一般的に800~1000メッシュで、エメラルドグリーンの色合いと爽やかな海苔のような香りを有する。一定の量の熱湯で淹れ、そして十分に混ぜると、茶湯が青緑で、かつ表面に一層の白い泡が浮かび、茶の香りが溢れる。抹茶がこのように優れた品質を有するのは、その独特な原料および加工方法のおかげで、製造過程全体は、茶樹被覆、新芽摘採、蒸熱、冷却、加熱乾燥、選別、石臼挽きなどを経る。中では、被覆処理は抹茶の生産の重要な工程の一つで、一芯二葉の茶樹を被覆処理することで、葉におけるクロロフィルおよびアミノ酸の含有量が増加すると同時に、渋味の重い茶ポリフェノールおよびカフェインの含有量を低下させる。挽き方は、抹茶の製作のもう一つの要素である。茶葉の緑色と香りが不安定で、粉砕時の高速剪断による熱量の増加は顕著に抹茶の色と味に影響するため、従来、石臼挽きが使用され、低速・低温に維持することにより、最大限にその風味の損失を減少する。二本の高品質の黒鉛で挽かれる抹茶は、細かさが5000メッシュ以上に達し、皮膚に塗ると、直接経皮で吸収されると言われている。
【0005】
一方、粉末緑茶の生産は抹茶よりもずっと簡単である。たとえば、超微粉末緑茶とは、高温殺青や脱水乾燥などの工程を経た後、超微粉砕してなる緑茶粉末である。その製造プロセスは、茶葉摘採、高温殺青(通常は蒸気による酵素の失活が使用される)、揉捻、脱水乾燥、超微粉砕などを含み、中に茶樹の被覆過程がなく、かつ粉砕手段により効率的な機械的粉砕が使用され、製品の粒子径が一般的に500~800メッシュの間で、色合い、香り、細かさなどの官能的品質はいずれも抹茶に到底及ばない。よって、抹茶と粉末緑茶の2種類は顕著に異なる製品で、その市販の価格も大いに異なる。
【0006】
抹茶でも粉末緑茶でも、衛生学の指標(たとえば重金属や農薬残留)の難題が避けられず、同時に粉末茶に含まれる豊富な栄養物質は微生物の増殖に良い条件である。そのため、重金属オーバー、農薬残留および保存過程におけるコロニー総数オーバーなどの問題は抹茶/粉末緑茶の商品の品質を制限する、三つの要素である。
【0007】
竹林は茶園の天然の友で、両者は気候および土壌微生態に対する要求がほとんど一致する。我が国は「竹の王国」と呼ばれている。第八回全国森林資源調査では、我が国では、現在、竹林の面積が9015万畝で、主に長江流域および福建、浙江、江西、湖南や四川などを含む南部各省に分布している。2015に竹産業は産出額が1923億元に達し、すでに資源育成、加工利用から輸出貿易、さらに竹林生態旅行まで、活力と潜在力のある新興産業に発展してきた。周知のように、国宝のパンダは生存が竹林に依頼し、竹葉はその重要な食物源の一つである。竹葉に含まれる大量の人体に有益な生物活性物質、たとえば、フラボン、フェノール酸、テルペン類、多糖、アデノシン、および有機ゲルマニウム、有機ケイ素などの微量元素およびミネラルは、抗ラジカル、抗酸化、抗疲労、免疫向上、脂質代謝の調節や心脳血管疾患の予防・治療などの機能を果たす。我が国および東南アジア地域では、古くから、竹を食す習慣があり、たとえば、『千金月令』には、「七月竹葉粥、中暑者宜用(七月に竹葉の粥は、中暑の者に用いるのが宜しい)」が、『本草求真』には、「竹葉、涼心緩脾、清痰止渇(竹葉は、心を涼め脾臓を緩和し、痰を清し渇きを止める)」が記載されている。竹葉から抽出される竹葉抗酸化物は、すでに2004年に中国標準規格GB 2760に取り入れられて食品添加剤として使用され、竹葉フラボンも2013年に中国政府によって「新食物原料」として許可された。現在、市場にはすでに竹葉を原料として開発された竹葉原茶およびインスタント保健茶が何種類かある。
【0008】
現在、市場で見られるいわゆる「竹葉粉」または「ハチク葉粉」はいずれも竹葉の抽出物で、一般的に水抽出物で、基本の方法は、乾燥竹葉に水を入れ(仕込み液比1:10~15)、加熱還流で抽出し、抽出液を減圧で濃縮した後、デキストリンなどの充填材を添加し、噴霧乾燥して粉末を得(粒子径が一般的に300メッシュ未満である)、その色合いが充填材の量によって浅黄色から褐色まで変わり、わずかな苦味、渋味があり、ある程度の竹葉の爽やかな香りがあり、主な用途は健康食品の原料、飲食品の機能性配合成分である。
【0009】
今まで、国内外では本発明に記載の「抹竹」類製品はまだ見られず、その技術難点は竹葉の加工過程においてどのようにクロロフィルの安定状態および超安定状態を保ったまま、色合いがエメラルドグリーンで、きめ細かい超微粉末にしながら、製品の重金属オーバー、農薬残留および微生物の繁殖などの問題を克服することにある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の解決しようとする技術課題は、抹竹(MatzhuまたはMatzoo)と称される竹の粉末およびその製造方法と使用を提供し、食品および保健食品の業界に新たな機能性原料、配合成分および食事サプリメント成分を提供することである。
【0011】
上記技術課題を解決するために、本発明は抹竹を提供する。前記抹竹は、イネ科(Graminae)、タケ亜科(Bambusoideae)植物の葉を原料として製造され、安定したエメラルドグリーンの色合いを有し、粉体の平均粒子径が800~10,000メッシュ(すなわち、D50が18.0~1.3μm)の間にあり、食物繊維の合計量が≧60%で、リグニンの含有量が≧20%で、ミネラルが≧7%で、かつ少なくとも3種またはそれ以上の竹葉の特徴的成分を含有し、前記竹葉の特徴的成分はオリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン、アデノシン、δ-ヒドロキシリシン、p-クマル酸である。
【0012】
ここで、前記安定したエメラルドグリーンの色合いを有することは、前記抹竹の色彩値は、L*が46~60の間、Δa*が-16~-8の間にあることである。
【0013】
ここで、前記安定したエメラルドグリーンの色合いを有することは、前記抹竹の180℃の温度で30min焙じた後の色彩値は、L*が40~50の間、Δa*が-7~-5の間にあることである。
【0014】
ここで、前記安定したエメラルドグリーンの色合いを有することは、前記抹竹の紫外線で180min照射した後の色彩値は、Δa*が-6~-3の間にあることである。
【0015】
好ましくは、前記安定したエメラルドグリーンの色合いを有することは、前記抹竹の色彩値は、L*が47~59の間、Δa*が-15~-9の間にあることである。
【0016】
本発明において、色彩値の測定と定義に、最も幅広く物体の色調の測定に使用される、国際照明委員会(CIE)のL*a*b*色度システムが使用され、均等色の立体表示方法によってすべての色がL*、a*、b*の3つの軸の座標で定義される。L*はサンプルの明度を表し、ここで、0は黒で、100は白である。a*はサンプルの赤と緑の方向を表し、「+」値は赤色で、「-」値は緑色である。b*は青と黄色の方向を表し、「+」値は黄色で、「-」値は青色である。Δa値は、サンプルのa*値の基準点に対する差値を表し、より好適にサンプルの標準の白色に対する赤と緑の色値の偏差を表す。
【0017】
ここで、前記原料は、ハチク[Phyllostachys nigra var.Hnonis(Bean)Stepf ex Rendle]、モウハイチク(Phyllostachys meyeri McClure)、モウソウチク(Phyllostachys heterocycla var.pubescens(Mazel)Ohwi)、慈竹(N.affinis(Rendle)Keng f.)、綿竹(B.intermedia Hsueh et Yi)、ユシャニア(Yushania Keng f.)、苦竹(P.amarus(keng)Keng f.)、冷箭竹(B.fangiana Keng f.et Wen)、黄条金剛竹(Pleioblastus kongosanensisf.aureostriaus)、イブキザサ(Sasa tsuboiana)およびインドカラマスデコラス(Indocalamus decorus)由来の新鮮な葉である。
【0018】
好ましくは、前記原料は、ハチク[Phyllostachys nigra var.Hnonis(Bean)Stepf ex Rendle]、モウハイチク(Phyllostachys meyeri McClure)、慈竹(N.affinis(Rendle)Keng f.)、綿竹(B.intermedia Hsueh et Yi)、ユシャニア(Yushania Keng f.)、苦竹(P.amarus(keng)Keng f.)、冷箭竹(B.fangiana Keng f.et Wen)、イブキザサ(Sasa tsuboiana)およびインドカラマスデコラス(Indocalamus decorus)由来の新鮮な葉である。
【0019】
また、本発明は、上記抹竹の製造方法を提供する。前記方法は、原料に対してブランチングによる変色防止、乾燥、超微粉砕を順に行い、平均粒子径が800~10000メッシュの抹竹を得、前記原料は、イネ科(Graminae)、タケ亜科(Bambusoideae)植物の葉であり、前記ブランチングによる変色防止を行うことは、原料である竹葉を温度が80~100℃の変色防止液に入れて浸漬した後、取り出し、水を切ることを含み、前記ブランチングによる変色防止を行う際に使用される変色防止液は、濃度0.5~2.0g/100mLの硫酸亜鉛水溶液またはグルコン酸亜鉛水溶液あるいはこれらの組み合わせである。
【0020】
ここで、前記ブランチングによる変色防止を行うことは、原料である竹葉を温度が85~95℃の変色防止液に入れて30~90s浸漬した後、取り出し、水を切ることを含み、竹葉と変色防止液との仕込み比は、1g:50~100mLである。
【0021】
前記ブランチングによる変色防止で使用される変色防止液は、濃度0.5~2.0g/100mLの硫酸亜鉛水溶液またはグルコン酸亜鉛水溶液あるいはこれらの組み合わせで、その変色防止の機序は、元の不安定なクロロフィルマグネシウム塩を安定なクロロフィル亜鉛塩に転換させ、クロロフィルの安定状態および超安定状態を保つことにより、抹竹が明るいエメラルドグリーンを維持するようにすることである。
【0022】
好ましくは、前記ブランチングによる変色防止で使用される変色防止液は、濃度0.5g/100mLの硫酸亜鉛水溶液またはグルコン酸亜鉛水溶液あるいはこれらの組み合わせである。
【0023】
ここで、前記製造過程において、さらに、光電色彩選別、金属探知の工程を含む。
【0024】
ここで、前記乾燥を行うことは、ブランチングによる変色防止処理がされた後の葉を含水率が≦11%になるように乾燥させることを含み、前記乾燥は、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、真空乾燥、凍結乾燥のうちの少なくとも一つまたはこれらの組み合わせである。
【0025】
好ましくは、超微粉砕を行う前に、さらに、ブランチングによる変色防止処理がされた後の葉を含水率が≦10%になるように乾燥させる。
【0026】
好ましくは、超微粉砕を行う前に、さらに、ブランチングによる変色防止処理がされた後の葉を含水率が≦7%になるように乾燥させる。
【0027】
好ましくは、超微粉砕の前に、さらに、ブランチングによる変色防止処理がされた後の葉を含水率が≦5%になるように乾燥する。
【0028】
ここで、前記原料は、ハチク[Phyllostachys nigra var.Hnonis(Bean)Stepf ex Rendle]、モウハイチク(Phyllostachys meyeri McClure)、モウソウチク(Phyllostachys heterocycla var.pubescens(Mazel)Ohwi)、慈竹(N.affinis(Rendle)Keng f.)、綿竹(B.intermedia Hsueh et Yi)、ユシャニア(Yushania Keng f.)、苦竹(P.amarus(keng)Keng f.)、冷箭竹(B.fangiana Keng f.et Wen)、黄条金剛竹(Pleioblastus kongosanensisf.aureostriaus)、イブキザサ(Sasa tsuboiana)およびインドカラマスデコラス(Indocalamus decorus)由来の新鮮な葉である。
【0029】
好ましくは、前記原料は、ハチク[Phyllostachys nigra var.Hnonis(Bean)Stepf ex Rendle]、モウハイチク(Phyllostachys meyeri McClure)、慈竹(N.affinis(Rendle)Keng f.)、綿竹(B.intermedia Hsueh et Yi)、ユシャニア(Yushania Keng f.)、苦竹(P.amarus(keng)Keng f.)、冷箭竹(B.fangiana Keng f.et Wen)、イブキザサ(Sasa tsuboiana)およびインドカラマスデコラス(Indocalamus decorus)由来の新鮮な葉である。
【0030】
前記超微粉砕を行うことは、乾燥後の葉を平均粒子径が800~10000メッシュになるように粉砕することを含む。
【0031】
好ましくは、超微粉砕を行うことは乾燥後の葉を平均粒子径が1000~3000メッシュになるように粉砕することを含む。
【0032】
より好ましくは、超微粉砕を行うことは乾燥後の葉を平均粒子径が1500~2000メッシュになるように粉砕することを含む。
【0033】
ここで、前記超微粉砕は、高エネルギーボールミルを使用し、ボールにジルコニアボールを用い、前記ボールと原料の比率が10:1であり、あるいは、前記超微粉砕は、気流粉砕を使用してもよく、あるいは、前記超微粉砕は、気流粉砕+高エネルギーボールミルを使用してもよい。
【0034】
高エネルギーナノボールミルは、ボールにジルコニアボールを用い、前記ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、超微粉砕の仕込み原料が直径0.5~1.0cmの砕片で、1~8時間粉砕処理し、平均粒子径が800~10000メッシュである。
【0035】
好ましくは、前記製造過程は、具体的に、竹葉を原料としてブランチングによる変色防止を行い、変色防止液に0.5~2.0g/100mLの硫酸亜鉛水溶液またはグルコン酸亜鉛水溶液あるいはこれらの組み合わせを使用し、原料と液の仕込み比が1g:50~100mLで、原料である竹葉を温度が85~95℃の変色防止液に入れ、ブランチング時間が30~90secで、ブランチングによる変色防止処理後の葉を含水率が≦11%になるように加熱乾燥し、クラッシャーによって0.5~1.0cmの破片に切り、色彩選別によって托葉および黄斑葉を除去し、さらに、マイクロ波乾燥によって水分含有量が10%または7%または5%以下に降下するように殺菌および脱水を行ってもよく、高エネルギーナノボールミルで粉砕処理し、あるいは気流粉砕機で300メッシュ程度に粉砕し、さらに高エネルギーナノボールミルで粉砕処理し、ボールと原料の比率が10:1で、粉砕時間が1~8hで、平均粒子径が800~10000メッシュの抹竹製品を得る。
【0036】
より好ましい製造過程は、具体的に、竹葉を原料とし、変色防止液に1.5g/100mL(1.5%、w/v)のグルコン酸亜鉛水溶液を使用し、原料と液の仕込み比が1g:80mLで、竹葉を温度が85~95℃の変色防止液に入れ、ブランチング時間が60secで、ブランチングによる変色防止処理後の葉を80±1℃で水分含有量が10%程度になるように加熱乾燥し、クラッシャーによって0.5~1.0cmの破片に切り、色彩選別によって托葉および黄斑葉を除去し、さらに、マイクロ波乾燥によって水分含有量が5%以下に降下するように殺菌および脱水を行ってもよく、気流粉砕機で300メッシュ程度に粉砕し、さらに高エネルギーナノボールミルで粉砕処理し、ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、粉砕時間が1.5hで、平均粒子径が2000メッシュの抹竹を得る。
【0037】
本発明が提供する抹竹製品の変色防止の機序は、以下の通りである。クロロフィルは、竹葉の呈色の主要な物質で、クロロフィルaやクロロフィルbなどを含む。クロロフィルは、マグネシウムポルフィリン化合物で、その化学的性質が極めて不安定で、光、酸、塩基、酸素、酸化剤などのいずれでも分解して退色するようにさせ、たとえば、酸性の条件において、クロロフィル分子はポルフィリン環におけるマグネシウムを失って褐色のフェオフィチンになりやすい。
【0038】
クロロフィルとフェオフィチンの比は、竹葉の色合いの品質に正比例する。現在、果物・野菜の加工でよく使用される緑色の変色防止方法では、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Ca2+などでMg2+を置換することにより、安定したクロロフィル亜鉛、クロロフィル銅、クロロフィル鉄、クロロフィルカルシウムなどの化合物を形成させることで、緑色を残す。しかし、以上のこれらの2価のイオンのポルフィリン環におけるMg2+に対する置換機序は同様であるが、緑色復元の効果が異なり、クロロフィルの銅塩は青寄りで、鉄塩は赤寄りで、色合いがいずれも不自然で、一方、クロロフィルの亜鉛塩は明るいエメラルドグリーンを示し、元の植物の緑色に最も近いため、最も自然で、最も理想的である。また、食品安全性の角度から、銅は国に規定される規制元素で(硫酸銅は食品添加剤に属さず、近年すでに食品における使用が禁止されている)、硫酸亜鉛は食品添加剤で(GB2760に記載されている)、またグルコン酸亜鉛は栄養強化剤である(GB14880)。そのため、硫酸亜鉛およびグルコン酸亜鉛を変色防止液とすると、より良く竹葉の緑色を保つことができ、かつより安全で健康である。
【0039】
本発明に記載の亜鉛でクロロフィルを置換する反応過程は図1に示される通りである。
【0040】
0.5%(w/v)の硫酸亜鉛水溶液を変色防止剤とする場合、80~100℃(好ましくは85~95℃)で適切なブランチング処理時間が30~60secで、得られる葉の色合いが最も明るくてエメラルドグリーンである。ブランチング時間が長すぎると(たとえば、120sec以上)、葉の色が顕著に浅くなるのみならず、有効成分(たとえば、フラボン、フェノール酸、トリテルペンなど)の含有量の顕著な低下も検出される。異なる変色防止時間の葉を抽出すると、ブランチング処理30secと60secの試料の抽出液は色合いが深いが、処理120ecの抽出液は緑色が顕著に浅くなることがはっきりわかる。このような変色防止処理を経た葉および得られる抹竹は、色彩が明るくてエメラルドグリーンで、そして優れた光安定性および熱安定性を有し、色合い安定性が良い。
【0041】
本発明の抹竹の製造方法の改良として、まず、緑色で、エコで、無汚染の天然の竹林を選択し、新鮮な葉を採取し、重金属の含有量が低くて農薬残留がほとんどゾロの原料を獲得し、前記の原料の前処理は、新鮮な竹葉の整理、不純物の除去および洗浄を含み、ブランチングによる変色防止のプロセスは、前処理後の原料である竹葉を温度が85~95℃の変色防止液に入れ、変色防止液が濃度0.5~2.0g/100mLの硫酸亜鉛水溶液またはグルコン酸亜鉛水溶液あるいはこれらの組み合わせで、ブランチング時間を30~90sの間とし(原料と液の仕込み比が1g:50~100mLである)、さらに掬い出し、水を切り、前記乾燥プロセスは、ブランチングによる変色防止処理後の葉を含水率が≦11%になるように乾燥し(熱風乾燥、マイクロ波乾燥、真空乾燥または真空凍結乾燥でもよい)、0.5~1.0cmの破片に破砕した後、色彩選別によって托葉および黄葉を除去し、マイクロ波乾燥によって水分含有量が≦5%になるように乾燥、殺菌し、前記超微粉砕は、乾燥後の葉を1段階または多段階の粉砕(気流粉砕機および/またはナノボールミル)を経て平均粒子径が800~10000メッシュ(好ましくは1000~3000メッシュ、より好ましくは1000~3000メッシュ)の超微粉末にする。
【0042】
本発明において、超微粉砕に高エネルギーナノボールミルを使用し、ボールにジルコニアボールを用い、前記ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、仕込み原料が直径0.5~1.0cmの砕片である場合、1~2時間粉砕処理し、平均粒子径が1000メッシュ以上に達する。ナノボールミルの効率および生産能力を向上させるために、その前に通常のボールミルまたは気流粉砕機を配置し、予め原料を100~500メッシュになるように粉砕しておいてもよい。
【0043】
本発明の抹竹の製造方法のさらなる改良として、ハチクの葉を原料とし、変色防止液に1.5g/100mL(1.5%、w/v)のグルコン酸亜鉛水溶液を使用し、原料と液の仕込み比が1g:80mLで、ブランチング時間が60secで、ブランチングによる変色防止処理後の葉を80±1℃で水分含有量が10.0%程度になるように加熱乾燥し、クラッシャーによって0.5~1.0cmの破片に切り、色彩選別によって托葉および黄葉を除去し、さらに、マイクロ波乾燥によって水分含有量が5%以下に降下するように殺菌および脱水を行ってもよく、気流粉砕機で300メッシュ程度に粉砕し、さらに高エネルギーナノボールミルで粉砕処理し、ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、粉砕時間が4hで、平均粒子径が約2000メッシュの抹竹を得る。
【0044】
また、本発明は、上記方法で製造される抹竹の使用を提供する。抹竹の熱安定性および光安定性を利用し、それを食品原料、機能性配合成分、または食事サプリメントとし、抹竹の添加量が1~10%(w/w)、好ましくは2~5%(w/w)である。
【0045】
本発明の抹竹の使用の改良として、安定な天然の緑色素、人体の食物繊維を補充し、胃腸管の機能を改善することで、体重のコントロールおよび便秘の予防に貢献すること、腸内細菌叢を改善および調節することで、人体のインスリンに対する感受性を向上させ、インスリン耐性を予防・治療し、代謝症候群を予防すること、竹葉フラボン、p-クマル酸、アデノシン、δ-ヒドロキシリシンなどの天然の抗酸化成分を強化することで、人体の微循環の改善、糖質・脂質代謝の調節、心脳血管の有効な保護に貢献すること、または豊富な鉱物質および微量元素、特に有機ケイ素や有機ゲルマニウムなどの竹の特有な成分を提供することで、骨質粗しょう症の防止、皮膚の若い状態の維持、人体の老衰の遅延に貢献することに使用される。
【0046】
本発明は、新鮮な竹葉を原料とし、独特な加工技術を使用し、色合いがエメラルドグリーンで、香りが爽やかで、均一できめ細かい超微粉末を創り出し、それを抹竹と名づけたが、抹茶に近い加工適性および健康効果を有し、人類社会に天然で、エコで、竹葉の化学物質および食物繊維を豊富に含む、新規な食品の機能性配合成分および/または食事サプリメント成分を提供する。
【0047】
本発明の抹竹は、明るいエメラルドグリーンの色合いを備え、高度な熱安定性および光安定性を有し、食品工業で発色剤、増稠剤および矯味剤として幅広く使用され、たとえば、ケーキ、クッキー、アイスクリーム、チョコレート、キャンディ、ミルクティー、特に高温加工(たとえば、焼き、揚げ、膨化)が必要な食品への応用がより好適である。また、抹竹は独立に食事サプリメントとして使用してもよく、ペット食品または畜産・水産飼料に使用してもよい。
【0048】
本発明の抹竹は、天然由来の食材および低エネルギー密度の機能性配合成分として、様々な食品システムに使用される。
【0049】
本発明の抹竹は、重金属(鉛、ヒ素、水銀、カドミウムなど)の含有量および農薬残留が顕著に抹茶よりも低い。
【0050】
本発明の抹竹は、異なる粉砕装置またはその組み合わせを選択し、粉砕ユニットのプロセスパラメーターを調整することにより、異なる粒子径分布の製品を得ることができる。
【0051】
本発明の有益な効果は、以下の面に突出して現れる。その第一は、竹葉原料の特徴(繊維質の比率が高く、有効成分が溶出にくいこと、色合いがエメラルドグリーンで、熱安定性が良いことなど)により、熱水ブランチングの手段を使用し、亜鉛塩溶液で置換式変色防止処理を行い、元の葉における不安定なクロロフィルマグネシウム塩を高度に安定なクロロフィル亜鉛塩に転換させることで、そのエメラルドグリーンの色合いを維持することである。その第二は、上記原料の安定な性能に基づき、高エネルギーナノボールミルによって、竹葉の超微粉砕を実現させ、石臼挽きを使用する抹茶のプロセスと比べ、大幅に粉砕工程の生産効率を向上させることである。同時に、粉砕過程に使用される高強度のジルコニアボールも、抹竹に異物が混入しないように保証することができる(石臼挽き過程において、製品への石粉の混入が避けにくい)。その第三は、我が国の竹林の大半は天然林または半天然林で、農薬および化学肥料が使用されることが滅多になく、天然で、エコで、無汚染の有機抹竹製品の生産に有利であることである。
【0052】
本発明の抹竹は、以下のような具体的な用途を有する。
【0053】
1)天然由来の繊維質食材および低エネルギー密度の機能性配合成分として、抹竹は固体、半固体、懸濁状態の食品に使用し、人体の食物繊維の補充、胃腸管の機能の改善などの作用を果たすことで、便秘の予防および体重のコントロールに貢献することができる。
【0054】
2)抹竹のエメラルドグリーンの外観および爽やかな風味から、色合い安定性が良く、天然の着色剤、増稠剤および矯味剤として、抹茶が使用可能なすべての食品分野(たとえば、ケーキ、クッキー、アイスクリーム、チョコレート、キャンディ、ミルクティー、コーヒーなど)、特に高温加工の食品システム(たとえば、焼き、揚げ、押出膨化の製品)への応用がより好適である。
【0055】
3)抹竹を一定の比率で様々な食品に添加すると、腸内細菌叢を改善および調節することで、人体のインスリンに対する感受性の向上、インスリン耐性の予防・治療、代謝症候群の予防に貢献する。
【0056】
4)抹竹を一定の比率で様々な食品に添加すると、竹葉フラボン、ポリフェノールなどの天然の抗酸化成分を強化することで、人体の微循環を改善し、糖質・脂質代謝を調節し、心脳血管を有効な保護することができる。
【0057】
5)抹竹を一定の比率で様々な食品に添加すると、有機ケイ素や有機ゲルマニウムなどの竹の特有な成分を強化することで、骨質粗しょう症の防止、皮膚の若い状態の維持、人体の老衰の遅延に貢献する。
【0058】
また、本発明の抹竹は独立に食事サプリメントとして食用してもよく、ペット食品に使用するか、または畜産・水産飼料に添加してもよい。
【0059】
既存技術と比べ、本発明は以下の主な優勢を有する。
【0060】
1)竹葉を原料とし、色合いが安定してエメラルドグリーンで、香りが爽やかで、粉体が均一できめ細かい抹竹を発明したが、抹茶の生産と比べ、過程が簡単で、原料の獲得が便利である。竹葉の特殊な材質(その線維化の程度が茶葉よりも高い)から、変色防止処理後のクロロフィル亜鉛塩の高安定性も加え、異なる程度の機械的粉砕のみで平均粒子径が800~10000メッシュ(すなわち、D50が18~1.3μm)の間の異なる細かさの製品を生産することができる。
【0061】
2)本発明の抹竹は、食物繊維の合計量が>60%で、リグニンの含有量が>20%で、ミネラル(灰分)が>7%で、いずれも抹茶以上である。同時に、豊富なC-グリコシルフラボン(オリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン)、アデノシン、δ-ヒドロキシリシン、p-クマル酸、有機ゲルマニウムや有機ケイ素などの竹葉の特有な機能性成分を含有する。
【0062】
3)本発明の抹竹は、色合いが抹茶よりも明るくてエメラルドグリーンで、かつより高い熱安定性および光安定性を備える。180℃の加熱乾燥温度において、抹竹は30min内で基本的に緑色のままであるが、抹茶は15minの時点で明らかに褐色に変色する。その安定なエメラルドグリーンの自然な色合いから、抹竹は天然色素としてそのまま着色が必要な様々な固体、半固体および懸濁状態の食品に添加することができる。たとえば、ケーキ、クッキー、アイスクリーム、チョコレート、キャンディ、ミルクティー、コーヒー、特に高温加工(たとえば、焼き、揚げ、膨化)が必要な食品への応用がより好適である。同時に、食品システムにおいて増稠や矯味などの作用を果たすこともできる。
【0063】
4)抹竹は豊富な繊維質、ミネラルおよび多くの竹葉の活性成分を含有することから、天然由来の食材および低エネルギー密度の機能性配合成分として、抹竹は人体の食物繊維の補充、胃腸管の機能の改善などの作用を果たすことで、便秘の予防および体重のコントロールに貢献することができる。腸内細菌叢を改善および調節することで、人体のインスリンに対する感受性を向上させ、インスリン耐性を予防・治療し、代謝症候群を予防することに貢献する。人体の微循環の改善、糖質・脂質代謝の調節、心脳血管の有効な保護に貢献する。骨質粗しょう症の防止、皮膚の若い状態の維持、人体の老衰の遅延に貢献する。
【0064】
5)立地条件が良い、純天然の竹林または半天然の材用林は、ほとんど肥料も農薬も施用しなくてもよい。この先天的優勢から、抹竹は遥かに抹茶よりも低い重金属レベルを有し、かつほとんど農薬残量がなく、実質的に純天然のエコな有機食品である。竹葉における特殊な抑菌成分(フラボン、フェノール酸など)の存在および比較的に低い通常の栄養素(たとえば、タンパク質、アミノ酸、糖質など)の含有量に、マイクロ波の輻射および高速剪断過程で生じる比較的に高い熱強度が加わることで、抹竹製品はコロニー総数が抹茶よりも遥かに低く、商品の流通過程において微生物指標がよりコントロールしやすい。
【0065】
我が国の竹林は、主に、老少辺窮地区(旧革命根拠地、 少数民族居住地、辺境地帯、貧困地域)に分布している。抹竹の発明は竹類資源の高付加価値化に新たな道を開き、人類社会に高品質の食品の機能性配合成分および食事サプリメントを提供し、健康中国の建設に貢献すると同時に、「三農(農村、農業、農民)」問題の解決および貧困人口の脱貧困化に非常に有利で、必ず竹産業の新たな経済の成長点になる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
以下、図面を合わせて本発明の具体的な実施形態をさらに詳しく説明する。
図1】本発明のブランチングによる変色防止の反応過程の概略図である。
図2】実施例1.3、1.5、1.6で製造された抹竹と市販の1級抹茶の粒子径の比較図である。(A)は綿竹-抹竹で、(B)は苦竹-抹竹で、(C)は冷箭竹-抹竹で、(D)は抹茶(1級)である。
図3】実施例1.2~1.6で製造された抹竹と抹茶の通常成分の含有量の比較である。Aは食物繊維で、Bは可溶性食物繊維で、Cはヘミセルロースで、Dはリグニンで、Eは粗灰分で、Fは水分含有量である。
図4】実施例1.5および1.6で製造された抹竹と抹茶の官能評価の結果である。
図5】代謝症候群の実験マウスの体重増加状況の図である。
図6】代謝症候群の実験マウスの12週目の一部の器官および組織の重量の棒グラフである。Aは肝臓で、Bは腎臓で、Cは脾臓で、Dは腎周囲脂肪で、Eは副睾丸脂肪である。
図7】代謝症候群の実験マウスの12週目のインスリン感受性の変動である。Aはインスリン負荷試験(ITT)で、Bはブドウ糖負荷試験(GTT)である。
図8】代謝症候群の実験マウスの血清における炎症性因子レベルである。左の図はTNF-α含有量の図で、右の図はMCP-1含有量の図である。
図9】代謝症候群の実験マウスの肝臓のH&E染色切片(400×)、50μmである。ここで、A~Eはそれぞれ正常群、高脂肪群、2.5%苦竹抹竹+高脂肪群、5.0%苦竹抹竹+高脂肪群、2.5%冷箭竹抹竹+高脂肪群、2.5%粉末抹茶+高脂肪群を表す。
図10】代謝症候群の実験マウスの脂肪組織のH&E染色切片(200×)、100μmである。ここで、A~Eはそれぞれ正常群、高脂肪群、2.5%苦竹抹竹+高脂肪群、5.0%苦竹抹竹+高脂肪群、2.5%冷箭竹抹竹+高脂肪群、2.5%粉末抹茶+高脂肪群を表す。
図11】代謝症候群の実験マウスの腸内細菌叢の構成図である。各列において、下から上への順でフィルミクテス門(Firmicutes)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、放線菌門(Actinobacteria)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)およびウェルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)である。
図12】ケーキ製作のプロセスのフロー図である。
図13】プレーンヨーグルトならびに同様の比率での抹竹(実施例1.5)添加および抹茶添加の3種類のヨーグルトの官能評価である。
図14】実施例1.5に記載の抹竹添加、抹茶添加およびブランク対照の3種類のヌガーの官能評価である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、具体的な実施例を合わせて本発明をさらに説明する。実施例は本発明を説明するためのもののみで、本発明の範囲の限定にはならない。実施例における具体的な技術または条件が未記載の箇所は、いずれも本分野における関連文献に記載の技術と条件で行われた。使用された試薬はメーカーが未記載の場合、いずれもよく使用される実験試薬および製品である。
【0068】
別途に定義しない限り、本文に用いられるすべての専門用語と科学用語は、当業者に熟知される意味と同様である。また、記載の内容と類似あるいは同等の方法および材料は、いずれも本発明の方法に用いることができる。ここで記載の好ましい実施方法及び材料は例示のためだけである。
【0069】
本発明の原料は、形態が完全で新鮮な葉で、古葉、黄葉、斑入り葉を取り除き、そしてなるべく葉柄を除去することが好ましい。
【0070】
本発明に記載の抹竹は、イネ科(Graminae)、タケ亜科(Bambusoideae)植物の葉を原料として製造されるもので、安定したエメラルドグリーンの色合いを有し、粉体の平均粒子径が800~10,000メッシュ(すなわち、D50が18~1.3μm)の間で、食物繊維の合計量が≧60%で、リグニンの含有量が≧20%で、ミネラルが≧7%で、かつ少なくとも3種またはそれ以上の竹葉の特徴的成分を含有し、前記竹葉の特徴的成分はオリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン、アデノシン、δ-ヒドロキシリシン、p-クマル酸である。
【0071】
ここで、前記「安定したエメラルドグリーンの色合いを有する」とは、前記抹竹の色彩値は、L*が46~60の間、Δa*が-16~-8の間にあることである。
【0072】
ここで、前記「安定したエメラルドグリーンの色合いを有する」とは、前記抹竹の180℃の高温で30min焙じた後の色彩値も、L*が40~50の間、Δa*も-7~-5の間に維持することである。
【0073】
ここで、前記「安定したエメラルドグリーンの色合いを有する」とは、前記抹竹の紫外線で180min照射した後の色彩値は、Δa*が-6~-3の間にあることである。
【0074】
好ましくは、前記「安定したエメラルドグリーンの色合いを有する」とは、色彩値は、L*が47~59の間、Δa*が-15~-9の間にあることである。
【0075】
抹竹の製造方法は具体的に以下の通りである。
【0076】
1)新鮮な竹葉を採取し、選別、不純物の除去後、ブランチングによる変色防止処理を行い、変色防止液に0.5~2.0g/100mLの硫酸亜鉛水溶液またはグルコン酸亜鉛水溶液の任意の一つあるいはこれらの組み合わせを使用し、原料である竹葉を温度が85~95℃の変色防止液に入れ、30~90s浸漬した後、掬い出し、水を切った。竹葉と変色防止液の仕込み比が1g:50~100mLであった。
【0077】
2)ブランチングによる変色防止し、水を切った後、葉の水分含有量が11.0%以下に降下するように乾燥した。方法は熱風乾燥、マイクロ波乾燥、真空乾燥、または凍結乾燥の任意の一つあるいはこれらの組み合わせを使用してもよい。
【0078】
3)乾燥後の葉を約0.5~1.0cmの破片に破砕し、光電色彩選別機で托葉、黄斑葉などを除去することにより、さらにその純度を向上させた。その後、マイクロ波で加熱し、殺菌処理を行うと同時に、葉の水分が5%以下に降下するようにした。
【0079】
4)完全に乾燥した竹葉を超微粉砕し、高エネルギーナノボールミルを使用し、ボールにジルコニアボールを用い、前記ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、超微粉砕の仕込み原料が直径0.5~1.0cmの砕片で、1~8時間粉砕処理し、平均粒子径が800~10000メッシュの間で、色合いが明るくてエメラルドグリーンで、香りが爽やかで、均一できめ細かい抹竹の超微粉末を得た。超微粉砕の前に、段階的に粉砕を行ってもよく、粉砕装置はボールミル、石臼、高エネルギーナノボールミルや気流粉砕機などの任意の一つあるいはこれらの組み合わせを使用してもよい。
【0080】
本発明で使用される試験方法は、具体的に、以下の通りである。
【0081】
1.色差分析
検出装置:色差計CM-600d(日本KNICA MINOLTA社製)。
【0082】
実験方法:まず、色差計を白板で零点校正し、その後、一定量の抹竹サンプルを標準白板の上に置き、サンプルを均一に敷いた。色差計の入射口をサンプルに合わせた後、測定ボタンをクリックして測定した。
【0083】
食品評価用携帯型色差計の測定の原理は、最も幅広く物体の色調の測定に使用される、国際照明委員会(CIE)のL*a*b*色度システムが使用され、均等色の立体表示方法によってすべての色がL*、a*、b*の3つの軸の座標で定義される。L*はサンプルの明度を表し、ここで、0は黒で、100は白である。a*はサンプルの赤と緑の方向を表し、「+」値は赤色で、「-」値は緑色である。b*は青と黄色の方向を表し、「+」値は黄色で、「-」値は青色である。Δa値は、サンプルのa*値の基準点に対する差値を表し、より好適にサンプルの標準の白色に対する赤と緑の色値の偏差を表す。
【0084】
2.粒子径の測定
検出装置:LS-230Coulterレーザー粒度計(米国コールター社製)。
【0085】
実験方法:蒸留水を分散媒体として使用し、一定量の粉末サンプルを量って水に入れ、超音波で1min分散させた。レーザー粒度計を予め立ち上げておき、無水エタノールおよび蒸留水で順に装置をPIDS=0~2%になるように洗浄した。仕込み口を開けた後、分散させたサンプル液をゆっくりレーザー粒度計に滴下し、装置でPIDS=40%と表示される(あるいは測定液の濃度が8%に達する)時点で、測定ボタンをクリックして測定した。
【0086】
3.全フラボノイド含有量の測定(硝酸アルミニウム-亜硝酸ナトリウム比色法、ルチンを標準品とした)
本方法は、王光亜主編の『保健食品の有効成分の検出方法』(中国軽工業出版社、2002、p29-31)を参照する。
【0087】
1)標準曲線の作成
対照品として精密にルチンを10mg秤量して100mLのメスフラスコに入れ、メタノールを入れて溶解させ、そして目盛まで希釈し、中から溶液を0、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0mL吸い取ってそれぞれ25mL比色管に入れ、30%エタノール溶液を入れて5mLまで希釈し、順にそれぞれ5%亜硝酸ナトリウム溶液を0.3mL入れ、振とう後、5min置いた。10%硝酸アルミニウム溶液を0.3mL入れ、振とう後、6min置いた。1.0mol/L水酸化ナトリウム溶液を4.0mL入れ、30%エタノール溶液で10.0mLまで希釈し、均一に振とうした後、10min置いた。0号管をブランクとし、均一に振とうした後、1cmの比色カップ、510 nmの波長で吸光度を測定し、吸収度を縦座標と、濃度を横座標として標準曲線を作成した。
【0088】
2)試料の全フラボノイド含有量の測定
精密に試料を適量に秤量し、1:20の原料と液の仕込み比で70%のエタノールを入れ、90℃水浴で加熱還流させて2h抽出し、抽出液をろ過して所定の容量にした。その後、標準曲線の作成で記載されたものと同様の方法に従って抽出液におけるフラボン含有量を測定し、そして抹竹の全フラボノイド含有量に換算した。
【0089】
4.全フェノール含有量の測定(フォリン試薬による還元比色法、p-ヒドロキシ安息香酸を標準品とした)
1)標準曲線の作成
質量が一定になるまで真空乾燥されたp-ヒドロキシ安息香酸の対照品を精密に25.0mg秤量し、水で溶解させて100mLメスフラスコに容量を決め、0.250mg/mLのp-ヒドロキシ安息香酸の対照品溶液を調製した。正確に対照品溶液を0.05、0.10、0.20、0.40、0.80、1.20mL吸い取り、25mLの栓付き試験管に移し、それぞれ水で10.0mLに希釈した。それぞれ1.0mLの2倍に希釈されたフォリン試薬および2.0mLの20%Na2CO3水溶液を入れ、沸騰水浴において1min加熱し、水で冷却して25mLに希釈した。室温で30min置き、745 nmの波長で吸光度を測定した。吸光度を縦座標とし、対照品であるp-ヒドロキシ安息香酸の濃度を横座標とし、標準曲線を作成した。
【0090】
2)試料の全フェノール含有量の測定
精密に試料を適量に秤量し、1:20の原料と液の仕込み比で70%のエタノールを入れ、90℃水浴で加熱還流させて2h抽出し、抽出液をろ過して所定の容量にした。その後、標準曲線の作成で記載されたものと同様の方法に従って抽出液における全フェノール含有量を測定し、そして抹竹の全フェノール含有量に換算した。
【0091】
5.全トリテルペノイドサポニン含有量の測定(バニリン-氷酢酸比色法、アルブチンを標準品とした)
1)標準曲線の作成
20mgのアルブチンの標準品を小さいピーカーに移し、95%エタノールで溶解させ、容量を100mLにし、均一に振とうし、0.200mg/mLのアルブチン標準溶液を得た。それぞれ0.0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0mLの標準溶液を8つの試験管に移し、85℃水浴においてエタノールを揮発させ、それぞれ0.5mLの5%のバニリン-氷酢酸溶液を入れ、均一に振とうし、さらに1.0mLの過塩素酸を入れ、均一に振とうした。60℃水浴において15min反応させた後、取り出して冷却した。5.0mLの4%氷酢酸を入れ、均一に振とうし、548 nmの波長で吸光度を測定した。濃度(μg/mL)を横座標とし、吸光度を縦座標とし、標準曲線のグラフを作成した。
【0092】
2)試料の全トリテルペノイドサポニン含有量の測定
抹竹を5.0g取り、100mLのメタノールを入れ、75℃水浴において加熱還流させて2h抽出し、ろ過し、回転乾燥し、水を入れて分散させた。体積比1:1のn-ブタノールで5回抽出し、n-ブタノール相を合併し、回転乾燥し、水を入れて匂いがなくなるまで回転した。メタノールで溶解させ、250mLの容量にした。その後、標準曲線の作成で記載された方法に従って抹竹抽出液のトリテルペノイドサポニン含有量を測定し、さらに抹竹の全トリテルペノイドサポニン含有量に換算した。
【0093】
実施例1.抹竹の製造
1.1 ハチクの葉を原料とする場合
1)採取した新鮮なハチクの葉を選別し、枝、古葉、黄葉および斑入り葉を取り除き、そしてなるべく葉柄を除去した。
【0094】
2)葉を洗浄した後、ブランチングによる変色防止処理を行い、変色防止液に1.5%(w/v)のグルコン酸亜鉛水溶液を使用し、原料と液の仕込み比が1g:80mL(w/v)であった。上記仕込み比で、一定量のハチクの新鮮な葉を僅かに沸騰した変色防止液(すなわち、85~90℃に加熱された変色防止液)に投入し、葉が均一に分散するように軽く撹拌し、60sec後、迅速に取り出し、水を切った。
【0095】
3)ブランチング後の葉をオーブンに入れて加熱乾燥し、加熱乾燥温度が(80±1)℃で、時間が1.5hで、室温に冷却し、水分含有量が10%程度の乾燥葉を得た。
【0096】
4)乾燥葉をクラッシャーによって0.5~1.0cmの破片に切り、色彩選別によって托葉および黄斑葉を除去し、さらにマイクロ波乾燥によって水分含有量が5%以下に降下するように殺菌および脱水を行った。
【0097】
5)気流粉砕機で竹葉を300メッシュ程度に粉砕し、さらに高エネルギーナノボールミル(秦皇島市太極環ナノ製品有限公司製、型番CJM-SY-B、以下同様)によって粉砕処理を行い、ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、ボールミリング時間が1.0hで、平均粒子径が約900メッシュの抹竹(ハチク-抹竹と記する)を得た。
【0098】
その色合い、粒子径および生物活性物質の含有量を測定し、結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
1.2 慈竹の葉を原料とする場合
1)採取した新鮮な慈竹の葉を選別し、古葉、黄葉および斑入り葉を取り除き、そしてなるべく葉柄を除去した。
【0101】
2)洗浄後、ブランチングによる変色防止処理を行い、変色防止液に0.5g/100mL(0.5%、w/v)のグルコン酸亜鉛水溶液を使用し、原料と液の仕込み比が1g:80mL(w/v)であった。上記仕込み比で、一定量の慈竹の新鮮な葉を僅かに沸騰した変色防止液(すなわち、85~90℃に加熱された変色防止液)に投入し、葉が均一に分散するように軽く撹拌し、90sec後、迅速に取り出し、水を切った。
【0102】
3)ブランチング後の葉をオーブンに入れて加熱乾燥し、加熱乾燥温度が(80±1)℃で、時間が1.5hで、室温に冷却し、水分含有量が10%程度の乾燥葉を得た。
【0103】
4)乾燥葉を0.5~1.0cmの破片に切り、色彩選別によって托葉および黄斑葉を除去し、さらにマイクロ波乾燥によって水分含有量が5%以下に降下するように殺菌および脱水を行った。
【0104】
5)高エネルギーナノボールミルによって乾燥葉を粉砕し、ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、ボールミリング時間が30minで、平均粒子径が約900メッシュの抹竹(慈竹-抹竹と記する)を得た。
【0105】
その色合い、粒子径および生物活性物質の含有量を測定し、結果を表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
1.3 綿竹の葉を原料とする場合
1)採取した新鮮な綿竹の葉を選別し、古葉、黄葉および斑入り葉を取り除き、そしてなるべく葉柄を除去した。
【0108】
2)ブランチングによる変色防止処理を行い、変色防止液に1.0%(w/v)の硫酸亜鉛水溶液を使用し、原料と液の仕込み比が1g:80mL(w/v)であった。上記仕込み比で、一定量の綿竹の葉を僅かに沸騰した変色防止液(すなわち、85~95℃に加熱された変色防止液)に入れ、葉が均一に分散するように軽く撹拌し、30sec後、迅速に取り出し、水を切った。
【0109】
3)ブランチングの竹葉を真空乾燥箱(真空度が約100±10Paで、乾燥温度が約40℃で、乾燥時間が150minであった)に入れ、水分含有量が4.5%の乾燥葉を得た。
【0110】
4)高エネルギーナノボールミルによって綿竹の乾燥葉を処理し、ボールと原料の比率が15:1(w/w)で、粉砕時間が2hで、平均粒子径が約2000メッシュの抹竹(綿竹-抹竹と記する)を得た。
【0111】
その色合い、粒子径および生物活性物質の含有量を測定し、結果を表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
1.4 ユシャニアの葉を原料とする場合
1)採取した新鮮なユシャニアの葉を選別し、古葉、黄葉および斑入り葉を取り除き、そしてなるべく葉柄を除去した。
【0114】
2)ブランチングによる変色防止処理を行い、変色防止液に2%(w/v)のグルコン酸亜鉛水溶液を使用し、原料と液の仕込み比が1g:80mL(w/v)であった。上記仕込み比で、一定量の新鮮な竹葉を僅かに沸騰した変色防止液(すなわち、85~95℃に加熱された変色防止液)に投入し、葉が均一に分散するように軽く撹拌し、90sec後、迅速に取り出し、水を切った。
【0115】
3)水を切った後の竹葉をベルト式マイクロ波乾燥装置(上海遠躍軽工機械有限公司、型番YTLD)によって連続的に処理し、マイクロ波の出力が4 kwで、コンベアの速度が約0.5m/minで、乾燥時間が約60分間で、水分含有量が7%程度の乾燥葉を得、通常の生薬粉砕機でそれを破片に切り、保存して使用に備えた。
【0116】
4)上記破片を、気流粉砕装置(イ坊正遠粉体工学設備有限公司、型番:LHJ-10実験室機械的超細粉砕機)によって処理し、平均粒子径が約800メッシュの粉末(ユシャニア-抹竹と記する)を得た。
【0117】
その色合い、粒子径および生物活性物質の含有量を測定し、結果を表4に示す。
【0118】
【表4】
【0119】
1.5 苦竹の葉を原料とする場合
1)採取した新鮮な苦竹の葉を選別し、古葉、黄葉および斑入り葉を取り除き、そしてなるべく葉柄を除去した。
【0120】
2)ブランチングによる変色防止処理を行い、変色防止液に0.5%(w/v)の硫酸亜鉛水溶液を使用し、原料と液の仕込み比が1g:80mL(w/v)であった。上記仕込み比で、一定量の苦竹の葉を僅かに沸騰した変色防止液(すなわち、85~95℃に加熱された変色防止液)に投入し、葉が均一に分散するように軽く撹拌し、60s後、迅速に取り出し、水を切った。
【0121】
3)ブランチング後の苦竹の葉を熱風乾燥機に入れ、加熱乾燥温度が(80±1)℃で、時間が1.5hで、水分含有量が5.0%の乾燥葉を得た。
【0122】
4)高エネルギーナノボールミルによって粉砕処理を行い、ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、粉砕時間が3hで、平均粒子径が約8000メッシュの抹竹(苦竹-抹竹と記する)を得た。製品特性を表5に示す。
【0123】
【表5】
【0124】
1.6 冷箭竹の葉を原料とする場合
1)採取した新鮮な冷箭竹の葉を選別し、古葉、黄葉および斑入り葉を取り除き、そしてなるべく葉柄を除去した。
【0125】
2)ブランチングによる変色防止処理を行い、変色防止液に0.5%(w/v)の硫酸亜鉛水溶液を使用し、原料と液の仕込み比が1g:80mL(w/v)であった。上記仕込み比で、一定量の冷箭竹の葉を僅かに沸騰した変色防止液(すなわち、85~95℃に加熱された変色防止液)に投入し、葉が均一に分散するように軽く撹拌し、30s後、迅速に取り出し、水を切った。
【0126】
3)水を切った後の竹葉を熱風乾燥機に入れ、加熱乾燥温度が(80±1)℃で、時間が1.5hで、水分含有量が<5%の乾燥葉を得た。
【0127】
4)高エネルギーナノボールミルによって粉砕処理を行い、ボールと原料の比率が10:1(w/w)で、粉砕時間が2hで、平均粒子径が約10000メッシュの抹竹(冷箭竹-抹竹と記する)を得た。
【0128】
製品特性を表6に示す。
【0129】
【表6】
【0130】
1.7 抹竹の特徴的成分の検出
上記6つの抹竹の試料を適量に取り、それにおける竹葉の特徴的成分の含有量を測定した。
【0131】
サンプル溶液の調製:一定量の抹竹を取り、1:20の原料と液の仕込み比で30%のエタノール醇溶液を入れた後、70℃水浴で2h抽出し、抽出液をろ過して残し、真空濃縮後、50mLメスフラスコに移し、メタノールで溶解させて所定の容量にした。4℃で保存し、サンプルを仕込む前にいずれも0.22μmミクロポアフィルターでろ過し、連続的なろ液を被験品溶液とし、使用に備えた。
【0132】
竹葉のC-グリコシルフラボン(オリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン)およびp-クマル酸の測定方法は国家標準『食品添加剤の竹葉の酸化防止物』(GB 30615-2014)を参照した。クロマトグラフィーの条件は、C 18ODSカラム(4.6mm×250mm、5μm)で、移動相が混合溶媒A(アセトニトリル)および溶媒B(体積分率0.2%の酢酸水溶液)であった。勾配溶離条件:0~15min、A 15%、B 85%;15~25min,A 15%~40%、B 85%~60%;25~34min、A 40%、B 60%;34~40min、A 40%~15%、B 60%~85%。流速1.0mL/min;検出波長330nm;カラム温度30℃;仕込み量10μL。
【0133】
δ-ヒドロキシリシンは、アミノ酸自動分析計(日立835-50型高速アミノ酸自動分析計)によって測定され、標準品は日本和光純薬工業株式会社からのものである。アデノシンの測定は文献(ゴン金炎ら、高速液体クロマトグラフィーによるチクジョ抽出物およびその異なる部位におけるアデノシン含有量の測定、食品工業2014,35(12):264-265)を参照し、標準品は中国薬品生物製品検定所からのものである。
【0134】
6種類の抹竹試料の特徴的成分の検出結果は表7に示す。
【0135】
【表7】
【0136】
実施例2.抹竹と抹茶の性能の比較
2.1 抹竹と抹茶の粉体粒子径の比較
LS-230Coulterレーザー粒度計により、綿竹-抹竹、苦竹-抹竹および冷箭竹-抹竹の粉体粒子径分布を検出し、そして対照サンプル(市販一級抹茶で、浙江省茶葉グループ株式有限公司によって提供された)と比較し、結果は図2および表8に示す。
【0137】
【表8】
【0138】
図2および表8から、異なる竹品種および異なるプロセスパラメーターで得られた粉体粒子径の大きさに顕著に異なり、4種類の抹竹試料の平均粒子径はいずれも対照の市販一級抹茶のサンプルよりも小さかったことが示された。
【0139】
2.2 抹竹と抹茶における通常成分の含有量の比較
実施例1における6つの抹竹試料および対照試料(一級抹茶)の通常成分(食物繊維、可溶性食物繊維、ヘミセルロース、リグニン、粗灰分および水分を含む)の含有量を測定した。GB5009.88-2014の標準に従って食物繊維、可溶性食物繊維の含有量を、GB/T 20805-2006の標準を参照してリグニンの含有量を、GB/T 8304の標準に従って水分を、GB/T 8306の標準に従って全灰分を測定した。結果の直観的な表示は図3に示すように、分析は以下の通りである。
【0140】
全食物繊維:6つの抹竹の食物繊維含有量は63.0~80.2%の間で、平均は76.1%であった。中では、含有量が最も低かったのは冷箭竹-抹竹で、最も高かったのは慈竹-抹竹であった。同時に、測定された抹茶の食物繊維含有量が63.9%で、抹竹の全食物繊維含有量が抹茶よりも高い。
【0141】
可溶性食物繊維:6つの抹竹の可溶性食物繊維は28.2~33.6%の間で、平均は30.7%であった。中では、冷箭竹-抹竹の含有量は最も高く、慈竹-抹竹は最も低かった。抹茶の可溶性食物繊維の含有量が31.8%で、抹竹試料の変動範囲に含まれている。
【0142】
ヘミセルロース:6つの抹竹のヘミセルロース含有量は37.2~42.9%の間で、最も高かったのはユシャニア-抹竹で、最も低かったのは苦竹-抹竹であった。抹茶のヘミセルロース含有量が37.7%で、抹竹試料の変動範囲に含まれている。
【0143】
リグニン:6つの抹竹試料のリグニン含有量は23.0~25.4%の間で、平均は24.5%であった。中では、苦竹-抹竹のリグニン含有量は最も高く、ユシャニア-抹竹は最も低かった。同時に、測定された抹茶のリグニン含有量はわずか13.3%で、抹竹はリグニン含有量が非常に顕著に抹茶よりも高かった。
【0144】
粗灰分:6つの抹竹試料の粗灰分は8.1~11.9%の間で、冷箭竹-抹竹の含有量は最も高く、慈竹-抹竹は最も低かった。抹茶の粗灰分含有量はわずか5.7%で、顕著に抹竹よりも低かった。
【0145】
以上の百分率含有量はいずれも試料の乾量基準で計算された。
【0146】
当該結果から、抹竹の全食物繊維含有量、リグニンおよび粗灰分の3つの化学成分はいずれも抹茶よりも高かったことがわかる。抹茶の可溶性食物繊維およびヘミセルロースの含有量は上記実施例で製造された抹竹とあまり変わらず、いずれも抹竹の相応する指標の範囲に含まれている。当該結果は竹葉の線維化程度が茶葉よりも高いという事実に合致する。
【0147】
2.3 抹竹と抹茶の安定性の比較
2種類の抹竹(苦竹-抹竹および冷箭竹-抹竹)を抹茶と光安定性および熱安定性について比較分析した。
【0148】
2.3.1.熱安定性
加熱乾燥によく使用される加工温度180℃で、時間がそれぞれ5、15、30minで、等量の試料を各シャーレに敷き、オーブンに入れて加熱処理した。色差分析の結果を表9にまとめた。
【0149】
【表9】
【0150】
表9から、加熱の前(180℃、0min)に、抹竹と抹茶の明度値は近かったが、抹竹は緑色度が抹茶よりも大きかったことがわかる。180℃で5min処理した後、抹竹と抹茶の明度はいずれも低下し、緑色度が小さくなった。180℃で15min加熱した時点で、抹茶のΔa値が負値から正値に変わったことから、その色相が緑から赤に変わり、すなわち、色が黄緑色から褐色に変わった。一方、この時、3つの抹竹試料のΔa値がまだ負値で(ハチク-抹竹は-5.56、苦竹-抹竹は-6.70、冷箭竹-抹竹は-7.31であった)、180℃で5min加熱したときの値と顕著な差がなかった。180℃で30min加熱した時点で、抹竹はまだ許容される緑色を有したが、このとき、抹茶はすでに完全に褐色に変わった。
【0151】
当該結果から、抹竹は抹茶よりも優れた光安定性を有し、180℃の高温で30min加熱しても褐色にならず、かつこのとき、抹竹の緑色の色合いは一級抹茶の初期の緑色に近かったことがわかる。一方、抹茶は180℃の高温で15min加熱した時点で、緑色から赤褐色に変わった。
【0152】
2.3.2.光安定性
紫外線(UV)照射によって、その試料の色合いに対する破壊作用を観察した。10本の8W紫外線ランプチューブで3つのサンプルに対して同時に照射処理を行い、サンプルをチューブから下30cmのところに置いた。それぞれ60、120、180min照射した後、色差分析を行った。色値の変化を表10に示す。
【0153】
抹竹と抹茶は、UV照射後、L*およびΔa値の変化の程度が異なった。同じ時間の紫外線照射後、抹茶は抹竹よりも緑色の破壊程度が大きく、かつ少し褐色を示した。表12のデータから、UV照射60min後、抹竹は明度値の低下が抹茶よりも大きかったが、抹茶は緑色度の低下が抹竹よりも大きかったことが示された。抹茶は、180min照射された後、Δa値が0に近かったことから、その色が緑色から赤色に、褐色になりかけたことが示されたが、このとき、2つの抹竹試料はΔa値がまだ負値のままであった。抹茶と比べ、抹竹はより良い光安定性を有することが示された。
【0154】
【表10】
【0155】
2.4 抹竹と抹茶の官能的品質
2つの抹竹試料(苦竹-抹竹および冷箭竹-抹竹)と市販一級抹茶の対照品で官能的品質の評価試験を行った。
【0156】
超微粉末緑茶の関連文献および国家農業部によって発布された粉末茶の基準を参照し、15名の官能パネラーを選択し、2つの抹竹および1つの抹茶の試料の外観、粉末の香り、味わいおよび湯色の四つの面で官能評価を行った(指標の設定は表11を参照する)。
【0157】
官能パネラーの3種類のサンプルに対する採点の結果(平均値±標準誤差)に統計分析を行ったが、結果を図4に示す。2つの試料は、得点が最も高かったのは苦竹-抹竹で、その次は冷箭竹-抹竹で、抹茶の得点が最も低かった。4つの指標の得点状況から、抹竹は外観および淹れた時の湯色が抹茶よりも顕著に高く、味わいおよび粉末の香りで得点が近かった。抹竹は抹茶よりもエメラルドグリーンの色合いを有するため、パネラーに好まれた。抹茶は、沸騰水で淹れた後、クロロフィルが熱で分解し、茶湯がすぐに黄褐色になるため、得点が抹竹よりも低かった。一方、抹竹の緑色が安定し、淹れた後も、湯の色が長時間緑色を維持していた。
【0158】
【表11】
【0159】
実施例3.抹竹と抹茶の生物学的健康効果の比較
代謝症候群(metabolic syndrome、MS)とは、中心性肥満、II型糖尿病または耐糖能異常、高血圧、脂肪代謝異常やインスリン抵抗性(insulin resistance、IR)などの一組の疾患の危険因子を病理・生理的基礎とした臨床症候群である。近年、代謝症候群は高発病の傾向および若年化の傾向を示し、その突出した特徴的所見は肥満、インスリン抵抗性や耐糖能異常などである。抹竹は、豊富な繊維質成分以外、多くの竹葉の特有な生物活性物質を含有し、かなり強い抗ラジカル、抗酸化活性を有し、同時に消炎、脂質降下および心脳血管の保護といった効果を果たす。抹茶は、同様に、豊富な生物活性物質(たとえば茶ポリフェノール、茶多糖、テアニンなど)を含有し、そして多くの研究では、有効に肥満および脳卒中を予防・治療し、脳血栓および高脂血症のリスクを低下させることができることが証明された。
【0160】
本発明は、2種類の抹竹(苦竹-抹竹および冷箭竹-抹竹)を代表とし、市販一級抹茶を対照とし、代謝症候群のマウスモデルによって比較試験の研究を行った。
【0161】
3.1 材料と方法
3.1.1 試験投与量の設定
それぞれ抹竹および抹茶を一定の比率でマウスの高脂飼料に添加した。4つの試験群は以下の通りである。第一群は2.5%の苦竹-抹竹+高脂飼料で、第二群は5.0%の苦竹-抹竹+高脂飼料で、第三群は2.5%の冷箭竹-抹竹+高脂飼料で、第四群は2.5%の抹茶+高脂飼料である。
【0162】
3.1.2 被験動物の群分け
60匹の6週齢のC57BL/6J雄マウスを基礎飼料で5日適応性飼育を行い、不良反応がなく、すなわち、摂食、飲水および活動が正常なマウスを実験に供した。マウスをランダムに各群の平均体重が近いように6群に分け、それぞれ、基礎飼料、高脂飼料、苦竹-抹竹低投与量群、苦竹-抹竹高投与量群、冷箭竹-抹竹低投与量群および抹茶低投与量群といった飼料を与えた。試験期間内で、一つのかごに5匹のマウスで、光照射周期12h、温度23±2℃、相対湿度50~70%の飼育環境において、マウスの試験の群分けを表12に示す。
【0163】
【表12】
【0164】
3.1.3 マウスの体重および各臓器の重量の変化の記録
飼育期間内で、毎日マウスの一般状況、食事の変化、行動(自発的行動、精神状態)の変化、毛髪の変化を観察した。マウスの体重を週に1回量り、体重の変化を記録した。12週間飼育した後、慎重にマウスの肝臓、腎臓、脾臓を取り出して重量を量り、そして臓器重量体重比を計算した。同時に、副睾丸脂肪および腎周囲脂肪を取り出し、重量を量った。その後、すべての器官を-80℃で保存した。
【0165】
3.1.4 血液サンプルの採取およびルーチン血液検査の生化学指標の分析
12週間飼育した後、マウスをCO2で充満させた飼育箱に入れて安楽死させた後、すぐに心臓から採血し、遠心で分離して血清を取り(3500回/min、15min)、トリグリセリド(TG)、総コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-c)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-c)、遊離脂肪酸(FFA)などの指標の検出に供した。
【0166】
3.1.5 空腹時血糖(FBG)および空腹時インスリン(FINS)レベルの測定
12週間の飼育中で、それぞれ日を選んでマウスに断食12h(水を飲ませる)の処理を行った後、マウスの空腹時血糖(FBG)値を検出し、酵素結合免疫法キットによってマウスの空腹時インスリン(FINS)含有量を測定した。
【0167】
3.1.6 インスリン負荷試験(ITT)
12週間の飼育中で、日を選んで6h断食(水を飲ませる)させた後、尾部から採血して血糖値を測定し、当該値をインスリン負荷試験のゼロ時点(0min)の血糖値とした。そして、マウスの腹腔内に0.75U/kg・BWのインスリン生理食塩水溶液(濃度0.075 U/mL)を注射した。その後、注射後の30、60、90、120min内でそれぞれマウスの血糖値を測定して記録した。測定終了後、マウスの摂取を再開させた。
【0168】
3.1.7 ブドウ糖負荷試験(GTT)
12週間の飼育中で、日を選んで6h断食(水を飲ませる)させた後、尾部から採血して血糖値を測定し、当該値をブドウ糖負荷試験のゼロ時点(0min)の血糖値とした。そして、マウスの腹腔に1.5g/kg・BWの投与量でブドウ糖生理食塩水溶液(濃度0.15g/mL)を注射し、さらに注射後の30、60、90、120minの時点でマウスの血糖値を測定して記録した。測定終了後、マウスの摂取を再開させた。
【0169】
3.1.8 肝臓の酸化ストレス指標の測定
試験終了時、マウスを安楽死させた後、すぐに肝臓を取り出し、なるべく血液を洗い流し、乾燥し、重量を量り、そして一部を取って4℃の生理食塩水を入れて高速均質化によって10%均質化液にし、3000回/minで20min遠心して上清液を取った後、南京建成生物工学研究所製のキットによって肝臓均質化液におけるSOD、GSH-Px活性およびMDAレベルを測定した。
【0170】
3.1.9 血清における炎症性因子の検出
ELISAキットによってマウスの血清におけるインターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)およびケモカイン(MCP-1)を検出した。
【0171】
3.1.10 血清におけるサイトカインの検出
酵素結合免疫法によってマウスの血清におけるレプチン(leptin)、アディポネクチン(ADPN)、リポ多糖(LPS)を検出したが、検出方法はELISAキットの方法を参照した。
【0172】
3.1.11 腸内細菌叢の検出
12週末のマウスの結腸の糞便を取り、Illumina PE250でハイスループットシーケンシングを行い、糞便から腸内微生物のDNAを抽出した後、PCRによって増幅し、最後にシーケンシングによって腸内微生物の種類を同定した。
【0173】
3.2 試験結果
3.2.1 抹竹と抹茶のダイエット・脂質降下の効果
マウスの体重増加の状況、各臓器指数および血液の生化学指標で抹竹と抹茶のダイエット・脂質降下の効果を評価した。
【0174】
3.2.1.1 実験マウスの体重に対する影響
高脂飼料モデル群では、マウスは肥満の特徴を示し、基礎飼料群では、マウスの体重増加が顕著に高脂飼料群よりも高く、飼料における抹竹と抹茶の強化後の体重に対する影響は図5を参照する。
【0175】
4つの試験群では、第三群(高脂飼料+2.5%苦竹-抹竹)では、マウスの体重に対するコントロール効果が最も良く、12週間後、当該群のマウスの平均体重が顕著に高脂群よりも低かった。しかし、苦竹-抹竹の添加量が5%に増加すると(第四群)、逆に体重をコントロールする効果が明らかではなくなった。第六群(高脂飼料+2.5%抹茶)では、マウスの体重に対するコントロール効果が同様の投与量の苦竹-抹竹に次ぎ、試験終了時の平均体重も顕著に高脂群よりも低かった。第五群(高脂飼料+2.5%冷箭竹-抹竹)の体重減少効果が同様の投与量の苦竹-抹竹(第三群)と抹茶(第六群)の間にあった。
【0176】
3.2.1.2 実験マウスの臓器指標に対する影響
試験終了時、それぞれ6群のマウスの一部の組織および肝臓、腎臓、脾臓、腎周囲脂肪および副睾丸脂肪を含む器官を取り、さらにこれらの器官の重量をそれぞれ量り、結果は図6を参照する。
【0177】
肝臓および腎臓の重量において、2.5%苦竹-抹竹および2.5%抹茶群のみで、顕著に器官の重量を減少させる作用を示し、ほかの試験群では、肝臓、腎臓の重量はいずれも高脂群と有意差がなかった。脾臓について、抹竹と抹茶を添加した後、マウスの脾臓重量はいずれも顕著に高脂群よりも低かったが、中では、2.5%抹茶群の脾臓重量は高脂群と非常に顕著な差があった。腎周囲脂肪および副睾丸脂肪は、マウスの体内で質量が最も大きく、かつ肥満と最も密接に関連する2つの脂肪組織で、2.5%苦竹-抹竹群では、マウスの腎周囲脂肪は顕著に高脂群よりも低く、明らかにほかの3つの試験群よりも良かった。2.5%苦竹-抹竹および2.5%冷箭竹-抹竹はいずれも副睾丸脂肪を減少させる作用があったが、中では、苦竹の効果が比較的に良く、マウスの副睾丸脂肪を半分近く減少させた。
【0178】
3.2.1.3 実験マウスの血中脂質レベルに対する影響
飼育終了時、マウスの血清を採取し、トリグリセリド(TG)、総コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-c)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-c)、遊離脂肪酸(FFA)を含む血液生化学指標を検出し、結果を表13に示す。
【0179】
【表13】
【0180】
高脂食事はマウスの肥満につながり、肥満マウスの体内に脂肪の蓄積が増加し、同時にその血液におけるTG、TCおよびLDL-cならびにFFAの含有量の増加につながり、そしてある程度でHDL-cレベルを低下させる。表13から、抹茶は最も良いTG降下効果を有し、2.5%投与量の摂取で3か月強化した後、高脂マウスのTGレベルが正常飼料群に近かったが、抹竹のTG降下効果が明らかではなかったことがわかった。TC降下効果が最も顕著なのは2.5%苦竹-抹竹強化群で、一方、5.0%苦竹-抹竹および2.5%冷箭竹-抹竹の2群はTCに作用がなく、2.5%抹茶群では、TCは逆に顕著に高脂モデル群よりも高かった。
【0181】
LDL-cレベルについて、2.5%苦竹-抹竹群のみで、顕著な降下を示し、ほかの3つの試験群では、高脂群と比べていずれも有意差がなかった。HDL-cについて、顕著な向上作用を示した群は2.5%苦竹-抹竹で、次に2.5%抹茶、そして2.5%冷箭竹-抹竹である。
【0182】
糖質・脂質代謝のバランスが崩れたため、肥満マウスの体内における遊離脂肪酸(FFA)が顕著に増加する。表13のデータでは、すべての試験群でFFAレベルの増加が抑制され、中では、効果が最も良かったのは2.5%的抹茶で、次に2.5%の苦竹および冷箭竹、最後に5.0%の苦竹-抹竹であることが示された。 また、2.5%の添加量が合理的なレベルであることが証明された。上記のように、各指標について、4つの試験群のうち、脂質降下効果は2.5%の苦竹-抹竹が好適で、その次は2.5%の抹茶である。
【0183】
3.2.2 抹竹と抹茶のマウスのインスリン抵抗性に対する改善
12週間の試験終了時のマウスの空腹時血糖(FBG)および空腹時インスリン(FINS)の測定結果は表14に示す。
【0184】
【表14】
【0185】
表14から、高脂食事はマウスの空腹時血糖(FBG)および空腹時インスリン(FINS)を上昇させたことがわかるが、HOME-IR、すなわち、インスリン抵抗指数の値が大きれば、インスリンの感受性が低く、インスリン抵抗性の症状が明らかになることを示す。2.5%苦竹-抹竹および2.5%冷箭竹-抹竹はいずれも好適に高脂食事によるインスリン抵抗性を改善し、マウスの空腹時インスリンレベルを低下させることができた。一方、5.0%苦竹-抹竹および抹茶群では、顕著な改善作用がなかった。
【0186】
図7は、試験終了時のマウスのインスリン感受性の変動を示し、Aはインスリン負荷試験(ITT)で、Bはブドウ糖負荷試験(GTT)である。インスリン負荷試験(ITT)において、高脂群のマウスは高脂飼料の影響を受け、インスリン感受性が低下し、インスリンが注射された後、インスリンがすぐに作用して血液におけるブドウ糖の分解・利用を促進することができなくなった。一方、抹竹および抹茶を添加した試験群のマウスは、インスリン感受性がいずれも改善されたが、インスリンが注射された時、迅速に作用をさせ、血液におけるブドウ糖の分解・利用を促進することができた。ブドウ糖負荷試験(GTT)において、マウスにブドウ糖溶液が注射された後、その血液におけるブドウ糖レベルが一時的に向上し、インスリンなどの因子の作用に伴い、ブドウ糖がゆっくり分解・利用されることで、初期値に戻った。一方、高脂マウスでは、インスリン抵抗性のせいで、正常マウスのように迅速にブドウ糖を分解させることができないため、血液におけるブドウ糖の含有量が急激に増加し、そして降下速度が遅くなる。2.5%苦竹-抹竹を添加する試験群では、このような症状が顕著に改善され、その血糖値が正常群のマウスに近いようにさせた。
【0187】
3.2.3 抹竹と抹茶による実験マウスの肝臓の酸化ストレス反応の低下
抹竹と抹茶の12週間の食事関与のマウスの肝臓の酸化ストレスの評価指標に対する影響を表15に示す。
【0188】
【表15】
【0189】
肝臓におけるSODおよびGSH-Pxは体内における主な抗酸化酵素で、強いラジカル消去能力を有する。表15のデータでは、高脂群、5.0%苦竹-抹竹および2.5%抹茶群では、マウスのSODレベルが顕著に正常群よりも高かったが、2.5%苦竹-抹竹および冷箭竹-抹竹の2群では、マウスのSOD活力が正常群に相当したことが示された。GSH-Pxレベルについて、2.5%苦竹-抹竹および冷箭竹-抹竹の2群は正常群と高脂群の間であったが、5.0%苦竹-抹竹および2.5%抹茶群では、顕著に高脂群よりも高かった。脂質の過酸化物の産物のレベルを低下させる点からすると、抹竹の効果は基本的に抹茶よりも良く、かつ苦竹が好適である。
【0190】
酸化ストレスとは、生体が様々な有害因子による刺激を受けると、体内における活性酸素種(ROS)が大量に生じることである。ROSはインスリン抵抗性につながる要因で、長期的な高脂・高糖の食事によって生体に大量にROSが生じる。ある研究では、大量に生じるROSに対し、生体の抗酸化酵素も相応的に代償的増加が生じることで、ラジカルの生体に対する損傷に対抗する。しかし、酸化ストレスの程度の持続的な向上につれ、抗酸化酵素の活力の代償的増加はラジカルの損傷を阻止できなくなり、最終的に酵素活力の低下につながり、生体の酸化による損傷がひどくなる。表15のデータをまとめると、高脂食事はマウスの生体の酸化ストレスの程度を増大させ、抹竹の食事関与は有効に生体の酸化ストレス反応を低下させることができ、そして2.5%の抹竹の添加量が好適である。
【0191】
3.2.4 抹竹と抹茶の実験マウスの血清における炎症性因子レベルに対する影響
抹竹と抹茶の12週間の食事関与の肥満マウスの血清における炎症性因子の発現に対する影響を図8に示す。
【0192】
多くの研究では、肥満はII型糖尿病および炎症と密接に関連することが証明された。また、研究では、肥満は生体が長期的に低炎症浸潤状態、すなわち、慢性炎症にあるためであることが示された。MCP-1は一つのケモカインで、肥満者の体内における増大した脂肪組織が大量のMCP-1を放出することで、大量のマクロファージの脂肪組織への侵入を誘導し、そして大量の炎症性因子を放出する。中では、IL-6およびTNF-αは肥満と密接に関連する2種類の炎症促進因子で、両者のレベルが上昇すると、生体の炎症浸潤の程度が増大することを表す。
【0193】
図8から、高脂群のマウスのTNF-αおよびMCP-1含有量が正常群よりも顕著に上昇したことから、高脂群の肥満マウスの体内に炎症が生じたことが示された。苦竹-抹竹、冷箭竹-抹竹および抹茶を添加した高脂マウスは、TNF-α含有量が顕著に低下したことから、異なる投与量の抹竹と抹茶はいずれも顕著に肥満による炎症促進因子(TNF-α)の分泌を抑制することができることが示された。2.5%添加量の苦竹-抹竹、冷箭竹-抹竹および抹茶はいずれも顕著にMCP-1の含有量を低下させたが、高投与量(5.0%苦竹-抹竹)は逆に顕著にその含有量を低下させることができなかった。試験結果から、適当な投与量の抹竹と抹茶による食事の関与は、顕著に肥満マウスの体内における炎症浸潤現象を改善することができたことが示された。
【0194】
3.2.5 抹竹と抹茶の実験マウスのサイトカインレベルに対する影響
抹竹と抹茶の12週間の食事関与の肥満マウスの血清におけるサイトカインレベルに対する影響を表16に示す。
【0195】
【表16】
【0196】
レプチン(LEP)は脂肪細胞によって分泌される一つの循環ホルモンで、主に中枢神経系に作用し、神経ペプチドYの合成および食欲の低下により、エネルギーの摂取を減少させることで、ダイエット・脂質降下の効果を実現させる。ある研究では、レプチンが高すぎても低すぎてもインスリン抵抗性(IR)につながることが示された。表16のデータでは、高脂群のマウスの血清におけるレプチンレベルが顕著に正常群よりも高かったことから、高脂食事がマウスにレプチン抵抗性を生じさせたことが示された。一方、2.5%添加量の苦竹-抹竹はマウスの血清におけるレプチンレベルを低下させる最も良い効果を示し、その次は2.5%の抹茶で、さらに2.5%の冷箭竹-抹竹であるが、5%添加量の苦竹-抹竹は効果が顕著ではなかった。
【0197】
アディポネクチン(ADP)は肥満および糖質・脂質代謝と密接に関連し、ある研究では、肥満者では、ADPレベルが顕著に低下し、アディポネクチンの含有量が肥満に負関連すると思われている。表16のデータから、高脂群では、マウスのアディポネクチン含有量が顕著に正常群よりも低く、抹竹および抹茶の4つの試験群では、いずれも顕著な高脂マウスの血清におけるADPレベルを向上させる効果が示され、なかでも、特に2.5%添加量の苦竹-抹竹および抹茶が好適で、関与後のADPは正常群のマウスに高かったことが示された。
【0198】
リポ多糖(LPS)は主に腸内におけるグラム陰性菌による分解で生じ、ある研究では、リポ多糖は肥満マウスの体内における炎症性因子の発現の上方調節と密接に関連することが示された。表16のデータでは、高脂群の小鼠のリポ多糖含有量が顕著に正常群よりも高く、高脂飼料に抹竹および抹茶を添加した試験群では、いずれも顕著に肥満マウスの血清におけるリポ多糖レベルを低下させることができ、かつ2.5%苦竹-抹竹の効果が非常に顕著で、当該群のマウスのLPS値が顕著に正常群のマウスよりも低かったことが示された。抹竹と抹茶の食事関与は顕著に高脂食事によるサイトカインの分泌不調を改善することができることが示された。
【0199】
3.2.6 抹竹と抹茶の実験マウスの肝臓および脂肪組織の形態学に対する影響
図9は、異なる群のマウスの肝臓組織のH&E染色切片である。そこから、正常群(A)のマウスと比べ、高脂モデル群(B)のマウスの肝臓切片に多くの異なる大きさの白色の脂肪滴が現れたことがわかり、高脂食事は肝臓の脂質代謝に障害を生じさせ、摂取された大量の脂肪は順調に分解されて肝臓に徐々に蓄積することができないことが示された。抹竹を添加した高脂食事群(C、D、 E)および抹茶を添加した高脂食事群(F)では、マウスの肝臓の脂肪滴数がいずれも顕著に高脂モデル群よりも少なく、かつ体積が大きい白色の脂肪滴が見られなかった。抹竹と抹茶はいずれも顕著に肝臓の脂質代謝を改善し、高脂食事による脂肪肝のリスクを低下させることができることが示された。
【0200】
図10は、異なる群のマウスの脂肪組織のH&E染色切片(200×)、100μmである。ここで、A~Eはそれぞれ正常群、高脂肪群、2.5%苦竹抹竹+高脂肪群、5.0%苦竹抹竹+高脂肪群、2.5%冷箭竹抹竹+高脂肪群、2.5%粉末抹茶+高脂肪群を表す。そこから、高脂モデル群(B)では、マウスは長期的に高脂飼料を摂取したため、脂肪細胞の体積が顕著に正常群(A)よりも大きかったことがわかる。食事で抹竹および抹茶を強化した後、副睾丸における脂肪細胞はいずれも顕著に減少する傾向を示し、かつ2.5%の苦竹-抹竹群は最も顕著であった。
【0201】
3.2.7 抹竹と抹茶の実験マウスの腸内細菌叢に対する影響
正常群、高脂モデル群、2.5%添加量の抹竹および抹茶の試験群(苦竹-抹竹、冷箭竹-抹竹および一級抹茶)を選択し、ハイスループットシーケンシング技術によって、この5群の実験マウスの腸内細菌叢の構成を分析・測定し、結果は図11に示すように、各列において、下から上への順でフィルミクテス門(Firmicutes)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、放線菌門(Actinobacteria)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)およびウェルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)である。
【0202】
ハイスループットシーケンシングによって異なる群の実験マウスの腸内微生物のOTUを得、遺伝子ライブラリーのアラインメントと種注釈を行ったところ、測定されたマウスのOTUはそれぞれ、フィルミクテス門(Firmicutes)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、放線菌門(Actinobacteria)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、デフェリバクター門(Deferribacteres)、ウェルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)、シアノバクテリア(Cyanobacteria)、テネリクテス門(Tenericutes)およびSaccharibacteriaの9つの門に属することが見出された。中では、フィルミクテス門(Firmicutes)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、放線菌門(Actinobacteria)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)およびウェルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)の5つの門はすべての群で共有されている。
【0203】
図11から、5群のマウスの腸内微生物のうち、フィルミクテス門およびバクテロイデス門は数で接待的な優勢を占めていることもわかる。米国ワシントン大学のJeffrey I.Gordon教授らの研究結果から、肥満マウスの腸内におけるフィルミクテス門(Firmicutes)とバクテロイデス門(Bacteroidetes)の存在度の比(F/B比)は痩せている者よりも顕著に高くなることが示された。また、肥満マウスが痩せると、そのF/B値が低下する。本研究結果は、高脂モデル群(HFD)では、マウスのF/B値は8.37で、顕著に正常群(Bac-C)のF/B値3.58よりも高く、2.5%苦竹-抹竹(BP1-HFD)群では、マウスのF/B値は2.82と顕著に低下したことから、マウスの腸内細菌叢の構成に良い調節作用を有し、高脂食事による悪影響を修正することができることが示された。一方、2.5%の冷箭竹-抹竹および2.5%の抹茶では、このような作用は現れず、この2つの試験群のF/B値は低下せずに、逆に増加し、それぞれ12.60および9.25であった。
【0204】
実施例4 抹竹の食用安全性の評価(急性毒性試験)
健康で成熟の体重18~22gのICRマウスを20匹選択し、雄と雌は同じ数であった。
【0205】
固定用量法に従って投与量20.0g/kg.BWの一つの群を設けた。ハチク-抹竹を20g取り、1%カルボキシメチルセルロースナトリウムを溶媒として40mLのサンプル液を調製した。マウスを胃内投与前に6時間断食させ(水を飲ませる)、20mL/kg.BW胃内投与容量で胃内投与を4時間の間隔で2回行った。最後の胃内投与から3時間後、自由に摂取、飲水をさせ、動物の中毒の所見および死亡の状況を記録した。観察期間を14日とし、マウスの実験初期および後期の体重を記録した。結果は表17に示す。
【0206】
【表17】
【0207】
急性毒性試験の期間内で、マウスはいずれも中毒の所見が現れず、死亡がなかった。結論:抹竹は雌と雄のマウスに対する経口投与のLD50はいずれも20.0g/kg.BW超で、実質的に無毒である。
【0208】
実施例5 食品工業における抹竹の応用
5.1 焼成食品における抹竹の応用
5.1.1 ケーキにおける抹竹の応用
苦竹-抹竹を原料とし、表18のケーキの配合に従って抹竹シフォンケーキを製作した。ケーキ製作のプロセスのフローは図12の通りである。
【0209】
【表18】
【0210】
同様の配合および製作方法によって、抹竹の代わりに抹茶(一級)を使用し、抹茶シフォンケーキおよび通常のケーキを製作した。3種類のケーキの官能指標を比較し、官能評価の結果を表19に示す。
【0211】
【表19】
【0212】
15名の官能パネラーはそれぞれ3種類のケーキの6つの指標を評価し、合計点は、通常のケーキが83.5点、抹竹ケーキが84.1点、抹茶ケーキが69.7点であった。3種類のケーキのうち、通常のケーキと抹竹ケーキは比較的に人気で、両者は色以外、形態、弾性および内部構造では大きく変わらず、比容積では、抹竹と抹茶ケーキは点数比較的に高かった。以上の結果から、抹竹は、ケーキの製作に使用される場合、抹茶よりも人気で、その突出した優勢はよりエメラルドグリーンで、美味しそうな色合いにあることが示された。
【0213】
5.1.2 クッキーにおける応用
苦竹-抹竹を原料とし、表20の原料の配合に従って抹竹クッキーを製作した。
【0214】
【表20】
【0215】
抹竹クッキーの製作方法:(1)バターを室温で柔らかくなるまで置き、卵泡立て器で滑らかになるように撹拌した。
【0216】
(2)上白糖、粉砂糖を入れ、再び滑らかになり、バターの色が浅くなり、体積が嵩まり、そして滑らかな線ができるまで撹拌した。
【0217】
(3)ほぐされた卵液を3回に分けて入れ、毎回よく混ざってから次の卵液を入れ、この時のバターは嵩まり、色が白っぽくなってクリーム状になった。
【0218】
(4)薄力粉および抹竹を量り、均一に撹拌した後、篩に通して混ぜたバターに入れ、バースプーンで均一に撹拌した。
【0219】
(5)クッキー生地を絞り袋に入れ、トレーに絞った後、180℃のオーブンで15min焼いた。
【0220】
4.2 ヨーグルトにおける抹竹の応用
伊利「暢軽」有機風味発酵乳のプレーン味を抹竹ヨーグルトのベースとし、さらに1.0%の苦竹-抹竹を入れ、抹竹の粒が見られなくなるまで均一に撹拌した。同時に、同様の添加量の抹茶(一級)ヨーグルトを製作した。その後、この2種類のヨーグルトを原料のヨーグルトと比較した。
【0221】
12名の官能パネラーによって3種類のヨーグルトの官能評価が行われ、色合い、香り、組織状態および味わいの4つの評価指標が含まれ、結果は図13の通りである。図から、抹茶ヨーグルトは4つの評価指標のいずれでも得点が最低で、色合いおよび香りでは、抹竹ヨーグルトは得点が通常のヨーグルトよりも少々高かったことがわかる。抹竹の若々しい緑色がヨーグルトに入った後、ヨーグルトの色合いも明るい緑色を示すため、色合いでは人気になりやすい。組織状態および味わいの評価では、通常のヨーグルトは得点が抹竹ヨーグルトよりも高かった。組織状態では、抹竹および粉末抹茶の添加により、抹竹ヨーグルトおよび抹茶ヨーグルトは得点がいずれも原料のヨーグルトよりも低かった。
【0222】
また、12名の官能パネラーは3種類のヨーグルトの嗜好度について選択し、表21に示す。
【0223】
【表21】
【0224】
4.3 キャンディーにおける抹竹の応用
苦竹-抹竹をヌガーの製作に使用し、配合は表22の通りで、製造方法は通常の技術を参照した。
【0225】
【表22】
【0226】
抹竹ヌガー以外、同様の製作プロセスで通常のヌガーおよび同様の濃度の抹茶ヌガーを製作した。15名の官能パネラーは3種類のヌガーの色合い、組織、風味および食感の4つの指標について官能評価を行い、結果を図14にまとめた。
【0227】
図14から、色合いでは、抹竹ヌガーの得点が最高で、次はオリジナル味のヌガーで、最後は抹茶ヌガーで、組織状態でも、抹竹ヌガーの得点がほかの2種類よりもやや高く、風味では、オリジナル味と抹竹味の得点が非常にちかく、いずれも抹茶味よりも高く、食感では、オリジナル味のヌガーの得点がほかの2種類よりもやや高く、抹茶は特有な苦味・渋味のせいで、一部の被験者には受け付けなかったことがわかる。
【0228】
上記のように、抹竹ヌガーの受け入れ度は抹茶ヌガーよりも高かった。
【0229】
4.4 味付けソースにおける抹竹の応用
苦竹-抹竹を味付けソースの製作に使用し、配合は表23の通りである。
【0230】
【表23】
【0231】
抹竹ソースの作製方法:
(1)100gの牛乳を沸騰直前まで加熱した。
【0232】
(2)篩に通された抹竹を入れ、卵泡立て器で滑らかになるように十分に撹拌し、抹竹牛乳溶液にした。
【0233】
(3)残りの200gの牛乳および甘味料、ホイップクリームを弱火で粘稠状まで加熱し、全過程において撹拌しつづけた。
【0234】
(4)抹竹牛乳溶液を上記工程における粘稠状の牛乳ソースと均一に混合し、同時に抑菌剤を入れた。
【0235】
(5)包装後、滅菌した。
【0236】
4.5 コーヒーにおける抹竹の応用
ハチク-抹竹を固形飲料の製作に使用し、配合は表24の通りである。
【0237】
【表24】
【0238】
抹竹固形飲料の作製方法:
すべての粉末を均一に混合し、検査で合格したら、包装した。
【0239】
4.6 麺における抹竹の応用
ハチク-抹竹を麺の製作に使用し、配合は表25の通りである。
【0240】
【表25】
【0241】
抹竹麺の作製方法:
(1)篩に通された抹竹および115gの水をスラリーに調製し、均一に撹拌した。
【0242】
(2)抹竹スラリーを小麦粉に入れ、10~15minこねた。
【0243】
(3)生地を製麺機に入れてプレスし、加熱乾燥し、カットした後、包装した。
【0244】
4.7 味付け塩における抹竹の応用
苦竹-抹竹を味付け塩の製作に使用し、配合は表26の通りである。
【0245】
【表26】
【0246】
抹竹味付け塩の作製方法:
(1)80gの粗製塩を篩に通された抹竹、竹葉エッセンスと均一に混合した。
【0247】
(2)ミルで上記混合物を研磨して均一な粉末状の味付け塩にした。
【0248】
実施例5.抹竹を食事サプリメント(固形飲料)とする人体の脂質代謝に対する調節および骨質粗しょう症の予防・治療
5.1 試験方法
実施例1.6で製造された苦竹-抹竹を4g/袋のミニパックに小分けし、温水で服用し、あるいは牛乳、蜂蜜水に入れて撹拌してから服用した。毎日、午前と午後、1袋ずつ服用した。
【0249】
異なる程度の肥満、脂質代謝異常またはインスリン抵抗性を有する男性と女性を8名ずつ被験者として選択し(年齢は30~64歳の間に分布し、代謝性慢性疾患を除き、ほかの臨床疾患の所見がない)、3か月の試食試験を行った。被験対象は計16名で、基本の状況は表27に示す。
【0250】
【表27】
【0251】
試験期間内において、被験者は元の生活習慣のままで、抹竹を食事サプリメントの形態として摂取した。それぞれ試験の前後に空腹の血液サンプルを採取し、血中脂質レベルおよび骨密度(超音波骨密度計、左足首)を検出した。毎週、同様の時刻で体重およびウエストを記録し、同時に試験期間内における様々な自覚症状、たとえば食欲、睡眠、気分、排便、血圧などに対する影響を記録した。
【0252】
5.2 試験結果
5.2.1 抹竹の血中脂質および体脂肪に対する調節作用
16名の被験者の3か月の試験前後の体脂肪および血中脂質の変動状況を表28に示す。
【0253】
【表28】
【0254】
表28のデータでは、抹竹の被験者の体脂肪および血中脂質に対して顕著な調節作用を有することが示された。16名の被験者の体重減少の幅は0.7~4.5 kgの間で、また被験者はいずれもウエストが減少した(2~4cm)ことから、抹竹の肥満患者の中心性脂肪の減少にある程度の効果があることが示された。同時に、多くの被験者はTG、TCおよびLDL-cのレベルが低下する傾向にあり、中では、1#、2#および14#は3か月の試験を経て異常であった血清TGおよびTC指標が正常のレベルに回復し、7#、9#、10#は顕著に低下した。1#被験者を除き、ほかの被験者はHDL-cが異なる程度で上昇し、中では、2#、15#および16#は効果が顕著であった。LDL-cでは、2#、7#、9#および10#被験者はLDL-cが顕著に低下して正常値になった。以上の結果から、抹竹を食事サプリメントとして摂取すると、有効に肥満者の脂質代謝を調節し、同時に体脂肪および血中脂質を低下させるという顕著な効果を果たすことがわかる。
【0255】
5.2.2 抹竹の骨質粗しょう症に対する予防・治療作用
以上の8名の被験者の試験前後の骨密度の変動状況を表30に示す。結果から、抹竹に豊富に含まれるミネラル、特に有機ケイ素や有機ゲルマニウムなどの特徴的成分は有効に中高年の骨質の流失を改善し、特に更年期の女性に顕著な効果があることがわかる。
【0256】
【表29】
【0257】
本発明は、新鮮な竹葉を原料とし、独特な加工技術を使用し、色合いがエメラルドグリーンで、香りが爽やかで、均一できめ細かい超微粉末を創り出し、それを抹竹と名づけたが、抹茶に近い加工適性および健康効果を有し、人類社会に天然で、エコで、竹葉の化学物質および食物繊維を豊富に含む、新規な食品の機能性配合成分および/または食事サプリメント成分を提供する。
【0258】
最後に、注意すべきのは、以上挙げられたのは本発明のいくつかの具体的な実施例に過ぎないことである。もちろん、本発明は以上の実施例に限定されず、さらに多くの変形が可能である。当業者によって本発明で公開された内容から直接得られるか、または連想されるすべての変形は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12
図13
図14