(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】通信システムにおいてパッシブラウンドトリップタイム(RTT)遅延を判定する方法
(51)【国際特許分類】
H04L 47/283 20220101AFI20220407BHJP
【FI】
H04L47/283
(21)【出願番号】P 2020544443
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2018057884
(87)【国際公開番号】W WO2019166108
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-10-16
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】ゴッチ ガルシア, イボン
(72)【発明者】
【氏名】ムニョース キルシュベルク, ハビエル
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/057773(WO,A1)
【文献】特開2003-163685(JP,A)
【文献】米国特許第07636321(US,B1)
【文献】国際公開第2017/131565(WO,A1)
【文献】特開2009-290524(JP,A)
【文献】特開2005-117587(JP,A)
【文献】特開2017-017587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-13/18,41/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システム(1)に動作可能に接続された第1のデバイス(4)と第2のデバイス(6)との間でデータ伝送プロトコルに従ってデータパケット(2a~2d)を交換するための前記通信システム(1)においてパッシブラウンドトリップタイム(RTT)遅延を判定する方法であって、前記第1のデバイス(4)が、第1のデバイス識別によって識別され、前記第2のデバイス(6)が、第2のデバイス識別によって識別され、前記データパケット(2a~2d)が、ソースアドレス(3b)および宛先アドレス(3a)を含むアドレス部分(3)を含み、前記方法が、
a.前記通信システム(1)内のノード(5)によって、前記第1のデバイス(4)に由来し、かつ、前記第2のデバイス(6)に向けられたデータパケット(2a)を受信するステップであって、前記データパケット(2a)の前記アドレス部分(3)の前記ソースアドレスが前記第1のデバイス識別であり、前記データパケット(2a)の前記アドレス部分(3)の前記宛先アドレスが前記第2のデバイス識別である、データパケット(2a)を受信するステップと、
b.前記受信されたデータパケット(2a)の前記ソースアドレスである前記第1のデバイス識別を、前記ノード(5)によって、修正するステップと、
c.修正されたデータパケット(2b)を提供するように、前記ソースアドレスである前記修正された第1のデバイス識別および前記宛先アドレスである前記第2のデバイス識別を含むアドレス部分を有する前記受信されたデータパケット(2a)を、前記ノード(5)によって、修正するステップと、
d.前記データパケット(2a)の前記アドレス部分(3)の少なくとも前記ソースアドレスを前記修正されたデータパケット(2b)の前記アドレス部分の前記ソースアドレスである前記修正された第1のデバイス識別にリンクさせることによって、アドレス変換テーブル(7)において、前記ノード(5)によって、前記受信されたデータパケット(2a)の前記アドレス部分を前記修正されたデータパケット(2b)の前記アドレス部分とリンクさせるステップと、
e.前記修正されたデータパケット(2b)を前記第2のデバイス(6)に、前記ノード(5)によって、第1の時点において、送信するステップと、
f.前記ノード(5)によって、第2の時点において、前記第2のデバイス(6)から、さらなるデータパケット(2c)を受信するステップであって、前記さらなるデータパケット(2c)の前記アドレス部分の前記宛先アドレスが、前記修正された第1のデバイス識別であり、前記さらなるデータパケット(2c)の前記アドレス部分の前記ソースアドレスが、前記第2のデバイス識別であり、前記さらなるデータパケット(2c)が、前記修正されたデータパケット(2b)に応答している、さらなるデータパケット(2c)を受信するステップと、
g.修正されたさらなるデータパケット(2d)を提供するように、前記アドレス変換テーブル(7)を使用する、前記宛先アドレスである前記第1のデバイス識別および前記ソースアドレスである前記第2のデバイス識別を含むアドレス部分を有する前記受信されたさらなるデータパケット(2c)を、前記ノード(5)によって、修正するステップと、
h.前記修正されたさらなるデータパケット(2d)を前記第1のデバイス(4)に、前記ノード(5)によって、送信するステップと、
i.前記第1のおよび第2の時点から前記RTT遅延を、前記ノード(5)によって、判定するステップと
を含み、前記ノード(5)は、前記通信システム(1)のアクセスネットワーク内に位置する、方法。
【請求項2】
前記第1のデバイス(4)が、前記通信システム(1)のアクセスネットワークに接続するユーザ機器(UE)(51)であり、前記第2のデバイス(6)が、前記通信システム(1)のサーバ(53)であり、前記RTTが、アップリンク通信方向でのラウンドトリップタイムクライアント(RTTc)遅延について測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のデバイス(4)が、前記通信システム(1)のサーバ(53)であり、前記第2のデバイス(6)が、前記通信システム(1)のアクセスネットワークに接続するユーザ機器(UE)(51)であり、前記RTTが、ダウンリンク通信方向におけるラウンドトリップタイムサーバ(RTTs)遅延について測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データ伝送プロトコルが、インターネットプロトコル(IP)タイプデータ伝送プロトコルであり、データパケット(2a~2d)の前記アドレス部分(3)が、前記第1のデバイス(4)の
ソースIPアドレスおよびポート番号、前記第2のデバイス(6)の
宛先IPアドレスおよびポート番号、および前記データ伝送プロトコルを識別するプロトコル識別を含む5-tuple情報を含み、前記ノード(5)が、前記受信されたデータパケット(2a)の前記アドレス部分を修正する前に、前記アドレス部分(3)に含まれる前記プロトコル識別をチェックし、ステップb~iが、前記プロトコル識別に応じて実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記プロトコル識別が、クイックユーザデータグラムプロトコル(UDP)インターネット接続(QUIC)プロトコルを指すとき、ステップb~iが、実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のデバイス識別を修正するステップが、前記ソースIPアドレスおよびポート番号のうちの1つまたは両方を修正することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ソースポート番号を修正することが、
- 前記ソースポート番号を1だけインクリメントすること、
- 前記ソースポート番号を1だけデクリメントすること、
- 前記ソースポート番号を任意の整数値だけインクリメントすること、
- 前記ソースポート番号を任意の整数値だけデクリメントすること
のうちの1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ソースIPアドレスが、ホスト部分およびネットワーク部分を含み、前記ソースIPアドレスを修正することが、
- 前記ソースIPアドレスを1だけインクリメントすること、
- 前記ソースIPアドレスを1だけデクリメントすること、
- 前記ソースIPアドレスを任意の整数値だけインクリメントすること、
- 前記ソースIPアドレスを任意の整数値だけデクリメントすること
のうちの1つによって前記ホスト部分を修正することを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
前記さらなるデータパケット(2c)を受信するステップが、前記宛先アドレスである前記修正された第1のデバイス識別および前記ソースアドレスである前記第2のデバイス識別を含むアドレス部分を有する第1のさらなるデータパケットを受信するまで、前記第2のデバイス(6)から受信されたデータパケット(2c)の前記アドレス部分(3)を、前記ノード(5)によって、検査することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のデバイス(4)から受信された前記データパケット(2a)を修正するステップが、前記第1のデバイス(4)から受信された同じデータストリームのすべての後続のデータパケットに、前記ノード(5)によって、適用される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のデバイス(6)から受信された前記さらなるデータパケット(2c)を修正するステップが、前記第2のデバイス(6)から受信された同じデータストリームのすべての後続のさらなるデータパケットに、前記ノード(5)によって、適用される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の時点および前記第2の時点が、前記ノード(5)に記憶された前記アドレス変換テーブル(7)に第1のタイムスタンプおよび第2のタイムスタンプとして記憶される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ノード(5)が、パケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)(52)および前記通信システム(1)の前記アクセスネットワーク内に配置されたポリシ制御および施行ポイント(PCEP)のうちの1つである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
通信システム(1)に動作可能に接続された第1のデバイス(4)と第2のデバイス(6)との間でデータ伝送プロトコルに従ってデータパケット(2a~2d)を交換するためのパッシブラウンドトリップタイム(RTT)遅延を判定するための、前記通信システム内で動作するように配置された、ノード(5)であって、前記ノード(5)が、前記データパケット(2a~2d)を交換するためのトランシーバデバイス(8)、アドレス変換テーブル(7)を記憶するための記憶デバイス(9)、およびコンピュータ制御されたRTT測定デバイス(10)を備え、前記RTT測定デバイス(10)が、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行するために前記トランシーバデバイス(8)および前記記憶デバイス(9)を制御するように配置された、ノード(5)。
【請求項15】
プログラムコードを備える、コンピュータプログラ
ムであって、前記プログラムコードが、通信システム(1)に動作可能に接続された第1のデバイス(4)と第2のデバイス(6)との間でデータ伝送プロトコルに従ってデータパケット(2a~2d)を交換するために前記通信システム(1)内に配置されたノード(5)のコンピュータによって前記プログラムコードが実行されたときに、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータ命令を含む、コンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電気通信に関し、より詳細には、通信システムに動作可能に接続されたデバイスの間のデータ伝送プロトコルに従ったデータパケットの交換のための通信システムに関する。本開示はさらに、方法を運用するためのゲートウェイ機能性を提供するための1つまたは複数のサーバを設定するためのコンピュータプログラムコード命令を含むコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ラウンドトリップタイム(RTT:Round Trip Time)は、第1のまたはクライアントデバイス、たとえば、通信システム内のサーバまたはノード、が要求を第2のデバイス、たとえば、通信システム内の別のサーバまたは別のノード、に送るときからのおよび第1のデバイスが第2のデバイスからの応答を受信するときの、一般にミリ秒で測定される、持続期間である。RTTは、たとえば、ネットワークロードおよびネットワークレイテンシの通信システムにおける極めて重要な性能測定基準である。RTTは、一般に、フローまたは5-tupleごとに測定され、高次アグリゲーションが可能である(ユーザ機器(UE)とネットワークノードとの間のRTTなど)。
【0003】
通信システムを目的としておよびその適用例について、クライアントとサーバとの間の双方向通信において、RTTは、一般に、通信システムからクライアントに向けて、RTTcと呼ばれる、および通信システムからサーバに向けて、RTTsと呼ばれる、およびフローまたは5-tupleごとに、指向的に計算される。RTTはまた、2つのサーバの間または2つのクライアントの間など、同等の能力を有するピアの間で測定され得る。
【0004】
クライアントがアクセスネットワーク、たとえば、無線アクセスネットワーク(RAN)、を介して通信システムにアクセスする、通信システムにおけるクライアントとサーバとの間の通信の場合、RTTcは、ダウンリンクにおいてクライアントに向けてサーバによって送信されるセグメントまたはデータパケットがアクセスネットワーク内のモニタリングポイント、たとえば、ノード、を横断してから、サーバに向けた肯定応答がアップリンク内の同じモニタリングポイントを横断するまでの時間として計算することができる。
【0005】
そのような通信において、RTTは、アップリンクにおけるサーバに向けたセグメントまたはデータパケットノードがアクセスネットワーク内のモニタリングポイントを横断してから、クライアントに向けた肯定応答がダウンリンク内の同じモニタリングポイントを横断するまでの時間として計算することができる。
【0006】
RTT測定を使用する適用例および使用事例は、以下を含み得る:
a.体感の質の測定および分析論:たとえば、モバイル通信システムのような通信システムにおいて、RTTcは、アクセスネットワーク、たとえば、RAN、を含むクライアントまでの距離を表す。高いRTTc値は、クライアントへの情報の送信における問題、たとえば、データパケットの過度のバッファリング、誤った経路指定の結果としての過多な伝送ホップ、低データレート伝送線など、を示し得る。同様に、高いRTTs値はまた、過度のバッファリングおよび遅い伝送線を指摘し得るが、コンテンツを供給する問題を示し得る遠隔のまたは高負荷の(応答の遅延が存在する)サーバにクライアントがアクセスしていることもまた示し得る。
b.トラフィック最適化:制御された遅延アプローチリレーに基づく-CoDelアルゴリズムなどのいくつかのアクティブキュー管理(AQM:Active Queue Management)技法のトラフィック最適化実装形態-クライアントおよびサーバの両方に向けた5-tupleまたはフローごとのRTT測定は、RTT知識を必要とする。
【0007】
フローまたは5-tupleごとのRTT測定を使用する通信システムにおけるいくつかの他の適用例および使用事例がある。
【0008】
通信システムからのRTT計算は、アクティブにおこなうことができ、通信システムは、データパケットまたはメッセージをノードに送り、応答を待ち、経過時間を測定する、あるいはパッシブに、通信システムによって既に運ばれている加入者トラフィックを使用する。
【0009】
アクティブRTT測定は、インターネット制御メッセージプロトコル(ICMP:Internet Control Message Protocol)メッセージ(通常は「ピング」の送信と呼ばれる)を含む。パッシブRTT測定は、データパケットの受信器がその受信を確認するために要する時間を測定することによって、伝送制御プロトコル(TCP:Transport Control Protocol)のようなある種のトランスポートプロトコルで利用可能である。そのような技法は、先行技術に包含される。
【0010】
アクティブRTT測定は、通信システムが追加のトラフィックを送ることを必要とし、パケットまたはメッセージの受信器がその処理をサポートすることおよびそれに答えることを必要とする。したがって、それは、すべてのネットワーク要素によってサポートされない協調的手続きである。また、それは、明らかな手続きであり-実装されるとき、通信システムが測定を実行していることが明確であり-情報漏洩につながる可能性があり、改ざんに弱くなり得る。
【0011】
通信システムは、既存のトラフィックを再使用してRTTを計算し、すべてのエンドポイントはパッシブRTT測定をサポートするので、パッシブRTT測定は、エンドポイントからのサポートを必要としない。パッシブRTT測定はまた、「サイレント」である-通信システムがある特定のフローでRTT測定を実行しているかどうかを告げることは不可能である。パッシブRTT測定はまた、追加のトラフィックを生み出さず、必要とされるメッセージを転送するために中間要素に依存しない。
【0012】
パッシブ先行技術RTT測定は、ある特定のプロトコルでのみ機能し得る。通信システムは、透過的に測定を実施することができるように、RTTの測定を可能にするための基本的トラフィックを運ぶプロトコルを必要とする。
【0013】
TCPは、パッシブ先行技術RTT測定を可能にするそのようなプロトコルのうちの1つである。通信システムは、たとえば、ディープパケットインスペクション(DPI:Deep Packet Inspection)技法を使用して-ある特定のTCPノードのシーケンス番号を検査し、後で肯定応答をそれらのノードに相互に関連付けることができるので、パッシブRTT測定は、加入者TCPトラフィックを有する通信システムにおいて可能である。
【0014】
TCPは、シーケンス番号および肯定応答を含むので、クライアントまたはサーバがある特定のシーケンス番号の受信を確認するのに要する時間としてRTTを測定することは比較的容易である(そして、よく知られている)。TCPは、双方向であり、したがって、RTTcおよびRTTsの計算を可能にする。
【0015】
検査されるノードは相手側で肯定応答を生成すると想定し、肯定応答を生み出すために相手側のTCPスタックが要する時間を無視して、時間の差はその方向でのRTTであると想定することができる。送信時間は、一般に、処理時間の数桁大きいので、これは事実である。
【0016】
他の主要なトランスポートレベルプロトコルは、たとえば、ユーザデータグラムプロトコル(UDP:User Datagram Protocol)およびクイックUDPインターネット接続(QUIC:Quick UDP Internet Connections)プロトコルである。
【0017】
QUICは、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)の最上部で実行する「半トランスポート」プロトコルである。UDPおよびQUICの追加は、正常な配信、再送信、輻輳制御および終端間暗号化を含むトランスポートプロトコルのすべての特徴および機能性を届ける。
【0018】
QUICは、アクセスネットワークに関する変化に対して回復性がある。内部識別子が、同じ概念的QUIC(トランスポートレベル)フロー内への異なるソースIPアドレスおよびポートからの2つの5-tuple UDPフローをサーバがリンクさせることを可能にするQUICにおいて規定される。
【0019】
この回復力の使用事例は、通信システム変更を横断してQUICフロー(および状況)を保持することである-加入者が、通信システムの接続を切り、異なる通信システムに再び加わるとき、QUICフローは回復することが可能であり、再交渉は必要とされず、暗号化コンテキストが取得および再使用され、そして、アプリケーションデータ交換は、影響を受けないままであり続けることが可能である。
【0020】
QUICは、同じQUICフローに2つの5-tuple UDPフロー(異なるソースIPアドレスおよびポートを有する)をリンクさせることによって、この回復機能を実装することができる。
【0021】
UDPおよびQUICは、たとえば、シーケンス番号または肯定応答番号を含まないプロトコルの例であり、そして、含まれるとき、UDPまたはQUICを介する先行技術のパッシブRTT測定を不可能にする、QUICの場合のように、それらは暗号化される。これは、先行技術のパッシブRTT測定を使用する、前述の使用事例、たとえば、体感の質(QoE:Quality of Experience)測定またはいくつかのトラフィック最適化、のうちのいくつかはQUICトラフィックに適用することができないことを意味する。
【0022】
米国特許出願第2003/106067(A1)号は、ネットワークアドレス変換(NAT)ファイアウォール、プロキシなどのゲートウェイサービスのケーブルモデムおよび/またはセットトップボックスなどのRFケーブルデバイスへの統合を開示する。
【0023】
米国特許第7636321(B1)号は、単一測定ポイントを使用する通信ネットワークにおける送信器と受信器との接続のRTTを計算するための方法およびシステムに関する。本方法は、測定ポイントを通過する第1のパケットのタイムスタンプ処理、および前記測定を通過する第2のパケットのタイムスタンプ処理を含む。
【発明の概要】
【0024】
通信システムにおいて2つのデバイスの間でデータパケットが交換されることによって体感されるRTTsをパッシブに測定することが、本明細書の実施形態の目的である。
【0025】
本開示の第1の態様では、通信システムに動作可能に接続された第1のデバイスと第2のデバイスとの間でデータ伝送プロトコルに従いデータパケットを交換するための通信システムにおいてパッシブラウンドトリップタイム(RTT)遅延を判定する方法が提示され、第1のデバイスは、第1のデバイス識別によって識別され、第2のデバイスは、第2のデバイス識別によって識別され、データパケットは、ソースアドレスおよび宛先アドレスを含むアドレス部分を含む。
【0026】
本方法は、以下のステップを含む:
a.通信システム内のノードによって、第1のデバイスに由来するおよびし、かつ、第2のデバイスに向けられたデータパケットを受信するステップであって、データパケットのアドレス部分のソースアドレスは第1のデバイス識別であり、データパケットのアドレス部分の宛先アドレスは宛先アドレスとしての第2のデバイス識別である、データパケットを受信するステップと、
b.受信されたデータパケットのソースアドレスである第1のデバイス識別を、ノードによって、修正するステップと、
c.修正されたデータパケットを提供するように、ソースアドレスである修正された第1のデバイス識別および宛先アドレスである第2のデバイス識別を含むアドレス部分を有する受信されたデータパケットを、ノードによって、修正するステップと、
d.データパケットのアドレス部分の少なくともソースアドレスを修正されたデータパケットのアドレス部分のソースアドレスである修正された第1のデバイス識別にリンクさせることによって、アドレス変換テーブルにおいて、ノードによって、受信されたデータパケットのアドレス部分を修正されたデータパケットのアドレス部分とリンクさせるステップと、
e.第1の時点において、ノードによって、修正されたデータパケットを第2のデバイスに送信するステップと、
f.第2の時点において、第2のデバイスから、ノードによって、さらなるデータパケットを受信するステップであって、さらなるデータパケットのアドレス部分の宛先アドレスは、修正された第1のデバイス識別であり、さらなるデータパケットのアドレス部分のソースアドレスは、ソースアドレスとしての第2のデバイス識別である、さらなるデータパケットを受信するステップと、
g.修正されたさらなるデータパケットを提供するように、アドレス変換テーブルを使用する、宛先アドレスである第1のデバイス識別およびソースアドレスである第2のデバイス識別を含むアドレス部分を有する受信されたさらなるデータパケットを、ノードによって、修正するステップと、
h.修正されたさらなるデータパケットを第1のデバイスに、ノードによって、送信するステップと、
i.第1のおよび第2の時点からRTT遅延を、ノードによって、判定するステップ、
そこで、ノードは、通信システムのアクセスネットワーク内に位置する。
【0027】
本開示による方法は、たとえば、データパケットの配信のために利用可能なアドレス部分以外の、識別子が暗号化され得る、データパケットにおける、シーケンス番号または識別子、肯定応答番号または識別子、へのアクセスに依存しない。
【0028】
さらなるデータパケット内の修正された第1のデバイス識別を検出および識別することは、本開示によるRTT計算を可能にする。したがって、本開示による方法は、一般に、通信システムにおいて適用される様々なデータ伝送プロトコルに適用可能である。本開示によりRTTをパッシブに測定することによって、通信ネットワークにおける追加のシグナリングが、効果的に回避される。
【0029】
アドレス変換テーブルを使用する受信されたさらなるデータパケットをノードによって修正することと、修正されたさらなるデータパケットを第1のデバイスに送信することとによって、第1のデバイスは、本開示によるRTT計算または測定を目的としてデータパケットにおこなわれる修正を通知しないことになる。
【0030】
本開示および請求項で使用されるアドレス部分という用語は、データパケットの起点またはソースまたは宛先に関するそれぞれのネットワークまたはデータ伝送プロトコルレベルの任意のレベルでのデータパケットの任意の部分を参照するものとして解釈されるものとする。前述のように、RTTは、しばしば、指向的に測定される、すなわち、RTTcおよびRTTs。一実施形態によれば、第1のデバイスは、通信システムのアクセスネットワークに接続するユーザ機器(UE)であり、第2のデバイスは、通信システムのサーバであり、RTTは、アップリンク通信方向でのラウンドトリップタイムクライアント(RTTc)遅延について測定される。
【0031】
別の実施形態によれば、第1のデバイスは、通信システムのサーバであり、第2のデバイスは、通信システムのアクセスネットワークに接続するユーザ機器(UE)であり、RTTは、ダウンリンク通信方向におけるラウンドトリップタイムサーバ(RTTs)遅延について測定される。
【0032】
さらなる実施形態において、データ伝送プロトコルは、インターネットプロトコル(IP)タイプデータ伝送プロトコルであり、データパケットのアドレス部分は、第1のデバイスのIPアドレスおよびポート番号と、第2のデバイスのIPアドレスおよびポート番号と、データ伝送プロトコルを識別するプロトコル識別とを含む、5-tuple情報を含み、受信されたデータパケットのアドレス部分を修正する前にノードは、アドレス部分に含まれるプロトコル識別をチェックし、ステップb~iが、プロトコル識別に応じて実行される。すなわち、適用される修正は、特定の識別されたプロトコルに依存し得る。
【0033】
RTTは、フローごとにまたは5-tupleごとに測定され得る。5-tupleは、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)接続を含む5つの異なる値のセットを指す。それは、ソースIPアドレス/ポート番号、宛先IPアドレス/ポート番号および使用中のプロトコルを含む。別法として、QUICプロトコルもまた、使用され得る。
【0034】
本開示の一実施形態において、プロトコル識別が、クイックUDPインターネット接続(QUIC)プロトコルを指すとき、ステップb~iが、実行され得る。
【0035】
本開示による方法の一実施形態において、第1のデバイス識別を修正することは、ソースIPアドレスおよびポート番号のうちの1つまたは両方を修正することを含む。ソースIPアドレスは、使用されていないまたは通信システムのそれぞれのノードによる通信において使用されていない範囲からIPアドレスを選択することによって、修正され得る。しかしながら、IPアドレスはまた、予約された範囲からまたは他の方法で一意的に選択され得る。
【0036】
本開示の一実施形態によれば、ソースポート番号を修正することは、以下のうちの1つを含む:
- ソースポート番号を1だけインクリメントすること、
- ソースポート番号を1だけデクリメントすること、
- ソースポート番号を任意の整数値だけインクリメントすること、
- ソースポート番号を任意の整数値だけデクリメントすること。
【0037】
本方法の別の実施形態によれば、ソースIPアドレスは、ホスト部分およびネットワーク部分を含み、ソースIPアドレスを修正することは、以下のうちの1つによってホスト部分を修正することを含む:
- ソースIPアドレスを1だけインクリメントすること、
- ソースIPアドレスを1だけデクリメントすること、
- ソースIPアドレスを任意の整数値だけインクリメントすること、
- ソースIPアドレスを任意の整数値だけデクリメントすること。
【0038】
IPアドレスを修正するとき、たとえば、一時的にまたは恒久的に、修正されたIPアドレスが固有である、すなわちノードの通信で使用されていない、かどうかがチェックされ得る。
【0039】
本開示の一実施形態によれば、さらなるデータパケットを受信することは、宛先アドレスとしての修正された第1のデバイス識別およびソースアドレスとしての第2のデバイス識別を含むアドレス部分を有する第1のさらなるデータパケットを受信するまで、第2のデバイスから受信されたデータパケットのアドレス部分を、ノードによって、検査することを含む。
【0040】
単一データパケットで動作するのではなくて、本開示の一実施形態では、第1のデバイスから受信されたデータパケットを修正することが、第1のデバイスからおよび/または第2のデバイスから受信された同じデータストリームのすべての後続のデータパケットに、ノードによって、適用される。
【0041】
本開示による方法の一実施形態において、第1の時点および第2の時点は、ノードに記憶されたアドレス変換テーブル内の第1のタイムスタンプおよび第2のタイムスタンプとして記憶される。
【0042】
ノードは、パケットデータネットワーク(PDN:Packet Data Network)ゲートウェイ(P-GW)および通信システムのアクセスネットワーク内に配置されたポリシ制御および施行ポイント(PCEP:Policy Control and Enforcement Point)のうちの1つでもよい。
【0043】
本開示の第2の態様において、通信システムに動作可能に接続された第1のデバイスと第2のデバイスとの間でデータ伝送プロトコルに従いデータパケットを交換するためのパッシブラウンドトリップタイム(RTT)遅延を判定するための、通信システム内で動作するように配置された、ノードが提示され、そのノードは、データパケットを交換するためのトランシーバデバイス、アドレス変換テーブルを記憶するための記憶デバイス、およびコンピュータ制御されたRTT測定デバイスを備え、RTT測定デバイスは、前の請求のいずれかによる方法を実行するためにトランシーバデバイスおよび記憶デバイスを制御するために配置される。
【0044】
本開示の第3の態様において、コンピュータ可読媒体に記憶されたプログラムコードを含む、コンピュータプログラム製品が提示され、プログラムコードは、通信システムに動作可能に接続された第1のデバイスと第2のデバイスとの間でデータ伝送プロトコルに従ってデータパケットを交換するための通信システム内に配置されたノードのコンピュータによってプログラムコードが実行されたとき、本開示の第1の態様で提示された実施形態のいずれかに従って方法を実行するためのコンピュータ命令を含む。
【0045】
本開示の前述のおよび他の態様が、使用中のパケットデータトランスポートまたはデータトラフィックプロトコルとしてクイックユーザデータグラムプロトコル(UDP)インターネット接続(QUIC)プロトコルを想定して、後述の例を参照して明らかになるおよび説明されることになる。しかしながら、本開示はQUICプロトコルに限定されるものとして解釈されるべきではないことにはっきりと留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】パッシブRTT測定のためのデータパケットを交換するための通信システムを概略的に示す。
【
図2】本開示による方法の一般的ステップを流れ図タイプの図に示す。
【
図3】UDPレベルマーキング(UDPポート)を介するQUICトラフィックのRTTs計算を図表で表す。
【
図4】UDPレベルマーキング(UDPポート)を介するQUICトラフィックのRTTc計算を図表で表す。
【
図5】UDPレベルマーキング(IPアドレス)を介するQUICトラフィックのRTTs計算を図表で表す。
【
図6】UDPレベルマーキング(IPアドレス)を介するQUICトラフィックのRTTc計算を図表で表す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1で、参照数字1は、たとえば、無線アクセスネットワーク(RAN)などのアクセスネットワークの中間ノード5によって、通信システム1に動作可能に接続された第1のデバイス4と第2のデバイス6との間でデータ伝送プロトコルに従ってデータパケット2a~2dを交換するための通信システム1を指す。第1のデバイス4は、第1のデバイス識別によって識別され、第2のデバイス6は、第2のデバイス6識別によって識別される。たとえば、送信を目的とするコンテンツ部分、プリアンブルおよび/または他の部分の中の、データパケット2a~2dは、宛先アドレス3aおよびソースアドレス3bを含むアドレス部分3をそれぞれ含む。本開示および請求項で使用されるとき、アドレス部分という用語は、データパケットの起点またはソースまたは宛先に関するそれぞれのネットワークまたはデータ伝送プロトコルレベルの任意のレベルでのデータパケットの任意の部分を指すと解釈されるものとする。
【0048】
第1のデバイス4から第2のデバイス6に送信されるデータパケットの場合、このデータパケットのソースアドレス3bは第1のデバイス識別を指し、宛先アドレス3aは第2のデバイス識別を指す。第2のデバイス6から第1のデバイス4に送信されるデータパケットの場合、このデータパケットのソースアドレス3bは第2のデバイス識別を指し、宛先アドレス3aは第1のデバイス識別を指す。
【0049】
ノード5は、第1のデバイス4と第2のデバイス6との間で通信システム1においてデータパケット2a~2dを交換するために配置されたトランシーバ機器8を備える。第1のデバイス4から第2のデバイス6に送信される、データパケット2aが、ノード5によって受信されるとき、ノード5は、データパケットを第2のデバイス6に送信する前にデータパケット2aのソースアドレス部分3bを修正する。修正されたソースアドレス部分3bを有する、修正されたデータパケット2bは、次いで、ノード5によって第2のデバイス6に送信される。ノード5において、データパケット2aの少なくともソースアドレス部分3bをデータパケット2bの修正されたアドレス部分3にリンクさせるアドレス変換テーブル7が保持される。データパケット2bを第2のデバイス6に送信する、第1の時点、前に、ノードは、データパケット2bがノード5によって送信された第1の時点を識別するための第1のタイムスタンプを保持する。
【0050】
第2の時点において、第1の時点の後に、第2のデバイス6は、受信されたデータパケット2bに応答して、さらなるデータパケット2cを送信する。このさらなるデータパケット2cの宛先アドレス部分3aは、データパケット2bの修正されたソースアドレス部分3bを含み、このさらなるデータパケット2cのソースアドレス部分3bは、第2のデバイス識別を指す。ノード5でのこのさらなるデータパケット2cの受信時に、ノード5は、さらなるデータパケット2cを第1のデバイス4に送信する前に、アドレス変換テーブル7に記憶されたアドレス部分3との一致についてさらなるデータパケット2cのアドレス部分3を検査する。さらなるデータパケット2cのアドレス部分3は、データパケット2bのアドレス部分3のエントリに基づく、アドレス変換テーブル7にそのコンテンツが記憶された、データパケット2bのアドレス部分3のコンテンツを含むので、ノード5は、アドレス変換テーブル7に保持されたデータパケット2aのソースアドレス部分によってこのさらなるデータパケット2cの宛先アドレス部分3aを置き換えることによって、さらなるデータパケット2cのアドレス部分3を修正する。これは、データパケット2dが第1のデバイス4にノード5によって送信される結果をもたらす。ノード5においてさらなるデータパケット2cを受信する第2の時点、ノード5は、データパケット2cがノード5によって受信された時間を識別するために、第2のタイムスタンプを保持する。
【0051】
たとえば、2つのタイムスタンプの差から、またはノード5における処理時間を他の方法で考慮して、ノード5は、次いで、ノード5および第2のデバイス6を接続する通信システム1の部分においてデータパケット2bおよび2cの送信に関するそれぞれのRTTを判定する。
【0052】
上記で開示された方法は、第1のデバイス4とノード5との間の、通信システム1の部分におけるRTTを測定するために、ノード5と第1のデバイス4との間のデータパケット交換のために、類似の方式で、適用され得ることが理解されよう。
【0053】
図2は、流れ図タイプの図式20において、上記で開示されたステップを示し、時間は、図の最上部から最下部に流れると想定される。
【0054】
ブロック21、「データパケットを受信すること」、は、ノード5におけるデータパケット2aの受信を指す。ブロック22、「ソースアドレスを修正すること」、は、第1のデバイス識別の、受信されたデータパケット2aのソースアドレス3aの、ノード5による、修正を指す。ブロック23、「修正されたデータパケットを提供すること」、は、ソースアドレス3bとしての修正された第1のデバイス識別と宛先アドレス3aとしての第2のデバイス識別とを含むアドレス部分を有する修正されたデータパケット2bを提供するように、受信されたデータパケット2aの、ノード5による、修正を示す。ブロック24、「アドレス部分をリンクさせること」、は、修正されたデータパケット2bのアドレス部分3との受信されたデータパケット2aのアドレス部分3の、アドレス変換テーブル7における、ノード5による、リンクを指す。
【0055】
ブロック25、「修正されたデータパケットを送信」、は、修正されたデータパケット2bを、第1の時点において、ノード5によって、第2のデバイス6に、送信することを指す。ブロック26、「さらなるデータパケットを受信すること」、は、宛先アドレス3aとしての修正された第1のデバイス識別およびソースアドレス3bとしての第2のデバイス識別を含むアドレス部分3を有するさらなるデータパケット2cの、ノード5における、第1の時点より後の第2の時点における、受信を示す。ブロック27、「修正されたさらなるデータパケットを提供すること」、は、宛先アドレス3aとしての第1のデバイス識別およびソースアドレス3bとしての第2のデバイス識別を含むアドレス部分3を有する、修正されたさらなるデータパケット2dを提供するように、アドレス変換テーブル7を使用する受信されたさらなるデータパケット2cの、ノード5による、修正を指す。
【0056】
ブロック28、「修正されたさらなるデータパケットを送信すること」、は、第1のデバイス4への修正されたさらなるデータパケット2dの、ノード5による、送信を示す。ブロック29、「RTT遅延を判定すること」、は、第1のおよび第2の時点からのRTT遅延の、ノード5による、計算を指す。
【0057】
本方法は、任意の2つのピアの間のまたは異なる階層レベル-たとえばUEおよびサーバ-に位置する2つのデバイスの間のRTTを判定するために使用され得ることが、当業者には理解されよう。アップリンク方向について、第1のデバイス4またはクライアントは、通信システム1のアクセスネットワークに接続するユーザ機器(UE)、たとえば、RANに接続するモバイルUE、でもよい。アップリンク通信方向でのラウンドトリップタイムクライアント(RTTc)遅延について、第2のデバイス6は、通信システム1のサーバでもよい。ダウンリンク通信方向におけるラウンドトリップタイムサーバ(RTTs)遅延を測定するために、第1のデバイス4は、通信システム1のサーバであり、第2のデバイス6は、ユーザ機器(UE)である。
【0058】
修正されたデータパケット2bが、ノード5によって送信された後は、さらなるデータパケット2cをノード5において受信することは、宛先アドレスとしての第1のデバイス4の修正されたソースアドレスおよび第2のデバイス6を指すソースアドレスを含むアドレス部分3を有する第1のさらなるデータパケット2cを受信するまで、第2のデバイス6から受信された各データパケットのアドレス部分3を、ノード5によって、検査することを含む。
【0059】
データパケットのアドレス部分3の修正は、アドレス部分が指すそれぞれのデバイス識別の修正を含み得る。
【0060】
インターネットプロトコル(IP)タイプデータ伝送プロトコルでは、データパケットのアドレス部分3は、第1のデバイス識別としての第1のデバイス4のIPアドレスおよびポート番号と、第2のデバイス識別としての第2のデバイス6のIPアドレスおよびポート番号と、データ伝送プロトコルを識別するプロトコル識別とを含む、5-tuple情報を含む。ノード5は、受信されたデータパケット2bのアドレス部分3を修正する前に、アドレス部分3に含まれるプロトコル識別をチェックすることができる。完全性を目的として、ポート番号は、トランスポートレベル、すなわちレベル4、を指し、IPアドレスは、概念的7レイヤオープンシステム相互接続(OSI:Open Systems Interconnection)通信モデルのネットワークレベル、すなわちレベル3、を指すことに留意されたい。
【0061】
したがって、IPデータタイプ伝送プロトコルでは、ソースIPアドレスおよびポート番号のうちの1つまたは両方を修正することによってデバイス識別を修正することが可能である。ソースポート番号を修正することは、以下のうちの1つを含み得る:
- ソースポート番号を1だけインクリメントすること、
- ソースポート番号を1だけデクリメントすること、
- ソースポート番号を任意の整数値だけインクリメントすること、
- ソースポート番号を任意の整数値だけデクリメントすること。
【0062】
ソースIPアドレスは、ホスト部分およびネットワーク部分を含み、ソースIPアドレスを修正することは、以下のうちの1つによってホスト部分を修正することを含む:
- ソースIPアドレスを1だけインクリメントすること、
- ソースIPアドレスを1だけデクリメントすること、
- ソースIPアドレスを任意の整数値だけインクリメントすること、
- ソースIPアドレスを任意の整数値だけデクリメントすること。
【0063】
IPアドレスを修正するとき、修正されたIPアドレスは、たとえば、一時的にまたは恒久的に、固有であるか、すなわち、ノードの通信において使用されていないか、あるいは修正されたIPアドレスは予約された範囲の部分であるかまたは他の方法で一意的であるかがチェックされ得る。ノード5による、第2のデバイス6から受信されたさらなるデータパケット2cのアドレス部分の修正が、第2のデバイス6から受信された同じデータストリームのすべての後続のさらなるデータパケット2cに適用されるように、第1のデバイス4から受信されたデータパケット2aのアドレス部分を修正することは、第1のデバイス4から受信された同じデータストリームのすべての後続のデータパケット2aに、ノード5によって、適用され得る。
【0064】
第1の時点および第2の時点は、ノード5において記憶された、アドレス変換テーブル7に第1のタイムスタンプおよび第2のタイムスタンプとして記憶され得る。ノード5は、たとえば、パケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)あるいは通信システム1のアクセスネットワーク内に配置されたポリシ制御および施行ポイント(PCEP)でもよい。
【0065】
本開示によるパッシブラウンドトリップタイム(RTT)遅延を判定するための、通信システム1内で動作するためのノード5は、アドレス変換テーブル7を記憶するための記憶デバイス9、および、
図1に参照数字10によって図式的に示された、コンピュータ制御されたRTT測定デバイスを有して配置されることになり、RTT測定デバイス10は、パッシブラウンドトリップタイム計算を実行するためにトランシーバ機器8および記憶デバイス9を制御するために配置される。
【0066】
本発明で説明される技法および機構は、任意のクラウド実装形態に適用可能である。
【0067】
この技法は、クライアントに向けたおよびサーバに向けたRTTのパッシブ計算のための透過的マーキング機構をもたらす。
【0068】
本技法は、すべてのシナリオにおいて、2つのエンドポイントのうちの1つに向けて完全に透過的である。その他のエンドポイントに向けて、パッシブモニタリングは、アクセスネットワークの変更(割り当てられたIPアドレスまたはポートにおいて変更された)と類似の効果をもたらし得る。本解決法は、フローごとの複数のRTT測定を可能にする。本解決法は、アクセスネットワーク変更に対する回復機能を可能にするクイックUDPインターネット接続(QUIC)プロトコルデータトラフィックおよびUDPを介する他の半トランスポートプロトコルを実現する。RTTのパッシブ計算は、QoE測定の実装、分析論使用事例およびトラフィックの最適化を可能にする。
【0069】
以下の例は、QUICプロトコルの場合のRTTの計算を、
図3を参照して、説明することになる。
【0070】
この例は、パケットゲートウェイ(P-GW)52またはポリシ制御および施行ポイント関数(PCEF:Policy Control and Enforcement Point Function)52において必要とされる機能性での実装形態を想定し、これは、
図1による、通信システム1内にあるようなモバイルアクセスネットワークのノード5である。
【0071】
この例では、以下のステップは、データパケット2のアドレス部分3を使用するRTTsの計算のために従われるべきであり、具体的には、この例では、ポート値はアドレス部分3であり、第1のデバイス4はソースであり、第2のデバイス6はサーバである。
図3~6を参照する特定の例において、デバイス51は、UEまたはQUICクライアントであり、そして、デバイス53は、UE51が通信するQUICサーバである。
【0072】
P-GW52での実装形態は、以下の5-tuple情報2aでQUICフローを識別する55。新しいパッシブRTTs測定が必要とされるとき、P-GW52は、選択されたQUICフローのアップリンクで新しいデータパケット2aを待つことになる。データパケットがP-GW52で受信される57とき、ソースポート3は、1だけインクリメントされる58。別法として、ソースポート3は、任意の他の値だけインクリメントまたはデクリメントされ得る。
【0073】
P-GW52は、UE51からの「古いソースポート」、「新しいソースポート」およびUDP 5-tupleの残りの値を記憶することによって、テーブルにこの修正58を記憶することになる。データパケットは、次いで、新しいソースポート3を有するサーバ53に送られる59。P-GW52は、このイベント59、すなわち、アップリンクデータパケット2bの修正および転送、のタイムスタンプを記憶する。
【0074】
このQUICフロー(UDP 5-tuple)のアップリンク上のすべての後続のデータパケット2bについて、値「古いソースポート」を有するソースポート3は、「新しいソースポート」値に置き換えられるべきである。P-GW52は、5-tuple3の4つの最初のパラメータとマッチするダウンリンクトラフィック61を検査する。具体的には:プロトコルUDP、ソースIPアドレスsrvIP、ソースポートsrvPortおよび宛先IPアドレスueIP IPアドレスおよびポートが、アップリンクからミラーリングされる。
【0075】
ダウンリンクのデータパケット2cが、このフィルタとマッチするとき、宛先ポートをチェックする。宛先ポートが、「古いソースポート」とマッチする場合、データパケット2dが転送され、このデータパケット2dは修正されたアップリンクデータパケット2cのための肯定応答ではないと想定される。
【0076】
「新しいソースポート」とマッチする宛先ポートを有する、前のフィルタとマッチする第1のデータパケット61について、新しいタイムスタンプが、修正されたアップリンクデータパケット2cの第1の肯定応答をシグナリングするP-GW52に記憶される。RTTsが、記録された2つのタイムスタンプの差として、計算される62。したがって、RTTsは、修正されたデータパケットを送信する59ときに取得される第1のタイムスタンプとフィルタとマッチする第1のデータパケットが受信される61ときに取得される第2のタイムスタンプとの時間差として測定される。
【0077】
このデータパケット2c以降-およびこのQUICフロー(UDP 5-tuple)のダウンリンクで受信されるすべてのデータパケット2cについて-値「新しいソースポート」を含む宛先ポートは、最初の値「古いソースポート」に置き換えられるべきである63。この機構は、RTTs測定ごとに、アップリンクでの1つだけのポート変更(サーバによって検出される)を導入し、すべての後続のデータパケット2cのダウンリンクで変更がなされていないとき、ダウンリンクでは変更はない(クライアントによって検出可能な変更なし)。
【0078】
あるRTTs測定が完了した後は、別のRTTs測定が、ソースポート3の付加的インクリメント(またはデクリメント)を導入することによって、同じフローで実行され得る。導入されるソースポート3変更は、クライアント/UE51のアクセスネットワーク変更またはクライアント/UE51に影響を及ぼすキャリアグレードネットワークアドレス変換(CGNAT:Carrier Grade Network Address Translation)変更をシミュレーションする。そのような変更は、クライアント/UEポートのみに影響を及ぼし、IPアドレスには影響しないことが可能であるので、これはより典型的である。
【0079】
類似のステップが、
図4を参照して説明される、ポートマーキングを使用するRTTcの計算のために従われるべきである。この例100では、P-GW52は、アクセスネットワーク5であり、第1のデバイス4は、QUICサーバ53であり、第2のデバイス6は、クライアント/UE510であり、アドレスデータパケット3の修正された情報は、ポート値である。
【0080】
P-GW52での実装形態は、以下の5-tuple情報でQUICフロー55を識別する:トランスポートプロトコルとしてのUDPと、クライアントIPアドレスおよびポートがueIPおよびuePortであることと、サーバIPアドレスおよびポートがsrvIPおよびsrvPortであること。
【0081】
新しいパッシブRTTc測定が必要とされるとき、P-GW52は、選択されたQUICフロー56のダウンリンクで新しいデータパケット101を待つことになる。データパケットが受信される101とき、ソースポートは、1だけインクリメントされる102。別法として、ソースポートは、任意の他の値だけインクリメントまたはデクリメントされ得る。P-GW52は、サーバからの「古いソースポート」、「新しいソースポート」およびUDP 5-tupleの残りの値を記憶することによって、テーブルにこの修正を記憶することになる。
【0082】
データパケット2bは、次いで、新しいソースポートを有するUE51に送られる103。P-GW52は、このイベント(ダウンリンクデータパケット2bの修正および転送)のタイムスタンプを記憶する。このQUICフロー(UDP 5-tuple)のダウンリンクのすべての後続のデータパケット2bについて、値「古いソースポート」を有するソースポートは、「新しいソースポート」値に置き換えられるべきである。P-GW52は、5-tupleの4つの最初のパラメータとマッチするアップリンクトラフィック2cを検査する。具体的には:プロトコルUDP、ソースIPアドレスueIP、ソースポートuePortおよび宛先IPアドレスsrvIP(IPアドレスおよびポートは、ダウンリンクからミラーリングされる)。
【0083】
アップリンクのデータパケット105が、このフィルタとマッチするとき、宛先ポートをチェックする。宛先ポートが「古いソースポート」とマッチする場合、データパケット2dが転送され、このデータパケット2dは修正されたダウンリンクデータパケット2cのための肯定応答ではないと想定される。「新しいソースポート」とマッチする宛先ポートを有する前のフィルタとマッチする第1のデータパケット105について、新しいタイムスタンプが、修正されたダウンリンクデータパケット2cの第1の肯定応答をシグナリングするP-GW52に記憶される。
【0084】
RTTsが、記録された2つのタイムスタンプの差として、計算される62。このデータパケット105以降-およびこのQUICフロー(UDP 5-tuple)のアップリンクで受信されたすべてのデータパケット2cについて-値「新しいソースポート」を含む宛先ポートは、最初の値「古いソースポート」に置き換えられるべきである。すべての後続のデータパケット2cについてアップリンク上で変更がなされていないとき、この機構は、RTTs測定ごとに、ダウンリンク上の1つだけのポート変更(クライアントによって検出される)を導入し、アップリンクでは変更はない(サーバによって検出可能な変更なし)。
【0085】
RTTs測定62が完了した後は、別のRTTs測定が、ソースポートの付加的インクリメント(またはデクリメント)を導入することによって、同じフローで実行され得る。そのような変更は、サーバ53ポートのみに影響を及ぼし得、IPアドレスには影響しないことが可能なので、導入されたソースポート変更は、サーバ53のアクセスネットワーク5変更またはサーバ53に影響を及ぼすCGNAT変更をシミュレーションする-より典型的。どのような場合にも、これらの変更は、クライアント/UE51(RTTsを測定する)の場合よりもサーバ53(RTTcを測定する)の場合に稀である。サーバ53が、モバイルアクセスネットワーク1内に位置する場合、次いで、クライアント/UE51およびサーバ53の役割は、逆にすることができ、RTTsおよびRTTcの計算は、対称になる。
【0086】
IP修正例
【0087】
同技法は、IPアドレス上のおよびポート上ではないマーキングを使用して、実装することができる。本技法はさらに、
図5および6を使用して詳しく述べられる。この例150は、P-GW52で必要とされる機能性またはPCEF機能での実装形態が、
図1による、通信システム1内にあるようなモバイルアクセスネットワークのノード5であると想定する。
【0088】
この例では、以下のステップが、データパケット2のアドレス部分3を使用するRTTsの計算のために従われるべきであり、具体的には、この例では、IP値はアドレス部分3であり、第1のデバイス4はUE51であり、第2のデバイス6はサーバ53である。
【0089】
P-GW52での実装形態は、以下の5-tuple情報でQUICフロー155を識別する:トランスポートプロトコルとしてのUDPと、クライアントIPアドレスおよびポートがueIPおよびuePortであることと、サーバIPアドレスおよびポートがsrvIPおよびsrvPortであること。新しいパッシブRTTs測定が必要とされるとき、P-GW52は、選択されたQUICフローのアップリンクで新しいデータパケット2aを待つことになる。パケット2aが受信される152とき、ソースIPアドレスは、1だけインクリメントされる158。別法として、ソースIPアドレスは、任意の他の値だけインクリメントまたはデクリメントされ得る。
【0090】
P-GW52は、UEからの「古いソースIPアドレス」、「新しいソースIPアドレス」およびUDP 5-tupleの残りの値を記憶することによって、この修正をテーブルに記憶することになる。データパケット2bは、新しいソースIPアドレスを有するサーバ53に送られる159。P-GW52は、このイベント-アップリンクパケットの修正および転送-のタイムスタンプを記憶する。
【0091】
このQUICフロー(UDP 5-tuple)のアップリンク上のすべての後続のデータパケット2bについて、値「古いソースIPアドレス」を有するソースIPアドレスは、「新しいソースIPアドレス」値に置き換えられるべきである。P-GW52は、5-tupleの4つの最初のパラメータとマッチするダウンリンクトラフィックを検査する。具体的には:プロトコルUDP、ソースIPアドレスsrvIP、ソースポートsrvPortおよび宛先ポートuePort(IPアドレスおよびポートは、アップリンクからミラーリングされる)。
【0092】
ダウンリンクのデータパケット2cが、このフィルタ161とマッチするとき、宛先IPアドレスをチェックする。宛先IPアドレスが、「古いソースIPアドレス」とマッチする場合、データパケット2dが転送され、このデータパケット2dは修正されたアップリンクデータパケット2cのための肯定応答ではないと想定される。「新しいソースIPアドレス」とマッチする宛先IPアドレスを有する前のフィルタ161とマッチする第1のデータパケット2cについて、新しいタイムスタンプが、修正されたアップリンクデータパケット2cの第1の肯定応答をシグナリングするP-GW52に記憶される。
【0093】
RTTsは、記録された2つのタイムスタンプの差として計算される162。このデータパケット2c以降-およびこのQUICフロー(UDP 5-tuple)のダウンリンクで受信されるすべてのデータパケット2cについて-値「新しいソースIPアドレス」を含む宛先IPアドレスは、最初の値「古いソースIPアドレス」に置き換えられるべきである。変更が、すべての後続のデータパケット2cのダウンリンクでなされていないとき、この機構は、RTTs測定ごとに、アップリンクで1つだけのIPアドレス変更(サーバによって検出される)を導入し、ダウンリンクでの変更はない(クライアントによって検出可能な変更なし)。
【0094】
RTTs測定162が完了した後は、別のRTTs測定が、ソースIPアドレスの付加的インクリメント(またはデクリメント)を導入することによって、同フローで実行され得る。導入されたソースIPアドレス変更は、クライアント/UE4のアクセスネットワーク5変更またはクライアント/UE4に影響を及ぼすCGNAT変更をシミュレーションする。
【0095】
類似のステップが、IPマーキングを使用するRTTcの計算のために従われるべきである。この例は、P-GW52またはPCEFで必要とされる機能性に関する実装形態を通信システム1としてのモバイルアクセスネットワークのノード5であると想定する。
【0096】
図6のこの例200では、以下のステップが、データパケット2のアドレス部分3を使用するRTTsの計算のために従われるべきであり、具体的には、この例では、IP値はアドレス部分3であり、第1のデバイス6はUE51であり、第2のデバイス4はサーバ53である。
【0097】
P-GW52での実装形態は、以下の5-tuple情報でQUICフロー202を識別する:トランスポートプロトコルとしてのUDPと、クライアントIPアドレスおよびポートが、それぞれ、ueIPおよびuePortであることと、サーバIPアドレスおよびポートが、それぞれ、srvIPおよびsrvPortであること。
【0098】
新しいパッシブRTTc測定が必要とされるとき、P-GW52は、選択されたQUICフローのダウンリンクで新しいデータパケット2aを待つことになる。データパケット2aが受信される204とき、ソースIPアドレスは、1だけインクリメントされる205。別法として、ソースIPアドレスは、任意の他の値だけインクリメントまたはデクリメントされ得る。P-GW52は、サーバからの「古いソースIPアドレス」、「新しいソースIPアドレス」およびUDP 5-tupleの残りの値を記憶することによって、テーブルにこの修正を記憶することになる。
【0099】
データパケット2bが、新しいソースIPアドレスを有するUE51に送られる206。P-GW52は、このイベント-ダウンリンクパケットの修正および転送-のタイムスタンプを記憶する。このQUICフロー(UDP 5-tuple)のダウンリンク上のすべての後続のデータパケット2bについて、値「古いソースIPアドレス」を有するソースIPアドレスは、「新しいソースIPアドレス」値に置き換えられるべきである。
【0100】
P-GW52は、5-tupleの4つの最初のパラメータとマッチするアップリンクトラフィックを検査する。具体的には:プロトコルUDP、ソースIPアドレスueIP、ソースポートuePortおよび宛先IPポートsrvPort、IPアドレスおよびポートは、ダウンリンクからミラーリングされる。アップリンクのデータパケット2c以降がこのフィルタとマッチするとき、宛先IPアドレスをチェックする。宛先IPアドレスが、「古いソースIPアドレス」とマッチする場合、データパケット2dが転送され、このデータパケット2dは修正されたダウンリンクデータパケット2cのための肯定応答ではないと想定される。
【0101】
「新しいソースIPアドレス」とマッチする宛先IPアドレスを有する前のフィルタとマッチする208第1のデータパケット2cについて、新しいタイムスタンプが、修正されたダウンリンクデータパケット2cの第1の肯定応答をシグナリングするP-GW52に記憶される。RTTsは、記録された2つのタイムスタンプの差として計算される209。
【0102】
このデータパケット2c以降-およびこのQUICフロー(UDP 5-tuple)のアップリンクで受信されたすべてのデータパケット2cについて-値「新しいソースIPアドレス」を含む宛先IPアドレスは、最初の値「古いソースIPアドレス」に置き換えられるべきである。すべての後続のデータパケット2cについてアップリンクで変更がなされていないとき、この機構は、RTTs測定ごとに、ダウンリンクで1つだけのIPアドレス変更(クライアントによって検出される)を導入し、アップリンクでは変更はない(サーバによって検出可能な変更なし)。
【0103】
RTTs測定が完了した後は、別のRTTs測定が、ソースIPアドレスの付加的インクリメント(またはデクリメント)を導入することによって、同フローで実行され得る。導入されたソースIPアドレス変更は、サーバ4のアクセスネットワーク5変更またはサーバに影響を及ぼすCGNAT変更をシミュレーションする。どのような場合にも、これらの変更は、クライアント/UE(RTTsを測定する)よりもサーバ(RTTcを測定する)の場合に稀である。サーバが、モバイルアクセスネットワーク内に位置する場合、次いで、クライアント/UEおよびサーバの役割は、逆にすることができ、RTTsおよびRTTcの計算は、対称になる。
【0104】
前述の例は、IPアドレスまたはポートのいずれかを変更する。しかしながら、付加的な他の実装形態は、容易に、IPアドレスまたはポートの両方を変更し得る。これらのシナリオは、前述の例の自然進化であり、当業者には容易に理解される。したがって、そのようなシナリオの明示的記述は、避けられている。
【0105】
記載された使用事例は、QUICのRTTsおよびRTTcを計算する。示されたように、QUICの要件は、ネットワークアクセス変更をサポートすること以外には存在しない。アクセスネットワーク変更に対する回復力のための類似の技法を実装するUDPで実行する任意の他のプロトコルもまた、RTTの測定のためにサポートされ得る-たとえば、P2Pプロトコルのように。
【0106】
機能手段またはモジュールは、デジタルロジックおよび/または1つまたは複数のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、または他のデジタルハードウェアを使用して実装され得ることが、通信設計に精通している者には容易に理解されよう。いくつかの実施形態において、様々な機能のうちのいくつかまたはすべては、たとえば、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)において、あるいはそれらの間に適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアインターフェースを有する2つ以上の別個のデバイスにおいて、一緒に実装され得る。それらの機能のうちのいくつかは、たとえば、無線端末またはネットワークノードの他の機能的構成要素と共用されるプロセッサで実装され得る。
【0107】
別法として、論じられた処理手段の機能的要素のうちのいくつかは、専用ハードウェアの使用を介して提供され得るが、他は、適切なソフトウェアまたはファームウェアと関連して、ソフトウェアを実行するためのハードウェアで提供される。したがって、本明細書では「プロセッサ」または「コントローラ」という用語は、ソフトウェアを実行する能力を有するハードウェアだけを指すのではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読取り専用メモリ(ROM)、ソフトウェアおよび/またはプログラムまたはアプリケーションデータを記憶するためのランダムアクセスメモリ、および不揮発性メモリを黙示的に含み得、これらに限定されない。他のハードウェア、従来型および/またはカスタム、もまた、含まれ得る。
【0108】
開示された実施形態の修正形態および他の実施形態が、前述の説明および関連図面で提示された教示の利益を有して、当業者には思い浮かぶことになろう。したがって、実施形態は開示された特定の実施形態に制限されないことと、修正形態および他の実施形態が本開示の範囲に含まれることが意図されていることとを理解されたい。特定の用語が本明細書では使用され得るが、それらは、包括的な、説明的意味でのみ使用されており、制限を目的としていない。