(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】全天太陽スペクトル装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01J 3/26 20060101AFI20220407BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20220407BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20220407BHJP
G01W 1/12 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
G01J3/26
G01J1/02 U
G01J3/36
G01W1/12 Z
(21)【出願番号】P 2021072284
(22)【出願日】2021-04-22
(62)【分割の表示】P 2018520427の分割
【原出願日】2016-10-20
【審査請求日】2021-05-12
(32)【優先日】2015-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518134079
【氏名又は名称】スペクトラフィ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPECTRAFY INC.
【住所又は居所原語表記】800 King Edward Avenue,Suite 3014 Ottawa,Ontario K1N 6N5,Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】タチシアンコウ,ビクター
(72)【発明者】
【氏名】ビール,リチャード
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-145274(JP,A)
【文献】米国特許第06597457(US,B1)
【文献】特開2013-040896(JP,A)
【文献】米国特許第06002488(US,A)
【文献】特開2008-256506(JP,A)
【文献】特開2013-108843(JP,A)
【文献】WOBROCK,W. et al.,“Direct solar radiation: spectrum and irradiance derived from sun-photometer measurements”,APPLIED OPTICS,1988年06月01日,Volume 27, Issue 11,Pages 2253-2260,頁番号誤植[pp.2258-2259]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 11/00
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/74
G01W 1/00 - G01W 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体および第1の光学コリメータ素子の間に形成された拡散空隙の絞りの前に配置される拡散器と、
前記本体の所定の位置に位置する前記絞りを備える前記本体と、
複数のコリメータ絞りを備える前記第1の光学コリメータ素子であって、各コリメータ絞りが前記
第1の光学コリメータ素子の所定の位置に位置する、前記第1の光学コリメータ素子と、
前記第1の光学コリメータ素子に隣接する第2の光学コリメータ素子の面から遠位面まで、前記第2の光学コリメータ素子を通る複数の開口を備える前記第2の光学コリメータ素子であって、前記複数の開口の各開口は、前記複数の開口が前記複数のコリメータ絞りと整列するように、前記第2の光学コリメータ素子の所定の位置に配置される、前記第2の光学コリメータ素子と、
複数の光検出器であって、前記複数の光検出器の各光検出器が、前記第2の光学コリメータ素子の前記面の遠位に前記第2の光学コリメータ素子内の前記複数の開口のうちの開口内に配置される、前記複数の光検出器と、
複数の光学フィルタであって、各光学フィルタが所定の光学波長帯域を有し、前記複数
のコリメータ絞りのうちコリメータ絞りと、前記複数の光検出器のうちの光検出器との間に配置され、前記複数のコリメータ絞りうちの前記コリメータ絞りを介して前記
拡散空隙を出る前記
拡散空隙の前記絞りに連結された光学信号をろ過する、前記複数の光学フィルタと、
を備える装置。
【請求項2】
前記拡散空隙の第1の部分と前記拡散空隙の第2の部分のうち少なくとも一方が準ランベルト材料で被覆される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の開口の各開口は、前記第2の光学コリメータ素子の前記面に向かう開口の端部と前記第2の光学コリメータ素子の前記遠位面に向かう開口の別の端部との間の所定位置に配置された、複数のさらなるコリメータ絞りのうちのさらなるコリメータ絞りを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、
前記複数のコリメータ
絞りの軸に整列した太陽正午インジケータを備え、その結果、前記装置が配備されて構造物に取り付けられ、前記太陽正午インジケータが前記構造物の位置で正午の方向に向いているときに、前記
第1の光学コリメータ
素子が南北に整列して設置位置で太陽正午の方向を向くように前記
第1の光学コリメータ
素子が配向され、
前記
第1の光学コリメータ
素子の各コリメータは、前記第1の光学コリメータ素子内の前記複数のコリメータ絞りのうちの第1のコリメータ絞りと、前記複数の光学フィルタのうちの光学フィルタと、前記第2の光学コリメータ素子内の前記複数の開口のうちの開口とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の光検出器の各光検出器によって生成される光電流をデジタル化する第1の電子回路と、
少なくとも前記複数の光検出器のデジタル化された前記光電流と、無大気での再構築太陽スペクトルのモデルとに応じて、再構築太陽スペクトルを生成する第2の電子回路と、
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記再構築太陽スペクトルが、最終的全天スペクトル、拡散太陽スペクトル及び直達太陽スペクトルのうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の光検出器の各光検出器によって生成される光電流をデジタル化する第1の電子回路と、
大気可降水蒸気、大気オゾン及び大気エアロゾルのうちの1つに関する吸収プロファイルを生成する第2の電子回路と、
をさらに備え、
前記複数の光学フィルタのうちの少なくとも1つの光学フィルタが、大気可降水蒸気、大気オゾン及び大気エアロゾルのうちの1つに応じて確定される所定の光学波長の通過帯域を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の開口の各開口は、前記第2の光学コリメータ素子の前記面に向かう前記開口の端部と前記第2の光学コリメータ素子の前記遠位面に向かう前記開口の別の端部との間の所定位置に配置された、別のコリメータ絞りをさらに備え、
前記複数の光学フィルタの各光学フィルタは、前記光学フィルタが、前記コリメータ絞りと前記第2の光学コリメータ素子との間に位置するように、前記第1の光学コリメータ素子を通る前記複数の開口のうちの開口内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の開口の各開口は、前記第2の光学コリメータ素子の前記面に向かう前記開口の端部と前記第2の光学コリメータ素子の前記遠位面に向かう前記開口の別の端部との間の所定位置に配置された、別のコリメータ絞りをさらに備え、
前記複数の光学フィルタの各光学フィルタは、前記光学フィルタが、前記コリメータ絞りと前記別のコリメータ絞りとの間に位置するように、前記第1の光学コリメータ素子を通る前記複数の開口のうちの開口内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、
前記複数のコリメータ
絞りの軸に整列した太陽正午インジケータを備え、その結果、前記装置が配備されて構造物に取り付けられ、前記太陽正午インジケータが前記構造物の位置で正午の方向に向いているときに、前記
第1の光学コリメータ
素子が南北に整列して設置位置で太陽正午の方向を向くように前記
第1の光学コリメータ
素子が配向され、
前記
第1の光学コリメータ
素子の各コリメータは、前記第1の光学コリメータ素子内の前記複数のコリメータ絞りのうちのコリメータ絞りと、前記複数の光学フィルタのうちの光学フィルタと、前記第2の光学コリメータ素子内の前記複数の開口のうちの開口と、前記複数のさらなるコリメータ絞りのうちのさらなるコリメータ絞りとを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
周囲環境からの光を受けるための前記拡散器内の別の絞りと、
前記拡散器内の前記絞りを覆い、前記拡散器に適合する前記別の絞り
のリング内に形成された精密絞りと、
前記拡散器内の前記別の絞り及び前記
別の絞り
の前記リングを覆い、前記拡散器の外に配置された保護ドームと、をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
周囲環境からの光を受けるための前記拡散器内の別の絞りと、
前記拡散器内の前記絞りを覆う拡散素子と、をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
チルトインジケータと、
前記拡散器、前記本体、前記第1の光学コリメータ素子、前記第2の光学コリメータ素子、及び前記チルトインジケータが取り付けられる搭載板と、
前記装置を構造物に取り付けるための底板と、をさらに備え、
前記チルトインジケータは、前記装置が前記底板を介して前記構造物に取り付けられると、前記搭載板を水平にするために使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記複数のコリメータ絞り、前記複数の光学フィルタ、及び前記複数の開口は、前記絞りの周囲に前記第1の光学コリメータ素子上に放射状に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記拡散器及び前記拡散空隙は、前記複数の光検出器の全てに共通である、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全天太陽スペクトル放射に関し、特に、エアロゾル、水蒸気及びオゾンスペクトル吸収プロファイルと共に、全天、直達及び拡散太陽スペクトル放射と直達垂直放射を測定及び分解する、コンパクトで可動部品を備えず、現場に配備可能な装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーは、太陽熱暖房、光起電、太陽熱エネルギー、太陽熱構造及び人工光合成などの幅広く進化し続ける技術を用いて太陽から得られる輻射光及び熱である。太陽エネルギーは、重要な再生可能エネルギー源であり、その技術は、太陽エネルギーを捕捉及び配給する、または太陽エネルギーを太陽電力に変換する方法に応じて、大まかに受動的太陽熱技術又は能動的太陽熱技術のいずれかに特徴づけられる。能動的太陽熱技術としては、エネルギーを活用する光起電システム、集中太陽発電及び太陽熱温水器の利用が挙げられる。受動的太陽熱技術としては、建物を太陽に配向させること、好適なサーマルマス又は光分散性を有する材料を選択すること、自然に空気を循環させる空間を設計することが挙げられる。
【0003】
一般的には太陽電池と称される光電池は、即時使用又はバッテリ内の保管を通じた後続の使用のために、動作波長帯内の入射光を電気に変換する電気装置である。歴史的に、2つの時刻依存要因が、光起電モジュール及びアレイ性能と、様々な配備位置での予測発電の両方を複雑化させてきた。これらの要因とは、1日のうちの太陽スペクトルの変化と、太陽の入射角から生じる光学効果である。したがって、太陽スペクトル放射(SSI)の測定値は、太陽熱収集器/光起電パネル効率及び太陽エネルギー資源の評価にとって重要である。一方、この測定値は、科学的な気象/気候観測及び材料検査研究にとっても重要である。
【0004】
現在まで、SSIの測定は、回析格子に基づく改良された科学計測器を利用して行われているため、かさばり、高額であり、汎用配備のための機械的完全性が低い。したがって、現地での太陽熱資源評価及びモジュール性能特徴研究の一環として、全天太陽スペクトルだけでなく全天水平又は傾斜放射を正確に判定するコンパクトで費用効率の高いツールを提供することが有益であろう。さらに、このツールは、戸外の非制御配備下での機械的及び環境的安定性のための可動部品を備えず、空気量、レイリー散乱、エアロゾル吸光、オゾン及び水蒸気吸収などの主な大気工程に加えて、280~4000nmスペクトル範囲内の測定値から全天、直達及び拡散太陽スペクトルを分解するソフトウェアを利用することが有益であろう。
【0005】
本発明のその他の側面及び特徴は、本発明の具体的な実施形態に関する以下の説明を添付図面と併せて検討することで当業者にとって自明になるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、全天太陽スペクトル放射、特に、エアロゾル、水蒸気及びオゾンスペクトル吸収プロファイルと共に、全天、直達及び拡散太陽スペクトル放射を測定及び分解する、コンパクトで可動部品を備えず、現地に配備可能な装置及び方法に関する従来技術の制限を緩和することである。
【0007】
発明の一実施形態による装置は、
外側本体内に第1の準ランベルト材料で被覆される球状空隙を備える球状拡散器と、
球状拡散器の第1の所定位置に形成される第1の所定径を有する第1の絞りと、
球状拡散器の第2の所定位置に形成される第2の所定径を有する第2の絞りと、
第1の絞り及び第2の絞りに対して所定の関係で配置されるバッフルであって、所定の厚さを有し、第2の準ランベルト材料で被覆され、球状拡散器の内面に配置され、球の所定部分を画定する幾何学的形状を有するバッフルと、
第2の絞りに結合される複数の光学コリメータであって、第2の絞りに結合される光学コリメータの遠位端に配置される複数の光検出器の各光検出器にとって最大受光角を画定する光学コリメータと、
複数の光学フィルタであって、各フィルタが所定の光学波長の帯域を有し、複数のコリメータのうちの1つの光学コリメータと組み合わせて配置されて、前記第2の絞りに入る光信号をろ過する光学フィルタと、を備える。
【0008】
発明の一実施形態による装置は、
複数の第1の光検出器であって、各第1の光検出器が拡散素子、帯域フィルタ及び光学コリメータを備える光路を介して、所定の波長帯の周囲環境光を受け取り、入射環境光の角度を所定視界に限定する光検出器と、
複数の第2の光検出器の上面の上方に突出するポストの周囲に放射方向に配置される複数の第2の光検出器と、
複数の第1の光検出器の各第1の光検出器の光電流をデジタル化する第1の部分と、複数の第2の光検出器の各第2の光検出器の光電流をデジタル化する第2の部分と、少なくとも複数の第1の光検出器のデジタル化光電流、複数の第2の光検出器のデジタル化光電流及び無大気での太陽スペクトルモデルに応じて、再構築太陽スペクトルをデジタル化する第3の部分とを備える電子回路と、を備える。
【0009】
発明の一実施形態に係る装置は、
それぞれが周囲環境から所定の波長帯内及び光検出器の垂線に対する所定の入射角内の光を受ける複数の波長ろ過光検出器と、
周囲環境から光を受け取る複数の第2の光検出器と、
複数の第2の光検出器に対して配置されるシャドウポールと、
装置の前面に配置される光学素子であって、複数の第2の光検出器の前方に配置される第1の均一透明領域と、複数の特徴を備える第2の拡散領域とを備え、各特徴が、波長ろ過光検出器と関連付けられる所定の波長及び光学素子を形成する材料に応じて設計される光学素子と、
装置の前面に位置し、拡散器、シャドウポール及び第2の複数のフォトダイオードを素子から保護する透明ドームと、を備える。
【0010】
本発明のその他の側面及び特徴は、本発明の具体的な実施形態に関する以下の説明を添付図面と併せて検討することで当業者にとって自明になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面を参照して、例示のために本発明の実施形態を以下説明する。
【0012】
【
図1】拡散器が着脱される、発明の一実施形態に係る全天日射計(SolarSIM-G)を示す図である。
【0013】
【
図2】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの展開組立図である。
【0014】
【
図3】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの展開断面組立図である。
【0015】
【
図4】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gハウジングの展開図である。
【0016】
【
図5】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gに採用される、発明の一実施形態に係る拡散板の平面図及び断面斜視図である。
【0017】
【
図6】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gに採用される、発明の一実施形態に係るシャドウポール及び光検出器素子の斜視図及び断面斜視図である。
【0018】
【
図7】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gに採用される、発明の一実施形態に係るフィルタ及び筐体の斜視図及び断面斜視図である。
【0019】
【
図8A】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gに採用される、発明の一実施形態に係るチューブコリメータの斜視図及び断面斜視図である。
【0020】
【
図8B】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-G内に採用される発明の一実施形態の光路を示す図である。
【0021】
【
図9】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gのアセンブリ構造及びデータフローを示す図である。
【0022】
【
図10】
図1に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの結果生成用の処理フローを示す図である。
【0023】
【
図11】保護ドーム及び外側機械ハウジングが脱着される、発明の一実施形態に係る全天日射計(SolarSIM-G)を示す図である。
【0024】
【
図12】
図11に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gハウジングの展開図である。
【0025】
【
図13】
図11及び12に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの展開断面組立図である。
【0026】
【
図14】
図11~13に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-G内の光学拡散器、フィルタ-、光学コリメータ素子の展開図及び断面組立図である。
【0027】
【
図15A】
図11~14に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-G内の光学拡散器、フィルタ、光学コリメータ及び光検出器素子を備える光学サブアセンブリの断面組立図である。
【0028】
【
図15B】
図11~14に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-G内の単独の光線痕跡を示す図である。
【0029】
【
図15C】発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gを示す図である。
【0030】
【
図16】
図11に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gのアセンブリ構造及びデータフローを示す図である。
【0031】
【
図17】
図11に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの結果生成用の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
【0033】
本発明は、全天太陽スペクトル放射、特に、エアロゾル、水蒸気及びオゾンスペクトル吸収プロファイルと共に、全天、直達及び拡散太陽スペクトル放射を測定及び分解する、コンパクトで可動部品を備えず、現地に配備可能な装置及び方法に関する。
【0034】
以下の説明は、代表的実施形態のみを提示しており、本開示の範囲、適用性又は構成を限定することを目的としていない。むしろ、実施形態の以下の説明は、当業者が本発明の単独又は複数の実施形態を実行することを可能にする。添付の請求項に記載される精神と範囲を逸脱せずに、素子の機能及び構成に様々な変更を加えることができると理解される。したがって、実施形態は、本発明の例又は実施例であり、唯一の実施例ではない。「一実施形態」、「実施形態」又は「いくつかの実施形態」が出現しても必ずしも同一の実施形態を指すわけではない。本発明の各種特徴は、単独の実施形態の文脈で記載されている場合があるが、それらの特徴は個別に又は任意の適切な組み合わせで提供することができる。逆に、本発明は明瞭化のため、本明細書では別々の実施形態の文脈で記載されている場合があるが、本発明は単独の実施形態又は実施形態の任意の組み合わせで実行することができる。
【0035】
明細書での「一実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」又は「その他の実施形態」の言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれるが、必ずしも本発明のすべての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。本明細書で採用される表現及び用語は、限定ではなく説明目的であると解釈すべきである。請求項又は明細書が「a」又は「an」要素を指す場合、このような言及は1つのみの要素であると解釈されないものと理解すべきである。明細書の記載中、構成要素、特徴、構造又は特性が「may」、「might」、「can」又は「could」を用いて含まれる場合、その特定の構成要素、特徴、構造又は特性は必ずしも含まれなくてもよいと理解すべきである。
【0036】
「左」、「右」、「上」、「下」、「前」及び「後」などの文言の言及は、本発明の実施形態の実施形態を示す図面内の特定の特徴、構造又は要素の配向に関する使用を目的とする。装置は単独又は複数のユーザによって複数の配向で使用することができるため、装置の実際の使用に関する上記の方向を示す用語が何の具体的な意味も持たないことは明らかであろう。「含む」、「備える」、「から成る」という用語及びそれらの文法上の変形に対する言及は、1つ以上の構成要素、特徴、ステップ、整数又はそれらの群の追加を排除するものではなく、それらの文言は、構成要素、特徴、ステップ又は整数を明示するものと解釈されるべきではない。同様に、本明細書で使用されるとき、「実質上~から成る」という句及びその文法上の変形は、追加の構成要素、ステップ、特徴、整数又はそれらの群を排除するものと解釈されるべきではなく、追加の特徴、整数、ステップ、構成要素又はそれらの群は、請求される組成、装置又は方法の基本的及び新規の特性を実質上変更しない。明細書又は請求項が「追加の」素子に言及する場合、2つ以上の追加の素子を排除するものではない。
【0037】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて、「携帯電子装置」(PED)は、通信に利用される無線装置、および電力用のエネルギーの形式とは関係なくバッテリなどを必要とするその他のアプリケーションを指す。これは、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、携帯コンピュータ、ポケベル、携帯マルチメディアプレーヤ、携帯ゲーミングコンソール、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ウェアラブル装置、電子リーダなどの装置を含むが、それらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて、「固定電子装置」(FED)は、通信や、電力を得るために固定インタフェースへの接続を必要とするその他の用途に使用される無線および/または有線装置を指す。これは、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ、コンピュータサーバ、キオスク、ゲーミングコンソール、デジタルセットトップボックス、アナログセットトップボックス、インターネット対応装置、インターネット対応テレビ、マルチメディアプレーヤなどを含むが、それらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて「サーバ」は、同じ場所に配置され、及び/又は地理的に分散されて、ホストとして1つ以上のサービスを実行し、他のコンピュータ、PFD、FEDなどの他のユーザのクライアントニーズを満たす1つ以上の物理的コンピュータを指す。これには、データベースサーバ、ファイルサーバ、メールサーバ、プリントサーバ、ウェブサーバ、ゲームサーバ又は仮想環境サーバが含まれるが、それらに限定されない。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「アプリケーション」(一般的には「アプリ」と称される)は、「ソフトウェアアプリケーション」、「ソフトウェアスイート」の一要素、個人がアクティビティを実行できるように設計されるコンピュータプログラム、電子装置がアクティビティを実行できるように設計されるコンピュータプログラム、及び局所及び/又は遠隔電子装置と通信するように設計されるコンピュータプログラムを指すことができるが、それらに限定されない。よって、アプリケーションは、(コンピュータを動かす)オペレーティングシステム、(保全又は汎用作業を実行する)ユーティリティ及び(コンピュータプログラムを作成する)プログラミングツールと異なる。概して、本発明の実施形態に関する以下の説明では、アプリケーションは一般的に、PED及び/又はFEDに永久的に及び/又は一時的にインストールされるソフトウェアの形で提供される。
【0041】
本明細書で使用されるとき、「電子コンテンツ」(「コンテンツ」又は「デジタルコンテンツ」とも称される)は、記憶、送信、受信及び/又は変換される際にデジタルデータとして存在する任意の種類のコンテンツを指すことができるが、それらに限定されず、上記のステップの1つ以上はアナログとすることができるが、通常はデジタルである。デジタルコンテンツの形式は、デジタル的に一斉送信される、ストリーム配信される又は別個のファイルに収容される情報を含むが、それらに限定されない。狭義では、デジタルコンテンツの種類としては、MP3、JPG、AVI、TIFF、AAC、TXT、RTF、HTML、XHTML、PDF、XLS、SVG、WMA、MP4、FLV及びPPTなどの一般的なメディアの種類が挙げられる。たとえば、http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_file_formatsを参照されたい。より広範なアプローチでは、デジタルコンテンツは、任意の種類の情報、たとえば、デジタル的に更新される天気予報、GPSマップ、電子ブック、写真、映像、Vine(商標)、ブログ投稿、Facebook(商標)投稿、Twitter(商標)ツイート、オンラインTVなどを含むことができる。デジタルコンテンツは、ユーザの要求に応じて、生成、選択、作成、変更又は送信される任意のデジタルデータであり、要求はクエリ、サーチ、トリガ、アラーム及びメッセージとすることができる。
【0042】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて、単数又は複数の「スカフォード(足場)」は、別の材料又は素子を維持する、噛み合う又は支持する構造を指す。これには、基板やフィルムなどの二次元(2D)構造、並びに幾何学的物体、非幾何学的物体、幾何学的物体と非幾何学的物体の組み合わせ、天然に発生する構造配置及び人工構造配置などの三次元(3D)構造が含まれるが、これらに限定されない。スカフォードは、中実、中空、多孔又はそれらの組み合わせとすることができる。スカフォードは、凹部、細孔、開口、穴、バイア、溝又はそれらの組み合わせを含むことができる。スカフォードは、滑らかである、凹凸がある、所定の表面プロファイル及び/又は特徴を有することができる。スカフォードは、1つ以上の他の材料、1つ以上のフィルム、多層フィルム、1種類の粒子、複数種類の粒子などの支持を目的とすることができる。スカフォードは、たとえば外殻及び/又はケースも支持する装置の骨格及び/又は枠組みを含むことができるが、それに限定されない。
【0043】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて「外殻」は、本発明の実施形態に係る装置内の複数の素子を収容する、及び/又は少なくとも部分的に及び/又は完全に囲む構造を指す。外殻は、発明の一実施形態に係る装置内の素子を支持する単独または複数のスカフォードに装着される単独または複数の部分を含むことができる。
【0044】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて「ケース」は、スカフォード及び/又は外殻を囲む構造を指す。これには、通常はエラストマー及び/又はシリコーンから成り、所望の特性の組み合わせと、気密性、液体侵入バリア、個体粒子侵入バリア、表面光沢、物理的触覚面及び色などを含むがそれらに限定されないその他の特性を装置に提供する構造が含まれる。ケースは、単独または複数のスカフォード及び/又は単独または複数のケースに搭載されて、発明の一実施形態の装置を形成する単独または複数の部分を含むことができるが、それらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて「ポリエステル」は、主鎖にエステル官能基を含有するポリマーのカテゴリを指す。これには、天然に発生する化学物質及び段階的成長重合による化学合成物であるポリエステルが含まれるが、それらに限定されない。ポリエステルは生物分解性であってもなくてもよい。ポリエステルは熱可塑性物質又は熱硬化性物質又は硬化剤によって硬化する樹脂であってもよい。ポリエステルは脂肪族、半芳香族又は芳香族であってもよい。ポリエステルは、ポリグリコリド、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリエチレンアジパート(PEA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)を利用するものを含むが、それらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて「熱可塑性物質」又は「熱軟化性プラスチック」は、特定温度超で柔軟又は成形可能になり、冷却時に固化するポリマーのカテゴリを指す。熱可塑性物質は、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE又はPTFCE)、ふっ素化エチレンプロピレン(FEP)及びペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含むことができるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて「金属」は、良好な電導性及び伝熱性を有する材料を指す。このような材料は、可鍛性及び/又は可融性及び/又は延性を有する。金属は、アルミニウム、ニッケル、銅、コバルト、クロム、銀、金、白金、鉄、亜鉛、チタン、及び青銅、ステンレス鋼、真鍮並びにリン青銅などの合金を含むことができるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて「シリコーン」は、反復単位のシロキサンから成る任意の不活性合成化合物を含むポリマーを指す。
【0049】
本明細書で使用されるとき、本開示全体を通じて「弾性」材料又は「エラストマー」は、粘弾性を有する材料、一般的にはポリマーを指す。エラストマーは、ポリイソピレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー及び熱可塑性エラストマーなどの不飽和ゴムを含むことができるが、それらに限定されない。
【0050】
全天日射計(SolarSIM-G)は、たとえば、
図1~10に示す本発明の実施形態に関して後述するように、例えば280nm≦λ≦4000nmの所定の波長帯にわたってエアロゾル、水蒸気及びオゾンスペクトル吸収プロファイルと共に、全天、直達及び拡散太陽スペクトル放射を分解する機器である。したがって、本発明の実施形態に係るSolarSIM-Gは、単独のコンパクトなハウジング内に、分光放射計、日射計、太陽光度計、日射計及び測候所などの複数の機器の機能を組み合わせる。
図1~10の発明の一実施形態に関して後述するように、SolarSIM-Gは6つのスペクトルチャネルを提供するが、それより多い又は少ないスペクトルチャネルを組み込むことができ、通常はチャネルを減らす結果、対応する性能及び/又は特徴も低減される。したがって、発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gは以下を備える。
・コサイン応答を最適化するように、各スペクトルチャネルに特別に合わせた形状の小型拡散器と併せ、複数のスペクトルチャネル;
・散乱光センサ;
・入力を測定するその他の周囲環境センサ;及び
・スペクトル、周囲エアロゾル、水蒸気及びオゾン透過プロファイルと共に、全天、直達及び拡散太陽スペクトルを分解するソフトウェアアルゴリズム。
【0051】
図1~9を参照する後述の説明から明らかであるように、各スペクトルチャネルはフォトダイオード、コリメーションチューブ及び帯域フィルタの組み合わせを備え、この組み合わせは、各フォトダイオードがフィルタから感知する視界を制限する。これにより、高入射角の光がフォトダイオードに当たるのが回避され、帯域フィルタが高入射角光で呈する中心波長の変位が排除される。
【0052】
図1~9を参照して後述する説明から明らかであるように、拡散放射センサは、いくつかの小型フォトダイオードによって囲まれるシャドウポールから成り、装置は拡散光対全天光比を推定して、拡散放射を評価することができる。拡散対全天比を知ることで、SolarSIM-Gは機器のコサイン応答を能動的に補正し、ソフトウェアアルゴリズムが全天、直達及び拡散太陽スペクトルを分解するのを支援することができる。
【0053】
図1は、前側拡散板を装着した場合と装着していない場合の発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの第1の三次元(3D)斜視
図100A及び第2の三次元(3D)斜視
図100Bを示す。
図2は、SolarSIM-Gの展開組立図として第1の3D斜視
図200A及び第2の3D斜視
図200Bを示す。
図1~3に示すSolarSIM-Gは、例えば280nm≦λ≦4000nmの所定の波長帯にわたって動作する6チャネル設計である。したがって、
図2~9に関する説明はこの6チャネル設計を反映しているが、当業者にとって、チャネル数の異なる別の実施形態も実行することができるのは自明であろう。同様に、散乱光センサなどの素子を省略することができるのは自明であろう。図示されるように、素子は以下を含む。
・拡散板270;
・光学帯域干渉フィルタ260;
・散乱光及び温度センサ(DILITS)280;
・筐体250
・コリメーションチューブ230;
・主PCB220;
・周囲環境センサ290;
・背板210;及び
・防水膜通気孔240。
【0054】
図4は、直接及び境界面で、SolarSIM-Gの外面及び直達侵入バリアなどを提供するSolarSIM-G外部ハウジング素子を示す第1の3D斜視
図400A及び第2の3D斜視
図400Bである。これらのハウジング素子は、底板210、筐体250及び拡散板270を備える。図示されるように、筐体250は、拡散板270を上部に、底板210を底部に装着した外部ハウジングの大部分を形成する。
【0055】
拡散板270は半球全体からの光を受けて、全方向(前方及び後方)に散乱させる。本発明の本実施形態の光学波長帯280nm≦λ≦4000nmに関しては、PTFE又はTeflon(商標)が拡散器を形成する材料の例である。拡散板270はSolarSIM-Gの上面に入射する光を拡散させ、良好なコサイン応答を達成するため、光検出器に入る光が全入射角で結合されるように入射角に関係なく散乱する必要がある。拡散板270がない場合、高入射角では、光は大部分反射して検出されず、コサイン応答が達成されない。
図5の第1の
図500A~第3の550Cに示すようなSolarSIM-G拡散板270は、2つの機能を提供する。この拡散板は、シャドウポール及び光検出器用のフロントカバーと、波長選択光検出器用の拡散器として同時に機能する。拡散体510の6つの突出領域520は、SolarSIM-G内の波長フィルタ毎の拡散器である。これらの6つの小型拡散器の幾何学的形状は、対応する当該波長帯にとって最適なコサイン応答を達成するように最適化される。したがって、各フィルタは、図示される実施形態において固有の拡散器520の設計を有する。しかし、本発明の他の実施形態では、拡散器の設計に応じて、異なる拡散器設計の光学特性が必要とされる場合がある、又は、いくつかの実施形態では、1、2またはそれ以上の波長チャネルでは必要とされないことがある。拡散板270内のウィンドウ530は透明であり、シャドウポール及び対応する光検出器のカバーを提供する。
【0056】
本発明の実施形態では、拡散板270は、当該波長帯にわたる光透過性材料から形成することができ、ウィンドウ530は透明なままで、突出領域520はサンドブラストやエッチングなどの材料処理によって光を拡散させる。あるいは、拡散素子の本体が当該波長帯にわたって光拡散性だが光透過性の材料で形成される一方、ウィンドウ530は当該波長帯にわたって透明な光透過性である別の材料で形成される。
【0057】
本発明の他の実施形態では、SolarSIM-G拡散板270は、当該波長帯にわたって光を透過させるガラスなどのその他の材料で形成することができる。任意で、SolarSIM-G拡散板270は、チャネル毎に単独片ではなく2つ以上の素子、又はそれより多くの異なる拡散素子から形成することができる。他の実施形態では、拡散器は透過性を有し、艶消し及び/又は半透過性にすることができる
【0058】
図1~9に示すように、SolarSIM-Gは、約410~430nm、480~505nm、600~620nm、670~690nm、860~880nm及び930~960nmの中心波長(CWL)をそれぞれ有する6つのチャネルを採用する。さらに、領域530として示される、DILITS280の上方の拡散体510の領域は、図示されるように平坦にすることができる、又は表面プロファイルを採用することができる。拡散体510の内断面X-Xを示す第2の
図500Bで明らかなように、凹部では、各フィルタと対応する小型拡散器とが位置合わせされる。さらに、断面Y-Yを示す第3の
図500Cで明らかなように、DILITS280の上方の拡散体510の領域も凹部である。
【0059】
図1~4に示すSolarSIM-Gas内のDILITS280により、G-SolarSIMは全天放射対拡散放射比を判定することができる。
図6の3D斜視
図600A及び断面3D斜視
図600Bに示すように、この判定は、DILITS280が位置する凹部730と共に外部筐体の上面に形成されるシャドウポール750(突出金属片)を使用することによって達成される。シャドウポール750はDILITS280内の開口640を通って突出し、いくつかの小型光検出器630に囲まれ、小型光検出器はDILITS280の体積を形成するPCB610に装着される。任意で、小型の光検出器630は、1つ以上の検出器アレイと置き換えることができる。1日を通じて太陽が見た目上、空を移動することによって、シャドウポール750が異なるフォトダイオード630に影を落とす。これにより、影の落ちたフォトダイオード630からの日光の直達光線が遮られて、相対的な拡散放射を有効に推定することができる。任意で、DILITS280の上方の拡散体510の領域は、拡散性または半透過性ではなく透過性にすることができる。影で覆われていない光検出器630が全天放射(拡散+直達光放射)を報告する一方、影で覆われる光検出器は拡散光放射を報告する。この2つの比は、拡散放射の大きさと周囲条件に関する情報を提供する。たとえば、非常に曇った日には、各光検出器からの読取値はほぼ同一であると予測できる。晴天の日には、影で覆われた光検出器が低放射を報告する一方、他の光検出器は比較的高い放射を報告する。
【0060】
拡散対直達光線比を知ることは、いくつかの理由で重要である。この比が分かれば、能動的コサイン応答補正を実行することができる。研究所の条件下では、機器のコサイン応答は、様々な角度で機器に光を照らす略平行光源を設けることによって判定される。機器の応答は、理想的なコサイン応答と照らし合わされて、補正が行われる。しかし、戸外の状況下では、機器は、いくつかの角度とその他の角度とでどの程度の量の光が入射しているかが「分からない」。直達対拡散比を確定することによって、1日を通じてずっと太陽の位置が分かるため、どの程度の量の光が直達光線放射から入射しているかを正確に判定することができる。
【0061】
シャドウポールはフィルタの「背後」に配置されて、低太陽仰角でのフィルタの陰りを回避する。発明の一実施形態では、シャドウポールが北を向く一方、フィルタの矢印状構造は南を向く。DILITS280は、温度に関して拡散器の送信を調節する温度センサ620も含む。好都合なことに、温度センサは散乱光センサPCB610に配置されて、主PCB220に接続される。
【0062】
筐体250は、全構成要素をまとめて保持して、天候要素から構成部品を保護する手段を提供する。
図1~4に示す筐体250を、
図7の3D斜視
図700A、第1の断面3D斜視
図700B及び第2の断面3D斜視
図700Cに示す。図示されるように、上外面は凹部730を備え、凹部内にはシャドウポール750と開口760が設けられる。図示されるように、6つのフィルタ凹部720にはそれぞれ絞り740が設けられる。上面が筐体と拡散器との間にOリングを挿入又は配置するためのOリングスロットをさらに含むことで、拡散器は水分やゴミが入らないように筐体を封止することができる。筐体は、装置内の湿度を調節する乾燥剤用の空隙も有する。
【0063】
帯域干渉フィルタはそれぞれ、CWL周囲のフォトダイオードへ狭帯域の光を通過させる。
図1~9を参照して説明した実施形態では、これらのCWLはそれぞれ約410~430nm、480~505nm、600~620nm、670~690nm、860~880nm及び930~960nmである。こうしたフィルタは、戸外環境に耐え得る堅固に被覆された頑丈な既製フィルタとすることができる。
図1~9を参照して説明した本発明の実施形態では、フィルタは円形であり、分離されていてもハウジング内にあってもよく、筐体及び拡散器の凹部の幾何学形状と深さは適合するように改変される。
【0064】
図2及び3に示す筐体内には、3D斜視
図800A、端面
図800B、断面X-X及びY-Yをそれぞれ表す第1の断面
図800C及び第2の断面
図800Dに示すコリメーションチューブ230が据えられる。コリメーションチューブ230の機能は、フォトダイオードの視界を特定の入射角範囲に制限することである。帯域干渉フィルタは、垂直入射で動作するように設計される。入射角が増大するにつれ、中心波長は青方に偏移する(UVスペクトル範囲に近づく)。しかし、大部分の帯域干渉フィルタは、0度~10度の入射角ではごくわずかしか偏移しない。したがって、コリメーションチューブの目的は、(フィルタの仕様に応じた)略最適受光角よりも大きな角度で光を「ろ過」することである。
【0065】
コリメーションチューブ230は、当該波長、すなわち280nm≦λ≦4000nm全体の吸収を最小化するように被覆される。たとえば、黒アルマイト処理されたアルミニウム製バッフルが、1つの物理的実施形態を提供する。各コリメーションチューブは、光が壁に反射して検出器に当たるのを防止するためにバッフルを収容したチューブである。壁は、正反射を最小化するように筋をつける又は変形した表面を有することもできる。コリメーションチューブ230は筐体とは別の構成要素であるため、吸光のために筐体には同様に黒アルマイト処理又はその他の処理を施す必要はない。
【0066】
図8Bは、入射光が以下のように変換する光路を示す。
・拡散器520が全方向に光を拡散させる。
・散乱光がフィルタ860を通過する。
・ろ過された散乱光が前側絞り740によって制限される。
・垂直に入射する残りの光はバッフル850を通過して、対応するフォトダイオード870の活性領域に衝突する。
【0067】
光検出器870は主PCB220に電気的に結合され、主PCB220はコリメーションチューブ230の底部に位置し、筐体250及び背板210によってコリメーションチューブ230と共に保持される。拡散板270が筐体250に装着されるとき、筐体250及び背板はOリング封止及びネジ/ボルト取付を用いて同様に設計することができるが、本発明の他の実施形態では、背板210の筐体250への半田付け又は筐体250と背板210の間のガスケットの採用など、その他の液体及び粒子バリアを採用することができる。主PCB220はアナログデータをすべて取得し、通信プロトコルを通じてこの情報をホストに伝達する。たとえば、SolarSIM-GからホストコンピュータへのRS-485通信プロトコルを採用することができる。しかしながら、SolarSIM-G及びホストコンピュータは、IEEE802.11、IEEE802.15、IEEE802.16、IEEE802.20、UMTS、GSM(登録商標)850、GSM900、GSM1800、GSM1900、GPRS、ITU-R5.138、ITU-R5.150、ITU-R5.280、IMT-1000、DSL、Dial-Up、DOCSIS、イーサネット(登録商標)、G.hn、ISDN、MoCA、PON及び電力線通信(PLC)を含むがこれらに限定されない他の有線及び無線プロトコルによってリンクすることができるのが明らかであろう。任意で、ホストコンピュータは、たとえば、SolarSIM-Gが一部を成す設備に関連付けることができる。本発明の他の実施形態では、ホストは遠隔に置くことができ、場合によっては、遠隔コンピュータではなく遠隔サーバとすることができる。
【0068】
主PCB220は散乱光センサPCB610及び周囲環境PCB290にも接続され、後者は周囲の温度、圧力及び湿度を感知する。後者のセンサは、所望の測定を達成するため、周囲空気を通すが水は通さない防水膜通気孔240に接続される。環境を監視する周囲PCB220は、シリコーン又はOリングによって防水膜通気孔240に封止され、SolarSIM-Gの内部環境と周囲外部環境との間の圧力均等化を行うことができる。
【0069】
本発明の実施形態では、周囲環境から拡散素子を保護するために外側保護カバー、たとえばドームを配備することができる。この外側保護カバーは、日光が、波長ろ過チャネル用のコリメーションチューブに加えて、シャドウポールとシャドウポールの周囲の複数の検出器に当たるように設計される。ドームを有する本発明の実施形態では、現状では拡散素子が環境保護を提供していないため、様々な設計ガイドラインに応じて拡散素子を設計することができるのは明らかであろう。したがって、シャドウポールとドームとの間に他の要素を配置しないようにウィンドウ(たとえば、
図5のウィンドウ530)を省略することができる。この場合、拡散素子(たとえば、拡散素子510)は、SolarSIM-Gの上面の一部のみを覆うように配置することができる。任意で、拡散器構造、たとえば突出領域520は、コリメーションチューブ開口内でのみ又はコリメーションチューブ内及び周囲に配置することができる。
【0070】
任意で、汚損を軽減するため、外側保護カバーの外部全体に定期的に及び/又は継続的に風を吹きつけるファンを配置することができる。
【0071】
図9は、第1~第4の機能ブロック900A~900Dを備える、
図1~
図8に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの例示的システムブロック図である。図示されるように、第1の機能ブロック900Aは複数の波長チャネルに関し、波長毎に、小型拡散器、光学フィルタ、光学コリメータ(チューブ)コリメータ、フォトダイオード及びマルチプレクサを備える。マルチプレクサの出力はトランスインピーダンス増幅器(TIA)に結合され、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)を介してデジタル形式に変換される。ADCの出力は電子機能ブロック900Dに接続される。本発明の別の実施形態では、各光検出器は対応するTIAを有し、複数のTIA出力はADC又は複数のADCのために多重化される。
【0072】
第2の機能ブロック900Bは拡散/直達放射に関し、拡散器、シャドウポール及びシャドウポールの周囲の光検出器を備える。光検出器の出力は多重化され、TIAに結合され、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)を介してデジタル形式に変換される。任意で、光検出器の出力はTIAに結合され、次に1つ以上のADCに多重化される。ADCの出力は電子機能ブロック900Dに接続される。第3の機能ブロック900Cは、周囲の温度、圧力、湿度、拡散器温度、内部温度及び加速度のセンサを含むが、それらに限定されないその他のセンサに関する。これらの出力も電子機能ブロック900Dに接続される。
【0073】
したがって、電子機能ブロック900Dは、複数の波長チャネルに関連する多重化デジタルデータ、シャドウポールの周囲のフォトダイオードに関連する多重化データ、及び複数の環境センサからのデジタルデータを受け取る。これらのデータは、マイクロコントローラに関連付けられるメモリに記憶される単独または複数のソフトウェアアルゴリズムを介して、電子機能ブロック900D内のマイクロコントローラによって処理される。また、電子機能ブロック900Dは、生データ及び/又は処理済みデータがネットワーク950を介してホストコンピュータ、この場合、遠隔サーバ910とやり取りされるように、1つ以上の通信プロトコルを実行する。遠隔サーバ910はSolarSIM-Gからのデータを処理する、又はSolarSIM-Gからの処理済みデータを記憶する。このデータは、全天スペクトル放射(水平又は傾斜)、直達スペクトル、拡散スペクトル、スペクトル水蒸気、エアロゾル及びオゾン吸収プロファイルを含むことができるが、それらに限定されない。
【0074】
SolarSIM-Gのソフトウェアアルゴリズムに関するソフトウェアブロック図を
図10に示す。図示されるように、全天、直達及び拡散太陽スペクトルに分解するため、左側の入力はすべて一連の最初の処理アルゴリズム及びその後の再構築アルゴリズムに送られる。したがって、図示されるように、チャネル応答性は、内部SolarSIM-G温度、チャネル較正、公称チャネル応答性及び拡散器温度に応じて得られる。生のデジタル光電流及び電流較正データは拡散対全天放射比を伴い又は伴わずに使用されて、(最終的)較正チャネルデータを生成する。この拡散対全天放射比は、シャドウポール光検出器電流、その較正データ、及び日時と位置データを利用する太陽位置アルゴリズムから得られる太陽位置データに応じて生成される。この太陽位置データは、大気が介入しない太陽スペクトルである大気通過前の(AM0)スペクトルも定義する。これらの出力は、最初のアルゴリズムにおける加速度、大気圧及び周囲温度と組み合わされて、6つのチャネルに関して選択された波長の結果として、抽出された水蒸気、エアロゾル及びオゾンと共に、再構築太陽スペクトルを導き出す。
【0075】
次に、拡散スペクトル放射が推定され採用されて、正確な再構築太陽スペクトルを生成した後、最終的全天スペクトル、拡散及び直達スペクトルだけでなく水、オゾン及びエアロゾルに関する周囲吸収プロファイルを再構築する。
【0076】
全天スペクトルが直達及び拡散スペクトル放射の組み合わせであるとき、拡散放射を考慮に入れていないため、最初の再構築は完全にはならない。しかし、再構築代用スペクトルにより、大気中のエアロゾル、水蒸気及びオゾンコンテンツを推定することができ、次いで、さらに良好な拡散放射の近似値を求めることができる(シャドウポールフォトダイオードによって判定される全天対拡散比でさらに向上される)。次に、近似拡散放射が代用全天太陽スペクトルから減算され、再構築が再度行われて、全天スペクトル放射の直達成分を取得する。推定された拡散スペクトル放射を直達成分に加算することで、全天スペクトル放射が求められる。
【0077】
図9を参照して記載される発明の実施形態は、410~430nm、480~505nm、600~620nm、670~690nm、860~880nm及び930~960nmのCWLをそれぞれ有する6つの波長チャネルを利用する。表1は、これらの波長と周囲構成要素との対応を示す。
【表1】
【0078】
エアロゾルの場合、たとえば、770~790nm、1040~1060nm、1240~1260nm及び1640~160nmのCWLなどのその他の波長も検討することができる。有益なことに、約1100nm未満の波長がシリコン光検出器で検出可能であるが、より長い波長はゲルマニウム(Ge)又はインジウムガリウムヒ化物(InGaS)光検出器を必要とする。
【0079】
図11は、保護ドーム及び外側機械ハウジングを装着した及び装着していない発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの第1の三次元(3D)斜視
図1100A及び第2の三次元(3D)斜視
図1110Bである。第1の3D斜視
図1100A及び第2の3D斜視
図1110Bに示すSolarSIM-Gの上面には、チルトバブル1310及び太陽正午インジケータ1110が配置される。太陽正午インジケータ1110は、SolarSIM-G設備の位置で太陽正午、たとえば、北半球の真南を向くように位置決めすることができる。
図12から、光学コリメータが南北に位置合わせされるように、一体球(球状拡散器)からの光学列がこの線に沿って配置されることは明らかであろう。
【0080】
図12は、2つの異なる視点からの展開組立図である、
図11のSolarSIM-Gの第1の3D斜視
図1200A及び第2の3D斜視
図1200Bである。
図11及び12に示すSolarSIM-Gは、たとえば所定の波長帯280nm≦λ≦4000nmにわたって動作する7チャネル設計である。したがって、
図13~17に関する説明はこの7チャネル設計を反映しているが、チャネル数の異なる別の実施形態を実現することができるのは当業者にとって明らかであろう。したがって、図示されるように、
図12の第1の斜視
図1200Aは以下の素子を含む。
・保護ドーム1210;
・上側拡散体1220;
・下側拡散体1225;
・外側機械ハウジング1230;
・電気コネクタ1235;
・電気回路基板1240;
・周囲環境センサ1245;
・搭載板1250;
・SolarSIM-G底板1255;
・光学フィルタアセンブリ1260;
・第1の光学コリメータ素子1270;
・第2の光学コリメータ素子1280;及び
・光検出器回路基板1290。
【0081】
図13は、
図11及び12に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-Gの展開断面組立図であり、外側機械ハウジング1230及び保護ドーム1210が
図12のコンパクトな表示ではなく正確な物理的関係で描かれている。したがって、図示されるように、これらの素子は以下を含む。
・保護ドーム1210;
・チルトバブル1310;
・外側機械ハウジング1230;
・上側拡散体1220;
・下側拡散体1225;
・電気コネクタ1235;
・電気回路基板1240;
・Gore(商標)通気孔1320;
・Oリング1330;
・SolarSIM-G底板1255;
・搭載板1250;
・光学フィルタアセンブリ1260;
・第1の光学コリメータ素子1270;
・第2の光学コリメータ素子1280;及び
・光検出器回路基板1290。
【0082】
図14は、
図11に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-G内の光学拡散器、フィルタ及び光学コリメータ素子の展開断面組立図であり、各光学フィルタアセンブリ1260はハウジング1260A内に光学フィルタ1260Bを備える。対照的に、
図15Aは、
図11~14に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-G内の光学拡散器、フィルタ、光学コリメータ及び光検出器素子を備え、外部周囲環境から光検出器回路基板1290上の各光検出器1560までの光路を可能にする光学サブアセンブリの断面組立図である。内部温度センサ1590も図示される。
【0083】
図15Bは、光学アセンブリ内をたどる単独の垂直入射光線を示す。したがって、周囲環境からの光は保護ドーム1210を通過し、この光の一部は上側拡散体1220に適合する絞りリング1570で形成される精密絞り1510を通過する。したがって、この光は、上側拡散体1220の後壁に形成される出口絞り1520を通って、第1の光学コリメータ素子1270に形成される拡散空隙1530及び上側拡散体1220の後壁に入る前に、上側拡散体1220と下側拡散体1225の嵌合によって形成される一体球(球状拡散器)内で反射し拡散する。
【0084】
出口絞り1520の下半分周囲の領域には、精密絞り1510から出口絞りまでの直達反射を防止する拡散器バッフル1580が配置される。上側拡散体1220と下側拡散体1225の嵌合によって形成される一体球(球状拡散器)の内面は、発明の一実施形態では、当該波長帯にわたって広範スペクトルのランベルト様光拡散を提供する塗料、たとえば白色塗料を塗布される。本発明の他の実施形態では、これらの内面は、機械加工ではなくサンドブラストなどで粗面化することができる。
【0085】
次に、一体球(球状拡散器)の内面と同様に被覆及び処理することができる拡散空隙1530内の光は、第1の光学コリメータ素子1270及び第2の光学コリメータ素子1280によって形成される光学コリメータを介して、各光検出器1560及び光検出器回路基板1290上の対応電子部品に結合される。第1の光学コリメータ素子1270及び第2の光学コリメータ素子1280によって形成される各光学コリメータは、ハウジング1260A内の光学フィルタ1260B内に配置される。第1のコリメータ絞り1540及び第2のコリメータ絞り1550はそれぞれ第1の光学コリメータ素子1270及び第2の光学コリメータ素子1280内に配置される。したがって、光学素子を全体に組み合わせることで、SolarSIM-Gの性能に関して所望のコサイン応答が提供される。
【0086】
図15Cは、
図11~15Bに示すSolarSIM-Gの変形を示し、一体球(球状拡散器)1220上の精密光学絞り及び保護ドームは、PTFEなどで形成される拡散素子1500と置き換えられる。この拡散素子1500は、薄型シート内の精密絞りに関して向上したコサイン応答を提供することができる
【0087】
図16は、SolarSIM-G 1600の第1の~第3の機能ブロック1600A、1600B及び900Dをそれぞれ備える
図11~15に示す発明の一実施形態に係るSolarSIM-G1600の例示的システムブロック図である。図示されるように、第1の機能ブロック1600Aは複数の波長チャネルに関し、全チャネルに共通する一体球(球状拡散器)及び拡散空隙1530から成り、波長毎に、光学フィルタ及び光学コリメータアセンブリがフォトダイオードに結合され、次に、複数の光検出器からの出力が、トランスインピーダンス増幅器(TIA)アレイを介して電気マルチプレクサに結合される。マルチプレクサの出力は、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)を介してデジタル形式に変換される。ADCの出力は電子機能ブロック900Dに接続される。本発明の別の実施形態では、各光検出器は対応付けられるTIAを有し、複数のTIA出力はADCのために多重化される、又は複数のADCでも採用することができる。任意で、光検出器からの出力は、TIAによって増幅されデジタル化される前に多重化される。
【0088】
第2の機能ブロック1600Cは、周囲温度、周囲圧、周囲湿度、内部温度、内部湿度及び加速度のセンサを含むが、それらに限定されないSolarSIM-G1600内のその他のセンサに関する。これらの出力も電子機能ブロック900Dに接続される。
【0089】
したがって、電子機能ブロック900Dは、複数の波長チャネルに関連する多重化デジタルデータと、複数の環境センサからのデジタルデータを受信する。これらのデータは、マイクロコントローラに関連付けられるメモリに記憶される単独または複数のソフトウェアアルゴリズムを介して、電子機能ブロック900D内のマイクロコントローラによって処理される。また、電子機能ブロック900Dは、生データ及び/又は処理済みデータがネットワーク950を介してホストコンピュータ、この場合、遠隔サーバ910とやり取りされるように、1つ以上の通信プロトコルを実行する。遠隔サーバ910はSolarSIM-Gからのデータを処理する、又はSolarSIM-Gからの処理済みデータを記憶する。このデータは、全天スペクトル放射(水平又は傾斜)、直達スペクトル、拡散スペクトル、スペクトル水蒸気、エアロゾル及びオゾン吸収プロファイルを含むことができるが、それらに限定されない。任意で、SolarSIM-Gによって取得されるデータは、ネットワーク950を介して遠隔サーバ910又は他の装置に送信される前に、SolarSIM-G内で直接処理される。
【0090】
SolarSIM-Gは、IEEE802.11、IEEE802.15、IEEE802.16、IEEE802.20、UMTS、GSM850、GSM900、GSM1800、GSM1900、GPRS、ITU-R5.138、ITU-R5.150、ITU-R5.280及びIMT-1000を含むがこれらに限定されない群から選択されるネットワーク950と通信する1つ以上の無線インタフェースを採用することができる。あるいは、SolarSIM-Gは、DSL、Dial-Up、DOCSIS、イーサネット、G.hn、ISDN、MoCA、PON及び電力線通信(PLC)を含む群から選択されるネットワーク950と通信する1つ以上の有線インタフェースを採用することができる。
【0091】
SolarSIM-Gのソフトウェアアルゴリズムに関するソフトウェアブロック図を
図17に示す。図示されるように、全天、直達及び拡散太陽スペクトルに分解するため、左側の入力はすべて一連の最初の処理アルゴリズム及びその後の再構築アルゴリズムに送られる。したがって、図示されるように、チャネル応答性は、内部SolarSIM-G温度、チャネル応答性較正及びチャネル応答性に応じて得られる。生のデジタル光電流及び電流較正データが使用されて、較正チャネル光電流を生成する。日時及び位置情報が、大気が介入しない太陽スペクトルである大気通過前の(AM0)スペクトルを生成するのに採用される太陽位置アルゴリズムにおいて採用される。これらの出力は、最初のアルゴリズムにおける加速度、大気圧及び周囲温度と組み合わされて、SolarSIM-Gの7つのチャネルに関して選択された波長の結果として、抽出された水蒸気、エアロゾル及びオゾンと共に、再構築太陽スペクトルを導き出す。
【0092】
次に、拡散スペクトル放射が推定及び採用されて、正確な再構築太陽スペクトルを生成した後、最終的全天スペクトル、拡散及び直達スペクトルだけでなく水、オゾン及びエアロゾルに関する周囲吸収プロファイルを再構築する。全天スペクトルが直達及び拡散スペクトル放射の組み合わせであるとき、拡散放射を考慮に入れていないために最初の再構築では完全にはならない。しかし、再構築代用スペクトルにより、大気中のエアロゾル、水蒸気及びオゾンコンテンツを推定することができ、次いで、さらに良好な拡散放射の近似値を求めることができる(シャドウポールフォトダイオードによって判定される全天対拡散比でさらに向上される)。次に、近似拡散放射が代用全天太陽スペクトルから減算され、再構築が再度行われて、全天スペクトル放射の直達成分が取得される。推定された拡散スペクトル放射を直達成分に加算することで、全天スペクトル放射が求められる。
【0093】
図11~15Aに示すSolarSIM-Gは、固定する前にSolarSIM-Gを回転させることができる搭載板1250を介して表面に装着される。SolarSIM-G自体は3つのバネ付きネジによって底板1255を介して搭載板1250に装着されることで、これらのネジ及びチルトバブル1310の調節によって水平にすることができる。外側機械ハウジング1230は一連のネジを介して底板1255に装着され、底板1255に設けた通気孔1320が大気の圧力、温度及び湿度を測定する戸外環境センサのために圧力を均等化することができる。通気孔1320は、水などの液体及び埃などの粒子のバリアとして機能しつつ、SolarSIM-Gの内部環境と周囲環境との圧力均等化を提供する。
【0094】
図11~15Aに示すSolarSIM-Gの上側では、保護ドーム1210は外側機械ハウジング1230の上面に形成される溝に嵌合し、シリコーン又はエポキシなどの材料によって適所に接着される。精密絞り1510は絞りリング1570の内側開口によって形成され、絞りリングは理想的には厚さがゼロであり完全反射であるべきなので、極薄の材料片、たとえば80μm高純度ニッケルシートから成り、精密絞りがコサイン損失を回避する一方、絞りリングは一体球(球状拡散器)内の光拡散を支援する。同様に、この絞りリング1570はシリコーンを介して精密絞り1510を封止するが、機械的アタッチメントを採用することもできる。
【0095】
上側拡散体1220及び下側拡散体1225は、理想的には、完全コサイン応答を生成する一体球(球状拡散器)を形成し、内面は高ランベルト材料で被覆されて、観測角度に対して見かけ上輝度が一定の「理想的な」艶消しの又は拡散反射面であるランベルト反射面を提供する。図示される実施形態では、上側拡散体1220及び下側拡散体1225は唇型ジョイント付きのネジを介して相互に接合されるが、本発明の他の実施形態では、上側拡散体1220と下側拡散体1225を共に接合するその他多数の手段としてOリング又はその他の封止を採用することができる。次いで、拡散器はネジによって底板1255に搭載される。
【0096】
上側拡散体1220内では、下半分拡散器バッフル1580の周囲に形成される出力絞り1520が使用されて、略垂直入射光での一体球(球状拡散器)からの初期反射を防止する。拡散器バッフル1580は方位対称のために球状であり、コサイン応答を向上させる。出力絞り1520により、光が拡散空隙1530に入り、最適な拡散となるように光線を複数回反射させることができる。この拡散空隙1530は、上側拡散体1220と第1の光学コリメータ素子1270から形成される。
【0097】
第1の光学コリメータ素子1270内には、波長チャネル毎に第1のコリメータ絞り1540が形成される。第1の光学コリメータ素子1270には第2の光学コリメータ素子1280が装着され、光学フィルタ1260B及びハウジング1260Aを収容するように機械加工された窪みを有する。また、第2の光学コリメータ素子1280内には、第2のコリメータ絞り1550も形成されて、第1のコリメータ絞り1540と共に、各検出器に当たることができる光線の角度分布を画定する。これは入射角が増加するほど帯域フィルタの性能が劣化するために必要である。したがって、略平行光のみ、実際には約10度の半角が光検出器1560を通過することができる。
【0098】
本発明の実施形態では、拡散器は拡散器の要求する波長帯、コスト、拡散器性能などに応じて、1つ以上の熱可塑性物質、ポリエステル及びガラスで形成することができる。たとえば、拡散器はBK7ガラスとすることができる。任意で、筐体、底板及びコリメーションチューブはプラスチック、熱可塑性物質、ポリエステル又は金属で形成することができる、または様々なプラスチック、熱可塑性物質、ポリエステル又は金属で形成することができる。任意で、本発明の実施形態では、機械構造は、シリコーンなどのケースで部分的に又は完全に包囲することができる。任意で、筐体及びコリメーションチューブは、単独片の部分又は2片以上の部分として形成することができる。
【0099】
実施形態を完全に理解するため、具体的な細部を上記の説明で提供する。しかしながら、これらの具体的な細部がなくても実施形態を実行することができると理解される。例えば、実施形態を不必要な詳細によって分かりにくくしないように、回路はブロック図で示すことができる。他の例では、実施形態を曖昧にするのを回避するため、不必要な詳細を除いて周知の回路、工程、アルゴリズム、構造及び技術を示すことができる。
【0100】
上述の技術、ブロック、ステップ及び手段は、様々な方法で実行することができる。例えば、これらの技術、ブロック、ステップ及び手段は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせで実行することができる。ハードウェアを実装するため、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理装置(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上述の機能及び/又はそれらの組み合わせを実行するように設計されるその他の電子ユニット内に、処理ユニットを実装することができる。
【0101】
なお、実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図又はブロック図で示される工程として説明することができる。フローチャートは連続的工程として動作を説明することができるが、動作の多くは並行して又は同時に実行することができる。また、動作の順番は入れ替えることができる。工程は動作が完了したときに終了するが、図面に示されない追加のステップを有することができる。工程は、方法、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応させることができる。工程が機能に対応するとき、工程の終了は呼出し機能又は主機能への帰還に対応する。
【0102】
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、スクリプト言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語及び/又はそれらの任意の組み合わせによって実行することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、スクリプト言語及び/又はマイクロコードで実行されるとき、必要なタスクを実行するプログラムコード又はコードセグメントは、記憶媒体などの機械可読媒体に記憶することができる。コードセグメント又は機械実行命令は、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、スクリプト、クラスもしくは命令、データ構造及び/又はプログラム文の任意の組み合わせを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ及び/又はメモリコンテンツを伝達及び/又は受信することによって別のコードセグメント又はハードウェア回路に結合させることができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリ共有、メッセージ伝達、トークン伝達、ネットワーク送信などの任意の適切な手段を介して伝達、転送又は送信することができる。
【0103】
ファームウェア及び/又はソフトウェアの実施例の場合、方法は、本明細書に記載される機能を実行するモジュール(たとえば、プロシージャや関数など)を用いて実行することができる。本明細書に記載される方法を実行する際、命令を具現化する機械可読媒体を使用することができる。たとえば、ソフトウェアコードはメモリに記憶することができる。メモリはプロセッサ内又はプロセッサ外に実装することができ、メモリが後の実行のためにソフトウェアコードを記憶するのに採用される実施例と、メモリがソフトウェアコードを実行するのに採用される実施例とで変化させることができる。本明細書で使用するとき、「メモリ」という文言は、任意の種類の長期、短期、揮発性、不揮発性又はその他の記憶媒体を指し、特定のメモリの種類、メモリの数又はメモリを記憶する媒体の種類に限定されるべきではない。
【0104】
さらに、本明細書で使用されるとき、「記憶媒体」という文言は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置及び/又は情報を記憶するその他の機械可読媒体などのデータを記憶する1つ以上の装置を表すことができる。「機械可読媒体」という文言は、携帯又は固定記憶装置、光学記憶装置、無線チャネル、及び/又は命令及び/又はデータを記憶、含有又は搬送することのできるその他の各種媒体を含むが、それらに限定されない。
【0105】
本明細書に記載される方法は、1つ以上の実施形態では、命令を含むコードセグメントを受け入れる1つ以上のプロセッサを含む機械によって実行される。本明細書に記載される方法のいずれに関しても、命令が機械によって実行されるとき、機械が方法を実行する。機械が行う行為を明記する1セットの命令(連続的又はそれ以外)を実行することができるすべての機械が含まれる。よって、典型的な機械は、1つ以上のプロセッサを含む典型的な処理システムによって例示することができる。各プロセッサは、CPU、グラフィック処理ユニット及びプログラマブルDSPユニットのうちの1つ以上を含むことができる。処理システムは、主RAM及び/又はスタティックRAM及び/又はROMを含むメモリサブシステムをさらに含むことができる。構成要素間の通信のためにバスサブシステムを含むことができる。処理システムがディスプレイを必要とする場合、このようなディスプレイは、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)を含めることができる。手動でのデータ入力が必要な場合、処理システムは、キーボードなどの英数字入力ユニット、マウスなどのポインティング制御装置などのうち1つ以上の入力装置をさらに含む。
【0106】
メモリは、処理システムによって実行されるとき、本明細書に記載される方法の1つ以上を実行する命令を含む機械可読コードセグメント(たとえば、ソフトウェア又はソフトウェアコード)を収容する。ソフトウェアは、メモリに完全に常駐させることができる、又はコンピュータシステムによる実行中、RAM及び/又はプロセッサに完全に又は少なくとも部分的に常駐させることができる。よって、メモリ及びプロセッサは、機械可読コードを備えるシステムも構成する。
【0107】
代替実施形態では、機械はスタンドアローンの装置として動作する、又はネットワーク構成内の他の機械に接続する、たとえばネットワーク接続することができる。機械は、サーバ-クライアントネットワーク環境内のサーバ又はクライアント機械の資格で又はピアツーピア又は分散ネットワーク環境内のピア機械の資格で動作することができる。機械は、たとえば、コンピュータ、サーバ、サーバ群、コンピュータ群、ウェブアプライアンス、分散コンピューティング環境、クラウドコンピューティング環境、又は機械が行う行為を明記する1セットの命令(連続又はそれ以外)を実行することができる任意の機械とする。「機械」という文言は、1セットの(又は複数セットの)命令を個々に又は共同で実行して、本明細書に記載される方法の1つ以上を実行する機械の集合を含むように解釈することもできる。
【0108】
本発明の例示的実施形態の上記の開示は、例示と説明のために提示している。上記開示は、網羅的である又は本発明をまさに開示される形式に限定することを目的としていない。上記の開示に鑑み、当業者にとって、本明細書に記載される実施形態の多数の変形及び変更は自明であろう。発明の範囲は、添付の請求項及びその等価物によってのみ定義されるものとする。
【0109】
さらに、本発明の代表的実施形態を説明する際、明細書は、本発明の方法及び/又は工程を特定のステップシーケンスとして提示している場合がある。しかしながら、方法又は工程が本明細書に記載されるステップの特定の順序に依存しないという点で、方法又は工程は記載される特定のステップシーケンスに限定されるべきではない。当業者が認識するように、他のステップシーケンスも可能である。したがって、明細書に記載されるステップの具体的な順番は、請求項に関する限定と解釈すべきではない。また、本発明の方法及び/又は工程に関する請求項は、記載される順序でステップを実行することに限定されるべきではなく、当業者であれば、シーケンスは変更することができ、変更後も本発明の精神と範囲に属することを容易に認識できる。