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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】端子連鎖帯の連結具及び端子供給装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/16 20060101AFI20220407BHJP
   H01R 43/20 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
H01R43/16
H01R43/20 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021163167
(22)【出願日】2021-10-03
【審査請求日】2021-10-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154163
【氏名又は名称】三晶エムイーシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】西野 正人
(72)【発明者】
【氏名】一色 勝彦
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-121143(JP,A)
【文献】特開2016-046173(JP,A)
【文献】米国特許第06126005(US,A)
【文献】特開平09-104033(JP,A)
【文献】特開昭58-100316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
等間隔で複数の端子が平行に連鎖する端子連鎖帯を連鎖方向へ供給する端子供給装置において、
連鎖方向へ巻着された端子連鎖帯を巻着解除可能に保持する供給手段と、
前記端子連鎖帯を1ピッチ単位で間欠案内動作を行う案内手段と、
前記案内手段から供給された端子連鎖帯の配備部材を規定位置に配置する位置決め手段と、
端子連鎖帯の配備部材と後続部分を分離する分断手段と、
前記案内手段から供給された端子連鎖帯から連結具が装着された連結部位を検知し位置情報を出力する連結部位検知手段と、
前記位置情報に基づいて排出位置への連結具の到着を検知し、当該連結具が装着され、且つ後続部分から分離された配備部材を排出する連結具分別手段を備え、
前記連結具は、
先行の端子連鎖帯の後端部と後続の端子連鎖帯の先端部を連結するための連結具であって、
端子を平行に保持する一対の保持溝を備え、
前記一対の保持溝は、端子連鎖帯の端子配列の1ピッチ単位の間隔で平行に配置され、一方が先行の端子連鎖帯の最後尾の端子を保持すると共に、他方が後続の端子連鎖帯の先頭の端子を保持する連結具、又は
先行の端子連鎖帯のキャリアの後端部と後続の端子連鎖帯のキャリアの先端部を連結するための連結具であって、
先行の端子連鎖帯のキャリアの最後尾の保持部に保持される第一連結軸と、
後続の端子連鎖帯のキャリアの先頭の保持部に保持される第二連結軸と、
前記第一連結軸及び第二連結軸を端子連鎖帯の端子配列の1ピッチ単位の間隔で平行に支持する連結枠を備え、
前記第一連結軸及び第二連結軸は、それぞれ前記キャリアの保持部に保持される端子の被保持部と略同形態の部分を含む連結具、
のいずれかであることを特徴とする端子供給装置。
【請求項2】
前記位置決め手段は、端子連鎖帯の端子間の間隙に嵌る櫛歯が当該端子連鎖帯の端子配列のピッチ間隔で複数列設されたガイドブロックを備え、
前記櫛歯は、端子連鎖帯の連鎖方向側に、配備端子を所定方向へ向けるガイド面を備えることを特徴とする請求項1に記載の端子供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の同じ端子が等間隔で平行に連ねられた端子連鎖帯の連結具と、プリント基板などに実装される電気コネクタの製造装置等において、当該電気コネクタのハウジングに植設する端子を具備した端子連鎖帯を供給するための端子供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタなどの電子部品の製造工程では、絶縁性材料からなるハウジングに、導電性金属からなる端子を植設する作業が行われる。
端子の植設は、一本ずつ精密な位置決めの下で行われるが、当該端子の供給は、回転可能に支持された端子リールから定められた位置(以下、「規定位置」という。)へ、複数の同じ端子が等間隔で平行に連ねられた端子連鎖帯を誘導することによって行われる。
【0003】
端子連鎖帯は、一連のガイドに複数の端子が平行に等間隔で保持されたもの(下記特許文献1参照)と、打ち抜き工法等により複数の端子がランナーを介して平行に等間隔で一体成形されたもの(下記特許文献2参照)が存在するが、いずれも、リールに巻き付けられ得るだけの長さで途切れる部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-51638号
【文献】実開昭60-29031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記案内手段は、端子連鎖帯を規定位置へ送り込む手法を採るものと、端子連鎖帯を規定位置へ引き入れる手法を採るもののいずれにあっても、規定位置から端子の配置間隔(以下、「ピッチ」という。)十数本分の間隔を隔てた位置に配置されているため、端子連鎖帯の終端又は先端から当該間隔分の範囲に存在する端子は、規定位置へ送り込むこと、又は引き込むことができずロスとなる。
端子リールに巻かれた端子連鎖帯が残り少なくなった際に、仕掛りの端子リールに巻かれた端子連鎖帯の終端を、新たな端子リールに巻かれた端子連鎖帯の先端と連結する手法を採ることも可能であるが、単に連結するだけでは、端子ピッチの維持、連結強度及び位置決め精度に劣るという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、仕掛りの端子リールに巻かれた端子連鎖帯と、続いて供給される端子リールに巻かれた端子連鎖帯との連続性を、多くの端子を無駄にすることなく、且つ適正なピッチを保ちつつ維持できる端子連鎖帯の連結具及び端子供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明による端子連鎖帯の連結具は、先行の端子連鎖帯の後端部と後続の端子連鎖帯の先端部を連結するための連結具であって、端子を平行に保持する一対の保持溝を備え、前記一対の保持溝は、端子連鎖帯の端子配列の1ピッチ単位(例えば1ピッチ分)の間隔で平行に配置され、一方が先行の端子連鎖帯の最後尾の端子を保持すると共に、他方が後続の端子連鎖帯の先頭の端子を保持することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明による端子連鎖帯の他の連結具は、先行の端子連鎖帯のキャリアの後端部と後続の端子連鎖帯のキャリアの先端部を連結するための連結具であって、先行の端子連鎖帯のキャリアの最後尾の保持部に保持される第一連結軸と、後続の端子連鎖帯のキャリアの先頭の保持部に保持される第二連結軸と、前記第一連結軸及び第二連結軸を端子連鎖帯の端子配列の1ピッチ単位(例えば1ピッチ分又は2ピッチ分)の間隔で平行に支持する連結枠を備え、前記第一連結軸及び第二連結軸は、それぞれ前記キャリアの保持部に保持される端子の被保持部と略同形態の部分を含むことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明による端子供給装置は、等間隔で複数の端子が平行(傾斜配置を含む)に連鎖する端子連鎖帯を連鎖方向へ供給する端子供給装置において、連鎖方向へ巻着された端子連鎖帯を巻着解除可能に保持する供給手段と、前記端子連鎖帯を1ピッチ単位で間欠案内動作を行う案内手段と、前記案内手段から供給された端子連鎖帯の配備部材(規定位置に位置決めされ、又は規定位置に最先で位置決めされる端子(以下、「配備端子」という。)又はそれに付着したキャリア等の部材)を規定位置に配置する位置決め手段と、端子連鎖帯の配備部材と後続部分(配備端子に続く端子、連結具又はキャリア等を含む部分)を分離する分断手段と、前記案内手段から供給された端子連鎖帯から上記いずれかの連結具が装着された連結部位を検知し位置情報を出力する連結部位検知手段と、前記位置情報に基づいて排出位置への連結具の到着を検知し、当該連結具が装着され、且つ後続部分から分離された配備部材を排出する連結具分別手段を備えることを特徴とする。
前記位置決め手段は、端子連鎖帯の端子間の間隙に嵌る櫛歯が当該端子連鎖帯の端子配列のピッチ間隔(1ピッチと同じ間隔)で複数列設されたガイドブロックを備え、前記櫛歯は、端子連鎖帯の連鎖方向側に、配備端子を所定方向へ向けるガイド面を備える構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による連結具によれば、端子リールに巻かれた端子連鎖帯が残り少なくなった際に、先行の端子連鎖帯の後端部に後続の端子連鎖帯の先端部を当該連結具を介して連結しておくことによって、仕掛りのリールに巻かれた端子連鎖帯と、続いて供給されるリールに巻かれた端子連鎖帯との連続性を、多くの端子を無駄にすることなく、当該端子連鎖帯の構成を損なうことなく、且つ適正なピッチを保ちつつ維持することができる。
【0011】
本発明による端子供給装置によれば、端子連鎖帯の連結に用いられた連結具を端子等から確実に分別し回収することができる。
また、前記位置決め手段に、端子連鎖帯の端子間の間隙に嵌る櫛歯が端子連鎖帯のピッチ間隔で複数列設されたガイドブロックを備え、前記櫛歯に、端子連鎖帯の連鎖方向側に、配備端子を所定方向へ向けるガイド面を備える構成を採れば、端子連鎖帯及び本発明による連結具の構成を利用して、連結された端子連鎖帯の端子を正確に位置決めし、分断工程及び植設工程等の作業に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による端子連鎖帯の連結具の一例を示す(A)左側面図、(B)平面図、(C)正面図である。
図2】本発明による端子連鎖帯の連結具の一例を示す(A)背面図、(B)左側面図、(C)A-A矢視断面図、(D)平面図、(E)正面図である。
図3】本発明による端子連鎖帯の連結具の実施態様例を示す(A)B-B矢視断面図、(B)平面図、(C)正面図である。
図4】本発明による端子供給装置の一例を示す拡大平面図である。
図5】本発明による端子供給装置の一例を示す規定位置及びその近隣の拡大平面図である。
図6】本発明による端子供給装置の一例を示す平面図である。
図7】本発明による端子供給装置の一例を示す正面図である。
図8】本発明による端子連鎖帯の連結具の実施態様例を示す(A)C-C矢視断面図、(B)平面図、(C)正面図である。
図9】本発明による端子供給装置の一例を示す拡大平面図である。
図10】本発明による端子供給装置の一例を示す規定位置及びその近隣の拡大平面図である。
図11】本発明による端子供給装置の一例を示す平面図である。
図12】本発明による端子供給装置の一例を示す正面図である。
図13】本発明による端子供給装置の一例を示す規定位置及びその近隣の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による端子連鎖帯の連結具の実施の形態を、当該連結具に連結された端子連鎖帯の端子を端子挿入装置へ供給する本発明による端子供給装置の実施の形態と共に、図面に基づき詳細に説明する。
図1及び図2に示す端子連鎖帯X,Yの連結具A,Bは、先行の端子連鎖帯X,Yの後端部に後続の端子連鎖帯X,Yの先端部を連結するための連結具である(図3及び図8参照)。
【実施例1】
【0014】
図1に示す連結具A(実施例1)は、金属からなる一片の直方体状のブロック1であって、端子αが連鎖方向に対し直角の方向へ向けられて平行に等間隔で配置された端子配列を持つ端子連鎖帯Xに用いられる(図3参照)。
前記連結具Aを構成する金属は、鉄若しくはステンレス、又はアルミ合金等が挙げられるが、耐摩耗性又は連結寸法の精度を高める上では、鉄やステンレス等の高剛性の素材を選択することが望ましい。
尚、前記ブロック1の外形は、略直方体状に限定されるものではなく、端子連鎖帯Xに施される工程に応じて適切な形態を採用することができる。
【0015】
この端子連鎖帯Xが備える端子αは、導線が接続される嵌合部α1と、回路基板のスルーホール等に挿入される実装部α2を備え、前記嵌合部α1と実装部α2の境界に設けられた連結部α3を介して連鎖状態が維持されている。前記連結部α3は、当該端子連鎖帯Xにおける隣接端子α,αのストッパ部α4がランナーの様に連続したものであって、端子挿入装置の規定位置(図6及び図7参照)Pにおいて当該連結部α3の中央部を打ち抜くことにより連結されていた隣接端子α,αが分離され、当該連結部α3の両端部がストッパ部α4として残ることとなる。
【0016】
前記ブロック1は、連結しようとする端子α,αを保持する一対の平行に配置された保持溝2,2を、当該ブロック1の奥行きの全域にわたる長さで備える。前記一対の保持溝2,2は、一方が先行の端子連鎖帯Xの最後尾の端子αを保持し、他方が後続の端子連鎖帯Xの先頭の端子αを保持する(図3参照)。
この例における各保持溝2,2の中心軸の間隔は、端子連鎖帯Xが備える端子αの配置間隔(1ピッチ)と等しくされている。各保持溝2,2は、各端子αにおける保持部位(被保持部)を、端子挿入装置の規定位置Pへ供給する際に安定的に保持できる幅及び深さを持つ略方形断面に成形されている(図1参照)が、端子挿入装置の規定位置Pへ供給する際に安定的に保持できる限り、つぼ型断面等の異なる断面形状を採用することができる。
図3に示す例は、端子αの実装部α2を保持部位としているが、保持部位は、前記嵌合部α1又は実装部α2のいずれに設けても良い。
尚、ここで前記配置間隔とは、端子連鎖帯Xにおいて連鎖状態に配置された各端子αの中心軸の間隔である。以下、前記配置間隔を「1ピッチ」とする。
【0017】
当該ブロック1の幅は、3ピッチ分の長さから前記保持部位の幅を差し引いた長さ未満とするが、隣接する端子αとの干渉に配慮して2ピッチ未満とすることが望ましい。
当該ブロック1の奥行きは、連結する二つの端子連鎖帯X,Xの端子α,αの平行状態を維持するに十分な最短の長さが望ましい。
当該ブロック1は、前記保持溝2,2に直交して当該ブロック1の全幅を横断し、且つ当該保持溝2より僅かに深い調整溝3を、当該ブロック1の奥行きの中央に、当該ブロック1の全幅にわたる長さで備える(図1参照)。
この例においては、当該調整溝3の存在をもって、当該連結具Aを端子αに装着する際の容易さ、又は前記保持溝2の保持力を調整することができる。
【実施例2】
【0018】
図2に示す連結具B(実施例2)は、キャリアγに複数の端子βが連鎖方向(移送方向)とは直角の方向へ向けられて平行に且つ等間隔で配置され保持された端子配列を持つ端子連鎖帯Yに用いられる(図8参照)。
当該連結具Bは、金属からなる部材であって、先行の端子連鎖帯Yのキャリアγの最後尾の保持部γ1に保持される第一連結軸4と、後続の端子連鎖帯Yのキャリアγの先頭の保持部γ1に保持される第二連結軸5と、前記第一連結軸4及び第二連結軸5を移送方向の前端部及び後端部に配置して支持する連結枠6を備える。
前記連結具Bを構成する金属は、鉄若しくはステンレス、又はアルミ合金等が挙げられるが、耐摩耗性又は連結寸法の精度を高める上では、鉄若しくはステンレス等の高剛性の素材を選択することが望ましい。
【0019】
この端子連鎖帯Yが備える端子βは、略等断面の硬直性の高い導電性金属からなる角線状端子であって、中間部に、コネクタ等のハウジングHに保持されるアンカー部β1を備え、両端部にテーパー部β2を備える。
【0020】
前記キャリアγは、金属製の長尺な平板を、複数の保持領域が連鎖した形状に打ち抜いたものである。当該キャリアγの素材は、端子βを傷付ける事無く装脱可能に保持できる真鍮等の銅合金が挙げられる。
前記キャリアγは、打ち抜き加工によって、円形のパイロット孔γ2が、その長手方向に沿って等間隔(1ピッチ間隔)の直線配置となるように穿設され、外向きに開口したC字状の保持枠を持つ保持部γ1が、隣接するパイロット孔γ2に挟まれた領域の両側縁部の中央に配置される様に形成されている。
この例では、隣接するパイロット孔γ2に挟まれた領域が、個々の端子βの保持領域に設定されており、各保持領域は、両側縁部の前記保持部γ1,γ1を各々近接方向へ直角に折り曲げ、両側縁部の保持枠が対向する様に成形することで完成する。
【0021】
前記保持領域の幅は、キャリアγに保持される端子βの平行状態を維持するに十分な最短の長さとなっている。
当該キャリアγの保持領域の長さ(当該保持領域における両側縁部の保持枠間の距離)は、前記端子βのアンカー部β1を当該キャリアγの保持領域に内包できる長さが必要であるが、更に、保持枠に対する端子βの位置ずれを防止する上では、当該キャリアγの保持領域に振れなく収めることができる長さが望ましい。
各保持枠は、各端子βの保持部位(被保持部:この例ではアンカー部β1)を、端子挿入装置の規定位置Pへ供給する際に安定的に保持でき、且つ困難無く脱離ができる保持強度を持つ様に、材料及び形態の選定がなされているが、端子挿入装置の規定位置Pへ供給する際に安定的に保持でき、且つ困難無く脱離ができる限り異なる形状を採用することができる。
【0022】
前記連結具Bの前記第一連結軸4及び第二連結軸5は、それぞれ前記キャリアγの保持枠に保持される端子βの保持部位(アンカー部β1)と略同形態である。
因みに、この例の前記第一連結軸4及び第二連結軸5は、その基体は、端子連鎖帯Yが備える端子βと同様の角線形状であるが、当該端子βのアンカー部(保持部位)β1とは異なり、脱離防止の「返り」を具備しない形状である(図8参照)。
尚、この例の第二連結軸5は、排出の際、端子挿入装置の端子クランパ27に把持されるため、前記第一連結軸4及び第二連結軸5は、当該端子クランパ27に面する側に向けられ、それらの先端形状は、前記端子βと略等しくされている。
【0023】
前記連結具Bの第一連結軸4及び第二連結軸5は、両者の外側(端子挿入装置の端子クランパ27が進む方向)の端部に架設された連結枠6をもって一体化され、当該連結枠6の支持により、移送方向の前後に端子連鎖帯Yが備える端子βの配置間隔の2ピッチ分の間隔を隔てて両連結軸4,5の平行な配置が維持される。
前記連結具Bの第一連結軸4及び第二連結軸5は、連結される二つの端子連鎖帯Y,Yのキャリアγ,γに各々保持された時に、当該第一連結軸4及び第二連結軸5の内側(端子挿入装置の端子クランパ27が退く方向)の端部が、連結される二つの端子連鎖帯Y,Yに保持された端子βの内側の端部と同じ位置に達する長さとされ、それらの先端位置は、端子連鎖帯Yが具備する端子βの先端に揃うこととなる。
【0024】
この連結枠6は、その中央部に方形の位置決め孔7を備える。
当該位置決め孔7は、端子挿入装置の規定位置Pへの位置決めを行う方形断面櫛歯10が丁度二つ嵌る形態とされている(図13参照)。
当該位置決め孔7の送り方向(端子連鎖帯Yの連鎖方向)に配置された両内面と、前記第一連結軸4及び第二連結軸5の内面とは、同一線上で面一となる様に設けてある。一方、送り方向とは直交する様に対向して配置された両内面は、端子挿入装置の規定位置Pにおいて送り方向とは直交する方向の位置決めに利用することができる。
尚、前記第一連結軸4と第二連結軸5の配置間隔は、1ピッチ分又は3ピッチ分以上とすることもできる。前記位置決め孔7の形状は、方形に限定されるものではなく、前記櫛歯10その他の位置決め手段12による位置決め効果に支障が無い限り円形その他の形状を採用することができる。
【実施例3】
【0025】
図4乃至図7及び図9乃至図13は、コネクタのハウジングHに、上記端子連鎖帯X,Yが備える端子α,βを打ち込む端子挿入装置に装備された端子供給装置の一例を示したものである。
この例は、等間隔で複数の端子α,βが平行に連鎖する態様で配置された端子連鎖帯X,Yを、その連鎖方向の移送路へ供給する端子供給装置である(図6又は図11参照)。
【0026】
ここに示す例は、連鎖方向へ巻着された端子連鎖帯X,Yを巻着解除可能に保持する供給手段(図示省略)と、前記端子連鎖帯X,Yを1ピッチ単位で間欠送り動作(間欠案内動作)を行う案内手段11と、前記案内手段11から供給された端子連鎖帯X,Yの配備部材を規定位置Pに配置する位置決め動作を行う位置決め手段12と、端子連鎖帯Xの配備端子αと後続端子αを繋ぐ連結部α3を打ち抜き、又は端子連鎖帯Yのキャリアγを1ピッチ単位で切断することによって端子連鎖帯X,Yの配備部材と後続部分を分離する分断手段14と、前記案内手段11から供給された端子連鎖帯X,Yから前記連結具A,Bが装着された連結部位を検知し位置情報を出力する連結部位検知手段15と、前記位置情報に基づいて排出位置(この例では前記規定位置P)への連結具A,Bの到着を検知し、当該連結具A,B、及び連結具A,Bが装着され、且つ後続部分から分離された配備部材(端子α,β又はキャリアγ)を排出する連結具分別手段16を備える。
【0027】
前記供給手段は、端子連鎖帯X,Yが巻き付けられたリールと、当該リールを回転自在に保持するラックを備える。
コネクタのハウジングHに、素材や形態が異なる複数の端子α,βを挿入する場合には、規定位置P及びその近隣に配置された連結部位検知手段15の検知点を通過する移送路を複数平行して設ける構成を採ることができる。その際、案内手段11は、移送路毎に設ける構成を採っても良い(図12参照)。
【0028】
前記案内手段11は、前記端子連鎖帯X,Yの端子α,α,β,β間に嵌る案内歯を具備するスプロケット17と、当該スプロケット17を間欠駆動する駆動手段18を備え、回転自在なリールに巻き付けられた端子連鎖帯X,Yを引き込んで、その巻着を解除しつつ連鎖方向の移送路へ供給するものである。
前記案内歯のピッチは、前記端子連鎖帯X,Yの端子α,βの配置のピッチと等しく、各案内歯は、その歯厚が、前記端子連鎖帯X,Yが通過する移送路上において当該端子連鎖帯X,Yにおける隣接端子α,α,β,β間の間隙に丁度収まる寸法とされ、その歯幅が、当該端子連鎖帯X,Yの端子α,βの配置を平行に維持するに足る幅とされている。
前記駆動手段18は、サーボモーター等、前記スプロケット17を1ピッチ単位で正確に間欠回転させ得るアクチュエータを備える。
【0029】
前記位置決め手段12は、配備端子α,β又はそれに付着したキャリアγ等の部材の規定位置Pへの位置決めを行うガイドブロック19と、前記規定位置Pに配置されたカットダイ13に対しガイドブロック19を進入及び退避させる進退手段9を備える。
【0030】
前記ガイドブロック19は、その進退方向の前面から突出する形で、端子連鎖帯X,Yの端子α,α,β,β間の間隙に嵌る櫛歯10が端子連鎖帯X,Yの端子α,βの配置間隔を隔てて直線的に複数(この例では4つ)列設され、各櫛歯10は、各端子α,α,β,βの間に丁度収まる幅に(各櫛歯10,10の間に嵌った端子α,βを挟む様に)設定されている。
更に、その内側(端子挿入装置の端子クランパ27が退く方向)には、後続端子α,βを支持する副櫛歯20が端子連鎖帯X,Yの端子α,βの配置間隔(1ピッチ)を隔てて直線的に複数(この例では2つ)配置され、各副櫛歯20は、各端子α,α,β,βの間に丁度収まる幅に(各副櫛歯20,20の間に嵌った端子α,βを挟む様に)設定されている。当該副櫛歯20の存在により、配備端子α,β及びその後続端子α,βの位置及び姿勢がより精密に保持される。
【0031】
前記櫛歯10及び副櫛歯20は、端子連鎖帯X,Yの連鎖方向側のピッチ点に、配備端子α,βを規定方向Pへ向けるガイド面を備えると共に、当該櫛歯10及び副櫛歯20の先端部に、配備端子α,βを規定位置Pに誘導し、後続端子α,βをそれぞれ所定の位置に誘導する誘い込み部を備える。
ここでピッチ点とは、端子連鎖帯X,Yの移送路の移送面において端子連鎖帯X,Yの端子α,βと櫛歯10及び副櫛歯20が接触する点を言うものとする。
前記進退手段9は、カム機構等を駆動するアクチュエータを備える。
【0032】
前記分断手段14は、ガイドブロック19に内装されたプレスヘッド21と、カットダイ13の一部に設けられたプレス孔22と、前記プレスヘッド21を昇降させる加圧手段23を備える。
前記プレス孔22は、位置決めが完了した時に、実施例1(連結具A)が連結する端子連鎖帯Xの連結部α3の中央部(打ち抜き範囲)が定着される領域、又は実施例2(連結具B)が連結する端子連鎖帯Yにおけるキャリアγの保持領域の境界線(切断範囲)が位置する領域に設ける。
前記プレスヘッド21は、前記実施例1が連結する端子連鎖帯Xについては、前記プレス孔22との関係で前記連結部α3を面で打ち抜く形態とし、前記実施例2が連結する端子連鎖帯Yについては、中央部の切欠部(逃げ部)に配備端子βを収めつつその両側に備える刃で配備端子βの保持領域と近隣端子βの保持領域との境界線を前記プレス孔22との関係で切断する形態とする。この例では、前記キャリアγの切断の際、その加圧により配備端子βからキャリアγが脱離して落下する。
前記加圧手段23は、カム機構等を駆動するアクチュエータを備える。
【0033】
前記連結部位検知手段15は、端子連鎖帯X,Yの端子間α,α,β,βの間隙の有無を検知するセンサと、当該センサの出力から、仕掛りの端子連鎖帯X,Yの連結部位に装着された連結具A,Bが規定位置Pまで何ピッチ分離隔した位置にあるかの情報(位置情報)を検出する。
【0034】
前記実施例1が連結する端子連鎖帯Xでの位置情報の検出は、例えば、一個の光電センサ24を、端子連鎖帯Xに装着された連結具Aが通過する位置であって、且つ端子連鎖帯Xの端子α,α間の空隙を覗く位置に固定し、連結具Aが存在する場合と、連結具Aが存在しない場合の光電センサ24の出力の相違から連結具Aの通過を検出(終端検出処理)した時、予め計数された規定位置Pまでのピッチ数を、連結具Aを排出するまでのピッチ数(以下、「排出猶予ピッチ数」という。)として送り動作のカウンタにセットする。
【0035】
前記実施例2が連結する端子連鎖帯Yでの位置情報の検出は、例えば、二個の光電センサ25,26を、端子連鎖帯Yに装着された連結具Bの連結枠6が通過する位置であって、且つ端子連鎖帯Yの隣接する端子β,β間の空隙を覗く位置にそれぞれ固定し、連結具Bが存在する場合と、連結具Bが存在しない場合の光電センサ25及び光電センサ26の出力の相違から連結具Bの通過を検出(終端検出処理)した時、予め計数された規定位置Pまでのピッチ数を、連結具Bを排出するまでの排出猶予ピッチ数として送り動作のカウンタにセットする。
【0036】
前記連結具分別手段16は、前記連結部位検知手段15から得られた排出猶予ピッチ数の送り動作が行われたことを検知して、端子挿入装置の端子クランパ27を連結具排出手段として稼働させる。
実施例1で端子連鎖帯Xを連結する場合にあっては、当該連結具排出手段としての端子クランパ27は、配備端子αを端子クランパ27で確保し、当該配備端子αを後続端子αから分断し、前記端子クランパ27を伸ばす等の工程を順次経て、当該配備端子αを、連結具A及び通過端子(連結具Aから外れる事無く規定位置Pを通過した端子)αと共に排出点へ搬出する(図4参照)。
実施例2で端子連鎖帯Yを連結する場合にあっては、前記連結具排出手段としての端子クランパ27は、連結具Bの第二連結軸5を端子クランパ27で確保し、当該連結具Bの第二連結軸5を保持している保持領域(キャリアγ)を当該キャリアγの後続部分から分断し、前記端子クランパ27を伸ばす等の工程を順次経て、当該連結具Bを、それに付着したキャリアγの切片と共に排出点へ搬出する(図9参照)。
【0037】
以上の如く構成された端子供給装置によれば、前記駆動手段18が稼働することによりスプロケット17が1ピッチ単位で間欠回転を行うと、端子連鎖帯X,Yが平均して略1ピッチずつリールから巻着を解かれて引き出され、移送路上を連鎖方向に1ピッチ単位で移動する。
端子挿入装置の規定位置P周辺においては、1ピッチの送り動作が完了する毎にガイドブロック19の昇降が行われ、配備端子α,βとその手前3本の端子(以下、「近隣端子」という。)α,βの位置決めが行われる。
前記位置決めは、前記配備端子α,βと近隣端子α,βをガイドブロック19とカットダイ13で挟持する態様で行われ、移送路の規定位置Pに前記配備端子α,βを配置すると共に、近隣端子α,βをその後方の所定位置に配置する。その際、前記配備端子α,βと近隣端子α,βは、前記ガイドブロック19の下降に伴う加圧によって、前記櫛歯10及び副櫛歯20のガイド面により前記規定位置P及び所定位置へ微調整され、前記ガイドブロック19とカットダイ13とで挟持されることにより位置決めが完了する。
【0038】
位置決めが完了すると、配備端子α,βは、端子挿入装置の端子クランパ27に確保され、その後、カットダイ13のプレス孔22へプレスヘッド21が下降し、配備端子α,βと近隣端子α,βを分断する(分断工程)。
プレスヘッド21が上昇し、ガイドブロック19が上昇して退避した後、分離した配備端子α,βは、端子挿入装置の端子クランパ27の進退動作によりハウジングH等の孔へ圧入され、端子α,β一本分の植設工程が完了する。
続いて、前記案内手段11により新たな配備端子α,β及び近接端子α,βを規定位置P及び所定位置に送る動作を開始し、上記一連の植設工程を繰り返す。
【0039】
前記連結具A,Bが端子挿入装置の規定位置Pに近づくと、所定の位置に固定された光電センサ24,25,26の出力に基づき、前記終端検出手段15により連結具A,Bを排出するまでの排出猶予ピッチ数が送り動作カウンタにセットされる。
当該排出猶予ピッチ数の送り動作が完了した時、排出対象が端子挿入装置の規定位置Pを含む排出位置に配置されたとして前記分断工程を行い、連結具分別手段16の排出アーム(端子挿入装置の端子クランパ27)により、実施例1に保持された後方の端子α、又は実施例2の第二連結軸5を掴んで、実施例1にあっては、当該実施例1に保持された2本の端子α,αと共に排出し、実施例2にあっては連結具Bとキャリアγの一部を排出する。
【0040】
上記の如く、端子連鎖帯X,Yは、各々の連結具A,Bが介在する部位にあっても、前記案内手段11及び位置決め手段12により滞り無く端子連鎖帯X,Yの供給と正確な位置決めが行われる。
【符号の説明】
【0041】
α 端子,α1 嵌合部,α2 実装部,α3 連結部,α4 ストッパ部,
β 端子,β1 アンカー部,β2 テーパー部,
γ キャリア,γ1 保持部,γ2 パイロット孔,
A 連結具,B 連結具,P 規定位置,H ハウジング,
X 端子連鎖帯,Y 端子連鎖帯,
1 ブロック,2 保持溝,3 調整溝,
4 第一連結軸,5 第二連結軸,6 連結枠,7 位置決め孔,
9 進退手段,10 櫛歯,
11 案内手段,12 位置決め手段,13 カットダイ,
14 分断手段,15 連結部位検知手段,16 連結具分別手段,
17 スプロケット,18 駆動手段,
19 ガイドブロック,20 副櫛歯,21 プレスヘッド,22 プレス孔,
23 加圧手段,
24 光電センサ,25 光電センサ,26 光電センサ,
27 端子クランパ,
【要約】
【課題】 仕掛り端子連鎖帯と続いて供給される端子連鎖帯との連続性を、多くの端子を無駄にすることなく、且つ適正なピッチを保ちつつ維持できる端子連鎖帯の連結具及び端子供給装置の提供。
【解決手段】 端子α,αを平行に保持する一対の保持溝2,2を、端子連鎖帯Xの端子配列の1ピッチ単位の間隔で備え、一方が先行端子連鎖帯Xの最後尾の端子αを保持し他方が後続端子連鎖帯Xの先頭の端子αを保持する連結具A、又は先行端子連鎖帯Yのキャリアγの最後の保持部に保持される第一連結軸4と、後続端子連鎖帯Yのキャリアγの先頭の保持部に保持される第二連結軸5と、それらを支持する連結枠6を備え、第一連結軸4及び第二連結軸5は、前後に端子連鎖帯Yの端子配列の1ピッチ単位の間隔で平行に配置され、それぞれキャリアγの保持部に保持される端子βの被保持部と略同形態の部分を具備する連結具B。
【選択図】 図1
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