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特許7054758タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 19/04 20060101AFI20220407BHJP
   G01N 33/34 20060101ALI20220407BHJP
   G01N 19/02 20060101ALI20220407BHJP
   A24D 1/02 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
G01N19/04 D
G01N33/34
G01N19/02 A
A24D1/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021521342
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2020141590
(87)【国際公開番号】W WO2021136421
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】202010576787.1
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517283640
【氏名又は名称】雲南中煙工業有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】楊継
(72)【発明者】
【氏名】劉志華
(72)【発明者】
【氏名】朱瑞芝
(72)【発明者】
【氏名】向能軍
(72)【発明者】
【氏名】司暁喜
(72)【発明者】
【氏名】劉春波
(72)【発明者】
【氏名】何沛
(72)【発明者】
【氏名】張鳳梅
(72)【発明者】
【氏名】唐石云
(72)【発明者】
【氏名】蒋薇
(72)【発明者】
【氏名】李振杰
(72)【発明者】
【氏名】蘇鐘璧
(72)【発明者】
【氏名】楊晨
(72)【発明者】
【氏名】蒋昆明
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102279184(CN,A)
【文献】特表2013-505729(JP,A)
【文献】特開2000-225673(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108169126(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109060650(CN,A)
【文献】米国特許第05595196(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102095842(CN,A)
【文献】中国実用新案第201885962(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111721701(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111721702(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111723489(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 19/00-19/10
G01N 33/34
A24D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法であって、
前記タバコのチップペーパーを長方形に切断する、ステップ(1)と、
pH値が5.5~7.5の人工唾液を準備する、ステップ(2)と、
人工唇皮を前記タバコのチップペーパーと同じサイズの長方形に切断する、ステップ(3)と、
前記人工唾液によって、前記ステップ(3)で切断された前記人工唇皮と前記ステップ(1)で切断された前記タバコのチップペーパーの片面同士を付着させ、付着面積を測定し、一定重量になるまで静置して、測定されるべきサンプルを得るステップ(4)であって、接着時に前記タバコのチップペーパーの印刷面が前記人工唇皮に対向している、ステップ(4)と、
前記ステップ(4)で得た前記測定されるべきサンプルの、接着されていない前記チップペーパーの他端と前記人工唇皮の他端とを2つのクランプでそれぞれ挟み、前記2つのクランプ間の距離と相対移動速度とを設定し、前記チップペーパーと前記人工唇皮とが剥離して離れた瞬間の最大剥離力を取得する、ステップ(5)と、
前記ステップ(5)で得た前記最大剥離力を前記チップペーパーと前記人工唇皮との前記付着面積で除して、単位面積当たりの前記タバコのチップペーパーの唇付着力を得る、ステップ(6)とを含み、
前記人工唇皮の材料は、医療用シリコーンゴムの軟質皮膚、表皮細胞層を有する活性複合皮膚、ポリ塩化ビニルの人工皮革、ポリウレタン乾燥法による人工皮革、又はポリオレフィンの人工皮革である、ことを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)において、前記タバコのチップペーパーを切断する幅の範囲は1~1000mmであり、長さの範囲は1~1000mmである、ことを特徴とする、請求項1に記載のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法。
【請求項3】
前記ステップ(2)において、前記人工唾液には塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム、尿素、ブドウ糖、ムチン、アミラーゼ、酸性ホスファターゼ、及びリゾチームが含有されることを特徴とする、請求項1に記載のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法。
【請求項4】
前記人工唾液中には、1.40mmol/Lの塩化ナトリウム、0.5mmol/Lの塩化カリウム、0.1mmol/Lの塩化カルシウム、0.15mmol/Lのリン酸二水素ナトリウム、0.025mmol/Lの塩化マグネシウム、0.09mmol/Lの尿素、0.2mmol/Lのブドウ糖、2.7mmol/Lの牛顎下腺唾液ムチン、2.5units/mLのアミラーゼ、0.004units/mLの酸性ホスファターゼ、0.7units/mLのリゾチームが含有されることを特徴とする、請求項3に記載のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法。
【請求項5】
接着に使用される前記人工唾液の体積範囲は1~1000μLであり、マイクロインジェクション針、ピペットガン、又はピペットを使用して前記人工唇皮上に前記人工唾液を移した後に、前記タバコのチップペーパーの前記印刷面を前記人工唇皮に対向させて接着を行う、ことを特徴とする、請求項1に記載のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法。
【請求項6】
前記ステップ(4)において、静置時間が1~300秒であることを特徴とする、請求項1に記載のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法。
【請求項7】
前記ステップ(5)において、前記2つのクランプはタバコのチップペーパーの他端と人工唇皮の他端とを完全に挟むことが可能であり、前記2つのクランプは相対運動を行いうる、ことを特徴とする、請求項1に記載のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法。
【請求項8】
前記ステップ(5)において、剥離強度試験器、引張機、又は動摩擦係数試験器のうちの任意の1つの試験器を用いて前記最大剥離力を測定することを特徴とする、請求項1に記載のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法。
【請求項9】
前記ステップ(5)において、前記2つのクランプの前記距離が5~500mmであり、前記移動速度が1~500mm/分である、ことを特徴とする、請求項1に記載のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析検査測定の技術分野に属しており、具体的には、タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、タバコのフィルタのほとんどは主に、アセテート繊維と、成形紙と、チップペーパーという3層で構成されており、その中で、水解紙(チップペーパーとも称される)は、フィルタの外側を包み、フィルタをタバコスティックの端部に接合するために使用される。チップペーパーは、水解原紙に印刷塗装などの加工を施すことによって得られる装飾紙であり、コルク色又は不透明な白色であることが多く、外観を改良する効果を有する。
【0003】
チップペーパーは喫煙者の唇と直接接触するものであり、一般に、チップペーパーには塗料又はインクだけを使用して印刷が行われる。天気が乾燥している時に消費者がタバコを吸う場合、少量の唾液がチップペーパーを湿らせ、タバコを吸う過程で徐々に乾燥することがあり、唇に残った唾液のたんぱく質がチップペーパーと粘着するよう作用して、フィルタのチップペーパーが唇の皮膚に付着し、ひどい場合には唇を引っ張って破って出血を起こすこともあり、喫煙後にフィルタをスムーズに口から出すことができなくなるので、タバコの消費体感に深刻な影響を与える。
【0004】
現在、国内外ではタバコのフィルタのチップペーパーの唇付着力又は唇付着度についての関連研究はなく、規制を実施する対応標準もない。関連する国内外の文献に関しても、チップペーパーの配合及び加工を改良し、改善することばかりであり、具体的な検査測定方法の確立に関するものはない。例えば、発明特許「
」には水解紙の加工配合が記載されているが、効果の検査測定では、原紙の縦方向引張強度及び通気性が検査測定されているだけであり、唇付着力の検査測定には触れられていない。水解紙の外部コーティング上に保護フィルムを有する「
」の実用新案でも、唇付着を防止する具体的な有益な検査測定方法は提示されていない。実用新案「
」の目的は唇付着防止、香り付け、燃焼防止などであり、水解紙の外層では、フルーツの香りの防水層と防護フィルム層とが合成されているが、唇付着防止の試験結果には触れられていない。
【0005】
企業はそれぞれ、多大な主観性と不確実性とを有する、専門家による吸引評価判断にのみ依存している。加工も種類も様々なチップペーパーの唇に対する付着性/付着力を正確に測定するために対応する客観的な分析試験方法を確立し、タバコの材料承認、品質判断のためのベースを提供することが、喫緊に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解決するために、タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法を提供することであり、かかる方法は、タバコのチップペーパーの唇への付着力を正確に定量化でき、従来的には人工官能評価によってもたらされる主観的要素の影響及び表現の差異を十分に回避することが可能であり、更に客観的で効率が良い上に再現性に優れ、高感度で使用が容易であり、タバコ業界の材料承認、品質管理、製品のアップグレードにおいて利点を有する。
【0007】
上述した目的を実現するために本発明が採用する技術的解決策は、
タバコのチップペーパーの唇付着力を測定する方法であって、
タバコのチップペーパーを長方形に切断する、ステップ(1)と、
pH値が5.5~7.5の人工唾液を準備する、ステップ(2)と、
人工唇皮をタバコのチップペーパーと同じサイズの長方形に切断する、ステップ(3)と、
人工唾液によって、ステップ(3)で切断された人工唇皮とステップ(1)で切断されたタバコのチップペーパーの片面同士を付着させ、付着面積を測定し、一定重量になるまで静置して、測定されるべきサンプルを得るステップ(4)であって、接着時にタバコのチップペーパーの印刷面が人工唇皮に対向している、ステップ(4)と、
ステップ(4)で得た測定されるべきサンプルの、接着されていないチップペーパーの他端と人工唇皮の他端とを2つのクランプでそれぞれ挟み、2つのクランプ間の距離と相対移動速度とを設定し、チップペーパーと人工唇皮とが剥離して離れた瞬間の最大剥離力を取得する、ステップ(5)と、
ステップ(5)で得た最大剥離力をチップペーパーと人工唇皮との付着面積で除して、単位面積当たりのタバコのチップペーパーの唇付着力を得る、ステップ(6)とを含み、人工唇皮の材料は、医療用シリコーンゴムの軟質皮膚、表皮細胞層を有する活性複合皮膚、ポリ塩化ビニルの人工皮革、ポリウレタン乾燥法による人工皮革、又はポリオレフィンの人工皮革である、
方法である。
【0008】
本発明の「一定重量になるまで静置する(
)」ことの目的は、ステップ(3)で切断された人工唇皮とステップ(1)で切断されたタバコのチップペーパーとを人工唾液で十分に付着させるために、静置して接着剤(人工唾液)を完全に乾燥させることである。
【0009】
更に、好ましくは、ステップ(1)において、タバコのチップペーパーを切断する幅の範囲は1~1000mmであり、長さの範囲は1~1000mmである。タバコのチップペーパー及び人工唇皮の長さは、本発明の実現を可能にすることと、2つのクランプに挟むことができることという、条件を満たす必要がある。
【0010】
更に、好ましくは、ステップ(2)において、人工唾液には塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム、尿素、ブドウ糖、ムチン、アミラーゼ、酸性ホスファターゼ、及びリゾチームが含有される。
【0011】
更に、好ましくは、人工唾液中には、1.40mmol/Lの塩化ナトリウム、0.5mmol/Lの塩化カリウム、0.1mmol/Lの塩化カルシウム、0.15mmol/Lのリン酸二水素ナトリウム、0.025mmol/Lの塩化マグネシウム、0.09mmol/Lの尿素、0.2mmol/Lのブドウ糖、2.7mmol/Lのムチン、2.5units/mLのアミラーゼ、0.004units/mLの酸性ホスファターゼ、0.7units/mLのリゾチームが含有される。
【0012】
更に、好ましくは、接着に使用される人工唾液の体積範囲は1~1000μLであり、マイクロインジェクション針(
)、ピペットガン(
)、又はピペットを使用して人工唇皮上に人工唾液を移した後に、タバコのチップペーパーの印刷面を人工唇皮に対向させて接着を行う。
【0013】
本発明は、単位面積当たりの人工唾液の使用量に制限を設けず、付着可能であるということを基準にする。
【0014】
更に、好ましくは、ステップ(4)において、静置時間は1~300秒である。
【0015】
更に、好ましくは、ステップ(5)において、2つのクランプはタバコのチップペーパーの他端と人工唇皮の他端とを完全に挟むことが可能であり、2つのクランプは相対運動を行いうる。
【0016】
更に、好ましくは、ステップ(5)において、剥離強度試験器、引張機、又は動摩擦係数試験器のうちの任意の1つの試験器を用いて最大剥離力を測定する。
【0017】
更に、好ましくは、試験器の負荷範囲は0~200Nであり、識別率(
)は≧0.01Nである。
【0018】
更に、好ましくは、ステップ(5)において、2つのクランプの距離は5~500mmであり、移動速度は1~500mm/分である。
【0019】
本発明の試験で用いられる設備はみな既存の設備であり、本発明は、設備の具体的な構造について改変を行うものではない。
【0020】
本発明を従来技術と比較した場合の、本発明の有益な効果を以下に記す。
本発明のタバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法は、客観的かつ正確にチップペーパーの唇付着力を定量化することができ、従来的には官能評価によって得ていた唇に付着する感じや口から出しにくい感じなどの漠然とした概念、及び、主観的な要素の影響が大きくなり、結果的な味わいが大きく異なり、人体の健康に有害であるといった欠点を、効果的に回避することが可能である。かかる方法では、人工唾液を用いてチップペーパーと人工唇皮とを有効に付着させ、一定時間静置してから、付着されたチップペーパーと人工唇皮とを2つのクランプにそれぞれ挟み、この2つのクランプを相対運動させて、力センサ及び変位センサにより試験プロセス中の力値の変化を収集する。試験で到達した最大剥離力をチップペーパーと人工唇皮との付着面積で除すると、これが単位面積当たりのタバコのチップペーパーの唇付着力となる。本発明は、客観的で効率が良い上に再現性に優れ、高感度で使用が容易であり、タバコ業界における材料承認、品質管理、製品のアップグレードにおいて相当な利点を有する。人体実験の倫理道徳的制約が回避されると共に実験費用も節約され、更に、人間が口にすることで人体の健康に対してもたらされるリスクも低減される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】試験器1の原理図である。
図2】試験器2の原理図である。
図3】剥離強度試験器のテストチャートである。
図4】動摩擦係数測定器のテストチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明について、実施例と併せて更に詳しく説明する。
【0023】
下記の実施例は、本発明を説明するためにのみ使用されており、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないと、当業者には理解されよう。実施例は、その中に具体的な技術又は条件が明記されていない場合、本分野における文献に記載された技術若しくは条件に基づいて、又は製品の仕様書に基づいて実施される。使用される材料又は設備は、それらの製造供給者が明記されていない場合は、いずれも購入により取得可能な一般的な製品である。
【0024】
以下の実施例において、特段の記載がなければ、パーセントは全て重量パーセントである。
【0025】
実施例1
タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法は、
雲南中煙ブランドのタバコのチップペーパー(DCJ)を用意し、幅15mm、長さ50mmに正確に切断する、ステップ(1)と、
表1に従って人工唾液を準備する、ステップ(2)とを、含む。
かかる方法は更に、人工唇皮として厚さ30μmのポリ塩化ビニルの人工皮革を用意し、この人工唇皮を幅15mm、長さ50mmに切断する、ステップ(3)と、
マイクロインジェクション針を使用して正確に10μLの人工唾液を取って人工唇皮の片面上に均一に塗布し(塗布面積は10×15=150mm)、タバコのチップペーパーの印刷面と人工唇皮とを人工唾液により付着させて2分間静置することでこれらを付着させる、ステップ(4)と、
ドイツのKARL社の引張機M250-2.5CTを試験設備として選択し、付着したチップペーパー及び人工唇皮の付着されずに余った他端部を、引張機の2つのクランプにそれぞれ挟み、2つのクランプの距離を50mm、移動速度を50mm/分に設定して、チップペーパーと人工唇皮とが引っ張られて離れる瞬間に取得された最大力を最大剥離力とする、ステップ(5)と、
DCJタバコチップペーパーの唇付着力F=最大剥離力(N)/付着面積(mm)=0.932N/150mm=6.2×10-3N/mm
を計算する、ステップ(6)とを含む。
【0026】
実施例2
タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法は、
雲南中煙ブランドのタバコのチップペーパー(DYT)を用意し、タバコのチップペーパーを幅20mm、長さ80mmに正確に切断する、ステップ(1)と、
表1に従って人工唾液を準備する、ステップ(2)と、
人工唇皮として厚さ50μmの医療用シリコーンゴムの軟質皮膚を用意し、この人工唇皮を幅20mm、長さ80mmに切断する、ステップ(3)と、
マイクロインジェクション針を使用して正確に15μLの人工唾液を取って人工唇皮の片面上に均一に塗布し(塗布面積は20×20=400mm)、タバコのチップペーパーの印刷面と人工唇皮とを人工唾液により付着させて5分間静置することで、これらを付着させる、ステップ(4)と、
動摩擦係数測定器FP-2255を試験設備として選択し、付着したチップペーパー及び人工唇皮の付着されずに余った他端部を、動摩擦係数測定器の2つのクランプにそれぞれ挟み、2つのクランプの距離を50mm、移動速度を20mm/分に設定して、チップペーパーと人工唇皮とが引っ張られて離れる瞬間に取得された最大力を最大剥離力とする、ステップ(5)と、
YTタバコチップペーパーの唇付着力F=最大剥離力(N)/付着面積(mm)=0.483N/400mm=1.2×10-3N/mm
を計算する、ステップ(6)とを含む。
【0027】
実施例3
タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法は、
市販のタバコのチップペーパーを用意し、幅10mm、長さ100mmに正確に切断する、ステップ(1)と、
表1に従って人工唾液を準備する、ステップ(2)と、
人工唇皮として厚さ40μmのポリウレタン乾燥法による人工皮革を用意し、このポリウレタン乾燥法による人工皮革を幅10mm、長さ100mmに切断する、ステップ(3)と、
マイクロインジェクション針を使用して正確に20μLの人工唾液を取って人工唇皮の片面上に均一に塗布し(塗布面積は10×40=400mm)、タバコのチップペーパーの印刷面と人工唇皮とを人工唾液により付着させて0.5分間静置することで、これらを付着させる、ステップ(4)と、
剥離強度試験器を試験設備として選択し、図1に示しているように、付着したチップペーパー及び人工唇皮の付着されずに余った他端部を、剥離強度試験器の2つのクランプにそれぞれ挟み、2つのクランプの距離を140mm、移動速度を20mm/分に設定する、ステップ(5)であって、2つのクランプは力センサと変位センサとを内蔵したスマートボード(既存の設備)に取り付けられ、力値/変位収集器(通常はコンピュータ)が力センサと変位センサとを内蔵したスマートボードに連結され、力値と変位の変化データをリアルタイムで収集することが可能であり、チップペーパーと人工唇皮とが引っ張られて離れる瞬間に取得された最大力を最大剥離力とする、ステップ(5)とを含み、試験結果は図3に示す通りであった。
かかる方法は更に、市場で入手可能なタバコチップペーパーの唇付着力F=最大剥離力(N)/付着面積(mm)=0.748N/400mm=1.87×10-3N/mm
を計算する、ステップ(6)を含む。
【0028】
実施例4
タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法は、
市販のタバコのチップペーパーを用意し、幅50mm、長さ200mmに正確に切断する、ステップ(1)と、
表1に従って人工唾液を準備する、ステップ(2)と、
人工唇皮として厚さ40μmの表皮細胞層を有する活性複合皮膚を用意し、この表皮細胞層を有する活性複合皮膚を幅50mm、長さ200mmに切断する、ステップ(3)と、
マイクロインジェクション針を使用して正確に30μLの人工唾液を取って人工唇皮の片面上に均一に塗布し(塗布面積は50×15=750mm)、タバコのチップペーパーの印刷面と人工唇皮とを人工唾液により付着させて1分間静置することでこれらを付着させる、ステップ(4)と、
動摩擦係数測定器を試験設備として選択し、図2に示しているように、付着したチップペーパー及び人工唇皮の付着されずに余った他端部を、動摩擦係数測定器の2つのクランプにそれぞれ挟み、2つのクランプの距離を300mm、移動速度を30mm/分に設定する、ステップ(5)であって、図2では人工唇皮はクランプによって測定プラットフォームに固定され、チップペーパーと人工唇皮とが引っ張られて離れる瞬間に取得された最大力を最大剥離力とする、ステップ(5)とを含み、試験結果は図4に示す通りであった。
かかる方法は更に、市場で入手可能なタバコチップペーパーの唇付着力F=最大剥離力(N)/付着面積(mm)=0.385N/750mm=5.133×10-4N/mm
を計算する、ステップ(6)を含む。
【0029】
実施例5
タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法は、
市販のタバコのチップペーパーを用意し、幅50mm、長さ200mmに正確に切断する、ステップ(1)と、
表1に従って人工唾液を準備する、ステップ(2)と、
人工唇皮として厚さ40μmの表皮細胞層を有する活性複合皮膚を用意し、この表皮細胞層を有する活性複合皮膚を幅50mm、長さ200mmに切断する、ステップ(3)と、
マイクロインジェクション針を使用して正確に30μLの人工唾液を取って人工唇皮の片面上に均一に塗布し(塗布面積は50×15=750mm)、タバコのチップペーパーの印刷面と人工唇皮とを人工唾液により付着させて2分間静置することでこれらを付着させる、ステップ(4)と、
剥離強度試験器を試験設備として選択し、図1に示しているように、付着したチップペーパー及び人工唇皮の付着されずに余った他端部を、剥離強度試験器の2つのクランプにそれぞれ挟み、2つのクランプの距離を300mm、移動速度を30mm/分に設定する、ステップ(5)であって、2つのクランプは力センサと変位センサとを内蔵したスマートボード(既存の設備)に取り付けられ、力値/変位収集器(通常はコンピュータ)が力センサと変位センサとを内蔵したスマートボードに連結され、力値と変位の変化データをリアルタイムで収集することが可能であり、チップペーパーと人工唇皮とが引っ張られて離れる瞬間に取得された最大力を最大剥離力とする、ステップ(5)と、
市場で入手可能なタバコチップペーパーの唇付着力F=最大剥離力(N)/付着面積(mm)=0.386N/750mm=5.147×10-4N/mm
を計算する、ステップ(6)とを含む。
【0030】
実施例6
タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法は、
雲南中煙ブランドのタバコのチップペーパー(DYT)を用意し、幅1000mm、長さ1000mmに正確に切断する、ステップ(1)と、
表1に従って人工唾液を準備する、ステップ(2)と、
人工唇皮として厚さ50μmの医療用シリコーンゴムの軟質皮膚を用意し、この人工唇皮を幅1000mm、長さ1000mmに切断する、ステップ(3)と、
マイクロインジェクション針を使用して正確に1000μLの人工唾液を取って人工唇皮の片面上に均一に塗布し(塗布面積は1000×100=100000mm)、タバコのチップペーパーの印刷面と人工唇皮とを人工唾液により付着させて5分間静置することでこれらを付着させる、ステップ(4)と、
引張機を試験設備として選択し、付着したチップペーパー及び人工唇皮の付着されずに余った他端部を、引張機の2つのクランプにそれぞれ挟み、2つのクランプの距離を500mm、移動速度を500mm/分に設定して、チップペーパーと人工唇皮とが引っ張られて離れる瞬間に取得された最大力を最大剥離力とする、ステップ(5)と、
YTタバコチップペーパーの唇付着力F=最大剥離力(N)/付着面積(mm
を計算する、ステップ(6)とを含む。
【0031】
実施例7
タバコのチップペーパーの唇付着力の測定方法は、
雲南中煙ブランドのタバコのチップペーパー(DYT)を用意し、タバコのチップペーパーを幅1mm、長さ5mmに正確に切断する、ステップ(1)と、
表1に従って人工唾液を準備する、ステップ(2)と、
人工唇皮として厚さ50μmの医療用シリコーンゴムの軟質皮膚を用意し、この人工唇皮を幅1mm、長さ5mmに切断する、ステップ(3)と、
マイクロインジェクション針を使用して正確に1μLの人工唾液を取って人工唇皮の片面上に均一に塗布し(塗布面積は1×2=2mm)、タバコのチップペーパーの印刷面と人工唇皮とを人工唾液により付着させて5秒間静置することでこれらを付着させる、ステップ(4)と、
動摩擦係数測定器を試験設備として選択し、付着したチップペーパー及び人工唇皮の付着されずに余った他端部を、動摩擦係数測定器の2つのクランプにそれぞれ挟み、2つのクランプの距離を5mm、移動速度を1mm/分に設定して、チップペーパーと人工唇皮とが引っ張られて離れる瞬間に取得された最大力を最大剥離力とする、ステップ(5)と、
YTタバコチップペーパーの唇付着力F=最大剥離力(N)/付着面積(mm
を計算する、ステップ(6)とを含む。
【0032】
本発明の方法は、客観的かつ正確にチップペーパーの唇付着力を定量化しうる。本発明プロジェクトチームは、前半の試験において、チップペーパーの印刷色脱落法によりその唇付着力を特徴付けること、つまり、喫煙前後のチップペーパーの色脱落率を比較することにより得られる色の違い(色の差異)によりその唇付着力を特徴付けることを試みた。しかし、後半の試験により、印刷プロセス中に塗られた色が唇に移ることがあっても、必ずしもチップペーパーが付着力を有することを示すものではないこと、つまり、色の脱落率と唇付着力とには明確な線形関係がないことが、確認された。その後、複数回の実験研究とスクリーニングを経て、本発明の方法が得られた。本発明は、従来的には官能評価によって得ていた唇に付着する感じや口から出しにくい感じなどの漠然とした概念、及び、主観的な要素の影響が大きくなり、結果的な味わいが大きく異なり、人体の健康に有害であるといった欠点を、効果的に回避することが可能であり、応用の推進が容易である。
【0033】
ここまで、本発明の基本原理、主要な特徴、および本発明の利点について示し、説明してきた。本発明は上述した実施例によって限定されるものではなく、上述した実施例及び明細書内の記載は本発明の原理を説明するものにすぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱しなければ、本発明には様々な変更および改変が加えられてもよく、かかる変更及び改変はいずれも、権利保護を求める本発明の範囲に含まれることが、当業者には理解されよう。本発明が求める権利保護の範囲は、付随する特許請求の範囲及びその均等物によって規定される。
【符号の説明】
【0034】
1 クランプヘッド
2 クランプ
3 タバコのチップペーパー
4 塗布された人工唾液
5 人工唇皮
6 力センサと変位センサとを内蔵したスマートボード
7 力値/変位収集器
図1
図2
図3
図4