(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】メッキ装置とメッキ方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/14 20060101AFI20220407BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20220407BHJP
H01F 41/18 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
C23C14/14 G
C23C14/14 D
H01F41/02 G
H01F41/18
(21)【出願番号】P 2021534239
(86)(22)【出願日】2018-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2018125321
(87)【国際公開番号】W WO2020133343
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-07-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515173194
【氏名又は名称】三環瓦克華(北京)磁性器件有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】515173183
【氏名又は名称】北京中科三環高技術股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING ZHONG KE SAN HUAN HI-TECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】27/F,Building A,No.66 East Road,Zhong Guan Cun,Haidian District,Beijing 100190,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陳国安
(72)【発明者】
【氏名】方彬
(72)【発明者】
【氏名】王浩頡
(72)【発明者】
【氏名】趙玉剛
【審査官】山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-264157(JP,A)
【文献】国際公開第2008/075712(WO,A1)
【文献】特開昭62-188745(JP,A)
【文献】特開2012-039100(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108315703(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108039259(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00
H01F 1/04
H01F 41/02
H01F 41/18
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類磁石の表面に形成された複合メッキ層であって、第一メッキ層および第二メッキ層を含み、第二メッキ層は第一メッキ層の表面に位置し、第一メッキ層は、
Prメッキ層、またはNd、Pr、およびCuのうちの少なくとも2つ以上の合金メッキ層であり、第二メッキ層はTbメッキ層である、ことを特徴とする複合メッキ層。
【請求項2】
さらに第三メッキ層を含み、第三メッキ層は第二メッキ層の表面に位置し、第三メッキ層はDyメッキ層である、ことを特徴とする、請求項1に記載の複合メッキ層。
【請求項3】
メッキ室を含み、メッキ室の上部にターゲットが設置された、メッキ装置であって、
前記ターゲットが第一のターゲットおよび第二のターゲットを含み、
洗浄室、第一緩衝室、サンプル注入室、および冷却室をさらに備え、
分子ポンプが、それぞれ、サンプル注入室、洗浄室、および第一緩衝室の上部に接続されており、
第一ターゲットは、
Prターゲット、またはNd、Pr、およびCuのうちの少なくとも2つ以上の合金ターゲットであり、
第二ターゲットはTbターゲットであり、
第一ターゲットは第二ターゲットの前にある、ことを特徴とする、
請求項1に記載の複合メッキ層を形成するためのメッキ装置。
【請求項4】
前記ターゲットは、第三ターゲットをさらに含み、前記第三ターゲットは、Dyターゲットであり、前記第三ターゲットは、前記第二ターゲットの後ろに位置する、
ことを特徴とする、請求項3に記載のメッキ装置。
【請求項5】
イオン衝撃クリーナーが洗浄室に設置され、洗浄室がメッキ室と連通し、第一緩衝室がメッキ室と連通し、
前記サンプル注入室は前記洗浄室に接続され、前記冷却室は、第一バルブを介して前記第一緩衝室に接続される、
ことを特徴とする、請求項3または4に記載のメッキ装置。
【請求項6】
サンプル注入室の分子ポンプは、洗浄室に近い側にあり、
分子ポンプは、洗浄室の両端のいずれにも取り付けられており、
第一緩衝室の分子ポンプは、メッキ室に近い一端に位置している、
ことを特徴とする、請求項5に記載のメッキ装置。
【請求項7】
第二緩衝室をさらに備え、前記サンプル注入室は、第二バルブを介して第二緩衝室に接続され、前記第二緩衝室が、第三バルブを介して前記洗浄室に接続され、前記第一緩衝室、前記洗浄室、および前記第二緩衝室に、それぞれ、分子ポンプが接続され、分子ポンプが、それぞれ、第一緩衝室、洗浄室、および第二緩衝室の上部に位置し、第一緩衝室の分子ポンプが、メッキ室に近い一端に位置し、分子ポンプが、洗浄室の両端のいずれにも取り付けられ、第二緩衝室の分子ポンプは、第三バルブに近い一端に位置し、
予熱器をさらに備え、前記予熱器が、前記サンプル注入室内、または前記第二緩衝室内、または前記洗浄室内に位置する、
ことを特徴とする、請求項5に記載のメッキ装置。
【請求項8】
サンプル排出室、サンプル注入台、およびサンプル排出台をさらに備え、前記冷却室は、第四のバルブを介して前記サンプル排出室に接続され、前記サンプル注入台はサンプル注入室に接続され、前記サンプル排出台は前記サンプル排出室に接続され、前記サンプル注入室、冷却室、およびサンプル排出室のすべてに真空ポンプが接続され、前記洗浄室、メッキ室、第一緩衝室、冷却室、およびサンプル排出室はそれぞれ不活性ガス装置に接続される、
ことを特徴とする、請求項5に記載のメッキ装置。
【請求項9】
メッキ方法であって、
メッキのステップであって、磁石がメッキ室に送られ、前記磁石が第一ターゲットと第二のターゲットの下を順番に通過することでスパッタリングを行う、メッキのステップを含み、
前記磁石が第一ターゲットを通過した後に第一メッキ層が磁石の表面に形成され、第一メッキ層は、
Prメッキ層、またはNd、Pr、およびCuのうちの少なくとも2つ以上の合金メッキ層であり、
前記磁石が第二ターゲットを通過した後に第二メッキ層が第一メッキ層の表面に形成され、第二メッキ層はTbメッキ層である、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の複合めっき層を形成するためのメッキ方法。
【請求項10】
前記磁石は第二ターゲットの下を通過した後、次に第三ターゲットの下を通過して、第三メッキ層が第二メッキ層の表面に形成され、第三メッキ層はDyメッキ層であり、メッキするときに、第三ターゲットのスパッタリングパワーは8~12kW、第三メッキ層の厚さは1~2μmである、
ことを特徴とする、請求項9に記載のメッキ方法。
【請求項11】
前記メッキのステップの前に磁石をイオン洗浄するステップが含まれ、
プロセス1のステップであって、
A1.サンプル注入室、第二緩衝室、および冷却室を10
-1Pa の以下に事前に排気して、 洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を8×10
-3Paの以下に事前に排気した後、不活性ガスを洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に0.5~0.7MPaの圧力で流すステップ、
B1.磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を10
-1Paの以下に排気するステップ、
C1.第二のバルブを開き、磁石が第二緩衝室に送られた後、第二のバルブを閉じ、第二の緩衝室を8×10
-3Pa以下に排気するステップ、
D1.第三のバルブを開き、磁石を洗浄室に送り、第三のバルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行するステップであって、洗浄室の圧力は0.5~0.7MPaである、ステップ、
E1.磁石をメッキ室に送り、メッキステップを実行するステップ、
F1.磁石を第一緩衝室に送り、第一バルブを開き、磁石を冷却室に入れ、第一バルブを閉じ、不活性ガスを冷却室の気圧100~110kPaまで冷却室に送り、磁石を冷却するステップ、または
プロセス2のステップであって、
A2、サンプル注入室と冷却室を10
-1Pa以下に事前に排気し、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を8×10
-3Pa以下に事前に排気した後、不活性ガスを洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に0.5~0.7MPaの圧力で流すステップ、
B2.磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を8×10
-3Pa 以下に排気するステップ、
C2.第五バルブを開き、磁石を洗浄室に送り、第五バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行するステップであって、洗浄室の圧力は0.5~0.7MPaである、ステップ、 D2.磁石をメッキ室に送り、メッキステップを実行するステップ、
E2.磁石を第一緩衝室に送り、第一バルブを開き、磁石を冷却室に入れ、第一バルブを閉じ、冷却室内の気圧が100~110kPaになるまで不活性ガスを冷却室に通し、磁石を冷却するステップ、を含む、
ことを特徴とする、請求項9または10に記載のメッキ方法。
【請求項12】
プロセス1のステップF1の後、またはプロセス2のステップE2の後に、
G.第四バルブを開き、磁石をサンプル排出室に送り、第四バルブを閉じ、サンプル排出室に不活性ガスを充填して、磁石を冷却するステップ、
H.サンプル排出室のバルブを開き、磁石をサンプル排出室から送り出すステップ、
がさらに含まれ、
プロセス1のステップD1およびE1が実行されるとき、前記第二緩衝室、洗浄室、および第一緩衝室の分子ポンプが作動状態にあり、プロセス2のステップC2およびD2が実行されるとき、サンプル注入室、洗浄室、および第一緩衝室の分子ポンプが動作状態にあり、
前記磁石は、前記メッキ室に入る前に予熱され、前記予熱温度は100~200℃である、ことを特徴とする、請求項11に記載のメッキ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械装置の分野に属し、特に、希土類磁石を製造するためのメッキ装置およびメッキ方法に関す。
【背景技術】
【0002】
焼結NdFeB磁石は優れた磁気特性を持ち、電子情報、自動車工業、医療機器、エネルギーや交通等の多くの分野で使用されている。近年、風力発電、省エネ家電、新エネルギー車など、省エネや環境保護の分野で新たな用途がある。これらのアプリケーションの多くは、磁石が優れた耐熱性を備えていることを必要とし、磁石が高い最大磁気エネルギー積(BH)maxを持つだけでなく、高い固有の保磁力Hcjも必要とする。これにより、使用中、特に比較的高温の環境での使用中の不可逆的な減磁を低減して、前記の環境で長期間使用されたときに磁石が高い磁気性能を維持することを保証する。方法の1つは、重い希土類元素を磁石の結晶粒界と主相結晶粒のエッジ領域に拡散させることである。これにより、異方性磁場を増加させる目的を達成できるだけでなく、残留磁気と磁気エネルギー積の減少を回避し、コストを削減できる。
【0003】
公開番号CN106282948Aの中国特許は、メッキ方法、メッキシステム、および希土類磁石の作製方法を開示している。本発明の方法およびシステムは、連続パス式マグネトロンスパッタリング装置を使用して、磁石の表面にDyまたはTbなどの重希土類金属をスパッタリングし、スパッタリング層の厚さおよび均一性を効果的に制御し、結晶粒界拡散技術による磁石の迅速かつ連続的な作製を実現することができる。しかしながら、ターゲットとして単一の重希土類金属ターゲットを選択するため、ターゲットのコストが高く、重希土類の利用率が不十分である。
【0004】
中国特許公開号CN101375352Aは、磁石の作製方法を開示している。まず、磁石の表面にAlなどの金属膜層をスパッタして堆積させ、次にAl膜層上にDyやTbなどの重希土類膜層をスパッタする。 拡散処理をした後、Al元素が焼結磁石の表面から内部に拡散し、かつ重希土類元素が焼結磁石の表面から内部に拡散するため、磁石の性能を向上させることができる。しかし、拡散後の磁石の性能は十分に向上しておらず、大量生産された磁石の磁気特性の一貫性は良くない。
【発明の概要】
【0005】
前記の問題を解決するために、本発明は、新しい複合メッキにより磁石の固有保磁力および最大磁気エネルギー積を改善し、重希土類金属の使用効率を改善し、かつ複数の磁石間の性能が安定しているメッキ装置およびメッキ方法を提案する。
【0006】
本発明は、メッキ室を含むメッキ装置を提供し、メッキ室の上部にターゲットは設置され、ターゲットは第一ターゲットおよび第二ターゲットを含み、第一ターゲット材料はNdターゲット、またはPrターゲット、またはNd、Pr、およびCuのうちの少なくとも2つ以上の合金ターゲットである;第二ターゲットはTbターゲットである。第一ターゲットは第二ターゲットの前にある。
【0007】
前記のメッキ装置のうち、ターゲットはまた、第三ターゲットを含み、第三ターゲットはDyターゲットであり、第三ターゲットは第二ターゲットの後ろに位置する。
【0008】
前記のメッキ装置はまた、洗浄室および第一緩衝室を含む。この洗浄室にイオン衝撃クリーナーが設置される。洗浄室はメッキ室と連通し、第一緩衝室はメッキ室と連通する。
【0009】
前記のメッキ装置はまた、サンプル注入室および冷却室を含む。サンプル注入室は洗浄室に接続され、冷却室は第一バルブを介して第一緩衝室に接続されている。
【0010】
前記のメッキ装置では、分子ポンプは、サンプル注入室、洗浄室、および第一緩衝室の上部にそれぞれ接続されている;サンプル注入室の分子ポンプは、洗浄室に近い側に位置されている;洗浄室の両端にすべて分子ポンプが取り付けられている。第一緩衝室の分子ポンプは、メッキ室に近い一端に位置されている。
【0011】
前記のメッキ装置は、第二緩衝室をさらに含み、サンプル注入室は、第二バルブを介して第二緩衝室に接続され、第二緩衝室は、第三バルブを介して洗浄室に接続される。
【0012】
前記のメッキ装置は、予熱器をさらに含み、予熱器は、サンプル注入室内、または第二緩衝室内、または洗浄室内に位置されている。
【0013】
前記のメッキ装置において、第一緩衝室、洗浄室および第二緩衝室に、それぞれ分子ポンプが接続されている。
【0014】
前記のメッキ装置において、分子ポンプは、第一緩衝室、洗浄室、および第二緩衝室の上部にそれぞれ位置され、第一緩衝室の分子ポンプは、メッキ室に近い一端に位置される;分子ポンプは洗浄室の両端にいずれも取り付けられている。第二緩衝室の分子ポンプは、第三バルブに近い一端に位置されている。
【0015】
前記のメッキ装置は、サンプル排出室をさらに含み、冷却室は、第四バルブを介してサンプル排出室に接続されている。
【0016】
前記のメッキ装置は、サンプル注入台およびサンプル排出台をさらに含み、サンプル注入台はサンプル注入室に接続され、サンプル排出台はサンプル排出室に接続される。
【0017】
前記のメッキ装置において、サンプル注入室、冷却室およびサンプル排出室にすべて真空ポンプが接続されており、洗浄室、メッキ室、第一緩衝室、冷却室およびサンプル排出室はそれぞれ不活性ガス装置に接続されている。
【0018】
本発明は、前記のメッキ装置でメッキするための方法を提供し、これは、以下のステップを含む。
【0019】
メッキ:磁石はメッキ室に送られ、磁石は第一ターゲットと第二のターゲットの下を順番に通過することでパッタリングを行う。
【0020】
前記磁石は第一ターゲットを通過した後、第一めっき層は前記磁石の表面に形成され、第一めっき層は、Ndめっき層、またはPrめっき層、またはNd、Pr、およびCuのうちの少なくとも2つ以上の合金めっき層である。
【0021】
前記磁石は第二ターゲットを通過した後第二めっき層は第一めっき層の表面に形成され、第二めっき層はTbめっき層である。
【0022】
前記のめっき方法において、めっきするときに第一ターゲットのスパッタリングパワーは1~6kWであり、第二ターゲットのスパッタリングパワーは12~25kWであり、第一めっき層の厚さは0.2~2μmであり、第二めっき層の厚さは2~10μmである。
【0023】
前記のめっき方法において、前記磁石は第二ターゲットの下を通過した後、次に第三ターゲットの下を通過して、第三めっき層は第二めっき層の表面に形成され、第三めっき層はDyめっき層である。
【0024】
前記のメッキ方法では、メッキするときに第三ターゲットのスパッタリングパワーは8~12kWであり、第三めっき層の厚さは1~2μmである。
【0025】
前記のメッキ方法では、メッキステップの前に、磁石をイオン洗浄するステップが含まれる。
【0026】
前記のメッキ方法は、以下のプロセス1のステップまたはプロセス2のステップを含む。
【0027】
プロセス1のステップ:
【0028】
A1.サンプル注入室、第二緩衝室、および冷却室を10-1Pa以下に事前に排気する。洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を8×10-3Paの以下に事前に排気する。その後、不活性ガスを洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に0.5~0.7MPaの圧力で送る。
【0029】
B1.磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を10-1Pa以下に排気する。
【0030】
C1.第二バルブを開き、磁石が第二緩衝室に送られた後、第二バルブを閉じ、第二緩衝室を8×10-3Pa以下に排気する。
【0031】
D1.第三バルブを開き、磁石を洗浄室に送り、第三バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行する。洗浄室の圧力は0.5~0.7MPaである。
【0032】
E1.磁石をメッキ室に送り、メッキステップを実行する。
【0033】
F1.磁石を第一緩衝室に送り、第一バルブを開き、磁石を冷却室に入り、第一バルブを閉じ、不活性ガスを冷却室の気圧100~110kPaまで冷却室に送り、磁石を冷却する。
【0034】
プロセス2のステップ:
【0035】
A2.サンプル注入室と冷却室を10-1Pa以下まで事前に排気する。洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を8×10-3Pa以下に事前に排気する。その後、不活性ガスを洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に0.5~0.7MPaの圧力で送る。
【0036】
B2.磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を8×10-3Pa以下に排気する。
【0037】
C2.第五バルブを開き、磁石を洗浄室に送り、第五バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行する。洗浄室の圧力は0.5~0.7MPaである。
【0038】
D2.磁石をメッキ室に送り、メッキステップを実行する。
【0039】
E2.磁石を第一緩衝室に送り、第一バルブを開き、磁石を冷却室に入り、第一バルブを閉じ、冷却室内の気圧が100~110kPaになるまで不活性ガスを冷却室に通し、磁石を冷却する。
【0040】
前記のメッキ方法では、プロセス1のステップF1の後、またはプロセス2のステップE2の後に、以下のステップがさらに含まれる:
【0041】
G. 第四バルブを開き、磁石をサンプル排出室に送り、第四バルブを閉じ、サンプル排出室に不活性ガスを充填し、冷却する。
【0042】
H.サンプル排出室のバルブを開き、磁石をサンプル排出室から送り出します。
【0043】
前記のメッキ方法において、プロセス1のステップD1およびE1が実行されるとき、第二緩衝室、洗浄室、および第一緩衝室の分子ポンプは作動状態にあるか、またはプロセス2のステップC2およびD2は実行されるとき、サンプル注入室、洗浄室、および第一緩衝室の分子ポンプは動作状態にあります。
【0044】
前記のメッキ方法では、磁石はメッキ室に入る前に予熱され、予熱温度は100~200℃です。
【0045】
本発明のメッキ装置およびメッキ方法は、磁石上に複合メッキをスパッタリングすることにより、熱処理後の磁石の各性能を改善することができる;複合メッキにより、重希土類金属の使用を節約し、重希土類金属の使用効率を改善することができる。大量生産の時点で、希土類磁石の性能は安定しており、一貫性が高いです。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】は、本発明の実施例の一つのメッキ装置の概略図である。
【
図2】は、本発明の実施例の別のメッキ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明およびその各利点をよりよく理解するために、添付の図面および実施例を利用して本発明の実施形態をより詳細に説明する。しかしながら、以下に記載される特定の実施形態および実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0048】
本発明で言及される「接続」は、他に明確に指定または限定されない限り、広い意味で理解されるべきであり、それは、直接接続されるか、または中間体を介して接続され得る。なお、本発明の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上端」、「下端」などによって示される方位または位置関係は、添付図面に基づいて示される方位または位置関係である。これは、参照されるデバイスまたは素子が特定の方位を有しなければならなく、特定の方位で構築および操作されなければならないことを示したり暗示したりするのではなく、本発明を説明し、説明を単純化するための便宜のためだけである。このため、本発明の限定として理解すべきではない。
【0049】
本発明では、第一および第二などの関係用語は、あるエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作から区別するためにのみ使用され、これらのエンティティまたは操作間に実際の関係または順序があるを必ずしも必要または暗示するものではない。
【0050】
図1に示すように、本発明の実施形態は、メッキ装置を提供し、メッキ装置は、メッキ室11を含む。磁石がメッキ室11を通過するとき、ターゲットは磁石上にスパッタされることができる。ターゲットは、メッキ室11の上部に設置され、ターゲットは、第一ターゲット21および第二ターゲット22を含み、第一ターゲット21は、Ndターゲット、またはPrターゲット、またはNd、Pr、Cuの少なくとも2つの合金ターゲットである。第二ターゲット22はTbターゲットである。第一ターゲット21は、第二ターゲット22の前に位置している。第一ターゲット材料21および第二ターゲット材料22の数は、1つまたは複数である。
【0051】
磁石は、メッキ室11内でスパッタされて複合メッキを形成し、次いで熱処理されて磁石の性能を改善する。磁石の複合めっき層では重希土類めっき層の下には第一めっき層であり、第一めっき層は、Ndめっき層、またはPrめっき層、またはNd、Pr、およびCuのうちの少なくとも2つの合金めっき層である。最終磁石の性能を確保しながら、重希土類の使用を節約し、重希土類の使用効率を向上させる。
【0052】
任意選択で、ターゲットは、第三ターゲット23をさらに含み、第三ターゲット23は、Dyターゲットであり、第三ターゲット23は、第二ターゲット22の後ろに位置する。
【0053】
スパッタリングするときに、磁石は、第一ターゲット21、第二ターゲット22、および第三ターゲット23をこの順序で通過する。第三ターゲット23の数は、1つまたは複数である。第三ターゲット23を使用しない場合、第二めっき層の厚さを適切に増加させることができる。
【0054】
前記のメッキ装置は、洗浄室12および第一緩衝室13をさらに含む。イオン衝撃クリーナーは、洗浄室12に設置され、イオン衝撃クリーナーは、磁石の表面に衝撃を与えて、表面の不純物および酸化物層を除去する。洗浄室12は、メッキ室11の前に位置され、メッキ室11と連通している。洗浄室12とメッキ室11との間には、遮断部材、すなわちバルブが設けられていなくてもよい。
【0055】
第一緩衝室13は、メッキ室11と連通しており、第一緩衝室13とメッキ室11との間に遮断部材が設けられていない。第一緩衝室は、メッキされた磁石を保管するために使用される。これにより、過渡的な役割を果たし、連続生産に便利です。実際の使用では、洗浄室12、メッキ室11、および第一緩衝室13は、3つの異なる領域に分割された閉鎖のチャンバであってもよい。
【0056】
任意選択で、メッキ装置は、サンプル注入室15および冷却室14をさらに含み、サンプル注入室15は、洗浄室12に接続され、冷却室14は、第一バルブ31を介して第一緩衝室13に接続される。磁石を洗浄またはメッキする場合、環境は真空環境または一定の気圧内で安定している環境であってもよい。サンプル注入室15が設定され、供給時に磁石が最初にサンプル注入室15に入り、サンプル注入室15と洗浄室12との間のバルブにより、メッキ室11内の環境が外部によって乱されないことを確保することができる。
【0057】
磁石はメッキされた後、冷却室14に入り、冷却する。冷却方法は空冷である。第一緩衝室13は、冷却室14内のガスがメッキ室11に入るのを防ぎ、メッキ室内の磁石に影響を与えることを回避することができる。メッキされた磁石は、第一緩衝室13に留まり、冷却室14に入るのを待つことができる。磁石を繰り返しメッキする必要がある場合、磁石はメッキ室11を通過し、第一緩衝室13に留まった後、メッキ室11に戻ることができる。前記メッキ装置は、第二緩衝室16をさらに含み、サンプル注入室15は、第二バルブ32を介して第二緩衝室16に接続され、第二緩衝室16は、第三バルブ33を介して洗浄室12に接続される。第二緩衝室16は、サンプル注入室15と洗浄室12との間に配置され、自動化された大量生産中に過渡的な役割を果たす。
【0058】
前記のメッキ装置は、予熱器(図には示されていない)をさらに含み、予熱器は、サンプル注入室15または第二緩衝室16または洗浄室12に位置されてもよい。予熱器の設置位置は、実際のニーズに応じて選択する。予熱器は磁石の温度を100~200℃に上げることができる。この温度範囲では、メッキプロセス中にスパッタされた金属ターゲット原子と磁石との間の結合力を改善できるだけでなく、リソースの浪費とコストの増加を回避できる。
【0059】
任意選択で、第一緩衝室13、洗浄室12および第二緩衝室16に、それぞれ分子ポンプが接続されている。通常、分子ポンプは、真空引きの効率を向上させるために、ロータリーベーンルーツポンプと一緒に使用される。
【0060】
好ましくは、分子ポンプは、それぞれ、第一緩衝室13、洗浄室12、および第二緩衝室16の上部に位置される。第一緩衝室13の分子ポンプ44は、メッキ室11に近い一端に位置されている。分子ポンプ42および分子ポンプ43は、洗浄室12の両端にいずれも設置されている。第二緩衝室16の分子ポンプ41は、第三バルブ33に近い端部に位置されている。
【0061】
スパッタリングに使用する磁石は、通常、シート状に機械加工されており、表面に不純物ガスを吸着しやすい細孔がある。磁石が不純物ガスを吸着した後、スパッタリングして、磁石の表面が黄色くなり、最終的な磁石の品質に影響を与える。本発明の実施形態では、分子ポンプは、第一緩衝室13、洗浄室12、および第二緩衝室16の上部に設置されている。第二緩衝室16および洗浄室12は、第三バルブに近い位置に分子ポンプが設置されている。第三バルブ33が開かれると、排気されたガスは上向きに流れ、分子ポンプ41と分子ポンプ42の間の中間領域に「エアカーテン」効果は形成され得る。 第二緩衝室16内の不純物ガスが洗浄室12に入らないことを確保する。動作中、洗浄室内の分子ポンプ42と分子ポンプ43の間の中間領域にも、「エアカーテン」効果を形成して、洗浄室内の不純物ガスがメッキ室領域に入らないことをさらに確保にする。第一緩衝室内の分子ポンプ44は不純物ガスの遮断にも役割を果たす。
【0062】
前記のメッキ装置はまた、サンプル排出室17を含み、冷却室14は、第四のバルブ34を介してサンプル排出室17に接続されている。磁石は、サンプル排出室17内でさらに冷却されて、磁石の冷却室14内の滞留時間が長くなり過ぎているので、生産サイクルが長くなるという問題を回避することができる。
【0063】
この実施形態のメッキ装置は、搬送システム(図には示されていない)をさらに含む。搬送システムは、複数の並んだローラーを含む。トレイは、ローラー上に配置され、ローラーの回転は、トレイの移動を駆動することができる。ローラーはモーターによって回転するように駆動され、磁石はトレイに配置され、トレイの駆動によりさまざまなチャンバを順番に通過させる。
【0064】
任意選択で、前記のメッキ装置は、サンプル注入台18およびサンプル排出台19をさらに含み、サンプル注入台18は、サンプル注入室15に接続され、サンプル排出台19は、サンプル排出室17に接続される。サンプル注入台18は、磁石の配置を容易にするためのトレイを配置するために使用され、サンプル注入室15のサンプル注入台18に近い一端にバルブが設定され、磁石がサンプル注入室15に入るのを制御する。磁石がサンプル排出室17から送り出されるとき、サンプル排出台19は、トレイを支持するために使用される。
【0065】
前記メッキ装置において、サンプル注入室15、冷却室14、およびサンプル排出室17には、すべて真空ポンプが接続されており、本実施例では、真空ポンプは、ロータリーベーンルーツメカニカルポンプセットである。サンプル注入室の真空ポンプ51、冷却室の真空ポンプ52、およびサンプル排出室の真空ポンプ53は、それぞれ、対応するチャンバを真空にするために使用される。
【0066】
洗浄室12、メッキ室11、第一緩衝室13、冷却室14、およびサンプル排出室17は、それぞれ、不活性ガス装置に接続されている。不活性ガス装置は、洗浄室12、メッキ室11、第一緩衝室13、冷却室14、およびサンプル排出室17を不活性ガスで満たすことができる。この実施形態における不活性ガスは、アルゴンである。磁石をスパッタリングしてメッキする場合、ターゲットのカソードを冷却装置によって水冷することができる。電力制御装置は、ターゲットの出力を制御できる。
【0067】
図2に示すように、別の実施形態では、生産サイクルの変更に応じて、メッキ装置は第二緩衝室を含まなくてもよく、サンプル注入室15は第五のバルブ35を介して洗浄室12に接続される。分子ポンプは、サンプル注入室15、洗浄室12、および第一緩衝室13の上部にそれぞれ接続されている。サンプル注入室の分子ポンプ61は、洗浄室に近い側に位置され、洗浄室の両端には、いずれも分子ポンプ62および分子ポンプ63が取り付けられている。第一緩衝室の分子ポンプ64は、メッキ室に近い一端に位置されている。通常、分子ポンプは、真空引きの効率を向上させるために、ロータリーベーンルーツポンプと一緒に使用される。
図2に示されるメッキ装置は、
図1に示されるメッキ装置の他の部分と同じである。
【0068】
本発明の実施形態はまた、前記のメッキ装置でメッキするための方法を提供し、これは以下のステップを含む。
【0069】
メッキ:磁石はメッキ室に送られ、磁石は第一ターゲットおよび第二ターゲットの下を順番に通過して、スパッタリングを行った。好ましくは、メッキ室を通過する磁石の速度は1~20mm/秒である。
【0070】
磁石は第一ターゲットを通過した後、第一めっき層は、磁石の表面に形成される。第一めっき層は、Ndめっき層、またはPrめっき層、またはNd、Pr、およびCuのうちの少なくとも2つの合金めっき層である。メッキするときに、第一ターゲットのスパッタリングパワーは1から6kWであり、第一めっき層の厚さは0.2~2μmである。
【0071】
磁石は第二ターゲットを通過した後、第二めっき層は第一めっき層の表面に形成される、第二めっき層はTbめっき層である。第二ターゲットのスパッタリングパワーは12~25kW、第二めっき層の厚さは2~10μmである。
【0072】
任意選択で、前記のメッキ方法において、磁石は、第二ターゲットの下を通過した後、第三ターゲットの下を通過して、第二メッキ層の表面上に第三メッキ層を形成し、第三メッキ層は、Dyメッキ層である。第三ターゲットのスパッタリングパワーは8~12kW、第三めっき層の厚さは1~2μmである。
【0073】
この実施形態は、ターゲットのパワーを制御する。ターゲットのパワーが低すぎる場合、スパッタリングの効率が低くなる可能性があり、ターゲットのパワーが高すぎる場合、カソードターゲットが破壊される可能性がある。
【0074】
前記のメッキ方法では、メッキステップの前に、以下のステップを含む:磁石をイオン洗浄する。好ましくは、洗浄室を通過する磁石の速度は、20~60mm/秒である。
【0075】
より具体的には、前記のメッキ方法は、以下のプロセス1のステップまたはプロセス2のステップを含む。
【0076】
プロセス1のステップ:
【0077】
1.サンプル注入室、第二緩衝室、および冷却室を10-1Pa以下まで事前に排気して、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を8×10-3Pa以下まで事前に排気して、メッキ室内の不純物ガスを除去する。次に、アルゴンなどの不活性ガスが、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に導入され、圧力は0.5~0.7MPaである。
【0078】
2.磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を10-1Pa以下まで排気する。
【0079】
3.第二バルブを開き、磁石を第二緩衝室に送った後、第二バルブを閉じ、第二緩衝室を8×10-3Pa以下まで排気する。
【0080】
4.第三バルブを開き、磁石を洗浄室に送り、第三バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行する。洗浄室内の圧力は0.5~0.7MPaです。
【0081】
5.磁石をメッキ室に送り、メッキステップを実行する。
【0082】
6.磁石を第一緩衝室に送る。第一バルブを開き、磁石が冷却室に入り、第一バルブを閉じて、冷却室内の気圧が100~110kPaになるまでアルゴンなどの不活性ガスを冷却室に通し、磁石を冷却する。
【0083】
7.第四バルブを開き、磁石をサンプル排出室に送り、第四バルブを閉じ、サンプル排出室にアルゴンなどの不活性ガスを充填して、磁石の冷却を続ける。
【0084】
8.サンプル排出室のバルブを開き、磁石をサンプル排出室から送り出す。
【0085】
前記のメッキ方法において、ステップ4および5が実行されるとき、第二緩衝室、洗浄室、および第一緩衝室の分子ポンプは作動状態にある。分子ポンプは常に作動して、不純物ガスがめっき室に入るのを防ぎ、めっき室の雰囲気の安定性を維持して、スパッタリングへの影響を回避する。
【0086】
前記のメッキ方法では、磁石はメッキ室に入る前に予熱され、予熱温度は100~200℃である。磁石は、サンプル注入室、第二緩衝室、または洗浄室で予熱されることができる。
【0087】
または、プロセス2は、第二緩衝室を含まないメッキ装置を使用してメッキする。プロセス2は以下のステップを含む。
【0088】
1.サンプル注入室と冷却室を10-1Pa以下まで事前に排気して、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を8×10-3Pa以下まで事前に排気して、メッキ室内の不純物ガスを除去する。次に、アルゴンなどの不活性ガスが、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に導入され、圧力は0.5~0.7MPaである。
【0089】
2.磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を8×10-3Pa以下まで排気する。
【0090】
3.第五バルブを開き、磁石を洗浄室に送り、第五バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行する。洗浄室内の圧力は0.5~0.7MPaです。
【0091】
4.磁石をメッキ室に送り、メッキステップを実行する。
【0092】
5.磁石を第一緩衝室に送る。第一バルブを開き、磁石が冷却室に入り、第一バルブを閉じて、冷却室内の気圧が100~110kPaになるまでアルゴンなどの不活性ガスを冷却室に通し、磁石を冷却する。
【0093】
6.第四バルブを開き、磁石をサンプル排出室に送り、第四バルブを閉じ、サンプル排出室にアルゴンなどの不活性ガスを充填して、磁石の冷却を続ける。
【0094】
7.サンプル排出室のバルブを開き、磁石をサンプル排出室から送り出す。
【0095】
このメッキ方法では、ステップ3と4を実行すると、サンプル注入室、洗浄室、および第一緩衝室の分子ポンプが動作状態になる。分子ポンプは常に作動して、不純物ガスがめっき室に入るのを防ぎ、めっき室の雰囲気の安定性を維持して、スパッタリングへの影響を回避する。
【0096】
第二緩衝室を含まないメッキ装置でメッキするプロセス2と第二緩衝室を含むメッキ装置でメッキするプロセス1とは、両者のメッキプロセスおよびメッキ後の磁石の状態は全く同じである。違いは、生産サイクルが異なることです。第二緩衝室を有している生産サイクルは短縮されるが、第二緩衝室を有していないメッキ装置のコストは削減される。プロセス1およびプロセス2によるメッキプロセスまたはメッキ後の磁石が完全に同じであるので、この出願は、プロセス1に関連する実施例のみを列挙する。
【0097】
磁石の1つのバッチがメッキされた後、磁石の次のバッチがメッキ室でメッキされ、連続的な自動生産を実現する。メッキされた磁石は熱処理されて、最終的な磁石を得る。
【実施例1】
【0098】
プロセスA:磁石の作製プロセス
【0099】
ステップ1.各元素の質量比に応じて主合金原料と補助合金原料を準備する。主合金原料の各元素の質量比は(PrNd)31Al0.2Co1.0Cu0.1Ga0.51B0.97Febalであり、補助合金原料の各元素の質量比は(PrNd)32.5Al0.15Co1.0Cu0.1Ga0.51B0.89Febalである。Febalは、Fe元素のバランスが取れた配合割合である。つまり、すべての元素の質量比の合計は100%である。
【0100】
ステップ2.600Kg/回のストリップ鋳造炉(ストリップキャスティング)で主合金原料と補助合金原料を溶かし、1.5m/sのローラーの線速度でスケールを鋳造して、最終的に平均厚さ0.15mmの主合金フレークと補助合金フレークが得る。
【0101】
ステップ3.主合金フレークと補助合金フレークをそれぞれ水素破砕し、飽和水素吸収後540℃で6時間脱水素を行い、水素含有量を1200ppmにして主合金と補助合金の中破砕粉末を得る。主合金と補助合金の中破砕粉末をそれぞれジェットミルに入れて、D50=3.6μmの主合金粉末と補助合金粉末をそれぞれ得る。
【0102】
ステップ4.主合金粉末と補助合金粉末を質量比98:2で混合し、混合合金粉末を得る。
【0103】
ステップ5.混合合金粉末は、自動プレスの磁場下で配向させ、プレスしてコンパクトを形成する。配向磁場は1.8Tであり、コンパクトの初期圧縮密度は4.2g/cm3である。
【0104】
ステップ6.コンパクトを真空焼結炉に入れて焼結し、焼結磁石を得る。焼結温度は1000℃、時間は6hであり、焼結後の磁石密度は7.52g/cm3である。
【0105】
ステップ7.焼結磁石を焼き戻し処理する。焼き戻し処理は、一次焼き戻し:920℃で2時間の保温、二次焼き戻し:490℃で4時間の保温である。
【0106】
ステップ8.焼き戻した磁石をスライスして、64×25×2mmのサイズの磁石を作成する(2 mm方向は磁石の配向方向である)。磁石の表面に対して、脱脂と酸洗いを行った。
【0107】
この実施例の焼き戻した磁石の同じバッチのサンプルを10個ランダムにサンプリングして、性能試験を行った。試験結果は、以下の通りである:
【0108】
【0109】
30バッチの焼き戻した磁石の磁気特性がテストされ、結果が分析された。
【0110】
品質条件Brを13.8±0.1、Hcjを17.5±1kOeに設定し、BrのCPK=1.68とHcjのCPK=1.87を計算した。
【0111】
プロセスB:磁石表面でのスパッタリングプロセス
【0112】
ステップ1.トレイをサンプル注入台に置き、プロセスAの加工済み磁石をステンレス鋼トレイに緊密に置き、その2mmのサイズが上を向き、トレイのサイズが1300×1000mmになるようにする。圧縮空気を使用して磁石の表面をきれいにする必要がある。
【0113】
ステップ2.サンプル注入室、第二緩衝室、および冷却室を10-1Paまで事前に排気して、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を8×10-3Paまで事前に排気して、次にアルゴンガスが洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に導入され、安定した圧力は0.5MPaである。
【0114】
ステップ3.トレイを使用して、配列された磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を10-1Paまで排気する。。
【0115】
ステップ4.第二バルブを開き、サンプル注入室に入った磁石を第二緩衝室に送った後、第二バルブを閉じ、第二緩衝室を8×10-3Paの以下までに排気します。第二緩衝室で予熱器を始動し、加熱磁石の表面温度は150°Cになります。
【0116】
ステップ5.第三バルブを開き、第二緩衝室内の磁石を洗浄室に送り、第三バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行する。洗浄室内の圧力は0.5MPaである。磁石は40mm/sの速度でイオン衝撃クリーナーの下を素早く通過し、イオン衝撃クリーナーの洗浄パワーは2kwである。
【0117】
ステップ6.洗浄室内の磁石をメッキ室に送り、10mm/sの速度でターゲットの下を通過する。ターゲットの下面と磁石の上面の間の距離は100mmである。磁石は第一ターゲットを通過し、第一ターゲットのスパッタリングパワーは3kWであり、第一めっき層-Ndめっき層が磁石の表面に形成される。その後、磁石は第二ターゲットを通過し、第二ターゲットのスパッタリングパワーが17kWであり、第二めっき層-Tbめっき層が第一めっき層の表面に形成される。その後、磁石は第三ターゲットを通過し、第三ターゲットのスパッタリングパワーは8kWであり、第三めっき層-Dyめっき層が第二めっき層の上に形成される。メッキ室の圧力は0.5MPaである。
【0118】
ステップ7.トレイ上のメッキされた磁石が第一緩衝室に送られる。トレイ上の単一バッチのすべての磁石が第一緩衝室に入った後、第一バルブを開き、磁石を40mm/sの速度で冷却室に入れる。第一バルブを閉じ、冷却室内の圧力が100kPaになるまでアルゴンを冷却室に通し、磁石を15分間冷却する。
【0119】
ステップ8.第四バルブを開き、磁石をサンプル排出室に送り、第四バルブを閉じ、サンプル排出室にアルゴンを充填して、磁石をさらに二次冷却する。
【0120】
ステップ9.サンプル排出室内の二次冷却された磁石をサンプル排出台に送り、磁石を裏返し、ステップ3~9を繰り返す。めっきされた後、めっき層検査を行い、蛍光X線厚さ計でめっき層の厚さを測定する。第一めっき層の厚さは0.8~0.9μmであり、第二めっき層の厚さは5.0~5.3μmであり、第三めっき層の厚さは1.4~1.5μmである。
【0121】
前記の洗浄およびメッキのステップでは、各分子ポンプはいずれも作動状態にある。
【0122】
プロセスC:スパッタされた磁石は熱拡散処理プロセスを受ける。
【0123】
プロセスBのメッキされた磁石は真空環境で熱処理される。一次の熱処理プロセス:920°Cで8時間の保温、二次の熱処理プロセス:480°Cで6時間の保温。
【0124】
プロセスCの拡散処理を行った磁石をランダムに32枚サンプリングして磁気特性試験を行った。試験結果は、以下の通りである。
【0125】
【0126】
30バッチのこの実施例に係る拡散処理した磁石の磁気特性をテストし、結果が分析された。
【0127】
品質条件Brは13.8±0.1、Hcjは28.0±1kOeに設定し、BrのCPK=1.67とHcjのCPK=1.77を計算した。CPKはプロセスの工程能力指数である。
【0128】
(比較例1)
この実施例のステップは、基本的に実施例1のステップと同じであるが、異なる点は、プロセスBのステップ6において、第一ターゲットおよび第三ターゲットがオフにされ、Tbメッキのみが磁石の表面にスパッタリングされることである。Tbターゲットのスパッタリングパワーは20kW、Tbめっき層の厚さは8.1~8.3μmである。
【0129】
この実施例に係るプロセスCの拡散処理した磁石をランダムに32枚サンプリングして磁気特性試験を行った。試験結果は、以下の通りである。
【0130】
【0131】
30バッチのこの実施例に係るプロセスCの拡散処理した磁石の磁気特性をテストし、結果が分析された。
【0132】
品質条件Brを13.7±0.1、Hcjを28.0±1kOeに設定し、BrのCPK=1.35とHcjのCPK=1.50を計算した。
【0133】
(比較例2)
この実施例のステップは基本的に実施例1と同じですが、違いは次のとおりである。プロセスBのステップ6で、磁石をスパッタリングするとき、第一のターゲットがNdターゲットからAlターゲットに変更され、スパッタリングパワーは4kWである。第一めっき層-Alめっき層は0.8~0.9μmの厚さで基材上に形成される。
【0134】
この実施例に係るプロセスCの拡散処理した磁石をランダムに32枚サンプリングして磁気特性試験を行った。試験結果は、以下の通りである。
【0135】
【0136】
30バッチの拡散処理した磁石の磁気特性をテストし、結果が分析された。。
【0137】
品質条件Brは13.7±0.1、Hcjは26.0±1kOeに設定し、BrのCPK=1.50とHcjのCPK=1.65を計算した。
【0138】
実施例1に係るプロセスAの焼戻した後の磁石と比較して、実施例1、比較例1、および比較例2に係る拡散処理後の磁石の固有保磁力(Hcj)および最大磁気エネルギー積(BH)maxの両方がいずれも大幅に増加している。残留磁気(Br)の減少が少ない。比較例1と比較して、実施例1に係るプロセスB後のスパッタリング後の磁石表層のTbリッチ層の厚さが薄く、これにより、ターゲットにおける重希土類金属の使用を節約することができると同時に、実施例1に係る大量生産の拡散処理を施している磁石の残留磁気の実際の平均値は比較例1のそれよりも高く、固有保磁力は基本的に同じである。磁石の残留磁気の増加は磁石の磁気エネルギー積の増加に有益である。比較例2を比較すると、実施例1に係る大量生産の拡散処理を施している磁石の残留磁気と固有保磁力の実際の平均値はいずれもわずかに高くなっている。同時に、比較例1、比較例2を比較すると、実施例1のBrとHcjのCPK値はどちらも最高であり、磁石の大量生産中の磁気特性の一貫性が最も優れていることを示している。
【0139】
(比較例3)
この実施例のステップは、基本的に実施例1のステップと同じであるが、異なる点は、磁石がサンプル注入室に入った時からメッキ室内の磁石のスパッタリングプロセスまで、分子ポンプ41、42、および43が常にオフにされることである。得られた磁石と実施例1との比較を次の表に示す。
【0140】
【0141】
プロセスBを経った後に得られた磁石の表面膜層に対して、走査型電子顕微鏡のエネルギースペクトル検出を行った。比較例3の表面膜層中の酸素含有量は、実施例1の表面膜層の酸素含有量よりも高い。したがって、比較例3では、分子ポンプの遮断作用がないために、表面膜層が部分的に酸化されていることが分かる。
【0142】
実施例1に係るプロセスCを経った後に作成された拡散磁石と比較例3に係るプロセスCを経った後に作成された拡散磁石をそれぞれ40枚取って、高温減磁実験を行った。テスト条件は150°Cで2時間であり、150°Cの高温処理前の磁石の磁束値φ1と150℃の高温処理後の磁束値φ2の測定はそれぞれ実行されて、減磁率=(φ1-φ2)/φ1*100を計算する。実施例1の磁石の高温減磁率は0.5%~2.6%であり、比較例3の磁石の高温減磁率は9.5%~15.2%である。実施例1の磁石の高温減磁性能は、比較例3のそれよりも著しく高い。これは、プロセスBのステップ6で洗浄室および第二緩衝室分子ポンプを開くと、磁石メッキ層の酸化を減らすのに大きな効果があることを示している。
【実施例2】
【0143】
プロセスA:磁石の作製プロセス:
【0144】
磁石の作製工程は実施例1と同様であるが、磁石は、スライス加工前にステップ7の焼戻し熱処理を行わない。
【0145】
プロセスB:磁石の表面メッキ層のスパッタリングプロセス
【0146】
ステップ1.トレイをサンプル注入台に置き、プロセスAの加工済み磁石をステンレス鋼トレイに緊密に置き、磁石の2mmのサイズが上を向き、トレイのサイズが1300×1000mmになるようにする。圧縮空気を使用して、磁石の表面をきれいにする必要がある。
【0147】
ステップ2.サンプル注入室、第二緩衝室、および冷却室を10-1Paまで事前に排気して、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を7×10-3Paまで事前に排気して、次にアルゴンガスが洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に導入され、安定した圧力は0.6MPaである。
【0148】
ステップ3.トレイを使用して、配列された磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を10-1Paまで排気する。
【0149】
ステップ4.第二バルブを開き、サンプル注入室に入った磁石を第二緩衝室に送った後、第二バルブを閉じ、第二緩衝室を7×10-3Paの以下に排気します。予熱器を始動し、加熱磁石の表面温度は170℃になる。
【0150】
ステップ5.第三バルブを開き、第二緩衝室内の磁石を洗浄室に送り、第三バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行する。洗浄室内の圧力は0.6MPaである。磁石は60mm/sの速度でイオン衝撃クリーナーの下を素早く通過し、イオン衝撃クリーナーの洗浄パワーは3kwである。
【0151】
ステップ6.洗浄室内の磁石をメッキ室に送り、10mm/sの速度でターゲットの下を通過する。ターゲットの下面と磁石の上面の間の距離は90mmである。磁石は第一ターゲットを通過し、第一ターゲットのスパッタリングパワーは2kWであり、第一めっき層-Prめっき層が磁石の表面に形成される。その後、磁石は第二ターゲットを通過し、第二ターゲットのスパッタリングパワーが12kWであり、第二めっき層-Tbめっき層が第一めっき層の表面に形成される。その後、磁石は第三ターゲットを通過し、第三ターゲットのスパッタリングパワーは12kWであり、第三めっき層-Dyめっき層が第二めっき層の上に形成される。メッキ室の圧力は0.6MPaである。
【0152】
ステップ7.メッキ室内のメッキされた磁石を第一緩衝室に送る。トレイ上の単一バッチのすべての磁石が第一緩衝室に入った後、第一バルブを開き、磁石を50mm/sの速度で冷却室に入れる。第一バルブを閉じ、冷却室内の気圧が105kPaになるまでアルゴンガスを冷却室に通して、磁石を15分間冷却する。
【0153】
ステップ8.第四バルブを開き、磁石をサンプル排出室に送り、第四バルブを閉じ、サンプル排出室にアルゴンを充填して、磁石をさらに二次冷却する。
【0154】
ステップ9.サンプル排出室内の二次冷却された磁石をサンプル排出台に送り、磁石を裏返し、ステップ3~9を繰り返す。めっきの後、めっき層検査を行い。第一めっき層の厚さは0.4~0.6μmであり、第二めっき層の厚さは2.2~2.4μmであり、第三めっき層の厚さは1.7~1.8μmである。
【0155】
洗浄およびメッキのステップを行うときに、各分子ポンプは作動状態にある。
【0156】
プロセスC:スパッタされた磁石は熱拡散処理プロセスを受ける。
【0157】
メッキされた磁石は真空環境で熱処理される。一次の熱処理プロセス:920°Cで10時間の保温、二次の熱処理プロセス:480°Cで8時間の保温。
【0158】
この実施例に係るプロセスCの拡散処理した磁石をランダムに32枚サンプリングして磁気特性試験を行った。試験結果は、以下の通りである。
【0159】
【0160】
30バッチの拡散処理した拡散磁石の磁気特性をテストし、結果が分析された。
【0161】
品質条件Brは13.8±0.1、Hcjは27.5±1kOeに設定し、BrのCPK=1.57とHcjのCPK=1.77を計算した。
【実施例3】
【0162】
プロセスA:磁石の作製プロセス:
【0163】
磁石の作製工程は実施例1と同様であるが、磁石は、スライス加工前にステップ7の焼戻し熱処理を行わない。
【0164】
プロセスB:磁石の表面メッキ層のスパッタリングプロセス
【0165】
ステップ1.トレイをサンプル注入台に置き、プロセスAの加工済み磁石をステンレス鋼トレイに緊密に置き、磁石の2mmのサイズが上を向き、トレイのサイズが1300×1000mmになるようにする。圧縮空気を使用して、磁石の表面をきれいにする必要がある。
【0166】
ステップ2.サンプル注入室、第二緩衝室、および冷却室を10-1Paまで事前に排気して、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を7×10-3Paまで事前に排気して、次にアルゴンガスが洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に導入され、安定した圧力は0.7MPaである。
【0167】
ステップ3.トレイを使用して、配列された磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を10-1Paまで排気する。。
【0168】
ステップ4.第二バルブを開き、サンプル注入室に入った磁石を第二緩衝室に送った後、第二バルブを閉じ、第二緩衝室を7×10-3Paの以下に排気します。
【0169】
ステップ5.第三バルブを開き、第二緩衝室内の磁石を洗浄室に送り、第三バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行する。洗浄室内の圧力は0.7MPaである。磁石は60mm/sの速度でイオン衝撃クリーナーの下を素早く通過し、イオン衝撃クリーナーの洗浄パワーは2kwである。
【0170】
ステップ6.洗浄室内の磁石をメッキ室に送り、20mm/sの速度でターゲットの下を通過する。ターゲットの下面と磁石の上面の間の距離は95mmである。磁石は第一ターゲットを通過し、第一ターゲットのスパッタリングパワーは5kWであり、磁石の表面に第一のめっき層が形成され、第一のめっき層はNdとPrの合金めっき層であり、NdとPrの質量比は75:25である。その後、磁石は第二ターゲットを通過し、第二ターゲットのスパッタリングパワーが25kWであり、第二めっき層-Tbめっき層が第一めっき層の表面に形成される。メッキ室の圧力は0.5MPaである。
【0171】
ステップ7.メッキ室内のメッキされた磁石を第一緩衝室に送る。トレイ上の単一バッチのすべての磁石が第一緩衝室に入った後、第一バルブを開き、磁石を30mm/sの速度で冷却室に入れる。第一バルブを閉じ、冷却室内の気圧が110kPaになるまでアルゴンガスを冷却室に通して、磁石を15分間冷却する。
【0172】
ステップ8.第四バルブを開き、磁石をサンプル排出室に送り、第四バルブを閉じ、サンプル排出室にアルゴンを充填して、磁石をさらに二次冷却する。
【0173】
ステップ9.サンプル排出室内の二次冷却された磁石をサンプル排出台に送り、磁石を裏返し、ステップ3~9を繰り返す。めっきの後、めっき層検査を行い。第一めっき層の厚さは1.2~1.3μmであり、第二めっき層の厚さは9.5~9.9μmである。
【0174】
洗浄およびメッキのステップを行うときに、各分子ポンプはいずれも作動状態にある。
【0175】
プロセスC:スパッタされた磁石は熱拡散処理プロセスを受ける。
【0176】
メッキされた磁石は真空環境で熱処理される。一次の熱処理プロセス:920°Cで10時間の保温、二次の熱処理プロセス:480°Cで8時間の保温。
【0177】
この実施例に係るプロセスCの拡散処理した磁石をランダムに32枚サンプリングして磁気特性試験を行った。試験結果は、以下の通りである。
【0178】
【0179】
30バッチの拡散処理した拡散磁石の磁気特性をテストし、結果が分析された。
【0180】
品質条件Brは13.8±0.1、Hcjは27.5±1kOeに設定し、BrのCPK=1.56とHcjのCPK=1.77を計算した。
【実施例4】
【0181】
プロセスA:磁石の作製プロセス:
【0182】
磁石の作製プロセスは実施例1と同様であるが、磁石は、スライス加工前にステップ7の焼戻し熱処理を行わない。
【0183】
プロセスB:磁石の表面メッキ層のスパッタリングプロセス
【0184】
ステップ1.トレイをサンプル注入台に置き、プロセスAの加工済み磁石をステンレス鋼トレイに緊密に置き、磁石の2mmのサイズが上を向き、トレイのサイズが1300×1000mmになるようにする。圧縮空気を使用して、磁石の表面をきれいにする必要がある。
【0185】
ステップ2.サンプル注入室、第二緩衝室、および冷却室を10-1Paまで事前に排気して、洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室を7×10-3Paまで事前に排気して、次にアルゴンガスが洗浄室、メッキ室、および第一緩衝室に導入され、安定した圧力は0.7MPaである。
【0186】
ステップ3.トレイを使用して、配列された磁石をサンプル注入室に送り、サンプル注入室を10-1Paまで排気する。。
【0187】
ステップ4.第二バルブを開き、サンプル注入室に入った磁石を第二緩衝室に送った後、第二バルブを閉じ、第二緩衝室を7×10-3Paの以下に排気します。
【0188】
ステップ5.第三バルブを開き、第二緩衝室内の磁石を洗浄室に送り、第三バルブを閉じて、磁石のイオン洗浄を実行する。洗浄室内の圧力は0.7MPaである。磁石は60mm/sの速度でイオン衝撃クリーナーの下を素早く通過し、イオン衝撃クリーナーの洗浄パワーは2kwである。
【0189】
ステップ6.洗浄室内の磁石をメッキ室に送り、5mm/sの速度でターゲットの下を通過する。ターゲットの下面と磁石の上面の間の距離は95mmである。磁石は第一ターゲットを通過し、第一ターゲットのスパッタリングパワーは6kWであり、磁石の表面に第一のめっき層が形成され、第一のめっき層はNdとCuの合金めっき層であり、NdとCuの質量比は80:20である。その後、磁石は第二ターゲットを通過し、第二ターゲットのスパッタリングパワーが20kWであり、第二めっき層-Tbめっき層が第一めっき層の表面に形成される。メッキ室の圧力は0.5MPaである。
【0190】
ステップ7.メッキ室内のメッキされた磁石を第一緩衝室に送る。トレイ上の単一バッチのすべての磁石が第一緩衝室に入った後、第一バルブを開き、磁石を40mm/sの速度で冷却室に入れる。第一バルブを閉じ、冷却室内の気圧が101kPaになるまでアルゴンガスを冷却室に通して、磁石を15分間冷却する。
【0191】
ステップ8.第四バルブを開き、磁石をサンプル排出室に送り、第四バルブを閉じ、サンプル排出室にアルゴンを充填して、磁石をさらに二次冷却する。
【0192】
ステップ9.サンプル排出室内の二次冷却された磁石をサンプル排出台に送り、磁石を裏返し、ステップ3~9を繰り返す。めっきの後、めっき層検査を行い。第一めっき層の厚さは1.6~1.7μmであり、第二めっき層の厚さは7.4~7.7μmである。
【0193】
洗浄およびメッキのステップを行うときに、各分子ポンプはいずれも作動状態にある。
【0194】
プロセスC:スパッタされた磁石は熱拡散処理プロセスを受ける。
【0195】
メッキされた磁石は真空環境で熱処理される。一次の熱処理プロセス:920°Cで10時間の保温、二次の熱処理プロセス:480°Cで8時間の保温。
【0196】
この実施例に係るプロセスCの拡散処理した磁石をランダムに32枚サンプリングして磁気特性試験を行った。。試験結果は、以下の通りである。
【0197】
【0198】
30バッチの拡散処理した拡散磁石の磁気特性をテストし、結果が分析された。
【0199】
品質条件Brは13.8±0.1、Hcjは27.5±1kOeに設定し、BrのCPK=1.56とHcjのCPK=1.75を計算した。
【0200】
実施例2、3、および4の磁石を拡散処理した後、固有保磁力および最大磁気エネルギー積が大幅に改善され、大量生産の一貫性が高い。
【0201】
なお、添付の図面を参照して記載された上記の様々な実施例は、本発明を説明するためのもののみであるが本発明の範囲を限定するものではない。当業者にとっては理解すべきように、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、本発明に対してなされた修正または同等の置換は、すべて本発明の範囲内に含まれるべきである。さらに、文脈で別段の指示がない限り、単数形で表示される単語には複数形が含まれ、その逆も同様である。さらに、特に明記しない限り、任意の実施例の全部または一部を、他の任意の実施例の全部または一部と組み合わせて使用することができる。