(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】リフト装置
(51)【国際特許分類】
A61G 7/14 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
A61G7/14
(21)【出願番号】P 2017223303
(22)【出願日】2017-11-21
【審査請求日】2020-11-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 新商品発売のお知らせ
(73)【特許権者】
【識別番号】394006129
【氏名又は名称】株式会社いうら
(72)【発明者】
【氏名】和田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 憲三
(72)【発明者】
【氏名】小林 茉里
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-33728(JP,U)
【文献】特開平10-230006(JP,A)
【文献】米国特許第4349195(US,A)
【文献】特開2015-202170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/10-14
A61H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に旋回装置を介して旋回可能、且つ、伸縮装置によって上下方向に昇降可能なアームと、該アーム先端に支持され利用者を持ち上げることが可能なハンガーを備えたリフト装置において、該支柱に止着される第一筒体と、小径軸部と大径軸部がテーパ部を介して連設された解除ボスと、上面には上係止溝を周設しつつ該上係止溝間に上テーパ辺を介設して下面には大係止溝と小
係止溝を周設しつつ該大係止溝と該小
係止溝間に下テーパ辺を介設した旋回ボスと、該解除ボスと該旋回ボスが該第一筒体内を上下方向に摺動可能、且つ、該旋回ボスを旋回可能に同期するロッドと、該ロッドに止着されるロックボタンと、該第一筒体内に軸心に対して垂直に止着され該旋回ボスの該大係止溝あるいは該小
係止溝に係止可能な下係止ピン及び該上係止溝に係止可能な
上係止ピンと、該第一筒体
に外挿され周回可能に支持される第二筒体と、該第一筒体に穿設した孔に挿通される球状部材と、該孔を覆うように円形に連続して穿設された凹部を該第一筒体に外挿した内歯プレートと、該第二筒体及び該内歯プレートと連動するように該第二筒体に止着され、且つ、該アーム及び該伸縮装置を軸着する支持部材によって該旋回装置を構成し、該旋回ボスの該上係止溝と
該上係止ピンが当接することで該旋回ボスが旋回しつつ該上係止ピンが該上係止溝に係止した後、該下係止ピンが下テーパ辺によって該大係止溝に案内されて係止し、該球状部材が該解除ボスの該大径軸部によって付勢されることで該第一筒体の該孔から突出されて該内歯プレートの該凹部と嵌合することで該第一筒体と該第二筒体が連結状態になる非旋回状態と、該旋回ボスの該上係止溝と
該上係止ピンが当接することで該旋回ボスが旋回しつつ該上係止ピンが該上係止溝に係止した後、該下係止ピンが下テーパ辺によって該小係止溝に案内されて係止し、該球状部材が該第一筒体の該孔内に収納されることで該内歯プレートの該凹部と非嵌合することで該第一筒体と該第二筒体が非連結状態になる旋回状態に、該ロックボタンの操作で切り替え可能にしたことを特徴とするリフト装置。
【請求項2】
前記ロックボタンを前記第一筒体の下端に配設したことを特徴とする請求項1に記載のリフト装置。
【請求項3】
前記ロッドにガイド部材を止着し、該ガイド部材と前記ロックボタン間に弾性体を配設したことを特徴とした請求項2に記載のリフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド等から利用者を車椅子等の目的地に移乗させることができるリフト装置において、アームの旋回状態と非旋回状態の切り替え操作が簡便な旋回装置を具備したことを特徴としたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、加齢による体力低下や身体が不自由で介護を必要とする人(以下、利用者)が、ベッドやストレッチャー等から椅子や車椅子等に移乗する場合、介助者が利用者を抱きかかえることで腰痛を発症する等、介助者の身体的負担が問題となっている。
それに伴い、介助者の身体的負担を軽減する介護機器が種々発明されている。
【0003】
特に腰痛予防に効果がある方法として、リフト装置と吊具を組み合わせて使用する方法が提案されている。
例えば、リフト装置と吊具の組み合わせて使用する一般的な方法として特許文献1に記載のリフト装置が提案されている。
この文献には、吊具によって利用者の身体を保持し、吊具のストラップをリフト装置のハンガーのフックにかけて利用者を吊り上げ、ハンガーを支持するアームが支柱を中心に旋回することで利用者を目的地に運ぶリフト装置が提案されている。
この方法では、介助者が利用者を抱きかかえる等の動作を行う必要が無いため、腰痛等の身体的負担を軽減できる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のリフト装置は、アームが旋回可能であるが旋回ロックする機構が具備されていないため、アームが自由に旋回する仕様となっている。
この仕様では、介助者が利用者を吊り上げる時にはアームが不安定に動くため利用者の安全を確保しつつ、アーム及びハンガーの動きを気にしながら吊具のストラップをかける必要があり作業が煩わしくなる問題が考えられる。つまり、介助者が複数の動作を平行して行わなければならず非常に手間がかかるものであった。
また、リフト装置を使用しない場合でも、不意にアームやハンガーに触れた際にアームが旋回することで利用者等に当たり怪我をすることが考えられる。
【0005】
この問題を解決するために、特許文献2に記載のリフト装置が提案されている。
このリフト装置は、操作レバーを操作することによって係止手段が作用して、固定板と回転板に旋回状態と非旋回状態に切り替えることができる。
よって、アームを任意の位置で非旋回状態にできるため介助者が利用者を椅子部に乗せる時にアームの動きに気を配りながら操作する煩わしさが無いようにできる。
また、収納時にはアームが動かないため、不意に動いて利用者等に接触して怪我をする心配が無い安全なものになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-144009
【文献】特開2007-202787
【発明の概要】
【0007】
しかしながら、特許文献2のリフト装置は
図8に示すようにアームの側部に突出した操作レバーを介助者が操作して、旋回状態と非旋回状態に切り替えるように構成されている。
この構成では、利用者を介助しながら操作レバーを介助者が把持して旋回状態と非旋回状態を切り替えるのは同時に複数のことをしなければならず操作が煩わしい構成となっている。そして、介助者の手が操作レバーでふさがってしまうことで利用者が椅子部から転落しそうになる時等の咄嗟の対応が遅れる可能性もある。
また、例えば介助者が利用者に正対時に操作する時には操作レバーが回転筒を介して反対側に位置しているため操作することができない。もしくは、仮に介助者が利用者の正面に位置して手を回転筒の裏に回して操作することができたとしても姿勢が悪くなり操作が非常に煩わしいものである。
つまり、前述したように操作レバーを操作する際には、介助者が一旦利用者から離れる必要があり、咄嗟に利用者の安全を守ることができない恐れがあった。この問題を解決するために介助者の人員を増やすことが考えられるが、個人住宅の室内等の狭所で介助者が増えることでかえって作業効率が悪くなることが考えられる。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本願発明が解決しようとする課題は、介助者がアームの旋回状態と非旋回状態の切り替え操作が簡便な旋回装置を具備するリフト装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリフト装置は、支柱に旋回装置を介して旋回可能、且つ、伸縮装置によって上下方向に昇降可能なアームと、該アーム先端に支持され利用者を持ち上げることが可能なハンガーを備えたリフト装置において、該支柱に止着される第一筒体と、小径軸部と大径軸部がテーパ部を介して連設された解除ボスと、上面には上係止溝を周設しつつ該上係止溝間に上テーパ辺を介設して下面には大係止溝と小係止溝を周設しつつ該大係止溝と該小係止溝間に下テーパ辺を介設した旋回ボスと、該解除ボスと該旋回ボスが該第一筒体内を上下方向に摺動可能、且つ、該旋回ボスを旋回可能に同期するロッドと、該ロッドに止着されるロックボタンと、該第一筒体内に軸心に対して垂直に止着され該旋回ボスの該大係止溝あるいは該小係止溝に係止可能な下係止ピン及び該上係止溝に係止可能な上係止ピンと、該第一筒体に外挿され周回可能に支持される第二筒体と、該第一筒体に穿設した孔に挿通される球状部材と、該孔を覆うように円形に連続して穿設された凹部を該第一筒体に外挿した内歯プレートと、該第二筒体及び該内歯プレートと連動するように該第二筒体に止着され、且つ、該アーム及び該伸縮装置を軸着する支持部材によって該旋回装置を構成し、該旋回ボスの該上係止溝と該上係止ピンが当接することで該旋回ボスが旋回しつつ該上係止ピンが該上係止溝に係止した後、該下係止ピンが下テーパ辺によって該大係止溝に案内されて係止し、該球状部材が該解除ボスの該大径軸部によって付勢されることで該第一筒体の該孔から突出されて該内歯プレートの該凹部と嵌合することで該第一筒体と該第二筒体が連結状態になる非旋回状態と、該旋回ボスの該上係止溝と該上係止ピンが当接することで該旋回ボスが旋回しつつ該上係止ピンが該上係止溝に係止した後、該下係止ピンが下テーパ辺によって該小係止溝に案内されて係止し、該球状部材が該第一筒体の該孔内に収納されることで該内歯プレートの該凹部と非嵌合することで該第一筒体と該第二筒体が非連結状態になる旋回状態に、該ロックボタンの操作で切り替え可能にしたことを特徴としている。
そして、前記ロックボタンを前記第一筒体の下端に配設したことを特徴としている。
また、前記ロッドにガイド部材を止着し、該ガイド部材と前記ロックボタン間に弾性体を配設したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリフト装置は、第一筒体内の内径に配設される旋回ボスと上係止ピンと下係止ピンの係止関係によって、解除ボスと球状部材及び内歯プレートの状態を変化させるとともに、第一筒体に穿設した孔を球状部材が転動して内歯プレートの凹部との嵌合状態を変化させることで旋回状態と非旋回状態に旋回装置を状態変更でき、その操作をロックボタンによるボタン操作(ワンウェイ操作)としているため、前述した特許文献2のレバー式の操作手段に比べて操作が簡便である。そして、第一筒体を基点として第一筒体の内径及び外径に各部品を効率良く配置することができるため旋回装置をコンパクトに構成することができる。よって、個人住宅の室内等狭所に設置する場合でも圧迫感を感じることが無いものにすることができる。また、介助者がロックボタンを押圧するだけで旋回状態と非旋回状態に変更でき、手がふさがることが無いため、介助者は利用者の介助作業に集中することができる。
そして、ロックボタンを第一筒体の下端に配設したことによって、介助者が利用者を介助している途中であっても手の届く範囲にロックボタンがあることで緊急時にアームの動きを規制することができるため、安全に使用できる。また、背の低い介助者や、低床ベッドなどの低い位置からでも手が届く範囲にロックボタンがあることで介助者の身体状況や、対象となる設備に影響されることが無い。
さらに、弾性体によってロックボタンが付勢されるため、ロックボタンを押して旋回状態と非旋回状態に切り替えた時に旋回ボスの大係止溝と小係止溝が確実に下係止ピンに係止させることができる。つまり、部材の加工状態や摩耗等によって下係止ピンが下テーパ辺に留まってロックが中途半端な状態になることが無いため、安全にリフト装置を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】
図5はリフト装置1で吊具8で保持された利用者を吊り上げた状態の側面図
【
図6】
図6は旋回装置4の組立て方法を説明する分解斜視図
【
図7】
図7は旋回装置4の旋回状態を示す要部説明図
【
図8】
図8は旋回装置4のロックボタン45を押した状態を示す要部説明図
【
図9】
図9は旋回装置4の非旋回状態を示す要部説明図
【
図10】
図10旋回状態の旋回ボス44と下係止ピン411と上係止ピン413の関係を示す要部説明図
【
図11】
図11ロックボタン45を押した状態の旋回ボス44と下係止ピン411と上係止ピン413の関係を示す要部説明図
【
図12】
図12非旋回状態の旋回ボス44と下係止ピン411と上係止ピン413の関係を示す要部説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
以下、本発明のリフト装置1について図面を基に説明する。
このリフト装置1は、主として、脚部2と、この脚部2に立設される支柱3と、この支柱3の先端に配置される旋回装置4と、この旋回装置4によって回動可能に軸着されるアーム5と、旋回装置4とアーム5に介設されアーム5を上下方向に昇降させる伸縮装置6と、アーム5の先端に配置され吊具8のストラップ81をかけることで利用者を吊り上げることができるハンガー7で主に構成される。
また、本実施例では、
図2に示すようにリフト装置1をベッドBの左側に配設した状態で説明を行い、ベッドBに利用者が仰向けの姿勢で寝た状態を基準に頭側、右手側、左手側、足側とする。
なお、詳細は省略するが、リフト装置1は各構成部品を左右対称に組み替えることによってベッドBの右側に配設することが可能である。
【0013】
まず、脚部2について説明する。
この脚部2は、
図2等に示すように、支柱3を中心として平面視においてT字状に配設される2つの脚で構成している。
この2つの脚は、平面視においてベッドBの短手方向に略平行に延伸するアウトリガー22とバランサー23を具備した第一脚部21と、長手方向に略平行に延伸する調整脚25を具備した第二脚部24で構成している。
まず第一脚部21について説明する。
アウトリガー22は支柱3からベッドB外側に第一脚部本体21aのカバー、且つ、脚部2のバランスを保つ錘の役割として利用者が通行可能な形状に形成している。そして、バランサー23はベッドB内側第一脚部本体21aの先端にバランサーベース23aを取着し、該バランサーベース23aの両脇に付設したポケット23b,23bに中実の角材等の錘23c,23cを載置して構成している。
次に、第二脚部24について説明する。
この第二脚部24は、第二脚部本体24aと、該第二脚部本体24a先端に固着した支持プレート24bと、該支持プレート24bに回動可能に軸着される調整脚25で主に構成している。
詳細は省略するが、第二脚部24は側面視において略L字を180°回転させた形状に構成することで空間Sを形成しており、この空間Sに介助者の足を第二脚部24の下に挿通することができるため、より利用者に近い位置に身体を寄せて介助することができる。
【0014】
次に、支柱3について説明する。
図1等に示すように、この支柱3は前記第二脚部24の第一脚部21と第二脚部24の交点である筒体21bに挿脱可能に支持され、上端近傍が屈曲形成して構成している。
また、後述する旋回装置4の第一筒体41と同心、且つ、第一筒体41の大径部41aより外側にC形のリング状に形成したリング体31を支柱3に固着している。そして、このリング体31はロックボタン45が操作できるように第一筒体41の大径部41aの下端よりやや上方位置に配設している。このリング体31は後述するリモコンスイッチ61を引っ掛けて収納するために使用する。また、このリング体31は支柱3を除く範囲でリモコンスイッチ61を引っ掛けることができるため収納位置が限定されることが無く利便性の高いものとなっている。
なお、支柱3は中空パイプにすることで運搬や設置時の負担軽減やコストダウンを図っているが仕様を制限するものでは無く、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば任意に変更したので良い。
【0015】
次に、旋回装置4について説明する。
図6に示すように、この旋回装置4は支柱3に床面に対して垂直に固着した第一筒体41と、上端に解除ボス43、略中間に旋回ボス44と、下端にロックボタン45をそれぞれ取着けたロッド42を第一筒体41内に摺動可能に挿通し、第一筒体41の外周には第二筒体46を周回自在に挿嵌し、この第二筒体46の上方には第一筒体41に穿設した孔41h,41h,・・・内に球状部材47,47,・・・を挿通し、この球状部材47,47,・・・の外側及び第二筒体46の上に内歯プレート48を載置し、この第二筒体46の外側に後述するアーム5及び伸縮装置6を支持する支持部材49を外挿して構成している。
詳細は後述するがこのように構成した旋回装置4は、ロックボタン45を押すことでアーム5を旋回状態から、任意の位置で止めて非旋回状態にできる。さらに、再度ロックボタン45を押すことでアーム5の非旋回状態を解除して旋回状態にできる。
【0016】
次に、アーム5について説明する。
このアーム5は
図1等で示すように中空のパイプを屈曲させて形成しており、一端は前記旋回装置4の支持部材49に回動可能に軸着され、他端はハンガー7を回動自在に支持している。
なお、本実施例のアーム5は中空のパイプを使用することにより運搬、設置時の設置作業者の負担軽減を図っているが本願発明の目的を逸脱しない範囲であれば、使用者が任意に仕様を変更したので良い。
【0017】
次に、伸縮装置6について説明する。
本実施例の伸縮装置6は外筒から中筒が伸縮可能に構成されたアクチュエーターを使用している。
そして、この伸縮装置6の一端は前記支持部材49に回動可能に軸着され、他端は前記アーム5に軸着している。
そして、詳細は省略するが
図1に示すように伸縮装置6を駆動するためにリモコンスイッチ61を備えており、リモコンスイッチ61を操作することで伸縮装置6の中筒を伸縮することができる。
なお、いずれも前述した支柱3やアーム5と同様に、本願発明の目的を逸脱しない範囲であれば、使用者が任意に仕様を変更したので良い。
【0018】
次にハンガー7について説明する。
ハンガー7は先述したようにアーム5の先端に回転自在に支持され、該ハンガー7の先端のフック71,71に、利用者を保持する吊具8のストラップ81,81を係止可能に構成している。
なお、ハンガー7の形状やフック71,71の数等は本願発明の目的を逸脱しない範囲であれば、使用者が任意に仕様を変更したので良い。
【0019】
このように構成したリフト装置1は、リモコンスイッチ61を操作して伸縮装置6を伸縮させることで、アーム5が上下方向に昇降するように構成している。
そして、ロックボタン45の操作によって、旋回装置4と、この旋回装置4に支持されるアーム5、伸縮装置6、ハンガー7を旋回状態と非旋回態に切り替えることができる。
このように旋回状態と非旋回状態を切り替え可能にしたことで、例えば非旋回状態にするとアーム5の旋回を規制することができるためハンガー7のフック71,71に利用者を吊具8で保持しつつ該吊具8のストラップ81,81を該フック71,71に引掛ける際にアーム5が自由に旋回しないため、ストラップ81,81をフック71,71に掛け易くなる。
ここまで、リフト装置1の基本構成について説明した。
【0020】
次に、旋回装置4の詳細について説明する。
まず、第一筒体41の外径は大径部41aと小径部41bで構成され、該大径部41aを前記支柱3に固着している。
そして、第一筒体41の内径は
図6に示すように、後述する解除ボス43のフランジ部43a及び大径軸部43dが上下方向に摺動可能な大きさの第一通孔41c、後述するガイド部材451のフランジ部451aが上下方向に摺動可能な大きさの第二通孔41d、後述するロックボタン45が上下方向に摺動可能な第三通孔41eをそれぞれ形成している。
なお、本実施例では第二通孔41dが第三通孔41eより小径になるように構成している。
また、第一筒体41の軸心に対して垂直方向に該大径部41aに穿設した孔41fに下係止ピン411を挿通して固着している。
さらに、該大径部41aの上端外側には旋回停止プレート412を固着し、後述する第二筒体46の旋回プレート465と係止することで旋回を規制可能にしている。
なお、本実施例は大径部41aを構成するボス部材に小径部41bを構成するボス部材を挿通して二つの部材を固着している。一つ原材料を切削して第一筒体41を構成することも可能であるが、切削箇所が多いことや長尺の原材料を用意するなどで加工時間が掛かったり、偏芯したりすること等、コスト軽減や不良品の発生防止を図るためである。
【0021】
次に、ロッド42の上端を解除ボス43に挿通して止着し、旋回ボス44は該ロッド42の下方から略中間位置付近に設けた係止部42aに該旋回ボス44の上端が当接するように外挿して該ロッド42に対して該旋回ボス44を周回可能に取着している。
【0022】
そして、該解除ボス43は
図6等に示すように、第一筒体41の下方から順にフランジ部43a、小径軸部43b、テーパ部43c、大径軸部43dを連続して形成している。なお、フランジ部43aと大径軸部43dは略同径としている。
【0023】
そして、該旋回ボス44は
図7等に示すように、小径部44aと大径部44bが形成される。なお、小径部44aの外径は前述した上係止ピン413に当接しない大きさとし、大径部44bの外径は下係止ピン411と上係止ピン413が係止可能な大きさに形成している。
【0024】
そして、該大径部44bの下面には前述した下係止ピン411と係止する、略U字形状の大係止溝44c,44cと、小係止溝44d,44dと、大係止溝44cと小係止溝44d間に連接される正面視において右斜め上方向に形成された下テーパ辺44e,44e,・・・を形成している。
なお、本実施例では大係止溝44cと小係止溝44dは略90°間隔で配置しており、大係止溝44cは小係止溝44dに比べて溝深さが大きくなるように形成している。
【0025】
そして、該大径部44bの上面には前述した上係止ピン413と係止する、上係止溝44f,44f,・・・と、上係止溝44f間に連接される正面視において右斜め下方向に形成された上テーパ辺44g,44g,・・・を形成している。
また、本実施例では上係止溝44fは略90°間隔で配置している。さらに、
図10等に示すように、上係止溝44fは前述した大係止溝44cと
小係止溝44dの略中間位置に配設されるように構成している。
【0026】
そして、該解除ボス43及び該旋回ボス44が取付けられた該ロッド42を前記第一筒体41の上方から(第一通孔41c側から)挿通すると同時に、該旋回ボス44の大係止溝44c、小係止溝44dのいずれか一ヶ所に下係止ピン411を係止している。
そして、第一筒体41の下方から(第三通孔41e側から)前記ロッド42にガイド部材451を挿通し、圧縮スプリング等で構成された弾性体452を介してロックボタン45を挿通して該ロッド42に取着している。
なお、ロックボタン45がガイド部材451を基点に弾性体452で付勢されることによって、ロッド42を介して旋回ボス44も付勢されるため、後述する旋回状態と非旋回状態に姿勢を変更させた時に下係止ピン411が大係止溝44cもしくは小係止溝44dに確実に係止されるようにしている。
【0027】
そして、第一筒体41の小径部41bに軸心に対して垂直方向に穿設した孔41gに上係止ピン413を挿通すると同時に、上下にガタ止め用のカラー461,461を挿嵌した第二筒体46を該小径部41bに外挿して第一筒体41で第二筒体46を周回可能に支持している。
【0028】
そして、軸心に対して平行に該第二筒体46の側部に支持軸462を固着し、該第二筒体46及び該支持軸462に支持プレート463を上方より外挿して固着し、該支持軸462の下端には後述する支持部材49を螺着固定するナット部材464を固着している。
さらに、前記ナット部材464の下方に旋回プレート465を固着し、旋回装置4が旋回した時に前記旋回停止プレート412に係止可能に構成することで旋回装置4の旋回を規制できるようにしている。なお、本実施例では旋回プレート465及び旋回停止プレート412によって
図2に示すように旋回範囲が決まっているが、それぞれ任意の位置に配設することで旋回範囲を拡縮することができる。
【0029】
そして、第一筒体41の小径部41bの支持プレート463より上方に小径部41bの外周に一定間隔の割合で穿設された複数の孔41h,41h,・・・に、鋼球等の球状部材47,47,・・・を該孔41hと同数挿通している。
なお、本実施例では孔41hは6ヶ所穿設し、該孔41hには該孔41hと同じ数の球状部材47を6個挿通している。これは、後述する非旋回状態時に球状部材47が受ける力を均一に分散させることで耐久性を向上させるためである。つまり、孔41h及び球状部材47は少なくとも一つ以上具備されていれば良く、任意に設定したので良い。
そして、複数の凹部48a,48a,・・・が円形に連接するように穿設された内歯プレート48が第一筒体41(及び支持軸461)に外挿され、該孔41h,41h,・・・を覆うように前記支持プレート463で支持され、前記第二筒体46と連動して前記第一筒体41を周回するようにしている。
また、詳細は後述するが本実施例に示す凹部48aは前記球状部材47より開口部が僅かに小さいU字状溝形状をしており、前記解除ボス43の大径軸部43dによって付勢されて球状部材47が孔41hの外に押出された際に、内歯プレート48の凹部48a,48a,・・・に嵌合されるように形成している。
そして、内歯プレート48及び第二筒体46が抜けないように第一筒体41に嵌着部材481を取着している。
さらに、詳細は省略するが
図7等に示すように第一筒体41の第一通孔41c上部に該第一通孔41cよりやや大きめの通孔を穿設し、この通孔と略同径の蓋部材482を挿通して係止させ、該蓋部材482の抜け止めとして嵌着部材483を第一筒体41の内部に取着している。この蓋部材482は、埃や虫等が第一筒体41内径に侵入するのを防ぐことで、第一筒体41内に配設された各構成部材が動作不良を起こすことを防止する働きがある。
【0030】
そして、支持部材49は、前記第一筒体41の小径部41bに外挿する孔491aを穿設したメインプレート491の両端にサイドプレート492,492を固着し、該メインプレート491の下側に前記ナット部材464と螺子部材494による螺着固定可能にするための挿通孔493aを穿設したフロントプレート493を固着している。
このように構成した支持部材49の該サイドプレート492,492は前記アーム5及び伸縮装置6を回動可能に軸着している。
なお、支持部材49は第二筒体46に螺着固定しているため第二筒体46が旋回する場合には該第二筒体46と同時に旋回する。
そして、ここまで説明してきた旋回装置4を構成する部材のカバー495を詳細な説明は省略するが支持部材49に外嵌している。なお、図示は省略するが該カバー495と支持部材49は面ファスナーで着脱可能に取着している。
【0031】
ここまで旋回装置4の部品構成について説明したが、実施例はここに説明した部品構成に制限されるものではなく、任意に設定することができる。
例えば、本実施例では大係止溝44c及び小係止溝44dは各2箇所の計4箇所、上係止溝44fは4箇所で構成しているが、それぞれの溝数を増やせば本実施例よりも短い間隔で、溝数を減らせば本実施例よりも広い間隔で、それぞれ非旋回状態にすることができる。
つまり、大係止溝44cと小係止溝44dの間に上係止溝44fが配設される構成であればそれぞれ溝の数は任意に設定したので良い。
また、本実施例では旋回ボス44の下面に大係止溝44c及び小係止溝44dと上面に上係止溝44fを形成しており、第一筒体41内を上下に平行に配設された下係止ピン411と上係止ピン413に係止するように構成しているが、下係止ピン411と上係止ピン413は上下に並列に配設することを限定する必要はなく、例えば軸心に対して交差するように配置しても良い。
つまり、下係止ピン411と上係止ピン413の配設位置に合わせて旋回ボス44のそれぞれの溝を任意に設定したので良い。
【0032】
次に、旋回装置4が旋回状態、ロックボタン45を押した状態、非旋回状態、の場合の旋回装置4を構成する各部品の状態について説明する。
まず、旋回状態について説明する。
図7はロックボタン45を押した後にロックボタン45から手を放して旋回状態になった時の旋回装置4を示している。(なお、支持部材49及びアーム5、伸縮装置6は省略している。同様に以降で説明するロックボタン45を押した状態、非旋回状態を説明する図も支持部材49及びアーム5、伸縮装置6は省略する。)そして、
図10は旋回状態の旋回ボス44と下係止ピン411と上係止ピン413との関係について示している。
まず、ロックボタン45から介助者が手を放したことによって、前述したように弾性体452によってロックボタン45が下側に付勢されるとともにロッド42及び解除ボス43、旋回ボス44も付勢され、該ロッド42に周回可能に取着している旋回ボス44の下テーパ辺44eに下係止ピン411が当接する。
この時、下テーパ辺44eがテーパ形状をしているため、旋回ボス44は下係止ピン411と当接しながらロッド42を旋回し、小
係止溝44dに案内されて係止し、旋回ボス44の旋回が止まる。
なお、旋回ボス44が下係止ピン411によって旋回することで、上係止溝44fの位置も変わる。
この状態で、アーム5を介助者が把持する等して旋回装置4を旋回しようとすると、第一筒体41に周回可能に支持される第二筒体46、内歯プレート48、支持部材49が同時に旋回しようとする。
この時の球状部材47,47,・・・は第一筒体41の小径部41bの孔41h,41h,・・・と、内歯プレート48の凹部48a間を転動可能であるが、該凹部48aの開口部の長さが該球状部材47,47,・・・の直径よりも小さいため球状部材47,47,・・・は内歯プレート48が旋回した時に該凹部48aによって確実に案内され孔41h,41h,・・・内に収納される。
よって、球状部材47,47,・・・が第一筒体41の小径部41bより突出しないため第一筒体41と第二筒体46が非連結状態となる。
つまり、この状態で旋回装置4を旋回させると前記第一筒体41に旋回可能に支持される第二筒体46、内歯プレート48、支持部材49が同時に旋回することでアーム5及び伸縮装置6、ハンガー7を旋回することができる。
【0033】
次に、ロックボタン45を押した状態について説明する。
図8はロックボタン45を押した時(ロックボタン45から手を放していない状態)の旋回装置4を示している。そして、
図11はロックボタン45を押した状態の旋回ボス44と下係止ピン411と上係止ピン413との関係について示している。
まず、前述した旋回状態からロックボタン45を押すと該ロックボタン45を止着しているロッド42及び解除ボス43、旋回ボス44が上方に付勢される。すると、旋回ボス44の小
係止溝44dから下係止ピン411が外れて係止関係が解消される。
さらにロックボタン45を押し進めると、上係止ピン413が旋回ボス44の上テーパ辺44gに当接する。
この時、上テーパ辺44gはテーパ形状をしているため、旋回ボス44は上係止ピン413と当接しながらロッド42を旋回し、上係止溝44fに案内されて係止し、旋回ボス44の旋回が止まる。
なお、旋回ボス44が上係止ピン413によって旋回することで、大係止溝44cと小
係止溝44dの位置も変わる。そして、小
係止溝44dを案内する下テーパ辺44eから大係止溝44cを案内する下テーパ辺44eが下係止ピン411の上方に位置する所で旋回ボス44の旋回が止まる。
また、解除ボス43は上方へ付勢されるがフランジ部43aが球状部材47,47,・・・に当接することで、第一筒体41から解除ボス43が抜けないようにストッパーとなる。
また、球状部材47,47,・・・は前述した旋回状態と同様に第一筒体41の小径部41bの孔41g,41g,・・・内に配置される。
【0034】
次に、非旋回状態について説明する。
図9はロックボタン45を押した後に、ロックボタン45から手を放して非旋回状態となった時の旋回装置4を示している。そして、
図12は非旋回状態の旋回ボス44と下係止ピン411と上係止ピン413との関係について示している。
まず、ロックボタン45から手を離したことにより、前述したように弾性体452によってロックボタン45が下側に付勢されるとともにロッド42及び解除ボス43、旋回ボス44も付勢される。
この時、旋回ボス44の下テーパ辺44eが下係止ピン411と当接しながらロッド42を旋回し、大係止溝44cに案内されて係止し、旋回ボス44の旋回が止まる。
なお、これまでと同様に旋回ボス44が下係止ピン411によって旋回することで、上係止溝44fの位置も変わる。そして、旋回状態の時に案内していた上テーパ辺
44gからその次の上テーパ辺
44gが上係止ピン413の下方に位置するところで旋回ボス44の旋回が止まる。
この時、前述したように大係止溝44cは小
係止溝44dよりも深溝であるため、解除ボス43は旋回状態よりも下に下がる。
すると、球状部材47,47,・・・が解除ボス43の下降に合わせて、小径軸部43bからテーパ部43cを経由して大径軸部43dよって付勢されることで第一筒体41の小径部41bの孔41h,41h,・・・から球状部材47,47,・・・の一部が突出して、内歯プレート48の凹部48aに嵌合する。
よって、第一筒体41と第二筒体46が連結状態となる。
この状態で旋回装置4を旋回させようとしても前記第一筒体41に周回可能に支持された第二筒体46、内歯プレート48、支持部材49は球状部材47,47,・・・が内歯プレート48の凹部48aに嵌合されているため旋回することができない。つまり、旋回装置4が非旋回状態になり、支持部材49に支持されるアーム5と伸縮装置6、アーム5に支持されるハンガー7が旋回不可能となる。
【0035】
なお、非旋回状態からロックボタン45を押して旋回状態にする場合も前述した手順と同様に旋回装置4を構成する部品が変化する。
非旋回状態からロックボタン45を押すと、ロッド42が上方に付勢されることで旋回ボス44の大係止溝44cから下係止ピン411が外れる。
そして、旋回ボス44の上テーパ辺44gが上係止ピン413に当接することで、旋回ボス44がロッド42を周回して上係止溝44fに係止することで周回が止まる。
この時、旋回ボス44が一定間隔周回することによって下係止ピン411の上方には小係止溝44dに案内する下テーパ辺44eが配置される。
そして、ロックボタン45から手を放して旋回ボス44が下降すると、下係止ピン411が下テーパ辺44eと当接し、小係止溝44dに案内されて下係止ピン411と小係止溝44dが係止される。
この時、旋回ボス44が一定間隔周回することによって上係止ピン413の下方には次の上係止溝44fに案内する上テーパ辺44gが配置される。
そして、球状部材47,47,・・・は第一筒体41の小径部41bの孔41hより突出しないため第一筒体41と第二筒体46が非連結状態となり、前述したように旋回状態になる。
【0036】
このように構成した旋回装置4は、ロッド42によって同期された解除ボス43と旋回ボス44の第一筒体41内の摺動量を旋回ボス44に形成した溝と、第一筒体41に付設した下係止ピン411と上係止ピン413によって可変することで、第一筒体41と第二筒体46間を転動可能にした球状部材47の第一筒体41からの突出量を調整することによって、第一筒体41と第二筒体46の連結と非連結をロッド42に止着したロックボタン45で操作することができるようにしている。
このように構成した本実施例に示す旋回装置4は、
図6に示すように第一筒体41を基点に各構成部品を順番に重ねて取付けていくため設置作業者は簡単に組立て、分解をすることができる。
また、各構成部材を無駄なく配置することができるため、非常にコンパクトに構成することができる。
そして、ロックボタン45を第一筒体41の下方から上方に押して非旋回状態にし、再度ロックボタン45を第一筒体41の下方から上方に押して旋回状態にするワンウェイロックができるため、介助者の操作が非常に簡単である。
さらに、ロックボタン45の位置を第一筒体41の下方に設けたことによって、利用者の傍から離れることなくロックボタン45を操作することができる。さらに、車椅子やベッドB等の低い位置で介助をする場合であっても難なくロックボタン45を操作することができる。
また、伸縮装置6を操作するためのリモコンスイッチ61を保持するためのリング体31を第一筒体41の外周に配置することで、どの位置からでもリモコンスイッチ61を掛けることができるため、作業性が良い。
【0037】
次に、リフト装置1で利用者をベッドBから車椅子に移乗させる方法を説明する。(なお、車椅子からベッドBへの利用者の移乗はこれから説明する手順の逆を行えば良い。)
(1)介助者が利用者を乗せる車椅子をリフト装置1の近くに移動させる。
(2)ロックボタン45を押して旋回装置4を非旋回状態から旋回状態にして、アーム5を旋回してベッドBの上に配置して再度ロックボタン41を押して非旋回状態にする。
(なお、このとき、ハンガー7が利用者の身体と接触する場合は操作リモコン61を操作してハンガー7が利用者に当たらない位置まで上昇させる。)
(3)介助者がベッドBに近づき、利用者に吊具8を装着させ、吊具8のストラップ81をリフト装置1のハンガー7のフック71,71にかける。
(なお、(2)と(3)は介助作業のし易さ等を考慮して順番は入れ替えても良い。)
(4)操作リモコン61を操作して、利用者の身体がベッドBから浮く高さまで伸縮装置6を伸延させてアーム5を上昇させる。
(5)ロックボタン45を押して、旋回装置4を非旋回状態から旋回状態にして、アーム5を車椅子の近くに旋回させる。
(6)ロックボタン45を再度押して、旋回装置4を旋回状態から非旋回状態にして、操作リモコン61を操作して伸縮装置6を短縮させてアーム5を下降して車椅子に利用者を乗せ、ハンガー7のフック71,71から吊具8のストラップ81,81を外した後、吊具8を利用者から外す。
【0038】
ここで本実施例に示す旋回装置4が具備されたリフト装置1と、旋回装置4が具備されていないリフト装置との違いについて比較する。
まず、旋回装置4が具備されないリフト装置では、手順(2)でベッドBに寝ている利用者の傍までアーム5を寄せた時、手順(4)で利用者をベッドBから吊り上げる時、手順(5)で車椅子等の目的地に到着してアーム5を降ろす時、にアーム5が常に動く状態で介助作業を行う必要がある。
つまり、常に介助者がアーム5の位置を微調整しながら使用する必要があり、操作が煩わしいものになっていた。
これに対して、本発明のリフト装置1は、手順(2)でベッドBに寝ている利用者の傍までアーム5を寄せた時、手順(4)で利用者をベッドBから吊り上げる時、手順(5)で車椅子等の目的地に到着してアーム5を降ろす時、にアーム5が不安定に旋回しないように位置決めをして旋回ロックすることができる。
つまり、アーム5の位置を一度決めてしまえば介助者は利用者に集中することができるため、より安全に利用者を移乗することができる。
なお、非旋回状態にしたものの位置が悪くて修正したい場合には、旋回状態にして適当な位置にアーム5を旋回して再度非旋回状態にしたので良い。
【0039】
ここまで
図2で示すようにベッドB近傍に配設された脚部2に支持される支柱3に旋回装置4を具備する構成で説明したが、別の方法でも実施することができる。
例えば、支柱3が浴室の壁面に支持される構成にすることで、浴室内を走行可能な車椅子から利用者を吊具で保持し、アーム5を旋回させることで洗い場から浴槽内に移動して入浴することができる。
この方法であれば、洗い場が濡れており設置時に不安定で転倒が懸念される脚部2を用いるよりも、安全に使用することができる。
また、図示省略するが自動車の社内に支柱3を立設可能に構成しても使用することができる。
つまり、旋回装置4の第一筒体41を旋回可能に支持可能な支柱構成であれば使用範囲が制限されることが無いため、ベッドBから車椅子や椅子への移乗だけでなく、利用者の入浴、自動車への移乗等幅広い用途で使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 リフト装置
2 脚部
3 支柱
4 旋回装置
41 第一筒体
42 ロッド
43 解除ボス
44 旋回ボス
45 ロックボタン
46 第二筒体
47 球状部材
48 内歯プレート
49 支持部材
5 アーム
6 伸縮装置
7 ハンガー
8 吊具
B ベッド