IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トラバースの特許一覧

<>
  • 特許-グラウンドの排水構造 図1
  • 特許-グラウンドの排水構造 図2A
  • 特許-グラウンドの排水構造 図2B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】グラウンドの排水構造
(51)【国際特許分類】
   E03F 3/04 20060101AFI20220408BHJP
   E01C 13/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
E03F3/04 A
E01C13/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021123909
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2021-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591223404
【氏名又は名称】株式会社トラバース
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【弁理士】
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克彦
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-070433(JP,U)
【文献】実開昭60-096433(JP,U)
【文献】特開平04-313382(JP,A)
【文献】実開昭52-083220(JP,U)
【文献】特開2017-023032(JP,A)
【文献】実用新案登録第2523126(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3023087(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 3/04
E01C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上と地中に設けられた排水経路とに繋いでいると共に、その上端が地表よりも下方に位置している排水管と、
前記排水管に摺動可能に挿入されていると共にその側面に排水口が形成されている内管と、前記内管の上端に固定されていると共に前記排水管の上端を塞いでいるプレートと、を有し、不使用時に土砂が被せられて地中に隠されている一方で使用時に前記排水口が露呈するように地上に引き上げられる蓋体と、
前記排水口が露呈するように前記蓋体が地上に引き上げられた際に、前記排水口が露呈するように前記蓋体を位置決めする機構と、を備えていることを特徴とする
グラウンドの排水構造。
【請求項2】
前記機構は、
前記内管の側面に形成され、該内管の内外を貫通する一対のピン留め用孔と、
前記一対のピン留め用孔に挿入され、前記内管を串刺すピンと、を有することを特徴とする
請求項1に記載のグラウンドの排水構造。
【請求項3】
前記機構は、
前記内管の側面に形成され、該内管の内外を貫通する複数対のピン留め用孔と、
前記複数対のピン留め用孔のいずれかに挿入され、前記内管を串刺すピンと、を有し、
前記複数対のピン留め用孔は、それぞれ、他の対のピン留め用孔と高さの異なる位置に形成されていることを特徴とする
請求項1に記載のグラウンドの排水構造。
【請求項4】
その一部が前記蓋体に接続されていると共に他の一部が地上に設けられる紐状体を備えていることを特徴とする
請求項1~3のいずれかに記載のグラウンドの排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンドの排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
草野球等の活動に用いられるグラウンドは、校庭のように固く固められていることがある。このようなグラウンドは、水はけが非常に悪い。このため、グラウンドに降った雨水は、その多くが側溝等の外に流れ出るものの、その一部が水たまりとして中に残ることになる。
【0003】
そこで、排水性の向上を図る観点から、このようなグラウンドに対し、特許文献1に記載の地表水排水装置を採用することが考えられる。この地表水排水装置は、「ゴルフ場のフェアウエイの如きグラウンドに埋設された暗渠排水管と、該暗渠排水管から地表面に向かって適宜間隔をもって複数個立設された立上管を有するグラウンド等の地表水排水装置において、前記立上管の上方に設けられた開口部を地表面と略面一設置するとともに上記開口部に目皿付蓋体を着脱自在に装着せしめたことを特徴とするグラウンド等の地表水排水装置」である。このような地表水排水装置を採用することで、蓋体が取り外された開口部を介して、グラウンドに残った雨水を外に排出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第2523126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蓋体が取り外されることで、開口部の全体が露呈することとなるので、雨水だけでなく土砂等の異物についても、開口部を介して排水経路に取り込まれることになる。ひいては、排水経路が異物で詰まり、排水できなくなる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、排水経路が異物で詰まることを防止したグラウンドの排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、地上と地中に設けられた排水経路とに繋いでいると共に、その上端が地表よりも下方に位置している排水管と、前記排水管に摺動可能に挿入されていると共にその側面に排水口が形成されている内管と、前記内管の上端に固定されていると共に前記排水管の上端を塞いでいるプレートと、を有し、不使用時に土砂が被せられて地中に隠されている一方で使用時に前記排水口が露呈するように地上に引き上げられる蓋体と、前記排水口が露呈するように前記蓋体が地上に引き上げられた際に、前記排水口が露呈するように前記蓋体を位置決めする機構と、を備えていることを特徴とするグラウンドの排水構造である。
【0008】
本発明に係るグラウンドの排水構造によれば、排水管の上端を塞ぐ蓋体が、不使用時に地中に隠されているので、グラウンドでの草野球等の活動に支障を来たすことはない。そして、本発明に係るグラウンドの排水構造によれば、側面に形成されている排水口が露呈するように蓋体が地上に引き上げられることで、排水口を介して、グラウンドに残った雨水を排水経路に導くことが可能となる。また、本発明に係るグラウンドの排水構造によれば、蓋体を取り外し、排水管の上端を介して、グラウンドに残った雨水を排水経路に導く場合と比較して、排水経路に異物が取り込まれることを防止できる。ひいては、排水経路が異物で詰まることを防止できる。
【0009】
(2)本発明はまた、前記機構は、前記内管の側面に形成され、該内管の内外を貫通する一対のピン留め用孔と、前記一対のピン留め用孔に挿入され、前記内管を串刺すピンと、を有することを特徴とする上記(1)に記載のグラウンドの排水構造である。
(3)本発明はまた、前記機構は、前記内管の側面に形成され、該内管の内外を貫通する複数対のピン留め用孔と、前記複数対のピン留め用孔のいずれかに挿入され、前記内管を串刺すピンと、を有し、前記複数対のピン留め用孔は、それぞれ、他の対のピン留め用孔と高さの異なる位置に形成されていることを特徴とする上記(1)に記載のグラウンドの排水構造である。
)本発明はまた、その一部が前記蓋体に接続されていると共に他の一部が地上に設けられる紐状体を備えていることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載のグラウンドの排水構造である。
【0010】
本発明に係るグラウンドの排水構造によれば、不使用時には、紐状体の一部が地上に露呈しているので、その紐状体を目印として蓋体の位置を把握することが容易である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記のグラウンドの排水構造によれば、排水経路が異物で詰まることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るグラウンドの排水構造の正面図である。
図2A】グラウンドの排水構造の不使用時の状態を示す拡大正面図である。
図2B】グラウンドの排水構造の使用時の状態を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るグラウンドの排水構造1について詳細に説明する。
【0014】
まず、図1図2A及び図2Bを用いて、グラウンドの排水構造1の構成について説明する。図1は、グラウンドの排水構造1の正面図である。図2Aは、グラウンドの排水構造1の不使用時の状態を示す拡大正面図である。図2Bは、グラウンドの排水構造1の使用時の状態を示す拡大正面図である。なお、図1における二点鎖線は、グラウンドの排水構造1及び排水経路Dを設置する際に、掘り起こした後に埋め直した土壌の範囲を示す。
【0015】
図1図2A及び図2Bに示すグラウンドの排水構造1は、草野球等の活動に用いられるグラウンドGの排水性の向上を図るものであり、グラウンドGの広さに応じて、一又は複数のグラウンドの排水構造1が採用される。このグラウンドの排水構造1は、粘土質の土壌が固く固められたグラウンド等、水はけの悪いグラウンドに採用した場合に、その効果を発揮する。具体的に、グラウンドの排水構造1は、排水管2と、蓋体3と、紐状体4と、ピン5と、を備えている。
【0016】
排水管2は、地上と、地中に設けられた排水経路Dと、をに繋いでいる縦穴に設けられている配管である。この排水管2は、その上端が地表よりも下方に位置していると共に、その下端が排水経路Dに接続されている。排水経路Dは、下水道、河川、地中等に繋がる経路であり、排水管2を介して地上から取り込まれた雨水を下水道、河川、地中等に導く。排水管2には、鋼管が採用されることが好ましいが、塩ビ管、土管、その他の配管が採用され得る。排水管2の内径は、人間が落下しない大きさであり、100mm以上300mm以下であることが好ましい。
【0017】
蓋体3は、排水管2の上端を塞ぐ。具体的に、蓋体3は、内管30と、プレート31と、を有している。内管30は、排水管2の内径よりも若干小さい外径を有しており、排水管2に摺動可能に挿入されている。この内管30は、その側面に、内外を貫通する排水口30aが形成されている。排水口30aの数及び大きさは、雨水が取り込まれる際に土砂等の異物が取り込まれないよう適宜設定される。また、内管30は、その側面に、内外を貫通する一対のピン留め用孔30bが形成されている。一対のピン留め用孔30bは、排水口30aが露呈するように蓋体3が地上に引き上げられた際に、内管30をピン5で串刺すための孔である。プレート31は、内管30の上端に溶接等で固定されている。このプレート31は、排水管2の上端を塞いでいる。蓋体3には、鋼管及び鋼板が採用されることが好ましいが、塩ビ管及び塩ビ板、土管及びコンクリートプレート、その他の材料が採用され得る。このような蓋体3は、不使用時に土砂が被せられて地中に隠されている一方で、使用時に排水口30aが露呈するように地上に引き上げられる。
【0018】
紐状体4は、その一部が蓋体3に接続されている。この紐状体4は、不使用時に、他の一部が地上に露呈するように設けられる。紐状体4には、グラウンドGでの活動を阻害せず、かつ、蓋体3の荷重に耐えられる材料が採用される。このような紐状体4は、蓋体3の目印となると共に、蓋体3が地上に引き上げられる際に吊り紐として用いられる。
【0019】
ピン5は、排水口30aが露呈するように蓋体3が地上に引き上げられた際に、一対のピン留め用孔30bに挿入され、内管30を串刺すことで、排水口30aが露呈するように蓋体3を位置決めする。
【0020】
次に、図2A及び図2Bを用いて、グラウンドの排水構造1の使用方法について説明する。
【0021】
図2Aに示すように、不使用時には、蓋体3を構成するプレート31の下面が排水管2の上端に接する状態であり、蓋体3が排水管2の上端を塞いでいる。また、蓋体3を構成するプレート31の上面に土砂が被せられている状態であり、蓋体3が地中に隠されている。ただし、紐状体4の一部が蓋体3の目印として地上に露呈している。
【0022】
図2Bに示すように、使用時には、蓋体3を構成するプレート31の上面に被せられている土砂を取り除いた後に、側面に形成されている排水口30aが露呈するように蓋体3が地上に引き上げられる。地上に引き上げられた蓋体3は、使用中その位置を維持するように適宜固定される。なお、グラウンドの排水構造1は、降雨に先立って、降雨の最中、あるいは降雨後のいずれの時点において使用を開始することができる。
【0023】
このように、グラウンドの排水構造1は、地上と地中に設けられた排水経路Dとをに繋いでいると共に、その上端が地表よりも下方に位置している排水管2と、排水管2に摺動可能に挿入されていると共にその側面に排水口30aが形成されている内管30と、内管30の上端に固定されていると共に排水管2の上端を塞いでいるプレート31と、を有し、不使用時に土砂が被せられて地中に隠されている一方で使用時に排水口30aが露呈するように地上に引き上げられる蓋体3と、を備えている。
【0024】
このようなグラウンドの排水構造1によれば、排水管2の上端を塞ぐ蓋体3が、不使用時に地中に隠されているので、グラウンドGでの草野球等の活動に支障を来たすことはない。そして、グラウンドの排水構造1によれば、側面に形成されている排水口30aが露呈するように蓋体3が地上に引き上げられることで、排水口30aを介して、グラウンドGに残った雨水を排水経路Dに導くことが可能となる。また、グラウンドの排水構造1によれば、蓋体3を取り外し、排水管2の上端を介して、グラウンドGに残った雨水を排水経路Dに導く場合と比較して、排水経路Dに異物が取り込まれることを防止できる。ひいては、排水経路Dが異物で詰まることを防止できる。
【0025】
また、グラウンドの排水構造1は、その一部が蓋体3に接続されていると共に他の一部が地上に設けられる紐状体4を備えている。
【0026】
このようなグラウンドの排水構造1によれば、不使用時には、紐状体4の一部が地上に露呈しているので、その紐状体4を目印として蓋体3の位置を把握することが容易である。
【0027】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質などは適宜変更できる。
【0028】
例えば、上記実施形態では、内管30に一対のピン留め用孔30bが形成されている場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、複数対のピン留め用孔30bが互いに高さの異なる位置に形成されていてもよい。この場合、ピン5を串刺すピン留め用孔30bを変更することで、排水口30aの高さを変更することができる。このような構成にしておくことで、周囲に存在する土砂等の異物の状況に応じて、排水口30aの高さを変更することができる。ひいては、排水経路Dが異物で詰まることをより防止できる。
【符号の説明】
【0029】
1 グラウンドの排水構造
2 排水管
3 蓋体
30 内管
30a 排水口
30b ピン留め用孔
31 プレート
4 紐状体
5 ピン
G グラウンド
D 排水経路
【要約】
【課題】排水経路が異物で詰まることを防止したグラウンドの排水構造を提供することを目的とする。
【解決手段】グラウンドの排水構造1は、地上と地中に設けられた排水経路Dとをに繋いでいると共に、その上端が地表よりも下方に位置している排水管2と、この排水管2に摺動可能に挿入されていると共にその側面に排水口30aが形成されている内管30と、この内管30の上端に固定されていると共に排水管2の上端を塞いでいるプレート31と、を有し、不使用時に土砂が被せられて地中に隠されている一方で使用時に排水口30aが露呈するように地上に引き上げられる蓋体3と、を備えている。
【選択図】図2B
図1
図2A
図2B