(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】丁合装置
(51)【国際特許分類】
B42C 1/00 20060101AFI20220408BHJP
B42C 19/02 20060101ALI20220408BHJP
B65H 39/042 20060101ALI20220408BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20220408BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20220408BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
B42C1/00 A
B42C19/02
B65H39/042
B65H3/06 350A
H04N1/04 Z
G06T1/00 400E
(21)【出願番号】P 2016212236
(22)【出願日】2016-10-28
【審査請求日】2019-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】田村 薫紀
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-158843(JP,A)
【文献】特開平06-239052(JP,A)
【文献】特開2005-298106(JP,A)
【文献】特開2009-292088(JP,A)
【文献】特開平11-227358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0258370(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42C 1/00
B42C 19/02
B65H 3/06
3/44
39/02 - 39/042
G06T 1/00
H04N 1/04 - 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートを積み重ねて収容するシート収容部をそれぞれ有し該シートを送出する複数の給紙装置
と、
前記複数の給紙装置に、それぞれ、対応して設けられ、前記シートの表面の画像をあらわす画像データと基準画像をあらわす基準画像データとを比較することにより、画像が互いに一致するか否かを判定し比較結果を出力する比較判定部と、
前記複数の給紙装置からそれぞれ供給される複数のシートを一緒に搬送する搬送路と、
前記比較判定部からの比較結果に基づいて前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、スタート信号を供給されたときに、
前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させる前に、すべての前記比較判定部による判定を行い、すべての前記比較判定部からの比較結果が、前記画像が互いに一致することをあらわす場合、前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させ、前記比較判定部からの比較結果に前記画像が互いに一致しないことをあらわすものが含まれる場合、前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させないことを特徴とする
丁合装置。
【請求項2】
複数のシートを積み重ねて収容するシート収容部をそれぞれ有し該シートを送出する複数の給紙装置と、
前記複数の給紙装置に、それぞれ、対応して設けられ、前記シートの表面の画像をあらわす画像データと基準画像をあらわす基準画像データとを比較することにより、画像が互いに一致するか否かを判定し比較結果を出力する比較判定部と、
前記複数の給紙装置からそれぞれ供給される複数のシートを一緒に搬送する搬送路と、
前記比較判定部からの比較結果に基づいて前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、スタート信号を供給されたときに、すべての前記比較判定部からの比較結果が、前記画像が互いに一致することをあらわす場合、前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させ、前記比較判定部からの比較結果に前記画像が互いに一致しないことをあらわすものが含まれる場合、前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させない構成を備え、
前記スタート信号を供給された後、各給紙装置からの2回目以降の給紙で給紙される前記シートについて、前記画像が互いに一致しないことをあらわす不一致比較結果が一回のみ到来した場合、前記制御部は前記給紙動作を停止せず、前記不一致比較結果の原因となった前記シートを含むシート束を他のシート束とは別の搬送先に向けて搬送する制御を行い、
同一の給紙装置から前記不一致比較結果が複数回連続して到来した場合は、前記制御部は前記給紙動作を停止する制御を行うことを特徴とする丁合装置。
【請求項3】
複数のシートを積み重ねて収容するシート収容部をそれぞれ有し該シートを送出する複数の給紙装置と、
前記複数の給紙装置に、それぞれ、対応して設けられ、前記シートの表面の画像をあらわす画像データと基準画像をあらわす基準画像データとを比較することにより、画像が互いに一致するか否かを判定し比較結果を出力する比較判定部と、
前記複数の給紙装置からそれぞれ供給される複数のシートを一緒に搬送する搬送路と、
前記比較判定部からの比較結果に基づいて前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、
スタート信号を供給された後、各給紙装置からの2回目以降の給紙で給紙される前記シートについて、前記画像が互いに一致しないことをあらわす不一致比較結果が一回のみ到来した場合、前記制御部は前記給紙動作を停止せず、前記不一致比較結果の原因となった前記シートを含むシート束を他のシート束とは別の搬送先に向けて搬送する制御を行い、
同一の給紙装置から前記不一致比較結果が複数回連続して到来した場合は、前記制御部は前記給紙動作を停止する制御を行うことを特徴とする丁合装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の丁合装置において、
前記シートの表面の画像をあらわす画像データは、該シートの表面を撮像し撮像データを送出する撮像部からの撮像データに基づいて形成され、該撮像部は、各給紙装置のシート収容部に配され、前記制御部からの給紙指令信号に基づいて撮像することを特徴とする丁合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丁合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
丁合装置において、給紙装置における乱丁を検知する乱丁検知装置を備えているものがある。乱丁検知装置は、例えば、特許文献1にも示されるように、複数の給紙棚にそれぞれ、設けられている。乱丁検知装置は、給紙棚における用紙の印刷面をあらわす紙面画像を撮像するカメラと、カメラの動作制御を行うカメラ制御部と、各給紙棚の給紙装置の全体を制御する給紙装置用CPUと、カメラから得られた各給紙棚に配された用紙の紙面画像の一部を基準画像と比較して乱丁の有無を検知する乱丁検知手段と、を主な要素として含んで構成されている。斯かる構成において、乱丁検知は、丁合装置がスタート後、給紙動作が始まる前に、用紙束の最上位の用紙上面の紙面画像がカメラで撮像され、得られた画像と基準画像とが、相似度適否判定方式に従い比較され、相関値が一定値以上であれば乱丁ではないと判定される。これにより、給紙装置の給紙動作が行われることにより、用紙が1枚取り出される。一方、紙面画像における所定のサーチ範囲において、相関値が一定値を超えることが全くなかった場合、乱丁としてエラーを発生し、丁合装置が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、複数の給紙棚を備える丁合装置において、乱丁検知が行われる場合、用紙束の最上位の用紙上面の紙面画像が乱丁ではないと判定されるとき、各給紙棚において給紙装置の給紙動作が行われることにより、用紙が1枚取り出される。
【0005】
しかしながら、複数の給紙棚のうちの少なくとも一つの給紙棚において、用紙束の最上位の用紙上面の紙面画像が乱丁であると判定された場合、上述したように、丁合装置が停止されるので他の給紙棚から給紙され取り出された各用紙は、その他の給紙棚にそれぞれ戻すという作業者にとって煩雑な作業が必要とされるとともに、丁合装置のスタート操作も、再度必要とされることとなる。
【0006】
以上の問題点を考慮し、本発明は、丁合装置であって、複数の給紙装置のうちの少なくとも一つの給紙装置において、シート上面の画像が乱丁であると判定された場合、その他の給紙装置の給紙動作も禁止できるとともに、作業者にとって煩雑な作業を回避できる丁合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明に係る丁合装置は、複数のシートを積み重ねて収容するシート収容部をそれぞれ有しシートを送出する複数の給紙装置と、前記複数の給紙装置に、それぞれ、対応して設けられ、シートの表面の画像をあらわす画像データと基準画像をあらわす基準画像データとを比較することにより、画像が互いに一致するか否かを判定し比較結果を出力する比較判定部と、前記複数の給紙装置からそれぞれ供給される複数のシートを一緒に搬送する搬送路と、比較判定部からの比較結果に基づいて複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、スタート信号を供給されたときに、前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させる前に、すべての前記比較判定部による判定を行い、すべての比較判定部からの比較結果が、画像が互いに一致することをあらわす場合、複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させ、前記比較判定部からの比較結果に前記画像が互いに一致しないことをあらわすものが含まれる場合、前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る丁合装置によれば、制御部が、すべての比較判定部からの比較結果が、画像が互いに一致することをあらわす場合、複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を行わせるので複数の給紙装置のうちの少なくとも一つの給紙装置において、シート上面の画像が乱丁であると判定された場合、その他の給紙装置の給紙動作も禁止できるとともに、作業者にとって煩雑な作業を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る画像判定装置の一例に備えられる制御部を示すブロック図である。
【
図2】(A)は、
図1に示される例における乱丁検知モジュールの撮像部/画像処理部の一例を、制御部における他の構成要素とともに示すブロック図であり、(B)は、(A)に示されるLED光源基板における構成の要部を概略的に示す図である。
【
図3】本発明に係る画像判定装置の一例を備える給紙装置を含んでなる製本システムの第1実施例の全体構成を概略的に示す構成図である。
【
図4】(A)、および、(B)は、それぞれ、シート束を示す平面図であり、(C)は、シート束が折り畳まれて形成された冊子を示す平面図である。
【
図5】
図3に示される例において用いられる給紙カセットの構成を概略的に示す構成図である。
【
図6】(A)は、
図5に示される給紙カセットをシート側から見た平面図であり、(B)は、(A)に示される乱丁検知ユニットの側面図である。
【
図7】(A)および(B)は、それぞれ、
図5に示される給紙カセットの動作説明に供される図である。
【
図8】
図5に示される給紙カセットの動作説明に供される図である。
【
図9】表示部の画面に表示される操作画面の一部を示す図である。
【
図10】本発明に係る画像判定装置の一例を備える給紙装置を含んでなる製本システムの第2実施例の全体構成を概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3は、本発明に係る画像判定装置の一例を備える給紙カセットを含んでなる製本システムの第1実施例の構成を概略的に示す。
【0014】
図3において、製本システムは、シート束を製造する丁合機10と、丁合機10から排出された各シート束26を順次、一束ずつ後述する中綴じ折り装置14に搬送する搬送路を形成するリフトアップコンベア12と、リフトアップコンベア12の下流側端から供給されたシート束26を中央位置で綴じるとともに折り畳む中綴じ折り装置14と、中綴じ折り装置14からの冊子30における進行方向とは逆方向の端部を小口切りする断裁装置16と、断裁装置16から順次、供給される冊子30´を所定数、蓄積し排出するスタッカ16Dと、を主な要素として含んで構成されている。
【0015】
丁合機10は、
図3に示されるように、それぞれ給紙機構を有する複数の給紙カセット18Ki(i=1~n,nは正の整数)と、各給紙カセット18Kiからの印刷物としての各シートが丁合された状態で搬送される搬送路10PAに沿って配される複数の搬送ローラと、丁合された複数のシートをリフトアップコンベア12の入口に向けて排出する排出路10DAと、を主な要素として含んで構成されている。
【0016】
複数の給紙カセット18Ki(i=1~10)は、それぞれ、
図3において示される直交座標におけるZ座標軸に沿って丁合機10の内側に形成される搬送路10PAに沿って階層をなすように、丁合機10のシャーシに着脱可能に設けられている。なお、
図3、後述する
図5および
図6における直交座標におけるZ座標軸に直交するX座標軸は、後述するシート束26の排出方向に沿って設定されている。給紙カセット18Kiには、それぞれ、同一の画像が印刷された印刷物である複数のシートBSiが積み重ねられ収容されている。また、各段の給紙カセット18Ki相互間においては、それぞれ、互いに異なる画像が印刷された印刷物である複数のシートBSiが積み重ねられ収容されている。例えば、最上段となる一段目の給紙カセット18Kiには、冊子30の表紙となる印刷物である複数のシートBSiが積み重ねられ収容されている。
【0017】
給紙カセット18Kiは、積み重ねられた複数のシートBSiを
図5に示されるZ座標軸に沿って昇降させる昇降トレー18BPと、昇降トレー18BPに積載された複数のシートBSiのうちの上部を形成する各シートBSiを、送風用ダクト74を介した吐出空気で互いに離れるように浮き上がらせる送風機(不図示)と、送風機により浮き上がった最上のシートBSiの進行方向の端部を、吸引用チャンバ66を介して吸引し搬送用ベルト68Bi(i=1~8)(
図6(A)参照)に対し保持または解放するファン70と(
図6(A)参照)、シートBSiの表面、または、印刷面を検知する乱丁検知ユニット60と(
図6(A)、(B)参照)、昇降トレー18BPからシートBSiを一枚ずつ搬送路10PAに送り出す一対の給紙ローラ76A、76Bと、を含んで構成されている。
【0018】
さらに、給紙カセット18Kiは、送風機により浮き上がった最上のシートBSiの端部を検出するシート検出部64が、
図5および
図6(A)に示されるように、側板18SPBの内周面に支持されている。
【0019】
給紙カセット18KiにおけるシートBSiを収容するシート収容部は、底部を形成する昇降トレー18BPと、互いに向き合う一対の側部を形成する側板18SPAおよび18SPBと、昇降トレー18BPの一端と側板18SPAおよび18SPBの一端とに直交するフロントプレート18FPと、により囲まれて形成されている。昇降トレー18BPは、図示が省略される昇降駆動装置に連結されており、
図5に示されるZ座標軸に沿って側板18SPAおよび18SPB相互間で昇降される。
【0020】
図示が省略される送風機の吐出部は、
図5に示される送風用ダクト74の一端に接続されている。送風用ダクト74は、側板18SPAおよび18SPBに支持されている。送風用ダクト74は、フロントプレート18FPの最上端部に臨む吐出口74EXを有している。これにより、空気吹き付け手段が、送風用ダクト74および送風機により形成される。
【0021】
ファン70の吹出し口に連結される吸引用チャンバ66は、
図6に示されるように、側板18SPBに支持されており、シート収容部の略中央部まで側板18SPAに向かって延びている。吸引用チャンバ66の外周部には、複数の搬送用ベルト68Biが所定の間隔をもってY座標軸に沿って配されている。吸引用チャンバ66は、内部空間に連通する吸引口66Hi(i=1~7)を搬送用ベルト68Bi相互間に有している。吸引口66Hiは、シート収容部に向けて開口している。
【0022】
各搬送用ベルト68Biは、一対のベルトプーリ72PAおよび72PBに巻き掛けられている。複数のベルトプーリ72PAは、共通の回転軸72SAに固定されている。複数のベルトプーリ72PBは、共通の回転軸72SBに固定されている。回転軸72SAは、回転軸72SBに対し平行となるように側板18SPAおよび18SPBに支持されている。回転軸72SAの一端には、図示が省略される駆動用モータの出力軸に連結されている。その駆動用モータは、後述する棚基板の駆動制御部により制御される。
【0023】
シート検出部64は、
図6(A)に示されるように、ベルトプーリ72PBに隣接して配され、側板18SPBに支持されている。シート検出部64は、光学式近接センサ64Sと、光学式近接センサ64Sから照射された光学ビームを反射させる反射面を有するレバー部材64Lと、レバー部材64Lを回転可能に支持する支持軸64Bとを主な要素として含んで構成されている。レバー部材64Lの最下端部は、シート収容部に収容された
シートBSiの表面に向けて突出している。これにより、
図7(B)および
図8に示されるように、最上端にあるシートBSiにより、レバー部材64Lの最下端部が時計回り方向に回転せしめられる場合、レバー部材64Lの反射面で光学式近接センサ64Sから照射された光学ビームが反射され、光学式近接センサ64Sにより検出される。光学式近接センサ64Sは、最上端にあるシートBSiが所定の位置まで上昇したことをあらわす検出出力Stを後述する棚基板の駆動制御部に供給する。なお、光学式近接センサ64Sを光学式透過センサに代え、レバー部材64Lが時計回り方向に回動せしめられる場合、光学式透過センサの光軸を塞ぐように構成されてもよい。
【0024】
乱丁検知ユニット60のジョイント部60Jは、
図6に示されるように、Y座標軸に沿って移動調整可能にステー18ST3に支持されている。ジョイント部60Jは、小ネジBS2によりステー18ST3に固定されている。ステー18ST3の一端に設けられるジョイント部18Jは、側板18SPAに対し平行に設けられるステー18ST2にX座標軸に沿って移動調整可能に設けられている。ジョイント部18Jは、小ネジBS1でステー18ST2に固定されている。ステー18ST2は、ステー18ST1を介して側板18SPAに支持されている。これにより、後述する乱丁検知ユニット60における撮像部の位置は、シートBSiの上方でX座標軸およびY座標軸に沿って調整可能とされる。
【0025】
乱丁検知ユニット60は、シートBSiの表面に当接しシートBSiのばたつきを押えるシート押え部材62を筐体の外周部の一端部に有している。シート押え部材62は、筐体の外周部に対しZ座標軸に沿って位置調整可能とされる。なお、シート押え部材62は、好ましくは、シートBSiの表面を押えたとき、CMOSカメラモジュールの画角に入らない位置に設けられる。
【0026】
乱丁検知ユニット60は、後述する撮像部/画像処理部110Mbと、乱丁検知モジュール110Miとを主な要素として含んで構成されている。
【0027】
一対の給紙ローラ76Aおよび76Bは、上述の複数の搬送用ベルト68Biとフロントプレート18FPの上端部近傍との間に形成される排出通路に向き合って送風用ダクト74の上方の位置に設けられている。一対の給紙ローラ76Aおよび76Bには、送り出される一枚のシートBSiの厚さを測定する厚み検知部78S1および78S2が、付設されている(
図8参照)。
【0028】
一対の給紙ローラ76Aおよび76Bに隣接した位置には、給紙ローラ76Aおよび76Bにより取り出されたシートBSiを一枚ずつ上述の搬送路10PA内に導く搬送ローラ20Rbiが設けられている。搬送路10PAは、搬送用ベルト20BEと搬送ローラ20Rbiとの間に形成されている。搬送用ベルト20BEは、
図3におけるZ座標軸に沿って一対のベルトプーリ20Rcに巻き掛けられている。また、搬送用ベルト20BEの内側には、各給紙カセット18Kiにおける搬送ローラ20Rbiに対向して搬送ローラ20Rai(i=1~9)が回動可能に配置されている。
【0029】
さらに、最下段の給紙カセット18Kiの搬送ローラ20Rbiが設けられる通路の下流側には、丁合された複数のシートBSiをリフトアップコンベア12の入口に向けて排出する排出路10DAが一体に形成されている。これにより、
図4(A)に示されるような、各給紙カセット18Kiから集められた複数のシートBSiが順次積み重ねられたシート束26が、排出路10DAに形成されることとなる。シート束26は、所定の厚みおよび搬送方向に沿った所定の長さを有するものとされる。例えば、冊子30の表紙となるシート束26における最上位のシートBSiには、所定の文字列26CAが印刷されている。シート束26は、例えば、進行端26FE側から矢印Fの示す方向に搬送される。シート束26は、排出路10DAを介して順次、一束ずつリフトアップコンベア12に連続して供給される。
【0030】
なお、丁合機10における側面部には、シートBSi、シート束26の数量等を設定する操作パネル(不図示)が設けられている。給紙カセット18Kiの段数は、斯かる例に限られることなく、11段以上あってもよく、あるいは、10段の給紙カセット18Kiが、2台、互いに連結されるように構成されてもよい。
【0031】
リフトアップコンベア12は、
図3に示されるように、上述した丁合機10の排出路10DAに向き合う傾斜搬送部をその筐体内に有している。
【0032】
傾斜搬送部は、排出路10DAからのシート束26を協働して挟持して搬送する搬送用ベルト12B、および、複数の搬送ローラ20Rdと、搬送用ベルト12Bを駆動する駆動用ベルトプーリ12Braおよび12Brbと、を主な要素として含んで構成される。
【0033】
搬送用ベルト12Bは、下流側の端部が左斜め上方の位置となるように配置されている。これにより、搬送用ベルト12Bにおける上流側の端部が排出路10DAに近接し、下流側の端部が中綴じ折り装置14の導入口に向き合い近接している。搬送用ベルト12Bは、所定の間隔をもって配置される駆動用ベルトプーリ12Braおよび12Brbに巻き掛けられている。駆動用ベルトプーリ12Braは、搬送用ベルト12Bを介して一方のピンチローラ20Rdに向き合い、駆動用ベルトプーリ12Brbは、搬送用ベルト12Bを介して他方の搬送ローラ20Rdに向き合っている。駆動用ベルトプーリ12Braおよび12Brbに連結される駆動用モータは、後述する棚基板からの駆動制御信号に基づいて制御される駆動制御基板(不図示)により制御される。搬送ローラ20Rd相互間には、搬送用ベルト12Bに沿って複数のアイドラーCR1が所定の間隔で設けられている。これにより、駆動用ベルトプーリ12Braおよび12Brbが作動される場合、排出路10DAからのシート束26の進行端26FEが、一方の搬送ローラ20Rdおよび搬送用ベルト12Bに挟持された後、シート束26は、複数のアイドラーCR1で押圧された状態で搬送用ベルト12Bにより他方のピンチローラ20Rdまで搬送されリフトアップコンベア12から外部に排出されるとともに、隣接する中綴じ折り装置14の導入口に導入される。
【0034】
中綴じ折り装置14は、導入口を通じて導入されたシート束26を受け止めるシート束受け台14NPと、一対のピンチローラ22Raおよび22Rbと、シート束26を所定位置まで搬送する搬送ベルト32と、停止された搬送ベルト32上のシート束26を綴じ針で綴じるステッチャー14STIと、綴じられたシート束28(
図4(B)参照)を後述するその下流側に配置される折りナイフ機構に送出する搬送ベルト34と、シート束28をその中央位置で折り畳む折りナイフ機構と、折り畳まれたシート束28を、排出口を通じて排出する排出機構と、を主な要素として筐体内に内蔵している。
【0035】
図3におけるX座標軸に沿って形成されるシート束受け台14NPにおける下流側の端部には、一対のピンチローラ22Raおよび22Rbが回動可能に設けられている。ピンチローラ22Raおよび22Rbは、シート束受け台14NPに受け止められたシート束26を挟持し下流側の搬送ベルト32に送り出すものとされる。ピンチローラ22Raおよび22Rbは、図示が省略される搬送制御部により駆動制御される。また、シート束受け台14NPにおける下流側の端部には、櫛歯状のイジェクトレバーEJLが設けられている。イジェクトレバーEJLは、到来した不完全なシート束26´の端部に当接しそれをシート束受け台14NPの下方にあるイジェクトトレー14ETに誘導するものとされる。不完全なシート束26´とは、例えば、給紙カセットから送り出されるはずの特定のシートが送り出されなかった場合、送り出されなかったことにより不足のシートがあるものをいう。イジェクトレバーEJLは、例えば、
図3において二点鎖線で示されるように、給紙ローラの空回りをあらわすエラー信号に基づいてシート束受け台14NPの表面にある位置(待機位置)から反時計回り方向に回動され、到来した不完全なシート束26´の端部に当接するイジェクト位置をとるものとされる。
【0036】
搬送ベルト32は、駆動用ベルトプーリ32BRbとベルトプーリ32BRaとに巻き掛けられている。さらに、駆動用ベルトプーリ32BRbとベルトプーリ34Rとには、搬送ベルト34が巻き掛けられている。搬送ベルト34は、綴じられたシート束28を折りナイフ機構に向けて搬送するものとされる。駆動用ベルトプーリ32BRbは、図示が省略される駆動用モータの出力軸に連結されている。
【0037】
シート束26を綴じ針で綴じるステッチャー14STIの構成は、例えば、特開2011-161821号公報にも示されるような、針綴じ機構の構成と同様な構成を備えている。ステッチャー14STIにより、
図4(B)に示されるように、綴じ針STIで綴じられたシート束28が得られる。綴じ針STIは、そのシート束の略中央部に、所定の間隔をもって2箇所に打ち込まれる。綴じ針STIは、
図4(B)において折り畳まれる位置をあらわす破線上にあるように打ち込まれる。
【0038】
また、搬送ベルト32に隣接してストッパ14F、バックジョガー14BJ、および、サイドジョガー14SJが移動可能に設けられている。ストッパ14Fの基端は、回動可能に搬送ベルト32の周囲に支持され、ストッパ14Fにおける基端に連なる折曲端は、搬送ベルト32の作動に応じて突き当てられたシート束26の進行端26FEを停止させ揃える突出位置と、綴じられたシート束28が通過し搬送ベルト34に至るように搬送ベルト32から離脱した待機位置との間を回動される。ストッパ14Fの折曲端の突出位置のとき、ストッパ14Fの折曲端は搬送ベルト32の搬送面の位置から上方に向けて突出される。これにより、ストッパ14Fの折曲端に突き当てられたシート束26は、綴じ針STIが打ち込まれるようにステッチャー14STIに対し所定の位置に位置決めされることとなる。
【0039】
バックジョガー14BJは、シート束26の進行端26FEがストッパ14Fの折曲端で止められる場合、シート束26の進行端26FEに向き合う端部を繰り返して打ち揃えるものとされる。また、サイドジョガー14SJの動作により、シート束26における進行端26FEに直交する側面が揃えられる。ストッパ14F、バックジョガー14BJ、および、サイドジョガー14SJは、図示が省略される搬送制御部により駆動制御される。
【0040】
搬送ベルト34の下流側端部に隣接する折りナイフ機構は、搬送ベルト34により搬送されたシート束28を受け取り所定位置まで搬送する搬送ベルト36、および、搬送ベルト38と、シート束28を協働して折り畳む折りナイフ40と、一対の折りローラ42Raおよび折りローラ42Rbとを含んで構成される。
【0041】
搬送ベルト34、搬送ベルト36、および、搬送ベルト38は、搬送ベルト32の搬送面に対し所定の角度をもって交差するように左斜め下方に向けて延びている。搬送ベルト36は、駆動用ベルトプーリ36BRaと、ベルトプーリ36BRbとに巻き掛けられている。搬送ベルト38は、駆動用ベルトプーリ38BRaと、ベルトプーリ38BRbとに巻き掛けられている。
【0042】
折りナイフ40は、搬送ベルト36と搬送ベルト38との間の隙間を通じて一対の折りローラ42Raおよび折りローラ42Rb相互間に向けて往復動可能に配置されている。折りナイフ40は、図示が省略される駆動制御機構により、搬送ベルト36および搬送ベルト38の搬送面に対し交差するように移動可能に支持されている。即ち、折りナイフ40は、搬送ベルト36の搬送面と搬送ベルト38の搬送面との共通の平面に直交する方向に往復動可能とされる。一対の折りローラ42Raおよび折りローラ42Rbは、それぞれ、回動可能に支持されるとともに、互いに近接または離隔可能とされる。
【0043】
斯かる構成において、シート束28が、搬送ベルト34、搬送ベルト36、および、搬送ベルト38により、搬送され、シート束28の進行端が、搬送ベルト38の搬送面に突き出たストッパ50に突き当てられたとき、搬送ベルト34、搬送ベルト36、および、搬送ベルト38が一旦、停止された後、折りナイフ40の先端が、搬送ベルト36と搬送ベルト38との間の隙間に対応したシート束28の裏面側の綴じ針STIに向けて押し付けられるとともに、シート束28の折り目が回転中の折りローラ42Raおよび折りローラ42Rb相互間に押し込められた後、後述する搬送ベルト44と搬送ベルト46との間に押し出されることとなる。その際、折りナイフ40の先端は、
図3に示される初期の位置に戻される。これにより、
図4(C)に示されるように、所定の折り目に沿って折り畳まれた冊子30が得られることとなる。
【0044】
搬送ベルト46は、駆動用ベルトプーリ46BRbとベルトプーリ46BRaとの間に巻き掛けられている。また、駆動用ベルトプーリ46BRbとベルトプーリ46BRaとの間には、2個のアイドラーPR1が所定の間隔で設けられている。搬送ベルト44は、駆動用ベルトプーリ46BRbに向き合う駆動用ベルトプーリ44BRbとベルトプーリ44BRaとの間に巻き掛けられている。駆動用ベルトプーリ44BRbとベルトプーリ44BRaとの間には、2個のアイドラーPR1が所定の間隔で設けられている。搬送ベルト44の一部は、搬送ベルト46における2個のアイドラーPR1から駆動用ベルトプーリ46BRbまで至る部分に重ねられている。これにより、駆動用ベルトプーリ46BRbおよび駆動用ベルトプーリ44BRbが作動される場合、冊子30は、搬送ベルト44と搬送ベルト46との間に挟持されながら一対のピンチローラ48Raおよび48Rbまで搬送された後、中綴じ折り装置14の排出口を通じて排出される。
【0045】
中綴じ折り装置14の排出口に隣接した断裁装置16の筐体の導入口に連通する内側に形成される搬送路の周辺には、冊子30における進行方向とは逆方向の端部を協働して小口切りする固定刃54B、および、可動刃54Aと、冊子30を搬送する複数の搬送ベルト52と、複数の搬送ベルト52に載置される冊子30を上方から搬送ベルト52の搬送面に向けて押え付ける冊子押え部材56と、が設けられている。
【0046】
固定刃54Bは、上述の搬送路に導入された冊子30を下方から受け止めるものとされる。
【0047】
可動刃54Aは、図示が省略される駆動機構により、
図3において矢印の示す冊子30の搬送方向に対し略垂直になるように固定刃54Bに向けて近接し冊子30の小口を切断し、または、固定刃54Bに対し離隔可能となるように移動可能に支持されている。
【0048】
複数の搬送ベルト52は、固定刃54Bに隣接して
図3におけるY座標軸に沿って所定の間隔をもって設けられ、固定刃54Bに受け取られた冊子30を、断裁装置16内を搬送するとともに、小口切りされた冊子30´を断裁装置16の筐体の排出口を通じてスタッカ16Dに排出するものとされる。搬送ベルト52は、図示が省略される駆動制御部により、断続的に駆動制御される。
【0049】
複数の搬送ベルト52の相互間の隙間には、ストッパ58が選択的に突出される。ストッパ58は、図示が省略される昇降機構により、搬送ベルト52の搬送面に対し略垂直になるように昇降動可能に支持されている。ストッパ58は、搬送された冊子30の折り目が突き当てられることにより、冊子30の固定刃54Bに対する位置決めをするものとされる。
【0050】
複数の搬送ベルト52の上方の位置には、冊子30が可動刃54Aおよび固定刃54Bにより小口切りされるとき、ストッパ58により位置決めされた冊子30を、搬送ベルト52の搬送面に選択的に押え付ける冊子押え部材56が昇降動可能に設けられている。
【0051】
斯かる構成において、先ず、断裁装置16における可動刃54Aが固定刃54Bに対し離隔した状態で固定刃54Bに受け取られた冊子30が搬送ベルト52の搬送面に載置され、ストッパ58に突き当てられるまで搬送される。次に、冊子30の折り目がストッパ58に突き当てられ、搬送ベルト52が一旦停止されるとき、冊子30が冊子押え部材56により、搬送ベルト52の搬送面に押え付けられる。続いて、冊子30が可動刃54Aおよび固定刃54Bにより小口切りされる。そして、冊子押え部材56および可動刃54Aが、冊子30´に対し離隔され、ストッパ58が搬送ベルト52の搬送面に対し下降せしめられた後、搬送ベルト52が作動される。これにより、小口切りされた冊子30´が、断裁装置16の排出口を介してスタッカ16Dに排出されることとなる。
【0052】
上述の構成にさらに加えて、本発明の画像判定装置の一例を備える製本システムにおいては、
図1および
図2に示されるように、丁合機10における複数の給紙カセット18Kiの動作制御を行う制御ブロックを備えている。
【0053】
制御ブロックは、乱丁検知モジュール110Mi(i=1~10)と、二つの乱丁検知モジュール110Miの動作制御を行う棚基板108Ci(i=1~5)と、棚基板108Ciの動作制御を行うメイン基板106と、を主な要素として含んで構成されている。また、メイン基板106は、パーソナルコンピュータ100の入出力部に接続され、乱丁検知モジュール110Miは、USB-HUB112を介してパーソナルコンピュータ100の入出力部に接続されている。また、USB-HUB112は、ACアダプター114(
図2(A)参照)を介して電源ラインに接続されている。
【0054】
なお、各乱丁検知ユニット60は、互いに同一の構成を有するので最下段の1段目の給紙カセット18Kiにおける乱丁検知ユニット60について説明し、他の乱丁検知ユニット60についての説明を省略する。
【0055】
パーソナルコンピュータ100は、例えば、中央演算処理装置(CPU)、および、記憶部100Mを内蔵している。また、パーソナルコンピュータ100は、例えば、キーボード、および、マウス等の入力部102と、例えば、液晶画面を有する表示部104とを備えている。
【0056】
乱丁検知モジュール110Miは、上述の給紙カセット18Kiにおける乱丁検知ユニット60にそれぞれ設けられ、各シートBSiの表面に印刷された画像の画像データを形成するものとされる。乱丁検知モジュール110Miには、パーソナルコンピュータ100からUSB-HUB112を介して乱丁の判定の基準となる基準画像データRMDと、シートBSiの表面に印刷された画像に応じて選択された比較判定方法、例えば、パターン比較判定法、または、色調比較判定法をあらわす判定方法データDJMと、基準画像の取り直し指令信号DR等が供給される。また、後述する棚基板108Ciからの撮像開始指令信号SHCと、LED駆動制御信号LECとが、供給される。
【0057】
乱丁検知モジュール110Miは、判定方法データDJMに基づいて読み出されるパターン比較判定法のプログラム、または、色調比較判定法のプログラムのデータが格納される判定方法記憶部と、基準画像データRMDが格納される基準画像記憶部と、撮像部により撮像された画像データを格納する撮像画像記憶部とを有するデータ記憶部110Mcを備えている。
【0058】
また、乱丁検知モジュール110Miは、撮像部/画像処理部110Mbと、比較判定部110Maとを含んで構成されている。なお、複数の乱丁検知モジュール110Mi、および、複数の棚基板108Ciは、それぞれ、互いに同一の構造を有するので代表して最下段の1段目の給紙カセット18Kiにおける1個の乱丁検知モジュール110Mi、および、1個の棚基板108Ciについて説明し、他の乱丁検知モジュール110Mi、および、棚基板108Ciについての説明を省略する。
【0059】
撮像部/画像処理部110Mbは、シートBSiの表面に印刷された画像を撮影し撮像データを形成するCMOSカメラモジュール110maと、LED光源基板110mbと、CMOSカメラモジュール110maからの撮像データを後述する画像処理基板110mdに供給する中継基板110mcと、上述の選択された判定方法データDJMに基づいて読み出されるパターン比較判定法のプログラム、または、色調比較判定法のプログラムに基づいて撮像データについて所定の画像処理を行う画像処理基板110mdと、を含んで構成されている。
【0060】
CMOSカメラモジュール110maは、棚基板108Ciからの撮像開始指令信号SHCに基づいて最上端に位置するシートの表面における所定の領域を撮影するものとされる。
【0061】
LED光源基板110mbは、レンズ110LEを含んでなる光学系素子と、複数のLED素子LED1、LED2と、偏光シート110mg1および110mg2と、含んで構成される。LED光源基板110mbは、棚基板108CiからのLED駆動制御信号LECに基づいて複数のLED素子LED1、LED2を作動させ、光ビームをシートの表面に対し照射するものとされる。
【0062】
LED光源基板110mbは、
図2(B)に拡大されて示されるように、基板の中央部に設けられるレンズ110LEを含む光学系素子の回りに、複数のLED素子LED1、LED2を有している。なお、
図2(B)においては、代表して、2個のLED素子LED1、LED2を示す。LED光源基板110mbと積み重ねられたシートBSiにおける最上位のシートPAとの間には、互いに組み合わされた偏光シート110mg1および110mg2が設けられている。偏光シート110mg1および110mg2は、互いに異なる特定の偏光方向の光を通す性質を有している。これにより、LED素子LED1、LED2からシートPAの表面に照射された後、反射された正反射光ビームLIAは、偏光シート110mg2により遮断される。一方、反射された拡散光ビームLIBだけは、偏光シート110mg2を通過してレンズ110LEに入射されることとなる。従って、例えば、シートPAが反射率の高いアート紙、ラミネート紙の場合であっても、LED素子LED1、LED2から照射された光ビームがシートPAの表面で反射された後、反射光ビームが偏光シート110mg2によりレンズ110LEに直接入射することが回避されるので文字等が写らなくなるという現象を防止できる。
【0063】
画像処理基板110mdにおいては、判定方法データDJMがあらわす判定方法がパターン比較判定法である場合、基準画像データおよび得られた撮像データに基づき例えば、既知のゼロ平均正規化相互相関マッチングの演算式により、所定のテンプレート内のドット(画素)の輝度値から相関値が算出される。パターン比較判定法は、例えば、撮像されたシートの印刷面が、パターン比較判定に適した、文字、および、図形があらわされた印刷面である場合に選択される。
【0064】
また、画像処理基板110mdにおいては、判定方法データDJMがあらわす判定方法が色調比較判定の場合、基準画像データおよび得られた撮像データに基づきRGBの色空間の輝度値の範囲をHSVの色空間に変換した後、既知の計算式により、色相(H)が算出され、基準画像データおよび得られた撮像データについてそれぞれ、色相(H)についてのヒストグラムが作成される。そして、基準画像データおよび得られた撮像データの各々のヒストグラムが互いに重ね合わせられ、相違する部分の面積の値が色相差として算出される。色調比較判定は、例えば、撮像されたシートの印刷面が、単一色の無地の印刷面である場合に選択される。
【0065】
比較判定部110Maは、判定方法データDJMがあらわす判定方法がパターン比較判定法である場合、画像処理基板110mdからの相関値をあらわすデータに基づいて相関値が所定値以上の場合、撮像と基準画像とが一致しているものであると判断し、相関値が所定値未満である場合、撮像と基準画像とが一致していないものであると判断し、判定結果をあらわす判定データRJを棚基板108Ciに供給する。また、比較判定部110Maは、判定方法データDJMがあらわす判定方法が色調比較判定法である場合、画像処理基板110mdからの色相差をあらわすデータに基づいて色相差が所定値以下の場合、撮像と基準画像とが一致しているものであると判断し、色相差が所定値を超える場合、撮像と基準画像とが一致していないものであると判断し、その判定結果をあらわす判定データRJを棚基板108Ciに供給する。
【0066】
棚基板108Ciは、後述する基準画像の取込み手順により、基準画像をあらわすデータRMDが基準画像記憶部に記憶された後、最初に、比較判定部110Maからの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJが供給された場合、その判定データRJをメイン基板106に供給するものとされる。なお、メイン基板106は、すべての棚基板108Ciに接続されている。メイン基板106は、パーソナルコンピュータ100からの給紙制御データを格納する給紙制御記憶部106Mを備えている。
【0067】
もし、比較判定部110Maからの撮像と基準画像とが一致していないことをあらわす判定データRJが供給された場合、棚基板108Ciは、その判定データRJをメイン基板106に供給し、撮像開始指令信号SHC、LED駆動制御信号LECの乱丁検知モジュール110Miへの供給、および、後述するその他の駆動制御信号群DCの供給を停止する。
【0068】
次に、すべての棚基板108Ciからの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJに基づいてメイン基板106からの給紙開始指令信号FSCが供給される場合、棚基板108Ciは、撮像開始指令信号SHC、LED駆動制御信号LECを乱丁検知モジュール110Miに供給するとともに、その他の駆動制御信号群DCを上述のファン70、送風機、昇降トレー18BPを昇降させる昇降機構、給紙ローラ76Aおよび76B、各搬送用ベルト68Bi等を制御する制御基板に供給する。これにより、給紙カセット18Kiは、給紙動作を開始することとなる。その際、給紙カセット18Kiは、その給紙カセット18Kiよりも上方に配置された給紙カセット18Kiに比して遅れたタイミングで給紙動作を開始するように、給紙開始指令信号FSCが到来したときから各給紙カセット18Kiごとに異なる所定の時間だけ遅れて給紙動作を開始する。例えば、二段目の給紙カセット18Kiは、給紙開始指令信号FSCが到来したときから所定の時間だけ遅れたタイミングで、即ち、一段目の給紙カセット18Kiよりも早いタイミングで給紙動作を開始することとなる。従って、丁合機10において、上位にある給紙カセット18Kiは、下位にある給紙カセット18Kiに比して早く給紙動作を開始することとなる。
【0069】
続いて、各給紙カセット18Kiの給紙開始後、棚基板108Ciは、比較判定部110Maからの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJが供給される場合、給紙動作を継続し、一方、比較判定部110Maからの撮像と基準画像とが一致していないことをあらわす判定データRJが供給された場合、棚基板108Ciは、その判定データRJをメイン基板106に供給し、撮像開始指令信号SHC、LED駆動制御信号LECの乱丁検知モジュール110Miへの供給を停止し、その他の駆動制御信号群DCを供給しない。これにより、給紙動作が、一旦、停止される。
【0070】
基準画像の取込み手順について
パーソナルコンピュータ100におけるCPUは、各給紙カセット18KiにおけるシートBSiの印刷面に対応する基準画像データRMDを、乱丁検知モジュール110Miに供給するにあたり、シートBSiが載置されるすべての給紙カセット18Kiについて順次、同様な手順で行う。
【0071】
パーソナルコンピュータ100におけるCPUは、入力部102からの基準画像取り込み指令信号が供給されるとき、棚基板108Ciに昇降トレー18BPの上昇動作を行わせるべく、制御信号をメイン基板106に供給する。メイン基板106は、
図5に示されるように、CPUからの制御信号に基づいて所定の棚基板108Ciに昇降トレー18BPの上昇動作を所定の速度で行わせるべく制御信号を供給する。棚基板108Ciは、シート検出部64からの検出出力Stが供給されるまで昇降トレー18BPを上昇させ停止させるように、その昇降機構を制御する。その際、シート押え部材62が最上端のシートBSiにより若干押し上げられる。その後、棚基板108Ciは、
図7(A)に示されるように、所定量だけ下降させるように、その昇降機構を制御する。次に、
図7(A)に示されるように、棚基板108Ciは、送風用ダクト74の吐出口74EXを介して最上端近傍の複数のシートBSiに向けて空気を吹き付けるように送風機を作動させながら、昇降トレー18BPを比較的低速度で上昇させる。その際、
図7(B)に示されるように、昇降トレー18BPが上昇しながら、複数のシートBSiの端部が互いに離隔した状態となる。そして、棚基板108Ciは、シート検出部64からの検出出力Stが供給されるとき、昇降トレー18BPを停止させる。すなわち、後述されるシートBSiを給紙する直前の状態と同一の状態となる。このタイミングにおいて、棚基板108Ciは、撮像開始指令信号SHC、および、LED駆動制御信号LECを乱丁検知モジュール110Miに供給する。これにより、最上端にあるシートBSiの印刷面が、CMOSカメラモジュール110maにより、撮像され基準対象画像が得られる。その際、シート押え部材62が最上端のシートBSiに当接しシートBSiを押し下げる。このようにシート押え部材62がシートBSiを押えているのでエアによるシートBSiのばたつきが抑制され、良質の基準対象画像を得ることができる。撮像完了後、昇降トレー18BPが所定位置まで下降せしめられる。
【0072】
後述するように、得られた基準対象画像は、例えば、
図9に示されるように、表示部104の画面に表示される。
【0073】
図9は、基準画像を取り込むために操作される操作画面の要部を示す。
図9において、表示部104の画面に表示される取り込まれた基準対象画像104M6は、左側の基準エリア104M3内に表示される。位置調整ボタン104M8がマウスによりクリックにされた後、電子式ファインダーとして機能する右側の位置調整映像エリア104M4内には、例えば、CMOSカメラモジュール110maにより撮像された画像がリアルタイムに表示される。なお、その画像は、各給紙カセット18Kiごとの画像に切換え可能とされる。
【0074】
位置調整映像エリア104M4の下方には、基準画像撮り直しボタン104M5が設けられている。
【0075】
位置調整ボタン104M8がマウスによりクリックにされた後、基準画像撮り直しボタン104M5が、例えば、マウスによりクリックされることにより、クリックされた時点で位置調整映像エリア104M4内に表示されていた画像が、新たに撮り直され、基準対象画像として左側の基準エリア104M3内に移動し表示され、基準対象画像が、更新される。
【0076】
左側の基準エリア104M3に隣接して給紙装置選択エリア104M2が設けられている。給紙装置選択エリア104M2には、各段の給紙カセットに対応する番号(1~10)が付された複数のラジオボタン(オプションボタン)と、チェックボックスとが、設けられている。所定のラジオボタン(チェックボックスに隣接する選択対象の給紙カセット18Kiに対する番号の部分)がマウスによりクリックされることにより、その給紙カセットにおいて撮像された画像が、基準エリア104M3、および、位置調整映像エリア104M4に表示される。
【0077】
チェックボックスは、各給紙装置において、画像の比較判定を行うか否かを設定する。
例えば、チェックボックスをクリックしてONにすると、その給紙装置はON設定となる。チェックボックスがOFFである場合は、その給紙装置はOFF設定となる。ON設定のばあいは、画像の比較判定を行い(あるいは有効とし)、OFF設定の場合は、画像の比較判定は行わない(あるいは無効とする)。なお、
図9に示される操作画面では、丁合機を2台連結した場合、すなわち、20台の給紙装置に対応させて、各々に番号とチェックボックスが表示されている。最上部の「全」と表示されたチェックボックスをチェックすると、すべての給紙装置がON設定となる。
【0078】
基準対象画像104M6内には、後述する基準画像選択エリアRIA内の画像から基準画像を指定選択する矩形状の基準画像選択枠104M7が形成されている。基準画像選択枠104M7は、マウスにより基準画像選択エリアRIAの内側の領域で移動可能とされ、しかも、パターン比較判定が選択された場合、基準画像選択枠104M7の枠の大きさも、拡大または縮小するように変更可能とされる。また、色調比較判定が選択された場合、基準画像選択枠104M7の枠の大きさは、パターン比較判定が選択された場合に比して予め大きく初期設定されている。
【0079】
また、基準画像選択枠104M7は、マウスにより、基準対象画像104M6の基準画像選択エリアRIA内における基準画像として適切な位置に設定される。これにより、基準対象画像104M6の基準画像選択エリアRIA内における基準画像選択枠104M7により選択された領域の画像が、基準画像として設定されることとなる。従って、基準画像選択枠104M7により選択された領域の画像をあらわす基準画像データRMDが、乱丁検知モジュール110Miの基準画像記憶部に供給されることとなる。
【0080】
基準対象画像104M6において、基準画像選択エリアRIAの大きさは、例えば、給紙方向に沿った基準対象画像104M6の両端からそれぞれ、所定距離WA、例えば、約5mm程度内方に離隔した、長さWB、例えば、約20mmの短辺と基準対象画像104M6の長辺とにより囲まれた範囲内に設定されている。
【0081】
従って、基準画像選択枠104M7が、マウスにより、基準対象画像104M6における基準画像選択エリアRIA内における基準画像として適切な位置に設定されるので撮像された画像が、給紙方向に対し直交する幅方向に最大にずれていても、撮像画像が基準画像と不一致であると誤判定されることがなくなる。この基準画像選択エリアRIAの設定範囲が、例えば、所定の材質を有するシートが給紙方向と直交する方向に最大にずれる可能性を考慮して最大に設定されているからである。
【0082】
また、シートの給紙方向のずれは、シートの材質により、ずれの挙動が異なる。シートが、コート紙のような互いに重なった用紙が密着しやすい用紙の場合、送り出された用紙に引きずられて下方の用紙が給紙方向にずれる可能性がある。シートが、薄紙である場合、吹き出されたエアで飛ばされることにより、その吹き出し方向(給紙方向上流側)にずれる可能性がある。これらのずれ量は、シートの幅方向のずれ量に比べて大きくなる傾向にある。
【0083】
そこで、基準画像選択エリアRIAの大きさ(領域)が上述のように給紙方向に沿った長辺を有する長方形に設定されることにより、撮像された画像が、基準対象画像104M6に対して給紙方向に比較的大きくずれていても、同一の印刷内容の用紙であれば、基準画像と一致するエリアが基準対象画像104M6内に含まれるようにすることができる。シートが、給紙方向下流側にずれやすい用紙である場合、例えば、基準画像選択枠104M7を基準画像選択エリアRIA内における給紙方向上流側寄りに設定し、給紙方向上流側にずれやすい用紙に対しては、基準画像選択枠104M7を基準画像選択エリアRIA内における給紙方向下流側寄りに設定することにより、給紙のとき、次に送られるシートが給紙方向下流側、あるいは、給紙方向上流側にずれた位置で撮像されても、基準画像を取得したシートと同一の印刷内容のシートであれば、取得した基準画像と一致する部分を含む撮像画像が得られる。これにより、撮像画像が基準画像と不一致であると誤判定されることがなくなる。様々な用紙に対応して適切な位置に基準画像選択枠104M7を設定することにより、給紙のとき、次に送られるシートのずれに応じて適切に撮像画像の判定を行うことができる。
【0084】
さらに、CMOSカメラモジュール110maは、例えば、シートの給紙方向に沿った長方形の撮像面を有するので基準対象画像104M6の形状が給紙方向に長い長方形となる。従って、上述のように、基準画像選択エリアRIAの大きさを設定することにより、給紙方向に延びる基準画像選択エリアRIAの長辺の長さをシートの実際のずれ量に合致した長さにしたので給紙方向に対し直交する幅方向に比して大きくなりやすい給紙方向のシートのずれに対して、より適切に対応することができる。
【0085】
基準エリア104M3および位置調整映像エリア104M4の上方には、上述したパターン比較判定法を選択するラジオボタン(パターン比較)、または、色調比較判定法を選択するラジオボタン(色比較)が設けられている。例えば、撮像されたシートの印刷面が、パターン比較判定に適した、文字や図形の記載がある印刷面である場合、パターン比較判定が、選択され、一方、撮像されたシートにおける印刷面が、単一色の無地の印刷面であれば、色調比較判定が選択されることとなる。なお、上述のラジオボタンは、各給紙カセット18Kiごとに、それぞれ、異なる設定がなされてもよい。また、上述の位置調整ボタン104M8がマウスでクリックされた場合、パターン比較判定法または色調比較判定法の選択の変更が可能とされる。
【0086】
これにより、これらのいずれかのボタンが、マウスでクリックされた場合、パターン比較判定法または色調比較判定法をあらわす判定方法データDJMが乱丁検知モジュール110Miに供給される。なお、
図9においては、パターン比較判定法が選択された場合における画像が表示されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、色調比較判定法が選択された場合においても、基準エリア104M3および位置調整映像エリア104M4に、基準対象画像が表示される。
【0087】
上述したように、位置調整ボタン104M8をマウスによりクリックし、位置調整映像エリア104M4にCMOSカメラモジュール110maにより撮像された画像を表示させた後に、基準画像撮り直しボタン104M5が、例えば、マウスによりクリックされることにより、基準対象画像が、更新される。したがって、撮り直しをする時にのみ、位置調整映像エリア104M4内の画像を表示するので、カメラの撮像時間を短縮してカメラの耐久性を高めることができるとともに、表示のためのメモリも少なくすることができる。
【0088】
さらに、基準画像の撮り直しに先立って、乱丁検知ユニット60の撮影位置の調整が、可能とされる。即ち、ジョイント部60Jを移動させることにより、乱丁検知ユニット60の位置が調整可能とされる。その際、上述の位置調整ボタン104M8がマウスでクリックされ、位置調整映像エリア104M4に撮像画像を表示しておけば、その位置調整映像エリア104M4内の画像は、移動された乱丁検知ユニット60の撮像画像がリアルタイムに表示されたものなので、その画像を見ながら、乱丁検知ユニット60の位置が調整可能とされる。
【0089】
そして、停止ボタン104M9がマウスでクリックされた場合、基準画像の取り込みが強制的に終了される。
【0090】
給紙動作制御について
パーソナルコンピュータ100におけるCPU、棚基板108Ciおよびメイン基板106によって丁合機10における複数の給紙カセット18Kiの動作制御にあたり、先ず、上述したように、各給紙カセット18Kiに対応する基準画像をあらわすデータRMDが、それぞれ、各乱丁検知モジュール110Miの基準画像記憶部に記憶された後、入力部102により所定のスタート信号が供給されるとき、メイン基板106は、
図5に示されるように、CPUからの制御信号に基づいて所定の棚基板108Ciに昇降トレー18BPの上昇動作を所定の速度で行わせるべく制御信号を供給する。棚基板108Ciは、給紙開始指令信号FSCに基づいてシート検出部64からの検出出力Stが供給されるまで昇降トレー18BPを上昇させ停止させるように、その昇降機構を制御する。その後、棚基板108Ciは、
図7(A)に示されるように、所定量だけ下降させるように、その昇降機構を制御する。次に、
図7(A)に示されるように、棚基板108Ciは、送風用ダクト74の吐出口74EXを介して最上端近傍の複数のシートBSiに向けて空気を吹き付けるように送風機を作動させながら、昇降トレー18BPを比較的低速度で上昇させる。その際、
図7(B)に示されるように、昇降トレー18BPが上昇しながら、複数のシートBSiの端部が互いに離隔した状態となる。そして、棚基板108Ciは、シート検出部64からの検出出力Stが供給されるとき、昇降トレー18BPを停止させる。このタイミングにおいて、棚基板108Ciは、撮像開始指令信号SHC、および、LED駆動制御信号LECを乱丁検知モジュール110Miに供給する。これにより、最上端にあるシートBSiの印刷面が、CMOSカメラモジュール110maにより撮影されることによって、その撮像画像が得られる。得られた撮像画像のデータは、乱丁検知モジュール110Miの撮像画像記憶部に記憶される。続いて、乱丁検知モジュール110Miの比較判定部110Maは、判定方法データDJMに基づいてパターン比較判定法のプログラム、または、色調比較判定法のプログラムのデータを読み出し、選択された比較判定法のプログラムに従い得られた撮像画像のデータと基準画像のデータと比較し一致しているか否かの判定を行い、比較結果出力RJを形成し、それを棚基板108Ciに供給する。
【0091】
各比較判定部110MaからのCMOSカメラモジュール110maにより撮られた最上端のシートBSiの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJが各棚基板108Ciに供給された場合、各棚基板108Ciが、その判定データRJをメイン基板106に供給するものとされる。メイン基板106は、すべての棚基板108Ciからの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJが供給される場合、給紙開始指令信号FSCを同時にすべての棚基板108Ciに供給する。これにより、適切な所定のシートBSiが、各給紙カセット18Kiに、装填されていることが確認されたこととなる。
【0092】
続いて、すべての棚基板108Ciからの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJがメイン基板106に供給され、給紙開始指令信号FSCが棚基板108Ciに供給される場合、棚基板108Ciは、ファン70を作動させ吸引用チャンバ66を介してシートBSiを一枚ずつ吸引しながら、搬送用ベルト68Biを作動させるべく制御信号を所定の制御基板に駆動制御信号群DCを供給する。これにより、搬送されたシートBSiの端部が一対の給紙ローラ76Aおよび76Bの作動により挟持されたとき、吸引用チャンバ66に設けられるリリーフバルブ(逃がし孔)が開放される。これにより、吸引用チャンバ66内の吸引力が減圧されるので一対の給紙ローラ76Aおよび76BによってシートBSiが円滑に下流側の搬送路10PAに搬送されることとなる。
このように各給紙カセット18Kiからシートが1枚ずつ搬送され、これが重ねられてシート束26を形成する。なお棚基板108Ciは、給紙開始指令信号FSCが棚基板108Ciに供給されてから、所定時間経過してから給紙駆動部の動作を行わせる。そして、その所定時間は、上方の給紙カセット18Kiほど短く、下方の給紙カセット18Kiほど長くなるように、下方にいくほど一定時間ずつ増加するように設定されているので、給紙開始指令信号FSCの供給を受けると、上方の給紙カセット18Kiから下方の給紙カセット18Kiに向かって順次、給紙駆動部が動作する。その結果、搬送路10PAにおいて各シートBSiの先端がおおむね揃って重ねられることになる。
【0093】
なお、メイン基板106は、最上端のシートBSiの撮像と基準画像とが一致していないことをあらわす判定データRJが到来した場合、エラー信号をパーソナルコンピュータ100のCPUに供給する。これにより、例えば、エラーメッセージが表示部104に表示され、給紙動作は、開始されない。したがって、シート束26も形成されない。
【0094】
続いて、棚基板108Ciは、最上端のシートBSiが搬送された後、LED駆動制御信号LECを乱丁検知モジュール110Miに供給する。これにより、その次に搬送されるシートBSiの印刷面が、CMOSカメラモジュール110maにより撮影されることによって、その撮像画像が得られる。得られた撮像画像のデータは、乱丁検知モジュール110Miの撮像画像記憶部に記憶される。乱丁検知モジュール110Miの比較判定部110Maは、判定方法データDJMに基づいてパターン比較判定法のプログラム、または、色調比較判定法のプログラムのデータを読み出し、選択された比較判定法のプログラムに従い得られた撮像画像のデータと基準画像のデータと比較し一致しているか否かの判定を行い、比較結果出力RJを形成し、それを棚基板108Ciに供給する。それ以降のシートBSiの印刷面についても、同様にCMOSカメラモジュール110maにより撮影され、比較結果出力RJが棚基板108Ciに供給される。
【0095】
もし、シートBSiの撮像と基準画像とが一致していないことをあらわす判定データRJが到来した場合、給紙動作が停止されることなく、その不良のシートBSiが含まれるシート束26は、イジェクトトレー14ETに供給されるように、イジェクトレバーEJLが動作制御される。但し、同一の給紙カセット18KiからのシートBSiの撮像と基準画像とが一致していないことをあらわす判定データRJが2回連続して到来した場合、給紙動作が停止される。
【0096】
なお、丁合機10においては、通常、順次、例えば、上段(10段目)の給紙カセット18Kiから下段(9段目)の給紙カセット18Kiに向かって給紙が行われるところ、前回の給紙における最下段(1段目)までの給紙完了を待たずに今回の給紙が、10段目の給紙カセット18Kiから開始されるので、入力部102により所定のスタート信号が供給された直後の1回目の給紙の次以降、すなわち、2回目以降の給紙においては、前回の最下段の給紙カセット18Kiの給紙が完了した時点で初めて全給紙カセット18Kiの撮像画像が揃って得られるのでその時点で、次に続いて給紙されるシートBSiにおいて、基準画像と一致していないものがあるかが判断できることになる。即ち、今回の最上段(10段目)の給紙カセット18Kiから給紙が開始される時点においては、前回の最下段の給紙カセット18Kiの給紙が完了していないので、使用されているすべての給紙カセット18KiにおけるシートBSiのうちの少なくとも一部については、今回給紙されるシートBSiの中に基準画像と一致していないものがあるか否かを確認できない。基準画像と一致していない不良のシートBSiが含まれていた場合は、当然にそのシートの取り除き、または修正作業が必要となるが、不良のシートBSiが含まれていたことが確認できた時点では、既に最上段(10段目)の給紙カセット18Kiから給紙が開始されているので、前記したように不良のシートBSiを含むシート束26を形成してイジェクトトレー14ETに送り込み、修正する場合は後にイジェクトトレー14ETから不良のシートBSiを取り出して修正する。
【0097】
しかしそのような制御に限らず、2回目以降の給紙において、前回の最下段(1段目)の給紙カセット18Kiまでの給紙完了を待って、今回の給紙を最上段(10段目)の給紙カセット18Kiから開始するようにしてもよい。
【0098】
また、そのような場合、給紙の処理速度が低下するので最上段の給紙カセット18Kiおよび最下段の給紙カセット18Ki相互間の給紙カセット18Kiの数量が少ない場合に限って、前回の最下段の給紙カセット18Kiまでの給紙完了を待って今回の給紙動作を最上段(10段目)の給紙カセット18Kiから開始する制御が可能であるようにしてもよい。
【0099】
そうすれば、今回給紙されるシートの中に基準画像と一致していないものがあるか否かが、今回、最上段の給紙カセット18Kiからの給紙を開始する前に判定することができる。判定の結果基準画像と一致していないものがあれば、エラー信号をパーソナルコンピュータ100のCPUに供給する。これにより、例えば、エラーメッセージが表示部104に表示され、給紙動作は、開始されない。したがって不良のシートBSiを含むシート束26も形成されない。作業者はエラーが発生した給紙カセット18Kiに積載されている用紙の種類や向き、表裏等を正確に積み直して再スタートすることができる。したがって、不良のシートBSiを含むシート束26を作成することなく、不良のシートBSiを修正することができる。
【0100】
これに対し、入力部102により所定のスタート信号が供給された直後の第1回目については、「前回の給紙」が存在しないので、「前回の最下段の給紙カセット18Kiまでの給紙完了を待って今回の給紙動作を最上段(10段目)の給紙カセット18Kiから開始する制御」を行うか否かにかかわらず、給紙されるシートの中に基準画像と一致していないものがあるか否かが、今回、最上段の給紙カセット18Kiからの給紙を開始する前に判定することができる。最上端のシートBSiの撮像と基準画像とが一致していない場合は、給紙動作が開始されず、不良のシートBSiを含むシート束26も形成されないので、作業者はエラーが発生した給紙カセット18Kiに積載されている用紙の種類や向き、表裏等を正確に積み直して再スタートすることができる。したがって、例えば、給紙カセット18Kiに積載している用紙がなくなって一旦装置を停止させ、新たな用紙を積載した後、再スタートすべくスタート信号を送った場合は、その直後の第1回目の給紙を開始する前にすべての給紙カセット18Kiについて最上位のシートの撮像と基準画像とが一致しているか否かが判定される。これにより、不良のシートBSiを含むシート束26を形成することなく、新たな用紙の積載の際の積載ミスを検出することができるので、作業者にとって煩雑な作業を回避できる。
【0101】
図10は、本発明に係る画像判定装置の一例を備える製本システムの第2実施例の構成を概略的に示す。
【0102】
図10において、製本システムは、1冊の中身を構成するシート束を複数重ねて構成したシート束群BS3、または、複数のシートBS2を送出するシートフィーダ11と、シートフィーダ11から排出され互いに重ねられた1冊のシート束26Sおよび1枚のシートBS2を順次、一束ずつ中央位置で綴じるとともに折り畳む中綴じ折り装置14と、中綴じ折り装置14からの折り畳まれた冊子30Sにおける進行方向とは逆方向の端部を小口切りする断裁装置16と、断裁装置16から順次、供給される冊子30Sを所定数、蓄積し排出するスタッカ16Dと、を主な要素として含んで構成されている。
【0103】
また、上述の構成にさらに加えて、本発明に係る画像判定装置の一例を備える製本システムにおいては、シートフィーダ11の動作制御を行う
図1および
図2に示される制御ブロックと同様な制御ブロックを備えている。その際、制御ブロックは、例えば、2つの乱丁検知モジュール110Miと、1つの棚基板108Ciおよびメイン基板106と、パーソナルコンピュータ100とを主な要素として含んで構成される。
【0104】
なお、
図10において、
図3に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符合を付して示し、その重複説明を省略する。
【0105】
シートフィーダ11は、冊子30Sの表紙となるシートBS2を一枚ずつ送り出す給紙装置11Lと、冊子30Sの中身を構成するシート束が所定の冊数だけ積み重ねられたシート束群BS3から、順次、一枚ずつ送り出す給紙装置11Uとから構成されている。そのシート束群BS3を構成する各シート束は、予め、シートが所定の枚数だけ頁番号順に重ねられたものとされる。
【0106】
給紙装置11Lおよび給紙装置11Uは、互いに同一の構造を備えているので給紙装置11Lについて説明し、給紙装置11Uの説明を省略する。
【0107】
給紙装置11Lは、積み重ねられた複数のシートBS2を
図10に示されるZ座標軸に沿って昇降させる昇降トレー11BPと、昇降トレー11BPに積載された複数のシートBS2のうちの上部を形成する各シートBS2を、送風用ダクトを介した吐出空気で互いに離れるように浮き上がらせる送風機(不図示)と、送風機により浮き上がった最上のシートBS2の進行方向の端部を、吸引用チャンバを介して吸引し搬送用ベルト11Biに対し保持または解放するファン(不図示)と、シートBS2の表面、または、印刷面を検知する乱丁検知ユニット60と、シート検出部(不図示)と、昇降トレー11BPからシートBS2を一枚ずつ搬送路11PAに送り出す一対の給紙ローラ(不図示)と、を含んで構成されている。なお、給紙装置11Uは、斯かる例に限られることなく、例えば、給紙装置11Lを用いることなく、表紙となるシートも含まれたシート束が積載されるようになされてもよい。
【0108】
斯かる構成において、先ず、給紙装置11Uから搬送路11PAに1枚ずつ送り出されたシートが、一対のピンチローラ22Raおよび22Rb、搬送ベルト32により、ステッチャー14STIに対し搬送された後、ストッパ14Fの折曲端に突き当てられたシートは、綴じ針STIが打ち込まれるようにステッチャー14STIに対し所定の位置に位置決めされる。1冊分のシート束26Sの中身を構成するすべてのシートが給紙装置11Uから送り出され、ストッパ14Fに順次突き当てられて、ステッチャー14STに対し所定の位置に重ねられる(シート束群BS3は、給紙装置11Uから送り出され、ストッパ14Fに突き当てられて重ねられたときの順序とは逆順にあらかじめ重ねられている)。
【0109】
次に、所定の遅れをもって搬送路11PAに送り出された1枚のシートBS2がストッパ14Fの折曲端に突き当てられることによって、シート束26Sの最上端に重ねられた後、ステッチャー14STIにより、綴じ針STIが1枚のシートBS2およびシート束26Sに打ち込まれる。これにより、シート束28Sが得られる。
【0110】
シート束28Sは、搬送ベルト34、搬送ベルト36、および、搬送ベルト38により、搬送され、シート束28Sの進行端が、搬送ベルト38の搬送面に突き出たストッパ50に突き当てられたとき、搬送ベルト34、搬送ベルト36、および、搬送ベルト38が一旦、停止された後、折りナイフ40の先端が、搬送ベルト36と搬送ベルト38との間の隙間に対応したシート束28Sの裏面側の綴じ針STIに向けて押し付けられるとともに、シート束28Sの折り目が回転中の折りローラ42Raおよび折りローラ42Rb相互間に押し込められた後、搬送ベルト44と搬送ベルト46との間に押し出されることとなる。これにより、所定の折り目に沿って折り畳まれた冊子30Sが得られることとなる。
【0111】
そして、断裁装置16における可動刃54Aが固定刃54Bに対し離隔した状態で固定刃54Bに受け取られた冊子30Sが搬送ベルト52の搬送面に載置され、ストッパ58に突き当てられるまで搬送される。次に、冊子30Sの折り目がストッパ58に突き当てられ、搬送ベルト52が一旦停止されるとき、冊子30Sが冊子押え部材56により、搬送ベルト52の搬送面に押え付けられる。続いて、冊子30Sが可動刃54Aおよび固定刃54Bにより小口切りされる。そして、冊子押え部材56および可動刃54Aが、小口切りされた冊子30´Sに対し離隔され、ストッパ58が搬送ベルト52の搬送面に対し下降せしめられた後、搬送ベルト52が作動される。これにより、小口切りされた冊子30´Sが、断裁装置16の排出口を介してスタッカ16Dに排出されることとなる。
【0112】
パーソナルコンピュータ100におけるCPUは、給紙装置11Uおよび11Lにおけるシート束群BS3およびシートBS2の印刷面に対応する基準画像データRMDを、乱丁検知モジュール110Miに供給するにあたり、給紙装置11Uおよび11Lについて順次、上述したような同様な手順で基準画像の取り込みを行う。給紙装置11Uについては、最上位のシートの基準画像の取り込みを行った後、給紙駆動部を駆動して最上位のシートを送り出し、続く次のシートの基準画像の取り込みを行う。この作業を1冊分のシート束26Sの中身を構成するすべてのシートについて繰り返し、各シートごとの基準画像を取り込む。この時に送り出されたシートは、ステッチャー14STIに送られず、イジェクトトレー14ETに送られる。
【0113】
次に、入力部102により所定のスタート操作を行い、製本システムによる製本を行う。このとき、パーソナルコンピュータ100におけるCPU、棚基板108Ciおよびメイン基板106によってシートフィーダ11における給紙装置11Uおよび11Lの各乱丁検知モジュール110Miの動作制御にあたり、入力部102により所定のスタート信号が供給されるとき、メイン基板106は、CPUからの制御信号に基づいて棚基板108Ciに、給紙装置11Uおよび11Lにおける昇降トレー11BPの上昇動作を所定の速度で行わせるべく制御信号を供給する。棚基板108Ciは、給紙開始指令信号FSCに基づいてシート検出部からの検出出力が供給されるまで各昇降トレー11BPを上昇させ停止させるように、その昇降機構を制御する。その後、棚基板108Ciは、所定量だけ下降させるように、その昇降機構を制御する。次に、棚基板108Ciは、送風用ダクトの吐出口を介して最上端近傍の複数のシートBS2、および、シート束に向けて空気を吹き付けるように送風機を作動させながら、各昇降トレー11BPを比較的低速度で上昇させる。その際、各昇降トレー18BPが上昇しながら、複数のシートBS2、および、シート束の端部が互いに離隔した状態となる。そして、棚基板108Ciは、シート検出部からの検出出力が供給されるとき、各昇降トレー11BPを停止させる。このタイミングにおいて、棚基板108Ciは、撮像開始指令信号SHC、および、LED駆動制御信号LECを各乱丁検知モジュール110Miに供給する。これにより、最上端にあるシートBS2、および、シート束の印刷面が、CMOSカメラモジュール110maにより撮影されることによって、その撮像画像が得られる。得られた撮像画像のデータは、乱丁検知モジュール110Miの撮像画像記憶部に記憶される。給紙装置11Uについては、1冊分のシート束26Sの中身を構成するすべてのシートが給紙装置11Uからステッチャー14STIに送り出されるとき、すべてのシートについて、シートが送り出されるたびに送り出されるシートについて撮像する。すなわち、1冊分のシート束26Sの中身を構成するすべてのシートの撮像画像を取得する。
【0114】
続いて、乱丁検知モジュール110Miの比較判定部110Maは、判定方法データDJMに基づいてパターン比較判定法のプログラム、または、色調比較判定法のプログラムのデータを読み出し、選択された比較判定法のプログラムに従い得られた撮像画像のデータと基準画像のデータと比較し一致しているか否かの判定を行い、比較結果出力RJを形成し、それを棚基板108Ciに供給する。給紙装置11Uから送られるシートについては、選択された比較判定法のプログラムに従い、各シートごとに撮像画像のデータと基準画像のデータと比較し、比較結果出力RJを棚基板108Ciに供給する。
【0115】
給紙装置11UのCMOSカメラモジュール110maにより撮られたシート束群BS3の最上端のシートの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJが、棚基板108Ciに供給された場合、棚基板108Ciが、その判定データRJをメイン基板106に供給するものとされる。メイン基板106は、棚基板108Ciからの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJが供給される場合、給紙開始指令信号FSCを棚基板108Ciに供給する。シート束群RS3の最上端のシートの撮像と基準画像とが一致していないことをあらわす判定データRJが到来した場合、エラー信号をパーソナルコンピュータ100のCPUに供給する。その場合は、例えば、エラーメッセージが、表示部104に表示され、給紙動作は、開始されない。
【0116】
給紙開始指令信号FSCを棚基板108Ciに供給されたとき、棚基板108Ciは、給紙装置11Uにおけるファンを作動させ吸引用チャンバを介してシート束群BS3のシート束のシートを一枚ずつ吸引しながら、搬送用ベルト11Biを作動させるべく制御信号を所定の制御基板に供給する。これにより、搬送されたシートの端部が一対の給紙ローラ76Aおよび76Bの作動により挟持されたとき、吸引用チャンバに設けられるリリーフバルブ(逃がし孔)が開放される。これにより、吸引用チャンバ内の吸引力が減圧されるので一対の給紙ローラによってシート束におけるシートが円滑に下流側の搬送路11PAに搬送されることとなる。
【0117】
続いて、棚基板108Ciは、最上端のシートが搬送された後、LED駆動制御信号LECを乱丁検知モジュール110Miに供給する。これにより、その次に搬送されるシート、および、シート束の印刷面が、CMOSカメラモジュール110maにより撮影されることによって、その撮像画像が得られる。得られた撮像画像のデータは、乱丁検知モジュール110Miの撮像画像記憶部に記憶される。乱丁検知モジュール110Miの比較判定部110Maは、判定方法データDJMに基づいてパターン比較判定法のプログラム、または、色調比較判定法のプログラムのデータを読み出し、選択された比較判定法のプログラムに従い得られた撮像画像のデータと基準画像のデータと比較し一致しているか否かの判定を行い、比較結果出力RJを形成し、それを棚基板108Ciに供給する。それ以降のシートおよびシート束の印刷面についても、順次、同様にCMOSカメラモジュール110maにより撮影され、比較結果出力RJが棚基板108Ciに供給される。
【0118】
これを繰り返して、1冊分のシート束26Sの中身を構成する各シートのすべてを送り出すとともに、各シートのうち、適切な印刷内容、種類でないものや、適切な順序、向き等で装填されていないものが含まれている場合は、そのシートの給紙動作を開始することがなくエラーメッセージが表示される。エラーメッセージが表示されず、給紙動作が中断しない場合は、送り出されたシート束26Sの中身を構成する各シートが適切な印刷内容、種類であり、適切な順序、向き等で装填されていることが、確認されたことになる。
【0119】
給紙装置11Uから1冊分のシート束26Sの中身を構成する各シートがすべて送り出されると、次に、給紙装置11LのCMOSカメラモジュール110maによりシート束RS2の最上端のシートの撮像画像が取得される。この撮像画像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJが棚基板108Ciに供給された場合、棚基板108Ciが、その判定データRJをメイン基板106に供給するものとされる。メイン基板106は、棚基板108Ciからの撮像と基準画像とが一致していることをあらわす判定データRJが供給される場合、給紙開始指令信号FSCを棚基板108Ciに供給する。これにより、給紙装置11Lに装填されたシート束BS2が、適切な印刷内容、種類であり、適切な順序、向き等で装填されていることが確認されたこととなる。なお、メイン基板106は、最上端のシートBSiの撮像と基準画像とが一致していないことをあらわす判定データRJが到来した場合、エラー信号をパーソナルコンピュータ100のCPUに供給する。これにより、例えば、エラーメッセージが表示部104に表示され、給紙動作は、開始されないので、給紙装置11Lに装填されたシート束BS2が、適切な印刷内容、種類であり、適切な順序、向き等で装填されていない場合は、そのシートの給紙動作を開始することがなくエラーメッセージが表示される。
【0120】
給紙開始指令信号FSCを棚基板108Ciに供給されたとき、棚基板108Ciは、給紙装置11Lにおいてシート束BSの最上端のシートを吸引し、搬送用ベルト11Biを作動させて吸引したシートを送り出す。動作の詳細は給紙装置11Uがシートを送り出すときと同様である。
【0121】
続いて、棚基板108Ciは、所定の期間経過後、上述と同様に、給紙装置11Uにおけるシート束群BS3からの、1冊分のシート束26Sの中身を構成する各シートと、給紙装置11LにおけるシートBS2とを、搬送路11PAに搬送する動作制御を行う。
【0122】
なお、上述の例において、給紙装置11Uにおける比較判定部における比較判定方法を、パターン比較判定、色調比較判定のいずれかに、1冊分のシート束26Sの中身を構成する各シートごとに設定してもよい。例えば、給紙装置11Uにおいて基準画像取得に先立って1冊分の送り出しを行い、各シートの設定用画像を取得し、その後、任意のシートを選択して各々基準画像を指定する際、給紙装置11Uにおいて指定されるシートを、ページ番号で指定するように構成されてもよい。このような場合、各々のページ番号において、基準画像を指定するとともに、パターン比較判定、または、色調比較判定のいずれかを設定すればよい。例えば、表紙に無地の色紙を用いた場合、表紙のみ、あるいは、表紙の内側に遊び紙として無地の色紙を用いた場合、該当するシートを色調比較判定とすればよい。
【0123】
また、シートフィーダ11では、給紙装置11Uにおけるシート束(1冊分)のシートがすべて送り出された後、ステッチャーでの綴じ工程の時間と、綴じ部からの送り出しに要する時間、および、給紙装置11LからのシートBS2が到来するまでに要する時間だけ、その後に続くシート束のシートの送り出しは、待機しなければならない。これは、シート束のシートが、1束前に送出されたシート束のシートに衝突することを回避する必要があるからである。従って、送り出されたシートが、1束のシート束の最後のシートであるか否かを判断する必要がある。
【0124】
送り出されるシートが1束のシート束の最後のシートであるか否かの判断が、比較判定部による基準画像と撮像画像との比較により行われてもよい。その判定方法は、例えば、パターン比較判定、および、色調比較判定のうちのいずれかを選択できるようにしてもよい。1冊分のシート束の最後のページが、表紙等でべた印刷が多い場合、最後のページについては、色調比較判定が用いられるとよい。
【0125】
バッファ装置が、シートフィーダ11と中綴じ折り装置14との間に配され、順次、送り込まれるシートを重ねて蓄積させることができるように構成されてもよい。そのような場合、シートフィーダ11からの送り出しは、待機する必要はなく、綴じる工程と送り出しに要する時間だけ、バッファ装置で重ねておけばよいこととなる。従って、1冊分のシート束の最後のページ番号のシートを検出した場合、その後に続くシートを含めた複数枚のシートがバッファ装置で重ねられるように制御されてもよい。そのバッファ装置の制御において、参照される1冊分のシート束の最後のシートであるか否かの情報は、例えば、比較判定部による基準画像と撮像画像との比較により取得されてもよい。その判定方法は、例えば、パターン比較判定、および、色調比較判定のうちのいずれかを選択できるようにしてもよい。
【0126】
さらに、上述の丁合機10の給紙カセット18Kiが、上述のシートフィーダ11の給紙装置と同様に、ページ番号順に重なったシート束を繰り返し積載したシート束群を積載するように構成されてもよい。このような場合、給紙カセット18Kiが、シートがページ番号順に1冊分を順次、送り出されるように動作されてもよい。
【0127】
さらにまた、上述の本発明に係る画像判定装置の一例においては、操作画面において、パターン比較判定法を選択するボタン(パターン比較)、または、色調比較判定法を選択するボタン(色比較)が設けられるもとで、使用者によりボタンが選択されることにより、パターン比較判定法または色調比較判定法が設定されているが、その代わりに、例えば、その判定方法が自動的に設定されてもよい。
【0128】
上述の判定方法が自動的に設定される場合、設定用画像を解析し、その時点で基準画像選択枠で囲われている範囲の画像を解析し、適切な判定方法がいずれであるかを判断するものとされる。
【0129】
そのような場合、判定方法選択エリアを表示せず、判定方法が自動設定されるようにしてもよいし、パターン比較判定、色調比較判定のチェックボックスに加えて、自動判定というチェックボックスを設けてもよい。また、自動判定した結果、適切と判断された判定方法にチェックが自動的に入るようにして、ユーザによる変更が可能であるようにしてもよい。自動判定した結果をチェックボックスとは別途表示して、ユーザに選択を促すようにしてもよい。
【0130】
基準画像選択枠は、例えば、パターン比較判定の場合に比べて、色調比較判定の場合の方が、デフォルトで大きく表示されるようになってもよい。設定用画像と、撮像画像ともに、紙面の色が均一であっても、光の入り方や、カメラの画角との関係等により、明度にムラが出る可能性がある。基準画像が明るい部分のみであったり、暗い部分のみであったりすると、撮像画像の撮像条件によっては、基準画像と明度が異なり、不一致と誤判定する可能性がある。したがって、基準画像選択枠をできるだけ広範囲とすることにより、これらのムラを平均化し、誤判定を防ぐことができる。
【0131】
例えば、給紙装置選択エリアにおいてチェックが入っているすべての給紙装置において、基準画像選択枠の位置設定が完了し、操作画面を閉じる場合、各給紙装置の設定用画像のうち、基準画像選択枠で指定された部分が、基準画像として基準画像記憶部に記憶されるように構成されてもよい。
【0132】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る画像判定装置の一例においては、撮像画像と記憶画像とのパターンを比較したときの一致度に基づいて行うパターン比較判定のほか、撮像画像と記憶画像との色調を比較したときの一致度に基づいて判定する色調比較判定を選択することが可能である。したがって、冊子を構成する用紙の中に、印刷の無い色紙や、広範囲に特定の色が、べた印刷されたような、コントラストが特徴ある形状で現れる部分が存在しない用紙が等においても、色調比較判定を選択することによって、比較判定が可能である。複数の給紙部から送り出された用紙を丁合して製本する場合は給紙部ごとに、作成する冊子を構成する複数のページを同一の給紙部から順次送り出して製本する場合はページごとに、それぞれパターン比較判定、色調比較判定を選択可能とすれば、製本する冊子のページごとに適した判定方法を選択することができる。最終ページであるか否かを判断するための比較判定方法として、色調比較委判定をも選択できるようにすれば、最終ページが印刷の無い色紙や、広範囲のべた印刷となった表紙や遊び紙等であった場合でも、色調比較判定を選択することにより、最終ページであるか否かが判定できる。従って、乱丁やジャムを防止することができる。
<態様1>
態様1の給紙制御装置は、複数のシートを積み重ねて収容するシート収容部をそれぞれ有し該シートを送出する複数の給紙装置に、それぞれ、対応して設けられ、前記シートの表面の画像をあらわす画像データと基準画像をあらわす基準画像データとを比較することにより、画像が互いに一致するか否かを判定し比較結果を出力する比較判定部と、前記比較判定部からの比較結果に基づいて前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、すべての前記比較判定部からの比較結果が、前記画像が互いに一致することをあらわす場合、前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を行わせることを特徴とする。
<態様2>
態様2の給紙制御装置は、態様1に係る給紙制御装置であって、前記制御部は、すべての前記比較判定部からの比較結果が、前記画像が互いに一致することをあらわす場合、前記複数の給紙装置の給紙駆動部の動作を開始させることを特徴とする。
<態様3>
態様3の給紙制御装置は、態様1に係る給紙制御装置であって、前記シートの表面の画像をあらわす画像データは、該シートの表面を撮像し撮像データを送出する撮像部からの撮像データに基づいて形成され、該撮像部は、各給紙装置のシート収容部に配され、前記制御部からの給紙指令信号に基づいて撮像することを特徴とする。
<態様4>
態様4の丁合装置は、複数のシートを積み重ねて収容するシート収容部をそれぞれ有し該シートを送出する複数の給紙装置と、態様1乃至3の何れかの態様に係る給紙制御装置と、前記複数の給紙装置からそれぞれ供給される複数のシートを一緒に搬送する搬送路と、を具備して構成されることを特徴とする。
【符号の説明】
【0133】
10 丁合機
14 中綴じ折り装置
16 断裁装置
18Ki 給紙カセット
26、26S シート束
30、30´、30S、30´S 冊子
100 パーソナルコンピュータ
102 入力部
104 表示部
104M6 基準対象画像
104M7 基準画像選択枠
106 メイン基板
108Ci 棚基板
110Mi 乱丁検知モジュール
110Ma 比較判定部
110Mb 撮像部/画像処理部
110ma CMOSカメラモジュール