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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】ヘルメット用外装部材保持具
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/04 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
A42B3/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017204359
(22)【出願日】2017-10-23
(65)【公開番号】P2018087401
(43)【公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2016227125
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年10月5日北海道立総合体育センターにて開催された第54回全国建設業労働災害防止大会での公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000149930
【氏名又は名称】株式会社谷沢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】樫本 知史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 薫
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-028884(JP,A)
【文献】実開昭49-099417(JP,U)
【文献】特開平01-068506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/04
A42B 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽体の縁部の内面に複数の内装材固定用係止具を有するヘルメットに装着して、前記帽体の外面に、両側にバンドを有する外装部材を取り付けるヘルメット用外装部材保持具であって、
前記帽体の一方の側部に配置する第1保持具と、
前記帽体の他方の側部に配置する第2保持具と
からなり、
前記第1保持具は、
前記帽体の一方の前記側部に有する前記内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、
一方の前記バンドを係止する外面係止部を備える外片と、
前記内片の下端と前記外片の下端とを連結して前記帽体の前記縁部に当接させる連結片と
を備え、
前記第2保持具は、
前記帽体の他方の前記側部に有する前記内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、
他方の前記バンドを係止する外面係止部を備える外片と、
前記内片の下端と前記外片の下端とを連結して前記帽体の前記縁部に当接させる連結片と
を備え
前記内装材固定用係止具が、一対の突起部からなるブラケットであり、
前記内面係合部が、一対の前記突起部の間に配置されるブラケット係止片を有することを特徴とするヘルメット用外装部材保持具。
【請求項2】
帽体の縁部の内面に複数の内装材固定用係止具を有するヘルメットに装着して、前記帽体の外面に、両側にバンドを有する外装部材を取り付けるヘルメット用外装部材保持具であって、
前記帽体の一方の側部に配置する第1保持具と、
前記帽体の他方の側部に配置する第2保持具と
からなり、
前記第1保持具は、
前記帽体の一方の前記側部に有する前記内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、
一方の前記バンドを係止する外面係止部を備える外片と、
前記内片の下端と前記外片の下端とを連結して前記帽体の前記縁部に当接させる連結片と
を備え、
前記第2保持具は、
前記帽体の他方の前記側部に有する前記内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、
他方の前記バンドを係止する外面係止部を備える外片と、
前記内片の下端と前記外片の下端とを連結して前記帽体の前記縁部に当接させる連結片と
を備え、
前記外面係止部には、少なくとも2本のスリットを有し、前記スリットはそれぞれの角度を異ならせて形成されていることを特徴とするヘルメット用外装部材保持具。
【請求項3】
前記内片は、前記外片よりも横幅を長く形成し、前記外片と対面しない位置に前記内面係合部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘルメット用外装部材保持具。
【請求項4】
前記内装材固定用係止具が、円柱部と、前記円柱部よりも大径の頭部とからなる鋲であり、
前記内面係合部が、第1開口と、第2開口と、前記第1開口と前記第2開口をつなぐ通路とからなる開口部であり、
前記第1開口は、前記頭部よりも大径であり、
前記第2開口は、前記頭部よりも小径であり、
前記通路は、前記円柱部よりも狭幅であることを特徴とする請求項2に記載のヘルメット用外装部材保持具。
【請求項5】
前記ブラケット係止片には、少なくとも一方の前記突起部の端部に当接する延出部を有することを特徴とする請求項に記載のヘルメット用外装部材保持具。
【請求項6】
前記内装材固定用係止具の前記突起部の端部が、前記帽体内面と連接する立ち上げ片を有するものであり、
前記ブラケット係止片には、前記立ち上げ片が位置できる凹部を有することを特徴とする請求項5に記載のヘルメット用外装部材保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットに外装部材を取り付けて保持するヘルメット用外装部材保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場や工場などにおいては、例えばライトなどの外装部材をヘルメットに取り付けて作業することがある。
そして、外装部材をヘルメットに取り付ける方法としては、ゴムバンドを用いる方法が知られている(非特許文献1)。
また、ヘルメットに着脱可能なクリップを用いて外装部材を取り付ける方法もある。例えば、特許文献1には、板状本体とヘルメットの外壁との間に保護具の装着バンドを挿入するようにした挿入空間を設け、板状本体の下部に、ヘルメットの下周端を挟持するようにした挟持部を設け、板状本体の上部に、ヘルメットの外壁に当接するようにした当接部を設け、さらに挟持部にヘルメットの下周端と当接して弾性変形する隆起部を設けたヘルメットの保護用クリップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-246860号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】LEDヘッドライトGTR-931H 総合カタログNo.23-C、株式会社谷沢製作所、p25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載のゴムバンドは、使用しているうちにゴムが伸びてしまうのでゴムバンドの交換が必要となる。また、ヘルメットに表記された社名や個人名等がゴムバンドの下に隠れてしまう場合がある。
【0006】
特許文献1に記載のヘルメットの保護用クリップは、主に弾性力によってヘルメットに取り付けられた状態が保持されるものであり、ヘルメットと固着されていないため、保持力が十分とはいえない。
【0007】
本発明では、ヘルメットに配置した位置からずれることがなく、外装部材を安定して取り付けることができ、かつ、コンパクトに形成されたヘルメット用外装部材保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明のヘルメット用外装部材保持具は、帽体の縁部の内面に複数の内装材固定用係止具を有するヘルメットに装着して、前記帽体の外面に、両側にバンドを有する外装部材を取り付けるヘルメット用外装部材保持具であって、前記帽体の一方の側部に配置する第1保持具と、前記帽体の他方の側部に配置する第2保持具とからなり、前記第1保持具は、前記帽体の一方の前記側部に有する前記内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、一方の前記バンドを係止する外面係止部を備える外片と、前記内片の下端と前記外片の下端とを連結して前記帽体の前記縁部に当接させる連結片とを備え、前記第2保持具は、前記帽体の他方の前記側部に有する前記内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、他方の前記バンドを係止する外面係止部を備える外片と、前記内片の下端と前記外片の下端とを連結して前記帽体の前記縁部に当接させる連結片とを備え、前記内装材固定用係止具が、一対の突起部からなるブラケットであり、前記内面係合部が、一対の前記突起部の間に配置されるブラケット係止片を有することを特徴とする。
請求項2記載の本発明のヘルメット用外装部材保持具は、帽体の縁部の内面に複数の内装材固定用係止具を有するヘルメットに装着して、前記帽体の外面に、両側にバンドを有する外装部材を取り付けるヘルメット用外装部材保持具であって、前記帽体の一方の側部に配置する第1保持具と、前記帽体の他方の側部に配置する第2保持具とからなり、前記第1保持具は、前記帽体の一方の前記側部に有する前記内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、一方の前記バンドを係止する外面係止部を備える外片と、前記内片の下端と前記外片の下端とを連結して前記帽体の前記縁部に当接させる連結片とを備え、前記第2保持具は、前記帽体の他方の前記側部に有する前記内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、他方の前記バンドを係止する外面係止部を備える外片と、前記内片の下端と前記外片の下端とを連結して前記帽体の前記縁部に当接させる連結片とを備え、前記外面係止部には、少なくとも2本のスリットを有し、前記スリットはそれぞれの角度を異ならせて形成されていることを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のヘルメット用外装部材保持具において、前記内片は、前記外片よりも横幅を長く形成し、前記外片と対面しない位置に前記内面係合部を備えることを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項2に記載のヘルメット用外装部材保持具において、前記内装材固定用係止具が、円柱部と、前記円柱部よりも大径の頭部とからなる鋲であり、前記内面係合部が、第1開口と、第2開口と、前記第1開口と前記第2開口をつなぐ通路とからなる開口部であり、前記第1開口は、前記頭部よりも大径であり、前記第2開口は、前記頭部よりも小径であり、前記通路は、前記円柱部よりも狭幅であることを特徴とする
求項5記載の本発明は、請求項に記載のヘルメット用外装部材保持具において、前記ブラケット係止片には、少なくとも一方の前記突起部の端部に当接する延出部を有することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載のヘルメット用外装部材保持具において、前記内装材固定用係止具の前記突起部の端部が、前記帽体内面と連接する立ち上げ片を有するものであり、前記ブラケット係止片には、前記立ち上げ片が位置できる凹部を有することを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
発明によれば、ヘルメットに配置した位置からずれることがなく、外装部材を安定して取り付けることができ、かつ、コンパクトに形成されたヘルメット用外装部材保持具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は本発明の一実施例によるヘルメット用外装部材保持具の装着を示すヘルメットの内面側の斜視図、(b)は同ヘルメット用外装部材保持具を用いて外装部材を取り付けた状態を示すヘルメットの外面側の斜視図
図2】(a)は同ヘルメット用外装部材保持具の装着を示す他のヘルメットの内面側の斜視図、(b)は同ヘルメット用外装部材保持具を用いて外装部材を取り付けた状態を示す他のヘルメットの外面側の斜視図
図3】(a)は同ヘルメット用外装部材保持具の一方の保持具を示す正面図、(b)は(a)の底面図、(c)は(a)の背面図、(d)は(a)のA-A’断面図、(e)は(a)の右側面図
図4】同ヘルメット用外装部材保持具の他方の保持具を示す正面図
図5】同ヘルメット用外装部材保持具を内装材固定用係止具がブラケットであるヘルメットに使用する方法を説明する図
図6】同ヘルメット用外装部材保持具を内装材固定用係止具が鋲であるヘルメットに使用する方法を説明する図
図7】(a)は本発明の他の実施例によるヘルメット用外装部材保持具の一方の保持具を示す正面図、(b)は(a)の背面図
図8】(a)は同ヘルメット用外装部材保持具を用いて外装部材を取り付けた状態を示すヘルメットの外面側の斜視図、(b)は同ヘルメット用外装部材保持具の一方の保持具へのバンドの装着方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施の形態によるヘルメット用外装部材保持具は、帽体の一方の側部に配置する第1保持具と、帽体の他方の側部に配置する第2保持具とからなり、第1保持具は、帽体の一方の側部に有する内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、一方のバンドを係止する外面係止部を備える外片と、内片の下端と外片の下端とを連結して帽体の縁部に当接させる連結片とを備え、第2保持具は、帽体の他方の側部に有する内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、他方のバンドを係止する外面係止部を備える外片と、内片の下端と外片の下端とを連結して帽体の縁部に当接させる連結片とを備え、内装材固定用係止具が、一対の突起部からなるブラケットであり、内面係合部が、一対の突起部の間に配置されるブラケット係止片を有するものである。
本実施の形態によれば、帽体の一方の側部に配置する第1保持具によって一方のバンドを係止し、帽体の他方の側部に配置する第2保持具によって他方のバンドを係止することで、外装部材を帽体の外面に取り付けることができる。また、本実施の形態によれば、第1保持具及び第2保持具は、それぞれの内片に有する内面係合部によって、帽体の縁部の内面に配置された内装材固定用係止具と係合するため、位置がずれることがない。また、内装材固定用係止具は、一般的には帽体の内面に左右対称に複数有しているものなので、例えば、帽体の前寄りの側部に有する内装材固定用係止具を用いて第1保持具及び第2保持具を取り付けることで、外装部材を帽体の前部に安定して取り付けることができ、帽体の後寄りの側部に有する内装材固定用係止具を用いて第1保持具及び第2保持具を取り付けることで、外装部材を帽体の後部に安定して取り付けることができる。また、内装材固定用係止具がブラケットである場合にも対応することができる。
【0012】
本発明の第2の実施の形態によるヘルメット用外装部材保持具は、帽体の一方の側部に配置する第1保持具と、帽体の他方の側部に配置する第2保持具とからなり、第1保持具は、帽体の一方の側部に有する内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、一方のバンドを係止する外面係止部を備える外片と、内片の下端と外片の下端とを連結して帽体の縁部に当接させる連結片とを備え、第2保持具は、帽体の他方の側部に有する内装材固定用係止具と係合する内面係合部を備える内片と、他方のバンドを係止する外面係止部を備える外片と、内片の下端と外片の下端とを連結して帽体の縁部に当接させる連結片とを備え、外面係止部には、少なくとも2本のスリットを有し、スリットはそれぞれの角度を異ならせて形成されているものである。
本実施の形態によれば、第1保持具及び第2保持具の取り付け位置に応じて外装部材のバンドを通すスリットを選択でき、第1保持具、第2保持具、及びバンドに無理な力がかかることを防止できる。
【0013】
本発明の第の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態によるヘルメット用外装部材保持具において、内片は、外片よりも横幅を長く形成し、外片と対面しない位置に内面係合部を備えるものである。
本実施の形態によれば、ヘルメットの構成部材などが取り付けの障害となる場合であっても、その障害物をかわして取り付けることができる。
【0014】
本発明の第の実施の形態は、第2の実施の形態によるヘルメット用外装部材保持具において、内装材固定用係止具が、円柱部と、円柱部よりも大径の頭部とからなる鋲であり、内面係合部が、第1開口と、第2開口と、第1開口と第2開口をつなぐ通路とからなる開口部であり、第1開口は、頭部よりも大径であり、第2開口は、頭部よりも小径であり、通路は、円柱部よりも狭幅であるものである。
本実施の形態によれば、内装材固定用係止具が鋲である場合にも対応することができる
【0015】
発明の第5の実施の形態は、第の実施の形態によるヘルメット用外装部材保持具において、ブラケット係止片には、少なくとも一方の突起部の端部に当接する延出部を有するものである。
本実施の形態によれば、第1保持具及び第2保持具の取付け姿勢をより安定させることができ、位置がずれることがない。
【0016】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態によるヘルメット用外装部材保持具において、内装材固定用係止具の突起部の端部が、帽体内面と連接する立ち上げ片を有するものであり、ブラケット係止片には、立ち上げ片が位置できる凹部を有するものである。
本実施の形態によれば、内装材固定用係止具の突起部の端部が立ち上げ片を有するものである場合には、さらに取付け姿勢を安定させることができ、位置がずれることがない
【実施例
【0017】
下、本発明の一実施例によるヘルメット用外装部材保持具について説明する。
【0018】
図1(a)は本実施例によるヘルメット用外装部材保持具の装着を示すヘルメットの内面側の斜視図、図1(b)は同ヘルメット用外装部材保持具を用いて外装部材を取り付けた状態を示すヘルメットの外面側の斜視図である。
ヘルメット10は、帽体11の縁部12の内面に複数の内装材固定用係止具13を有している。内装材固定用係止具13は、ハンモックなどの内装材を帽体11に固定するためのものであり、図1ではブラケット13を示している。ブラケット13は、帽体11の内面に、左右対称に複数配置され、図1に示す帽体11は4つ(4組)のブラケット13を有している。それぞれのブラケット13は、一対の突起部13a、13bから構成される。
ヘルメット用外装部材保持具は、一方の保持具と他方の保持具とで一対で構成される。
図1では、一方の保持具20を第1保持具とした場合を示しており、第1保持具(一方の保持具20)は帽体11の一方の側部に配置する。なお、他方の保持具を第2保持具とし、第2保持具(他方の保持具)は帽体11の他方の側部に配置するが、図示を省略している。また、外装部材14としてLEDランプを示し、LEDランプ14は、両側にバンド15を有している。
LEDランプ14の一方のバンド15は、第1保持具(一方の保持具20)によって係止され、LEDランプ14の他方のバンド15は、図示を省略している第2保持具(他方の保持具)によって係止され、外装部材14は、帽体11の外面に装着される。
【0019】
図2(a)は本実施例によるヘルメット用外装部材保持具の装着を示す他のヘルメットの内面側の斜視図、図2(b)は同ヘルメット用外装部材保持具を用いて外装部材を取り付けた状態を示す他のヘルメットの外面側の斜視図である。
図2では、内装材固定用係止具13として鋲13を示している。鋲13は、帽体11の内面に、左右対称に複数配置され、図2に示す帽体11は8つの鋲13を有している。それぞれの鋲13は、円柱部と、円柱部よりも大径の頭部とからなる。
図2では、他方の保持具40を第1保持具とした場合を示している。なお、一方の保持具20を第2保持具としているが、図示を省略している。
図1の場合と同様に、LEDランプ14の一方のバンド15は、第1保持具(他方の保持具40)によって係止され、LEDランプ14の他方のバンド15は、図示を省略している第2保持具(一方の保持具20)によって係止され、外装部材14は、帽体11の外面に装着される。
【0020】
図3(a)は本実施例による一方の保持具を示す正面図、図3(b)は図3(a)の底面図、図3(c)は図3(a)の背面図、図3(d)は図3(a)のA-A’断面図、図3(e)は図3(a)の右側面図である。
【0021】
一方の保持具20は、図3に示すように、内片21と、外片28と、連結片31とを備えている。
内片21は、帽体11の内装材固定用係止具13と係合する内面係合部22を備えている。内面係合部22は、一方の保持具20を第1保持具として用いる場合には帽体11の一方の側部に有する内装材固定用係止具13と係合し、一方の保持具20を第2保持具として用いる場合には帽体11の他方の側部に有する内装材固定用係止具13と係合する。
外片28は、バンド15を係止する外面係止部29を備えている。外面係止部29は、一方の保持具20を第1保持具として用いる場合には一方のバンド15を係止し、一方の保持具20を第2保持具として用いる場合には他方のバンド15を係止する。
連結片31は、内片21の下端と外片28の下端とを連結している。
内面係合部22は、一方の端部に延出部26が設けられたブラケット係止片25と、開口部23とを有している。開口部23は、第1開口23aと、第1開口23aよりも連結片31側に位置する第2開口23bと、第1開口23aと第2開口23bをつなぐ通路23cとからなる。
第1開口23aの直径は、鋲13の頭部の直径よりも大きい。第2開口23bの直径は、鋲13の頭部の直径よりも小さく、鋲13の円柱部の直径とほぼ同じである。通路23cの幅は、鋲13の円柱部の直径よりも狭い。このように開口部23は、第1開口23aと第1開口23aよりも小径の第2開口23bとによってダルマ状に形成されており、第1開口23aに鋲13の頭部を通した後、鋲13を第2開口23bに位置させることによって、鋲13に開口部23を係合できる。なお、図3(c)に示すように、第1開口23aの一部を舌片24によって閉塞してもよい。舌片24を設けた場合、舌片24の弾性力によって第1開口23aからの鋲13の頭部の抜けが抑制される。
ブラケット係止片25は、ブラケット13と係合する。開口部23は、内装材固定用係止具13としてブラケットの代わりに鋲13が用いられている場合に、鋲13と係合する。
内面係合部22として、ブラケット係止片25と開口部23とを有することで、ブラケット13を備えたヘルメット及び鋲13を備えたヘルメットのいずれでも用いることができる。
なお、開口部23の第1開口23aは鋲13の頭部よりも大径であるが、第1開口23aと第2開口23bとの間には鋲13の円柱部よりも狭幅の通路23cが設けてあるため、鋲13を第2開口23bに位置させることによって、第1開口23aからの鋲13の抜けが抑制される。また、ブラケット係止片25には凹部27を設けている。
また、内片21は、外片28よりも横幅が長く形成され、外片28と対面しない位置にブラケット係止片25を有しているので、ブラケット13が例えばヘルメット10のつば近傍にあってつばが取り付けの障害になるような場合において、つばをかわして取り付けることができる。
外片28は、外面係止部29に角度の異なる2本のスリット30を有しており、一方又は他方のバンド15を係止する。なお、スリット30は、本実施例においては第1の角度30aと第2の角度30bの2本のスリット30が途中で交錯してV字状に形成されているが、交錯させずにそれぞれ独立形成しても良いし、3本以上の異なる角度のスリット30を形成しても良い。使用者は、一方の保持具20の取り付け位置などに応じて、いずれかのスリット30を選択してLEDランプ14の一方又は他方のバンド15を係止する。
連結片31は、内片21の下端と外片28の下端とを連結し、使用時において帽体11の縁部12に当接する。
【0022】
図4は本実施例による他方の保持具を示す正面図である。
【0023】
他方の保持具40は、図4に示すように、一方の保持具20とは左右違いに、内片21と、外片28と、連結片31とを備えている。
内片21は、帽体11に有する内装材固定用係止具13と係合する内面係合部22を備えている。内面係合部22は、他方の保持具40を第1保持具として用いる場合には帽体11の一方の側部に有する内装材固定用係止具13と係合し、他方の保持具40を第2保持具として用いる場合には帽体11の他方の側部に有する内装材固定用係止具13と係合する。
外片28は、バンド15を係止する外面係止部29を備えている。外面係止部29は、他方の保持具40を第1保持具として用いる場合には一方のバンド15を係止し、他方の保持具40を第2保持具として用いる場合には他方のバンド15を係止する。
連結片31は、内片21の下端と外片28の下端とを連結している。
内面係合部22は、一方の端部に延出部26が設けられたブラケット係止片25を有している。なお、一方の保持具20と同様に、第1開口23aと、第1開口23aよりも連結片31側に位置する第2開口23bと、第1開口23aと第2開口23bをつなぐ通路23cとからなり、舌片24によって一部が閉塞された開口部23も有しているが、図示を省略している。
ブラケット係止片25は、ブラケット13と係合する。開口部23は、内装材固定用係止具13としてブラケットの代わりに鋲13が用いられている場合に、鋲13と係合する。
内面係合部22として、ブラケット係止片25と開口部23とを有することで、ブラケット13を備えたヘルメット及び鋲13を備えたヘルメットのいずれでも用いることができる。
なお、開口部23の第1開口23aは鋲13の頭部よりも大径であるが、第1開口23aと第2開口23bとの間には鋲13の円柱部よりも狭幅の通路23cが設けてあるため、鋲13を第2開口23bに位置させることによって、第1開口23aからの鋲13の抜けが抑制される。また、ブラケット係止片25には凹部27を設けている。
また、内片21は、外片28よりも横幅が長く形成され、外片28と対面しない位置にブラケット係止片25を有しているので、ブラケット13が例えばヘルメット10のつば近傍にあってつばが取り付けの障害になるような場合において、つばをかわして取り付けることができる。
外片28は、外面係止部29に角度の異なる2本のスリット30を有しており、一方又は他方のバンド15を係止する。なお、スリット30は、本実施例においては第1の角度30aと第2の角度30bの2本のスリット30が途中で交錯してV字状に形成されているが、交錯させずにそれぞれ独立形成しても良いし、3本以上の異なる角度のスリット30を形成しても良い。使用者は、他方の保持具40の取り付け位置などに応じて、いずれかのスリット30を選択してLEDランプ14の一方又は他方のバンド15を係止する。
連結片31は、内片21の下端と外片28の下端とを連結し、使用時において帽体11の縁部12に当接する。
【0024】
ここで、一方の保持具20及び他方の保持具40は、ABS樹脂製又は金属製とすることもできるが、ある程度弾力性を有することで取り付け性が良くなるため、例えばポリエチレンを射出成形して製作することが好ましい。
【0025】
次に、図5及び図6を用いて使用方法を具体的に説明する。
【0026】
図5は内装材固定用係止具がブラケットであるヘルメットに使用する方法を説明する図である。
前述のように、帽体11の一方の側部には第1保持具が配置され、帽体11の他方の側部には第2保持具が配置されるが、図5においては、ヘルメット10のつばをかわすために、第1保持具に一方の保持具20を用いる。なお、図示はしないが第2保持具には他方の保持具40を用いる。
図5(a)は第1保持具(一方の保持具20)がヘルメットに装着される前の状態を示している。
まず、一方の前側部に配置されたブラケット13には第1保持具(一方の保持具20)のブラケット係止片25を係合させる。すると、図5(b)に示すような状態となる。なお、ブラケット係止片25が突起部13a及び突起部13bと当接することによってブラケット13からの抜けは抑制され、更にブラケット13の突起部13a又は13bの端部が帽体11の内面と連接する立ち上げ片13cを有するものである場合は、立ち上げ片13cの一部が凹部27に嵌入して強固に固定されるが、図5(c)に示すように、その上から内装材16を係合すると、より一層のブラケット13からの抜け防止となる。同様にして他方の前側部に第2保持具(他方の保持具40)を配置する。
次に、LEDランプ14の一方のバンド15を第1保持具(一方の保持具20)の第1の角度30aのスリット30に通し、面ファスナーで留める。同様にして他方のバンド15を第2保持具(他方の保持具40)に通し、面ファスナーで留める。すると、図1(b)に示すような状態となって、LEDランプ14の取り付けが完了する。この状態においては、第1保持具(一方の保持具20)は一方のバンド15によって前方に引っ張られ、第2保持具(他方の保持具40)は他方のバンド15によって前方に引っ張られるが、連結片31が帽体11の縁部12に当接されているので、帽体11に対して上下のみならず周方向の位置がずれることがなく安定して取り付けることができる。さらに、延出部26が突起部13a又は突起部13bに当接すること、及び凹部27が立ち上げ片13cに嵌合することによっても揺動を抑えている。
【0027】
図6は内装材固定用係止具が鋲であるヘルメットに使用する方法を説明する図である。
前述のように、帽体11の一方の側部には第1保持具が配置され、帽体11の他方の側部には第2保持具が配置されるが、図6においては、ヘルメット10のつばをかわす必要がないため、第1保持具に他方の保持具40を用いる。なお、図示はしないが第2保持具に一方の保持具20を用いる。このように、状況に応じて一方の保持具20と他方の保持具40の取り付け位置を付け替えることができる。すなわち、それぞれが第1保持具としても第2保持具としても用いることができる。
図6(a)は第1保持具(他方の保持具40)がヘルメットに装着される前の状態を示している。
まず、一方の前側部に配置された鋲13に第1保持具(他方の保持具40)の開口部23の第1開口23aを通し、第1保持具を帽体11の頭頂部側に押し込んで通路23cを経由して第2開口23bに鋲13を位置させることにより、鋲13に開口部23を係合させる。すると、図6(b)に示すような状態となる。なお、第2開口23bに鋲13を位置させることによって鋲13の開口部23からの抜けは抑制されるが、図6(c)に示すように、その上から内装材16を係合すると、より一層の開口部23からの抜け防止となる。同様にして他方の前側部に第2保持具(一方の保持具20)を配置する。
次に、LEDランプ14の一方のバンド15を第1保持具(他方の保持具40)の第2の角度30bのスリット30に通して面ファスナーで留める。同様にして他方のバンド15を第2保持具(一方の保持具20)に通し、面ファスナーで留める。すると、図2に示すような状態となって、LEDランプ14の取り付けが完了する。この状態においては、第1保持具(他方の保持具40)は一方のバンド15によって前方に引っ張られ、第2保持具(一方の保持具20)は他方のバンド15によって前方に引っ張られるが、連結片31が帽体11の縁部12に当接されているので、位置がずれることがなく安定して取り付けることができる。
【0028】
以上のように、一方の保持具20及び他方の保持具40を安定して取り付けることができるので、バンド15には、ゴムバンドやシリコンバンドなど伸縮性を有するもののほか、伸縮性が無いものを使用することもできる。
また、バンド15を帽体11の全周にわたって配置する必要がないので、ヘルメット10に表記された社名や個人名等の情報がバンド15の下に隠れてしまうことが少なくなる。
【0029】
なお、上記実施例においては、帽体11の前部にLEDランプ14を取り付けたが、帽体11の後寄りの側部に第1保持具及び第2保持具を配置すると、LEDランプ14を帽体11の後部に取り付けることができる。また、一方の保持具20と他方の保持具40を同じ側の前寄りの側部と後寄りの側部に配置すると、帽体11の側部にLEDランプ14を取り付けることができる。
【0030】
次に、本発明の他の実施例によるヘルメット用外装部材保持具について説明する。なお、上記した実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図7(a)は本実施例によるヘルメット用外装部材保持具の一方の保持具を示す正面図、図7(b)は図7(a)の背面図である。
【0031】
本実施例による一方の保持具20の外片28は、外面係止部29に角度の異なる3本のスリット30を有しており、一方又は他方のバンド15を係止する。スリット30は、第3の角度30cと第4の角度30dと第5の角度30eの3本のスリット30でW字状に形成されている。3本のスリット30のうち中央にある第4の角度30dのスリット30は、ヘルメット10に取り付けたときに長手方向が帽体11の縁部12に対して略垂直となる角度に形成されている。第3の角度30cのスリット30と第5の角度30eのスリット30は、第4の角度30dのスリット30を挟んで対称に形成されている。3本のスリット30は、途中で交錯せずにそれぞれが独立して形成されている。
なお、本実施例による一方の保持具20には、構成を簡略化するため第1開口23aに舌片24を設けていない。
また、図示は省略するが、本実施例による他方の保持具40は、図7に示す一方の保持具20と左右違いに構成される。
【0032】
図8(a)は他の実施例によるヘルメット用外装部材保持具を用いて外装部材を取り付けた状態を示すヘルメットの外面側の斜視図、図8(b)は同ヘルメット用外装部材保持具の一方の保持具へのバンドの装着方法を示す図である。
帽体11の一方の側部には第1保持具が配置され、帽体11の他方の側部には第2保持具が配置されるが、図8(a)においては、ヘルメット10のつばをかわすために、第1保持具に一方の保持具20を用いる。また、図示はしないが第2保持具には他方の保持具40を用いる。
なお、上記した実施例と同様に、ヘルメット10のつばをかわす必要がない場合は、第1保持具に他方の保持具40を用い、第2保持具に一方の保持具20を用いることができる。すなわち、一方の保持具20と他方の保持具40は、それぞれが第1保持具としても第2保持具としても用いることができる。
【0033】
本実施例による外装部材14が有する両側のバンド15は、ゴムバンドやシリコンバンドなど伸縮性を有するものである。特にシリコンバンドはゴムバンドよりも継続使用による伸縮性の劣化が少ないため好適である。バンド15に伸縮性を持たせることで、外装部材14をより安定して帽体11に装着することができる。
外装部材14を帽体11に装着する際には、図8(b)に示すように、一方のバンド15を、帽体11の一方の前側部に配置された第1保持具(一方の保持具20)に、第3の角度30cのスリット30、第4の角度30dのスリット30、第5の角度30eのスリット30の順に通した後、前方へ折り返して再度第3の角度30cのスリット30に通す。同様にして他方のバンド15を、帽体11の他方の側部に配置された第2保持具(他方の保持具40)に通す。すると、図8(a)に示すような状態となって、外装部材14の取り付けが完了する。なお、一方の保持具20及び他方の保持具40には3本のスリット30が形成されているため、抜け止め具や面ファスナー等を別途設けることなく、バンド15を確実に係止することができる。
バンド15は伸縮性を有するため、図8(a)に示す状態においては、第1保持具(一方の保持具20)及び第2保持具(他方の保持具40)はバンド15によって上記した実施例よりも強く前方に引っ張られるが、連結片31が帽体11の縁部12に当接されていることと、独立形成された3本のスリット30によってバンド15をしっかりと係止していることにより、帽体11に対して位置がずれることがなく安定して取り付けることができる。また、バンド15は、縁部12に対して略平行な状態が保たれる。なお、内装材固定用係止具13がブラケットの場合には、延出部26が突起部13a又は突起部13bに当接すること、及び凹部27が立ち上げ片13cに嵌合することによっても揺動を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、ヘルメットに配置した位置からずれることがなく、外装部材を安定して取り付けることができ、かつ、コンパクトに形成されたヘルメット用外装部材保持具を実現することができ、安全作業に寄与することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 ヘルメット
11 帽体
12 縁部
13 内装材固定用係止具(鋲又はブラケット)
13a 突起部
13b 突起部
13c 立ち上げ片
14 外装部材(LEDランプ)
15 バンド
16 内装材
20 一方の保持具
21 内片
22 内面係合部
23 開口部
23c 通路
24 舌片
25 ブラケット係止片
26 延出部
27 凹部
28 外片
29 外面係止部
30 スリット
30a 第1の角度
30b 第2の角度
31 連結片
40 他方の保持具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8