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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】染色機
(51)【国際特許分類】
   D06B 3/28 20060101AFI20220408BHJP
   D06B 3/10 20060101ALI20220408BHJP
   D06B 3/24 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
D06B3/28
D06B3/10 B
D06B3/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017223532
(22)【出願日】2017-11-21
(65)【公開番号】P2018090945
(43)【公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】105139433
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517407648
【氏名又は名称】温 必新
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】温 必新
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3061487(JP,U)
【文献】特開昭46-003938(JP,A)
【文献】特開昭54-156876(JP,A)
【文献】特開昭54-160812(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0079362(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの対称なスパイラルファブリックタンクを有する染色機であって、
横型であり、且つ左右両側の内の一側は開口であり、密封カバーの周縁により前記開口が封鎖されることで密封され、前側には生地投入口を有する胴体と、
前記胴体内に併設され、且つ前記生地投入口の両側に対応するように設置され、中空管と、前記中空管の外縁に設置されるスパイラルファブリック摺動板と、前記スパイラルファブリック摺動板の外縁を被覆させるリング状バッフルと、前記スパイラルファブリック摺動板の前側上縁に設置される生地誘導管と、前記スパイラルファブリック摺動板の前側下縁に設置されると共にその周縁の溝壁には無数のスルーホールが設けられる受けタンクとを各々含み、前記生地誘導管は、1つが右側に設置され、もう1つが左側に設置され、左右対称を呈し、前記スパイラルファブリック摺動板は、前記生地誘導管にそれぞれ接合された後に下向きの螺旋状を呈し、1つが反時計回りに設定され、もう1つが反対方向の時計回りに設定される第1スパイラルファブリックタンク及び第2スパイラルファブリックタンクと、
前記第1スパイラルファブリックタンク及び前記第2スパイラルファブリックタンクの下方に各々装設される2つの搬送台であって、前記搬送台の台上面に複数のメッシュが設けられ、前記搬送台の隅に対称な少なくとも4つの案内輪が設けられ、前記胴体の内縁の下端には平行すると共に前記案内輪に対応する2本のレールが設置され、使用者が前記レールを利用して前記第1スパイラルファブリックタンク及び前記第2スパイラルファブリックタンク前記胴体外に押し出してメンテナンスを行う2つの搬送台と、
前記胴体外部に設置され、出口パイプラインと、入口パイプラインと、ポンプとを有する染色液投入機構、及び、染色液を補充する染料注入機構と、
前記搬送台の下方に設置され、前記胴体内の染色液に対する加熱及び冷却を行う少なくとも1つの熱交換器と、
前記生地誘導管の入口端に各々連結され、且つ第1分割管を介して前記染色液投入機構の出口パイプラインに連結される2つの第1ノズルと、
前記熱交換器による染色液の加熱及び冷却の染色プロセスを制御する制御機構と、
を備え、
加圧される染色液により受けタンク内の布生地が前記生地誘導管及び前記スパイラルファブリック摺動板に各々搬送され、布生地が前記第1スパイラルファブリックタンク及び前記第2スパイラルファブリックタンク内で循環して染色されることを特徴とする染色機。
【請求項2】
前記第1スパイラルファブリックタンク及び前記第2スパイラルファブリックタンクのリング状バッフルは、複数組の半円形ストッププレートにより少なくとも2組の固定プレートに各々固設され、各組の固定プレートが前記スパイラルファブリック摺動板に各々固設されることを特徴とする請求項1に記載の染色機。
【請求項3】
前記各組の固定プレートには複数の第1オーバーフロー孔が設けられ、且つ各組の半円形ストッププレートには複数の第2オーバーフロー孔が設けられることを特徴とする請求項2に記載の染色機。
【請求項4】
前記胴体外縁の前記生地投入口の上方に装設される案内ラックを更に備え、
前記案内ラックの外端には羽根車が設置され、前記第1スパイラルファブリックタンク及び前記第2スパイラルファブリックタンク中で染色が行われる布生地の投入及び導出に用いられることを特徴とする請求項1に記載の染色機。
【請求項5】
記受けタンク内の布生地を前記第1ノズルに導入させるための2つの第2ノズルを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の染色機。
【請求項6】
前記熱交換器は、各々循環回路である上層熱交換器及び下層熱交換器を備え、
その内の一層は熱蒸気循環用として使用され、他の一層は高温石油循環用として使用され、且つどちらか一層を起動して使用するか、前記上層熱交換器及び前記下層熱交換器を両方同時に起動して使用するかを選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の染色機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色機に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来のO字体染色機100は、O字体を呈し、布生地115の投入及び取り出しに用いられる生地投入口111を有する胴体110と、胴体110内に結合されるU字型生地貯蔵タンク112と、U字型生地貯蔵タンク112の上方に設置される生地運搬ローラー113と、生地運搬ローラー113の後方に設置され、且つ生地運搬ローラー113によりU字型生地貯蔵タンク112の布生地115が持ち上げられた後に導入されるノズル114と、染色液をノズル114に注入させ、布生地115を順にU字型生地貯蔵タンク112内で循環させて染色させるための染色液注入器116とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】台湾実用新案第466123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、胴体110はU字型生地貯蔵タンク112に結合されて一体となっているため、U字型生地貯蔵タンク112の体積を布生地115の体積に合わせて調整させることができない。このため、布生地115の種類が制限され、即ち、U字型生地貯蔵タンク112を各種の布生地115の染色作業に広く応用させることができなかった。また、その染色液(L)の高さ(h1)を胴体110のほぼ半分までにする必要があり、浴比を低下させることができず、省エネ化及び省コスト化が不可能であった。なお、生地運搬ローラー113をノズル114の速度と同期させることができないため、生地運搬ローラー113の速度がノズル114より速いと、布生地がノズル114の入口箇所で詰まってしまった。ノズル114の速度が生地運搬ローラー113よりも速い場合、生地運搬ローラー113との摩擦によって布生地にしわが寄ってしまい、布生地の質感にも影響した。
【0005】
なお、特許文献1に記載されているスパイラル染色機は、胴体内に設置される生地貯蔵タンクが中空体を呈し、上方が開口を呈し、周縁の溝壁には無数のスルーホールが設けられ、且つ底面に接近する周縁には出口が設けられる。螺旋体は生地貯蔵タンクに内設され、且つ上から下に向けた螺旋状を呈し、最底端が出口に連結される。ノズルは生地貯蔵タンクの上方に設置され、通過する布生地を生地貯蔵タンクの上方に導入させ、布生地が螺旋体に従って回転しながら染色される。
【0006】
しかしながら、上述の螺旋体を生地貯蔵タンク内に装設することが難しく、且つ生地貯蔵タンクは中空体を呈するため、メンテナンスにおいてはクレーンにより上方から吊るさねばならず、不便であった。さらに、生地貯蔵タンクには生地点検口及び生地排出ローラーを対応させて設置させねばならない。但し、生地点検口を増設する毎に安全性が低下し、且つコストが増加した。また、複数の生地点検口を操作するのは不便であり、且つ各ノズルパイプラインの長さが不等なため、圧力も不均等になった。よって、なお改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明者は上記の欠点を改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の考案に到った。
【0008】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、2つの対称なスパイラルファブリックタンクを有する染色機(dyeing machine with double spiral fabric tanks)を提供することを目的とする。この染色機は、胴体内に生地運搬ローラー装置が装設されず、且つ2つのスパイラルファブリックタンクが胴体に対称を呈して併設される。すなわち、布生地の収納空間が拡充されるため、布生地がスムーズに配列可能になり、装置に布生地が絡まる事象の発生が減少し、且つ低い浴比及び省エネ効果を達成させる。
【0009】
本発明の他の目的は、胴体内に2組のスパイラルファブリックタンクが配置され、且つ生地運搬ローラー装置が不要である対称ダブルスパイラルファブリックタンクを有する染色機を提供することにより、投資コストを抑え、なおかつ染色された布生地の質感を高め、生産効率を向上させることである。
【0010】
本発明のさらなる他の目的は、使用者が布生地の特性に合わせてスパイラルファブリックタンクの体積を調整可能にすることで、染色機の性能を拡充させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る2つの対称なスパイラルファブリックタンクを有する染色機は、胴体と、第1スパイラルファブリックタンク及び第2スパイラルファブリックタンクと、2つの搬送台と、染色液投入機構及び染料注入機構と、少なくとも1つの熱交換器と、2つの第1ノズルと、制御機構と、を備えることを特徴とする。
【0012】
胴体は、横型であり、且つ左右両側の内の一側は開口であり、密封カバーの周縁により開口が封鎖されることで密封され、前側には生地投入口を有する。
【0013】
第1スパイラルファブリックタンク及び第2スパイラルファブリックタンクは、胴体内に併設され、且つ生地投入口の両側に対応するように設置され、中空管と、中空管の外縁に設置されるスパイラルファブリック摺動板と、スパイラルファブリック摺動板の外縁を被覆させるリング状バッフルと、スパイラルファブリック摺動板の前側上縁に設置される生地誘導管と、スパイラルファブリック摺動板の前側下縁に設置されると共にその周縁の溝壁には無数のスルーホールが設けられる受けタンクとを各々含む。また、生地誘導管は、1つが右側に設置され、もう1つが左側に設置され、左右対称を呈する。スパイラルファブリック摺動板は、生地誘導管にそれぞれ接合された後に下向きの螺旋状を呈し、1つが反時計回りに設定され、もう1つが反対方向の時計回りに設定される。
【0014】
2つの搬送台は、第1スパイラルファブリックタンク及び第2スパイラルファブリックタンクの下方に各々装設される。搬送台の台上面には複数のメッシュが設けられ、搬送台の隅には対称な少なくとも4つの案内輪が設けられ、胴体の内縁の下端には平行すると共に案内輪に対応する2本のレールが設置される。使用者がレールを利用して第1スパイラルファブリックタンク及び第2スパイラルファブリックタンク胴体外に押し出してメンテナンスを行う。
【0015】
染色液投入機構及び染料注入機構は胴体外部に設置される。染色液投入機構は、出口パイプラインと、入口パイプラインと、ポンプとを有する。染料注入機構は染色液を補充する。
少なくとも1つの熱交換器は、搬送台の下方に設置され、胴体内の染色液に対する加熱及び冷却を行う。
【0016】
2つの第1ノズルは、生地誘導管の入口端に各々連結され、且つ第1分割管を介して染色液投入機構の出口パイプラインに連結される。
制御機構は、熱交換器による染色液の加熱及び冷却の染色プロセスを制御する。
加圧される染色液により受けタンク内の布生地が生地誘導管及びスパイラルファブリック摺動板に各々搬送され、布生地が第1スパイラルファブリックタンク及び第2スパイラルファブリックタンク内で循環して染色される。
【0017】
本発明は以下の効果を有する。
(1)胴体内の第1スパイラルファブリックタンク及び第2スパイラルファブリックタンクが生地誘導管と、スパイラルファブリック摺動板と、受けタンクとを各々有するため、布生地の収納空間が拡充され、布生地がスムーズに配列されると共に装置に絡まる事象の発生が減少し、且つ低い浴比及び省エネ効果を達成させる。
(2)胴体内には生地運搬ローラー装置が装設されず、生地運搬ローラー及びノズルの速度が同期されないことによる染色された生地の質感への影響が回避される。また、染色液投入機構が染色液を2組のスパイラルファブリックタンクに同時に供給可能であるため、1人の操作者が2組の布生地の染色作業を同時に監視可能となる。よって、本発明の機構により設備コストが抑制されるうえに生産効率も高まる。
(3)本発明では、スパイラルファブリックタンク及び胴体は互いに独立したモジュールであり、異なる種類の布生地の特性に合わせてスパイラルファブリックタンクの体積を調整可能となり、よって設備の機能を拡充させる効果を達成させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来のO字体染色機を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態による胴体のケーシングが取り外された状態を示す斜視図である。
図3B】本発明の一実施形態による胴体のケーシングが取り外された状態を示す平面図である。
図3C】本発明の一実施形態による胴体に1つのスパイラルファブリックタンクのみを有する斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による平面図である。
図4A図4に示す4A-4Aを示す断面図である。
図4B図4に示す4B-4Bを示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態による熱交換器を示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態によるスパイラルファブリックタンクを示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態によるスパイラルファブリックタンクを示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態によるスパイラルファブリックタンクを調整または修復する状態を示す概略図である。
図10】本発明の一実施形態による上層熱交換器及び下層熱交換器を示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による上層熱交換器及び下層熱交換器を示す側面図である。
【0019】
以下、図面を参照して本発明に係る対称ダブルスパイラルファブリックタンクを有する染色機の実施形態について説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0020】
(一実施形態)
以下に、図2~11を参照しながら、本発明を詳しく説明する。まず、図2乃至図3Cに示すように、本発明の染色機の外観構成は、染布作業を行う際の布生地及び染色液の収容に用いられる胴体10を備える。胴体10の前側には生地投入口12及び生地投入口12の上方に設置される案内ラック13を有する。案内ラック13の外端には1つの羽根車131が設置されるか、或いは図10に示すように2つの羽根車131が設置され、布生地を応動させて生地投入口12からスムーズに投入させ、且つ排出させる。
また、胴体10の外部には染料注入機構21及び染色液投入機構22が設置され、染色液投入機構22は出口パイプライン221と、入口パイプライン222と、ポンプ223とを有する(図5参照)。なお、制御機構23及び熱交換器40(図3C参照)は、加熱または冷却が要求される染色プロセスにおいて、胴体10内で布生地に対して染色液による循環染色作業を行うために使用される。
【0021】
本発明の特徴は下述のとおりである。
胴体10は横型であり、且つ左右両側の内の一側は開口101であり、密封カバー11の周縁により開口101が封鎖され、胴体10が密封される。本実施形態において、密封カバー11の周縁は複数のボルト111により開口101を封鎖させる。また、胴体10の内部構造を明晰に描写するため、図3A図3Bには胴体10の胴ケース及び密封カバー11が削除された構造の概略図を示す。
【0022】
続いて図3A乃至図5に示すように、本発明に係るスパイラルファブリックタンク30の配置構造は、第1スパイラルファブリックタンク30a及び第2スパイラルファブリックタンク30bを備える。2組のスパイラルファブリックタンク30(30a/30b)は胴体10内に並列を呈して配置され、且つ生地投入口12の両側に平均的に対応するように設置される。スパイラルファブリックタンク30の構成は、中空管31と、中空管31の外縁に設置されるスパイラルファブリック摺動板32と、スパイラルファブリック摺動板32の前側上縁に設置される生地誘導管33と、スパイラルファブリック摺動板32の前側下縁に設置される受けタンク34と、スパイラルファブリック摺動板32の外縁を被覆させるリング状バッフル35とを備える。受けタンク34の周縁の溝壁には無数のスルーホール341が設けられ、タンク内の染色液Lが胴体10の底縁に流されるようになり、染色液Lの循環が円滑になる。
【0023】
第1スパイラルファブリックタンク30a及び第2スパイラルファブリックタンク30bの生地誘導管33(33R/33L)は、図3A及び図3Bに示すように、1つが右側に設置され、他のもう1つが左側に設置され、隣接する側に近接すると共に前方を向く2つの生地誘導管33(33R/33L)が形成され、左右対称を呈する。第1スパイラルファブリックタンク30a及び第2スパイラルファブリックタンク30bのスパイラルファブリック摺動板32a、32bが2つの生地誘導管33R、33Lにそれぞれ接合された後に下向きの螺旋状を呈する。その内の1つが反時計回りに設定され、もう1つが反対方向の時計回りに設定される。本実施形態において、第1スパイラルファブリックタンク30aの螺旋は反時計回りの方向に設定され、第2スパイラルファブリックタンク30bの螺旋は時計回りの方向に設定される。
【0024】
2つの第1ノズル51は曲管53を介して生地誘導管33(33a/33b)の入口端に各々連結され、且つ第1分割管22aを介して第1ノズル51及び染色液投入機構22の出口パイプライン221に連結される。加圧される染色液Lにより受けタンク34内の布生地Cが第1ノズル51及び曲管53を経由して生地誘導管33及びスパイラルファブリック摺動板32に各々搬送され、布生地Cが第1スパイラルファブリックタンク30a及び第2スパイラルファブリックタンク30b内で循環染色される。本実施形態では、第1ノズル51の前方に各々装設される2つの第2ノズル52を更に備える。且つ、第2分割管22bを介して第2ノズル52及び染色液投入機構22の出口パイプライン221に連結され、加圧される染色液Lにより受けタンク34内の布生地Cが第1ノズル51中に各々導入される。第2ノズル52により第1ノズル51の布生地Cに対する引張力が平衡に保たれる。
【0025】
図3A図3B及び図3Cに示すように、2つの生地誘導管33(33R/33L)は対称を呈して設置される。これにより、染色液投入機構22の出口パイプライン221は、第1分割管22aから左右2つの第1ノズル51までの距離、或いは第2分割管22bから左右2つの第2ノズル52までの距離dが共に同じとなる。これにより、図3B及び図4Aに示すように、左右両側のノズル51/52の圧力が平均化され、ノズルの圧力及び速度が非同期であるために生地の染色品質に影響を及ぶことがなくなる。また、2つの生地誘導管33 (33R/33L)が対称を呈して設置されるため、スパイラルファブリック摺動板32a、32bが2つの生地誘導管33R、33Lにそれぞれ接合された後に下向きの螺旋状を呈し、その内の1つが反時計回りに設定され、もう1つが反対方向の時計回りに設定され、2組の布生地がスパイラルファブリックタンク30(30a/30b)内で回転されることによる慣性モーメントが平衡化される。このことが本発明の重要な特徴である。
【0026】
さらに、熱交換器40は第1スパイラルファブリックタンク30a及び第2スパイラルファブリックタンク30bの下方に設置され、胴体10の底縁及び受けタンク34内の染色液Lに対する加熱及び冷却を行う(図3C参照)。熱交換器40の構成及びその構造は図6に示すように、複数本のヒートパイプ41と、流入管42と、流出管43とを備える。染色液Lの加熱過程において、流入管42の遠端から蒸気が導入される。染色液Lの冷却過程において、流入管42の遠端から冷却水が導入される。なお、染色液Lは複数本のヒートパイプ41の外縁及び内縁の流体(即ち、蒸気または冷却水)との熱交換を行い、その後に内縁の流体が流出管43の遠端から排出される。
【0027】
図10及び図11に示すように、本実施形態では、熱交換器40は上層熱交換器40a及び下層熱交換器40bを備え、上層熱交換器40a及び下層熱交換器40bは各々循環回路である。その内の一層は蒸気循環用として使用され、他の一層は高温石油循環用として使用される。また、どちらか一層を起動して使用するか、或いは上層熱交換器40a及び下層熱交換器40bを同時に起動して使用するかを選択可能である。これにより、染色液L、布生地Cの種類及び特性に基づいて、蒸気または高温石油を熱交換媒体として選択し、最高の熱交換器の効果を達成させる。なお、上層熱交換器40aの蒸気或いは下層熱交換器40bの高温石油の輸送用のパイプライン(流入管42、流出管43)は、共に図6に示すため、詳述しない。
【0028】
図7及び図8は、本発明に係るスパイラルファブリックタンク30の構造を図示する。中空管31はフレームであり、スパイラルファブリック摺動板32は中空管31の外縁に溶接され、リング状バッフル35は複数組の半円形ストッププレート36及び4組の固定プレート37で構成される。固定プレート37は各々90°を呈してスパイラルファブリック摺動板32に溶接され、半円形ストッププレート36は固定プレート37に各々溶接され、リング状バッフル35によりスパイラルファブリック摺動板32の外縁が被覆される。スパイラルファブリック摺動板32上で滑動する布生地Cがリング状バッフル35によりブロックされて、スパイラルファブリックタンク30の外に滑落しない。
【0029】
また、生地誘導管33はスパイラルファブリック摺動板32の前側上縁に設置され、受けタンク34はスパイラルファブリック摺動板32の前側下縁に設置される。生地誘導管33の入口端は生地案内口331を有し、その出口端は生地送達開口部332を有し、布生地Cは生地案内口331から生地誘導管33に進入し、生地送達開口部332からスパイラルファブリック摺動板32に導入される。受けタンク34の上段部の周縁にはサイドガード341が設置され、リング状バッフル35に固定させるために用いられ、その下半部はタンク本体342とし、その周縁の溝壁には無数のスルーホール343が設けられ、タンク内の染色液Lが胴体10の底縁に流れやすくなる。また、受けタンク34は溝の開口部344を有し、スパイラルファブリック摺動板32上の布生地が溝の開口部344に滑り入れられて受けタンク34中に積み上げられる。
【0030】
なお、各組の固定プレート37には複数の第1オーバーフロー孔371が設けられ、各組の半円形ストッププレート36には複数の第2オーバーフロー孔361が設けられる。これらはスパイラルファブリック摺動板32上を通過させる布生地Cが含有する染色液Lを第1オーバーフロー孔371及び第2オーバーフロー孔361からスパイラルファブリックタンク30の外に流出させることを目的とする。且つ、スパイラルファブリックタンク30のメンテナンスにおいて、第1オーバーフロー孔371及び第2オーバーフロー孔361はスパイラルファブリックタンク30を洗浄するための洗浄液の噴出孔とする。
【0031】
2組の搬送台38は胴体10の底縁に各々設置され、スパイラルファブリックタンク30の中空管31の下端は機台38の上方に溶接され、第1スパイラルファブリックタンク30a及び第2スパイラルファブリックタンク30bは胴体10内に定位される。ちなみに、搬送台38の台上面には複数のメッシュ381が設けられ、これはスパイラルファブリックタンク30内の染色液Lを、メッシュ381を経由させて胴体10の底縁に流入させることを目的とする。
【0032】
さらに、図9に示すように、本実施形態は搬送台38の台上面の隅に4つの案内輪382が設置され、胴体10の内縁の下端には案内輪382に対応する2組のレール14が更に設置される。胴体10内のスパイラルファブリックタンク30の調整またはメンテナンスが必要な場合、使用者は密封カバー11を開き、レール14を利用して第1スパイラルファブリックタンク30a及び第2スパイラルファブリックタンク30bを胴体10の外に容易に押し出すことができる。図9には第1スパイラルファブリックタンク30aが胴体10の外に押し出される概略図を図示する。
【0033】
本発明の胴体10内の第1スパイラルファブリックタンク及び第2スパイラルファブリックタンク30a/30bは生地誘導管33(33a/33b)と、スパイラルファブリック摺動板32(32a/32b)と、受けタンク34とを各々有し、布生地の染色特性の違いに合わせて布生地に必要な収納空間が拡充されるため、布生地が染色過程においてよりスムーズに配列され、装置に絡まる事象の発生が減少する。
また、胴体10に第1ノズル51及び第2ノズル52が内設されることにより、染色される布生地が受けタンク34から生地誘導管33(33a/33b)を経てスパイラルファブリック摺動板32(32a/32b)に進入して循環染色作業が行われる。このため、生地運搬ローラー装置が不要となり、その長所として、ノズルの速度が非同期であることによる染色される布生地の質感への影響が回避される。
【0034】
加えて、本発明に係る染色液投入機構22により2組のスパイラルファブリックタンク30(30a/30b)に同時に染色液が供給されるため、1人の操作者が2組の布生地の染色作業を同時に監視可能となる。
また、図5に示すように、染色液Lの高さh2が胴体10の底部と同じであれば布生地Cが十分に染色されるため、本発明は低い浴比及び省エネ効果を達成させ、設備コストが抑制され、且つ生産効率が高まる。
さらに、本発明では、スパイラルファブリックタンク30及び胴体10はそれぞれ独立したモジュールであり、このため、異なる種類の布生地の特性に合わせてスパイラルファブリックタンク30のスパイラルファブリック摺動板32の長さ及び受けタンク34の体積を調整可能になり、設備の機能の拡充効果を達成させる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10 胴体
11 密封カバー
12 生地投入口
13 案内ラック
131 羽根車
14 レール
21 染料注入機構
22 染色液投入機構
221 出口パイプライン
222 入口パイプライン
223 ポンプ
22a 第1分割管
22b 第2分割管
23 制御機構
30 スパイラルファブリックタンク
30a 第1スパイラルファブリックタンク
30b 第2スパイラルファブリックタンク
31 中空管
32 スパイラルファブリック摺動板
32a スパイラルファブリック摺動板
32b スパイラルファブリック摺動板
33 生地誘導管
33R 生地誘導管
33L 生地誘導管
331 生地案内口
332 生地送達開口部
34 受けタンク
341 サイドガード
342 タンク本体
343 スルーホール
344 溝の開口部
35 リング状バッフル
36 半円形ストッププレート
361 第2オーバーフロー孔
37 固定プレート
371 第1オーバーフロー孔
38 搬送台
381 メッシュ
382 案内輪
40 熱交換器
40a 上層熱交換器
40b 下層熱交換器
41 ヒートパイプ
42 流入管
43 流出管
51 第1ノズル
52 第2ノズル
53 曲管
C 布生地
L 染色液
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11