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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダ
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/34 20060101AFI20220408BHJP
   A47K 10/36 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
A47K10/34 B
A47K10/36 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020071427
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021166654
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】520122231
【氏名又は名称】株式会社ORC JAPAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】森 泰文
(72)【発明者】
【氏名】横関 敬史
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-013659(JP,A)
【文献】特開2012-065957(JP,A)
【文献】実開平05-004990(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/34
A47K 10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のペーパーからなるロール体を収容する収容部を有する本体と、前記収容部を開閉可能に覆うカバー部材とを備え、
前記本体は、前記ロール体からペーパーを繰り出す送りローラと、前記送りローラに対してペーパーの搬送方向下流側に配置された保持ローラと、前記送りローラおよび保持ローラの間に配置されたカッターと、前記送りローラ、保持ローラおよびカッターを駆動する駆動装置とを備え、
前記カバー部材は、閉じたときに前記保持ローラと対向する押さえローラを備えており、
前記駆動装置は、前記送りローラおよび保持ローラを同期回転駆動させてペーパーを搬送した後、前記カッターを作動させてペーパーを切断することにより、切断されたペーパーを前記保持ローラおよび押さえローラの間に保持し、
前記駆動装置は、ペーパーの切断後に前記送りローラおよび保持ローラを更に駆動して、切断されたペーパーの切断端部を前記保持ローラに接近させるロールペーパーホルダ。
【請求項2】
前記駆動装置は、モータと、前記モータの動力を前記送りローラおよび保持ローラに伝達する第1の動力伝達機構と、前記モータの動力を前記カッターに伝達する第2の動力伝達機構と、前記モータから前記第1の動力伝達機構または第2の動力伝達機構に対する動力伝達先を切り替える切替機構とを備え、
前記切替機構の切り替えは、前記モータの回転方向を変化させることにより行われる請求項1に記載のロールペーパーホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールペーパーホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロールペーパーホルダとして、特許文献1には、ロールペーパータオルを収容するケース本体と、ケース本体の開放部分を被覆する蓋体とを備えるロールペーパータオル用ディスペンサが開示されている。ロールペーパータオルから巻き出されたペーパータオルは、ケース本体に設けられた排紙ローラと、蓋体に設けられたニップローラとの間に挟持され、使用者がセンサに手をかざすと排紙ローラが駆動されて、ペーパータオルが排紙口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-48690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のロールペーパータオル用ディスペンサは、所定長さのペーパータオルを排紙口から露出させた状態で保持するように構成されているが、使用時には排紙口の縁部に設けられた裁断刃に沿って使用者自身がペーパータオルを切断する必要があるため、取り出しに手間がかかるだけでなく、ペーパータオルを綺麗に切断できないおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ロール体から繰り出されるペーパーを取り出し容易に保持するロールペーパーホルダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、長尺状のペーパーからなるロール体を収容する収容部を有する本体と、前記収容部を開閉可能に覆うカバー部材とを備え、前記本体は、前記ロール体からペーパーを繰り出す送りローラと、前記送りローラに対してペーパーの搬送方向下流側に配置された保持ローラと、前記送りローラおよび保持ローラの間に配置されたカッターと、前記送りローラ、保持ローラおよびカッターを駆動する駆動装置とを備え、前記カバー部材は、閉じたときに前記保持ローラと対向する押さえローラを備えており、前記駆動装置は、前記送りローラおよび保持ローラを同期回転駆動させてペーパーを搬送した後、前記カッターを作動させてペーパーを切断することにより、切断されたペーパーを前記保持ローラおよび押さえローラの間に保持し、前記駆動装置は、ペーパーの切断後に前記送りローラおよび保持ローラを更に駆動して、切断されたペーパーの切断端部を前記保持ローラに接近させるロールペーパーホルダにより達成される。
【0008】
また、前記駆動装置は、モータと、前記モータの動力を前記送りローラおよび保持ローラに伝達する第1の動力伝達機構と、前記モータの動力を前記カッターに伝達する第2の動力伝達機構と、前記モータから前記第1の動力伝達機構または第2の動力伝達機構に対する動力伝達先を切り替える切替機構とを備えることが好ましく、前記切替機構の切り替えは、前記モータの回転方向を変化させることにより行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロール体から繰り出されるペーパーを取り出し容易に保持するロールペーパーホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るロールペーパーホルダの斜視図である。
図2】前記ロールペーパーホルダの中央部の断面図である。
図3】前記ロールペーパーホルダの中央部を閉じた状態で示す断面図である。
図4】前記ロールペーパーホルダの端部の断面図である。
図5】前記ロールペーパーホルダの作動状態の一例を説明するための断面図である。
図6】前記ロールペーパーホルダの作動状態の他の例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るロールペーパーホルダの斜視図である。図1に示すように、ロールペーパーホルダ1は、ロール体が収容される収容部11を有する本体10と、収容部11を開閉可能に覆うカバー部材20とを備えている。
【0012】
図2は、図1に示すロールペーパーホルダの中央部の断面図であり、ロール体100を収容部11に収容した状態を示している。ロール体100は、長尺状のペーパー101が芯筒にロール状に巻き付けられて構成されており、収容部11の壁面に設けられた装着部14に芯筒が着脱可能に装着されることにより、収容部11内で回転自在に支持される。ロール体100は、ペーパー101を繰り出し可能に収容されていればよく、装着部14に装着せずに収容部11に載置されてもよい。ペーパー101の材質や用途は特に限定されるものではないが、例えば、ペーパータオル、キッチンペーパー、トイレットペーパー等を挙げることができる。
【0013】
図1および図2に示すように、本体10は、筒状に形成されており、筒状の長手方向にそれぞれ延びる送りローラ12、保持ローラ13およびカッター30を備えている。送りローラ12および保持ローラ13は、表面がゴム等の摩擦係数が高い材料からなり、ロール体100のペーパー101が接触した状態で回転駆動されることにより、ペーパー101をロール体100から繰り出すことができる。保持ローラ13は、送りローラ12に対してペーパー101の搬送方向下流側に配置されている。カッター30は、送りローラ12と保持ローラ13との間に配置されている。
【0014】
カバー部材20は、収容部11の長手方向全体を覆うように湾曲状に形成されており、回動軸21を介して本体10に回動自在に取り付けられている。カバー部材20の中央には、透明な材料からなる窓部22が形成されており、窓部22を介してロール体100の残量等を目視することができる。カバー部材20の内側には、カバー部材20の長手方向にそれぞれ延びるピンチローラ23、押さえローラ24および固定刃25が設けられている。カバー部材20の外側には、焦電型赤外線センサ等からなるスイッチ26が設けられている。
【0015】
図3は、図2に示すロールペーパーホルダ1を、カバー部材20を閉じた状態で示す断面図である。ピンチローラ23および押さえローラ24は、例えばABS樹脂等の合成樹脂からなり、図3に示すようにカバー部材20を閉じると、それぞれ送りローラ12および保持ローラ13に接近して対向するように配置されている。また、固定刃25は、断面L字状の一方側に形成された刃部25aが、カッター30の刃部30aに対向するように配置されている。
【0016】
ロール体100のペーパー101は、送りローラ12とピンチローラ23との間、および、保持ローラ13と押さえローラ24との間に挟持され、送りローラ12および保持ローラ13の回転駆動により搬送される。本体10とカバー部材20の先端との間には排出部15が形成されており、ペーパー101は排出部15に向けて搬送される。
【0017】
カッター30は、回動軸31を中心として回動可能に配置されており、矢示方向に回動することにより、固定刃25との間を通過するペーパー101を切断する。カッター30の刃部30aは、回動軸31と平行に配置された固定刃25の刃部25aに対して若干傾斜しており、ペーパー101を回動軸31の一方側から他方側に向けてせん断する。
【0018】
送りローラ12、保持ローラ13およびカッター30は、本体10の長手方向の端部に設けられた駆動装置40により駆動される。駆動装置40の駆動は、本体10に内蔵された制御装置(図示せず)により制御される。
【0019】
図4は、駆動装置40が配置されたロールペーパーホルダ1の端部の断面図である。図4(a)に示すように、駆動装置40は、モータ41と、モータ41の動力を送りローラ12および保持ローラ13に伝達する第1の動力伝達機構50と、モータ41の動力をカッター30に伝達する第2の動力伝達機構60と、モータ41から第1の動力伝達機構50または第2の動力伝達機構60への動力伝達先を切り替える切替機構70とを備えている。モータ41は、出力軸に一体的に設けられたウォーム41aを備えている。
【0020】
切替機構70は、ウォーム41aと噛合するウォームホイール部と平歯車部とが一体的に回転する第1のギヤ71と、第1のギヤ71の平歯車部と噛合する第2のギヤ72とを備えており、モータ41の動力により第2のギヤ72が回転する。第2のギヤ72は、回転軸が移動可能に支持されており、モータ41のウォーム41aが正方向(矢示A方向)に回転すると、第1のギヤ71から上方への外力が作用して第1の動力伝達機構50に向けて上昇する一方、図4(b)に示すようにモータ41のウォーム41aが逆方向(矢示B方向)に回転すると、第1のギヤ71から下方への外力が作用して第2の動力伝達機構60に向けて下降する。このように、切替機構70は、モータ41の回転方向を変化させることにより、第1の動力伝達機構50と第2の動力伝達機構60との間で動力の伝達先を切り替えることができ、ペーパー101の搬送および切断を低コスト且つコンパクトな構成により実現することができる。
【0021】
第1の動力伝達機構50は、第2のギヤ72および送りローラ12の平歯車部とそれぞれ噛合する第3のギヤ51と、送りローラ12と保持ローラ13との間に不図示の位置で巻き掛けられた動力伝達ベルト52とを備えている。図4(a)に示すように、第3のギヤ51は、モータ41の矢示A方向の回転により、ペーパーを排出する方向に送りローラ12を回転させ、送りローラ12の回転が動力伝達ベルト52を介して保持ローラ13に伝達される。こうして、送りローラ12および保持ローラ13が、駆動装置40により同期回転駆動される。
【0022】
第2の動力伝達機構60は、第2のギヤ72と噛合する第4のギヤ61と、両端部が第4のギヤ61およびカッター30にそれぞれ取り付けられたロッド62とを備えている。図4(b)に示すように、第4のギヤ61は、モータ41の矢示B方向の回転により回転してロッド62を進退させ、ペーパーを切断する方向にカッター30を回動させる。
【0023】
上記の構成を備えるロールペーパーホルダ1は、カバー部材20に設けられたスイッチ6に手をかざすと、不図示の制御装置が駆動装置40のモータ41を正方向に回転駆動させて、送りローラ12および保持ローラ13を所定時間または所定量回転させる。これにより、図5に示すように、ロール体100からペーパー101が繰り出されて、ペーパー101の先端部が排出部15から排出される。この後、制御装置が駆動装置40のモータ41を逆方向に回転駆動すると、カッター30の作動によりペーパー101が切断される。切断されたペーパ101’は、切断端部Cが保持ローラ13および押さえローラ24よりも搬送方向上流側に位置することで、保持ローラ13と押さえローラ24との間に確実に保持される一方、使用する際には、切断されたペーパ101を保持ローラ13および押さえローラ24から引き抜いて、容易に取り出すことができる。
【0024】
このように、本実施形態のロールペーパーホルダ1は、所定長さに切断されたペーパー101’を確実に保持して、適宜のタイミングで取り出すことができる。ペーパー101の搬送および切断は、使用者がスイッチ6を操作することにより行われるが、スイッチ6を操作する代わりに、切断されたペーパー101’が取り出されたことをセンサにより検知して、自動的に行うように構成してもよい。
【0025】
また、ペーパー101の搬送は、送りローラ12および保持ローラ13の同期回転駆動によって行われるため、排出部15の近傍に障害物等がある場合でも、ペーパー101を排出部15から大きな力で押し出すことができ、ペーパーの詰まり(ジャム)の発生を抑制することができる。
【0026】
駆動装置40は、図5に示すように、ペーパー101の搬送および切断を行った後、図6に示すように送りローラ12および保持ローラ13を更に駆動して、切断されたペーパー101’の切断端部Cを保持ローラ13に接近させてもよい。これにより、切断されたペーパー101’の取り出しを、より迅速且つ容易に行うことができる。
【0027】
本実施形態のロールペーパーホルダ1は、家庭のキッチン、厨房、トイレ、作業場、食堂、リビング、衣料・介護施設など、種々の場所で使用することができる。また、使用時の姿勢も特に限定されないため、収容されたロール体100の軸が水平になるように壁などに掛けて使用できる他、ロール体100の軸が鉛直となるように床置きで使用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 ロールペーパーホルダ
10 本体
11 収容部
12 送りローラ
13 保持ローラ
20 カバー部材
24 押さえローラ
30 カッター
40 駆動装置
41 モータ
50 第1の動力伝達機構
60 第2の動力伝達機構
70 切替機構
100 ロール体
101 ペーパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6