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  • 特許-足場ジャッキ回転補助具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】足場ジャッキ回転補助具
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/02 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
E04G5/02 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020126362
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023423
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2020-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】520277542
【氏名又は名称】有限会社広瀬製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 晴夫
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-056261(JP,A)
【文献】実開平06-035499(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場ジャッキを回転するための補助具であって、
所要長さ及び径を有し且つ中空部を有する筒状の本体と、所要長さ及び径を有し且つ中空部を有して該本体と同心且つ拡径した筒状の嵌持体と、から成り、
前記本体は、閉塞された基端に電動工具への接続構造を備えると共に、開口された先端に嵌持体の基端面が装着されて成り、
前記嵌持体の周壁には、開口された先端縁から基端方向へ略L字状に切り込まれ、足場ジャッキの回転体に備わるハンドルを嵌持する一対の嵌合溝が対向して成形されて成り、
前記嵌持体の基端面に開口を有して前記本体の中空部と該嵌持体の中空部とが連通されて成ることを特徴とする足場ジャッキ回転補助具。
【請求項2】
前記嵌持体における嵌合溝の形成箇所以外の部分から選択される所定幅の周壁及び該周壁に対応する基端面が欠損されて成ることを特徴とする請求項1に記載の足場ジャッキ回転補助具。
【請求項3】
前記接続構造が、ナット形状若しくは六角軸ビット形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の足場ジャッキ回転補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場ジャッキの回転補助具に関し、詳しくは、足場ジャッキの高さを調節するために回転体を回転させる際の回転補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の新築、解体またはリフォームなどの工事に際して、仮設の足場が高所作業用として広く使用されている。足場を設置する際には、最下部に基礎となる足場ジャッキが設けられる。
足場ジャッキは、水平面に載置される基板と、その基板上に立設され、外周面に雄ねじが形成された円柱状の支柱と、該支柱に螺合し得る回転体と、から成り、また、該回転体を回転させるためのハンドルが、回転体から水平方向に突出して設けられている。
【0003】
上記足場ジャッキの支柱には、足場用パイプが嵌め込まれ、その下端がハンド回転体に当接し、これにより回転体が足場を支持している。回転体を支柱に対して手動で回すことにより、基板から回転体上面の高さが変更される。これにより、地表面の不整で基礎に高低差がある場合でも、足場用パイプの高さを調整することができる。
【0004】
しかしながら、常法における足場ジャッキの支柱の長さは、短くて30cm、長いものだと1m前後の長さを有しており、支柱の最下部まで回転体を回転させるとなると、回転量が多くなるため、結果的に回転作業に多くの時間を要すると共に、手動回転のため作業労力の負担も大きく、時間的・労力的負担を軽減する方策が求められていた。
【0005】
本出願人は、足場ジャッキの高さ調節に際する回転作業に着目し、手動回転による時間的・労力的負担を軽減できないものかという着想下、機械的に回転作業を行い得る補助具を開発し、本発明にかかる「足場ジャッキ回転補助具」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-52366号公報
【文献】特開2008-150150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、足場ジャッキの高さ調節に際する回転体の回転作業を機械的に行い得る足場ジャッキ回転補助具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、足場ジャッキを回転するための補助具であって、所要長さ及び径を有し且つ中空部を有する筒状の本体と、所要長さ及び径を有し且つ中空部を有して該本体と同心且つ拡径した筒状の嵌持体と、から成り、前記本体は、閉塞された基端に電動工具への接続構造を備えると共に、開口された先端に嵌持体の基端面が装着されて成り、前記嵌持体の周壁には、開口された先端縁から基端方向へ切り込まれ、足場ジャッキの回転体に備わるハンドルを嵌持する一対の嵌合溝が対向して成形されて成り、
前記嵌持体の基端面に開口を有して前記本体の中空部と該嵌持体の中空部とが連通されて成る手段を採る。
【0009】
また、本発明は、前記嵌持体における嵌合溝の形成箇所以外の部分から選択される所定幅の周壁及び該周壁に対応する基端面が欠損されて成る手段を採る。
手段を採る。
【0010】
さらに、本発明は、前記接続構造が、ナット形状若しくは六角軸ビット形状である手段を採る。
【0011】
またさらに、本発明は、前記嵌合溝が、略L字状に成形されて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具によれば、既存のインパクトドライバーやインパクトレンチといった電動工具に容易に接続でき、従来手動で回転していた足場ジャッキを該電動工具によって機械的に回転することが可能であって、作業労力の軽減に資するとともに、作業時間の短縮にも優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具の実施形態を示す全体斜視図である。
図2】本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具の実施形態を示す部分断面図である。
図3】本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具の他の実施形態を示す全体斜視図である。
図4】本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1は、本体10の先端に足場ジャッキ40の回転体46に備わるハンドル48を嵌持可能な嵌持体20が装着されると共に、本体10の基端には電動工具Dへ接続可能な接続構造30を備えることで、該電動工具Dによって機械的に足場ジャッキ40の回転体46を回転可能ならしめたことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
尚、本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮し得る形状や寸法、構造等の範囲内で、適宜変更することができる。
【0016】
図1は、本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1の実施形態を示す全体斜視図であり、(a)は上斜視図、(b)下斜視図である。また、図2は、本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1の実施形態を示す部分断面図である。さらに、図3は、本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1の他の実施形態を示す全体斜視図である。
本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1は、筒状の本体10及び嵌持体20により構成されている。
【0017】
本体10は、所要長さ及び径を有し、且つ、中空部12を有する円筒状若しくは多角筒状に成形されて成る。該本体10の材質については、特に限定するものではないが、足場ジャッキ40自体が通常金属製であり、かかる金属製の回転体46やハンドル48を回転するだけの強度を備えるべく、後述する嵌持体20や接続構造30と共に金属製であることが好ましい。かかる本体10の長さ及び径については、特に限定するものではないが、足場ジャッキ40の回転に際し、支柱44の中空部12内への進入に鑑み、該支柱44と同程度の長さ、及び、該支柱44の径幅よりも大きい内径幅を有することが好適である。
【0018】
前記本体10の先端には、嵌持体20が備えられており、具体的には、本体10の先端に嵌持体20の基端面26が装着されている。該嵌持体20は、所要長さ及び径を有し、且つ、中空部22を有する円筒状若しくは多角筒状に成形されて成り、前記本体10と同心であって、且つ、該本体10の径よりも拡径した大きい径幅を有している。尚、該嵌持体20の材質については、特に限定するものではないが、足場ジャッキ40自体が通常金属製であり、かかる金属製の回転体46やハンドル48を回転するだけの強度を備えるべく、前記本体10や後述する接続構造30と共に金属製であることが好ましい。かかる嵌持体20の長さ及び径については、特に限定するものではないが、足場ジャッキ40の回転に際し、回転体46が中空部22内に収容されることに鑑み、該回転体46の縦幅より長く、且つ、該回転体46の横幅(外径幅)よりも大きい内径幅を有することが好適である。
【0019】
前記本体10と嵌持体20とは、溶接等により完全に固着されている。あるいは、本体10と嵌持体20とを一体的に成型する態様も可能である。このとき、嵌持体20の基端面26には、本体10の径と略同径の孔が開口されており、かかる態様により、図2に示す様に、本体10の中空部12と嵌持体20の中空部22とが連通された状態で、互いを固着し得ることとなる。
【0020】
前記嵌持体20における周壁には、一対の嵌合溝24が対向して形成されている。該嵌合溝24は、嵌持体20の開口された先端縁から基端方向へ所要溝幅を有して切り込まれる状態で成形される。かかる嵌合溝24は、足場ジャッキ40における回転体46に設けられたハンドル48を嵌持するための溝であって、ハンドル48が嵌挿可能な溝幅を有している。該嵌合溝24の形状については、図示の様に略L字状となっている。すなわち、先端縁から基端方向へ直線状に所定長さ分だけ切り込まれ、そこから屈曲して横方向へ直線状に所定長さ分だけ切り込まれて成形される態様である。このように、嵌合溝24を略L字状とすることで、嵌持したハンドル48の引っ掛かり部分ができるため、回転体46の高さを上方へ引き上げる際に外れることがなく、確実な回転動作に資することとなる。
【0021】
前記嵌持体20の形態について、図3に示す様に、周壁及び基端面26の一部を欠損させる態様が考え得る。具体的な欠損箇所28については、周壁における嵌合溝24が形成された箇所以外の部分であって、その部分から選択された所定幅の周壁部分と、その欠損させる周壁に対応する基端面26の部分である。すなわち、嵌持体20において回転動作に必要な部分は嵌合溝24が形成された部分であり、回転動作に耐え得る強度さえ備えられれば、それ以外の部分は欠損させても特に問題はない。故に、嵌持体20の周壁及び基端面26の一部を欠損させる形態を採ることが可能であり、かかる欠損箇所28を備えることで、かえって省資源化と軽量化が図られることとなって、好適である。
【0022】
前記本体10の基端は閉塞されており、その閉塞された基端には、接続構造30が備えられている。該接続構造30は、インパクトドライバーやインパクトレンチといった電動工具Dに接続するためのものであって、本体10と一体成型され、あるいは、溶接等により一体的に接合されて成る。該接続構造30は、電動工具Dの差込角D1(チャック,スリーブなど)に接続可能な構造であって、例えば、ナット形状であったり、あるいは、六角軸ビット形状とすることが考え得る。なお、接続構造30について、電動工具Dの差込角D1に直接接続する態様ではなく、該接続構造30と差込角D1との中間に任意のソケットを介する態様も可能である。該接続構造30の材質については、特に限定するものではないが、足場ジャッキ40自体が通常金属製であり、かかる金属製の回転体46やハンドル48を回転するだけの強度を備えるべく、前記本体10や嵌持体20と共に金属製であることが好ましい。
【0023】
以上の通り構成される本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1について、次にその使用態様を説明する。図4は、本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1の使用態様を示す説明図である。
まず、足場ジャッキ40の構成として、所定箇所に置かれた基板42の上に円柱状の支柱44が立設され、該支柱44の外周面には雄ねじが形成されており、雌ねじを有する回転体46が該支柱44に螺合されている。
支柱44の上端側から足場ジャッキ回転補助具1を挿嵌することで、回転体46に設けられている一対のハンドル48を、嵌持体20に備えられた嵌合溝24に嵌め込む。このとき、回転体46は、嵌持体20の中空部22内に収容状態となる。また、支柱44は、嵌持体20の中空部22や本体10の中空部12に進入状態となる
次いで、接続構造30に電動工具Dの差込角D1を接続する。このとき、必要に応じて接続構造30と差込角D1との中間に適当なソケットを介させる。
そして、電動工具Dを始動させることで、足場ジャッキ回転補助具1が回転し、それに合わせて嵌合溝24に嵌め込まれたハンドル48が押され、回転体46が回転する。
【0024】
このように、電動工具Dの回転力は、差込角D1から接続構造30を介して本体10に伝達されて先端の嵌持体20を回転させ、該嵌持体20の嵌合溝24に嵌め込まれたハンドル48が押されて回転体46を回転させることで、支柱44に対する回転体46の高さ位置が上下に変化し、足場ジャッキ40の高さ調節が行われる。
尚、回転方向については、支柱44の外周面に形成された雄ねじと回転体46が有する雌ねじの向きによって決定されるものであるが、一般に時計回りに回転させると、図4(b)に示す様に、支柱44に対し回転体46は下方へ移動し、逆に時計と反対回りに回転させると、図4(a)に示す様に、支柱44に対し回転体46は上方へ移動する。
【0025】
図面では、嵌合溝24が略L字状に成形された場合について示している。嵌合溝24を略L字状とすることで、図4(a)で示す様に、回転体46を時計と反対回りに回転させて上方へ移動させる際、ハンドル48が嵌合溝24における横方向へ屈曲した部分に嵌め込まれ、該ハンドル48の下面部が嵌合溝24と当接することとなるため、ハンドル48が嵌合溝24から外れることがなく、下から引っ張られながら上方へ移動することとなって、確実な回転動作に資することとなる。
【0026】
逆に、回転体46を時計回りに回転させて下方へ移動させる際は、図4(b)で示す様に、ハンドル48が嵌合溝24における屈曲箇所に位置することとなり、該ハンドル48の上面部が嵌合溝24と当接することとなるが、上から押されながら下方へ移動する態様であるため、やはりハンドル48が嵌合溝24から外れることがなく、確実な回転動作に資することとなる。
【0027】
なお、本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具1について、図示はされていないが、スイベル式構造を採用することも考え得る。すなわち、前記本体10の長さ方向所定中間位置における外周に、該本体10の外径より一回り大きい内径を有する円筒体を備えることで、該本体10と円筒体とを回動自在とする構造である。本体10の長さについては、前述した通り特に限定されていないが、仮に長尺であった場合に、該本体10の回転に際してブレが生じて安定性を欠く恐れがある。そこで、かかるスイベル式構造を採用することにより、該円筒体を作業者の一方の手で把持することで、本体10の回転におけるブレを抑えて安定した作業が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明にかかる足場ジャッキ回転補助具は、手作業で行っていた足場ジャッキの高さ調節に際する回転体の回転作業を、電動工具を使用して機械的に行うことが可能であって、作業労力の軽減、作業時間の短縮に優れた効果を奏するものであって、本発明の産業上の利用可能性は大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0029】
1 足場ジャッキ回転補助具
10 本体
12 中空部
20 嵌持体
22 中空部
24 嵌合溝
26 基端面
28 欠損箇所
30 接続構造
40 足場ジャッキ
42 基板
44 支柱
46 回転体
48 ハンドル
D 電動工具
D1 差込角
図1
図2
図3
図4