IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジー2ジーバイオ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7054954コラーゲンペプチドを含有したポリカプロラクトン微粒球フィラーおよびその製造方法
<>
  • 特許-コラーゲンペプチドを含有したポリカプロラクトン微粒球フィラーおよびその製造方法 図1a
  • 特許-コラーゲンペプチドを含有したポリカプロラクトン微粒球フィラーおよびその製造方法 図1b
  • 特許-コラーゲンペプチドを含有したポリカプロラクトン微粒球フィラーおよびその製造方法 図1c
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】コラーゲンペプチドを含有したポリカプロラクトン微粒球フィラーおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/18 20060101AFI20220408BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20220408BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20220408BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20220408BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220408BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
A61L27/18
A61L27/24
A61L27/58
A61L27/54
A61K9/50
A61K38/39
A61K47/34
A61P17/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020538707
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 KR2019000404
(87)【国際公開番号】W WO2019139381
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0003585
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519426014
【氏名又は名称】ジー2ジーバイオ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】G2GBIO, INC.
【住所又は居所原語表記】#411‐1, 1646, YUSEONG‐DAERO, YUSEONG‐GU, DAEJEON 34054, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソル,ウニョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,クォンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ヨンガ
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-224114(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0091982(KR,A)
【文献】韓国特許第10-1685312(KR,B1)
【文献】国際公開第2005/097061(WO,A1)
【文献】特開2001-354551(JP,A)
【文献】特表2002-524487(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101269013(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0123099(KR,A)
【文献】特表2010-534649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 31/00-31/80
A61K 33/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
A61L 15/00-33/18
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカプロラクトン微粒球にコラーゲンペプチドが含有された微粒球の全体100重量%を基準として0.01~7重量%のコラーゲンペプチドを含み、平均粒度が10~100μmであり、ポリカプロラクトンの固有粘度が0.16~1.90dL/gであり、微粒球のスパン値(Span value)が1.0以下である、コラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球。
【請求項2】
前記コラーゲンペプチドはKTTKS、GHK、AHKおよびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項に記載のコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球。
【請求項3】
(a)ポリカプロラクトンを第1溶媒に溶解させ、コラーゲンペプチドを第2溶媒に溶解させてそれぞれの溶液を製造した後、前記二つの溶液を均一に混ぜて単一溶液に製造して分散相を製造する工程、
(b)前記分散相を界面活性剤を含有した水溶液(連続相)と混合してエマルションを製造する工程、
(c)前記工程(b)で製造されたエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相に抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程、および、
(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収してポリカプロラクトン微粒球を製造する工程を含み、
前記ポリカプロラクトンの固有粘度が0.16~1.90dL/gであり、
前記(a)工程の第1溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトンおよびこれらの混合物からなる群から選択される一つ以上であり、
前記(a)工程の第2溶媒としてはメチルアルコール、エチルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、酢酸およびこれらの混合物からなる群から選択される一つ以上であり、
前記工程(b)の界面活性剤としてはメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択される一つ以上であり、界面活性剤を含む水溶液の全体体積を基準として0.01w/v%~20w/v%であり、
前記微粒球の全体100重量%を基準として0.01~7重量%のコラーゲンペプチドを含み、 平均粒度が10~100μmであり、微粒球のスパン値(Span value)が1.0以下である、コラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球の製造方法。
【請求項4】
前記コラーゲンペプチドはKTTKS、GHK、AHKおよびこれらの誘導体からなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項に記載のコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球の製造方法。
【請求項5】
全体ポリカプロラクトン微粒球フィラー100重量%に対して、コラーゲンペプチド含有量が0.01~7重量%であり、平均粒度が10~100μmであるコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球2~50重量%、溶質0.1~5重量%、潤滑剤0~48重量%、および薬学的に許容可能な水性担体15~97.9重量%、を含み、ポリカプロラクトンの固有粘度が0.16~1.90dL/gであり、微粒球のスパン値(Span value)が1.0以下である、ポリカプロラクトン微粒球フィラー。
【請求項6】
前記コラーゲンペプチドがKTTKS、GHK、AHKおよびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項に記載のポリカプロラクトン微粒球フィラー。
【請求項7】
前記溶質がカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒアルロン酸、リドカイン(lidocaine)、ポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)、ポリヌクレオチド(PN)およびこれらの混合物からなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項に記載のポリカプロラクトン微粒球フィラー。
【請求項8】
前記潤滑剤がグリセリンであることを特徴とする、請求項に記載のポリカプロラクトン微粒球フィラー。
【請求項9】
前記薬学的に許容可能な水性担体が精製水、生理食塩水またはリン酸緩衝液であることを特徴とする、請求項に記載のポリカプロラクトン微粒球フィラー。
【請求項10】
前記フィラーは、シワ改善、軟組織修復または体積拡大、または輪郭較正用である、請求項に記載のポリカプロラクトン微粒球フィラー。
【請求項11】
前記フィラーは注射剤用である、請求項に記載のポリカプロラクトン微粒球フィラー。
【請求項12】
請求項5~11のいずれか一項に記載のポリカプロラクトン微粒球フィラーが充填された、プレフィルドシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年1月10日付の韓国特許出願第10-2018-0003585号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ポリカプロラクトン微粒球フィラーとその製造方法に関し、より詳しくは、コラーゲンペプチドを含有してコラーゲンペプチドの生体内安定性の問題を解決しただけでなく、生体への適用時に施術後の効果が速やかに発現しながらも効果の維持時間が長いポリカプロラクトン微粒球フィラーとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚用フィラーは、人体に安全な材料を顔の真皮層に注入してシワを改善して美観上ボリュームを取り戻すなど皮膚組織を補充する注射タイプの医療機器であって、ボツリヌストキシン(ボトックス)、自家脂肪移植、スレッドリフト、マイクロニードル、レーザ治療、薄皮術などをはじめとする、いわゆるアンチエイジング施術に使用される。
【0004】
最初に開発された第1世代皮膚用フィラーは、動物由来のコラーゲンフィラーで施術後効果の持続期間が2~4ヶ月で短く、施術1ヶ月前に皮膚過敏反応検査をしなければならないという、煩わしさのため最近ではほとんど使われていない。
【0005】
第2世代皮膚用フィラーは、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)フィラーでコラーゲンフィラーより効果の持続時間が長く、人体の構成成分と類似する多糖質で構成されて皮膚過敏反応などの副作用が顕著に少なくコラーゲンフィラーのように皮膚反応検査を要しない点で現在最も多く使用されるフィラーである。特に、ヒアルロン酸は、施術および除去が容易で、粘弾性(viscoelasticity)に優れ、皮膚の水分を維持して皮膚のボリュームおよび弾力性を維持して皮膚用フィラーの原料として好適である。最近ではヒアルロン酸の架橋結合(cross-link)を誘導して粒子の大きさおよび分子量を増加させることによって持続期間を延長させる研究が活発であるが、維持時間が6~12ヶ月で比較的短いので、6~12ヶ月ごとに繰り返して施術しなければならない煩わしさがある。
【0006】
第3世代フィラーは、ポリ乳酸(Polylactic acid,PLA)またはポリカプロラクトン(Polycaprolactone,PCL)などの合成高分子フィラーで、人体で非常にゆっくりと分解されるので吸水性フィラーであるコラーゲン、ヒアルロン酸フィラーに比べてより長期間にわたる効果を有する目的として使われている。特にポリカプロラクトンは、人体に100%吸収されて安全な成分であり、皮膚内移植後、ポリ乳酸より吸収される速度が遅く、コラーゲンの生成を促進して異物感のないやわらかい感じの組織で効果が1~4年間持続する長所がある。しかし、ポリカプロラクトンフィラーは、微粒球形態のフィラーで、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose,CMC)などのゲルキャリアに懸濁して投与しなければならないし、皮膚内注入後6~8週間後に効果が現れるため、施術後効果が即刻に現れるヒアルロン酸フィラーよりは施術の満足度が低下するという短所がある。
【0007】
一方、KTTKSなどの生理活性ペプチドは、コラーゲン由来物質でコラーゲン加水分解酵素(Collagenase)の合成を抑制したり、細胞外基質(Extracellular matrix、ECM)の生産を促進させ、I型およびIII型コラーゲンとフィブロネクチン(fibronectin)発現を促進させることが知られている。
【0008】
しかし、ペプチドの生体内での低い安定性と低い皮膚透過性などによって様々な誘導体を利用してシワ改善、皮膚再生などの目的で化粧品などに限定して使用されているのが実情である。
【0009】
したがって、従来のポリカプロラクトン微粒球フィラーの特性を活用し、ポリカプロラクトン微粒球でコラーゲンペプチドを封入することによってコラーゲンペプチドの生体内安定性の問題を解決して、より効能が改善された新たなポリカプロラクトン微粒球フィラーの開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来のコラーゲンペプチドの生体内安定性の問題を解決し、ポリカプロラクトン微粒球フィラーの効能を改善するために案出されたものであり、生体に適用時、施術後の効果が速やかに発現しながらも効果の維持時間が長いコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球、それを含むフィラーとそれを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段として、
本発明は、微粒球全体重量に対してコラーゲンペプチド含有量が0.01~7重量%であり、平均粒度が10~100μmである、コラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球を提供する。
【0012】
本発明の他の側面によれば、(a)ポリカプロラクトンを第1溶媒に溶解させ、コラーゲンペプチドを第2溶媒に溶解させてそれぞれの溶液を製造した後、前記二つの溶液を均一に混ぜて単一溶液に製造して分散相を製造する工程、(b)前記分散相を界面活性剤を含有した水溶液(連続相)と混合してエマルションを製造する工程、(c)前記製造されたエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相に抽出および蒸発させて微粒球を作る工程、および、(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収する工程を含む、コラーゲンペプチドを含有したポリカプロラクトン微粒球を製造する方法が提供される。
【0013】
本発明のまた他の側面によれば、本発明のコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球、および薬学的に許容可能な水性担体およびポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーは、生体に適用時、コラーゲン形成効果が速やかに発現し、高い組織修復特性を示すだけでなく、前記効果が長期間維持されて、頬、胸、鼻、唇およびお尻などの軟組織の修復または体積拡大およびシワ改善特性などのフィラーとしての効果が優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1a】実施例1-1により製造されたパルミトイル-KTTKS(Palmitoyl-KTTKS)を含むポリカプロラクトン微粒球の形状を電子顕微鏡で撮影した写真である。写真で確認できるように、生成された微粒球は球状の形状を維持しており、製造に使用されたメンブレン直径に応じて粒子サイズが調整可能であることを確認することができた。
図1b】実施例3-1により製造されたパルミトイル-KTTKSを含むポリカプロラクトン微粒球の形状を電子顕微鏡で撮影した写真である。写真で確認できるように、生成された微粒球は球状の形状を維持しており、製造に使用されたメンブレン直径に応じて粒子サイズが調整可能であることを確認することができた。
図1c】実施例3-2により製造されたパルミトイル-KTTKSを含むポリカプロラクトン微粒球の形状を電子顕微鏡で撮影した写真である。写真で確認できるように、生成された微粒球は球状の形状を維持しており、製造に使用されたメンブレン直径に応じて粒子サイズが調整可能であることを確認することができた。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
本発明によるコラーゲンペプチドは、生体内でコラーゲン再生促進効果を示すペプチドをいうもので、KTTKS、GHK、AHK、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であり得る。前記コラーゲンペプチド誘導体の非限定的な例としては、パルミトイル-KTTKS、GHK-Cu、AHK-Cuなどが挙げられる。好ましくはKTTKS、パルミトイル-KTTKS、GHK、AHKおよびこれらの混合物を使用することができる。より好ましくはKTTKS、またはパルミトイル-KTTKSを使用することができる。
【0018】
本発明によるポリカプロラクトン微粒球内コラーゲンペプチド含有量(封入量)は、微粒球全体重量に対して0.01~7重量%、好ましくは0.05~6重量%であり得る。このような封入量は、コラーゲンペプチドの生体内安定性を確保しながらもコラーゲンペプチドに特徴的に生理活性が注入部位で上昇的な効果を奏するように最適化したものである。コラーゲンペプチドの封入量が0.01重量%未満であれば、コラーゲンペプチドによって発現できるコラーゲン生成の上昇的な促進効果が十分に現れず、コラーゲンペプチドの封入量が7重量%を超える場合、コラーゲンペプチドのポリカプロラクトン微粒球内の封入効率が減少するようになって微粒球内部でコラーゲンペプチドが不均一なチャンネルを形成し、形成されたチャンネルでコラーゲンペプチドが拡散を通して急速に放出されるので好ましくない。
【0019】
本発明のコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球は、生分解性高分子であるポリカプロラクトンの固有粘度が0.16~1.90dL/gのポリカプロラクトンを使用して製造する。本発明で使用されるポリカプロラクトンの固有粘度は、ウベローデ(Ubbelohde)粘度計を用いて25℃でクロロホルムで測定されたものをいう。上記したポリカプロラクトン高分子の例としては、エボニック(Evonik)社製のResomer C209、C212およびC217とコービオン(Corbion)社製のPurasorb PC02、PC04、PC08、PC12およびPC17などが挙げられる。使用するポリカプロラクトンの固有粘度が0.16dL/gより低い場合、低い粘度によってポリカプロラクトン微粒球がうまく生成されなくなるか、または生体内注入時に微粒球が速すぎて分解されてコラーゲンペプチドの初期放出が急激に増加し、1.90dL/gを超える粘度を有する場合、生体内注入時に微粒球の分解速度が減少することになり、遅くなった高分子分解速度の影響により微粒球内コラーゲンペプチドが生体内に拡散する速度が減少して、十分なコラーゲン生成促進効果を示しにくいという問題がある。
【0020】
本発明によるコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球は、平均粒度が10μm以上であり、100μm以下、例えば10~30μm、10~50μm、または10~100μm、20~50μm、30~60μm、または40~70μmであることが好ましい。本発明で使用される平均粒度とは、粒度分布曲線で体積%の50%に該当する粒度で、平均粒径(Median Diameter)を意味し、D50またはD(v、0.5)で表す。
【0021】
コラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球の平均粒度が10μm未満の場合は、生体内に投与時に大食細胞によって貪食され得、100μmより大きい場合には、注射器で注入時に注射能が低下して注射針が厚くなることにより、刺す時の痛みが大きくなって好ましくない。
【0022】
本発明のコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球は、均一な粒子分布を有することが好ましい。均一な粒子分布度を有する微粒球は、不均一な微粒球に比べて注射時に注射器および注射針の内部残留量の偏差も小さく、注射針の目詰まり現象も少ないため、より細い注射針を使用することができる。本発明のポリカプロラクトン微粒球の大きさ分布度またはスパン値(Span value)が1.0以下であることが好ましい。より好ましくは、大きさ分布度が0.8以下であることが好ましい。本発明で使用される大きさ分布度またはスパン値(Span value)とは、微粒球の粒子サイズの均一性を示す指標であって、大きさ分布度(Span value)=(Dv0.9-Dv0.1)/Dv0.5の数式により求めた値を意味する。ここでDv0.1は微粒球の粒度分布曲線で体積%の10%に該当する粒度、Dv0.5は微粒球の粒度分布曲線で体積%の50%に該当する粒度、Dv0.9は微粒球の粒度分布曲線で体積%の90%に該当する粒度を意味する。本発明によるコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球は10μm以上、100μm以下の粒度を示しながらも均一な大きさ分布度を示すので、注射針の目詰まりが減少して注射能が向上することを特徴とする。
【0023】
以上のような粒径範囲とスパン値は、ポリカプロラクトン微粒球中のコラーゲンペプチドが適切な量で溶出されるようにする封入量を含み得るように最適化したものであり、このような特徴を有する本発明によるコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球は、長期間にわたって有効な容量のコラーゲンペプチドを放出することを特徴とする。具体的には、本発明によるコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球は、好ましくは30日間、より好ましくは35~42日間、よりさらに好ましくは56~60日間にわたってコラーゲンペプチドを徐々に放出させる。
【0024】
また、本発明によるコラーゲンペプチドは、生体外で微粒球の累積溶出率を測定する時、溶出後1日目までは0.1~10%の累積溶出率を示し、14日目までは40~65%の累積溶出率を示し、56日目までは70~100%の累積溶出率を示すことを特徴とする。
【0025】
本発明によるコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球は、一例として「溶媒抽出および蒸発法」を用いて製造できるが、これに限定されない。
【0026】
本発明によるコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球の製造方法の具体的な一例として、このような製造方法は、(a)ポリカプロラクトンを第1溶媒に溶解させ、コラーゲンペプチドを第2溶媒に溶解させてそれぞれの溶液を製造した後、前記二つの溶液を均一に混ぜて単一溶液に製造して分散相を製造する工程、(b)前記分散相を界面活性剤を含有した水溶液(連続相)と混合してエマルションを製造する工程、(c)前記工程(b)で製造されたエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相に抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程、および(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収してコラーゲンペプチドを含有したポリカプロラクトン微粒球を製造する工程を含む。
前記工程(a)でポリカプロラクトンの固有粘度は、0.16~1.90dL/gの範囲が好ましい。
【0027】
前記工程(a)でポリカプロラクトンを溶解させるのに使用される第1溶媒は、水と混和しない性質を有するものが好ましい。有機溶媒の水と混和しない性質を利用することによって、後述する工程(b)で連続相である界面活性剤を含有した水溶液に分散相を均質に混合および分散させてエマルションを形成することができる。このようなポリカプロラクトンを溶解させる溶媒の種類は特に制限されないが、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトン、およびこれらの混合溶媒からなる群から選択され得、より好ましくはジクロロメタン、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒を使用することができる。
【0028】
前記工程(a)でコラーゲンペプチドを溶解させる第2溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、酢酸およびこれらの混合物からなる群から選択され得、好ましくはメチルアルコール、ジメチルスルホキシドまたはこれらの混合溶媒を使用することができる。
【0029】
前記工程(a)でポリカプロラクトンとコラーゲンペプチド溶液とを混ぜて均一な混合溶液を作って分散相を製造する。コラーゲンペプチドがポリカプロラクトン微粒球内にうまく封入され得るように、ポリカプロラクトンとコラーゲンペプチド混合溶液は均質に溶解することが好ましい。一例として、ポリカプロラクトン溶媒としてジクロロメタンを使用し、コラーゲンペプチド溶媒としてメチルアルコールを使用する場合、メチルアルコールの使用量は、ジクロロメタンの重量に対して2重量%~50重量%であることが好ましい。メチルアルコールの量が2重量%未満の場合には、コラーゲンペプチドがジクロロメタンによって溶解度が低下して析出される可能性が高く、50重量%を超える場合には、ポリカプロラクトンがメチルアルコールによって析出される可能性が高くて好ましくない。
【0030】
前記工程(b)で分散相と界面活性剤を含有した水溶液を均質に混合する方法は特に制限されないが、好ましくは高速攪拌機、インラインミキサ、メンブレンエマルション法、マイクロフルイディクスエマルション法などを用いて行うことができる。一例として、メンブレンエマルション法を用いて混合する場合、前記工程(a)で製造された分散相を均一な大きさの微細孔を有する膜を通過させて界面活性剤を含有した連続相に移動させてエマルションを作る。膜の微細孔は5~50μmであることが好ましい。
【0031】
前記工程(b)で使用される界面活性剤の種類は特に制限されず、分散相が連続相内で安定した液滴のエマルションを形成できるように助けられるものであれば、いかなるものでも使用することができる。前記界面活性剤としては、好ましくは、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択されることができ、最も好ましくはポリビニルアルコールを使用することである。
【0032】
前記工程(b)で、界面活性剤を含む連続相中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤を含む連続相の全体体積を基準として、0.01w/v%~20w/v%、好ましくは0.1w/v%~5w/v%であり得る。界面活性剤の含有量が0.01w/v%未満の場合は、連続相内に液滴形態の分散相またはエマルションが形成されず、界面活性剤の含有量が20w/v%を超える場合には、過剰の界面活性剤によって連続相内に微粒子が形成された後、界面活性剤を除去するのに困難であり得る。本発明の一実施形態では、1~5w/v%のポリビニルアルコールを使用してコラーゲンペプチドを含むポリカプロラクトン微粒球を製造した。
【0033】
前記工程(c)で、液滴形態の分散相および界面活性剤を含有した連続相を含むエマルションを有機溶媒の沸騰点未満の温度、例えば、これらに限定されるものではないが、5~39.6℃、好ましくは10~35℃、より好ましくは15~30℃に温度を維持しながら48時間、好ましくは1~36時間、より好ましくは3~24時間程度攪拌などを通じて有機溶媒を除去することができる。攪拌速度は特に限定されないが、10~300rpmであることが好ましい。連続相から抽出された有機溶媒の一部は連続相表面から蒸発され得る。液滴形態の溶液から有機溶媒が除去されることにより、前記液滴形態の分散相は固形化して微粒球が形成され、微粒球を含む懸濁液(微粒球懸濁液)形態が得られる。
【0034】
前記工程(c)で有機溶媒をさらに効率的に除去するために連続相の温度を一定時間熱を加え得る。
【0035】
前記工程(d)で、ポリカプロラクトン微粒球を回収する方法は、様々な公知の技術を用いて行うことができ、例えば濾過または遠心分離などの方法を利用することができる。
前記工程(c)および工程(d)の間に、濾過および洗浄により残留する界面活性剤を除去し、再び濾過させて微粒球を回収することができる。
【0036】
残存する界面活性剤を除去するための洗浄工程は、通常、水を用いて行うことができ、前記洗浄工程は数回にわたって繰り返すことができる。
【0037】
また、上記したように、前記工程(b)で高速攪拌機、インラインミキサを利用してエマルションを形成した場合、前記工程(c)および工程(d)の間に、篩過工程を追加的に使用することで均一な微粒球を得ることができる。公知の技術を用いて篩過工程を行うことができ、大きさが互いに異なるふるい膜を利用して小さい粒子と大きい粒子の微粒球を濾して均一な大きさの微粒球を得ることができる。
【0038】
本発明の他の側面によれば、前記本発明のコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球、および薬学的に許容可能な水性担体、を含むコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーが提供される。
【0039】
前記薬学的に許容可能な水性担体としては、例えば、精製水、生理食塩水、またはリン酸緩衝液などの注射用水溶液を使用することができる。また、前記フィラーは、コラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球および薬学的に許容可能な水性担体のほかに必要に応じてカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース誘導体、ヒアルロン酸、リドカイン(lidocaine)、ポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)、ポリヌクレオチド(PN)などの溶質、グリセリンなどの潤滑剤を一つ以上さらに含み得るが、これらに限定されない。溶質としては、好ましくはカルボキシメチルセルロースまたはヒアルロン酸である。
【0040】
一実施形態で、本発明のコラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球のフィラーに含まれる各成分の含有量は、フィラー剤型の合計100重量%を基準として、前記コラーゲンペプチド含有ポリカプロラクトン微粒球2~50重量%(ポリカプロラクトン微粒球内コラーゲンペプチド含有量は0.01~7重量%)、薬学的に許容可能な水性担体15~97.9重量%、溶質0.1~5重量%、潤滑剤0~48重量%であり得るが、これらに限定されない。ヒアルロン酸を溶質として追加する場合には、架橋率が0~5%のヒアルロン酸を使用することができる。
【0041】
このような本発明によるコラーゲンペプチドを含有したポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーは、施術直後から施術部位でコラーゲン形成効果が速やかに発現し、自然かつ理想的なボリューム感を有する組織修復特性を示すだけでなく、コラーゲンペプチドの生体内の安定性が維持され、注射投与能も良好で維持期間も長い卓越した特性を示すため、美容または治療目的で非常に有用に使用することができる。
【0042】
具体的な例示として、このようなポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーは、生物学的組織のフィリング(filling)、シワのフィリング(filling wrinkle)によるシワ改善、顔面のリモデリング(remodeling of the face)または唇、鼻、お尻、頬または胸などの軟組織容積(volume)の修復または増加などに使用することができる。前記ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーは、このような用途に適切な投与形態で投与することができ、好ましくは注射剤であり得る。
【0043】
また他の様態として、本発明は、前記ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーが充填されたプレフィルドシリンジを提供する。
【実施例
【0044】
以下、本発明の実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
実施例1:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.99gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.01gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.96gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)2.02mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4000mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0046】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0047】
実施例1-1:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.92gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)2.52mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4000mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0048】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0049】
実施例1-2:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.9gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.1gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.6gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)4.0mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相5000mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0050】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0051】
実施例1-3:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.5gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)38.0gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)6.19mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、3w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相5400mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0052】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0053】
実施例1-4:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)1gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)36.0gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)10.77mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、3w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4800mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0054】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0055】
実施例2:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 02(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)24.95gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)1.57mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相2500mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0056】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0057】
実施例2-1:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 12(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)55.44gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)3.5mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相6700mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0058】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0059】
実施例2-2:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 17(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)83.16gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)5.25mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相12500mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0060】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0061】
実施例3:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.92gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)2.52mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4000mLを直径5μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0062】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0063】
実施例3-1:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.92gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)2.52mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4000mLを直径30μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0064】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0065】
実施例3-2:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.92gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)2.52mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4000mLを直径40μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0066】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0067】
実施例4:高速攪拌機を利用したコラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.92gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)2.52mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、1w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、調製容器に連続相4000mLを入れ、装置された高速ミキサーを4500rpmの速度で攪拌しながら、分散相を分当たり7mLの流速で注入した。微粒球懸濁液は150rpmの速度で攪拌し、調製容器の温度は25℃を維持した。
【0068】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し、25μmおよび150μmのふるい目を有するメッシュを同時に使用して微粒球をふるい分けた後、凍結乾燥した。
【0069】
実施例5:GHK-Cuが封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよび生理活性物質としてGHK-Cu(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.92gとリン酸緩衝液(pH7.2)60μLに完全に溶かした後、二つの溶液をボルテックス(vortex)して準備した。連続相は、1w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4800mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0070】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0071】
実施例5-1:AHK-Cuが封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよび生理活性物質としてAHK-Cu(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.92gとリン酸緩衝液(pH7.2)70μLに完全に溶かした後、二つの溶液をボルテックス(vortex)して準備した。連続相は、1w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4800mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0072】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0073】
実施例6:カルボキシメチルセルロースを溶質として使用したポリカプロラクトン微粒球フィラーの製造
ポリカプロラクトン微粒球フィラーは、微粒球の懸濁のための溶液を製造した後、微粒球を混合して製造した。具体的には、カルボキシメチルセルロース(製造会社:Ashland社、米国)2gを75℃リン酸緩衝液に入れ、3時間、100rpmで攪拌しながら溶かして冷却させた。溶液温度が25℃になるとグリセリン18gを入れ、最終的に実施例1-2によるコラーゲンペプチドが封入されたポリカプロラクトン微粒球を30%(w/w)で混ぜてポリカプロラクトン微粒球フィラーを完成した。
【0074】
実施例6-1:ヒアルロン酸を溶質として使用したポリカプロラクトン微粒球フィラーの製造
ポリカプロラクトン微粒球フィラーは、微粒球の懸濁のための溶液を製造した後、微粒球を混合して製造した。ヒアルロン酸(製造会社:Bloomage Freda Biopharm社、中国)1gを55℃リン酸緩衝液に入れて溶かして冷却させた。溶液温度が25℃になるとグリセリン18gを入れ、最終的に実施例1-2によるコラーゲンペプチドが封入されたポリカプロラクトン微粒球をポリカプロラクトン微粒球フィラー全体重量に対して30%(w/w)で混ぜてポリカプロラクトン微粒球フィラーを完成した。
【0075】
比較例1:コラーゲンペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)8gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)2gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)32.0gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)15.35mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、3w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相4800mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に、準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpmの速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0076】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0077】
比較例2:高速攪拌機を利用した生理活性ペプチドが封入された微粒球の製造
分散相は、生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion社、オランダ)9.98gおよびパルミトイル-KTTKS(製造会社:Incospharm社、韓国)0.02gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker社、米国)39.92gとメチルアルコール(製造会社:シグマアルドリッチ社、米国)2.52mLに完全に溶かした後、二つの溶液を混合して準備した。連続相は、1w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、調製容器に連続相4000mLを入れ、装置された高速ミキサーを4500rpmの速度で攪拌しながら、分散相を分当たり7mLの流速で注入した。微粒球懸濁液は150rpmの速度で攪拌し、調製容器の温度は25℃を維持した。
【0078】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間、25℃で150rpmの速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸留水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去し、微粒球は凍結乾燥した。
【0079】
実験例1:光学顕微鏡を活用した形態学的分析
本実験は、製造された微粒球の形態学的特性を電子顕微鏡を用いて分析した。実験手続は以下の通りである。実施例1-1、3-1および3-2で製造された微粒球5mgをカーボンテープ付きアルミニウムスタブに載せてION-COATER(COXEM社製、韓国)を利用して白金コーティングした。アルミニウムスタブを走査電子顕微鏡(COXEM社製、EM-30、韓国)に装着し、加速電圧15kVで微粒球の形態学的特性を観察し、その結果を図1a(実施例1-1)、図1b(実施例3-1)および図1c(実施例3-2)に示す。
【0080】
図1a、図1bおよび図1cに示すように、微粒球は球状の形状を維持しており、製造に使用されたメンブレン直径に応じて粒子サイズが調整可能であることを確認することができた。
【0081】
実験例2:レーザ回折法を用いた微粒球粒度分析
本実験は、微粒球の平均粒度および分布度を定量的に測定して粒子の均一性を確認するために実施した。実験手順は以下の通りである。
【0082】
微粒球50mgを1mL3次蒸留水と混合して20秒間ボルテックスミキサーで混合した後、1分間超音波発生器に入れて分散させた。微粒球分散液を粒度分析装置(Microtrac Bluewave、Japan)に入れて20秒間測定した。粒度大きさの均一性の指標を示すスパン値は以下の数式1から求めた。
【0083】
[数1]
スパン値(Span Value)=(Dv、0.9-Dv、0.1)/Dv、0.5
【0084】
【表1】
【0085】
上記の表1のように粒度分析装置で測定されたDv、0.5とスパン値(Span Value)により実施例1、実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3、実施例1-4および比較例1は類似の平均粒度を有することを確認することができた。実施例1-1、実施例3、実施例3-1および実施例3-2は、それぞれ直径が異なるメンブレンを使用して製造した微粒球で、約10~100μmの平均粒度を有していた。この時、すべての微粒球は、スパン値(Span Value)が1.0以下に均一な粒子分布を有していた。これにより、スパン値(Span Value)が1.0以下に均一で、かつ平均粒度が10~100μmの微粒球を製造することができることを確認した。
【0086】
実施例2、実施例2-1および実施例2-1の場合、分散相製造に使用される高分子の種類は異なるが、製造された分散相および微粒球の製造装置であるメンブレンの大きさ調節により類似の平均粒度に調節可能であることを確認することができた。
【0087】
実施例1-1、実施例4および比較例2の場合、分散相を界面活性剤が含まれている水溶液に混合する方法に差異があり、該方法によって製造された微粒球は異なる平均粒度およびスパン値を示した。特に、高速撹拌機を用いた実施例4および比較例2の場合微粒球の選別過程である篩過によりスパン値を1.0以下に調節可能であり、別途の篩過過程のない比較例2の場合スパン値が1.38で、相対的に広い粒度分布を有する。
【0088】
実験例3:コラーゲンペプチド含有量分析
本実験では微粒球内に封入されたコラーゲンペプチドを定量分析するために実施し、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)を活用して定量分析した。実験手続は以下の通りである。
【0089】
微粒球100mgをジメチルスルホキシドとメチルアルコール混合溶液に完全に溶解させた後、移動相で希釈した。分析に用いた移動相は、酢酸アンモニウム溶液とアセトニトリルを30:70の比率(v/v)で混合して使用し、0.05%酢酸が含まれるように製造した。本測定ではC8カラム(2.0x100mm、5μm)を使用した。測定された封入量は表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
上記表2に示すように、封入量(含有量)は分散相製造に使用されるコラーゲンペプチドの量に比例して増加し、コラーゲンペプチドの使用量に反比例して封入効率は減少した。実施例1-1、実施例3、実施例3-1および実施例3-2のコラーゲンペプチドの含有量は同様であり、これによって粒子サイズが封入率に影響を与えないことを確認した。
【0092】
実験例4:コラーゲンペプチドの生体外放出動き
本実験は、ポリカプロラクトン微粒球に封入されたコラーゲンペプチドの薬物放出性能を確認するために実施し、実験手続は以下の通りである。
【0093】
実施例1-1、1-2、1-4、2および2-2、そして比較例1で製造された微粒球100mgを10mM HEPES緩衝液200mLが入った250mLの広口びんに入れ、予め定めた時間間隔ごとに広口びんから溶液1mLを取り、同量の新たなHEPES緩衝液をさらに入れた。採取した溶液は1.5mLチューブに入れ、13000rpmで5分間遠心分離した後、コラーゲンペプチド含有量分析法と同様に、液体クロマトグラフィー質量分析法により溶出率を確認した。
【0094】
【表3】
【0095】
上記表3に示すように、本発明による実施例1、実施例1-2および実施例1-4の累積溶出率によりポリカプロラクトン微粒球に封入されたコラーゲンペプチドの放出が56日間にわたって徐々に放出される傾向を確認した。
【0096】
より詳しくは、微粒球内封入されたコラーゲンペプチドの量が多いほど初期放出が高く、放出速度が速くなる傾向を確認することができた。これに対し、比較例1によって製造された微粒球の場合、溶出初期から高い溶出率を示して、4日間封入されたコラーゲンペプチドの約69%を急激に放出する動きを示し、14日目にはほとんどコラーゲンペプチドの溶出が完了して持続時間が長くないことを確認することができた。これは、分散相製造に使用したコラーゲンペプチドおよび溶媒の量が実施例1、実施例1-2および実施例1-4の場合より過度に多く、封入効率も減少することから微粒球内部にコラーゲンペプチドが不均一なチャンネルを形成し、形成されたチャンネルでコラーゲンペプチドが拡散を通して急速に放出されることが予測された。
【0097】
実施例1-1、実施例2および実施例2-2の累積溶出率の結果により、分散相製造に使用された高分子の粘度が増加すると封入されたコラーゲンペプチドの放出速度が減少することが確認された。これは、高分子分子量の増加により微粒球の分解速度が減少するだけでなく、遅くなった高分子分解速度の影響で微粒球内コラーゲンペプチドの溶出液内への拡散速度の減少によるものと予測された。
図1a
図1b
図1c