(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】容器ハンドリング方法及び自動計測装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220408BHJP
C12M 1/22 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
C12M1/22
(21)【出願番号】P 2021169575
(22)【出願日】2021-10-15
【審査請求日】2021-10-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】下関 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】堀江 正浩
(72)【発明者】
【氏名】楠田 達文
【審査官】小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-121622(JP,A)
【文献】特開昭62-267642(JP,A)
【文献】特開平03-061476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器を積み重ねた多段容器を載置する載置部から
容器内の試料の計測を行う計測装置へ、そして、計測装置から所定の箇所へと容器を移送するにあたり、載置部において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、載置部において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していき、
多段容器の最後の容器を載置部から計測装置へと移送した後
であって当該多段容器に対する次回の計測処理の前の所定のタイミングで、別の所定の箇所において始めに最後の容器を配置し、以後、所定の箇所において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、所定の箇所において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していく
容器ハンドリング方法。
【請求項2】
複数の容器を積み重ねた多段容器を載置可能な載置部と、
容器内の試料の計測を行う計測装置と、
容器を移送可能な容器移送装置と、
容器移送装置を制御する制御回路とを備え、
容器移送装置は、制御回路の制御により、
載置部から計測装置へ、そして、計測装置から所定の箇所へと容器を移送するにあたり、載置部において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、載置部において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していくように動作され、
多段容器の最後の容器を載置部から計測装置へと移送した後
であって当該多段容器に対する次回の計測処理の前の所定のタイミングで、別の所定の箇所において始めに最後の容器を配置し、以後、所定の箇所において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、所定の箇所において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していくように動作される
自動計測装置。
【請求項3】
複数の容器を積み重ねた多段容器を載置可能な仮置部を備え、
所定の箇所として、仮置部が設定され、
別の所定の箇所として、載置部が設定される
請求項2に記載の自動計測装置。
【請求項4】
載置部及び仮置部は、それぞれ、回転テーブルと、回転テーブルの回転中心周りの等分角度箇所に複数設けられてそれぞれが多段容器を収容可能な複数のマガジンとを備える容器集積装置であり、複数の多段容器を載置可能である
請求項3に記載の自動計測装置。
【請求項5】
載置部及び仮置部は、計測装置の両側に配置される
請求項3又は請求項4に記載の自動計測装置。
【請求項6】
載置部、計測装置、仮置部及び容器移送装置を囲う筐体を備える
請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の自動計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌、菌類等の微生物を培養している複数の容器をハンドリングするための容器ハンドリング方法及び自動計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の容器ハンドリング装置の一形態として、シャーレハンドリング装置がある。シャーレハンドリング装置は、コロニー自動計測装置やコロニー自動移植装置に内蔵されるものが一般的に知られ、大きく分けると、2つのタイプがある。1つのタイプは、特許文献1,2に記載されているような、複数のシャーレを積み重ねた多段シャーレを載置する載置部から計測部又は移植部へ、そして、計測部又は移植部から別の載置部又は元の載置部へとシャーレを移送するものである。もう1つのタイプは、特許文献3に記載されているような、複数のシャーレをトレイ上に並べて載置する載置部から計測部へ、そして、計測部から元の載置部へとシャーレを移送するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-267642号公報
【文献】特開2018-121622号公報
【文献】特開2005-261260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前者のタイプの場合、複数の容器を積み重ねて載置することができるため、載置スペースが小さくて済み、載置部ひいては全体装置をコンパクトに設計できるという利点がある。しかし、計測処理又は移植処理後に別の載置部又は元の載置部において構成される多段容器は、元の多段容器と容器の上下の順序が逆になる。このため、次回、別の載置部又は元の載置部から計測部又は移植部へと容器を移送して計測処理又は移植処理を行うにあたり、計測処理又は移植処理の順序が逆になるという欠点がある。
【0005】
後者のタイプの場合、計測処理又は移植処理の順序が逆になるという欠点はない。しかし、複数の容器をトレイ上に並べて載置しなければならないため、載置スペースが大きくなり、載置部ひいては全体装置が大型化するという欠点がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、複数の容器を積み重ねた多段容器において順序が逆になるのを防止することができる容器ハンドリング装置及び容器ハンドリング方法並びに自動計測装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る容器ハンドリング装置は、
容器を移送可能な容器移送装置と、
容器移送装置を制御する制御回路とを備え、
容器移送装置は、制御回路の制御により、
複数の容器を積み重ねた多段容器を載置する載置部から所定の箇所へと容器を移送するにあたり、載置部において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、載置部において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していくように動作され、
載置部において多段容器の最後の容器を取り出した後の所定のタイミングで、別の所定の箇所において始めに最後の容器を配置し、以後、所定の箇所において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、所定の箇所において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していくように動作される
容器ハンドリング装置である。
【0008】
ここで、本発明に係る容器ハンドリング装置の一態様として、
載置部は、複数の多段容器を載置可能であり、
所定のタイミングとして、載置部において1つ又は所定数の多段容器の最後の容器を取り出した後、次の多段容器に移行する前の時点、又は、載置部において対象全ての多段容器の最後の容器を取り出した後の時点が設定される
との構成を採用することができる。
【0009】
また、本発明に係る容器ハンドリング装置の他態様として、
所定の箇所として、容器を仮置する仮置部が設定される
との構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明に係る容器ハンドリング装置の別の態様として、
別の所定の箇所として、載置部における同一箇所が設定される
との構成を採用することができる。
【0011】
また、本発明に係る容器ハンドリング方法は、
複数の容器を積み重ねた多段容器を載置する載置部から容器内の試料の計測を行う計測装置へ、そして、計測装置から所定の箇所へと容器を移送するにあたり、載置部において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、載置部において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していき、
多段容器の最後の容器を載置部から計測装置へと移送した後であって当該多段容器に対する次回の計測処理の前の所定のタイミングで、別の所定の箇所において始めに最後の容器を配置し、以後、所定の箇所において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、所定の箇所において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していく
容器ハンドリング方法である。
【0012】
また、本発明に係る自動計測装置は、
複数の容器を積み重ねた多段容器を載置可能な載置部と、
容器内の試料の計測を行う計測装置と、
容器を移送可能な容器移送装置と、
容器移送装置を制御する制御回路とを備え、
容器移送装置は、制御回路の制御により、
載置部から計測装置へ、そして、計測装置から所定の箇所へと容器を移送するにあたり、載置部において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、載置部において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していくように動作され、
多段容器の最後の容器を載置部から計測装置へと移送した後であって当該多段容器に対する次回の計測処理の前の所定のタイミングで、別の所定の箇所において始めに最後の容器を配置し、以後、所定の箇所において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、所定の箇所において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していくように動作される
自動計測装置である。
ここで、本発明に係る自動計測装置の一態様として、
複数の容器を積み重ねた多段容器を載置可能な仮置部を備え、
所定の箇所として、仮置部が設定され、
別の所定の箇所として、載置部が設定される
との構成を採用することができる。
また、この場合、
載置部及び仮置部は、それぞれ、回転テーブルと、回転テーブルの回転中心周りの等分角度箇所に複数設けられてそれぞれが多段容器を収容可能な複数のマガジンとを備える容器集積装置であり、複数の多段容器を載置可能である
との構成を採用することができる。
また、これらの場合、
載置部及び仮置部は、計測装置の両側に配置される
との構成を採用することができる。
さらに、これらの場合、
載置部、計測装置、仮置部及び容器移送装置を囲う筐体を備える
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定の箇所において構成される多段容器は、元の多段容器と容器の上下の順序が逆になる。しかし、積み直し処理が行われ、別の所定の箇所において構成される多段容器は、元の多段容器と容器の上下の順序が同じになる。このため、本発明によれば、多段容器において順序が逆になるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、コロニー計測装置及びシャーレハンドリング装置を内蔵する自動計測装置の正面図である。
【
図2】
図2は、開閉カバーを開いた状態の自動計測装置の正面図である。
【
図3】
図3は、自動計測装置のシャーレ集積装置の正面図である。
【
図5】
図5は、シャーレ集積装置、コロニー計測装置及びシャーレハンドリング装置の平面図である。
【
図8】
図8(a)は、計測処理を開始する状態の説明図である。
図8(b)は、計測処理に関する一連のシャーレハンドリング動作の動作1の説明図である。
【
図9】
図9(a)は、動作2の説明図である。
図9(b)は、動作3の説明図である。
【
図12】
図12(a)は、動作8の説明図である。
図12(b)は、計測処理を終了した状態の説明図である。
【
図13】
図13(a)は、計測処理に関する一連のシャーレハンドリング動作のフローチャートである。
図13(b)は、計測処理後に構成される多段シャーレの積み直し処理に関する一連のシャーレハンドリング動作のフローチャートである。
【
図14】
図14(a)は、計測処理前の多段シャーレ(元の多段シャーレ)の概念図である。
図14(b)は、計測処理後に構成される多段シャーレの概念図である。
【
図15】
図15は、別例に係る自動計測装置の一部断面を含む平面図である。
【
図16】
図16(a)及び(b)は、シャーレに回転ずれが生じた場合の説明図である。
図16(c)は、シャーレの回転ずれによりプレートの画像に回転ずれが生じた場合の説明図である。
【
図17】
図17は、プレートの画像に基づく計測処理用画像の回転ずれを補正する回転補正処理のフローチャートである。
【
図19】
図19は、別例に係る回転補正処理のフローチャートである。
【
図20】
図20は、自動計測装置内の培養環境に上下方向の温度勾配が生じる場合に対する培養条件均一化処理の説明図である。
【
図21】
図21は、自動計測装置内の培養環境に水平方向の温度勾配が生じる場合に対する培養条件均一化処理の説明図である。
【
図24】
図24は、その他の使用例3(グループに基づく仕分け処理)の説明図である。
【
図25】
図25は、グループに基づく仕分け処理1の説明図である。
【
図26】
図26は、グループに基づく仕分け処理2の説明図である。
【
図27】
図27は、グループに基づく仕分け処理3の説明図である。
【
図28】
図28は、グループに基づく仕分け処理4の説明図である。
【
図29】
図29は、グループに基づく仕分け処理5の説明図である。
【
図30】
図30は、その他の使用例4(計測結果に基づく仕分け処理)の説明図である。
【
図31】
図31は、計測結果に基づく仕分け処理1の説明図である。
【
図32】
図32は、計測結果に基づく仕分け処理2の説明図である。
【
図33】
図33は、計測結果に基づく仕分け処理3の説明図である。
【
図34】
図34は、計測結果に基づく仕分け処理4の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<装置構成>
以下、本発明に係る容器ハンドリング装置の一実施形態として、自動計測装置に内蔵されるシャーレハンドリング装置について、
図1ないし
図14を参酌して説明する。本実施形態では、容器として、シャーレを用いる場合を説明するが、コンパクトドライ(登録商標)等の他の容器を用いてもよい。
【0016】
図1及び
図2に示すように、自動計測装置1は、筐体10を備える。筐体10は、アルミ等の角材により構成されるフレームに外装材としてカバーが取り付けられたものである。筐体10は、開閉カバー11を備える。開閉カバー11は、筐体10の正面の左右に一対設けられ、開くと、それぞれの開放部にシャーレ集積装置(シャーレストッカ)2が露出し、多段シャーレを出し入れすることができる。
【0017】
自動計測装置1は、操作入力部12と、制御回路13とを備える。操作入力部12は、タッチパネル式であり、筐体10の正面に配置され、自動計測装置1のオペレーションに関する各種の操作や情報を受け付ける。制御回路13は、たとえばパーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて構成され、演算部(プロセッサ)及び記録媒体(半導体メモリ、ハードディスク等)を含み、自動計測装置1全体を制御する。
【0018】
図3及び
図4に示すように、シャーレ集積装置2は、回転テーブル20と、回転モータ21と、マガジン22とを備える。回転テーブル20は、水平面と直交する垂直軸を回転中心RCとして回転可能なテーブルである。回転モータ21は、回転テーブル20を回転し、所定の角度位置で位置決めする角度割り出し機能付きのモータである。
【0019】
マガジン22は、回転中心RC周りの等分角度箇所に複数設けられ、それぞれが多段シャーレMSを収容可能である。本実施形態においては、マガジン22は、回転中心RC周りの72度間隔5箇所に5つ設けられる(マガジン番号1~5)。マガジン22は、シャーレSを取り囲む複数の外囲部材23,…により構成される。本実施形態においては、外囲部材23は、マガジン22の中心周りの120度間隔3箇所において回転テーブル20から上方に延びる棒材である。多段シャーレMSは、複数の外囲部材23,…に内接するように収容される。マガジン22に収容可能なシャーレSの数は、外囲部材23の高さ寸法によって定められる。本実施形態においては、マガジン22は、21個のシャーレSを収容可能であり、シャーレ集積装置2全体として、105個のシャーレSを収容可能である。
【0020】
図5に示すように、シャーレ集積装置2は、第1シャーレ集積装置2Aと、第2シャーレ集積装置2Bとを備える。第1シャーレ集積装置2A及び第2シャーレ集積装置2Bは、自動計測装置1の左右方向であるX方向に所定の間隔を有して配置される。第1シャーレ集積装置2Aは、多段シャーレMSを載置、保管する載置部として用いられる。第2シャーレ集積装置2Bは、第1シャーレ集積装置2Aから移送されるシャーレSを仮置する仮置部として用いられる。第1シャーレ集積装置2A及び第2シャーレ集積装置2Bは、同期して回転する。すなわち、第1シャーレ集積装置2A及び第2シャーレ集積装置2Bは、同じマガジン番号が受渡位置DPに位置決めされるように、同期して角度変位する。なお、これから使用に供されるマガジン番号のマガジン22(制御回路13により指定されたマガジン番号のマガジン22)が受渡位置DPに位置決めされることを「マガジン番号の割り出し」という。
【0021】
図5ないし
図7に示すように、自動計測装置1は、上述したシャーレ集積装置2,2のほか、コロニー計測装置(コロニーカウンタ)3と、シャーレハンドリング装置4とを備える。シャーレハンドリング装置4は、シャーレ移送装置(移送ロボット)5と、シャーレ蓋脱着装置(脱着ロボット)8とを備える。シャーレ移送装置5は、把持装置6と、駆動装置7とを備える。
【0022】
コロニー計測装置3は、シャーレ内で培養している微生物の塊(コロニー)の数を計測(計数)する装置である。コロニー計測装置3は、第1シャーレ集積装置2Aと第2シャーレ集積装置2Bとの間に配置される。コロニー計測装置3は、ステージ30と、撮像装置(カメラ)31とを備える。撮像対象であるシャーレSのプレートP(シャーレSから蓋Lを取り外したもの)は、ステージ30上の計測位置MPに載置される。撮像装置31は、ステージ30から上方に延びる支持フレーム32に取り付けられて支持され、計測位置MPの中心点を光軸中心として光軸がステージ30と直交するように配置される。コロニー計測装置3の制御回路として用いられる制御回路13は、撮像装置31が撮像したプレートPの画像に対し、適宜の画像処理を施した上で、コロニーの同定処理を実行し、そして、同定処理の結果に基づいてコロニーの計数処理を実行する。
【0023】
把持装置6は、一対の爪61,61を備える。一対の爪61,61は、シャーレSのうちのプレートPの部分を両側方から把持する。一対の爪61,61は、一対の作用部が揺動的に接離運動する形式のアクチュエータ60の当該作用部に取り付けられる。これにより、把持装置6は、シャーレSを把持する状態と、シャーレSを解放する状態とに切り替わることができる。
【0024】
把持装置6は、第1把持装置6Aと、第2把持装置6Bとを備える。第1把持装置6A及び第2把持装置6Bは、自動計測装置1の前後方向であるY方向において同じ位置に位置し、かつ、X方向に所定の間隔を有して配置される。X方向における第1把持装置6Aの中心線及び第2把持装置6Bの中心線間の距離は、X方向における第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DPの中心点及び計測位置MPの中心点間の距離と等しく、X方向における第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPの中心点及び計測位置MPの中心点間の距離と等しい。なお、第1シャーレ集積装置2A、コロニー計測装置3及び第2シャーレ集積装置2Bは、第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DPの中心点、計測位置MPの中心点及び第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPの中心点がY方向において同じ位置に位置するように、X方向に並んで配置される。
【0025】
駆動装置7は、第1ベース70と、第2ベース73と、第3ベース75とを備える。第1ベース70は、それぞれY方向に沿って左右に配置される一対のリニアガイド71,71により、Y方向に直動ガイドされるとともに、作用部が直線運動する形式のアクチュエータ72の当該作用部に取り付けられてY方向に駆動される。第2ベース73は、作用部が直線運動する形式のアクチュエータ74の当該作用部に取り付けられてX方向に駆動される。第3ベース75は、作用部が直線運動する形式のアクチュエータ76の当該作用部に取り付けられて自動計測装置1の上下方向であるZ方向に駆動される。把持装置6は、第3ベース75に直接又は部材を介して間接的に取り付けられる。これらにより、把持装置6は、アクチュエータ72,74,76の可動域においてXYZ直交3軸で3次元空間を移動可能である。
【0026】
シャーレ蓋脱着装置8は、把持装置6が計測位置MPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPかつZ方向における上方位置に位置するときに、把持装置6が把持するシャーレSの蓋Lを脱着可能な装置である。シャーレ蓋脱着装置8は、ベース81と、ヘッド83とを備える。ベース81は、作用部が直線運動する形式のアクチュエータ82の当該作用部に取り付けられてZ方向に駆動される。アクチュエータ82は、X方向に沿って配置される門型の支持フレーム80に取り付けられて支持される。ヘッド83は、作用部が回転運動する形式のアクチュエータ85の当該作用部に取り付けられてZ方向の軸回りに駆動される。アクチュエータ85は、ベース81に直接又は部材を介して間接的に取り付けられる。これらにより、ヘッド83は、把持装置6が把持するシャーレSの中心を通るZ方向に移動可能であり、かつ、把持装置6が把持するシャーレSの中心を通るZ方向の軸回りに回転ないし角度変位が可能である。
【0027】
ヘッド83は、先端側に吸引ノズル84を備える。これにより、シャーレ蓋脱着装置8は、ヘッド83が下降して把持装置6が把持するシャーレSに接近した状態で、シャーレSの蓋Lを吸着及び解放して脱着する。なお、ヘッド83は、蓋Lを吸着した状態でアクチュエータ85の作動により回転ないし角度変位することで、把持装置6が把持するシャーレSの中心を通るZ方向の軸回りに蓋Lを回転ないし角度変位させることができる。
【0028】
シャーレ蓋脱着装置8は、読取装置86を備える。読取装置86は、シャーレSの蓋Lの上面若しくは周側面、又はシャーレSのプレートPの周側面に付与されたバーコード、QRコード(登録商標)、RF-IDタグ等の情報記録媒体に記録されているサンプル名、ロット情報等のシャーレに固有の情報を読み取る装置である。
【0029】
<計測処理に関するシャーレハンドリング動作>
自動計測装置1は、以上の構成からなる。次に、自動計測装置1における計測処理及びこれに関する一連のシャーレハンドリング動作について説明する。
【0030】
一連のシャーレハンドリング動作は、
図8(a)に示す状態を始めとして、
図13(a)に示すように、
図8(b)~
図12(b)に示す動作1~8が繰り返し行われる。繰り返しは、第1シャーレ集積装置2Aにおける1つのマガジン22の多段シャーレMSの全てのシャーレS,…が計測処理を終えて、第2シャーレ集積装置2Bにおいて対応するマガジン番号のマガジン22に収容されるまで行われる。1つの多段シャーレMSの計測処理が終了すると、第1シャーレ集積装置2A及び第2シャーレ集積装置2Bのそれぞれにおいて、回転テーブル20が1ピッチ角度変位し、次のマガジン番号の割り出しが行われる。そして、繰り返しは、第1シャーレ集積装置2Aにおける対象全ての多段シャーレMS,…が計測処理を終えて、第2シャーレ集積装置2Bにおいて対応するマガジン番号のマガジン22に収容されるまで行われる。なお、対象の多段シャーレMSは1つであってもよい。この場合、
図8(b)~
図12(b)に示す動作1~8は1回行われた後、後述する積み直し処理に移行する。本実施形態においては、シャーレ集積装置2全体として、105個のシャーレSを収容可能であるため、最大105個のシャーレSを連続自動計測処理することができる。
【0031】
動作1では、
図8(b)に示すように、第1把持装置6A及び第2把持装置6Bは、第1把持装置6Aが第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPに位置するとともに、第2把持装置6Bが計測位置MPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPに位置するように、移動する。
【0032】
なお、
図8(b)では、計測位置MP及び第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPにシャーレS又は多段シャーレMS又はシャーレSのプレートPの図が記載されているが、これは、繰り返しが進んでシャーレSが第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPに移送された後の状態を表している。計測処理開始時はこれらの位置にシャーレS又は多段シャーレMS又はシャーレSのプレートPは存在しない。
【0033】
動作2では、
図9(a)に示すように、第1把持装置6A及び第2把持装置6Bは、前進し、第1把持装置6Aが第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DPに位置するとともに、第2把持装置6Bが計測位置MPに位置するように、移動する。
【0034】
ここで、動作1から動作2に移行するに際し、第1把持装置6Aは、
図6に示すように、位置aから位置bを経て位置c~c’’(多段シャーレMSの最上位のシャーレSの高さ位置)に到達するように、移動する。また、第2把持装置6Bは、
図7に示すように、位置Aから位置D及び位置Eを経て位置Fに到達するように、移動する。
【0035】
動作3では、
図9(b)に示すように、第1把持装置6Aは、多段シャーレMSの最上位のシャーレSを把持する。また、第2把持装置6Bは、計測位置MPにシャーレSのプレートPが存在する場合、これを把持する。
【0036】
動作4では、
図10(a)に示すように、第1把持装置6A及び第2把持装置6Bは、後退し、第1把持装置6Aが第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPに位置するとともに、第2把持装置6Bが計測位置MPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPに位置するように、移動する。
【0037】
ここで、動作3から動作4に移行するに際し、第1把持装置6Aは、
図6に示すように、位置c~c’’から位置bを経て位置aに戻るように、移動する。また、第2把持装置6Bは、
図7に示すように、位置Fから位置Gを経て位置Aに戻るように、移動する。なお、第2把持装置6BにシャーレSが存在する場合、位置Aでは、シャーレ蓋脱着装置8のヘッド83が位置Cから位置Bに下降してシャーレSの蓋Lを解放した後、位置Bから位置Cに上昇する。これにより、シャーレSに蓋Lが取り付けられる。
【0038】
動作5では、
図10(b)に示すように、第1把持装置6A及び第2把持装置6Bは、横行し、第1把持装置6Aが計測位置MPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPに位置するとともに、第2把持装置6Bが第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPに位置するように、移動する。
【0039】
動作6では、
図11(a)に示すように、第1把持装置6A及び第2把持装置6Bは、前進し、第1把持装置6Aが計測位置MPに位置するとともに、第2把持装置6Bが第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPに位置するように、移動する。
【0040】
ここで、動作5から動作6に移行するに際し、第1把持装置6Aは、
図7に示すように、位置Aから位置D及び位置Eを経て位置Fに到達するように、移動する。なお、第1把持装置6AにはシャーレSが存在しているので、位置Aでは、シャーレ蓋脱着装置8のヘッド83が位置Cから位置Bに下降してシャーレSの蓋Lを吸着した後、位置Bから位置Cに上昇する。これにより、シャーレSから蓋Lが取り外され、第1把持装置6Aには、シャーレSのプレートPだけが存在する状態となる。また、第2把持装置6Bは、
図6に示すように、位置aから位置bを経て位置c~c’’(最上位のシャーレSよりもシャーレ1個分上の高さ位置)に到達するように、移動する。
【0041】
動作7では、
図11(b)に示すように、第1把持装置6Aは、計測位置MPにシャーレSのプレートPを解放する。これにより、ここから次の動作2までの間、コロニー計測装置3の撮像装置31による撮像処理が可能となる。また、第2把持装置6Bは、既に移送済みのシャーレSの上にシャーレSを解放する。これにより、第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPに位置するマガジン22に多段シャーレMSが構成されていく。
【0042】
動作8では、
図12(a)に示すように、第1把持装置6A及び第2把持装置6Bは、後退し、第1把持装置6Aが計測位置MPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPに位置するとともに、第2把持装置6Bが第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPの中心点からY方向に延びる線上の位置かつ横行位置TPに位置するように、移動する。
【0043】
なお、
図12(a)では、第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DP及び計測位置MPにシャーレS又は多段シャーレMS又はシャーレSのプレートPの図が記載されているが、これは、繰り返し途中でシャーレSがまだ第1シャーレ集積装置2Aに残っている状態を表している。計測処理終了時はこれらの位置にシャーレS又は多段シャーレMS又はシャーレSのプレートPは存在しない。
【0044】
ここで、動作7から動作8に移行するに際し、第1把持装置6Aは、
図7に示すように、位置Fから位置Gを経て位置Aに戻るように、移動する。また、第2把持装置6Bは、
図6に示すように、位置c~c’’から位置bを経て位置aに戻るように、移動する。
【0045】
以上の動作1から動作8の繰り返しが終了することにより、
図12(b)に示すように、第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DPに位置するマガジン22に収容されていた多段シャーレMSは無くなり、全てのシャーレS,…が計測処理を終え、第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPに位置するマガジン22に計測処理済みの多段シャーレMSが構成される。あるいは、多段シャーレMSの最後のシャーレSの計測処理が終了した後、最後のシャーレSは、第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPに位置するマガジン22に移送されず、第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DPに位置するマガジン22に直接戻されるようにしてもよい。この場合、最後のシャーレSに続き、第2シャーレ集積装置2Bの受渡位置DPに位置するマガジン22に積み上げられた、最後のシャーレSを含まない多段シャーレMSに対し、後述する積み直し処理が行われる。
【0046】
<積み直し処理>
ところで、計測処理は、コロニーの成長度合いを見るために、予め定められた時間ピッチ(等ピッチや指数変化ピッチ)で継続的に行われる。このため、第2シャーレ集積装置2Bに構成される多段シャーレMSを第1シャーレ集積装置2Aの元のマガジン22に戻す必要がある。しかし、
図14に示すように、多段シャーレMSは、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になっているため、(人が)そのまま戻すとすると、次回の計測処理では、計測処理の順序が逆になってしまう。そこで、計測処理後の所定のタイミングで、
図13(b)に示すような積み直し処理が自動で実行される。
【0047】
積み直し処理は、返送動作として、上述した動作1~8が逆の順で繰り返し行われる。動作1~8の逆の順の繰り返しであっても、計測位置MPにおける第2把持装置6Bから第1把持装置6AへのシャーレSの中継動作は行われる。ただし、当然、シャーレSの蓋Lの脱着処理及びシャーレSのプレートPの撮像処理は行われない。このため、全動作時間は、計測処理時の全動作時間より短くなる。
【0048】
積み直し処理のタイミングは、一例として、第1シャーレ集積装置2Aにおける1つのマガジン22の多段シャーレMSに基づいて第2シャーレ集積装置2Bにおいて対応するマガジン番号のマガジン22に多段シャーレMSが構成された時点、すなわち、次のマガジン22の多段シャーレMSが計測処理される前の時点が挙げられる。別の例として、第1シャーレ集積装置2Aにおける対象全ての多段シャーレMS,…に基づいて第2シャーレ集積装置2Bにおいて全ての多段シャーレMS,…が構成された時点が挙げられる。
【0049】
このように、積み直し処理が実行されることにより、第2シャーレ集積装置2Bに構成される多段シャーレMSは、自動的に、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が同じにされ、第1シャーレ集積装置2Aに戻される。このため、多段シャーレMSにおいて計測処理の順序が逆になるのを防止することができ、次回以降も計測処理の順序を同じにすることができる。また、予め定められた時間ピッチで継続的に行われる計測処理において、常に各回の計測処理の順序が同じになる。このため、タクトタイムを一定にすることができる。
【0050】
<発明の範囲>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
上記実施形態においては、第1シャーレ集積装置2Aにおいて多段シャーレMSの上からシャーレを1つずつ取り出し、第2シャーレ集積装置2BにおいてシャーレSを順次上に配置して多段シャーレMSを構成していく。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、第1シャーレ集積装置2Aにおいて多段シャーレMSの下からシャーレSを1つずつ取り出し、第2シャーレ集積装置2BにおいてシャーレSを順次下に配置して多段シャーレMSを構成していくようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、第1シャーレ集積装置2A及び第2シャーレ集積装置2Bが同期することにより、第1シャーレ集積装置2Aにおけるマガジン22に収容されるシャーレSは、第2シャーレ集積装置2Bにおいて対応するマガジン番号のマガジン22に収容される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第1シャーレ集積装置2A及び第2シャーレ集積装置2Bが同期せず、第2シャーレ集積装置2Bの複数のマガジン22,…の中から任意のマガジン22が選択されるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、第1シャーレ集積装置2Aから移送されるシャーレSを仮置する仮置部として、複数のマガジン22,…を備える第2シャーレ集積装置2Bが用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。上述した積み直し処理の一例(マガジン22単位で積み直し処理が行われる例)であれば、第2シャーレ集積装置2Bのマガジン22の数は1つであってもよい。
【0054】
また、仮置部は、第2シャーレ集積装置2Bでなく、第1シャーレ集積装置2Aの空いているマガジン22に設定されるようにしてもよい。この場合、計測処理及び積み直し処理を併せて、動作1→動作2→動作3→動作4→動作5→動作6→動作7→動作8→動作7→動作6→動作5→動作4(動作4~動作4までの間に、仮置部として設定されたマガジン番号の割り出し)→動作3→動作2→動作1→元のマガジン番号の割り出し、という一連の動作が全てのシャーレS,…の計測処理が終了するまで繰り返し行われる。この場合、シャーレSは、第1シャーレ集積装置2Aの受渡位置DPと計測位置MPとの間を往来するだけである。このため、第2シャーレ集積装置2Bは必須ではない。
【0055】
また、上記実施形態においては、所定の処理は、計測処理である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。所定の処理は、他の処理であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態においては、把持装置6は、第1把持装置6A及び第2把持装置6Bの2つの把持装置を備える。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。把持装置は、1つのみであってもよく、1つの把持装置により、第1シャーレ集積装置2A、コロニー計測装置3及び第2シャーレ集積装置2B間のシャーレSの移送を行うようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、シャーレ移送装置5の駆動装置として、XYZ直交3軸の駆動装置7が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。駆動装置としては、公知となっている各種のものを採用することができる。たとえば、駆動装置として、ロボットアームを使用する場合、積み直し処理において、計測位置MPへのアクセス及び計測位置MPにおける第2把持装置6Bから第1把持装置6AへのシャーレSの中継動作を無くすことができる。
【0058】
また、
図15に示すように、インキュベータ15が設けられるようにしてもよい。インキュベータ15は、筐体10のカバー(外装板)と、開閉可能なゲート14aを備える仕切壁14とで、第1シャーレ集積装置2Aを囲う構造である。あるいは、エアカーテンで囲う構造であってもよい。あるいは、筐体10内全体がインキュベータとなるようにしてもよい。
【0059】
<その他の発明>
以上の発明に係る装置構成によれば、以下のような使い方が可能となる。
【0060】
<計測処理における回転補正処理>
シャーレSのハンドリング中、たとえば把持装置6によるシャーレSの把持及び解放のタイミングで、シャーレSに垂直軸回りの回転ずれが生じる可能性は否定できない。回転ずれは、
図16(a)及び(b)に示すように、1回目の計測処理後の2回目以降の計測処理において顕在化する。そして、回転ずれが生じると、
図16(c)に示すように、計測位置MPで撮像されたプレートPの画像、ひいては計測処理用画像にも回転ずれが生じる。計測処理用画像に回転ずれが生じても、コロニーC,C’の数を誤って計数することはない。しかし、同じコロニーC,C’の相関性が失われることにより、高度な計測結果を得ることはできない。そこで、
図17に示すような回転補正処理が用いられ得る。
【0061】
まず、ステップ1において、カウンタのn値が1にセットされるとともに、角度量θnのn=1の値が0(ゼロ)にセットされる。次に、ステップ2において、シャーレ蓋脱着装置8によりシャーレSから蓋Lが取り外された状態で、蓋Lの上面又は周側面に付与されたバーコード、QRコード(登録商標)、RF-IDタグ等の情報記録媒体が読取装置86により読み取られる。1回目の計測処理において、
図18(b)に示すように、情報記録媒体Bが読取中心に位置していない場合(人がシャーレSを積み重ねて多段シャーレMSを構成する際、そして、多段シャーレMSを第1シャーレ集積装置2Aに載置する際、情報記録媒体Bの位置を気にするようなことはしないため、基本、情報記録媒体Bは読取中心に位置しない。)、シャーレ蓋脱着装置8のヘッド83が回転することにより、
図18(d)に示すように、情報記録媒体Bが読取中心に位置するように、蓋Lが回転される。なお、計測処理後、蓋Lは回転された状態のままでプレートPに取り付けられる。
【0062】
次に、ステップ3にて、n=1の場合(ステップ3がYESの場合)、すなわち、1回目の計測処理の場合、ステップ6が実行される。ステップ6において、計測位置MPにてプレートPが撮像され、プレートPの画像データが取得される。次に、ステップ7にて、角度量θnが0の場合(ステップ7がYESの場合)、ステップ9が実行される。ステップ9において、画像データ及びこれに基づいて生成される計測処理用画像が制御回路13の記憶部に保存される。
【0063】
次に、ステップ10において、カウンタがカウントアップされ、n値が2以上となる。最後の計測処理でない場合(ステップ11がNOの場合)、ステップ2に移行し、2回目以降の計測処理が開始される。
【0064】
ステップ2において、情報記録媒体Bが読取装置86により読み取られる。しかし、2回目以降の計測処理の場合であっても、もしそれまでのハンドリング操作によりシャーレSに回転ずれが生じたとすると、
図18(c)に示すように、蓋Lに生じた回転ずれにより、情報記録媒体Bが再び読取中心からずれる。この場合、同じく、シャーレ蓋脱着装置8のヘッド83が回転することにより、
図18(d)に示すように、情報記録媒体Bが読取中心に位置するように、蓋Lが回転される。なお、計測処理後、蓋Lは回転された状態のままでプレートPに取り付けられる。すなわち、プレートPと蓋Lとの間には、相対的な角度変位が生じる。
【0065】
ステップ3にて、n値が2以上である場合(ステップ3がNOの場合)、すなわち、2回目以降の計測処理の場合、ステップ4において、蓋Lの回転ずれ角度αが検出される。これは、ヘッド83の回転した角度量情報をアクチュエータ85が備えるエンコーダから取得することにより可能となる。なお、ステップ2において、蓋Lは、角度αで反対方向に回転されることにより、回転ずれが修正された形となる。
【0066】
次に、ステップ5において、角度量θnが演算される。角度量θnは、前回の角度量θn-1に蓋Lの回転ずれ角度αを加算したものである。すなわち、角度量θnは、前回の角度量θn-1に対する回転ずれ角度の相対値で表される。
【0067】
次に、ステップ6において、プレートPの画像データが取得されるが、もしそれまでのハンドリング操作によりシャーレSに回転ずれが生じたとすると(ステップ7がNO)、上述のとおり、プレートPの画像、ひいては計測処理用画像にも回転ずれが生じる。そこで、ステップ8において、制御回路13は、プレートPの画像、計測処理用画像又はこれらの間の中間画像のいずれかの画像データに対し、回転補正処理を施す。回転補正処理は、画像データを角度量θnで反対方向に回転させるものである。
【0068】
そして、ステップ9において、回転補正処理された画像データが制御回路13の記憶部に保存される。これらの一連の処理は、多段シャーレMSの全てのシャーレS,…が計測処理を終えるまで(ステップ11がYES)繰り返される。
【0069】
このように、蓋Lに付与された情報記録媒体Bをアライメントマークとして画像データの回転補正処理が実行される。このため、全ての計測処理用画像において回転ずれを無くし、互いに対比が容易な状態を構成することができる。また、このため、同じコロニーの相関性が維持され、より高度な計測及び分析を行うことができる。
【0070】
また、ステップ8の回転補正処理の有無に関わらず、多段シャーレMSの全てのシャーレS,…の蓋L,…に対し、ステップ2の回転動作が行われる。このため、多段シャーレMSにおいて全ての蓋L,…の情報記録媒体B,…を縦一列に揃えることができる。
【0071】
なお、ステップ2の蓋Lの回転動作として、蓋Lを一方向に回転させ、読取装置86が情報記録媒体Bを読み取れた時点で蓋Lの回転を停止するというものであってもよい。これによっても、前回の蓋Lの停止位置情報及び今回の蓋Lの停止位置情報をアクチュエータ85のエンコーダから取得することにより、蓋Lの回転ずれ角度αを検出することができる。
【0072】
また、読取装置86(及び制御回路13)が情報記録媒体Bに対する画像マッチング等の画像処理等を用いて蓋Lの回転ずれ角度αを検出することができるのであれば、蓋Lの回転動作を行わない
図19に示すような回転補正処理が用いられるようにしてもよい。この場合、角度量θnは絶対値で表される。
【0073】
また、蓋Lの回転ずれ角度αの検出基準は、情報記録媒体Bではなく、蓋Lに付与された数字、文字、マーク等、なんらかの表示媒体であってもよい。
【0074】
また、情報記録媒体又は表示媒体は、シャーレSのプレートPの周側面に付与されるものであってもよい。この場合、プレートPを回転させる回転ロボットが設けられる。各計測処理において、回転ロボットがシャーレSを適宜回転させて情報記録媒体又は表示媒体の角度を同一にすることにより、
図17のステップ4,5,7及び8が不要となる。
【0075】
自動計測装置の一例は、
情報記録媒体又は表示媒体が付与された蓋と、試料が入れられたプレートとを含む容器を複数載置可能な載置部と、
容器を移送可能な容器移送装置と、
容器のプレートに入れられた試料を撮像する撮像装置と、
容器の蓋を回転させる回転装置と、
容器の蓋に付与された情報記録媒体又は表示媒体を読み取る読取装置と、
容器移送装置、撮像装置、回転装置及び読取装置を制御する制御回路とを備え、
容器移送装置は、制御回路の制御により、載置部に載置された複数の容器を1つずつ取り出し、取り出した容器の少なくともプレートを撮像装置に移送し、
回転装置は、制御回路の制御により、取り出された容器の蓋に付与された情報記録媒体又は表示媒体が所定の回転角度となるように回転させ、
読取装置は、制御回路の制御により、所定の回転角度に回転した情報記録媒体又は表示媒体を読み取り、
撮像装置は、移送されたプレートの試料の撮像を行い、
制御回路は、2回目以降の撮像において容器の蓋が回転させられた場合、その回転の角度の情報を記憶し、その回転の角度に応じて撮像画像を回転させる。
【0076】
<培養条件均一化処理>
多段シャーレMSを保管する第1シャーレ集積装置2Aが上述したようなインキュベータ15内の培養環境下に置かれる自動計測装置1において(
図15参照)、インキュベータ15は、内部全体が均一な培養環境となるように構成ないし制御される。ただし、温度勾配等、培養環境にある程度の不均一が生じる可能性は否定できない。培養環境に不均一が生じると、多段シャーレMSのシャーレS,…間に培養条件のバラつきが生じる。そこで、培養条件均一化処理が用いられ得る。培養条件均一化処理は2つある。
【0077】
1つの培養条件均一化処理は、
図20に示すように、インキュベータ15内の培養環境に上下方向の温度勾配が生じる場合に対するものである。培養条件均一化処理により、適当な時間間隔で多段シャーレMSの移送が行われる。移送は、たとえば第1シャーレ集積装置2Aの異なる2つのマガジン22,22間で行われる。この場合、動作1(
図8(b))→動作2(
図9(a))→動作3(
図9(b))→動作4(
図10(a))→別のマガジン番号の割り出し→動作3→動作2→動作1→元のマガジン番号又はさらに別のマガジン番号の割り出し、という一連の動作を基本として、多段シャーレMSの移送が繰り返される。
【0078】
移送のたびに、多段シャーレMSは、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になる。これにより、今まで温度が高い側に位置していたシャーレSは、温度が低い側に移送され、他方、今まで温度が低い側に位置していたシャーレSは、温度が高い側に移送される。このため、多段シャーレMSの移送を定期的に繰り返すことにより、各シャーレSの培養条件を均一化することができる。
【0079】
もう1つの培養条件均一化処理は、
図21に示すように、インキュベータ15内の培養環境に水平方向の温度勾配が生じる場合に対するものである。処理内容は、基本的には1つ目の培養条件均一化処理と同様である。異なる点は、2つ目の培養条件均一化処理では、温度勾配の方向を基準として複数箇所(少なくとも2箇所)において多段シャーレSの巡回(循環)移送が行われる点である。
【0080】
移送のたびに、多段シャーレMSは、温度が異なる箇所に移送される。これにより、全てのシャーレS,…は、温度が異なる複数の箇所を巡回する。このため、多段シャーレMSの移送を定期的に繰り返すことにより、各シャーレSの培養条件を均一化することができる。
【0081】
なお、培養条件均一化処理は、インキュベータを備えない自動計測装置1にも適用できることは言うまでもない。
【0082】
自動計測装置の一例は、
容器を複数積み重ねた多段容器を載置可能な載置部と、
載置部を収納するインキュベータと、
容器を移送可能な容器移送装置と、
容器移送装置を制御する制御回路とを備え、
容器移送装置は、制御回路の制御により、所定の時間間隔で、載置部の多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、載置部の他の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、載置部の多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、載置部の他の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していく。
【0083】
<その他の使用例1>
使用例1は、
図22に示される。なお、以下の各使用例の説明で用いる図面において、シャーレSの図は簡略化されている。ステップ1に始まり、ステップ2において、全てのシャーレS,…に対し、1回目の計測処理が行われる。あるいは、コロニーの計数処理までは行われず、撮像処理だけが行われるようにしてもよい。あるいは、計数処理及び撮像処理の両方が行われないようにしてもよい。また、このとき、全てのシャーレS,…に対し、シャーレSに付与された情報記録媒体の読取処理が行われる。この読取り処理により、制御回路13は、多段シャーレMSの各段のシャーレSが属するグループを識別し、識別結果を制御回路13の記録媒体に記憶する。これらの処理後、第2シャーレ集積装置2Bには、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になった状態で多段シャーレMSが構成される。そこで、ステップ3において、積み直し処理が行われる。
【0084】
次に、ステップ4において、複数のグループ(本例では、3つのグループA~C、以下、該当する各使用例において同様)の1つのグループ(グループA)のシャーレS(A1~A3)に対し、2回目の計測処理(ステップ2で計測処理が行われなかった場合は、1回目の計測処理)が行われる。この場合、他のグループ(グループB及びグループC)のシャーレS,…に対しては、計測処理は行われない。そして、1つのグループ(グループA)の最後のシャーレS(A3)の計測処理が終了すると、ステップ5において、積み直し処理が行われる。なお、グループは、試料の種類(菌種等)、計測処理の時間間隔、計測処理の順序又は計測処理の処理条件等、情報記録媒体が保有する記録情報によって分類されるものである(以下、該当する各使用例において同様)。
【0085】
次に、ステップ6において、別のグループ(グループB)のシャーレS(B1~B3)に対し、2回目の計測処理(ステップ2で計測処理が行われなかった場合は、1回目の計測処理)が行われる。この場合、他のグループ(グループA及びグループC)のシャーレS,…に対しては、計測処理は行われない。そして、別のグループ(グループB)の最後のシャーレS(B3)の計測処理が終了すると、ステップ7において、積み直し処理が行われる。
【0086】
以後、同様に、所定の計測時刻が到来したいずれか1つのグループのシャーレS,…に対し、計測処理が行われる。そして、当該グループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、積み直し処理が行われる。計測処理の時間間隔は、グループA<グループB<グループCとする。
【0087】
なお、シャーレSを第2シャーレ集積装置2Bに移送する、すなわち、第2シャーレ集積装置2Bを仮置部として用いるのではなく、シャーレSを第1シャーレ集積装置2Aの空いているマガジン22に移送する、すなわち、第1シャーレ集積装置2Aの空いている別のマガジン番号のマガジン22を仮置部として用いるようにしてもよい(以下、該当する各使用例において同様)。
【0088】
<その他の使用例2>
使用例2は、
図23に示される。ステップ1に始まり、ステップ2において、全てのシャーレS,…に対し、シャーレSに付与された情報記録媒体の読取処理が行われる。この読取り処理により、制御回路13は、多段シャーレMSの各段のシャーレSが属するグループを識別し、識別結果を制御回路13の記録媒体に記憶する。読取処理後、第1シャーレ集積装置2Aの別のマガジン番号(マガジン番号B)のマガジン22には、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になった状態で多段シャーレMSが構成される。次に、ステップ3において、1つのグループ(グループA)のシャーレS(A1~A3)に対し、1回目の計測処理が行われる。この場合、他のグループ(グループB及びグループC)のシャーレS,…に対しては、計測処理は行われない。計測処理後、元のマガジン番号(マガジン番号A)のマガジン22には、別のマガジン番号(マガジン番号B)のマガジン22に構成された多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になった状態で多段シャーレMSが構成される。そこで、ステップ4において、積み直し処理が行われる。
【0089】
次に、ステップ5において、別のグループ(グループB)のシャーレS(B1~B3)に対し、1回目の計測処理が行われる。この場合、他のグループ(グループA及びグループC)のシャーレS,…に対しては、計測処理は行われない。そして、別のグループ(グループB)の最後のシャーレS(B1)の計測処理が終了すると、ステップ6において、積み直し処理が行われる。
【0090】
以後、同様に、所定の計測時刻が到来したいずれか1つのグループのシャーレS,…に対し、計測処理が行われる。そして、当該グループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、積み直し処理が行われる。計測処理の時間間隔は、グループA<グループB<グループCとする。
【0091】
<その他の使用例3(グループに基づく仕分け処理)>
グループに基づく仕分け処理とは、
図24に示すように、各グループのシャーレS,…をランダムに積み重ねた多段シャーレMSの状態から、グループごとにシャーレS,…を仕分け、並び替える処理のことをいう。仕分け処理は、大きく分けると、シャーレS,…をグループごとに仕分けてグループごとに多段シャーレMSを構成する仕分け処理1~3と、シャーレS,…をグループごとに仕分けた状態で1つの多段シャーレMSを構成する仕分け処理4,5の2種類の仕分け処理がある。この仕分け処理の読取り処理において、制御回路13は、多段シャーレMSの各段のシャーレSが属するグループを識別し、識別結果を制御回路13の記録媒体に記憶する。
【0092】
<グループに基づく仕分け処理1>
グループに基づく仕分け処理1は、
図25に示される。ステップ1に始まり、ステップ2において、全てのシャーレS,…に対し、1回目の計測処理が行われる。あるいは、コロニーの計数処理までは行われず、撮像処理だけが行われるようにしてもよい。あるいは、計数処理及び撮像処理の両方が行われないようにしてもよい。また、このとき、全てのシャーレS,…に対し、シャーレSに付与された情報記録媒体の読取処理が行われる。これらの処理後、第2シャーレ集積装置2Bには、読取結果により判別されたグループごとに仕分けられ、グループごとに多段シャーレMSが構成される。この場合、各グループの多段シャーレMSは、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になる。そこで、ステップ3において、積み直し処理が行われる。
【0093】
次に、ステップ4において、1つのグループ(グループA)のシャーレS(A1~A3)に対し、2回目の計測処理(ステップ2で計測処理が行われなかった場合は、1回目の計測処理)が行われる。この場合、他のグループ(グループB及びグループC)のシャーレS,…に対しては、移送処理及び計測処理は行われない。そして、1つのグループ(グループA)の最後のシャーレS(A3)の計測処理が終了すると、ステップ5において、積み直し処理が行われる。
【0094】
以後、同様に、所定の計測時刻が到来したいずれか1つのグループのシャーレS,…に対し、計測処理が行われる。そして、当該グループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、積み直し処理が行われる。計測処理の時間間隔は、グループA<グループB<グループCとする。
【0095】
このように、グループに基づく仕分け処理1は、グループごとに仕分けして多段シャーレMSを構成する。このため、上述した「その他の使用例1」と比較して、同じグループのシャーレS,…に対し、連続して等間隔で計測処理することができる。
【0096】
また、ステップ2で計測処理が行われなかった場合、1回目の計測処理から同じグループのシャーレS,…の計測処理の時間間隔を一定にすることができる。
【0097】
<グループに基づく仕分け処理2>
グループに基づく仕分け処理2は、
図26に示される。ステップ1に始まり、ステップ2において、全てのシャーレS,…に対し、シャーレSに付与された情報記録媒体の読取処理が行われる。読取処理後、第1シャーレ集積装置2Aの複数のマガジン番号(マガジン番号B,C,D)のマガジン22には、読取結果により判別されたグループごとに仕分けられ、グループごとに多段シャーレMSが構成される。次に、ステップ3において、1つのグループ(グループA)のシャーレS(A1~A3)に対し、1回目の計測処理が行われる。この場合、他のグループ(グループB及びグループC)のシャーレS,…に対しては、移送処理及び計測処理は行われない。計測処理後、元のマガジン番号(マガジン番号A)のマガジン22には、別のマガジン番号(マガジン番号B)のマガジン22に構成された1つのグループ(グループA)の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になった状態で1つのグループ(グループA)の多段シャーレMSが構成される。そこで、ステップ4において、積み直し処理が行われる。
【0098】
以後、同様に、所定の計測時刻が到来したいずれか1つのグループのシャーレS,…に対し、計測処理が行われる。そして、当該グループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、積み直し処理が行われる。計測処理の時間間隔は、グループA<グループB<グループCとする。
【0099】
このように、グループに基づく仕分け処理2によれば、ステップ2の後、積み直し処理を要せずに、1回目の計測処理を行うことができ、かつ、1回目の計測処理から同じグループのシャーレS,…の計測処理の時間間隔を一定にすることができる。
【0100】
<グループに基づく仕分け処理3>
グループに基づく仕分け処理3は、
図27に示される。ステップ1に始まり、ステップ2において、全てのシャーレS,…に対し、1回目の計測処理が行われる。あるいは、コロニーの計数処理までは行われず、撮像処理だけが行われるようにしてもよい。あるいは、計数処理及び撮像処理の両方が行われないようにしてもよい。また、このとき、全てのシャーレS,…に対し、シャーレSに付与された情報記録媒体の読取処理が行われる。これらの処理後、第2シャーレ集積装置2Bには、読取結果により判別されたグループごとに仕分けられ、グループごとに多段シャーレMSが構成される。この場合、各グループの多段シャーレMSは、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になる。そこで、ステップ3において、積み直し処理が行われる。
【0101】
次に、ステップ4において、全てのグループのシャーレS,…に対し、2回目の計測処理(ステップ2で計測処理が行われなかった場合は、1回目の計測処理)が行われる。そして、全てのグループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、ステップ5において、積み直し処理が行われる。
【0102】
以後、同様に、所定の計測時刻が到来するたびに、全てのグループのシャーレS,…に対し、計測処理が行われる。そして、最後のシャーレSの計測処理が終了すると、積み直し処理が行われる。計測処理の時間間隔は、グループA=グループB=グループCとする。
【0103】
<グループに基づく仕分け処理4>
グループに基づく仕分け処理4は、
図28に示される。ステップ1に始まり、ステップ2において、全てのシャーレS,…に対し、1回目の計測処理が行われる。あるいは、コロニーの計数処理までは行われず、撮像処理だけが行われるようにしてもよい。あるいは、計数処理及び撮像処理の両方が行われないようにしてもよい。また、このとき、全てのシャーレS,…に対し、シャーレSに付与された情報記録媒体の読取処理が行われる。これらの処理後、第2シャーレ集積装置2Bには、読取結果により判別されたグループごとに仕分けられ、グループごとに多段シャーレMSが構成される。この場合、各グループの多段シャーレMSは、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になる。そこで、ステップ3において、積み直し処理が行われる。積み直し処理は、後の計測処理と逆の順序でグループごとにシャーレS,…を第2シャーレ集積装置2Bから第1シャーレ集積装置2Aに移送し、全てのシャーレS,…を同一箇所において積み重ねて1つの多段シャーレMSを構成していくように行われる。
【0104】
次に、ステップ4において、1つのグループ(グループA)のシャーレS(A1~A3)に対し、2回目の計測処理(ステップ2で計測処理が行われなかった場合は、1回目の計測処理)が行われる。この場合、他のグループ(グループB及びグループC)のシャーレS,…に対しては、移送処理及び計測処理は行われない。そして、1つのグループ(グループA)の最後のシャーレS(A3)の計測処理が終了すると、ステップ5において、積み直し処理が行われる。
【0105】
次に、ステップ6において、別のグループ(グループB)のシャーレS(B1~B3)の計測処理にあたり、1つのグループ(グループA)のシャーレS(A1~A3)が第2シャーレ集積装置2Bに移送される。そして、これに続き、ステップ7において、別のグループ(グループB)のシャーレS(B1~B3)に対し、2回目の計測処理(ステップ2で計測処理が行われなかった場合は、1回目の計測処理)が行われる。この場合、1つのグループ(グループA)のシャーレS,…に対しては、計測処理は行われず、残りのグループ(グループC)のシャーレS,…に対しては、移送処理及び計測処理は行われない。そして、別のグループ(グループB)の最後のシャーレS(B3)の計測処理が終了すると、ステップ8において、積み直し処理が行われる。
【0106】
以後、同様に、所定の計測時刻が到来したいずれか1つのグループのシャーレS,…に対し、計測処理が行われる。そして、当該グループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、積み直し処理が行われる。計測処理の時間間隔は、グループA<グループB<グループCとする。
【0107】
<グループに基づく仕分け処理5>
グループに基づく仕分け処理5は、
図29に示される。ステップ1に始まり、ステップ2において、全てのシャーレS,…に対し、1回目の計測処理が行われる。あるいは、コロニーの計数処理までは行われず、撮像処理だけが行われるようにしてもよい。あるいは、計数処理及び撮像処理の両方が行われないようにしてもよい。また、このとき、全てのシャーレS,…に対し、シャーレSに付与された情報記録媒体の読取処理が行われる。これらの処理後、第2シャーレ集積装置2Bには、読取結果により判別されたグループごとに仕分けられ、グループごとに多段シャーレMSが構成される。この場合、各グループの多段シャーレMSは、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になる。そこで、ステップ3において、積み直し処理が行われる。積み直し処理は、後の計測処理と逆の順序でグループごとにシャーレS,…を第2シャーレ集積装置2Bから第1シャーレ集積装置2Aに移送し、全てのシャーレS,…を同一箇所において積み重ねて1つの多段シャーレMSを構成していくように行われる。
【0108】
次に、ステップ4において、全てのグループのシャーレS,…に対し、2回目の計測処理(ステップ2で計測処理が行われなかった場合は、1回目の計測処理)が行われる。そして、全てのグループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、ステップ5において、積み直し処理が行われる。
【0109】
以後、同様に、所定の計測時刻が到来するたびに、全てのグループのシャーレS,…に対し、計測処理が行われる。そして、最後のシャーレSの計測処理が終了すると、積み直し処理が行われる。計測処理の時間間隔は、グループA=グループB=グループCとする。
【0110】
自動計測装置の一例は、
試料が入れられかつ情報記録媒体が付与された容器を複数積み重ねた多段容器を載置可能な載置部と、
容器を移送可能な容器移送装置と、
容器内の試料の計測を行う計測装置と、
容器に付与された情報記録媒体を読み取る読取装置と、
容器移送装置、計測装置及び読取装置を制御する制御回路とを備え、
制御回路は、
容器移送装置に、載置部において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、載置部において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していくように動作させ、
読取装置に、取り出された容器に付与された情報記録媒体の情報を順次読み取らせ、
読み取った各情報記録媒体の情報に応じた計測タイミングが到来した容器を、容器移送装置に、取り出させ、計測装置に移送させる。
載置部において多段容器の上から容器を取り出す場合、計測タイミングが到来した容器の上に計測タイミングが到来していない容器が存在するとき、制御回路は、計測タイミングが到来していない容器を取り出し、取り出した容器の計測をすることなく多段容器が存在する箇所とは別の箇所に移送する制御を行う。
載置部において多段容器の下から容器を取り出す場合、計測タイミングが到来した容器の下に計測タイミングが到来していない容器が存在するとき、制御回路は、計測タイミングが到来していない容器を取り出し、取り出した容器の計測をすることなく多段容器が存在する箇所とは別の箇所に移送する制御を行う。
【0111】
<その他の使用例4(計測結果に基づく仕分け処理)>
計測結果に基づく仕分け処理とは、
図30に示すように、計測結果を所定の条件によって複数のグループに分類し、グループごとにシャーレS,…を仕分け、並び替える処理のことをいう。仕分け処理は、大きく分けると、シャーレS,…をグループごとに仕分けてグループごとに多段シャーレMSを構成する仕分け処理と、シャーレS,…をグループごとに仕分けた状態で1つの多段シャーレMSを構成する仕分け処理の2種類の仕分け処理がある。
【0112】
<計測結果に基づく仕分け処理1>
計測結果に基づく仕分け処理1は、
図31に示される。ステップ1に始まり、ステップ2において、全てのシャーレS,…に対し、1回目の計測処理が行われる。計測処理後、第2シャーレ集積装置2Bには、計測結果に基づいてグループごとに仕分けられ、グループごとに多段シャーレMSが構成される。ここで、グループは、計測処理により計数されたコロニーの数によって分類されるものである(以下、該当する各使用例において同様)。本例では、3つのグループA~Cに分離され、コロニーの数が100個以下のものをグループA、コロニーの数が100個よりも多く、200個よりも少ないものをグループB、コロニーの数が200個以上のものをグループCとする。そして、第2シャーレ集積装置2Bにおいて、コロニーの数が少ないグループ(グループA)に属するシャーレS,…は、1つのマガジン番号(マガジン番号A)のマガジン22に仕分けられ、コロニーの数がその次に多いグループ(グループB)に属するシャーレS,…は、別のマガジン番号(マガジン番号B)のマガジン22に仕分けられ、コロニーの数が多いグループ(グループC)に属するシャーレS,…は、さらに別のマガジン番号(マガジン番号C)のマガジン22に仕分けられる。この場合、各グループの多段シャーレMSは、元の多段シャーレMSとシャーレSの上下の順序が逆になる。そこで、ステップ3において、積み直し処理が行われる。積み直し処理は、コロニーの数が多いグループの順序でグループごとにシャーレS,…を第2シャーレ集積装置2Bから第1シャーレ集積装置2Aに移送し、全てのシャーレS,…を同一箇所において積み重ねて1つの多段シャーレMSを構成していくように行われる。
【0113】
次に、ステップ4において、所定の計測時刻が到来すると、全てのグループのシャーレS,…に対し、2回目の計測処理が行われる。この計測処理の結果に応じて各シャーレSが属するグループが再判定される。そして、全てのグループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、ステップ5において、積み直し処理が行われる。
【0114】
次に、ステップ6において、さらに所定の計測時刻が到来すると、全てのグループのシャーレS,…に対し、3回目の計測処理が行われる。そして、全てのグループの最後のシャーレSの計測処理が終了すると、ステップ7において、積み直し処理が行われる。
【0115】
以後、同様に、所定の計測時刻が到来するたびに、全てのグループのシャーレS,…に対し、計測処理が行われ、計測処理の結果に応じて各シャーレSが属するグループが判定される。そして、最後のシャーレSの計測処理が終了すると、積み直し処理が行われる。
【0116】
このように、計測結果に基づく仕分け処理1は、コロニーの数が閾値(本例では、200個)を超えたグループ(グループC)のシャーレS,…(NGサンプル)に対しても、計測処理を継続する。このため、コロニーの数が閾値に達しないサンプルと同様、継続して撮像画像及び計測結果を取得、保管することができる。
【0117】
また、この場合、NGサンプルが多段シャーレMSの下側に配置されることにより、人がNGサンプルを目視で確認するにあたり、直ちに確認することができる。これは、NGサンプルが多段シャーレMSの上側に配置される場合も同様である。
【0118】
なお、コロニーの数の評価ないし閾値の評価としては、単にコロニーの合計数だけでなく、たとえば複数の菌が成長し得るときの特定の菌の数のみを対象とすることもできる。
【0119】
また、コロニーの数が多いサンプルをNGサンプルとするのではなく、一定時間後に一定のコロニーの数に達しないサンプルをNGサンプルとするようにしてもよい。
【0120】
<計測結果に基づく仕分け処理2>
計測結果に基づく仕分け処理2は、
図32に示される。計測結果に基づく仕分け処理2が計測結果に基づく仕分け処理1と異なる点は、計測結果に基づく仕分け処理2においては、コロニーの数が閾値を超えたグループ(グループC)のシャーレS,…(NGサンプル)が積み直し処理の対象とならず、仕分けられた状態のままとなる点である。これにより、NGサンプルの積み直し処理及びNGサンプルに対する計測処理という無駄な処理を不要とすることができる。
【0121】
また、この場合、NGサンプルがNGサンプルではない多段シャーレMSとは別に配置されることにより、人がNGサンプルを目視で確認するにあたり、直ちに確認することができる。
【0122】
<計測結果に基づく仕分け処理3>
計測結果に基づく仕分け処理3は、
図33に示される。計測結果に基づく仕分け処理3が計測結果に基づく仕分け処理2と異なる点は、計測結果に基づく仕分け処理3においては、コロニーの数が閾値に達していないグループ(グループA及びグループB)のシャーレS,…が積み直し処理される際、コロニーの数が多い方のグループ(グループB)のシャーレS,…がコロニーの数が少ない方のグループ(グループA)のシャーレS,…の上に積み重ねられ、多段シャーレMSの上側に配置される点である。これによっても、グループの違いを目視で確認するにあたり、直ちに確認することができる。
【0123】
<計測結果に基づく仕分け処理4>
計測結果に基づく仕分け処理4は、
図34に示される。計測結果に基づく仕分け処理4は、計測結果に基づく仕分け処理3をベースとし、コロニーの数が閾値に達していないグループ(グループA及びグループB)のうち、コロニーの数が多い方であって、コロニーの数が閾値を超えたグループ(グループC)に移行する可能性があるグループ(グループB)のシャーレS,…に対し、計測処理の時間間隔を短くし(本例では、1/2)、計測処理の回数を増やす(本例では、2倍)というものである。
【0124】
具体的には、N回目の計測処理(ステップ2)及びN+1回目の計測処理(ステップ6)では、コロニーの数が閾値に達していない全てのグループ(グループA及びグループB)のシャーレS,…が計測処理の対象となるが、そのうちのコロニーの数が多い方のグループ(グループB)のシャーレS,…に対しては、その間に計測処理(ステップ4)が追加的に行われるというものである。これにより、コロニーの数が閾値を超えたグループ(グループC)のシャーレS,…(NGサンプル)を早期に発見することができる。
【0125】
自動計測装置の一例は、
試料が入れられた容器を複数積み重ねた多段容器を載置可能な載置部と、
容器を移送可能な容器移送装置と、
容器内の試料の計測を行う計測装置と、
容器移送装置及び計測装置を制御する制御回路とを備え、
制御回路は、
容器移送装置に、載置部において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、又は、載置部において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、取り出した容器を計測装置へと移送するように動作させ、
計測装置に、移送されてきた容器内の試料を計測させ、
計測装置の計測結果に応じて各容器が属するグループを判定する。
制御回路は、容器移送装置に、グループごとに容器を仕分けて載置させてもよい。
制御回路は、グループに応じた計測タイミングが到来した容器を容器移送装置に取り出させて計測装置に移送させてもよい。
載置部において多段容器の上から容器を取り出す場合、計測タイミングが到来した容器の上に計測タイミングが到来していない容器が存在するとき、制御回路は、計測タイミングが到来していない容器を取り出し、取り出した容器の計測をすることなく多段容器が存在する箇所とは別の箇所に移送する制御を行う。
載置部において多段容器の下から容器を取り出す場合、計測タイミングが到来した容器の下に計測タイミングが到来していない容器が存在するとき、制御回路は、計測タイミングが到来していない容器を取り出し、取り出した容器の計測をすることなく多段容器が存在する箇所とは別の箇所に移送する制御を行う。
【0126】
上述した「計測処理における回転補正処理」、「培養条件均一化処理」、「その他の使用例1」、「その他の使用例2」、「その他の使用例3」、「その他の使用例4」は、制御回路13の制御により実現される。
【符号の説明】
【0127】
1…自動計測装置、10…筐体、11…開閉カバー、12…操作入力部、13…制御回路、14…仕切壁、14a…ゲート、15…インキュベータ、2…シャーレ集積装置、2A…第1シャーレ集積装置、2B…第2シャーレ集積装置、20…回転テーブル、21…回転モータ、22…マガジン、23…外囲部材、3…コロニー計測装置、30…ステージ、31…撮像装置、32…支持フレーム、4…シャーレハンドリング装置、5…シャーレ移送装置、6…把持装置、6A…第1把持装置、6B…第2把持装置、60…アクチュエータ、61…爪、7…駆動装置、70…第1ベース、71…リニアガイド、72…アクチュエータ、73…第2ベース、74…アクチュエータ、75…第3ベース、76…アクチュエータ、8…シャーレ蓋脱着装置、80…支持フレーム、81…ベース、82…アクチュエータ、83…ヘッド、84…吸引ノズル、85…アクチュエータ、86…読取装置、RC…回転中心、S…シャーレ、MS…多段シャーレ、P…プレート、L…蓋、C,C’…コロニー、B…情報記録媒体、DP…受渡位置、MP…計測位置、TP…横行位置
【要約】
【課題】複数の容器を積み重ねた多段容器において順序が逆になるのを防止することができる容器ハンドリング装置及び方法並びに自動計測装置を提供する。
【解決手段】シャーレハンドリング方法は、載置部において多段容器の最後の容器を取り出した後の所定のタイミングで、別の所定の箇所において始めに最後の容器を配置し、以後、所定の箇所において多段容器の上から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次上に配置して多段容器を構成していく、又は、所定の箇所において多段容器の下から容器を1つずつ取り出し、別の所定の箇所において容器を順次下に配置して多段容器を構成していく。この積み直し処理により、多段容器において容器の上下の順序が元に戻る。
【選択図】
図13