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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】免震建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20220408BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
E04H9/02 331A
E04H9/14 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017078095
(22)【出願日】2017-04-11
(65)【公開番号】P2018178490
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 隆英
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 一教
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-285078(JP,A)
【文献】特開平09-137631(JP,A)
【文献】特開2011-220048(JP,A)
【文献】特開2013-249711(JP,A)
【文献】米国特許第04517778(US,A)
【文献】特開2005-146703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00-9/14
E02B 7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に構築された下部構造と、
前記下部構造の上方に設けられた上部構造と、
前記下部構造と前記上部構造との間に設けられた免震層と、
前記免震層に設けられた免震装置と、
前記免震層に設けられた浸水防止構造と、を備えた免震建物において、
前記浸水防止構造は、
板状部材と、
前記板状部材の一方端を前記下部構造に回動自在に連結するヒンジと、
前記板状部材の他方端に設けられたシール部材と、
浮力によって前記シール部材を浮かすことができる浮体と、を有し、
前記浮体は、前記シール部材の下部構造側と接する位置に固着されるとともに、前記ヒンジと前記シール部材との間の距離は、前記免震層の厚みより長い
ことを特徴とする、免震建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下部構造(例えば、基礎部)と上部構造との間に、免震装置(例えば、積層ゴム支承)を設けることで、地震の揺れを上部構造に直接伝えない免震建物が知られている。
【0003】
このような免震建物では、大雨や津波、河川の氾濫などにより建物周辺が浸水した場合に、多量の水が下部構造と上部構造の間の間隙に流入し、免震装置の作動に支障をきたす虞や、上部構造に浮力が発生して建物が不安定になる虞がある。
【0004】
これに対して、下部構造と上部構造の間に、浸水防止構造を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の浸水防止構造は、ヒレ部に水圧を受けることによって、浸水防止用プレートが、上部構造体と下部構造体の間の間隙を塞ぎ、水圧をもった多量の水の浸入を防止することができる。
【0006】
しかしながら、このような浸水防止構造は、水深が浅い場合、ヒレ部に十分な水圧が作用しないため、浸水防止プレートが上部構造体と下部構造体の間の間隙を塞ぐことができず、浸水防止を図れない問題がある。
【0007】
また、圧力流体供給手段を人為的に操作して、弾性チューブを膨張させ、上部構造体と下部構造体の間の間隙を閉じる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、このような浸水防止構造は、圧力流体供給手段を稼働するために、人為的操作を必要とする。冠水時には現場が混乱することから、人為的操作では、圧力流体供給手段を冷静かつ的確に稼働することができず、浸水防止を図れない問題がある。また、圧力流体供給手段を維持管理する必要があり、手間がかかる。
【0009】
また、浸水防止構造として、可撓性を有する防水カバーを上部構造と下部構造との間に設ける構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
しかしながら、このような浸水防止構造は、防水カバーが上部構造及び下部構造に固定されていることから、免震装置の機能を阻害する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2007-285078号公報
【文献】特開2013-249711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、建物周辺が浸水した際の水量の影響を受けず人為的操作を必要としない簡易な構成の浸水防止構造であって、免震機能を阻害することのない浸水防止構造を有する免震建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の免震建物は、地盤中に構築された下部構造と、前記下部構造の上方に設けられた上部構造と、前記下部構造と前記上部構造との間に設けられた免震層と、前記免震層に設けられた免震装置と、前記免震層に設けられた浸水防止構造と、を備えた免震建物において、前記浸水防止構造は、板状部材と、前記板状部材の一方端を前記下部構造に回動自在に連結するヒンジと、前記板状部材の他方端に設けられたシール部材と、浮力によって前記シール部材を浮かすことができる浮体と、を有し、前記浮体は、前記シール部材の下部構造側と接する位置に固着されるとともに、前記ヒンジと前記シール部材との間の距離は、前記免震層の厚みより長いことを特徴とする。
【0015】
また、前記上部構造と前記下部構造との間に、前記免震層とは別の浸水防止層を設け、前記浸水防止層には、前記浸水防止構造が設けられ、前記浸水防止層の厚みは、前記免震層の厚みより短く構成してもよい。
【0016】
また、前記ヒンジの近傍を覆う防水シートを有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
このように構成された免震建物では、免震層に設けられた浸水防止構造が、浮体の浮力により、ヒンジを介して回動自在に移動することで、浸水時の水位に応じて浸水防止構造の姿勢を変化させることができる。そのため、建物周辺が浸水した際の水量の影響を受けない簡易な構成の浸水防止構造を有する免震建物を提供することができる。また、非浸水時及び少量浸水時には、浸水防止構造が上部構造に当接しない構成とすることができる。そのため、浸水防止構造が免震装置の免震機能を阻害しない。
【0018】
また、ヒンジとシール部材との間の距離を免震層の厚みより長く構成することで、浸水防止構造は、多量浸水時に、免震層を閉塞することができる。そのため、多量の浸水時であっても、水を免震装置に到達させないことができる。その結果、免震装置の作動を阻害しないようにすることができる。
【0019】
また、浸水防止層の厚みを免震層の厚みより短く構成することで、少ない水圧で、浸水防止構造を作用させることができる。そのため、浸水防止構造を確実に作用させ、水を免震装置に確実に到達させないことができる。その結果、免震装置の作動をより阻害しないようにすることができる。
【0020】
また、ヒンジの近傍を防水シートで覆う構成とすることで、浸水し易い可動構成を有するヒンジからの水漏れを抑制することができる。そのため、より確実に、浸水防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る免震建物の一例を示す概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る浸水防止構造を説明する説明図である。
図3】第1実施形態に係る浸水防止構造の非浸水時の状態を説明する説明図である。
図4】第1実施形態に係る浸水防止構造の少量浸水時の状態を説明する説明図である。
図5】第1実施形態に係る浸水防止構造の多量浸水時の状態を説明する説明図である。
図6】第1実施形態に係る浸水防止構造の各浸水防止ユニットの接続部の構成を説明する概略構成図である。
図7】第2実施形態に係る免震建物の浸水防止構造を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る免震建物の一例を示す概略構成図である。
【0023】
免震建物1は、図1に示すように、多層階構造の上部構造の一例である建物本体10と、建物本体10の下方に設けられた下部構造としての基礎部20と、建物本体10と基礎部20との間に設けられた免震層(間隙)30と、を有する。
【0024】
なお、免震建物1の規模や形状等は限定されるものではない。また、免震層30の位置は建物本体10と基礎部20との間に限定されるものではない。免震建物1は、地下構造を備える建物であってもよい。
【0025】
建物本体10は、複数の柱11,11,…と、柱11同士の間に横架されたスラブ12,12,…と、を有する。
【0026】
スラブ12は、建物本体10の各階層に設けられる。建物本体10の下端には、柱11同士の下端部をつなぐ、下端スラブ13が設けられる。
【0027】
下端スラブ13は、地表面よりも掘り下げた位置に形成される。なお、下端スラブ13の位置は、この態様に限定されるものではない。
【0028】
建物本体10は、平面視で矩形状を呈する。なお、建物本体10の形状は、この態様に限定されるものではない。また、建物本体10の階層数も、この態様に限定されるものではない。
【0029】
基礎部20は、地盤中であって下端スラブ13の下方に形成された版状部材であり、建物本体10の平面形状に応じて、平面視で矩形状に形成される。なお、基礎部20の厚み(高さ)は、免震建物1の規模に応じて適宜設定すればよい。
【0030】
免震層30には、複数の免震装置40が設けられる。免震装置40は、下端スラブ13の外周付近以外の場所に設けられる。下端スラブ13は、免震装置40に上載される。
【0031】
免震装置40の構成は、積層ゴム支承を採用するが、この態様に限定されるものではない。
【0032】
次に、第1実施形態に係る浸水防止構造について説明する。図2は、第1実施形態に係る浸水防止構造を説明する説明図である。図3は、第1実施形態に係る浸水防止構造の非浸水時の状態を説明する説明図である。図4は、第1実施形態に係る浸水防止構造の少量浸水時の状態を説明する説明図である。図5は、第1実施形態に係る浸水防止構造の多量浸水時の状態を説明する説明図である。図6は、第1実施形態に係る浸水防止構造の各浸水防止ユニットの接続部の構成を説明する概略構成図である。
【0033】
先ず、本実施の形態に係る浸水防止構造の構成を説明する。
浸水防止構造50は、図1図2に示すように、免震層30に設けられる。本実施の形態では、浸水防止構造50は、4つの浸水防止ユニット51を有する。4つの浸水防止ユニット51は、平面視で矩形状を呈する建物本体10の各辺に、それぞれ配置される。各浸水防止ユニット51との接続部分には、後述する防水性の防水部材が設けられる。これにより、浸水防止構造50は、免震装置40に対して下端スラブ13の外周側に、全周に亘って設けられることとなる。なお、浸水防止構造50は、4つの浸水防止ユニットを有する態様に限定されず、建物本体10の形状や、免震装置40の設置位置によって、適宜変更可能である。
【0034】
各浸水防止ユニット51は、同様の構成であるため、1つの浸水防止ユニット51について説明する。
【0035】
浸水防止ユニット51は、図3に示すように、板状部材であるプレート53と、ヒンジ52と、シール部材54と、浮体55と、防水シート56と、を有する。
【0036】
プレート53は、アルミ等の軽金属製であり、平面視で矩形状を呈する下端スラブ13の1つの外周縁に沿って延在する板状部材である。プレート53は、基礎部20に固定されたヒンジ52を介して、基礎部20に回動自在に連結されている。
【0037】
プレート53の短手方向(長手方向に直交する方向)で、基礎部20に連結された側とは反対側の端部には、シール部材54が設けられる。シール部材54は、例えばゴム等の弾性部材である。
【0038】
シール部材54は、浮体55によって支持される。浮体55は、水に浮遊する密度を有しており、例えば、浮体の内部に気体を封入することによって浮力を有するように構成される。浮体55の浮力は、浸水防止ユニット51の重量より大きいものとする。浮体55は、プレート53の平面と並行な面のうち、シール部材54の基礎部20側と接する位置に固着される。これにより、浮体55は、浮力によってシール部材54を水上に支持可能とする。
【0039】
防水シート56は、可撓性を有し、4つの浸水防止ユニット51に沿って周回して、ヒンジ52及びその周辺を覆う長尺状のものである。防水シート56は、水を通さない材質、例えば熱可塑性エラストマー系材料より形成される。
【0040】
浸水防止ユニット51の長手方向の端部には、可撓性を有する防水部材60が設けられる。各浸水防止ユニット51は、防水部材60を介して連結される。防水部材60は、例えば、ゴム製のシート状部材であり、伸縮自在である。これにより、防水部材60は、各浸水防止ユニット51の動きに追従することができる。そのため、各浸水防止ユニット51の間からの浸水を防止することができる。
【0041】
次に、本実施の形態に係る浸水防水構造の動作を説明する。
【0042】
(非浸水時)
図3に示すように、非浸水時(通常時)では、浮体55に浮力が作用しないため、浸水防止ユニット51は、その自重により、基礎部20側に倒れ込んだ姿勢となる。これにより、基礎部20と下端スラブ13との間の間隙は、十分に確保される。そのため、免震装置40の作動を阻害しないようにすることができる。
【0043】
(少量浸水時)
図4に示すように、少量の浸水時では、少量の水Wが、下端スラブ13と基礎部20との間の免震層30に流れ込むこととなる。免震層30に流れ込んだ水Wが、浸水防止ユニット51へ到達すると、浮体55に浮力が作用し、浸水防止ユニット51は、ヒンジ52を回転軸として、基礎部20側から下端スラブ13側に回転する。これにより、浸水防止ユニット51を浸水位置まで上昇させることができる。そのため、少量の浸水時であっても、水Wを免震装置40に到達させないと共に、基礎部20と下端スラブ13との間の間隙を確保することができる。その結果、免震装置40の作動を阻害しないようにすることができる。
【0044】
(多量浸水時)
図5に示すように、多量の浸水時では、多量の水Wが、下端スラブ13と基礎部20との間の免震層30に流れ込むこととなる。
【0045】
ここで、浸水防止ユニット51の短手方向の長さ(ヒンジ52とシール部材54との間の距離)Lは、下端スラブ13の下面と基礎部20の上面との間の距離(免震層30の厚み)Dより長い構成とする。
【0046】
免震層30に流れ込んだ水Wが、浸水防止ユニット51へ到達すると、浮体55に浮力が作用し、浸水防止ユニット51は、ヒンジ52を回転軸として、基礎部20側から下端スラブ13側に回転する。免震層30に流れ込んだ水Wの水位が、下端スラブ13の下面に到達すると、浮体55に作用する浮力により、浸水防止ユニット51は、ヒンジ52を回転軸として、シール部材54が下端スラブ13に当接するまで回転する。これにより、浸水防止ユニット51は、下端スラブ13と基礎部20との間の免震層30を閉塞することができる。そのため、多量の浸水時であっても、水Wを免震装置40に到達させないことができる。その結果、免震装置40の作動を阻害しないようにすることができる。
【0047】
少量浸水時、及び多量浸水時に、下端スラブ13と基礎部20との間の免震層30に流れ込んだ水Wは、基礎部20に設けられた公知の排水口を通して排水される。免震層30に流れ込んだ水Wが排水されると、浮体55に浮力が作用しないため、浸水防止ユニット51は、図3に示すように、その自重により、基礎部20側に倒れ込んだ姿勢となる。これにより、浸水防止ユニット51は、少量浸水時の姿勢、又は多量浸水時の姿勢から、非浸水時の姿勢に、自動的に移動することができる。
【0048】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
このように構成された免震建物1では、免震層30に設けられた浸水防止構造50が、浮体55の浮力により、ヒンジ52を介して回動自在に移動することで、浸水時の水位に応じて、浸水防止構造50の姿勢を変化させることができる。
【0049】
非浸水時には、浸水防止ユニット51を、基礎部20側に倒れ込んだ姿勢とすることできる。そのため、基礎部20と下端スラブ13との間の間隙を十分に確保することができる。
少量浸水時には、浮体55に浮力が作用し、浸水防止ユニット51を浸水位置まで上昇させることができる。そのため、少量の浸水時であっても、水Wを免震装置40に到達させないと共に、基礎部20と下端スラブ13との間の間隙を確保することができる。
多量浸水時には、浸水防止ユニット51をシール部材54が下端スラブ13に当接するまでヒンジ52を介して回転させることができる。そのため、多量浸水時の際は、浸水防止ユニット51で、免震層30を閉塞し、水Wを免震装置40に到達させないことができる。
【0050】
その結果、建物周辺が浸水した際の水量(浸水規模)の影響を受けない簡易な構成の浸水防止構造50を有する免震建物1を提供することができる。また、非浸水時及び少量浸水時には、浸水防止構造50が建物本体10に当接しない構成とすることができる。その結果、浸水防止構造50が免震装置40の免震機能を阻害しない。
【0051】
また、浸水防止構造50は、主に、プレート53と、ヒンジ52と、シール部材54と、浮体55とで構成される。これにより、浸水防止構造50を簡易な構成とすることができる。また、浸水防止構造50を免震建物1に取り付ける際、簡易な施工とすることができる。
【0052】
また、非浸水時には、浸水防止構造50を基礎部20側に倒れ込んだ姿勢とすることできるため、作業者の免震装置40へのアクセスが容易となり、免震装置40を簡便に維持管理することができる。
【0053】
また、浮体55の浮力を利用して、浸水防止構造50の姿勢を変化させることで、モータ等の動力を必要としない簡易な構成とすることができる。そのため、モータ等の動力を設けることで必要となる特別なメンテナンスを必要としないで済む。
【0054】
また、ヒンジ52の近傍を防水シート56で覆う構成とすることで、浸水し易い可動構成を有するヒンジ52からの水漏れを抑制することができる。そのため、より確実に浸水防止を図ることができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る免震建物について説明する。図7は、第2実施形態に係る免震建物の浸水防止構造を説明する説明図である。
【0056】
第2実施形態に係る免震建物は、第1実施形態に係る免震建物と、浸水防止構造を設置する位置が異なる。
【0057】
図7に示すように、下端スラブ130は、下端スラブ130の外周付近の下端スラブ130の下面に、凹部130aを有する。基礎部200は、凹部130aに対応する基礎部200の上面に、凸部200aを有する。凹部130aと凸部200aとの間には、浸水防止層300が形成される。下端スラブ130と基礎部200との間の免震層30には、免震装置40が設けられる。凹部130aと凸部200aとの間の浸水防止層300には、浸水防止構造500が設けられる。浸水防止構造500の短手方向の長さL‘は、凹部130aと凸部200aとの間の距離(浸水防止層300の厚み)D‘より長い構成とする。浸水防止層300の厚みD‘は、第1実施形態の免震層30の厚みDより短く設定される。浸水防止構造500の短手方向の長さL‘は、第1実施形態の浸水防止構造50の短手方向の長さLより短く設定される。
【0058】
これにより、少ない水圧で、浸水防止構造500を作用させることができる。そのため、浸水防止構造500を確実に作用させ、水Wを免震装置40に確実に到達させないことができる。その結果、免震装置40の作動をより阻害しないようにすることができる。
【0059】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 免震建物
10 建物本体(上部構造の一例)
20 基礎部(下部構造の一例)
30 免震層
40 免震装置
50 浸水防止構造
52 ヒンジ
53 プレート(板状部材の一例)
54 シール部材
55 浮体
56 防水シート
300 浸水防止層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7