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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20220408BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20220408BHJP
【FI】
E02F9/26 C
B60R1/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018128845
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020007759
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 辰雄
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-003390(JP,A)
【文献】特開2018-104931(JP,A)
【文献】特開2001-180526(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0228982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
B60R 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体に旋回自在に支持される上部旋回体と、
記上部旋回体の左右側部の方側部に一方の側面側があり、前記上部旋回体の前方から後方にかけて配置されたキャビンと、
前記キャビンの他方の側面側の後方にある立設フレームに配置される撮像部と、を備える、作業車両。
【請求項2】
前記立設フレームが前記上部旋回体の後方中央近傍に配置されている、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記撮像部は、取付け座により、前記立設フレームに固定され、
前記取付け座は、下方向に向かって延びる一対の支持材の間に前記撮像部を収容している、請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記一対の支持材の一方が前記立設フレームに固定されている、請求項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方視認装置を備える作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、バックホーの後方を監視するカメラの取り付け構造として、カウンタウェイトの後方正面部に収容部を形成し、収容部内に観察視野を曲折させる反射鏡と、その反射鏡に映る観察視野の像を撮像するカメラとを配置し、収容部を透明材料の窓部で覆う構造を開示する。
【0003】
特許文献2は、バックホーの後方を監視するカメラの取り付け構造として、カメラを支持するためのカメラブラケットをカウンタウェイト本体の上面に固定する構造を開示する。
【0004】
特許文献3は、運転席の壁及び天井に透視投影する運転支援画像を生成するためにキャビンの外面にカメラを設置することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-180065号公報
【文献】特開2016-212344号公報
【文献】特開2016-212503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、カウンタウェイトの下面方向に観察視野を取り込む窓部を配置していることから、カメラ本体が、破損し汚れる恐れは少ないが、窓部の破損や汚れにより観察視野を得ることができない。カウンタウェイトの中に埋め込まれかつカメラの設置高さが低くなるため、バックホーの後端部を視野の中に含めた上で広い視野を得ることができない。さらにカウンタウェイトの中に埋め込む構造は、カメラを取り付けない標準作業車両と、カメラを取り付けるオプション作業車両とでカウンタウェイト部品を共用することができず、製造コストを上昇させる。
【0007】
また、上記特許文献2では、カメラをカウンタウェイトの上部に取り付けることから、バックホーの後端部を視野の中に含めた上で広い視野を得ることができ、カウンタウェイト等の部品を共用することができるため製造コストを上昇させない。しかし、その後端部がカウンタウェイトからエンジンを覆うボンネットが立ちあがり、そのボンネット上部から、キャビンの後壁が立ち上がる小旋回型の小型作業車両の場合、そのボンネットの扉の開放方法によっては、ボンネットの扉がカメラの取り付け位置やその配線と干渉する問題が生じ得る。
【0008】
また、作業車両による作業においては、オペレータが作動時の安全確認のため、必要に応じて都度振り返ってバックミラーを確認する必要がある。そのため、前進/後進を頻繁に繰り返す作業では、オペレータの疲労負担が非常に大きく、また、後ろを振り返る/前に向き直る、のタイムラグによる作業の遅れをも生じ得る。また、広い視野を確認するためには、オペレータは左後方と右後方とを交互に振り返ることが必要であり、疲労負担はさらに増大する。そして危険を事前に判断するためには、対象物の正確な姿や位置を確認することが大変重要である。
【0009】
また、上記特許文献3では、透視投影する運転支援画像を生成するために複数のカメラを設置する必要があることから、単一のカメラで撮影した画像を電子処理することなく、小旋回型の小型作業車両の後端部を視野の中に含めた上で広い視野を得るようなカメラの設置位置を開示していない。
【0010】
また、近年、土木現場、建築現場では、大型作業車両のみならず、小型作業車両においても自主安全規制を設ける動きがある。小型作業車両において、後方安全確認、接触防止のためにバックミラーを設ける構造以外に、より後方視認性を向上させるべくバックカメラを設けることが提案されつつある。しかしながら、小型作業車両の場合、バックホーの壁面からほぼ垂直にキャビンが取り付けられるため、バックホーの後方にバックカメラを取り付けることは困難である。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、オペレータの疲労低減、作業効率向上、優れた危険防止性、破損が少なく後方視野の広い画像が得られ、および安価な製造コストが可能な作業車両、特に小型作業車両、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の作業車両は、上部旋回体と、前記上部旋回体を旋回自在に支持する下部走行体を有する作業車両であって、
上部旋回体の後端部に位置するカウンタウェイトと、
前記カウンタウェイトから立設される後方ボンネットと、
前記上部旋回体の左右側部の内いずれか一方側部で、かつ前記後方ボンネット上部から立設するキャビンと、
前記上部旋回体の左右側部の内の他方側部に配置される側部ボンネットと、
前記上部旋回体の後部に配置され、前記後方ボンネットおよび/または前記側部ボンネットに取り囲まれるエンジンと、
前記キャビンの後方で、かつ前記側部ボンネット側の上部に配置される撮像部と、を備える。
【0013】
本発明の作業車両は、いわゆる、後方小旋回型の作業車両、例えば、ミニショベルであってもよい。
また、作業車両は、前記キャビンが前記上部旋回体において防振支持されて立設される防振構造、および/または前記キャビンが前記後方ボンネット上部から防振支持されて立設される防振構造を有していてもよい。防振構造は、弾性部材などの防振部材を介して上部旋回体のフレームおよび/または後方ボンネット上方にキャビンが据え付けられる構造であってもよい。
【0014】
また、前記撮像部は、前記キャビンの後方で上部に設置されたバックミラー取付け座に装着されていてもよい。
これにより、標準品に設置されたバックミラー取付け座に撮像部を装着できることで、標準の作業車両のキャビンと後方視認用の撮像部が装備された作業車両のキャビンとを別製造する必要がなく、よって製造コストを抑えることができる。
【0015】
また、作業車両は、前記撮像部で撮影された画像を表示する表示機器をさらに備えていてもよい。
前記表示機器は、上部旋回体の左右側部の内いずれか一方側部(左側または右側)に配置される前記キャビンの内部に配置された操縦部の中心より左右側部の内の他方側部(右側または左側)に配置された本機操作パネル前方上側に配置されていてもよい。
前記表示機器は、キャビン側の任意のフレームに取り付けたキャビン取付け座に、専用ブラケットを固定し、この専用ブラケットを介して取り付けられていてもよい。
これにより、本機操作パネルの表示やキャビン右下(またはキャビン左下)の視界を妨げないことから、右側(または左側)クローラの先端を目視して確認することができ、危険防止に効果がある。
【0016】
また、作業車両は、前記撮像部と前記表示機器をつなぐ有線のケーブルをさらに備え、
前記ケーブルが、上部旋回体の左右側部の内いずれか一方側部(左側または右側)に配置される前記キャビンのフレームであって、前記作業車両の中心より左右側部の内の他方側部(右側または左側)のフレームに沿って配策されていてもよい。
前記撮像部のケーブルは、アンテナ取付け付近(例えば、アンテナ取付け座付近)からキャビン内側へ導入されてもよい。
これにより、ケーブルの配策ルートに、側部ボンネットあるいは後方ボンネットなどの開閉扉などの可動部が存在しないため、ケーブルの屈曲繰り返し等による短絡、断線が起こりにくい。
また、ケーブルをキャビンなどのフレーム内側あるいは外側に沿って配策できるので、ケーブルの長さを最小とすることができ、ケーブルの製造コストを抑えることができる。
【0017】
前記ケーブルは、前記キャビンのフレームに沿って配策され、かつ、少なくとも部分的に保護部材で覆われる構成であってもよい。
前記保護部材は、例えば、クリップ、断面凹状で長尺のケーブルカバー、フレーム形状に合わせたパネルカバーなどが挙げられる。
前記保護部材は、該保護部材を前記フレームに固定するための固定手段または脱着手段を有していてもよい。
これにより、キャビンのフレームに沿ってケーブルを配策させ、さらに保護部材でケーブルを保護できるため、長期間の過酷な使用に耐えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、後方ボンネットなどの後端部を含めた広い視野を得るこができる。また、キャビンの撮像部の取付位置を作業車両の車体中央の近くにすることができるため、撮像部から違和感の少ない映像を得られる。このためオペレータの疲労低減、作業効率向上および危険防止に効果がある。
また、上部旋回体に立設されたキャビンは、例えば防振支持されていることから作業車両側から伝達される振動や衝撃を撮像部へ伝達し難い。
また、表示機器に表示される画像をオペレータの視線移動のみで確認することができるため、前進あるいは後進を頻繁に繰り返す作業でも、オペレータの疲労負担が非常に小さく、後ろを振り返るあるいは前に向き直る、などのタイムラグによる作業の遅れもなくなる。また、広範囲を確認するためには、オペレータは左右後方を交互に振り返る必要がなくなり、疲労負担はさらに減少する。また、危険を判断するための、対象物の正確な姿や位置が認識しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】実施形態1に係る作業車両を示す右後方側面斜視図。
図1B】実施形態1に係る作業車両を示す左後方側面斜視図。
図1C図1Aの撮像部周辺の一部拡大図。
図2】実施形態1に係るケーブルの配策構造を示す斜視図。
図3A】実施形態2に係るケーブルの配策構造を示す斜視図。
図3B】実施形態2に係るケーブルの配策構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態の作業車両の一例として後方小旋回型のミニショベルを説明する。ただし、作業車両は後方小旋回型のミニショベルに限定されず、他のバックホー、ホイルローダ等の他の車両でもよい。なお、図中、車両進行方向を「前」と「後」で、車両の幅方向を「左」と「右」で、車両の高さ方向を「上」と「下」で示す。配置を示すときに「前」は前進方向の前を、「後」は前進方向の後を意味する。「右」は「前」を向いて車両の幅方向の右を、「左」は「前」を向いて車両の幅方向の左を意味する。
【0021】
図1Aおよび1Bは、ミニショベル1の右側面斜視図および左側面斜視図であり、ミニショベル1の概略構成を説明する。ミニショベル1は、下部走行体2と、作業機3と、上部旋回体4とを備える。
【0022】
下部走行体2は、上部旋回体4に設置されているエンジン45からの動力を受けて駆動し、ミニショベル1を走行させる。下部走行体2は、左、右クローラ21L、21R及び左右一対の左、右走行モータ22L、22R、を備える。油圧モータである左、右走行モータ22L、22Rがそれぞれ左、右クローラ21L、21Rを駆動することでミニショベル1の前後進を可能としている。また、下部走行体2には、後進方向にブレード23、及びブレード23を上下方向に回動させるための油圧アクチュエータであるブレードシリンダ24が設けられている。
【0023】
作業機3は、エンジン45からの動力を受けて駆動し、土砂等の掘削作業を行うものである。作業機3は、ブーム31、アーム32、及びバケット33を備え、これらを独立して駆動することによって掘削作業を可能としている。
【0024】
ブーム31は、基端部が上部旋回体4の前部に上下方向に回転可能に支持されて、伸縮自在に可動するブームシリンダ31aによって回動される。また、アーム32は、基端部がブーム31の先端部に支持されて、伸縮自在に可動するアームシリンダ32aによって回動される。そして、バケット33は、基端部がアーム32の先端部に支持されて、伸縮自在に可動するバケットシリンダ33aによって回動される。ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、及びバケットシリンダ33aは、作業部を駆動する油圧アクチュエータに相当する。ブーム31及びアーム32によって多関節構造体が形成されており、ブーム31は多関節構造体を構成する要素のうち最も基端側に配置されている。
【0025】
上部旋回体4は、その後端部に位置するカウンタウェイト41と、カウンタウェイト41から立設される後方ボンネット42と、上部旋回体4の左側部でかつ後方ボンネット42の上部から立設するキャビン43と、上部旋回体4の右側部に配置される右側部ボンネット44と、上部旋回体4の後部に配置され、かつ後方ボンネット42および右側部ボンネット44に取り囲まれるエンジン45を備えている。エンジン45は破線でしめす。
また、上部旋回体4は、キャビン43の内部に操縦部46と、旋回台47、旋回モータ等を備える。油圧モータである旋回モータが旋回台47を駆動することによって上部旋回体4が旋回する。また、上部旋回体4には、エンジン45により駆動される複数の油圧ポンプ(不図示)が配設される。これらの油圧ポンプが、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、及びバケットシリンダ33aに作動油を供給する。また、油圧ポンプは、下部走行体2のスイベルジョイント(不図示)へ作動油を供給し、スイベルジョイントと各油圧ホースで接続された、ブレードシリンダ24、左走行モータ22L、右走行モータ22Rが駆動される。
【0026】
図1A、1B、1Cで示すように、キャビン43の後方でかつ右側部ボンネット44側の上部に撮像部5が設けられている。
撮像部5は、例えば、CCDカメラ、CMOSカメラなどが挙げられる。撮像部5は、動画を撮像することができ、静止画をキャプチャすることもできる。
【0027】
実施形態1において、撮像部5はキャビン43の右後立設フレーム431の上方に固定部材、例えばボルト61で取り付けられたバックミラー取付け座6に、固定部材、例えば、ボルト62で取り付けられている。本実施形態において、バックミラーはバックミラー取付け座6から取り外されている。本実施形態において、バックミラー取付け座6は、正面断面視で、下方向に向かって開口したコの字状である。開口空間に撮像部5が収納され固定される。撮像部5は、右後立設フレーム431の上方から下方後方に向かって画像を撮像する。撮像部5は後方ボンネット42および/またはカウンタウェイト41の全部または一部を含む画像を撮像するように角度調整されて固定される。
【0028】
撮像部5はミニショベル1のほぼ左右中央の後方に設けられていることで、左右後方いずれかに偏ることなく左右後方を広範囲に撮像できる。また、撮像部5を右後立設フレーム431に直接取り付けるよりも、バックミラー取付け座6が緩衝機能を発揮して振動や衝撃などを吸収し、撮像部5の故障などを低減することができる。なお、バックミラー取付け座6を介して撮像部5を取り付けることに限定されず、撮像部5を直接あるいはブラケットを介して右後立設フレーム431に固定してもよい。
【0029】
撮像部5から映像を送るための第一ケーブル51は、バックミラー取付け座6の天面貫通穴63を通じて上方に導かれ、第一クリップ4311aで掛止され、アンテナ8が取り付けられるアンテナ取付け座81の付近の貫通穴82を通してキャビン43内側に導かれる。第一クリップ4311aは、右後立設フレーム431に取り付けられた支持部4311に固定される。キャビン43内側に導かれた第一ケーブル51は、右後立設フレーム431の内側に沿って下に伸びる。ケーブルの配策構造の詳細は後述する。
【0030】
[実施形態1の配策構造]
図2は、実施形態1のケーブルの配策構造を示す。図2はケーブルの配策構造を説明するために必要な構成要素を示しており、他の構成要素を省略している。
【0031】
第一ケーブル51の先端にコネクタ52が設けられており、このコネクタ52と接続された第二ケーブル53が、右後立設フレーム431の内側に沿って下に伸び、さらに右側前後フレーム432の内側に沿って操縦部46の右側後方から右側前方に伸び、モニター7に接続される。
【0032】
第一ケーブル51は、右後立設フレーム431の内側において、断面凹状で長尺の第一ケーブルカバー201で覆われて保護される。第一ケーブルカバー201は、右後立設フレーム431の内側の表面に任意の固定手段で固定することができる。
【0033】
コネクタ52と接続された第二ケーブル53は、右後立設フレーム431の内側において、上から下へ順に、断面凹状で長尺の第二、第三ケーブルカバー202、203で覆われ、右側前後フレーム432の内側において後から前へ順に、第四、第五ケーブルカバー204、205で覆われている。第二、第三ケーブルカバー202、203は、右後立設フレーム431の内側の表面に任意の固定手段で固定することができる。第四、第五ケーブルカバー204、205は、右側前後フレーム432の内側の表面に任意の固定手段で固定することができる。
【0034】
第二ケーブル53は、第二ケーブルカバー202と第三ケーブルカバー203との間で、上から下へ順に、第二、第三、第四クリップ4312、4313、4314で掛止され、第二、第四クリップ4312、4314は、右後立設フレーム431の内側面にそれぞれ固定され、第三クリップ4313は、キャビン後方パネル面(不図示)に固定される。
【0035】
図2に示すように、右側前後フレーム432に窓カバー部4321が形成されており、この窓カバー部4321を避けるように第二ケーブル53が配策されている。窓カバー部4321を避ける必要がない場合には、単一のケーブルカバーを使用してもよく、第四、第五ケーブルカバー204、205のように複数で第二ケーブル53を覆ってもよい。
窓カバー部4321は、例えば、空調装置の外気導入フィルタ窓をカバーする部材である。第二ケーブル53が窓カバー部4321を避けるように配策されており、右側前後フレーム432に形成された外気導入フィルタの窓の開閉を妨げることがなく、メンテナンス性に優れる。
【0036】
なお、図2に限定されず、ケーブルカバーは、その数、断面凹状のサイズ(ケーブル収納サイズ)、長尺サイズは、配策ルートおよびフレーム形状に応じて設定することができる。
【0037】
モニター7は、キャビン43内に配置された操縦部46の中心より右側に配置された本機操作パネル461(破線で示す)の前方上側に配置される。
実施形態1において、モニター7は、キャビン43側の右側前後フレーム432に取り付けたキャビン取付け座71に固定された専用ブラケット72を介して取り付けられる。モニター7は、撮像部5で撮像された動画を表示することができる。
【0038】
[実施形態1の変形例]
第二、第三、第四クリップ4312、4313、4314を用いずに、別のケーブルカバーを用いてもよく、または右後立設フレーム431においては、単一のケーブルカバーで、第二ケーブル53を覆ってもよい。
また、右後立設フレーム431においては、第一、第二、第三ケーブルカバー201、202、203を用いずに、単一のケーブルカバーで、第一ケーブル51、コネクタ52、第二ケーブル53を覆う構成でもよい。
各クリップあるいは各ケーブルカバーをフレームに固定する固定手段は、例えば、粘着剤、ビス、ネジ、ボルトなどが挙げられる。
【0039】
[実施形態2の配策構造]
図3A、3Bは、実施形態2のケーブルの配策構造を示す。図3Aおよび3Bはケーブルの配策構造を説明するために必要な構成要素を示しており、他の構成要素を省略している。
実施形態2は、複数のクリップで、第一ケーブル51と、第二ケーブル53をフレームの内側面に固定し、その上からフレーム形状に合わせた第一、第二パネルカバー401、402で覆う構造である。
【0040】
具体的には、実施形態1と同様に、第一ケーブル51は、バックミラー取付け座6の天面貫通穴63を通じて上方に導かれ、第一クリップ4311aで掛止され、アンテナ取付け座81の付近の貫通穴82を通してキャビン43内側に導かれる。
【0041】
図3Bに示すように、第一ケーブル51は、右後立設フレーム431の内側において、第一内部クリップ301で掛止され、第一内部クリップ301は右後立設フレーム431の内側面に固定される。
【0042】
実施形態1と同様に、第一ケーブル51の先端にコネクタ52が設けられており、このコネクタ52と接続された第二ケーブル53が、右後立設フレーム431の内側に沿って下に伸び、さらに右側前後フレーム432の内側に沿って操縦部46の右側後方から右側前方に伸び、モニター7に接続される。
【0043】
図3Bに示すように、第二ケーブル53は、上から下へ順に、第二、第三、第四内部クリップ302、303、304で掛止され、第二、第三、第四内部クリップ302、303、304は右後立設フレーム431の内側面に固定される。
さらに、第二ケーブル53は、上から下へ順に、第三、第四クリップ4313、4314で掛止され、第三クリップ4313は、キャビン後方パネル面(不図示)に固定され、第四クリップ4314は、右後立設フレーム431の内側面にそれぞれ固定される。
また、コネクタ52は、その上下方向の2か所で(本実施形態では小径の両端部で)、上から順に第五、第六内部クリップ305、306で掛止され、第五、第六内部クリップ305、306は右後立設フレーム431の内側面に固定される。
第一~第六内部クリップ301~306は、後述する第一パネルカバー401の貫通穴(不図示)に貫通されて着脱自在に係合する係合突起301a~306aをその先端に備える。
【0044】
第二ケーブル53は、右後立設フレーム431から右側前後フレーム432に導かれ、第一~第八支持クリップ311~318で掛止され、第一~第八支持クリップ311~318は右側前後フレーム432の内側の下部面に固定される。
第一~第八支持クリップ311~318は、後述する第二パネルカバー402の下縁部4023が着脱自在に挿入される第一~第八支持溝311a~318aを有する。
第一~第七支持クリップ311~317は、第一~第七支持溝311a~317aが左方向を向くように右側前後フレーム432の下部に固定され、第八支持クリップ318は、右側前後フレーム432の高さ中間位置で、第八支持溝318aが斜め上方を向くように固定される。
【0045】
第四支持クリップ314と第五支持クリップ315との間に、窓カバー部4321が形成されており、これを避けるように、保護壁4326が右側前後フレーム432面から立設さており、第二ケーブル53が保護壁4326に沿って後方から前方へ導かれる。
窓カバー部4321は、例えば、空調装置の外気導入フィルタ窓をカバーする部材である。第二ケーブル53が窓カバー部4321を避けるように配策されており、右側前後フレーム432に形成された外気導入フィルタの窓の開閉を妨げることがなく、メンテナンス性に優れる。
【0046】
図3Aにおいて、第一、第二パネルカバー401、402が設けられている。
断面視で凹状の第一パネルカバー401は、第一~第四内部クリップ301~304の係合突起301a~304aに対応した位置に4つの貫通穴を有し、これら貫通穴に係合突起301a~304aが挿入係合され固定される。この構成により、第一パネルカバー401は、第一ケーブル51、コネクタ52、第二ケーブル53を覆い、右後立設フレーム431に取り付けられる。
【0047】
第二パネルカバー402は、右側前後フレーム432の天面4321に当接して掛止される掛止部4021と、掛止部4021からL字状に下方向に延びる主面4022と、主面4022から掛止部4021と同じ方向にL字状に右方向に延びる下縁部4023とを有する。
主面4022は、第四支持クリップ314と第五支持クリップ315との間で、開口部4022aが形成されている。開口部4022aから、外気導入フィルタの窓の開閉が可能になっている。
【0048】
第二パネルカバー402は、主面4022において、その長手方向に4つの貫通支持部4025が立設される。貫通支持部4025を破線で示す。貫通支持部4025には、その貫通部にビス(不図示)が挿入されうる。なお、第二パネルカバー402の貫通支持部4025は4つに限定されず、少なくとも2以上でもよい。貫通支持部4025の天面4025aは、右側前後フレーム432の内側面4322に当接する。貫通支持部4025は、第一~第七支持クリップ311~317と共に、第二パネルカバー402の内部空間を維持するように支持する。
【0049】
第二パネルカバー402の掛止部4021は、右側前後フレーム432の天面4321に掛止されると共に、第二パネルカバー402の下縁部4023は、第一~第八支持クリップ311~318の支持溝311a~318aに嵌め込まれる。
これにより、第二パネルカバー402は、第二ケーブル53を覆い、右側前後フレーム432に取り付けられる。
【0050】
[実施形態2の変形例]
第一~第四内部クリップ301~304で第一パネルカバー401を固定していたが、これに制限されず、他の固定手段で固定してもよい。
また、第三、第四クリップ4313、4314は、省略されていてもよい。
第二パネルカバー402は、第一~第八支持溝311a~318aで固定されていたが、これに制限されず、他の固定手段で固定されていてもよい。
右側前後フレーム432は、1または2以上の中空円筒部を有し、第二パネルカバー402は、中空円筒部に着脱自在に挿入され係合される突起部を有していてもよい。
各クリップあるいは各パネルカバーをフレームに固定する固定手段は、例えば、粘着剤、ビス、ネジ、ボルトなどが挙げられる。
【0051】
[別実施形態]
本実施形態1、2について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されない。本実施形態1、2は、上述した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0052】
第一クリッ4311aを用いずに、右後立設フレーム431に沿って伸びるケーブルカバーで第一ケーブル51を覆う構成でもよい。
撮像部5は、キャビン43の左右立設フレーム間の壁パネルに取り付けられていてもよく、キャビン43の天井支柱(天井フレーム)に取り付けられていてもよい。
また、撮像部5は1つに限定されず、複数設けられていてもよく、キャビンの異なる位置に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 ミニショベル
2 下部旋回体
201 第一ケーブルカバー
203 第二ケーブルカバー
204 第三ケーブルカバー
205 第四ケーブルカバー
205 第五ケーブルカバー
3 作業機
4 上部旋回体
41 カウンタウェイト
42 後方ボンネット
43 キャビン
401 第一パネルカバー
402 第二パネルカバー
431 右後立設フレーム
432 右側前後フレーム
44 右側部ボンネット
45 エンジン
46 操縦部
461 本機操作パネル
5 撮像部
51 第一ケーブル
52 コネクタ
53 第二ケーブル
6 バックミラー取付け座
7 モニター
71 キャビン取付け座
72 専用ブラケット
8 アンテナ
81 アンテナ取付け座
82 貫通穴
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B