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特許7055103創傷治癒および組織生存能促進のために組織の酸素付加を制御する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】創傷治癒および組織生存能促進のために組織の酸素付加を制御する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20220408BHJP
   A61M 35/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
A61M27/00
A61M35/00 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018549144
(86)(22)【出願日】2016-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 US2016065378
(87)【国際公開番号】W WO2017100320
(87)【国際公開日】2017-06-15
【審査請求日】2019-11-29
(31)【優先権主張番号】14/961,587
(32)【優先日】2015-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511106536
【氏名又は名称】エレクトロケミカル オキシジェン コンセプツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ,マイケル・シー
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】クラリウス,ダニエル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】パンドール,ファレイドーン
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ,トム
(72)【発明者】
【氏名】ニーダーラウアー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】デイリー,ジェームズ・ピー
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-506292(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0130712(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0034861(US,A1)
【文献】特表2011-528958(JP,A)
【文献】特表2014-533583(JP,A)
【文献】特表2002-524109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジング内に設置されたプロセッサと、
該プロセッサに連結された圧力モニタリングシステムと、
該ハウジング内に設置され、該プロセッサに連結された湿度モニタリングシステムと、
該ハウジング内に設置された湿度パックと、
前記ハウジング内に設置され、そして前記プロセッサに連結された電力送達システムと、
前記ハウジング内に設置され、そして前記電力送達システムに連結された酸素濃縮器と、を含む、ただし前記酸素濃縮器は複数の酸素出口を含む、
創傷処置システムであって、
前記プロセッサが:
包帯により提供され、そして創傷部位に隣接して設置される、制限気流エンクロージャー中の圧を表示する圧力モニタリングシステムからの圧情報を受信し;
前記酸素濃縮器により生成され、そして複数の酸素出口の一つを通って制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を制御するために、前記圧情報を使用して前記電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を制御し;
前記ハウジング中の湿度を表示する前記湿度モニタリングシステムからの湿度情報を受信し、そして、
該湿度情報を使用して、前記ハウジングの湿度を制御するよう構成される、
創傷処置システム。
【請求項2】
前記プロセッサが:
前記酸素濃縮器により生成され、そして前記複数の酸素出口の一つを通って前記制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を制御するために、前記湿度情報を使用して前記電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を制御するように構成されている、
請求項1に記載の創傷処置システム。
【請求項3】
さらに前記プロセッサに連結された温度センサーを含み、該プロセッサが創傷部位の温度を表示する前記温度センサーからの温度情報を受信し、そして前記酸素濃縮器からの酸素流が望ましい酸素流レベルかどうかを決定するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
さらに前記プロセッサに連結されたpHセンサーを含み、該プロセッサが創傷部位のpHを表示する該pHセンサーからのpH情報を受信し、そして前記酸素濃縮器からの酸素流が望ましい酸素流レベルかどうかを決定するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
さらに前記プロセッサに連結された灌流センサーを含み、該プロセッサが創傷部位の灌流を表示する前記灌流センサーからの灌流情報を受信し、そして前記酸素濃縮器からの酸素流が望ましい酸素流レベルかどうかを決定するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の酸素出口が少なくとも二つの酸素出口を含み、そして前記プロセッサが、
前記酸素濃縮器により生成され、そして第1酸素出口を通って第1レベルで前記制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を制御し;そして
前記酸素濃縮器により生成され、そして第2酸素出口を通って第1レベルとは異なる第2レベルで第2制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を制御するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
さらにハウジングに連結されたバッテリーパックを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
さらに通信インターフェースを含み、前記プロセッサが前記電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を、通信インターフェースを介して受信した指示に応じて制御するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
さらに前記圧力モニタリングシステムに連結された警報システムを含み、前記プロセッサが前記圧力モニタリングシステムからの範囲外表示に応じて前記警報システムを作動するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
さらに前記酸素出口に連結された第1端部、および創傷部位に隣接した前記制限気流エンクロージャー中に配置されるように構成される第2端部を含む送達配管を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
ハウジングと、
該ハウジング内に設置されたプロセッサと、
該プロセッサに連結された圧力モニタリングシステムと、
該ハウジング内に設置され、該プロセッサに連結された湿度モニタリングシステムと、
該ハウジング内に設置された湿度パックと、
前記ハウジング内に設置され、そして前記プロセッサに連結された電力送達システムと、
前記ハウジング内に設置され、そして前記電力送達システムに連結された酸素濃縮器とを含む、創傷処置システムであって、
該プロセッサは:
第1創傷部位と第1包帯との間に提供される第1制限気流エンクロージャー中の圧を示す圧力モニタリングシステムから圧情報を受信し、ただし第1制限気流エンクロージャーは、複数の創傷部位と複数の包帯との間に提供される複数の制限気流エンクロージャーの1つである;
創傷部位に隣接する第1制限気流エンクロージャー中の圧力が、創傷部位に隣接する第1制限気流エンクロージャー中に望ましい圧力とは異なることを決定し;
酸素濃縮器により生成され、そして第1制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を制御するために、電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を制御し、ここで前記酸素濃縮器により生成される酸素流の制御に応答して、創傷部位に隣接する第1制限気流エンクロージャー中の圧力が、創傷部位に隣接する第1制限気流エンクロージャーに望ましい圧力に到達する;
前記酸素濃縮器によって経験される湿度を示す湿度モニタリングシステムからの湿度情報を受信し;そして、
該湿度情報を使用して、前記湿度パックから提供され、該酸素濃縮器によって経験される湿度を制御する、
創傷の処置システム。
【請求項12】
さらに、前記プロセッサが、
第2創傷部位と第2包帯との間に提供される第2制限気流エンクロージャー中の圧を表示する圧力モニタリングシステムから圧情報を受信し;
創傷部位に隣接する第2制限気流エンクロージャー中の圧力が、創傷部位に隣接する第2制限気流エンクロージャー中の望ましい圧力とは異なることを決定し;および
前記酸素濃縮器により生成され、そして第2制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を制御するために、前記電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を制御する、
ここで前記酸素濃縮器により生成される酸素流の制御に応答して、創傷部位に隣接する第2制限気流エンクロージャー中の圧力が、創傷部位に隣接する第2制限気流エンクロージャーに望ましい圧力に到達し、そしてここで第2制限気流エンクロージャーに望ましい圧力が第1制限気流エンクロージャーに望ましい圧力とは異なる、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
さらに、該プロセッサは
該湿度情報を使用して、前記酸素濃縮器により生成され、そして第1制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を制御するために、前記電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を制御する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
さらに、該プロセッサは
包帯により提供され、そして第1創傷部位に隣接して配置された第1制限気流エンクロージャーの温度を表示する温度モニタリングシステムからの温度情報を受信し;および
前記酸素濃縮器により生成され、そして第1制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を前記温度情報に基づき制御するために、前記電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を制御する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
さらに、該プロセッサは
包帯により提供され、そして第1創傷部位に隣接して配置された第1制限気流エンクロージャーのpHを表示するpHモニタリングシステムからのpH情報を受信し;および
前記酸素濃縮器により生成され、そして第1制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を前記pH情報に基づき制御するために、前記電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を制御する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
さらに、該プロセッサは
第1創傷部位の灌流を表示する灌流モニタリングシステムからの灌流情報を受信し;および
前記酸素濃縮器により生成され、そして第1制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を前記灌流情報に基づき制御するために、前記電力送達システムから前記酸素濃縮器へ提供される電力を制御する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
ハウジングと、
該ハウジング内に設置されたプロセッサと、
該プロセッサに連結した複数の圧力モニタリングシステムと、
該ハウジング内に設置され、該プロセッサに連結された湿度モニタリングシステムと、
該ハウジング内に設置された湿度パックと、
前記ハウジング内に設置され、そして前記プロセッサに連結された複数の酸素濃縮器と、
該酸素濃縮器に、および各創傷部位上に配置された複数の包帯により複数の創傷部位に隣接して提供される複数の制限気流エンクロージャーに連結された複数の送達配管と
を含む創傷処置システムであって、
前記プロセッサが、
それぞれの創傷部位に隣接したそれぞれの前記制限気流エンクロージャー中の圧を表示するそれぞれの前記圧力モニタリングシステムからの圧情報を受信し、
それぞれの該圧情報を使用して、それぞれの前記酸素素濃縮器により生成され、そしてそれぞれの送達配管を通ってそれぞれの前記制限気流エンクロージャーへと提供される酸素流を制御し、
前記ハウジング中の湿度を表示する前記湿度モニタリングシステムからの湿度情報を受信し、そして
該湿度情報を使用して、前記湿度パックから提供され、そして該酸素濃縮器により経験される前記ハウジング中の前記湿度を制御するよう構成されている、
創傷処置システム。
【請求項18】
さらに、
前記ハウジング内に設置され、そして前記プロセッサおよびそれぞれの前記酸素濃縮器に連結した電力送達システムを含み、ここでそれぞれの前記酸素濃縮器により生成される酸素流を制御するために、前記プロセッサが、それぞれの前記圧情報を使用することにより前記電力送達システムからそれぞれの前記酸素濃縮器に提供される電力を制御するために、それぞれの前記圧情報を使用してそれぞれの前記酸素濃縮器により生成される酸素流を制御するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記圧力モニタリングシステムが複数の圧力センサーを含み、少なくとも一部がそれぞれの送達配管に設置されている該圧力センサーのそれぞれが、それぞれの創傷部位に隣接したそれぞれの前記制限気流エンクロージャー中の圧力を示す圧情報を測定するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記圧力モニタリングシステムが圧力センサーを含み、該圧力センサーはハウジング内に設置され、該ハウジングは前記酸素濃縮器を収容し、そしてそこから前記複数の各送達配管が延びており、そして前記圧力センサーが各創傷部位に隣接した前記各制限気流エンクロージャー中の圧力を示す圧情報を測定するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
分野
本明細書に開示する態様は、組織処置システム、特に損傷した組織の治癒を加速し、そして組織の生存能を促進するための組織酸素付加システム(tissue oxygenation system)に関する。本明細書に記載する組織酸素付加システムは、糖尿病、静脈うっ滞、手術後感染、壊疸性病変、圧迫潰瘍、感染残留肢(infected
residual limbs)、皮膚移植、火傷、凍傷による皮膚の潰瘍化、および/または当該技術分野で知られている様々な他の創傷および身体状態を処置するために使用することできる。
【0002】
組織が損傷すると、創傷が生じ、そして治癒過程が始まる。用語“創傷(wound)”は、限定するわけではないが慢性的な創傷、外傷的な創傷、手術に伴い創られた創傷および/または当該技術分野で知られている他の創傷を含む場合がある。創傷内の組織を再増殖させるための細胞の最適な代謝機能は、創傷治癒の全段階で酸素が利用可能なことを求め、そして損傷された組織層が多い程、創傷治癒過程で合併症が起こる危険が増す。
【0003】
治癒困難な創傷は、創傷治癒過程への障害に遭遇し、そして創傷治癒の1つ以上の段階で遅延を経験するのが典型的である。治癒過程で遅延を経験する静脈脚潰瘍、糖尿病足潰瘍および圧迫潰瘍に最も共通して寄与する要因の一つは慢性的創傷虚血の問題である。慢性的創傷虚血は、血液供給、酸素送達および組織の十分な酸素付加のための血液要求を抑制し、正常な創傷治癒を妨げる病理学的状態である。
【0004】
実際には、治癒困難な創傷を処置する標準的医療は先進的創傷包帯(advanced
wound dressings)または包帯処置システムを提供する先進的創傷包帯の組み合わせの使用を含むのが典型的である。先進的包帯は創傷部位上か、および/または周囲の傷のない皮膚上に配置されて、創傷部位の囲いを提供する。先進的創傷包帯は、一般に湿潤創傷治癒を促進し、創傷浸出液を制御し、そして創傷バイオバーデンの制御を助ける特性を有する材料を含む。組み合わされる典型的材料要素は、限られた水蒸気透過性を提供する特性をさらに含む。包帯の水蒸気透過性が低いか、または包帯がより密閉性である程、周囲空気量は少なくなり、それにより創傷床で利用できるそれぞれの酸素量は少なくなる。100%の酸素は760mmHgの分圧を加える。周囲空気は約21%の酸素を有し、それにより約159mmHgの酸素分圧を加える。低水蒸気透過性材料を含む典型的先進創傷包帯または創傷包帯システムは、創傷部位に利用可能な酸素を与え、それにより囲まれた創傷部位の酸素分圧を約10~60mmHgに限定する。このように新鮮な空気は包帯が変わる時だけ該創傷部位に提供され、そして包帯は包帯交換が求められる前に最高7日間、創傷部位をカバーしたままである可能性がある。低酸素創傷環境を提供する先進的創傷包帯の水蒸気透過特性はそれにより、創傷治癒の全段階で酸素が利用可能であることが有利となる創傷中の組織を再増殖させる細胞の最適な代謝機能に反するよう作用する。
【0005】
治癒困難な創傷用の組織酸素付加の従来方法は、局所的高圧酸素を断続的または連続的に与えることを含む。断続的局所高圧酸素法は、密閉した四肢(sealed extremity)または部分身体室(partial body chamber)、および接続された大流量純粋酸素源を含む組織酸素付加方法である。患肢または患部領域が密閉した四肢室または身体部分室内に置かれるので、室に供給する酸素源は毎時300リット
ルを越える流量で100%までの酸素を患者に局所的に提供し、室内部を1.05%標準大気圧まで加圧し、それにより患部創傷部位での細胞処理用に利用可能な酸素を増加させる。酸素を与えている間、局所的または身体部分室内部にかけられる酸素分圧は798mmHgに達する可能性があり、そして局所的高圧酸素は約90分間加えられることになる。従来技術はまた、高圧酸素を局所的、断続的に与える複数の方法を教示している。仙骨創傷を治療する身体部分室がLoPianoへの特許文献1(1980)で説明され、そこでは酸素が静止供給タンクから接続配管を通して室の内部へ加えられる。局所的高圧酸素を与える同様な方法はDyson-Cantwellへの特許文献2(1995)でも説明され、そこでは酸素は静止供給タンクから接続配管を通して使い捨て四肢室の内部に与えられる。断続的で局所的な高圧酸素を与えるこれらおよび同様な方法は制限的で、扱い難く、全身利用無しに断続的に患部に酸素を供給出来るのみであり、そして大気圧内での最小の増加(約5%)で与えられるに過ぎない。従って、創傷への酸素治療の効果は最小となる傾向にあり、この事実は局所的高圧酸素四肢室での商業的成功の無いことにより裏付けられる。
【0006】
Schersonへの特許文献3(1996)およびMagetへの特許文献4(1998)の両方は、酸素補給を創傷床に直接与えるためにイオン特異的膜を通してイオン状態のガスの送達を利用する使い捨て装置を説明している。これらの装置は創傷上に直接付けられるバッテリー給電式で、使い捨て可能な、酸素発生包帯および方法として説明される。それら両装置は、Magetへの特許文献5(1970)によりNASA用に元々開発された同じ4つの電子式(the same 4 electron formula)の変型を使う電気化学的酸素発生を含む。創傷に与えられ得る酸素量は典型的には毎時3ミリリットルである。対応する特定の、予め選択されたバッテリーサイズと特定の指定された電流容量により特定の酸素流量が発生し、そしてこれらは“オンか、オフか”何れかの使い捨て装置として説明されている。また従来技術は、創傷部位の酸素環境下で温度変化を感知する手段を持たない使い捨て装置を説明し、特定の電流容量を有する新しいバッテリーを備えた新しい装置を得て、適用することを患者に要求せずに、変動し、または調整可能な酸素流量を送達する手段を提供しない。追加の限定事項はまた、固定式で変更出来ない酸素流量の使用とも関連する。
【0007】
創傷治癒を加速し、そして組織生存能を促進するために、損傷組織用に制御した高酸素および低酸素創傷環境を創る連続的酸素調整能力を患者の創傷(1もしくは複数)に提供する従来の組織酸素付加装置は存在しない。特に従来技術の何れも、現実的流量、創傷部位の分圧、および有利には創傷部位の温度、pH値および/または他の局所的状態に基づいた連続的酸素調整能力を教示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4,328,799号明細書
【文献】米国特許第5,478,310号明細書
【文献】米国特許第5,578,022号明細書
【文献】米国特許第5,788,682号明細書
【文献】米国特許第3,489,670号明細書
【発明の概要】
【0009】
要約および説明
本明細書に開示する態様は、改良された組織酸素付加装置および創傷モニタリングシステムを含む。それらの態様は一般に、創傷床に、またはその近くに配置するための酸素送達用マイクロボアチューブと制限空気流エンクロージャー(restricted air flow enclosure)を提供するための配管および創傷部位をカバーする
創傷包帯とを含む。配管は配管の遠位端部にまたはその近くに多数孔を有する場合があり、そして配管の遠位端部に取り付けられる、一般に平坦で、柔軟で、酸素透過性のテープまたは膜部分を有する場合がある。配管は柔軟であり、耐キンク性の内部管腔を有する場合がある。配管は温度センサーを有する場合がある。配管は圧力センサーを有する場合がある。配管は酸素分圧センサーを有する場合がある。配管の近位端部は酸素源に接続される。配管の近位端部は、酸素を与える時の気密シール用と、包帯適用中に酸素源からの取り外し用と、ポート・ルアー型(port Leur-type)ロック機構を有することができる。酸素源は管の近位および遠位端部と連絡しており、そして交流または直流電流が供給される電気化学的酸素濃縮器と、電力管理プロトコルを使用した電力管理装置と装備される場合がある。可変電気化学的酸素濃縮器は、創傷部位の変動する目標パラメーターを充たすように酸素流量を変えることにより本開示の態様に従うよう使われる。酸素流量は創傷床圧力および、有利な場合、温度環境を周期的または連続的にモニターするシステムにより調整される。加えて、システムは配管圧力をモニターし、酸素流量を目標設定点に従うよう調整することができる。創傷部位でモニターされた酸素の変化および目標酸素圧、有利な場合では創傷部位の温度、湿度、pHまたは灌流に応答して酸素流を調整することは、治癒過程を短縮し得る管理された高酸素創傷環境を提供する。本モニタリングシステムはさらに圧力、温度、湿度、pH,灌流または流量が範囲外に出た時に警報を提供する場合がある。
【0010】
ある状況では過剰酸素圧(すなわち22mmより高いHg)が動脈循環を閉塞し、そして低下した局所的組織循環、および場合により局所的組織損傷へ導く恐れがある。装置設計の態様は、圧力が安全限界を越えないように如何にして装置が酸素圧を制御するかに取り組むことになる。四肢用の従来の局部酸素室と異なり、本システムは、患者の肢が挿入される室内部のシールされた酸素リッチな環境を作らない。代わりに、酸素は携帯式装置内のプロトン交換膜により発生され、毎時3ミリリットルから10ミリリットルの速度でマイクロボア配管を経由して創傷部位へ送達される。創傷部位は、肢全体が密閉された室内に挿入される代わりに、閉鎖性創傷包帯によってカバーされるだけなので、その部位および肢付近の酸素圧は標準大気圧を越えることは決してない。
【0011】
いくつかの態様では、装置は、バックライトディスプレーターミナルまたはタッチスクリーン液晶ディスプレー、データ入力キーパッドまたは装置機能制御ボタン、創傷またはハウジング温度モニタリングシステム、創傷または装置湿度モニタリングシステム、バッテリーおよび酸素圧警報システム、デジタルカメラ、患者データ入力およびメモリーシステム、データポート、無線データアクセスおよび/または以下に検討する他の構成要素を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示およびその利点のより完全な理解は、添付する図面と一緒に下記説明を参照することにより得られる。
図1A図1Aは組織酸素付加システムの態様を具体的に説明する斜視図である。
図1B図1B図1Aの組織酸素付加システムの態様を具体的に説明する前面図であり、そして図1Bは患者の多数の創傷を処置するために使用される。
図1C図1Cは創傷部位の態様を具体的に説明する断面図であり、図1Aの組織酸素付加システムで使用され得る酸素送達配管の遠位端部を示す。
図2A図2A図1Bの酸素送達配管の遠位端部の態様を具体的に説明する側面斜視図であり、酸素送達配管に固定された一般に平坦で、柔軟な酸素透過性のテープまたは膜部分の断面を示す。
図2B図2Bは、図1Bの酸素送達配管の態様を具体的に説明する端面図である。
図3図2Bの酸素送達配管の遠位端部の態様を具体的に説明する側面上図である。
図4図1Aの組織酸素付加システムで使用することができるハンドセットの態様を具体的に説明する斜視図である。
図5図1Aの組織酸素付加システムの態様を具体的に説明する概略図である。
図6A図6A図1Aの組織酸素付加システムで使用することができる電解槽/濃縮器の態様を具体的に説明する上平面図である。
図6B図6Bは、図6Aの電解槽/濃縮器の態様を具体的に説明する側面平面図である。
図6C図6Cは、図6Aの電解槽/濃縮器の態様を具体的に説明する分解斜視図である。
図7図1Aの組織酸素付加システムで使用することができる組織酸素付加を制御するための方法の態様を具体的に説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の態様は種々の変形および代替形が予想されるが、それらの特定の例示態様が図面の例により示され、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本明細書の特定態様の説明は、本開示を特定形式に限定することを意図せず、むしろ添付する請求の範囲により定められる本開示の精神および範囲内に入る全ての変形、均等物および代替物を網羅するものとすると理解されるべきである。
【0014】
詳細な説明
損傷組織の治癒および組織生存能を促進するための組織酸素付加システムのいくつかの態様を、図面を参照してこれから詳細に説明する。
【0015】
図1Aは創傷に酸素を提供する本開示の組織酸素付加システムのいくつかの構成要素の斜視図である。具体的に説明する態様にはモニタリングユニット10,電気化学的酸素濃縮器11,酸素送達配管12,湿気吸収包帯14,および蒸気透過性包帯16を含む。酸素送達配管12は(図1Aで具体的に説明する比較的長い耐キンク性配管の近位端部15で)モニタリングユニット10に接続される場合がある。一態様では、モニタリングユニット10は比較的小さく軽量なハウジングを備え、該ハウジングは携帯可能であり、そして患者によりポケット内に個別に装着され、ベルトに付けられ、および/または当該技術分野で知られている他の様々な方法で身に着けることができる。
【0016】
モニタリングユニット10はハウジング13内に、任意のまたは全てのマイクロプロセッサ58(図4よび5参照)、電力管理システム52,1もしくは複数の圧力センサー30aまたは圧力センサーインターフエース、1もしくは複数の温度センサー32aまたは温度センサーインターフエース、1もしくは複数の流量センサー54または流量センサーインターフェース,入力ポート62およびユーザーエントリーポート66を含む場合がある。モニタリングユニット10は、さらにハウジング13内に、任意または全ての1もしくは複数のpHセンサー34aまたはpHセンサーインターフェース、1もしくは複数の灌流センサー36aまたは灌流センサーインターフェース、および1もしくは複数の湿度センサー38aまたは湿度センサーインターフェースを含む場合がある。電気化学的酸素濃縮器11はハウジング13内に配置される場合がある。マイクロプロセッサ58は、電力を制御するため、それぞれがハウジング13に含まれるか、ハウジング13内の対応するインターフェースに連結されている流量センサー(1もしくは複数)54、圧力センサー(1もしくは複数)30a、pHセンサー(1もしくは複数)34a、灌流センサー(1もしくは複数)36a、湿度センサー(1もしくは複数)38a、および温度センサー(1もしくは複数)32aから種々の読み取り値を集めるため、配管12へ送達するために電気化学的酸素濃縮器11による周囲空気のイオン精製を制御するため、そしてモニタリングユニット10の情報表示上に情報を提供するために機能する場合がある。マイクロプロセッサ58は、ユーザーエントリーポート66および入力ポート62を通して、BLUETOOTH(商標)、WiFi(商標)を介しておよび/または当該技術分野で知られている他の無線技術を介して無線で、および/または他の通信システムを使用してデータを受信することができ、特定患者に関する情報を含むそのデータを用いて、装置にシステム誤作動がある場合の情報、および/または本開示の知識を有する当業者には明白な他の情報を再プログラミングすることができる。
【0017】
さらに、図1Bおよび2Aから分かるように、配管12の遠位端部17は柔らかく、可撓性があり、酸素透過性があるテープまたは膜部分29を含むか、またはそれに連結することができ、テープまたは膜部分29は患者の肢19の損傷した組織または創傷部位20上またはその付近に配置され、そして湿気吸収性包帯14で覆われることができ、包帯14はさらに低蒸気圧透過性で密閉性の包帯16によりカバーされる。
【0018】
一態様では、酸素は、創傷部位20へ耐キンク性管12を通して送達され、管12はモニタリングユニット10のハウジング13の酸素濃縮器出口にその近位端部15で接続されている。さらにいくつかの態様ではモニタリングユニット10のハウジング13の酸素濃縮器は複数の酸素出口を含む場合があり、そして複数の耐キンク性配管12は近位端部15で酸素濃縮器のそれぞれの出口に接続される場合があり、各遠位端部17は図1Cで具体的に説明するように、患者の複数の異なる損傷組織または創傷部位20に配置され、そして低蒸気圧力で透過性の密閉性包帯16で覆われる。図1Cで処置されているのは患者の二つの創傷部位だけだが、本開示の知識を有する当業者は、例えば酸素濃縮器の出口を増すことにより、モニタリングユニット10のハウジング13により多くの酸素濃縮器を装備することなどにより、同様な方法で任意の数の創傷を処置できると認識するだろう。
【0019】
図2Aで具体的に説明するように、一態様では、各配管12の遠位端部17上には柔らかく、可撓性のある酸素透過性平坦テープまたは膜29が接続され得る。センサーワイヤ30および32が各チューブ12の管腔を通って延びて、上記で説明したモニターユニット10のハウジング13に含まれる任意のセンサーまたはセンサーインターフェースに通信する。例えばセンサーワイヤ30および32は、温度センサー(1もしくは複数)32、酸素分圧センサー(1もしくは複数)30、流量センサー(1もしくは複数)54、湿度センサー(1もしくは複数)38a、pHセンサー(1もしくは複数)34a、灌流センサー(1もしくは複数)36a、および/または各創傷部位に配置され、そしてその情報をマイクロプロセッサ58に提供する他のセンサーと通信する場合がある。他の態様では、センサーワイヤは排除されてもよく、そして温度、圧力、流量、pH、灌流、湿度および/または他の創傷環境測定は、モニターユニットハウジング内の酸素濃縮器の各出口で測定される場合がある。
【0020】
図2Bで具体的に説明するように、いくつかの態様では、配管12aは創傷処置を有効にモニターするために必要な場合があるいくつかの管腔、センサーおよび/または他のサブシステムを含む場合がある。特に、図2Bは配管12aの端面図を図解し、そしてモニタリングユニット10内に収容される電気化学的酸素濃縮器11の出口出力側に接続出来る長さを有する配管12Aを表す。この様な配管長はモニタリングユニットが個別に着用され、同時に創傷部位20に連続的に酸素を送達することを可能にする。配管の内側管腔またはボア18aは、配管のキンク作用を避け、かつ/または配管12aが曲げられても酸素流を可能にするために、図2Bの星形のような形状で提供される場合があるが、他の管腔18aの形状も類似の利点を提供することができる。創傷部位に、またはその近くに配置される場合がある酸素分圧センサー19aは、配管12A内に配置され、そして圧力モニタリングシステムおよび/またはマイクロコントローラと通信して酸素流量調整、視覚的圧力表示、範囲外警報および/または当業者には明白な他の利点を可能にする場合がある。これも創傷部位またはその近くに配置される場合がある温度センサー21aは、配管12a内に配置され、そして温度モニタリングシステムおよび/またはマイクロコント
ローラと通信して温度の視覚的表示、範囲外警報を可能にする場合があり、適当ならばマイクロプロセッサ58を介して酸素調整を可能とし、および/または当業者には明白な他の利点を提供する場合がある。さらにこれらもまた創傷部位に、またはその付近に配置される場合があるpHセンサー、灌流センサーおよび/または湿度センサーは、同様に配管12a内に配置される場合があり、そしてpHモニタリングシステム、灌流モニタリングシステム、湿度モニタリングシステム、および/またはマイクロコントローラと通信して、pHの視覚的表示、灌流、相対湿度、範囲外警報を可能にする場合があり、適当ならばマイクロプロセッサ58を介して酸素調整を可能とし、および/または当業者には明白な他の利点を提供する。
【0021】
図3は配管12aの遠位端部の一態様の側面図であり、この配管は、創傷への酸素送達の助けとなるように配管12aの遠位端部側に沿って形成された複数の孔23を含む場合がある。使用時、酸素は配管12aを通り創傷部位へ流れFで提供される場合があり、そして多数孔23を通って創傷床に入る場合がある。酸素は星形の管腔18aの遠位端部を通って流れることもできるが、いくつかの態様では配管12aの遠位端部の多数孔は創傷部位20への酸素の流れの改善を可能にする。
【0022】
図1Bは創傷部位20を、創傷部位20の上またはその付近に置かれた酸素分配テープ29を有する酸素送達配管12の遠位端部17と共に説明するが、いくつかの態様ではテープ29は損傷組織への酸素の最適送達のために創傷部位の中央上に置かれてもよい。いくつかの態様では創傷が100%に近いO2で飽和される場合がある。湿気吸収包帯14は創傷部位に置かれ、酸素送達配管12のテープ端部と創傷部位とをカバーする。本開示の知識を有する当業者は、治癒困難創傷用の医療プロトコルの典型的標準を提供する種々の湿気吸収包帯が、上記のように酸素送達配管12を利用できることを理解するであろう。次いで制限気流エンクロージャーを作成するために、低水蒸気透過性包帯16が、湿気吸収包帯14,配管12のテープ端部および創傷部位20をカバーするために使用され得る。いくつかの態様では、低水蒸気透過性包帯16は透明で、密閉包帯(occlusive dressing)と考えられる場合がある。密閉包帯は創傷部位上に酸素を閉じ込め、酸素豊富な環境を創り、維持するように作動する場合がある。いくつかの態様では、創傷部位20での局所的酸素分圧は、10から60mmHgの低い範囲から200から760mmHGの酸素豊富な環境範囲まで増加させてもよく、増加した利用可能な酸素は細胞レベルで代謝されることができ、成長因子の増加、上皮形成、肉芽組織、グリコサミノグリカン生産およびコラーゲン合成および/または当該技術分野で知られている他の創傷治癒因子の促進を刺激する。一態様では、創傷部位での酸素分圧はハウジング13内の圧力モニタリングシステムおよび/またはマイクロプロセッサに通信され得る。酸素分圧センサーはデータをマイクロプロセッサ58へ供給し、このマイクロプロセッサ58は濃縮器11への電力流(電流量)を制御するために使用でき、これは次に濃縮器のO2生産の増加または減少を生じて創傷部位へのO2流量を変化させることができる。いくつかの態様では酸素分圧センサーは導電性センサーであってもよいが、本開示の範囲を維持してこの圧力を測定する他のシステムが利用されてもよい。
【0023】
図4は本開示の組織酸素付加システムの構成要素を収容することができるハンドセットの斜視図であり、一方、図5はそれら構成要素の概略図である。使用時、モニターハウジング13は電気化学的プロセスにより約21%の酸素を含む周囲空気50を空気入口40を通して引き入れる場合がある。次いで周囲空気50はイオン交換酸素濃縮器11を通過でき、濃縮器は99%の純粋酸素である気流を創るよう周囲空気50の酸素を濃縮するように作動する。電力管理システム52はイオン交換酸素濃縮器11に供給する電流を制御する場合があり、それにより酸素流量をイオン交換酸素濃縮器11に供給される電流量に適合させ、すなわち電流の増加は電気化学的プロセスを高め、それにより創傷部位20へのそれぞれの酸素流量を高め、そして電流の低下は電気化学的プロセスを低下させ、それ
により創傷部位へのそれぞれの酸素流量を下げることになる。いくつかの態様では電力管理システム52はリチウム電池(例えば、3.7V)、および約20ミリアンペアから約140ミリアンペアの範囲にわたり電流を変動させて作動する調整器を含む場合があるが、他の態様ではその範囲は約7ミリアンペアから約70ミリアンペアでもよい。いくつかの態様ではこの電流変動範囲は、毎時約3.0ミリリットルから毎時約20.0ミリリットルの範囲のO2流量となる場合があるが、他の態様ではその範囲は毎時約3.0ミリリットルから毎時約10.0ミリリットルとなり得る。
【0024】
濃縮されたO2は次いで酸素送達ポート54を通ってハウジングを出る。酸素送達配管12の近位端部15はルアー型ロック用取付部品または当該技術分野で知られている他の取付部品を有する酸素送達ポート54に接続されて、配管12との気密を維持し、そして配管12がその濃縮O2を創傷部位へ送達できるようにする。
【0025】
図2Aおよび5で具体的に説明するように、配管12または12aの圧力センサー30aまたは19a、および一部態様では温度センサー32a/21aは、マイクロプロセッサ58と通信する。さらにpHセンサー34a、灌流センサー36a,および/または湿度センサー38aも、マイクロプロセッサ58と通信することができる。マイクロプロセッサ58は電力管理システム52と通信して、患者の創傷治癒用の酸素要求の変化を最適に満たすプログラムされたアルゴリズムに従い、創傷部位への酸素流量(センサー54で感知される)を調整することができる。一つの態様では、複数の配管12または12aが酸素濃縮器と多数の創傷部位の間に接続される場合(図1Cで説明するように)、マイクロプロセッサ58は電力管理システム52と通信して、各創傷に対して必要な患者の創傷治癒酸素の変化を最適に満たすプログラムされたアルゴリズムに従い、各個別の創傷部位への酸素流量(それぞれのセンサー54により感知される)を調整することができ、この各創傷は異なる場合があり、したがって異なる酸素流量および/または本開示の知識を有する当業者には明白となる他の処置の特性を要求する場合がある。
【0026】
図6A,6Bおよび6Cに転ずると、電気化学的酸素発生器/濃縮器11が具体的に説明される。説明する態様では、濃縮器の独特な設計はより頑丈なポンプユニットを与える。例えば酸素送達配管がキンクしたり、または閉鎖する時があり、従来技術の濃縮器では、濃縮器は何等かの僅かな背圧の結果として破裂する。本明細書に開示する態様の濃縮器は、放出が閉ざされた時破裂しない。さらにシステムは患者に酸素流/圧力が範囲外になったことを知らせるよう警報を出し、これにより患者に送達配管をチェックさせるように構成されている。多数の配管が多数の創傷部位へ提供される場合、システムはそれら配管のどれが範囲外の酸素流/圧力を含むのかを患者に知らせる警報を与えることができ、これにより患者が複数の送達配管のどれが警報を発しているのかチェックできるようにする。酸素流の閉塞が起こった時、可聴警報が鳴り、そしていくつかの態様では可視警告灯が点灯する場合がある。例えば警報は2分間鳴る場合がある。一態様では、警報はモニタリングハウジングのミュートボタンを押すことにより鳴り止み、これはユーザーが該システムを故障調査する間、15分間可聴警報を止めることが可能であり、この検査は配管のキンクや配管を加圧する対象を、または包帯下の創傷部位で起こった可能性がある閉塞を調べることを含む場合がある。
【0027】
図6Aは濃縮器11の平面図であり、陽極プレート72上に乗る陰極プレート70を示す。図6Bは濃縮器11の側面図である。帯電プレートの各々は、カーボン繊維織布膜上に置かれた0.85平方インチのチタン網を有する炭素が裏打ちされた金属化基板を含む場合があり、これはナフィオン(登録商標)(NAFION(商標))酸素移送膜に電気伝導用の完全カバー面積を提供する場合がある(ナフィオン(登録商標)はデュポン(DuPont)の登録商標であり、スルホン化テトラフルオロエチレン共重合体であり、これはプロトン交換膜(PEM)用プロトン伝導体として当該技術で周知である)。
【0028】
図6Cは濃縮器11の分解斜視図である。PEM膜74はトルク印加用のねじ式ファスナーにより陰極70および陽極72の間で完全に圧縮される場合がある。ヒジ80を陽極板72に付ける場合がある。このプレートへの電気的接触および伝導はチタン網基板への銅片の取り付けにより達成される場合がある。印加される圧縮力は2枚の金属面への必要な付着を提供する。次いで銅片はエポキシ樹脂で帯電プレートへ取り付けられる。
【0029】
周囲空気は入口82を通って濃縮器に入るが、この入口は、水蒸気およびガスを通過させ、一方、濃縮器に入る混入物を防ぐようにするフィルター膜84によりカバーされる。次いで濃縮O2は放出バルブ80の外へ放出されるが、このバルブはハウジング13内の放出部54と連絡している。
【0030】
図7は上記システムを使用した組織酸素付加を制御する方法の流れ図を具体的に説明する。ブロック90でモニタリングユニット10が始動され、または電源が入ると、マイクロプロセッサ58は全センサーおよびPEMセルをブロック92でキャリブレートすることができる。各PEMセルおよび各センサーはそれら自身の特定の機能的特性を有するので、本明細書に記載する態様は精密な流量を保証するためにセンサーおよびセルをキャリブレートする。
【0031】
キャリブレーションがブロック94で成功したならば、次いでマイクロプロセッサはユーザーから望ましい流量をブロック95で得る。一つの態様では、望ましい流量は介護者(例えば患者の医師または看護師)から、またはモニタリングユニット10の製造元から遠隔で受信することができる。次いで所望の流量を設定するためにPEMから出力すべき電流をブロック96で計算することができる。次いでマイクロプロセッサは流量センサー54からの入力を受信し、そして設定流量が到達されたかどうかをブロック97で決定し、そしてもし到達されないなら、プロセッサは再び電流を変動するよう該センサーおよびPEMセルに求めることができる。もし該設定流量がブロック97で到達されたなら、次いでマイクロプロセッサはブロック98でPID制御モードに入ることができる。次いでこの流量は、圧力モニタリングシステムおよび流量センサーからの入力に基づき調整され得る。マイクロプロセッサはまた、流量および(適当な場合)温度をモニターディスプレースクリーン68上に表示する場合がある。比例制御モードでは、マイクロプロセッサは連続的に実際の流量を試験して、センサーおよびPEM効率の変動を見るフィードバックループを使って現実の流量が維持されることブロック99で保証する場合がある。
【0032】
一態様では、流量は最高限界まで調整可能であり、これは比較的高い流量を与えることができる。例えば流量は毎時数百ミリリットルを越える流量が必要な全肢または患者の身体の部分を処置するような比較的高いレベルに設定することができる。そのような態様では、ほとんどの応用で毎時100mlの流量で十分となり得るが、本開示の範囲内であるようにより高い流量も想定される。多数の創傷部位へ酸素を送達するために多数の配管が使用される態様では、特定の創傷部位への特定の配管に対する流量は、他の創傷部位への配管の流量とは異なって設定することができ、そしてその創傷および/または創傷特性に基づく場合がある。より高い流量を達成するために、モニタリングユニット10にはより大きいバッテリーまたはPEMセルが装備され、充電間により長い操作時間を提供することができる。例えばモニタリングユニット10には十分なバッテリーが装備されて充電なしに24時間、作動する場合がある。さらに多数のPEMセルまたはバッテリーが並列に配列され、より高い流量が望まれる場合に、そのような出力流量を達成する場合がある(例えばより大きい創傷、多数の創傷等に)。
【0033】
いくつかの態様では、湿度パックがハウジング13内の濃縮器11に装備され得る。いくつかの態様では、検出される湿度が低い場合(例えば閾値未満)に、湿度パックはモニ
タリングユニット10に挿入する場合があり、あるいはハウジング13内に存在して、検出される湿度が低い時のみ作動するか、あるいはハウジング13内の所望の湿度を常に維持するように作動する場合がある。いくつかの態様では、モニタリングユニット10は燃料セル(すなわちPEMセル)の空気中の湿度をモニターすることができ、そして装置の機能または効率に影響を及ぼす可能性がある湿度未満のレベルに落ちた場合、ユーザーに警告することができる。例えば湿度が下がりすぎた場合、PEMセルは乾燥しきって効率的ではなくなり、これは同じ流量を達成するために追加の電力を必要とする可能性がある。すなわち湿度が下がりすぎた場合、低湿度を補うためにどのくらいの電力を使用できるかについては限界があるので流量が下がる可能性があり、したがって湿度パックはそのようなことが起こらないようにハウジング内の適切な湿度を確実にするために使用することができる。
【0034】
いくつかの態様では、湿度パックは別のモジュールとして装備され、そして場合によってはバッテリーパックに付けられてもよい。いくつかの態様では、湿度パックは使い捨てであり、使用後に捨ててよい。他の態様では湿度パックに水を加えることにより湿度パックを再充填することができる。例えば再充填可能な湿度パックは別の再充填チャンバーを含むことができ、そこから必要に応じて湿度パックを再充填するために水を運ぶことができる。このようにモニタリングまたは警報システムが装置に含まれて、湿度が閾値未満に下がった場合、可聴および/または可視表示を介してユーザーに警告することができ、そしてまたその警報システムはグラフでの、音響での、または文書での指示を使用してユーザーが上記のように湿度パックを交換または再充填する手順を、または必要に応じて関連する問題解決を援助することができる。
【0035】
いくつかの態様では、ハウジング13内のモニタリングユニット10のバッテリーは交換可能であるが、他の態様ではハウジング13内のモニタリングユニット10のバッテリーは充電可能である。
【0036】
いくつかの態様では、モニタリングユニット10のプロセッサは、製造元、介護者およびまたは患者、装置、装置の使用に関連する任意の他のエンティティに対するデータ、および/または上記のように生じた他の情報を記録し、そして報告することができる。例えばモニタリングユニット10は任意の、またはすべての:オフローディングに関する患者の承諾、創傷包帯の交換に関する患者の承諾、包帯への配管の適切な接続に関する承諾、創傷への包帯適用に関する承諾、および/または当該技術分野で知られている他の承諾情報に関して記録し、そして報告することができる。さらに患者の活動レベルを記録することができる。さらに尚、モニタリングユニット10が作動している時期および期間、装置が正しく充電されているかどうか、装置の性能(例えば効率、流出、または他の特性)、環境条件(例えば湿度または温度)、装置の位置(例えば全地球測位システム(GPS)、Bluetooth、Wi-Fi等を使用して決定される)のようなモニタリングユニット10の状態に関する情報、および/または当該技術分野で知られている他の装置の状況に対する情報を記録し、そして報告することができる。
【0037】
一つの態様では、日付の記録に基づく報告警報は、患者、介護者、装置の製造元および/または所望により他のエンティティに送ることができる。いくつかの態様では、報告警報は記録された情報の深刻度に依存して送ることができる。例えば装置の性能に関する警報のような患者には修正することができない問題について、装置が障害を受信し、そして交換が必要になったかもしれないことが示された場合に、介入することができる装置の製造元にのみ警報を送ることができる。同様に、オフローディングまたは包帯の交換に関する承諾のような、創傷モニタリングシステムが患者または患者の行動に影響を及ぼし得る問題を経験した場合、警告は患者および介護者に伝えられ、患者およびまたは介護者のいずれか(または双方)が早く対処して最適な結果を生じるようにすることができる。いく
つかの態様では、患者が介護者または装置の勧告に不満である場合、祝いや励ましの言葉または警報を患者に送り、患者を確実に後の承諾に従わせることができる。そのように記録および/または報告されるいかなる情報も、警報または他の報告がエンティティに送られるべきかどうかについて決定するために、装置または別のシステムにより分析される場合がある。
【0038】
いくつかの態様によれば、創傷モニタリングシステムまたはモニタリングユニットは、例えばGSMまたはLTE携帯通信装置のような通信装置70により提供される通信能力を有する場合がある。さらに通信装置70を有する創傷モニタリングシステムまたはモニタリングユニット、これはWi-Fi(例えば802.11a/b/c/d/n)通信装置を含む場合がある。また創傷モニタリングシステムまたはモニタリングユニットは、近距離(near field)通信または他の高周波(radio frequency)通信機能、例えばBluetoothを含む場合があり、創傷モニタリングシステムまたはモニタリングユニットと他の装置、例えば患者または介護者の携帯電話または他のコンピューターシステムとの間の近い範囲でのデータ伝達を可能にする。
【0039】
創傷モニタリングシステムまたはモニタリングユニットは、電力管理システム52により実行される様々な電力制御機能を含む場合がある。一態様では、モニタリングユニットはいったん作動させれば電源が入ったままである場合があり、そして患者が装置を切ることに対して特別なオーバーライドを要求する場合がある。例えば、特別なオーバーライドには、装置のスイッチを入れるために使用するものとは異なる装置のスイッチを切るためのボタンを含む場合がある。別の態様では、モニタリングユニットは装置の電源を切ることに対して患者からの確認を要求する場合がある。さらに別の例では、モニタリングユニットは装置の電源が切られる前に電源を切るボタンの長押しを患者に要求する場合がある(例えば2秒)。2,3の例を提供したが、他の様々な電力制御機能が本開示の範囲内で実現される。
【0040】
また他の制御機能も創傷モニタリングシステムまたはモニタリングユニットのいくつかの態様に含む場合がある。一態様では、システムがシステムをネットワークにつなぐコミュニケーション装置を含む場合、創傷モニタリングシステムに遠隔で電源を入れ、電源を切り、そして種々の様式で制御することができる。例えばもし患者がつけている装置、または借りている装置に関する十分な支払いがなされていない場合、装置の使用を可能にする支払いの要求を強制するために、創傷モニタリングシステムは遠隔でスイッチを切られる場合がある。別の例では、創傷モニタリングシステムは、装置を失くしたり、盗まれたりしたと報告された場合、遠隔で電源を切られる場合がある。いくつかの態様では、装置の製造元または介護者は、創傷モニタリングシステムとの周期的な通信を要求して継続的使用の承諾または権利を確実にすることができる。例えば装置との前回の通信からかなりの時間が経過している場合、装置は注意喚起のために遠隔で作動不可にされ得る。別の例では、装置は技術者または製造元による問題解決のために遠隔でも再起動させる場合があり、またはシステムの電源を入れ/切る(power cycled)場合がある。
【0041】
いくつかの態様では、創傷モニタリングシステムまたはモニタリングユニットはさらに相対湿度レベルのモニタリングをし易くすることができる相対湿度センサーを含み、これは状況によっては湿度パックの作動、装置が集めた診断データまたは性能データの送信、介護者または製造元からの援助の要請、患者、介護者または製造元への警告シグナルの規定のような様々な他の事象、および/または当該技術分野で知られている他の警報または事象を開始する(trigger)ために使用することができる。
【0042】
いくつかの態様では、モニターディスプレイスクリーン68が、例えばフィードバック情報のような追加情報を患者または介護者に提供することができる。例えばフィードバッ
ク情報には、低バッテリー警報、閉塞警報、低湿度警報等のような装置からの自動化警報、サーバー側フィードバックのような製造元からの情報、または指示に対する承認について正の強化のような顧客のサービスに関するフィードバック、潜在的問題(例えば配管または包帯が正しく連結していない時)の警報、承諾に関するものではない警報、および/または当該技術分野で知られている他のフィードバック情報を含む場合がある。
【0043】
いくつかの態様では、追加の構成要素、装置またはセンサーは、上で検討したように配管内に備えられ得る温度センサーに加えて、温度を感知または検出するために使用する場合がある。例えば熱電対、サーミスタ、ホイートストンブリッジ、および/または他の温度測定サブシステムがモニタリングユニット10に具備されるか、または連結され得る。そのような温度測定サブシステムは、創傷包帯に組み込まれるか、ハウジングに対して外部にあるか、および/または創傷部位から離れて患者に付けられる場合がある。例えば別の温度測定サブシステムは創傷床に直接配置され、創傷トンネル(tunnel)に挿入され、または包帯材料の上、例えば包帯の非接着層に配置される場合がある。さらに別の温度測定サブシステムについて、温度測定サブシステムの位置についての表記法または他の表示を装置のメモリーに作成して、異なる場所の温度測定サブシステムに基づき決定され得る創傷部位からの潜在的な温度のずれを追跡し、そして報告することを可能にする場合がある。いくつかの態様では、マイクロプロセッサまたは装置の他の構成要素は、異なる種類の包帯または装置に付けられた温度測定サブシステムを検出する能力を含む場合がある。
【0044】
いくつかの態様では、温度測定サブシステムは平坦なテープ、小バルブ、ロッドまたは当該技術分野で既知の他の温度測定サブシステム構成の状態で装備され得る。そのような温度測定サブシステムは、温度測定センサーデータを作成するために使用でき、創傷中の経時的な平均温度変化をモニターするために使用でき、これらは場合によっては創傷の治癒状態の変化を示すことができる。例えば感染または新たな毛細管の成長は、温度変化から明らかとなり得る。また温度データは、包帯または温度測定センサーが創傷上に正しく配置されているかどうか(または創傷全体の上に配置されているかどうか)、どのくらいの頻度で包帯が交換されるか、患者は創傷を見るために頻繁に包帯を開いているかどうか、および/または当該技術分野で既知な他の承諾に関連する事象のような、患者の承諾をモニターするためにも使用できる。一態様では、温度測定センサーからのデータは、上で検討した任意の他のセンサーからのデータ(例えば灌流データ、pHデータ、圧力データ等)と組み合わせて、分析を患者の承諾、創傷状態および/または他の因子について改良することができる。
【0045】
いくつかの態様では、上で検討したもの以外の追加の構成要素、装置またはセンサーを使用してpHレベルを検出することができる。例えば創傷用包帯とは独立して、ならびに創傷用包帯に組みこまれたpHセンサーを装備する場合がある。そのようなpHセンサーは、創傷床に直接配置され、創傷トンネルに挿入され、または包帯材料の上、例えば包帯の非接着層に配置される場合がある。いくつかの態様では、異なるpHセンサーの位置についての表記法または他の表示を装置のメモリーに作成して、異なる場所のpHセンサーによる潜在的なずれの追跡を可能にする。例えばpHセンサーが創傷用包帯に組み込まれる場合、その包帯の種類、およびそのpHセンサーの種類が装置のメモリーに加えられる。いくつかの態様では、装置は装置に取り付けられた異なる種類の包帯またはpHセンサーを検出する能力を含む場合がある。
【0046】
いくつかの態様では、pHセンサーは平坦なテープ、小バルブ、ロッドまたは当該技術分野で既知の他のpHセンサー構成を装備する場合がある。pHセンサーデータは創傷中の経時的なpHレベルの変化をモニターするために使用でき、これは創傷の治癒状態の変化を示すことができる。例えばpH変化は新たな毛細管の成長または感染を示すことがで
きる。さらにpHセンサーからのデータは、包帯またはpHセンサーが創傷上に正しく配置されているかどうか(または創傷全体の上に配置されているかどうか)のような患者の承諾もモニターするために使用できる。例えばpHセンサーは機能するために液体を必要とし、そして創傷が乾燥しきった場合に異なる出力を提供する場合がある。またpHセンサーからのデータは、創傷クリーニングの頻度を決定するために使用でき、および/または温度、灌流または圧力プローブまたはセンサーからのデータと組み合わせて、患者の承諾または創傷状態の分析について決定をさらに改良することができる。
【0047】
いくつかの態様では、追加の構成要素、装置またはセンサーを使用して灌流レベルをモニターすることができる。灌流のモニタリングは、創傷への相対的および/または絶対的な血流量を検出する方法を含む場合があり、そしていくつかの態様では、さらに創傷床内の組織の相対的および/または絶対的酸素飽和度を検出することを含む場合がある。例えば灌流モニタリングセンサーは、反射型フォトプレチスモグラフ(reflective
photoplethysmograph)を含む場合がある。上記温度モニタリングセンサーおよびpHセンサーと同様に、灌流モニタリングセンサーは、創傷用包帯からは独立してよく、ならびに創傷用包帯に組み込まれてもよい。例えば別の灌流モニタリングセンサーは創傷床に直接配置され、創傷トンネルに挿入され、または包帯材料の上、例えば非接着層に配置する場合がある。さらに異なる灌流モニタリングセンサーの位置についての表記法または他の表示を装置のメモリーに作成して灌流モニタリングセンサーの異なる場所による創傷部位からの潜在的な灌流のずれの追跡を可能にする。一態様では、マイクロプロセッサまたは装置の他の構成要素は、装置に取り付けられた異なる種類の包帯または灌流モニタリングセンサーを検出する能力を含む場合がある。
【0048】
いくつかの態様では、灌流モニタリングセンサーは平坦なテープ、小バルブ、ロッドまたは当該技術分野で既知の他の灌流モニタリングセンサー構成の形態を有する場合がある。灌流モニタリングセンサーデータは経時的な創傷の灌流における変化について創傷をモニターするために使用でき、これは場合により創傷の治癒状態の変化を示すことができる。例えば感染または新たな毛細管の成長は、灌流の変化の証拠となり得る。また灌流データは、包帯または灌流モニタリングセンサーが創傷上に正しく配置されているかどうか(または創傷全体の上に配置されているかどうか)、どのくらいの頻度で包帯が交換されるか、患者は創傷を見るために頻繁に包帯を開いているかどうか、および/または他の承諾に関連する事象のような、患者の承諾もモニターするために使用できる。いくつかの態様では、灌流モニタリングセンサーからのデータは、上記の温度データ、pHデータまたは圧力データのような他のセンサーからのデータと組み合わせて、患者の承諾または創傷状態の分析について決定をさらに改良することができる。
【0049】
このようにデータ入力キーパッド64と機能制御ボタン65により処理するために、創傷モニタリングシステムは、患者データおよび治療コマンドが装置と介護者または患者との間で通信できるようにする。データポート66はデータをアップロードまたはダウンロードするため使用することができる。モニタリングシステムは、患者介護の管理で介護者を助け、そしてより多くのデータへの改良されたアクセスで治癒過程を潜在的に加速するために、鍵となる医療パラメーターの収集とモニタリングを可能にする。利用可能な患者データと装置機能が表示され、そして適切な場合は、装置機能表示スクリーン68上で視覚的および聴覚的に警報が発せられる。また創口閉鎖の進行を視覚的に追跡するモニター過程を助けるために、デジタルカメラ69も利用する場合がある。
【0050】
具体的説明の態様を示し、そして記載したが、広範囲の修飾、変更および代替が以上の開示では企図され、そして場合によっては、これら態様のいくつかの特徴が、他の特徴の対応する使用無しで使用され得る。したがって添付する特許請求の範囲は広く、そして本明細書に開示する態様の範囲と一致するやり方で解釈されることが適切である。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7