(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】無機蓄積性蛍光体パネルの再生方法
(51)【国際特許分類】
G21K 4/00 20060101AFI20220408BHJP
G03B 42/02 20210101ALI20220408BHJP
G03B 42/08 20210101ALI20220408BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220408BHJP
B29C 48/07 20190101ALI20220408BHJP
【FI】
G21K4/00 M ZAB
G03B42/02 B
G03B42/08
A61B6/00 300T
A61B6/00 390Z
B29C48/07
(21)【出願番号】P 2018549756
(86)(22)【出願日】2016-08-05
(86)【国際出願番号】 US2016045764
(87)【国際公開番号】W WO2017105557
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-08-01
(32)【優先日】2015-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517429282
【氏名又は名称】ケアストリーム・デンタル・テクノロジー・トプコ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャガナタン セシャドリ
(72)【発明者】
【氏名】ランキン チャールズ エム
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ ローレンス ディー
(72)【発明者】
【氏名】アルリーチ バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ガフィー ベツィー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】イングレーゼ ジャン-マルク
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0291528(US,A1)
【文献】特開2008-001910(JP,A)
【文献】特開2004-177314(JP,A)
【文献】特開平08-290539(JP,A)
【文献】特開2005-005792(JP,A)
【文献】特開2002-107856(JP,A)
【文献】特開2006-250639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 4/00
G01T 1/20
G03B 42/00-42/08
A61B 6/00-6/14
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機蓄積性蛍光体パネルを再生する方法であって、
少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料、および銅フタロシアニンベースの青色色素を含む無機蓄積性蛍光体パネルを得るステップと、
前記無機蓄積性蛍光体パネルを粉末またはフレークに機械的に粉砕するステップと、
前記粉砕した粉末またはフレークを、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、再生製造無機蓄積性蛍光体パネルを形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記粉砕した粉末またはフレークを混合してペレットにするステップと、
前記配合したペレットを、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、再生製造無機蓄積性蛍光体パネルを形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記再生製造無機蓄積性蛍光体パネルは、無機蓄積性蛍光体層に付着した支持体をさらに含み、前記支持体が、光吸収材料を含む又は含まない、少なくとも1つのポリマーを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、又は少なくとも1つの熱可塑性ポリエチレンを含む熱可塑性材料であることを特徴とする方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には無機蓄積性蛍光体材料の分野に関する。より詳細には、本発明は、無機蓄積性蛍光体材料と熱可塑性および/または熱硬化性ポリマーとの溶融押出可能なおよび/または射出成形可能なおよび/またはホットメルトプレス可能な複合体、ならびにそれを製造および/または使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
20世紀初頭近くには、放射線感受性ハロゲン化銀乳剤を含有するフィルムを、患者を通過したX線放射線(X線)に曝露すると、医学的に有用な解剖学画像を得ることができることが認識された。その後、放射線写真蛍光体パネルをフィルムに隣接して置くことによってX線曝露をかなり低減できることが認識された。
【0003】
放射線写真蛍光体パネルは、X線を吸収し、光を放出してフィルムを露光することができる無機蛍光体の層を典型的には含有する。無機蛍光体層は、一般に、画像となるよう(image-wise)X線に反応する結晶性物質である。放射線写真蛍光体パネルは、使用する蛍光体の種類に基づき、即時放出パネルおよび画像蓄積パネルとして分類され得る。
【0004】
画像蓄積パネル(一般に「蓄積性蛍光体パネル」とも称する)は、X線を吸収し、その後、蓄積されたX線パターンに応じて画像となるよう光を放出するように刺激されるまでそのエネルギーを蓄積することができる、蓄積性(「輝尽性」)蛍光体を典型的には含有する。蓄積性蛍光体パネルの周知の使用は、コンピューターまたはデジタル放射線写真におけるものである。これらの用途では、最初に、パネルをX線に画像となるよう曝露し、これを無機蛍光体粒子に吸収させ、潜像を生成する。蛍光体粒子は、ある程度蛍光体を発し得るが、吸収されたX線の大部分はそこに蓄積される。最初のX線曝露後、ある間隔を置いて、蓄積性蛍光体パネルを、長波長の放射線、例えば、可視または赤外光(例えば、刺激光)にさらすことにより、蛍光体粒子に蓄積されたエネルギーが刺激ルミネセンス(例えば、刺激光)として放出され、これは検出され、逐次電気信号に変換され、この信号は処理されて、記録材料、例えば、光感受性フィルムまたはデジタル表示装置(例えば、テレビまたはコンピューターモニター)の可視像になる。例えば、蓄積性蛍光体パネルを、X線に画像となるよう曝露し、その後、赤色光または赤外線ビームを有するレーザーで刺激することにより、緑色または青色光が放出され、これは検出され、電気信号に変換され、この信号は処理されて、コンピューターモニターの可視像になる。刺激光はまた、大面積の蓄積性蛍光体の刺激を可能にするレーザー以外の他の源(例えば、LEDランプ)であってもよく、検出は、2次元検出器、例えば、CCDまたはCMOS装置を用いて行われてもよい。その後、蓄積性蛍光体パネルからの画像は、蛍光灯などからの紫外線への曝露により「消去」できる。
【0005】
したがって、蓄積性蛍光体パネルは、蓄積されたエネルギーを次の刺激の後までごく少量放出しながら、できる限り多くの入射X線を蓄積することが典型的には予想され、刺激光にさらされてはじめて、蓄積されたエネルギーが放出されることになる。このようにして、蓄積性蛍光体パネルは、放射線画像を蓄積および送信するために繰り返し使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2006/202134号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、蓄積性蛍光体パネルの改良が必要とされている。より具体的には、同等のX線吸収度の従来の溶剤被覆スクリーンの画質に相当する画質を有する、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の一態様は、医用、歯科用および非破壊撮像システムの技術を向上させることである。
【0009】
本出願の別の態様は、関連技術における少なくとも前述および他の欠点に全体的または部分的に対処することである。
【0010】
本出願の別の態様は、少なくともここに記載した利点を全体的または部分的に提供することである。
【0011】
一態様において、熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を含む、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体層を含む、例示的な溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルの実施形態であって、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルが、同等のX線吸収度の従来の溶剤被覆スクリーンの画質に相当するか、またはそれより良好な画質を有する、実施形態が提供される。
【0012】
別の態様において、熱可塑性オレフィンおよび無機蓄積性蛍光体材料を含む、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体層を含む、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルを含む、例示的な無機蓄積性蛍光体検出システムの実施形態も開示される。
【0013】
更なる態様において、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を得るステップと、熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を、溶融押出または射出成形またはホットプレスして、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体層を形成するステップとを含む、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルを製造する、例示的な方法実施形態が開示される。
【0014】
更なる態様において、少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料、および銅フタロシアニンベースの青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含み得る、例示的な再生無機蓄積性蛍光体パネルが開示される。
【0015】
更なる態様において、無機蓄積性蛍光体パネルを再生する例示的な方法であって、少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料、および銅フタロシアニンベースの青色色素を含む無機蓄積性蛍光体パネルを得るステップと、無機蓄積性蛍光体パネルを粉末またはフレークに機械的に粉砕するステップと、粉砕した粉末またはフレークを、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、再生製造無機蓄積性蛍光体パネルを形成するステップとを含み得る方法が開示される。
【0016】
これらの目的は、例示的な例としてのみ示され、このような目的は、本発明の1つ以上の実施形態を例示し得る。本開示の発明により本質的に達成される他の望ましい目的および利点は、当業者に思いつくか、または明らかになるであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0017】
本発明の前述および他の目的、特徴および利点は、添付の図面に例示するように、本発明の実施形態の以下のより特定の説明から明らかになるであろう。図面の要素は、互いに対して必ずしも縮尺通りであるというわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】A~Cは、本開示の様々な実施形態によるシンチレーターパネルの例示的な部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は、例示的な実施形態の説明であり、同じ参照数字が、いくつかの図の各々において、構造体の同じ要素を特定する図面を参照する。
【0020】
ここで例示的な実施形態は、熱可塑性ポリマーおよび蓄積性蛍光体材料を有する押出蓄積性蛍光体層を含む、蓄積性蛍光体パネル、ならびにこれを調製する方法を提供する。本説明および例が、ヒトまたは他の被写体の医用放射線写真撮像を主に対象とし、本出願の装置および方法実施形態は、他の放射線写真撮像用途にも適用され得ることに注意されたい。これは、非破壊検査(NDT)などの用途を含み、これに関して、放射線写真画像は、撮像される被写体の様々な特徴を強調するために、様々な加工処理によって得られ、提供され得る。
【0021】
スクリーンの重要な特性は、そのX線吸収度である。特定の用途(整形外科、マンモグラフィー、口内歯科もしくは口外歯科、または金属の非破壊検査など)に応じて、蓄積性蛍光体スクリーン上に入射する放射線のエネルギーおよび強度は様々である。しかし、X線撮像手段として有用であるために、蓄積性蛍光体スクリーンは、有用な画像が生成されるように、十分なX線吸収度を有する必要がある。実際面で、これには、押出蓄積性蛍光体スクリーンの約40~60%(体積)が、蓄積性蛍光体材料(フルオロブロモヨウ化バリウムまたは臭化セシウム)であることが必要とされる。
【0022】
蓄積性蛍光体スクリーンの別の要件は、スクリーンの情報を読み取るために用いられる刺激放射線の入射方向に関して、スクリーンの両側から透過または反射モードで読み取り可能であることである。また、スクリーンは、周囲照明条件または室内照明下で取扱い可能であることが望ましい。
【0023】
特定の撮像用途(医用放射線写真もしくは歯科用放射線写真または非破壊検査)に応じて、蓄積性蛍光体パネルに必要とされる物性は、大きく異なってもよい。しかし、異なる物性は、蓄積性蛍光体スクリーンのいくつかの重要な特性、例えば、その剛軟度(http://www.taberindustries.com/stiffness-tester)、引裂抵抗性(http://jlwinstruments.com/index.php/products/test-solutions/tear-resistance-testing/)、または耐折性(https://www.testingmachines.com/product/31-23-mit-folding-endurance-tester)により定義され得る。これらの特性を評価する様々な方法の概要は、(http://ipst.gatech.edu/faculty/popil_roman/pdf_presentations/Prediction%20of%20Fold%20Cracking%20Propensity%20through%20Physical%20Testing.pdf)に概説されている。これはすべて、単層または多層構造を使用することで達成でき、この構造は、更なる共押出層をスクリーン上に含み、これは、微粒子および/または化学的性質を含有し、スキャナーの機構および/またはエンドユーザーによる取扱いに適応させるのに必要とされる必要な物性を得ることができる。さらに、押出蓄積性蛍光体スクリーンは、再利用可能であることが重要である。すなわち、スクリーンの組成が、これらを再利用して、蓄積性蛍光体スクリーンを製造できるか、および/またはスクリーンの蓄積性蛍光体部分を再利用して、新しいスクリーンを製造できるようなものである必要がある。
【0024】
蓄積性蛍光体パネルの刺激波長および放出波長は、特定の蓄積性蛍光体により一般に決定される。一般に用いられる蓄積性蛍光体のピーク刺激波長は、かなり広範であり、550~700nmの範囲である。しかし、ユーロピウムドープフルオロブロモヨウ化バリウム蓄積性蛍光体の刺激放出は、約390nmにピークを有する。
【0025】
図1は、本開示の様々な実施形態による例示的な蓄積性蛍光体パネル100の一部を示している。ここで使用する「蓄積性蛍光体パネル」は、別段の指示がない限り、当技術分野でのその通常の意味を有することが理解され、X線放射線に曝露したとき、画像を蓄積し、別の(一般に可視)放射線により刺激されたとき光を放出するパネルまたはスクリーンを指す。そのようなものとして、「パネル」および「スクリーン」は、ここでは互換的に用いられる。
図1A~1Cに示す蓄積性蛍光体パネル100が、一般化された略図を表し、他の構成要素が、追加されてもよく、または既存の構成要素が除去または修正されてもよいことは、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0026】
ここに開示した蓄積性蛍光体パネルは、コンピューター放射線写真での使用に対する通常の要件すべてを満たすならば、任意の好都合な形態を取ることができる。
図1Aに示すように、蓄積性蛍光体パネル100は、支持体110、および支持体110の上に配置される溶融押出または射出成形またはホットプレスされた蓄積性蛍光体層120を含んでいてもよい。蓄積性蛍光体パネルでの使用に適しており、蓄積性蛍光体スクリーンの再利用可能性に干渉しない任意の可撓性または剛性材料、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミック、高分子材料、炭素基材などを、支持体110として使用できる。ある種の実施形態において、支持体110は、セラミック(例えば、Al
2O
3)または金属(例えば、Al)または高分子(例えば、ポリプロピレン)材料で作られていてもよい。また
図1Aに示すように、一態様において、支持体110は、蓄積性蛍光体層120と共に共押出されてもよい。支持体は、透明、半透明、不透明または有色(例えば、青色または黒色色素を含有する)であってよい。あるいは、所望される場合、支持体は、蓄積性蛍光体パネルにおいて省略されてもよい。
【0027】
別の態様において、アンチカール層を、支持体を使用する場合は支持体の両側、または蓄積性蛍光体スクリーンの側面に共押出し、蓄積性蛍光体スクリーンの寸法安定性を管理することができる。
【0028】
支持体110の厚さは、それ自体およびそこに配置される層を支持することができる限り、使用する材料に応じて変化させてもよい。一般に、支持体は、約50μm~約1000μm、例えば、約80μm~約1000μm、例えば、約80μm~約500μmの範囲の厚さを有することができる。支持体110は、所望される用途に応じて、滑面または粗面を有することができる。一実施形態において、蓄積性蛍光体パネルは、支持体を含まない。
【0029】
蓄積性蛍光体層120は、支持体が含まれる場合、支持体110の上に配置できる。あるいは、蓄積性蛍光体層120は、
図1Bに示すように、独立に溶融押出もしくは射出成形もしくはホットプレスされてもよく、または例えば、
図1Aおよび
図1Cに層150として示すように、不透明層、およびアンチカール層、ならびにこれらの組合せと共に溶融押出もしくは射出成形もしくはホットプレスされてもよい。
【0030】
蓄積性蛍光体層120は、熱可塑性ポリマー130および蓄積性蛍光体材料140を含んでいてもよい。熱可塑性ポリマー130は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの組合せ、またはポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、シリコーン、シロキサン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)であってよい。一態様において、ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)などであってよい。好ましい実施形態において、熱可塑性ポリマー130は、低密度ポリエチレン(LDPE)である。熱可塑性ポリマー130は、蓄積性蛍光体層120の全体積に対して、約1体積%~約50体積%、例えば、約10体積%~約30体積%の範囲の量で蓄積性蛍光体層120に存在し得る。
【0031】
ここで使用する「蓄積性蛍光体粒子」および「輝尽性蛍光体粒子」は、互換的に用いられ、別段の指示がない限り、当業者により理解されるその通常の意味を有することが理解される。「蓄積性蛍光体粒子」または「輝尽性蛍光体粒子」は、X線を吸収および蓄積し、さらに別の波長の放射線に曝露したかまたはこれで刺激したとき、第2の波長の電磁放射線(例えば、光)を放出することができる、蛍光体の結晶を指す。一般に、輝尽性蛍光体粒子は、数マイクロメートルから数百マイクロメートルの粒径を有する混濁多結晶であるが、サブミクロンからナノサイズの微細な蛍光体粒子も合成されており、有用であり得る。したがって、所定の用途に最適な平均粒径は、撮像速度と所望の画像鮮明度との間のバランスを反映している。
【0032】
輝尽性蛍光体粒子は、例えば、希土類イオンを活性剤として親材料、例えば、酸化物、窒化物、オキシ窒化物、硫化物、オキシ硫化物、ケイ酸塩、ハロゲン化物など、およびこれらの組合せにドープすることにより得ることができる。ここで使用する「希土類」は、原子番号39または57~71(「ランタノイド」としても知られる)を有する化学元素を指す。輝尽性蛍光体粒子は、広範な電磁放射線を吸収できる。例示的な好ましい実施形態において、輝尽性蛍光体粒子は、約0.01~約10nm(例えば、X線)、および約300nm~約1400nm(例えば、UV、可視および赤外光)の波長を有する放射線を吸収できる。可視および赤外光の範囲に波長を有する刺激光で刺激したとき、輝尽性蛍光体粒子は、約300nm~約650nmの波長の刺激光を放出し得る。
【0033】
ここでの使用のための適当な例示的な輝尽性蛍光体粒子としては、式(I)
MFX1-zIzuMaXa:yA:eQ:tD (I)
(式中、Mは、Mg、Ca、Sr、Baおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Xは、Cl、Brおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Maは、Na、K、Rb、Csおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Xaは、F、Cl、Br、Iおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Aは、Eu、Ce、Sm、Th、Biおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Qは、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2O3、La2O3、In2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、Nb2O5、Ta2O5、ThO2およびこれらの組合せからなる群から選択され、
Dは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
zは、約0.0001~約1であり、
uは、約0~約1であり、
yは、約0.0001~約0.1であり、
eは、0~約1であり、
tは、0~約0.01である)
を有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0034】
「z」、「u」、「y」、「e」および「t」で表される量は、モル量である。本開示の他の部分に示されている同じ呼称は、別段の指示がない限り、同じ意味を有する。式(I)において、好ましくは、MはBaであり、XはBrであり、MaはNa、Kおよびこれらの組合せからなる群から選択され、Xaは、F、Brおよびこれらの組合せからなる群から選択され、AはEuであり、Qは、SiO2、Al2O3およびこれらの組合せからなる群から選択され、tは0である。
【0035】
ここでの使用のための他の例示的な輝尽性蛍光体粒子としては、式(II)
(Ba1-a-b-cMgaCabSrc)FX1-zIzrMaXa:yA:eQ:tD (II)
(式中、X、Ma、Xa、A、Q、De、t、zおよびyは、式(I)について上に定義した通りであり、a、bおよびcの合計は0~約0.4であり、rは約10-6~約0.1である)
を有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0036】
式(II)において、好ましくはXはBrであり、Maは、Na、Kおよびこれらの組合せからなる群から選択され、Xaは、F、Brおよびこれらの組合せからなる群から選択され、Aは、Eu、Ce、Biおよびこれらの組合せからなる群から選択され、QはSiO2、Al2O3およびこれらの組合せからなる群から選択され、tは0である。
【0037】
ここでの使用のためのさらに例示的な輝尽性蛍光体粒子としては、式(III)
M1+XaM2+X’2bM3+X’’3:cZ (III)
(式中、Mは、Li、Na、K、Cs、Rbおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
M2+は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu、Pb、Niおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
M3+は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy Ho、Er、Tm Yb、Lum Al、Bi、In、Gaおよびこれらの組合せからなる群から選択され、
Zは、Ga1+、Ge2+、Sn2+、Sb3+、As3+およびこれらの組合せからなる群から選択され、
X、X’およびX’’は、同一でもまたは異なってもよく、互いに独立に、F、Br、Cl、Iからなる群から選択されるハロゲン原子を表し、0≦a≦1、0≦b≦1、0<c≦0.2。)
を有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
式(I)、(II)または(III)で表される好ましい輝尽性蛍光体粒子としては、ユーロピウム付活フルオロ臭化バリウム(例えば、BaFBr:EuおよびBaFBrI:Eu)、セリウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物、セリウム付活オキシハロゲン化物、二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属フルオロハロゲン化物(例えば、Ba(Sr)FBr:Eu2+)、二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物、希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物、ビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体およびこれらの組合せが挙げられる。
【0039】
EuドープBaFBrI型蓄積性蛍光体の代替物としては、EuドープCsBr蓄積性蛍光体がある。これは、バインダレス蓄積性蛍光体スクリーンの形態で一般に用いられ、そこで、針状EuドープCsBr粒子は、基材上の材料の蒸着により生成され、次いで、これは防水性材料を密閉する。このような針状ユーロピウムドープ臭化セシウム蓄積性蛍光体スクリーンは、約450nmに放出ピークを有する。
【0040】
熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を溶融混合して、複合熱可塑性粒子を形成し、次いで、これを溶融押出または射出成形またはホットプレスして、無機蓄積性蛍光体層を形成する。例えば、複合熱可塑性粒子は、2軸混合機を用いて熱可塑性ポリマーと無機蓄積性蛍光体材料とを溶融混合することにより調製できる。熱可塑性ポリマーと無機蓄積性蛍光体材料との比(ポリマー:無機蓄積性蛍光体)は、重量または体積で約1:100~約1:0.01、好ましくは重量または体積で約1:1~約1:0.1の範囲であってよい。組成物は、押出蓄積性蛍光体スクリーンの画質および/または物性を管理するために無機、有機および/または高分子添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例としては、画質を管理するための青色色素(例えば、ウルトラマリンブルー、銅フタロシアニン)、蓄積性蛍光体粒子のコロイド安定性を管理するための界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、複合体のレオロジーを管理するためのポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル)が挙げられる。溶融混合中、熱可塑性ポリマーおよび無機蓄積性蛍光体材料を混合し、複数の加熱ゾーンから加熱してもよい。例えば、ポリオレフィンの場合、加熱ゾーンの温度は、使用するポリマー/添加剤ブレンドの特定の組成に応じて約170℃~250℃で変化させてよく、各ゾーンでの時間は、使用するポリマー、および加熱ゾーンの温度に依存する。一般に、ポリマーは、ポリマーを溶融し、ポリマーを分解せずに無機蓄積性蛍光体材料を取り込むのに十分な時間および温度で加熱できる。各ゾーンでの時間は、約1秒~約1分の範囲であってよい。一つの例示的な実施形態において、測定される青色色素を最初にポリマーに添加してから、蓄積性蛍光体粒子と混合する。複合熱可塑性材料を、溶融混合機から出した後、水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化してもよい。ストランドをペレット化し、約40℃で乾燥してもよい。熱可塑性ポリマー130および無機蓄積性蛍光体材料140各々のスクリュー速度および供給速度を、所望の通りに調整して、複合熱可塑性材料中の各々の量を管理してもよい。
【0041】
溶融混合の代替案としては、適当な溶剤中での複合混合物の生成が挙げられ、そこで、ポリマーを溶解または分散させ、無機蓄積性蛍光体粒子を分散させ、次いで、溶剤を蒸発させ、ポリマー/無機蓄積性蛍光体の複合混合物を粉砕し、それを、グラインダー、冷凍グラインダー、デンシファイア、アグロメレーターまたは任意の他の適当な装置を用いてペレット化する。
【0042】
無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合材料を、溶融押出または射出成形またはホットプレスして、無機蓄積性蛍光体層を形成してもよく、そこで、無機蓄積性蛍光体材料は、熱可塑性ポリマーに挿入(「充填」)される。例えば、無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合層は、複合熱可塑性材料を溶融押出または射出成形またはホットプレスすることにより形成できる。理論に限定されずに、溶融押出または射出成形またはホットプレスによる無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合層の形成により、無機蓄積性蛍光体層の均質性が高まり、溶剤を従来の溶剤被覆パネルにおいて蒸発させたときに生じる望ましくない「蒸発空間」が排除される。本開示による溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合パネルは、改善された機械および環境耐久性と共に、従来の溶剤被覆パネルと比較して、同程度の画質を有することができる。
【0043】
支持体層と組み合わせた、溶融押出または射出成形またはホットプレスされている無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合層の場合、溶融処理パラメーター(溶融押出および射出成形の場合、温度、スクリュー速度およびポンプ速度、ならびにホットプレスの場合、温度および圧力)を調整して、無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合層および支持体層各々の厚さを個々に管理することができる。
【0044】
無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合層の厚さは、約10μm~約1000μm、好ましくは約50μm~約750μm、より好ましくは約100μm~約500μmの範囲であってよい。
【0045】
任意選択で、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルは、所望される場合、機械的強度ならびに引掻き抵抗性および耐湿性を向上させる、無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合層の上に配置される保護オーバーコートを含んでいてもよい。
【0046】
一実施形態において、シンチレーション検出システムは、少なくとも1つの蓄積性蛍光体パネル読取機/スキャナー160に連結、挿入または搭載された本開示の蓄積性蛍光体パネル100を含んでいてもよい。特定の蓄積性蛍光体読取機の選択は、作製された蓄積性蛍光体パネルの種類、および本開示の蓄積性蛍光体パネルと共に用いられる根本的な装置の意図された使用に部分的に依存する。
【実施例1】
【0047】
画質評価
以下に示すように画質評価を行った。X線源は、Carestream Health CS2200X線発生装置であり、画像は、Carestream Health CS7600口内歯科用スキャナーを用いて超高解像度モードでスキャンした。スクリーンを70kV、7mA、0.16秒のX線曝露にかけた。蓄積性蛍光体スクリーンの平坦場曝露によりピクセル値を得、ラインペアファントムを撮像し、目視観察することにより解像度を得た。ここで得られる画質評価からは、一貫してまたは製造したパネル1セットもしくは1バッチにわたって(例えば、平均解像度)1mm解像度あたり測定可能なラインペアが得られる。連続的なX線曝露、一定のスキャナー条件に対して、ピクセル値は、検出器により検出され、デジタル信号(例えば、コード値)に変換される、光刺激ルミネセンスによる入射X線光子の光学光子への変換における、蓄積性蛍光体スクリーンの効率を表す。結果的に、ピクセルコード値(cv)の違いは、蓄積性蛍光体スクリーン間の効率の違いを表す。
【0048】
比較例1(溶剤被覆スクリーン-青色色素なし)
BFBI:Eu蛍光体と溶剤パッケージおよびバインダーとを混合することにより、溶剤被覆蓄積性蛍光体パネルを調製した。塩化メチレン78g、メタノール6gおよび1,3-ジオキソラン15gを混合することにより、溶剤パッケージを調製する。バインダーは、Permuthane(Stahl、Peabody MA)であり、これを、上に列挙した溶剤パッケージ中で15%に希釈する。他の成分を記載した重量%まで添加した。フィルム安定剤(チオ硫酸テトラブチルアンモニウム)は、液体と被覆状態の両方でのヨウ化物の形成を防止することを補助するために添加される20%溶液である。
【0049】
【0050】
オーバーコート層は、酢酸エチル82%およびコポリエステル(Bostik AmericasによるVitel 2700B)18%の混合物からなる。蛍光体溶液で、PETベースの支持体を被覆し、熱風部分を用いて乾燥して、溶剤をフラッシュ除去した。得られた蛍光体被覆率は41g/ft2であった。オーバーコート溶液で蛍光体層の上部を被覆し、熱風部分を用いて乾燥して、溶剤をフラッシュ除去した。得られたオーバーコート被覆率は0.65g/ft2であった。
【0051】
比較例2(溶剤被覆スクリーン-1200ppmのウルトラマリンブルー色素)
BFBI:Eu蛍光体と溶剤パッケージおよびバインダーとを混合することにより、溶剤被覆蓄積性蛍光体パネルを調製した。塩化メチレン78g、メタノール6gおよび1,3-ジオキソラン15gを混合することにより、溶剤パッケージを調製する。バインダーはPermuthane(Stahl、Peabody MA)であり、これを、上に列挙した溶剤パッケージ中で15%に希釈する。他の成分を記載した重量%まで添加した。フィルム安定剤(チオ硫酸テトラブチルアンモニウム)は、液体と被覆状態の両方でヨウ化物の形成を防止することを補助するために添加される20%溶液である。青色色素(Nubiolaからアクアマリンブルー)を蛍光体重量に対して1200ppmに相当するレベルで添加する。
【0052】
【0053】
オーバーコート層は、酢酸エチル、アセトン、メタクリル酸メチルポリマー(Elvacite2051)、1-プロペン、1,1-ジフルオロエテンを有する1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロポリマー(Superflex2500-20)、N,N-エチレンビス(ステアラミド)(Superslip6350)およびポリメタクリル酸メチルの艶消しビーズの混合物からなる。溶液の成分の比を以下に列挙する。
【0054】
【0055】
蛍光体溶液で、PETベースの支持体を被覆し、熱風部分を用いて乾燥して、溶剤をフラッシュ除去した。得られた蛍光体被覆率は41g/ft2であった。オーバーコート溶液で蛍光体層の上部を被覆し、熱風部分を用いて乾燥して、溶剤をフラッシュ除去した。得られたオーバーコート被覆率は名目上0.65g/ft2であった。
【0056】
比較例3(押出スクリーン-青色色素なし)
複合熱可塑性粒子の製造
フルオロブロモヨウ化バリウム(BFBrI)80重量%および低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)20重量%を含む、本開示による無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを調製した。金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを、以下の表1に示す温度に設定した。
【0057】
【0058】
BFBrIを充填したLDPEを含む無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーに供給し、40℃で乾燥した。
【0059】
無機蓄積性蛍光体層の押出またはホットプレス
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表2に示す温度に設定した。
【0060】
【0061】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0062】
場合によっては、混合したペレットを2つのプレートの間に置き、Carver液圧プレスモデルCを用いて最大15000psigの圧力をかけることにより、ペレットを、平らなシートに加熱プレスした。プレートを約220℃に加熱した。プレートを、30~60秒の時間枠で一緒に圧縮した。
【0063】
比較例4(押出スクリーン-1000ppmのウルトラマリンブルー色素)
複合熱可塑性粒子の製造
配合物が、蛍光体の重量に対して1000ppmのレベルで青色色素(ウルトラマリンブルー)を含む以外は、比較例3に記載したように試料を調製した。
【0064】
LDPE EM811AA中0.5%濃度の65561-Aウルトラマリンブルーを使用して、最終的な無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合体中で1000ppmの青色色素濃度にした。これを達成するために、未着色EM811Aポリマー樹脂および着色(0.5%青色)EM811Aマスターバッチを、Leistritz2軸混合機を用いて、BFBrI粉末とブレンドおよび混合した。金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表3に示す温度に設定した。
【0065】
【0066】
BFBrIを充填した1000ppmの青色着色LDPEからなる複合熱可塑性粒子を、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーでペレット化し、40℃で乾燥した。
無機蓄積性蛍光体層の押出またはホットプレス
【0067】
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表4に示す温度に設定した。
【0068】
【0069】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0070】
場合によっては、混合したペレットを2つのプレートの間に置き、Carver液圧プレスモデルCを用いて最大15000psigの圧力をかけることにより、ペレットを、平らなシートに加熱プレスした。プレートを各々約220℃に加熱した。プレートを、30~60秒の時間枠で一緒に圧縮した。
【0071】
発明実施例1(ホットプレススクリーン-100ppmの銅フタロシアニン青色色素)
複合熱可塑性粒子の製造
配合物が、蛍光体の重量に対して100ppmのレベルで青色色素(銅フタロシアニン)を含む以外は、比較例3に記載したように試料を調製した。
【0072】
本発明者らは、輝尽性蓄積性蛍光体パネルと共に使用できる、何百もの可能性のある青色色素材料が存在することを理解している。しかし、本発明者らは、本出願による例示的な本発明の方法および/または装置実施形態で、特定の選択された青色色素のみが、解像度を改善すると判断した。例えば、本発明者らは、ここに記載した本発明の方法および/または装置実施形態については、銅フタロシアニンベースの青色色素が、解像度を改善すると判断した。
【0073】
LDPE EM811AA中の10%濃度の65530-Aトランスブルー(銅フタロシアニン)を、Westlake Longview Corp.、Houston, TXから入手可能なLDPE EM811Aで濃度1%まで段階的に希釈した。最終的な無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合体中で100ppmの青色色素濃度を得るために、未着色EM811Aポリマー樹脂および着色(1%青色)EM811Aマスターバッチを、Leistritz2軸混合機を用いて、BFBrI粉末とブレンドおよび混合した。金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表5に示す温度に設定した。
【0074】
【0075】
BFBrIを充填した100ppmの青色着色LDPEからなる複合熱可塑性粒子を、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーでペレット化し、40℃で乾燥した。
【0076】
無機蓄積性蛍光体層の押出またはホットプレス
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表6に示す温度に設定した。
【0077】
【0078】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0079】
場合によっては、混合したペレットを2つのプレートの間に置き、Carver液圧プレスモデルCを用いて最大15000psigの圧力をかけることにより、ペレットを、平らなシートに加熱プレスした。プレートを各々約220℃に加熱した。プレートを、30~60秒の時間枠で一緒に圧縮した。
【0080】
発明実施例2(ホットプレススクリーン-200ppmの銅フタロシアニン青色色素)
複合熱可塑性粒子の製造
配合物が、蛍光体の重量に対して200ppmのレベルで青色色素(銅フタロシアニン)を含む以外は、発明実施例1に記載したように試料を調製した。
【0081】
無機蓄積性蛍光体層の押出またはホットプレス
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表7に示す温度に設定した。
【0082】
【0083】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0084】
場合によっては、混合したペレットを2つのプレートの間に置き、Carver液圧プレスモデルCを用いて最大15000psigの圧力をかけることにより、ペレットを、平らなシートに加熱プレスした。プレートを各々約220℃に加熱した。プレートを、30~60秒の時間枠で一緒に圧縮した。
【0085】
本発明者らは、ここに開示した本出願による例示的な方法および/または装置実施形態において、200ppm超のレベルでの銅フタロシアニンベースの青色色素の使用は、信号レベルを低下させる(例えば、放出スループットを低下させる)ことにより画質にマイナスの影響を与え始めると判断した。
【0086】
比較および発明実施例を、上に記載したように特徴付けた。
分析1
【表11】
【0087】
例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、無機蓄積性蛍光体材料および青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含む、無機蓄積性蛍光体パネルであって、蓄積性蛍光体層が、>15lp/mmの解像度を有し、青色色素が、同様の解像度を有する従来の溶剤被覆無機蓄積性蛍光体スクリーンよりも少なくとも50%減量している、無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。ある種の例示的な実施形態において、無機蓄積性蛍光体パネルは、16lp/mm超、17lp/mm超、18lp/mm超、19lp/mm超または20lp/mm超の画像解像度を有する。ある種の例示的な実施形態において、青色色素は、同様の解像度を有する従来の溶剤被覆無機蓄積性蛍光体スクリーンよりも、少なくとも60%減量、少なくとも70%減量、少なくとも80%減量または少なくとも90%減量している。
【0088】
無機蓄積性蛍光体パネルを使用する例示的な方法実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、無機蓄積性蛍光体材料および青色色素を含む材料を、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、押出無機蓄積性蛍光体層を形成するステップであって、蓄積性蛍光体層が、>15lp/mmの解像度を有し、青色色素が、同様の解像度を有する従来の溶剤被覆無機蓄積性蛍光体スクリーンよりも、少なくとも50%減量しているステップと、押出無機蓄積性蛍光体層をX線に曝露して、潜像を形成するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層の潜像を励起光に曝露して、潜像のデジタル画像を生成するステップとを含み得る。
【0089】
ある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、無機蓄積性蛍光体材料および青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含む、無機蓄積性蛍光体パネルであって、蓄積性蛍光体層が、>19lp/mmの解像度、>20lp/mmの解像度または>21lp/mmの解像度を有する、無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。
【0090】
選択された例示的な実施形態において、無機蓄積性蛍光体パネルは、溶融押出、射出成形またはホットプレスにより形成されている。
【0091】
ある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、相対的なスクリーン効率欠損が、青色色素なしの蓄積性蛍光体パネルと比較して、15%未満、25%未満、40%未満である、無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。
【0092】
ある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、>15lp/mmの解像度、>16lp/mmの解像度、>17lp/mmの解像度、>18lp/mmの解像度、>19lp/mmの解像度、>20lp/mmの解像度を有する、熱可塑性ポリオレフィン蓄積性蛍光体スクリーンを提供し得る。
【0093】
ある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、>15lp/mmの解像度、>16lp/mmの解像度、>17lp/mmの解像度、>18lp/mmの解像度、>19lp/mmの解像度、>20lp/mmの解像度を有する、熱可塑性蓄積性蛍光体スクリーンを提供し得る。
【0094】
ある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、>15lp/mmの解像度、>16lp/mmの解像度、>17lp/mmの解像度、>18lp/mmの解像度、>19lp/mmの解像度、>20lp/mmの解像度を有する、蓄積性蛍光体スクリーンを提供し得る。
【0095】
選択された例示的な実施形態において、無機蓄積性蛍光体スクリーンは、溶融押出、射出成形またはホットプレスにより形成されている。
【0096】
ある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、無機蓄積性蛍光体材料および銅フタロシアニンベースの青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含む、無機蓄積性蛍光体パネルであって、無機蓄積性蛍光体パネルが、15lp/mm超、16lp/mm超、17lp/mm超、18lp/mm超、19lp/mm超、または20lp/mm超の画像解像度を有する、無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。選択された例示的な実施形態において、無機蓄積性蛍光体層は、溶融押出、射出成形またはホットプレスにより形成されている。
【0097】
ある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、無機蓄積性蛍光体材料、および1×102~3×102ppmの青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含む、無機蓄積性蛍光体パネルであって、無機蓄積性蛍光体パネルが、18lp/mm超の画像解像度を有する、無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。ある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、無機蓄積性蛍光体材料および銅フタロシアニンベースの青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含む、無機蓄積性蛍光体パネルであって、無機蓄積性蛍光体パネルが、15lp/mm超、16lp/mm超、17lp/mm超、18lp/mm超、19lp/mm超または20lp/mm超の画像解像度を有する、無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。選択された例示的な実施形態において、無機蓄積性蛍光体パネルは、溶融押出、射出成形またはホットプレスにより形成されている。
【0098】
無機蓄積性蛍光体パネルを使用するある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、無機蓄積性蛍光体材料、および1×102~3×102ppmの銅フタロシアニンベースの青色色素を含む材料を、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、押出無機蓄積性蛍光体層を形成するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層をX線に曝露して、潜像を形成するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層の潜像を励起光に曝露して、潜像のデジタル画像を生成するステップとを含み得る。
【0099】
一つの例示的な実施形態において、蓄積性蛍光体スクリーンのX線潜像は、スキャニングにより読み取られる。一つの例示的な実施形態において、蓄積性蛍光体スクリーンの潜像は、反射モードの反射スキャニングまたは透過モードの透過スキャニングを用いて読み取られる。
【0100】
画質評価
以下に示すように画質評価を行った。押出プレートを、光学的に透明な接着剤(3M 8141)を使用して、黒色PET(Toray Lumirror X30-10mil)支持体に接着させる。次いで、このプレートを、Carestream CS2200X線発生装置に入れ、70kV、7mAおよび0.16秒のX線曝露にさらす。次いで、この曝露されたプレートを、控えめな周囲照明を維持して、Carestream Health CS7600口内歯科用スキャナーで超高解像度モードでスキャンする。画像をJPEGファイルとして保存し、コンピューターモニター上で欠陥計数について調べる。プレートは、約12.71cm2の面積で、全歯科サイズ2である。
【0101】
出願人らは、ここに開示した無機蓄積性蛍光体粒子が、1μ未満の粒径に到達したとき、粘度の上昇、表面の孔および凹部を含む表面粗さの増大、ならびに/または凝集作用を含む、ナノ粒子の影響を受けることを発見した。
【0102】
比較例5
複合熱可塑性粒子の製造
フルオロブロモヨウ化バリウム(BFBrI)86重量%および低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)14重量%を含む、本開示による無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを調製した。
【0103】
Microtrac9200FRAを用いて、無機蓄積性蛍光体粒子は、粒子の95%が直径≦8.33μでありかつ粒子の50%が直径≦4.12μであることにより特徴付けられた。
【0104】
配合物は、蛍光体の重量に対して100ppmのレベルで青色色素(銅フタロシアニン)を含んでいた。LDPE EM811AA中の10%濃度の65530-Aトランスブルー(銅フタロシアニン)を、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能なLDPE EM811Aで濃度1%まで段階的に希釈した。最終的な無機蓄積性蛍光体/熱可塑性ポリマーの複合体中で100ppmの青色色素濃度を得るために、未着色EM811Aポリマー樹脂および着色(1%青色)EM811Aマスターバッチを、Leistritz2軸混合機を用いて、BFBrI粉末とブレンドおよび混合した。
【0105】
金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表8に示す温度に設定した。
【0106】
【0107】
BFBrIを充填したLDPEを含む無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーに供給し、40℃で乾燥した。
【0108】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表9に示す温度に設定した。
【0109】
【0110】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0111】
比較例6
複合熱可塑性粒子の製造
フルオロブロモヨウ化バリウム(BFBrI)83重量%および低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)17重量%を含む、本開示による無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを調製した。
【0112】
比較例5と例6との次の違いは、蛍光体の重量が86%対83%であり、青色色素が存在せず、Microtrac9200FRAを用いて、無機蓄積性蛍光体粒子が、粒子の95%が直径≦7.56μでありかつ粒子の50%が直径≦4.20μであることにより特徴付けられることである。
【0113】
金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表10に示す温度に設定した。
【0114】
【0115】
BFBrIを充填したLDPEを含む無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーに供給し、40℃で乾燥した。
【0116】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表11に示す温度に設定した。
【0117】
【0118】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0119】
発明実施例3
複合熱可塑性粒子の製造
比較例5に記載したように試料を調製した。比較例5と発明実施例3との次の違いは、青色色素が存在せず、Microtrac9200FRAを用いて、無機蓄積性蛍光体粒子が、粒子の95%が直径≦6.78μでありかつ粒子の50%が直径≦3.81μであることにより特徴付けられることであった。
【0120】
金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表12に示す温度に設定した。
【0121】
【0122】
BFBrIを充填したLDPEを含む複合熱可塑性粒子を、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーでペレット化し、40℃で乾燥した。
【0123】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表13に示す温度に設定した。
【0124】
【0125】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0126】
発明実施例4
複合熱可塑性粒子の製造
比較例5に記載したように試料を調製した。主な違いは、青色色素(銅フタロシアニン)レベルが、蛍光体の重量に対して約200ppmであり、Microtrac9200FRAを用いて、無機蓄積性蛍光体粒子が、粒子の95%が直径≦6.00μでありかつ粒子の50%が直径≦3.45μであることにより特徴付けられることである。
【0127】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表14に示す温度に設定した。
【0128】
【0129】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0130】
比較および発明実施例を、上に記載した欠陥について特徴付けた。
分析2
【表19】
【0131】
例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料および青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含み得る、独立無機蓄積性蛍光体パネルであって、蓄積性蛍光体層が、1平方cm当たり5個未満の欠陥を有する、独立無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料および青色色素を含む材料を混合して、製造無機蓄積性蛍光体層を形成するステップであって、蓄積性蛍光体層が5個未満の欠陥を有するステップと、製造無機蓄積性蛍光体層をX線に曝露して、潜像を形成するステップと、製造無機蓄積性蛍光体層の潜像を励起光に曝露して、潜像のデジタル画像を生成するステップとを含む方法を提供し得る。一実施形態において、混合は、溶融押出、射出成形またはホットプレスによるものである。一実施形態において、蓄積性蛍光体スクリーンの潜像は、反射モードの反射スキャニングまたは透過モードの透過スキャニングを用いて読み取られる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、熱可塑性ポリオレフィンである。いくつかの実施形態において、青色色素は、銅フタロシアニン青色色素である。
【0132】
ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つのポリマー、粒子の95%が直径≦6.8μである無機蓄積性蛍光体材料、および青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含む、独立無機蓄積性蛍光体パネルであって、蓄積性蛍光体層が、1平方cm当たり5個未満の欠陥を有する、独立無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つのポリマー、粒子の95%が直径<6.8μである無機蓄積性蛍光体材料、および青色色素を含む材料を混合して、押出無機蓄積性蛍光体層を形成するステップであって、蓄積性蛍光体層が5個未満の欠陥を有するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層をX線に曝露して、潜像を形成するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層の潜像を励起光に曝露して、潜像のデジタル画像を生成するステップとを含む方法を提供し得る。一実施形態において、混合は、溶融押出、射出成形またはホットプレスによるものである。一実施形態において、蓄積性蛍光体スクリーンの潜像は、反射モードの反射スキャニングまたは透過モードの透過スキャニングを用いて読み取られる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、熱可塑性ポリオレフィンである。いくつかの実施形態において、青色色素は、銅フタロシアニン青色色素である。
【0133】
ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つのポリマー、粒子の95%が直径<6.8μでありかつ粒子の50%が直径<3.8μである無機蓄積性蛍光体材料、ならびに青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含む、独立無機蓄積性蛍光体パネルであって、蓄積性蛍光体層が、1平方cm当たり5個未満の欠陥を有する、独立無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つのポリマー、粒子の95%が直径<6.8μでありかつ粒子の50%が直径<3.8μである無機蓄積性蛍光体材料、ならびに青色色素を含む材料を混合して、押出無機蓄積性蛍光体層を形成するステップであって、蓄積性蛍光体層が5個未満の欠陥を有するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層をX線に曝露して、潜像を形成するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層の潜像を励起光に曝露して、潜像のデジタル画像を生成するステップとを含む方法を提供し得る。一実施形態において、混合は、溶融押出、射出成形またはホットプレスによるものである。一実施形態において、蓄積性蛍光体スクリーンの潜像は、反射モードの反射スキャニングまたは透過モードの透過スキャニングを用いて読み取られる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、熱可塑性ポリオレフィンである。いくつかの実施形態において、青色色素は、銅フタロシアニン青色色素である。
【0134】
ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つのポリマー、粒子の50%が直径<3.8μである無機蓄積性蛍光体材料、および青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含む、独立無機蓄積性蛍光体パネルであって、蓄積性蛍光体層が、1平方cm当たり5個未満の欠陥を有する、独立無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つのポリマー、粒子の50%が直径<3.8μである無機蓄積性蛍光体材料、および青色色素を含む材料を、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、押出無機蓄積性蛍光体層を形成するステップであって、蓄積性蛍光体層が5個未満の欠陥を有するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層をX線に曝露して、潜像を形成するステップと、押出無機蓄積性蛍光体層の潜像を励起光に曝露して、潜像のデジタル画像を生成するステップとを含む方法を提供し得る。一実施形態において、蓄積性蛍光体スクリーンの潜像は、反射モードの反射スキャニングまたは透過モードの透過スキャニングを用いて読み取られる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、熱可塑性ポリオレフィンである。いくつかの実施形態において、青色色素は、銅フタロシアニン青色色素である。
【0135】
画質評価
以下に示すように画質評価を行った。押出プレートを、光学的に透明な接着剤(3M 8141)を使用して、黒色PET(Toray Lumirror X30-10mil)支持体に接着させる。溶剤被覆プレートはすでにPET支持体を有しており、更なるPET支持体の接着は行われなかった。次いで、このプレートを、Carestream Health CS2200X線発生装置に入れ、70kV、7mAおよび0.16秒のX線曝露にさらす。次いで、この曝露されたプレートを、控えめな周囲照明を維持して、Carestream Health CS7600口内歯科用スキャナーで超高解像度モードでスキャンする。平坦場画像を、線形DICOMファイルとして保存する。平均の線形ピクセル値および標準偏差を、DICOMビュアーを用いて計算し、変動係数(COV)を、標準偏差対平均線形ピクセル値の比として計算する。
【0136】
プレートは、約12.71cm2の面積で、全歯科サイズ2である。
【0137】
比較例7
CS7600口内コンピューター放射線写真プレートSN ED005947を比較例として使用した。
【0138】
比較例8
デュールデンタル口内コンピューター放射線写真プレートCE0124を、比較例として使用した。
【0139】
比較例9
BFBI:Eu蛍光体と溶剤パッケージおよびバインダーとを混合することにより、溶剤被覆蓄積性蛍光体パネルを調製した。塩化メチレン78g、メタノール6gおよび1,3-ジオキソラン15gを混合することにより、溶剤パッケージを調製する。バインダーはPermuthane(Stahl、Peabody MA)であり、これを、上に列挙した溶剤パッケージ中で15%に希釈する。他の成分を記載した重量%まで添加した。フィルム安定剤(チオ硫酸テトラブチルアンモニウム)は、液体と被覆状態の両方でヨウ化物の形成を防止することを補助するために添加される20%溶液である。青色色素(Nubiolaからウルトラマリンブルー)を蛍光体重量に対して1200ppmに相当するレベルで添加する。
【0140】
【0141】
オーバーコート層は、酢酸エチル、アセトン、メタクリル酸メチルポリマー(Elvacite2051)、1-プロペン、1,1-ジフルオロエテンを有する1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロポリマー(Superflex2500-20)、N,N-エチレンビス(ステアラミド)(Superslip6350)およびポリメタクリル酸メチルの艶消しビーズの混合物からなる。溶液の成分の比を以下に列挙する。
【0142】
【0143】
蛍光体溶液で、PETベースの支持体を被覆し、熱風部分を用いて乾燥して、溶剤をフラッシュ除去した。得られた蛍光体被覆率は41g/ft2であった。オーバーコート溶液で蛍光体層の上部を被覆し、熱風部分を用いて乾燥して、溶剤をフラッシュ除去した。得られたオーバーコート被覆率は名目上0.65g/ft2であった。
【0144】
比較例10
複合熱可塑性粒子の製造
フルオロブロモヨウ化バリウム(BFBrI)86重量%および低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)14重量%を含む、本開示による無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを調製した。Microtrac9200FRAを用いて、無機蓄積性蛍光体粒子が、粒子の95%が直径<5.97μでありかつ粒子の50%が直径<3.51μであることにより特徴付けられた。
【0145】
配合物は、LeistritzGL-400 2軸混合機を用いた、EM811Aポリマー樹脂とBFBrI粉末とのブレンドおよび混合を必要とした。スクリュー速度は300RPMに設定した。金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表17に示す温度に設定した。
【0146】
【0147】
BFBrIを充填したLDPEを含む無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーに供給し、40℃で乾燥した。
【0148】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Killion押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表18に示す温度に設定した。
【0149】
【0150】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0151】
発明実施例5
複合熱可塑性粒子の製造
蛍光体に対して1600ppmのレベルでウルトラマリン青色色素を含有していた以外は、比較例10に記載したように試料を調製した。
【0152】
発明実施例6
複合熱可塑性粒子の製造
発明実施例5に記載したように試料を調製した。主な違いは、青色色素が、ウルトラマリンブルーではなく、蛍光体に対して約12.5ppmのレベルでの銅フタロシアニンであることである。
【0153】
発明実施例7
複合熱可塑性粒子の製造
発明実施例5に記載したように試料を調製した。主な違いは、青色色素が、ウルトラマリンブルーではなく、蛍光体に対して約50ppmのレベルでの銅フタロシアニンであることである。
【0154】
発明実施例8
複合熱可塑性粒子の製造
発明実施例5に記載したように試料を調製した。主な違いは、青色色素が、ウルトラマリンブルーではなく、蛍光体に対して約50ppmのレベルでの銅フタロシアニンであること、および蛍光体に対して1000ppmのレベルでのポリマー加工添加剤(PSA)、ArkemaからのKynar Superflex(登録商標)2500-20の使用である。
分析3
【表24】
【0155】
ある種の例示的な方法および/または装置実施形態において、銅フタロシアニン青色色素は、ノイズ効果を低減するように構成されている。
【0156】
例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つのポリマー、粒子の95%が直径≦6.8μである無機蓄積性蛍光体材料、および青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含み得る、独立無機蓄積性蛍光体パネルであって、無機蓄積性蛍光体層が、0.40以下である線形ピクセル値における変動係数を有する、独立無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。
【0157】
例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つのポリマーまたは熱可塑性ポリオレフィン、粒子の95%が直径≦6.8μでありかつ粒子の50%が直径≦3.8μである無機蓄積性蛍光体材料、ならびに青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含み得る、独立無機蓄積性蛍光体パネルであって、無機蓄積性蛍光体層が、0.40以下である線形ピクセル値における変動係数を有する、独立無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。
【0158】
例示的な方法および/または装置実施形態は、少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料および青色色素を含む、無機蓄積性蛍光体層を含み得る、独立無機蓄積性蛍光体パネルであって、蓄積性蛍光体層が、0.40以下である線形ピクセル値における変動係数を有する、独立無機蓄積性蛍光体パネルを提供し得る。ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料および青色色素を含む材料を混合して、0.40以下である線形ピクセル値における変動係数を有する製造無機蓄積性蛍光体層を形成するステップと、製造無機蓄積性蛍光体層をX線に曝露して、潜像を形成するステップと、製造無機蓄積性蛍光体層の潜像を励起光に曝露して、潜像のデジタル画像を生成するステップとを含む方法を提供し得る。ある種の例示的な方法実施形態は、少なくとも1つの熱可塑性ポリオレフィン、その粒子の95%が直径≦6.8μでありかつその粒子の50%が直径≦3.8μである無機蓄積性蛍光体材料、ならびに青色色素を含む材料を、溶融押出、射出成形またはホットプレスして、0.40以下である線形ピクセル値における変動係数を有する製造無機蓄積性蛍光体層を形成するステップと、製造無機蓄積性蛍光体層をX線に曝露して、潜像を形成するステップと、製造無機蓄積性蛍光体層の潜像を励起光に曝露して、潜像のデジタル画像を生成するステップとを含む方法を提供し得る。一実施形態において、混合は、溶融押出、射出成形またはホットプレスによるものである。一実施形態において、蓄積性蛍光体スクリーンの潜像は、反射モードの反射スキャニングまたは透過モードの透過スキャニングを用いて読み取られる。いくつかの実施形態において、ポリマーは、熱可塑性ポリオレフィンである。いくつかの実施形態において、青色色素は、銅フタロシアニン青色色素である。一実施形態において、製造無機蓄積性蛍光体層は、同等の溶剤被覆蓄積性蛍光体スクリーンの70%以下である線形ピクセル値における変動係数を有する。一実施形態において、製造無機蓄積性蛍光体層は、同等の溶剤被覆蓄積性蛍光体スクリーンの半分未満またはそれ以下である線形ピクセル値における変動係数を有する。ある種の例示的な実施形態において、無機蓄積性蛍光体材料は、その粒子の95%が直径≦6.8μである。ある種の例示的な実施形態において、無機蓄積性蛍光体材料は、その粒子の95%が直径≦6.8μでありかつその粒子の95%を直径≧1.0μである。ある種の例示的な実施形態において、押出または製造無機蓄積性蛍光体層は、その無機蓄積性蛍光体材料粒子の95%が直径≦6.8μでありかつその無機蓄積性蛍光体材料粒子の95%が直径≧1.0μである。
【0159】
評価
溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルの重要な特性は、該パネルを、標準的な装置、例えば、グラインダー、冷凍グラインダー、デンシファイア、アグロメレーターまたは任意の他の適当な装置を用いて簡単に(例えば、機械的または電気機械的に)粉砕し、それを破砕工程中および/またはその後の上記の混合工程によりペレット化し、それを再び蓄積性蛍光体パネルとして押出すことにより、再生および再使用できることである。溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルを効率的に再生できるようにするためには、粉砕装置を摩耗させずに、蓄積性蛍光体パネルを粉砕できることが有益または必要である。粉砕装置を摩耗させずに、溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルを粉砕する能力の重要な尺度は、パネルのその破壊強度である。溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルの破壊強度は、使用中、所定の取扱いを維持するのに十分な高さでありながら、できる限り低いことが有益または必要である。
【0160】
したがって、本発明および従来の無機蓄積性蛍光体パネルの粉砕または引裂パラメーターを比較することが有用である。実際上は、標準または従来の方法および装置、例えば、Xpansion Instruments(http://www.xinst.com/products.htm)からのSER(Sentmanat伸長レオメーター)汎用試験プラットフォームを用いて、無機蓄積性蛍光体パネルを引き裂くのに必要とされる(例えば、用いられる)ピークトルクを比較することが有用である。該装置の動作モードの一つは、ウェブサイト(http://www.xinst.com/results_fracture.htm)に示されている「高速破壊試験」である。該装置の動作の詳細は、http://www.xinst.com/images/SER_2004_Antec.pdfに記載されている。
【0161】
この装置で測定されるフィルムの破壊は、以下の方程式、
FS=Tp/2Rt
(式中、FS-測定されるフィルムの破壊強度(ニュートン/メートル)、Tp-装置により印加されるピークトルク(ニュートンメートル)、R-ドラムの半径(メートル)、およびt-フィルムの厚さ(メートル))で定義される。
【0162】
パネルを引き裂くのに必要とされるピークトルク(Tp)は、以下の方程式、で示される。
Tp=FS×2×R×t
【0163】
以下に示すように画質評価を行った。X線源は、Carestream Health CS2200X線発生装置であり、画像は、Carestream Health CS7600口内歯科用スキャナーを用いて超高解像度モードでスキャンした。スクリーンを70kV、7mA、0.16秒のX線曝露にかけた。蓄積性蛍光体スクリーンの平坦場曝露によりピクセル値を得、ラインペアファントムを撮像し、目視観察することにより解像度を得た。ここで得られる画質評価からは、一貫してまたは製造したパネル1セットもしくは1バッチにわたって(例えば、平均解像度)1mm解像度当たり測定可能なラインペア(LP/mm)が得られる。連続的なX線曝露、一定のスキャナー条件に対して、線形ピクセルコード値(cv)は、検出器により検出され、デジタル信号に変換される、光刺激ルミネセンスによる入射X線光子の光学光子への変換における、蓄積性蛍光体スクリーンの速度を表す。
【0164】
比較例11
溶剤被覆口内コンピューター放射線写真パネル(CS7600)を比較例11として使用した。パネルは、7milのPET支持体を被覆するBaFBrI蛍光体からなり、約6μのPVDF/PMMAオーバーコートを有し、エッジは、同じオーバーコート材を用いて密閉されている。全厚は325μであった。溶剤被覆口内コンピューター放射線写真パネルには、現在PET支持体が用いられている。さらに、出願人らは、分離した6milのPET支持体を引き裂くことができず、これを口内コンピューター放射線写真パネルの支持体として使用できた。
【0165】
発明実施例9
複合熱可塑性粒子の製造
フルオロブロモヨウ化バリウム(BFBrI)86重量%および低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)14重量%を含む、本開示による無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを調製し、これは蛍光体に対して約200ppmのレベルで銅フタロシアニン青色色素を含有していた。
【0166】
配合物は、LeistritzGL-400 2軸混合機を用いた、EM811Aポリマー樹脂とBFBrI粉末とのブレンドおよび混合を必要とした。スクリュー速度は300RPMに設定した。金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表19に示す温度に設定した。
【0167】
【0168】
BFBrIを充填したLDPEを含む無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーに供給し、40℃で乾燥した。
【0169】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表20に示す温度に設定した。
【0170】
【0171】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。全厚は150μであった。
【0172】
発明実施例10
複合熱可塑性粒子の製造
発明実施例9に記載したように試料を調製した。主な違いは、ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、カーボンブラック含有低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)と共に、430°Fで設定した金型温度で2スロット金型から共押出し、カーボンブラック含有LDPE層を含む二層押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成したことである。蛍光体層中の青色色素濃度は、蛍光体に対して100ppmであり、全厚は325μであった。
分析4
【表27】
【0173】
評価
溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルの重要な特性は、伝統的な溶剤被覆蓄積性蛍光体パネルよりもバリウム溶出率が低いことである。パネル0.67gを、希硝酸水溶液1gからなる抽出流体に浸し、それをpH2.8、25℃で72時間維持することにより、パネルからのバリウム溶出率を調べ、溶液中のバリウムイオンの濃度をICP/MSで測定した。
【0174】
比較例12
溶剤被覆口内コンピューター放射線写真パネル(CS7600)を比較例12として使用した。パネルは、7milのPET支持体を被覆するBaFBrI蛍光体からなり、約6μのPVDF/PMMAオーバーコートを有し、エッジは、同じオーバーコート材を用いて密閉されている。抽出流体と接触するパネルの2つの主要表面の全表面積は、25.42cm2であり、抽出流体と接触するパネルの4つのエッジ(エッジシールで覆われている)の全表面積は、0.216cm2であった。
【0175】
比較例13
パネルを3つに切断した以外は、比較例12で使用したものと同じ構造を有する溶剤被覆口内コンピューター放射線写真パネル(CS7600)を使用した。抽出流体と接触するパネルの2つの主要表面の全表面積は、25.42cm2であり、抽出流体と接触するパネルの12個のエッジ(一部はエッジシールで覆われており、一部はエッジシールで覆われていない)の全表面積は、0.402cm2であった。しかし、12個のエッジのうち4つだけが、エッジシールで覆われていない。したがって、曝露した(エッジシールなしの)エッジの表面積は、0.186cm2である。
【0176】
発明実施例11
複合熱可塑性粒子の製造
フルオロブロモヨウ化バリウム(BFBrI)86重量%および低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)14重量%を含む、本開示による無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを調製し、これは蛍光体に対して約90ppmのレベルで銅フタロシアニン青色色素を含有していた。
【0177】
配合物は、LeistritzGL-400 2軸混合機を用いた、EM811Aポリマー樹脂とBFBrI粉末とのブレンドおよび混合を必要とした。スクリュー速度は300RPMに設定した。金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表21に示す温度に設定した。
【0178】
【0179】
BFBrIを充填したLDPEを含む無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーに供給し、40℃で乾燥した。
【0180】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Killion押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表22に示す温度に設定した。
【0181】
【0182】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。抽出流体と接触するパネルの2つの主要表面の全表面積は、25.42cm2であり、抽出流体と接触するパネルの4つの曝露したエッジの全表面積は、0.216cm2であった。
【0183】
発明実施例12
パネルを3つに切断した以外は、発明実施例11で使用したものと同じ構造を有する押出無機蓄積性蛍光体パネルを使用した。抽出流体と接触するパネルの2つの主要表面の全表面積は、25.42cm
2であり、抽出流体と接触するパネルの12個の曝露したエッジの全表面積は、0.402cm
2であった。
分析5
【表30】
【0184】
評価
溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルの重要な特性は、それを再生できることである。本出願による溶融押出または射出成形またはホットプレスされた無機蓄積性蛍光体パネルのある種の実施形態は、無機蓄積性蛍光体パネルを、標準的な装置、例えば、グラインダー、冷凍グラインダー、デンシファイア、アグロメレーター、電気機械式グラインダー、機械式クラッシャーまたは任意の他の適当な装置を用いて簡単に粉砕または破砕する(例えば、細かくする/細かく砕く)ことにより再生および再使用でき、粉砕した材料を、再び溶融押出または射出成形またはホットプレスして、再生無機蓄積性蛍光体パネルを形成することができる。あるいは、一つの再生実施形態において、無機蓄積性蛍光体パネルを粉砕または破砕した後で、得られた材料を溶融混合して、複合熱可塑性粒子を形成してもよく、次いでそれを混合(例えば、溶融押出または射出成形またはホットプレス)して、再生無機蓄積性蛍光体層/パネルを形成する。無機蓄積性蛍光体パネルを効率的に再生できるようにするためには、再生材料/放射線写真パネルが、再生前のパネルのものに相当する撮像性能を有することが有益または必要である。さらに、無機蓄積性蛍光体パネルを効率的に再生できるようにするためには、個々の成分(例えば、青色色素、ポリマー、蛍光体)が、再生無機蓄積性蛍光体パネルを形成する再生中に化学的に相互作用および/または分解しないことが有益または必要である。さらに、無機蓄積性蛍光体パネルを効率的に再生できるようにするためには、再生方法実施形態が、再生無機蓄積性蛍光体パネルを混合または形成する際に、機械および温度適合性がある(例えば、個々の成分を分解しない)ことが有益または必要である。また、無機蓄積性蛍光体パネルを効率的に再生できるようにするためには、再生方法実施形態が、後続の放射線写真撮像工程を妨害しないか、または損なわないことが有益または必要である。
【0185】
いくつかの実施形態において、支持体が、ポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー、熱可塑性ポリオレフィンポリマー、ポリエチレンである熱可塑性ポリオレフィンポリマー)および銅フタロシアニンベースの青色色素で作られている場合、支持体を無機蓄積性蛍光体層に付着させ、再生することができる。このような実施形態において、更なる無機蓄積性蛍光体材料が、支持体から再生される追加の材料を構成するように、再生工程(混合および/または押出)中に所望の通りに添加されてもよい。
【0186】
一実施形態において、支持体を含むまたは含まない独立無機蓄積性蛍光体パネルは、(例えば、任意選択の混合と共に)パネルおよび押出物の粉砕により1回以上再生され得る、少なくとも1つのポリマー、無機蓄積性蛍光体材料および銅フタロシアニンベースの青色色素の無機蓄積性蛍光体層を含み得る。別の実施形態において、支持体を含むまたは含まない無機蓄積性蛍光体パネルは、溶融し(粉砕なし)、次いで混合して、再生製造パネルを形成することにより再生され得る。さらに別の実施形態において、押出ステップにより、個々のパネルよりも大きい無機蓄積性蛍光体層のシートが形成され、押出シートは、より小さいまたは個々のサイズの無機蓄積性蛍光体パネルに切断(例えば、分離、スライス)される。
【0187】
既存の蓄積性蛍光体パネルは、例えば、蛍光体/弾性ポリマーの複合層コーティングを有するポリエステル(PET)支持体、および別のポリマーのオーバーコート、ならびにパネルの周りの別のポリマーのエッジシール含む、多層構造であるため、再生が難しい。したがって、既存の蓄積性蛍光体パネルを再生するには、複合溶剤、および新しい本発明の方法を混合および/または使用せずに、成分各々を慎重に分離する必要がある。
【0188】
画質評価
以下に示すように画質評価を行った。X線源は、Carestream Health CS2200X線発生装置であり、画像は、Carestream Health CS7600口内歯科用スキャナーを用いて超高解像度モードでスキャンした。蓄積性蛍光体スクリーンの平坦場曝露によりピクセル値を得、ラインペアファントムを撮像し、目視観察することにより解像度を得た。ここで得られる画質評価からは、一貫してまたは製造したパネル1セットもしくは1バッチにわたって(例えば、平均解像度)1mm解像度当たり測定可能なラインペア(LP/mm)が得られる。連続的なX線曝露、一定のスキャナー条件に対して、線形ピクセルコード値(cv)は、検出器により検出され、デジタル信号に変換される、光刺激ルミネセンスによる入射X線光子の光学光子への変換における、蓄積性蛍光体スクリーンの速度を表す。
【0189】
X線発生装置を、3.5mmのAlフィルターで70kV、7mA、0.16秒の曝露レベルに設定した。X線透過率は、試料ありおよびなしで、Raysafe Xi Unfors密度計(「hi」レベルに設定)で測定した。吸収度は、ベールの法則を用いて計算した(吸収度=log(大気透過率/スクリーン透過率)。
【0190】
比較例14
複合熱可塑性粒子の製造
フルオロブロモヨウ化バリウム(BFBrI)86重量%および低密度ポリエチレン(LDPE EM811A、Westlake Longview Corp.、Houston,TXから入手可能)14重量%を含む、本開示による無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを調製し、これは蛍光体に対して約60ppmのレベルで銅フタロシアニン青色色素を含有していた。
【0191】
配合物は、LeistritzGL-400 2軸混合機を用いた、EM811Aポリマー樹脂とBFBrI粉末とのブレンドおよび混合を必要とした。スクリュー速度は300RPMに設定した。金型温度を220℃に設定し、混合機内の10個の加熱ゾーンを以下の表23に示す温度に設定した。
【0192】
【0193】
BFBrIを充填したLDPEを含む無機蓄積性蛍光体/熱可塑性物質の複合ペレットを、金型から出した後、25℃の水浴に入れて冷却し、連続ストランドに硬化した。次いで、ストランドをペレタイザーに供給し、40℃で乾燥した。
【0194】
無機蓄積性蛍光体層の押出
ペレット化した複合熱可塑性材料を、1軸Davis標準押出機に充填した。押出機内の加熱ゾーンを以下の表24に示す温度に設定した。
【0195】
【0196】
ペレット化した材料(複合熱可塑性物質)を、430°Fで設定した金型温度で単一の金型から押出し、押出無機蓄積性蛍光体パネルを100~200μの厚さ範囲で形成した。
【0197】
発明実施例13
比較例14で生成したパネルをフードプロセッサー(Hamilton Beach Big Mouth Deluxe 14-Cup Food Processor)を使用して粉砕した。パネルをフードプロセッサーに入れ、約4分間または細かく粉砕されるまで高速運転し、フードプロセッサーからの粉末フレークを比較例14に記載の手順にしたがって混合および押出した。発明実施例13において、再生したパネルの速度対X線吸収度の比は、再生前のパネルの15%以内であった。
分析6
【表33】
【0198】
本書において、「1つ(aまたはan)」は、特許文献で一般的な通り、任意の他の場合または「少なくとも1つ」もしくは「1つ以上」の用法とは無関係に、1つまたは1つより多いを含むように用いられる。本書では、用語「または」は、別段の指示がない限り、非排他性を指すように、または、「AまたはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」および「AおよびB」を含むように用いられる。本書において、用語「含む(including)」および「そこで(in which)」は、各用語「備える(comprising)」および「そこで(wherein)」の平易な英語の同義語として用いられる。また、以下の特許請求の範囲において、用語「含む(including)」および「備える(comprising)」は、非制限的であり、すなわち、特許請求の範囲においてこのような用語の前に列挙されるものに加えて、構成要素を含むシステム、装置、物品または工程が、依然として該特許請求の範囲内に含まれるとみなされる。
【0199】
本出願によるある種の例示的な方法および/または装置実施形態は、改善された再生無機蓄積性蛍光体層/パネルを提供し得る。本出願による例示的な実施形態は、ここに記載した様々な特徴を(単独でまたは組み合わせて)含み得る。
【0200】
本発明を、1つ以上の実行例に関して例示してきたが、変更および/または変形が、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱せずに、例示された例に対して行われてもよい。さらに、本発明の特定の特徴が、いくつかの実行例/実施形態の1つのみについて開示されていてもよく、このような特徴は、任意の所定または特定の機能について、所望され、有利であり得る、他の実行例/実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせられてもよい。用語「少なくとも1つの」は、選択できる列挙された項目の1つ以上を意味するために用いられる。用語「約」は、変更が、例示された実施形態の工程または構造との不適合にならない限り、列挙された値が幾分変更されていてもよいことを示す。最後に、「例示的な」は、それが理想的であることを意味するよりも、説明が一例として用いられることを示す。本発明の他の実施形態は、ここに開示された本発明の規定および実施を考慮することから当業者に明らかになるであろう。規定および実施例は、例示としてのみみなされ、本発明の真の範囲および精神は、少なくとも以下の特許請求の範囲により示されることが意図される。