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特許7055117光ファイバ端部構造及びそれを用いた光コネクタ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】光ファイバ端部構造及びそれを用いた光コネクタ構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20220408BHJP
   G02B 6/255 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
G02B6/02 421
G02B6/02 411
G02B6/255
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019187401
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021063880
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-10-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩一
(72)【発明者】
【氏名】八若 正義
(72)【発明者】
【氏名】田中 正俊
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-004771(JP,A)
【文献】特開2007-227713(JP,A)
【文献】特開平05-341151(JP,A)
【文献】特開2012-014173(JP,A)
【文献】特開2018-165813(JP,A)
【文献】国際公開第2008/123609(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0363125(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02
G02B 6/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバにおけるジャケットが設けられた部分から裸ファイバが突出して露出した光ファイバ端部構造であって、
前記露出した裸ファイバは、外周面に設けられたモードストリッパ及び前記モードストリッパの構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面を有する先端側の相対的に外径が大きい第1ファイバ部分と、外周面に設けられた第2のモードストリッパを有する後方側の相対的に外径が小さい第2ファイバ部分とを含み、
前記第1ファイバ部分の相対的に外径が大きい後方側の端面と前記第2ファイバ部分の相対的に外径が小さい先端側の端面とが接続されており、前記第1ファイバ部分の後方側の端面における前記第2ファイバ部分と接続した部分の外側の後方側を臨む面が前記漏洩光出射面を構成しており、
前記第1ファイバ部分の後端外周部が、外周面から後方側の端面に滑らかに連続するように、外向きに凸の曲面に形成されており、前記曲面が前記漏洩光出射面を構成している光ファイバ端部構造。
【請求項2】
請求項1に記載された光ファイバ端部構造において、
前記第1ファイバ部分の後方側の部分が、後方側に行くに従って外径が縮径するように形成されており、前記後方側に行くに従って外径が縮径するように形成された部分の外周面が前記漏洩光出射面を構成している光ファイバ端部構造。
【請求項3】
光ファイバにおけるジャケットが設けられた部分から裸ファイバが突出して露出した光ファイバ端部構造であって、
前記露出した裸ファイバは、外周面に設けられたモードストリッパと、前記モードストリッパの構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面とを有し、
前記露出した裸ファイバは、前記モードストリッパ及び前記漏洩光出射面を有する先端側の第1ファイバ部分と、後方側の第2ファイバ部分とを含み、
前記第1ファイバ部分の後端外周部が、外周面から後方側の端面に滑らかに連続するように、外向きに凸の曲面に形成されており、前記曲面が前記漏洩光出射面を構成している光ファイバ端部構造。
【請求項4】
光ファイバにおけるジャケットが設けられた部分から裸ファイバが突出して露出した光ファイバ端部構造であって、
前記露出した裸ファイバは、外周面に設けられたモードストリッパと、前記モードストリッパの構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面とを有し、
前記露出した裸ファイバは、前記モードストリッパ及び前記漏洩光出射面を有する先端側の第1ファイバ部分と、後方側の第2ファイバ部分とを含み、
前記第2ファイバ部分の先端側の部分が、先端側に行くに従って外径が縮径するように形成されているとともに、前記第2ファイバ部分の相対的に外径が小さい先端側の端面が前記第1ファイバ部分の相対的に外径が大きい後方側の端面に接続されており、且つ前記第1ファイバ部分の後方側の端面における前記第2ファイバ部分と接続した部分の外側の後方側を臨む面が前記漏洩光出射面を構成しており、
前記第1ファイバ部分及び前記第2ファイバ部分が同一スペックの光ファイバが用いられて構成されており、
前記第2ファイバ部分の先端側の部分の外径は、前記第1ファイバ部分と同一の外径から始まって先端側に行くに従って縮径している光ファイバ端部構造。
【請求項5】
光ファイバにおけるジャケットが設けられた部分から裸ファイバが突出して露出した光ファイバ端部構造であって、
前記露出した裸ファイバは、外周面に設けられたモードストリッパと、前記モードストリッパの構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面とを有し、
前記露出した裸ファイバは、前記モードストリッパ及び前記漏洩光出射面を有する先端側の第1ファイバ部分と、後方側の第2ファイバ部分とを含み、
前記第1ファイバ部分の後方側の部分が、後方側に行くに従って外径が縮径するように形成されているとともに、前記第1ファイバ部分の相対的に外径が小さい後方側の端面が前記第2ファイバ部分の相対的に外径が大きい先端側の端面に接続されており、且つ前記第1ファイバ部分の後方側の部分の外周面が前記漏洩光出射面を構成しており、
前記第1ファイバ部分及び前記第2ファイバ部分が同一スペックの光ファイバが用いられて構成されており、
前記第1ファイバ部分の後方側の部分の外径は、前記第2ファイバ部分と同一の外径から始まって後方側に行くに従って縮径している光ファイバ端部構造。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載された光ファイバ端部構造が光コネクタに収容されて構成された光コネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ端部構造及びそれを用いた光コネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバのクラッドを伝搬する漏洩光(クラッドモード光)を外部に放出して除去する手段として、光ファイバの外周面に設けられるモードストリッパがある。例えば、特許文献1には、光検出装置が、第1光ファイバと、その下流側に接続された第2光ファイバとを備え、第1光ファイバが、第1コア及びその外側の第1クラッドを有するとともに、第1クラッドの外周面に第1モードストリッパが設けられ、第2光ファイバが、第2コア、その外側の内側クラッド、その外側の低屈折率層、及びその外側の外側クラッドを有するとともに、外側クラッドの外周面に第2モードストリッパが設けられた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-70600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ加工機等で用いられる光ファイバでは、入射側の端部において、軸ずれ等のためにコアに入射されなかった漏洩光によりジャケットが焼損する虞がある。また、出射側の端部においては、レーザ光照射対象からの反射光がクラッドに入射した漏洩光により同様のジャケットの焼損の虞がある。そこで、これらの有害な漏洩光を外部に放出して除去するため、光ファイバの端部の外周面にモードストリッパが設けられている。
【0005】
ところが、従来のモードストリッパでは、漏洩光の軸方向に対する伝搬角度が、コアとクラッドとの屈折率によって決まる開口数(NA)よりも十分に大きければ、優れた漏洩光の除去効率が得られるものの、その伝搬角度が開口数(NA)よりも僅かに大きい程度のときには、漏洩光の除去効率が低いという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、漏洩光の軸方向に対する伝搬角度の大きさによらず、優れた漏洩光の除去効率が得られる光ファイバ端部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光ファイバにおけるジャケットが設けられた部分から裸ファイバが突出して露出した光ファイバ端部構造であって、前記露出した裸ファイバは、外周面に設けられたモードストリッパと、前記モードストリッパの構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面とを有する。
【0008】
本発明は、本発明の光ファイバ端部構造が光コネクタに収容されて構成された光コネクタ構造である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端部に露出した裸ファイバが、外周面に設けられたモードストリッパに加え、モードストリッパの構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面を有することにより、漏洩光の軸方向に対する伝搬角度の大きさによらず、優れた漏洩光の除去効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】実施形態1に係る光コネクタ構造の断面図である。
図1B】実施形態1に係る光コネクタ構造の変形例の断面図である。
図2】実施形態2に係る光コネクタ構造の断面図である。
図3】実施形態3に係る光コネクタ構造の断面図である。
図4】実施形態4に係る光コネクタ構造の断面図である。
図5】実施形態5に係る光コネクタ構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1Aは、実施形態1に係る光コネクタ構造Cを示す。実施形態1に係る光コネクタ構造Cは、レーザ切断装置、レーザ溶接装置、3D金属プリンター等のレーザ加工装置に用いられるレーザ光伝送用の光ファイバケーブルに含まれる光ファイバ10の光ファイバ端部構造Aが光コネクタ20に収容されて構成されている。
【0013】
光ファイバ10は、裸ファイバ11と、それを被覆するジャケット12とを有する。光ファイバ10の外径は、例えば1.3mmである。
【0014】
裸ファイバ11は、相対的に高屈折率なコア11aと、それを被覆する相対的に低屈折率のクラッド11bとを含む。裸ファイバ11は、例えば、コア11aがノンドープの純粋石英で形成されており、クラッド11bが屈折率を低下させるドーパント(F、B等)がドープされた石英で形成されている。なお、裸ファイバ11は、複数のコアを有するマルチコアファイバであってもよい。また、裸ファイバ11は、クラッド11bを更に被覆する第2クラッドのサポート層を含んでいてもよい。
【0015】
ジャケット12は、フッ素樹脂や紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等で形成された単一層で構成されていてもよく、また、例えばシリコーン樹脂の内側バッファ層と、それを被覆するナイロン樹脂やフッ素樹脂の外側被覆層との2層で構成されていてもよい。ジャケット12の厚さは、例えば400μmである。
【0016】
光ファイバ端部構造Aは、ジャケット12が設けられた部分から裸ファイバ11が突出して露出している。端部に露出した裸ファイバ11は、外径が異なる先端側の第1ファイバ部分111と、その後方側の第2ファイバ部分112とを含む。ここで、本出願では、端部に露出した裸ファイバ11の「先端側」をそのまま「先端側」といい、「基端側」を「後方側」という。第1ファイバ部分111は、相対的に外径が大きく形成されている。第1ファイバ部分111の外径は、例えば500μm以上1000μm以下である。第1ファイバ部分111の長さは、例えば10mm以上200mm以下である。第2ファイバ部分112は、相対的に外径が小さく形成されており、且つ外径がジャケット12が設けられた部分の裸ファイバ11の外径と同一である。第2ファイバ部分112の外径は、例えば150μm以上400μm以下である。第2ファイバ部分112の長さは、例えば10mm以上200mm以下である。
【0017】
第1ファイバ部分111の後方側の端面及び第2ファイバ部分112の先端側の端面は、いずれも軸方向に対する垂直面である。第1ファイバ部分111の相対的に外径が大きい後方側の端面と第2ファイバ部分112の相対的に外径が小さい先端側の端面とは、同軸に突き合わされて融着接続されている。したがって、第1ファイバ部分111と第2ファイバ部分112との接続部では、外径が不連続に変化しており、そのため第1ファイバ部分111の後方側の端面は、第2ファイバ部分112との融着接続した部分の外側に環状の後方側を臨む面を含む。ここで、本出願において、「後方側を臨む面」とは、面の法線方向が軸方向に対してなす角度が後方側に0°以上90°未満である面をいう。
【0018】
第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112は、コア径が同一であることが好ましいが、コア径が異なる場合でも、接続損失が、好ましくは0.5dB以下、より好ましくは0.1dB以下、更に好ましくは0.05dB以下であればよい。第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112のコア径は、例えば10μm以上1000μm以下である。
【0019】
第1ファイバ部分111の外周面には、第1モードストリッパ131が設けられている。また、第2ファイバ部分112の外周面には、第2モードストリッパ132が設けられている。これらの第1及び第2モードストリッパ132は、第1ファイバ部分111及び/又は第2ファイバ部分112における長さ方向の所定長の部分に設けられていてもよく、また、長さ方向の全長に設けられていてもよい。これらの第1及び第2モードストリッパ132は、例えば、それらの外周面に対して、研磨やブラストや切断などの機械加工、湿式エッチング、レーザ加工等が施されて形成された粗面、又は、シリカなどの微粒子の堆積溶融等して形成された粗面で構成される。
【0020】
光コネクタ20は、例えばステンレスなどの金属等で筒状に形成されている。光コネクタ20には、先端側に内径の大きい円筒孔が形成され、その中間部に環状のサファイアブロック21が内嵌めされて先端側の石英ブロック収容部22と後方側の裸ファイバ収容部23とに仕切られている。石英ブロック収容部22には塊状の石英ブロック24が収容されている。裸ファイバ収容部23の後方側に連続して内径が光ファイバ10の外径とほぼ同じ光ファイバ挿通孔25が形成されている。
【0021】
光ファイバ端部構造Aは、光ファイバ10が光コネクタ20の後方側から挿入されることにより、光コネクタ20に収容されている。光ファイバ端部構造Aにおいて、ジャケット12が設けられた部分が光ファイバ挿通孔25に内嵌め保持されるとともに、その先端面が光ファイバ挿通孔25の先端に位置づけられている。第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112を含む露出した裸ファイバ11は、裸ファイバ収容部23内の空間を非接触で軸方向に延びるとともに、その先端部がサファイアブロック21に内嵌め保持され、且つ先端面が石英ブロック24に融着接続されている。
【0022】
実施形態1に係る光コネクタ構造Cにおいて、入射側の光コネクタ20の場合には光源からのレーザ光が、また、出射側の光コネクタ20の場合には被照射物からの反射光が、石英ブロック24を介して第1ファイバ部分111のクラッド11bにも入射して漏洩光として伝搬する。このとき、漏洩光のうちの軸方向に対する伝搬角度が第1ファイバ部分111の開口数(NA)よりも十分に大きい成分は、その大部分が第1ファイバ部分111の外周面に設けられた第1モードストリッパ131から外部の裸ファイバ収容部23内の空間に放出されて除去される。
【0023】
一方、漏洩光のうちの軸方向に対する伝搬角度が第1ファイバ部分111の開口数(NA)よりも僅かに大きい程度の成分は、第1モードストリッパ131では十分に除去されない。これは、コア径と第1ファイバ部分111の外径との差が大きいため、この成分の漏洩光が第1モードストリッパ131にまで到達することが困難になるためであると推測される。しかしながら、この成分の漏洩光は、第1ファイバ部分111の後方側の端面における第2ファイバ部分112との融着接続した部分の外側の環状の後方側を臨む面から外部の裸ファイバ収容部23内の空間に放出されて除去される。したがって、第1ファイバ部分111の後方側の端面におけるこの環状の後方側を臨む面が、第1モードストリッパ131よりも後方側に設けられた第1モードストリッパ131の構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面14を構成している。漏洩光出射面14は、平滑面であってもよく、また、粗面であってもよい。なお、この成分の漏洩光の除去対策としては、露出した裸ファイバの外径を細径化し、コア径と裸ファイバの外径との差を小さくすることが考えられるが、その場合、細径の裸ファイバのレーザに対する耐性が低くなることが懸念されるとともに、細径の裸ファイバを取り扱う必要があるため、製造プロセスの煩雑さが増えるといった課題が生じる。
【0024】
また、第1モードストリッパ131及び漏洩光出射面14から除去されなかった漏洩光は、第2ファイバ部分112のクラッド11bに入射して伝搬し、第2ファイバ部分112の外周面に設けられた第2モードストリッパ132から外部の裸ファイバ収容部23内の空間に放出されて除去される。なお、第1モードストリッパ131及び漏洩光出射面14から漏洩光を十分に除去することができるのであれば、この第2モードストリッパ132は必ずしも必要ではない。
【0025】
第1ファイバ部分111の第1モードストリッパ131及び漏洩光出射面14、並びに第2ファイバ部分112の第2モードストリッパ132から裸ファイバ収容部23内の空間に放出された漏洩光は、光コネクタ20の裸ファイバ収容部23の内壁に照射され、吸収されて熱エネルギーに変換され、それが光コネクタ20を伝導して外部に放熱される。
【0026】
上記の構成によれば、端部に露出した裸ファイバ11の第1ファイバ部分111が、その外周面に設けられた第1モードストリッパ131に加え、モードストリッパの構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面14とを有することにより、漏洩光のうちの軸方向に対する伝搬角度が第1ファイバ部分111の開口数(NA)よりも十分に大きい成分を第1モードストリッパ131から有効に除去するとともに、第1モードストリッパ131で除去されなかった漏洩光のうちの軸方向に対する伝搬角度が第1ファイバ部分111の開口数(NA)よりも僅かに大きい程度の成分を漏洩光出射面14から除去するので、漏洩光の軸方向に対する伝搬角度の大きさによらず、優れた漏洩光の除去効率を得ることができる。また、裸ファイバ11の第2ファイバ部分112が、その外周面に設けられた第2モードストリッパ132を有するので、第1ファイバ部分111の第1モードストリッパ131及び漏洩光出射面14で除去されなかった漏洩光を第2モードストリッパ132から除去することができる。そして、その結果、有害な漏洩光によるジャケット12の焼損を抑制することができる。
【0027】
ところで、レーザ加工装置の小型化に伴い加工分野が拡大しており、光ファイバケーブルのフィールドでの取り周りや故障時の修理の容易さが求められていることから、光ファイバケーブルにおける光ファイバの細径化が進んでいる。ところが、光ファイバが細径化すると、その漏洩光に対する耐性が低くなることが懸念される。しかしながら、上記の構成によれば、外径の大きい第1ファイバ部分111の第1モードストリッパ131及び漏洩光出射面14から漏洩光を効率的に除去することができるので、第2ファイバ部分112及びそれに続くジャケット12が設けられた部分の漏洩光に対する耐性を懸念する必要がなく、光ファイバ10の細径化を図ることができる。加えて、第1ファイバ部分111を融着接続した石英ブロック24を有する光コネクタ20をモジュール化しておけば、光ファイバ10の外径を自由に選択して第1ファイバ部分111に融着接続することにより、所望の光ファイバ10が細径化された光ファイバケーブルを得ることができる。
【0028】
光コネクタ構造Cは、図1Bに示すように、第1ファイバ部分111の後方側の一部分及び第2ファイバ部分112が埋設されるように裸ファイバ収容部23に熱伝導材26が充填されていてもよい。この場合、第1ファイバ部分111の漏洩光出射面14及び第2ファイバ部分112の第2モードストリッパ132が熱伝導材26に埋設されることとなる。これにより、第1ファイバ部分111の漏洩光出射面14及び第2ファイバ部分112の第2モードストリッパ132で発生した熱を、熱伝導材26を介して光コネクタ20に効率的に伝導して放熱させることができる。なお、第1ファイバ部分111の第1モードストリッパ131も熱伝導材26に埋設させてもよい。また、光コネクタ20内に冷却水を循環させて水冷により積極的に冷却を行ってもよい。
【0029】
(実施形態2)
図2は、実施形態2に係る光コネクタ構造Cを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、同一符号で示す。
【0030】
実施形態2に係る光コネクタ構造Cでは、光ファイバ端部構造Aにおいて、第1ファイバ部分111の後端外周部が、外周面から後方側の端面に滑らかに連続するように、外向きに凸の曲面に形成されている。この曲面も後方側を臨む漏洩光出射面14を構成している。
【0031】
上記の構成によれば、漏洩光出射面14を構成する第1ファイバ部分111の後端外周部の曲面では、漏洩光の出射面積が広いのに加え、第1ファイバ部分111の後端側に行くに従って、軸方向に対する傾斜角度が連続して大きくなるように変化しているので、多くの漏洩光に対する臨界角が小さくなり、より効率的に漏洩光を除去することができる。また、本形状とすることで漏洩光出射面14から、先端方向に戻る反射光が削減されるため、レーザ加工機の光源や加工ヘッドに戻り光による悪影響を減らすことができる。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
【0032】
(実施形態3)
図3は、実施形態3に係る光コネクタ構造Cを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、同一符号で示す。
【0033】
実施形態3に係る光コネクタ構造Cでは、光ファイバ端部構造Aにおいて、第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112は、基本的には外径が同一であるが、第2ファイバ部分112の先端側の部分だけが、先端側に行くに従って外径が漸次連続して縮径したテーパ状に形成されている。第1ファイバ部分111の相対的に外径が大きい後方側の端面には、外径が縮小した第2ファイバ部分112の相対的に外径が小さい先端側の端面が同軸に突き合わされて融着接続されている。したがって、第1ファイバ部分111と第2ファイバ部分112との接続部では、外径が不連続に変化しており、そのため第1ファイバ部分111の後方側の端面は、第2ファイバ部分112との融着接続した部分の外側に環状の後方側を臨む面を含み、これが漏洩光出射面14を構成している。第2ファイバ部分112のテーパ状に形成された部分の長さは、例えば1mm以上100mm以下である。第2ファイバ部分112の先端側の端面の外径は、例えば150μm以上400μm以下である。なお、第2ファイバ部分112の先端側の部分は、先端側に行くに従って外径がステップ状に縮径していてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112の外径が同一であるので、それらに同一スペックの光ファイバ10を用いることができ、その場合、第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112のコア径が同一となるので、それらの接続損失を低く抑えることができる。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
【0035】
なお、第1ファイバ部分111の後端外周部は、前述の実施形態2と同様、外周面から後方側の端面に滑らかに連続するように、外向きに凸の曲面に形成されて漏洩光出射面14を構成していてもよい。また、第1ファイバ部分111の後方側の部分は、後述の実施形態4と同様、後方側に行くに従って外径が漸次連続して縮径したテーパ状に形成されて漏洩光出射面14を構成していてもよい。これらの形状とすることで漏洩光出射面14から、先端方向に戻る反射光が削減されるため、レーザ加工機の光源や加工ヘッドに戻り光による悪影響を減らすことができる。
【0036】
(実施形態4)
図4は、実施形態4に係る光コネクタ構造Cを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、同一符号で示す。
【0037】
実施形態4に係る光コネクタ構造Cでは、光ファイバ端部構造Aにおいて、第1ファイバ部分111の後方側の部分が、後方側に行くに従って外径が漸次連続して縮径したテーパ状に形成されている。第1ファイバ部分111のテーパ状に形成された部分の長さは、例えば1mm以上100mm以下である。第1ファイバ部分111の後方側の端面の外径は、第2ファイバ部分112の先端側の端面の外径よりも大きく、その外径の差は、例えば10μm以上1000μm以下である。第1ファイバ部分111の相対的に外径が大きい後方側の端面には、第2ファイバ部分112の相対的に外径が小さい先端側の端面が同軸に突き合わされて融着接続されている。したがって、第1ファイバ部分111と第2ファイバ部分112との接続部では、外径が不連続に変化しており、そのため第1ファイバ部分111の後方側の端面は、第2ファイバ部分112との融着接続した部分の外側に環状の後方側を臨む面を含み、これが漏洩光出射面14を構成している。それに加えて、第1ファイバ部分111における後方側に行くに従って外径が漸次連続して縮径してテーパ状に形成された部分の外周面もまた、第1モードストリッパ131の構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面14を構成している。
【0038】
なお、第1ファイバ部分111の後方側の端面の外径と、第2ファイバ部分112の先端側の端面の外径とが同一であって、第1ファイバ部分111の後方側の端面が漏洩光出射面14を有さない構成であってもよい。また、第1ファイバ部分111の後方側の部分は、後方側に行くに従って外径がステップ状に縮径していてもよい。更に、実施形態2と同様、第1ファイバ部分111の後端外周部が、外周面から後方側の端面に滑らかに連続するように、外向きに凸の曲面に形成されて漏洩光出射面14を構成していてもよい。
【0039】
上記の構成によれば、漏洩光出射面14を構成する第1ファイバ部分111のテーパ状に形成されている部分では、漏洩光の出射面積が広いのに加え、軸方向に対して傾斜しているので、多くの漏洩光に対する臨界角が小さくなり、より効率的に漏洩光を除去することができる。また、本形状とすることで漏洩光出射面14から、先端方向に戻る反射光が削減されるため、レーザ加工機の光源や加工ヘッドに戻り光による悪影響を減らすことができる。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
【0040】
(実施形態5)
図5は、実施形態5に係る光コネクタ構造Cを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、同一符号で示す。
【0041】
実施形態5に係る光コネクタ構造Cでは、光ファイバ端部構造Aにおいて、第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112は、基本的には外径が同一であるが、第1ファイバ部分111の後方側の部分だけが、後方側に行くに従って外径が漸次縮径したテーパ状に形成されている。第1ファイバ部分111のテーパ状に形成された部分の長さは、例えば1mm以上100mm以下である。第1ファイバ部分111の後方側の端面の外径は、第2ファイバ部分112の先端側の端面の外径よりも小さく、その外径の差は、例えば10μm以上1000μm以下である。第1ファイバ部分111の相対的に外径が小さい後方側の端面には、第2ファイバ部分112の相対的に外径が大きい先端側の端面が同軸に突き合わされて融着接続されている。第1ファイバ部分111における後方側に行くに従って外径が漸次連続して縮径してテーパ状に形成された部分の外周面は、第1モードストリッパ131の構成面とは別の後方側を臨む漏洩光出射面14を構成している。なお、第1ファイバ部分111の後方側の部分は、後方側に行くに従って外径がステップ状に縮径していてもよい。
【0042】
上記の構成によれば、漏洩光出射面14を構成する第1ファイバ部分111のテーパ状に形成されている部分では、漏洩光の出射面積が広いのに加え、軸方向に対して傾斜しているので、多くの漏洩光に対する臨界角が小さくなり、より効率的に漏洩光を除去することができる。また、本形状とすることで漏洩光出射面14から、先端方向に戻る反射光が削減されるため、レーザ加工機の光源や加工ヘッドに戻り光による悪影響を減らすことができる。また、第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112の外径が同一であるので、それらに同一スペックの光ファイバ10を用いることができ、その場合、第1ファイバ部分111及び第2ファイバ部分112のコア径が同一となるので、それらの接続損失を低く抑えることができる。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
【0043】
(その他の実施形態)
上記実施形態1~5では、露出した裸ファイバ11を、第1ファイバ部分111と第2ファイバ部分112とが融着接続された構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、接続部分を有さない裸ファイバの外周面にモードストリッパ及び漏洩光出射面が形成加工された構成であってもよい。
【0044】
上記実施形態1~5では、露出した裸ファイバ11を、第1ファイバ部分111と第2ファイバ部分112とが融着接続された構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、第1ファイバ部分111の先端側、第1ファイバ部分111と第2ファイバ部分112との間、及び第2ファイバ部分112の後方側のうちの1箇所又は2箇所以上に第3ファイバ部分が設けられた構成であってもよい。
【0045】
上記実施形態1~5では、第1モードストリッパ131の後方側に漏洩光出射面14が設けられた構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、モードストリッパの先端側に漏洩光出射面が設けられた構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、光ファイバ端部構造及びそれを用いた光コネクタ構造の技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0047】
A 光ファイバ端部構造
C 光コネクタ構造
10 光ファイバ
11 裸ファイバ
11a コア
11b クラッド
111 第1ファイバ部分
112 第2ファイバ部分
12 ジャケット
131 第1モードストリッパ
132 第2モードストリッパ
14 漏洩光出射面
20 光コネクタ
21 サファイアブロック
22 石英ブロック収容部
23 ファイバ収容部
24 石英ブロック
25 光ファイバ挿通孔
26 熱伝導材
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5