(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】電気化学検出、容量検出、および電界放出検出のためのナノ構造アレイベースのセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20220408BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
G01N27/416 336M
G01N27/416 386Z
G01N27/416 371G
G01N27/416 311G
G01N27/22 Z
(21)【出願番号】P 2019503401
(86)(22)【出願日】2017-03-30
(86)【国際出願番号】 US2017024949
(87)【国際公開番号】W WO2017173042
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-30
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518345907
【氏名又は名称】カリード,ワカス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カリード,ワカス
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523616(JP,A)
【文献】特表2009-530634(JP,A)
【文献】国際公開第02/023185(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板(201)上のアレイ状に配置された少なくとも2つの個別アクセス可能ナノ構造(207)の配置構造であって、
前記第1基板(201)は非導電性であり、前記第1基板内には導電部(208)が存在しており、
前記導電部は、前記個別アクセス可能ナノ構造のアレイを形成する前記ナノ構造(207)との電気コンタクトを形成し、
前記ナノ構造(207)は、前記第1基板(201)の前記導電部(208)を介して、非導電性の前記第1基板(201)の第1面(202)上の導電パス(403)および第2基板(209)の導電構造(210)と個別接続されており、
前記ナノ構造(207)は媒質(3000)でカバーされており、
前記媒質は被検物を含み、
前記少なくとも2つのナノ構造(207)間に電圧(900)が印加されると、前記ナノ構造間に電場または電磁場が生成され、前記ナノ構造間にキャパシタンス(700)が形成され、
前記電場または電磁場は、前記ナノ構造間で荷電物質(800)を移動させ、
前記ナノ構造(207)は、ナノチューブ、ナノファイバ、ナノロッド、ナノワイヤを含むグループから選択されたものであり、
前記ナノ構造(207)は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、シリコンナノワイヤ、酸化亜鉛ナノロッドから選択されて
おり、
前記個別アクセス可能なアレイ状のナノ構造は、電気化学分光法、容量技術、および電界放出技術を利用することを介して、複数被検物の電気化学測定のためのナノ電極として利用される
ことを特徴とする配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本発明は、2016年3月30日に出願された米国仮出願62/315,609号の優先権を主張する。同文献の全内容は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気化学分光法、容量技術、および電界放出技術を用いて被検物を検出するための個別にアクセス可能なアレイ形式のナノ構造を備える電気デバイスに関する。同デバイスを用いて、細胞を操作し、モニタし、検出することができる。同デバイスは、高解像度電気化学カメラとして用いることもできる。
【背景技術】
【0003】
電気化学分光法は、液体内の(特に溶液内の)化学物質をモニタする強力な技術である。これは生体検出においてよく用いられる。電気化学分光法は様々な技術を含み、これにはボルタンメトリー、アンペロメトリー、サイクリックボルタンメトリー、高速スキャンボルタンメトリー、電気化学インピーダンススペクトロスコーピー、ストリッピングボルタンメトリー、などが含まれる。電気化学測定においては、様々なサイズ、形状、材質の電極を利用して、信号対ノイズ比を向上させる。電極のサイズが小さく表面積が大きいほうが望ましい。感度がより高まるからである。個別にアクセス可能なナノ構造のアレイは、高感度、高速、複数被検物の電気化学分光法を実施するための電極として最良の手段である。このアレイ構造はWO2013001076に記載されており、同文献は参照により本願に組み込まれる。このようなナノ構造を小空間にパックして、様々な検出用途において高空間分解能かつ高感度の機能を提供することができる。このナノ構造は、様々な化学物質によって機能化することができる。WO2013132352はその例を記載しており、同文献は参照により本願に組み込まれる。このデバイスを用いて独自の検出方式を実施することができるとともに、化学的組成に基づき物質を撮像する電気化学カメラを実現することができる。
【0004】
研究者は容量検出を用いて、固体/液体/ガス内のガスや被検物を検出する場合もある。キャパシタ電極のサイズと機能化により、被検物の検出方法の感度と選択性が決定される。被検物がキャパシタまたはスーパーキャパシタの電極間に到達すると、システムのキャパシタンスを変化させ、これを測定することができる。これは被検物のサイズを検出する強力な技術である。したがってデバイスにおいて容量トモグラフィーを採用することもできる。
【0005】
さらに、電界放出ベースでガスおよびガス内の不純物を検出することは、上述のナノ構造アレイを用いて実施することができる。ナノ構造を備える2つの電極間に電圧が印加されると、電界放出(空気または真空を介して電子が一方の電極から他方へ移動する)が生じる。ガス分子または不純物または被検物が電極間に到達すると、ガスその他物質のイオン化が生じ、電界放出電流を変化させる。この変化は、適当な電子部品とソフトウェアを用いて検出することができる。電極の材質、電極間距離、および印加電圧は、この方法の感度に寄与する要因である。
【0006】
現在のところ、電極はいずれも大きく、あるいは複合ナノ材料電極は表面に結合しないように形成される。したがって電極は、電気化学測定の間に剥がれる傾向がある。さらに、容量検出のために緊密にパックした電極を形成することは困難であり、その製造も困難である。電界放出デバイスを形成する際にも同様の問題が生じる。これらが離れすぎると、空気中のアークにより、空気中の電界放出を実施することは困難である。ただし電極が十分に接近しており、空気分子の平均自由行程が電極間距離に相当していれば、電界放出デバイスを実現することができる。したがって当該分野において、電界放出デバイスを改善するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、様々な電気化学分光法、容量技術、および電界放出技術を利用して複数被検物を電気化学検出するナノ電極として、個別アクセス可能なナノ構造を利用する新規かつ進歩性ある方法に基づいている。ナノ構造の材料はカーボンナノチューブを含み、これは優れた電気的、熱的、機械的特性を有する。
【0008】
第1側面において本発明は、基板(201)上のアレイにおける少なくとも2つの個別アクセス可能ナノ構造(207)の配置構造を提供する。前記基板(201)は非導電性であり、前記基板内には導電部(208)が存在し、前記導電部は、アレイ内の前記個別アクセス可能ナノ構造を形成する前記ナノ構造(207)との電気コンタクトを形成し、前記ナノ構造(207)は、前記第1基板(201)の前記導電部(208)を介して、前記非導電基板(201)の前記第1面(202)上の導電パス(403)および第2基板(209)の導電構造(210)と個別接続され、前記ナノ構造(207)は媒質(3000)でカバーされ、前記少なくとも2つのナノ構造(207)間に電圧(900)が印加されると、前記ナノ構造間に電場または電磁場が生じ、前記ナノ構造間にキャパシタンス(700)が形成される。
【0009】
1実施形態において、電場によりナノ構造間で荷電物質(800)が移動する。1実施形態において、各ナノ構造(207)はベースサイズ(2210)を有し、前記ベースサイズ(2210)は約1~1,000,000nmの範囲である。1実施形態において、高さ(2220)は約10~1,000,000nmの範囲である。1実施形態において、前記ナノ構造(207)は1以上のナノ材料を含む。1実施形態において、前記ナノ構造(207)は以下のグループから選択されている:ナノチューブ、ナノファイバ、ナノロッド、ナノワイヤ。1実施形態において、前記ナノ構造(207)は以下から選択されている:カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、シリコンナノワイヤ、酸化亜鉛ナノロッド。1実施形態において、距離(2213)は各ナノ材料間のギャップであり、1~100nmの範囲である。1実施形態において、前記少なくとも2つのナノ構造(207)は、距離(800)によって分離されており、前記距離(800)は1~100000nmの範囲である。1実施形態において、前記少なくとも2つのナノ構造は、基板の導電部によって正電荷または負電荷にチャージされる。1実施形態において、各ナノ構造は1~100nmのベースサイズ(2212)と1~1,000,000nmの高さ(2211)を有する。1実施形態において、前記媒質(3000)は固体表面または液体またはガスである。1実施形態において、前記媒質は固定され、または流れている。1実施形態において、前記媒質は以下のグループから選択されている:真空、空気、ガス混合物、ポリマ、セラミクス、ケイ素、半導体、金属、シリコーン、石英、雲母、テフロン(登録商標)、油、溶液、混合液。1実施形態において、前記媒質(3000)は前記ナノ構造の高さよりも少なくとも約1~500000nm厚い。1実施形態において、前記電圧(900)は前記ナノ構造と外部電極との間に印加される。1実施形態において、前記外部電極の材料は以下のグループから選択されている:金属、複合材料、半導体、導電ポリマ、銀/塩化銀。1実施形態において、前記ナノ構造アレイは一定電荷または電流によってチャージされる。1実施形態において、前記ナノ構造アレイは交流電荷または電流によってチャージされる。1実施形態において、キャパシタンス(700)は前記ナノ構造間に形成され、前記電場の方向は前記電圧(900)の極性に依拠する。1実施形態において、前記媒質はさらに、前記媒質(3000)内の被検物(600)を含む。他実施形態において、前記被検物は前記媒質内の不純物を含む。1実施形態において、前記被検物のサイズは1オングストロームから1mmであり、望ましくは1nmから1000nmであり、最も望ましくは1オングストロームから10nmである。1実施形態において、前記被検物は以下のグループから選択されている:イオン、細胞、ナノ粒子DNA、RNA、生体分子、ポリマ、セラミクス、金属、ガス、バクテリア、ウイルス、蒸気、毒素。1実施形態において前記被検物は化学物質である。1実施形態において前記化学物質は、前記媒質内の前記被検物によって生じる電気化学的変化またはインピーダンス変化により、電気化学分光法を用いて検出される。1実施形態において、前記被検物は化学物質であり、前記被検物によって生じる前記媒質内の誘電率変化によるキャパシタンス変化を用いて検出される。1実施形態において、前記被検物は化学物質であり、前記被検物がイオン化されて前記媒質の特性を変化させることにより、電界放出検出を用いて検出される。
【0010】
他側面において、本発明はデバイス(300)を提供する。デバイス(300)は、基板(201)上のアレイ状の少なくとも2つの個別アクセス可能ナノ構造(207)を備え、前記基板(201)は非導電性であるとともに導電部(208)を備え、前記導電部は、アレイ内の前記個別アクセス可能ナノ構造を形成する前記ナノ構造(207)との電気コンタクトを形成し、前記ナノ構造(207)は、前記第1基板(201)の前記導電部(208)を介して、前記非導電基板(201)の前記第1面(202)上の導電パス(403)および第2基板(209)の導電構造(210)と個別接続され、前記ナノ構造(207)は媒質(3000)によってカバーされ、前記少なくとも2つのナノ構造(207)間に電圧(900)が印加されると、前記ナノ構造間に電場または電磁場が生成され、前記ナノ構造間にキャパシタンス(700)が形成される。
【0011】
1実施形態において、前記電場により前記ナノ構造間で荷電物質(800)が移動する。1実施形態において、前記アレイ内の少なくとも1つのナノ構造(207)は第1電荷でチャージされ、前記アレイ内の第2ナノ構造(207)は第2電荷でチャージされる。1実施形態において、ナノ構造の第1セットと第2セットとの間の電気的作用により第1電気信号が生じ、外部刺激または前記媒質(3000)内に被検物(600)が存在することにより前記電場が変化する。1実施形態において、ナノ構造の前記第1セットと前記第2セットとの間の前記電気的作用により第1電気信号が生じ、外部刺激または前記媒質(3000)内に被検物(600)が存在することにより前記キャパシタンス(700)が変化する。1実施形態において、ナノ構造の前記第1セットと前記第2セットとの間の前記電気的作用により第1電気信号が生じ、外部刺激または前記媒質(3000)内に被検物(600)が存在することにより前記2つのナノ構造間で前記荷電物質の流れが変化し、これにより第2電気信号が生じる。他実施形態において、前記被検物(600)は前記媒質内の不純物を含む。1実施形態において、前記ナノ構造からの前記第1および前記第2信号は、前記デバイス(300)に接続された外部回路を用いて、電気化学検出のための特殊なセンサ信号として利用することができる。1実施形態において、前記ナノ構造からの前記第1および前記第2信号は、前記デバイス(300)に接続された外部回路を用いて、容量検出のための特殊なセンサ信号として利用することができる。1実施形態において、前記ナノ構造からの前記第1および前記第2信号は、前記デバイス(300)に接続された外部回路を用いて、電界放出ベース検出のための特殊なセンサ信号として利用することができる。1実施形態において、いずれかの側面または実施形態における前記デバイスは、電気化学、容量、および/または電界放出センサアレイとして用いることができる。1実施形態において前記ナノ構造は、前記媒質(3000)内の被検物(600)の電気化学検出のためのナノ電極アレイとして動作し、前記配置構造は容量検出デバイスとして用いられ、前記ナノ構造は前記媒質(3000)内の被検物(600)の容量検出のためのナノ電極アレイとして動作し、前記配置構造は電界放出ベース検出デバイスとして用いられ、前記ナノ構造は前記媒質(3000)内の被検物(600)の電界放出ベース検出のためのナノ電極アレイとして動作する。他実施形態において、前記被検物(600)は前記媒質内の不純物を含む。1実施形態において、前記ナノ構造は機能化されている。1実施形態において前記機能化は、共有結合機能化、表面吸着、電気重合、または電気化学積層によって実施される。1実施形態において、前記ナノ構造の前記機能化により、前記ナノ構造上の荷電が促進される。1実施形態において、前記ナノ構造の前記機能化により、複数被検物の同時検出が促進される。1実施形態において前記機能化は、化学的機能化および/または共有結合機能化、表面吸着、電気化学積層によって実施され、これにより複数被検物の同時検出が促進される。1実施形態において、前記絶縁層の前記導電部は光起電性(208)である。1実施形態において、前記導電部(208)は光にさらされると電気を生成する。1実施形態において、光にさらすことにより、自己給電デバイスは電磁場から電力のエナジーハーベスティングを実施することができる。
【0012】
他実施形態において、本発明はシステム(4000)を提供する。システム(4000)は、上述のいずれかの側面または実施形態に係るデバイス(300)と、チップホルダ(4401)を備える。1実施形態において前記チップホルダ(4401)は、前記ナノ構造アレイデバイス(300)との少なくとも1つの電気コンタクトを提供する。1実施形態において前記チップホルダ(4401)は、前記ナノ構造アレイ(207)周辺における媒質(3000)の微小流体素子を提供する。1実施形態において前記チップホルダ(4401)は、外部ハードウェア(4402)との電気接続を提供する。1実施形態において、前記外部ハードウェア(4402)は、データ取得および信号生成ハードウェア電子部品を備える。1実施形態において、前記ハードウェア(4402)は有線または無線接続を用いてソフトウェア(4403)と接続され、前記ソフトウェア(4403)は前記デバイス(300)が生成したデータを処理する。
【0013】
他側面において、本発明はシステム(4000)を提供し、システム(4000)はナノ構造アレイ検出デバイス(300)、チップホルダ(4401)、ハードウェア(4402)、ソフトウェア(4403)を備える。
【0014】
1実施形態において、前記システムは高い検出効率で複数被検物を同時検出することができ、複数の検出方式、大面積ナノ電極アレイ、電子部品、およびソフトウェアアルゴリズムを用いて検出を改善する。
【0015】
他実施形態において本発明は、上述のいずれかの側面または実施形態に係るシステムを用いて、細胞をモニタし、検出し、または操作する方法を提供する。1実施形態において、細胞操作は細胞に穴を開けることを含み、前記ナノ構造(207)を用いて細胞膜(1401)に対して電荷を供給し、前記電荷により前記細胞に対して衝撃が与えられ、前記電荷を供給するために用いる前記ナノ構造(207)の特定の場所において前記細胞膜が開口(1404)する。1実施形態において、細胞内および細胞周辺における1以上の化学物質および/または被検物が検出され、化学物質と被検物の検出は、細胞内被検物計測、細胞膜越しの電位および被検物計測、電気化学技術/容量技術/電界放出技術を用いた細胞の微小環境における被検物計測を含む。1実施形態において、機能化ナノ構造(5207)を用いて、エレクトロポレーションによる細胞ダメージなしで細胞内に化学物質を供給し、前記ナノ構造上の機能グループを細胞内に供給する。1実施形態においてセルモニタリングは、細胞の動きのモニタリング、電気化学検出、容量検出、および電界放出検出を用いた化学物質と被検物の排出および収取のモニタリングを含み、前記細胞は媒質(3000)内で分離された単一細胞、媒質内の培養細胞のうちの単一細胞、または他細胞と作用する細胞である。1実施形態において、細胞検出は化学物質と被検物の検出を含み、前記化学物質と被検物は前記媒質(3000)内の単一細胞の微小環境に含まれており、前記単一細胞膜の化学的動作は個別アクセス可能ナノ構造を用いて空間分解能で検出され、前記細胞は生体内または試験管内に配置されている。
【0016】
他実施形態において本発明は、上述のいずれかの側面または実施形態に係るシステムを用いて複数被検物を検出する方法を提供する。1実施形態において、複数被検物は同時検出される。1実施形態において、複数被検物はリアルタイムで検出される。1実施形態において検出は、電気化学分光法、容量検出、または電界放出検出のうちいずれか1以上を用いて実施される。1実施形態において、前記被検物のサイズが判定される。1実施形態において、前記被検物の濃度が検出される。1実施形態において、前記システムはさらに、リモートコンピュータおよびデータストレージを備える。1実施形態において、前記システムはさらに、データ分析を実施する。1実施形態において、複数システムからの前記データ分析を同時に実施する。
【0017】
他実施形態においてデータ取得は、データ取得/接続ポート、増幅器/アナログ回路、ADC、マイクロコントローラ、通信ポータルを含み、信号生成ハードウェアは、入力設定変数、マイクロコントローラ、デジタルポテンショメータ、増幅器/アナログ 回路/バッファ、出力ポート/コネクタを含む。他実施形態においてデータ処理ソフトウェアは、上記デバイスが生成したデータを処理し、以下の生データ操作処理のうち少なくとも1つを含み、生データのグラフ表現は機械学習アルゴリズムを利用し、新データを学習済データまたはデータベース内のデータと比較し、データの分析出力を生成する。
【0018】
1実施形態において、上述のいずれかの側面または実施形態に係るデバイスは、電気化学分光法、容量検出法、または電界放出検出法を用いて、液体、ガス、表面、膜上の被検物の化学的組成を撮像する電気化学カメラとして用いることができる。1実施形態において、上述のいずれかの側面または実施形態に係るデバイスおよび/またはシステムは、リモートコンピュータ(クラウド)と接続することができ、複数のシステムやデバイスからのデータを同時に分析して複数システムからのデータを比較し、エコシステムのスナップショットを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本願の実施形態に基づきWO2013001076に記載されているナノ構造を備えるデバイスを製造する方法の概略を記述したフローチャートを示す。
【
図2】デバイスの拡大断面図を示す。各図は
図1の方法に係る製造プロセスのステージに対応する。
【
図3】本発明に係るデバイスの実施形態の斜視図を示す。
【
図4】本発明に係るデバイスの実施形態の側断面図を示す。
【
図6】本文書の実施形態が記載するシステム(4000)を形成するチップホルダ(4401)、ハードウェア(4402)、ソフトウェア(4403)のフローチャートを示す。
【
図7】異なる電荷を有する2つの隣接するナノ構造の詳細を示す。
【
図8】個別アクセス可能ナノ構造アレイと、各ナノ構造が機能グループによってどのように機能化されるかを示す。
【
図9】ナノ構造アレイベースデバイスの断面図と上面図を示す。ナノ構造は不純物(800)を含む媒質(300)でカバーされ、各ナノ構造は異なる電荷でチャージされている。
【
図10】チップホルダ(4401)内のナノ構造アレイデバイス(3000)を有するシステム(4000)を示す。チップホルダ(4401)はハードウェア(4402)と接続され、ハードウェアはコンピュータ上またはモバイルデバイス上のソフトウェア(4403)と接続されている。
【
図11】実世界においてデバイス(4000)を実現した例を示す。
【
図12】電気化学カメラとしてのデバイス(4000)を示す。
【
図13】被検物(600)と荷電物質(800)を含む媒質(300)内の様々なグループで機能化された荷電ナノ構造アレイを示す。
【
図14】媒質内のナノ構造アレイ上の細胞を示す。細胞は操作およびモニタされ、被検物と細胞が検出される。
【
図15A】様々な形状とサイズを有するカーボンナノチューブ(CNT)を備えるナノ構造の走査電子(SEM)マイクログラフを示す。
【
図15B】様々な形状とサイズを有するカーボンナノチューブ(CNT)を備えるナノ構造の走査電子(SEM)マイクログラフを示す。
【
図16】酸化亜鉛ナノロッドで機能化したCNTナノ構造のSEMマイクログラフを示す。
【
図17】隣接するナノ構造間で反対の電圧を印加してナノ構造間で電界放出(701)するナノ構造アレイを示す。
【
図18】実験において2つのナノ構造間の電界放出を用いてブリーズを検出したグラフを示す。
【
図19】他実験において2つのナノ構造間の電界放出を用いてブリーズを検出したグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、様々な電気化学分光法、容量技術、および電界放出技術を利用して複数の被検物を電気化学検出するナノ電極として、個別アクセス可能ナノ構造アレイを利用する、新規かつ進歩性ある方法に基づく。
【0021】
明示しない限り、本発明とともに用いる科学的および技術的用語は、当業者が共通的に理解する意味を有する。ただし用語の意味と範囲は、潜在的に不明確となり得る場合においては、辞書上のまたは外的定義に代わって本明細書の定義を用いる。さらに、文脈によって必要でない限りは、単数形は複数を含み、複数形は単数を含む。本願において、明示しない限り、“または”は“および/または”を意味する。さらに、用語“含む”や“含んでいる”“含まれている”は、非限定的なものである。また、“要素”や“部品”などの用語は、明示しない限り、1つのユニットを備える要素や部品を包含するとともに、2以上のサブユニットを備える要素や部品を包含する。
【0022】
本明細書と特許請求範囲における不定冠詞“a”と“an”は、明示しない限り、“少なくとも1つ”を意味する。
【0023】
範囲を示した場合はそのなかの個々の数値を含む。したがって例えば、100nmの範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100nmを意味する。
【0024】
明示しない限り、1以上のステップまたは動作を含む特許請求範囲の方法において、ステップまたは動作の順序は、記載する順序に限定されないことを理解されたい。
【0025】
理想的実施形態の概略を示す図面を参照して、実施形態を説明する。したがって、例えば製造技術および/または公差に起因する図面の形状のばらつきが含まれる場合がある。
【0026】
本発明は、新規かつ進歩性あるデバイス(300)を提供する。デバイス(300)は、ナノ構造(207)を備える。ナノ構造(207)は、導電部(208)を有する第1非導電基板(201)上にアレイ状に配置されており、ナノ構造(207)は、第1基板(201)の導電部(208)を介して、導電パス(403)と第2基板(209)の導電構造(210)に個別接続されており、デバイス(300)は電気化学センサアレイとして用いられ、ナノ構造は媒質内の被検物の電気化学検出のためのナノ電極アレイとして動作し;デバイス(300)は容量検出デバイスとして用いられ、ナノ構造は媒質内の被検物の容量検出のためのナノ電極アレイとして動作し;デバイス(300)は電界放出ベース検出デバイスとして用いられ、ナノ構造は媒質内の被検物の電界放出ベース検出のためのナノ電極アレイとして動作する。
【0027】
本発明は、デバイス(300)、チップホルダ(4401)デバイスを備えるシステムを提供する。チップホルダ(4401)は少なくとも、ナノ構造アレイデバイス(300)との電気コンタクト、ナノ構造アレイ周辺のガスまたは液体の微小流体素子、ハードウェア(4402)のための外部電気接続を提供する。ハードウェア(4402)は、データ取得および信号生成ハードウェアを備える。データ取得は、データ取得、接続ポート、増幅器、アナログ回路、ADC、マイクロコントローラ、通信ポータルを含む。信号生成ハードウェアは、入力設定変数、マイクロコントローラ、デジタルポテンショメータ、増幅器、アナログ回路、バッファ、出力ポート、コネクタを備える。
【0028】
1実施形態において、データ処理ソフトウェア(4403)は、デバイス(300)が生成したデータを処理し、以下の生データ操作処理のうち少なくとも1つを含み、生データをグラフ化し、機械学習アルゴリズムを利用し、新データを学習済データまたはデータベース内のデータと比較し、データの分析出力を生成する。
【0029】
本明細書のナノ構造アレイ検出デバイス、チップホルダデバイス、ハードウェア、データ処理ソフトウェアを備えるシステム(4000)を利用して、例えば電気化学検出、容量検出、および電界放出検出を実施する。
【0030】
本デバイスを用いて、容量検出を実施することができる。大表面積、小電極サイズ、電極間の小ギャップにより、チャージされるとスーパーキャパシタとして動作するからである。
【0031】
本デバイスは、電界放出ベース検出デバイスとして用いることができる。基板上にナノ構造が近接配置されるとともに、ナノ構造がカーボンナノチューブ、炭化ケイ素ナノワイヤなどの材料で形成されて優れた電界放出特性を有するからである。
【0032】
本デバイスは、個別アクセス可能電極のナノ構造ベースアレイを有する。電極はチップホルダと統合され、チップホルダはナノ構造アレイに対する電気接続を提供するとともに、微小流体素子を提供して固体/液体/ガスがナノ構造アレイと接して作用するようにする。チップホルダは、例えばマルチチャネルポテンショスタットなどのハードウェアを搭載している。ポテンショスタットは、信号を生成し、ナノ構造アレイからデータを取得し、そのデータを有線または無線でソフトウェアに対して送信する。本デバイスはさらに、データを受信し、リアルタイムでグラフ化し、データを分析してレポートを提供するソフトウェアを備える。ソフトウェアは機械学習が可能であり、人工知能アルゴリズムを用いて、ナノ構造アレイからのデータの正確な分析を提供する。
【0033】
本デバイスは、固体表面上、液体溶液内、またはガス内における化学物質の複数被検物検出システムとして用いることができる。本デバイスを用いて、分子、イオン、DNA、RNA、タンパク質、ナノ粒子、細胞、細胞小器官、有機化合物、毒物、無機化合物などを検出することができる。本デバイスを用いてナノ粒子を検出し、ナノ粒子のサイズを識別することができる。ナノ構造は複数の機能化物質によって機能化することができ、これにより特定の複数被検物を検出することができる。本デバイスを用いて、分離された単一細胞、培養細胞内の単一細胞、細胞の相互作用、単一細胞の微小環境をモニタすることができ、生体内または試験管内の単一細胞膜の化学的動作の空間分解能を提供することができる。
【0034】
ナノ構造の個別アクセス性により、様々なナノ構造に対して可変信号を送信することができる。これにより、化学物質/ガス/生体分子などの被検物検出のために、複数の電気化学検出技術を同時に用いることができる。同様に、個別アクセス可能ナノ構造に対して異なる信号を適用することにより、容量検出法と電界放出検出技術を用いて、複数被検物を検出できる。ナノ構造の様々な機能化と組み合わせて、デバイスとそのアプリケーションの様々な置換物や変形物を実現できる。
【0035】
本デバイスは、空間分解能により、表面と被検物の化学的組成を撮像する電気化学カメラとして用いることができる。撮像対象としては、被検物のサイズ、被検物の個数と濃度、被検物の位置、被検物の材質が含まれる。
【0036】
本デバイスは、被検物の化学的組成とサイズ分布を計測する容量検出法を用いる化学カメラとして利用することができる。撮像対象としては、被検物のサイズ、被検物の個数と濃度、被検物の位置、被検物の材質が含まれる。
【0037】
本デバイスは、電界放出検出技術を用いることにより、ガス混合物、揮発性物質、爆発物、材料の痕跡、不純物などの化学的組成、およびその濃度を検出するカメラまたは人工鼻として用いることができる。
【0038】
このように本発明は、意外かつ予想外の用法を有する配置構造とデバイスを提供する。本文書が記載する配置構造とデバイスは進歩的である。カーボンナノチューブなどのナノ材料を用いて、現行技術では実現できない高い化学的分解能と空間分解能で検出を実施できるからである。
【0039】
ナノ構造デバイス300をチップホルダと組み合わせて利用することは、独自のものである。デバイスへの電気的コンタクトとともに微小流体素子への電気的コンタクトを提供するからである。これはナノスケールにおいては困難であることが明らかになっている。さらにこのような小スケールにおける測定のノイズレベルは、解消するのが困難であることが明らかになっている。したがって、システムノイズを減少させる独自の方法が求められている。この方法としては以下が含まれるが、これに限らない:システムを封止して蒸発を防ぐ、温度モニタリング、熱的安定性、データ分析を実施するより進歩した電子部品とソフトウェア。ナノ構造は表面積が巨大であり、互いに接近して配置されるので、隣接電極に対して同じ電圧が印加されれば、アレイではなく1つのデバイスとして動作する。さらに、例えば大表面積や優れた電気的特性などのようにナノ構造を非常に感度が優れたものとしている特性は、ノイズをピックアップする感度も非常に高い。したがって、異なるナノ構造に対して異なる電位を印加する特別な電子部品が必要であり、複数センサからのデータを同時分析する強力なソフトウェアが必要である。アレイ内には数十、数百、数千のナノ構造が存在し、全てのデバイスからのデータを同時分析するためには、非常に強力な分析ソフトウェアが必要である。したがって、検出用途でナノ構造アレイデバイスを利用するためには、非常に特殊なチップホルダが必要であるとともに、有用な測定を実施するためのハードウェアとソフトウェアが必要である。従来技術においては、本発明が提供するような配置構造、デバイス、その用法を提供していない。本発明は、多年にわたる実験の結果として適切なセットアップに到達したものであり、複数被検物検出のためにナノ構造デバイスを利用する最適パラメータを得るに至ったものである。さらに従来技術は、ノイズ問題や信号に影響する物理的変更(例:温度や放射線)について想定しておらず解決もしていない。本発明は、これら問題を緩和する実験結果と精度をもって記載されており、これによりシステムは最適動作する。
【0040】
1側面において本発明は、基板(201)上のアレイ内に、個別アクセス可能ナノ構造(207)を、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも45個、少なくとも46個、少なくとも47個、少なくとも48個、少なくとも49個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも1000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも1,000,000,000個、あるいはそれ以上備える配置構造を記載している。望ましくは、基板(201)は非導電性であり、基板内に導電部(208)が存在する。望ましくは、導電部は、アレイ内の個別アクセス可能ナノ構造を形成するナノ構造(207)との電気コンタクトを形成する。望ましくは、ナノ構造(207)は、第1基板(201)の導電部(208)を介して、非導電基板(201)の第1面(202)上の導電パス(403)および第2基板(209)の導電構造(210)と個別接続されている。望ましくは、ナノ構造(207)は媒質(3000)でカバーされており、少なくとも2つのナノ構造(207)間に電圧(900)が印加されると、ナノ構造間に電磁場が生成され、ナノ構造間にキャパシタンス(700)が形成される。
【0041】
1側面において本発明は、導電部(208)を有する第1非導電基板(201)上のアレイ状に配置されたナノ構造(207)を備えるデバイス(300)を記載している。ナノ構造(207)は、第1基板(201)の導電部(208)を介して、導電パス(403)および第2基板(209)の導電構造(210)と個別接続されている。デバイス(300)は電気化学センサアレイとして用いられ、ナノ構造は液体内の被検物の電気化学検出のためのナノ電極アレイとして動作し、デバイス(300)は容量検出デバイスとして用いられ、ナノ構造はガス内または液体内の被検物の容量検出のためのナノ電極アレイとして動作し、デバイス(300)は電界放出ベース検出デバイスとして用いられ、ナノ構造はガス内の被検物の電界放出ベース検出のためのナノ電極アレイとして動作する。
【0042】
1側面において本発明は、チップホルダデバイスを記載している。チップホルダは少なくとも、ナノ構造アレイデバイス(300)と、ナノ構造アレイ周辺のガスまたは液体の微小流体素子との電気コンタクトとを提供するとともに、ハードウェアとの外部電気接続を提供する。ハードウェアはデータ取得および信号生成ハードウェアを備え、データ取得は、データ取得/接続ポート、増幅器/アナログ回路、ADC、マイクロコントローラ、通信ポータル、を備える。信号生成ハードウェアは、入力設定変数、マイクロコントローラ、デジタルポテンショメータ、増幅器/アナログ回路/バッファ、出力ポート/コネクタ、を備える。
【0043】
本発明はさらに、データ処理ソフトウェアを包含する。ソフトウェアは、上記デバイス(300)から生成されたデータを処理することができる。ソフトウェアは、以下の生データ操作処理のうち少なくとも1つを含み、生データをグラフ化し、機械学習アルゴリズムを利用し、新データを学習済データまたはデータベース内のデータと比較し、データの分析出力を生成する。
【0044】
上述の、ナノ構造アレイ検出デバイス、チップホルダデバイス、データ処理ソフトウェアを備えるシステムは、検出アプリケーションのために利用することができる。
【0045】
上記システムは、1mmから1オングストロームの被検物のサイズを検出することができる。望ましくは100nmから1nm、最も望ましくは1nmから1オングストロームを検出することができる。さらに、電気化学分光法、容量検出法、および電界放出検出法を介して、被検物の化学種検出により化学物質を検出することができる。
【0046】
上記システムは、電気化学分光検出、容量検出法、または電界放出検出法により、混合物内の被検物の濃度を検出することができる。
【0047】
上記システムは、高い検出効率で複数被検物を同時検出することができ、複数検出手法、大表面積ナノ電極アレイ、電子部品、ソフトウェアアルゴリズムを用いて、検出を改善することができる。
【0048】
上記システムは、細胞穿孔、細胞内測定、細胞膜越しの測定、細胞の微小環境、細胞へのダメージなしの化学物質供給、を実施することができる。
【0049】
上記デバイスは、共有結合機能化、表面吸着、電気化学積層によって機能化されたナノ構造を含み、これにより複数被検物を同時検出する。
【0050】
上記デバイスは、電気化学分光法、容量検出法、または電界放出検出法を介して、液体内、ガス内、表面上、または膜内の被検物の化学組成を撮像する電気化学カメラとして用いることができる。
【0051】
特許請求範囲のデバイスとシステムは、電気化学分光法、容量検出法、または電界放出検出法のいずれかまたはこれらの組み合わせを用いて、リアルタイムで複数被検物検出を実施する。
【0052】
上記デバイスを用いて、分離された単一細胞、培養細胞内の単一細胞、細胞相互作用、単一細胞の微小環境をモニタすることができ、生体内または試験管内の単一細胞膜の化学的活動の高分解能を提供することができる。
【0053】
特許請求範囲のシステムは、クラウド(リモートコンピュータおよびデータストレージ)と接続してデータ分析を実施できる。
【0054】
特許請求範囲のデバイスとシステムは、リモートコンピュータ(クラウド)と接続し、複数のシステムとデバイスからのデータを同時分析して複数システムからのデータを比較し、エコシステムのスナップショットを生成することができる。
【0055】
特許請求範囲のデバイスにおいて、絶縁層内の導電部は光起電性(208)であり、材質が光にさらされると電力を生成し、これにより電磁波からエナジーハーベスティングを実施して、自己給電デバイスとして電力を生成できる。
【0056】
実施形態において、上記およびその他従来技術の観点から、本発明は様々な電気化学分光法技術を介して、複数被検物の電気化学検出のためのナノ電極として、個別アクセス可能ナノ構造アレイを利用する方法を提供する。ナノ構造の材料はカーボンナノチューブを含み、これは優れた電気的、熱的、機械的特性を有する。
【0057】
実施形態において上記デバイスは、容量検出のために用いることができる。大表面積、小電極サイズ、電極間の小ギャップにより、チャージされるとスーパーキャパシタとして動作するからである。
【0058】
実施形態において上記デバイスは、電界放出ベース検出デバイスとして用いることができる。これは、カーボンナノチューブ、炭化ケイ素ナノワイヤなどの材料で形成されたナノ構造の良好な電界放出特性によるものである。
【0059】
実施形態において上記デバイスは、個別アクセス可能電極のナノ構造ベースアレイを有する。ナノ構造アレイはチップホルダと統合され、チップホルダはナノ構造アレイに対する電気的接続を提供するとともに、固体、液体、またはガスがナノ構造アレイと接触し相互作用する微小流体素子を提供する。
【0060】
実施形態においてチップホルダはハードウェアを備え、ハードウェアは複数チャネルポテンショスタットとして動作する。ポテンショスタットは、信号を生成し、ナノ構造アレイからデータを取得し、これを有線または無線でソフトウェアへ送信する。
【0061】
実施形態において、デバイスはソフトウェアを備え、ソフトウェアはリアルタイムでデータを受信およびグラフ化し、データを分析し、レポートを提供する。
【0062】
実施形態においてソフトウェアは、機械学習と人工知能アルゴリズムを実施し、ナノ構造アレイからのデータを正確に分析する。
【0063】
実施形態において、ナノ構造アレイは一定電荷または可変電荷でチャージされる。この個別アクセス可能ナノ構造は、容量検出のための独自のセンサとして利用することができる。
【0064】
実施形態において、各ナノ構造は500nm2ベースサイズを有し、カーボンナノチューブ、ナノファイバ、ナノロッドを含むナノ材料から形成されているが、これに限るものではない。各ナノ材料要素間の距離(ナノチューブの場合はナノ構造内の各ナノチューブ)は5nmである。2つのナノ構造は互いに500nm離れている。ナノ構造は“+電荷”でチャージされる。
【0065】
実施形態において、ナノ材料と媒質(3000)内の外部電極間に電圧が印加される。ナノ構造を有していない上部電極に適している材料は、透明無機材料および有機導電材料であり、以下から選択することができるがこれに限らない:ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(アンチモン酸化スズ)、酸化スズ、PEDOT、その他導電ポリマ、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤ浸漬および複合材料。
【0066】
実施形態において、ナノ構造は以下から構成されるが、これに限るものではない:カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、酸化亜鉛ナノロッド、シリコンナノワイヤ、その他ナノ材料。
【0067】
実施形態において、ナノ構造は電力と信号処理ソフトウェアのための外部電気回路と接続して、媒質(3000)内の被検物の空間分解能を得ることができる。
【0068】
実施形態において、ナノ構造は様々な化学物質によって機能化して検出能力を向上させることができる。
【0069】
実施形態において、媒質材料は以下から選択されるがこれに限るものではない:空気、溶液、液体、ポリマ、セラミクス、オイル、シリコーン、石英、雲母、テフロン、ストロンチウム、バッファ溶液、真空。
【0070】
実施形態において、媒質は誘電性であり、印加電場によって分極される電気絶縁体として機能する。これは、誘電材料が絶縁材料または電流をほとんど通さないことを意味する。誘電材料が電場内に置かれたとき、誘電材料に電流は流れない。材料内をドリフトする弱結合電子または自由電子を有していないからである。代わりに電気分極が生じる。
【0071】
実施形態においてナノ構造は、基板上に形成することができる。これは、基板上のパターン化エリア内で金属触媒を蒸発させることによる。パターン化は、リソグラフィ、遠紫外線リソグラフィ、電子ビームリソグラフィなどによる。その後に化学蒸着積層を実施して、触媒が積層されていた箇所にナノ材料を成長させる。
【0072】
実施形態において、外部電極の材料は以下から選択されるが、これに限るものではない:金属、導電ポリマ、銅、プラチナ、チタニウム、導電エポキシ、銀ペイント、ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(アンチモン酸化スズ)、酸化スズ、PEDOT、その他導電ポリマ、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤ浸漬および複合材料、銀/塩化銀基準電極。
【0073】
実施形態において、基板は以下から選択されるが、これに限るものではない:ポリマ、シリコーン、ポリアミドなどのフレキシブル基板。
【0074】
実施形態において、基板は以下から選択されるが、これに限るものではない:ケイ素または二酸化ケイ素などの剛性基板。
【0075】
実施形態において、基板は以下から選択されるが、これに限るものではない:ポリマフィルム上の剛性およびフレキシブルシリコンアイランドの組み合わせを、金属小ワイヤまたは薄膜などの金属コンタクトと接続する。
【0076】
実施形態において、上記デバイスを電気化学カメラとして用いて、空間分解能により、表面と被検物の化学的組成を撮像することができる。
【0077】
実施形態において、被検物の化学的組成とサイズ分布を計測する容量検出法を用いて、上記デバイスを化学カメラとして利用することができる。
【0078】
実施形態において、電界放出検出技術を用いて、上記デバイスはガス混合物の化学的組成とその濃度を計測するカメラまたは人工鼻として用いることができる。
【0079】
実施形態において、上記システムはクラウド(リモートコンピュータおよびデータストレージ)と接続してデータ分析を実施することができる。
【0080】
実施形態において、上記デバイスとシステムは、リモートコンピュータ(クラウド)と接続し、複数のシステムおよびデバイスからのデータを同時分析して複数システムからのデータを比較し、エコシステムのスナップショットを生成することができる。
【0081】
実施形態において、上記デバイスの絶縁層における導電部は光起電性(208)であり、材質が光にさらされると電力を生成し、これにより電磁場からエナジーハーベスティングを実施して、自己給電デバイスの電力を得ることができる。
【0082】
実施形態において、ハードウェア(4402)は以下の電子部品を備えるがこれに限るものではない:電子回路、増幅器、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、キャパシタ、マイクロコントローラ、インダクタ、データ取得電子部品、信号生成電子部品。
【0083】
実施形態において、ハードウェア(4402)はデータ取得電子部品を備え、データ取得は、データ取得接続ポート、増幅器、アナログ回路、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)、マイクロコントローラ、通信ポータルを備え、信号生成ハードウェアは、入力設定変数、マイクロコントローラ、デジタルポテンショメータ、増幅器、アナログ回路、バッファ、出力ポート、コネクタ、を備える。
【0084】
他実施形態において、ソフトウェア(4403)は以下を備えるがこれに限るものではない:生データ操作のアルゴリズムおよび/または処理、生データのグラフ化、機械学習アルゴリズムと人工知能アルゴリズムの利用、新データを学習済データまたはデータベース内のデータと比較してデバイス(3000)が生成したデータの分析結果を出力する。
【0085】
実施形態において、ナノ構造(207)はナノ材料から形成されており、ナノ材料は以下を含むがこれに限るものではない:ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッド、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、グラフェン、シリコンナノワイヤ、酸化亜鉛ナノロッド、複合材料、など。
【0086】
実施形態において、アレイ内の個別アクセス可能ナノ構造は、少なくとも2つのナノ構造を有する。アレイ内のナノ構造の範囲は可変であり、例えば以下を含む:少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも45個、少なくとも46個、少なくとも47個、少なくとも48個、少なくとも49個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも1000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも1,000,000,000個、あるいはそれ以上。
【0087】
実施形態において、検出アプリケーションのために2つのナノ構造のみ設けてもよい。
【0088】
他実施形態において、10,000,000個のナノ構造を用いて、長さ300mmの表面をスキャンする。
【0089】
他実施形態において、10,000個のナノ構造を用いて、電気化学または容量インピーダンススペクトロスコーピーを測定して、細胞の培養をモニタする。
【0090】
他実施形態においてナノ材料は、厚さサブミクロンの要素配置によって形成された材料であり、化合物は以下を含むがこれに限るものではない:ナノチューブ、ナノロッド、ナノワイヤ、2D材料。より具体的には以下を含むがこれに限らない:グラフェン、カーボンナノチューブ、シリコンナノワイヤ、など。
【0091】
実施形態において、アレイ内のナノ構造は、ベースエリア、高さ、およびナノ構造間距離を有する。
【0092】
他実施形態においてナノ構造は、それぞれ個別のベースエリア、高さ、およびナノ構造内のナノ材料間距離を有するナノ材料で形成されている。
【0093】
実施形態において、ナノ構造は媒質(3000)でカバーされ、媒質(3000)はナノ構造の高さより少なくとも1nm~500,000μm厚い。
【0094】
実施形態において、上記システムを用いて細胞を検出しまたは操作する方法を記載する。
【0095】
実施形態において、上記デバイスを用いて細胞を操作し、細胞操作は細胞穿孔を含み、ナノ構造(207)を用いて細胞膜(1401)に対して電荷を供給し、電荷を供給するために用いたナノ構造(207)の特定場所において細胞膜が開口(1404)する。
【0096】
実施形態において、細胞内および細胞周辺の化学物質と被検物を検出し、化学物質と被検物の検出は、電気化学技術、容量技術、および電界放出技術を用いた、細胞内被検物計測、細胞膜越しの電位および被検物測定、細胞の微小環境内における被検物計測、を含む。
【0097】
実施形態において、上記デバイスの機能化ナノ構造(5207)を用いて、電気穿孔による細胞ダメージなしで細胞内に化学物質を供給し、ナノ構造の機能化グループを細胞内に供給する。
【0098】
実施形態において、上記デバイスを用いた細胞モニタリングは、電気化学検出、容量検出、電界放出検出を用いて、移動する細胞のモニタリングを含み、化学物質と被検物の排出および収取のモニタリングを含む。細胞は、媒質(3000)内で分離された単一細胞であり、媒質内で培養されている細胞内の単一細胞であり、他細胞と相互作用する細胞である。
【0099】
実施形態において、上記デバイスを用いた細胞検出は、化学物質と被検物の検出を含み、化学物質と被検物は媒質(3000)内の単一細胞の微小環境内に存在するものであり、個別アクセス可能ナノ構造を用いて単一細胞膜の化学的活動を空間分解能で検出し、細胞は生体内または試験管内のものである。
【0100】
実施形態において上記デバイスは、固体表面上、液体溶液内、またはガス内の化学物質を検出する複数被検物検出システムとして用いられる。
【0101】
実施形態において、上記デバイスを用いて、分子、イオン、DNA、RNA、タンパク質、有機化合物、無機化合物を検出する。
【0102】
実施形態において、上記デバイスを用いてナノ粒子を検出し、ナノ粒子のサイズを識別し、ナノ粒子の空間位置を識別し、ナノ粒子の材料を識別し、ナノ粒子の濃度/個数を識別する。
【0103】
実施形態において、ナノ構造は複数の機能化材料によって機能化され、これにより複数被検物を特定的に検出する。
【0104】
実施形態において、上記デバイスを用いて、分離された単一細胞、培養細胞内の単一細胞、細胞相互作用、単一細胞の微小環境をモニタし、生体内または試験管内の単一細胞膜の化学的活動の空間分解能を提供する。
【0105】
実施形態において、ナノ構造が個別アクセス可能であることにより、可変信号を様々なナノ構造に対して送信し、複数の電気化学検出技術、容量検出技術、電界放出検出技術を同時に用いて、被検物を検出できる。
【0106】
同様に実施形態において、個別アクセス可能ナノ構造に対して異なる信号を適用することにより、電気化学分光法、容量検出法、電界放出検出法を用いて、複数被検物を検出することができる。
【0107】
同様に実施形態において、個別アクセス可能ナノ構造に対して異なる信号を適用することにより、電気化学分光技術、容量検出技術、電界放出検出技術を用いて、複数被検物を検出することができる。
【0108】
実施形態において、ナノ構造上の様々な機能化と組み合わせて、デバイスおよびアプリケーションの多くの置換物と変形物を実現できる。
【0109】
実施形態において、上記デバイスを用いた複数被検物検出は、上記システムを用いて実現される。
【0110】
実施形態において、上記デバイスを用いた複数被検物検出は同時実施される。複数被検物は、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、200以上、300以上、400以上、500以上、さらには無限個数の被検物である。
【0111】
実施形態において、上記デバイスを用いた複数被検物検出はリアルタイムで実施される。
【0112】
実施形態において、上記デバイスを用いた検出は、電気化学分光法、容量検出、電界放出検出のうち1以上を用いて実施される。
【0113】
実施形態において、上記デバイスを用いて被検物のサイズを判定する。
【0114】
実施形態において、上記デバイスを用いて被検物の濃度を検出する。
【0115】
実施形態において、上記デバイスを備えるシステムはさらに、リモートコンピュータおよびデータストレージを備える。
【0116】
実施形態において、電気穿孔を用いて化学物質が細胞内に供給される。
【0117】
実施形態において、ナノ構造の機能化グループが細胞と接すると、化学物質が細胞内に供給される。
【0118】
実施形態において、機能化ナノ構造に対して小電荷が印加されると、化学物質が細胞に対して供給され、機能化グループはナノ構造から分離して細胞により吸収される。
【0119】
実施形態において、ナノ構造が細胞に対して供給した電荷により、細胞が操作される。
【0120】
実施形態において、ナノ構造を機能化するために用いた機能グループにより、細胞が操作される。
【0121】
実施形態において、チップホルダ内の微小流体素子を用いて細胞に対して供給された刺激と化学物質により、細胞が操作される。
【0122】
実施形態において、電荷、化学物質、熱、光などの外部刺激に対して反応するとき、細胞が操作される。
【0123】
実施形態において、媒質内で細胞の動きをモニタする。
【0124】
実施形態において、媒質内で細胞の分離をモニタする。
【0125】
実施形態において、媒質内で幹細胞の形質転換をモニタする。
【0126】
実施形態において、媒質内で細胞が分泌した化学物質をモニタする。
【0127】
実施形態において、媒質内で細胞が吸収/収取した化学物質をモニタする。
【0128】
実施形態において、媒質内で細胞の動きを検出する。
【0129】
実施形態において、媒質内で細胞の分離を検出する。
【0130】
実施形態において、媒質内で幹細胞の形質転換を検出する。
【0131】
実施形態において、媒質内で細胞が分泌した化学物質を検出する。
【0132】
実施形態において、媒質内で細胞が吸収/収取した化学物質を検出する。
【0133】
実施形態において、システム(4000)は高効率検出を実施して、複数被検物を同時検出することができる。
【0134】
実施形態において、システム(4000)は複数の検出法を利用する。
【0135】
実施形態において、システム(4000)は大面積ナノ構造を電極アレイとして利用する。
【0136】
実施形態において、システム(4000)はハードウェアおよび高感度電子部品を利用して、高精度計測と高い信号対ノイズ比計測を実施する。
【0137】
実施形態において、システム(4000)はソフトウェアアルゴリズムを用いて検出を改善する。
【0138】
<利点>
本発明の様々な側面と実施形態について記載した。以下は本発明が実現する利点の例である:
1:上記デバイスとシステムは、複数被検物検出をリアルタイムで同時実施できる
2:上記デバイスとシステムは化学カメラとして動作する
3:上記デバイスとシステムは化学(ガス)検出の人工鼻として動作する
4:上記デバイスとシステムは、分離した単一細胞、培養細胞内の単一細胞、細胞相互作用、単一細胞の微小環境をモニタすることができ、生体内または試験管内の単一細胞の化学的活動の空間分解能を提供する
5:上記デバイスとシステムは、可搬性がよく、携帯でき、頑丈で、エネルギー消費が小さい
6:上記デバイスとシステムは、パッシブセンサを有し、したがって電力消費が非常に小さい
8:試験実施のため必要なサンプル量は、センササイズと正比例し、デバイスは小型なので(サブミクロンから数十ナノメートル)、コストが高いかまたは大量に得ることができないごくわずかなサンプルから複数被検物検出を実施できる
9:上記デバイスとシステムは、ナノ粒子などの被検物の化学物質検出とサイズ検出を実施することができ、これとともに被検物の濃度/個数、材料、空間位置を検出することができる
10:上記システムは、クラウドネットワークに接続してコンピュータ分析とデータ蓄積を実施できる
11:上記システムは、複数システムとシステムに接続された複数デバイスからのデータに対して計算を実施でき、人口の統計的研究のために利用することができる
12:ナノ構造(カーボンナノチューブベース)と上部電極により高電場を得られる
13:パッシブデバイスであるのでデバイス動作による電力消費が小さい
14:これにより設計が柔軟である
15:データが同一場所の多数のセンサから収集されるので(他技術は1センサのみであるのに対して本発明は同じエリアに複数センサをパックすることができる)、分解能が増加し、異常データ点を除去するスマートアルゴリズムにより偽信号を防ぐことができる
16:超高感度キャパシタンスベース指紋センサを実現できる
17:サブミクロンレベルにおける気圧の空間分解能を検出してマッピングできる
18:厚さ範囲100~1000マイクロメートルのスタンドアロン小型デバイスを利用できる
19:デバイスをフレキシブル基板に統合できる。
【0139】
適当な等価物を用いて、本発明の範囲または実施形態から逸脱することなく、本発明の配置構造、デバイス、方法のその他適当な変形物と適合物を実現できることを、当業者は容易に理解するであろう。本発明を詳細に説明したが、以下の実施例を参照することにより、本発明をさらに明確に理解することができるであろう。実施例は、説明目的のみのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0140】
<実施例>
以下は本発明のデバイス、システム、アプリケーションの実施例である。
【0141】
実施例においてナノ構造は、カーボンナノチューブ、シリコンナノワイヤ、酸化亜鉛ナノロッド、酸化ケイ素ナノワイヤ、カーボンナノファイバにより形成することができる。実施例において、ナノ構造のサイズは1マイクロメートルから1ナノメートルである。実施例においてチップホルダは、腐食性化学物質に耐性を有するプラスチックまたは金属で形成することができる。実施例においてチップホルダは、チップ収容ナノ構造デバイスと接続するポゴピンを有する。
【0142】
実施例においてハードウェアは、信号生成およびデータ取得システムとして、マルチチャネルポテンショスタットを有する。実施例においてソフトウェアは、スタンドアロン電子部品上、コンピュータ上、ラップトップ上、モバイル電子部品上、またはクラウドコンピュータシステム上で動作する。実施例においてソフトウェアは、機械学習アルゴリズムおよび/または人工知能アルゴリズムを有し、これを用いてデータ分析を実施する。
【0143】
実施例において、細胞はナノ構造の上部の媒質内に配置される、細胞は任意タイプの細胞でよく、特定の実施例においては人間被検体の細胞である。実施例において細胞は幹細胞である。幹細胞は、ナノ構造の上部の媒質内に配置される。例えば幹細胞はナノ構造の上部の媒質内に配置され、電気化学インピーダンススペクトロスコーピーを用いて、幹細胞から骨細胞への形質転換をモニタする。
【0144】
実施例において、健常骨細胞をナノ構造の上部の媒質内に配置する。実施例において、健常骨細胞をナノ構造の上部の媒質内に配置して放射線にさらし、ナノ構造を容量トモグラフィセンサとして用いて、骨細胞が健常細胞から癌細胞へ形質転換するのをモニタする。
【0145】
実施例において、隣接するナノ構造間に電圧を印加し、これにより空気中に電解放出電流が生じる。実施例において、隣接するナノ構造間に電圧を印加し、これにより空気中に電解放出電流が生じ、ナノ構造は人間の息にさらされる。人間の息に異なる濃度のガスが存在するとともに、水蒸気が電界放出電流を変化させると、ハードウェアとナノ構造デバイスに接続されたソフトウェアがこれを検出する。
【0146】
実施例において、少なくとも2つの隣接するナノ構造間に印加される電圧は、DC電圧である。実施例において、少なくとも2つの隣接するナノ構造間に印加される電圧は、AC電圧である。実施例において、少なくとも2つの隣接するナノ構造間に印加される電圧は、約10Vから-10Vである。少なくとも2つの隣接するナノ構造間に印加される電圧は、約5Vから-5Vである。少なくとも2つの隣接するナノ構造間に印加される電圧は、約1Vから-1Vである。少なくとも2つの隣接するナノ構造間に印加される電圧は、約1mVから-1mVである。少なくとも2つの隣接するナノ構造間に印加される電圧の周波数は、約0.01Hzから100MHzである。
【0147】
図1は、WO2013001076が記載しているナノ構造アレイを製造する方法であり、参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【0148】
図2は、WO2013001076が記載しているナノ構造アレイ製造ステップを示す。
図2aにおいて、201は非導電基板であり、表面202と203を有する。
図2bにおいて、204は金属スタックであり、205は導電金属であり、206は基板201の面202上に配置された触媒である。
図2cにおいて、207はナノ構造であり、208は基板201に形成された導電部である。
図2dにおいて、209は第2非導電基板であり、導電部210を有する。導電部210は、基板201の面203において、導電部208との電気コンタクトを提供する。
【0149】
図3は、デバイス300を示す。WO2013001076が記載しているように、デバイス300は、非導電基板201の表面202上のナノ構造207、導電部208、第2非導電基板(209)、第1非導電基板201の表面203上の導電部210、を備える。
【0150】
図4は、WO2013001076が記載しているデバイス410、411、412の実施形態を示す。
図4aにおいて、ナノ構造207は、非導電基板201の導電部208を介して、導電構造210と接続されている。
図4bにおいて、ナノ構造207は、容量結合により、非導電基板201の導電部208を介して、導電構造210と接続されている。
図4cにおいて、ナノ構造207は、非導電基板201の導電部208を介して導電構造210と接続され、第2導電部403はナノ構造207の第2コンタクト経路を提供する。
【0151】
図5は、デバイス412をより詳細に示す。ナノ構造207は非導電基板201の導電部208を介して導電構造210と接続され、第2導電部403はナノ構造207の第2コンタクト経路を提供する。
【0152】
図6は、システム(4000)の要件のフローチャートを示す。要件はこれに限定されるものではない。要件は、チップホルダ(4401)、ハードウェア(4402)、ソフトウェア(4403)を含み、これによりナノ構造ベースデバイス(300)を電気化学センサ、容量センサ、電界放出ベースセンサとして利用することができる。システム(4000)は、チップホルダ(4401)を必要とする。チップホルダ(4401)は少なくとも、ナノ構造アレイに電気接続(4411)を提供するとともに、固体、液体、ガスとの相互作用のための微小流体素子(4421)を提供し、ハードウェア(4402)の外部電気接続(4431)を提供する。ハードウェア(4431)は、データ取得および信号生成ハードウェアを備え、データ取得は、データ取得および接続ポート、増幅器およびアナログ回路、ADC、マイクロコントローラ、通信ポータル、を備えるが、これに限るものではない。ハードウェア(4402)は信号生成器を備えるが、これに限るものではない。信号生成ハードウェアは、入力設定変数、マイクロコントローラ、デジタルポテンショメータ、増幅器、アナログ回路、バッファ、出力ポート、無線通信ハードウェア、コネクタ、を備えるが、これに限るものではない。データ処理ソフトウェア(4403)は、生データ、グラフ化した生データ、機械学習アルゴリズム、学習済データまたはデータベースとの比較、分析出力、を備えるが、これに限るものではない。ソフトウェアは、コンピュータ上またはモバイル電子デバイス上またはスタンドアロン電子部品上で動作することができる。
【0153】
図7は、デバイス(300)を様々な形式で示す。ナノ構造(207)を有するデバイス(412)を示す。ナノ構造(207)は、非導電基板(209)の導電部(208)に接続されている。非導電基板(209)は導電部(210)を有し、導電部(210)は導電部(208)と接続されている。ナノ構造(207)は高さ(2220)とベースサイズ(2210)を有する。ナノ構造(207)はナノ材料(2203)で形成されており、ナノ材料(2203)は高さ(2211)とベースサイズ(2212)を有する。ナノ構造(207)間のギャップは(800)であり、ナノ材料間のギャップは(2213)である。ナノ構造は異なる電荷で個別にチャージすることができ、この電荷は正電荷または負電荷である。
【0154】
図8は、個別アクセス可能ナノ構造(207)のアレイとデバイス(300)を示す。各ナノ構造はセンサまたは電極として動作し、ナノ構造(207)は取り付けられた機能グループ(501)で機能化される。機能化ナノ構造(5207)。各ナノ構造は、基板の導電部(208)によって非導電基板(201)に接続されている。ナノ構造の先端のナノ粒子(503)は、触媒(206)の材料で形成されている。
【0155】
図9は、媒質(3000)内のナノ構造アレイ(207)の断面図と上面図を示す。媒質(3000)は触媒(600)を含む。ナノ構造は検出アプリケーションのためにチャージされ、ナノ構造間にキャパシタンス(700)が形成されている。
【0156】
図10は、システム(4000)の例を示す。ナノ構造アレイベースデバイス(300)はチップホルダ(4401)内に配置され、チップホルダ(4401)は電気コンタクト(4411)と微小流体素子(4421)を有する。チップホルダは、電気的接続(4431)を介してハードウェア(4402)と接続される。ハードウェア(4402)は信号を提供し、ナノ構造アレイベースデバイス(300)からデータを取得する。ハードウェア(4402)はコンピュータまたはモバイルデバイスと接続され、ソフトウェア(4403)はデータを分析してレポートを提供する。
【0157】
図11は、システム(4000)の例と現実世界の形態を示す。ナノ構造アレイベースデバイス(300)はチップホルダ(4401)内に配置され、チップホルダ(4401)は電気コンタクト(4411)と微小流体素子(4421)を有する。チップホルダは電気的接続(4431)を介してハードウェア(4402)と接続される。ハードウェア(4402)は信号を提供し、ナノ構造アレイベースデバイス(300)からデータを取得する。ハードウェア(4402)はコンピュータまたはモバイルデバイスと接続され、ソフトウェア(4403)はデータを分析してレポートを提供する。
【0158】
図12は、電気化学センサまたは容量センサまたは電界放出センサアレイなどのセンサとして用いられるナノ構造(207)アレイを示す。ハードウェア(4402)を用いて、センサアレイが必要な信号を生成し受信することができる。ハードウェア(4402)は例えば電気化学分光法におけるポテンショスタットだが、これに限るものではない。ソフトウェア(4403)は各ナノ構造からの信号を利用して、媒質(3000)内の被検物の電気化学ベース画像、容量ベース画像、または電界放出ベース画像を生成する。各個別アクセス可能ナノ構造(207)は、画像の単一ピクセルとして動作する。ナノ構造は、電気化学分光プロセス、容量検出、または電界放出検出における電極として動作する。外部電極(701)は、電気化学検出などの例において用いられ、(701)は3電極計測におけるカウンタ電極または基準電極またはこれら双方である。個別アクセス可能ナノ構造(207)全ては、カウンタ電極や基準電極としての共有外部電極(701)とともに動作する。
【0159】
図13は、導電部(208)を有する非導電基板(201)上のナノ構造(207)の配置構造を示す。導電部(208)は、非導電基板(209)の導電部(210)への接続である。ナノ構造(207)は、被検物(600)を含む媒質(3000)でカバーされている。ナノ構造間および媒質(3000)内の外部電極(701)に電圧(900)が印加されると、荷電物質(800)が対向する荷電ナノ構造または外部電極へ向かって流れる。この方法を用いて、溶液内の材質の電気化学検出を実施できる。さらに、Waqas等の特許[2]が記載している基板上で成長したナノ構造の機能化方法を用いる。
図13の配置構造を用いて、電気的重合によりナノ構造を機能化することができる。機能化が必要なナノ構造に対して電位を印加し、この配置構造において電極として用いるその他の個別アクセス可能ナノ構造に対して反対極性の電荷を印加し、これにより非特異的結合を防ぎ、関心のあるナノ構造のみを確実に機能化する。
図13の配置構造を用いて、表面吸着(機能化酵素その他溶液内の化学物質に対してナノ構造を浸漬する)によりナノ構造を機能化することができる。タンパク質、抗体、酵素を用いて、本方法によりナノ構造を機能化することができる。別のナノ構造は別の方法で機能化することができる。したがって全ての技術を用いて、複数被検物の電気化学分光検出を同時実施できる。
【0160】
図14は、細胞アプリケーションにおいて、
図12で説明した電気化学センサデバイスの動作原理の詳細を示す。媒質(3000)内の機能化ナノ構造(5207)アレイ上の単一細胞の断面図を示す。ナノ構造(207)は非導電基板(201)上に配置されている。細胞を操作するため、ナノ構造の1つに対して正電荷を印加し、特定位置の電気穿孔(1404)によって細胞膜(1401)が開口する。これにより流体が細胞内に流れ、電荷が印加されたナノ構造の位置において細胞から流れ出て媒質(3000)と混合する。これにより被検物(600)が細胞内に供給されてナノ構造と接近し、電気化学分光法により検出することができる。さらに、電気穿孔箇所に隣接するナノ構造を用いて、
図14において星(600)で示すように、化学信号を収集することができる。この方法を用いて、ナノ構造の機能化グループと細胞内分子の相互作用が実現される。各ナノ構造に対して印加する電圧を制御することにより、細胞表面の画像を電気化学的に生成することができる。この技術を用いて、例えば細胞の移動や分離などの様々な細胞可動をモニタすることができる。したがって
図14は、細胞を操作し、挙動をモニタし、細胞内外の媒質内の細胞膜近傍の微小環境における様々な化学物質を検出する方法を示している。本方法のアプリケーションを用いて、癌を検出し、癌の非常に初期の段階において細胞表面上の化学物質の影響をモニタすることができる。本方法を用いて、アルツハイマー病およびパーキンソン病に影響されるニューロン退化をモニタすることができる。さらに、幹細胞が血球や骨細胞などに形質転換する前に、幹細胞微小環境において生じる特定の化学的変化をモニタし検出することができる。
【0161】
図15は、様々なナノ構造アレイサイズの走査電子顕微鏡(SEM)マイクログラフを示す。ナノ構造の長さは、ナノ構造のベースサイズとともに制御することができる。
図15abは、ナノ構造(207)アレイとともに、二酸化ケイ素フィルムに埋没させた導電部(210)を示す。ナノ構造はベースサイズ500nm
2であり、ナノ材料で形成されている。本例においてはカーボンナノチューブである。カーボンナノチューブは、高さ500nmから数ミクロンである。
図15aにおいて上部金属コンタクト(403)を見ることができる。
図15a~iは、ナノ構造(207)アレイの様々な実際の形状およびサイズを示す。マイクログラフは、ナノ構造の32×6アレイ(
図15cとf)を示す。他図はナノ構造の拡大図を示す。
図15j~mは、カーボンナノチューブで形成されたナノ構造のより長いベースラインを示す。ナノチューブは高さ数百ミクロンである。
図15n~0は、ナノ構造の複合配置を示す。ナノ構造は様々なベースサイズと長さを有する。したがって
図15は、ナノ構造ベースアレイデバイスの様々な形態を示している。
【0162】
図16は、酸化亜鉛ナノロッド(5207)で機能化されたカーボンナノチューブベースナノ構造のマイクログラフを示す。
図16dは、大量の酸化亜鉛ナノロッドで機能化されたカーボンナノチューブで形成されたナノ構造の上面図(1601)を示す。
図16eは、カーボンナノチューブで形成されているナノ構造の側壁(1602)を示し、機能化は疎である。
【0163】
図17は、ナノ構造アレイ(207)の断面図を示す。ナノ構造はチャージされ、検出アプリケーションのためにキャパシタンス(700)がナノ構造間に形成されている。電圧印加の結果として、隣接ナノ構造間で電界放出が生じ、電子がナノ構造間で移動する。ガスがナノ構造を通過するとき、ガスがイオン化され、電界放出電流を変化させる。ハードウェア(4402)とソフトウェア(4403)を用いて、この変化を検出することができる。これは、ナノ構造(207)間の電界放出を用いるナノ構造アレイベースデバイスの利用例であり、これにより空気媒質(3000)内の被検物(600)としてガスの存在を検出する。
【0164】
図18は、電界放出ベース検出デバイスとしてカーボンナノチューブ(CNT)で形成されたナノ構造アレイを用いて息を検出した結果のグラフを示す。2つの隣接ナノ構造間に電圧が印加され、電流(電界放出電流)が測定される。矢印(1901)は、CNTナノ構造が人の息にさらされた時刻を示す。矢印(1902)は、人の息にさらされなくなった時刻を示す。ナノ構造が人の息にさらされたとき、ナノ構造間の電界放出電流(y軸)が増加している。したがって、この技術を用いてガスを検出できる。
【0165】
図19は、電界放出ベース検出デバイスとしてカーボンナノチューブ(CNT)で形成されたナノ構造アレイを用いて息を検出した結果の別グラフを示す。2つの隣接ナノ構造間に電圧が印加され、電流(電界放出電流)が測定される。矢印(1901)は、CNTナノ構造が人の息にさらされた時刻を示す。矢印(1902)は、人の息にさらされなくなった時刻を示す。ナノ構造が人の息にさらされたとき、ナノ構造間の電界放出電流(y軸)が増加している。したがって、この技術を用いてガスを検出できる。