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特許7055129皮膚の状態のスマートフォンに基づく評価のためのUVデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】皮膚の状態のスマートフォンに基づく評価のためのUVデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
A61N5/06 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019511596
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 US2017047293
(87)【国際公開番号】W WO2018039024
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-12
(31)【優先権主張番号】62/377,904
(32)【優先日】2016-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599045604
【氏名又は名称】ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローラン プチ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン シャンタラ
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/159732(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0138249(US,A1)
【文献】特表2011-521237(JP,A)
【文献】GEORGIOS N STAMATAS; NIKIFOROS KOLLIAS,MODERN TECHNOLOGY FOR IMAGING AND EVALUATION OF ACNE LESIONS,PATHOGENESIS AND TREATMENT OF ACNE AND ROSACEA,SPRINGER,2014年01月,PAGE(S):331 - 340,http://dx.doi.org/10.1007/978-3-540-69375-8_45
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯デバイスに接続し、ユーザー入力に応答するように構成されたUVデバイスを使用して、ユーザーの皮膚領域の皮膚状態を評価するための方法であって、
a)前記携帯デバイスを用いて動作可能であるように構成された前記UVデバイスで、前記ユーザーの皮膚領域を照射する段階と、
b)前記携帯デバイスで、照射された前記皮膚領域の画像を取得する段階と、
c)前記携帯デバイスによって取得された前記画像を処理し、前記皮膚領域の蛍光のレベルを処理された前記画像から決定する段階と、
d)処理された前記画像をコントロール画像と比較する段階と、
e)前記処理に引き続いて、前記皮膚領域を評価する段階と、
f)処理された前記画像の、前記コントロール画像との比較に基づいて、前記皮膚状態の処置の進行をマッピングする段階と、を含み、
前記画像を取得する段階が、前記携帯デバイスを使用して複数の画像を取得する段階を含み、
前記処理が、前記複数の画像から2次元画像を生成する段階を含み、前記2次元画像が、互いに重ねあわされた顔の左側の画像、顔の右側の画像、及び顔の正面の画像を含む、方法。
【請求項2】
前記皮膚状態がニキビである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザーの前記皮膚領域上のポルフィリンによって発生した前記蛍光のレベルが、プロピオン酸菌属アクネの存在の指標である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記処置の進行のマッピングが、前記ユーザーについてニキビ重症化指数の計算を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記UVデバイスが、UV LEDデバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法に従って、前記ユーザーの前記皮膚領域の皮膚状態を評価するための装置。
【請求項7】
第1の画像及び第2の画像内の前記ポルフィリンの量の差を計算する段階をさらに含み、前記第2の画像が、前記第1の画像の後に前記携帯デバイスによって取得される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記携帯デバイスのLEDライト上にフィルターを配置する段階をさらに含み、前記フィルターが、ブラックライトとして働く、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚状態が、色素沈着、色素喪失、癜風、マラセチア毛嚢炎、頭部白癬、アタマジラミ、疥癬、紅色陰癬、シュードモナス、ニキビ、ポリフィア、ポルフィリンの存在、サリチル酸の塗布、光損傷、日焼け止めの塗布及び光線性角化症からなる群から選択されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記皮膚領域をブラックライトで照射する段階であって、前記皮膚領域がブラックライトで照射されたときに、前記画像を取得する段階が、日焼け止めが塗布された、または塗布されることを意図される前記皮膚領域の1つまたは複数の写真を取得する段階を含む、前記皮膚領域を照射する段階と、
前記1つまたは複数の写真に存在する日焼け止めの検出量を前記コントロール画像と比較することによって、日焼け止め塗布の効果を決定する段階と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コントロール画像が、日焼け止めの最適な全体の密度を表し、前記携帯デバイスのメモリ内に保存された、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マッピングする段階が、日焼け止めの塗布が不足した領域及び日焼け止めの塗布が適切である領域を示すように構成され、
前記日焼け止め塗布の効果を決定する段階が、UV光の吸収に基づく前記画像の定量的評価を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記皮膚領域の蛍光のレベルを決定する段階が、光線性角化症を評価するために実行され、
前記蛍光が、ALA(MAL)誘導された内因性光線感作物質プロトポルフィリンIXのメチルエステルによって放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記皮膚領域をブラックライトで照射する段階であって、前記皮膚領域がブラックライトで照射されたときに、前記画像を取得する段階が、前記皮膚領域の1つまたは複数の写真を取得する段階を含む、前記皮膚領域を照射する段階と、
前記1つまたは複数の写真に存在する光損傷の検出量を前記コントロール画像と比較することによって、光損傷の程度を決定する段階と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている2016年8月22日に出願された米国仮出願第62/377904号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
多くの処方薬及び市販薬が、医薬品処置の有効性を低下させる、顕著な患者の薬剤服用順守の問題を有している。いくつかの場合には、患者の薬剤服用順守が悪いのは、改善が生じているときでさえ、患者が状態の改善を検出することができないことに起因している。いくつかの状態は、状態が患者に視覚的に明らかでない方法で改善していたとしても、即時的で顕著な視覚的改善を示さない。別の場合には、患者は単に、医薬品処置で有する「顧客エンゲージメント」が低い。
【0003】
UV光とも呼ばれるブラックライト(ブラック・ライト)、ウッド灯、または紫外光は、長波(UV)紫外光及びわずかな量の可視光を放出するランプである。医療分野では、そのような光源は、ロバート・ウィリアムズ・ウッドの名から、ウッド灯と呼ばれている。ウッド灯は、ニキビに伴う細菌である、「p.アクネ」とも呼ばれるプロピオン酸菌属アクネを含む細菌感染を診断するのに有用である。この細菌は、ウッド灯の下でオレンジ色の発光を呈する。より具体的には、ニキビは、毛包内のプロピオン酸菌属のために、ウッド灯の下でオレンジ-赤に蛍光を発する。本明細書では、UV光/ランプは「ブラックライト」と称される。
【0004】
特許文献1(Rubinstennら)に示されるように、顔の画像の特徴は、被験者の皮膚の一部をウッド灯で照射することによって抽出されうる。ウッド灯は、細菌によって排泄されるポルフィリンなどの残渣を被験者の皮膚上で可視化することにより、被験者の皮膚の部分上のニキビを生じる細菌の量を識別する助けとなりうる。そのため、ポルフィリンは、p.アクネについての代理マーカーである。次いで、照射された残渣の画像が、画像処理のために取得されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2003/0063801号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
携帯デバイス、特に、携帯電話アプリケーションソフトウェア(「アプリ」)などの携帯デバイスアプリケーションは、顧客エンゲージメントを改善するためのツールであることが証明されている。本発明は、皮膚の状態のための医薬品処置を受けている、またはスキンケア製品を使用している患者により使用されるコンパニオンデバイスなどのアプリを採用する。モバイルデバイスは、オペレーティングシステム(OS)を有し、アプリを実行することが可能な任意の種類の手持ち型計算デバイスでありうる。そのような携帯デバイスの例は、スマートフォン、タブレットコンピュータ及びPDAを含むがこれらに限定されない。OSは、典型的にはアップル社のiOS(登録商標)またはグーグル社のAndroid(登録商標)であるが、任意の適切なモバイルOSでありうる。携帯デバイスは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、またはその他のプログラム可能論理デバイスなどの、アプリのロジックまたはアルゴリズムを実行可能にプログラムされたコントローラまたはプロセッサを含む。
【0007】
LED技術の現在の進歩により、UVを発生し、スマートフォンやタブレットを含む携帯デバイスで使用するための効率的で、安く、小型のLEDウッド灯の開発を可能にするLEDの製造が可能になっている。
【0008】
本発明の実施形態は、皮膚状態の評価のために、携帯デバイスに接続されたLED UVデバイスの使用に関する。具体的には、UVデバイスは、270から440nmのUV波長を有するUV LEDフラッシュ光を含みうるがこれに限定されない。UVデバイスは、物理的接続またはブルートゥースを含むがこれらに限定されない任意の適切な手段を介して、携帯電話に接続しうる。
【0009】
皮膚の状態は、色素沈着の増加(例えば黒皮症、炎症後色素沈着)、色素喪失(例えば白斑、結節硬化症におけるアッシュリーフ斑、及び伊藤母斑症)、癜風、マラセチア毛嚢炎、頭部白癬、アタマジラミ、疥癬、紅色陰癬、シュードモナス(創傷感染)、ニキビ(プロピオン酸菌属細菌)、ポリフィア、ポルフィリンの存在、サリチル酸の塗布(例えばケミカルピールの適用)、光損傷、日焼け止めの塗布、ニキビ及び光線性角化症を含みうるがこれらに限定されない。
【0010】
1つの一般的な態様において、本発明の実施形態は、処理プログラム(携帯電話アプリケーションソフトウェア)及びユーザーインターフェースデバイス(携帯デバイス)を含む、皮膚状態の評価のためのUVデバイスの使用に関し、処理プログラムは、取得された画像の処理、取得された画像内のユーザーの皮膚上の、UVデバイスによって生じた皮膚蛍光の識別、及び取得された1つまたは複数の画像と1つまたは複数のコントロール画像との比較に基づいて、ユーザーに関連する皮膚パラメータ及び傾向のマッピングを含む、皮膚状態の評価のためのUVデバイスの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1つの実施形態によれば、取得された画像は、好適には2次元画像である。取得された画像は、例えば1つの2次元画像を生成するために重ねあわされる複数の画像を含みうる。例えば、顔の取得された画像は、重ねあわされて1つの2次元顔画像を生成するための、顔の左側の画像、顔の右側の画像、及び顔の正面の画像を含むことができる。特定の実施形態において、顔の取得された画像は、重ねあわされて1つの3次元顔画像を生成するための、顔の左側の画像、顔の右側の画像、及び顔の正面の画像を含むことができる。取得される画像は、任意の写真撮影画像取得デバイス、好適には携帯電話のカメラまたはタブレットのカメラによって取得可能である。取得される画像は、デュアルカメラ技術を含む携帯電話のカメラによって取得可能である。
【0012】
I.ニキビに関する皮膚の状態
1つの好適な実施形態において、アプリは、ニキビ処置を行う患者のために使用される。ニキビ処置は、特に、患者の薬剤服用順守および顧客エンゲージメントが低い傾向がある。1つの種類のニキビ処置は、過酸化ベンゾイルを使用する製品(例えばProactive(登録商標)、Benzac AC(登録商標)、またはepiduo(登録商標))などのニキビに対する局所的製品の塗布を伴う。
【0013】
1つの好適な実施形態において、アプリは、ブラックライトともに、以下のように使用される。
【0014】
1.アプリが、ユーザーの携帯デバイス上で開かれる(「患者」及び「ユーザー」は、本明細書では同義に使用される)。
【0015】
2.アプリを使用して、ニキビが存在する領域(典型的には顔)の1つまたは複数の写真を、その領域がブラックライトによって照射されている間に撮影する。
【0016】
3.アプリが、皮膚表面に存在するポルフィリンに基づくニキビの重症度指数を、皮膚の表面で検出された蛍光のレベルに基づいて計算するアルゴリズムを提供する。いくつかの実施形態では、重症度指数を計算するために、アプリは、ユーザーによって画像取得された皮膚の表面に存在するポルフィリンの量(例えば、ニキビが存在する領域の1つまたは複数の写真内で検出されたポルフィリンの密度)を、携帯デバイスのメモリ内に保存されたコントロール画像と比較する。メモリは、一時メモリ及び/または非一時メモリでありうる。例えば、非一時メモリは、RAM、ROM、フラッシュ、強磁性、位相変化メモリ、及びその他の非一時メモリ技術として実装されうる。
【0017】
いくつかの実施形態において、コントロール画像は、ブラックライトによって照射された所定量のポルフィリンを有する保存画像でありうる。所定量のポルフィリンは、ニキビの低い(またはゼロの)重症度指数を表す量でありうる。次いで、アプリは、ユーザーによって撮影された1つまたは複数の写真をコントロール画像と比較し、最近撮影された画像で検出されたポルフィリンの量の、コントロール画像に存在するポルフィリンの量に対する差を計算しうる。次いで、アプリは、計算された差に基づいて重症度指数を割り当てうる。
【0018】
特定の実施形態において、アプリはまた、一連の写真を追跡し、任意の適切な視覚的フォーマット、例えばグラフィカルに処置の間の全体的な進行を示す。例えば、アプリは、ユーザーによって撮影された1つまたは複数の写真を、処置の開始前に(または開始時に)ユーザーによって撮影され、携帯デバイスのメモリに保存され、コントロール画像として働きうる初期写真と比較しうる。次いで、アプリは、最近撮影された画像内で検出されたポルフィリンの量の、初期画像内で検出されたポルフィリンの量に対する差を計算しうる。次いで、アプリは、処置の全体的な進行を示すために、差をユーザーにグラフィカルに表示しうる。グラフィカルな表示は、例えば、数値(例えばパーセント表示の差、重症度指数の差)、トレンド曲線、または画像比較(例えば、撮影された1つまたは複数の画像の、1つまたは複数の初期画像との横並びの画像比較、検出されたポルフィリンの現在の量を示す撮影画像に対する、検出されたポルフィリンの初期量を示す初期画像のグラフィカルなモーフィング)の形態でありうる。追加的な実施形態において、アプリは、進行における傾向をさらに示すために、処置プロセスの間に撮影された画像に基づいて進行全体をグラフィカルに表示しうる。
【0019】
別の実施形態において、ブラックライトは、携帯デバイスに関してUV同期フラッシュ光でありうる。ブラックライトは、皮膚の状態に関連した蛍光に関して最適化されうる。好適な実施形態において、ブラックライトは、p.アクネに関連した蛍光に関して最適化される。ブラックライトの最適化は、フラッシュ波長、フラッシュ強度(LEDの数)及びフラッシュ持続時間を含みうるが、これらに限定されない。
【0020】
UVフラッシュ光は、ヘッドフォンポート、USBポート、ライトニングポートを通して、またはBluetoothによって携帯デバイスに直接接続されうる。UVフラッシュ光は、それ自体の充電式バッテリーを含みうる。
【0021】
別の実施形態において、ブラックライトは、カメラについてフラッシュとして、及びフラッシュライトとして通常使用される携帯デバイスの内部LEDライトに取り付けられ、または適用されたフィルターである。スマートフォンのカメラレンズの上にカメラフィルターを取り付けることは当業者には周知である。類似のフィルターが、携帯デバイスのLEDライトの上に取り付けられうる。しかし、アプリのアルゴリズムが特定の色範囲について較正されているため、色強度及び色合いの変動を最小化するために、市販のライトフィルターを使用することが好ましい。ブラックライトが携帯デバイスの内部LEDライト上に適用されたフィルターであるこの実施形態において、段階1は、フィルターが搭載され、または取り付けられた後に、携帯デバイスのフラッシュ光アプリを単純にオンにすることを伴う。
【0022】
アプリのアルゴリズムは、肌の写真、特に、蛍光に起因して可視化されるポルフィリンレベルを分析し、次いで、p.アクネのレベルを計数し、測定し、推定し、ニキビ重症化指数を介してユーザーに定量的な出力を提供する。アプリはさらに、病斑の数、ニキビ重症化指数の傾向、ユーザーの履歴及び、製品適用の助言を含むニキビ投薬の使用を改善する方法についての助言などのさらなる情報を提供しうる。アプリはさらに、炎症や油性レベルなどの症状及び、食事、アルコール、たばこの使用を含むがこれらに限定されない潜在的な引き金となりうる因子を含むユーザー入力に関するその他のパラメータを含みうる。アプリはまた、汚染及びUV指数を含むがこれらに限定されないパラメータも提供しうる。アプリは、ニキビのコミュニティ内でニキビ重症度指数スコアを比較する機会をユーザーに提供しうる。
【0023】
アプリを介したニキビ処置においてより積極的にユーザー/患者に関与することにより、特に、重症化指数が低下する傾向を示し、それにより、患者に、すぐに気づくことができない場合であってもニキビ処置が働いていることを確認すれば、製品使用及び有効性が向上する可能性がある。同様に、ニキビ処置がうまく働いていなければ、患者は、アプリを介して代替的な処置方法または、ニキビの状態を改善しうるその他の生活習慣の助言が報知されうる。
【0024】
II.日焼け止め塗布
本発明の別の好適な実施形態において、携帯デバイスと組み合わせて使用されるUVフラッシュ光(ブラックライト)は、日焼け止めの正しい塗布を検証するために使用される。本実施形態では、以下の段階が採用される。
【0025】
1.アプリが、ユーザーの携帯デバイス上で開かれる。
【0026】
2.アプリを使用して、ユーザーは、日焼け止めが塗布された、または塗布されようとした領域の1つまたは複数の写真を、その領域がブラックライトに照射されたままで撮影する。
【0027】
3.アプリは、日焼け止めの塗布の有効性を計算するアルゴリズムを提供する。日焼け止め塗布の定量的評価が、各写真についてユーザーに提供される。特定の実施形態において、日焼け止め塗布の最適な量(例えば検出された日焼け止めの最適な全体の密度)を有するコントロール画像が、携帯デバイスのメモリ内に保存される。アプリは、ユーザーによって撮影された1つまたは複数の写真内に存在する日焼け止めの検出量をコントロール画像と比較し、日焼け止め塗布の有効性を決定する。アプリは、次いで、日焼け止め塗布の有効性の指標をグラフィカルに表示しうる。例えば、アプリは、日焼け止め塗布の有効性についてスケーリング因子またはインデックスレベル(例えば、1から10の相対スケール)をグラフィカルに表示しうる。追加的な実施形態において、追加的な日焼け止めを、塗布の少ない領域に塗布できるように、塗布の少ない領域がユーザーにハイライトされる。例えば、アプリは、ユーザーによって撮影された写真上に相対的な色付けを施す(例えば、赤は塗布の少ない領域を示し、緑は最適または適切な塗布の領域を示す)ことによって、日焼け止め塗布の有効性をグラフィカルに表示しうる。
【0028】
皮膚の写真がUV光で撮影されると、写真内の皮膚が暗いほど、それによって吸収されるUV光が少なく、これは、皮膚がより良好に保護されていることを意味する。そのため、画像が暗いほど良好である。同様に、白い斑点は、それを通して多くのUV光が得る皮膚の領域を示しており、これは日焼け止めの塗布が少ないことを指している。これらの原理は、定量的評価を提供するためにアプリのアルゴリズムに組み込まれる。
【0029】
III.光損傷
光損傷は、日光にさらされた皮膚の構造的及び機能的悪化、具体的には紫外放射にさらされることにより生じる皮膚及び/またはDNAの損傷を指す。本発明の別の好適な実施形態では、携帯デバイスと組み合わせて使用されるUVフラッシュ光(ブラックライト)は、潜在的な光損傷を識別するのに使用される。本実施形態では、以下の段階が採用される。
【0030】
1.アプリが、ユーザーの携帯デバイス上で開かれる。
【0031】
2.アプリを使用して、ユーザーは、潜在的な光損傷が調べられている領域の1つまたは複数の写真を、その領域がブラックライトによって照射されている間に撮影する。
【0032】
3.アプリは、写真内の画像を用いて、光損傷の定量的測定結果を計算するアルゴリズムを提供する。定量的測定結果は、使用可能な推奨製品及び/または将来の光損傷の量を低減するのにとられうる生活習慣の行動とともに、アプリ内でユーザーに通信される。特定の実施形態において、光損傷が低い、またはゼロレベルのコントロール画像が、携帯デバイスのメモリ内に保存される。アプリは、ユーザーによって撮影された1つまたは複数の写真内に存在する光損傷の検出量をコントロール画像と比較し、決定された差の定量的測定結果をユーザーに提供する。アプリは、ユーザーに存在する光損傷の指標をグラフィカルに表示しうる。例えば、アプリは、ユーザーの光損傷の重症度のスケーリング因子またはインデックスレベル(例えば1から10の相対的スケール)をグラフィカルに表示しうる。別の実施形態において、1つまたは複数のコントロール画像は、ユーザーによって撮影され、携帯デバイスのメモリ内に保存された、以前の画像である。次いで、アプリは、ユーザーによって撮影された1つまたは複数の写真内に存在する光損傷の検出量を、以前の画像と比較しうる。アプリは、ユーザーに存在する光損傷の重症度の進行の指標をグラフィカルに表示し、及び/または経時的な光損傷の進行の低減における指標を提供しうる。
【0033】
IV.光線性角化症(AK)病斑
日光角化症とも呼ばれる光線性角化症(AK)は、太陽の紫外(UV)光線から受ける損傷によって生じたうろこ状の皮膚硬化の成長(病斑)である。これらは、典型的には、顔、頭髪のない頭皮、唇、手の甲等の日光にさらされた領域に現れ、しばしば高くなり、表面が荒れ、こぶに似る。
【0034】
本発明の別の好適な実施形態において、携帯デバイスと組み合わせて使用されるUVフラッシュ光(ブラックライト)は、AKを識別するのに使用される。本実施形態において、以下の段階が採用される。
【0035】
1.アプリが、ユーザーの携帯デバイス上で開かれる。
【0036】
2.アプリを使用して、ユーザーは、AKが調べられる領域の1つまたは複数の写真を、その領域がブラックライトによって照射される間に撮影する。
【0037】
3.アプリは、写真内の画像を使用して、AKの定量的測定結果を計算するアルゴリズムを提供する。定量的測定結果は、使用可能な推奨製品並びに/または既存のAK病斑の重症度を低減し、及び/もしくは将来のAK病斑の量を低減するためにとられうる生活習慣の行動とともに、アプリ内でユーザーに通信される。特定の実施形態において、AK病斑の低いまたはゼロレベルのコントロール画像が、携帯デバイスのメモリ内に保存される。アプリは、ユーザーによって撮影された1つまたは複数の写真に存在するAK病斑の検出量をコントロール画像と比較し、決定された差の定量的測定結果を、ユーザーに提供する。アプリは、ユーザーに存在するAK病斑の指標をグラフィカルに表示しうる。例えば、アプリは、ユーザーのAKの重症度のスケーリング因子またはインデックスレベル(例えば1から10の相対的スケール)をグラフィカルに表示しうる。別の実施形態では、1つまたは複数のコントロール画像は、ユーザーによって撮影され、携帯デバイスのメモリ内に保存された、以前の画像である。次いで、アプリは、ユーザーによって撮影された1つまたは複数の写真に存在するAK病斑の検出量を、以前の画像と比較しうる。アプリは、ユーザーに存在するAKの重症度の進行の指標をグラフィカルに表示し、及び/または経時的なAKの進行の低下における指標を提供しうる。
【0038】
内因性光線感作物質プロトポルフィリンIX(PpIX、本明細書では「PP9」とも称される)は、AK病斑についての代理条件でありうる。ALA(MAL)誘導されたPP9のメチルエステルによって放出された蛍光は、皮膚病変の蛍光診断を提供する際に有用でありうる。これは、異常な皮膚の他の掩蔽領域の検出を可能にする。腫瘍境界も、ブラックライトの使用で輪郭検出されうる。1つの好適な実施形態において、これらの原理は、定量的測定を提供するために、アプリのアルゴリズムに組み込まれる。