(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】仕分けのための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B07C 5/346 20060101AFI20220408BHJP
G01N 23/222 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
B07C5/346
G01N23/222
(21)【出願番号】P 2019515233
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(86)【国際出願番号】 EP2017078245
(87)【国際公開番号】W WO2018083273
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-28
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519088351
【氏名又は名称】アーエムアーゲー キャスティング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ハベニス,アンデレ ウィルへレム
(72)【発明者】
【氏名】ケトラー,ジャン ポール ハーマン
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0236268(US,A1)
【文献】特開平07-167803(JP,A)
【文献】特開平07-209493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 1/00-99/00
G01N 23/00-23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕したアルミニウムスクラップ(2)を合金グループ(6.1、6.2、6.3)別に仕分けするための方法であって、該方法では前記アルミニウムスクラップ(2)がフラクション(4)に分けられ、前記アルミニウムスクラップ(2)のフラクション(4)が少なくとも1つの中性子源(9)によって照射され、前記フラクション(4)から中性子照射によって放出されるガンマ放射線(10)がそれぞれ少なくとも1つの検出器(11)によって検出され、そこから、前記フラクション(4)に属するエネルギースペクトルが形成され、該エネルギースペクトルに基づいて
前記フラクション(4)の少なくとも2つの合金要素の
各重量比の相対比率が特定され、及び
前記フラクション(4)が
前記相対比率に基づいて対応する合金グループ(6.1、6.2、6.3)に割り当てられ、及びそれに従って前記フラクション(4)を割り当てられた合金グループ(6.1、6.2、6.3)に仕分けするための方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記アルミニウムスクラップ(2)が互いに境界をつけて仕切られたチャンバ(14)にあり、それによってフラクション(4)に分けられることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記フラクション(4)が前記中性子源(9)に搬送装置(15)によって照射のために給送されることを特徴する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記搬送装置(15)がエンドレス搬送ベルト(15.3)を備え、及び前記搬送ベルト(15.3)の張り側とゆるみ側(15.4、15.5)の間に備えられた中性子源(9)が前記アルミニウムスクラップ(2)の前記フラクション(4)を前記搬送ベルト(15.3)を通して照射し、及び前記フラクション(4)から
前記中性子照射によって放出される線放射(10)が前記搬送ベルト(15.3)の前記張り側(15.4)の上部に備えられた検出器(11)で検出されることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の方法であって、前記アルミニウムスクラップ(2)が、前記搬送装置(15)の、特にコンベヤーベルト(115)の、前記搬送ベルト(15.3)の互いに境界をつけて仕切られたチャンバ(14)にあることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の方法であって、前記中性子照射が前記フラクション(4)に当たる前に該中性子照射が減速材(17)として形成されたレンズ(16)を通されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の方法であって、複数のフラクション(4)が同時に前記中性子源(9)によって照射されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の方法であって、複数の検出器(11)が前記フラクション(4)から放出されるガンマ放射線(10)を測定するために相並んで及び/又は相前後して備えられていることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、相並んで及び/又は相前後して備えられ、及びそれぞれ1つのフラクション(4)に該フラクションから放出されるガンマ放射線(10)を測定するために割り当てられた前記検出器(11)が、特に鉛シールド(18)によって側方を互いにシールドされていることを特徴とする、方法
【請求項10】
破砕したアルミニウムスクラップ(2)を合金グループ(6.1、6.2、6.3)別に仕分けするための装置であって、前記アルミニウムスクラップ(2)のフラクション(4)を搬送するための搬送装置(15)と、測定装置(7)とを備え、該測定装置(7)が、前記搬送装置(15)が搬送したフラクション(4)を照射するための少なくとも1つの中性子源(9)、前記フラクション(4)から中性子照射によって放出されるガンマ放射線(10)を検出するための少なくとも1つの検出器(11)、及び少なくとも2つの合金要素の各重量比の相対比率に応じて前記フラクション(4)を合金グループ(6.1、6.2、6.3)に配分するための演算処理ユニット(12)を備え、当該相対比率が前記演算処理ユニット(12)によって前記各フラクション(4)から検出されたガンマ放射線(10)のエネルギースペクトルから特定され、及び仕分け装置(5)を備え、該仕分け装置が前記搬送装置(15)によって搬送されたフラクション(4)を、測定装置(7)によって分類された合金グループ(6.1、6.2、6.3)に仕分けする、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記中性子源(9)が、前記搬送装置(15)の搬送ベルト(15.3)の張り側とゆるみ側(15.4、15.5)との間にあることを特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の装置であって、前記搬送装置(15)の前記搬送ベルト(15.3)がフラクション(4)を分配及び搬送するための互いに境界をつけて仕切られたチャンバ(14)を備えていることを特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記搬送ベルト(15.3)が相並んだ複数の段(19)と相前後する複数の列(20)が配置されたチャンバ(14)を備えていることを特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項11~13のうちのいずれか一項に記載の装置であって、中性子源(9)とフラクション(4)との間に減速材(17)として形成されたレンズ(16)を備えていることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に破砕したアルミニウムスクラップを合金グループ別に仕分けするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術(特許文献1)では、金属スクラップ(アルミニウムなど)の選別方法が公知であり、この場合スクラップはフラクションに分類され、フラクションはX線源のX線放射で照射される。その際にフラクションから放射されるガンマ放射線は、検出器で検出され、フラクションに属しているエネルギースペクトルのひとつが形成され、それに基づいてフラクションの材料組成が推論される。この方法で特定された材料組成に応じて、フラクションが材料グループ別に仕分けされる。しかしこのような方法は、フラクションを(例えばアルミニウムの)各合金グループに仕分けするには適していない。なぜならエネルギースペクトルの分類では十分な精度を達成できないからである。加えて、この種類の方法は、特に測定時間が比較的長くかかるため、質量流量が比較的小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2010/0017020号明細書
【発明の概要】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、アルミニウムスクラップを合金グループに仕分けする際に高い質量流量と高い信頼性を備えて優れた、アルミニウムスクラップを合金グループ別に仕分けするための方法及び装置を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の方法に関する課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0007】
本発明による、特に破砕したアルミニウムスクラップを合金グループ別に仕分けするための方法において、第一の方法段階でアルミニウムスクラップがフラクションに分けられると、必要に応じてアルミニウムスクラップが高い信頼性で分離できる上に、合金グループの特定が個々のフラクションごとに行われることが確保される。複数のフラクションを同時測定する際に予想されるようなエネルギースペクトルの重なり合いによる相互の影響は、これにより安定的に阻止されうる。
【0008】
その後に、アルミニウムスクラップのフラクションが少なくとも1つの中性子源によって照射されると、個々のフラクションからこの中性子照射によって放出されるガンマ放射線がそれぞれ少なくとも1つの検出器によって検出され、そこから、各フラクションに属するエネルギースペクトルが形成され、それによって個々のフラクションの化学組成が簡単な方法でかつ高い精度で特定できる。
【0009】
さらに、このようなエネルギースペクトルに基づいてこのフラクションの少なくとも2つの合金要素の重量比の相対比率が特定されると、このフラクションが対応する合金グループの相対比率に基づいて分けられる。これは特別な手間がないばかりか信頼性が高い。続いて、このフラクションが割り当てられた合金グループに従って仕分けされうる。後者は、特に、従来技術で公知のような手間のかかる方法較正が不要だからである。
【0010】
一般に、合金グループという概念は、展伸アルミニウム合金用規格(EN573-3/4)又はアルミニウム鋳造合金用規格(DIN EN1706)に準拠してアルミニウム合金をグループに分けることと理解される。本発明による方法は、例えばアルミニウムスクラップのフラクションを3xxx-、4xxx-、5xxx-などの合金グループに仕分けることに適している。さらに、一般にフラクションとは、複数又は1つのアルミニウムスクラップ小片であると確認される。フラクションは同様に、あらかじめ定義されたアルミニウムスクラップ粉末又は粒質物の小集団とも理解されうる。加えて、一般に、本方法の基礎をなす測定方法(エネルギースペクトルの検出と形成)は、中性子放射化分析(NAA)として、又は特に即発ガンマ中性子放射化分析(PGNAA)として形成され得ることが確認される。
【0011】
アルミニウムスクラップが互いに境界をつけて仕切られたチャンバに入れられ、それによってフラクションに分けられている場合、手順技術的に簡単な方法でスクラップピースをフラクションにグループ分け又は分離できる。例えばチャンバはそれぞれ1つのあらかじめ定義された容積を備えてよく、及び/又は同じ又は異なった粒径のフラクションを収容するために使用されてよい。
【0012】
中性子源のフラクションが搬送装置によって照射のために給送されると、それによって比較的高い質量流量が可能になるだけでなく、合金グループごとにアルミニウムスクラップを再現可能に仕分けるために、方法の操作がさらに容易になりうる。
【0013】
方法の再現可能性はさらに改善できる。搬送装置がエンドレスの搬送ベルトを備えており、搬送ベルトのゆるみ側と張り側の間にある中性子源が搬送ベルトで通り抜けるアルミニウムスクラップのフラクションを照射し、フラクションからこの中性子照射によって放出されるガンマ放射線が搬送ベルトの張り側上方にある検出器によって検出される。本発明による、中性子源と検出器の配置により、搬送装置が検出器に与える影響は最小限にとどめられる。また、アルミニウムスクラップの可変操作が許容されるため、特に高い質量流量が達成可能である。とりわけ、複数のフラクションを同時に、及び特に簡単なやり方で、その上例えば検出器などの比較的少ない装置で、検出する方法のための基礎を作ることができる。しかも本発明による方法は常に高い分離精度が保証される。
【0014】
本方法は、取り扱いにおいて、アルミニウムスクラップが搬送装置の搬送ベルトの、特にコンベヤーベルトの、互いに境界をつけて仕切られたチャンバに入っていると、さらに改善されうる。
【0015】
中性子照射が、フラクションに当たる前に、減速材として形成されたレンズに導かれると、本方法の精度と信頼性がさらに高められる。中性子は、減速材を通ることで熱中性子化されうる、つまりその運動エネルギーが100meV未満に低減され、それによって検査対象フラクションの材料の原子核との中性子断面積を格段に増大させることができる。それゆえに、方法の精度は改善され得る。なぜなら断面積が増大することにより、中性子放射化生成物の収率がより大きくなるからである。同時に、中性子レンズとしての減速材の機能により、中性子の熱中性子化中に、中性子源から出た中性子照射野が均一にされ、放射方向も調節され、それによって検査範囲全体で均一な中性子照射野が達成されうる。このことは、やはり、仕分け方法の信頼性を高めることに役立つ。
【0016】
方法中の質量流量は、複数のフラクションが同時に中性子源で照射される場合、さらに高めることができる。例えば相並んで及び/又は相前後して配置されたフラクションを同時に測定することが可能である。この方法の再現性は、複数の同時に照射されるフラクションを比較可能であることでさらに高められる。
【0017】
加えて、フラクションから放出されるガンマ放射線を測定するための複数の検出器が、相並んで及び/又は相前後して備えられている場合、方法の質量流量をさらに高められる。
【0018】
その際に検出器が相並んで及び/又は相前後して備えられ、それぞれ1つのフラクションから放出されるガンマ放射線を測定するために配置されている場合、複数のアルミニウムスクラップフラクションを同時に測定することが可能になり、その際に個々のフラクションから放出されたガンマ放射線の相互影響が低減される。本方法の質量流量は、これによって、高い方法精度によってさらに高められうる。ここで検出器の側方が互いにシールドされていると、安定的に固定され得、特に複数のフラクションを同時測定する場合に放射されたガンマ放射線は各フラクションに割り当てられた検出器だけに当たる。それゆえに、複数のフラクションの検出するべきガンマ放射線が重なることで測定が歪曲されることは回避可能である。したがって、検出器でガンマ放射線が望ましくない拡散をすることによる検出器の背後放射及び迷光放射が回避される。加えて、鉛シールドを目的に合わせた形状にして配置することで、試料から放出されていないガンマ放射線(例えば設備内の他の材料の中性子放射化による)が検出器に当たることが回避できる。これに関して、鉛シールドは単純な実施態様が示されうる。これによって、信頼性の高い再現可能な方法が作り出しうる。
【0019】
本方法に関して示された課題は、請求項の特徴により解決される。
【0020】
構造的に簡単に実現され、特に合金グループに従った破砕アルミニウムスクラップの仕分けにおいて極めて精確で高い質量流量を備えた装置は、アルミニウムスクラップのフラクションを搬送するための搬送装置と、測定装置とを備え、その測定装置が搬送装置によって運ばれるフラクションを照射するための少なくとも1つの中性子源、フラクションからこの中性子照射によって放射されるガンマ放射線を検出するための少なくとも1つの検出器、及びフラクションをその少なくとも2つの合金要素の各重量比の相対比率に応じて合金グループに配分するための演算処理ユニット、を有しており、相対比率が演算処理ユニットによって、各フラクションで検出されたガンマ放射線のエネルギースペクトルから特定され、及び仕分け装置を備えており、この仕分け装置が、搬送装置が運ぶフラクションを、測定装置が分類した合金グループに合わせて配分する。
【0021】
比較的高い質量流量と高い分離精度は、搬送装置の搬送ベルトのゆるみ側と張り側の間に中性子源が備えられている場合、本発明による装置によって達成可能である。すなわちそれによって、再現性の阻害を妥協する必要なく、フラクションを特に可変に分類する又は測定装置に給送することを可能にする装置が提供される。さらに、それによって中性子源又はレンズその他を比較的搬送ベルトの近くに備えることができ、しかもそれらが搬送装置又はそれによって搬送されるアルミニウムスクラップに触れてしまうことがない。フラクションを確実に照射することで、アルミニウムスクラップを合金グループに従って仕分けする際に装置の信頼性促進を見込むことができる。
【0022】
搬送装置の搬送装置は、これが互いに互いに境界をつけて仕切られたチャンバを備えている場合、アルミニウムスクラップを分類するために使用できる。さらに、チャンバの構造的な仕様に対応して、フラクションの体積も構造的に単純な方法で制限でき、それによって本方法の分離精度と装置の仕分け品質を高めることになる。
【0023】
装置の質量流量を高めるために、搬送ベルトは複数の、段が相並んで及び列が相前後して配置されたチャンバを備えていると、それによって装置の質量流量が高められ、構造的に単純に解決される。
【0024】
中性子源とフラクションとの間に減速材として形成されたレンズが備えられている場合、装置によって提供された分離精度、ひいてはその仕分け品質がさらに改善され得る。
【0025】
図には、発明対象物の例として、実施態様を挙げて詳しく示している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による方法を実施するための装置の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1及び
図2では、破砕又は寸断したアルミニウムスクラップ2を仕分けするための方法1が示されており、アルミニウムスクラップ2は装置3によって例えば10~120mmに破砕され及び/又はふるいにかけられ及び/又は均質化され又は結果としてフラクション4が分けられ及び/又は個別化される。このフラクション4は、最終的には仕分け装置5によって合金グループ6.1(例えば:合金グループ6xxxの展伸アルミニウム合金)、6.2(合金グループ7xxxの展伸アルミニウム合金)、6.3(合金グループ3xx-AlSiCuのアルミニウム鋳造合金に)にしたがって仕分けされる。
【0028】
図1及び
図2に示されたように、アルミニウムスクラップ2は互いに境界をつけて仕切られたチャンバ14に入れられ、それによって個々のフラクション4に分けられる。一般的に言うと、フラクション4は、1つ又は複数のアルミニウムスクラップピース又はアルミニウムスクラップ粒質物又はアルミニウムスクラップ2の粉末から構成されていてよい。
【0029】
搬送装置15は、最も単純な構造の仕様で、コンベヤーベルト115が1つで示すことができ、これがフラクション4を個別化装置3からPGNAA測定装置7を通って仕分け装置5に運搬する。実施例でわかるように、境界をつけて仕切られたチャンバ14は搬送装置15のエンドレス搬送ベルト15.3の帯同板15.1及び縦方向板15.2によって形成されている。
【0030】
アルミニウムスクラップ2のフラクション4は、PGNAA測定装置7に給送され、この測定装置は仕分け装置5とデータ共有している。PGNAA測定装置7内ではフラクション4が中性子源9の中性子放射8によって照射され、個々のフラクション4から、このように行われた原子核の放射化によって放出されたガンマ放射線10がそれぞれ1つの検出器11によって検出される。それによって個々のフラクション4のガンマ放射線10に関するデータが存在する。検出器11の測定データは、測定装置7の演算処理ユニット12に送られる。これによってフラクション4にはそれぞれ付属するエネルギースペクトルが形成できる。各フラクションのネルギースペクトルに基づいて、このフラクション4の少なくとも2つの合金要素の重量比の相対比率が特定される。続いて、フラクション4が、合金要素の重量比の相対比率に基づき、演算処理ユニット12により個別に合金グループ6.1、6.2、6.3に分類される。
【0031】
この配置に合わせて、PGNAA測定装置7が仕分け装置5を制御するか、又は仕分け装置5とデータ接続し、フラクション4がそれに対応する合金グループ6.1又は6.2又は6.3に応じて各容器13に選り分けられる。
【0032】
このような搬送装置15は、特に高い質量流量が輸送を可能にできるが、アルミニウムスクラップ2をフラクション4に分離することはできない。
【0033】
図2からわかるように、搬送ベルト15.3の張り側15.4とゆるみ側15.5の間には中性子源9が備えられており、それゆえにアルミニウムスクラップ2のフラクション4が搬送ベルト15.3の張り側15.4を通して照射される。フラクション4から放出されるガンマ放射線10は搬送ベルト15.3の張り側の上に備えられている検出器11に検出される。この種類の中性子源9と検出器11のこのような配置は、コンパクトな装置を作り出し、さらに搬送装置15が測定に与える干渉効果が小さく、それによって特に搬送ベルト15.3のゆるみ側15.5はフラクション4の照射にまったく影響を与えない。したがって本発明による方法は、高い質量流量を備えているだけでなく分離精度も高い。
【0034】
特に
図2でわかるように、中性子源9の中性子放射8は、中性子放射8がフラクション4に当たる前に、レンズ16へ進む。それによって、分散して中性子源9から出る中性子放射8が一様で均質になり、その結果フラクション4に当たる中性子放射8が各チャンバ14で確実に比較可能にできる。このことによっても、複数のフラクション4に同時に中性子源9の中性子放射8を当てることが可能になる。加えて、レンズ16は減速材17として形成され、それによって中性子放射8の中性子が熱中性子化し、運動エネルギーで約100meV減速する。中性子放射8とフラクション4の原子核との断面積は、これによって大幅に拡大し、本方法の測定精度に有利に働く。
【0035】
特に高い質量流量を可能にするため、PGNAA測定装置内にはフラクション4から放出されるガンマ放射線10を測定するために、複数の検出器11が隣り合って備えられている。
図1からわかるように、ここには特に16個の検出器11があり、4つの段19と4つの列20に分けられ、これはすなわち搬送ベルト15.3のチャンバ14に相当する。高い質量流量のための高い並列性が達成できる。
【0036】
図1及び
図2でわかるように、検出器11にはそれぞれシールド18が備えられている。これにより、これらが側方を互いにシールドされ、有利には、検出器11に割り当てられたフラクション4から放出されるガンマ放射線10が各検出器11に当たるようになる。そうでないと、よそのフラクション4から放出されたガンマ放射線10が、測定するべきガンマ放射線10と重なり、それによってエネルギースペクトルが歪曲される。信頼性の高いシールドを形成するために、鉛シールド18が選択された。