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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】臍帯血採取装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/153 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
A61B5/153
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019527299
(86)(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2017079092
(87)【国際公開番号】W WO2018091421
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】16199701.0
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519175581
【氏名又は名称】ザ ホスピタル フォー ザ リリーフ オブ プア-ライング-イン ウイメン,ダブリン(コモンリー コールド ザ ロチュンダ ホスピタル)
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルベット,レス
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1998/007466(WO,A1)
【文献】特開2011-206575(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0220601(US,A1)
【文献】特表2014-515655(JP,A)
【文献】特開2009-055946(JP,A)
【文献】特開平06-324035(JP,A)
【文献】米国特許第06102871(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臍帯血採取装置(1)であって、装置(1)は、先細ノズル(4)と流体連通するチャンバ(2)を備え、かつ先細ノズル(4)はその長さに沿って一連の段部(20)を含み、当該一連の段部(20)が、異なる直径を有する一連の収集容器(100)と係合するように構成される、臍帯血採取装置。
【請求項2】
前記先細ノズル(4)が、遠位端(10)、開口部(12)、および内部チャネル(14)を備える、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記一連の段部(20)の一つが前記一連の収集容器(100)の一つの開口端部(106)と係合するように構成される、請求項に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ノズル(4)が、その遠位端(10)にルアーロック(50)をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記ルアーロック(50)が、前記ノズル(4)の前記遠位端(10)と一体化されかつ恒久的に接続されている、請求項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記ルアーロック(50)は、前記ノズル(4)の遠位端(10)のネジ山にねじ込まれる前記ルアーロック(50)上の雄型継手によって前記ノズル(4)に固定されるように構成される、請求項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記ルアーロック(50)は、前記ノズル(4)の遠位端(10)の雄型継手にねじ込まれる前記ルアーロック(50)上の雌型継手によって前記ノズル(4)に固定するように構成される、請求項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記チャンバ(2)が、空間(7)を囲む壁(8)、臍帯の遠位端を受容するようになっている開口端(6a)、ノズル(4)と流体連通している開口端(6b)とを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記チャンバ(2)が、前記一連の収集容器(100)の一つの前記開放端(106)を受容し、これと係合するようになっている一つの段部部分(16)をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記チャンバ(2)の前記壁(8)が、テクスチャード加工された内面をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記装置が、ポリプロピレン、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートコポリマー(PETG)、非晶質ポリエチレンテレフタレート(APET)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)、外科用ステンレス鋼から選択される耐久性と同時に剛性のある材料から構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記装置がポリスチレンから構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
スタンド(400)が、基部(402)と容器(404)を備え、前記一連の収集容器(100)の一つのキャップを固定し収容するように構成されたエンクロージャ(406、506)をさらに備える、請求項1に記載の装置(1)と共に使用するためのスタンド(400)。
【請求項14】
請求項1に記載の装置(1)と請求項13に記載のスタンド(400)を含む、臍帯血を採取するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臍帯血採取装置に関する。特に、本発明は、様々な異なる収集容器への送達のために臍帯血を採取するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
臍帯血採取は、胎児の酸塩基分析、血液型分類、遺伝子スクリーニング、ヘモグロビン症スクリーニング、凝固障害スクリーニング、および敗血症スクリーニングなどの様々な診断およびスクリーニング検査のために行われる。臍帯血の採取は、臍帯幹細胞採取のためにも行われる。実現可能であれば、臍帯血を採取することは新生児の末梢血サンプリングよりも多くの利点を提供する。これらの利点には、新生児を危険にさらすことなく大量の血液を得ることができること、および瀉血誘発性貧血(早期患者における貧血の主な原因の1つ)の減少が含まれるが、これらに限定されない。
【0003】
臍帯血の採取に利用される一般的な方法は2つある。1つの方法は、(例えば搾乳によって)臍帯の切断端から臍帯血を排出し、動脈/静脈血混合試料を生成することを含む。もう1つは、針と注射器を使って臍帯動脈/静脈から直接臍帯血を採取することである。後者は信頼性の高い臍帯血酸塩基分析に現在必要とされている。しかしながら、広範囲の一般的な診断およびスクリーニング試験(ロタンダ病院だけで1年に約2000)は、排出技術を介して得られた臍帯血を利用して完了することができる。この技術は、一般に、供給された胎盤にまだ取り付けられている間に、切断された臍帯の遠位端からキャップされていない万能収集管(例えば、20mlのSarstedt万能管)に血液を「搾り出す」ことからなる。この搾乳技術では、臍帯を同じ手の人差し指と親指で固定しながら、ユニバーサルチューブを片手で保持する。同時に、臍帯をもう一方の手で握り、必要量の血餅のない血液が集められるまで、臍帯血を万能管に「搾り出す」。この過程では、血液がこぼれることが一般的であり、万能管の外側はしばしば血液で汚染されており、その後洗浄しなければならない。さらに、血液の飛沫が一般的であるため、個人用防護服および機器(PPCE)が必要です。次に、万能管を実験室に送り、そこで血液を万能管から適切な保存剤(例えばEDTA)を含む一連の標準的な実験室管に手動で移送しなければならない。
【0004】
あるいは、直接的な静脈または動脈の試料が必要とされない場合(例えば、血液型分類、遺伝子検査、ヘモグロビン症/凝固障害スクリーニング)、臍帯に沿った局所的な血液領域にアクセスするために針および注射器を導入してもよい。これにより、血液サンプルを適切な採血管に直接移すことができる。針と注射器を使用すると、血液を万能の採集管に搾乳するときに遭遇する血液の漏出と汚染の量も減らすことができる。針と注射器の技術が使用されるとき、以下の方法が使用され得る。
【0005】
a)臍帯は胎盤によって「固定」されている。すなわち、臍帯は胎盤に固定されたままであり、固定基部を提供する。片方の手で胎盤から伸びた臍帯を持ち、もう片方の手で針を持ち、挿入して目に見える血管から血液を抜き取る。その後、血液はシリンジから血液チューブに移される。
b)臍帯を片方の手に巻き付け、もう片方の手で針を保持して挿入し、目に見える血管から血液を抜き取る。その後、血液はシリンジから血液チューブに移される。
c)2本のクランプがコードの長さに取り付けられており、コードはクランプの周りに巻き付けられている。個人の両手は自由に針を挿入し、血液を引き抜くことができる。その後、血液はシリンジから血液チューブに移される。
【0006】
上記の臍帯血採取方法に関連するいくつかの問題がある。これらには以下が含まれる:
・万能収集管から適切な分析管への移動に関連するサブサンプリングエラー(例:誤ったラベル付け)
・万能収集管における抗凝固因子の欠如と関連した危険性のある試料生存度。
・プロセスの一般的な妨害。
・血液の飛沫および漏出の職業上の危険
・針刺傷の職業上の危険
・規制当局との品質管理および安全性の不適合(アイルランドの国家認定委員会、医療セクター規制における欧州連合の鋭利器材損傷防止)。
【0007】
臍帯血を採取するように設計されている他の製品にはUmbilicup(商標)がある。Umbilicup(商標)を用いて、動脈/静脈混合試料が切断した臍帯から排出される。Umbilicup(商標)は、ユーザーが臍帯を固定するか、固定して切断する必要がある。Umbilicup(商標)を使用すると、血液が針を介して真空の保存管に移される前に、血液が溜まる。これは血栓形成の危険性をもたらし、それは試料の完全性を危うくする可能性がある。さらに、Umbilicup(商標)の針設計のために、採集管キャップは針の挿入を可能にしなければならず、適合する採血管の範囲を制限する。最後に、最小限に抑えられているが、Umbilicup(商標)では針刺傷のリスクが排除されない。
【0008】
米国特許第8486034号は、加圧容器および針を用いて胎盤または臍帯から血液を採取するための複雑な装置を記載している。針刺傷のリスクが存在し、装置の複雑さはそれを使用するのを面倒でそして過度に複雑な装置にする。英国特許出願公開第2302734号明細書は、臍帯の切断され、固定された部分から臍帯血を収集するために使用される蓋および針を備えた装置を記載している。針刺傷のリスクの問題がある。米国特許第6102871号は、2つの出口を有する漏斗を含む臍帯血採取装置を記載している。臍帯の一部を胎盤から切り取り、一端を固定して漏斗に入れる。この装置は扱いにくく、そして臍帯から血液を集めるときには管は出口にゆるく取り付けられている。US2010/081966明細書は、臍帯切片からの血流を止めるためのラチェット機構を含む臍帯細胞採取装置を記載している。臍帯部分は、複数の構成要素を有する容器内に配置されている。US2003/220601は、シース付き針を有するルアー収集装置と流体連通する容器を含む体液収集装置を記載している。針刺傷のリスクはこの装置で明らかであり、そして臍帯の部分は容器に置かれる前に切断されそして締め付けられる。これは、臍帯が滑り落ちて、血液を採取するために重力だけを使用するという問題を引き起こす。この装置(および上記の類似の装置)を使用すると、血液が貯留して血栓が形成される危険がある。
【0009】
本発明の目的は、上述の問題のうちの少なくともいくつかを克服することである。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載されているように、臍帯血採取装置1が提供され、この装置1は、先細ノズル4と流体連通するチャンバ2を備える。
【0011】
先細ノズル4は、その長さに沿って少なくとも1つの段部20をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、臍帯血採取装置1が提供され、この装置1は先細ノズル4と流体連通するチャンバ2を備え、先細ノズル4は、その長さに沿って少なくとも1つの段部20をさらに備える。
【0013】
好ましくは、先細ノズル4は、遠位端10、開口部12、および内部チャネル14を備える。
【0014】
理想的には、先細ノズル4はその長さに沿って一連の段部20を含み、一連の段部20は異なる直径を有する一連の収集容器100と係合するように構成される。好ましくは、段部20は、収集容器100の開口端部106と係合するように構成される。
【0015】
好ましくは、ノズル4は、その遠位端10にルアーロック50をさらに含む。好ましくは、ルアーロック50は、ノズル4の遠位端10と一体化されかつ恒久的に接続される。ルアーロック50はまた、ノズル(4)の遠位端(10)のネジ山にねじ込まれるルアーロック(50)上の雄型継手によってノズル(4)に固定されるように構成されてもよい。ルアーロック50はまた、ノズル(4)の遠位端(10)の雄型継手にねじ込まれるルアーロック(50)上の雌型継手によってノズル(4)に固定するように構成されてもよい。
【0016】
好ましくは、チャンバ2は、空間7を囲む壁8と、臍帯の遠位端とノズル4と流体連通する開口端6bとを受容するようになっている開口端6aとを備える。
【0017】
好ましくは、チャンバ2の形状は実質的に円形または多面的である。
【0018】
好ましくは、チャンバ2は、収集容器100の開口端部106を受け入れてこれと係合するようになっている段部16をさらに含む。段部16は、開口端6bとノズル4との間に位置している。
【0019】
一般に、チャンバ2は、長さが1cm~30cmの間、好ましくは約2cm~約25cmの間、より好ましくは約3cm~約20cmの間、そして適切には約3cm~約10cmの間の長さである。理想的には、チャンバ2は長さが約3~約5cmの間、例えば長さが約4cmである。
【0020】
好ましくは、チャンバ2の壁8は、テクスチャード加工内面をさらに含む。
【0021】
本発明の一実施形態では、臍帯血採取装置は、滅菌済みの使い捨て装置であり得る。
【0022】
一実施形態では、臍帯血採取装置は複数の用途に適している。好ましくは、この装置は、例えば医療施設の中央滅菌サービス部門(CSSD)における複数の滅菌サイクルに適している。
【0023】
臍帯血採取装置は、2つの主な要素、すなわち1)臍帯を収容するようになっているチャンバ、および2)収集容器を収容してこれと係合するノズルからなる単一部品として熱成形することができる。
【0024】
一実施形態では、構成材料は、適切には、耐久性と同時に剛性のある材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートコポリマー(PETG)、非晶質ポリエチレンテレフタレート(APET)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)、(薄肉)外科用ステンレス鋼である。別の実施形態では、装置はポリスチレンなどの非医学的ポリマーで作ることもできる。
【0025】
一実施形態では、チャンバの壁は、約0.05mm~約2.0mm、好ましくは約0.1mm~約1.8mm、より好ましくは約0.75mm~1.8mm、理想的には約1.3mm~約1.6mmの厚さを有する。一実施形態では、ノズルの壁は、チャンバと同じまたは類似の厚さ、すなわち約1.4mmを有する。
【0026】
好ましくは、チャンバの壁は、テクスチャード加工内面をさらに含む。
【0027】
好ましくは、装置はポリスチレンのような非医学的材料から構成される。
【0028】
好ましくは、装置は予め滅菌されている。好ましくは、装置は使い捨て装置である。好ましくは、装置は複数の用途に適している。好ましくは、装置は、例えば医療施設の中央滅菌サービス部門(CSSD)における複数の滅菌サイクルに適している。
【0029】
好ましくは、装置は無針である。
【0030】
上述の装置と共に使用するためのスタンドも提供され、スタンドは基部と容器とを含む。好ましくは、スタンドは、容器のキャップを固定し収容するように構成されたエンクロージャをさらに含む。
【0031】
一実施形態では、臍帯血を採取するためのキットが提供され、キットは上記の装置を含む。好ましくは、キットは本明細書に記載のスタンドをさらに含む。
【0032】
好ましくは、キットは1つ以上の収集容器100をさらに含む。加えて、キットは、カテーテル、接続チューブ、臍帯クランプ、ジアテルミー/器具ポーチ、ドレープ、ベビーブランケット、ハンドタオル、メイヨーカバー、シャープスボックス、綿棒、ヤンカウアー、ガウン、トロリーカバー、ラップ、クレープ、バッグ、ブリーザーをさらに含む。
【0033】
一実施形態では、一端が臍帯を受け入れるために開いており、他端が内向きに先細になって開いており、臍帯血を収集容器に分配するように構成されている臍帯血収集ノズルが提供される。
【0034】
一実施形態では、「臍帯血」という用語は、臍帯自体からの血液だけでなく出産後に胎盤に残っている血液も含む、臍帯から供給された血液を意味すると理解されるべきである。採取された臍帯血は(造血性)幹細胞を含み、これは造血性疾患および遺伝性疾患の治療に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明は、添付の図面を参照して、単なる例として示される本発明の実施形態の以下の説明からより明確に理解されるであろう。
図1図1Aは、本発明の臍帯血採取装置の一の実施形態の側面図を示す。一方、図1Bは底面図、図1Cは斜視図、図1Dは収集容器が取り付けられた図1Aの側面図を示す。
図2図2Aは、装置の一の実施形態の縦断面図を示す。図2Bは、装置の実施形態の底面図を示す。図2Cは、本発明の装置の実施形態の斜視図を示す。
図3図3A~3Cは、様々な直径の収集管に係合して、図2の臍帯血採取装置の縦断面図を示す。
図4図4Aは、一連の臍帯血分析用の管(Vacuette(登録商標)9ml K3EDTA、Sarstedt Monovette(登録商標)7.5ml EDTA KE、Vacuette(登録商標)2.5ml K3EDTA、Sarstedt Monovette(登録商標)2.7ml EDTA KE およびSarstedt Monovette(登録商標)2ml 血液ガス容器、BD Vacutainer(登録商標)K2E(EDTA)6.0 ml、BD Vacutainer(登録商標)K2E 4.0ml)を示す。
図5図5は、臍帯血採取のために、装置のハウジング内のインサイツの臍帯と共に使用される試料管に接続された臍帯血採取装置の一の実施形態の側面図を示す。
図6図6は、先細ノズルの開口部のルアーロックコネクタを示す、図1または図2の臍帯血採取装置の一の実施形態の側面図を示す。
図7A図7A及び7Bは、本発明の装置のためのスタンドの斜視図を示す。
図7B】同上。
【発明を実施するための形態】
【0036】
材料および方法
本明細書に記載の装置を利用すると、臍帯血を臍帯の切断端から安全かつ効果的に採取することができる。必要な材料としては、送達された臍帯の切断端(ここで、(a)胎盤に取り付けられ切断される、または(b)胎盤から切断され、いずれかまたは両方の切断端でクランプされる)、採血管および明細書に記載の装置が含まれる。手袋、ガウン、フェイスマスクなどの個人用防護服と備品(PPCE)も、血液を集める研究所の安全な作業手順に従って、臍帯血を採取する人が着用することになるだろう。採血管のキャップを外し、本明細書に記載の装置のノズルを管に挿入する。本明細書に記載の装置のノズルと収集管との間の確実な接続は、ノズルの先細の段付き設計によって達成される。一方の手は、切断臍帯の遠位端を本明細書に記載の装置のチャンバ内に挿入するために使用され、他方の手は、収集管をしっかりと取り付けた状態で本明細書に記載の装置を保持する。臍帯の遠位端は、同じ手の親指が装置および取り付けられた管を保持している状態でチャンバ内の適所に安定させられる。次いで、もう一方の手で臍帯血を搾乳して装置に入れる。血液は直接採集管に集められる。十分な量の血餅のない血液が採取されたら、本明細書に記載の装置を採血管から解放して脇に置く。その後、手袋を交換しながら、血液で満たされた採集管を採集管ホルダーに入れることができる。次に管を清潔な手袋でキャップをする。本明細書に記載の装置を使い捨て物品として使用する場合、その装置は臍帯/胎盤と共に廃棄することができる。装置が再使用可能な品目である場合、装置は洗浄および滅菌のために取っておき、臍帯/胎盤を捨てることができる。採血された血液は、血液型判定、幹細胞採取、遺伝子検査、一連の診断検査およびスクリーニング検査に送られる。
【0037】
ダブリンの産科病院の多くは、臍帯血を適切な実験室用容器に直接注ぎ込むための方法として20mlシリンジ(プランジャーを取り外した状態)を使用していたが、ロタンダ病院の臨床スタッフによる試験では安全で扱いにくいと判明した。
【0038】
本発明は、安全で実用的で効率的で使用が簡単な臍帯血採取装置を提供する。本明細書に記載の臍帯血採取装置は、臍帯血採取の一般的に採用されている方法に関連する安全性および試料品質の問題に対処する。現状の問題としては、万能収集管中の適切な保存剤の欠如に起因した危険性のある試料生存度、サブサンプリングエラー、血液の飛沫および漏出リスク、針刺傷のリスクおよび採血の一般的な妨害が挙げられる。
【0039】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の臍帯血採取装置の一般的な実施形態を示しており、全体として参照番号1で参照されている。臍帯血採取装置1は、先細ノズル4と流体連通するチャンバ2を備える。チャンバ2は空間7を囲む壁8を含み、壁8は内径3と外径5を有する。チャンバ2は、臍帯の遠位端を受け入れて収容するようになっている開口端6aと、ノズル4と流体連通する開口端6bとをさらに含む。開放端6bは、チャンバ2の空間7内に収容されている臍帯から受け取った流体をノズル4に移送するように構成されている。チャンバ2は任意の所望の形状(例えば、円形または多面(例えば、三角形、正方形、長方形、楕円形、4面、5面、6面またはそれ以上))であり得るが、チャンバ2は一般に実質的に円形である。チャンバ2は、約4cmの長さを有し、これは、十分な部分の臍帯がその中に挿入されることを可能にし、そして臍帯が装置1から滑り落ちるのを防止する。一実施形態では、空間7を囲む壁8はテクスチャード加工の内面を有し、これは、装置1内に収容されたときに臍帯の遠位端でしっかり保持する。。臍帯血採取の間、装置1および取り付けられた採集容器100を保持するために使用される手の親指で、臍帯はチャンバ2内でさらに安定化される。
【0040】
ノズル4は、チャネル14を介してチャンバ2の開放端6bと流体連通する遠位端10を備える。遠位端10は開口部12を有し、開口部12は開口端部6bと流体連通している。ノズル4は、遠位端10と比較したときに開放端6bでより大きい直径を有する先細になっている。
【0041】
チャンバ2はさらに、開口端部6bとノズル4との間でそれらの間で流体連通する段部16を含む。段部16は、適切な直径を有する収集容器100の口部を受け入れて(可逆的に)係合するようになっている(図4参照)。特定のシナリオでは、収集容器100の直径は、容器100の口が段部16ではなくテーパ付きノズル4自体の表面と係合するような特定のサイズとなる(図1D参照)。典型的には、収集容器100は、開放端(口)106と、開放端106を囲む周縁(リム)または縁(リップ)108を有する筐体102を備える。装置1と収集容器100との間の係合は確実な嵌合を提供する。確実な嵌合は可逆的であり、確実な嵌合は装置1からの臍帯血で満たされる収集容器100の取り外しを妨害するほどにはきつくないであろう容器100との締まりばめを提供するノズル4上のゆるやかなテーパによって達成される。この可逆的に確実な嵌合は、そうでなければ収集容器100の露出の汚染をもたらすであろう血液漏出のあらゆる危険性を減少させるであろう。
【0042】
図2を参照すると、本発明の臍帯血採血装置1の一実施形態が示されており、この実施形態では、前の実施形態を参照して説明された部分には同じ符号が割り当てられている。この実施形態では、ノズル4は、段部16から遠位端10の開口部12まで延びる一連の段部20を含む。これは、段部20の円周が段部16で最も広く始まりノズル4の遠位端10の開口部12に向かって次第に狭くなる図2Aおよび2Cにおいてより明確に見られる。
【0043】
段部20は、図1について上述したように、特定の直径の筐体102を有する収集容器100の開口端部106(図3A~C参照)にしっかりと嵌合し、そして開口端部106から可逆的に解放されるようになっている。一連の段部20は、Vacuette(登録商標) 9ml K3EDTA、Sarstedt Monovette(登録商標)7.5ml EDTA KE、Vacuette(登録商標)2.5ml K3EDTA、Sarstedt Monovette(登録商標)2.7ml EDTA KE、Sarstedt Monovette(登録商標)2ml 血液ガス容器、BD Vacutainer(登録商標)K2E(EDTA)6.0ml、BD Vacutainer(登録商標)K2E 4.0mlなどの様々な直径の収集容器100を収容するように構成される。(図4を参照)多種多様な収集容器100に接続して適合させることができるというこの汎用性は、本発明の装置1の1つの利点である。
【0044】
使用時には、図5に示されるように、収集容器100の開口端106は装置1のノズル4を覆って配置される。開口部12は、収集容器100の筐体102内に配置され、収集容器100の開口端106の周縁部108は、段部20または段部16のいずれかと係合する。容器100の開口端部106の直径は、どの段部20または段部16のようにノズル4に沿って容器100が係合するかを決定する。収集容器100は一般に、容器100が装置1に適合するが臍帯血が収集されたときに除去するのを困難にするほどには密ではないように、ノズル4または段部16上の位置を見出す。臍の緒200の遠位端は、それが壁8によって囲まれるように、チャンバ2の開口端6aを通って空間7の中に配置される。物理的な操作または重力によって臍帯200から除去された血液または流体は、チャンバ2の開口端6bからノズル4内に流れる。流体または血液は、ノズル4の内部チャネル14を介して開口部12を通って収集容器100の中に導かれる。
【0045】
装置1は、臍帯の遠位端を受け入れて、一定範囲の収集容器(100)としっかりと接続するように設計されており、これにより、安全で効率的な臍帯血の収集が可能になる。これは、納入された臍帯/胎盤に使用される。無菌装置は、直接の患者ケア領域で使用することができる。これにより、例えば手術室で使用される滅菌/外科用パックに装置を組み込むことが可能になる。例えば、帝王切開パックには、一般的に本発明の装置1、カテーテル、接続チューブ、臍帯クランプ、ジアテルミー/器具ポーチ、ドレープ、ベビーブランケット、ハンドタオル、メイヨーカバー、シャープスボックス、綿棒、ヤンカウアー、ガウン、トロリーカバー、ラップ、クレープ、バッグ、ブリーザーが含まれるであろう。
【0046】
図6を参照すると、本発明の臍帯血採取装置1の一実施形態が示されており、この実施形態においては、先の実施形態に関して説明した部分には同じ番号が割り当てされている。この実施形態では、ノズル4は、段部16から遠位端10の開口部12まで延びる一連の段部20を含む。段部20の円周は段部16で最も広く始まり、ノズル4の遠位端10の開口部12に向かって徐々に狭くなっている。ノズル4はさらに、開口部12の遠位側の開口部12aで終わるロック50内のチャネルを介して遠位端部10の開口部12と流体連通するルアーロック50を備える。ルアーロック50は、ロック50のネジ山52に螺合する雌継手のタブ付きハブと係合するように構成されたネジ山52をさらに含む。ルアーロック50内のチャネルは、無針注射器のような雄型継手と係合するために(開口部12aに向かって広く、遠位端10に向かって先細になる)内部テーパを有することもできる。装置1に組み込まれたルアーロック50は、様々な直径の流体収集管100と係合したときに臍帯血の収集を可能にする。ルアーロック50の接続は、現在および将来使用される可能性のある装置/採血システム、例えば収集管からバッグ、注射器、インターコネクタまで可能な範囲/数を拡大する。
【0047】
図7Aを参照すると、本明細書に記載の装置1と共に使用するためのスタンド400が示されている。スタンド400はベース402を含み、その上に容器404とエンクロージャ406がある。血管404は、一般に、管腔410を画定する外壁408、開口端412、および外壁408が基部402と接触する開口端から遠位の閉鎖端を有する円筒である。容器404は、収集容器100を受け入れて支持するように構成され、一方、エンクロージャ406は、容器100が装置1と係合したときに容器100のキャップを保持して固定するように構成される。
【0048】
図7Bを参照すると、本明細書に記載の装置1と共に使用するためのスタンド400が示されており、その中に図7Aを参照して説明した部品または段部に同じ番号が割り当てられている。図7Bでは、図7Aのエンクロージャ406がエンクロージャ506に置き換えられている。エンクロージャ506は、基部402の外縁の周りに障壁を形成し、血管404を囲む堀のような構造を作り出す。容器506は、容器100が装置1と係合したときに使用者が容器100のキャップを置くことを可能にする。いくつかの例では、エンクロージャ406、506は、エンクロージャ406をエンクロージャ506の範囲内にして、同じベース402上で組み合わせることができる。
【0049】
使用時には、容器100は容器404内に配置され、キャップは容器100から取り外されてエンクロージャ406、506内に配置される。装置1のノズル4は収集容器100の開口端部106内に配置され、臍帯血は上記の図5に関して説明したように収集される。スタンド400を使用する利点は、オペレータが手袋をはめた手が臍帯血を収集するときに装置1を独占的に保持することができるので、収集容器100およびそのラベルを汚染する可能性が大幅に減少することである。スタンド400は、現在使用されている全ての一般的な収集容器に適合するので、(使用される特定の収集容器によって決定される)様々な収集容器ホルダーの必要性を排除する。
【0050】
本発明の装置1の利点のいくつかは以下の通りである。
(a)(a)最も一般的に使用される実験用血液または流体収集容器、例えばVacuette(登録商標) 9ml K3EDTA、BD Vacutainer(登録商標)K2E(EDTA)6.0ml、BD Vacutainer(登録商標)K2E 4.0ml、Sarstedt Monovette(登録商標)7.5ml EDTA KE、Vacuette(登録商標)2.5ml K3EDTA、Sarstedt Monovette(登録商標)2.7ml EDTA KEおよびSarstedt Monovette(登録商標)2ml血液ガス容器に適用可能な普遍的かつ正確な適合を可能にする。そのように、血液は適切な保存剤を含む採集管に直接採集される。これは、危険性のある試料生存度(例えば、凝固による)を最小化するのに役立つ。
(b)適切な血液チューブを正確に装着することで、搾乳プロセス中の血液漏れや漏出の危険性が減少する。これにより、血液曝露の職業上のリスクが軽減される。
(c)適切な血液チューブへの直接漏斗は、実験室分析の間にさらなるサブサンプリングの必要性を排除する。これにより、サブサンプリングエラーが回避される。
(d)装置1は、採血または移送のために針を必要としない。血液は臍帯から適切な収集容器に直接採取される。これにより、針刺傷を防ぐことができる。
(e)臍帯の遠位端を収容するチャンバ2は、臍帯を装置1内に容易に挿入し保持することができるように設計されている。これは、臍帯をチャンバ2の壁8に対して親指で安定させながら、臍帯をチャンバ2内に挿入するだけで達成される。チャンバの長さは約4 cmなので、コードの十分な部分を挿入することができ、コードが滑り落ちるのを防ぐ。さらに、チャンバの内面はテクスチャード加工されており、臍帯の遠位端での保持を可能にする。テクスチャーはまた、切断した臍帯の表面とチャンバの内面との間の血流のためのクリアランスを可能にするであろう。
(f)ノズル4を用いることで、移送中に溜まることなく血液を直接回収容器に移送することができる。これは凝固による危険にさらされたサンプルの生存率を最小にするのを助ける。
(g)他の臍帯血採取方法は面倒であり、二組の手を必要とすることがあるが、本明細書に記載の装置1は、両手を使用して一人の個人が容易に使用することができる。さらに、スタンド400の使用は、現在の/共通の収集容器100およびキャップがしっかりと収容されることを意味する。
【0051】
本明細書において、用語「含む(comprise)、含む(comprises)、含む(comprised)、および含む(comprising)」またはその任意の変形並びに用語「含む(include)、含む(includes)、含む(included)、および含む(including)」またはその任意の変形は完全に互換的であるとみなされ、すべて可能な限り広範な解釈を与えるべきであり逆もまた同様である。
【0052】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、構成および詳細の両方において変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B