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特許70551452-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を製造する新規の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を製造する新規の方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 303/44 20060101AFI20220408BHJP
   C07C 303/20 20060101ALI20220408BHJP
   C07C 309/15 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
C07C303/44
C07C303/20
C07C309/15
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019552073
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 FR2018050653
(87)【国際公開番号】W WO2018172677
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】1752289
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510338248
【氏名又は名称】エスペーセーエム・エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・ファヴェロ
(72)【発明者】
【氏名】ジョハン・キーファー
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-163235(JP,A)
【文献】特開平05-125037(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103664709(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の製造方法であって、少なくとも以下の順次の工程:
1)アクリロニトリルを、少なくとも1種のSO3供給源化合物と、-80から30℃の間の温度で少なくとも1秒間混合して、スルホン化混合物を得る工程、
2)イソブチレン及び前記スルホン化混合物を、0.2:1から2:1の間のSO3のイソブチレンに対するモル比、及び3:1から60:1の間のアクリロニトリルのイソブチレンに対するモル比で、-40から100℃の間の温度で10秒から300分の時間接触させ混合して、反応混合物を得る工程、
3)前記反応混合物を固液分離し、該反応混合物中に含有される固体粒子を組成物1の形態で単離する工程であって、固体粒子が組成物1の50から99質量%を占める、工程、
4)工程3)の最後の組成物1を、水溶液Aと、少なくとも10分間、-20から70℃の間の温度で混合して、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸結晶の懸濁液1を得る工程、
5)懸濁液1を固液分離し、結晶を組成物2の形態で単離する工程であって、結晶が組成物2の40から99質量%の間を占める、工程
を含む製造方法。
【請求項2】
SO3供給源化合物が、発煙硫酸であり、100%から113.5%の間の濃度で使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程1)が、溶媒1中でアクリロニトリルを少なくとも1種のSO3供給源化合物と混合することを含み、溶媒1が、無水酢酸、酢酸等のカルボン酸、ニトリル、アルコール、アミン、アルカン、アミド、エーテル、芳香族化合物、アルキルスルホン酸、及び工程3)からの液固分離により得られる液相を含む群から有利には選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒1がアクリロニトリルであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程2)中に、イソブチレンが溶媒2に溶解させた状態で添加されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
工程2)からのSO3のイソブチレンに対するモル比が、0.4:1から1.5:1の間であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子が、固液分離工程の前に溶媒1及び2を蒸発させることによって反応混合物中に濃縮されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
工程4)中に混合される水溶液Aと工程3)からの組成物1の質量比が、0.05:1から1:1の間であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
組成物1が、溶媒3で洗浄されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程4)の水溶液Aが、20%以下の有機溶媒4を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
有機溶媒4がアクリロニトリルであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程4)からの水溶液Aが、少なくとも80質量%の水及び20質量%以下の無機酸を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記無機酸が硫酸であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程5)における懸濁液1の固液分離の最後に得られる液相が、工程4)における水溶液Aとして全体が又は部分的に使用できることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程5)の組成物2が、洗浄溶液、有利には有機溶媒4を20質量%以下で含む水溶液を使用して洗浄されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を得るための新規の方法に関する。より正確には、本発明の対象は、アクリロニトリル、発煙硫酸及びイソブチレンの共反応からなる2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の製造方法である。
【背景技術】
【0002】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸は、アクリル繊維における添加剤として、及び石油産業、建築、水処理(海水の脱塩、鉱物産業等)又は化粧品のような様々な分野において分散剤、ヒドロゲル又は増粘剤として使用されるポリマーを得るための原料として、幅広く使用されている。
【0003】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を調製する方法で使用される反応は、アクリロニトリルが、反応に使用する溶媒にも試薬にもなるように過剰に存在する以下の反応スキームに従う。アクリロニトリルは発煙硫酸(オレウム)及びイソブチレンと接触させる。
【0004】
【化1】
【0005】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸は、アクリロニトリル溶媒に不溶であり、その結果として反応生成物は反応溶媒中に懸濁した結晶の形態をとる。一方で、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸は水に可溶である。
【0006】
例として、文書US6,448,347及びCN102,351,744は、連続モードでの2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の新規の製造方法を記載している。
続いて、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸は、一般にはろ過によりアクリロニトリルから分離され、その後いくつかの既知の方法により精製することができる。実際には、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸に存在する低レベルの不純物が、その重合、より詳細には、分子量並びに得られるポリマー及びコポリマーからの水中の不溶物レベルに強く影響するため、精製は必要である。
【0007】
このように、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(ATBS)の製造方法を包含する文書WO2009/072480において、ある一定の濃度を超える2-メチル-2-プロペニル-1-スルホン酸(IBSA)及び2-メチリデン-1,3-プロピレンジスルホン酸(IBDSA)型不純物が重合に強く影響することが記載されている。
【0008】
文書US4,337,215は、高温溶解及び徐々の冷却によって結晶化することによる、酢酸中での再結晶による2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の精製方法を記載している。得られる2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の純度は良好であるにも関わらず、収率が限定されているこのプロセスには、複数の溶解/冷却の工程が必要であり、使用した酢酸を、新たな2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸再結晶バッチで後に再利用する前に、蒸留して再生する必要がある。
【0009】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の乾燥は、結晶中に存在するアクリロニトリル及びアクリルアミドの残量を低減するために必要である。これら2種の化合物は、発がん性、変異原性、又は生殖毒性(CMR)として分類されるため、効果的にろ過してアクリロニトリルを出来るだけ除去し、次いで生成物を乾燥して、アクリロニトリル及びアクリルアミド濃度を低減することが必要である。
【0010】
文書CN103664709は、長く高価な乾燥プロセスを克服した、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の調製方法を開示している。ATBSが不溶である氷酢酸洗浄工程が、この乾燥工程に取って代わる。この洗浄工程により、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の合成時間の短縮が可能となるが、再結晶によるこのような精製を達成するのに必要な溶媒及び熱エネルギー消費は、依然として重要である。
【0011】
「On the Ritter synthesis of N-tert-butylacrylamide, reaction between tert-butyl alcohol and acrylonitrile in non-aqueous system」Iranian J. of Polymer Science and Technology、Vol.4 No.1、1995年で発表された、Demetra Draganによる論文に記載されているように、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の収率は、合成媒体における遊離SO3比に関連する。いかなる理論にも制限されるものではないが、媒体がスルホン化すればするほど、反応は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸に対して選択的になり、N-tert-ブチルアクリルアミドは低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】US6,448,347
【文献】CN102,351,744
【文献】WO2009/072480
【文献】US4,337,215
【文献】CN103664709
【非特許文献】
【0013】
【文献】「On the Ritter synthesis of N-tert-butylacrylamide, reaction between tert-butyl alcohol and acrylonitrile in non-aqueous system」Iranian J. of Polymer Science and Technology、Vol.4 No.1、1995年、Demetra Dragan
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を得るためには多くの方法がある。しかしながら、その不純物レベル、高分子量ポリマー形態への重合能、又は発がん性、変異原性、若しくは生殖毒性化合物のレベルにさえ関係する良好な2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の品質を保ちながら、使用する溶媒の量を低減し、乾燥工程を排除することにより、又は熱エネルギーの使用を減らすことにより、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を得る方法を改善することが重要であると認められると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の対象は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の製造方法であって、少なくとも以下の順次の工程:
1)アクリロニトリルを、少なくとも1種のSO3供給源化合物と、-80から30℃の間に含まれる温度で少なくとも1秒間混合して、スルホン化混合物を得る工程、
2)イソブチレン及びスルホン化混合物を、0.2:1から2:1の間に含まれるSO3のイソブチレンに対するモル比、及び3:1から60:1の間に含まれるアクリロニトリルのイソブチレンに対するモル比で、-40から100℃の間に含まれる温度で10秒から300分の間に含まれる時間接触させ混合して、反応混合物を得る工程、
3)反応混合物を固液分離し、反応混合物中に含有される固体粒子を組成物1の形態で単離する工程であって、固体粒子が組成物1の50から99質量%を占める、工程、
4)組成物1を、水溶液Aと、少なくとも10分間、-20から70℃の間に含まれる温度で混合して、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸結晶の懸濁液1を得る工程、
5)懸濁液1を固液分離し、結晶を組成物2の形態で単離する工程であって、結晶が組成物2の40から99質量%の間を占める、工程
を含む製造方法である。
【0016】
「順次の工程」という用語は、時系列順に続く工程を指す。言い換えれば、順次の工程は、指示された順序で実行され、逆にすることはできない。しかしながら、1つ又は複数の中間工程を、2つの順次の工程の間に挿入してもよい。
【0017】
本発明の概要において、値の範囲は境界値を含む。例えば、「-40℃から80℃の間」という値の範囲には、-40℃及び80℃が含まれる。更に、本明細書は値の異なる範囲の境界値間の全ての可能な組み合わせを開示している。例として、本開示の範囲である-80から30℃、好ましくは-40から10℃には、範囲-80℃から10℃、10℃から30℃、-80℃から-40℃又は-40℃から30℃が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
工程1
SO3供給源化合物は一般には発煙硫酸であり、100%から113.5%の間に含まれる濃度で使用される。例えば、113.5%の発煙硫酸は60質量%のSO3を含む。
【0019】
別の実施形態によると、SO3供給源化合物及び水を別々に添加してもよい。SO3のアルファ、ベータ、又はガンマ型は、本発明において区別なく使用され得る。水は100%未満のH2SO4濃度を有する硫酸に由来し得る。
【0020】
別の特定の実施形態において、SO3は硫酸と混合してもよい。
【0021】
本発明の範囲において、アクリロニトリルは、無水形態又は水溶液形態で使用することができ、したがって本工程の水バランスに寄与する。
【0022】
アクリロニトリルが水性形態で使用される場合、アクリロニトリルに含有される水とSO3化合物の反応により、96から103%の当量濃度を有する硫酸が生成する。
【0023】
【数1】
【0024】
%H2SO4実効値:アクリロニトリルを、少なくとも1種のSO3供給源化合物と混合することにより得られる硫酸濃度を表す
moleum:オレウムの質量
%H2SO4 oleum:%H2SO4で表される、オレウムの濃度。
mSO3:SO3の質量
%H2SO4 SO3:%H2SO4で表される、SO3の濃度。
mH2SO4:硫酸の質量
%H2SO4:%H2SO4で表される、硫酸の濃度。
mACN:アクリロニトリルの質量
%MC:アクリロニトリル中に含有される水の質量百分率
m_i solvent i=溶媒iの質量
%MCi=溶媒i中に含有される水の質量百分率
【0025】
通常、オレウムの濃度は、%H2SO4ではなく遊離SO3の百分率で表される。その場合には、SO3質量百分率をH2SO4百分率に変換するのに以下の式が使用される。
【0026】
【数2】
【0027】
%H2SO4:%H2SO4で表される、硫酸の濃度
MH2O:水のモル質量
MSO3:SO3のモル質量
%SO3:オレウム中の遊離SO3の質量百分率。
【0028】
SO3がガス状形態(純粋な、又はキャリアガス中に希釈された)で使用される特定の場合において、%SO3は100%であるため、対応する%H2SO4は122.5%である。
【0029】
特定の実施形態において、工程1)は、溶媒1中でアクリロニトリルを少なくとも1種のSO3供給源化合物と混合することを含む。
【0030】
非限定的に、溶媒1は、無水酢酸、酢酸等のカルボン酸、ニトリル、アルコール、アミン、アルカン、アミド、エーテル、芳香族化合物、アルキルスルホン酸、及び工程3)からの液固分離により得られる液相から選択される。好ましくは、工程1)は溶媒1としてアクリロニトリルのみを含有する。
【0031】
本工程中、混合温度は-80から30℃の間に含まれ、優先的には-80から20℃の間に含まれ、好ましくは-40から10℃の間に含まれる。
混合時間は、1秒から600分の間、好ましくは5秒から120分の間に有利には含まれる。
【0032】
工程1)における試薬の混合は、様々な技術により行うことができる。例として、限定されることなく、スターラーを備えた反応器、ループ反応器、スタティックミキサー、マイクロリアクタ及びプラグフロー反応器を挙げることができる。
【0033】
工程2
本工程中、イソブチレンは、純粋な、若しくは中性ガス(窒素又はアルゴン等)で希釈されたガス状形態、そうでなければ液化ガス形態、或いは溶媒2に溶解させた状態でスルホン化混合物に添加することができる。好ましくは、イソブチレンは溶媒2に溶解させた状態で添加される。好ましくは、この溶媒2はアクリロニトリル又は工程3)からの液固分離により得られる液相である。
【0034】
イソブチレンの添加からの反応は、大気圧下又はより高い圧力下、例えば相対圧力50bar以下で行うことができる。
【0035】
イソブチレンは、当業者に公知の様々な方法で製造することができる。例として、限定されることなく、イソブチレンは、tert-ブタノール若しくはイソブタノールの脱水、イソブタンの脱水素反応、ブタ-1-エン若しくはブタ-2-エンの異性化、微生物を使用したグルコース若しくはリグノセルロース誘導体からの廃棄物の発酵、又はメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)の熱分解により得ることができる。
【0036】
SO3のイソブチレンに対するモル比は、0.2:1から2:1の間、好ましくは0.4:1から1.5:1の間、より好ましくは0.7:1から1.2:1の間に含まれる。
【0037】
SO3化合物とイソブチレンとのモル比は、以下のように定義される:
【0038】
【数3】
【0039】
【数4】
【0040】
mIB:イソブチレンの質量
MIB:イソブチレンのモル質量
SO3:SO3のモル量
IB:イソブチレンのモル量
MH2SO4:H2SO4モル質量
他のパラメータmoleum、%H2SO4oleum、mH2SO4、%H2SO4、mSO3、%H2SO4SO3は、先に記載のものと同じである。
【0041】
アクリロニトリルのイソブチレンに対するモル比は、3:1から60:1の間、好ましくは4:1から40:1の間、より好ましくは6:1から20:1の間に含まれる。
【0042】
温度は、-40から100℃の間、好ましくは-40から80℃の間に含まれ、より好ましくは-20から70℃の間に含まれる。
【0043】
イソブチレン及び工程1)からのスルホン化混合物の混合時間は、10秒から300分の間、好ましくは1分から120分の間に含まれる。
【0044】
工程2)における試薬の混合は、様々な技術により行うことができる。例として、限定されることなく、スターラーを備えた反応器、ループ反応器、スタティックミキサー、マイクロリアクタ及びプラグフロー反応器を挙げることができる。
【0045】
工程2)におけるイソブチレンの添加中、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の固体粒子が形成されて沈殿するが、これは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸がもはや工程1)由来のスルホン化混合物に溶解しないためである。その結果として、反応生成物は反応混合物中で固体粒子の懸濁液の形態をとる。
【0046】
工程2)の最後に、反応混合物は5から40質量%の間、より好ましくは10から35質量%の間、更により好ましくは15から30質量%の間に有利には含まれる固形分を有する。
【0047】
固形分は以下の式のように定義される:
【0048】
【数5】
【0049】
MATBS:2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のモル質量
mH2O:水の質量
【0050】
他のパラメータ(mi solventi、mSO3、moleum、mH2SO4、mACN、mIB、MIB)は、先に記載のものと同じである。
【0051】
反応混合物は、工程3)に即座に使用されるか、そうでなければ一時的に貯蔵することができる。反応混合物の一時的貯蔵は、有利には50℃未満、より好ましくは25℃未満の温度で行うことができる。
【0052】
特定の実施形態によると、水を反応混合物に添加して、反応中に消費されなかった遊離SO3を消費してもよい。水は、純粋な形態、そうでなければ塩又は可溶性若しくは混和性化合物を含有する水溶液の形態で添加することができる。例として、限定されることなく、水は、アクリロニトリル及び/又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又は1から4個の炭素原子を含むアルコール及び/又は無機酸を含む溶液の形態で添加することができる。
【0053】
工程3
工程2)の最後に得られる2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子は、液固分離を使用して単離される。例として、限定されることなく、縦型若しくは横型遠心分離機、デカンタ、フィルタープレス、ベルトフィルター、ディスクフィルター、プッシャーフィルター又は円筒回転フィルターの使用を挙げることができる。液固分離は重力デカントにより行うこともできる。
【0054】
特定の実施形態において、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子は、固液分離工程の前に溶媒1及び2を蒸発させることによって反応混合物中に濃縮され得る。
【0055】
本発明の特定の実施形態によると、分離によって得られる液相は、工程1)及び2)における溶媒1及び/又は2として使用することができる。この液相は、事前の精製の有無に関わらず使用できる。液相精製技法の例として、分留、蒸発、浸透気化、有機又は無機塩基との中和、及び液液抽出を挙げることができる。
【0056】
好ましくは、液固分離工程の後、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子は乾燥されない。
【0057】
実際には、工程2)の最後に得られる反応混合物からの2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子は、組成物1の形態で単離され、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子は、組成物1の50から99質量%、好ましくは50から97質量%の間、より好ましくは60から95質量%の間、より好ましくは70から90質量%の間を占める。
【0058】
一般に、本明細書において、組成物1中の固体粒子の割合は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子の総質量と組成物1の総質量との比を表す。組成物1の残りは、水、アクリロニトリル、イソブチレン、硫酸若しくはプロセス中に使用される任意の他の化合物、又は合成中に形成される不純物から構成されてもよい。
【0059】
本工程において、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子をベースとする組成物1は、アクリロニトリルを含有してもよい。
【0060】
本発明の特定の実施形態によると、組成物1は、溶媒3、好ましくはアクリロニトリル溶液(水有り、又は無水)で洗浄してもよい。有利には、使用される洗浄溶媒3の量は、単離された固体である2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子の量に対して、一般には0.5から10当量の間で様々である。
【0061】
工程4
水溶液Aと混合した組成物1中の反応生成物は、懸濁液の形態であり、これは懸濁液1と称する。言い換えれば、工程4)において、組成物1の反応生成物の一部(固体粒子)は、水溶液A中に可溶化され、一部は可溶化されず、このことが懸濁液1の形成につながる。実際には、組成物1を水溶液Aと混合する間、水相は反応生成物(可溶化した固体粒子)で飽和する。したがって、反応生成物(固体粒子)は完全には可溶化できない。このように、水相が飽和し、再結晶工程とは反対に組成物1の固体粒子は固体状態のままであるため、固体粒子を含まない溶液は工程4)中では全く観察されない。
【0062】
工程4)により、CN103664709が参照するUS4,337,215に記載されているもの等の再結晶工程と比較して、消費される溶媒は少なく、熱エネルギーも少ない。実際には、再結晶中、結晶は可溶化され、次いで再結晶化する。結晶の溶解により、結晶中に存在する任意の不純物を溶解することができる。再結晶により、これらの不純物を再び結晶中に取り込まないようにすることができる。本発明による工程4)は、固体粒子が全て同時には溶解されず、懸濁液1が形成されるため、再結晶とは異なる。
【0063】
水溶液Aとの組成物1の混合は、様々な技術で行うことができる。例として、限定されることなく、スターラーを備えた反応器、ループ反応器、スタティックミキサー、マイクロリアクタ及びプラグフロー反応器を挙げることができる。
【0064】
組成物1及び水溶液Aを添加する順番は限定されない。初めに組成物1を添加し、次いで水溶液Aを添加してもよく、又はその逆も可能である。
【0065】
別の実施形態において、組成物1及び水溶液Aは同時に添加してもよい。
【0066】
混合される水溶液Aと工程3)からの組成物1の質量比は、0.05:1から1:1の間(水溶液A/組成物1)、より好ましくは0.15:1から0.9:1の間に含まれる。
【0067】
有利には、水溶液Aは、20質量%以下の有機溶媒4、好ましくは0から15質量%の有機溶媒4、より好ましくは2から10質量%の有機溶媒4を含むことができる。
【0068】
本発明の特定の実施形態によると、水溶液Aは少なくとも80質量%の水及び20質量%以下の有機溶媒4、好ましくは85質量%から100質量%の間の水及び0質量%から15質量%の有機溶媒4、より好ましくは90質量%から98質量%の間の水及び2質量%から10質量%の有機溶媒4を含んでもよい。
【0069】
有機溶媒4は、1から8個の炭素原子を含むカルボン酸、1から8個の炭素原子を含むアミド、1から8個の炭素原子を含むアルコール、1から8個の炭素原子を含むケトン、1から8個の炭素原子を含むエーテル、1から8個の炭素原子を含むエステル、1から8個の炭素原子を含むアルカン、1から8個の炭素原子を含有するハロゲン化炭化水素、1から8個の炭素原子を含むニトリル又はそれらの混合物から有利には選択される。好ましくは、溶媒4は、アクリロニトリル、イソプロパノール、酢酸及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、溶媒4はアクリロニトリルである。
【0070】
本発明の特定の実施形態によると、水溶液Aは、少なくとも80質量%の水及び20質量%以下の無機酸、好ましくは80質量%から99質量%の間の水及び1質量%から20質量%の無機酸、より好ましくは85質量%から98質量%の間の水及び2質量%から15質量%の無機酸を含んでもよい。好ましくは、無機酸は硫酸である。
【0071】
水溶液Aはまた、有機溶媒4及び無機酸を含んでもよい。
【0072】
特定の実施形態によると、水溶液Aは55質量%以下の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含んでもよい。
【0073】
本発明の特定の実施形態によると、工程4)における混合は、1bar以下の絶対圧下で行ってもよい。この圧力で、懸濁液1中に存在し得る溶媒4及び/又は無機酸及び/又は水の全て又は一部を分離することができる。この圧力は、混合の間中又は部分的にのみ使用できる。
【0074】
組成物1に水溶液Aを混合する時間は、有利には10から720分の間、より好ましくは30から600分の間に含まれる。
【0075】
水溶液A及び組成物1を接触させ混合する間の温度は、-20から70℃の間、好ましくは-20℃から50℃の間、より好ましくは5℃から50℃の間、更により好ましくは10℃から40℃の間に含まれる。本発明の別の特定の実施形態において、この温度は5℃から70℃の間に含まれてもよい。
【0076】
したがって、温度は文書CN103664709に記載されているプロセスよりも低い。文書CN103664709の再結晶の工程と異なり、実際は、組成物1中の反応生成物が水溶液Aに完全には可溶化されないことが重要である。
【0077】
このように、工程4)中、当業者は、懸濁液(懸濁液1)を得るために組成物1の固体粒子の質量百分率を考慮して温度を適合させることができるであろう。
【0078】
混合後、懸濁液1は、有利には10から85質量%の間、好ましくは20から40質量%の間に含まれる非溶解結晶含量を有する。
【0079】
工程5
懸濁液1中に含有され、工程4)の最後に得られる2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸結晶は、液固分離工程により単離され、組成物2の形態を有する。例として、限定されることなく、遠心フィルター、デカンタ、フィルタープレス、ベルトフィルター、ディスクフィルター、真空下クローズドフィルター、加圧クローズドフィルター、又は円筒回転フィルターの使用を挙げることができる。好ましくは、液固分離は遠心フィルター又はNutshe型クローズドフィルターを使用して行われる。
【0080】
固液分離工程後に得られる結晶は、そのまま使用するか、さもなければ乾燥して使用することができる。例として、限定されることなく、対流、伝導又は放射による乾燥のための全ての技術(流動層乾燥機、横断床(traversed bed)、コンベヤベルト乾燥、マイクロ波乾燥、高周波放射による乾燥、赤外線、噴霧乾燥)の使用を挙げることができる。
【0081】
乾燥操作は、大気圧又は真空下で行うことができる。
【0082】
乾燥操作は、不連続的に(バッチ)又は連続的に行うことができる。
【0083】
好ましくは、結晶は液固分離工程後に乾燥されない。
【0084】
単離後、組成物2は、40から99質量%の間、好ましくは60から99質量%の間、より好ましくは60から98質量%の間に含まれる2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸結晶含量を有する。組成物の残りには、主として水が含まれる。
【0085】
他方で、液固分離後に得られる液相は、主として水並びに飽和状態の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸並びに有機溶媒1及び/若しくは2及び/若しくは3及び/若しくは4又は無機酸の少量の成分を含有する。本発明の特定の実施形態によると、分離の後、この液相は、工程4)における水溶液Aにおいて全体が又は部分的に使用できる。
【0086】
工程6
任意選択の工程6)において、工程5)の最後に得られる結晶を含有する組成物2は、洗浄溶液を使用して洗浄される。
【0087】
洗浄溶液は、20質量%以下の有機溶媒4を含む水溶液である。
【0088】
好ましくは、洗浄溶液は、少なくとも80質量%の水及び20質量%以下の有機溶媒4、より好ましくは80質量%から99質量%の間の水及び1質量%から20質量%の有機溶媒4、更により好ましくは85質量%から98質量%の間の水及び2質量%から15質量%の有機溶媒4を含む。
【0089】
既に述べたように、有機溶媒4は、1から8個の炭素原子を含む酸、1から8個の炭素原子を含むアミド、1から8個の炭素原子を含むアルコール、1から8個の炭素原子を含むケトン、1から8個の炭素原子を含むエーテル、1から8個の炭素原子を含むエステル、1から8個の炭素原子を含むアルカン、1から8個の炭素原子を含有するハロゲン化炭化水素、1から8個の炭素原子を含むニトリル又はそれらの混合物から有利には選択される。好ましくは、溶媒はアクリロニトリル、イソプロパノール、酢酸又はそれらの混合物から選択され、より好ましくは、溶媒4はアクリロニトリルである。
【0090】
本発明の特定の実施形態によると、工程5)の最後に得られる組成物2の洗浄は、前記組成物2に洗浄溶液を噴霧することにより行うことができる。
【0091】
本発明の別の特定の実施形態によると、工程5)の最後に得られる組成物2の洗浄は、洗浄溶液中に組成物2を懸濁することにより行うことができる。
【0092】
水性洗浄溶液及び工程5)の最後に得られる組成物2の質量比は、有利には0.05:1から10:1の間(水性洗浄溶液/組成物2)、好ましくは0.1:1から5:1の間に含まれる。
【0093】
任意選択のこの第6工程の最後に得られる2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸結晶は、例えば液固分離工程により、組成物3の形態で、洗浄溶液から有利には単離される。例として、限定されることなく、縦型若しくは横型遠心分離機、デカンタ、フィルタープレス、ベルトフィルター、ディスクフィルター、プッシャーフィルター、真空下クローズドフィルター、加圧クローズドフィルター、ダブルコーン乾燥機又は円筒回転フィルターの使用を挙げることができる。液固分離は重力デカントにより行うこともできる。
【0094】
本発明の特定の実施形態によると、回収した洗浄溶液は、事前の処理工程の有無に関わらず工程6)において全体が又は部分的に再利用できる。
特定の実施形態によると、洗浄溶液Aは、55質量%以下の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含んでもよい。
【0095】
本発明の特定の実施形態によると、回収した洗浄溶液は、事前の処理工程の有無に関わらず工程4)における水溶液Aにおいて全体が又は部分的に使用できる。
【0096】
工程7
任意選択の工程7)において、工程6)の最後に得られる組成物3は乾燥される。例として、限定されることなく、対流、伝導又は放射による乾燥のための全ての技術(流動層乾燥機、横断床、コンベヤベルト乾燥、マイクロ波乾燥、高周波放射による乾燥、赤外線、噴霧乾燥)の使用を挙げることができる。
【0097】
乾燥操作は、大気圧又は真空下で行うことができる。
【0098】
乾燥操作は、不連続的に(バッチ)又は連続的に行うことができる。
【0099】
製造プロセス中、どの工程でも、少なくとも1種の重合阻害剤を添加することができる。阻害剤は、限定されることなく、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、フェノチアジン、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、フェニレンジアミン誘導体、又はそれらの混合物から選択されてもよい。
【0100】
好ましくは、阻害剤はp-メトキシフェノールである。
【0101】
工程3)の最後に得られる組成物1中に含まれる粒子の量に対する阻害剤の量は、好ましくは0.001質量%から5質量%の間、好ましくは0.01質量%から1質量%の間に含まれる。
【0102】
阻害剤は、例えばp-メトキシフェノール安定化アクリロニトリルの使用によるように、プロセス工程のうち任意の1工程中に添加することができる。好ましくは、追加の量が工程4)中に添加され、より好ましくは、阻害剤は工程4)において添加される水溶液Aの一部である。
【0103】
プロセスは連続的に又は不連続的に(バッチで)行うことができる。
【0104】
本発明及び本発明から得られる利点は、限定されることなく、本発明を例示するために示される以下の実施例から、より明らかになるであろう。
【実施例
【0105】
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を製造するためのプロトコル
(実施例1)
0.4質量%の水を含有する1522gのアクリロニトリル及び104%H2SO4を滴定する180gの発煙硫酸(18%オレウム)を2000mL撹拌二重壁反応器に添加した。得られたスルホン化混合物を1時間撹拌し、スルホン化混合物の温度を-20℃で維持する反応器の二重壁により冷却した。
【0106】
97gのイソブチレンを、毎分1.6gの流量で前述のスルホン化混合物に添加した。イソブチレンの添加中、得られた反応混合物の温度を45℃で保持した。2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子が反応混合物中に沈殿し、固形分は約20質量%であった。
【0107】
反応混合物をブフナー型フィルターでろ過し、得られた組成物1は70%の粒子を含有していた。
【0108】
水溶液Aに相当する100gの水を、500mL撹拌反応器に入れた。ブフナーフィルターで回収された組成物1を、反応器に添加して懸濁液1を得た。温度を室温、即ち25℃で保持した。
【0109】
4時間の懸濁後、得られた懸濁液1をブフナー型フィルターでろ過した。得られた組成物2は乾燥せず、148gのATBSを回収した。収率はイソブチレンに対して40%であった。
【0110】
水、アクリロニトリル、硫酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含有する322gの液体を回収した。
【0111】
(実施例2)
組成物1を得るための条件は、実施例1と同一である。
【0112】
水溶液Aに相当する、実施例1の最後に得られた100gの液体を、500mL撹拌反応器に入れた。ブフナーフィルター上の未乾燥の組成物1を反応器に添加した。温度を室温、即ち25℃で保持した。
【0113】
3時間の懸濁後、得られた懸濁液1をブフナー型フィルターでろ過した。得られた組成物2は乾燥せず、340gのATBSを回収した。収率はイソブチレンに対して91%であった。
【0114】
水、アクリロニトリル、硫酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含有する138gの液体を回収した。
【0115】
(実施例3)
0.2質量%の水を含有する1215gのアクリロニトリル、130gの硫酸(98%濃度)及び105.62%H2SO4を滴定する130gの発煙硫酸(25%オレウム)を2000mL撹拌二重壁反応器に添加した。得られたスルホン化混合物を1時間撹拌し、スルホン化混合物を-20℃で維持する反応器の二重壁により冷却した。
【0116】
135gのイソブチレンを、毎分1gの流量で前述のスルホン化混合物に添加した。イソブチレンの添加中、得られた反応混合物の温度を40℃で保持した。2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子が反応混合物中に沈殿し、固形分は約30質量%であった。
【0117】
反応混合物をブフナー型フィルターでろ過し、得られた組成物1は70%の結晶を含有していた。
【0118】
水溶液Aに相当する120gの水を、1000mL撹拌反応器に入れた。ブフナーフィルターで回収された組成物1を、反応器に添加して懸濁液1を得た。温度を室温、即ち25℃で保持した。
【0119】
3時間の懸濁後、得られた懸濁液1をブフナー型フィルターでろ過した。得られた組成物2は乾燥せず、250gのATBSを回収した。収率はイソブチレンに対して50%であった。
【0120】
水、アクリロニトリル、硫酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含有する386gの液体を回収した。
【0121】
(実施例4)
0.3質量%の水を含有する1215gのアクリロニトリル、100gの硫酸(96%濃度)及び105.18%H2SO4を滴定する130gの発煙硫酸(23%オレウム)を2000mL撹拌二重壁反応器に添加した。得られたスルホン化混合物を10分間撹拌し、スルホン化混合物を-20℃で維持する反応器の二重壁により冷却した。
【0122】
125gのイソブチレンを、毎分1gの流量で前述のスルホン化混合物に添加した。イソブチレンの添加中、得られた反応混合物の温度を40℃で保持した。2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸粒子が反応混合物中に沈殿し、固形分は約30質量%であった。
【0123】
反応混合物をブフナー型フィルターでろ過し、得られた組成物1は70%の結晶を含有していた。
【0124】
水溶液Aに相当する110gの水を、500mL撹拌反応器に入れた。ブフナーフィルターで回収された組成物1を、反応器に添加して懸濁液1を得た。温度を室温、即ち25℃で保持した。
【0125】
3時間の懸濁後、得られた懸濁液1をブフナー型フィルターでろ過した。得られた組成物2は乾燥せず、235gのATBSを回収した。収率はイソブチレンに対して49%であった。
【0126】
水、アクリロニトリル、硫酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含有する354gの液体を回収した。