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特許7055148物体を光学式に検査するための検査装置及び物体検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】物体を光学式に検査するための検査装置及び物体検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
G01N21/84 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019558573
(86)(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018054458
(87)【国際公開番号】W WO2018197074
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2019-10-25
(31)【優先権主張番号】102017207071.4
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー トーベ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ベアガー
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0179679(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0150822(US,A1)
【文献】特開2010-060312(JP,A)
【文献】特表2015-508499(JP,A)
【文献】特開2013-185994(JP,A)
【文献】特開平06-300702(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1376274(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01B 11/00-G01B 11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(7)を光学式に検査するための検査装置(1)であって、
前記検査装置(1)は、ハウジング(3)と、メインカメラ(2)とを備え、
前記ハウジング(3)は、開口部(4)を備えた中空体であり、前記物体(7)は、検査のために前記開口部(4)に位置決め可能であり、
前記メインカメラ(2)は、撮影方向及び撮影面を有し、前記メインカメラ(2)は、前記ハウジング(3)の前記開口部(4)に向けられた撮影方向を備えるように配置され、
前記検査装置(1)は、複数の光源(6)を含み、前記光源(6)は、前記開口部(4)の周囲に配置され、前記光源(6)は、前記撮影面を可変に照明するように構成されており、
前記メインカメラ(2)は、前記撮影面に位置する前記物体(7)に関して、複数の物体画像を撮影するように構成されている、
検査装置(1)において、
前記物体画像に基づいて、前記物体(7)の幾何学形態を特定するように構成されている評価ユニット(10)が設けられており、
前記ハウジング(3)は、切欠(8)を有しており、前記切欠(8)は、前記物体(7)の保持部及び/又は操作装置のための通路及び/又は収容部を形成し、
前記光源(6)は、放射方向を有し、各光源(6)の前記放射方向は、前記撮影方向とそれぞれ1つの照明角度を成し、前記光源(6)のうちの少なくとも1つの前記照明角度は、可変である、
ことを特徴とする、検査装置(1)。
【請求項2】
前記切欠(8)は、前記開口部(4)に接している、請求項1に記載の検査装置(1)。
【請求項3】
前記切欠(8)は、扇形及び/又は楕円形である、請求項1又は2に記載の検査装置(1)。
【請求項4】
前記光源(6)は、前記開口部(4)の周囲に、前記開口部(4)を包囲するように配置されている、及び/又は、前記切欠(8)による中断個所を有するように配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項5】
前記保持部及び/又は前記操作装置は、部分的に前記切欠(8)に配置され、前記物体(7)は、前記撮影面に位置決めされる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項6】
前記光源(6)は、前記開口部(4)の周囲に均等に及び/又は等間隔で配置されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項7】
前記ハウジング(3)は、ドーム状及び/又は半球である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項8】
複数の補助カメラ(9,9a,9b)が設けられ、前記補助カメラ(9,9a,9b)は、前記ハウジングにおいて、前記メインカメラの周囲に配置され、前記補助カメラ(9,9a,9b)は、前記物体(7)の補助画像を撮影するように構成されており、前記評価ユニット(10)は、前記補助画像に基づいて前記物体(7)の幾何学形態を特定する、及び/又は、特定された前記幾何学形態を改善するように構成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項9】
各前記補助カメラ(9,9a,9b)は、異なる焦点距離を有している、及び/又は、異なる撮影領域を結像する、請求項に記載の検査装置(1)。
【請求項10】
前記補助カメラ(9,9a,9b)は、電子回路基板(13)及びカメラユニット(11)を有しており、前記電子回路基板(13)は、可撓性の接続部(12)を用いて前記カメラユニット(11)に接続されており、前記カメラユニット(11)は、前記ハウジング(3)内に配置されており、前記電子回路基板(13)は、前記ハウジング(3)の外側に配置されている、請求項又はに記載の検査装置(1)。
【請求項11】
前記ハウジング(3)は、内面において反射性又は吸収性である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項12】
前記開口部(4)は、開口面を画定し、前記開口面と前記撮影面とは、一致する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項13】
物体(7)を偏向計測式に検査するための検査装置(1)である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の検査装置(1)。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の検査装置(1)と、前記物体(7)の保持及び/又は操作のための保持部及び/又は操作装置とが設けられ、前記保持部及び/又は前記操作装置は、前記物体(7)を前記撮影面において少なくとも部分的に回動及び/又は方向転換させるように構成されていることを特徴とする、物体検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を光学式に、特に偏向計測式に(deflectometric)検査するための検査装置に関し、検査装置は、ハウジングと、メインカメラとを備え、ハウジングは、開口部を備えた中空体であり、物体は、検査のために開口部に位置決め可能であり、メインカメラは、撮影方向及び撮影面を有しており、メインカメラは、ハウジングの開口部に向けられた撮影方向を備えるように配置され、検査装置は、複数の光源を含み、光源は、開口部の周囲に配置されており、光源は、撮影面を可変に照明するように構成されており、メインカメラは、撮影面に位置する物体に関して、複数の物体画像を撮影するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
対象物の表面特性は、照明装置を用いて測定及び/又は検査されることが多い。その際、対象物の画像が、カメラによって撮影され、撮影時には対象物がドーム状拡散体を用いて照明される。
【0003】
おそらく本発明に最も近い従来技術が記載されている刊行物である独国特許出願公開第19623949号明細書(DE19623949A1)には、ドーム状拡散体を介して、その下に位置する対象物を照明する照明装置と、ドーム状拡散体の上端部に配置されている対物レンズを有しているビデオカメラと、コンピュータを含む評価装置とを備えた、対象物の表面を光学式に検査するための装置が開示されており、評価装置には、対象物の事前に定義された面の目標画像又は目標グレー値が記憶されており、この目標画像又は目標グレー値が、カメラによって撮影された画像と比較され、実際画像と目標画像との偏差が所定の大きさを有する場合には、評価信号が生成され、照明装置は、常にスイッチオンされている白色光ランプを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第19623949号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明の枠内においては、請求項1の特徴を備えた、物体を光学式に、特に偏向計測式に検査するための検査装置が提案される。さらに、請求項13に記載の特徴を備えた検査装置を備えた物体検査システムが提案される。本発明の好適な及び/又は有利な実施形態は、従属請求項、以下の説明及び添付の図面より明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、物体を光学式に、特に偏向計測式に検査するための検査装置が提案される。特に、検査装置は、物体を自動的に検査するように構成されている。物体は、例えばワークピース及び/又は構成部材であり、その場合、物体は、特に光沢のある、及び/又は、反射性の表面を有している。物体の偏向計測式の検査は、例えば、物体の表面の光学検査である。特に、検査装置は、可変の物体スペクトルに関して、偏向計測式の検査を実現するように構成されている。
【0007】
検査装置は、ハウジングを有している。ハウジングは、開口部を備えた中空体である。特に、ハウジングは、内部空間を有している。ハウジングは、例えば、切断された中空体であり、この切断された中空体は、中空体の開口部を形成する断面を有している。さらに、ハウジングは、特に内面及び外面を有している。物体は、検査のために開口部に位置決めすることができる。特に、物体は、検査のために開口部の中心に位置決めすることができ、その際に、開口部の中心の位置は、特に、物体に関する最適な検査位置及び/又は作業位置である。ハウジングの開口部は、特に、中空体を画定する縁部を有している。ハウジングにおける開口部は、例えば、円形、楕円形、三角形又は任意の多角形である。
【0008】
検査装置は、メインカメラを有している。特に、メインカメラは、ズーム可能なカメラであり、その場合、メインカメラは調整可能な撮像領域及び/又は倍率を有している。メインカメラは、特にビデオカメラであり、代替的には、メインカメラは、スチルカメラである。特に、メインカメラは、CCDカメラであり、特にカラーカメラ及び/又はモノクロカメラである。代替的に、メインカメラは、CMOSカメラである。メインカメラは、撮影方向及び撮影面を有している。特に、撮影方向は、撮影面に対して垂直に延在している。撮影方向は、特に、メインカメラが撮影を行う方向である。撮影面は、特に、対象物をメインカメラによって鮮明に結像することができる面である。例えば、撮影面は、被写界深度が最大の面である。
【0009】
メインカメラは、ハウジングの開口部に向けられた撮影方向を備えるように配置されている。特に、メインカメラは、撮影方向において、ハウジングの開口部を通る視野を有している。メインカメラは、特に、メインカメラが撮影方向においてハウジングの開口部の中心を通る視野を有するように配置されている。特に、さらに、撮影方向がハウジングの開口部によって展開される面に対して垂直に延在するように、メインカメラが配置されている。
【0010】
検査装置は、複数の光源を有している。特に、検査装置は、5個より多くの光源、特に20個より多くの光源、特に50個より多くの光源を有している。光源は、特にLEDである。特に、光源は、白色光源又はカラー光源、特にRGB光源である。特に、光源は、点光源であり、代替的に及び/又は補完的に、光源は面光源である。光源は、特に、熱光源であり、この場合、熱光源は、広範な波長範囲の放射特性、例えばプランクの放射則に基づく放射特性を有している。代替的に及び/又は補完的に、光源は、非熱光源であり、この場合、非熱光源は、特に線状放射器及び/又は帯状放射器である。
【0011】
光源は、ハウジングにおける開口部の周囲に配置されている。特に、光源は開口部の縁部に沿って配置されている。代替的に及び/又は補完的に、光源は、ハウジングの内面に配置されている。光源は、撮影面を可変に照明するように構成されている。可変の照明とは、特に、光源による交番的な照明と解される。可変の照明は、例えば、光源によって放射される光の合成色の変化及び/又は複数の光源による照明方向の変化である。例えば、ある時点t1においては、撮影領域が、全ての光源によって照光され、他の時点t2においては、撮影領域が、複数の光源のうちの一方のサブセットによって照光され、また、ある時点t3においては、撮影面が、複数の光源のうちの他方のサブセットによって照光される。特に、メインカメラが撮影面を明るく鮮明に及び/又は高コントラストで撮影及び/又は結像することができるように、光源が配置されている。
【0012】
メインカメラは、撮影面に位置する物体について、複数の物体画像を撮影するように構成されている。特に、メインカメラは、撮影面に位置する物体について、2より多く、特に10より多く、及び/又は、特に50より多くの物体画像を撮影するように構成されている。特に、物体画像は時間的に間隔を空けて、特に時間的に等間隔で撮影され、この際、例えば2つの物体画像が撮影される時間間隔は、1ミリ秒よりも長い、及び/又は、1秒よりも短い。特に、メインカメラは、ビデオカメラであり、撮影面に位置する物体の複数の物体画像を、特にビデオシーケンスとして撮影するように構成されている。
【0013】
検査装置は、評価ユニットを有している。特に、評価ユニットは、データ技術的にメインカメラに接続されており、この場合、評価ユニットは、物体画像をデータ技術的に提供している及び/又は提供する。評価ユニットは、物体画像に基づいて、物体の幾何学形態を特定するように構成されている。特に、評価ユニットは、幾何学形態として、スロープマップを物体の物体画像に基づいて特定するように構成されている。特に、評価ユニットは、物体画像、幾何学形態及び/又はスロープマップに基づいて、物体の表面を再構成するように構成されている。
【0014】
本発明は、物体の表面幾何学形態及び/又はスロープマップの高速で自動的及び/又は確実な特定を実現する検査装置を提供するという考察を基礎としている。有利には、検査装置によって、表面幾何学形態を確実かつ高速に特定することができ、この場合、そのために必要とされる全ての構成要素が検査装置に統合されている。
【0015】
本発明の1つの特に好適な実施形態においては、ハウジングは、切欠を含む。切欠は、物体の保持部及び/又は操作装置のための通路及び/又は収容部として構成されている。特に、切欠は、物体のための通路及び/又は収容部である。保持部は、例えば軸系である。操作装置は、例えばロボット及び/又はロボットアームである。保持部及び/又は操作装置は、物体の保持、位置決め及び/又は回転を行うように構成されている。切欠は特に、物体を撮影面において、複数の位置に、特に、幾何学形態の特定に関連する及び/又は必要とされるあらゆる位置に位置決めすることができるように構成されている。この構成は、撮影面において複数の位置に位置決めすることができる物体の幾何学形態特定のために衝突無く、物体の保持部及び/又は操作装置と共に使用することができる、ハウジングを備えた検査装置を提供するという考察を基礎としている。
【0016】
特に、切欠は、ハウジングの開口部に直接接している。特に、切欠及び開口部は、物質によって相互に離隔されていない。例えば、切欠は、開口部に隣接する拡大部とみなすことができる。この構成は、例えば保持部及び/又は操作装置を切欠に対して相対的なあらゆる角度位置において使用することができるという考察を基礎としている。
【0017】
本発明の1つの考えられる構成においては、切欠が円形及び/又は楕円形である。特に、切欠は、扇形、例えば半円形である。代替的に、切欠は、任意の多角形、例えば三角形、四角形又は六角形である。特に、切欠は、ハウジングによって展開される残存の空間角度が可能な限り大きくなるように構成されている。特に、切欠を、保持部及び/又は操作装置の形状及び/又は物体に適合させることができる。特に、開口部の周囲に配置されている光源は、切欠を備えたハウジングに関して、月桂冠状に配置されている。特に、切欠は、少なくとも部分的に、開口部によって展開される面及び/又は撮影面の外側に配置されている。この構成は、切欠による影響を可能な限り少なくし及び/又は低減し、その結果、例えば、可能な限りわずかな散乱光及び/又は妨害光しかカメラ及び/又は撮影面に入射しないようにするハウジングを備えた検査装置を提供するという考察を基礎としている。
【0018】
本発明の1つの特に好適な構成においては、光源が、ハウジングにおける開口部の周囲に均等に及び/又は等間隔で配置されている。特に、光源は、均等に及び/又は等間隔で、開口部とハウジングとの境界部を形成する縁部に配置されている。特に、光源は、それらの光源が相互に接する及び/又は曲線に接するように、開口部の周囲に配置されている。さらに、光源を、検査装置のハウジング全体において、等間隔で及び/又は均等に配置することができ、例えば、各空間角度部分デルタシータ(ΔΩ)に同数配置することができる。この構成は、撮影面における物体の可能な限り均等で一定の照明を実現する検査装置を提供するという考察を基礎としている。
【0019】
1つの考えられる構成においては、光源が、放射方向を有している。放射方向は、特に、光源が最大の強度を有する光を放射する方向である。各光源の放射方向は、メインカメラの撮影方向とそれぞれ1つの照明角度を成す。光源のうちの少なくとも1つの照明角度は可変であり、特に、全ての光源の照明角度は可変である。特に、照明角度は、位置合わせ可能であり、特に可逆的に位置合わせ可能である。例えば、光源は、ベース及び/又は台座を含み、この場合、ベース及び/又は台座は、照明角度を変更するために、方向転換可能にハウジング及び/又は縁部に配置されている。この構成は、光源の照明角度が調整可能及び/又は位置調節可能であり、その結果、物体に関して最善の照光及び/又は照明を検査中に実現する検査装置を提供するという考察を基礎としている。
【0020】
特に好適には、ハウジングが、ドーム状及び/又は半球である。特に、ハウジングは、丸屋根状である。さらに、ハウジングは、例えば、円筒状、コーン状及び/又は円錐状に構成することができる。特に、ドーム状及び/又は半球状のハウジングは、例えば平坦な断面を表す開口部を有している。この構成は、可能な限り広い内部空間を有し、その結果、その内部空間において物体を良好に操作することができる及び/又は回動させることができるハウジングを提供するという考察を基礎としている。
【0021】
特に好適には、検査装置が複数の補助カメラを有している。特に、検査装置は、10個より多くの補助カメラ、特に20個より多くの補助カメラ、有利には30個より多くの補助カメラを有している。補助カメラは、特にディジタルカメラ及び/又は画像センサである。補助カメラは、例えば、カラーカメラとして又はモノクロカメラとして構成されている。特に、補助カメラは、それぞれ1つのカメラユニットを有しており、カメラユニットは、画像を撮影するための画像センサを含む。特に、カメラユニットは、5ミリメートルより小さい直径、特に2ミリメートルより小さい直径を有している。補助カメラは、ハウジング内に配置されている。特に、補助カメラは、メインカメラの周囲に配置されている。特に好適には、補助カメラは、ハウジングの開口部の周囲に配置されている。
【0022】
補助カメラは、物体の補助画像を撮影するように構成されている。特に、補助画像は、撮影領域における部分領域及び/又は物体全体を結像する。補助画像は、特に、物体画像のうちの少なくとも1つとの少なくとも1つの重畳部を有している。特に、補助カメラは、撮影面にある物体を鮮明に及び/又は高コントラストで結像することができるように配置されている。代替的に及び/又は補完的に、補助カメラは、撮影面にない物体を鮮明に及び/又は高コントラストで結像することができるように配置されている。評価ユニットは、特に、補助画像に基づいて、物体の幾何学形態を特定するように構成されている。特に、評価ユニットは、物体画像に基づいて特定された幾何学形態を、補助画像に基づいて洗練及び/又は補完するように構成されている。代替的に及び/又は補完的に、評価ユニットは、補助画像に基づいて、物体画像によってカバーされなかった領域における物体の幾何学形態を補完するように構成されている。特に、補助カメラは、物体の撮影の視点切り替えを実現するように配置されている。この構成は、補助カメラの使用によって、物体の複数の画像、視点及び/又は物体の外観を提供し、そのようにして幾何学形態を、補助画像及び物体画像に基づいて特定することができ、その結果、例えば物体の幾何学形態の非常に正確な測定を実現する検査装置を提供するという考察を基礎としている。
【0023】
本発明の1つの考えられる構成においては、各補助カメラが、異なる焦点距離を有している、及び/又は、異なる撮影領域を結像する。特に、補助カメラは、調節可能及び/又は調整可能な焦点距離を有している。特に、補助カメラの撮影領域の大きさは、メインカメラの撮影領域以上である。この構成は、複数の補助カメラを使用することによって、物体の結像を異なる焦点距離及び/又は物体部分を用いて実現する検査装置を提供するという考察を基礎としており、この場合、検査装置の寿命はメインカメラの最大ズームサイクル数によって限定されていない。
【0024】
特に、補助カメラは、電子回路基板及びカメラユニットを有している。特に、カメラユニットは、例えば、対物レンズ及び/又はレンズのような光学ユニット並びに画像センサを含む。カメラユニットは、例えば、CCDカメラ若しくはCMOSカメラであり、及び/又は、CCDカメラ若しくはCMOSカメラを含む。電子回路基板は、カメラユニットを制御し、電流を供給し、及び/又は、撮影された画像のデータをアーカイブする及び/又はユーザに提供するように構成されている。電子回路基板は、特に可撓性の接続部を用いて、カメラユニットに接続されている。可撓性の接続部は、例えば、可撓性のケーブルである。特に、カメラユニットは、検査装置のハウジング内に配置されており、この場合、電子回路基板は、検査装置のハウジングの外側に配置されており、この場合、可撓性の接続部は、ハウジング内のカメラユニットをハウジングの外側にある電子回路基板に接続する。この構成は、カメラユニットの電子装置部分がハウジングの外側に配置されることによって、この電子装置部分がメインカメラの視野を制限する可能性はないことにより、メインカメラの最小限のフットプリント及び/又は被覆度において補助カメラがハウジング内に配置されるという考察を基礎としている。
【0025】
特に好適には、ハウジングの内部が反射性である。例えば、ハウジングの内部は、例えば銀めっきされたミラーのような鏡面性の表面である。代替的に、ハウジングは、内面において吸収性、例えばつや消しの黒であり、また、障害光及び/又は散乱光の光吸収体として構成されている。特に、ハウジングの吸収効率は、内面において約1である。この構成は、光を非常に良好に散乱させ、撮影面にある物体を可能な限り良好に照光する検査装置を提供するという考察を基礎としており、また、他方においては、散乱光を可能な限り良好に捕捉し、その結果、物体の幾何学形態を可能な限り簡単に再構成することができるという考察を基礎としている。
【0026】
特に好適には、ハウジングにおける開口部は、開口面を画定している。特に、開口面は、平坦及び/又は均一な面である。代替的に、開口面は、湾曲した面である。特に、開口面と撮影面とは、一致している。代替的に及び/又は補完的に、開口面及び撮影面は、相互に平行にずらされている。この構成は、物体の測定時に、検査装置の可能な限りわずかな周囲光しか測定を妨害しない検査装置を提供するという考察を基礎としており、この場合、物体は、検査時にまさに開口面に位置しており、それによって開口面を部分的に覆っている。
【0027】
物体検査システムは、本発明の他の対象である。物体検査システムは、請求項1乃至12のいずれか一項及び/又は上記の説明による検査装置と、物体を操作する及び/又は保持するための少なくとも1つの操作装置とを含む。操作装置は、例えば、ロボット、ロボットアーム及び/又は軸系であり、この場合、操作システムにおいて物体を例えば緊張させることができる。操作装置は、物体を保持し、位置決めし、及び/又は、回動させるように構成されている。さらに、操作装置は、物体を撮影面において少なくとも部分的に回動及び/又は方向転換させるように構成されており、この場合、検査装置は、物体の幾何学形態を撮影し、その一方では、物体は、撮影面において操作装置によって保持される。特に、操作装置は、物体を検査装置による幾何学形態の特定中に回転させるように構成されているので、その結果、物体検査システムは、物体全体及び/又は物体のほぼ全ての幾何学形態を特定するように構成されている。特に、物体検査システムは、物体全体の検査を実施するように構成されている。従って、物体検査システムは、物体を操作装置によって操作し及び/又は保持し、その一方では、物体は、検査装置によって測定される可能性を提供し、この場合、操作装置は、衝突なく、検査装置との相互作用を生じさせることができる。
【0028】
本発明のさらなる特徴、利点及び効果は、本発明の好適な実施例の以下の説明より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】検査装置を示す。
図2】電子回路基板及びカメラユニットを備えた補助カメラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、メインカメラ2及びハウジング3を備えた検査装置1を示す。ハウジング3は、丸屋根状の中空体であり、この実施例においては、半球状の中空体である。半球状の中空体は、特に赤道面で切断されている。ハウジング3は、開口部4を有しており、この開口部4は、この実施例においては、円形の開口部4である。ハウジング3は、外側領域及び内側領域を有しており、内側領域は、特に反射性であり、代替的に及び/又は補完的に、内側領域は吸収性である。ハウジング3の、開口部4側とは反対側には、この実施例においては、半球状のハウジング3の極には、メインカメラ2が配置されている。
【0031】
メインカメラ2は、撮影方向を有しており、このメインカメラ2の撮影方向は、ハウジング3の開口部4の方向に向けられている。特に、カメラ2は焦点距離を有しているので、ハウジング3の開口部4の領域を、メインカメラ2によって鮮明に及び/又は高コントラストで結像することができる。特に、メインカメラ2は電子回路部品を有しており、この電子回路部品は、ハウジング3の外側に配置されているので、特に、メインカメラ2のレンズ及び/又は対物レンズのみが、開口部4への視野方向を備えて、ハウジング3内に配置されている。
【0032】
ハウジング3は、縁部5を有しており、この縁部5は、ハウジング3と開口部4との境界を形成している。縁部5は、この実施例においては、円環状に形成されている。縁部5に沿って、特に開口部4を包囲するように、複数の光源6が配置されている。光源6は、特に、発光ダイオードである。光源6は、放射方向を有しており、この実施例においては、各光源6の放射方向は、中央に位置する、円形の開口部4の中心に向けられている。特に、光源6は、方向転換可能に縁部5に配置されているので、メインカメラ2の撮影方向と光源6の放射方向とが成す角度は、可変である。この実施例においては、光源6の放射方向とメインカメラ2の撮影方向とが成す角度、特に照明角度は、90度である。特に、光源6の照明角度は、電子的に調整可能及び/又は調節可能である。光源6は、開口部4の領域を照明するように構成されており、この際、照明には、光源6の全て及び/又は一部のみを利用することができる。特に、光源6は、例えば光の色の変更及び/又はアクティブである光源6の変更によって、開口部4の種々の照明を実現するように構成されている。
【0033】
特に、開口部4は、メインカメラ2の撮影面と一致する面を展開している。メインカメラ2の撮影面には、物体7を配置することができる。物体7は、例えば、電子部品モジュール又は機械的なモジュールである。特に、物体7は、光沢のある表面を含む。特に、物体7は、撮影面の領域において、方向転換可能及び/又は回転可能である。
【0034】
検査装置1及び/又はハウジング3は、切欠8を有している。切欠8は、特に、ハウジング3の欠落部である。切欠8は、特に、開口部4に直接的に続いている。切欠8は、この実施例においては、ハウジングにおける半円形の切欠である。切欠8は、物体7の保持部及び/又は物体7の操作装置、例えば、物体7を開口部4に保持する軸系を、収容することができるように構成されている。特に、切欠8は、物体7の直径以下の大きさであり、この場合、切欠8は、操作システム及び/又は保持部を収容するためにのみ構成されている。
【0035】
検査装置1は、複数の補助カメラ9a及び9bを含む。補助カメラ9a及び9bは、ディジタルカメラとして構成されており、それらの補助カメラ9a及び9bによって、物体7を撮影領域及び/又は開口部4において鮮明に及び/又は高コントラストで結像することができるように、ハウジング3内に配置されている。補助カメラ9aは、メインカメラ2に直接接しており、メインカメラ2の撮影方向に対して平行な撮影方向を備えるように配向されている。補助カメラ9aは、特に、メインカメラ2とは異なる焦点距離及び/又は被写界深度を有している。補助カメラ9bは、特に、ハウジング3の縁部5の領域に配置されている。補助カメラ9a及び9bも同様に、物体7への撮影方向を備えるように配向されている。特に、補助カメラ9bの撮影方向と、メインカメラ2の撮影方向とが成す角度は、80度よりも大きい。補助カメラ9bは、物体7の補助画像を撮影するように構成されている。メインカメラ2は、物体7の物体画像を撮影するように構成されている。
【0036】
検査装置1は、評価ユニット10を有しており、この評価ユニット10は、メインカメラ2によって撮影された物体画像に基づいて、及び、補助カメラ9a,9bによって撮影された補助画像に基づいて、物体7の幾何学形態及び/又はスロープマップを特定するように構成されている。評価ユニット10は、例えば、マイクロチップ、マイクロコントローラ、及び/又はコンピュータユニットとして構成されている。特に、評価ユニット10をメインカメラ2に組み込むことができる。
【0037】
図2には、補助カメラ9が示されている。補助カメラ9は、カメラユニット11、可撓性の接続部12及び電子回路基板13を有している。カメラユニット11は、特に、例えば、CCDチップ又はCMOSチップのようなカメラセンサを含む。さらに、カメラユニット11は、対物レンズユニットを含み、対物レンズユニットは、例えば、レンズを含む。対物レンズユニットは、画像を鮮明にカメラセンサに結像するように構成されている。カメラユニット11は、特に10ミリメートル未満の直径を有している。
【0038】
電子回路基板13は、カメラユニット11を制御する、及び/又は、電流を供給するように構成されている。特に、電子回路基板13は、カメラユニット11のデータの制御又は評価に必要とされる全ての電子コンポーネントを含む。特に、電子回路基板13は、回路基板インタフェース14を含む。回路基板インタフェース14は、補助カメラ9から、特にカメラユニット11から提供される補助画像をデータ技術的に提供するように構成されている。特に、回路基板インタフェース14は、データ技術的に、検査装置1の評価ユニット10に接続されている。
【0039】
電子回路基板13は、可撓性の接続部12を介してカメラユニット11に接続されている。可撓性の接続部12は、例えば、可撓性のケーブルであり、可撓性のケーブルによって、カメラユニット11が、データ技術的に及び/又は電子的に電子回路基板13に接続されている。特に、可撓性の接続部12は、カメラユニット11を位置合わせするように構成されている。可撓性の接続部12は、特に高い曲げ剛性を有しており、代替的には、可撓性の接続部12は、低い曲げ剛性を有している。可撓性の接続部12は、検査装置のハウジング3の内面からハウジング3の外面への貫通部として構成されており、可撓性の接続部は、ハウジング3の内面に設けられているカメラユニット11を、ハウジング3の外面に設けられている電子回路基板13に接続する。
図1
図2