(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】結腸バクテリア集団を増加させてミネラル吸収を増加させるための、可溶性コーンファイバーの用途
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20220408BHJP
【FI】
A23L33/105
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020074299
(22)【出願日】2020-04-17
(62)【分割の表示】P 2016505515の分割
【原出願日】2014-03-22
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2013-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513003611
【氏名又は名称】テイト アンド ライル イングリーディエンツ アメリカス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Tate & Lyle Ingredients Americas LLC
【住所又は居所原語表記】5450 Prairie Stone Parkway, Hoffman Estates, Illinois 60192, United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】598063203
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100182545
【氏名又は名称】神谷 雪恵
(72)【発明者】
【氏名】コニー マリー ウィーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】シンディ エイチ. ナカツ
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア ウィリアムソン
(72)【発明者】
【氏名】アンドルー ジョゼフ ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】リサ マール サンダーズ
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-511506(JP,A)
【文献】特表2004-529910(JP,A)
【文献】米国特許第06203797(US,B1)
【文献】国際公開第2012/027214(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/067146(WO,A1)
【文献】SOLUBLE CORN FIBER (SCF) EFFECTS ON CALCIUM ABSORPTION AND RETENTION IN ADOLESCENT GIRLS AND BOYS,THE FASEB JOURNAL,2012年,Vol.26 No.1 SUPPL.373.4,要旨
【文献】NEW RESEARCH: SOLUBLE CORN FIBER PLAYS IMPORTANT ROLE IN GUT HEALTH AND CALCIUM ABSORPTION,[ONLINE],2012年09月06日,http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-09/fl-rs090512.php,[平成30年5月29日検索]
【文献】JOURNAL OF THE AMERICAN COLLEGE OF NUTRITION,2009年,Vol.28 No.6,pp.657-666
【文献】J. Nutr.,2012年,Vol.142,p.1259-1265
【文献】Soluble corn fiber modulates calcium absorption by altering colonic microbiota,FASEB J.,2013年04月01日,Vol.27, No.1 suppl.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,C12N,A61K,A61P
BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/CAPlus/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象中で1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させるための食用組成物であって、前記食用組成物が、可溶性コーンファイバーと、パラバクテロイデス(Parabacteroides)属
、ジアリスタ(Dialister)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、アリスティペス(Alistipes)属
、アケルマンシア(Akkermansia)属、及びラクノスピラセエ(Lachnospiraceae)科内の属から選択された1つ以上のバクテリア集団を含み、
前記可溶性コーンファイバーは、
・コーンスターチの加水分解により製造された少なくとも1種のシロップおよびデンプンの加水分解により製造された線状糖類オリゴマーを含有し、かつ、少なくとも90質量%の固体濃度を有する、水性供給組成物を提供するステップ;と、
前記供給組成物を、0.1~15分の間、少なくとも149℃の温度で、グリコシル結合の切断または形成速度を加速化する少なくとも1つの触媒と、非線状糖類オリゴマーの形成を誘導するのに十分な時間接触させるステップ;
を含むプロセスにより得られ、
その際、前記触媒は、前記供給組成物のpHを1.0~2.5に調整するのに十分な量で供給組成物に添加される酸であり、その際、生成組成物が形成され、かつ、前記生成組成物中で、非線状糖類オリゴマーの濃度は線状糖類オリゴマーの濃度よりも少なくとも2倍高く、かつ、少なくとも3の重合度を有する非線状糖類オリゴマーの濃度は乾燥固形分を基準として少なくとも50質量%であり、その際、前記生成組成物は主に難消化性または主に遅消化性であり、その際、前記生成組成物は、残留単糖類を、乾燥固形分を基準として50質量%未満含有し、
その際、前記可溶性コーンファイバー中で、非線状糖類オリゴマーの濃度は線状糖類オリゴマーの濃度より少なくとも2倍高く、かつ、少なくとも3の重合度を有する非線状糖類オリゴマーの濃度は乾燥固形分を基準として少なくとも50質量%であり、その際、生成組成物は、主に難消化性または主に遅消化性であり、その際、生成組成物は、残留単糖類を、乾燥固形分を基準として50%未満含有しており、
その際、糖類オリゴマーは2~30の重合度を有するものである、前記食用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の食用組成物であって、
パラバクテロイデス(Parabacteroides)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、及びアリスティペス(Alistipes)属から選択された1つ以上のバクテリア集団を含む、前記食用組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の食用組成物であって、
ジアリスタ(Dialister)属、アケルマンシア(Akkermansia)属、及びラクノスピラセエ(Lachnospiraceae)科内の属から選択された1つ以上のバクテリア集団を含む、前記食用組成物。
【請求項4】
アケルマンシア(Akkermansia)属、及びラクノスピラセエ(Lachnospiraceae)科内の属から選択された1つ以上のバクテリア集団を含む、請求項
1または3に記載の食用組成物。
【請求項5】
2以上のバクテリア集団を含み、それぞれが
パラバクテロイデス(Parabacteroides)属、ジアリスタ(Dialister)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、アリスティペス(Alistipes)属、アケルマンシア(Akkermansia)属、及びラクノスピラセエ(Lachnospiraceae)科内の属からの異なる属から選択される、請求項1に記載の食用組成物。
【請求項6】
パラバクテロイデス(Parabacteroides)属、
ジアリスタ(Dialister)属、及びラクノスピラセエ(Lachnospiraceae)科内の属から選択された2つ以上のバクテリア集団を含む、請求項
5に記載の食用組成物。
【請求項7】
アケルマンシア(Akkermansia)属、及びラクノスピラセエ(Lachnospiraceae)科内の属から選択された
2つ以上のバクテリア集団を含む、請求項
5に記載の食用組成物。
【請求項8】
組成物が1回分当たり少なくとも2.5gの可溶性コーンファイバーを含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の食用組成物。
【請求項9】
組成物が1回分当たり約100g以下の可溶性コーンファイバーを含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の食用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、その全体が援用により本明細書に組み込まれた、2013年3月22日付で出願された米国仮特許出願61/804,584を優先権として主張する。
【0002】
技術分野
本発明は一般的に、発酵性可溶性ファイバー、例えば可溶性コーンファイバー(SCF)、及びその用途並びに組成物に関する。ある態様において、本発明は対象における結腸バクテリア集団を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
腸内微生物相は、宿主細胞及び栄養分と相互作用する複雑な生態系を形成する。成人の人体は、1014個を超える生きたバクテリアバイオマス及び400種を超える異なる種を含み、人体において最も広範囲、集約的、そして最も様々な微生物コミュニティを現わす。腸内バクテリアの存在は正常な人体生理学の一部であり、腸機能の発達、食餌炭水化物からエネルギーを取り入れ、必須ビタミンを取り入れ、腸内で環境化学物質を代謝するのに重要である。さらに、最近の研究では腸内バクテリアが脂肪の貯蔵に関与して体重増加及び減量に影響を与え得ることを提示した。腸内バクテリアはまた、免疫系の成熟に関与し、免疫系とコミュニケーションし続けて、病原体に対する保護に関与する。健康及びウェルネスにおける腸内バクテリアの重要性により、有益な腸内バクテリアの集団を増強させるための機能性食品の成分に対する強い関心が示されるようになった。
【0004】
青少年期は、ミネラルの滞留を最大化して、晩年の骨粗鬆症-関連骨折の危険性を予防するための特別な機会を提供する、骨の健康に重要な生命段階である。牛乳の摂取の減少によりカルシウムは食餌においてますます欠乏するため、カルシウム利用率を増強させる機能性食品の成分に対する強い関心が示されるようになった。
[発明の概要]
【0005】
ある広範囲な態様において、本発明は対象において1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は発酵性可溶性ファイバーを含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。他の態様において、本発明は対象において1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は可溶性コーンファイバーを含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。
【0006】
一つの態様において、本発明は対象においてパラバクテロイデス(Parabacteroides)属、ブチリキコッカス(Butyricicoccus)属、オシリバクター(Oscillibacter)属及びジアリスタ(Dialister)属から選択される1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は発酵性可溶性ファイバーを含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。他の態様において、本発明は対象においてパラバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタから選択される1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は可溶性コーンファイバーを含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。
【0007】
他の態様において、本発明は対象においてバクテロイデス(Bacteroides)属、ブチリキコッカス属、オシリバクター属及びジアリスタ属から選択される1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は発酵性可溶性ファイバー(例えば、可溶性コーンファイバー)を含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。
【0008】
他の態様において、本発明は対象においてパラバクテロイデス属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、アリスティペス(Alistipes)属、アナエロコッカス(Anaerococcus)属、カテニバクテリウム(Catenibacterium)属、クロストリジアーレス(Clostridiales)目内の属、及びルミノコッカセエ(Ruminococcaceae)科内の属から選択される1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は発酵性可溶性ファイバー(例えば、可溶性コーンファイバー)を含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。
【0009】
他の態様において、本発明は対象においてパラバクテロイデス属、ジアリスタ属、アケルマンシア(Akkermansia)属、及びラクノスピラセエ(Lachnospiraceae)科内の属から選択される1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は発酵性可溶性ファイバー(例えば、可溶性コーンファイバー)を含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。
【0010】
他の態様において、本発明は対象において1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物を対象に約3g/日以上、約5g/日以上、約10g/日以上、約15g/日以上、約20g/日以上、さらには約25g/日以上で経口投与するステップを含む。
【0011】
他の態様において、本発明は対象において1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法を提供し、この方法は、排泄物のpHが約5.5未満の値に減少(例えば、排泄物のpHの約7から約4.5への減少)するように、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。このような減少は例えばカルシウムの生体利用率を増加させる。
【0012】
他の態様において、本発明は排泄物のpHを約5.5以下の値(例えば、排泄物のpH約4.5)に減少させる方法を提供し、この方法は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。
【0013】
他の態様において、本発明は対象においてミネラル(例えば、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、カリウム及び/又はマグネシウム)吸収を増加させる方法を提供し、この方法は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物を対象に経口投与するステップを含む。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、ミネラルは2価のカチオンとして吸収される。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、ミネラルはカルシウムである。本願に記述されるような方法及び組成物の他の実施形態において、ミネラルはカルシウム及び/又はマグネシウムである。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、ミネラルはカルシウム及び/又は鉄である。本願に記述されるような方法及び組成物の他の実施形態において、ミネラルはカルシウム、マグネシウム及び/又は鉄である。
【0014】
他の態様において、本発明は対象においてミネラル(例えば、前述したようなカルシウム、鉄、亜鉛、銅、カリウム及び/又はマグネシウム)吸収を増加させる方法を提供し、この方法は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物を対象に約3g/日以上、約5g/日以上、約10g/日以上、約12g/日以上、約15g/日以上、約20g/日以上、さらには約25g/日以上の割合で経口投与するステップを含む。
【0015】
他の態様において、本発明は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバー、及びラクトバシラス(Lactobacillus)、バクテロイデス、パラバクテロイデス、アリスティペス、ビフィドバクテリウム、ブチリキコッカス、オシリバクター、ジアリスタ及びこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1つ以上のバクテリア集団を含む食用品を提供する。
【0016】
他の態様において、本発明は、(例えば、それぞれ異なる属から選択される)バクテロイデス属、ブチリキコッカス属、オシリバクター属及びジアリスタ属から選択される1つ以上の(例えば、2以上又は3以上の)バクテリア集団を含む食用組成物を提供する。食用組成物は選択的に発酵性可溶性ファイバー(例えば、可溶性コーンファイバー)を含有することができる。
【0017】
他の態様において、本発明は、(例えば、それぞれ異なる属から選択される)パラバクテロイデス属、ジアリスタ属、アケルマンシア属、及びラクノスピラセエ科内の属から選択される1つ以上の(例えば、2以上又は3以上の)バクテリア集団を含む食用組成物を提供する。食用組成物は選択的に発酵性可溶性ファイバー(例えば、可溶性コーンファイバー)を含有することができる。
【0018】
他の態様において、本発明は、(例えば、それぞれ異なる属から選択される)パラバクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、アリスティペス属、アナエロコッカス属、カテニバクテリウム属、クロストリジアーレス目内の属;及びルミノコッカセエ科内の属から選択される1つ以上の(例えば、2以上又は3以上の)バクテリア集団を含む食用組成物を提供する。食用組成物は選択的に発酵性可溶性ファイバー(例えば、可溶性コーンファイバー)を含有することができる。
【0019】
本願に示した本発明は図面を参照として有利に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、青少年初期の男子学生と女子学生を対象に、二重安定同位元素を用いたカルシウムの吸収試験後第1日及び第2日の間の分画カルシウムの吸収(平均+SEM)に与えるSCFの効果を示したものである。それぞれの時期(0時間-24時間及び24時間-48時間)の間の処理、配列及びフェーズを含んだ一般的な線状モデルは、SCFに対するカルシウムの吸収が24時間-48時間ではコントロールより高かったが(*P=0.02)、0時間-24時間では高くなかったことを示している(P=0.09)。
【
図2】
図2は、0時間-24時間目及び24時間-48時間目の尿収集により測定された分画カルシウムの吸収におけるSCF処理とコントロールとの比較を示したものである。
【
図3】
図3は、臨床期間の開始(B)及び終了(E)時の、対象におけるバクテリア科の平均相対比率の比較を図示したものであり、ここで、食餌は可溶性コーンファイバー(SCF)及びコントロール(Con)を含んでいる。少なくとも1回の処理で総コミュニティのうち1.0%超を示す科のみ図示されている。誤差棒は平均の標準誤差を示す。文字はそれぞれの科内の有意な差を図示する(p<0.05)。
【
図4】
図4は、それぞれのSCF食餌処理の開始(B)及び終了(E)時の、主要バクテリア門の平均割合を比較したヒストグラムを示したものである。
【
図5】
図5は、異なるSCF食餌処理時に、対象の開始(B)及び終了(E)時に収集した排泄物サンプルから作製されたChao1多様性測定の希薄化分析を示したものである。
【
図6】
図6は、SCF処理の開始(B)及び終了(E)時に収集されたコミュニティ組成物コードSCF栄養補助食品サンプルのジャックナイフブレイカーティス距離(Jackknife Bray Curtis distance)の主座標分析(Principal Coordinate Analysis;PCoA)を示したものである。
【
図7】
図7は、SCF処理の開始(B)及び終了(E)時に収集されたコミュニティ組成物コードSCF栄養補助食品サンプルのジャックナイフブレイユークリッド距離の主座標分析(PCoA)を示したものである。
【
図8】
図8は、SCF処理の開始(B)及び終了(E)時に対象から収集されたコミュニティ組成物のユニプラックG(Unifrac G)系統発生距離のジャックナイフ分析の主座標分析(PCoA)を示したものである。
【
図9】
図9は、発酵性可溶性ファイバーの製造方法の一例を示す図式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
開示された方法及び物質が記述される前に、本願に記述される態様は、特定の実施形態、方法又は組成物に制限されず、その分当然多様となり得ることを理解すべきである。また、本願で用いられる用語は単に特定の態様を記述するためのものであり、本願で具体的に定義されない限り、制限しようとするものではないことを理解すべきである。
【0022】
本明細書全体において、文脈上別途に要求しない限り、単語「~を含む」及び「~を含ませる」及び変形(例えば、「~を含む」、「~を含んでいる」、「~を含ませる」、「~を含ませている」)は、言及される成分、特徴、要素あるいはステップ、又は成分、特徴、要素あるいはステップのグループを含むが、任意の他の整数あるいはステップ、又は整数あるいはステップのグループを排除しないことを示唆するものと理解される。
【0023】
明細書及び添付される請求項で用いられるように、単数形(「a」、「an」及び「the」)は、文脈上別途に明示しない限り、複数形を含む。
【0024】
範囲は、本願において「約」1つの特定の値から及び/又は「約」他の特定の値までと表することができる。このような範囲が表される場合、他の態様は、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値を含む。同様に、値が近似値で表される場合、先行詞「約」を用いることで、特定の値が他の態様を形成すると理解される。さらには、範囲のそれぞれの終点は他の終点と関連して有意であるとも、他の終点と関係なく有意であるとも理解される。
【0025】
本開示内容の側面において、本願に記述される方法及び組成物は、所望の必要性を満たすため、当業者により構成されることができる。一般的に、開示される方法及び組成物は腸内微生物相を向上させる。例えば、ある態様において、本開示内容の方法は、発酵及び短鎖脂肪酸の生成が可能な1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる。
【0026】
例えば、本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与は1つ以上の結腸バクテリア集団の数を増加させ、それぞれはパラバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタ並びにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される属に由来する。例えば、本願に記述される方法及び組成物の1つの実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はパラバクテロイデスの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はブチリキコッカスの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はオシリバクターの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はジアリスタの集団を増加させる。例えば、本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与は、パラバクテロイデス及びブチリキコッカス;パラバクテロイデス及びオシリバクター;パラバクテロイデス及びジアリスタ;ブチリキコッカス及びオシリバクター;ブチリキコッカス及びジアリスタ;オシリバクター及びジアリスタ;パラバクテロイデス、ブチリキコッカス及びオシリバクター;パラバクテロイデス、ブチリキコッカス及びジアリスタ;パラバクテロイデス、オシリバクター及びジアリスタ;ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタ;又はパラバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタの集団を増加させる。勿論、他のバクテリア集団が追加的に増加することができる。このようなある実施形態において、カルシウムの吸収も(例えば、後述するように)増加する。
【0027】
例えば、本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与は1つ以上の結腸バクテリア集団の数を増加させ、それぞれはバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタ並びにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される属に由来する。例えば、本願に記述される方法及び組成物の1つの実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はバクテロイデスの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はブチリキコッカスの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はオシリバクターの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はジアリスタの集団を増加させる。例えば、本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与は、バクテロイデス及びブチリキコッカス;バクテロイデス及びオシリバクター;バクテロイデス及びジアリスタ;ブチリキコッカス及びオシリバクター;ブチリキコッカス及びジアリスタ;オシリバクター及びジアリスタ;バクテロイデス、ブチリキコッカス及びオシリバクター;バクテロイデス、ブチリキコッカス及びジアリスタ;バクテロイデス、オシリバクター及びジアリスタ;ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタ;又はバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタの集団を増加させる。勿論、他のバクテリア集団が追加的に増加することができる。このようなある実施形態において、カルシウムの吸収も(例えば、後述するように)増加する。
【0028】
本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与は1つ以上の結腸バクテリア集団の数を増加させ、それぞれはパラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス目内の属(例えば、クロストリジウム(Clostridium)、アナエロフスティス(Anaerofustis)、アナエロコッカス、コプロコッカス(Coprococcus)、ペプトストレプトコッカセエ(Peptostreptococcaceae)、スポラセチゲニウム(Sporacetigenium)ではない);及びルミノコッカセエ科内の属並びにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される属に由来する。例えば、本願に記述される方法及び組成物の1つの実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はパラバックテリオデスの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はビフィドバクテリウムの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はアリスティペスの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はアナエロコッカスの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はカテニバクテリウムの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はルミノコッカセエ科の集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はクロストリジアーレス目の集団を増加させる。例えば、本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与は、パラバクテロイデス及びビフィドバクテリウム;パラバクテロイデス及びアリスティペス;パラバクテロイデス及びアナエロコッカス;パラバクテロイデス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム及びアリスティペス;ビフィドバクテリウム及びアナエロコッカス;ビフィドバクテリウム及びカテニバクテリウム;ビフィドバクテリウム及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム及びクロストリジアーレス;アリスティペス及びアナエロコッカス;アリスティペス及びカテニバクテリウム;アリスティペス及びルミノコッカセエ;アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;ルミノコッカセエ及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びアリスティペス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びアナエロコッカス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アリスティペス及びアナエロコッカス;パラバクテロイデス、アリスティペス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、アリスティペス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アリスティペス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びアナエロコッカス;ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びカテニバクテリウム;ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;アリスティペス、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;アリスティペス、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;アリスティペス、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;アリスティペス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;アリスティペス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;アリスティペス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;アナエロコッカス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びアナエロコッカス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アリスティペス、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、アリスティペス、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アリスティペス、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アリスティペス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アリスティペス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アリスティペス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アナエロコッカス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;アリスティペス、アナエロコッカス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;アリスティペス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;又はアナエロコッカス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエの集団を増加させる。勿論、5個、6個又は7個の結腸バクテリア集団の任意の組み合わせが本願に記述される方法により増加可能であり、それぞれはパラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス目内の属;及びルミノコッカセエ科内の属からなる群より選択される異なる属に由来することを当業者は理解するはずである。勿論、他のバクテリア集団が追加的に増加することができる。
【0029】
本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与は1つ以上の結腸バクテリア集団の数を増加させ、それぞれはパラバクテロイデス、ジアリスタ、アケルマンシア、及びラクノスピラセエ科内の属(例えば、ラクノスピラではない)からなる群より選択される異なる属に由来する。例えば、本願に記述される方法及び組成物の1つの実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はパラバクテロイデスの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はジアリスタの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はアケルマンシアの集団を増加させる。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与はラクノスピラセエの集団を増加させる。例えば、本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを含む組成物の投与は、パラバクテロイデス及びジアリスタ;パラバクテロイデス及びアケルマンシア;パラバクテロイデス及びラクノスピラセエ;ジアリスタ及びアケルマンシア;ジアリスタ及びラクノスピラセエ;アケルマンシア及びラクノスピラセエ;パラバクテロイデス、ジアリスタ及びアケルマンシア;パラバクテロイデス、ジアリスタ及びラクノスピラセエ;パラバクテロイデス、アケルマンシア及びラクノスピラセエ;ジアリスタ、アケルマンシア及びラクノスピラセエ;又はパラバクテロイデス、ジアリスタ、アケルマンシア及びラクノスピラセエの集団を増加させる。勿論、他のバクテリア集団が追加的に増加することができる。
【0030】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、1つ以上の結腸バクテリア集団(例えば、前述したものと同様)は非処理対象に比べ、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、さらには約100%以上で増加する。このようなある実施形態において、結腸バクテリア集団は約500%以下で増加する。このような他の実施形態において、結腸バクテリア集団は約400%以下で増加する。このような他の実施形態において、結腸バクテリア集団は約300%以下で増加する。このような他の実施形態において、結腸バクテリア集団は約200%以下で増加する。このような他の実施形態において、結腸バクテリア集団は約100%以下で増加する。本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、1つ以上の結腸バクテリア集団(例えば、前述したものと同様)のそれぞれは非処理対象に比べ、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約50%以上、さらには約100%以上で増加する。これは、これらのバクテリアのそれぞれが互いに独立して異なる割合で影響を受ける場合があることを意味する(例えば、1つのバクテリアは集団で50%増加できるのに対し、他のバクテリアは単に25%増加できる)。このようなある実施形態において、それぞれの結腸バクテリア集団は約500%以下で増加する。このような他の実施形態において、それぞれの結腸バクテリア集団は約400%以下で増加する。このような他の実施形態において、それぞれの結腸バクテリア集団は約300%以下で増加する。このような他の実施形態において、それぞれの結腸バクテリア集団は約200%以下で増加する。このような他の実施形態において、それぞれの結腸バクテリア集団は約100%以下で増加する。
【0031】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、結腸バクテリア全体の百分率として、1つ以上の結腸バクテリア集団(例えば、前述したものと同様)の割合は非処理対象に比べ、約20%以上、約25%以上、約50%以上、約100%以上、約200%以上、さらには約300%以上で増加する。このようなある実施形態において、結腸バクテリア全体の百分率として、1つ以上の結腸バクテリア集団の割合は約700%以下で増加する。このような他の実施形態において、結腸バクテリア全体の百分率として、1つ以上の結腸バクテリア集団の割合は約600%以下で増加する。このような他の実施形態において、結腸バクテリア全体の百分率として、1つ以上の結腸バクテリア集団の割合は約500%以下で増加する。このような他の実施形態において、結腸バクテリア全体の百分率として、1つ以上の結腸バクテリア集団の割合は約400%以下で増加する。本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、1つ以上の結腸バクテリア集団(例えば、前述したものと同様)のそれぞれの割合(すなわち、結腸バクテリア全体の百分率として)は非処理対象に比べ、約20%以上、約25%以上、約50%以上、約100%以上、約200%以上、さらには約300%以上で増加する。これは、これらのバクテリアのそれぞれが互いに独立して異なる割合で影響を受ける場合があることを意味する(例えば、1つのバクテリアは集団で50%増加できるのに対し、他のバクテリアは単に25%増加できる)。このようなある実施形態において、それぞれの割合は約500%以下で増加する。このような他の実施形態において、それぞれの割合は約400%以下で増加する。このような他の実施形態において、それぞれの割合は約300%以下で増加する。このような他の実施形態において、それぞれの割合は約200%以下で増加する。このような他の実施形態において、それぞれの割合は約100%以下で増加する。
【0032】
他の実施形態において、対象において1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させる方法は、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを対象に経口投与するステップを含む。このようなある実施形態において、経口投与は、排泄物のpHが減少(例えば、後述するように、約5.5以下の値に減少、例えば、約7のpH値から約4.5のpH値に減少)するように行われる。このような減少は例えば、ミネラル(例えば、前述したようにカルシウムのような2価のミネラル)の生体利用率を増加させることができる。
【0033】
他の実施形態において、本開示内容の方法はまた、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを対象に経口投与することで、対象において排泄物のpHを減少させる。例えば、本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、排泄物のpHは非処理対象に比べ、約1.5pH単位以上、約2pH単位以上、さらには約2.5pH単位以上に減少する。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、排泄物のpHは約5.5以下、約5以下、さらには約4.5以下に減少する。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、排泄物のpHは約4ないし約5.5、約4.5ないし約5.5、約4ないし約5、又は約4.5ないし約5の範囲内の値に減少する。ある実施形態において、排泄物のpHは約4.5であり、例えば、約7から約4.5に減少する。
【0034】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、発酵性可溶性ファイバーは可溶性コーンファイバーである。可溶性コーンファイバーは、トウモロコシから製造され、難消化性であるオリゴ糖類、遅消化性であるオリゴ糖類又はこれらの組み合わせを含むデンプン由来の可溶性ファイバーである。可溶性コーンファイバーはトウモロコシデンプンの加水分解を通じて製造されてもよく、約70%超のファイバー及び約20%未満の単糖類及び二糖類の糖を含む。オリゴ糖類のグルコース単位は主にα-1,4グリコシド結合により連結されるが、α-1,6、α-1,3、及びα-1,2結合を含有することもできる。
【0035】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーはファイバー含量が約70%ないし約100%(w/w)の範囲である。他の実施形態において、可溶性コーンファイバーはファイバー含量が約70%ないし約90%、又は約70%ないし約95%、又は約70%ないし約100%、約75%ないし約85%、又は約75%ないし約90%、又は約75%ないし約95%、又は約75%ないし約100%、又は約70%ないし約85%(w/w)の範囲である。1つの実施形態において、ファイバー含量は約70%(w/w)である。他の実施形態において、ファイバー含量は約85%(w/w)である。当業者は、ファイバー含量が当該技術分野に公知である任意の好適な方法、例えば酵素質量測定法、液体クロマトグラフィー、気体-液体クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、パルスアンペロメトリック検出法が伴われる高性能アニオン交換クロマトグラフィー(HPAE-PAD)及びその他の酵素及び化学的方法により測定できることが分かる。好ましい実施形態において、ファイバー含量はHPAE-PADにより測定される。例えば、電気化学検出器及び勾配ポンプが備えられたDione×イオンクロマトグラフ、D×500が用いられ、溶媒の勾配伝達を用いるDione× Carbopac PAl分析コラム及びガードコラム上で分離され、4-電位波形と共にゴールド電極を用いて検出され、水で希釈され、分析前にAmicon Ultra-4遠心ろ過装置を通過するサンプルを分析する。
【0036】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーの単糖類及び二糖類含量は約20%未満である。例えば、ある実施形態において、可溶性コーンファイバーの単糖類及び二糖類含量は約15%未満、約10%未満、約5%未満、さらには約2%未満である。このようなある実施形態において、可溶性コーンファイバーの単糖類及び二糖類含量は約0%以上、約0.001%以上、約0.01%以上、さらには0.1%以上である。
【0037】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのオリゴ糖類は平均重合度が約5以上、約7以上又は約9以上である。例えば、本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのオリゴ糖類は平均重合度が約5ないし約20、約7ないし約20、又は約9ないし約20である。他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのオリゴ糖類は平均重合度が約5ないし約15、約7ないし約15、又は約9ないし約15である。例えば、本願に記述される方法及び組成物の1つの実施形態において、可溶性コーンファイバーのオリゴ糖類は平均重合度が約10である。
【0038】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのオリゴ糖類部分は摂取時、対象の胃及び小腸内に実質的に消化されないまま残っている。
【0039】
市販の好適な可溶性コーンファイバー製品は、PROMITORTM Soluble Corn Fiber 70(最小のファイバー含量は約70%、最大の単糖類及び二糖類含量は約20%)、及びPROMITORTM Soluble Corn Fiber 85(最小のファイバー含量は約85%、最大の単糖類及び二糖類含量は約2%)を含み、これは米国イリノイ州ホフマンエステーツ所在Tate & Lyle Health & Nutrition Sciences社から入手可能である。
【0040】
米国特許出願公開2008/0292766、2006/0210696及び2008/0175977に、本願に記述される方法及び組成物に用いるのに好適なある可溶性コーンファイバーがさらに記述されており、これらはそれぞれそれ全体が援用により本明細書に組み込まれ、本明細書に添付書類として添付される。本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーは米国特許出願公開2008/0292766、2006/0210696又は2008/0175977の態様又は実施形態に記述されたものと同様である。
【0041】
勿論、当業者が理解できるように、他の発酵性可溶性ファイバーが、本願に記述されたような組成物に対して及び方法を行う上で用いられ得る。本願に記述されるような他の特定の実施形態において、発酵性可溶性ファイバーは、選択的に可溶性コーンファイバーと組み合わせて、ポリデキストロース、可溶性ファイバーデキストリン(すなわち、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモデンプン)、アラビノキシラン、アラビノキシランオリゴ糖類、キシロース、遅消化性(難消化性)炭水化物及びオリゴ糖類及びこれらの機能的な組み合わせより選択される。本発明のある実施形態では可溶性コーンファイバーに関して記述されているが、当業者は、他の発酵性可溶性ファイバーを本発明のある実施形態で可溶性コーンファイバーの代わりに用いることができることが分かる。
【0042】
本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、それぞれそれ全体が援用により本明細書に組み込まれた米国特許7,608,436及び8,057,840に記述された工程により製造される。例えば、1つの実施形態において、発酵性可溶性ファイバーの製造工程は、少なくとも1つの単糖類又は線状糖類オリゴマーを含み、固形分濃度が約70質量%以上である、水性供給組成物の使用を含む。供給組成物は約40℃以上の温度で加熱され、グルコシル結合の切断又は形成速度を加速化する少なくとも1つの触媒と、非線状糖類オリゴマーの形成を誘導するのに十分な時間接触される。1つの特定の実施形態において、この工程は、少なくとも1つの単糖類又は線状糖類オリゴマーを含み、固形分濃度が約70質量%以上の水性供給組成物を約40℃以上の温度で加熱するステップ;及び供給組成物を、グルコシル結合の切断又は形成速度を加速化する少なくとも1つの触媒と、非線状糖類オリゴマーの形成を誘導するのに十分な時間接触させるステップを含み、ここで、生成組成物は、線状糖類オリゴマーより非線状糖類オリゴマーをより高い濃度で含有するように製造され;生成組成物は、少なくとも3の重合度を有する非線状糖類オリゴマーを、乾燥固形分を基準として約20質量%以上の濃度で含む。このようなある実施形態において、生成組成物は線状糖類オリゴマーより非線状糖類オリゴマーをより高い濃度で含有するように製造される。本工程の1つの実施形態において、少なくとも1つの触媒はグルコシル結合の切断又は形成速度を加速化する酵素である。本工程の他の実施形態において、少なくとも1つの触媒は酸である。本工程の一部の実施形態において、酸及び酵素は順次に用いることができ、供給組成物が先に酵素で処理された後、次いで酸で処理されるか、又はその反対であってもよい。
【0043】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関し記述された工程のある実施形態において、水性供給組成物は少なくとも1つの単糖類及び少なくとも1つの線状糖類オリゴマーを含み、それぞれ幾らか含有することができる。多くの場合、単糖類及びオリゴ糖類は供給組成物の乾燥固形分を基準として約70質量%以上を構成するようになる。所望のオリゴマーの収率を最大化するため、出発物質は、できるだけ高濃度の単糖類を有することが一般的に有益である。高い固形分濃度は加水分解から縮合(逆反応)まで平衡を成す傾向があり、これによってより高い分子量の生成物が生成される。よって、出発物質の含水量は好ましくは相対的に低い。例えば、ある実施形態において、供給組成物は乾燥固形分を約75質量%以上で含む。(「乾燥固形分」は本願で「ds」で略称することがある)。一部の場合において、供給組成物は固形分を約75質量%ないし約90質量%で含み、これは一般的に室温で粘性シロップ又は湿った粉末の様相を与える。
【0044】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述されたような工程に好適な出発物質の例として、デンプンの加水分解により製造されたシロップ、例えばデキストロースグリーンシロップ(すなわち、デキストロース一水和物結晶化で形成された母液のリサイクルストリーム)、他のデキストロースシロップ、コーンシロップ及びマルトデキストリン溶液を含むが、これらに限定されるものではない。供給組成物がマルトデキストリンを含む場合、この工程は任意に、マルトデキストリンを加水分解して加水分解された糖類溶液を形成するステップ、及び加水分解された糖類溶液を約70%以上の乾燥固形分に濃縮させて供給組成物を形成するステップを含んでもよい。濃縮及び供給物と触媒との接触は同時になされてもよく、あるいは濃縮が先に起きた後、供給組成物と触媒が接触してもよい。
【0045】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述されたような工程のある実施形態において、供給組成物は少なくとも1つの触媒と様々な期間で接触される。一部の場合において、接触期間は約5時間以上となる。本発明の一部の実施形態において、供給組成物は少なくとも1つの触媒と約15時間ないし約100時間接触される。他の実施形態において、より高い温度ではより短い接触時間が用いられてもよく、一部の場合ではひいては1時間未満の場合もある。
【0046】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述されたような工程のある実施形態において、酵素の逆反応は非線状オリゴ糖類の製造に用いられる。酵素は、例えば、デキストロース残基を形成するためのアルファ1-2、1-3、1-4、又は1-6グルコシル結合の切断速度を加速化するものであってもよい。1つの好適な例は、グルコアミラーゼ酵素組成物、例えばグルコアミラーゼとして指定される市販の酵素組成物である。このような組成物は純粋なグルコアミラーゼではない酵素を一定の量含有し得るものと理解されるべきであり、事実上それ自体が非線状オリゴ糖類の所望の生成を促進するグルコアミラーゼであると仮定してはならない。よって、供給組成物はグルコアミラーゼ、又はデキストロースポリマーに作用する任意の他の酵素と接触してもよい。酵素の量は好適には供給組成物の約0.5体積%ないし約2.5体積%であり得る。本工程の一部の実施形態において、供給組成物は酵素との接触の間、約55℃ないし約75℃、又は一部の場合において約60℃ないし約65℃で維持される。この温度では、含水量に応じて物質は液体になるか又は液体と固体の混合物となる。任意に、反応混合物が混合又は撹拌され、酵素を分布させてもよい。反応混合物は所望の温度で、非線状オリゴマーの逆反応を所望の程度達成するのに必要な時間維持される。本工程の一部の実施形態において、供給組成物は酵素と約20時間ないし約100時間接触された後に酵素が不活性化されるか、又は一部の場合においては約50時間ないし約100時間接触された後に不活性化される。グルコアミラーゼの不活性化技術は当該技術分野においてよく知られている。他の例として、酵素を不活性化させる代わりに、酵素を膜ろ過により分離した後、リサイクルしてもよい。
【0047】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述されたような工程のある実施形態において、生成される組成物はイソマルトースのような非線状オリゴ糖類を高濃度で有する。このような生成組成物は線状糖類オリゴマーよりも非線状糖類オリゴマーをより高い濃度で含む。一部の場合においては、最終組成物内の非線状糖類オリゴマーの濃度は線状糖類オリゴマーの濃度の2倍以上である。
【0048】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述されたような工程の他の実施形態は単糖類の酸の逆反応を伴う。出発物質はこの工程の酵素の逆反応に関して前述されたものと同様である。塩酸、硫酸、リン酸又はこれらの組み合わせのような様々な酸を用いてもよい。本工程の一部の実施形態において、酸は、供給組成物のpHを約4以下にするのに十分な量で供給組成物に添加されるか、一部の場合において、供給組成物のpHを約1.0ないし約2.5、又は約1.5ないし約2.0にするのに十分な量で供給組成物に添加される。一部の実施形態において、供給組成物の固形分濃度は約70%ないし約90%であり、供給物に添加される酸の量はシロップの乾燥固形分を基準として約0.05%ないし約0.25%(w/w)の酸固形分であり、供給組成物は酸との接触の間、約70℃ないし約90℃の温度で維持される。本工程の酵素の逆反応と共に、反応条件は所望のオリゴマーを生成するのに十分な時間維持され、これは工程の一部の実施形態においては約4時間ないし約24時間となる。
【0049】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述された工程の1つの特定の実施形態において、供給組成物の固形分濃度は約80質量%以上であり、酸は、組成物のpHを約1.8にするのに十分な量で供給組成物に添加され、供給組成物は酸と接触された後に約80℃以上の温度で約4時間ないし約24時間維持される。
【0050】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述された工程の他の特定の実施形態において、供給組成物の固形分濃度は約90質量%ないし約100質量%であり、供給組成物は酸と接触された後約149℃(300°F)以上の温度で約0.1分ないし約15分間維持される。供給物を処理するのに用いられる酸はリン酸と塩酸の組み合わせ(前記と同様の濃度である)であってもよい。1つの特定の実施形態において、供給組成物と酸の接触は反応器を介して連続パイプ/流動によってなる。
【0051】
これまで、デンプンの中で最も豊かなグリコシド連結はアルファ-1,4連結であって、これはデンプンの酸加水分解の間に最も一般的に切断される連結である。しかし、酸触媒化された逆反応(縮合)は任意の2個のヒドロキシル基の間で行われ、非常に様々な組み合わせ及び形状が利用可能な場合、アルファ-1,4連結が形成される確率は相対的に少ない。ヒトの消化器系は、デンプン及びコーンシロップのアルファ-1,4連結を容易に消化するアルファアミラーゼを含む。これらの連結を、消化器系酵素により認知されない連結に置き換えると、生成物はほぼ変わらないまま小腸を通過することができるようになる。酸処理による糖類分布は酵素処理による糖類分布と多少の差があると考えられる。これらの酸触媒化された縮合生成物はヒトの腸で酵素生成される生成物よりも酵素により認知されにくく、消化されにくいと考えられる。
【0052】
酸処理は酵素処理と異なるように進行される。酵素は線状オリゴマーを速やかに加水分解して非線状オリゴマーを徐々に形成する一方、酸を用いる場合、線状オリゴマーの減少及び非線状オリゴマーの増加は類似した速度でなされる。デキストロースはオリゴマーの酵素加水分解により速やかに形成され、非線状縮合生成物が形成されるように徐々に摂取される一方、酸を用いる場合、デキストロース濃度は徐々に増加する。
【0053】
任意に、米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述された工程のある実施形態において、酵素の逆反応又は酸の逆反応の後に水素化が行われてもよい。水素化された生成物は現在入手可能な水素化されたデンプンの加水分解物よりもより低いカロリー含量を有するべきである。1つの実施形態において、水素化は、デキストロース等価(DE)を実質的に変化させることなく、生成組成物を脱色させるのに用いることができる。本工程の一形態において、酵素及び酸は任意の手順で順次に用いることができる。例えば、第1処理に用いられる少なくとも1つの触媒が酵素であってもよく、生成組成物が続いてグルコシル結合の切断又は形成速度を加速化する酸と接触してもよい。あるいは、第1処理に用いられる少なくとも1つの触媒が酸であってもよく、生成組成物が続いてグルコシル結合の切断又は形成速度を加速化する酵素と接触してもよい。
【0054】
酸、酵素又は両方で処理されることにより生成される生成組成物は、乾燥固形分を基準として非線状糖類オリゴマーを増加した濃度で有する。一部の場合において、生成組成物において重合度が3(DP3+)以上の非線状糖類オリゴマーの濃度は、乾燥固形分を基準として約20%以上、約25%以上、約30%以上又は約50質量%以上である。このようなある実施形態において、生成組成物において重合度が3(DP3+)以上の非線状糖類オリゴマーの濃度は、乾燥固形分を基準として約100%以下、又は約99%以下、又は約95%以下、又は約90質量%である。一部の実施形態において、生成組成物内の非線状糖類オリゴマーの濃度は線状糖類オリゴマーの濃度の2倍以上である。
【0055】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述された工程の1つの特定の実施形態において、生成組成物内の非線状糖類オリゴマーの濃度は、乾燥固形分を基準として約90質量%以上であり、イソマルトースの濃度は、乾燥固形分を基準として約70質量%以上である。
【0056】
生成組成物はしばしば残留単糖類をある程度の量(典型的には乾燥固形分を基準として50質量%未満、時にはこれよりさらに少ない量)で含むようになる。任意に、残留単糖類(及び他の化学種)のうち少なくとも一部は(例えば、膜ろ過、クロマトグラフィー分離、又は発酵を介した消化により)オリゴマーから分離されてもよく、単糖類ストリームが工程供給物内にリサイクルされてもよい。このような方式で、単糖シロップは高価(high-value)な食品添加剤に変換され得る。
【0057】
図1は、上述した逆反応技術を用いることのできる工程の1つの実施形態を示したものである。工程はデンプン、例えば植物性デンプンで開始してもよい。従来のトウモロコシデンプンは1つの好適な例である。工程は一般的に、開始デンプンが相対的に高い純度を有する場合、より効率よく作動するはずである。1つの実施形態において、高純度のデンプンはタンパク質を乾燥固形分を基準として0.5%未満で含む。下記の考察のうちの一部はトウモロコシに焦点を合わせているが、本発明は他の供給源、特に例えばジャガイモ及び小麦由来のデンプンにも適用可能であると理解されるべきである。
【0058】
米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述された工程のある実施形態は、
図9に図式的に例示される。
図9に示されたように、デンプン10はそれに添加される酸12を有することができ、その後、デンプン粒が蒸気と接触されるデンプン調理器、例えばジェット調理器(jet cooker)でゼラチン化14できる。本工程の一形態において、硫酸の添加により目標pH3.5に調整されたデンプンスラリーはジェット調理器で速やかに蒸気と混合され、テールライン(tail line)で149℃ないし152℃(300°Fないし305°F)で4分間維持される。ゼラチン化されたデンプン16はジェット調理の間、高温で酸に露出されることで加水分解18される。加水分解はデンプンの分子量を減少させ、組成物内の単糖類及びオリゴ糖類の百分率を増加させる(前述したように、用語「オリゴ糖類」は、本願では少なくとも2つの糖類単位を含む糖類、例えば重合度(DP)が約2ないし30である糖類を示すのに用いられる)。酸加水分解を中断させるために炭酸ナトリウムのような中和剤20が添加されてもよく、その後、組成物は、これを加水分解酵素22と接触させることでさらに脱重合24され得る。好適な酵素はテルマミル(Termamyl)のようなアルファアミラーゼを含み、これはNovozymes社から入手可能である。この酵素加水分解は組成物に存在する単糖類及びオリゴ糖類の百分率をさらに増加させる。酸及び酵素処理による加水分解の全般的な結果はデンプンを糖化させることである。糖化された組成物は異性化されて単糖類プロファイルを変化させ、例えばフルクトースの濃度を増加させることができる。
【0059】
その後、糖化された組成物26は、例えばクロマトグラフィー分画化28により精製することができる。順次的な擬似移動床式(SSMB)クロマトグラフィー方法を適用する1つの実施形態において、混合型糖類の溶液は樹脂ビーズで充填されたコラムを介してポンピングされる。樹脂の化学的性質により、糖類のうちの一部は樹脂とより強く相互作用し、樹脂とより弱く相互作用する糖類に比べて樹脂を介する流動が遅延することになる。このような分画化は、デキストロース及びフルクトースのような単糖類を高含量で有する1つのストリーム30を生成することができる。高フルクトースコーンシロップはこのようなストリームの一例である。分画化はまた、オリゴ糖類を相対的に高い濃度(例えば、乾燥固形分を基準として(d.s.b.)約5%ないし約15%のオリゴ糖類)で有するだけでなく、デキストロース及びフルクトースのような単糖類をより小さい濃度で含むラフィネートストリーム32(すなわち、樹脂床を介してより速く移動する成分)を生成する。用語「ストリーム」が本願において工程のある部分を記述するのに用いられても、本発明の工程は連続的な作動に制限されないものと理解されるべきである。本工程はまた、バッチ又はセミバッチ式で行うことができる。
【0060】
ラフィネート32は、選択的に透析ろ過と共に、膜ろ過34、例えばナノろ過によりさらに分画化されてもよい。例えば、これらのろ過ステップは約500psiの圧力及び40℃ないし60℃の温度でDesal DK渦巻き型ナノろ過カートリッジを用いて行ってもよい。ステップ34に記述された分画化はまた、順次的な擬似移動床式クロマトグラフィー(SSMB)により達成され得る。膜ろ過は、主に単糖類を含む透過物36(すなわち、膜を通過する成分)と、主にオリゴ糖類を含む残余分38(すなわち、膜を通過することができない成分)を生成する(本願で用いられるように、「主に」は、組成物が列挙された成分を乾燥固形分を基準として任意の他の成分よりもより多く含有することを意味する)。透過物36はモノマーストリーム30(例えば、高フルクトースコーンシロップ)と組み合わされてもよい。透過物は単糖類が豊富なストリームであり、残余分はオリゴ糖類が豊富なストリームである。すなわち、ナノろ過は、ナノろ過供給物に比べ、残余分にオリゴ糖類を濃縮させて透過物に単糖類を濃縮させる。
【0061】
オリゴ糖類シロップ40として記述されてもよい残余分38は遅消化性オリゴ糖類を十分に高含量(例えば、少なくとも約50質量%d.s.b.、又は一部の場合で少なくとも約90%)で有することができ、残余分は乾燥されるか又は単純に蒸発されて濃縮シロップになることができ、食品における成分として用いることができる。しかし、多くの場合、これはこの組成物のさらなる工程及び精製に有用である。このような精製は下記のステップのうち1つ以上を含むことができる(
図9は代案として4種類のこのような精製ステップ(42、44、46及び48)を示しているが、これらのステップのうちの2つ以上が工程で用いることができると理解されるべきである)。
【0062】
オリゴマーシロップ40は、フルクトース及びデキストロースのような残留単糖類の少なくとも一部を除去するために他の分画化42、第2のナノろ過のような膜ろ過で処理されてもよい。好適なナノろ過条件及び装備は前述したものと同様である。このようなナノろ過は第2の単糖類が豊富なストリームである透過物を生成し、これはモノマーストリーム30と組み合わされてもよい。他の例として、さらなる分画化42はクロマトグラフィー分離、例えば擬似混床クロマトグラフィーにより行うことができる。
【0063】
シロップ41は、これをデキストロース理性化酵素のような酵素と接触させることで異性化44できる。これは存在する残余デキストロースのうち少なくとも一部をフルクトースで変換させるものであり、フルクトースはある状況でより価値を持ち得る。
【0064】
シロップは酵素又は酸で処理され、まだ存在している単糖類のうち少なくとも一部が異なる単糖類又はオリゴ糖類に共有結合される逆反応又は再重合46を誘発することができ、これによりシロップの残余モノマーの含量をさらに減少させることができる。このステップに用いるのに好適な酵素は、例えばアミラーゼ、グルコアミラーゼ、トレンスグルコシダーゼ及びプルラナーゼといったグルコシダーゼを含む。セルラーゼ酵素は一部の適用に価値のある逆反応生成物を生成することができる。
【0065】
シロップは水素化48され、任意の残留単糖類のうち少なくとも一部を相応するアルコールに変換(例えば、デキストロースをソルビトールに変換)させることができる。水素化が工程に含まれる場合、これは典型的に(しかし、必ずしもそうではない)、最後の精製ステップとなる。
【0066】
その後、1つ以上の前記精製ステップにより生成される精製されたオリゴマーシロップ49は脱色50することができる。脱色は活性炭で処理された後、例えば、微細ろ過により行うことができる。連続的な流動システムにおいて、シロップストリームは粒状活性炭が充填されたコラムを介してポンピングされて脱色を達成できる。その後、脱色されたオリゴマーシロップは例えば約70%乾燥固形分(d.s.)超過で蒸発52され、オリゴ糖類を高含量(例えば、90質量%d.s.b.超過、一部の場合に95%超)で含んで単糖類を相応的に低含量で含む生成物が得られる。生成物はヒトにより完全に消化不可能でない場合、遅消化性であるか不完全に消化される複数の糖類を含む。これらの糖としては、重合度が4以上の分枝オリゴマー、イソマルトース及びパノースを含むことができる。
【0067】
工程条件は、モノマーが豊富なストリーム(30、36)又はオリゴマー生成物ストリームの供給物内で大部分のマルトースを回収するように変形することができる。例えば、500psi未満の圧力で作動するDesal DLのようにやや大きな気孔を有するナノろ過膜が用いられ、モノマーが豊富なストリームでマルトースの量を増加させることができる。
【0068】
本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、発酵性可溶性ファイバーは食品に用いるのに好適な遅消化性糖類オリゴマー組成物である。本願で用いられるように、用語「遅消化性」とは、1つ以上の炭水化物がヒトの胃及び小腸で全く消化されないか、制限された範囲でのみ消化されることを意味する。試験管内及び生体内での試験の両方をヒトにおける炭水化物の消化の速度及び範囲を推定するために行うことができる。「イングリストアッセイ(Englyst Assay)」は、易消化性炭水化物成分、遅消化性炭水化物成分、又は難消化性炭水化物成分の量を推定するために用いることができる試験管内の酵素試験である(欧州臨床栄養学雑誌(1992)46巻(付録2)、ページS33-S50)。よって、本願で「遅消化性」物質の「乾燥固形分を基準として約50質量%以上」に対する任意の参照は、イングリストアッセイにより遅消化性と分類されるか又は耐性であると分類される該当する物質の%の和が約50%以上に達することを意味する。用語「オリゴ糖類」及び「糖類オリゴマー」は、本願において少なくとも2つの糖類単位を有する糖類、例えば重合度(「DP」)が約2ないし30である糖類を示すのに用いられる。例えば、二糖類はDPが2である。
【0069】
胃腸酵素は炭水化物を容易に認識して消化させ、ここで、デキストロース単位は連結されたアルファ(1→4)(「線状」連結)である。これらの連結を他の連結(例えば、アルファ(1→3)、アルファ(1→6)(「非線状」連結)、又はベータ連結)に置き換える場合、炭水化物を消化させる胃腸酵素の能力が大きく減少する。これは、炭水化物が大きく変わらないまま小腸内で通過するようになるためであろう。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは残留単糖類を最小量(すなわち、乾燥固形分を基準として50質量%未満、通常さらに低い濃度、例えば、40質量%未満、30質量%未満)で含む。本願に記述されるような一部の実施形態において、乾燥固形分を基準として、約50質量%以上の生成組成物が遅消化性である。米国特許7,608,436及び8,057,840に関して記述されたような工程は、残留単糖類(及び選択的に他の化学種)のうち少なくとも一部を膜ろ過、クロマトグラフィー分画化、又は発酵を介した消化により生成組成物から除去する付加的なステップを含むことができる。分離された単糖類は、例えばデキストロース又はコーンシロップの製造のために、他の工程のストリームと組み合わされてもよい。あるいは、分離された単糖類が供給組成物内にリサイクルされてもよい。
【0070】
本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、発酵性可溶性ファイバーは、線状糖類オリゴマー及び非線状糖類オリゴマーを乾燥固形分を基準として主要量(例えば、50%超、約60%超又は約70%超)で含み、ここで、非線状糖類オリゴマーの濃度は線状糖類オリゴマーの濃度より大きく、重合度が3以上の非線状糖類オリゴマーの濃度は、乾燥固形分を基準として約20質量%以上である。例えば、ある実施形態において、組成物内の非線状糖類オリゴマーの濃度は線状糖類オリゴマーの濃度の2倍以上である。ある実施形態において、重合度が3以上の非線状糖類オリゴマーの濃度は、乾燥固形分を基準として約25質量%以上である。ある実施形態において、重合度が3以上の非線状糖類オリゴマーの濃度は、乾燥固形分を基準として約30質量%以上、ひいては50質量%以上である。ある実施形態において、非線状糖類オリゴマーの濃度は、乾燥固形分を基準として約90質量%以上であり、イソマルトースの濃度は、乾燥固形分を基準として約70質量%以上である。
【0071】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、約3g/日以上の割合で投与される。例えば、ある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、約5g/日以上、約7g/日以上、約10g/日以上、約12g/日以上、約13g/日以上、約15g/日、ひいては約20g/日以上、及び約100g/日以下、又は75g/日以下の割合で投与される。具体的に、臨床的に関連した胃腸の最大許容量は12時間にわたって拡散する場合(正常な食事日)65g/日であり、及び/又は40g/急性ボーラス日(acute bolus day)である。これらは両方とも最大許容量が良好な用量である。ここで、このようなある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは12時間約65g以下、及び/又は単一ボーラスで約40g以下の割合で投与される。
【0072】
例えば、本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、約3g/日ないし約100g/日の範囲の割合で投与される。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、約10g/日ないし約100g/日、又は約12g/日ないし約100g/日の範囲の割合で投与される。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、約5g/日ないし約65g/日、約5g/日ないし約40g/日、約5g/日ないし約30g/日、約5g/日ないし約20g/日、約10g/日ないし約65g/日、約10g/日ないし約40g/日、約10g/日ないし約30g/日、約15g/日ないし約65g/日、約15g/日ないし約40g/日、約15g/日ないし約30g/日、約5g/日ないし約15g/日、約7g/日ないし約15g/日、約9g/日ないし約15g/日、又は約10g/日ないし約15g/日、約12g/日ないし約20g/日、約13g/日ないし約20g/日、約14g/日ないし約20g/日、約15g/日ないし約20g/日、約16g/日ないし約20g/日、約17g/日ないし約20g/日、約18g/日ないし約20g/日、又は約19g/日ないし約20g/日の範囲の割合で投与される。本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、約5g/日、約6g/日、約7g/日、約8g/日、約9g/日、又は約10g/日の範囲の割合で投与される。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、約11g/日ないし約20g/日の範囲の割合で投与される。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは、約11g/日、又は約12g/日、又は約13g/日、又は約14g/日、又は約15g/日、又は約16g/日、又は約17g/日、又は約18g/日、又は約19g/日、又は約20g/日の割合で投与される。
【0073】
与えられた日につき投与を任意の回数の用量に分割することができる。例えば、本願に記述される方法及び組成物の1つの実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは1日1回投与される(例えば、単一1回分)。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーは1日に複数回投与されるが、例えば、1日に2回又は1日に3回(例えば、複数回分、例えば、1日に2回分又は1日に3回分)投与される。複数の投与又は複数回分が用いられる場合、前述した一日当量は、最大許容量が良好な(すなわち、重度の腹部膨満感、鼓腸、胃の音、腹部痙攣、下痢、吐き気、及び/又は嘔吐を誘発しない)1回分当たり許容可能な量を提供するために、投与又は1回分の数で分けることができる。
【0074】
他の態様において、本開示内容は対象においてミネラル(例えば、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、カリウム及び/又はマグネシウム)吸収を増加させる方法を提供し、ここで、本方法は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを対象に経口投与するステップを含む。このようなある実施形態において、吸収が増加されるミネラルは、例えば、カルシウム及び/又は鉄のようなミネラルである。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、ミネラルは2価のカチオンとして吸収される。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、ミネラルはカルシウムである。本願に記述されるような方法及び組成物の他の実施形態において、ミネラルはカルシウム及び/又はマグネシウムである。本願に記述されるような方法及び組成物のある実施形態において、ミネラルはカルシウム及び/又は鉄である。本願に記述されるような方法及び組成物の他の実施形態において、ミネラルはカルシウム、マグネシウム及び/又は鉄である。ある実施形態において、投与は本願で記述されるものと異なっていてもよい。
【0075】
他の実施形態において、本開示内容は対象において1つ以上の結腸バクテリア集団を増加させてミネラル(例えば、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、カリウム及び/又はマグネシウム)吸収を増加させる方法を提供し、ここで、本方法は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを対象に経口投与するステップを含む。ある実施形態において、投与は本願で記述されるものと異なっていてもよい。
【0076】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、カルシウムの吸収は非処理対象に比べて約3%以上で増加する。本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、カルシウムの吸収は非処理対象に比べ、約5%以上、約6%以上、約7%以上、約8%以上、約9%以上、約10%以上、約11%以上、約12%以上、約13%以上、約14%以上、又は約15%以上で増加する。本願に記述される方法及び組成物の他の実施形態において、カルシウムの吸収は非処理対象に比べて約20%以上、又は約25%以上で増加する。本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、カルシウムの吸収は非処理対象に比べ、約20%以上、約25%以上、約30%以上、又は約35%以上で増加する。このようなある実施形態において、カルシウムの吸収は非処理対象に比べて約200%以下で増加する。このような他の実施形態において、カルシウムの吸収は非処理対象に比べて約100%以下で増加する。このような他の実施形態において、カルシウムの吸収は非処理対象に比べて約50%以下で増加する。カルシウムの吸収に要する時間は、例えば、24時間-48時間、例えば、36時間又は48時間の範囲とすることができる。
【0077】
本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、対象は哺乳類である。本願に記述される方法及び組成物の1つの実施形態において、対象はヒト、例えば、成人でないヒト(例えば、約2歳ないし約20歳の範囲、又は約13歳ないし約19歳の範囲)、又は高齢のヒト(例えば、約45歳以上、約50歳以上、約60歳以上、約70歳以上、約80歳以上、さらには約90歳以上、特に高齢の女性)である。ここで、ある実施形態において、本願に記述される方法及び組成物は特に、ミネラル(例えば、カルシウム)吸収増加から利益を得やすい対象に用いてもよい。
【0078】
1つ以上の結腸バクテリア集団の増加及び/又はカルシウムの吸収の増加効果はヒト及び動物の両方に関するものであるため、食品及び動物飼料に適用できるものと思われる。代表的な非ヒト動物では、馬、ニワトリ、七面鳥、牛(cattle)、乳牛(cow)、豚、羊、ヤギ、ラマ及びバイソンのような家畜、猫及び犬、げっ歯類、ウサギ、ハムスター及び鳥を含む。
【0079】
投与は長期間にわたり、例えば、約1週間以上、約2週間以上、約3週間以上、約4週間以上、約7週間以上、さらには約52週間以上行ってもよい。このような長期間の投与において、当業者は、投与を「逃す」日数があり得るが;逃した日数は好ましくは投与が行われる期間の総日数の約10%未満である。
【0080】
本発明の他の実施形態は、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを1回分当たり約2.5g以上で含む食用組成物である。例えば、本願に記述されるような食用組成物のある実施形態は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを1回分当たり約3g以上、約4g以上、約5g以上、約6g以上、約8g以上、約10g以上、さらには約20g以上で含む。このようなある実施形態において、食用組成物は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを1回分当たり100g以下、約50g以下、さらには約40g以下で含む。食用組成物は、例えば、後述するように食品組成物として提供することができる。他の実施形態において、食用組成物は栄養補充剤として提供される。このような食用組成物は本願に記述される方法を行うのに有用となり得る。
【0081】
本願に記述されるような組成物のこのようなある実施形態において、1回分の量は、例えば、約75g以上、約150g以上、さらには約200g以上となり得る。ある実施形態において、1回分の量は約1000g以下、さらには約500g以下である。例えば、1つの実施形態において、1回分の量は約75mLないし約1000mLの範囲である。ある実施形態においては、1回分ごとに個別に包装される。他の実施形態においては、複数回分が一緒に包装され、本願に記述されるように1回分の量及び/又は1回分当たりの可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーの量に関する情報と共に提供される。
【0082】
本発明の他の実施形態は、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを約2.5%以上、約3%以上、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、さらには約40質量%以上の量で含む食用組成物である。しかし、このようなある実施形態において、食用組成物は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを最大量、すなわち、約75質量%以下、さらには約50質量%以下の量で有する。食用組成物は、例えば、後述するような食品組成物として提供することができる。食用組成物は、例えば、本願に記述されるように、1回分の量及び/又は1回分当たりの可溶性コーンファイバーの量で提供することができる。
【0083】
本発明の他の実施形態は1つ以上(例えば、2以上、又は3以上)のバクテリア集団を含む食用組成物であり、それぞれラクトバシラス、バクテロイデス、パラバクテロイデス、アリスティペス、ビフィドバクテリウム、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタからなる群より選択される属だけでなく、表5で可溶性コーンファイバー投与により集団が増加すると示されたバクテリア、及び表6でカルシウムの吸収と相関関係があると示されたバクテリアに由来する。1つ以上のバクテリア集団は、例えば、プロバイオティクスとして作用することができる。ある実施形態において、本願に記述される食用組成物は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーを(例えば、前述したような量で)含む。しかし、他の実施形態において、食用組成物は発酵性可溶性ファイバーを含まない。このような実施形態は、例えば、食用組成物のバクテリア集団が発酵性可溶性ファイバと同時に結腸に存在するように、発酵性可溶性ファイバーを含む組成物に付加するか組成物と共投与するのに有用となり得る。ここで、ある実施形態において、対象は、発酵性可溶性ファイバー及びバクテリア集団を両方とも含む単一組成物を投与せずに、本願で同定されるバクテリア集団と発酵性可溶性ファイバーの組み合わせから利益を得ることができる。同様に、本願で同定されるバクテリア集団と発酵性可溶性ファイバーの組み合わせから利益を得るのに好適な生成物は、発酵性可溶性ファイバー及びバクテリア集団を両方とも含まないものに製剤化することができる。
【0084】
例えば、本願に記述される食用組成物のある実施形態において、食用組成物は1つ以上(例えば、2以上、又は3以上)のバクテリア集団を含み、それぞれはパラバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタ並びにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される属に由来する(例えば、それぞれは異なる属に由来する)。例えば、本願に記述される食用組成物の1つの実施形態はパラバクテロイデスの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はブチリキコッカスの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はオシリバクターの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はジアリスタの集団を含む。例えば、本願に記述される食用組成物のある実施形態はパラバクテロイデス及びブチリキコッカス;パラバクテロイデス及びオシリバクター;パラバクテロイデス及びジアリスタ;ブチリキコッカス及びオシリバクター;ブチリキコッカス及びジアリスタ;オシリバクター及びジアリスタ;パラバクテロイデス、ブチリキコッカス及びオシリバクター;パラバクテロイデス、ブチリキコッカス及びジアリスタ;パラバクテロイデス、オシリバクター及びジアリスタ;ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタ;又はパラバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタの集団を含む。
【0085】
本願に記述される食用組成物の他の実施形態において、食用組成物は1つ以上(例えば、2以上、又は3以上)のバクテリア集団を含み、それぞれはバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタ並びにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される属に由来する(例えば、それぞれは異なる属に由来する)。例えば、本願に記述される食用組成物の1つの実施形態はバクテロイデスの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はブチリキコッカスの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はオシリバクターの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はジアリスタの集団を含む。例えば、本願に記述される食用組成物のある実施形態は、バクテロイデス及びブチリキコッカス;バクテロイデス及びオシリバクター;バクテロイデス及びジアリスタ;ブチリキコッカス及びオシリバクター;ブチリキコッカス及びジアリスタ;オシリバクター及びジアリスタ;バクテロイデス、ブチリキコッカス及びオシリバクター;バクテロイデス、ブチリキコッカス及びジアリスタ;パラバクテロイデス、オシリバクター及びジアリスタ;ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタ;又はパラバクテロイデス、ブチリキコッカス、オシリバクター及びジアリスタの集団を含む。
【0086】
本願に記述される食用組成物の他の実施形態において、食用組成物は1つ以上(例えば、2以上、又は3以上)のバクテリア集団を含み、それぞれはパラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス目内の属(例えば、クロストリジウム、アナエロフスティス、アナエロコッカス、コプロコッカス、ペプトストレプトコッカセエ、スポラセチゲニウムではない);及びルミノコッカセエ科内の属並びにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される属に由来する(例えば、それぞれは異なる属に由来する)。例えば、本願に記述される食用組成物の1つの実施形態はパラバクテロイデスの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はビフィドバクテリウムの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はアリスティペスの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はアナエロコッカスの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はカテニバクテリウムの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はルミノコッカセエの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はクロストリジアーレスの集団を含む。例えば、本願に記述される食用組成物のある実施形態は、パラバクテロイデス及びビフィドバクテリウム;パラバクテロイデス及びアリスティペス;パラバクテロイデス及びアナエロコッカス;パラバクテロイデス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム及びアリスティペス;ビフィドバクテリウム及びアナエロコッカス;ビフィドバクテリウム及びカテニバクテリウム;ビフィドバクテリウム及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム及びクロストリジアーレス;アリスティペス及びアナエロコッカス;アリスティペス及びカテニバクテリウム;アリスティペス及びルミノコッカセエ;アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;ルミノコッカセエ及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びアリスティペス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びアナエロコッカス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アリスティペス及びアナエロコッカス;パラバクテロイデス、アリスティペス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、アリスティペス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アリスティペス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びアナエロコッカス;ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びカテニバクテリウム;ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;アリスティペス、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;アリスティペス、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;アリスティペス、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;アリスティペス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;アリスティペス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;アリスティペス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;アナエロコッカス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びアナエロコッカス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アリスティペス、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;パラバクテロイデス、アリスティペス、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アリスティペス、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アリスティペス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アリスティペス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アリスティペス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;パラバクテロイデス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、アナエロコッカス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;パラバクテロイデス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス及びカテニバクテリウム;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アリスティペス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、アナエロコッカス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;ビフィドバクテリウム、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びクロストリジアーレス;アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及びルミノコッカセエ;アリスティペス、アナエロコッカス、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;アリスティペス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエ;又はアナエロコッカス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス及びルミノコッカセエの集団を含む。勿論、当業者は、5個、6個又は7個の結腸バクテリア集団の任意の組み合わせが本願に記述される食用組成物に含まれることができ、それぞれはパラバクテロイデス、ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム、クロストリジアーレス目内の属;及びルミノコッカセエ科内の属からなる群より選択される異なる属に由来することが理解される。
【0087】
本願に記述される食用組成物の他の実施形態において、食用組成物は1つ以上(例えば、2以上、又は3以上)のバクテリア集団を含み、それぞれはパラバクテロイデス、ジアリスタ、アケルマンシア、及びラクノスピラセエ科内の属(例えば、ラクノスピラではない)からなる群より選択される属に由来する(例えば、それぞれは異なる属に由来する)。例えば、本願に記述される食用組成物の1つの実施形態はパラバクテロイデスの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はジアリスタの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はアケルマンシアの集団を含む。本願に記述される食用組成物の他の実施形態はラクノスピラセエの集団を含む。例えば、本願に記述される食用組成物のある実施形態はパラバクテロイデス及びジアリスタ;パラバクテロイデス及びアケルマンシア;パラバクテロイデス及びラクノスピラセエ;ジアリスタ及びアケルマンシア;ジアリスタ及びラクノスピラセエ;アケルマンシア及びラクノスピラセエ;パラバクテロイデス、ジアリスタ及びアケルマンシア;パラバクテロイデス、ジアリスタ及びラクノスピラセエ;パラバクテロイデス、アケルマンシア及びラクノスピラセエ;ジアリスタ、アケルマンシア及びラクノスピラセエ;又はパラバクテロイデス、ジアリスタ、アケルマンシア及びラクノスピラセエの集団を含む。
【0088】
勿論、当業者が理解するように、本願に記述されるようなバクテリア集団の特定の組み合わせを含む食用組成物は、本願で記述されているもの又は他のバクテリア集団をさらに含むことができる。例えば、組成物はビフィドバクテリウム属及びラクトバシラス属から選択される1つ以上のバクテリア集団をさらに含むことができる。
【0089】
食用組成物は、例えば、後述するように食品組成物として提供することができる。他の実施形態において、食用組成物は栄養補充剤として提供される。さらに他の実施形態において、食用組成物は、例えば、工程又は料理する間に、又はサービング又は摂取する際に食品組成物と混合される成分として提供される。食用組成物は、例えば、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバー、濃度、1回分の量及び/又は本願で記述されるような1回分当たりの可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーの量が提供され得る。組成物に添加されるバクテリア集団の量は所望の必要を満たすために当業者により調整され得る。一般的に、バクテリア集団それぞれは約1×103ないし約1×1010CFU(コロニー形成単位)の量で存在することができる。ある実施形態において、バクテリア集団それぞれは約1×105ないし約1×1010CFU、又は約1×106ないし約1×1010CFU、又は約1×107ないし約1×1010CFU、又は約1×108ないし約1×1010CFU、又は約1×103ないし約1×108CFU、又は約1×104ないし約1×108CFU、又は約1×105ないし約1×108CFU、又は約1×106ないし約1×108CFU、又は約1×105ないし約1×107CFU、又は約1×104CFU、又は約1×105CFU、又は約1×106CFU、又は約1×107CFU、又は約1×108CFU、又は約1×109CFU、又は約1×1010CFUの量で存在する。
【0090】
本発明の他の実施形態は、1つ以上のミネラル種をさらに含む前述したような食用組成物である。それぞれのミネラル種は、例えば、2価のミネラル種、又はカルシウム化学種、マグネシウム化学種、銅化学種、カリウム化学種、亜鉛化学種及び鉄化学種から選択される種であることができる。例えば、1つの実施形態において、食用組成物はカルシウムを含む。他の実施形態において、食用組成物はカルシウム及び/又はマグネシウムを含む。他の実施形態において、食用組成物はカルシウム、マグネシウム、及び/又は鉄を含む。ミネラル種は、例えば、カルボネート塩のような、塩、ハライド塩又は重炭酸塩として提供することができる。例えば、カルシウムは、例えばカルシウムカルボネート又はカルシウムグルコネートとして提供することができる。ミネラル(例えば、カルシウム)は例えば、用量又は1回分当たり約50mg以上、用量又は1回分当たり約100mg以上、用量又は1回分当たり約250mg以上、用量又は1回分当たり約500mg以上、ひいては用量又は1回分当たり約1000mg以上の量で提供することができる。このようなある実施形態において、カルシウムは用量又は1回分当たり約2000mg未満、さらには用量又は1回分当たり約1000mg未満で含まれる。食用組成物は、例えば、後述するように食品組成物として提供することができる。他の実施形態において、食用組成物は栄養補充剤として提供される。食用組成物は、例えば、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバー、濃度、1回分の量及び/又は本願で記述されるような1回分当たりの可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーの量を提供することができる。
【0091】
他の実施形態において、本開示内容の組成物は前述したようなミネラル種を含まない。
【0092】
本発明の他の実施形態は、1つ以上の付加的なプレバイオティクスをさらに含む前述したような食用組成物である。プレバイオティクスの例は、イヌリン、ラクツロース、フラクトオリゴ糖類、マンノオリゴ糖類、カラマツアラビノガラクタン、キシロオリゴ糖類、ポリデキストロース及びタガトースを含むが、これらに限定されるものではない。ある実施形態において、本開示内容は前述したような食用組成物を提供し、ここで、プレバイオティクは0.025gないし10gの範囲である。ある実施形態において、プレバイオティクは約0.1ないし約10g、又は約1ないし約10g、又は約0.1ないし約5g、又は約1ないし約5g、又は約5ないし約10g、又は約5ないし約8g、又は約2ないし約8g、又は約2ないし約5g、又は約2ないし約8g、又は約0.05g、又は約0.1g、又は約1g、又は約2g、又は約5g、又は約8g、又は約10gの量で存在する。
【0093】
1つの実施形態において、本開示内容の組成物は前述したような1つ以上の付加的なプレバイオティクスを含まない。例えば、1つの実施形態において、本開示内容の組成物はイヌリン、ラクツロース、フラクトオリゴ糖類、マンノオリゴ糖類、カラマツアラビノガラクタン、キシロオリゴ糖類、ポリデキストロース及びタガトースからなる群より選択されるプレバイオティクスのうち1つ以上を含まない。他の実施形態において、本開示内容の組成物はイヌリンを含まない。さらに他の実施形態において、本開示内容の組成物はプルランを含まない。
【0094】
任意に、食用組成物又は食品組成物はまた、付加的な栄養性又は非栄養性糖類及び/又は多糖類を含むことができる。1つの実施形態において、食用組成物はソルビトール、プルラン又はこれらの組み合わせを含む。ソルビトールは糖の甘味のうち約60%を食品に伝達するが、著しく減少した水準のカロリー含量(2.6kcal/g対4.0kcal/g、Livesay)及び無視可能な血糖反応を有する。プルランガムは遅消化性炭水化物であり、易消化性炭水化物に比べてヒトにおいて約50%の相対的血糖反応を生じさせるが、糖と類似したカロリー含量を食品に伝達することができる。
【0095】
1つの実施形態において、食品生産物は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバー約50%ないし約99%、フルクトース0%ないし50%、プルラン0%ないし33%、及びソルビトール0%ないし33%を含み、但し、フルクトース、プルラン又はソルビトールの少なくとも1つの濃度が1%以上である(これらの%は全て質量%である)。他の実施形態において、食品生産物は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバー約60%ないし約80%、フルクトース1%ないし20%、プルラン0%ないし20%、及びソルビトール0%ないし20%を含む。さらに他の実施形態において、食品生産物は可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバー約65%ないし約75%、フルクトース5%ないし15%、プルラン5%ないし15%、及びソルビトール5%ないし15%を含む。高強度の甘味料を含む実施形態において、当該成分の濃度は約0.001%ないし0.5%であり得る。
【0096】
食用組成物又は食品組成物は任意に、抵抗性デンプン又は他のファイバー供給源を含有することもできる。
【0097】
当業者が理解するように、本願に記述される組成物は本願の他の箇所に記述された方法を実施するのに用いることができる。
【0098】
用語「食用」及び「食用組成物」は本願では、ヒトが摂取できる様々な成分、例えば食べ物、飲み物、及びシロップ、粉末、カプセル又は錠剤のような医学的補充剤及び栄養補充剤の剤形を含むように広範囲な意味で用いられ、用語「食品」及び「食品組成物」は、食品と飲み物及びこれらの成分を意味するようにより狭く用いられる。好適な食品組成物は、焼成食品、朝食用シリアル、酪農製品、豆製品、糖菓製品、ジャム及びゼリー、飲み物(粉末型及び/又は液体)、シェーキ、フィリング、ヨーグルト(酪農ヨーグルト及び非酪農ヨーグルト)、ケフィア、押出型スナック及びシート型スナック、ゼラチンデザート、スナックバー、食事代用物及びエネルギーバー、チーズ及びチーズソース(酪農チーズ及び非酪農チーズ)、食用フィルム及び水溶性フィルム、スープ、シロップ、卓上甘味料、栄養補充剤、ソース、ドレッシング、クリーマー、アイシング、アイスクリーム、フロスティング、グレーズ、ペットフード、トルティーヤ、肉類及び魚類、ドライフルーツ、乳幼児用食品、及び生地及び衣を含むがこれらに限定されない様々な形態であり得る。
【0099】
食品組成物で風味増強剤として用いるのに好適な食品生産物を製造するために、多くの場合、天然香料及び人工香料を含むことも好ましい。このような香料の好適な例では、リンゴ、かんきつ類、ぶどう、オレンジ、チェリー、レモン、ライム、バニラ、桃、ピーナッツバター、パイナップル、石榴、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ジャスミン、ラベンダー、ミント、いちご、バナナ、マンゴー、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、キウイ、チョコレート、メープル、ラム、バター及びこれらの組み合わせを含む。
【0100】
ある実施形態において、食用組成物は、例えば、粉末型飲み物及び栄養補充剤を製造するのに用いられるもののような、凝集粉末形態である。
【0101】
食品において甘味料組成物として用いるのに好適な食品生産物を製造するために、多くの場合、非栄養性高強度の甘味料を含むことも好ましいはずである。このような非栄養性高強度の甘味料の好適な例では、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、羅漢果、ステビア及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0102】
当業者は、可溶性コーンファイバーのような発酵性可溶性ファイバーが、粉末、凝集粉末、シロップ又は濃縮されたシロップ固形分のようないくつかの異なる物理的形態のうち任意の形態で提供できることが分かる。1つの実施形態において、可溶性ファイバーは微粒子形態である。微粒子は結合剤、例えば主要量のマルトデキストリンを含む結合剤組成物により一緒に固定できる。微粒子の凝集は溶解及び分散速度の面で利点を有し得る。これは、混合のより速やかな溶解及びより低いせん断速度が重要な適用、例えば卓上糖代替物、卓上ファイバー補充剤、及びオンザゴー乾燥粉末ドリンクミックス製品(on-the-go dry powder drink mix product)のような適用に有用となり得る。
【0103】
本願に記述されるような食用組成物に用いるのに好適な付加的な態様は、その全体が援用により本明細書に組み込まれた米国特許出願公開2008/0292766、2006/0210696及び2008/0175977にさらに記述されており、本明細書に添付書類として添付される。本願に記述される方法及び組成物のある実施形態において、食用組成物は米国特許出願公開2008/0292766、2006/0210696又は2008/0175977の態様又は実施形態に記述されたような形態であり、それに記述された付加的な成分を用いる。
【0104】
本発明のある態様は、後述する実験的研究に関してさらに記述されている。
【0105】
実施例1
対象及び方法
対象
13歳ないし15歳の少年15人及び12歳ないし14歳の少女9人がこれらの代謝研究に参加した。スクリーニングアンケートを用いて、簡単な医学的履歴、成熟年齢、身体的活性、及び6日間の食餌記録で評価した習慣的な食餌摂取を基に適格性を確認した。排除範疇は、非正常な肝臓又は腎臓の機能、吸収不良障害、貧血、喫煙、カルシウム代謝に影響を与える薬剤(ステロイド、チアジド系利尿剤)の履歴、年齢別5ないし95BMI百分率以外の体重、不正薬物、非処方薬物又は任意の種類の避妊剤の定期的な摂取、及び妊娠を含む。対象に、これらの研究に参加する間に栄養補充剤を摂取することを許容せず、キャンプに来る前に使用を中断することを要求した。
【0106】
研究設計
夏のキャンプ環境を有するように設計されたこの研究は、7日間の休薬期間により分離された2回の3週間のバランス研究で構成された。この実験は、参加者が12gの可溶性コーンファイバー又は偽薬の2つの処理を無作為の順で受け、二重盲検のクロスオーバーデザインを用いた。
【0107】
食餌
調節された食餌が二つのキャンプ期間全体に提供され、スパゲッティ、ハンバーガー、サンドイッチ及びポテトチップスのように青少年が典型的に取る食品を含む。対象を、ハリス-ベネディクトの式(Harris-Benedict equation)を利用して計算した推定エネルギー要求量に基づき5個のエネルギーレベル(1750、2100、2400、2700及び3000キロカロリー)の1つに割り当てた。食餌は体重を維持し、主要栄養分を一定の水準で含有するように設計した。調節された食餌は毎日3回の食事及び2回の間食で構成された4日間のサイクルメニューとして提供した。食餌は平均的に、タンパク質14%、脂肪33%、炭水化物53%、ビタミンD200IU、リン1100mg、ナトリウム2300mg及びカルシウム600mgを含む。ファイバー15gを基本食餌に含ませ、介入は付加的な0又は12gのSCFを添加した。これにより、コントロール及びSCF処理のそれぞれに対して総食餌ファイバー含量を15g及び27gで提供した。SCFはWELCH’S(登録商標)フルーツスナックとして提供し、昼食と夕食に提供される0g又は6g用量の2つに分けた。Tate & Lyle Health & Nutrition Sciences社(米国イリノイ州ホフマンエステーツ所在)により提供されるSCFは、おおよその質量-平均重合度が10であり、α-1,4、α-1,6、α-1,3及びα-1,2結合を有する可溶性食餌ファイバーを70%超で含有する。
【0108】
人体測定法(anthropometrics)及び骨測定
質量、座高、両大転子の幅、ウエスト周囲及びヒップ周囲を含む人体測定をキャンプの第1期間で行った。壁掛け式スタジオメーターを用いて身長を第1期間の開始時に測定し、体重を電子デジタルスケールを用いて毎朝モニタリングし、全期間にわたり体重が安定して維持されたことを確認した。骨塩量(BMC)及び骨密度(BMD)を1つのバランス期間中に二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)(米国ウィスコンシン州マディソン所在GE Lunar)により測定した。骨測定は全身、脊椎、前腕及び両尻で測定した。
【0109】
骨代謝のホルモン及び生化学的マーカー
一般的な血液化学を確認するために断食状態のベースライン血液の採血をキャンプの初日に行い、参加者の臨床的なプロファイル及び健康を立証した。第2断食サンプルをキャンプの終了時に採取し、骨動力学の生化学的マーカー及びカルシウムとビタミンD代謝に関連したホルモンを測定した。
【0110】
サンプル収集及び分析
全ての尿及び排泄物サンプルをそれぞれのバランス期間の第1日から第21日まで収集し、24時間収集としてプーリングした。食餌、排泄物及び尿サンプルのカルシウム含量を誘導結合プラズマ光学発光分析(Optima 4300 DV、Perkin Elmer Instrument)を用いて前述したように測定した。全ての排泄物サンプルを冷凍し、カルシウムを得るためにその後処理した。尿を冷蔵保管し、同様に総カルシウム含量に対してその後分析を行った。
【0111】
順応度
訓練を受けたカウンセラーが毎日24時間活動し、食事及びサンプル収集の間に参加者を監督した。食事の際に摂取されなかった食べ物を収集して記録した。酵素的比色分析法(COBAS Integra、Roche Diagnostics)により尿で排出されるクレアチニンを測定することで尿収集順応度を評価した。排泄物内のポリエチレングリコール(PEG)の回収により排泄物収集順応度を評価した。各参加者は3gポリエチレングリコール(PEG)(E3350;米国ミシガン州ミッドレンド所在Dow Chemical Co.)を朝食、昼食及び夕食時に1gの用量に分けて提供された。PEG回収を比濁分析により24時間排泄物収集で測定し、順応度が不良である場合、対象のデータを排除するための基準として用いた。
【0112】
胃腸症状
対象における胃の音、鼓腸、膨満感及び腹痛の存在を短いアンケートを用いて毎日評価した。第2キャンプ期間の18日間、胃腸症状の重症度を1~10(0はなし、10は非常に重度)の尺度を用いて自己報告により毎日評価した。
【0113】
分画カルシウムの吸収試験
各期間の最終週の間に、一晩中断食した後、対象はカルシウムの吸収試験に参加した。試験日の朝、瀉血専門医がカテーテルを挿入し、10mlのベースライン静脈サンプルを採血した。採血直後、参加者はイングリッシュマフィン、スクランブルエッグ、バター及びジャムからなる朝食を取った。食事は2%牛乳から150mgカルシウム(Ca)と安定した非放射性同位元素である15mg44Caを含有した。経口同位元素を牛乳に添加された液体(CaCl2)として投与し、一晩中平衡化するようにした。朝食後、参加者は如何なる食べ物の摂取も許容されなかったが、脱イオン水は自由に取ることが許容された。さらに第2の安定した同位元素である43Ca(3.5mg)を塩化カルシウムとして、朝食及び経口同位元素の摂取後1時間目に静脈内投与した。静脈内投与から3時間後に最後の採血を行った後、カテーテルを除去して対象に昼食を提供した。
【0114】
吸収及び滞留計算
2つの24時間の尿プールを用いて、カルシウム同位元素の投与後48時間における分画カルシウムの吸収の変化を測定した。吸収試験を行った後、2日間24時間プール(0-24時間及び24-48時間)で収集した尿サンプルは高解像度の誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS、Finnegan Element2、Thermo Scientific)により44Ca及び43Ca濃縮について分析を行った。カルシウムの吸収(式1)を濃縮値を用いて計算し、44Caに対するΔ余剰量及び43Caに対するΔ余剰量をベースラインで割った、ベースラインからの0時間-24時間及び24時間-48時間のサンプルの差として計算した。その後、これらの余剰量値をこれらの自然存在比を基準として経口用量(mg)で割った静脈内用量の量(mg)を掛けた44Ca/43Caの割合で表した。
【0115】
【0116】
バランスデータを用いて、24時間の食餌カルシウム摂取から尿及び排泄物内の24時間のカルシウム排出を引くことで、カルシウム滞留(式2)を計算した。各3週間の研究の最初の7日間を、参加者がカルシウム摂取及びファイバー処理に順応することになる平衡期間とみなし、一方、残りの2週間は実験期間として機能した。排泄物サンプルを採取した日に計算が開始及び終了されるようにする限り、バランスはできるだけ実験部分で14日を基準として計算した。大便間の期間を適切な日数で割った。バランス計算に用いられる毎日の尿のカルシウム排出値を、毎日のクレアチニン排出に対して24時間の尿のカルシウムを調整することで収集及び不完全収集時の変化について補正した(式3)。カルシウム滞留を尿のカルシウム排出に対する非補正値と補正された値の両方を用いて計算した。見掛け上のカルシウムの吸収(式4)を、カルシウム摂取及び排泄物のカルシウムの排出の間の差として確認し、一方、正味(net)カルシウム吸収効率(式5)を摂取で割った、摂取-排泄物排出として計算した。
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
統計的分析
統計的分析をSAS(バージョン9.2;米国ノースカロライナ州ケリー所在SAS Institute)を用いて行った。女性及び男性のベースライン特徴をt-テストを用いて比較した。ウィルコクソンの順位和検定(Wilcoxon’s rank-sum test)を用いて、ノンパラメトリック(nonparametric)の胃腸症状における差を評価した。ピアソン相関(Pearson’s correlation)を用いて、24時間-48時間の尿における分画Ca吸収の変化(SCFに対する吸収-コントロールに対する吸収)と、カルシウムバランス及びビタミンDの状態、ベースライン人体測定法、及び骨密度と強度の測定値の差間の潜在的な連関性を検査した。一般的な線状モデルを用いて、分画カルシウムの吸収に対するSCFの効果を評価した。モデルは、無作為効果変数として配列内のidをネスティング(nesting)することでクロスオーバーデザインを説明し、処理相(第1の3週間のキャンプ期間対第2の3週間のキャンプ期間)及び配列に対して調節した。各期間(0時間-24時間及び24時間-48時間)に対してデータを個別に分析を行った。同様の分析をカルシウムバランスに対して行った。青少年において報告された分画カルシウムの吸収に対する公開された平均及び標準偏差を用いて、24のサンプルサイズはカルシウムの吸収で5.9%の差を示すのに十分な検証力(80%)を提供するものと確認され、これは0.05のアルファエラー及び2.9±9.6%の標準偏差を仮定している。0.05未満のP-値は全ての統計学的試験に対して統計学的に有意なものとみなされた。
【0122】
結果
計24人の対象(9人の少女及び15人の少年)がこの研究に参加した。3人の対象は二つの期間で分画カルシウムの吸収試験に参加しなかった。よって、21人の対象に対して分画カルシウムの吸収の分析を行った。全ての他の分析は全て利用可能なデータ値を含む。この研究で評価された参加者は人種的に多様であったが、11人はアジア系、6人はヒスパニック系、1人は黒人、6人は多民族の10代(その他の人種)であった。年齢、人体測定法、身体的特徴及び骨測定を含む対象の特徴は、少女及び少年に対して個別的に平均及び標準偏差を提示した表1に提供される。少女及び少年は類似した身体的特徴を有し、このコーホートで除脂肪%(少女は少年より低い値を有した。P=0.009)及び体脂肪%(少女は少年より高い値を有した。P=0.01)でのみ統計学的に有意な差があった。カルシウム及び食餌ファイバーの習慣的摂取の平均はそれぞれ768±403mg/d及び12±4g/dであった。
【0123】
【0124】
胃腸症状
膨満感、鼓腸、腹部痙攣及び胃の音を含む胃腸症状の重症度で有意な差は18日間の観察期間中にSCF処理とコントロールとの間で観察されなかった(表2)。
【0125】
【0126】
分画カルシウムの吸収、カルシウムバランス及び骨バイオマーカー
分画カルシウムの吸収は、同位元素の投与後0時間-24時間及び24時間-48時間の間において収集された尿に排出された同位元素の分析に基づく(
図1)。コントロールに比べ、平均分画カルシウムの吸収は最初の24時間では差がなかったが、SCFでの処理後24時間-48時間で非常に高くなった(それぞれ0.595±0.142vs.0.664±0.129;P=0.02)。0.069の平均分画カルシウムの吸収の差はSCF処理時の吸収で11.6%の増加を表した。一般的な線状モデル(
図2)は、分画カルシウムの吸収に対して24時間-48時間では処理の有意な効果が確認されたが(P=0.02)、0時間-24時間(P=0.09)では確認されなかった。処理は正味カルシウム吸収、正味吸収効率、排泄物のカルシウム排出又はカルシウム滞留には有意な効果を表さなかった(表3)。尿又は排泄物のカルシウム排出いずれも分画カルシウムの吸収と相関関係がなかった。骨代謝マーカー濃度は表4に報告される。血清アルカリホスファターゼ、リン、カルシウム、副甲状線ホルモン、レプチン、インスリン様成長因子(IGF)-1、IGF-結合タンパク質-3、スクレロスチン、及び尿n-テロペプチド交差結合、カルシウム及びリンにおいて差がないことはSCF摂取によるものであった。
【0127】
【0128】
【表4】
ビタミンDの状態及びカルシウムの吸収
SCF及びコントロール処理後、平均ビタミンDの状態はそれぞれ65.2±18.8nM及び59.1±15.9nMであり、これは統計学的に有意に異ならなかった。25-ヒドロキシビタミンD及び分画カルシウムの吸収(24時間-48時間)又は正味吸収効率差間の統計学的に有意な連関性は観察されなかった。
【0129】
カルシウムの吸収に対するSCFの効果の予測因子
24時間-48時間の尿収集時における、SCF及びコントロール処理間の分画カルシウムの吸収の差は、身長(r=0.112、P=0.63)、体表面積(r=0.012、P=0.96)、体重(r=-0.022、P=0.92)、習慣的な食餌ファイバー(r=0.150、P=0.54)及びカルシウム(r=0.012、P=0.96)摂取、タナーステージ(Tanner stage)(r=-0.131、P=0.57)又はBMI(r=-0.074、P=0.75)と相関関係がなかった。
【0130】
実施例2
排泄物の処理及びDNA抽出
排泄物内の微生物コミュニティの構成及び構造を、実施例1の各対象に対して各期間の開始時と終了時に収集したサンプルで確認した。冷凍した排泄物サンプルを秤量し、4℃で解凍した後、滅菌された二重蒸溜水(排泄物サンプルの質量の2倍)を添加し、サンプルをストマッカー(stomacher)で均質化した。排泄物スラリーを、DNAを抽出するまで-20℃で保管した。DNAをソイル(Soil)用FastDNA(登録商標) SPINキット(米国カリフォルニア州アービン所在MP Biochemicals)を用いて排泄物物質50mgないし100mgから抽出した。DNA品質を0.7%アガロースゲル及びNanodrop1000分光光度計(米国デラウェア州ウィルミントン所在Thermo Scientific)を用いてチェックした後、Nanodrop3300蛍光光度計(fluorospectrometer)(Thermo Scientific)を用いて定量化した。
【0131】
ピロシーケンスを用いた微生物コミュニティの構成
バクテリアコミュニティの系統発生の多様性を、454FLXチタン化学及びロシュゲノムシークエンサー(米国コネチカット州ブランフォード所在454 Life Sciences-Roche)及び16S rRNA遺伝子のV3領域ないしV5領域を増幅させるプライマーを用いて得られた16S rRNA遺伝子配列を用いて確認した。複数のサンプルを進行させ、10-bpタグされたフォワードプライマーを用いて差別化した。排泄物サンプル抽出物由来の初期のPCRをハイファイフュージョンDNAポリメラーゼ(high fidelity Phusion DNA Polymerase)(NEB)を用いて行い、アンプリコン(amplicon)をゲル精製した(QIAEX II Gel Extraction Kit、Qiagen)。Purdue Genomics設備で、精製されたアンプリコンをPicoGreen DNA分析法キット及びqPCRを用いて染色した後、蛍光分析法により定量化し、等モル量を454FLXチタン化学シーケンスに用いた。
【0132】
統計的分析
ピロシーケンス分析の判読をまずソフトウェアを用いて前処理してプライマータグを除去し、低品質の配列を除去した。配列品質は、長さが400bp未満の場合又はフォワードプライマー配列にミスマッチ又は曖昧性が存在する場合、低いとみなした。配列は、操作分類単位(Operational Taxonomic Unit;OTU)及び分類割当(taxonomic assignment)だけでなく多数の異なるベータ及びアルファ多様性測定を許容する多数の供給源からのソフトウェアを含むQIIMEパイプラインを用いて分析を行った。キメラスレイヤーを用いてキメラ配列を除去した。OTU割当は、ユクラスト(uclust)法、及び97%配列類似性閾値を有した最遠隣クラスタリングを用いて行われた。代表的なOTU配列は、PyNast及びGreengenesコアセットを用いた配列整列後に得られた。分類割当は80%信頼区間でRDP分類子を用いて行われた。希薄化分析を用いて、コミュニティの配列包括度の推定値を得た。アルファ生物の多様性推定値(例えば、Shannon及びChao1指標)を計算して対象を比較し、但し、16S rRNA遺伝子を標的とするためにPCRを用いて、結果は偏向された可能性があり、ゲノム当たり配列コピーの差は相対的な数に影響を与えることになる。コミュニティ組成物の比較はOTU及び系統発生データセットの両方の「Fast UniFrac」分析を用いて行われた。
【0133】
ピアソン相関分析を用いて、処理間における分画カルシウムの吸収の差(24時間-48時間)と、それぞれの処理後におけるバクテリア属の存在の差との間の連関性を確認した。これらの相関関係に用いられたバクテリアは属平均が0.001(=0.1%)以上のバクテリア、又はt-テストに基づき終了時のサンプルで有意な差がある分類群の割合を有したバクテリアであり、下記のバクテリア分類群が含まれた:
ビフィドバクテリウム、他のコーリオバクテリアセアエ、バクテロイデス、バルネシエラ(Barnesiella)、ブチリキモナス(Butyricimonas)、パラバクテロイデス、プレボテラ(Prevotella)、アリスティペス、他のリケネラセエ(Rikenellaceae)、エンテロコッカス、ラクトバシラス、他のラクトバシラセエ(Lactobacillaceae)、ストレプトコッカス、クロストリジウム、ユーバクテリウム(Eubacterium)、モギバクテリウム(Mogibacterium)、ブラウティア(Blautia)、アナエロスティペス、コプロコッカス、ドレア(Dorea)、他のラクノスピラセエ、ロゼブリア(Roseburia)、他のクロストリジアーレス、他のペプトストレプトコッカセエ、スポラセチゲニウム、アセチビブリオ(Acetivibrio)、ブチリキコッカス、ファイカリバクテリウム(Faecalibacterium)、オシリバクター(Oscillibacter)、他のルミノコッカセエ、ルミノコッカス(Ruminococcus)、サブドリグラヌルム(Subdoligranulum)、ジアリスタ、他のクロストリジア(Clostridia)、カテニバクテリウム、コプロバシラス(Coprobacillus)、他のエリシペトロリチャセエ(Erysipelotrichaceae)、ツリシバクター(Turicibacter)、他のファーミキューテス(Firmicutes)、他のバクテリア、エシェリキア/シゲラ(Escherichia/Shigella)、シュードモナス、アクチノマイセス(Actinomyces)、他のストレプトコッカセエ(Streptococcaceae)、アナエロフスティス及びアナエロコッカス(Anaerococcus)。
【0134】
結果
バクテリアコミュニティ組成物の変化
総1,793,821個の配列を454-チタンピロシーケンス(米国コネチカット州ブランフォード所在Roche Applied Science)を用いて得て、平均はサンプル当たり19498個の配列(±7126)であり、範囲はサンプル当たり8211個ないし41212個の配列であった。処理(P>0.05)又は収集時(ベースライン対終了時のサンプル)(P>0.05)により比較した場合、それぞれの対象に対して得られた配列の数に有意な差はなかった。23人の対象の微生物コミュニティで代表される10個の門であるアクチノバクテリア、バクテロイデテス(Bacteroidetes)、ファーミキューテス(Firmicutes)、プロテオバクテリア、シアノバクテリア、フソバクテリア、TM7、ベルコミクロビア(Verrucomicrobia)、スピロヘーテス(Spirochaetes)及びシネルギステス(Synergistetes)があった。しかし、全てのサンプルにおいて、配列の99%超は4個の門に由来し;ファーミキューテスが平均89.4%で最も支配的な門であり、続いてバクテロイデテス(5.1%)、アクチノバクテリア(4.9%)及びプロテオバクテリア(0.5%)があった。
【0135】
門レベルにおいて、臨床的食餌にSCFが含まれるかに関係なく、バクテロイデテスの平均相対比率は有意に増加し、ファーミキューテスは各期間終了時に減少した。SCF及びコントロール処理群に対する対象のコミュニティは科レベルにおいて有意な差があった(
図3)。SCF食餌後、ポルフィロモナダセエ(Porphyromonadaceae)(P=0.02)及び他のクロストリジアーレス(P=0.009)がより高い割合で存在し、ペプトストレプトコッカセエ(P=0.04)がより低い割合で存在した。2つの処理の開始時に、コリネバクテリアセエ(Corynebactariaceae)科内の相手集団の割合は有意な差があった(P=0.02)。これらの配列に対する最低レベルの解像度において、SCF処理対コントロール処理の後、有意な差がある(P<0.1)平均割合を有した9個の属及び4個の「他の」群があった(表5)。SCF食餌後、有意な増加はパラバクテロイデス属(P<0.003)、他のクロストリジアーレス(P=0.04)及び他のルミノコッカセエ(P<0.03)にあったが、有意な減少はエンテロコッカス(P<0.03)、アナエロフスティス(P<0.05)、コプロコッカス(P<0.03)及び他のペプトストレプトコッカセエ(P<0.002)で観察された。また、ビフィドバクテリウム、アリスティペス、アナエロコッカス、カテニバクテリウム及び他のクロストリジアで増加が存在したが、増加は有意でなかった。同様に、ロティア、他のストレプトコッカセエ、クロストリジウム、スポラセチゲニウム、ツリシバクター(Turicibacter)及び他のTM7属インケルタエ・セディス(incertae sedis)での減少がSCF摂取に伴って発生したが、CONを含むコミュニティの割合の差は有意でなかった。
【0136】
【0137】
【0138】
ジャックナイフ分析を伴った速やかなUniFracは、異なる分類範疇(例えば、OTU対系統発生)を用いてデータを処理したのにもかかわらず、食餌によるコミュニティ構造の差はなかったことを表した。OTUの加重化されたUnifracの主座標分析は、臨床期間の開始と終了時のサンプル間に多少の分離を表したが、2つの処理群は分離されなかった。
【0139】
バクテリア属と分画カルシウムの吸収との間の相関関係
24時間-48時間の尿で測定した分画Ca吸収の変化(SCF処理-コントロール)はアクチノマイセス、アクチノバクテリア門由来のシュードモナス、及びファーミキューテス門由来の他のエリシペロトリチャセエと負の相関関係があった(SCFを用いたカルシウムの吸収が増加するにつれバクテリア属が減少する)。逆に、分画Ca吸収の変化はバクテロイデテスのメンバーのバクテロイデスだけでなく、ブチリキコッカス、オシリバクター及びファーミキューテス門由来のジアリスタと正の相関関係があった(SCFを用いたカルシウムの吸収が増加するによりバクテリア属が増加する)。
【0140】
【0141】
上記結果は、青少年期の少女及び少年を対象として21日間12gの可溶性コーンファイバーを毎日摂取させた場合に、分画カルシウムの吸収を~12%増加させたことを示す。このような分画カルシウムの吸収の増加は、好適なカルシウム同位元素を与えられた後の第2の24時間の尿プール(24時間-48時間)を測定することにより、効果が有意であるために24時間-48時間において発生し、最初の24時間の間に収集した尿における同位元素の濃縮の有意な差は観察されなかった。これは、同位元素を与えられた後24時間までは微生物関与及びより低い腸吸収が捕捉されないことを提示する文献により支持される。
【0142】
この研究で観察されたカルシウムの吸収の増加は、カルシウム滞留では効果が観察されなかったため、骨ミネラル沈着をもたらしたのかは言及し難い。排泄物のカルシウム測定値は非常に多様であり;34のサンプルサイズはアルファエラーが0.05、検証力が80%、及び参加者間での差の標準偏差が122mg/dで滞留するカルシウムで61mgの差を確認するのに必要なものである。処理は骨強度に対する効果を導き出すことが可能である。2つの方法はSD%で大きな差を有し、すなわち、力を切断するには9.1%及びカルシウム滞留に対しては41.3%である。SCFを用いたカルシウムの吸収の増加が維持(より敏感な二重同位元素方法により測定される)されると仮定する場合、この研究からのデータは、SCFを用いた処理が70mg/dの付加的なカルシウム滞留をもたらすことを示唆している。成人の骨格が900gのカルシウムを有すると仮定する場合、1年間で、これはさらなる25gのカルシウム又は全身のカルシウムの2.8%を占めることとなる。
【0143】
結論的に、12g/d SCFの摂取は青少年期の少女及び少年でカルシウムの吸収に肯定的な影響を与えた。SCF-誘導性吸収は24時間後に発生し、これは腸の連関性がより低いことを表すことができる。有意な増加は、抵抗性デンプンの発酵剤であるビフィドバクテリア及びバクテロイデテスののメンバーの割合で観察された。
【0144】
実施例3
対象及び方法
方法
SCF食餌処理を伴う(10g/日用量(「D10」)と20g/日用量(「D20」))、及び伴わない(0g/日用量(「D0」))代表的なサンプルで腸内微生物相組成物を454個のピロシーケンスの代わりにIllumina MiSeq高処理量シーケンスを用いて確認した。データを用いて、食餌補充の差と連関された集団での割合的な増加又は減少を確認する。実施された腸内微生物コミュニティ分析のためには次の5つのステップが存在する。(1)それぞれ無作為に割り当てられた食餌SCFの補充の開始及び終了時に、収集した排泄物サンプルをDNA抽出用調剤物で均質化した(D0開始時の排泄物サンプルを提出しなかった103人の対象を除き、対象当たり計6個のサンプル)。(2)総排泄物のDNAをFast DNATM Soil Spinキット及びFast PrepTMシステムを用いて抽出した。(3)抽出されたDNAを、バクテリア16S rRNA遺伝子を標的とするプライマーを用いてPCRで処理した。(4)PCR生成物をIllumina MiSeqを用いてシーケンスした。(5)配列をQIIMEパイプラインを用いて分析し、可溶性コーンファイバー処理による微生物コミュニティのメンバーの定量的変化を確認した。
【0145】
排泄物の処理及びDNA抽出
凍結された排泄物サンプルを処理し、DNAを実施例2で提供したように抽出した。
【0146】
微生物コミュニティの構成
バクテリアコミュニティの系統発生の多様性を高処理量ペアードエンドMiSeq技術(Illumina)から得られる16S rRNA遺伝子配列を用いて確認し、16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を増幅させるプライマーを用いた。複数のサンプルを進行させ、2つのPCR進行を用いるステップアウトプロトコルを用いて8-bpタグされたフォワードプライマーと8-bpタグされた逆方向プライマーの組み合わせを用いて差別化した。第1PCRは具体的には、排泄物サンプル抽出物由来の16S rRNA遺伝子を増幅させる。非混入プライマー及びヌクレオチドをAgencourt AMPURE XPキット(Becker)を用いてPCRアンプリコンから分離した。第2PCRを用いて、Illuminaシーケンスに要求されるアンプリコン(第1進行由来)にbitagを添加し、Agencourt AMPURE XPキットを用いて再び精製した。全てのPCRをQ5(登録商標)High Fidelity DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いて行い、重合中の誤差率を最小化した。精製されたアンプリコンを、PicoGreen DNA分析法キットを用いて染色した後、蛍光分析により定量化した。それぞれのサンプルのアンプリコンをMiSeq装備(Illumina)を用いて配列化された等量で組み合わせた。
【0147】
配列分析
配列を前処理し、プライマータグ及び低品質の配列を除去した後、QIIMEパイプラインを用いて分析を行った。16S rRNA遺伝子断片のMiSeq Illumina配列を、OTUに記載の系統樹及び分類学記載の系統樹の両方を用いて分析を行った。OTUは厳格に配列類似性に基づいたグループとして定義されたが、公知の分類学に割り当てなかった。配列をまず予備ろ過した後、OTU割り当てを、uclust法及び60%閾値を用いるGreengenesコア配列(QIIME開発業者により勧められたように)を用いて行った。代表的なOTU配列を、PyNastを用いた配列整列後に得て、Greengenesコア配列と整列されていない配列をろ過し出した。分類割当は80%信頼区間でRDP分類子及びGreengenesデータベースを用いて行われた。希薄化分析を用いて、コミュニティの配列包括度の推定値を得た。アルファ生物の多様性推定値を計算し、特定のSCF処理下の対象内での微生物相の多様性を比較した。コミュニティ間のベータ多様性の比較を、系統発生距離の「Fast UniFrac」分析だけでなくユークリッド距離(Euclidean distance)を用いた非系統発生距離分析を用いて行った。全てのアルファ及びベータ多様性測定値は、複数の希薄化分析結果(10回の繰り返し)を用いて無作為に選択された等価数の分類群(単一サンプルから得られる配列の最低数に基づく)を用いて行われた。
【0148】
統計的分析
フリードマン分析(ANOVAにノンパラメトリック等価)をそれぞれのSCF処理の開始(B)及び終了(E)時における対象の属の平均割合を全般的に比較するのに用いた。その後、ウィルコクソン符号順位検定を用いて、それぞれの処理器の開始と終了時のサンプルだけでなく、終了時のサンプル間の有意な差のペアワイズ比較を確認した。スチューデントT-テストを用いて、アルファ多様性測定値の間の有意な差を確認した。コミュニティ間のベータ多様性の有意な差は、Paleontological Statisticsパッケージバージョン2.16(PASTソフトウェア、http://folk.uio.no/ohammer/past/index.html)で利用可能なperMANOVAノンパラメトリック多変量統計学的ツールを用いて確認した。ボンフェローニ補正(Bonferroni correction)を全ての統計学的試験に適用した。
【0149】
結果
28人の対象に対して分析を行った排泄物サンプルの数は167個であり、0g-食餌補充実験の間に開始時のサンプルを提供しなかった1人の対象を除き、は個人当たり6個のサンプルを収集した(表7)。このような理由で、この報告で提示される統計学的結果は27人の対象のみからのデータに基づいた。対象には10g/日のSCF(D10)、20g/日のSCF(D20)、及び無-SCF(D0)を投与した。
【0150】
配列の数
計12,979,388個の高品質の統合された配列を、サンプル当たり平均77,720.9個の配列(±28,401)を用いるMiSeq Illuminaシーケンスを用いて得て、サンプル当たり28,854個ないし262,312個の配列範囲であった(表7)。得られた配列のうち最低数は28,854であり、よって全ての後続的な分析は、サンプル当たり28,800個の配列に対して希薄化分析を行った。希薄化分析が行われたデータセットを得るため、それぞれのデータセットから28,800個の配列を無作為に選択することを10回行った後、データセットを統合し、それぞれのサンプルを代表する28,800個の配列セットを得た。
【0151】
【0152】
配列データで表される門の比較
28人の対象の微生物コミュニティで見出された13個の門、アクチノバクテリア、バクテロイデテス、ファーミキューテス、プロテオバクテリア、クロロフレキシ(Chloroflexi)、シアノバクテリア、フソバクテリア、レンティスファエラ(Lentisphaerae)、シネルギステス、TM7、テネリキューテス(Tenericutes)、[テルミ(Thermi)]及びベルコミクロビア(Verrucomicrobia)があった。また、プライマーは現在分類できない古細菌ドメイン及び他のバクテリア由来の一部配列を増幅させた。しかし、配列のうち99%超は4個の門、アクチノバクテリア、バクテロイデテス、ファーミキューテス及びプロテオバクテリアに由来した。全ての対象の全てのサンプルに対して、ファーミキューテスが平均65.8%の支配的な門であり、次いでバクテロイデテス(26.0%)、アクチノバクテリア(6.2%)及びプロテオバクテリア(1.8%)があった(
図1)。SCF試験処理群の開始時のサンプルと終了時のサンプルとの間の門の割合で有意な差は存在しなかった。分類学分類の綱(class)及び目水準でも、有意な差は確認されなかった。古細菌は将来的にはモニタリングされるべき重要なグループであるが、プライマーをこの研究に用いていないため、本発明者の評価でこれらの存在(又は不在)を用いることが適切であるとは思われないとの結論を導出しなかった。
【0153】
配列データで表される科の比較
科レベルでの分類群のANOVAは、バクテロイデテス門内でのみ有意な差が存在したことを表した。バクテロイデテスは、バクテロイダセエ(Bacteroidaceae)、ポルフィロモナダセエ(Porphyromonadaceae)、プレボテラセエ(Prevotellaceae)及びリケネラセエ(Rikenellaceae)科及び暫定的な(tentative)新しい科、[バルネシエルラセエ]、[オドリバクテラセエ]、[パラプレボテラセエ]、[ウィークセラセエ]、RF16、S24-7及び3つの他の科を含む。[暫定的な]ものとして列挙された科及び「他の」科はまだ公式的に分類されていないものであるが、主に、これらグループが分類割当に用いられる代表性を有していない分子的分析に基づき最近見出されたものであるためである。ANOVAは、ボンフェローニ補正(p<0.0001)により支持されたポルフィロモナダセエ(Porphyromonadaceae)で有意な差があったことを表した。
【0154】
配列データで表される属の比較
追加的な分析のために、同様の比較をノンパラメトリック統計分析を用いて系統発生分類の属レベルで行った。配列化された全ての対象のサンプルの分析において同定された235個の属(又は属等価物)において、わずか24個の属のサブセットのみが少なくとも1つのサンプルにおいてコミュニティを1%超で含み、コミュニティの約90%を表した(結果は示していない)。一部の属がコミュニティの小部分を構成したが、これらは有意な差があった。有意な差があった属はボンフェローニ補正を伴うフリードマン分析(ANOVAと等価であるノンパラメトリック分析)に基づき、パラバクテロイデス、バクテロイデス、ドレア、ラクノスピラ、未分類のルミノコッカス、未分類のラクノスピラセエ及び「他の」バクテリア(表8)属であった。
【0155】
【0156】
SCF処理内で収集した開始時のサンプル及び終了時のサンプルで全ての属の比例平均のペアワイズ比較(ボンフェローニ補正を伴ったウィルコクソン符号順位検定)を行い、これらの分類群が有意な差のある処理を確認した。パラバクテロイデス及び未分類のラクノスピラセエ(表8)の割合は開始時と比較したとき食餌D10及びD20の終了時が有意に大きかった。また、食餌D10の終了時に、アケルマンシアは有意に増加し、再分類化された[ルミノコッカス]は減少した。食餌D20の終了時に、バクテロイデス及びラクノスピラは著しく減少した。食餌D0の終了時に、「他の」バクテリアで有意な減少があったが、これは単一の分類グループではない。よって、他の2つの食餌処理とは異なり、食餌D0を摂取した後、対象における分類群の有意な差はなかった。
【0157】
【0158】
さらに、食餌D10、D20及びD0の終了サンプルのペアワイズ比較はコミュニティの差を確固にした(表9)。パラバクテロイデスに対する潜在的な遺伝子量効果が存在し、これは、D10と比較したとき、食餌D0の後より食餌D20後に有意に大きな割合で表された。同様の傾向は未分類のラクノスピラセエ及びジアリスタでも確認され、これらはD0と比較したとき食餌D10及びD20の終了時に有意に大きかったが、食餌D10及びD20は有意に相違ではなかった。また、ビフィドバクテリウムの割合はD0と比較したとき食餌D20の終了時に有意に大きかった。アナエロスティペス、ドレア、再分類化された[ルミノコッカス]、及び未分類のエリシペロトリチャセエの割合は食餌D10及び/又はD20の終了時にD0と比較したとき著しく低かった。SCF食餌処理の開始時に、再分類化された[ルミノコッカス]、エンテロコッカス及びカンピロバクターの割合に有意な差があった。食餌D20の開始時に再分類化された[ルミノコッカス]の有意に大きな割合は、この分類の開始時のサンプルと終了時のサンプルとの比較で有意な差を見出せるような潜在的な因子であった。
【0159】
【0160】
【0161】
特定の理論に結び付けようとするものではないが、食餌D10及びD20後のパラバクテロイデス、未分類のラクノスピラセエ及びジアリスタの割合の増加は、これらの微生物がSCF発酵に関与することを示唆している。
【0162】
アルファ多様性の比較
それぞれのSCF食餌下で開始時と終了時のコミュニティ間にアルファ多様性測定値において有意な差(p<0.05)があった(表10)。アルファ多様性は処理内の多様性に対するメトリックを提供する。Chao1測定を用いて、これらの差はSCF食餌D10及びD20の両方で確認されたがD0では確認されなかった(表10、
図5)。一方、観察された化学種を用いて、差は食餌D20でのみ有意であった。PDホールツリー(Whole Tree)に対しては有意な差が確認されなかった(表10a)。終了サンプルにおける多様性のペアワイズ比較は、全てのChao1値間に、そしてD10及びD20の終了対D0の間に有意な差があったことを表した。試験された多様性指標のうち有意性の差は、これらのアルファ多様性測定値のそれぞれに対するアルゴリズムが異なる範疇に対する強調と非常に差があるためである。例えば、PDホールツリーは系統発生測定値であるが、他の2つはそうではない。Chao1は、化学種の豊富度の測定値及び特有のOTUの数以下の観察された化学種の合計である。特定の理論に結び付けようとするものではないが、SCF食餌はサンプルにおける分類群の数を増加させたものと考えられる。
【0163】
【0164】
【0165】
ベータ多様性を用いたコミュニティ比較
コミュニティ間の比較(ベータ多様性)は、一部コミュニティの分離が用いられた距離測定値により異なることを表した。非系統発生的ユークリッド距離(Binary Euclidean及びBray Curtis)、及びジャックナイフを伴う系統発生距離(Unifrac G、Unifrac加重及びUnifrac非加重)を試みて、サンプル間のコミュニティ構造での差を確認し、これらの差に寄与し得る因子を確認した。非系統発生的ユークリッド距離の主座標分析(PCoA)クラスタリングは、D0の終了時と分離するSCF処理のD10及びD20の終了時のコミュニティ、及び全ての開始時のサンプルを指す(
図6及び7)。分離はバイナリーユークリッド距離を用いて最も明らかであった(
図7)。分離は、12.11%の偏差を説明する第1PCoA軸にわたり確認でき、ある程度は9.48%の偏差を説明する第2PCoA軸にわたり確認できる。一方、任意のUnifrac系統発生距離を用いて、サンプルのクラスタリングは処理によることよりも対象によることがさらに多かった(例えば、Unifrac G、
図8)。これは、コミュニティの系統発生構成が対象間でよりも、対象の中でさらに類似することを示している。これは、ヒトの腸内微生物相の間の高い偏差に関して以前になされた報告と類似する。これらのユークリッド及び系統発生距離は、腸内微生物相コミュニティの差に寄与する因子に対する理解を提供する異なる範疇を用いて計算される。例えば、ユークリッド距離はそれぞれのコミュニティで全てのOTU(操作分類単位)の存在又は不在に基づく。これは、特定の分類群の存在又は不在はコミュニティでの差に寄与することを示している。
【0166】
ノンパラメトリック置換多変量ANOVA
ボンフェローニ補正後ノンパラメトリック置換多変量ANOVA(perMANOVA)は、ベータ多様性分析の主座標(PCoA)散乱プロットにおいてクラスタとして観察された処理間の有意な差を表した。有意な差は、食餌D10及びD20の開始時のサンプル及び終了時のサンプル由来のサンプルにおけるコミュニティ間で確認され、これらのそれぞれの開始時のサンプルはユークリッド距離(Bray Curtis、binary Euclidean)を測定して用いたが、系統分析測定(Unifrac distances)は用いなかった(表11、結果は
図6ないし
図8にも示されている)。また、終了D0に比べて、食餌D20の終了時のサンプル間でユークリッド及びブレイカーティス距離の有意な差があった。食餌D10及びD0のそれぞれのサンプルはまた、ユークリッド距離を用いた場合にのみ有意な差があった。Unifrac G距離にも差はあったが、差は開始時のサンプル間でも確認され、これはSCF処理の結果ではない可能性がある。ボンフェローニ補正の前に、より有意な差があったが(表11)、より厳しいカットオフに注目した。しかし、データは、ボンフェローニの厳しさが偽陰性を含み得るため、報告に含まれている。無関係には、これらの結果は、SCF食餌処理D20終了時の対象の微生物コミュニティが最も異なり、これは対象に与えられる最も高いSCF用量をコードすることなのを示唆している。
【0167】
【0168】
本発明の実施形態に対する上記説明は例示及び説明のために提示されたものである。完全なものと、あるいは本発明を開示された正確な形態に制限するものと意図するものではない。当業者は、上記の提示に照らして多くの変形及び変化が可能であることを認識するはずである。当業者は、様々な変形及び変化が本発明の範囲から逸脱することなく本発明に対してなされ得ることが明らかに分かるはずである。よって本発明は、本発明の変形及び変化が請求項及びこれらの等価物の範囲に入る限り、本発明の変形及び変化を網羅することを意図する。