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特許7055190電気エネルギー貯蔵デバイスのための平衡回路
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  • 特許-電気エネルギー貯蔵デバイスのための平衡回路 図1
  • 特許-電気エネルギー貯蔵デバイスのための平衡回路 図2
  • 特許-電気エネルギー貯蔵デバイスのための平衡回路 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】電気エネルギー貯蔵デバイスのための平衡回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220408BHJP
   G05F 1/607 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
H02J7/00 S
G05F1/607
H02J7/00 X
H02J7/00 302A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020502977
(86)(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2018042624
(87)【国際公開番号】W WO2019018487
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】62/535,515
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ホック,ジョセフ・エム
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-502996(JP,A)
【文献】特開2010-233310(JP,A)
【文献】特開2016-073046(JP,A)
【文献】特開2008-271638(JP,A)
【文献】特開2007-267537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
G05F 1/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵デバイスのための平衡回路であって、
入力部を含むレギュレータであり、前記入力部で受け取った前記電気エネルギー貯蔵デバイスに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、出力ノードを介して出力を供給するように構成される、レギュレータと、
前記レギュレータに結合されたスイッチング回路であり、前記スイッチング回路が、前記レギュレータの前記出力に少なくとも部分的に基づいて前記電気エネルギー貯蔵デバイスを放電させるように構成され、前記スイッチング回路が、スイッチング要素の動作の間ハードスイッチング式に動作される少なくとも1つの半導体スイッチング要素を含む、スイッチング回路と
前記スイッチング回路に結合されたDC-DCコンバータと
を含み、
前記少なくとも1つの半導体スイッチング要素は、前記少なくとも1つの半導体スイッチング要素がハードスイッチング式に動作されるとき、完全飽和モードで動作されるように構成され、
前記入力電圧が前記基準電圧よりも大きいとき、前記出力は、前記少なくとも1つの半導体スイッチング要素を導電状態に切り替えて前記電気エネルギー貯蔵デバイスを放電させるための第1の論理出力を含み、
前記入力電圧が前記基準電圧以下であるとき、前記出力は、前記少なくとも1つの半導体スイッチング要素を非導電状態に切り替えて前記電気エネルギー貯蔵デバイスの放電を停止させるための第2の論理出力を含み、前記第2の論理出力は、前記第1の論理出力とは異なる、平衡回路。
【請求項2】
前記少なくとも1つの半導体スイッチング要素が、第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとを含む、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項3】
前記第1の電界効果トランジスタのドレインが、前記第2の電界効果トランジスタのゲートに結合される、請求項2に記載の平衡回路。
【請求項4】
前記第2の電界効果トランジスタのソースおよびドレインの少なくとも一方が、前記電気エネルギー貯蔵デバイスに結合される、請求項2に記載の平衡回路。
【請求項5】
前記第2の電界効果トランジスタが、前記電気エネルギー貯蔵デバイスのパッケージングに関連するケースに取り付けられる、請求項2に記載の平衡回路。
【請求項6】
前記レギュレータが、前記入力電圧を前記基準電圧と比較するように構成された少なくとも1つのコンパレータを含む、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項7】
前記レギュレータが、前記コンパレータに結合された1つまたは複数のスイッチング要素を含み、前記レギュレータの前記少なくとも1つのスイッチング要素が、前記レギュレータの前記出力を前記出力ノードを介して供給するように前記コンパレータの出力によって制御される、請求項6に記載の平衡回路。
【請求項8】
前記電気エネルギー貯蔵デバイスに関連する前記電圧が前記基準電圧を超えていることを示す出力信号を供給するように構成された通知回路を含む、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項9】
前記通知回路が、前記電気エネルギー貯蔵デバイスに関連する前記電圧を前記基準電圧と比較するように構成されたコンパレータ回路を含む、請求項に記載の平衡回路。
【請求項10】
ウルトラキャパシタのための平衡回路であって、前記平衡回路が、
入力部を有するレギュレータであり、前記入力部で受け取った前記ウルトラキャパシタに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、出力ノードを介して出力を供給するように構成される、レギュレータと、
スイッチング回路であり、
ソース、ドレイン、およびゲートを有する第1の電界効果トランジスタ、
ソース、ドレイン、およびゲートを有する第2の電界効果トランジスタ
を含む、スイッチング回路と
を含み、
前記レギュレータの前記出力ノードが、前記第1の電界効果トランジスタの前記ゲートに結合され、前記第1の電界効果トランジスタの前記ドレインが、前記第2の電界効果トランジスタの前記ゲートに結合され、前記第1の電界効果トランジスタの前記ソースが、
前記ウルトラキャパシタに結合され、
少なくとも前記第1の電界効果トランジスタは、前記第1の電界効果トランジスタがハードスイッチング式に動作されるとき、完全飽和モードで動作されるように構成され、
前記入力電圧が前記基準電圧よりも大きいとき、前記出力は、少なくとも前記第1の電界効果トランジスタを導電状態に切り替えて前記ウルトラキャパシタを放電させるための第1の論理出力を含み、
前記入力電圧が前記基準電圧以下であるとき、前記出力は、少なくとも前記第1の電界効果トランジスタを非導電状態に切り替えて前記ウルトラキャパシタの放電を停止させるための第2の論理出力を含み、前記第2の論理出力は、前記第1の論理出力とは異なる、平衡回路。
【請求項11】
DC-DCコンバータが、前記第1の電界効果トランジスタの前記ソースに結合される、請求項10に記載の平衡回路。
【請求項12】
前記平衡回路は、前記ウルトラキャパシタに関連する前記電圧が前記基準電圧よりも大きいことを示す通知信号を供給するように構成されたコンパレータをさらに含む、請求項10に記載の平衡回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2017年7月21日に出願された「Balancing Circuit for Electrical Energy Storage Device」と題する米国仮特許出願第62/535,515号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー貯蔵セルは、電子、電気機械、電気化学、および他の有用なデバイスに電力を供給するために広く使用される。例えば、二重層ウルトラキャパシタは、液体電解質を含浸させた炭素粒子(例えば、活性炭)を含む1対の分極性電極を用いることができる。粒子の有効表面積と、電極間の小さい間隔とに起因して、大きいキャパシタンス値が達成され得る。個々の二重層コンデンサを一緒に組み合わせて、出力電圧を高めたまたはエネルギー容量を増加させたモジュールを形成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の1つの例示の態様は、二重層ウルトラキャパシタなどの電気エネルギー貯蔵セルのための平衡回路(balancing circuit)に関する。平衡回路は、入力部を有するレギュレータを含むことができる。レギュレータは、入力部で受け取った電気エネルギー貯蔵セルに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、出力ノードを介して出力を供給するように構成され得る。平衡回路は、レギュレータに結合されたスイッチング回路をさらに含むことができる。スイッチング回路は、レギュレータの出力に少なくとも部分的に基づいて電気エネルギー貯蔵セルを放電させるように構成され得る。スイッチング回路は、スイッチング要素の動作の間ハードスイッチング式(hard switching manner)に動作される少なくとも1つの半導体スイッチング要素を含むことができる。
【0004】
本開示の他の特徴および態様が、以下でさらに詳細に説明される。
当業者を対象にした本開示の完全かつ可能な開示が、その最良の態様を含めて、添付の図を参照して本明細書の残りの部分でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の例示の実施形態によるウルトラキャパシタウルトラキャパシタのための例示の平衡回路のブロック図である。
図2】本開示の例示の実施形態によるウルトラキャパシタのための例示の平衡回路の回路図である。
図3】本開示の例示の実施形態による例示の方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書および図面における参照符号の反復使用は、本開示の同じまたは類似の形体または要素を表すように意図される。
当業者なら、本考察が単に例示的な実施形態の説明であり、本開示のより広い態様を限定するように意図されておらず、より広い態様が例示的な構成で具現されることを理解されたい。
【0007】
本開示の例示の態様は、ウルトラキャパシタなどの電気エネルギー貯蔵デバイスまたはセルとともに使用するための平衡回路に関する。平衡回路は、例えば、過電圧状態がウルトラキャパシタに損傷を引き起こさないようにするために使用され得る。いくつかの実施態様では、平衡回路は、各ウルトラキャパシタの両端の電圧が実質的に同じ電圧に調整されるように、複数のウルトラキャパシタを含むウルトラキャパシタモジュールの各ウルトラキャパシタの両端の電圧を調整するのに役立つことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタのための平衡回路は、レギュレータを含むことができる。レギュレータは、ウルトラキャパシタの両端の電圧に関連する入力電圧を受け取り、入力電圧を基準電圧(例えば、ウルトラキャパシタの平衡電圧)と比較するように構成され得る。レギュレータは、入力電圧を基準電圧と比較し、出力を供給するように動作可能なデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、レギュレータは、単一のパッケージ(例えば、集積回路)に設けられたコンパレータおよび/または1つまたは複数のスイッチング要素を含むことができる。
【0009】
入力電圧は、ウルトラキャパシタの両端の電圧を示す信号または電圧とすることができる。いくつかの実施形態では、入力電圧は、分圧器回路を使用して供給されてもよい。入力電圧は、レギュレータの感知入力部で(例えば、分圧器回路を介して)受け取られ得る。
【0010】
レギュレータは、基準電圧を基準とした入力電圧に少なくとも部分的に基づいてレギュレータの出力ノードを介して出力を供給するように構成され得る。例えば、レギュレータは、入力電圧が基準電圧よりも大きいときに出力ノードを介して第1の出力(例えば、第1の論理出力)を供給するように構成され得る。レギュレータは、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧以下であるとき出力ノードを介して第2の出力(例えば、第2の論理出力)を供給するように構成され得る。
【0011】
レギュレータの出力を使用して、スイッチング回路を駆動することができる。スイッチング回路は、電界効果トランジスタ(例えば、MOSFET)などの1つまたは複数の半導体スイッチング要素を含むことができる。スイッチング要素は、スイッチング要素がハードスイッチング式にオンおよびオフに切り替えられるように完全飽和モードで動作され得る。例えば、スイッチング要素を通る電流が供給電圧の変化にもかかわらず実質的に増減しないような状態で半導体スイッチング要素が動作されるとき、ハードスイッチングが生じ得る。例えば、電界効果トランジスタが飽和領域で動作され、その結果、電界効果トランジスタのドレイン電源電圧の増加にもかかわらずドレイン電流が増加しないとき、ハードスイッチングが電界効果トランジスタで生じ得る。これにより、スイッチング要素は、ウルトラキャパシタの放電に関連するより高い電流に適応することができる。
【0012】
レギュレータの出力が第1の出力である(例えば、入力電圧が基準電圧よりも大きい)とき、スイッチング回路の1つまたは複数のスイッチング要素はオンに切り替えられ得(例えば、ハードスイッチング式に)、その結果、電流がウルトラキャパシタからスイッチング回路のスイッチング要素の少なくとも1つを通って流れて、ウルトラキャパシタを放電させ、それにより、ウルトラキャパシタの両端の電圧は低下する。レギュレータの出力が第2の出力である(例えば、入力電圧が基準電圧よりも小さい)とき、スイッチング回路の1つまたは複数のスイッチング要素はオフに切り替えられ得(例えば、ハードスイッチング式に)、その結果、ウルトラキャパシタは充電され、それにより、ウルトラキャパシタに関連する電圧は上昇する。このようにして、平衡回路は、スイッチングモードレジーム(switching mode regime)に従って動作することができ、ウルトラキャパシタは、ウルトラキャパシタに関連する電圧が閾値を超えるまで充電され、ウルトラキャパシタに関連する電圧が閾値を下回るまで放電される。
【0013】
本開示の例示の態様が、ウルトラキャパシタを参照して論じられる。例示のウルトラキャパシタに関する詳細が本明細書で提供される。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の例示の態様による平衡回路が、本開示の範囲から逸脱することなく、コンデンサ、バッテリ、および他の電気エネルギー貯蔵デバイスなどの他のエネルギー貯蔵デバイスとともに使用され得ることを理解するであろう。数値に関連する「約」という用語の使用は、明示された量の20%内を指すように意図される。
【0014】
本開示の1つの例示の実施形態は、エネルギー貯蔵デバイスのための平衡回路に関する。平衡回路は、入力部を有するレギュレータを含むことができる。レギュレータは、入力部で受け取った電気エネルギー貯蔵デバイスに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、出力ノードを介して出力を供給するように構成され得る。平衡回路は、レギュレータに結合されたスイッチング回路をさらに含むことができる。スイッチング回路は、レギュレータの出力に少なくとも部分的に基づいて電気エネルギー貯蔵デバイスを放電させるように構成され得る。スイッチング回路は、スイッチング要素の動作の間ハードスイッチング式に動作する少なくとも1つの半導体スイッチング要素を含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、平衡回路は、基準電圧に少なくとも部分的に基づいて電気エネルギー貯蔵デバイスを充電し放電させるようにスイッチングモードレジームで動作可能である。スイッチングレジームの間、電気エネルギー貯蔵デバイスは、電気エネルギー貯蔵デバイスの電圧をある範囲内にまたは平衡電圧に維持するために放電状態と非放電状態との間で行ったり来たり切り替えられ得る。
【0016】
例えば、スイッチングモードレジームにおいて、スイッチング回路の少なくとも1つのスイッチング要素は、電気エネルギー貯蔵デバイスに関連する電圧が基準電圧を超えていることをレギュレータの出力が示すとき、電気エネルギー貯蔵デバイスを放電させるために導電状態に切り替えられるように構成され得る。スイッチングモードレジームにおいて、少なくとも1つのスイッチング要素は、電気エネルギー貯蔵デバイスに関連する電圧が基準電圧を超えていることをレギュレータの出力が示すとき、電気エネルギー貯蔵デバイスを充電するために非導電状態に切り替えられるように構成され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの半導体スイッチング要素は、第1の電界効果トランジスタと第2の電界効果トランジスタとを含む。第1の電界効果トランジスタのドレインは、第2の電界効果トランジスタのゲートに結合され得る。第2の電界効果トランジスタのソースまたはドレインの少なくとも一方は、電気エネルギー貯蔵デバイスに結合され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、レギュレータは、入力電圧を基準電圧と比較するように構成された少なくとも1つのコンパレータを含むことができる。レギュレータは、コンパレータに結合された1つまたは複数のスイッチング要素を含むことができる。スイッチング要素は、レギュレータの出力を供給するためにコンパレータの出力によって制御され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、平衡回路は、スイッチング回路に結合されたDC-DCコンバータを含む。いくつかの実施形態では、平衡回路は、電気エネルギー貯蔵デバイスに関連する電圧が閾値電圧を超えていることを示す出力信号を供給するように構成された通知回路を含む。通知回路は、電気エネルギー貯蔵デバイスに関連する電圧を基準電圧と比較するように構成されたコンパレータ回路を含むことができる。
【0020】
本開示の別の例示の態様は、ウルトラキャパシタの電圧を制御する方法に関する。この方法は、レギュレータの第1の入力部において、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号を受け取るステップを含むことができる。この方法は、レギュレータの出力ノードを介して、ウルトラキャパシタに結合されたスイッチング回路を駆動するために使用される出力信号を供給するステップを含むことができる。この方法は、スイッチング回路において、少なくとも1つの出力信号を受け取るステップを含むことができる。この方法は、出力信号に少なくとも部分的に基づいてウルトラキャパシタを充電するかまたは放電させるためにスイッチング回路の1つまたは複数のスイッチング要素をハードスイッチング式に動作させるステップを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、レギュレータの出力ノードを介して、ウルトラキャパシタに結合されたスイッチング回路を駆動するために使用される出力信号を供給するステップは、レギュレータによって、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧よりも大きいときに第1の出力を供給するステップとレギュレータによって、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧以下であるときに第2の出力を供給するステップとを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、スイッチング回路の1つまたは複数のスイッチング要素を動作させるステップは、レギュレータが第1の出力を供給するときにウルトラキャパシタを放電させるために1つまたは複数のスイッチング要素を導電状態にハードスイッチングする(hard switching)ステップを含むことができる。加えて、スイッチング回路の1つまたは複数のスイッチング要素を動作させるステップは、レギュレータが第2の出力を供給するときにウルトラキャパシタを充電するために1つまたは複数のスイッチング要素を非導電状態に切り替えるステップを含むことができる。
【0023】
本開示の別の例示の態様は、ウルトラキャパシタのための平衡回路に関する。平衡回路は、入力部を有するレギュレータを含むことができる。レギュレータは、入力部で受け取ったウルトラキャパシタに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、出力ノードを介して出力を供給するように構成され得る。平衡回路は、スイッチング回路を含むことができる。スイッチング回路は、ソース、ドレイン、およびゲートを有する第1の電界効果トランジスタを含むことができる。スイッチング回路は、ソース、ドレイン、およびゲートを有する第2の電界効果トランジスタを含むことができる。レギュレータの出力ノードは、第1の電界効果トランジスタのゲートに結合され得る。第1の電界効果トランジスタのドレインは、第2の電界効果トランジスタのゲートに結合され得る。第1の電界効果トランジスタのソースは、ウルトラキャパシタに結合され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、DC-DCコンバータ(例えば、昇圧コンバータ)は、第1の電界効果トランジスタのソースに結合され得る。例えば、DC-DCコンバータは、ウルトラキャパシタと第1の電界効果トランジスタのソースとの間に結合され得る。いくつかの実施形態では、平衡回路は、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧よりも大きいことを示す通知信号を供給するように構成されたコンパレータをさらに含むことができる。
【0025】
図は、本開示の例示の実施形態の図示および議論のために提供される。図1は、本開示の例示の実施形態によるウルトラキャパシタ110とともに使用するための例示の平衡回路100のブロック図を示す。平衡回路100はレギュレータ120を含む。レギュレータ120は、コンデンサの両端の電圧Vcを示す信号112(例えば、入力電圧)を分圧器115などの入力回路を介して受け取ることができる。レギュレータ120は、信号112を基準電圧と比較することができる。いくつかの実施形態では、基準電圧は、ウルトラキャパシタ110が維持されるべき所望の電圧に基づいて決定され得る。
【0026】
レギュレータ120は、電圧Vcを示す信号112と基準電圧とに基づいて出力116を供給することができる。例えば、レギュレータ120は、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧Vcを示す信号112が基準電圧よりも大きいときに第1の論理出力(例えば、論理ハイ)を供給することができる。レギュレータ120は、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧Vcを示す信号112が基準電圧以下であるときに第2の論理出力(例えば、論理ロー)を供給することができる。
【0027】
出力116はスイッチング回路130に供給され得る。スイッチング回路130は、1つまたは複数の半導体スイッチング要素(例えば、電界効果トランジスタ)を含むことができる。1つまたは複数のスイッチング要素が導電状態にあるとき、ウルトラキャパシタ110は放電することができ、それは、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧を低下させる。ウルトラキャパシタ110は、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧Vcを示す信号112が十分に低く低下し、その結果、信号112がもはや基準電圧よりも大きくなくなるまで、放電することができる。この時点で、スイッチング要素は、ウルトラキャパシタ110を充電するために非導電状態になるように制御され得る。このようにして、平衡回路100を使用して、ウルトラキャパシタ110の電圧を調整し、スイッチングモードレジームを使用して過電圧状態を減少させることができる。スイッチングモードレジームでは、スイッチング回路は、ウルトラキャパシタ110の電圧をある範囲内にまたは平衡電圧に維持するために、ウルトラキャパシタ110を放電状態と非放電状態との間で行ったり来たり切り替わるように制御される。
【0028】
いくつかの実施形態では、スイッチング回路130の半導体スイッチング要素は、スイッチング要素のハードスイッチングを可能にするために完全飽和モードで動作され得る。これにより、スイッチング要素は、ウルトラキャパシタ110からの高電流に、それがスイッチングモードレジームに従ってウルトラキャパシタ110の放電から生じる間、適応することが可能であり得る。
【0029】
DC-DCコンバータ132を使用して、スイッチング回路のスイッチング要素に印加されるDC電圧を昇圧し、それによって、例えば、半導体スイッチング要素のハードスイッチングのために完全飽和モードで動作させるとき半導体スイッチング要素の性能の改善を可能にすることができる。DC-DCコンバータは、ウルトラキャパシタ110とスイッチング回路130との間に結合され得る。
【0030】
平衡回路100は、通知回路150を含むことができる。通知回路150は、コンパレータを含むことができる。コンパレータは、ウルトラキャパシタ110に関連する電圧を閾値と比較することができる。ウルトラキャパシタ110に関連する電圧が閾値を超える場合、通知回路150は、ウルトラキャパシタ110に関連する電圧が閾値を超えていることを示す信号を供給することができる。これを使用して、通知(例えば、発光ダイオードを介した視覚インジケータまたは他の好適な通知)を供給することができる。
【0031】
図2は、本開示の例示の実施形態による平衡回路100の例示の実施態様の回路図を示す。図示のように、平衡回路100は、分圧器回路115と、レギュレータ120と、FETスイッチング要素230および240を含むスイッチング回路とを含む。平衡回路100は、当技術分野で一般に知られている任意の方法を使用して設けられ構成されてもよい。いくつかの実施形態では、平衡回路100は、プリント回路基板などの回路基板(図示せず)に設けられる。
【0032】
分圧器回路115は、直列に結合された1対の抵抗器R4およびR5を含むことができる。抵抗器R4と抵抗器R5との間に配置されたノード215は、レギュレータ120の入力部に結合され得る。ノード215の電圧は、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧に関連し、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧を示す入力電圧であり得る。ノード215の電圧は、抵抗器R4およびR5の抵抗値に基づいてウルトラキャパシタ110の両端の電圧に関連づけられ得る。
【0033】
レギュレータ120は、いくつかの実施形態では、Linear Technologyから提供されるLT1431レギュレータとすることができる。レギュレータ120は、プログラマブル基準電圧を備えることができる。レギュレータ120は、ノード214の供給電圧によって少なくとも部分的に電力供給され得る。レギュレータは、入力部212と出力ノード216とを含む。いくつかの実施形態では、レギュレータ120は、入力部212で受け取ったウルトラキャパシタ110に関連する電圧を比較し、ウルトラキャパシタに関連する電圧の基準電圧(例えば、プログラマブル基準電圧)との比較に基づいて出力を供給するように構成されたコンパレータを含む。レギュレータ120は、この比較に基づいて出力ノード216を介して出力を供給するように構成された1つまたは複数のスイッチング要素(例えば、トランジスタ)を含むことができる。例えば、レギュレータ120は、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧よりも大きいときに出力ノード216を介して第1の出力(例えば、論理ハイ)を供給することができる。レギュレータ120は、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧よりも小さいときに出力ノード216を介して第2の出力(例えば、論理ロー)を供給することができる。出力は、半導体スイッチング要素230および240を駆動するためにスイッチング回路に供給され得る。
【0034】
スイッチング回路は、第1のスイッチング要素230と第2のスイッチング要素240とを含む。第1のスイッチング要素230は、ゲート、ソース、およびドレインを有する電界効果トランジスタである。いくつかの実施形態では、第1のスイッチング要素230は、例えば、Infineonから提供されるBSP170P電界効果トランジスタを含むことができる。第2のスイッチング要素240は、ゲート、ソース、およびドレインを有する電界効果トランジスタである。いくつかの実施形態では、第2のスイッチング要素240は、Siemensから提供されるBUZ347電界効果トランジスタを含むことができる。スイッチング要素230および240は、スイッチング要素230および240のハードスイッチングを可能にするために完全飽和モードで動作され得る。
【0035】
レギュレータ120の出力ノード216は、第1のスイッチング要素230のゲートに結合され得る。第1のスイッチング要素230のドレインは、第2のスイッチング要素240のゲートに結合され得る。第2のスイッチング要素240は、ウルトラキャパシタと並列に結合され得る。第2のスイッチング要素230のソースは、ウルトラキャパシタに関連する第1のノードに結合され得る。第2のスイッチング要素のドレインは、ウルトラキャパシタに関連する第2のノードに結合され得る。第2のスイッチング要素240は、ウルトラキャパシタ110の放電に関連する熱を放散させるためにヒートシンクとして使用されるウルトラキャパシタ110のパッケージングに関連するケース(例えば、ウルトラキャパシタモジュールケース)に装着され得る。
【0036】
レギュレータ120が第1の出力(例えば、論理ハイ)を供給するとき、第1のスイッチング要素230および第2のスイッチング要素240が導電状態にハードスイッチングされて、放電電流がウルトラキャパシタ110から流れることができる。レギュレータ120が第2の出力(例えば、論理ロー)を供給するとき、第1のスイッチング要素230および第2のスイッチング要素240が非導電状態に切り替えられて、ウルトラキャパシタを充電することができる。このようにして、ウルトラキャパシタ110は、スイッチングレジームで平衡回路100を動作させることによって放電状態と非放電状態との間で行ったり来たりする。
【0037】
平衡回路100は、第1のスイッチング要素230のソースに印加された電圧を昇圧するためにDC-DCコンバータ132を含むことができる。DC-DCコンバータ132は、いくつかの例示の実施形態では、Texas Instrumentsによって提供されるTPS61222昇圧コンバータとすることができる。DC-DCコンバータは、入力電圧を受け取るための第1のピン(ピン1)と、電圧フィードバックを受け取るための第2のピン(ピン2)と、接地への接続のための第3のピン(ピン3)と、昇圧電圧を第1のスイッチング要素230のソースに供給するための第4のピン(ピン4)と、インダクタL1への接続のための第5のピン(ピン5)と、イネーブル入力を供給するための第6のピン(ピン6)とを含むことができる。
【0038】
平衡回路は、ウルトラキャパシタに関連する電圧が閾値電圧を超えるときを決定するために使用されるコンパレータを含む通知回路150を含むことができる。いくつかの実施形態では、通知回路は、linear technologyからのLT6703コンパレータとすることができる。通知回路150は、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧を示す信号を入力部において分圧器回路155(例えば、直列に接続されているR6およびR7)から受け取ることができる。通知回路は、ウルトラキャパシタに関連する電圧が閾値電圧を超えたときに出力信号156を供給することができる。
【0039】
以下の表1は、図2に示された平衡回路の回路要素に関連する例示の値を提供する。下記に示された値は例示の目的のものである。
【0040】
【表1】
【0041】
本開示の例示の実施形態による平衡回路は、直列または並列に結合された複数のウルトラキャパシタを含むウルトラキャパシタモジュールに関連して使用され得る。任意の数の平衡回路が本開示に従って用いられ得る。例えば、モジュールは、少なくとも1つの平衡回路を含み、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの平衡回路を含む。しかしながら、モジュールはより多くの平衡回路を含むことができることが理解されるべきである。例えば、モジュールは、4つ以上、例えば6つ以上など、例えば8つ以上など、およびいくつかの実施形態では8つから30個の個々の平衡回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタ当たり少なくとも1つの平衡回路がある。
【0042】
図3は、本開示の例示の実施形態による例示の方法(300)の流れ図である。方法(300)は、例えば図1および図2に示された平衡回路を使用して実施され得る。図3は、図示および議論のために特定の順序で実行されるステップを示す。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本明細書で開示される方法のうちのいずれかの様々なステップが、本開示の範囲から逸脱することなく様々な方法で省略され、再配置され、同時に実行され、拡張され、修正され、および/または適応され得ることを理解されよう。
【0043】
(302)において、この方法は、レギュレータの第1の入力部において、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号を受け取るステップを含む。例えば、図2のレギュレータ120は、入力部212において入力電圧を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号は、分圧器を介して供給される入力電圧である。
【0044】
図3の(304)において、この方法は、レギュレータの出力ノードを介して、ウルトラキャパシタに結合されたスイッチング回路を駆動するために使用される出力信号を供給するステップを含む。例えば、図2のレギュレータ120は、出力信号をスイッチング要素230のゲートに出力ノード216を介して供給することができる。出力信号は、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号の基準電圧との比較に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。例えば、第1の出力は、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号が基準電圧を超えているとき供給され得る。第2の出力は、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号が閾値を超えていないとき供給され得る。
【0045】
図3の(306)において、この方法は、出力信号をスイッチング回路で受け取るステップを含む。例えば、図2のスイッチング要素230のゲートは、レギュレータ120からの出力信号を受け取ることができる。
【0046】
図3の(308)において、この方法は、出力信号に少なくとも部分的に基づいてウルトラキャパシタを充電するかまたは放電させるためにスイッチング回路のスイッチング要素をハードスイッチング式に動作させるステップを含むことができる。例えば、図2のレギュレータ120が、第1の出力(例えば、論理ハイ)を供給するとき、第1のスイッチング要素230および第2のスイッチング要素240は、放電電流がウルトラキャパシタ110から流れることができる導電状態にハードスイッチングされる。レギュレータ120が第2の出力(例えば、論理ロー)を供給するとき、第1のスイッチング要素230および第2のスイッチング要素240は、ウルトラキャパシタを充電することができる非導電状態に切り替えられる。
【0047】
様々な異なる個々のウルトラキャパシタのいずれも、通常、本開示の例示の態様によるモジュールで用いられ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタは、電極アセンブリと、ハウジング内に含まれ任意選択で気密封止された電解質とを含む。電極アセンブリは、例えば、第1の集電子に電気的に結合された第1の炭素質コーティング(例えば、活性炭粒子)を含む第1の電極と、第2の集電子に電気的に結合された第2の炭素質コーティング(例えば、活性炭粒子)を含む第2の電極とを含むことができる。所望の場合には、特にウルトラキャパシタが多数のエネルギー貯蔵セルを含む場合には、追加の集電子がさらに用いられてもよいことが理解されるべきである。集電子は、同じまたは異なる材料から形成されてもよい。それにも関わらず、各集電子は、典型的には、導電性金属、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、銀、パラジウムなど、ならびにこれらの合金などを含む基材から形成される。アルミニウムおよびアルミニウム合金は、本開示で使用するのに特に好適である。基材は、箔、シート、プレート、メッシュなどの形態であってもよい。基材は、さらに、比較的小さい厚さ、例えば約200マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約1から約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5から約80マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10から約50マイクロメートルを有することができる。決して必要というわけではないが、基材の表面は、洗浄、エッチング、ブラスト処理などによって任意選択で粗化されてもよい。
【0048】
第1および第2の炭素質コーティングは、さらに、第1および第2の集電子にそれぞれ電気的に結合される。それらは同じまたは異なるタイプの材料から形成されてもよく、そして1つまたは多数の層を含んでもよいが、炭素質コーティングの各々は、通常、活性化粒子を含む少なくとも1つの層を含む。ある実施形態では、例えば、活性炭層は、集電子上に直接位置決めされてもよく、任意選択で、炭素質コーティングのただ1つの層であってもよい。好適な活性炭粒子の例は、例えば、ヤシ殻ベースの活性炭、石油コークスベースの活性炭、ピッチベースの活性炭、ポリ塩化ビニリデンベースの活性炭、フェノール樹脂ベースの活性炭、ポリアクリロニトリルベースの活性炭、および石炭、木炭、または他の天然有機源などの天然源からの活性炭を含むことができる。
【0049】
ある実施形態では、活性炭粒子のある態様、例えば、粒度分布、表面積、および細孔サイズ分布を選択的に制御して、1回または複数回の充放電サイクルに供された後、あるタイプの電解質のイオン移動度を改善するのを助けることが望ましいことがある。例えば、粒子の少なくとも50体積%(D50サイズ)は、約0.01から約30マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.1から約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.5から約10マイクロメートルの範囲のサイズを有することができる。粒子の少なくとも90体積%(D90サイズ)は同様に、約2から約40マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5から約30マイクロメートル、いくつかの実施形態では約6から約15マイクロメートルの範囲のサイズを有することができる。BET表面は、約900m/gから約3000m/g、いくつかの実施形態では約1000m/gから約2500m/g、いくつかの実施形態では約1100m/gから約1800m/gにわたることもできる。
【0050】
特定のサイズおよび表面積を有することに加え、活性炭粒子は、特定のサイズ分布を有する細孔をさらに含むことができる。例えば、サイズが約2ナノメートル未満の細孔(すなわち、「ミクロ細孔」)の量は、全細孔体積の約50体積%以下、いくつかの実施形態では約30体積%以下、いくつかの実施形態では0.1体積%から15体積%の細孔体積と規定することができる。サイズが約2ナノメートルと約50ナノメートルとの間の細孔(すなわち、「メソ細孔」)の量は同様に、約20体積%から約80体積%、いくつかの実施形態では約25体積%から約75体積%、いくつかの実施形態では、約35体積%から約65体積%とすることができる。最後に、サイズが約50ナノメートルよりも大きい細孔(すなわち、「マクロ細孔」)の量は、約1体積%から約50体積%、いくつかの実施形態では約5体積%から約40体積%、いくつかの実施形態では約10体積%から約35体積%とすることができる。炭素粒子の全細孔体積は、約0.2cm/gから約1.5cm/g、いくつかの実施形態では約0.4cm/gから約1.0cm/gの範囲とすることができ、メジアン細孔幅は、約8ナノメートル以下、いくつかの実施形態では約1から約5ナノメートル、いくつかの実施形態では約2から約4ナノメートルとすることができる。細孔サイズおよび全細孔体積は、窒素吸着を使用して測定され、Barrett-Joyner-Halenda(「BJH」)技法によって分析されてもよい。
【0051】
所望の場合には、結合剤は、第1および/または第2の炭素質コーティング中に、炭素100部当たり約60部以下、いくつかの実施形態では40部以下、いくつかの実施形態では約1から約25部の量で存在することができる。結合剤は、例えば、炭素質コーティングの全重量の約15重量%以下、いくつかの実施形態では約10重量%以下、いくつかの実施形態では約0.5重量%から約5重量%を構成することができる。様々な好適な結合剤のいずれかが、電極に使用され得る。例えば、水不溶性有機結合剤、例えば、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、エチレン-塩化ビニルコポリマー、エチレン-塩化ビニル-酢酸ビニルターポリマー、アクリルポリ塩化ビニルポリマー、アクリルポリマー、ニトリルポリマー、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリオレフィンなど、ならびにこれらの混合物などが、ある実施形態で用いられ得る。水溶性有機結合剤、例えば多糖およびその誘導体なども用いられ得る。1つの特定の実施形態では、多糖は、非イオン性セルロースエーテル、例えば、アルキルセルロースエーテル(例えば、メチルセルロースおよびエチルセルロース);ヒドロキシアルキルセルロースエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロースなど);アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル(例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、およびメチルエチルヒドロキシプロピルセルロース);カルボキシアルキルセルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース);および同様のもの、ならびにナトリウムカルボキシメチルセルロースなどの前述のいずれかのプロトン化塩などとすることができる。
【0052】
他の材料が、さらに、第1および/または第2の炭素質コーティングの活性炭層内で、および/または第1および/または第2の炭素質コーティングの他の層内で用いられ得る。例えば、ある実施形態では、導電性促進剤を用いて、導電率をさらに増加させることができる。例示的な導電性促進剤は、例えば、カーボンブラック、黒鉛(天然または人工)、黒鉛、カーボンナノチューブ、ナノワイヤまたはナノチューブ、金属ファイバ、グラフェンなど、ならびにこれらの混合物を含むことができる。カーボンブラックが特に好適である。導電性促進剤は、用いられる場合、典型的には、炭素質コーティング中の活性炭粒子100部当たり約60部以下、いくつかの実施形態では40部以下、いくつかの実施形態では約1から約25部を構成する。導電性促進剤は、例えば、炭素質コーティングの全重量の約15重量%以下、いくつかの実施形態では約10重量%以下、いくつかの実施形態では約0.5重量%から約5重量%を構成することができる。活性炭粒子は同様に、典型的には、炭素質コーティングの85重量%以上、いくつかの実施形態では約90重量%以上、いくつかの実施形態では約95重量%から約99.5重量%を構成する。
【0053】
炭素質コーティングを集電子に塗布する特定の手法は、印刷(例えば、輪転グラビア)、噴霧、スロット-ダイコーティング、ドロップコーティング、浸漬コーティングなど、様々であってもよい。塗布する手法とは無関係に、得られる電極は、典型的には、コーティングから水分を除去するために、約100℃以上、いくつかの実施形態では約200℃以上、いくつかの実施形態では約300℃から約500℃の温度などで乾燥される。電極はまた、ウルトラキャパシタの体積効率を最適化するために、圧縮(例えば、カレンダ仕上げ)されてもよい。いずれかの任意選択の圧縮の後、各炭素質コーティングの厚さは、通常、ウルトラキャパシタの所望の電気性能および動作範囲に基づいて変化してもよい。しかしながら、典型的には、コーティングの厚さは、約20から約200マイクロメートル、30から約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約40から約100マイクロメートルである。コーティングは、集電子の片面または両面に存在してもよい。それにも関わらず、電極全体(任意選択の圧縮の後の集電子および炭素質コーティングを含む)の厚さは、典型的には、約20から約350マイクロメートル、いくつかの実施形態では約30から約300マイクロメートル、いくつかの実施形態では約50から約250マイクロメートルの範囲内にある。
【0054】
電極アセンブリは、さらに、典型的には、第1の電極と第2の電極との間に位置決めされたセパレータを含む。所望の場合には、他のセパレータが、さらに、電極アセンブリで用いられてもよい。例えば、1つまたは複数のセパレータが、第1の電極、第2の電極、または両方の上に位置決めされてもよい。セパレータは、1つの電極を別の電極から電気的に絶縁して、電気的短絡を防止するのを助けることが可能であるが、依然として2つの電極間のイオン輸送がなされる。ある実施形態では、例えば、セパレータは、セルロース繊維材料(例えば、エアレイドペーパーウェブ、湿式ペーパーウェブなど)、不織繊維材料(例えば、ポリオレフィン不織ウェブ)、織布、フィルム(例えば、ポリオレフィンフィルム)などを含むものが用いられてもよい。セルロース繊維材料は、天然繊維、合成繊維などを含むものなどが、ウルトラキャパシタで使用するのに特に好適である。セパレータで使用するのに好適なセルロース繊維の特定の例は、例えば、広葉樹パルプ繊維、針葉樹パルプ繊維、レーヨン繊維、再生セルロース繊維などを含むことができる。用いられる特定の材料とは無関係に、セパレータは、典型的には、約5から約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10から約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約20から約80マイクロメートルの厚さを有する。
【0055】
電極アセンブリの構成要素が一緒に組み合わされる方法は、様々であってもよい。例えば、電極およびセパレータを最初に折り畳み、巻き上げ、または他の手法で一緒に接触させて、電極アセンブリを形成してもよい。1つの特定の実施形態では、電極、セパレータ、および任意選択の電解質は、「ジェリーロール」構成を有する電極アセンブリに巻き上げられてもよい。
【0056】
ウルトラキャパシタを形成するために、電解質は、電極アセンブリを形成するのに電極およびセパレータが一緒に組み合わされる前に、組み合わされる間に、および/または組み合わされた後に、第1の電極および第2の電極にイオン接触して配置される。電解質は、通常、本質的に非水性であり、したがって少なくとも1つの非水溶媒を含む。ウルトラキャパシタの動作温度範囲を拡げるのを助けるために、典型的には、非水溶媒が比較的高い沸騰温度、例えば約150℃以上、いくつかの実施形態では約200℃以上、いくつかの実施形態では約220℃から約300℃などを有することが望ましい。特に好適な高沸点溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどのような環状カーボネート溶媒を含むことができる。当然、他の非水溶媒も、単独でまたは環状カーボネート溶媒と組み合わせて用いられてもよい。そのような溶媒の例は、例えば、開鎖カーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、脂肪族モノカルボキシレート(例えば、酢酸メチル、プロピオン酸メチルなど)、ラクトン溶媒(例えば、ブチロラクトン バレロラクトンなど)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリルなど)、アミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン)、アルカン(例えば、ニトロメタン、ニトロエタンなど)、硫黄化合物(例えば、スルホラン、ジメチルスルホキシドなど);および同様のものを含むことができる。
【0057】
電解質は、非水溶媒に溶解された少なくとも1つのイオン性液体をさらに含んでもよい。イオン性液体の濃度は変えることができるが、典型的には、イオン性液体は比較的高い濃度で存在することが望ましい。例えば、イオン性液体は、電解質リットル当たり約0.8モル(M)以上、いくつかの実施形態では約1.0M以上、いくつかの実施形態では約1.2M以上、いくつかの実施形態では約1.3から約1.8Mの量で存在してもよい。
【0058】
イオン性液体は、通常、比較的低い融解温度、例えば、約400℃以下、いくつかの実施形態では約350℃以下、いくつかの実施形態では約1℃から約100℃、いくつかの実施形態では約5℃から約50℃などを有する塩である。塩は、カチオン種および対イオンを含む。カチオン種は、「カチオン中心」として少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、窒素またはリン)を有する化合物を含む。そのようなヘテロ原子化合物の例は、例えば、非置換または置換有機第四級アンモニウム化合物、例えば、アンモニウム(例えば、トリメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムなど)、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピラミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、チアゾリウム、キノリニウム、ピペリジニウム、ピロリジニウム、2つ以上の環がスピロ原子(例えば、炭素、ヘテロ原子など)によって一緒に接続されている第四級アンモニウムスピロ化合物、第四級アンモニウム縮合環構造(例えば、キノリニウム、イソキノリニウムなど)、および同様のものなどを含む。1つの特定の実施形態では、例えば、カチオン種はN-スピロ二環式化合物、例えば環式環を有する対称または非対称N-スピロ二環式化合物であってもよい。そのような化合物の一例は、以下の構造の
【0059】
【化1】
【0060】
を有し、ここで、mおよびnは独立して3から7の数であり、いくつかの実施形態では4から5である(例えば、ピロリジニウムまたはピペリジニウム)である。
同様に、カチオン種に好適な対イオンは、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物など);スルフェートまたはスルホネート(例えば、硫酸メチル、硫酸エチル、硫酸ブチル、硫酸ヘキシル、硫酸オクチル、硫酸水素、スルホン酸メタン、スルホン酸ドデシルベンゼン、ドデシルスルフェート、スルホン酸トリフルオロメタン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、ドデシルエトキシ硫酸ナトリウムなど);スルホスクシネート;アミド(例えば、ジシアナミド);イミド(例えば、ビス(ペンタフルオロエチル-スルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチル)イミドなど);ボレート(例えば、テトラフルオロボレート、テトラシアノボレート、ビス[オキサラト]ボレート、ビス[サリチラト]ボレートなど);ホスフェートまたはホスフィネート(例えば、ヘキサフルオロホスフェート、ジエチルホスフェート、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィネート、トリス(ペンタフルオロエチル)-トリフルオロホスフェート、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェートなど);アンチモネート(例えば、ヘキサフルオロアンチモネート);アルミネート(例えば、テトラクロロアルミネート);脂肪酸カルボキシレート(例えば、オレエート、イソステアレート、ペンタデカフルオロオクタノエートなど);シアネート;アセテート;および同様のもの、ならびに前述のいずれかの組合せを含むことができる。
【0061】
好適なイオン性液体のいくつかの例は、例えば、テトラフルオロホウ酸スピロ-(1,1’)-ビピロリジニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、ヨウ化スピロ-(1,1’)-ビピロリジニウム、ヨウ化トリエチルメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸メチルトリエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラエチルアンモニウムなどを含むことができる。
【0062】
上記のように、ウルトラキャパシタは、電極アセンブリおよび電解質が保持され任意選択で気密封止されるハウジングをさらに含む。ハウジングの性質は、所望に応じて変化してもよい。1つの実施形態では、例えば、ハウジングは、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ハフニウム、チタン、銅、銀、鋼(例えば、ステンレス)、それらの合金、それらの複合体(例えば、導電性酸化物でコーティングされた金属)、および同様のものから形成されたものなどの金属容器(「カン」)を含むことができる。アルミニウムは、本開示で使用するのに特に好適である。金属容器は、円筒状、D字形などの様々な異なる形状のいずれかを有してもよい。円筒形状の容器が特に好適である。
【0063】
ウルトラキャパシタ間の好適な接続が、本開示の例示の態様に従って用いられてもよい。例えば、ウルトラキャパシタは、ウルトラキャパシタのそれぞれの端子に取り付けるかまたは接続する相互接続を使用して接続されてもよい。相互接続は、導電性金属などの導電材料で製作されてもよい。1つの実施形態では、相互接続は、比較的平坦であってもよく、または表面積が増加するものであってもよい。後者に関して、相互接続は、突起/突出を有してもよく、または、さらに、ワイヤ、編組、コイルなどから形成されてもよい。これに関して、相互接続の特定の寸法および構成は必ずしも限定されない。その形態に関係なく、銅、スズ、ニッケル、アルミニウムなどならびに合金および/またはコーティングされた金属などの様々な異なる導電材料のいずれかが用いられてもよい。所望の場合には、導電材料は、任意選択で、シース材料を用いて絶縁されてもよい。
【0064】
ウルトラキャパシタは、所望の特定の性質に応じて、直列にまたは並列に一緒に電気的に接続され得る。例えば、1つの特定の実施形態では、ウルトラキャパシタは、あるウルトラキャパシタの特定の極性(例えば、正)の端子が別のウルトラキャパシタの反対の極性(例えば、負)の端子に接続されるように直列に電気的に接続され得る。例えば、正端子は第1のウルトラキャパシタの頂部から延びることができ、負端子は第2のウルトラキャパシタの底部から延びることができる。
【0065】
それらを含むウルトラキャパシタおよびモジュールは、大量の電荷を貯蔵するために用いられ得る。その結果、本開示のモジュールおよびウルトラキャパシタは、様々な用途において用いられ得る。例えば、それらは、限定はしないが、風力タービン、ソーラータービン、ソーラーパネル、および燃料電池を含む様々なエネルギー用途で使用され得る。加えて、それらは、限定はしないが、車両(例えば、バッテリ推進電気車両、バス、エンジン始動、パワーおよびブレーキ回復システムを含むハイブリッド電気車両など)、列車および電車(例えば、リニアモーターカー、線路切換、スタータシステムなど)、および航空宇宙(例えば、ドア用アクチュエータ、脱出用シュートなど)を含む様々な輸送用途でも使用され得る。それらは、オートメーション(例えば、ロボティクスなど)、車両(例えば、フォークリフト、クレーン、電気カートなど)を含む様々な産業用途も有する。それらは、家庭用電化製品(例えば、ポータブルメディアプレイヤ、ハンドヘルドデバイス、GPS、デジタルカメラなど)、コンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ、PDAなど)、および通信システムにおける様々な用途も有する。モジュールおよびウルトラキャパシタは、様々な軍用用途(例えば、戦車および潜水艦のためのモータ始動、フェーズドアレイレーダアンテナ、レーザ電源、無線通信、アビオニクス表示および計装、GPSガイダンスなど)、および医療用途(例えば、除細動器など)を有することもできる。
図1
図2
図3